JP2016128148A - コアシェル触媒の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】コアシェル構造を破壊することなく、残存するCuや未被覆のPdを除去することが可能なコアシェル触媒の製造方法を提供する。【解決手段】パラジウム含有金属をコア、白金含有金属をシェルとするコアシェル触媒の製造方法であって、パラジウム含有金属微粒子に、銅イオン含有電解液中で銅の酸化還元電位よりも貴な電位を印加し、パラジウム含有金属微粒子表面の少なくとも一部を銅で被覆し銅/パラジウム複合体を得る銅被覆工程と、白金を含む溶液中で銅/パラジウム複合体の銅と白金とを置換し、白金/パラジウム複合体を得る置換工程と、該白金/パラジウム複合体を常温の硝酸溶液中で酸素を含むガスを導入して処理する後処理工程と、を有することを特徴とする、コアシェル触媒の製造方法とする。【選択図】なし

Description

本発明は、コアシェル触媒の製造方法に関する。
燃料電池用電極触媒として、白金等の貴金属の使用量を低減することを目的としたコアシェル触媒が知られている。例えば、特許文献1、2には、銅アンダーポテンシャル析出法(Cu−UPD法)を応用した置換メッキにより、コアシェル触媒を製造する方法が記載されている。
Cu−UPD法を用いて製造したコアシェル触媒を電極化してMEAとして使用すると、残存するCuや未被覆のPdが溶出して電池の性能を低下させるという問題があった。図1は、MEA中の金属溶出量がプロトン抵抗に及ぼす影響を示す図である。図1に示すように、MEA中で金属がイオンとして溶出すると、アイオノマー被毒が発生し、プロトン抵抗は増加する。プロトン抵抗が増加する結果、電池の性能は低下する。
そこで、コアシェル触媒を電極化する前に、残存するCuや未被覆のPd等の不純物を除去する方法として、特許文献2には、コアシェル触媒の合成後、硝酸を用いて後処理を行うことが記載されている。
特開2014−117652号公報 特開2013−215701号公報
硝酸を用いてコアシェル触媒の後処理を行う場合、従来法ではPt/CやPtCo/C等の触媒と同様に、60〜90℃の硝酸下で処理を行うことが試みられてきた。しかし、本手法ではCu、Pdの除去は進むものの、触媒粒子に与える熱負荷が大きく、同時にPtシェルの溶解まで進行し、コアシェル構造が破壊される。結果として、コアシェル触媒の活性低下を招いてきた。
一方、常温の硝酸を用いて処理を行うと、コアシェル構造の破壊は抑制されるものの、肝心のCu、Pdの除去が進まないという問題があった。
そこで本発明は、コアシェル構造を破壊することなく、残存するCuや未被覆のPdを除去することが可能なコアシェル触媒の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、Cu−UPD法を用いて白金/パラジウム複合体を合成し、該白金/パラジウム複合体を常温の硝酸溶液中で、酸素を含むガスを導入して処理することにより、コアシェル構造を破壊することなく、残存するCuや未被覆のPdを一定水準まで低減することが可能であることを知見した。本発明は当該知見に基づいて完成させた。
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段をとる。すなわち、
本発明は、パラジウム含有金属をコア、白金含有金属をシェルとするコアシェル触媒の製造方法であって、パラジウム含有金属微粒子に、銅イオン含有電解液中で銅の酸化還元電位よりも貴な電位を印加し、パラジウム含有金属微粒子表面の少なくとも一部を銅で被覆し銅/パラジウム複合体を得る銅被覆工程と、白金を含む溶液中で銅/パラジウム複合体の銅と白金とを置換し、白金/パラジウム複合体を得る置換工程と、該白金/パラジウム複合体を常温の硝酸溶液中で酸素を含むガスを導入して処理する後処理工程と、を有することを特徴とする、コアシェル触媒の製造方法である。
本発明において、「常温」とは15℃以上40℃以下を意味する。
