JP2016003606A - 気体圧縮機 - Google Patents

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Makoto Kawamura
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Abstract

【課題】起動直後等でベーン背圧が上昇していない状況でも、ベーンをベーン溝から速やかに飛び出させることができる気体圧縮機を提供する。
【解決手段】サイドブロック(リアサイドブロック15)のサイドブロック内側端面15aに、ロータ中心側から径方向外側に向けて延びる、表面上に油膜を保持するオイル溝40が複数形成されており、オイル溝40は、ロータ回転方向進み側に行くにつれて、ロータ中心側からの径寸法が大きくなるような螺旋状に傾斜している。
【選択図】図4

Description

本発明は、例えば、車両などに搭載された空調装置に設置される気体圧縮機に関する。
例えば、自動車などの車両には、車室内の温度調整を行うための空調装置が設けられている。このような空調装置は、冷媒(冷却媒体)を循環させるようにしたループ状の冷媒サイクルを有しており、この冷媒サイクルは、蒸発器、気体圧縮機、凝縮器、膨張弁が順に設けられている。前記空調装置の気体圧縮機は、蒸発器で蒸発されたガス状の冷媒を圧縮して高圧の冷媒ガスとし、凝縮器へ送出するものである。
このような圧縮機として、従来より、略楕円状の内周面を有するシリンダ内に、先端部がシリンダの内周面に摺接し、突出収納自在に設けた複数枚の板状のベーンを有するロータが回転自在に軸支されたベーンロータリー型の圧縮機が知られている。このベーンロータリー型の圧縮機は、ロータの回転にともない回転するベーンのシリンダ内周面との摺接によって容積が変化する圧縮室を有し、この圧縮室の容積の増大にともない吸入口を介して冷媒ガスを吸入し、圧縮室の容積の減少にともない吸入した冷媒ガスを圧縮して、高圧の冷媒ガスを吐出口を通して吐出室に吐出する。そして、吐出室から高圧の冷媒ガスを凝縮器側へ送出する。
前記ベーンは、ロータに形成したスリット状のベーン溝に摺動自在に配置されており、ベーン背圧空間等を通してベーン溝内の底部に供給される油による背圧(ベーン背圧)及び回転するロータの遠心力によって、先端側がロータ表面から突出し、ベーンの先端がシリンダ内周面に当接した状態を維持する。そして、ロータの回転による遠心力と前記ベーン背圧の圧力上昇によって、ベーンの先端をシリンダ内周面に押し付けて摺動させながら、圧縮室の容積を減少させて冷媒ガスの圧縮を行う。
ところで、前記ベーン背圧は、圧縮行程後に吐出された気体の吐出圧力(高圧)に応じた圧力の油分をベーン溝内の底部に供給することで得られているので、ベーン背圧は吐出された気体の吐出圧力よりも低圧となる。このため、例えば、圧縮機の起動時等ではベーン背圧が通常運転状態にあるときよりも低いので、ベーンをシリンダ内周面に押し付ける力が小さく、チャタリング(ベーン先端がシリンダ内周面に対して離間と衝突とを繰り返す現象)を起こすおそれがある。
このため、例えば、特許文献1に記載の気体圧縮機では、ベーン溝(背圧室)側へ高圧の背圧(油圧)を供給する高圧供給通路を新たに設けて、ベーン背圧がまだ低い起動時等に、高圧供給通路を通してベーン溝側へ高圧の背圧を供給して、ベーンをシリンダ内周面に所定の圧力で押し付けるようにしている。また、高圧供給通路には、ベーン溝内の背圧が所定圧になると高圧供給通路を閉じる弁が設けられている。
特開2007−100602号公報
ところで、特許文献1の気体圧縮機は、ベーン溝(背圧室)側へ高圧の背圧を供給するための高圧供給通路を設けているが、気体圧縮機の起動直後では、圧縮にともなう所定の高圧がまだ得られないのでベーン背圧が上昇していなく、ベーンのベーン溝からの速やかな飛び出し動作には寄与できない。
