JP2014229516A - 燃料電池用触媒の製造方法 - Google Patents

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誠 安達
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誠 長谷川
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Noriyuki Kitao
典之 喜多尾
桂一 金子
Keiichi Kaneko
桂一 金子
利彦 吉田
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利彦 吉田
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Abstract

【課題】従来よりも高活性な燃料電池用触媒を製造する方法を提供する。
【解決手段】中心粒子、及び当該中心粒子を被覆する金属最外層を備える触媒微粒子、並びに、当該触媒微粒子が担持されたカーボン担体を備える燃料電池用触媒の製造方法であって、前記中心粒子が担持されたカーボン担体と、第1の金属化合物が溶解した溶液とを混合し、当該混合物に対してアンダーポテンシャル析出法を施すことにより、前記中心粒子表面の少なくとも一部を前記第1の金属化合物由来の金属によって被覆し、前記混合物中における、前記中心粒子が担持されたカーボン担体の濃度が、20g/dm以上400g/dm以下であることを特徴とする、燃料電池用触媒の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、従来よりも高活性な燃料電池用触媒を製造する方法に関する。
燃料電池は、燃料及び酸化剤を電気的に接続された2つの電極にそれぞれ供給し、電気化学的に燃料を酸化させることで、化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する。火力発電とは異なり、燃料電池はカルノーサイクルの制約を受けないため、高いエネルギー変換効率を示す。燃料電池は、通常、電解質膜を一対の電極で挟持した膜・電極接合体を基本構造とする単セルを複数積層して構成されている。
従来、燃料電池のアノード及びカソードの電極触媒として、担持白金及び白金合金材料が採用されてきた。しかし、今日の電極触媒に必要とされる量の白金は、燃料電池の大量生産を商業的に実現するには依然として高価である。したがって、白金をより安価な金属と組み合わせることにより、燃料電池カソード及びアノードに含まれる白金の量を低減させる研究がなされてきた。
上記課題の解決を目的とした技術の1つとして、中心粒子及び当該中心粒子を被覆する最外層を備える構造(いわゆるコアシェル構造)を有する触媒微粒子に関する技術が知られている。当該触媒微粒子においては、中心粒子に比較的安価な材料を用いることにより、触媒反応にほとんど関与しない粒子内部のコストを低く抑えることができる。このような研究を応用した技術として、非特許文献1には、カーボンに担持されたパラジウム粒子に対して白金単原子層が被覆された電気化学触媒(Pt/Pd/C)に関する、スケールアップ合成法が開示されている。
特許文献1には、ナノ粒子及び電解質を含むスラリーを保持できるセルであって、導電性を有するセル内側層、参照極、対極、及び攪拌制御装置を備える装置を使用して、カーボンに担持されたパラジウム表面に、銅アンダーポテンシャル析出法(Cu under potential deposition method;以下、Cu−UPD法と称する場合がある)を用いて白金を被覆する方法が記載されている。
特許文献2には、カバー、作用極、白金箔、参照極、及び対極を収納した上室と、銅イオン溶液が収納された電気化学セルを備える下室とが、微細孔材料により隔てられた装置を使用して、カーボンに担持されたパラジウム表面に、Cu−UPD法を用いて白金を被覆する方法が記載されている。
K.Sasaki et al.,Electrochimica Acta 55(2010)2645−2652
米国特許出願公開第2012/0245019号明細書 米国特許出願公開第2012/0245017号明細書
非特許文献1、特許文献1及び特許文献2に記載された製造方法には、いずれも、Cu−UPD法を行うに当たり槽型反応容器が用いられている。特に、非特許文献1には、スケールアップ合成法として、内壁に酸化ルテニウム(RuO)を被覆したチタン製円筒型容器を作用極とし、当該円筒型容器の中にカーボン担持パラジウム粒子及び硫酸銅(CuSO)水溶液を加え且つ電位を付与することによって、Cu−UPD法によりパラジウム粒子に銅単原子層を被覆する旨が記載されている(非特許文献1の第2647頁目の「2.1 Scale−up synthesis」)。しかし、本発明者らが検討した結果、このように内壁のみを作用極とした槽型反応容器においては、反応終了までに多大な時間が費やされるという問題や、セル中の粉末全体に電位を付与する必要があるものの、作用極(内壁)に触れた粉末しか電位が付与されないためCu−UPDが十分進行せず、高い活性を有する触媒が得られないという問題があった。
本発明は、上記実状を鑑みて成し遂げられたものであり、従来よりも高活性な燃料電池用触媒を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明の燃料電池用触媒の製造方法は、中心粒子、及び当該中心粒子を被覆する金属最外層を備える触媒微粒子、並びに、当該触媒微粒子が担持されたカーボン担体を備える燃料電池用触媒の製造方法であって、前記中心粒子が担持されたカーボン担体と、第1の金属化合物が溶解した溶液とを混合し、当該混合物に対してアンダーポテンシャル析出法を施すことにより、前記中心粒子表面の少なくとも一部を前記第1の金属化合物由来の金属によって被覆し、前記混合物中における、前記中心粒子が担持されたカーボン担体の濃度が、20g/dm以上400g/dm以下であることを特徴とする。