本発明によれば、コアシェル構造を破壊することなく、残存するCuや未被覆のPdを除去することが可能なコアシェル触媒の製造方法を提供することができる。
コアシェル触媒の金属溶出量がプロトン抵抗に及ぼす影響を示す図である。 実施例1及び比較例1〜3で得られたコアシェル触媒のCu残存量の測定結果を示す図である。 実施例1及び比較例1〜3で溶解したPd成分量の測定結果を示す図である。 実施例1及び比較例1〜3で得られたコアシェル触媒の電気化学的表面積(ECSA)及び触媒活性(MA)の測定結果を示す図である。
以下、本発明について説明する。なお、以下に示す形態は本発明の例示であり、本発明
は以下に示す形態に限定されない。
本発明は、パラジウム含有金属をコア、白金含有金属をシェルとするコアシェル触媒の製造方法であって、パラジウム含有金属微粒子に、銅イオン含有電解液中で銅の酸化還元電位よりも貴な電位を印加し、パラジウム含有金属微粒子表面の少なくとも一部を銅で被覆し銅/パラジウム複合体を得る銅被覆工程と、白金を含む溶液中で銅/パラジウム複合体の銅と白金とを置換し、白金/パラジウム複合体を得る置換工程と、該白金/パラジウム複合体を常温の硝酸溶液中で酸素を含むガスを導入して処理する後処理工程と、を有することを特徴とする。
以下、本発明のコアシェル触媒の製造方法が有する(1)銅被覆工程、(2)置換工程、及び(3)後処理工程について順に説明する。
(1)銅被覆工程
銅被覆工程は、パラジウム含有金属微粒子に、銅イオン含有電解液中で銅の酸化還元電位よりも貴な電位を印加し、パラジウム含有金属微粒子表面の少なくとも一部を銅で被覆し銅/パラジウム複合体を得る工程である。
パラジウム含有金属微粒子としては、パラジウム微粒子及びパラジウム合金微粒子から選ばれる少なくとも一方の微粒子を用いることができる。
パラジウム合金としては、イリジウム、ルテニウム、ロジウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、銀及び金からなる群より選ばれる金属材料とパラジウムとの合金が挙げられ、パラジウム合金を構成するパラジウム以外の金属は1種でも2種以上でもよい。
パラジウム合金は、合金全体の質量を100質量%としたときのパラジウムの含有割合が80質量%以上であることが好ましい。パラジウムの含有割合が80質量%以上であることにより、均一な白金含有シェルを形成することができるからである。
パラジウム含有金属微粒子の平均粒径は、特に限定されないが、10nm以下であることが好ましい。パラジウム含有金属微粒子の平均粒径が10nmを超える場合、白金の質量あたり表面積が小さくなり、必要な活性を得るには多くの白金が必要となるためコストがかかる。パラジウム含有金属微粒子の平均粒径が小さ過ぎると、パラジウム自体が溶けやすくなり触媒の耐久性が低下するため、パラジウム含有金属微粒子の平均粒径は3nm以上であることが好ましい。
本発明に使用される微粒子の平均粒径の算出方法は以下の通りである。すなわち、走査型電子顕微鏡(TEM)を用いて1,000,000倍のTEM写真をとり、微粒子の平面上への投影面積と同一面積を有する真円の直径(円相当粒子径)を微粒子の粒径とみなす。このような写真観察による粒径の測定を、同じ種類の500個の微粒子について行い、これらの微粒子の粒径の平均を平均粒径とする。なお、写真端部に観察される切れた微粒子は解析から除外する。
パラジウム含有金属微粒子は、担体に担持されていることが好ましい。担体としては、特に限定されないが、本発明のコアシェル触媒を燃料電池の電極触媒層に使用した際、電極触媒層に導電性を担保する観点から、導電性担体を用いることが好ましい。
パラジウム含有金属微粒子を担持する担体として使用できる材料の具体例としては、ケッチェンブラック(商品名:ケッチェン・ブラック・インターナショナル社製)、バルカン(商品名:Cabot社製)、ノーリット(商品名:Norit社製)、ブラックパール(商品名:Cabot社製)、アセチレンブラック(商品名:Chevron社製)等の炭素粒子や炭素繊維等の導電性炭素材料、金属粒子や金属繊維等の金属材料、ペリレンレッド等の有機顔料等の非導電性材料が挙げられる。
