JP2016222542A - 歯科用グラスアイオノマーセメント組成物 - Google Patents

歯科用グラスアイオノマーセメント組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】 重合性成分を含まないにもかかわらず、硬化体の強度が高い歯科用グラスアイオノマーセメント組成物を提供することを課題とする。【解決手段】 α−β不飽和カルボン酸重合体と反応しない充填材の表面にケイ素原子を介してカルボキシル基を有する複合フィラーを含み、且つ、重合性成分を含まない歯科用グラスアイオノマーセメント組成物とする。【選択図】 なし

Description

本発明は、重合性成分を含まない歯科用グラスアイオノマーセメント組成物に関する。
歯科用グラスアイオノマーセメントは、ポリカルボン酸等のα−β不飽和カルボン酸重合体と、フルオロアルミノシリケートガラス粉末とを水の存在下で反応させ硬化させて使用する。この歯科用グラスアイオノマーセメントは、生体に対する親和性が極めて良好であることや硬化体が半透明であり審美性に優れていること、エナメル質や象牙質等の歯質に対して優れた接着力を有していること、更にはガラス中に含まれるフッ素による抗齲蝕作用があること等優れた特長を有しているため歯科分野で広く使用されている。
一般的な歯科用グラスアイオノマーセメントは粉成分と液成分とで構成されており、計量や練和等の操作の煩雑さが短所の一つになっていた。本出願人はα−β不飽和カルボン酸重合体と水と該α−β不飽和カルボン酸重合体と反応しない充填材とを主成分とする第1ペースト及びフルオロアルミノシリケートガラス粉末と酸基を持たない重合性モノマーとを主成分とする第2ペーストから成り、両ペーストの少なくとも一方に重合性モノマーの重合方法に応じて重合触媒を配合したペースト状のグラスアイオノマーセメント組成物を以前に開発した(例えば、特許文献1参照。)。
このペースト状の歯科用グラスアイオノマーセメント組成物は、フルオロアルミノシリケートガラス粉末を含む成分をペースト状とするために重合性モノマー等の重合性成分を利用しているので機械的強度には優れているものの、重合後に残留した未重合モノマーが生体に悪影響を及ぼす等の懸念があった。このため本出願人は、重合性モノマーを用いないペースト系グラスアイオノマーセメント組成物を開発した(例えば、特許文献2参照。)。このセメントは、α−β不飽和カルボン酸重合体と水溶液とから成る第1ペーストと、フルオロアルミノシリケートガラス粉末と水と僅かな量の水溶性の増粘剤とから成る第2ペーストとから構成されていた。
しかし重合性モノマーを含まないこの歯科用グラスアイオノマーセメント組成物は、フルオロアルミノシリケートガラス粉末以外の充填材が含まれていないためセメント硬化体の強度が不足していた。そこで本出願人は、α−β不飽和カルボン酸重合体と該α−β不飽和カルボン酸重合体と反応せず且つ水中で単分散状態とならない充填材と水とから成り、平均粒径が1〜100nmのコロイダルシリカがSiO2濃度1〜50重量%に水に対して単分散状態となっているシリカ水性ゾルをコロイダルシリカ量として所定量配合させた第1ペーストと、所定量のフルオロアルミノシリケートガラス粉末が配合された第2ペーストとから成る歯科用ペースト系グラスアイオノマーセメント組成物を開発した(例えば、特許文献3参照。)。
しかしこの歯科用グラスアイオノマーセメント組成物は、α−β不飽和カルボン酸重合体と反応しない充填材と、セメントの母体成分(α−β不飽和カルボン酸重合体及びフルオロアルミノシリケートガラス)との相互作用が弱いために硬化体の強度が不十分であった。
特開平11−228327号公報 特開2003−183112号公報 特開2007−091607号公報
そこで本発明は、重合性成分を含まないにもかかわらず、硬化体の強度が高い歯科用グラスアイオノマーセメント組成物を提供することを課題とする。
本発明者等は上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、α−β不飽和カルボン酸重合体と反応しない充填材の表面にケイ素原子を介してカルボキシル基を有する複合フィラーを配合すれば、該カルボキシル基が金属イオンを介してセメント母体と相互作用することにより、該複合フィラーが組成物中で安定するため、重合性成分を含ませなくとも硬化時の強度が高い歯科用グラスアイオノマーセメント組成物が得られることを見出して本発明を完成させた。
即ち、本発明は、
α−β不飽和カルボン酸重合体と反応しない充填材の表面にケイ素原子を介してカルボキシル基を有する複合フィラーを含み、且つ、重合性成分を含まない歯科用グラスアイオノマーセメント組成物である。
また、本発明の別の形態としては、
主成分が
(A)フルオロアルミノシリケートガラス粉末
である粉末成分と、
主成分が
(B)α−β不飽和カルボン酸重合体、
