JP2015134581A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】ウェット制動性能を改善した空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】複数の周方向主溝14によって、タイヤ幅方向の各側最外部の第1陸部16と、第1陸部16よりもタイヤ幅方向内側の第2陸部18とが区画形成されている。第2陸部18内にタイヤ幅方向に所定の振幅を有してタイヤ周方向に延在する波状溝20が配設されている。第2陸部18に複数の面取りサイプ22が配設され、面取りサイプ22が周方向主溝14から延在し且つ第2陸部18の内部で終端している。各第2陸部18における面取りサイプ22は、タイヤ周方向において、隣り合う周方向主溝14、14から交互に延在している。
【選択図】図1
【解決手段】複数の周方向主溝14によって、タイヤ幅方向の各側最外部の第1陸部16と、第1陸部16よりもタイヤ幅方向内側の第2陸部18とが区画形成されている。第2陸部18内にタイヤ幅方向に所定の振幅を有してタイヤ周方向に延在する波状溝20が配設されている。第2陸部18に複数の面取りサイプ22が配設され、面取りサイプ22が周方向主溝14から延在し且つ第2陸部18の内部で終端している。各第2陸部18における面取りサイプ22は、タイヤ周方向において、隣り合う周方向主溝14、14から交互に延在している。
【選択図】図1
Description
本発明は、ウェット路面における制動性能(以下、「ウェット制動性能」と称する)を改善した空気入りタイヤに関する。
従来、ウェット制動性能を改善する手段として、リブ状陸部を横断するように、サイプ及びラグ溝の少なくとも1種を配設する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1に開示されているように、サイプを周方向溝に連通させた場合には、リブ状陸部の剛性を十分に確保できるか不明であり、さらにウェット制動性能について改良の余地があるものと考えられる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、ウェット制動性能を改善した空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明に係る空気入りタイヤは、複数の周方向主溝を備え、上記周方向主溝によって、タイヤ幅方向の各側最外部の第1陸部と、上記第1陸部よりもタイヤ幅方向内側の第2陸部とが区画形成された空気入りタイヤである。上記第2陸部内には、タイヤ幅方向に所定の振幅を有してタイヤ周方向に延在する波状溝が配設されている。上記第2陸部には、複数の面取りサイプが配設されている。上記面取りサイプは、上記周方向主溝から延在し且つ上記第2陸部の内部で終端している。各第2陸部における上記面取りサイプは、タイヤ周方向において、隣り合う上記周方向主溝から交互に延在している。
本発明に係る空気入りタイヤでは、波状溝及び面取りサイプの配設態様について改良を加えている。その結果、本発明に係る空気入りタイヤによれば、ウェット制動性能を改善することができる。
以下に、本発明に係る空気入りタイヤの実施の形態(以下に示す、基本形態及び付加的形態1から7)を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、これらの実施の形態は、本発明を限定するものではない。また、上記実施の形態の構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。さらに、上記実施の形態に含まれる各種形態は、当業者が自明の範囲内で任意に組み合わせることができる。
[基本形態]