担体の平均粒径は、特に限定されないが、好ましくは0.01〜数百μm、より好ましくは0.01〜1μmである。担体の平均粒径が上記範囲未満であると、担体が腐食劣化する場合があり、当該担体に担持されるパラジウム含有金属微粒子が経時的に脱落してしまうおそれがある。また、担体の平均粒径が上記範囲を超える場合、比表面積が小さく、パラジウム含有金属微粒子の分散性が低下するおそれがある。
担体の比表面積は、特に限定されないが、好ましくは50〜2000m/g、より好ましくは100〜1600m/gである。担体の比表面積が上記範囲未満であると、担体へのパラジウム含有金属微粒子の分散性が低下し、十分な電池性能が発現しないおそれがある。また、担体の比表面積が上記範囲を超える場合、パラジウム含有金属微粒子の有効利用率が低下し、十分な電池性能が発現しないおそれがある。
担体によるパラジウム含有金属微粒子担持率[{(パラジウム含有金属微粒子質量)/(パラジウム含有金属微粒子質量+担体質量)}×100%]は特に限定されず、一般的には、20〜60%の範囲であることが好ましい。パラジウム含有金属微粒子の担持量が少なすぎると、触媒機能が十分に発現しないおそれがある。一方、パラジウム含有金属微粒子の担持量が多すぎると、触媒機能の観点からは特に問題は生じないかもしれないが、必要以上のパラジウム含有金属微粒子を担持させても、製造コストの上昇に見合った効果が得られにくくなる。
パラジウム含有金属微粒子を担体に担持する方法としては、従来から用いられている方法を採用することができる。例えば、担体を分散させた担体分散液に、パラジウム含有金属微粒子を混合し、ろ過、洗浄して、エタノール等に再分散した後、真空ポンプ等で乾燥する方法が挙げられる。乾燥後、必要に応じて、加熱処理してもよい。なお、パラジウム合金粒子を使用する場合には、合金の合成とパラジウム合金粒子の担体への担持が同時に行われてもよい。
銅イオン含有電解液としては、パラジウム含有金属微粒子の表面の少なくとも一部にCu−UPD法によって銅を被覆し銅/パラジウム複合体を得ることができる電解液であれば特に限定されない。銅イオン含有電解液は、通常、溶媒に銅塩を所定量溶かしたものから構成されるが、特にこの構成に限定されず、銅イオンの一部又は全部が液中に解離して存在している電解液であればよい。
銅イオン含有電解液に用いられる溶媒としては、水、有機溶媒が挙げられるが、パラジウム含有金属微粒子の表面への銅の析出を妨げないという観点から、水が好ましい。
銅イオン含有電解液に用いられる銅塩としては、具体的には、硫酸銅、硝酸銅、塩化銅、亜塩素酸銅、過塩素酸銅、シュウ酸銅等が挙げられる。
電解液中において、銅イオン濃度は、特に限定されないが、0.01〜1.0mol/Lであることが好ましい。
銅イオン含有電解液には、上記溶媒及び銅塩の他にも、例えば、酸等を含んでいてもよい。銅イオンを含有する電解液に添加できる酸としては、具体的には、硫酸、硝酸、塩酸、亜塩素酸、過塩素酸、シュウ酸等が挙げられる。なお、銅イオン含有電解液中の対アニオンと、酸中の対アニオンとは、同一であってもよく、異なっていてもよい。
また、電解液は、予め、不活性ガスをバブリングしておくことが好ましい。パラジウム含有金属微粒子の酸化を抑制し、白金含有シェルによる均一な被覆が可能となるからである。不活性ガスとしては、窒素ガス、アルゴンガス等を用いることができる。
パラジウム含有金属微粒子は、粉末状態で銅イオン含有電解液に添加することによって銅イオン含有電解液に浸漬、分散させてもよいし、予め、溶媒に分散させてパラジウム含有金属微粒子分散液を調製し、該パラジウム含有金属微粒子分散液を銅イオン含有電解液に添加することによって銅イオン含有電解液に浸漬、分散させてもよい。パラジウム含有金属微粒子分散液に用いられる溶媒は、上述の銅イオン含有電解液に用いられる溶媒と同様のものを用いることができる。また、パラジウム含有金属微粒子分散液は、銅イオン含有電解液に添加可能な上記酸を含有していてもよい。
