JP2015151438A - 樹脂および樹脂水分散体 - Google Patents

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安紀子 仁科
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Abstract

【課題】
本発明の目的は、低極性のポリオレフィン系のフィルムに対して優れた塗膜物性(基材密着性、耐水性、耐溶剤性)を発現し、他樹脂との相溶性にも優れる樹脂、および該樹脂からなる樹脂水分散体を提供を提供することである。
【解決手段】
前記課題は、一般式(1)で表される、構成単位I、構成単位II、および構成単位IIIを含んでなる、酸無水物基を有する共重合体に、オレフィン重合体をグラフト変性した樹脂、および該樹脂を含む樹脂水分散体を用いることによって解決される。
【選択図】なし

Description

本発明は、酸無水物基を有する共重合体に、オレフィン重合体をグラフト変性した樹脂、および、該樹脂と中和剤と水とを含む樹脂水分散体に関する。さらに詳しくは、オレフィン重合体部位で低極性のオレフィン系のフィルムに対して優れた塗膜物性(基材密着性、耐水性、耐溶剤性)を発現し、酸無水物基を有する共重合体部位で他樹脂との相溶性や水分散性にも優れる樹脂水分散体に関する。
近年、加工性や機械物性に優れる上に安価であるポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等のポリオレフィン系のフィルムが、食品包装用を始めとする包装材料として広く使用されている。しかし、これらポリオレフィン系のフィルムは極性が低く、他樹脂との反応点となる官能基が少ないため、他樹脂との親和性が乏しいという問題がある。これらポリオレフィン系のフィルムとの親和性に優れる、低極性のポリオレフィン系樹脂がプライマー、塗料、インキ、粘着剤または接着剤として用いられている(特許文献1)。しかしこれらの樹脂はトルエン、キシレン等の芳香族系有機溶剤にしか溶解しないため、安全衛生、環境面から水性化の流れが大きくなっている。(特許文献2)では、ポリオレフィン系樹脂を塩素化して水に分散しているが、塩素化ポリオレフィン系樹脂は焼却時に塩素化合物が発生するため、環境保護の観点から好ましくない。(特許文献3)では非塩素系のポリオレフィン系樹脂を水に分散させる試みがなされているが、ポリオレフィン系樹脂を水に分散するために界面活性剤を用いており、塗膜の耐水性を悪化させる恐れがある。
特開2002−173514 特開平7−118337 特開平6−80844
低極性のポリオレフィン系のフィルムに対して優れた塗膜物性(基材密着性、耐水性、耐溶剤性)を発現し、他樹脂との相溶性にも優れる樹脂、および該樹脂からなる樹脂水分散体の提供を目的とする。
すなわち、本発明は、一般式(1)で表される、構成単位I、構成単位II、および構成単位IIIを含んでなる樹脂に関する。
一般式(1)
Figure 2015151438
[一般式(1)中、
1:オレフィン重合体残基、
2:炭素数1〜10の2価の炭化水素基、
3、R4、R5、およびR6:各々水素原子、芳香族基またはメチル基、
x、yおよびz:各々1以上の整数であり、x+y+zは2〜5000の整数、を表す。]
また、本発明は、前記樹脂、中和剤、および水を含む樹脂水分散体に関する。
また、本発明は、一般式(1)のR1におけるオレフィン重合体が、炭素数2〜10のα−オレフィンの単独重合体または共重合体である、前記樹脂水分散体に関する。
また、本発明は、一般式(1)のR1におけるオレフィン重合体の重量平均分子量が、500〜30000である、前記樹脂水分散体に関する。
また、本発明は、一般式(1)で表される樹脂の酸価が30〜300である、前記樹脂水分散体に関する。
さらに、本発明は、一般式(1)で表される樹脂が、
一般式(2)で表される1つの酸無水物基を有する変性オレフィン重合体(a)の酸無水物基1モルに対し、
一般式(3)で表される1つの1級アミノ基と1つの水酸基とを有する化合物(b)の1級アミノ基を1モル反応させて、1つの水酸基を有するオレフィン重合体(A)を得、