以下に、本発明に係る空気入りタイヤについて、その基本形態を説明する。以下の説明において、タイヤ径方向とは、空気入りタイヤの回転軸と直交する方向をいい、タイヤ径方向内側とはタイヤ径方向において回転軸に向かう側、タイヤ径方向外側とはタイヤ径方向において回転軸から離れる側をいう。また、タイヤ周方向とは、上記回転軸を中心軸とする周り方向をいう。さらに、タイヤ幅方向とは、上記回転軸と平行な方向をいい、タイヤ幅方向内側とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道面(タイヤ赤道線)に向かう側、タイヤ幅方向外側とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道面から離れる側をいう。なお、タイヤ赤道面とは、空気入りタイヤの回転軸に直交するとともに、空気入りタイヤのタイヤ幅の中心を通る平面である。
以下に、本発明に係る空気入りタイヤについて、その基本形態を説明する。以下の説明において、タイヤ径方向とは、空気入りタイヤの回転軸と直交する方向をいい、タイヤ径方向内側とはタイヤ径方向において回転軸に向かう側、タイヤ径方向外側とはタイヤ径方向において回転軸から離れる側をいう。また、タイヤ周方向とは、上記回転軸を中心軸とする周り方向をいう。さらに、タイヤ幅方向とは、上記回転軸と平行な方向をいい、タイヤ幅方向内側とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道面(タイヤ赤道線)に向かう側、タイヤ幅方向外側とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道面から離れる側をいう。なお、タイヤ赤道面とは、空気入りタイヤの回転軸に直交するとともに、空気入りタイヤのタイヤ幅の中心を通る平面である。
図1は、本発明の実施形態に係る空気入りタイヤのトレッド表面を示す平面図である。なお、図1の符号E、E´は、それぞれ、空気入りタイヤの接地端を示す。
空気入りタイヤ10のトレッド部はゴム材(トレッドゴム)から構成される。また、タイヤ径方向最外部に位置するトレッド部12の表面(トレッド表面)は、車両走行時に路面と接触する。そして、図1に示されるように、トレッド表面には所定模様のトレッドパターンが形成されている。
図1に示す例では、トレッド表面に、4本の周方向主溝14がタイヤ赤道面CLを挟んでタイヤ幅方向に対称に配設されている。周方向主溝14は、3mm以上25mm以下の溝幅を有する。ここで、溝幅とは、溝が延在する方向に垂直な方向に測定した溝寸法(最大値)を意味する。また、周方向主溝14は、5mm以上10mm以下の溝深さを有する。ここで、溝深さとは、溝がないとした場合におけるプロファイルラインからタイヤ径方向に測定した溝寸法(最大値)を意味する。
これらの周方向主溝14によって、タイヤ幅方向の各側最外部には、第1陸部16が区画形成されているとともに、第1陸部16よりもタイヤ幅方向内側には、3つの第2陸部18が区画形成されている。なお、図1に示す例では、第1陸部16及び第2陸部18はリブであるが、本実施の形態はこれに限られない。例えば、第1陸部16は、ブロックとることもできる。
このような前提の下、本実施の形態においては、図1に示すように、第2陸部18内にタイヤ幅方向に所定の振幅を有してタイヤ周方向に延在する波状溝20が配設されている。波状溝20は、1.5mm以上5mm以下の溝幅を有するとともに、5mm以上10mm以下の溝深さを有する。
また、本実施の形態においては、図1に示すように、第2陸部18に、複数の面取りサイプ22が配設されている。
図2は、図1に示す面取りサイプ22の断面図(A−A´断面図)である。図2に示す面取りサイプ22は、テーパ状に面取りされており、面取り部22aとサイプ部22bとから成る。
なお、面取りサイプ22の延在方向に垂直な方向における面取り部22aの寸法L1は、0.5mm以上3.0mm以下とすることができる。タイヤ径方向における面取り部22aの寸法D1は、1mm以上4mm以下とすることができる。面取りサイプ22の延在方向に垂直な方向におけるサイプ部22bの寸法L2は、0.3mm以上2.0mm以下とすることができる。タイヤ径方向におけるサイプ部22bの寸法D2は、2mm以上5mm以下とすることができる。第2陸部18の頂面から面取りサイプ22の溝底までの深さ(D1+D2)は、周方向主溝14の深さよりも1.7mm短くすることができる。
