JP2015108038A - ポリエステル樹脂及び製造方法 - Google Patents

ポリエステル樹脂及び製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2015108038A
JP2015108038A JP2013250284A JP2013250284A JP2015108038A JP 2015108038 A JP2015108038 A JP 2015108038A JP 2013250284 A JP2013250284 A JP 2013250284A JP 2013250284 A JP2013250284 A JP 2013250284A JP 2015108038 A JP2015108038 A JP 2015108038A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
compound
polyester resin
mol
amount
ton
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2013250284A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6314452B2 (ja
Inventor
高明 川口
Takaaki Kawaguchi
高明 川口
豊 矢次
Yutaka Yatsugi
豊 矢次
寿 木村
Hisashi Kimura
寿 木村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP2013250284A priority Critical patent/JP6314452B2/ja
Publication of JP2015108038A publication Critical patent/JP2015108038A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6314452B2 publication Critical patent/JP6314452B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)

Abstract

【課題】フィルムを生産性良く成形することが出来、黄着色が少ないポリエステル樹脂を提供すること【解決手段】周期表第4A族のチタン族元素から選ばれる少なくとも1種の元素の化合物(1)、少なくとも1種の2価の金属化合物(2)及びリン化合物(3)を含有するポリエステル樹脂であって、化合物(1)を周期表第4A族のチタン族金属原子換算で2質量ppm以上10質量ppm以下、金属化合物(2)を金属原子換算で7質量ppm以上11質量ppm以下、リン化合物(3)を式1を満足する量並びに化合物(1)、金属化合物(2)及びリン化合物(3)をそれぞれ式2を満足する量含有し、固有粘度([η])が0.60〜0.80dl/g(但し、固有粘度は、フェノール/テトラクロロエタン(質量比1/1)の混合溶媒の溶液において30℃で測定したときの値である)であり、285℃での体積固有抵抗値が20?107Ω・cm以下であり、色座標b値が3.7以下であるポリエステル樹脂。【選択図】なし