(C)水、
である液体成分と、
から構成されており、
粉末成分及び/または液体成分に、
(D)α−β不飽和カルボン酸重合体と反応しない充填材の表面にケイ素原子を介してカルボキシル基を有する複合フィラー
を含む歯科用グラスアイオノマーセメント組成物である。
あるいは、
主成分が
(B)α−β不飽和カルボン酸重合体、
(C)水、
である第1ペーストと、
主成分が
(A)フルオロアルミノシリケートガラス粉末、
(C)水、
である第2ペーストと、
から構成されており、
第1ペーストに、
(D)α−β不飽和カルボン酸重合体と反応しない充填材の表面にケイ素原子を介してカルボキシル基を有する複合フィラー
を含み、且つ、
第1ペースト及び第2ペーストの何れにも重合性成分を含まない歯科用グラスアイオノマーセメント組成物である。
本発明に係る歯科用グラスアイオノマーセメント組成物は、重合性成分を含まないにもかかわらず、硬化時の強度が高い歯科用グラスアイオノマーセメント組成物である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
まず、本発明に係る歯科用グラスアイオノマーセメント組成物の第1の実施形態である粉液型の歯科用グラスアイオノマーセメント組成物について説明する。粉液型の歯科用グラスアイオノマーセメント組成物は、
主成分が
(A)フルオロアルミノシリケートガラス粉末
である粉末成分と、
主成分が
(B)α−β不飽和カルボン酸重合体、
(C)水、
である液体成分と、
から構成されており、
粉末成分及び/または液体成分に、
(D)α−β不飽和カルボン酸重合体と反応しない充填材の表面にケイ素原子を介してカルボキシル基を有する複合フィラー
を含み、且つ、
粉末成分及び液体成分の何れにも重合性成分を含まない歯科用グラスアイオノマーセメント組成物である。
第1の実施形態に係る粉液型の歯科用グラスアイオノマーセメント組成物には、粉末成分に(A)フルオロアルミノシリケートガラス粉末が配合される。フルオロアルミノシリケートガラス粉末は、その平均粒径が0.02〜10μm、比重が2.4〜4.0で、主成分としてAl3+,Si4+、F,O2−を含み、更にSr2+及び/またはCa2+を含むフルオロアルミノシリケートガラス粉末であることが好ましい。平均粒径が10μmを超える場合は、セメント硬化体の表面の平滑性が得られ難いので、口腔内での接触感が良くない。一方、平均粒径が0.02μm未満の微粉を用いた場合は絶対量として粉末が入り難く物性が低下してしまう虞がある。尚、粒径は通常の手段を用いて測定することができ、長径と短径の平均値で表す。
(A)フルオロアルミノシリケートガラス粉末は、公知のガラス作製法により作製することができる。フルオロアルミノシリケートガラス粉末の配合量は、粉末成分中に50〜100重量%であることが好ましい。50重量%未満ではセメント硬化体の物性が劣る傾向がある。
第1の実施形態に係る粉液型の歯科用グラスアイオノマーセメント組成物には、少なくとも液体成分に(B)α−β不飽和カルボン酸重合体が配合される。α−β不飽和カルボン酸重合体は、α−β不飽和モノカルボン酸またはα−β不飽和ジカルボン酸の重合体であり、α−β不飽和カルボン酸重合体が、アクリル酸,メタアクリル酸,2−クロロアクリル酸,3−クロロアクリル酸,アコニット酸,メサコン酸,マレイン酸,イタコン酸,フマール酸,グルタコン酸,シトラコン酸の中から選ばれた1種以上を含む共重合体または単独重合体であって重合可能な不飽和二重結合を含まない重量平均分子量5,000〜40,000の重合体であることが好ましい。これらのα−β不飽和カルボン酸重合体において、5,000未満の重量平均分子量を有する重合体を使用した場合は硬化後のセメント硬化体の強度が低くなり易く、また歯質への接着力も低下する傾向がある。40,000を超える重量平均分子量を有する重合体を使用した場合は練和時のちょう度が大き過ぎて練和が難しくなる傾向がある。
(B)α−β不飽和カルボン酸重合体の配合量は、液体成分中に20〜50重量%であることが好ましい。20重量%未満ではセメント硬化体の強度が劣る傾向があり、50重量%を超えると練和が困難となる傾向がある。また、粉末成分中の配合量は0〜20重量%であることが好ましい。20重量%を超えるとセメント硬化体の物性が劣る傾向がある。
第1の実施形態に係る粉液型の歯科用グラスアイオノマーセメント組成物には、液体成分に(C)水が配合される。水は本発明において必要不可欠な成分である。その理由は、(A)フルオロアルミノシリケートガラスと(B)α−β不飽和カルボン酸の重合体との中和反応は水の存在下で反応が進行するからである。また、水の存在下で第1の実施形態に係る粉液型の歯科用グラスアイオノマーセメント組成物は歯の表面と接着する。