図3は、図2に示す面取りサイプ20の変形例を示す断面図である。図3に示す面取りサイプ22´は、R状に面取りされており、面取り部22a´とサイプ部22b´とから成る。なお、面取り部22a´の曲率半径は、1mm以上5mm以下とすることができる。サイプ部22b´の寸法は、図2のサイプ部20bと同様である。
さらに、本実施の形態においては、図1に示すように、面取りサイプ22(22´)が周方向主溝14から延在し且つ第2陸部18の内部で終端している。なお、面取りサイプ22(22´)が周方向主溝14から延在するとは、面取りサイプ22(22´)全体(面取り部22a(22a´)及びサイプ部22b(22b´))が周方向主溝14に連通している場合のみならず、面取りサイプ22(22´)の一部(例えば面取り部22a(22a´))のみが周方向主溝14に連通している場合も含む。
加えて、本実施の形態においては、図1に示すように、各第2陸部18における面取りサイプ22(22´)が、タイヤ周方向において、隣り合う周方向主溝14から交互に延在している。
なお、本実施の形態の空気入りタイヤには、図1に示すように、タイヤ幅方向の各側最外部の第1陸部16に、接地端E(E´)を超えて延在するラグ溝24と、タイヤ周方向に隣り合うラグ溝24、24間に位置し、面取りがされていないサイプ(以下、「非面取りサイプ」と称する場合がある)26と、非面取りサイプ26を基準にそのタイヤ周方向の両側に位置する傾斜細溝28と、が配設されている。また、3つの第2陸部18には、非面取りサイプ30が配設されている。但し、これらの部材24から30は必須構成要素ではなく、任意選択的に配設することができる。
(作用等)
本実施の形態においては、第2陸部18内に上記の波状溝20を配設したことで、タイヤ周方向に延在する排水経路を確保することができる(作用1)。また、波状溝20によって区画形成される陸部のエッジがタイヤ周方向成分のみならず、タイヤ幅方向成分をも含むため、このエッジのタイヤ幅方向成分により、タイヤ周方向に加わった応力に対する抗力を十分に発揮することができる(作用2)。このため、これらの作用1、2が相まって、優れたウェット制動性能を実現することができる(効果1)。
本実施の形態においては、第2陸部18内に上記の波状溝20を配設したことで、タイヤ周方向に延在する排水経路を確保することができる(作用1)。また、波状溝20によって区画形成される陸部のエッジがタイヤ周方向成分のみならず、タイヤ幅方向成分をも含むため、このエッジのタイヤ幅方向成分により、タイヤ周方向に加わった応力に対する抗力を十分に発揮することができる(作用2)。このため、これらの作用1、2が相まって、優れたウェット制動性能を実現することができる(効果1)。
また、本実施の形態においては、第2陸部18に、複数の面取りサイプ22(22´)を配設したことで、非面取りサイプのみを配設した場合と比較して、第2陸部18の剛性の低下を抑制しつつ、排水性能を高めることができる。その結果、本実施の形態では、ウェット制動性能を改善することができる(効果2)。
なお、図1(平面図)に示す面取りサイプ22は、その幅方向一方側から、延在方向端部を介して、幅方向他方側に至るまで、連続的に面取りがなされている。これにより、特に、その延在方向端部において、局所的な陸部の剛性変化を小さくすることができ、クラック等の発生を抑制し、ひいては耐久性能を改善することができる。
さらに、本実施の形態においては、面取りサイプ22(22´)を周方向主溝14から延在させ且つ第2陸部18の内部で終端させることで、面取りサイプ22(22´)の両端が周方向主溝14に連通している場合と比較して、第2陸部18の剛性を高めることができる。また、面取りサイプ22(22´)の両端が第2陸部18の内部で終端している場合と比較して、排水性能が高められる。その結果、本実施の形態では、ウェット制動性能を改善することができる(効果3)。なお、(図示しないが)面取りサイプ22の周方向主溝14側の端部が底上げされ、面取り部22aのみが周方向主溝14に連通している場合には、第2陸部18の剛性をより一層高めることができ、ひいてはウェット制動性能をさらに改善することができる。