Description

本発明はポリエステル樹脂、特にフィルム成形に適したポリエステル樹脂及びその製造方法に関する。
従来、ポリエステル樹脂、例えばポリエチレンテレフタレート樹脂は、機械的強度、化学的安定性、ガスバリア性、保香性、衛生性等に優れ、比較的安価で、又軽量であるために、フィルム、繊維、ボトル等として広く用いられてきた。特にフィルム用途においては、近年、高速成形化に伴い、例えば、フィルム溶融押出時の平面性の悪化や、フィルムの破断による生産性の低下が問題となっている。このような問題の解決のため、フィルム用としては、体積固有抵抗値が低く、密着性のよいポリエステル樹脂が要求されている。
更に、最近では、ディスプレイ等の光学用途にポリエステルフィルムが用いられており、ポリエステルフィルムには無色透明で異物の少ないことが要求されている。
前記のような、異物が少なく体積固有抵抗値の低いポリエステル樹脂としては、チタン化合物、マグネシウム化合物及びリン化合物を所定量添加して製造された樹脂が知られている。(例えば特許文献1)しかしながら、得られた樹脂の黄着色が著しいことが難点であった。
一方で、特許文献2には、異物が少なく透明性に優れたポリエステル樹脂として、チタン化合物、マグネシウム化合物及びリン化合物を所定量添加して製造された樹脂が知られている。しかしながら、得られた樹脂の黄着色が著しいこと、又は体積固有抵抗値が高くフィルム生産性に劣ることが難点であった。
特開2005−89516号公報 特開2004−124067号公報
本発明の目的は、フィルムを生産性良く成形することが出来、黄着色が少ないポリエステル樹脂を提供することである。
及び本発明の要旨は、
周期表第4A族のチタン族元素から選ばれる少なくとも1種の元素の化合物(1)、少なくとも1種の2価の金属化合物(2)及びリン化合物(3)を含有するポリエステル樹脂であって、化合物(1)を周期表第4A族のチタン族金属原子換算で2質量ppm以上10質量ppm以下、金属化合物(2)を金属原子換算で7質量ppm以上11質量ppm以下、リン化合物(3)を式1を満足する量並びに化合物(1)、金属化合物(2)及びリン化合物(3)をそれぞれ式2を満足する量含有し、固有粘度([η])が0.60〜0.80dl/g(但し、固有粘度は、フェノール/テトラクロロエタン(質量比1/1)の混合溶媒の溶液において30℃で測定したときの値である)であり、285℃での体積固有抵抗値が20×10Ω・cm以下であり、色座標b値が3.7以下であるポリエステル樹脂である。
式1:0.47≦P/M<0.7
P:リン原子の量(モル/トン)
M:2価の金属原子の量(モル/トン)
式2:0.7≦M(1−P/M)/A<2
P:リン原子の量(モル/トン)
M:2価の金属原子の量(モル/トン)
A:周期表第4A族のチタン族金属原子の量(モル/トン)
(但し、モル/トンは、ポリエステル樹脂1トン当たりの原子のモル数を表す。)又、別の要旨は、テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分とエチレングリコールを主成分とするジオール成分とを、エステル化反応させた後、引き続き、溶融重縮合する上記の上記ポリエステル樹脂の製造方法である。
本発明のポリエステル樹脂は黄着色が少なく、異物が少ないフィルムの高速成形を可能とするものである。本発明のポリエステル樹脂の製造方法は、経済的、かつ、安定的に製造可能な製造することができ、産業上極めて有用である。
次に本発明を詳細に説明するが、以下に記載される構成要件の説明は、本発明の実施態様の代表例であり、これらの内容に限定されるものではない。
本発明のポリエステル樹脂は、芳香族ジカルボン酸を主成分とするジカルボン酸成分又はジカルボン酸のエステル誘導体と、ジオール成分とをエステル化又はエステル交換及び重縮合することにより得られる。
本発明のポリエステル樹脂の製造方法は、基本的には従来公知の製造方法、すなわち、原料スラリーの調製、エステル化及び溶融重縮合により実施される。
原料として使用されるジカルボン酸成分又はジカルボン酸のエステル誘導体としては具体的にはテレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、ジブロモイソフタル酸、スルホイソフタル酸ナトリウム、フェニレンジオキシジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルケトンジカルボン酸、4,4’−ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等の脂環式ジカルボン酸、及び、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカジカルボン酸、ドデカジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸等、エステル誘導体としては炭素数1〜6のアルキルエステルが挙げられる。
もう一方の原料として使用されるジオール成分としては、具体的にはエチレングリコールやジエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、オクタメチレングリコール、デカメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、等の脂肪族ジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,1−シクロヘキサンジメチロール、1,4−シクロヘキサンジメチロール、2,5−ノルボルナンジメチロール等の脂環式ジオール、及び、キシリレングリコール、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン酸等の芳香族ジオール、並びに、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパンのエチレンオキサイド付加物又はプロピレンオキサイド付加物、等が挙げられる。
更に、前記ジオール成分及びジカルボン酸成分以外の共重合成分として、例えば、グリコール酸、p−ヒドロキシ安息香酸、p−β−ヒドロキシエトキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸やアルコキシカルボン酸、及び、ステアリルアルコール、ヘネイコサノール、オクタコサノール、ベンジルアルコール、ステアリン酸、ベヘン酸、安息香酸、t−ブチル安息香酸、ベンゾイル安息香酸等の単官能成分、トリカルバリル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、ナフタレンテトラカルボン酸、没食子酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、シュガーエステル等の三官能以上の多官能成分、等の一種又は二種以上が用いられていてもよい。
中でも本発明においては、テレフタル酸及び/又は2,6−ナフタレンジカルボン酸を主成分とするジカルボン酸成分と、エチレングリコール及び/又はジエチレングリコール
及び/又はシクロヘキサンジオール及び/又はテトラメチレングリコールを主成分とする
ジオール成分から製造されるポリエステル樹脂が好ましく、更に好ましくはテレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分とエチレングリコールを主成分とするジオール成分から製造するポリエステル樹脂において、本発明の効果は最も好適に発揮される。
