JP2014221448A - コアシェル触媒粒子の製造方法及びコアシェル触媒粒子 - Google Patents

コアシェル触媒粒子の製造方法及びコアシェル触媒粒子 Download PDF

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典之 喜多尾
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Abstract

【課題】耐久性の高いコアシェル触媒粒子、及び、当該コアシェル触媒粒子の製造方法を提供する。
【解決手段】パラジウムを含むコアと、白金を含み且つ前記コアを被覆するシェルと、を備えるコアシェル触媒粒子の製造方法であって、平均粒径が5nm以下かつ粒径分布の標準偏差が1.4nm以下であるパラジウム含有粒子が、導電性担体に担持されたパラジウム粒子担持体を準備する工程と、銅イオンを含有する電解液中において、前記パラジウム粒子担持体に銅の酸化還元電位よりも貴な電位を印加することによって、前記パラジウム含有粒子の表面に銅を析出させる銅析出工程と、前記パラジウム含有粒子の表面に析出した前記銅を白金に置換する置換工程と、を有することを特徴とするコアシェル触媒粒子の製造方法。
【選択図】図10

Description

本発明は、コアシェル触媒粒子の製造方法及びコアシェル触媒粒子に関する。
燃料電池は、燃料と酸化剤を電気的に接続された2つの電極に供給し、電気化学的に燃料の酸化を起こさせることで、化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する。そのため、燃料電池はカルノーサイクルの制約を受けないので、高いエネルギー変換効率を示す。燃料電池は、通常、電解質膜を一対の電極で挟持した膜電極接合体を基本構造とする単セルを複数積層して構成されている。
従来、燃料電池の燃料極(アノード電極)及び酸化剤極(カソード電極)の電極触媒として、白金及び白金合金材料が採用されてきた。しかし、現在の最新技術の電極触媒に必要な量の白金は、燃料電池の大量生産を商業的に実現可能にするには依然として高価である。したがって、白金をより安価な金属と組み合わせることにより、燃料電池の燃料極及び酸化剤極に含まれる白金の量を低減させる研究がなされてきた(例えば、特許文献1〜3)。
例えば、特許文献1には、導電性担体に貴金属を含有する触媒粒子を担持させた燃料電池用電極触媒において、該貴金属含有粒子を、貴金属合金からなるコア部と、その外周に形成された該コア部と組成が異なる貴金属含有層からなるシェル部とのコア−シェル構造とすることにより、触媒活性と触媒耐久性との双方を向上させることができる旨が記載されている。また、特許文献1には、シェル部の白金含有量が100%であれば、コア部の遷移金属の溶出を効果的に抑制できる旨が記載されている。
特開2005−135900号公報 特開2009−283254号公報 特開2005−196972号公報
しかしながら、コアシェル触媒粒子は、製造工程においてシェルを均一に形成することができず、欠陥が生じていると、耐久性が低下するという問題がある。
本発明は上記実情を鑑みて成し遂げられたものであり、本発明の目的は、耐久性の高いコアシェル触媒粒子、及び、コアシェル触媒粒子の製造方法を提供することである。
本発明のコアシェル触媒粒子の製造方法は、パラジウムを含むコアと、白金を含み且つ前記コアを被覆するシェルと、を備えるコアシェル触媒粒子の製造方法であって、
平均粒径が5nm以下かつ粒径分布の標準偏差が1.4nm以下であるパラジウム含有粒子が、導電性担体に担持されたパラジウム粒子担持体を準備する工程と、
銅イオンを含有する電解液中において、前記パラジウム粒子担持体に銅の酸化還元電位よりも貴な電位を印加することによって、前記パラジウム含有粒子の表面に銅を析出させる銅析出工程と、
前記パラジウム含有粒子の表面に析出した前記銅を白金に置換する置換工程と、を有することを特徴とする。
本発明では、平均粒径が5nm以下かつ粒径分布の標準偏差が1.4nm以下であるパラジウム含有粒子を用いることによって、前記シェルにより前記コアを均一に被覆することができるため、コアシェル触媒粒子の耐久性を高くすることができる。
本発明のコアシェル触媒粒子の製造方法において、前記パラジウム含有粒子の平均粒径が、3nm以上5nm以下であることが好ましい。
本発明のコアシェル触媒粒子の製造方法において、前記パラジウム含有粒子の平均粒径が、4nm以上5nm以下であることが特に好ましい。
本発明のコアシェル触媒粒子は、パラジウムを含むコアと、白金を含み且つ前記コアを被覆するシェルと、を備えるコアシェル触媒粒子であって、
平均粒径が5nm以下かつ粒径分布の標準偏差が1.4nm以下であるパラジウム含有粒子を用いて製造されたものであることを特徴とする。
本発明のコアシェル触媒粒子は、優れた耐久性を有するものである。
本発明のコアシェル触媒粒子は、平均粒径が5.3nm以下かつ粒径分布の標準偏差が1.4nm以下であることが好ましい。
本発明のコアシェル触媒粒子は、平均粒径が3.3nm以上5.3nm以下であることが好ましい。
本発明のコアシェル触媒粒子は、平均粒径が4.3nm以上5.3nm以下であることが特に好ましい。
本発明のコアシェル触媒粒子は、担体に担持されていることが好ましい。
本発明によれば、耐久性の高いコアシェル触媒粒子を提供することができる。