(C)水の配合量は液体成分中に50〜80重量%であることが好ましい。50重量%未満では練和が困難となる傾向があり、80重量%を超えるとセメント硬化体の強度が劣る傾向がある。
第1の実施形態に係る粉液型の歯科用グラスアイオノマーセメント組成物には、粉末成分及び/または液体成分に、(D)α−β不飽和カルボン酸重合体と反応しない充填材の表面にケイ素原子を介してカルボキシル基を有する複合フィラーが配合される。これにより、該カルボキシル基が金属イオンを介してセメント母体と相互作用することにより複合フィラーが組成物中で安定するため、重合性成分を含ませなくとも硬化時の強度が高い歯科用グラスアイオノマーセメント組成物が得られる。
(D)α−β不飽和カルボン酸重合体と反応しない充填材の表面にケイ素原子を介してカルボキシル基を有する複合フィラーは、
(a)不飽和二重結合を有するシラン処理材によって処理されたα−β不飽和カルボン酸重合体と反応しない充填材、
(b)カルボキシル基を有する(メタ)アクリレート化合物、
(c)カルボキシル基を含まない(メタ)アクリレート化合物、
とから成り、平均粒径が2〜40μmである歯科用グラスアイオノマーセメント用複合フィラーである。
前記(D)α−β不飽和カルボン酸重合体と反応しない充填材の表面にケイ素原子を介してカルボキシル基を有する複合フィラーは、
(a)不飽和二重結合を有するシラン処理材によって処理されたα−β不飽和カルボン酸重合体と反応しない充填材、
(b)カルボキシル基を有する(メタ)アクリレート化合物、
(c)カルボキシル基を含まない(メタ)アクリレート化合物、
(d)重合触媒
とを含む混合物を重合硬化した後、粉砕して平均粒径を2〜40μmとすることによって製造される。
(a)の充填材を構成するα−β不飽和カルボン酸重合体と反応しない充填材としては、コロイダルシリカ,結晶性シリカなどのSiO2粉末、鉱物である硅砂,石英,金属イオンを放出しない結晶性ガラスである例えばストロンチウムガラス,バリウムガラス,ホウケイ酸ガラス、その他にもAl23粉末,TiO2粉末,硫酸バリウム等を挙げることができる。これらを2種以上混合して使用しても差し支えない。中でも、SiO2粉末,石英,Al23粉末,TiO2粉末の中から選ばれた1種または2種以上であることが好ましい。
また、(a)の充填材を構成するα−β不飽和カルボン酸重合体と反応しない充填材の平均粒径は0.02〜10μmであることが好ましく、平均粒径が10μmを超える場合はセメントの硬化後の表面の平滑性が得られないので、口腔内での接触感が悪くなる傾向がある。一方、平均粒径が0.02μm未満の微粉を用いた場合は、絶対量として粉末を混合し難く、硬化体の物性が低下してしまう虞がある。
(a)の充填材を構成するα−β不飽和カルボン酸重合体と反応しない充填材は、不飽和二重結合を有するシラン処理材によって表面処理されていることが必要である。この表面処理に使用される不飽和二重結合を有するシラン処理材としては、例えばビニルトリメトキシシラン,ビニルトリエトキシシラン,γ―メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン,γ―メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン,ビニルトリクロロシラン,ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン等のビニル系シランカップリング剤が例示される。この処理により、α−β不飽和カルボン酸重合体と反応しない充填材の表面に不飽和二重結合を有するシラン処理材が化学結合する。この不飽和二重結合上の炭素原子は、後述する(メタ)アクリレートの不飽和二重結合上の炭素原子と重合により結合する。
前記シラン処理材の使用量は、α−β不飽和カルボン酸重合体と反応しない充填材100重量部に対して0.01〜20重量部であることが好ましく、0.01重量部未満では十分な強度が得られない傾向があり、20重量部を超えると均一な処理粉が得られない傾向がある。
(a)不飽和二重結合を有するシラン処理材によって処理されたα−β不飽和カルボン酸重合体と反応しない充填材の配合量は(D)の複合フィラー中に50〜80重量%であることが好ましい。50重量%未満では充分な硬化体の強度が得られず、80重量%を超えると,α−β不飽和カルボン酸重合体と反応しない充填材の分散が困難となってしまう傾向がある。