本発明においては、アンダーポテンシャル析出法を施した前記中心粒子が担持されたカーボン担体と、第2の金属化合物が溶解した溶液とを混合することによって、前記中心粒子表面における前記第1の金属化合物由来の金属を、前記第2の金属化合物由来の金属に置換することが好ましい。
本発明において、前記混合物中における、前記中心粒子が担持されたカーボン担体の濃度が、25g/dm以上200g/dm以下であることが好ましい。
本発明において、前記中心粒子は、パラジウム、イリジウム、ロジウム、及び金からなる群より選ばれる少なくとも1つの金属を含む粒子であることが好ましい。
本発明においては、前記第1の金属化合物は、銅、亜鉛、及びカドミウムからなる群より選ばれる少なくとも1つの金属を含む化合物であることが好ましい。
本発明において、前記第2の金属化合物は、白金、イリジウム、ルテニウム、ロジウム、及び金からなる群より選ばれる少なくとも1つの金属を含む化合物であることが好ましい。
本発明によれば、反応混合物中における、中心粒子が担持されたカーボン担体の濃度を特定の範囲内とすることにより、アンダーポテンシャル析出法を用いた従来の製造方法により製造されたコアシェル触媒と比較して、高い活性の触媒微粒子を製造することができる。
パラジウム担持カーボン(Pd担持率:27質量%)の濃度(粉濃度)と、アンダーポテンシャル析出法に必要な硫酸銅の濃度との関係を表すグラフである。 実施例1、比較例1−比較例2、及び比較例5−比較例6の製造工程における、グラファイト製容器壁面とグラファイト製容器の内部中央との間の電気抵抗の測定結果をまとめたグラフである。 実施例1、比較例1−比較例4、及び比較例7におけるUPD効率の測定結果をまとめたグラフである。 実施例1、比較例1、比較例5、及び比較例7の燃料電池用触媒のORR活性をまとめたグラフである。
本発明の燃料電池用触媒の製造方法は、中心粒子、及び当該中心粒子を被覆する金属最外層を備える触媒微粒子、並びに、当該触媒微粒子が担持されたカーボン担体を備える燃料電池用触媒の製造方法であって、前記中心粒子が担持されたカーボン担体と、第1の金属化合物が溶解した溶液とを混合し、当該混合物に対してアンダーポテンシャル析出法を施すことにより、前記中心粒子表面の少なくとも一部を前記第1の金属化合物由来の金属によって被覆し、前記混合物中における、前記中心粒子が担持されたカーボン担体の濃度が、20g/dm以上400g/dm以下であることを特徴とする。
Cu−UPD法を用いた合成法においては、コア材料表面にいかに均一に銅を析出させるかが課題となる。コア材料表面に銅が不均一に析出した場合には、銅を白金と置換した後に、コア材料表面に白金が不均一に析出する結果となるからである。
Cu−UPD法を用いた合成法をスケールアップした場合には、溶液中における銅イオンの均一な拡散に長い時間が費やされ、製造効率が落ち、コストが高くなるおそれがある。また、スケールアップした場合には、コア材料全体に電位を一様に付与することが困難となるため、電位降下が局所的に発生し、その結果、コア材料に対して銅が均一に析出せず、得られる触媒微粒子の品質がばらつくおそれがある。また、Cu−UPD法のスケールアップは、銅を含む大量の廃液処理を伴い、環境負荷が高い。さらに、銅と白金との置換が不十分な場合には、得られた触媒微粒子を膜・電極接合体中に用いた際、触媒微粒子中に残存した銅が電極反応中に溶出することにより、膜・電極接合体が劣化するおそれがある。
特に、nm〜μmオーダーのカーボン担体等に担持された金属ナノ粒子に対しCu−UPD法を行う際、Cu−UPD法の反応速度は、銅イオンの移動速度と金属ナノ粒子への電子伝導性により決定される。効率よくCu−UPD法を行う為には、銅イオンの移動速度と金属ナノ粒子への電子伝導性とを両立させた反応環境が必要となる。
上記特許文献1の発明においては、パラジウム担持カーボンが電解液中に懸濁され、電解液の対流を利用したCu−UPD法が行われる。しかし、このような方法においては、パラジウム担持カーボンと電極との接触回数がCu−UPD法の反応速度を支配するため、100C/hr程度の反応速度に留まる。また、電極との接触により初めてパラジウム担持カーボンに電子が伝導されるため、電極と接触しないパラジウム担持カーボンについてはCu−UPD法が進行しないという問題も生じる。したがって、上記特許文献1の発明においては、一定量以上のパラジウム担持カーボンに対しCu−UPD法を施す際、Cu−UPD法の効率が必然的に低下すると考えられるため、大量合成には向いていない。
一方、上記特許文献2の発明においては、パラジウム担持カーボンが銅イオン水溶液中に懸濁され、パラジウム担持カーボンが微細孔材料中の微細孔を通過することによりCu−UPD法が行われる。しかし、このような方法においては、電子伝導性の向上を目的として微細孔材料の細孔径を小さくすると、パラジウム担持カーボンの通過速度が遅くなる。一方、通過速度の向上を目的として微細孔材料の細孔径を大きくすると、パラジウム担持カーボンに対する微細孔材料の接触面積が小さくなり、電子伝導性に乏しくなる。したがって、上記特許文献2の発明においては、通過速度(すなわち反応時間)と電子伝導性(すなわち反応効率)とは背反の関係にある。また、電極との接触により初めてパラジウム担持カーボンに電子が伝導されるため、電極と接触しないパラジウム担持カーボンについてはCu−UPD法が進行しないという問題も生じる。
また、コアシェル構造を有する触媒微粒子の前提として、コアに対するシェルの被覆率が低い場合には、コアが溶出し、性能が著しく低下するという問題がある。よって、コアシェル構造を有する触媒微粒子の製造方法においては、いかに簡易に被覆率の高いコアシェル触媒を合成できるかが重要である。