本発明のコアシェル触媒粒子の製造方法の一例を示すフローチャートである。 本発明のコアシェル触媒粒子の製造方法に用いる合成装置の一例を模式的に示した斜視図である。 超微粒子化したパラジウム含有粒子表面における銅と白金の置換を説明する模式図(図3(a))と、粒径が相対的に大きいパラジウム含有粒子表面における銅と白金の置換を説明する模式図(図3(b))である。 コアシェル触媒粒子の粒子中心部におけるPt/Pd原子濃度比を算出するためのイメージ図である。 シェルが白金原子1ML(mono Layer)の場合における、コアシェル触媒粒子の粒径と、コアシェル触媒粒子中心部におけるPt/Pd原子濃度比との関係を示す図と、切頭八面体形を示す図(図5(e))である。 コアシェル触媒粒子の粒径とコアシェル触媒粒子中心部におけるPt/Pd原子濃度比との関係を示す図である。 実施例1で用いたパラジウム粒子の粒径分布を示す図である。 実施例2で用いたパラジウム粒子の粒径分布を示す図である。 比較例1で用いたパラジウム粒子の粒径分布を示す図である。 実施例及び比較例における耐久試験後の電気化学表面積維持率を示す図である。
以下、本発明のコアシェル触媒粒子の製造方法及びコアシェル触媒粒子について詳しく説明する。
尚、本発明において、パラジウムを含むコア(以下、パラジウム含有コアということがある)とは、パラジウムからなるコア及びパラジウム合金からなるコアの総称である。同様に、パラジウム含有粒子とは、パラジウム粒子及びパラジウム合金粒子の総称である。
パラジウム合金としては、イリジウム、ルテニウム、ロジウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、銀、及び、金からなる群から選ばれる金属材料とパラジウムとの合金が挙げられ、パラジウム合金を構成するパラジウム以外の金属は1種でも2種以上でもよい。
パラジウム合金は、合金全体の質量を100質量%としたときのパラジウムの含有割合が50質量%以上100質量%未満であることが好ましい。パラジウムの含有割合が50質量%以上であることにより、均一な白金含有シェルを形成することができるからである。
また、本発明において、白金を含むシェル(以下、白金含有シェルということがある)とは、白金からなるシェル及び白金合金からなるシェルの総称である。
白金合金としては、イリジウム、ルテニウム、ロジウム、ニッケル、及び、金からなる群から選ばれる金属材料との合金等が挙げられ、白金合金を構成する白金以外の金属は1種でも2種以上でもよい。
白金合金は、合金全体の質量を100質量%としたときの白金の含有割合が50質量%以上100質量%未満であることが好ましい。白金の含有割合が50質量%未満であるとすると、十分な触媒活性及び耐久性が得られないからである。
また、本発明において、シェルがコアを被覆するとは、コアの全表面がシェルによって覆われている形態のみならず、コアの表面の一部がシェルによって被覆され、コアの表面の一部が露出している形態も含まれる。
1.コアシェル触媒粒子の製造方法
本発明のコアシェル触媒粒子の製造方法は、パラジウムを含むコアと、白金を含み且つ前記コアを被覆するシェルと、を備えるコアシェル触媒粒子の製造方法であって、
平均粒径が5nm以下かつ粒径分布の標準偏差が1.4nm以下であるパラジウム含有粒子が、導電性担体に担持されたパラジウム粒子担持体を準備する工程と、
銅イオンを含有する電解液中において、前記パラジウム粒子担持体に銅の酸化還元電位よりも貴な電位を印加することによって、前記パラジウム含有粒子の表面に銅を析出させる銅析出工程と、
前記パラジウム含有粒子の表面に析出した前記銅を白金に置換する置換工程と、を有することを特徴とする。
以下、図1及び図2を用いて、本発明のコアシェル触媒粒子の製造方法の一例について説明する。図1は、本発明のコアシェル触媒粒子の製造方法の一例を示すフローチャートである。図2は、本発明のコアシェル触媒粒子の製造方法において使用可能な合成装置の一例を模式的に示す斜視図である。
図2に示す合成装置20は、反応容器1、参照電極4(例えば、Ag/AgCl/KCl)、対極5(例えば、Ptメッシュに白金黒をメッキしたもの)、対極用コンパートメント6及び攪拌子7を有している。
反応容器1は、Ti製であり、作用極としても機能する。反応容器1の表面はRuOでコーティングされており、耐腐食性が付与されている。反応容器1内には、平均粒径が5nm以下且つ粒径分布の標準偏差が1.4nm以下であるパラジウム粒子がカーボン担体に担持されたパラジウム粒子担持体2(以下、Pd/Cと称する場合がある)と、銅イオンを含有する電解液(例えば、CuSOと水と硫酸との混合物)3とが収容されている。反応容器1に収容されたPd/C2と電解液3は、攪拌子7での攪拌が可能となっている。
参照極4及び対極5は、白金線8により吊るされ、電解液3に十分に浸かるように配置されている。作用極でもある反応容器1、参照極4及び対極5が電位制御装置(例えば、ポテンショスタット等。図示せず)と電気的に接続され、作用極の電位が制御できるようになっている。尚、参照極4及び対極5は、白金線8を介して電位制御装置に接続されている。対極5は、電解液3中のPd/C2が対極5に接触するのを防ぐため、ガラス製の対極用コンパートメント6内に収容された状態で電解液3に浸漬されている。対極用コンパートメント6は、底部が多孔性のガラスフリットにより形成されており、対極5と電解液3との接触性が確保されている。
まず、作用極である反応容器1に、銅の酸化還元電位よりも貴な電位を印加することで、電解液3中において反応容器1の表面と接触したPd/C2のパラジウム粒子の表面に、銅アンダーポテンシャル析出(Cu Under potential deposition;以下、Cu−UPDと称する場合がある)によって銅を析出させる。電解液3は、攪拌子7で適宜攪拌する。
次に、反応容器1の電位制御を停止した後、攪拌子7で電解液3を攪拌しながら、反応容器1に白金イオン含有溶液(例えば、KPtClの硫酸水溶液)を添加し、イオン化傾向の違いを利用してパラジウム粒子表面の銅と白金とを置換する。これによって、パラジウムコアと白金シェルとを有するコアシェル触媒粒子が得られる。