(b)カルボキシル基を有する(メタ)アクリレート化合物は、その不飽和二重結合上の炭素原子が、前述のα−β不飽和カルボン酸重合体と反応しない充填材の表面に結合したシラン処理材の不飽和二重結合上の炭素原子と、重合により結合する。これにより、(D)の複合フィラーにおけるカルボキシル基が導入され、且つ複合フィラー自体の強度が向上する。カルボキシル基を有する(メタ)アクリレート化合物としては、例えば1,4−ジ(メタ)アクリロキシエチルピロメリット酸、6−(メタ)アクリロキシエチルナフタレン1,2,6−トリカルボン酸、N,O−ジ(メタ)アクリロキシチロシン、O−(メタ)アクリロキシチロシン、N−(メタ)アクリロキシチロシン、N−(メタ)アクリロキシフェニルアラニン、N−(メタ)アクリロイル−p−アミノ安息香酸、N−(メタ)アクリロイル−o−アミノ安息香酸、N−(メタ)アクリロイル−5−アミノサリチル酸、N−(メタ)アクリロイル−4−アミノサリチル酸、4−(メタ)アクリロキシエチルトリメリット酸、4−(メタ)アクリロキシブチルトリメリット酸、4−(メタ)アクリロキシヘキシルトリメリット酸、4−(メタ)アクリロキシデシルトリメリット酸、4−(メタ)アクリロキシブチルトリメリット酸、2−(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、3−(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、4−(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと無水マレイン酸の付加生成物、O−(メタ)アクリロキシチロシンアミド、N−フェニルグリシン−グリシジル(メタ)アクリレート、N−(P−メチルフェニル)グリシン−グリシジル(メタ)アクリレート、11−(メタ)アクリロキシ−1,1−ウンデカンジカルボン酸、4−[(2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル)アミノ]フタル酸、5−[(2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル)アミノ]イソフタル酸、3−[N−メチル−N−(2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル)アミノ]フタル酸、4−[N−メチル−N−(2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル)アミノ]フタル酸、4−[(2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル)アミノ]マレイン酸、5−[(2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル)アミノ]イソマレイン酸、3−[N−メチル−N−(2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル)アミノ]マレイン酸、4−[N−メチル−N−(2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル)アミノ]マレイン酸が例示される。これらの中でも特に、4−(メタ)アクリロキシエチルトリメリット酸無水物,4−(メタ)アクリロキシエチルトリメリット酸がセメント硬化体の強度を向上させる効果に優れるため好ましい。これらは単独または2種以上を混合して使用することができる。
(b)カルボキシル基を有する(メタ)アクリレート化合物の配合量は(D)の複合フィラー中に0.5〜40重量%であることが好ましい。0.5重量%未満では効果が得られ難く,40重量%を超えるとモノマー液の調製自体が困難となってしまう傾向がある。
(c)カルボキシル基を含まない(メタ)アクリレート化合物は、その不飽和二重結合上の炭素原子が、前述のα−β不飽和カルボン酸重合体と反応しない充填材の表面に結合したシラン処理材の不飽和二重結合上の炭素原子と、重合により結合する。これにより、(D)の複合フィラー自体の強度が向上する。カルボキシル基を含まない(メタ)アクリレート化合物としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジ(メタ)アクリロキシプロパン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジル(メタ)アクリレート、2,2−ビス〔4−(メタ)アクリロキシエトキシ)フェニル〕プロパン等が例示される。これらは単独または2種以上を混合して使用することができる。
また(c)カルボキシル基を含まない(メタ)アクリレート化合物として、水酸基、エチレングリコール基等の親水性基を有する(メタ)アクリレート化合物を用いれば、(D)の複合フィラーに親水性基が導入されるため、複合フィラーの親水性が向上し、組成物配合時の凝集やベタつきを抑制することもできる。この観点から、上記化合物の中でも2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート,トリエチレングリコールジメタクリレート,テトラエチレングリコールジメタクリレート,ポリエチレングリコールジメタクリレート,2,2−ビス〔4−(メタ)アクリロキシエトキシ)フェニル〕プロパンが特に好適である。これらは単独または2種以上を混合して使用することができる。
