JP5616203B2 - 共重合芳香族ポリエステルおよびそれを用いた二軸配向フィルム - Google Patents
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Description
このように優れた特性を有するポリエステルであるが、その分子構造にエステル結合を有することから耐加水分解性の改良が求められている。
主たるグリコール成分が、エチレングリコール成分とテトラメチレングリコール成分とからなり、両者のモル比が、5:95〜80:20の範囲であることを特徴とする共重合芳香族ポリエステルおよびそれからなるフィルム層を少なくとも一層有することを特徴とする二軸配向ポリエステルフィルムが提供される。
したがって、本発明の共重合芳香族ポリエステルを用いれば、耐加水分解性が要求される電機絶縁用などのフィルムに適した二軸配向フィルムが提供できる。
本発明の共重合芳香族ポリエステルは、芳香族ジカルボン酸成分とグリコール成分とからなるポリエステルである。
つぎに、本発明における共重合芳香族ポリエステルの製造方法について、詳述する。
本発明の共重合芳香族ポリエステルは、それ自体公知の方法で好適に製造することができる。但し、少なくとも2種類の芳香族ジカルボン酸成分と少なくとも2種のグリコール成分を用いた反応になることから、まず4,4´−ジフェニルジカルボン酸もしくはそのアルキルエステル誘導体と、テトラメチレングリコールとを反応させ、ポリエステル前駆体を製造し、得られた前駆体を重合触媒の存在下で重合することでポリエステルAを製造し、他方、2,6−ナフタレンジカルボン酸もしくはそのアルキルエステル誘導体と、エチレングリコールとを反応させ、ポリエステル前駆体を製造し、得られた前駆体を重合触媒の存在下で重合することでポリエステルBを製造し、それらを溶融混練などによってエステル交換反応させ、目的とする組成の共重合芳香族ポリエステルとすることが好ましい。そのポリエステルAを製造する際に、2,6−ナフタレンジカルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体など他の芳香族ジカルボン酸成分を、またポリエステルBを製造する際に4,4´−ジフェニルジカルボン酸もしくはそのアルキルエステル誘導体など他の芳香族ジカルボン酸成分と一緒に反応させることもできる。また、必要に応じて、さらに固相重合を併用しても良い。
得られた共重合芳香族ポリエステルの固有粘度は、P−クロロフェノール/テトラクロロエタン(40/60重量比)の混合溶媒を用いて、ポリマーを溶解して35℃で測定して求めた。
得られた共重合芳香族ポリエステルのガラス転移点および融点はDSC(TAインスツルメンツ株式会社製、商品名:Thermal Analyst2100)により昇温速度20℃/minで測定した。
(グリコール成分)試料10mgをp−クロロフェノール:1,1,2,2−テトラクロロエタン=3:1(容積比)混合溶液0.5mlに80℃で溶解し、イソプロピルアミンを加えて十分に混合した後に、600MHzの1H−NMRを日本電子株式会社製、JEOL A600を用いて80℃で測定し、それぞれのグリコール成分量を求めた。
(酸成分)試料60mgをp−クロロフェノール:1,1,2,2−テトラクロロエタン=3:1(容積比)混合溶液0.5mlに140℃で溶解し、150MHzの13C−NMRを日本電子株式会社製、JEOL A600を用いて140℃で測定し、それぞれの酸成分量を求めた。
得られた共重合芳香族ポリエステルを定量し、それをベンジルアルコール中で加熱溶解し、フェノールレッドおよびNaOH水溶液を滴下した。溶液が黄色から赤色に変色する中間点におけるNaOH水溶液量からカルボキシル基濃度を算出した。測定は室温で行い、1トン当りの当量として、eq/Tで示した。また、ポリマーの耐加水分解性を評価するため、得られた共重合芳香族ポリエステルを0.5mm程度の大きさに粉砕した後に、140℃で3時間加熱して結晶化させた。その後、プレッシャークッカーにて140℃、湿度100%RHの条件下で24時間の加速寿命試験を行い、試験後のCOOH量を測定した。そして、加速寿命試験後のCOOH量と加速寿命試験を行う前のCOOH量とから、加速寿命試験によって増加した末端カルボキシル基量を求め、ポリマーの耐加水分解性を評価した。
得られた共重合芳香族ポリエステルを、融点+20℃の温度で溶融混練し、ダイから厚み180μmの未延伸フィルムとし、共重合芳香族ポリエステルのガラス転移温度より20℃高い温度にて速度差を有するロール間で製膜方向に延伸倍率3倍で一軸延伸し、その後テンターに導いて、ガラス転移温度よりも30℃高い温度で幅方向に3倍延伸し、ガラス転移温度よりも60℃高い温度で熱固定処理を行い、150m/分の速度で巻き取り、10時間以上切断することなく巻取りができたものを製膜性良好として○とし、できなかったものを製膜性不良として×とした。
酸成分として4,4´−ジフェニルカルボン酸ジメチルを70モル%、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルを30モル%、グリコール成分として1,4−ブタンジオールを300モル%添加し、チタンテトラブトキシドの存在下でエステル交換反応を行い、さらに引き続いて重縮合反応を行って、固有粘度0.70dl/gの芳香族ポリエステルAを得た。この芳香族ポリエステルAの融点は282℃であった。