加えて、本実施の形態においては、面取りサイプ22(22´)を、タイヤ周方向において、隣り合う周方向主溝14から交互に延在させることで、面取りサイプ22(22´)を、隣り合う周方向主溝14、14の異なるタイヤ周方向位置から延在させることができる。これにより、タイヤ転動時における接地面積を、タイヤ周方向において、より均一にすることができ、ひいてはタイヤにスリップ角が付けられたときの横力を、タイヤ転動時により均一とすることができる。その結果、本実施の形態によれば、ウェット制動性能を改善することができる(効果4)。
以上に示すように、本実施の形態に係る空気入りタイヤは、波状溝及び面取りサイプの配設態様について改良を加えることにより、上記の効果1から効果4を奏することができる。その結果、本発明に係る空気入りタイヤによれば、ウェット制動性能を改善することができる。
なお、以上に示す、本実施の形態に係る空気入りタイヤは、図示しないが、従来の空気入りタイヤと同様の子午断面形状を有する。ここで、空気入りタイヤの子午断面形状とは、タイヤ赤道面と垂直な平面上に現れる空気入りタイヤの断面形状をいう。本実施の形態の空気入りタイヤは、タイヤ子午断面視で、タイヤ径方向内側から外側に向かって、ビード部、サイドウォール部、ショルダー部及びトレッド部を有する。そして、上記空気入りタイヤは、例えば、タイヤ子午断面視で、トレッド部から両側のビード部まで延在して一対のビードコアの周りで巻回されたカーカス層と、上記カーカス層のタイヤ径方向外側に順次形成された、ベルト層及びベルト補強層とを備える。
さらに、本実施の形態の空気入りタイヤは、通常の各製造工程、即ち、タイヤ材料の混合工程、タイヤ材料の加工工程、グリーンタイヤの成型工程、加硫工程及び加硫後の検査工程等を経て得られるものである。本実施の形態の空気入りタイヤを製造する場合には、特に、加硫用金型の内壁に、図1に示すトレッド部に形成される凹部及び凸部に対応する凸部及び凹部を形成し、この金型を用いて加硫を行う。また、加硫後の検査工程の前に面取り部をトレッド表面に直接彫ることによって面取りサイプを形成してもよい。この場合、既存の加硫用金型を変更することなく、面取りサイプをトレッド表面に形成することができる。
[付加的形態]
次に、本発明に係る空気入りタイヤの上記基本形態に対して、任意選択的に実施可能な、付加的形態1から7を説明する。
次に、本発明に係る空気入りタイヤの上記基本形態に対して、任意選択的に実施可能な、付加的形態1から7を説明する。
(付加的形態1)
基本形態においては、図1に示すように、波状溝20の振幅Tと、第2陸部18のタイヤ幅方向寸法Wと、の比T/Wが、0.2以上0.4以下であること(付加的形態1)が好ましい。
基本形態においては、図1に示すように、波状溝20の振幅Tと、第2陸部18のタイヤ幅方向寸法Wと、の比T/Wが、0.2以上0.4以下であること(付加的形態1)が好ましい。
比T/Wを0.2以上とすることで、波状溝20によって区画形成される陸部のエッジに、タイヤ幅方向成分をさらに多く含ませることができる。その結果、タイヤ周方向に加わった応力に対する抗力をさらに高いレベルで発揮することができ、ウェット制動性能をさらに改善することができる。
また、比T/Wを0.4以下とすることで、波状溝20の振幅を過度に大きくすることなく、第2陸部18の剛性を十分に確保することができる。その結果、タイヤ周方向に加わった応力に対する抗力をさらに高いレベルで発揮することができ、ウェット制動性能をさらに改善することができる。
(付加的形態2)
基本形態及び基本形態に付加的形態1を加えた形態においては、図1に示すように、波状溝20の隣り合う変曲点同士(例えば、変曲点P1と変曲点P2、変曲点P2と変曲点P3、....、変曲点P5と変曲点P6)によって画定される各タイヤ周方向領域(例えば、領域R1からR5)において、面取りサイプ22が、波状溝20が凸状をなす側とは反対側のタイヤ幅方向領域に配設されていること(付加的形態2)が好ましい。ここで、タイヤ周方向領域とは、面取りサイプ22の隣り合う変曲点同士をタイヤ周方向の一端及び他端とした、第2陸部18の特定領域をいう。