また、導電性基材上や作用極上にパラジウム含有金属微粒子を固定し、導電性基材や作用極のパラジウム含有金属微粒子固定面を、電解液に浸漬してもよい。パラジウム含有金属微粒子を固定する方法としては、例えば、電解質樹脂(例えばナフィオン(登録商標)等)と、水やアルコール等の溶媒とを用いて、パラジウム含有金属微粒子ペーストを調製し、導電性基材や作用極の表面に塗布する方法が挙げられる。
パラジウム含有金属微粒子に電位を印加する方法は、特に限定されず、一般的な方法を採用することができる。例えば、銅イオン含有電解液中に、作用極、対極及び参照極を浸漬させ、作用極に電位を印加する方法が挙げられる。
作用極としては、例えば、チタン、白金メッシュ、白金板、金板等の金属材料、グラッシーカーボン、カーボン板等の導電性炭素材料等の導電性が担保できる材料を用いることができる。なお、反応容器を上記導電性材料で形成し、作用極としても機能させることもできる。金属材料の反応容器を作用極として用いる場合、反応容器の内壁には、腐食を抑制する観点から、RuOをコーティングすることが好ましい。炭素材料の反応容器を作用極として用いる場合は、コーティング無しでそのまま使用することが可能である。
対極としては、例えば、白金メッシュに白金黒をめっきしたもの及び導電性炭素繊維等を用いることができる。
参照極としては、可逆水素電極(reversible hydrogen electrode;RHE)、銀−塩化銀電極及び銀−塩化銀−塩化カリウム電極等を用いることができる。
電位制御装置としては、ポテンショスタット及びポテンショガルバノスタット等を用いることができる。
印加する電位は、パラジウム含有金属微粒子の表面に銅を析出させることができる電位、すなわち、銅の酸化還元電位よりも貴な電位であれば、特に限定されないが、例えば、0.35〜0.7V(vs.RHE)の範囲内であることが好ましく、0.38V(vs.RHE)であることが特に好ましい。
電位を印加する時間は、特に限定されないが、60分以上行うことが好ましく、反応電流が定常となり、ゼロに近づくまで行なうことがより好ましい。
銅被覆工程は、パラジウム含有金属微粒子の表面の酸化防止や銅の酸化防止の観点から、窒素雰囲気等の不活性ガス雰囲気下で行なうのが好ましい。
また、銅被覆工程において、銅イオン含有電解液は、必要に応じて適宜攪拌することが好ましい。例えば、作用極を兼ねる反応容器を用い、該反応容器内の銅イオン含有電解液にパラジウム含有金属微粒子を浸漬、分散させた場合、銅イオン含有電解液を攪拌することで、各パラジウム含有金属微粒子を作用極である反応容器の表面に接触させ、各パラジウム含有金属微粒子に均一に電位を印加させることができる。この場合、攪拌は、銅被覆工程中、連続的に行ってもよいし、断続的に行ってもよい。
(2)置換工程
置換工程は、白金を含む溶液中で銅/パラジウム複合体の銅と白金とを置換し、白金/パラジウム複合体を得る工程である。白金を含む溶液は、少なくとも白金イオンを含有するものであれば特に限定されない。白金を含む溶液中においては、白金はイオンとして存在していてもよいし、白金錯体等の白金化合物として存在していてもよい。
置換工程において、銅/パラジウム複合体の銅に、白金を含む溶液を接触させることによって、イオン化傾向の違いにより銅と白金とを置換し白金/パラジウム複合体を得ることができる。
本発明におけるシェルには、白金及び白金合金が含まれる。
白金合金としては、イリジウム、ルテニウム、ロジウム、ニッケル及び金からなる群より選ばれる金属材料との合金等が挙げられ、白金合金を構成する白金以外の金属は1種でも2種以上でもよい。
白金合金は、合金全体の質量を100質量%としたときの白金の含有割合が90質量%以上であることが好ましい。白金の含有割合が90質量%未満であるとすると、十分な触媒活性及び耐久性が得られないからである。