本発明のポリエステル樹脂は、テレフタル酸がジカルボン酸成分の85モル%以上を占めるのが好ましく、90モル%以上を占めるのが更に好ましく、95モル%以上を占めるのが特に好ましい。又、エチレングリコールが、ジオール成分の85モル%以上を占めるのが好ましく、90モル%以上を占めるのが更に好ましく、95モル%以上を占めるのが特に好ましい。テレフタル酸及びエチレングリコールの占める割合が前記範囲未満では、ポリエステル樹脂としての機械的強度、耐熱性等が劣る傾向となる。
本発明のポリエステル樹脂を製造する時の、ジカルボン酸に対するジオールの割合(モル比)は、通常1.02〜2.0、好ましくは1.03〜1.7の範囲である。
本発明のポリエステル樹脂は、周期表第4A族のチタン族元素からなる少なくとも1種の元素の化合物(1)を周期表第4A族のチタン族金属原子換算で2質量ppm以上10質量ppm以下、少なくとも1種の2価の金属化合物(2)を金属原子換算で7質量ppm以上11質量ppm以下及びリン化合物(3)を式1を満足する量、並びに化合物(1)、金属化合物(2)及びリン化合物(3)をそれぞれ式2を満足する量含有する。
式1:0.47≦P/M<0.7
P:リン原子の量(モル/トン)
M:2価の金属原子の量(モル/トン)
式2:0.7≦M(1−P/M)/A<2
P:リン原子の量(モル/トン)
M:2価の金属原子の量(モル/トン)
A:周期表第4A族のチタン族金属原子の量(モル/トン)
(但し、モル/トンは、ポリエステル樹脂1トン当たりの原子のモル数を表す。)
ここで、周期表第4A族のチタン族元素から選ばれる化合物(1)、即ち、チタン、ジルコニウム、ハフニウム等の元素の化合物としては、酸化物、水酸化物、アルコキシド、酢酸塩、炭酸塩、蓚酸塩、及びハロゲン化物等が挙げられる。
これら元素の化合物の中で、チタン化合物が好ましく、そのチタン化合物としては、具体的には、例えば、テトラ−n−プロピルチタネート、テトラ−i−プロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネートテトラマー、テトラ−t−ブチルチタネート、テトラシクロヘキシルチタネート、テトラフェニルチタネート、テトラベンジルチタネート等のチタンアルコキシド、チタンアルコキシドの加水分解により得られるチタン酸化物、チタンアルコキシドと珪素アルコキシド又はジルコニウムアルコキシドとの混合物の加水分解により得られるチタン−珪素又はジルコニウム複合酸化物
、酢酸チタン、蓚酸チタン、蓚酸チタンカリウム、蓚酸チタンナトリウム、チタン酸カリウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸−水酸化アルミニウム混合物、塩化チタン、塩化チタン−塩化アルミニウム混合物、臭化チタン、フッ化チタン、六フッ化チタン酸カリウム、六フッ化チタン酸コバルト、六フッ化チタン酸マンガン、六フッ化チタン酸アンモニウム、チタンアセチルアセトナート等が挙げられ、中でも、テトラ−n−プロピルチタネート、テトラ−i−プロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート等のチタンアルコキシド、蓚酸チタン、蓚酸チタンカリウムが好ましく、テトラ−n−ブチルチタネートが特に好ましい。
少なくとも1種の2価の金属化合物(2)としてはマンガン、マグネシウム及びカルシ
ウムの化合物が好ましく、これらの金属の酸化物、水酸化物、アルコキシド、酢酸塩、炭酸塩、蓚酸塩、及びハロゲン化物等、具体的には、例えば、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、マグネシウムアルコキシド、酢酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、酢酸カルシウム、炭酸カルシウム、酸化マンガン、水酸化マンガン、酢酸マンガン等が挙げられる。中でも、マグネシウム化合物、マンガン化合物が好ましく、マグネシウム化合物が特に好ましく、従って2価の金属化合物が実質的にマグネシウム化合物のみからなるのが好ましい。又、マグネシウム化合物の中でも、酢酸マグネシウムが好ましい。
リン化合物(3)としては、具体的には、例えば、正リン酸、ポリリン酸、及び、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリ−n−ブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリス(トリエチレングリコール)ホスフェート、メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、イソプロピルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、モノブチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、トリエチレングリコールアシッドホスフェート等のリン酸エステル等の5価のリン化合物、並びに、亜リン酸、次亜リン酸、及び、トリメチルホスファイト、ジエチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリスドデシルホスファイト、トリスノニルデシルホスファイト、エチルジエチルホスホノアセテート、トリフェニルホスファイト等の亜リン酸エステル、リチウム、ナトリウム、カリウム等の金属塩等の3価のリン化合物等が挙げられ、中でも、5価のリン化合物のリン酸エステルが好ましく、トリメチルホスフェート、エチルアシッドホスフェートが特に好ましい。
本発明においては、周期表第4A族のチタン族元素から選ばれた少なくとも1種の元素の化合物(1)を、それらの原子換算で2質量ppm以上10質量ppm以下ポリエステル樹脂中に存在させることを必須とし、3質量ppm以上存在させることが好ましく、5質量ppm以上存在させることが更に好ましい。又、上限は、好ましくは8質量ppm、特に好ましくは7質量ppmである。 この量が前記の範囲未満では重合性が著しく悪化し生産性良く目的のポリエステル樹脂を生産することが出来ず、又前記の範囲を超過するとポリエステル樹脂の色調が極端に悪化しフィルムの生産に適さないものとなる。
又、少なくとも1種の2価の金属化合物(2)を金属原子換算でポリエステル樹脂中に7質量ppm以上11質量ppm以下存在させることを必須とし、8質量ppm以上存在させることが好ましく、上限は好ましくは11質量ppm、特に好ましくは10質量ppmである。
この量が前記範囲未満では体積固有抵抗値が高くなり、結果的にフィルムの生産性を悪化させ、前記範囲を超過すると得られるポリエステル樹脂の色調が極端に黄色を帯び、又溶融保持後の着色が悪化する。
更に、前記(3)のリン化合物を以下の式1を満足する量含有することを必須とする。
式1:0.47≦P/M<0.7
P:リン原子の量(モル/トン)
M:2価の金属原子の量(モル/トン)
P/Mの下限は0.48以上が好ましく、又上限は、0.63以下が好ましく、更に好
ましくは0.60以下である。
前記範囲未満では、得られたポリエステル樹脂の熱安定性が悪くなり、その結果色調が悪化する。
一方、前記範囲を超過すると重合性が悪くなりかつ得られたポリエステル樹脂の体積固有抵抗値が高くなりフィルムの生産に適さないものとなる。