(c)カルボキシル基を含まない(メタ)アクリレート化合物の配合量は複合フィラー中に10〜50重量%であることが好ましい。10重量%未満では重合性が低下し50重量%を超えると充分な物性向上の効果が得られなくなる傾向がある。
尚、本発明で使用する「(メタ)アクリレート化合物」とは、アクリレート化合物及び/またはメタクリレート化合物を意味している。安全性を考慮するとメタクリレート化合物であることが好ましい。
(d)重合触媒は(メタ)アクリレート化合物及び不飽和二重結合を有する化合物を重合させる作用を持つ。重合触媒としては従来の歯科材料で用いられている重合触媒を特に制限なく使用することが可能である。特に確実に重合させることを目的として熱重合触媒が好ましい。熱重合触媒としては、アゾ化合物としてアゾビスイソブチロニトリル、トリブチルホウ素等のような有機金属化合物が好ましく、芳香族を有するジアシルパーオキシド類や過安息香酸のエステルとみなされるようなパーオキシエステル類、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロルベンゾイルパーオキシド、m−トリルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、2,5−ジメチル−2,5ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ[(o−ベンゾイル)ベンゾイルパーオキシ]ヘキサン等も使用可能である。これらの熱重合触媒は1種または2種以上を組み合わせて使用することも可能である。
(d)重合触媒の配合量は、複合フィラー中に0.03〜3重量%であることが好ましい。0.03重量%未満であると充分な重合効果を得難く、一方、使用する(メタ)アクリレート化合物の種類や配合割合によって異なるが3重量%を超えて配合すると充分な加熱を行わないうちに重合反応が進んでしまい製造の安定性が悪化する傾向がある。
上記(a)〜(d)を含む混合物を重合硬化させることにより、(a)不飽和二重結合を有するシラン処理材によって処理されたα−β不飽和カルボン酸重合体と反応しない充填材、(b)カルボキシル基を有する(メタ)アクリレート化合物、(c)カルボキシル基を含まない(メタ)アクリレート化合物、とがケイ素原子を介して化学結合する。即ち、(a)不飽和二重結合を有するシラン処理材によって処理されたα−β不飽和カルボン酸重合体と反応しない充填材の、不飽和二重結合上の炭素原子と、(b)カルボキシル基を有する(メタ)アクリレート化合物の不飽和二重結合上の炭素原子、及び(c)カルボキシル基を含まない(メタ)アクリレート化合物の不飽和二重結合上の炭素原子とが、ケイ素原子を介して化学結合する。これにより、(D)α−β不飽和カルボン酸重合体と反応しない充填材の表面にケイ素原子を介してカルボキシル基を有する複合フィラーが得られる。重合硬化方法は重合触媒の種類や組み合わせに応じて適宜有効な方法を選択できる。
重合硬化により得られた混合物は、歯科用グラスアイオノマーセメント組成物に配合するために粉砕され、篩にかけて粒径を整えた複合フィラーとして使用する。複合フィラーの平均粒径は2〜40μmである。2μm未満であるとフィラーの凝集が顕著であり、操作感が損なわれてしまう。40μmを超えると物性向上への寄与が見られなくなってしまう傾向がある。複合フィラーの平均粒径は2.5〜20μmであることが好ましい。
(D)α−β不飽和カルボン酸重合体と反応しない充填材の表面にケイ素原子を介してカルボキシル基を有する複合フィラーは、歯科用グラスアイオノマーセメント組成物の粉末成分及び/または液体成分に配合される。粉末成分中には0.1〜3重量%配合されることが好ましい。0.1重量%未満であるとセメントの母体成分とα−β不飽和カルボン酸重合体と反応しない充填材との間に硬化後の強度が十分となるような相互作用を得ることができない傾向があり、3重量%を超えて配合すると著しく操作性を損なってしまう傾向がある。また、液体成分中には1〜10重量%配合されることが好ましい。1重量%未満であるとセメントの母体成分とα−β不飽和カルボン酸重合体と反応しない充填材との間に硬化後の強度が十分となるような相互作用を得ることができない傾向があり、10重量%を超えて配合すると著しく操作性を損なってしまい練和が困難となる傾向がある。