本発明者らは、アンダーポテンシャル析出法(以下、UPD法と称する場合がある)を施す際に、反応混合物中の粉濃度を特定の範囲内とすることにより、UPD法の効率(以下、UPD効率と称する場合がある)及び触媒活性が向上することを見出し、本発明を完成させた。
本発明に用いられる中心粒子は、金属最外層に用いられる材料と格子不整合を生じない金属材料であることが好ましい。また、コストを抑える観点から、中心粒子を構成する原料は、金属最外層に用いられる材料よりも安価な金属材料であることが好ましい。さらに、中心粒子を構成する原料は、電気的導通がとれる金属材料であることが好ましい。
この様な観点から、中心粒子を構成する原料は、パラジウム、イリジウム、ロジウム若しくは金等の金属、又は2種以上の当該金属からなる合金を含むことが好ましい。
本発明に用いられる中心粒子は、パラジウム含有粒子であることがより好ましい。パラジウム含有粒子は、予め合成したものを用いることもできるし、市販品を用いることもできる。なお、本発明でいうパラジウム含有粒子とは、パラジウム粒子及びパラジウム合金粒子の総称である。
金属最外層に白金を用いる場合、白金は、触媒活性、特に酸素還元反応(ORR:Oxygen Reduction Reaction)活性に優れている。また、白金の格子定数は3.92Åであるのに対し、パラジウムの格子定数は3.89Åであり、パラジウムの格子定数は白金の格子定数の±5%の範囲内の値であることから、白金−パラジウム間で格子不整合が生じず、白金によるパラジウムの被覆が十分に行われる。
本発明に使用されるパラジウム含有粒子は、コストを抑える観点から、後述する金属最外層に用いられる材料よりも安価な金属材料を含むことが好ましい。さらに、パラジウム含有粒子は、電気的導通がとれる金属材料を含むことが好ましい。
以上の観点から、本発明に用いられるパラジウム含有粒子は、パラジウム粒子、又は、イリジウム、ロジウム若しくは金等の金属とパラジウムとの合金粒子であることが好ましい。パラジウム合金粒子を用いる場合には、当該パラジウム合金粒子にはパラジウムの他に金属が1種類のみ含まれていてもよいし、2種類以上含まれていてもよい。
中心粒子は、カーボン担体に担持されていてもよい。特に、中心粒子を用いて製造される触媒微粒子を燃料電池の電極触媒層に使用した際、電極触媒層に導電性を付与するという観点から、カーボン担体が導電性材料であることが好ましい。
カーボン担体の具体例としては、ケッチェンブラック(商品名:ケッチェン・ブラック・インターナショナル株式会社製)、バルカン(商品名:Cabot社製)、ノーリット(商品名:Norit社製)、ブラックパール(商品名:Cabot社製)、アセチレンブラック(商品名:Chevron社製)等の炭素粒子や、炭素繊維等の導電性炭素材料等が挙げられる。
中心粒子が担持されたカーボン担体は、予め調製されたものであってもよいし、市販のものであってもよい。中心粒子の担体への担持方法には、従来から用いられている方法を採用することができる。中心粒子に合金粒子を用いる場合には、合金の調製と合金粒子の担体への担持が同時に行われてもよい。
中心粒子の平均粒径は、後述する触媒微粒子の平均粒径以下であれば、特に限定されない。なお、中心粒子1つ当たりのコストに対する表面積の割合が高いという観点から、中心粒子の平均粒径は、好ましくは30nm以下、より好ましくは5〜10nmである。
なお、本発明に用いられる中心粒子及び触媒微粒子の平均粒径は、常法により算出される。中心粒子及び触媒微粒子の平均粒径の算出方法の例は以下の通りである。まず、400,000〜1,000,000倍のTEM画像において、ある1つの粒子について、当該粒子を球状と見なした際の粒径を算出する。このようなTEM観察による粒径の算出を、同じ種類の200〜300個の粒子について行い、これらの粒子の平均を平均粒径とする。
UPD法を実施する前に、予め中心粒子が担持されたカーボン担体の分散液に水素ガスをバブリングする工程を有することが好ましい。このようなバブリング工程を設け、中心粒子表面を水素雰囲気化で還元することによって、中心粒子表面の酸化被膜を効果的に除去することが可能となる。
中心粒子の分散媒としては、電解質であれば特に限定されず、適宜選択することができる。好ましい分散媒としては、酸溶液が挙げられる。本発明に好適に使用される酸溶液は、具体的には、硝酸、硫酸、過塩素酸、塩酸、次亜塩素酸等が挙げられる。特に、中心粒子としてパラジウム含有粒子を用いる場合には、後にめっきする銅を溶解させるのに十分な酸化力をもつという観点から、硫酸及び/又は硝酸を用いることが好ましい。なお、酸溶液の濃度、及びバブリングによる酸溶液中の雰囲気制御は、酸溶液の種類ごとに適宜調節すればよい。
水素ガスの濃度は、特に限定されず、例えば、10〜90体積%程度でよい。また、水素ガスのバブリング時間は、水素ガス濃度、処理する触媒前駆体量等に応じて適宜設定すればよく、例えば、0.5〜1時間程度でよい。
水素ガスのバブリングに先立ち、中心粒子が担持されたカーボン担体の分散液は、不活性ガスによるバブリングを行うことが好ましい。水素ガスバブリング時の安全性を高めることができるからである。同様の観点から、水素ガスバブリング後にも不活性ガスのバブリングを行うことが好ましい。不活性ガスとしては、窒素ガスやアルゴンガス等の一般的なものを用いることができ、バブリング時間等は、適宜設定すればよい。
UPD法を実施する前に、予め中心粒子が担持されたカーボン担体に電位を付与する処理を行うことが好ましい。ここでいう電位を付与する処理とは、中心粒子が担持されたカーボン担体を酸溶液に添加し、電位を付与する処理を含む。電位を付与する処理に使用される酸溶液としては、例えば、上記バブリング工程にて使用されるものと同様のものを用いることができる。バブリング工程後に電位を付与する処理を行う場合には、バブリング工程後の分散液をそのまま用いて電位を付与する処理を行ってもよい。