更に、化合物(1)、金属化合物(2)、及びリン化合物(3)をそれぞれ式2を満足する量含有することを必須とする。
式2:0.7≦M(1−P/M)/A<2
P:リン原子の量(モル/トン)
M:2価の金属原子の量(モル/トン)
A:周期表第4A族のチタン族金属原子の量(モル/トン)
M(1−P/M)/Aの下限は1.0以上が好ましく、更に好ましくは1.1以上であ
る。又上限は、1.3以下が好ましい。
前記範囲を超過すると重合性が悪くなる。又、前期範囲未満では、フィルムの色調が悪化するといった不具合が生じる。
本発明のポリエステル樹脂は、上記化合物(1)、(2)及び(3)以外の成分を含みうるが、特にチタン族元素の化合物を重縮合反応時に存在させることにより得られるものであり、公知のアンチモン化合物やゲルマニウム化合物を含有する必要性はない。
アンチモン化合物は添加後に還元されてアンチモン金属として得られるポリエステル樹脂中に析出し、結果的に当該ポリエステル樹脂を用いて得られるフィルム中に異物として欠陥を生じさせる原因となる。又、一方ゲルマニウム化合物を用いる場合は、該化合物が高価であるのでコストの面で不利になる。よって、本発明のポリエステル樹脂は、アンチモン化合物やゲルマニウム化合物を実質的に含有しないのが好ましい。
以下に本発明のポリエステル樹脂の製造方法について、テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分又はそのエステル形成性誘導体と、エチレングリコールを主成分とするジオール成分とを用いた場合を例示する。
本発明のポリエステル樹脂の製造方法は、エステル化反応又はエステル交換反応を経て、周期表第4A族のチタン族元素からなる群より選ばれた少なくとも1種の元素の化合物(1)、少なくとも1種の2価の金属化合物(2)、リン化合物(3)の存在下に重縮合させるものであるが、基本的にはポリエステル樹脂の慣用の製造方法による。即ち、前記テレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体を主成分とするジカルボン酸成分とエチレングリコールを主成分とするジオール成分とを、スラリー調製槽に投入して攪拌下に混合して原料スラリーとなし、エステル化反応槽で常圧〜加圧下、加熱下で、エステル化反応させ、又は、エステル交換触媒の存在下にエステル交換反応させた後、得られたエステル化反応生成物又はエステル交換反応生成物としてのポリエステル低分子量体を重縮合槽に移送し、前記化合物の存在下に、常圧から漸次減圧としての減圧下、加熱下で、溶融重縮合させる。
尚、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸のエステル形成性誘導体を用いてエステル交換反応を行う場合は、通常、チタン化合物、マグネシウム化合物、カルシウム化合物、マ
ンガン化合物、亜鉛化合物等のエステル交換触媒を用いる必要があり、又、そのエステル交換触媒を比較的多量に用いる必要がある。これらのエステル交換反応触媒は、多量に用いると、ポリエステル樹脂の色調悪化をもたらすことから、本発明においては、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を用いてエステル化反応を経て製造する方法が好ましい。
エステル化反応は、単一のエステル化反応槽、又は、複数のエステル化反応槽を直列に接続した多段反応装置を用いて、エチレングリコールの還流下、且つ、反応で生成する水と余剰のエチレングリコールを系外に除去しながら、エステル化率(原料ジカルボン酸成分の全カルボキシル基のうちジオール成分と反応してエステル化したものの割合)が、通常90%以上、好ましくは93%以上に達するまで行われる。又、得られるエステル化反応生成物としてのポリエステル低分子量体の数平均分子量は500〜5,000であるのが好ましい。
エステル化反応における反応条件としては、単一のエステル化反応槽の場合、通常240〜280℃程度の温度、大気圧に対する相対圧力を、通常0〜400kPa(0〜4kg/cmG)程度とし、攪拌下に1〜10時間程度の反応時間とする。又、複数のエステル化反応槽の場合は、第1段目のエステル化反応槽における反応温度を、通常240〜270℃、好ましくは245〜265℃、大気圧に対する相対圧力を、通常5〜300kPa(0.05〜3kg/cmG)、好ましくは10〜200kPa(0.1〜2kg/cmG)とし、最終段における反応温度を、通常250〜280℃、好ましくは255〜275℃、大気圧に対する相対圧力を、通常0〜150kPa(0〜1.5kg/cmG)、好ましくは0〜130kPa(0〜1.3kg/cmG)とする。尚、各段におけるエステル化率は、その増加量が等しくなるようにするのが好ましい。
エステル化反応において、例えば、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ベンジルジメチルアミン等の第三級アミン、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラ−n−ブチルアンモニウム、水酸化トリメチルベンジルアンモニウム等の水酸化第四級アンモニウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸ナトリウム等の塩基性化合物等を少量添加しておくことにより、エチレングリコールからのジエチレングリコールの副生を抑制することができる。
溶融重縮合は、単一の溶融重縮合槽、又は、複数の溶融重縮合槽を直列に接続した、例えば、第1段目が攪拌翼を備えた完全混合型の反応器、第2段及び第3段目が攪拌翼を備えた横型プラグフロー型の反応器からなる多段反応装置を用いて、減圧下に、生成するエチレングリコールを系外に留出させながら行われる。
溶融重縮合における反応条件としては、単一の重縮合槽の場合、通常250〜290℃程度の温度、常圧から漸次減圧として、最終的に、絶対圧力を、通常1.3〜0.013kPa(10〜0.1Torr)程度とし、攪拌下に1〜20時間程度の反応時間とする。又、複数の重縮合槽の場合は、第1段目の重縮合槽における反応温度を、通常250〜290℃、好ましくは260〜280℃、絶対圧力を、通常65〜1.3kPa(500〜10Torr)、好ましくは26〜2kPa(200〜15Torr)とし、最終段における反応温度を、通常265〜300℃、好ましくは270〜295℃、絶対圧力を、通常1.3〜0.013kPa(10〜0.1Torr)、好ましくは0.65〜0.065kPa(5〜0.5Torr)とする。中間段における反応条件としては、それらの中間の条件が選択され、例えば、3段反応装置においては、第2段における反応温度を、通常265〜295℃、好ましくは270〜285℃、絶対圧力を、通常6.5〜0.13kPa(50〜1Torr)、好ましくは4〜0.26kPa(30〜2Torr)とする。
重縮合時における、周期表第4A族のチタン族元素から選ばれる少なくとも1種の元素の化合物(1)、及びリン化合物(3)の反応系への添加時期は、スラリー調製工程、エステル化反応又はエステル交換反応工程の任意の段階、又は、溶融重縮合工程の初期の段階のいずれであってもよいが、化合物(1)は、エステル化反応若しくはエステル交換反応工程、又は、溶融重縮合工程への移送段階に添加するのが好ましく、具体的添加工程としては、例えば、化合物(1)は、多段反応装置における最終段のエステル化反応槽、又は、溶融重縮合工程への移送段階のエステル化反応若しくはエステル交換反応生成物に添加するのが好ましく、溶融重縮合工程への移送段階のエステル化反応又はエステル交換反応生成物に添加するのが特に好ましい。又、リン化合物(3)は、スラリー調製工程又はエステル化反応若しくはエステル交換反応工程に添加するのが好ましく、スラリー調製工程に添加するのが特に好ましい。