得られた1つの水酸基を有するオレフィン重合体(A)の水酸基1モルに対し、一般式(4)で表される、構成単位IVおよび構成単位Vを含んでなる酸無水物基を有する共重合体(c)の酸無水物基1〜30モルを反応させて得られる樹脂であることを特徴とする、前記樹脂水分散体に関する
一般式(2)
Figure 2015151438
[一般式(2)中、R1:オレフィン重合体残基、を表す。]
一般式(3)
Figure 2015151438
[一般式(3)中、R2:炭素数1〜10の2価の炭化水素基、を表す。]
一般式(4)
Figure 2015151438
[一般式(4)中、R3、R4、R5、およびR6:各々水素原子、芳香族基またはメチル基、
x、yおよびz:各々1以上の整数であり、x+y+zは2〜5000の整数、を表す。]
本発明により、低極性のポリオレフィン系のフィルムに対して優れた塗膜物性(基材密着性、耐水性、耐溶剤性)を発現し、他樹脂との相溶性にも優れる樹脂水分散体を提供できる。
本発明の樹脂水分散体は、オレフィン重合体が酸無水物基を有する共重合体にグラフト変性された構造を有することを特徴とする。オレフィン重合体部位により、極性の低いポリオレフィン系のフィルムに対する高い基材密着性が得られると同時に、耐水性、耐溶剤性といった塗膜物性にも優れる。また、酸無水物基を有する共重合体部位により安定した水分散性が得られると同時に、プライマー、塗料、インキとして用いた際に他樹脂との相溶性にも優れる。
<一般式(1)で表される樹脂>
本発明の樹脂水分散体に含まれる、オレフィン重合体が酸無水物基を有する共重合体にグラフト変性された樹脂は、下記一般式(1)で表される、構成単位I、構成単位II、および構成単位IIIを含んでなる樹脂である。構成単位Iは、オレフィン骨格由来の構造により非極性基材への密着性、耐水性、耐溶剤性を付与する。構成単位IIは、水への分散性を付与する。また、構成単位IIIは、高分子量化による機能発現を付与する。
一般式(1)
Figure 2015151438
[一般式(1)中、
1:オレフィン重合体残基、
2:炭素数1〜10の2価の炭化水素基、
3、R4、R5、およびR6:各々水素原子、芳香族基またはメチル基、
x、yおよびz:各々1以上の整数であり、x+y+zは2〜5000の整数、を表す。]
前記一般式(1)で表される樹脂は、一般式(2)で表される1つの酸無水物基を有する変性オレフィン重合体(a)の酸無水物基に対し、一般式(3)で表される1つの1級アミノ基と1つの水酸基とを有する化合物(b)の1級アミノ基を反応させて、1つの水酸基を有するオレフィン重合体(A)を得た後、得られた1つの水酸基を有するオレフィン重合体(A)の水酸基に対し、一般式(4)で表される酸無水物基を有する共重合体(c)の酸無水物基を反応させて得ることができる。
一般式(2)
Figure 2015151438
[一般式(2)中、R1:オレフィン重合体残基、を表す。]
一般式(3)
Figure 2015151438
[一般式(3)中、R2:炭素数1〜10の2価の炭化水素基、を表す。]
一般式(4)
Figure 2015151438
[一般式(4)中、R3、R4、R5、およびR6:各々水素原子、芳香族基またはメチル基、
x、yおよびz:各々1以上の整数であり、x+y+zは2〜5000の整数、を表す。]
本発明で使用する一般式(4)で表される、酸無水物基を有する共重合体(c)は、構成単位IVおよび構成単位Vを含んでなり、水への分散安定性に優れ、プライマー、塗料、インキとして用いた際に他樹脂との相溶性にも優れる。構成単位IVは、水への分散性を付与する。構成単位IVと共重合可能な構成単位Vは、高分子量化による機能発現を付与する。また、変性オレフィン重合体(a)は芳香族炭化水素系の溶剤への溶解性に特に優れるが、酸無水物基を有する共重合体(c)はこれらの溶剤にも良好な溶解性を示す。
(一般式(2)で表される1つの酸無水物基を有する変性オレフィン重合体(a))
本発明で使用する1つの酸無水物基を有する変性オレフィン重合体(a)は、極性の低いポリオレフィン系のフィルムに対する高い基材密着性を有すことに加え、片末端に1つの酸無水物基を有するために、ゲル化することなくグラフト化反応に用いることができる。
