以下、この発明の実施の形態に係る撮像素子モジュール、撮像素子モジュールを用いたレンズユニット及び携帯用電子機器について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施の形態に係る撮像素子モジュール1を、携帯用電子機器である電子カメラに適用した場合を示すもので、いわゆるベアチップタイプの撮像素子10は、その背面側に所定形状の背面側絶縁シート101が接着等により被着される。
なお、この撮像素子の背面側絶縁シート101上には、好ましくは例えば図示しない赤外線反射部材である熱反射部材が接合される。この熱反射部材は、例えばアルミニウム材で、鏡面仕上げされて形成され、その表面に金属箔や金属酸化物や赤外線カットフィルタ等のコーティング、または白色塗料のシートが接合されて、放射率が0.1〜0.6以下の表面処理が施される。この熱反射部材は、撮像素子10からの熱を赤外線として熱放射し、外部からの赤外線を反射することから、放射熱による撮像素子10の再温度上昇を抑えることができる。
上記撮像素子10は、その背面側絶縁シート101が、例えば弾性変形自在なフレキシブル印刷配線基板(以下、FPC基板と記す)11に設けられた放熱用開口部111に対向されて該FPC基板11に搭載され、リード端子102を介してFPC基板11と電気的に接続される。
この撮像素子10には、受光面上にゴム枠12内に組付けられた光学ローパスフィルタ13が同軸的に配置される。光学ローパスフィルタ13のゴム枠12は、機器筐体を構成するレンズ枠である粒状黒鉛とカーボンまたはガラス繊維が充填されたポリフェニレンスルフィルド樹脂(以下PPS樹脂と記す)成形材料等の熱伝導性の優れた材料製の枠部材14内に設けられる保持部15に支持される。そして、この枠部材14の先端部には、シャッタ16が上記光学ローパスフィルタ13に対向して組付けられている。
そして、枠部材14の保持部15には、防塵機構を構成する透明ガラス基板17が上記光学ローパスフィルタ13とシャッタ16の間において、その光学ローパスフィルタ13上に、例えば圧電素子で構成される加振部材18が介在された状態で、その上面側が押圧部材19で加振自在に押圧されて気密を有して配置される。この透明ガラス基板17は、加振部材18が図示しない駆動制御部を介して駆動されて加振されると、押圧部材19の弾性力に抗して気密を保った状態で振動して、その上面等に付着した埃等を除去して、光学ローパスフィルタ13内への侵入を防止する。
また、上記撮像素子10の背面側には、例えばアルミニウム、ステンレス鋼やPPS樹脂成形材料等の熱伝導性の優れた材料で形成される放熱部材を構成する素子支持部材20が配置される。この素子支持部材20には、上記FPC基板11の背面側にアルミニウム、ステンレス鋼を用いる場合に、熱伝導性の高い接着剤112等の手法、上記PPS樹脂を用いる場合に、上記FPC基板11を直接支持するインサート成形(上記接着剤112を用いない)手法により接合されて組付けられる。
ここで、枠部材14は、金属酸化物やセラミック等のフィラーを混入した熱伝導性の優れた合成樹脂材料、例えば球状黒鉛にガラス繊維やカーボン樹脂等を充填したPPS(ポリフェニレンスルフィド)樹脂等で形成される。この枠部材14には、素子支持部材20に近接して相変化材料からなる相変化する蓄熱体9が、例えばインサート成形により熱的に結合されて配される。この蓄熱体9は、例えばパラフィン、熱を伝えやすい物質からなる炭素繊維や融解温度以上であっても固体形状に保持できるゲル剤が充填されたパラフィン等の有機系蓄熱材、ポリマーで充填したパラフィンや無機水和塩等の芯材を容器で被覆したいわゆる蓄熱マイクロカプセルで構成され、撮像素子10の使用限界温度以下、例えば60〜80℃で、相変化して融解、凝固可能に形成されている。これにより、蓄熱体9は、上記枠部材14を、撮像素子10の使用限界温度以下の60〜80℃に定温保持して、撮像素子10を所望の値に熱制御する。
蓄熱体9を構成する有機系蓄熱材としては、例えばパラフィンまたは熱伝導性の高い炭素繊維が充填されたパラフィンで形成される。また、ポリマーで被覆したパラフィンや無機水和塩等を内包した蓄熱マイクロカプセルとした芯材あるいは合成樹脂に混合した合成材料とすることも可能である。また、蓄熱体9の融点が60℃以上としたが、45℃〜59℃で融解する物質としては、無機系(例えば、酢酸ナトリウム5水和物)に置き換えることも可能である。このように蓄熱体9をPPS樹脂にインサート成形手法や金属材料に接合する接着手法を用いることで、放熱板材の面積が小さく、且つ、板厚の薄い形状にすることができ、小形化が可能となる。