金属化合物(2)は、エステル化反応又はエステル交換反応生成物のエステル化率が90%以上となった後、溶融重縮合工程への移送段階に添加することで、本発明の効果を発揮することが出来る。又、金属化合物(2)は、化合物(1)より前に添加するのが好ましい。
重縮合時における、化合物(1)、金属化合物(2)、及びリン化合物(3)の反応系への添加は、エチレングリコール等のアルコールや水等の溶液として行うのが好ましく、化合物(1)としてチタン化合物を用いる場合のエチレングリコール溶液としては、チタン原子の濃度を0.01〜0.3質量%とし、且つ水分濃度を0.1〜1質量%とするのが、反応系へのチタン化合物の分散性、及びそれによる溶融重縮合性の改良の面から好ましい。
このようにして溶融重合で得られたポリエステル樹脂は、通常ストランド状に溶融押し出しして反応器より抜き出したのち、チップカット工程でカットされチップ化される。
本発明の製造方法においてはフィルム用ポリエステル樹脂として好適な樹脂を得るために任意の時期に、平均粒子径0.05〜5.0μmの不活性粒子を添加することが出来る。
本発明のポリエステル樹脂は、色調として、JIS Z8730の参考1に記載されるLab表色系におけるハンターの色差式の色座標b値が3.7以下であるのが好ましく、2.7以下であるのが更に好ましく、2.3以下が特に好ましい。b値が前記範囲超過では、フィルム成形体としての色調に黄色がかる傾向となる。
色座標b値は、化合物(1)、金属化合物(2)及びリン化合物(3)の添加量を式1及び式2を満たすように添加することで、3.7以下に調節することが出来る。
式1:0.47≦P/M<0.7
P:リン原子の量(モル/トン)
M:2価の金属原子の量(モル/トン)
式2:0.7≦M(1−P/M)/A<2
P:リン原子の量(モル/トン)
M:2価の金属原子の量(モル/トン)
A:周期表第4A族のチタン族金属原子の量(モル/トン)
(但し、モル/トンは、ポリエステル樹脂1トン当たりの原子のモル数を表す。)
又、色調を更に改善するために色剤を添加することも可能である。
別の調節方法として、重合槽の滞留時間を短くする、又は、重合槽の温度を低くすることでも、色座標b値の調節は可能である。ただし、この場合には、固有粘度の低下を防止するために、重縮合槽の圧力を低くする、又は、生産レートを下げることも、合わせて考慮する必要がある。
本発明のポリエステル樹脂の固有粘度(〔η〕)は、フェノール/テトラクロロエタン(質量比1/1)の混合溶媒の溶液で30℃で測定した値として、0.60〜0.80dl/gであるのが好ましく、0.60〜0.74dl/gであるのが更に好ましい。固有粘度(〔η〕)が前記範囲未満では、フィルムや繊維等の成形体としての機械的強度、及び透明性等が不足する傾向となり、一方、前記範囲超過ではフィルム成形性が劣る傾向となる。
本発明のポリエステル樹脂は、285℃における体積固有抵抗値が20×10Ω・cm以下であることが好ましく、1×10〜19×10Ω・cmであるのが更に好ましく、1×10〜18×10Ω・cmであるのが特に好ましい。体積固有抵抗値が前記範囲外では、フィルム等の高速成形性が低下する傾向となる。尚、体積固有抵抗値は、金属化合物(2)に対するリン化合物(3)のモル比が大きくなるにつれて高くなる。又、体積固有抵抗値は、金属化合物(2)とリン化合物(3)の結合反応が進行するにつれて高くなる。よって、体積固有抵抗値を20×10Ω・cm以下に調節する方法としては、金属化合物(2)とリン化合物(3)の添加量を式1の範囲内とする方法、又は、金属化合物(2)とリン化合物(3)を別個の反応槽へ添加する方法、又は、リン化合物(3)を含有するポリエステル低分子量体を重縮合槽へ移送する途中で金属化合物(2)を添加する方法、又は、金属化合物(2)とリン化合物(3)を単一の反応槽へ添加する場合には、金属化合物(2)とリン化合物(3)を添加した後の反応時間を短縮する方法、又は、金属化合物(2)とリン化合物(3)を添加する際の温度を低くする方法、などの方法が挙げられる。
特に、テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分とエチレングリコールを主成分とするジオール成分とを、リン化合物(3)の存在下にエステル化反応させた後、得られたエステル化反応生成物としてのポリエステル低分子量体を重縮合槽に移送する途中の移送配管に金属化合物(2)を添加する方法は、反応時間の短縮や温度を低下する等の、樹脂の生産性を悪化させる操作が不要な点で、好ましい。
式1:0.47≦P/M<0.7
P:リン原子の量(モル/トン)
M:2価の金属原子の量(モル/トン)
尚、P/Mが、式1の範囲下限を下回ると、色座標b値が悪化する可能性があるため、好ましくない。
これにより得られた本発明のポリエステル樹脂は、フィルム用ポリエチレンテレフタレート樹脂として好ましい体積固有抵抗値、溶融粘度及び色調を有する。
上記ポリエステル樹脂は、必要に応じて、更に高重合度化を目的として、この溶融重縮合後の粒状体を、例えば、窒素、二酸化炭素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下、大気圧に対する相対圧力として、通常100kPa(1kg/cmG)以下、好ましくは20kPa0.2kg/cmG)以下の加圧下で通常5〜30時間程度、又は、絶対圧力として、通常6.5〜0.013kPa(50〜0.1Torr)、好ましくは1.3〜0.065kPa(10〜0.5Torr)の減圧下で通常1〜20時間程度、通常190〜230℃、好ましくは195〜225℃の温度で加熱することにより、固相重縮合させてもよい。
その際、固相重縮合に先立って、不活性ガス雰囲気下、又は、水蒸気雰囲気下若しくは水蒸気含有不活性ガス雰囲気下で、通常120〜200℃、好ましくは130〜190℃で、1分〜4時間程度加熱することにより、樹脂粒状体表面を結晶化させることが好ましい。
本発明の製造方法により得られるポリエステル樹脂は、例えば、押出成形によってシー
トに成形した後、熱成形することによってトレイや容器等に成形し、又は、該シートを二軸延伸してフィルム等とし、包装資材等として有用なものとなる。
本発明のポリエステル樹脂の前記成形体への成形は、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤、防曇剤、核剤、可塑剤、着色剤等の、ポリエステル樹脂に通常用いられる添加剤を添加し、常法に従ってなされる。
特に、本発明のポリエステル樹脂は、フィルム、特に、二軸延伸フィルムとして好適であり、その成形法としては、ポリエステル樹脂をフィルム又はシート状に溶融押出しし、冷却ドラムにより急冷して未延伸フィルム又はシートとなし、次いで、該未延伸フィルム又はシートを予熱後、縦方向に延伸し、引き続いて横方向に延伸する逐次二軸延伸法、又は、縦横方向に同時に二軸延伸する同時二軸延伸法等、従来公知の方法が採られる。その際の延伸倍率は、縦方向及び横方向共、通常2〜6倍の範囲とされ、又、必要に応じて、二軸延伸後、熱固定及び/又は熱弛緩される。尚、二軸延伸フィルムとしての厚みは、通常1〜300μm程度とされる。