本発明で使用する1つの酸無水物基を有する変性オレフィン重合体(a)は、オレフィン重合体の末端を酸で変性することによって得ることができる。オレフィン重合体は、常法に従って、例えば、バナジウム系触媒、マグネシウム触媒、チタン、ハロゲン等を成分とするチタン系触媒等を用いて製造することができる。オレフィン重合体としては、炭素数2〜40のα−オレフィンの単独重合体および共重合体が挙げられる。
一般式(2)におけるR1は、炭素数2〜10のα−オレフィンの単独重合および共重合体であることが好ましく、炭素数2または3のα−オレフィンの単独重合体または共重合体であることがより好ましい。炭素数が10より大きいと、水への分散性が悪化する恐れがある。
本発明に用いられるα−オレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン等が挙げられる。
また、一般式(2)中、R1の重量平均分子量は、500〜30000であることが好ましく、1000〜20000であることがより好ましい。R1の重量平均分子量が500未満であると、オレフィン骨格由来の非極性基剤への密着性、耐水性、耐溶剤性が低下する恐れがある。30000より大きいと、溶剤への溶解性、水への分散性、他樹脂との相溶性が低下する恐れがある。
1つの酸無水物基を有する変性オレフィン重合体(a)は、市販品を用いることもできる。市販品としては、例えば、ベーカー・ヒューズ社製のX−10065、X−10087、X−10044等が挙げられる。
(一般式(3)で表される1つの1級アミノ基と1つの水酸基を有する化合物(b))
本発明で使用する1つのアミノ基と1つの水酸基を有する化合物(b)は、分子中に、酸無水物基と反応しかつ反応速度の異なる2つの官能基を有することで、ゲル化することなくアミノ基と一般式(2)で表される1つの酸無水物基を有する変性オレフィン重合体(a)中の酸無水物基とを反応させる第1反応を優先的に行うことができる。
一般式(3)におけるR2は、炭素数1〜10の2価の炭化水素基であることが好ましく、炭素数1〜5の2価の炭化水素基であることがより好ましい。
化合物(b)としては、例えば、アミノメタノール、2−アミノエタノール、3−アミノ−1−プロパノール、4−アミノ−1−ブタノール、5−アミノ−1−ペンタノール、6−アミノ−1−ヘキサノール等を用いることができ、アミノメタノール、2−アミノエタノール、3−アミノ−1−プロパノールが特に好ましい。
(一般式(4)で表される酸無水物基を有する共重合体(c))
本発明で使用する酸無水物基を有する共重合体(c)は、常法に従って製造することができる。例えば、無水マレイン酸と、無水マレイン酸と共重合可能な原料モノマーを反応容器に仕込み、溶媒中、ラジカル重合開始剤とともに溶液重合法や沈殿重合法により共重合させることによって製造することができる。
無水マレイン酸と共重合可能な原料モノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−ヒドロキシスチレン、クロロメチルスチレン、ビニルトルエン、インデン等のスチレン類;エチレン、イソブチレン等のα−オレフィン類が挙げられる。
ラジカル重合開始剤としては、従来から使用されているものを特に制限なく使用することができ、例えば、ジ(ドデカノイル)パーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物;2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2'−アゾビスイソブチレート、α,α'−アゾ−α−エチルブチロニトリル等のアゾ化合物が挙げられる。
また、重合反応に際して用いられる溶媒としては、ラジカル重合を阻害しない種々の溶媒、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;n−ヘキサン、n−オクタン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸イソプロピル等の脂肪酸エステル類;ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;塩化メチレン、クロロホルム等の塩素化炭化水素類が挙げられる。これらの溶媒は単独で使用してもよいし、2種以上混合して使用してもよい。