基本形態及び基本形態に付加的形態1を加えた形態においては、図1に示すように、波状溝20の隣り合う変曲点同士(例えば、変曲点P1と変曲点P2、変曲点P2と変曲点P3、....、変曲点P5と変曲点P6)によって画定される各タイヤ周方向領域(例えば、領域R1からR5)において、面取りサイプ22が、波状溝20が凸状をなす側とは反対側のタイヤ幅方向領域に配設されていること(付加的形態2)が好ましい。ここで、タイヤ周方向領域とは、面取りサイプ22の隣り合う変曲点同士をタイヤ周方向の一端及び他端とした、第2陸部18の特定領域をいう。
面取りサイプ22を、波状溝20が凸状をなす側とは反対側のタイヤ幅方向領域に配設すること(例えば、領域R1、R3、R5では図1において波状溝20の左側、領域R2、R4では図1において波状溝20の右側に、面取りサイプ22を配設すること)で、上記の各タイヤ周方向領域のうち、陸部面積の大きなタイヤ幅方向領域に、面取りサイプ22を配設することができる。これにより、タイヤ周方向に連続する各タイヤ周方向領域全てにおいて、陸部剛性が極端に低くなる箇所が生ずることを抑制することができ、ひいてはタイヤ周方向における陸部剛性の均一化によって耐偏摩耗性能を改善することができる。
(付加的形態3)
基本形態及び基本形態に付加的形態1、2の少なくともいずれかを加えた形態においては、図1に示すように、面取りサイプ22が、各第2陸部18のタイヤ幅方向中心位置まで到達しないで終端していること(付加的形態3)が好ましい。
基本形態及び基本形態に付加的形態1、2の少なくともいずれかを加えた形態においては、図1に示すように、面取りサイプ22が、各第2陸部18のタイヤ幅方向中心位置まで到達しないで終端していること(付加的形態3)が好ましい。
面取りサイプ22を、各第2陸部18のタイヤ幅方向中心位置まで到達させないで終端させることで、第2陸部18内で溝面積が過大となることを抑制ことができる。その結果、第2陸部18の剛性の低下を抑制することができ、ひいては耐偏摩耗性能を改善することができる。
(付加的形態4)
基本形態及び基本形態に付加的形態1から3の少なくともいずれかを加えた形態においては、少なくとも3本(図1に示す例では4本)の周方向主溝14を備え、同一の周方向主溝14(図1に示す例では、タイヤ赤道面CLに近い2本の周方向主溝14のそれぞれ)から異なる第2陸部18の内部に延在している面取りサイプ22がタイヤ周方向において交互に延在していること(付加的形態4)が好ましい。
基本形態及び基本形態に付加的形態1から3の少なくともいずれかを加えた形態においては、少なくとも3本(図1に示す例では4本)の周方向主溝14を備え、同一の周方向主溝14(図1に示す例では、タイヤ赤道面CLに近い2本の周方向主溝14のそれぞれ)から異なる第2陸部18の内部に延在している面取りサイプ22がタイヤ周方向において交互に延在していること(付加的形態4)が好ましい。
同一の周方向主溝14から異なる第2陸部18の内部に延在している面取りサイプ22を、タイヤ周方向において交互に延在させることで、タイヤ転動時における接地面積を経時的に過度に異ならせることなく、より均一にすることができる。その結果、タイヤにスリップ角が付けられたときの横力を、タイヤ転動時に、より一定とすることができ、ひいては、ウェット制動性能をより改善することができる。また、同一の周方向主溝14から異なる第2陸部18の内部に延在している面取りサイプ22を、タイヤ周方向において交互に延在させることで、タイヤ転動時における接地面積を、タイヤ周方向において、より均一にすることができる。このため、タイヤ転動時の経時的な接地面圧をより均一にすることができ、ひいては耐偏摩耗性能をより改善することができる。
(付加的形態5)
基本形態及び基本形態に付加的形態1から4の少なくともいずれかを加えた形態においては、図1に示すように、各第2陸部18における面取りサイプ22の数が、各第1陸部16における幅方向溝24の数の2倍であること(付加的形態5)が好ましい。