尚、前記二軸延伸フィルム等のフィルムにおいては、表面のブロッキング防止のために無機質又は有機質粒子からなる滑剤が添加されるのが好ましい。その無機質粒子としては、例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、シリカ、タルク、チタニア、カオリン、マイカ、ゼオライト等、及びそれらのシランカップリング剤、又はチタネートカップリング剤等による表面処理物が挙げられる。又、有機質粒子としては、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、架橋樹脂等が挙げられる。又、これら滑剤の粒子径は、平均粒子径が0.05〜5.0μmの範囲にあるのが好ましい。又、それら滑剤の添加量は、通常0.001〜2.0質量%、好ましくは0.05〜1.0質量%、更に好ましくは0.05〜0.5質量%程度である。
以下に本発明の実施例、比較例の分析手法について説明する。
<金属原子含有量>
樹脂試料2.5gを、硫酸存在下に過酸化水素で常法により灰化、完全分解後、蒸留水にて50mlに定容したものについて、プラズマ発光分光分析装置(JOBIN YVON社製ICP−AES「JY46P型」)を用いて定量し、ポリエステル樹脂中の質量ppmに換算した。尚、樹脂中に滑剤が含有されている場合には、予め樹脂を溶媒に溶解し、未溶解の滑剤を遠心分離した後、上澄み液の溶媒を蒸発、乾固させたものについて定量した。
<固有粘度>
粉砕した樹脂試料0.25gを、フェノール/テトラクロロエタン(質量比1/1)の混合溶媒に、濃度(c)を1.0g/dlとして、110℃で30分間で溶解させた後、ウベローデ型毛細粘度管を用いて、30℃で、原液との相対粘度(ηrel )を測定し、この相対粘度(ηrel )-1から求めた比粘度(ηsp)と濃度(c)との比(η
sp/c)を求めた。同じく濃度(c)を0.5g/dl、0.2g/dl、0.1g/dlとしたときについてもそれぞれの比(ηsp/c)を求め、これらの値より、濃度(c)を0に外挿したときの比(ηsp/c)を固有粘度〔η〕(dl/g)として求めた。
<体積固有抵抗値>
樹脂試料15gを、内径20mm、長さ180mmの枝付き試験管に入れ、管内を十分に窒素置換した後、160℃のオイルバス中に浸漬し、管内を真空ポンプで1Torr以下として4時間真空乾燥し、次いで、オイルバス温度を285℃に昇温して樹脂試料を溶融させた後、窒素復圧と減圧を繰り返して混在する気泡を取り除いた。この溶融体の中に
、面積1cm2のステンレス製電極2枚を5mmの間隔で並行に(相対しない裏面を絶縁体で被覆)挿入し、温度が安定した後に、抵抗計(ヒューレット・パッカード社製「MODEL HP4329A」)で直流電圧100Vを印加し、そのときに抵抗値を体積固有抵抗値(Ω・cm)とした。
<色調>
樹脂試料を、内径36mm、深さ15mmの円柱状の粉体測色用セルに充填し、測色色差計(日本電色工業社製「ZE2000」)を用いて、JIS Z8730の参考1に記載されるLab表色系におけるハンターの色差式の色座標b値を、反射法により測定セルを90度ずつ回転させて4箇所測定した値の単純平均値として求めた。
<静電密着性>
樹脂試料を180℃で乾燥した後、290℃で溶融押し出し、表面温度40℃に保持した回転冷却ドラム上で急冷固化させて未延伸フィルムを作成した。この未延伸フィルムを巻き取る際、静電ピンニング法にてフィルム厚み斑が小さく、安定して巻き取れる速度より、以下のように静電密着性を評価した。
○:巻き取り速度 35m/min以上
△:巻き取り速度 30m/min以上35m/min未満
×:巻き取り速度 30m/min未満
<フィルム色調>
未延伸フィルムを、83℃で縦方向に3.7倍延伸した後、110℃で横方向に3.9倍延伸し、更に、220℃で熱処理を行い、厚さ38μmの2軸延伸ポリエステルフィルムを作成し、目視観察によって、以下のようにフィルムの色調を評価した。
○:黄色は目立たず、良好
△:黄色が目立つ
×:非常に黄色い
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
スラリー調製槽、及びそれに直列に接続された2段のエステル化反応槽、及び2段目のエステル化反応槽に直列に接続された3段の溶融重縮合槽からなる連続式重合装置を用いた。スラリー調製槽に、テレフタル酸とエチレングリコールを質量比で865:485の割合で連続的に供給すると共に、エチルアシッドホスフェートのエチレングリコール溶液を、生成ポリエステル樹脂に対してリン原子としての含有量が6.5質量ppmとなる量で連続的に添加して、攪拌、混合することによりスラリーを調製した。このスラリーを、窒素雰囲気下で260℃、相対圧力50kPa(0.5kg/cmG)、平均滞留時間4.5時間に設定され、反応生成物が存在する第1段目のエステル化反応槽に供給し、次いで、第1段目のエステル化反応生成物を、窒素雰囲気下で260℃、相対圧力5kPa(0.05kg/cmG)、平均滞留時間1.2時間に設定された第2段目のエステル化反応槽に連続的に移送して、更にエステル化反応させた。引き続いて、前記で得られたエステル化反応生成物を溶融重縮合槽に移送する際、その移送配管中のエステル化反応生成物に、酢酸マグネシウム4水和物のエチレングリコール溶液を、生成ポリエステル樹脂に対してマグネシウム原子としての含有量が10.5質量ppmとなる量で、連続的に添加した。引き続いて、前記で得られたエステル化反応生成物を溶融重縮合槽に移送する際、その移送配管中のエステル化反応生成物に、テトラ−n−ブチルチタネートのエチレン
グリコール溶液を、生成ポリエステル樹脂に対してチタン原子としての含有量が7.6質量ppmとなる量で、連続的に添加しつつ、270℃、絶対圧力2.6kPa(20Torr)に設定された第1段目の溶融重縮合槽、次いで、278℃、絶対圧力0.5kPa(4Torr)に設定された第2段目の溶融重縮合槽、次いで、280℃、絶対圧力0.3kPa(2Torr)に設定された第3段目の溶融重縮合槽に連続的に移送して、各重縮合槽における滞留時間を以下の通りとし、第1段目 70分、第2段目 70分、第3段目 80分、滞留時間が合計で220分となるようにして溶融重縮合させた。第3段目の重縮合槽の底部に設けられた抜き出し口からストランド状に抜き出して、水冷後、カッターで切断してチップ状粒状体としたポリエステル樹脂を製造した。得られたポリエステル樹脂の評価結果を表1に示した。
(実施例2及び3)
エチルアシッドホスフェート、酢酸マグネシウム4水和物及びテトラ−n−ブチルチタネートの添加量を表1に示すように変えた外は、実施例1と同様にしてポリエステル樹脂チップを製造し、同様に評価し、結果を表1に示した。
(比較例1、3、4、5及び6)
エチルアシッドホスフェート、酢酸マグネシウム4水和物及びテトラ−n−ブチルチタネートの添加量を表1に示すように変え、又、酢酸マグネシウム4水和物を第2段目のエステル化反応槽に設けた上部配管を通じて、連続的に添加した外は、実施例1と同様にしてポリエステル樹脂チップを製造し、同様に評価し、結果を表1に示した。
(比較例2)
エチルアシッドホスフェート、酢酸マグネシウム4水和物及びテトラ−n−ブチルチタネートの添加量を表1に示すように変えた外は、実施例1と同様にしてポリエステル樹脂チップを製造し、同様に評価し、結果を表1に示した。
Figure 2015108038