第1の実施形態に係る粉液型の歯科用グラスアイオノマーセメント組成物には、必要に応じて、液体成分に、pH調整用に(E)酸を添加することもできる。用いられる酸としてはリン酸,クエン酸,コハク酸,シュウ酸,フマル酸,酒石酸,リンゴ酸,マレイン酸,エチレンジアミン四酢酸,トリカルバリル酸,レブリン酸,酸性アミノ酸,ピログルタミン酸,L−アスパラギン酸,L−アルギニン,クエン酸,グリシン,グリコール酸,DL−グリセリン酸,グルコン酸,グルクロン酸,グルタル酸,アセトンジカルボン酸,シクロペンタンテトラカルボン酸,ジグリコール酸,ジエチルマロン酸,L−システイン酸,シュウ酸,スルホサリチル酸,タルトロン酸,トリカルバリル酸,テトラヒドロフランテトラカルボン酸,meso−ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸,トリメリット酸,乳酸,ベンゼンペンタカルボン酸,マロン酸,DL−マンデル酸,ベンゼンヘキサカルボン酸,リンゴ酸等が挙げられ、これらの酸は1種または2種以上を混合して使用してもよい。
(E)酸の液体成分中の配合量は0.5〜20重量%であることが好ましい。0.5重量%未満では効果に乏しく、20重量%を超えるとセメント硬化体の曲げ強度を低下させる可能性がある。
続いて、本発明に係る歯科用グラスアイオノマーセメント組成物の第2の実施形態であるペースト系歯科用グラスアイオノマーセメント組成物について説明する。ペースト系歯科用グラスアイオノマーセメント組成物は、
主成分が
(B)α−β不飽和カルボン酸重合体、
(C)水、
である第1ペーストと、
主成分が
(A)フルオロアルミノシリケートガラス粉末、
(C)水、
である第2ペーストと、
から構成されており、
第1ペーストに、
(D)α−β不飽和カルボン酸重合体と反応しない充填材の表面にケイ素原子を介してカルボキシル基を有する複合フィラー
を含み、且つ、
第1ペースト及び第2ペーストの何れにも重合性成分を含まない歯科用グラスアイオノマーセメント組成物である。
第2の実施形態に係るペースト系歯科用グラスアイオノマーセメント組成物には、第1ペーストに、(B)α−β不飽和カルボン酸重合体が配合される。α−β不飽和カルボン酸重合体としては、上記の粉液型の実施形態で使用可能なものが同様に使用可能である。
(B)α−β不飽和カルボン酸重合体の配合量は第1ペースト中に20〜60重量%であることが好ましい。20重量%未満では歯科用グラスアイオノマーセメントとしての特徴である歯質接着性が低下し易く、60重量%を超えるとペーストの調製が困難となる傾向がある。
第2の実施形態に係るペースト系歯科用グラスアイオノマーセメント組成物には、第2ペーストに、(A)フルオロアルミノシリケートガラス粉末が配合される。フルオロアルミノシリケートガラス粉末としては、上記の粉液型の実施形態で使用可能なものが同様に使用可能である。
(A)フルオロアルミノシリケートガラス粉末の配合量は第2ペースト中に50〜85重量%であることが好ましい。50重量%未満ではセメント硬化体の物性が劣ることがあり、85重量%を超えると第2ペーストが堅くなり混合時の操作性が悪化し易い傾向がある。
第2の実施形態に係るペースト系歯科用グラスアイオノマーセメント組成物には、第1ペースト及び第2ペーストの何れにも(C)水が配合される。水は本発明において必要不可欠な成分である。その理由は、(A)フルオロアルミノシリケートガラスと(B)α−β不飽和カルボン酸の重合体との中和反応は水の存在下で反応が進行するからである。また、水の存在下で第2の実施形態に係るペースト系歯科用グラスアイオノマーセメント組成物は歯の表面と接着する。
(C)水の配合量は第1ペースト中に20〜60重量%であることが好ましい。20重量%未満では歯科用グラスアイオノマーセメントの特徴である歯質接着性が低下し、60重量%を超えると硬化後の物性が低下する傾向がある。また、第2ペースト中の配合量は、10〜40重量%であることが好ましい。10重量%未満では歯科用グラスアイオノマーセメントの特徴である歯質接着性が低下し、40重量%を超えると硬化後の物性が低下する傾向がある。
また、ペーストの流動性を調節する目的で第2ペースト中の(C)水の一部を(F)グリセリンに置き換えてもよい。
(F)グリセリンの配合量は第2ペースト中に2〜20重量%であることが好ましい。2重量%未満では効果が得られず,20重量%を超えると第2ペーストが固くなり混合時の操作性が悪化し易い傾向がある。
第2の実施形態に係るペースト系歯科用グラスアイオノマーセメント組成物には、第1ペーストに、(D)α−β不飽和カルボン酸重合体と反応しない充填材の表面にケイ素原子を介してカルボキシル基を有する複合フィラーが配合される。これにより、該カルボキシル基が金属イオンを介してセメント母体と相互作用することにより複合フィラーが組成物中で安定するため、重合性成分を含ませなくとも硬化時の強度が高い歯科用グラスアイオノマーセメント組成物が得られる。この複合フィラーは、上記の粉液型の実施形態で使用可能なものが同様に使用可能である。
(D)α−β不飽和カルボン酸重合体と反応しない充填材の表面にケイ素原子を介してカルボキシル基を有する複合フィラーの配合量は、第1ペースト中に5〜40重量%であることが好ましい。5重量%未満ではセメントの母体成分とα−β不飽和カルボン酸重合体と反応しない充填材との間に硬化後の強度が十分となるような相互作用を得ることができない傾向があり、40重量%を超えて配合すると著しく操作性を損なってしまう傾向がある。