重合温度は、使用する溶媒やラジカル重合開始剤等により異なるが、一般には0〜200℃、好ましくは30〜150℃の範囲である。また、重合時間は、一般に1〜50時間、好ましくは2〜20時間の範囲である。また、重合は常圧または加圧下に行うことができる。
重合反応終了後、反応混合物からのアルカリ水溶性樹脂の分離取得は、常法に従って行うことができる。例えば、沈殿重合法を採用した場合は、沈殿した樹脂を濾過脱液し、次いで乾燥することにより酸無水物基を有する共重合体(c)が得られ、また、溶液重合法を採用した場合には、溶媒を除去した後に乾燥することにより酸無水物基を有する共重合体(c)が得られる。
一般式(4)で表される酸無水物基を有する共重合体(c)の酸価は、100〜350であることが好ましい。100未満では水への分散性が悪化するおそれがあり、350以上では低極性基材への密着性や耐水性が悪化する恐れがある。
一般式(4)で表される酸無水物基を有する共重合体(c)は、市販品を用いることもできる。市販品としては、例えば、株式会社クラレ製のイソバン−600、イソバン−04、イソバン−06、イソバン−10、イソバン−18、サートマー社製のSMA−1000、SMA−2000、SMA−3000等が挙げられる。
<一般式(1)で表される樹脂の製造条件>
一般式(1)で表される樹脂は、前述のとおり、一般式(2)で表される1つの酸無水物基を有する変性オレフィン重合体(a)の酸無水物基に対し、一般式(3)で表される1つの1級アミノ基と1つの水酸基とを有する化合物(b)の1級アミノ基を反応させて、1つの水酸基を有するオレフィン重合体(A)を得る第1反応工程と、
得られた1つの水酸基を有するオレフィン重合体(A)の水酸基に対し、一般式(4)で表される酸無水物基を有する共重合体(c)の酸無水物基を反応させる第2反応工程により、得ることができる。
(第1反応工程)
第1反応工程では、変性オレフィン重合体(a)の酸無水物基1モルに対し、一般式(3)で表される1つの1級アミノ基と1つの水酸基とを有する化合物(b)の1級アミノ基を1モル反応させて、1つの水酸基を有するオレフィン重合体(A)を得ることが好ましい。
化合物(b)の1級アミノ基が1モル未満では、続く第2反応において、共重合体(c)と遊離の変性オレフィン重合体(a)が競合し、変性オレフィン重合体(a)同士が反応して水に不溶な副生成物が生じる恐れがある。化合物(b)の1級アミノ基が1モルを超えると、第2反応において共重合体(c)同士が反応してゲル化する恐れがある。
第1反応で使用できる溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;n−ヘキサン、n−オクタン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸イソプロピル等の脂肪酸エステル類;ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;塩化メチレン、クロロホルム等の塩素化炭化水素類が挙げられる。これらの溶媒は単独で使用してもよいし、2種以上混合して使用してもよい。続く第2反応で用いられる一般式(2)で表される1つの酸無水物基を有する変性オレフィン重合体(a)の溶解性の観点から、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類が好ましい。
第1反応における反応温度は、0〜60℃、好ましくは20〜40℃の範囲である。また、反応時間は、1〜20時間、好ましくは2〜10時間の範囲である。
反応の終点は、GPCによる重量平均分子量測定、IR測定による酸無水物基ピークの消失等により判断する。
(第2反応工程)