Claims (9)

  1. 周期表第4A族のチタン族元素から選ばれる少なくとも1種の元素の化合物(1)、少なくとも1種の2価の金属化合物(2)及びリン化合物(3)を含有するポリエステル樹脂であって、化合物(1)を周期表第4A族のチタン族金属原子換算で2質量ppm以上10質量ppm以下、金属化合物(2)を金属原子換算で7質量ppm以上11質量ppm以下、リン化合物(3)を式1を満足する量並びに化合物(1)、金属化合物(2)及びリン化合物(3)をそれぞれ式2を満足する量含有し、固有粘度([η])が0.60〜0.80dl/g(但し、固有粘度は、フェノール/テトラクロロエタン(質量比1/1)の混合溶媒の溶液において30℃で測定したときの値である)であり、285℃での体積固有抵抗値が20×10Ω・cm以下であり、色座標b値が3.7以下であるポリエステル樹脂。
    式1:0.47≦P/M<0.7
    P:リン原子の量(モル/トン)
    M:2価の金属原子の量(モル/トン)
    式2:0.7≦M(1−P/M)/A<2
    P:リン原子の量(モル/トン)
    M:2価の金属原子の量(モル/トン)
    A:周期表第4A族のチタン族金属原子の量(モル/トン)
    (但し、モル/トンは、ポリエステル樹脂1トン当たりの原子のモル数を表す。)
  2. 化合物(1)がチタン化合物である請求項1に記載のポリエステル樹脂
  3. 金属化合物(2)がマグネシウム化合物である請求項1又は2に記載のポリエステル樹脂
  4. ポリエステル樹脂がジカルボン酸成分とジオール成分からなり、ジカルボン酸成分の95モル%以上がテレフタル酸であり、ジオール成分の95モル%以上がエチレングリコールである請求項1乃至3に記載のポリエステル樹脂。
  5. アンチモン及びゲルマニウムを含まない請求項1乃至4に記載のポリエステル樹脂。
  6. テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分とエチレングリコールを主成分とするジオール成分とを、エステル化反応させた後、引き続き、溶融重縮合する請求項1乃至5に記載のポリエステル樹脂の製造方法。
  7. テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分とエチレングリコールを主成分とするジオール成分とを、エステル化反応させた後、得られたエステル化反応生成物としてのポリエステル低分子量体を重縮合槽に移送する途中で、マグネシウム化合物を添加し、引き続き、溶融重縮合する請求項6に記載のポリエステル樹脂の製造方法。
  8. フィルム用である請求項1乃至5に記載のポリエステル樹脂。
  9. 請求項1乃至5に記載のポリエステル樹脂を用いて得られるポリエステルフィルム。
JP2013250284A 2013-12-03 2013-12-03 ポリエステル樹脂及び製造方法 Active JP6314452B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013250284A JP6314452B2 (ja) 2013-12-03 2013-12-03 ポリエステル樹脂及び製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013250284A JP6314452B2 (ja) 2013-12-03 2013-12-03 ポリエステル樹脂及び製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015108038A true JP2015108038A (ja) 2015-06-11
JP6314452B2 JP6314452B2 (ja) 2018-04-25