基本形態及び基本形態に付加的形態1から4の少なくともいずれかを加えた形態においては、図1に示すように、各第2陸部18における面取りサイプ22の数が、各第1陸部16における幅方向溝24の数の2倍であること(付加的形態5)が好ましい。
各第2陸部18における面取りサイプ22の数を、各第1陸部16における幅方向溝24の数の2倍とすることで、第1陸部16と第2陸部18との間の剛性差を低減することができ、ひいては、耐偏摩耗性能を改善することができる。また、各第2陸部18における面取りサイプ22の数を、各第1陸部16における幅方向溝24の数の2倍とすることで、各第2陸部18に、面取りサイプ22によって多くのエッジを形成することができる。このため、これらのエッジのタイヤ幅方向成分により、タイヤ周方向に加わった応力に対する抗力をさらに発揮することができ、ウェット制動性能をさらに改善することができる。
(付加的形態6)
基本形態及び基本形態に付加的形態1から5の少なくともいずれかを加えた形態においては、図1に示すように、第2陸部18に、周方向主溝14から延在し且つ第2陸部18の内部で終端している非面取サイプ30が配設され、各第2陸部18のタイヤ幅方向各側において、面取りサイプ22と非面取りサイプ30とがタイヤ周方向に交互に配設されていること(付加的形態6)が好ましい。
基本形態及び基本形態に付加的形態1から5の少なくともいずれかを加えた形態においては、図1に示すように、第2陸部18に、周方向主溝14から延在し且つ第2陸部18の内部で終端している非面取サイプ30が配設され、各第2陸部18のタイヤ幅方向各側において、面取りサイプ22と非面取りサイプ30とがタイヤ周方向に交互に配設されていること(付加的形態6)が好ましい。
各第2陸部18のタイヤ幅方向各側において、面取りサイプ22と非面取りサイプ30とをタイヤ周方向に交互に配設することで、上述した各タイヤ周方向領域のうち、陸部面積の大きなタイヤ幅方向領域に面取りサイプ22を配設するとともに、陸部面積の小さなタイヤ幅方向領域に非面取りサイプを配設することができる。これにより、タイヤ周方向に連続する各タイヤ周方向領域全てにおいて、陸部剛性が極端に低くなる箇所が生ずることを抑制することができ、ひいてはタイヤ周方向における陸部剛性の均一化によって耐偏摩耗性能を改善することができる。
(付加的形態7)
基本形態及び基本形態に付加的形態1から6の少なくともいずれかを加えた形態においては、図1に示すように、第2陸部18内に配設されているサイプ(面取りサイプ22及び非面取りサイプ30)の、タイヤ幅方向に対する延在角度θが、5°以上45°以下であること(付加的形態7)が好ましい。
基本形態及び基本形態に付加的形態1から6の少なくともいずれかを加えた形態においては、図1に示すように、第2陸部18内に配設されているサイプ(面取りサイプ22及び非面取りサイプ30)の、タイヤ幅方向に対する延在角度θが、5°以上45°以下であること(付加的形態7)が好ましい。
第2陸部18内に配設されているサイプのタイヤ幅方向に対する延在角度θを、5°以上とすることで、これらのサイプの延在方向に垂直な方向において当該サイプに隣接する両陸部が接地後に路面から離れるに際して、これらの両陸部のタイヤ周方向における滑り変形を抑制することができる。その結果、特に、上記の両陸部間における摩耗差を抑制し、ひいては耐偏摩耗性能を改善することができる。
また、上記の延在角度θを、45°以下とすることで、これらのサイプの延在方向に垂直な方向において当該サイプに隣接する両陸部が接地後に路面から離れるに際して、これらの両陸部のタイヤ幅方向における滑り変形を抑制することができる。その結果、特に、上記の両陸部間における摩耗差を抑制し、ひいては耐偏摩耗性能を改善することができる。
タイヤサイズを195/65R15とし、4本の周方向主溝によって、タイヤ幅方向の各側最外部の第1陸部と、この第1陸部よりもタイヤ幅方向内側の第2陸部とが区画形成され、第2陸部内にタイヤ幅方向に所定の振幅を有してタイヤ周方向に延在する波状溝が配設され、第2陸部に配設された複数の面取りサイプが周方向主溝から延在し且つ第2陸部の内部で終端し、各第2陸部における面取りサイプが、タイヤ周方向において、隣り合う周方向主溝から交互に延在している、実施例1から8の空気入りタイヤを作製した。なお、実施例1から8の空気入りタイヤの各トレッドパターンの細部の諸条件については、以下の表1に示すとおりである。