全ての中心粒子に対し電位処理が満遍なく速やかに進行するという観点から、中心粒子が分散した酸溶液においては、各中心粒子が互いに凝集することなく、酸溶液中に均一に分散していることが好ましい。
電位を付与する処理において、分散液に付与する電位について特に制限はなく、例えば、0.1〜1.2V(vs.RHE)の矩形波パターン等を付与することができる。
特に、中心粒子としてパラジウム含有粒子を用いる場合には、0.4〜0.6V(vs.RHE)の電位の範囲は、パラジウム含有粒子表面の酸化物(酸化被膜)を除去できる電位の範囲であるため好ましい。0.4V(vs.RHE)未満の電位においては、パラジウムによる水素の吸蔵が始まるおそれがある。一方、0.6V(vs.RHE)を超える電位においては、パラジウム含有粒子中のパラジウム等の金属が溶出しだすおそれがある。なお、下限の0.4V(vs.RHE)を0.2V程度下回ったとしても、パラジウム含有粒子の表面の酸化物を除去するクリーニング効果そのものは、0.4〜0.6V(vs.RHE)の電位範囲の掃引の効果と同程度である。電位を付与する処理における電位の範囲は、0.4〜0.45V(vs.RHE)の範囲が好ましい。
電位を付与する処理においては、0.4〜0.6V(vs.RHE)の範囲内であれば、所定の電位に固定して電位処理を実行してもよいし、所定の電位の範囲を1回又は2回以上掃引してもよい。なお、パラジウム含有粒子表面に対する吸着物質の脱着を繰り返し、当該表面に存在する酸化物を効率よく除去できるという観点からは、電位を付与する処理における電位処理は、0.4〜0.60V(vs.RHE)の範囲内の任意の2つの電位間を掃引する電位処理であることが好ましい。
任意の2つの電位間にて電位を掃引する場合には、掃引の回数は、反応スケールにより適宜調節することができる。掃引の回数は、例えば、1〜100gの中心粒子について、1〜3,000サイクル程度である。
電位を付与する処理に要する時間は、中心粒子の表面の酸化物が十分除去できる時間であれば特に限定されず、合成スケールにより適宜調節できる。電位付与終了の目安としては、例えば、0.4〜0.60V(vs.RHE)の範囲内の任意の2つの電位間を掃引する電位処理を行った場合には、電位処理の波形の軌道が、前回掃引時の波形の軌道とほぼ重なり、複数回掃引しても電位処理の波形がほぼ同一の軌跡を描くようになった場合が挙げられる。このような場合には、当該電位処理に対する電流の変動が一定となり、中心粒子の表面の酸化物がほぼ消失したとみなすことができる。
電位付与に要する時間は、例えば、1〜100gの中心粒子について、1〜48時間程度である。
電位を付与する処理の具体例は以下の通りである。まず、中心粒子が担持されたカーボン担体を水中に加え、適宜水中に分散させた後、酸溶液をさらに加え、0.4〜0.6V(vs.RHE)の範囲内で電位を往復して掃引する。このとき、酸溶液は、窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガスにより予めバブリングし、酸溶液中の酸素等を可能な限り除去することが好ましい。
このように、UPD法を実施する前の中心粒子が担持されたカーボン担体に対し予め電位処理を行うことにより、中心粒子の表面に吸着している酸化物を除去でき、中心粒子表面をクリーニングできる。また、中心粒子としてパラジウム含有粒子を用いる場合には、付与する電位を0.4〜0.6V(vs.RHE)の範囲内、好適には0.4〜0.45V(vs.RHE)の範囲内とすることにより、パラジウム含有粒子からのパラジウム等金属の溶出や、パラジウムによる水素吸蔵のおそれもないため、パラジウム含有粒子表面に酸化物が新たに現れるおそれもない。
本発明において用いられる第1の金属化合物は、UPD法により中心粒子を被覆する金属を発生させる金属化合物であれば、特に限定されない。
本発明における「第1の金属化合物が溶解した溶液」中には、第1の金属化合物がそのまま存在していてもよいし、第1の金属化合物に由来する金属イオンが存在していてもよい。すなわち、第1の金属化合物が溶解した溶液中には、第1の金属化合物に由来する金属元素が含まれていればよい。なお、第1の金属化合物には、金属塩及び金属錯体が含まれる。
本発明に使用される第1の金属化合物は、銅、亜鉛、若しくはカドミウムを含む化合物、又はこれらの金属を2種類以上含む化合物であることが好ましい。これらの中でも、本発明に使用される第1の金属化合物は、銅化合物であることが好ましく、銅塩及び銅錯体の少なくともいずれか1つであることがより好ましい。
第1の金属化合物が溶解した溶液は酸を含むことが好ましい。当該溶液に含まれる酸としては、硫酸、硝酸、過塩素酸、塩酸、次亜塩素酸等が例示でき、これらの酸の中でも、硫酸が好ましい。
第1の金属化合物が溶解した溶液は、窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガスを予めバブリングし、当該溶液中の酸素等を可能な限り除去することが好ましい。
本発明においては、中心粒子が担持されたカーボン担体と、第1の金属化合物が溶解した溶液とを混合する。混合の態様については特に限定されない。例えば、中心粒子が担持されたカーボン担体の粉末そのものと第1の金属化合物が溶解した溶液とを混合してもよいし、中心粒子が担持されたカーボン担体の分散液と第1の金属化合物が溶解した溶液とを混合してもよい。すなわち、中心粒子が担持されたカーボン担体については、固体の状態で混合してもよいし、液体中に分散している状態で混合してもよい。