いわゆるコア−シェル構造を有するコアシェル触媒粒子の製造方法として、Cu−UPDを応用した置換メッキを用いる方法が従来から知られている。Cu−UPDは、銅と結合力の強い異種金属表面に、銅の酸化還元電位よりも貴な電位で、金属状態の銅の単原子層が形成される現象である。表面にCu−UPDにより銅原子層が形成されたコア粒子を、シェル金属イオンを含有する溶液に浸漬し、イオン化傾向の違いを利用して銅をシェル金属で置換することによって、コアをシェルで被覆したコアシェル触媒粒子を製造することができる。
銅は、パラジウム表面上ではエネルギー的に安定なため、銅の還元電位より貴な電位を印加することで、パラジウム含有粒子の表面に銅原子層を析出させることができる。また、銅は白金よりもイオン化傾向が大きいため、パラジウム含有粒子表面の銅を白金で置換することができ、パラジウム含有粒子の表面が白金で被覆されたコアシェル触媒粒子を製造することができる。
しかしながら、従来、Cu−UPDを利用して、パラジウム含有コアを白金含有シェルで被覆したPt/Pd触媒粒子は、均一なシェルが形成されず、十分な耐久性が得られていなかった。
本発明者らは、上記のようなCu−UPDを利用した、パラジウム含有粒子に白金含有シェルを被覆するコアシェル触媒粒子の製造工程において、平均粒径が5nm以下かつ粒径分布の標準偏差が1.4nm以下であるパラジウム含有粒子を用いることにより、耐久性に優れたコアシェル触媒粒子を製造できることを見出し、本発明を完成させた。上記特定の平均粒径及び特定の粒径分布の標準偏差を有するパラジウム含有粒子を用いることによってコアシェル触媒粒子の耐久性が向上するのは、パラジウム含有コアの表面が均一な白金含有シェルで被覆されるためと考えられる。
以下、本発明の製造方法において、パラジウム含有コアの表面が均一な白金含有シェルで被覆されるメカニズムについて説明する。
Cu−UPDによりパラジウム含有粒子表面に銅を析出させる際、Cu−UPDに用いる電解液中においては、導電性担体を介してパラジウム含有粒子同士の電気的導通がとれ、且つ、パラジウム含有粒子間において、電解液を介したパラジウムイオンの授受がされるのが通常である。そのため、電解液中では、パラジウムの溶解、再析出が生じる。
このとき、電解液中では、相対的に粒径の小さいパラジウム含有粒子が溶解し、溶解したパラジウムイオンが相対的に粒径の大きいパラジウム粒子の表面で再析出する、いわゆるオストワルド熟成が起こる。パラジウム含有粒子の粒径分布が広いと、オストワルド熟成が生じる度合いが増加するため、小さいパラジウム含有粒子はより小さく、大きいパラジウム含有粒子はより大きくなり、超微粒子化したパラジウム含有粒子が多数生じると考えられる。
銅を白金に置換する工程では、銅が溶解して白金が析出する反応(Cu→Cu2++2e、Pt2++2e→Pt)が進行する。しかしながら、上記のように、超微粒子化したパラジウム含有粒子が多数生じた場合には、超微粒子化したパラジウム含有粒子表面から銅が溶解した後、さらにパラジウムまでもが溶解し、白金に置換されてしまうと考えられる(Cu→Cu2++2e、Pd→Pd2++2e、Pt2++2e→Pt)。このように、超微粒子化したパラジウム含有粒子におけるパラジウムの溶出と白金の析出とが選択的に進行する結果、超微粒子化したパラジウム含有粒子では、白金が余分に析出して白金リッチな組成になると推察される。すなわち、図3(a)に示すように、超微粒子化したパラジウム含有粒子9には厚い白金シェル10が形成される。一方、図3(b)に示すように、粒径が相対的に大きいパラジウム含有粒子9では、銅が溶解して白金が析出する反応が起こりにくくなり、白金シェル10には欠陥10aが生じると推察される。
上記現象の裏付けとして、コアシェル触媒粒子の粒子中心部におけるPt/Pd原子濃度比と、コアシェル触媒粒子の粒径との関係について検討したところ、図6に示すように、粒径が小さいコアシェル触媒粒子では白金割合が大きく、粒径が大きいコアシェル触媒粒子では、白金割合が小さいことが確認された。
図6に示したコアシェル触媒粒子の中心部におけるPt/Pd原子濃度比は、平均粒径が4nmかつ粒径分布の標準偏差が1.4nmのパラジウム粒子を用いて製造したコアシェル触媒粒子サンプル50個について、エネルギー分散型X線分析法(Energy Dispersive x−ray Spectroscopy;EDS)によるスポット分析により求めた。
一方、図6中の線(曲線)は、コアシェル触媒粒子の表面原子が全て白金、内部原子が全てパラジウムの時を、被覆率100%、すなわち、白金1ML(mono Layer)とし、白金1MLの場合のコアシェル触媒粒子の中心部におけるPt/Pd原子濃度比と、コアシェル触媒粒子の粒径との関係を示すものであり、次のようにして算出した。すなわち、面心立方格子構造を有する金属粒子の場合、一般的には、ある原子数を与えられた時に最も安定となる構造として、図5(e)に示すような切頭八面体形を取ることが知られている。図5(e)に示す切頭八面体形は、八面体の一辺Lに対する、切頭された場合の一辺sの比s/L=0.2とした場合の構造である。この切頭八面体形を用いて、粒径の異なるコアシェル触媒粒子に含まれる全原子数及び表面原子数をそれぞれ算出した。そして、全原子数に対する表面原子の割合からPtモル比を算出し、残りをPdモル比とした。コアシェル触媒粒子のPdコアの推定粒径を、Pdコア推定粒径=(Pdモル比/全モル)1/3×コアシェル触媒粒子の粒径×(Pd格子定数/Pt格子定数)とした。ここでコアシェル触媒粒子の粒径は、切頭八面体の粒子を真上から見たとき(図5(e)の矢印方向から見た時)の2辺間の距離とみなした。
また、白金1MLの場合のコアシェル触媒粒子の中心部におけるPt/Pd原子濃度比は、図4に示すように、コアシェル触媒粒子の真ん中に串を通した時の長さ方向(垂直方向)において、Pt/Pd原子濃度比=(Ptシェル厚さ×2/Pdコア推定粒径)=(コアシェル触媒粒子の粒径−Pdコア推定粒径)/Pdコア推定粒径とした。結果を図5に示す。