白金を含む溶液に用いられる白金塩は、例えば、KPtCl、KPtCl等を用いることができ、また、([PtCl][Pt(NH])等のアンモニア錯体を用いることもできる。
白金を含む溶液中において白金イオン濃度は特に限定されないが、0.0005〜0.1mol/Lであることが好ましい。
白金を含む溶液に用いることができる溶媒は、上述した銅イオン含有電解液に用いられる溶媒と同様とすることができる。また、白金を含む溶液には、上記溶媒及び白金塩の他にも、例えば、酸等を含んでいてもよい。酸としては、上述した銅イオン含有電解液に用いられる酸と同様とすることができる。
白金を含む溶液は、事前に十分に攪拌し、パラジウム含有金属微粒子の表面の酸化防止や、銅の酸化防止の観点から、当該溶液中には予め窒素をバブリングさせることが好ましい。
白金を含む溶液の温度は、特に限定されないが、コアシェル触媒の触媒活性向上の観点から、3〜10℃であることが好ましい。
置換時間(白金を含む溶液と銅/パラジウム複合体との接触時間)は、特に限定されないが、10分以上確保することが好ましく、白金を含む溶液を加えていくと、反応溶液の電位が上昇していくため、そのモニター電位が変化しなくなるまで置換させることがより好ましい。
なお、銅被覆工程と置換工程とを、同じ反応容器内で行う場合には、銅被覆工程に使用した銅イオン含有電解液に、白金を含む溶液を加えてもよい。例えば、銅被覆工程後、電位制御を停止し、銅被覆工程において使用した銅イオン含有電解液に、白金を含む溶液を添加することで、銅/パラジウム複合体に白金を含む溶液を接触させてもよい。
(3)後処理工程
後処理工程は、白金/パラジウム複合体を常温の硝酸溶液中で酸素を含むガスを導入して処理する工程である。後処理工程により、置換工程において白金と置換されずに残存するCuや未被覆のPdを除去することが可能となる。
硝酸溶液の温度は常温(15℃以上40℃以下)であることが重要である。本発明によれば、常温の硝酸を用いることにより、従来法を用いた場合のように、白金/パラジウム複合体に熱負荷を与えることがないため、コアシェル構造が破壊されることがなく、触媒活性が低下することがない。一方で、硝酸溶液中に、酸素を含むガスを導入することにより、残存するCuや未被覆のPdの量を一定水準まで低減することが可能となる。
また、硝酸溶液の濃度は、0.05〜1.0mol/Lであることが好ましい。
硝酸溶液に白金/パラジウム複合体を供給する方法は、特に限定されないが、白金/パラジウム複合体を、粉末状態で硝酸溶液に添加してもよいし、予め、溶媒に分散させて白金/パラジウム複合体分散液を調製し、該白金/パラジウム複合体分散液を硝酸溶液に添加してもよい。白金/パラジウム複合体分散液に用いられる溶媒は、水、有機溶媒等が挙げられ、水が好ましい。
白金/パラジウム複合体は、残存するCuや未被覆のPdを溶解させ易くし、後処理工程を短時間で行う観点から、硝酸溶液中に浸漬させることが好ましい。
後処理工程において、硝酸溶液中には酸素を含むガスを導入することが重要である。硝酸溶液中に酸素を含むガスを導入することにより、系内電位を1.0Vまで上昇させることが可能となり、常温の硝酸を用いる場合でも、残存するCuや未被覆のPdの量を一定水準まで低減することが可能となる。系内電位は、0.9〜1.1Vであることが好ましい。
酸素を含むガスは特に限定されないが、空気、純酸素等が挙げられ、純酸素が好ましい。
酸素を含むガスの流量は特に限定されないが、系内電位を一定に保持する観点から50mL/分以上であることが好ましく、50〜100mL/分であることが特に好ましい。
後処理工程中には、溶液を撹拌することが好ましい。攪拌する方法は、特に限定されないが、超音波ホモジナイザー、マグネチックスターラー、攪拌羽つきモーター等を用いる方法等が挙げられる。
攪拌速度は、特に限定されないが、マグネチックスターラーを用いた場合、200〜1000rpmが好ましい。