本発明においては、中心粒子が担持されたカーボン担体と、第1の金属化合物が溶解した溶液との混合物中における、中心粒子が担持されたカーボン担体の濃度が、20g/dm以上400g/dm以下であることが主な特徴の1つである。
中心粒子が担持されたカーボン担体の濃度(以下、粉濃度と称する場合がある)が20g/dm未満である場合には、UPD効率が低い。特許文献1に記載されたような槽型反応容器を用いる製造方法においては、金属ナノ粒子担持カーボンを容器下部の電極に接触させることにより電気的導通をとり、UPD法を実施する。このような製造方法においては、金属ナノ粒子担持カーボンが電極に接触する回数によりアンダーポテンシャル析出速度が決まるため、UPD効率は攪拌の態様や電極面積に依存し、UPD効率の向上には限界がある。
一方、本発明においては、粉濃度を20g/dm以上と十分に高くすることにより、中心粒子が担持されたカーボン担体と電極との電気的導通を常に確保できる。後述する図2において示すように、粉濃度を20g/dm以上とする場合には、容器壁面と当該容器中央との間の抵抗が下がり、電気的導通がとれることが確認されている。
本発明において、前記混合物中における粉濃度は、25g/dm以上であることが好ましく、40g/dm以上であることがより好ましく、55g/dm以上であることがさらに好ましい。特に、粉濃度55g/dmは、中心粒子が担持されたカーボン担体がお互いに接触し、全ての当該カーボン担体において電気的導通が取れる粉濃度の下限である。
一方、粉濃度が400g/dmを超える場合には、反応溶液中に溶ける第1の金属化合物の濃度が低くなる。例えば硫酸銅の水に対する飽和溶解度は、液温が0℃の場合に0.88mol/Lであり、液温が20℃の場合に1.27mol/Lである。硫酸銅水溶液を用いる場合、硫酸銅の水に対する溶解度を考慮しなければならず、仮に硫酸銅の量が多すぎて硫酸銅固体が析出した場合には、硫酸銅の水に対する溶解及び銅イオンの物質移動がUPD法における律速段階となるおそれがある。
本発明において、前記混合物中における粉濃度は、300g/dm以下であることが好ましく、200g/dm以上であることがより好ましく、130g/dm以下であることがさらに好ましい。特に、粉濃度130g/dmは、液温20℃において必要最少量の硫酸銅の2倍を含む硫酸銅水溶液の飽和溶解度に達する粉濃度の上限である。
図1は、パラジウム担持カーボン(Pd担持率:27質量%)の濃度(粉濃度)と、UPD法に必要な硫酸銅の濃度との関係を表すグラフである。ここで、UPD法に必要な硫酸銅の濃度とは、具体的には、UPD法に必要とされる硫酸銅の最少量を含む硫酸銅水溶液の濃度のことである。図1中、「St」はストイキオメトリーを示し、「St=1」のグラフは、UPD法に必要な硫酸銅の最少量と同じ量の硫酸銅を含む水溶液のグラフである。「St=2」のグラフ、及び「St=5」のグラフは、それぞれ、UPD法に必要な硫酸銅の最少量の2倍又は5倍の硫酸銅を含む水溶液のグラフである。
図1中の矢印で示した横方向の直線は、液温が20℃の場合における硫酸銅の水に対する飽和溶解度(1.27mol/L)を示す線である。20℃における飽和溶解度(1.27mol/L)と、「St=2」の曲線が交わる点の粉濃度は、130g/dmとなる。したがって、図1中の斜線で示した範囲、すなわち、粉濃度が55g/dm以上且つ130g/dm以下であり、UPD法に必要な硫酸銅の濃度が、「St=2」の曲線よりも上であり且つ1.27mol/L以上である範囲において、UPD法は好適に進行する。
UPD法の具体例は以下の通りである。まず、中心粒子が担持されたカーボン担体を硫酸銅水溶液中に加える。このとき、混合物中における、中心粒子が担持されたカーボン担体の濃度が、20g/dm以上400g/dm以下となるようにする。次に、混合物中に0.3〜0.4V(vs.RHE)の範囲内の電位を付与することにより、UPD法を実施する。
このような条件下でUPD法を実施することにより、従来の製造方法を用いたときよりも、アンダーポテンシャル析出時間が約1/6以下に短縮される他、中心粒子に対する被覆率も向上し、得られる触媒微粒子の酸素還元活性も20%以上向上する。
本発明においては、UPD法を施した前記中心粒子が担持されたカーボン担体と、第2の金属化合物が溶解した溶液とを混合することによって、前記中心粒子表面における前記第1の金属化合物由来の金属を、前記第2の金属化合物由来の金属に置換することが好ましい。ここで、第2の金属化合物由来の金属とは、中心粒子を被覆する金属最外層を構成する金属に相当する。
金属最外層を構成する材料は、触媒活性が高いことが好ましい。ここでいう触媒活性とは、燃料電池用触媒としての活性、特に酸素還元反応(ORR)活性のことを指す。
金属最外層は、白金、イリジウム、ルテニウム、ロジウム、及び金からなる群より選ばれる少なくとも1つの金属を含むことが好ましい。
本発明における「第2の金属化合物が溶解した溶液」中には、第2の金属化合物がそのまま存在していてもよいし、第2の金属化合物に由来する金属イオンが存在していてもよい。すなわち、第2の金属化合物が溶解した溶液中には、第2の金属化合物に由来する金属元素が含まれていればよい。なお、第2の金属化合物には、金属塩及び金属錯体が含まれる。
第2の金属化合物は、白金、イリジウム、ルテニウム、ロジウム、及び金からなる群より選ばれる少なくとも1つの金属を含む化合物であることが好ましい。これら金属化合物は、目的とする金属最外層の組成に合わせて、適宜添加割合を調節できる。なお、第2の金属化合物が溶解した溶液を、窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガスにより予めバブリングし、当該溶液中の酸素等を可能な限り除去することが好ましい。
第2の金属化合物の添加量は、中心粒子の平均粒径から予め算出した、形成予定の金属最外層の面積(又は体積)から決定することが好ましい。中心粒子の平均粒径は、上述した方法により算出できる。