第2反応工程では、第1反応で得られた1つの水酸基を有するオレフィン重合体(A)の水酸基1モルに対し、一般式(4)で表される酸無水物基を有する共重合体(c)の酸無水物基1〜30モルを反応させて、一般式(1)で表される樹脂を生成することが好ましい。好ましくは、3〜15モルである。1モル未満では、水への分散力が低下する、あるいはプライマー、塗料、インキとして用いた際に他樹脂との相溶性が悪化する恐れがある。30モルを超えると、ポリオレフィン系のフィルムに対する高い基材密着性が発現しない恐れがある。
本発明の第2反応では、上記の第1反応と同様の溶剤を用いることができる。
第2反応における反応温度は、60〜110℃、好ましくは70〜100℃の範囲である。また、反応時間は、1〜20時間、好ましくは2〜10時間の範囲である。
反応の終点は、GPCによる重量平均分子量測定、IR測定による水酸基ピークの消失等により判断する。
<樹脂水分散体>
本発明の樹脂水分散体は、溶剤中で得られた一般式(1)で表される樹脂中のカルボン酸を中和剤で中和し、水を加えて溶剤を除去することにより水に分散することで得られる。
一般式(1)で表される樹脂の酸価は30〜300であり、好ましくは100〜250である。酸価が30より低いと水への分散安定性が劣る恐れがある。300より高いと、耐水性が劣る恐れがある。
(中和剤)
中和剤としては、例えば、アンモニア、エチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン、モノエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、2−アミノ−2−エチル−1−プロパノールなどの有機アミン類;リチウム、カリウム、ナトリウムなどのアルカリ金属;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機アルカリ類等が挙げられる。ただし、乾燥性に効果が高いのは揮発性の高い塩基であり、好ましい塩基はアミノメチルプロパノール、アンモニアである。中和剤の添加量は、通常は、一般式(1)で表される樹脂のカルボキシル基に対して0.8〜1当量とすることが好ましい。
(その他添加剤)
本発明の水性樹脂分散体には、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じて他の樹脂成分や、成膜助剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、塩酸吸収剤、脱塩酸防止剤、顔料、染料、充填剤、ブロッキング剤、帯電防止剤、スリップ防止剤、タッキファイヤ−樹脂、増粘剤、消泡剤、防腐剤、pH調整剤、レベリング剤、架橋剤、界面活性剤などを必要に応じて配合できる。
成膜助剤は、塗膜の形成を助け、塗膜が形成された後においては比較的速やかに蒸発揮散して塗膜の強度を向上させる一時的な可塑化機能を担うものであり、沸点が110〜200℃の溶媒が好適に用いられる。具体的には、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、カルビトール、ブチルカルビトール、ジブチルカルビトール、ベンジルアルコールなどが挙げられる。これら成膜助剤は、樹脂水分散体組成物中に0.5〜15重量%含まれることが好ましい。
粘性調整剤は、樹脂水分散体100重量部に対して1〜100重量部用いてもよい。粘性調整剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸(及びその塩)、酸化スターチ、リン酸化スターチ、カゼインなどが挙げられる。
本発明の樹脂は、粘着剤、接着剤、塗料、インキ、プライマー等の用途に用いることができる。
以下に、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲を何ら制限するものではない。なお、特に断りがない限り、「部」、「%」とは「重量部」、「重量%」を意味する。
(IR測定条件)
FT−IR(Thermo Fisher Scientific社製、NICOLET6700)を用いて、酸無水物基由来のピーク(1790cm-1付近)と水酸基由来のピーク(3300cm-1付近)を測定した。
(酸価測定条件)