気体圧縮機の起動直後から、ベーンがベーン溝から速やかに飛び出してシリンダ内周面に押し付けられると、起動直後から効率よく圧縮動作を行うことが可能となる。
そこで、本発明は、起動直後等でベーン背圧が上昇していない状況でも、ベーンをベーン溝から速やかに飛び出させることができる気体圧縮機を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、請求項1に係る本発明の気体圧縮機は、回転軸と一体的に回転するロータと、前記ロータの外周面の外側を取り囲むように設けたシリンダと、前記ロータに形成したベーン溝に該ロータの外周面から前記シリンダの内周面に向けて突出自在に設けられた複数の板状のベーンと、前記シリンダの両端に締結される2つのサイドブロックとを備え、前記シリンダの内周面に摺接する前記ベーンにより、前記シリンダの内周面と前記ロータの外周面との間に形成された空間を仕切ることによって複数の圧縮室が形成され、前記ロータの回転により、シリンダ内周面に摺接する前記ベーンで前記圧縮室の容積を変化させることで、前記圧縮室内に吸入されて圧縮された高圧の媒体を、前記シリンダに形成した吐出部を通して外部に吐出させる気体圧縮機であって、前記サイドブロックの前記圧縮室側の端面に、ロータ中心側から径方向外側に向けて延びる、表面上に油膜を保持するオイル溝が形成されており、前記オイル溝は、ロータ回転方向進み側に行くにつれて、ロータ中心側からの径寸法が大きくなるように傾斜していることを特徴としている。
請求項2に係る本発明の気体圧縮機は、前記オイル溝の外側端部が、前記シリンダの内周面近傍まで延びていることを特徴としている。
請求項3に係る本発明の気体圧縮機は、前記オイル溝の外側端部が、前記ロータの外周面近傍まで延びていることを特徴としている。
請求項4に係る本発明の気体圧縮機は、前記サイドブロックの前記圧縮室側の端面のロータ中心側には、前記ベーン溝の背圧室に背圧を供給するために背圧溝が形成されており、前記オイル溝のロータ中心側の内側端部が前記背圧溝に連通していることを特徴としている。
請求項5に係る本発明の気体圧縮機は、前記オイル溝は表面張力で該オイル溝上に油膜を保持できる程度の深さを有していることを特徴としている。
請求項6に係る本発明の気体圧縮機は、前記オイル溝は螺旋形状に形成されていることを特徴としている。
本発明の気体圧縮機によれば、回転するベーンの端面が、サイドブロック端面のオイル溝上に保持された油膜に接して油膜を掻き出すことで、ベーンを径方向外側へ突出させるような反力を油膜から受ける。このため、この反力が回転しているベーンに対して、ベーン溝からシリンダ内周面側へ飛び出させるアシスト力として作用するため、起動直後からベーンをベーン溝から速やかに飛び出させることができる。
本発明の実施形態1に係る気体圧縮機(ベーンロータリー型の気体圧縮機)の本体ケース側を断面で示した図。 この気体圧縮機の分解斜視図。 図1のA−A線断面図。 (a)は、実施形態1におけるサイドブロック内側端面のオイル溝を示す図、(b)は、シリンダ端面に締結したリアサイドブロックを、シリンダの他方側端面から見た図、(c)は、シリンダ内周面内にロータ(ベーン)が組み込まれた状態を、シリンダの他方側端面から見た図。 回転しているベーンに対して、オイル溝から掻き出した油が反力として作用する状況を説明した図。 (a)は、実施形態2におけるサイドブロック内側端面のオイル溝を示す図、(b)は、シリンダ端面に締結したリアサイドブロックを、シリンダの他方側端面から見た図、(c)は、シリンダ内周面内にロータ(ベーン)が組み込まれた状態を、シリンダの他方側端面から見た図。 (a)は、実施形態3におけるサイドブロック内側端面のオイル溝を示す図、(b)は、シリンダ端面に締結したリアサイドブロックを、シリンダの他方側端面から見た図、(c)は、シリンダ内周面内にロータ(ベーン)が組み込まれた状態を、シリンダの他方側端面から見た図。 (a)は、実施形態4におけるサイドブロック内側端面のオイル溝を示す図、(b)は、シリンダ端面に締結したリアサイドブロックを、シリンダの他方側端面から見た図、(c)は、シリンダ内周面内にロータ(ベーン)が組み込まれた状態を、シリンダの他方側端面から見た図。 (a)は、実施形態5におけるサイドブロック内側端面のオイル溝を示す図、(b)は、シリンダ内周面内にロータ(ベーン)が組み込まれた状態を、シリンダの他方側端面から見た図。 (a)は、実施形態6におけるサイドブロック内側端面のオイル溝を示す図、(b)は、シリンダ内周面内にロータ(ベーン)が組み込まれた状態を、シリンダの他方側端面から見た図。
以下、本発明を図示の実施形態に基づいて説明する。
<実施形態1>
図1は、本発明の実施形態1に係る気体圧縮機の一例としてのベーンロータリー型の気体圧縮機(以下、「コンプレッサ」という)を示す図、図2は、このコンプレッサの分解斜視図である。
(コンプレッサ1の全体構成)
図示のコンプレッサ1は、例えば、冷却媒体の気化熱を利用して冷却を行なう空気調和システム(以下、「空調システム」という)の一部として構成され、この空調システムの他の構成要素である凝縮器、膨張弁、蒸発器等(いずれも図示を省略する)とともに冷却媒体の循環経路上に設けられている。なお、このような空調システムとしては、例えば、車両(自動車など)の車室内の温度調整を行うための空調装置が挙げられる。
コンプレッサ1は、空調システムの蒸発器から取り入れた気体状の冷却媒体としての冷媒ガスを圧縮し、この圧縮された冷媒ガスを空調システムの凝縮器に供給する。凝縮器は圧縮された冷媒ガスを液化させ、高圧で液状の冷媒として膨張弁に送出する。そして、高圧で液状の冷媒は、膨張弁で低圧化され、蒸発器に送出される。低圧の液状冷媒は、蒸発器において周囲の空気から吸熱して気化し、この気化熱との熱交換により蒸発器周囲の空気を冷却する。
コンプレッサ1は、図1、図2に示すように、一端側(図1の左側)が開口し他端側が塞がれた略円筒状の本体ケース2と、この本体ケース2の一端側の開口を塞ぐフロントヘッド3と、本体ケース2とフロントヘッド3からなるハウジング4内に収納される圧縮機本体5と、駆動源である車両(自動車)のエンジン(不図示)からの駆動力を圧縮機本体5に伝達するための電磁クラッチ6を備えている。なお、図1では、本体ケース2を断面形状で示している。
フロントヘッド3は、本体ケース2の開口端面を塞ぐ蓋状に形成されており、本体ケース2の開口端部周囲にボルト締結で固定されている。フロントヘッド3には、空調システムの蒸発器(不図示)から配管を通して低圧の冷媒ガスを吸入する吸入ポート7を有し、本体ケース2には、圧縮機本体5で圧縮された高圧の冷媒ガスを空調システムの凝縮器(不図示)に吐出する吐出ポート8を有している。
圧縮機本体5は、図3に示すように、回転軸10と一体的に回転する略円柱状のロータ11と、このロータ11をその外周面(以下、「ロータ外周面」という)11aの外方から取り囲む略楕円形状の内周面(以下、「シリンダ内周面」という)12aを有するシリンダ12と、ロータ外周面11aからシリンダ内周面12aに向けて突出自在に設けられた複数枚(図では5枚)の板状のベーン13と、ロータ11及びシリンダ12の両端面を塞ぐ2つのサイドブロック(フロントサイドブロック14、リアサイドブロック15(図2参照))とを備えている。
フロントサイドブロック14とリアサイドブロック15は、シリンダ12の両端面にそれぞれボルト締結される。また、フロントサイドブロック14とリアサイドブロック15の内側端面には、本発明の特徴であるロータ中心側(回転軸10側)から径方向外側に向けて延び、かつロータ回転方向に沿って傾斜している螺旋状のオイル溝40が形成されている(詳細は後述する)。