第2の金属化合物が溶解した溶液には、クエン酸、クエン酸のナトリウム塩、クエン酸のカリウム塩、エチレンジアミン四酢酸(以下、EDTAと称する場合がある)、EDTAのナトリウム塩、及びEDTAのカリウム塩等の添加剤を混合することが好ましい。これらの添加剤は溶液中において第2の金属化合物由来の金属と錯体を形成するため、溶液中における当該金属元素の分散性が高くなり、その結果、中心粒子の表面に対し均一に金属最外層を被覆することができる。上記添加剤は、1種類のみ用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
第2の金属化合物が溶解した溶液は酸を含むことが好ましい。当該溶液に含まれる酸としては、硫酸、硝酸、過塩素酸、塩酸、次亜塩素酸等が例示でき、これらの酸の中でも、硫酸が好ましい。
第2の金属化合物が溶解した溶液を、上述した中心粒子を含む反応混合物に徐々に添加し、添加終了後、反応混合物の自然電位がプラトーになるまで攪拌することにより、金属置換反応が終了し、触媒微粒子が合成される。合成後の触媒微粒子を含む分散液は、適宜ろ過し、ろ過物を次の工程に供する。
第2の金属化合物由来の金属に置換した後には、触媒微粒子のろ過、洗浄、及び乾燥等が行われてもよい。
触媒微粒子のろ過及び洗浄は、製造された触媒微粒子の被覆構造を損なうことなく、不純物を除去できる方法であれば特に限定されない。当該ろ過及び洗浄の例としては、水、過塩素酸、希硫酸、希硝酸等を用いて吸引ろ過をする方法が挙げられる。
触媒微粒子の乾燥は、溶媒等を除去できる方法であれば特に限定されない。当該乾燥の例としては、室温下の真空乾燥を0.5〜2時間行った後、不活性ガス雰囲気下、60〜80℃の温度条件で1〜12時間乾燥させるという方法が挙げられる。
中心粒子の溶出をより抑制できるという観点から、中心粒子に対する金属最外層の被覆率が、80〜100%であることが好ましい。中心粒子に対する金属最外層の被覆率が80%未満である場合、電気化学反応において中心粒子が溶出し、その結果、触媒微粒子が劣化するおそれがある。
なお、ここでいう「中心粒子に対する金属最外層の被覆率」とは、中心粒子の全表面積を100%としたときの、金属最外層により被覆されている中心粒子の面積の割合を百分率で表した値(%)を指す。当該被覆率を算出する方法の一例を以下説明する。まず、誘導結合プラズマ質量分析法(Inductively Coupled Plasma Mass Spectrometry:ICP−MS)等により、触媒微粒子中の金属最外層に由来する金属含有量(A)を測定する。一方で、透過型電子顕微鏡(TEM)等により、触媒微粒子の平均粒径を測定する。測定した平均粒径から、その粒径の粒子が表面に有する原子の数を推定し、粒子表面の1原子層が金属最外層に由来する金属に置き換わった場合の金属含有量(B)を推定する。金属含有量(A)を金属含有量(B)で除した値が、「中心粒子に対する金属最外層の被覆率」となる。
本工程において形成される金属最外層は、単原子層であることが好ましい。このような触媒微粒子は、2原子層以上の金属最外層を有する触媒微粒子と比較して、金属最外層における触媒性能が極めて高いという利点、及び、金属最外層の被覆量が少ないため材料コストが低いという利点がある。
なお、触媒微粒子の平均粒径は、その下限が好適には3nm以上、より好適には4nm以上であり、その上限が好適には40nm以下、より好適には10nm以下である。
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
1.燃料電池用触媒の製造
[実施例1]
1−1.銅単原子層めっきの実施
まず、パラジウム担持カーボン粉末(Pd担持率:27質量%)10g、及び0.05Mの硫酸181mLを、それぞれグラファイト製容器に加えて混合した。混合物中における、パラジウム担持カーボン粉末の濃度は、10(g)/181(mL)=55g/dmである。
次に、グラファイト製容器を作用極として、対極及び参照極がいずれも上記混合物に浸かるように、対極及び参照極を設置した。
続いて、グラファイト製容器を密閉し、混合物中に窒素ガスを流速50cc/minで、30分間バブリングした。その後、混合物中に水素ガスを流速50cc/minで30分間バブリングし、さらに窒素ガスを流速50cc/minで30分間バブリングした。
作用極、対極、及び参照極をポテンショスタットに接続し、作用極の電位を、0.40〜0.45V(vs.RHE)の範囲内で360サイクル往復して掃引した。このときの電位の掃引速度は5mV/sとした。この電位サイクルの付与により、パラジウム表面の不純物を除去した。
次に、グラファイト製容器中に硫酸銅五水和物(CuSO・5HO)30gを加え、作用極の電位を0.37V(vs.RHE)に保持することにより、パラジウム表面に銅単原子層を被覆した。
1−2.銅単原子層から白金単原子層への置換
塩化白金酸カリウム(KPtCl)4.5g及びクエン酸一水和物(COH(COH)(CHCOH)・HO)78gを、0.05Mの硫酸200mLに溶解させ、白金化合物溶液を調製した。上記銅単原子層めっき実施後のグラファイト製容器中に当該白金化合物溶液を80分間かけて徐々に加え、その後、得られた懸濁液を1時間攪拌した。この操作により、パラジウム表面の銅単原子層を白金単原子層に置換した。
1−3.燃料電池用触媒の洗浄、乾燥、及び粉砕
グラファイト製容器中の懸濁液をろ過することにより、白金単原子層が表面に被覆されたパラジウム粒子がカーボンに担持されてなる燃料電池用触媒が得られた。その後、常温(15〜30℃)の純水を約4L、燃料電池用触媒に対し10回に分けて加え、その都度ろ過し、洗浄した。