これに対し、タイヤサイズを195/65R15とし、波状溝の代わりに各第2陸部のタイヤ幅方向中心位置に直線溝を配設したこと以外は、実施例1の空気入りタイヤと同じトレッドパターンを有する、従来例の空気入りタイヤを作製した。
このよう作製した、実施例1から実施例8及び従来例の各試験タイヤを、15×6Jのリムに220kPaで組み付け、排気量1800CCのセダン型車両(フロントエンジン・フロントドライブ方式)に装着し、ウェット制動性能と耐偏摩耗性能についての評価を行った。
(ウェット制動性能)
ウェット路面(水深1mm)において、時速100kmで走行した状態からの制動距離を測定して従来例を基準(100)とした指数評価を行った。この評価は、数値が大きいほど、ウェット制動性能が優れていることを示す。
ウェット路面(水深1mm)において、時速100kmで走行した状態からの制動距離を測定して従来例を基準(100)とした指数評価を行った。この評価は、数値が大きいほど、ウェット制動性能が優れていることを示す。
(耐偏摩耗性能)
上記車両を50000km走行させた後のヒールアンドトー摩耗を測定した。そして、この測定結果に基づいて従来例を基準(100)とした指数評価を行った。この評価は、指数が大きいほど、耐偏摩耗性能が高いことを示す。
上記車両を50000km走行させた後のヒールアンドトー摩耗を測定した。そして、この測定結果に基づいて従来例を基準(100)とした指数評価を行った。この評価は、指数が大きいほど、耐偏摩耗性能が高いことを示す。
表1によれば、本発明の技術的範囲に属する(波状溝及び面取りサイプの配設態様に改良を加えた)実施例1から実施例8の空気入りタイヤについては、いずれも、本発明の技術的範囲に属しない、従来例の空気入りタイヤに比べて、少なくともウェット制動性能が優れていることが判る。
本発明は以下の態様を包含する。
(1)複数の周方向主溝を備え、該周方向主溝によって、タイヤ幅方向の各側最外部の第1陸部と、該第1陸部よりもタイヤ幅方向内側の第2陸部とが区画形成された空気入りタイヤにおいて、上記第2陸部内にタイヤ幅方向に所定の振幅を有してタイヤ周方向に延在する波状溝が配設され、上記第2陸部に複数の面取りサイプが配設され、上記面取りサイプが上記周方向主溝から延在し且つ上記第2陸部の内部で終端し、各第2陸部における上記面取りサイプが、タイヤ周方向において、隣り合う上記周方向主溝から交互に延在している、ことを特徴とする空気入りタイヤ。
(2)上記波状溝の振幅Tと、上記第2陸部のタイヤ幅方向寸法Wと、の比T/Wが、0.2以上0.4以下である、上記(1)に記載の空気入りタイヤ。
(3)上記波状溝の隣り合う変曲点同士によって画定される各タイヤ周方向領域において、上記面取りサイプが、上記波状溝が凸状をなす側とは反対側のタイヤ幅方向領域に配設されている、上記(1)又は(2)に記載の空気入りタイヤ。
(4)上記面取りサイプが、各第2陸部のタイヤ幅方向中心位置まで到達しないで終端している、上記(1)から(3)のいずれか1つに記載の空気入りタイヤ。
(5)少なくとも3本の周方向主溝を備え、同一の周方向主溝から異なる第2陸部の内部に延在している面取りサイプがタイヤ周方向において交互に延在している、上記(1)から(4)のいずれか1つに記載の空気入りタイヤ。
(6)各第2陸部における上記面取りサイプの数が、各第1陸部における幅方向溝の数の2倍である、上記(1)から(5)のいずれか1つに記載の空気入りタイヤ。
(7)上記第2陸部に、上記周方向主溝から延在し且つ上記第2陸部の内部で終端している非面取サイプが配設され、各第2陸部のタイヤ幅方向各側において、上記面取りサイプと上記非面取りサイプとがタイヤ周方向に交互に配設されている、上記(1)から(6)のいずれか1つに記載の空気入りタイヤ。
(8)上記第2陸部内に配設されているサイプの、タイヤ幅方向に対する延在角度θは、5°以上45°以下である、上記(1)から(7)のいずれか1つに記載の空気入りタイヤ。