図6には、図5に示した白金1MLの場合のコアシェル触媒粒子の中心部におけるPt/Pd原子濃度比とコアシェル触媒粒子の粒径との関係を示す線と、EDSスポット分析により求めた、コアシェル触媒粒子の中心部におけるPt/Pd原子濃度比が示されている。図6において、白金1MLの時のPt/Pd原子濃度比を示す線を上回るPt/Pd原子濃度比を有するコアシェル触媒粒子は、白金リッチであると推定され、当該線を下回るPt/Pd原子濃度比を有するコアシェル触媒粒子は、シェルの欠陥が生じていると推定される。
図6に示すように、粒径の小さいコアシェル触媒粒子は、コアシェル触媒粒子の粒子中心部におけるPt/Pd原子濃度比が大きく、1MLを上回り白金リッチとなる傾向があることがわかる。一方、粒径の大きいコアシェル触媒粒子は、コアシェル触媒粒子の粒子中心部におけるPt/Pd原子濃度比が小さく、1MLを下回り白金シェルの欠陥が生じやすい傾向があることがわかる。
本発明では、パラジウム含有粒子表面を白金含有シェルで被覆するコアシェル触媒粒子の製造工程において、平均粒径が5nm以下かつ粒径分布の標準偏差が1.4nm以下であるパラジウム含有粒子用いることによって、コアシェル触媒粒子の製造過程におけるパラジウム含有粒子のオストワルド熟成を抑制することに成功し、その結果、パラジウム含有粒子表面の銅を白金に置換する工程におけるパラジウム含有粒子の溶出と不均一な白金の析出の進行を抑制することができたと考えられる。すなわち、本発明ではパラジウム含有粒子の表面に均一な白金含有シェルを形成することが可能であり、コアシェル触媒粒子の耐久性を向上させることができたと考えられる。
また、本発明の製造方法によれば、パラジウム含有粒子のオストワルド熟成を抑制できるため、通常、製造前後におけるパラジウム含有粒子の粒径はほとんど変化しないか、あるいは少し小さくなる程度であり、原料のパラジウム含有粒子とコアシェル触媒粒子の粒径分布の標準偏差は略等しくなる。
本発明のコアシェル触媒粒子の製造方法は、(1)準備工程、(2)銅析出工程、及び、(3)置換工程を有する。本発明は、必ずしも上記3工程のみに限定されることはない。
以下、上記工程(1)〜(3)並びにその他の工程について、順に説明する。
(1)準備工程
準備工程は、平均粒径が5nm以下かつ粒径分布の標準偏差が1.4nm以下であるパラジウム含有粒子が、導電性担体に担持されたパラジウム粒子担持体を準備する工程である。
パラジウム含有粒子としては、パラジウム粒子及びパラジウム合金粒子から選ばれる少なくとも一方を用いることができる。
パラジウム含有粒子の平均粒径は、5nm以下であればよい。パラジウム含有粒子の平均粒径が5nmを超える場合、触媒の質量あたり表面積が小さくなり、必要な活性を得るには多くの白金が必要となるためコストがかかる。パラジウム含有粒子の平均粒径が小さ過ぎると、パラジウム自体が溶けやすくなり触媒の耐久性が低下するため、パラジウム含有粒子の平均粒径は3nm以上、特に4nm以上であることがより好ましい。
本発明に使用される粒子の平均粒径の算出方法は以下の通りである。すなわち、暗視野の走査透過電子顕微鏡(STEM)を用いて1,000,000倍のSTEM写真をとり、粒子の平面上への投影面積と同一面積を有する真円の直径(円相当粒子径)を粒子の粒径としてみなす。このような写真観察による粒径の測定を、同じ種類の500個の粒子について行い、これらの粒子の粒径の平均を平均粒径とする。尚、写真端部に観察される切れた粒子は解析から除外する。
パラジウム含有粒子の粒径分布の標準偏差は、1.4nm以下であればよく、特に、1.2nm以下であることが好ましい。尚、粒径分布の標準偏差は小さければ小さいほどよい。
本発明に使用される粒子の粒径分布の標準偏差は、X線小角散乱法(Small Angle X−ray Scattering;SAXS)により算出したものであり、以下の方法で算出できる。すなわち、パラジウム含有粒子を板状に薄く伸ばした試料にX線を照射し、5度以下の散乱角度領域に現れる小角散乱から、粒径分布を測定し、得られた粒径分布から標準偏差を算出することができる。
パラジウム含有粒子の粒径分布の標準偏差は、例えば、担体に担持するパラジウム錯体の種類、担持後のパラジウムの還元方法、還元後の焼成温度、焼成時間、微細なパラジウムを溶解させるための酸洗浄工程(酸の種類、温度、時間)等によって制御可能である。
パラジウム含有粒子を担持する導電性担体として使用できる導電性材料の具体例としては、ケッチェンブラック(商品名:ケッチェン・ブラック・インターナショナル株式会社製)、バルカン(商品名:Cabot社製)、ノーリット(商品名:Norit社製)、ブラックパール(商品名:Cabot社製)、アセチレンブラック(商品名:Chevron社製)等の炭素粒子や、炭素繊維等の導電性炭素材料;金属粒子や金属繊維等の金属材料;が挙げられる。
導電性担体の平均粒径は、特に限定されないが、好ましくは0.01〜数百μm、より好ましくは0.01〜1μmである。導電性担体の平均粒径が上記範囲未満であると、導電性担体が腐食劣化する場合があり、当該導電性担体に担持されるパラジウム含有粒子が経時的に脱落してしまう虞がある。また、導電性担体の平均粒径が上記範囲を超える場合、比表面積が小さく、パラジウム含有粒子の分散性が低下するおそれがある。
導電性担体の比表面積は、特に限定されないが、好ましくは50〜2000m/g、より好ましくは100〜1600m/gである。導電性担体の比表面積が上記範囲未満であると、導電性担体へのパラジウム含有粒子の分散性が低下し、十分な電池性能が発現しない虞がある。また、導電性担体の比表面積が上記範囲を超える場合、パラジウム含有粒子の有効利用率が低下し、十分な電池性能が発現しない虞がある。