第2の実施形態に係るペースト系歯科用グラスアイオノマーセメント組成物には、操作性を調整することを目的に、第2ペーストに(G)増粘剤を配合してもよい。増粘剤としては、無機系,有機系の何れの増粘剤を使用しても構わず、例えば、微粒子シリカ,カルボキシメチルセルロースカルシウム,カルボキシメチルセルロースナトリウム,デンプン,デンプングリコール酸ナトリウム,デンプンリン酸エステルナトリウム,メチルセルロース,ポリアクリル酸ナトリウム,アルギン酸,アルギン酸ナトリウム,アルギン酸プロピレングリコールエステル,カゼイン,カゼインナトリウム,ポリエチレングリコール,エチルセルロース,ヒドロキシエチルセルロース,グルテン,ローカストビーンガム,ゼラチン等が挙げることができ、中でもカルボキシメチルセルロースカルシウム,カルボキシメチルセルロースナトリウムが僅かな量でも増粘効果が高く安価であるために好ましい。これらの増粘剤は2種以上を混合して用いても良いのは勿論である。
(G)増粘剤の配合量は第2ペースト中に0.005〜2重量%であることが好ましい。0.005重量%未満では効果が得られ難く、2重量%を超えるとセメント硬化体の物性が低下してしまう傾向がある。より好ましくは0.005〜0.4重量%である。
尚、第2の実施形態に係るペースト系歯科用グラスアイオノマーセメント組成物には必要に応じて通常用いられる抗菌剤,顔料等の着色剤を適宜配合することもできるのは勿論である。
以下に具体的に例を挙げて本発明に係る歯科用グラスアイオノマーセメント組成物について説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<<フィラーの調製>>
実施例及び比較例の歯科用グラスアイオノマーセメント組成物に配合されるフィラー1〜12を調製または準備した。尚、フィラー1〜8は実施例に用いられるフィラーであり、フィラー9〜12は比較例に用いられるフィラーである。
<フィラー1>
平均粒径1.8μmの石英粉末100重量部にエタノールにて50重量%に希釈したγ―メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを20重量部添加し,自動乳鉢にて混合した。得られた粉末を110℃にて2時間加熱処理した。これにより得られた処理粉を,石英粉末10%シラン処理粉とした。
2−ヒドロキシエチルメタクリレート:78重量%,2,2−ビス〔4−(メタクリロキシエトキシ)フェニル〕プロパン:8.8重量%,4−(メタ)アクリロキシエチルトリメリット酸無水物:12.4重量%となるように混合した溶液に,さらに重合禁止剤としてブチルヒドロキシトルエン:0.092重量%を添加してスターラーを用いて混合した。均一な溶液となったことを確認した後,さらに重合開始剤として,アゾビスイソブチロニトリル:0.708重量%を添加して撹拌,溶解させた。これにより得られた混合溶液を,モノマー溶液とした。
石英粉末10%シラン処理粉:75重量%,モノマー溶液:25重量%を自動乳鉢を用いて混練し,均一なペーストを調製した。これを琺瑯バットに薄く延ばして90℃,3時間の条件で加熱重合させた。得られた板状の硬化体をスタンプミルで粗粉砕し,さらにアルミナ製遊星ポットミルを用いて粉砕した。粉砕後の試料は目開き37μmのメッシュを通して大きな粉砕残りを除去した。得られた複合フィラーについて、粒度分布計(製品名:LA−950,HORIBA社製)を使用して粒度分布を測定したところ、平均粒径は12.5μmであった。
<フィラー2〜8>
フィラー1と同様の方法で複合フィラーを調製した。各配合及び得られた複合フィラーの平均粒径を表1に纏めて示した。
<フィラー9,10>
複合フィラーとせずフィラー9は石英粉末、フィラー10は結晶性シリカ粉末をそのまま用いた。
<フィラー11,12>
フィラー1と同様の方法で複合フィラーを調製したが、(b)カルボキシル基を有する(メタ)アクリレート化合物は配合しなかった。各配合及び得られた複合フィラーの平均粒径を表1に纏めて示した。
Figure 2016222542
表1中の略語はそれぞれ以下の通りである。
4−META:4−メタクリロキシエチルトリメリット酸無水物
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
TEGDMA:トリエチレングリコールジメタクリレート
Bis−MEPP:2,2−ビス〔4−(メタクリロキシエトキシ)フェニル〕プロパン
AIBN:アゾビスイソブチロニトリル
BHT:ブチルヒドロキシトルエン
<<フルオロアルミノシリケートガラス粉末の調製>>
<フルオロアルミノシリケートガラス粉末A>