後処理を行う時間は、硝酸溶液の濃度、温度等に応じて、適宜調節することができ、15〜30分が好ましい。
以下、実施例に基づいて、本発明に係るコアシェル触媒の製造方法について詳述するが、本発明は以下の具体的な形態に限定されるものではない。
<実施例1>
銅被覆工程及び置換工程(Cu−UPD法)により調整した白金/パラジウム複合体2gに対し、以下の(1)〜(6)の方法で後処理を行い、(7)、(8)の方法で、分析を行った。
(1)2gの白金/パラジウム複合体を0.1mol/Lに調製した25℃の硝酸溶液に投入し、直接ホモジナイザーを用いて懸濁させる。
(2)懸濁液をスターラーにて撹拌(300rpm)しながら、Oバブリング(100mL/分)を実施する。この際、懸濁液の温度は25℃で一定に保つ。
(3)(2)の状態で30分間放置する。
(4)減圧濾過装置にて硝酸溶液を濾過する。
(5)2Lの超純水で濾過した粉を洗浄する。
(6)60℃で真空乾燥し、コアシェル触媒を回収する。
(7)(4)で得た濾液中に溶解したCu、Pd成分をICP−MSで分析、定量する。溶解したCu成分量から算出されるCu残存量の測定結果を図2に、溶解したPd成分量の測定結果を図3に示す。
(8)後処理後の性能として、コアシェル触媒の電気化学的表面積(ECSA)及び触媒活性(MA)をRDEで測定する。結果を図4に示す。
<比較例1>
実施例1で用いた2gの白金/パラジウム複合体に対して、後処理を行わずにCu残存量の測定及び上記(8)の測定を行った。Cu残存量の測定結果を図2に、ECSA及びMAの測定結果を図4に示す。なお、溶解Pdの測定は行わなかったため、図3では0とする。
<比較例2>
実施例1において、硝酸溶液及び懸濁液の温度を25℃から80℃に変更し、Oバブリングを実施しなかった以外は実施例1と同様にして、後処理及び性能の評価を行った。結果を図2〜4に示す。
<比較例3>
実施例1において、Oバブリングを行わなかった以外は実施例1と同様にして、後処理及び性能の評価を行った。結果を図2〜4に示す。
[結果]
図2、3より、本発明の製造方法を用いた実施例1では、Cu、Pdの溶解量が、従来法を用いた比較例2と同等以上であった。また、図4における比較例1との比較より、実施例1では後処理後においても、ECSA及びMAが低下しないことが確認された。すなわち、本発明の製造方法によれば、コアシェル構造を破壊することなく、残存するCuや未被覆のPdを一定水準まで低減することが可能であるといえる。
一方、従来法を用いた比較例2では、後処理後のECSA及びMAが、実施例1及び比較例1、3と比較して低下していた。これは高温の硝酸を用いたことから、熱負荷の影響によりコアシェル構造が破壊されたためであると考えられる。従って、比較例2で溶解したPdの中には、コアシェルが崩壊して溶解したPdが含まれているものと考えられる。また、常温硝酸下でOバブリングを行わなかった比較例3では、後処理後のECSA及びMAは低下しないものの、Cu、Pdの溶解量が実施例1、比較例2よりも大幅に少なく、Cu、Pdの除去が十分に進行しないことが確認された。

Claims (1)

  1. パラジウム含有金属をコア、白金含有金属をシェルとするコアシェル触媒の製造方法であって、
    パラジウム含有金属微粒子に、銅イオン含有電解液中で銅の酸化還元電位よりも貴な電位を印加し、前記パラジウム含有金属微粒子表面の少なくとも一部を銅で被覆し銅/パラジウム複合体を得る銅被覆工程と、
    白金を含む溶液中で前記銅/パラジウム複合体の前記銅と前記白金とを置換し、白金/パラジウム複合体を得る置換工程と、
    該白金/パラジウム複合体を常温の硝酸溶液中で酸素を含むガスを導入して処理する後処理工程と、を有することを特徴とする、コアシェル触媒の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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