10 空気入りタイヤ
12 トレッド部
14 周方向主溝
16 第1陸部
18 第2陸部
20 波状溝
22、22´ 面取りサイプ
22a、22a´ 面取り部
22b、22b´ サイプ部
24 ラグ溝
26、30 非面取りサイプ
28 傾斜細溝
CL タイヤ赤道面
D1 タイヤ径方向における面取り部22aの寸法
D2 タイヤ径方向におけるサイプ部22bの寸法
E、E´ 接地端
L1 面取りサイプ22の延在方向に垂直な方向における面取り部22aの寸法
L2 面取りサイプ22の延在方向に垂直な方向におけるサイプ部22bの寸法
P1、P2、P3,P4、P5、P6 変曲点
R1、R2、R3、R4、R5 領域
12 トレッド部
14 周方向主溝
16 第1陸部
18 第2陸部
20 波状溝
22、22´ 面取りサイプ
22a、22a´ 面取り部
22b、22b´ サイプ部
24 ラグ溝
26、30 非面取りサイプ
28 傾斜細溝
CL タイヤ赤道面
D1 タイヤ径方向における面取り部22aの寸法
D2 タイヤ径方向におけるサイプ部22bの寸法
E、E´ 接地端
L1 面取りサイプ22の延在方向に垂直な方向における面取り部22aの寸法
L2 面取りサイプ22の延在方向に垂直な方向におけるサイプ部22bの寸法
P1、P2、P3,P4、P5、P6 変曲点
R1、R2、R3、R4、R5 領域
Claims (8)
- 複数の周方向主溝を備え、該周方向主溝によって、タイヤ幅方向の各側最外部の第1陸部と、該第1陸部よりもタイヤ幅方向内側の第2陸部とが区画形成された空気入りタイヤにおいて、
前記第2陸部内にタイヤ幅方向に所定の振幅を有してタイヤ周方向に延在する波状溝が配設され、
前記第2陸部に複数の面取りサイプが配設され、
前記面取りサイプが前記周方向主溝から延在し且つ前記第2陸部の内部で終端し、
各第2陸部における前記面取りサイプが、タイヤ周方向において、隣り合う前記周方向主溝から交互に延在している、ことを特徴とする空気入りタイヤ。 - 前記波状溝の振幅Tと、前記第2陸部のタイヤ幅方向寸法Wと、の比T/Wが、0.2以上0.4以下である、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記波状溝の隣り合う変曲点同士によって画定される各タイヤ周方向領域において、前記面取りサイプが、前記波状溝が凸状をなす側とは反対側のタイヤ幅方向領域に配設されている、請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
- 前記面取りサイプが、各第2陸部のタイヤ幅方向中心位置まで到達しないで終端している、請求項1から3のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
- 少なくとも3本の周方向主溝を備え、同一の周方向主溝から異なる第2陸部の内部に延在している面取りサイプがタイヤ周方向において交互に延在している、請求項1から4のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
- 各第2陸部における前記面取りサイプの数が、各第1陸部における幅方向溝の数の2倍である、請求項1から5のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
- 前記第2陸部に、前記周方向主溝から延在し且つ前記第2陸部の内部で終端している非面取サイプが配設され、各第2陸部のタイヤ幅方向各側において、前記面取りサイプと前記非面取りサイプとがタイヤ周方向に交互に配設されている、請求項1から6のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
- 前記第2陸部内に配設されているサイプの、タイヤ幅方向に対する延在角度θは、5°以上45°以下である、請求項1から7のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
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