圧縮機本体5は、フロントサイドブロック14側がフロントヘッド3にボルト締結で固定され、リアサイドブロック15側が本体ケース2の内周面に嵌合されるようにして保持される。図3は、図1のA−A線断面図である。なお、図3では、圧縮機本体5の外周面側の本体ケース2は省略している。
フロントヘッド3の内側凹部とフロントサイドブロック14の間には吸入室(不図示)が形成され、リアサイドブロック15側の本体ケース2内には吐出室16が形成されている。リアサイドブロック15の外側端面には、油分離器17が吐出室16内に位置するようにして設置されている。
電磁クラッチ6は、フロントヘッド3の外面側に設置されており、車両エンジンの回転駆動力がベルト(不図示)を介してプーリ30に伝達される。回転軸10の一端側(図1の左側)は、電磁クラッチ6のアーマチュア31の中心貫通孔に嵌合されている。なお、回転軸10は、フロントサイドブロック14とリアサイドブロック15の中心貫通孔に回転可能に軸支されている。
そして、コンプレッサ1(圧縮機本体5)の運転時に、プーリ30の内側に設けた電磁石(不図示)の励磁によってアーマチュア31がプーリ30の端面に吸着(連結)されることにより、ベルト(不図示)を介してプーリ30に伝達されている車両エンジンの駆動力が、アーマチュア31を介して回転軸10(ロータ11)に伝達される。
(圧縮機本体5の構成、動作)
図3に示したように、シリンダ内周面12aとロータ外周面11aと両サイドブロック(フロントサイドブロック14、リアサイドブロック15(図1、2参照))とによって形成される空間には、等間隔で設置された5つのベーン13によって仕切られた複数の圧縮室20が形成される。
各ベーン13は、ロータ11内に形成されたベーン溝21に摺動可能に設置されていて、ベーン溝21の底部21a(背圧室)に供給される冷凍機油による背圧により、ロータ外周面11aから外方向に突出する。
シリンダ12は、ロータ外周面11aの外方を取り囲む断面輪郭が略楕円形状のシリンダ内周面12aを有している。各圧縮室20は、ロータ11の回転にともなう冷媒ガスの吸入工程及び圧縮工程で、それぞれ容積の増大及び減少を繰り返す。なお、本実施形態のコンプレッサ1(圧縮機本体5)は、ロータ11が1回転する間に2回の吸入工程と圧縮工程を有している。
シリンダ12には、各圧縮室20へ冷媒ガスG1を吸入するための各吸入孔(不図示)と、各圧縮室20で圧縮された冷媒ガスG2を吐出するための各吐出孔22a,22bが設けられている。
具体的には、圧縮室20の容積が増加する行程において、低圧の冷媒ガスをフロントサイドブロック14とシリンダ12に形成された吸入孔を通して圧縮室20内に吸入し、容積が減少する行程において、圧縮室20内に閉じこめられた冷媒ガスを圧縮し、これによって冷媒ガスは高温、高圧となる。そして、この高温、高圧の冷媒ガスG2は、各吐出孔22a,22bを通して、シリンダ12、ハウジング2及び両サイドブロック14,15で囲まれて区画された空間である吐出チャンバ23a,23bに吐出される。
各吐出チャンバ23a,23bには、冷媒ガスの圧縮室20側への逆流を阻止する吐出弁24と、吐出弁24の過大な変形(反り)を阻止する弁サポート25が設けられている。吐出孔22a,22bから吐出チャンバ23a,23bに吐出された高温、高圧の冷媒ガスG2は、リアサイドブロック15に形成された吐出口26a,26bを通して、吐出室16内に設けた油分離器17に導入される。なお、図1に示すように、吐出孔22a(吐出孔22b側も同様)は、シリンダ12の長手方向(回転軸10の軸方向)に沿って並設されている。本実施形態では、吐出孔22a,22b、吐出チャンバ23a,23b、吐出口26a,26bによって吐出部が構成されている。
油分離器17は、冷媒ガスと混ざった冷凍機油(ロータ11に形成されたベーン溝21から圧縮室20に漏れたベーン背圧用の油など)を、遠心力を利用して冷媒ガスから分離するものである。詳細には、圧縮室20から高圧の冷媒ガスG2が、各吐出孔22a,22bに吐出されて、吐出チャンバ23a,23b、吐出口26a,26b等を通して油分離器17内に導入されると、油分離器17の内周面に沿って冷媒ガスが螺旋状に旋回され、冷媒ガスに混ざっている冷凍機油を遠心分離するように構成されている。