一方、酸成分として、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルを100モル%とエチレングリコールと200モル%をチタンテトラブトキシドの存在下でエステル交換反応を行い、さらに引き続いて重縮合反応を行って、固有粘度0.65dl/gの芳香族ポリエステルBを得た。このポリエチレン−2,6−ナフタレートの融点は265℃、ガラス転移温度は120℃であった。
このようにして得られた芳香族ポリエステルA、Bを、酸成分の35モル%が4,4´−ジフェニルカルボン酸成分となるように、押し出し機に供給して、300℃で溶融混練した。得られた共重合芳香族ポリエステルの特性を表1に示す。
実施例1において、酸成分の20モル%が4,4´−ジフェニルカルボン酸成分となるように芳香族ポリエステルA、Bの割合を変更し、押し出し機に供給して、300℃で溶融混練した。得られた共重合芳香族ポリエステルの特性を表1に示す。
実施例1において、酸成分の50モル%が4,4´−ジフェニルカルボン酸成分となるように芳香族ポリエステルA、Bの割合を変更したほかは同様な操作を繰り返した。得られた共重合芳香族ポリエステルの特性を表1に示す。
実施例1において、芳香族ポリエステルAのみを用いて溶融混練を行ったほかは同様な操作を繰り返した。得られた共重合芳香族ポリエステルの特性を表1に示す。
実施例1において、芳香族ポリエステルB(ポリエチレン−2,6−ナフタレンカルボキシレート)のみを用いて溶融混練を行ったほかは同様な操作を繰り返した。得られた共重合芳香族ポリエステルの特性を表1に示す。
酸成分として4,4´−ジフェニルカルボン酸ジメチルを70モル%、テレフタル酸ジメチルを30モル%、グリコール成分として1,4−ブタンジオールを300モル%添加し、チタンテトラブトキシドの存在下でエステル交換反応を行い、さらに引き続いて重縮合反応を行って、固有粘度0.70dl/gの芳香族ポリエステルCを得た。この芳香族ポリエステルCの融点は252℃であった。
また、酸成分として1,4−テレフタル酸ジメチルを100モル%とエチレングリコールと200モル%をチタンテトラブトキシドの存在下でエステル交換反応を行い、さらに引き続いて重縮合反応を行って、固有粘度0.62dl/gの芳香族ポリエステルDを得た。このポリエチレンテレフタレートの融点は255℃、ガラス転移温度は72℃であった。
そして、前述の芳香族ポリエステルCとこの芳香族ポリエステルDとを、酸成分の35モル%が4,4´−ジフェニルカルボン酸成分となるように、押し出し機に供給して290℃で溶融混練した。そして、得られた共重合芳香族ポリエステルの特性を表1に示す。
酸成分として4,4´−ジフェニルカルボン酸ジメチルを50モル%、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルを50モル%、グリコール成分としてエチレングリコールを200モル%添加し、チタンテトラブトキシドの存在下でエステル交換反応を行い、さらに引き続いて重縮合反応を行って、固有粘度0.62dl/gの芳香族ポリエステルEを得た。この芳香族ポリエステルの融点は279℃であった。
そして、この芳香族ポリエステルDのみを用いたほかは実施例1と同様な操作を繰り返し、得られた共重合芳香族ポリエステルの特性を表1に示す。
酸成分として4,4´−ジフェニルカルボン酸ジメチルを50モル%、テレフタル酸ジメチルを50モル%、グリコール成分としてエチレングリコールを200モル%添加し、チタンテトラブトキシドの存在下でエステル交換反応を行い、さらに引き続いて重縮合反応を行って、固有粘度0.62dl/gの芳香族ポリエステルFを得た。この芳香族ポリエステルの融点は268℃であった。
そして、この芳香族ポリエステルFのみを用いたほかは実施例1と同様な操作を繰り返し、得られた共重合芳香族ポリエステルの特性を表1に示す。
Claims (2)
- 主たる芳香族ジカルボン酸成分が、4,4´−ジフェニルカルボン酸成分と2,6−ナフタレンジカルボン酸成分とからなり、両者のモル比が、20:80〜60:40の範囲であること、そして
主たるグリコール成分が、エチレングリコール成分とテトラメチレングリコール成分とからなり、両者のモル比が、5:95〜80:20の範囲であることを特徴とする共重合芳香族ポリエステル。 - 請求項1に記載の共重合芳香族ポリエステルからなるフィルム層を少なくとも一層有することを特徴とする二軸配向ポリエステルフィルム。
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JP2010259063A JP5616203B2 (ja) | 2010-11-19 | 2010-11-19 | 共重合芳香族ポリエステルおよびそれを用いた二軸配向フィルム |
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