導電性担体によるパラジウム含有粒子担持率[{(パラジウム含有粒子質量)/(パラジウム含有粒子質量+導電性担体質量)}×100%]は特に限定されず、一般的には、20〜60%の範囲であることが好ましい。パラジウム含有粒子の担持量が少なすぎると、触媒機能が十分に発現しない虞がある。一方、パラジウム含有粒子の担持量が多すぎると、触媒機能の観点からは特に問題は生じないかもしれないが、必要以上のパラジウム含有粒子を担持させても、製造コストの上昇に見合った効果が得られにくくなる。
パラジウム含有粒子が導電性担体に担持されたパラジウム粒子担持体は、市販品を用いることもできるし、合成することもできる。パラジウム含有粒子を導電性担体に担持する方法としては、従来から用いられている方法を採用することができる。例えば、導電性担体を分散させた導電性担体分散液に、パラジウム含有粒子を混合し、濾過、洗浄して、エタノール等に再分散した後、真空ポンプ等で乾燥する方法が挙げられる。乾燥後、必要に応じて、加熱処理してもよい。尚、パラジウム合金粒子を使用する場合には、合金の合成とパラジウム合金粒子の担体への担持が同時に行われてもよい。
(2)銅析出工程
銅析出工程は、銅イオンを含有する電解液中において、パラジウム粒子担持体に銅の酸化還元電位よりも貴な電位を印加することによって、パラジウム含有粒子の表面に銅を析出させる工程である。
銅イオンを含有する電解液と接触(例えば該電解液に浸漬)した状態のパラジウム粒子担持体に、銅の酸化還元電位(平衡電位)よりも貴な電位を印加することによって、パラジウム含有粒子表面へのCu−UPDによる銅原子層の析出が生じる。
銅イオンを含有する電解液(以下、銅イオン含有電解液ということがある)としては、パラジウム含有粒子の表面にCu−UPDによって銅を析出させることができる電解液であれば特に限定されない。銅イオン含有電解液は、通常、溶媒に銅塩を所定量溶かしたものから構成されるが、特にこの構成に限定されず、銅イオンの一部又は全部が液中に解離して存在している電解液であればよい。
銅イオン含有電解液に用いられる溶媒としては、水、有機溶媒が挙げられるが、パラジウム含有粒子の表面への銅の析出を妨げないという観点から、水が好ましい。
銅イオン含有電解液に用いられる銅塩としては、具体的には、硫酸銅、硝酸銅、塩化銅、亜塩素酸銅、過塩素酸銅、シュウ酸銅等が挙げられる。
電解液中において、銅イオン濃度は、特に限定されないが、10〜1000mMであることが好ましい。
銅イオンを含有する電解液には、上記溶媒及び銅塩の他にも、例えば、酸等を含んでいてもよい。銅イオンを含有する電解液に添加できる酸としては、具体的には、硫酸、硝酸、塩酸、亜塩素酸、過塩素酸、シュウ酸等が挙げられる。尚、銅イオンを含有する電解液中の対アニオンと、酸中の対アニオンとは、同一であってもよく、異なっていてもよい。
また、電解液は、予め、不活性ガスをバブリングしておくことが好ましい。パラジウム含有粒子の酸化を抑制し、白金含有シェルによる均一な被覆が可能となるからである。不活性ガスとしては、窒素ガス、アルゴンガス等を用いることができる。
パラジウム粒子担持体は、粉末状態で電解液に添加することによって電解液に浸漬、分散させてもよいし、予め、溶媒に分散させてパラジウム粒子担持体分散液を調製し、該パラジウム粒子担持体分散液を電解液に添加することによって電解液に浸漬、分散させてもよい。パラジウム粒子担持体分散液に用いられる溶媒は、上述の銅イオン含有電解液に用いられる溶媒と同様のものを用いることができる。また、パラジウム粒子担持体分散液は、銅イオン含有電解液に添加可能な上記酸を含有していてもよい。
また、導電性基材上や作用極上にパラジウム粒子担持体を固定し、導電性基材や作用極のパラジウム粒子担持体固定面を、電解液に浸漬してもよい。パラジウム粒子担持体を固定する方法としては、例えば、電解質樹脂(例えばナフィオン(商品名)等)と、水やアルコール等の溶媒とを用いて、パラジウム粒子担持体ペーストを調製し、導電性基材や作用極の表面に塗布する方法が挙げられる。
パラジウム粒子担持体に銅の酸化還元電位よりも貴な電位を印加する方法は、特に限定されず、一般的な方法を採用することができる。例えば、銅イオン含有電解液中に、作用極、対極及び参照極を浸漬させ、作用極に銅の酸化還元電位よりも貴な電位を印加する方法が挙げられる。
作用極としては、例えば、チタン、白金メッシュ、白金板等の金属材料、グラッシーカーボン、カーボン板等の導電性炭素材料等の導電性が担保できる材料を用いることができる。尚、反応容器を上記導電性材料で形成し、作用極としても機能させることもできる。金属材料の反応容器を作用極として用いる場合、反応容器の内壁には、腐食を抑制する観点から、RuOをコーティングすることが好ましい。炭素材料の反応容器を作用極として用いる場合は、コーティング無しでそのまま使用することが可能である。
対極としては、例えば、白金メッシュに白金黒をめっきしたもの及び導電性炭素繊維等を用いることができる。
参照極としては、可逆水素電極(reversible hydrogen electrode;RHE)、銀−塩化銀電極及び銀−塩化銀−塩化カリウム電極等を用いることができる。
電位制御装置としては、ポテンショスタット及びポテンショガルバノスタット等を用いることができる。
印加する電位は、パラジウム含有粒子の表面に銅を析出させることができる電位、すなわち、銅の酸化還元電位よりも貴な電位であれば、特に限定されないが、例えば、0.35〜0.7V(vs.RHE)の範囲内であることが好ましく、0.4V(vs.RHE)であることが特に好ましい。
電位を印加する時間は、特に限定されないが、60分以上確保することが好ましく、反応電流が定常となり、ゼロに近づくまで行なうことがより好ましい。
電位の印加は、上記電位範囲を含む範囲において電位を掃引することによって行ってもよい。掃引する電位範囲としては、具体的には、0.3〜0.8V(vs.RHE)であることが好ましい。