Family

ID=53438645

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013250284A Active JP6314452B2 (ja) 2013-12-03 2013-12-03 ポリエステル樹脂及び製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6314452B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020075998A (ja) * 2018-11-07 2020-05-21 三菱ケミカル株式会社 ポリエステル樹脂
JP2020084151A (ja) * 2018-11-30 2020-06-04 三菱ケミカル株式会社 ポリエステル樹脂

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110117356A (zh) * 2019-05-21 2019-08-13 中国石油化工股份有限公司 一种低羧基含量聚酯用组合物及组合物溶液的制备方法及应用

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004124067A (ja) * 2002-08-05 2004-04-22 Mitsubishi Chemicals Corp ポリエステル樹脂及びその製造方法
JP2007070462A (ja) * 2005-09-07 2007-03-22 Mitsubishi Chemicals Corp フィルム用ポリエステル樹脂及びその製造方法
JP2010163613A (ja) * 2008-12-19 2010-07-29 Mitsubishi Chemicals Corp ポリエステル樹脂
JP2011243761A (ja) * 2010-05-19 2011-12-01 Mitsubishi Plastics Inc 太陽電池裏面封止用二軸配向ポリエスエルフィルム

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004124067A (ja) * 2002-08-05 2004-04-22 Mitsubishi Chemicals Corp ポリエステル樹脂及びその製造方法
JP2007070462A (ja) * 2005-09-07 2007-03-22 Mitsubishi Chemicals Corp フィルム用ポリエステル樹脂及びその製造方法
JP2010163613A (ja) * 2008-12-19 2010-07-29 Mitsubishi Chemicals Corp ポリエステル樹脂
JP2011243761A (ja) * 2010-05-19 2011-12-01 Mitsubishi Plastics Inc 太陽電池裏面封止用二軸配向ポリエスエルフィルム

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020075998A (ja) * 2018-11-07 2020-05-21 三菱ケミカル株式会社 ポリエステル樹脂
JP2020084151A (ja) * 2018-11-30 2020-06-04 三菱ケミカル株式会社 ポリエステル樹脂
JP7243151B2 (ja) 2018-11-30 2023-03-22 三菱ケミカル株式会社 ポリエステルフィルムの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP6314452B2 (ja) 2018-04-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5533898B2 (ja) ポリエステル系樹脂組成物及び成形品
JP4951903B2 (ja) フィルム用ポリエステル樹脂及びその製造方法
JP5668284B2 (ja) ポリエステル樹脂
JP6314452B2 (ja) ポリエステル樹脂及び製造方法
JP4951951B2 (ja) ポリエステル系樹脂組成物の製造方法
KR101808136B1 (ko) 태양 전지용 폴리에스테르 조성물 및 그 제조 방법
JP4196795B2 (ja) ポリエステル樹脂
JP5566184B2 (ja) 太陽電池裏面封止用二軸配向ポリエスエルフィルム
JP2016188351A (ja) ポリエステルフィルム
JP7243151B2 (ja) ポリエステルフィルムの製造方法
JP2023106155A (ja) ポリエステル樹脂及びその製造方法
WO2016056604A1 (ja) ポリエステル樹脂及びその製造方法
US9368664B2 (en) Biaxially stretched polyester film for protecting back surface of solar cell, and method for producing polyester resin
JP6601048B2 (ja) フィルム用ポリエステル樹脂及びその製造方法
JP2016188352A (ja) ポリエステル樹脂及びポリエステル樹脂組成物
JP4067331B2 (ja) ポリエステル樹脂の製造方法
JP4609427B2 (ja) ポリエステル樹脂、及びそれからなるフィルム
JP2005023312A (ja) ポリエステル樹脂の製造方法
JP2006265324A (ja) ポリエステルフィルム
JP5589533B2 (ja) ポリエステルフィルムの製造方法
JP2005272509A (ja) ポリエステルの製造方法
JP2006199973A (ja) ポリエステル樹脂の製造方法
JP2020075998A (ja) ポリエステル樹脂
JP2022045706A (ja) ポリエステル樹脂
JP2016132733A (ja) ポリエステル樹脂ペレット及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160629

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170222

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170314

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20170419

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170425

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170926

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20171027

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180227

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180312

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6314452

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151