洗浄後の触媒微粒子を、60℃の温度条件下、12時間乾燥させた。乾燥後の触媒微粒子を、メノウ乳鉢と乳棒を用いて適宜粉砕し、実施例1の燃料電池用触媒を製造した。
[比較例1]
実施例1において、パラジウム担持カーボン粉末及び硫酸の混合物中における、パラジウム担持カーボン粉末の濃度を=0.4g/dmとしたこと以外は、実施例1と同様に銅単原子層めっきの実施、銅単原子層から白金単原子層への置換、並びに、洗浄、乾燥、及び粉砕を行い、比較例1の燃料電池用触媒を製造した。
[比較例2]
実施例1において、パラジウム担持カーボン粉末及び硫酸の混合物中における、パラジウム担持カーボン粉末の濃度を=2.7g/dmとしたこと以外は、実施例1と同様に銅単原子層めっきの実施、銅単原子層から白金単原子層への置換、並びに、洗浄、乾燥、及び粉砕を行い、比較例2の燃料電池用触媒を製造した。
[比較例3]
実施例1において、パラジウム担持カーボン粉末及び硫酸の混合物中における、パラジウム担持カーボン粉末の濃度を=7.5g/dmとしたこと以外は、実施例1と同様に銅単原子層めっきの実施、銅単原子層から白金単原子層への置換、並びに、洗浄、乾燥、及び粉砕を行い、比較例3の燃料電池用触媒を製造した。
[比較例4]
実施例1において、パラジウム担持カーボン粉末及び硫酸の混合物中における、パラジウム担持カーボン粉末の濃度を=8.1g/dmとしたこと以外は、実施例1と同様に銅単原子層めっきの実施、銅単原子層から白金単原子層への置換、並びに、洗浄、乾燥、及び粉砕を行い、比較例4の燃料電池用触媒を製造した。
[比較例5]
実施例1において、パラジウム担持カーボン粉末及び硫酸の混合物中における、パラジウム担持カーボン粉末の濃度を=10g/dmとしたこと以外は、実施例1と同様に銅単原子層めっきの実施、銅単原子層から白金単原子層への置換、並びに、洗浄、乾燥、及び粉砕を行い、比較例5の燃料電池用触媒を製造した。
[比較例6]
実施例1において、パラジウム担持カーボン粉末及び硫酸の混合物中における、パラジウム担持カーボン粉末の濃度を=27g/dmとしたこと以外は、実施例1と同様に銅単原子層めっきの実施、銅単原子層から白金単原子層への置換、並びに、洗浄、乾燥、及び粉砕を行い、比較例6の燃料電池用触媒を製造した。
[比較例7]
実施例1において、パラジウム担持カーボン粉末及び硫酸の混合物中における、パラジウム担持カーボン粉末の濃度を=1,000g/dmとしたこと以外は、実施例1と同様に銅単原子層めっきの実施、銅単原子層から白金単原子層への置換、並びに、洗浄、乾燥、及び粉砕を行い、比較例7の燃料電池用触媒を製造した。
2.燃料電池用触媒の評価
2−1.電気抵抗の測定
実施例1、比較例1−比較例2、及び比較例5−比較例6において、原料であるパラジウム担持カーボン粉末と硫酸とを混合させた際の、グラファイト製容器壁面とグラファイト製容器の内部中央との間の電気抵抗を測定した。
図2は、実施例1、比較例1−比較例2、及び比較例5−比較例6における当該電気抵抗の測定結果をまとめたグラフであり、縦軸として電気抵抗Rの対数を、横軸として混合物中のパラジウム担持カーボン粉末の濃度(以下、粉濃度と称する場合がある)を、それぞれとったグラフである。なお、図2中の曲線は、図2中のプロットの近似曲線を示す。
図2から分かるように、粉濃度が0.4〜28g/dmの場合には、電気抵抗は一定値(logR=5)を保つ。しかし、粉濃度が50g/dmを超えると急激に電気抵抗が低下し始め、logRの値は2.7まで下がる。このように、電気抵抗が2ケタ近くも低下する理由は、粉濃度が適度に高いことにより、グラファイト製容器壁面とグラファイト製容器の内部中央との間の導電性が確保される結果、UPD電流が効率よく流れるためであると考えられる。
2−2.UPD効率の測定
実施例1、比較例1−比較例4、及び比較例7において、銅単原子層めっきの際のUPD効率を測定した。UPD効率は、各粉濃度でカーボンに担持されたパラジウムを同一の電位で銅めっきする際に、ポテンショスタットにて測定されるめっき電流が最小値で一定となるまでの時間を用いて、下記式(1)により算出した。ここで、めっき電流が最小値で一定となるまでの時間とは、UPDめっきが完了するまでの時間のことを指し、本測定において具体的には、平均粒径4nmのパラジウム担持カーボンを10gめっきする際にめっき電流が−10mA以下で一定となるまでの時間を指す。
UPD効率=(めっきしたPdの質量)/(UPDめっきが完了するまでの時間) 式(1)
図3は、実施例1、比較例1−比較例4、及び比較例7におけるUPD効率の測定結果をまとめたグラフであり、縦軸としてUPD効率(g−Pd/hr)を、横軸として粉濃度(g/dm)を、それぞれとったグラフである。なお、図3中の曲線は、図3中のプロットの近似曲線を示す。
図3から分かるように、粉濃度が10g/dm未満の場合には、UPD効率は1(g−Pd/hr)以下であった。しかし、粉濃度が10g/dm以上から急激にUPD効率が上昇し始め、55g/dmにおいてUPD効率が5.5(g−Pd/hr)となった。UPD効率は粉濃度が55g/dmにおいて最大値を迎え、それ以上の粉濃度においては緩やかにUPD効率が低下し、粉濃度が1,000g/dmにおけるUPD効率は0.1(g−Pd/hr)であった。実施例1(粉濃度:55g/dm)のUPD効率は、従来技術である比較例3(粉濃度:7.5g/dm)のUPD効率の5.5倍である。
2−3.触媒活性の測定
実施例1、比較例1、比較例5、及び比較例7の燃料電池用触媒について、酸素還元反応(ORR)活性を測定した。測定の詳細は以下の通りである。
(a)回転ディスク電極の調製
燃料電池用触媒を乾燥させ、得られた粉末を乳鉢によりすりつぶした。この粉末を、超純水6.0mL、イソプロパノール1.5mL、及び5%Nafion(商品名)分散液35μLの混合溶液中に分散させた。得られた分散液を回転ディスク電極(以下RDEと称する場合がある)に塗布し、自然乾燥させた。