電位掃引のサイクル数は、特に限定されないが、1〜20サイクルであることが好ましい。また、電位の掃引速度は、例えば、0.01〜100mV/秒である。
銅析出工程は、パラジウム含有粒子の表面の酸化防止や銅の酸化防止の観点から、窒素雰囲気等の不活性ガス雰囲気下で行うのが好ましい。
また、銅析出工程において、銅イオン含有電解液は、必要に応じて適宜攪拌することが好ましい。例えば、作用極を兼ねる反応容器を用い、該反応容器内の電解液にパラジウム粒子担持体を浸漬、分散させた場合、電解液を攪拌することで、各パラジウム粒子担持体を作用極である反応容器の表面に接触させ、各パラジウム粒子担持体のパラジウム含有粒子に均一に電位を印加させることができる。この場合、攪拌は、銅析出工程中、連続的に行ってもよいし、断続的に行ってもよい。
(3)置換工程
置換工程は、パラジウム含有粒子の表面に析出した銅を白金に置換する工程である。
置換工程において、パラジウム含有粒子表面に析出した銅を白金に置換する方法は特に限定されない。通常、白金イオンを含有する溶液(以下、白金イオン含有溶液ということがある。)に、表面に銅を析出させたパラジウム粒子担持体を接触させることによって、イオン化傾向の違いにより、銅と白金とを置換することができる。
白金イオン含有溶液に用いられる白金塩は、例えば、KPtCl、KPtCl等を用いることができ、また、([PtCl][Pt(NH])等のアンモニア錯体を用いることもできる。
白金イオン含有溶液中において白金イオン濃度は特に限定されないが、0.01〜100mMであることが好ましい。
白金イオン含有溶液に用いることができる溶媒は、上述した銅イオンを含有する電解液に用いられる溶媒と同様とすることができる。また、白金イオン含有溶液には、上記溶媒及び白金塩の他にも、例えば、酸等を含んでいてもよい。酸としては、具体的には、硫酸、硝酸、塩酸、亜塩素酸、過塩素酸、シュウ酸等が挙げられる。
白金イオン含有溶液は、事前に十分に攪拌し、パラジウム含有粒子の表面の酸化防止や、銅の酸化防止の観点から、当該溶液中には予め窒素をバブリングさせることが好ましい。
置換時間(白金含有溶液とパラジウム含有粒子との接触時間)は、特に限定されないが、10分以上確保することが好ましく、白金含有溶液を加えていくと、反応溶液の電位が上昇していくため、そのモニター電位が変化しなくなるまで置換させることがより好ましい。
尚、銅析出工程と置換工程とを、同じ反応容器内で行う場合には、銅析出工程に使用した電解液に、白金イオン含有溶液を加えてもよい。例えば、銅析出工程後、電位制御を停止し、銅析出工程において使用した銅イオン含有電解液に、白金イオン含有溶液を添加することで、銅が析出したパラジウム含有粒子を白金イオン含有溶液に接触させてもよい。
(4)その他の工程
本発明においては、銅析出工程の前に、パラジウム含有粒子の表面からパラジウム酸化物を除去する工程(以下、酸化物除去工程と称する場合がある)を設けてもよい。パラジウム含有粒子の表面から不純物であるパラジウム酸化物を除くことにより、パラジウム含有粒子に対するシェルの被覆率をより向上させることができる。
酸化物除去は、例えば、パラジウム含有粒子を含む電解液中において、パラジウム含有粒子にパラジウムの標準電極電位未満の電位を印加することにより行うことができる。
酸化物除去工程に使用できる電解液としては、当該電解液中において適宜電位を掃引することにより酸化パラジウムを溶出することができる溶液であれば、特に限定されない。
電解液の具体例としては、酸溶液が挙げられる。酸化物除去工程に使用できる酸としては、具体的には、上述した銅イオン含有電解液に使用できる酸と同様の酸が使用できる。
尚、酸化物除去工程と、上述した銅析出工程とを、同じ反応容器内で行う場合には、酸化物除去工程に使用した電解液に、銅イオン含有電解液を加えてもよい。例えば、酸化物除去工程の電解液として硫酸を使用した場合には、使用後の硫酸に硫酸銅水溶液を加えて、銅析出工程を行ってもよい。尚、酸化物除去工程において用いる電解液中の対アニオンと、銅析出工程において用いる銅イオン含有電解液の対アニオンとは、同一であってもよく、異なっていてもよい。
電解液中の酸素を可能な限り除去し、酸化物除去を速やかに進行させることができるという点から、電解液中には、窒素をバブリングさせることが好ましい。
酸化物除去を速やかに進行させるという観点から、一定の電位範囲において、電位を複数回往復させて掃引することが好ましい。
掃引する電位の範囲は、特に限定されないが、0.1〜1.0V(vs.RHE)、特に0.3〜0.5V(vs.RHE)であることが好ましい。
電位掃引のサイクル数は、特に限定されないが、10〜2000サイクルであることが好ましい。また、電位の掃引速度は、例えば、1〜100mV/秒とすることができる。
本発明においては、置換工程の後にコアシェル触媒粒子の濾過、洗浄、乾燥及び粉砕等が行われてもよい。
コアシェル触媒粒子の洗浄は、製造されたコアシェル触媒粒子のコアシェル構造を損なうことなく、不純物を除去できる方法であれば特に限定されない。当該洗浄の例としては、水、過塩素酸、希硫酸、希硝酸等を用いて吸引濾過をする方法が挙げられる。
コアシェル触媒粒子の乾燥は、溶媒等を除去できる方法であれば特に限定されず、例えば、不活性ガス雰囲気下、50〜100℃の温度を6〜12時間保持させる方法等が挙げられる。
コアシェル触媒粒子は必要に応じて粉砕してもよい。粉砕方法は、固形物を粉砕できる方法であれば特に限定されない。当該粉砕の例としては、不活性ガス雰囲気下、或いは大気下における乳鉢等を用いた粉砕や、ボールミル、ターボミル等のメカニカルミリングが挙げられる。
2.コアシェル触媒粒子
本発明のコアシェル触媒粒子は、パラジウムを含むコアと、白金を含み且つ前記コアを被覆するシェルと、を備えるコアシェル触媒粒子であって、