そして、図1に示したように、油分離器17内で冷媒ガスから分離された冷凍機油Rは吐出室16の底部に溜まり、冷凍機油が分離された後の高圧の冷媒ガスG2は、吐出室16から吐出ポート8を通して凝縮器(不図示)に吐出される。
なお、吐出室16の底部に溜まる冷凍機油Rは、吐出室16に吐出された高圧の冷媒ガスによる高圧雰囲気により、両サイドブロック14,15に形成された油路、サライ溝27(図3参照)等を通してベーン溝21の底部21aに供給され、ベーン13を外方に突出される背圧となる。なお、図3では、リアサイドブロック15側のサライ溝27(背圧溝)を示しているが、フロントサイドブロック14側にも同様にサライ溝が形成されている。
(サイドブロック内側端面のオイル溝構造)
図4(a)に示すように、リアサイドブロック15の内側端面(ロータ11の端面と略当接する面、以下、「サイドブロック内側端面」という)15aに、ロータ回転方向(図4(a)では右回転方向)に沿って螺旋状のオイル溝40が複数形成されている。
なお、図4(a)では、リアサイドブロック15側のオイル溝40を示しているが、フロントサイドブロック14側にも同様のオイル溝(オイル溝の形状は、リアサイドブロック15側に対して反転した状態となる)が形成されている(以下の実施形態2〜6においても同様である)。以下においては、リアサイドブロック15側のオイル溝40について説明する。
螺旋状の各オイル溝40は、ロータ中心側(回転軸10側)から径方向外側に向けて延び、かつロータ回転方向に沿って傾斜している。各オイル溝40の外側端部は、サイドブロック内側端面15aの、シリンダ端面と締結される外周側まで延びている。このように、実施形態1では、螺旋状の各オイル溝40の径方向外側は、シリンダ内周面12a側の全域まで延びている。
また、各オイル溝40の大部分は、ロータ中心側(回転軸10側)の内側端部がサライ溝27に連通している。サイドブロック内側端面15aの中心側に形成されたサライ溝27には、吐出室16の底部に溜まった冷凍機油が供給される油路等が連通している。
オイル溝40上に油膜が表面張力で張り付くように、オイル溝40の深さは10〜50μm程度で、溝幅は50〜100μm程度に設定されている。螺旋状の各オイル溝40は、例えばプレス加工によってサイドブロック内側端面15aに一体的に形成することができる。
図4(b)は、シリンダ12の一方側端面に締結したリアサイドブロック15(図4(a))を、シリンダ12の他方側端面から見た図、図4(c)は、シリンダ内周面12a内にロータ11(ベーン13)が組み込まれた状態を、シリンダ12の他方側端面から見た図である。
コンプレッサ1(圧縮機本体5)の運転時には、上記したように吐出室16に吐出された高圧の冷媒ガスによる高圧雰囲気により、吐出室16の底部に溜まった冷凍機油が油路、サライ溝27等を通してベーン溝21の底部21aに供給され、ベーン13を外方に突出させる背圧(ベーン背圧)となる。なお、運転停止後においても、ベーン溝21の端面と略当接しているサイドブロック内側端面15aには、底部21aの端面等から漏れた冷凍機油の油膜が薄く付着している。
運転停止後においては、サイドブロック内側端面15aに螺旋状の複数のオイル溝40が形成されているため、オイル溝40による表面張力によって、オイル溝40上に沿って油膜が若干盛り上がるようにして付着している。よって、オイル溝40上に沿って若干盛り上がるようにして付着している油膜に、ベーン13のサイドブロック内側端面15a側の端面が接している。
そして、その後、コンプレッサ1(圧縮機本体5)を起動して運転開始した直後(起動直後)においては、圧縮にともなう所定の高圧がまだ得られないのでベーン背圧が上昇していない。このため、従来においては、起動直後ではベーン溝21からのベーン13の飛び出しが弱かった。