酸化アルミニウム22g,無水珪酸23g,フッ化カルシウム12g,リン酸カルシウム15g及びフッ化ストロンチウム28gを乳鉢にて充分に混合撹拌して得たバッチを磁器るつぼに入れ、電気炉にて約7℃/分の昇温速度にて1200℃の温度に昇温し3時間係留した後、融液を水中に流し出して得た急冷ガラスを粉砕して、フルオロアルミノシリケートガラス粉末Aとした。この粉末の平均粒径は2.5μmであった。
<フルオロアルミノシリケートガラス粉末B>
酸化アルミニウム23g,無水珪酸31g,フッ化カルシウム1g,クライオライト9g,リン酸アルミニウム2g及びフッ化ストロンチウム34gを乳鉢にて充分に混合撹拌して得たバッチを磁器るつぼに入れ、電気炉にて約7℃/分の昇温速度にて1200℃の温度に昇温し3時間係留した後、融液を水中に流し出して得た急冷ガラスを粉砕して、フルオロアルミノシリケートガラス粉末Bとした。この粉末の平均粒径は2.5μmであった。
<<粉液型の歯科用グラスアイオノマーセメント組成物の作製>>
表2に示した配合にて各成分を混合し、粉液型の歯科用グラスアイオノマーセメント組成物の粉末成分及び液体成分を調製した。これらを表2に示した粉液比で計り取り、練和紙上でスパチュラを用いて30秒間練和して得られた練和物について、曲げ強度試験を行った。尚、実施例1〜8に係る組成物にはフィラー1〜8の何れかが配合されており、比較例1〜3に係る組成物にはフィラー9〜11の何れかが配合されている。
<<曲げ強度試験>>
練和後の試料を幅2mm,高さ2mm,長さ25mmの金属製割型内に填入し、金属板にて上下を塞ぎクランプで圧接・固定した。これを温度37℃,湿度100%の雰囲気中に1時間後放置して硬化させて金属製割型より外し、得られた棒状の試料を温度37℃の蒸留水に24時間浸漬した。その後、その試験片を万能試験機(商品名:オートグラフ,株式会社島津製作所製)にてクロスヘッドスピード1mm/分の条件にて圧縮試験を行った。結果を表2に纏めて示した。
Figure 2016222542
<<ペースト系歯科用グラスアイオノマーセメント組成物の作製>>
表3に示した配合にて各成分を混合し、ペースト系歯科用グラスアイオノマーセメント組成物の第1ペースト及び第2ペーストを調製した。これらを表3に示したペースト比で計り取り、練和紙上でスパチュラを用いて10秒間練和して得られた練和物について、耐圧強度試験を行った。尚、実施例9〜16に係る組成物にはフィラー2〜5の何れかが配合されており、比較例4〜7に係る組成物にはフィラー9,10及び12の何れかが配合されている。
<<耐圧強度試験>>
練和後の試料を直径4mm,高さ6mm,の金属製割型内に填入し、金属板にて上下を塞ぎクランプで圧接・固定した。これを温度37℃,湿度100%の雰囲気中に1時間後放置して硬化させて金属製割型より外し、得られた円筒状の試料を温度37℃の蒸留水に24時間浸漬した。その後、その試験片を万能試験機(商品名:オートグラフ,株式会社島津製作所製)にてクロスヘッドスピード1mm/分の条件にて圧縮試験を行った。その結果を表3に纏めて示した。
Figure 2016222542
表2及び3に示した結果より、本発明に係る歯科用グラスアイオノマーセメント組成物は、粉液型、ペースト系の何れの場合でも、比較例と比較して硬化時の強度が高いことが分かる。

Claims (3)

  1. α−β不飽和カルボン酸重合体と反応しない充填材の表面にケイ素原子を介してカルボキシル基を有する複合フィラーを含み、且つ、重合性成分を含まない歯科用グラスアイオノマーセメント組成物。
  2. 主成分が
    (A)フルオロアルミノシリケートガラス粉末
    である粉末成分と、
    主成分が
    (B)α−β不飽和カルボン酸重合体、
    (C)水、
    である液体成分と、
    から構成されており、
    粉末成分及び/または液体成分に、
    (D)α−β不飽和カルボン酸重合体と反応しない充填材の表面にケイ素原子を介してカルボキシル基を有する複合フィラー
    を含み、且つ、
    粉末成分及び液体成分の何れにも重合性成分を含まない歯科用グラスアイオノマーセメント組成物。
  3. 主成分が
    (B)α−β不飽和カルボン酸重合体、
    (C)水、
    である第1ペーストと、
    主成分が
    (A)フルオロアルミノシリケートガラス粉末、
    (C)水、
    である第2ペーストと、
    から構成されており、
    第1ペーストに、
    (D)α−β不飽和カルボン酸重合体と反応しない充填材の表面にケイ素原子を介してカルボキシル基を有する複合フィラー
    を含み、且つ、
    第1ペースト及び第2ペーストの何れにも重合性成分を含まない歯科用グラスアイオノマーセメント組成物。
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