平均粒径が5nm以下かつ粒径分布の標準偏差が1.4nm以下であるパラジウム含有粒子を用いて製造されたものであることを特徴とする。
上記したように、本発明の製造方法によれば、オストワルド熟成を抑制できるため、製造前後においてパラジウム含有粒子の粒径はほとんど変化しないか、あるいは少し小さくなる程度であり、原料のパラジウム含有粒子とコアシェル触媒粒子のパラジウム含有コアとは、粒径分布の標準偏差が略等しくなる。
ゆえに、パラジウムを含むコアと、白金を含み且つ前記コアを被覆するシェルと、を備えるコアシェル触媒粒子であって、平均粒径が5nm以下かつ粒径分布の標準偏差が1.4nm以下であるパラジウム含有粒子を用いて製造された本発明のコアシェル触媒粒子は、平均粒径が5nm以下かつ粒径分布の標準偏差が1.4nm以下であるパラジウム含有粒子をコア粒子として用いた本発明の製造方法により得られるコアシェル触媒粒子と同様、耐久性に優れることが容易に予測できる。
本発明のコアシェル触媒粒子は、耐久性に優れる上に、粒径分布の標準偏差が1.4nm以下であることにより、性能のばらつきが少ない。
本発明のコアシェル触媒粒子に用いられる、パラジウム含有粒子としては、パラジウム及びパラジウム合金から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
パラジウム含有粒子の平均粒径は5nm以下であればよく、特に3nm以上、中でも4nm以上であることが好ましい。
また、パラジウム含有粒子の粒径分布の標準偏差は1.4nm以下であればよく、特に、1.2nm以下であることが好ましい。尚、粒径分布の標準偏差は小さければ小さいほどよい。
白金含有シェルとしては、白金からなるシェル及び白金合金からなるシェルのいずれであってもよいが、通常、白金からなるシェルであることが好ましい。
コアシェル触媒粒子の平均粒径は5.3nm以下であることが好ましく、耐久性の観点から、特に3.3nm以上、中でも4.3nm以上であることが好ましい。
また、コアシェル触媒粒子の粒径分布の標準偏差は1.4nm以下であればよく、特に、1.2nm以下であることが好ましい。尚、粒径分布の標準偏差は小さければ小さいほどよい。
コアシェル触媒粒子は、担体に担持されていることが好ましい。担体としては、上述した「1.コアシェル触媒粒子の製造方法」の導電性担体と同様のものを用いることができる。
(実施例1)
[準備工程]
平均粒径4.5nm、標準偏差1.2nmのパラジウム粒子が、カーボン粒子に担持されたパラジウム粒子カーボン(以下、Pd/Cということがある)を準備した。Pd/CにおけるPd担持量は、27質量%であった。
X線小角散乱法により得られたパラジウム粒子の粒径分布の測定結果を図7に示す。尚、図7〜9における円相当粒子径(粒径)の範囲について、例えば円相当粒子径5nmとは4.0nm<円相当粒子径5nm≦5nmの範囲を示している。
[酸化物除去工程]
図2に示す合成装置を用いた。すなわち、直径15cmのTi製円筒状容器であって、表面をRuOでコーティングしたものを反応容器1として用いた。この反応容器1を作用極としても機能させた。
対極5として、白金メッシュに白金黒をめっきしたものを準備した、対極5は、底にフリットガラスの付いたコンパートメント6に入れて、ポリエチレンフロート(図示せず)で反応容器1に設置した。
参照極4として、Ag/AgCl/KCl(3M)電極(Cypress Systems社製)を使用した。
0.05M硫酸0.55Lを作用極である反応容器1に入れた。尚、硫酸は事前に窒素でバブリングしておいた。
作用極である反応容器1、参照極4及び対極5には、外部から電位制御装置としてポテンショスタットをつないで、電位を制御できるようにした。
反応容器1内の硫酸を窒素でバブリングしながら、Pd/Cを反応容器に入れ、分散させた。サイクリックボルタンメトリー(CV)を実施し、パラジウム粒子表面の酸化物を除去した。
[銅析出工程]
酸化物除去工程に続いて、反応容器1内の硫酸を窒素でバブリングしながら、硫酸銅5水和物を反応溶液に加え、銅イオン濃度が50mMになるように調整した。
そして、作用極である反応容器1の電位を0.4V(vs.RHE)に固定し、Pd/Cのパラジウム粒子上に銅を析出させた。時々、攪拌子(スターラー)7で反応容器1内を攪拌した。0.4Vの印加は、反応電流が定常となり、ゼロに近づくまで行なった。
[置換工程]
銅析出工程に続いて、0.4V(vs.RHE)の電位制御を止め、反応容器1内の溶液をスターラー7で攪拌しながら、KPtClの硫酸溶液をゆっくり投入し、パラジウム粒子上の銅を白金に置換した。尚、KPtClの硫酸溶液は、白金イオン濃度が2mMとなるようにKPtClを0.05M硫酸溶液500mLに溶解させて調製した。また、KPtClの硫酸溶液は、反応容器1に投入する前に予め窒素バブリングしておいた。
[濾過、洗浄、粉砕の工程]
置換工程後、反応容器内の溶液を濾過し、粉末を回収した。回収した粉末を、常温純水4Lを10回に分けて加え、その都度濾過し、洗浄した。
その後、12時間、60℃で乾燥し、メノウ乳鉢と乳棒を用いて粉砕し、コアシェル触媒粒子を得た。
得られたコアシェル触媒粒子の平均粒径及び標準偏差を測定したところ、平均粒径が4.8nm、標準偏差が1.2nmであり、標準偏差はパラジウム粒子と同じであった。
(実施例2)
Pd/Cとして、平均粒径4.3nm、標準偏差1.4nmのパラジウム粒子がカーボン粒子に担持されたものを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてコアシェル触媒粒子を製造した。パラジウム粒子の粒径分布の測定結果を図8に示す。
(比較例1)