これに対して、本実施形態では、上記したようにオイル溝40上に沿って若干盛り上がるようにして付着している油膜に、ベーン13のサイドブロック内側端面15a側の端面が接している。このため、図5に示すように、ロータ11と一体に回転するベーン13が矢印a方向(右方向)に回転すると、斜め径方向外側に延びるオイル溝40上の油膜Cと接し、油(冷凍機油)をサイドブロック内側端面15aの略径方向外側に向けて掻き出すようにして回転する。
この際、矢印a方向に回転しているベーン13は、サイドブロック内側端面15aの略径方向外側に向けて掻き出した油から連続的に反力F(抵抗)を受ける。なお、図5において、F1は、前記反力Fの法線方向成分である。この反力Fは、矢印a方向に回転しているベーン13に対して、ベーン溝21からシリンダ内周面12a側へ飛び出させる(移動させる)アシスト力として作用するため、起動直後からベーン13をベーン溝21から速やかに飛び出させることができる。
起動直後から、ベーン13がベーン溝21から速やかに飛び出してシリンダ内周面12aに押し付けられると、起動直後から効率よく圧縮動作を行うことが可能となる。
また、オイル溝40の外側端部がシリンダ内周面12a側まで延びているので、ベーン13の先端がシリンダ内周面12aに接するまで前記反力Fが作用し、ベーン13のベーン溝21からの飛び出しをシリンダ内周面12aまでアシストすることができる。
更に、各オイル溝40の大部分は、ロータ中心側(回転軸10側)の内側端部がサライ溝27に連通していることによって、油路等を通してサライ溝27に供給される冷凍機油がオイル溝40にも供給されるので、オイル溝40の油保持がより確実となる。
<実施形態2>
本実施形態では、図6(a),(b),(c)に示すように、サイドブロック内側端面15aに形成された複数の螺旋状のオイル溝40aは、ロータ中心側(回転軸10側)の内側端部がサライ溝27に連通しておらす、サライ溝27の外側から径方向外側に向けて延び、かつロータ回転方向に沿って傾斜している。各オイル溝40aの外側端部は、実施形態1と同様に、サイドブロック内側端面15aの、シリンダ端面と締結される外周側まで延びている。他の構成は、実施形態1と同様である。
実施形態2のようなオイル溝40aをサイドブロック内側端面15aに形成した場合でも、実施形態1と同様に、起動直後からベーン13をベーン溝21から速やかに飛び出させることができる。更に、オイル溝40aの外側端部がシリンダ内周面12a側まで延びているので、ベーン13の先端がシリンダ内周面12aに接するまで前記反力Fが作用し、ベーン13のベーン溝21からの飛び出しをシリンダ内周面12aまでアシストすることができる。
また、実施形態2では、オイル溝40aのロータ中心側(回転軸10側)の内側端部がサライ溝27に連通していないので、油路等を通してサライ溝27に供給される冷凍機油がオイル溝40aから圧縮室20内に過剰に入ることが防止され、圧縮室20内の冷媒ガス中に冷凍機油が過剰に混入することが抑制される。
<実施形態3>
本実施形態では、図7(a),(b),(c)に示すように、サイドブロック内側端面15aに形成された複数の螺旋状のオイル溝40bは、大部分がロータ中心側(回転軸10側)の内側端部がサライ溝27に連通し、連通したサライ溝27から径方向外側に向けて延び、かつロータ回転方向に沿って傾斜している。各オイル溝40bの外側端部は、ロータ11の外周面付近までしか延びていない。他の構成は、実施形態1と同様である。
実施形態3のようなオイル溝40bをサイドブロック内側端面15aに形成した場合でも、実施形態1と同様に、起動直後からベーン13をベーン溝21から速やかに飛び出させることができる。なお、本実施形態では、オイル溝40bの外側端部がシリンダ内周面12a側まで延びていないので、ベーン13を挟んで回転方向前側の圧縮室20から回転方向後側の圧縮室20へオイル溝40bを介して冷媒ガスが漏れることを防止できる。