酸価とは、樹脂1g中に含まれる酸性成分を中和するのに要する水酸化カリウムのミリグラム数である。乾燥させた樹脂について、JIS K2501に記載の方法に従い、自動滴定装置(平沼産業社製、COM−1500)を用いて、水酸化カリウム・エタノール溶液で電位差滴定を行い算出した。
(重量平均分子量)
重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定によるポリスチレン換算の値である。乾燥させた樹脂をテトラヒドロフランに溶解させ、0.1%の溶液を調製し、HLC−8320−GPC(東ソー社製、カラム番号M−0053 分子量測定範囲約2千〜約400万)により重量平均分子量を測定した。
<樹脂水分散体の作製>
[実施例1]
(1)第1反応
滴下槽、コンデンサー、攪拌翼、および温度計を備え付けた反応槽に、変性ポリプロピレン/ヘキセン共重合体(a−1)(X−10087(ベーカー・ヒュージ社))100.0部とトルエン159.6部とを仕込み35℃に昇温して変性ポリプロピレン/ヘキセン共重合体(a−1)を溶解した。続いて、同じ温度で滴下槽からエタノールアミン6.4部を15分かけて滴下し、その後7時間攪拌を続け、IRで酸無水物基由来(1790cm-1付近)のピークが消失したことを確認し、樹脂溶液(I)を得た。
(2)第2反応
コンデンサー、攪拌翼、および温度計を備え付けた反応槽に、スチレン/無水マレイン酸共重合体(c−1)(SMA−3000(サートマー社))250.0部とトルエン375.0部とを仕込み90℃に昇温し、その後3時間同じ温度で攪拌を続けスチレン/無水マレイン酸共重合体(c−1)を溶解した。そこへ、(1)で得られた樹脂溶液(I)を加え、その後7時間、同じ温度で攪拌を続け、樹脂溶液(II)を得た。IRで水酸基由来のピーク(3300cm-1付近)が消失したことを確認し、温度を30℃まで冷却した。
続いて、樹脂溶液(II)に25%アンモニア86.4部と水575.6部とを添加して水に分散し、ストリッピングによりトルエンを除去した。その後、25%アンモニア水でpHを8.5とし、更にイオン交換水で固形分を35%に調整して樹脂水分散体を得た。なお、固形分は、150℃20分焼き付け残分により求めた。
[実施例2〜9]
表1に示す配合組成で、実施例1と同様の方法で反応させ、実施例2〜9の樹脂水分散体を得た。
Figure 2015151438
(a−1)R1:プロピレン/ヘキセン共重合体(酸価125、重量平均分子量950)
(a−2)R1:デセン共重合体(酸価130、重量平均分子量920)
(a−3)R1:プロピレン/ヘキセン共重合体(酸価8、重量平均分子量18000)
(a−4)R1:プロピレン共重合体(酸価170、重量平均分子量700)
(c−1)スチレン/無水マレイン酸共重合体:スチレン/無水マレイン酸=3/1(酸価285、重量平均分子量9500)
(c−2)スチレン/無水マレイン酸共重合体:スチレン/無水マレイン酸=10/1(酸価105、重量平均分子量8400)
(c−3)スチレン/無水マレイン酸共重合体:スチレン/無水マレイン酸=4/9(酸価346、重量平均分子量9200)
[比較例1]
コンデンサー、攪拌翼、および温度計を備え付けた反応槽に、変性ポリプロピレン/ヘキセン共重合体(a−1)(X−10087(ベーカー・ヒュージ社))100部に25%アンモニア15.2部と水170.5部とを仕込み90℃に昇温し、その後7時間同じ温度で攪拌を続けX−10087を溶解した。
X−10087:片末端無水マレイン酸変性プロピレン/ヘキセン共重合体(酸価125、重量平均分子量950)
[比較例2]
コンデンサー、攪拌翼、および温度計を備え付けた反応槽に、スチレン/無水マレイン酸共重合体(c−1)(SMA−3000(サートマー社))100部と25%アンモニア34.5部と水151.2部とを仕込み90℃に昇温し、その後7時間同じ温度で攪拌を続けSMA−3000を溶解した。
SMA−3000:スチレン/無水マレイン酸共重合体(酸価285、重量平均分子量9500)
<樹脂水分散体の評価>
得られた樹脂水分散体について、密着性、分散安定性を評価した。評価結果を表2に示す。
(密着性:碁盤目剥離試験)