Pd/Cとして、平均粒径4.3nm、標準偏差1.7nmのパラジウム粒子がカーボン粒子に担持されたものを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてコアシェル触媒粒子を製造した。パラジウム粒子の粒径分布の測定結果を図9に示す。
(比較例2)
コアシェル触媒粒子の代わりに、平均粒径2.3nmの白金粒子を用い、白金粒子がカーボンに担持された白金担持カーボン(Pt/C)を準備した。
[耐久試験]
実施例1〜2、比較例1で得られたコアシェル触媒粒子、及び、比較例2で準備したPt/C(以下、単に触媒粒子と称する)をそれぞれ0.4gずつ秤量し、それぞれの触媒粒子を、電解質溶液(20質量%ナフィオン(登録商標)溶液0.9g)、水(15mL)、及びエタノール(12.75g)と混合し、触媒インクを作製した。当該触媒インクを回転ディスク電極(RDE)のグラッシーカーボン電極上に塗布し、乾燥させた。
このRDEについて、以下のようにサイクリックボルタンメトリー(CV)測定を実施し、耐久試験前の触媒粒子の電気化学表面積を算出した。
すなわち、まず、Ar飽和させた0.1M過塩素酸中で、事前処理として、電位掃引範囲0.05〜1.2V、掃引速度100mV/秒、サイクル数20サイクルの電位サイクルを施した後、本測定として、電位掃引範囲0.05〜1.05V、掃引速度50mV/秒、サイクル数2サイクルを実施した。本測定における2サイクル目のサイクリックボルタモグラムから水素脱着ピークの電荷量(C)を積算した。また、グラッシーカーボン電極に塗布した触媒インクの濃度と塗布量から白金の質量(g)を算出した。水素脱着ピークの電荷量(C)を白金の質量(g)で割った値を、白金の電気化学表面積(C/g)とみなした。
CV測定後、RDEを、酸素飽和させた0.1M過塩素酸水溶液中で、1600rpmで回転させながら、0.7V−0.9V(4秒−4秒)の矩形波を1万回かけ、電位サイクル耐久試験を行った。
電位サイクル耐久試験後、上記同様にして、RDEのサイクリックボルタンメトリー(CV)測定を実施し、耐久試験後の触媒粒子の電気化学表面積を算出した。
耐久試験前の触媒粒子に対する耐久試験後の触媒粒子の電気化学表面積の維持率を算出した。結果を図10に示す。
図10に示すように、電気化学表面積維持率は、実施例1が92%、実施例2が88%、比較例1が83%、比較例2が83%であった。すなわち、平均粒径が5nm以下であり、その粒径分布の標準偏差が1.4nmを超えるパラジウム含有粒子を用いた比較例1は、比較例2の白金触媒と同等の電気化学表面積維持率を示したのに対して、平均粒径が5nm以下であり且つその粒径分布の標準偏差が1.4nm以下のパラジウム含有粒子を用いた実施例1及び2は、比較例1及び比較例2より高い電気化学的表面積維持率を示し、耐久性が向上した。特に、粒径分布の標準偏差が1.2nm以下のパラジウム含有粒子を用いた実施例1は、電気化学表面維持率が比較例1、2よりも約9%以上高かった。
以上の結果から、平均粒径が5nm以下、かつ、粒径分布の標準偏差が、1.4nm以下のパラジウム含有粒子を用いることによって、コアシェル触媒粒子の耐久性を向上させることができ、白金触媒粒子以上の電気化学表面積維持率を確保することができることがわかる。
実施例1〜2において、コアシェル触媒粒子の耐久性が向上したのは、平均粒径が5nm以下、かつ、粒径分布の標準偏差が、1.4nm以下のパラジウム含有粒子を用いることによって、コアシェル触媒粒子の製造過程におけるパラジウム含有粒子のオストワルド熟成が抑制され、パラジウム含有粒子の表面に白金含有シェルが均一に形成されたためと推察できる。
1 反応容器
2 パラジウム粒子担持体
3 電解液
4 参照極
5 対極
6 対極用コンパートメント
7 攪拌子(スターラー)
8 白金線
、9 パラジウム含有粒子
10、10 白金シェル
10a 欠陥
20 合成装置

Claims (8)

  1. パラジウムを含むコアと、白金を含み且つ前記コアを被覆するシェルと、を備えるコアシェル触媒粒子の製造方法であって、
    平均粒径が5nm以下かつ粒径分布の標準偏差が1.4nm以下であるパラジウム含有粒子が、導電性担体に担持されたパラジウム粒子担持体を準備する工程と、
    銅イオンを含有する電解液中において、前記パラジウム粒子担持体に銅の酸化還元電位よりも貴な電位を印加することによって、前記パラジウム含有粒子の表面に銅を析出させる銅析出工程と、
    前記パラジウム含有粒子の表面に析出した前記銅を白金に置換する置換工程と、
    を有することを特徴とするコアシェル触媒粒子の製造方法。
  2. 前記パラジウム含有粒子の平均粒径が、3nm以上5nm以下である請求項1に記載のコアシェル触媒粒子の製造方法。
  3. 前記パラジウム含有粒子の平均粒径が、4nm以上5nm以下である請求項1又は2に記載のコアシェル触媒粒子の製造方法。
  4. パラジウムを含むコアと、白金を含み且つ前記コアを被覆するシェルと、を備えるコアシェル触媒粒子であって、
    平均粒径が5nm以下かつ粒径分布の標準偏差が1.4nm以下であるパラジウム含有粒子を用いて製造されたものであることを特徴とするコアシェル触媒粒子。
  5. 前記コアシェル触媒粒子の平均粒径が5.3nm以下かつ粒径分布の標準偏差が1.4nm以下である、請求項4に記載のコアシェル触媒粒子。
  6. 前記コアシェル触媒粒子の平均粒径が3.3nm以上5.3nm以下である、請求項4又は5に記載のコアシェル触媒粒子。
  7. 前記コアシェル触媒粒子の平均粒径が4.3nm以上5.3nm以下である、請求項4乃至6のいずれか一項に記載のコアシェル触媒粒子。
  8. 前記コアシェル触媒粒子が、担体に担持されている、請求項4乃至7のいずれか一項に記載のコアシェル触媒粒子。
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