更に、各オイル溝40bの大部分は、ロータ中心側(回転軸10側)の内側端部がサライ溝27に連通していることによって、油路等を通してサライ溝27に供給される冷凍機油がオイル溝40にも供給されるので、オイル溝40の油保持がより確実となる。
<実施形態4>
本実施形態では、図8(a),(b),(c)に示すように、サイドブロック内側端面15aに形成された複数の螺旋状のオイル溝40cは、ロータ中心側(回転軸10側)の内側端部がサライ溝27に連通しておらす、サライ溝27の外側から径方向外側に向けて延び、かつロータ回転方向に沿って傾斜している。各オイル溝40cの外側端部は、ロータ11の外周面付近までしか延びていない。他の構成は、実施形態1と同様である。
実施形態4のようなオイル溝40cをサイドブロック内側端面15aに形成した場合には、実施形態1と同様に、起動直後からベーン13をベーン溝21から速やかに飛び出させることができる。なお、本実施形態では、オイル溝40cの外側端部がシリンダ内周面12a側まで延びていないので、ベーン13を挟んで回転方向前側の圧縮室20から回転方向後側の圧縮室20へオイル溝40bを介して冷媒ガスが漏れることを防止できる。
また、実施形態4では、オイル溝40のロータ中心側(回転軸10側)の内側端部がサライ溝27に連通していないので、油路等を通してサライ溝27に供給される冷凍機油がオイル溝40aから圧縮室20内に過剰に入ることが防止され、圧縮室20内の冷媒ガス中に冷凍機油が過剰に混入することが抑制される。
<実施形態5>
前記した各実施形態1〜4では、サイドブロック内側端面15aに螺旋状のオイル溝を形成していたが、本実施形態では、図9(a),(b)に示すように、サイドブロック内側端面15aに略伸開曲線状のオイル溝40dをロータ回転方向に沿って複数(図では2つ)形成した構造である。このオイル溝40dは、ロータ中心側(回転軸10側)の内側端部がサライ溝27に連通し、外側端部は、ロータ11の外周面付近までしか延びていない。他の構成は、実施形態1と同様である。
実施形態5のようなオイル溝40dをサイドブロック内側端面15aに形成した場合でも、実施形態1と同様に、起動直後からベーン13をベーン溝21から速やかに飛び出させることができる。なお、本実施形態では、オイル溝40dの外側端部がシリンダ内周面12a側まで延びていないので、ベーン13を挟んで回転方向前側の圧縮室20から回転方向後側の圧縮室20へオイル溝40bを介して冷媒ガスが漏れることを防止できる。
更に、各オイル溝40dは、ロータ中心側(回転軸10側)の内側端部がサライ溝27に連通していることによって、油路等を通してサライ溝27に供給される冷凍機油がオイル溝40にも供給されるので、オイル溝40の油保持がより確実となる。
<実施形態6>
前記した各実施形態1〜4では、サイドブロック内側端面15aに螺旋状のオイル溝を形成していたが、本実施形態では、図10(a),(b)に示すように、サイドブロック内側端面15aにロータ回転方向に沿って傾斜した直線状のオイル溝40eを複数形成した構造である。このオイル溝40eは、ロータ中心側(回転軸10側)の内側端部がサライ溝27に連通し、外側端部は、ロータ11の外周面付近までしか延びていない。他の構成は、実施形態1と同様である。
実施形態6のようなオイル溝40eをサイドブロック内側端面15aに形成した場合でも、実施形態1と同様に、起動直後からベーン13をベーン溝21から速やかに飛び出させることができる。なお、本実施形態では、オイル溝40eの外側端部がシリンダ内周面12a側まで延びていないので、ベーン13を挟んで回転方向前側の圧縮室20から回転方向後側の圧縮室20へオイル溝40bを介して冷媒ガスが漏れることを防止できる。