表面をイソプロピルアルコールで清拭したポリプロピレン基材に、得られた樹脂水分散体を噴霧塗布した。塗布後、試験片を乾燥機中で90℃30分間焼き付けし塗装板を得た。
塗装板を23℃で24時間放置した後、JIS K 5400に記載されている碁盤目付着試験の方法に準じて2mm間隔で100マス(10×10)の碁盤目を付けた試験片を作製しセロハンテープを貼り付けた後、90℃方向にはく離させ、100マスの碁盤目のうちはく離されなかった碁盤目数にて評価した。評価としては、はく離されなかったマスの数が多い方を付着性が良好とした。評価基準を下記に示す。
○:剥離無し
△:わずかに剥離(実用上問題のないレベル)
×:完全に剥離
(分散安定性)
樹脂水分散体を室温で2週間貯蔵した後、分散状態を目視で評価した。
○:良好
△:ややブツあり(実用上問題のないレベル)
×:分離、ゲル化
(耐水性)
表面をイソプロピルアルコールで清拭したポリプロピレン基材に、得られた樹脂水分散体を噴霧塗布した。塗布後、試験片を乾燥機中で90℃30分間焼き付けし塗装板を得た。
水を綿棒に浸し、塗装板を5往復程ラビングした。評価基準は以下の通りである。
○:塗膜のとられなし
△:塗膜は一部とられるが、基材表面は見えない(実用上問題のないレベル)
×:塗膜がとられ、基材表面も見える
Figure 2015151438
表2に示すように、実施例1〜9で得た樹脂水分散体を用いた場合、ポリオレフィン基材への密着性、水への分散性、耐水性のバランスに優れる。中でも、実施例1および9で特に良好な結果となった。一方、比較例1、2で得た樹脂水分散体を用いた場合、ポリオレフィン基材への密着性、水への分散安定性、耐水性の低下が見られた。

Claims (6)

  1. 一般式(1)で表される、構成単位I、構成単位II、および構成単位IIIを含んでなる樹脂。
    一般式(1)
    Figure 2015151438
    [一般式(1)中、
    1:オレフィン重合体残基、
    2:炭素数1〜10の2価の炭化水素基、
    3、R4、R5、およびR6:各々水素原子、芳香族基またはメチル基、
    x、yおよびz:各々1以上の整数であり、x+y+zは2〜5000の整数、を表す。]
  2. 請求項1記載の樹脂、中和剤、および水を含む樹脂水分散体。
  3. 一般式(1)のR1におけるオレフィン重合体が、炭素数2〜10のα−オレフィンの単独重合体または共重合体である、請求項2記載の樹脂水分散体。
  4. 一般式(1)のR1におけるオレフィン重合体の重量平均分子量が、500〜30000である、請求項2または3記載の樹脂水分散体。
  5. 一般式(1)で表される樹脂の酸価が30〜300である、請求項2〜4いずれか記載の樹脂水分散体。
  6. 一般式(1)で表される樹脂が、
    一般式(2)で表される1つの酸無水物基を有する変性オレフィン重合体(a)の酸無水物基1モルに対し、
    一般式(3)で表される1つの1級アミノ基と1つの水酸基とを有する化合物(b)の1級アミノ基を1モル反応させて、1つの水酸基を有するオレフィン重合体(A)を得、
    得られた1つの水酸基を有するオレフィン重合体(A)の水酸基1モルに対し、一般式(4)で表される、構成単位IVおよび構成単位Vを含んでなる酸無水物基を有する共重合体(c)の酸無水物基1〜30モルを反応させて得られる樹脂であることを特徴とする、請求項2〜5いずれか記載の樹脂水分散体。
    一般式(2)
    Figure 2015151438
    [一般式(2)中、R1:オレフィン重合体残基、を表す。]

    一般式(3)
    Figure 2015151438
    [一般式(3)中、R2:炭素数1〜10の2価の炭化水素基、を表す。]

    一般式(4)
    Figure 2015151438
    [一般式(4)中、R3、R4、R5、およびR6:各々水素原子、芳香族基またはメチル基、
    x、yおよびz:各々1以上の整数であり、x+y+zは2〜5000の整数、を表す。]
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