(b)RDE測定
調製後のRDEを、0.1M過塩素酸水溶液中に浸漬し、サイクリックボルタンメトリー(CV)を行った。このとき、0.1M過塩素酸水溶液としては、予めArガスを30mL/minで30分以上バブリングさせたものを用いた。
また、調製後のRDEを、他の0.1M過塩素酸水溶液中に浸漬し、リニアスイープボルタンメトリー(LSV)を行った。このとき、0.1M過塩素酸水溶液としては、予め酸素ガスを30mL/minで30分以上バブリングさせたものを用いた。
(c)ECSAの算出
Arにより飽和させた0.1M過塩素酸水溶液中において得られたサイクリックボルタモグラム波形(CV波形)から水素吸着電荷量を算出した。水素吸着電荷量は、CV波形中の還元波における0.40−0.07Vの水素吸着波形から、二重層の電荷量を差し引くことにより算出した。水素吸着電荷量を理論的な係数(210μC/cm)で除することにより、燃料電池用触媒の表面積を算出した。
燃料電池用触媒の表面積を、RDE上の白金質量で除することにより、ECSAを算出した(下記式(2))。RDE上の白金質量は、RDEへの燃料電池用触媒の塗布量、及びICP分析により求めた燃料電池用触媒中のPt担持率より算出した。
(ECSA)=(燃料電池用触媒の表面積)/(RDE上の白金質量)
={(水素吸着電荷量)/(210μC/cm)}/(RDE上の白金質量) 式(2)
(d)ORR活性の算出
酸素により飽和させた0.1M過塩素酸水溶液中において得られたリニアスイープボルタモグラムの還元波より、0.35V(vs.RHE)における電流値(ilim)、及び0.90V(vs.RHE)における電流値(i0.9)をそれぞれ読み取った。これらの電流値から、下記式(3)よりkinetic電流(i)を算出した。
(i)=(ilim*i0.9)/(ilim−i0.9) 式(3)
kinetic電流(i)を、上述したRDE上の白金質量で除することにより、ORR活性(質量活性(MA@0.9V、1,600rpm))を算出した。
(参考文献:Schmidt et al.,Chapter 22,Handbook of Fuel Cells,Pg316,Volume 2,2003)
図4は、実施例1、比較例1、比較例5、及び比較例7の燃料電池用触媒のORR活性をまとめたグラフであり、縦軸として触媒活性(A/g−Pt)を、横軸として粉濃度(g/dm)を、それぞれとったグラフである。なお、図4中の曲線は、図4中のプロットの近似曲線を示す。
図4から分かるように、粉濃度が0.4g/dmの場合における触媒活性は400(A/g−Pt)であり(比較例1)、粉濃度が10g/dmの場合における触媒活性は425(A/g−Pt)であり(比較例5)、粉濃度が1,000g/dmの場合における触媒活性は430(A/g−Pt)である(比較例7)。これに対し、粉濃度が55g/dmの場合における触媒活性は500(A/g−Pt)であり(実施例1)、この値は、比較例1、比較例5、及び比較例7の値の1.2倍以上である。したがって、粉濃度を20g/dm以上400g/dm以下の範囲内として製造した触媒微粒子の触媒活性は、当該範囲から外れる粉濃度により製造した触媒微粒子よりも20%以上高い触媒活性を有することが分かる。
また、図3及び図4を比較すると分かるように、粉濃度に対し、UPD効率及び触媒活性は同様に推移する。したがって、UPD効率と触媒活性との間には相関がみられると共に、粉濃度は、製造時におけるUPD効率及び得られる触媒微粒子の触媒活性について、両方の指標となると考えられる。

Claims (6)

  1. 中心粒子、及び当該中心粒子を被覆する金属最外層を備える触媒微粒子、並びに、当該触媒微粒子が担持されたカーボン担体を備える燃料電池用触媒の製造方法であって、
    前記中心粒子が担持されたカーボン担体と、第1の金属化合物が溶解した溶液とを混合し、当該混合物に対してアンダーポテンシャル析出法を施すことにより、前記中心粒子表面の少なくとも一部を前記第1の金属化合物由来の金属によって被覆し、
    前記混合物中における、前記中心粒子が担持されたカーボン担体の濃度が、20g/dm以上400g/dm以下であることを特徴とする、燃料電池用触媒の製造方法。
  2. アンダーポテンシャル析出法を施した前記中心粒子が担持されたカーボン担体と、第2の金属化合物が溶解した溶液とを混合することによって、前記中心粒子表面における前記第1の金属化合物由来の金属を、前記第2の金属化合物由来の金属に置換する、請求項1に記載の燃料電池用触媒の製造方法。
  3. 前記混合物中における、前記中心粒子が担持されたカーボン担体の濃度が、25g/dm以上200g/dm以下である、請求項1又は2に記載の燃料電池用触媒の製造方法。
  4. 前記中心粒子は、パラジウム、イリジウム、ロジウム、及び金からなる群より選ばれる少なくとも1つの金属を含む粒子である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の燃料電池用触媒の製造方法。
  5. 前記第1の金属化合物は、銅、亜鉛、及びカドミウムからなる群より選ばれる少なくとも1つの金属を含む化合物である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の燃料電池用触媒の製造方法。
  6. 前記第2の金属化合物は、白金、イリジウム、ルテニウム、ロジウム、及び金からなる群より選ばれる少なくとも1つの金属を含む化合物である、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の燃料電池用触媒の製造方法。
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