更に、各オイル溝40eは、ロータ中心側(回転軸10側)の内側端部がサライ溝27に連通していることによって、油路等を通してサライ溝27に供給される冷凍機油がオイル溝40にも供給されるので、オイル溝40の油保持がより確実となる
なお、例えば前記実施形態1では、サイドブロック内側端面15aに形成された螺旋状のオイル溝40は、内側端部から外側端部に向けて全体的に緩やかに傾斜していたが、オイル溝40の外側端部側を、サイドブロック内側端面15aの径方向に向けて直線的に立てるようにしてもよい。
また、前記した各実施形態では、リアサイドブロック15及びフロントサイドブロック14の両方のサイドブロック内側端面15aにオイル溝40、40a〜40eをそれぞれ形成した構成であったが、どちらか一方のサイドブロック側のサイドブロック内側端面15aにオイル溝を形成するようにしてもよい。
1 コンプレッサ(気体圧縮機)
2 本体ケース
3 フロントヘッド
4 ハウジング
5 圧縮機本体
6 電磁クラッチ
10 回転軸
11 ロータ
12 シリンダ
13 ベーン
14 フロントサイドブロック
15 リアサイドブロック
15a サイドブロック内側端面
17 油分離器
22a,22b 吐出孔
27 サライ溝
40、40a〜40e オイル溝

Claims (6)

  1. 回転軸と一体的に回転するロータと、前記ロータの外周面の外側を取り囲むように設けたシリンダと、前記ロータに形成したベーン溝に該ロータの外周面から前記シリンダの内周面に向けて突出自在に設けられた複数の板状のベーンと、前記シリンダの両端に締結される2つのサイドブロックとを備え、
    前記シリンダの内周面に摺接する前記ベーンにより、前記シリンダの内周面と前記ロータの外周面との間に形成された空間を仕切ることによって複数の圧縮室が形成され、
    前記ロータの回転により、シリンダ内周面に摺接する前記ベーンで前記圧縮室の容積を変化させることで、前記圧縮室内に吸入されて圧縮された高圧の媒体を、前記シリンダに形成した吐出部を通して外部に吐出させる気体圧縮機であって、
    前記サイドブロックの前記圧縮室側の端面に、ロータ中心側から径方向外側に向けて延びる、表面上に油膜を保持するオイル溝が形成されており、
    前記オイル溝は、ロータ回転方向進み側に行くにつれて、ロータ中心側からの径寸法が大きくなるように傾斜していることを特徴とする気体圧縮機。
  2. 前記オイル溝の外側端部は、前記シリンダの内周面近傍まで延びていることを特徴とする請求項1に記載の気体圧縮機。
  3. 前記オイル溝の外側端部は、前記ロータの外周面近傍まで延びていることを特徴とする請求項1に記載の気体圧縮機。
  4. 前記サイドブロックの前記圧縮室側の端面のロータ中心側には、前記ベーン溝の背圧室に背圧を供給するために背圧溝が形成されており、
    前記オイル溝のロータ中心側の内側端部が前記背圧溝に連通していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の気体圧縮機。
  5. 前記オイル溝は、表面張力で該オイル溝上に油膜を保持できる程度の深さを有していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の気体圧縮機。
  6. 前記オイル溝は、螺旋形状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の気体圧縮機。
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CN115023551A (zh) * 2020-01-29 2022-09-06 富士通将军股份有限公司 回转式压缩机
WO2023101123A1 (ko) * 2021-11-30 2023-06-08 엘지전자 주식회사 로터리 압축기

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