そして、上記枠部材14には、その壁面に紙面に対して垂直方向に凹凸形状した補強リブ141が設けられ、この補強リブ141により蓄熱体9が液化した状態における強度が確保されている。
上記素子支持部材20には、開口部201が上記撮像素子10の背面側絶縁シート101に対応して設けられ、この開口部201に対向して作動流体の相変化を利用して熱移送を行う相変化流路を構成する、例えばループ状の平板型ヒートパイプ21の一部が対向配置される。この平板型ヒートパイプ21としては、例えば古河電工時報 第114号に開示されている「1mm厚マイクロヒートパイプ」や日本金属産業(株)製の「熱伝導性に優れたヒートパイプ」等のパイプ内壁にいわゆるウイックが設けられた平板あるいは棒状のものが用いられる。
このヒートパイプ21の凝縮部(放熱側)は、後述するアルミニウムやステンレス鋼等の熱伝導性の高い金属材料を用いたポンプ接続部材が配置される。また、ヒートパイプ21は、銅または銅合金を用いているが、可塑性、量産性等から粒状黒鉛にアルミナ粉、ガラス繊維やカーボン繊維が充填されたPPS樹脂でインサート成形品に置き換えることも可能である。
上記素子支持部材20には、例えば図示しない凹部がヒートパイプ21の配置位置に形成され、この凹部(図示せず)に、例えば熱伝導性の優れた熱伝導材を介在して両面テープ等を用いてヒートパイプ21の一部が収容されて相互の位置決めが行われて配置される。これにより、ヒートパイプ21は、素子支持部材20に対して容易に組付け配置することが可能となる。なお、素子支持部材20に上記PPS樹脂のインサート成形品を用いる場合には、素子支持部材20に対して直接、ヒートパイプ21を埋め込む構造となり、両面テープ等を使用しないことで、ヒートパイプ21から素子支持部材20への熱的結合(熱伝導)が著しく向上される。
ここで、撮像素子10からの熱は、素子支持部材14及びヒートパイプ21に伝達される。すると、この熱は、枠部材14の蓄熱体9により一時的に熱吸収され、蓄熱体9が撮像素子10の使用限界以下、例えば60〜80℃付近を融点として融解、凝固して枠部材14を定温保持する。これにより、撮像素子10を含むFPC基板11の温度は、急激に上昇することを抑止することが可能となる。
上記素子支持部材20は、例えば機器筐体である後述するカメラ本体91(図7参照)に熱的に結合され、例えば撮像素子10から熱伝導により熱移送された熱を、カメラ本体91に熱移送して排熱可能に構成される。そして、上記枠部材14が接合された素子支持部材20は、例えば上記機器筐体(図示せず)に設けられたモジュール支持部に位置決めされて取付けられ、その光軸方向が位置決め固定されて配置される。
上記ヒートパイプ21は、吸熱側となる例えば素子支持部材20の開口部201の周囲部が放熱部材22に支持されて熱的に結合される。このヒートパイプ21には、純水、アルコールまたは周知の潜熱蓄積材や高温度(例えば、59℃)で発色開始及び記憶可能な可逆熱変色性顔料を内包したマイクロカプセルの分散液を用いる等の作動流体が収容され、撮像素子10の背面側絶縁シート101から放射される熱を吸熱して、相変化により該熱を移送して、その相変化の反転により放熱を実行する。
この放熱部材22は、例えば上記枠部材14と同様の熱伝導性の優れた合成樹脂材料で形成され、その内部には、相変化する上記蓄熱体9がインサート成形等の手法により熱的に結合されて配される。そして、この放熱部材22は、上記素子支持部材20に対して接着剤あるいは螺子部材を用いて取付けられる。これにより、放熱部材22は、ヒートパイプ21及び素子支持部材20から撮像素子10からの熱が移送されると、その蓄熱体9が、一旦、熱吸収して定温保持された状態で放熱を実行する。
また、ヒートパイプ21には、その管路中間部に流体循環手段を構成する、例えば特開2003−28068号等に開示されている公知の合成樹脂製ポンプまたはポンプと放熱部材22に断熱部材を介在する圧電型ポンプ(またはトロコイド型の小型ポンプ)23が配されると共に、上記放熱部材22と熱的に断たれた上記圧電型ポンプ23を介在してポンプ接続部財231がある。このポンプ接続部材231が凝縮部となる。
ここで、凝縮部に上述したウイックを形成すると、例えば圧電型ポンプ23を省略することも可能となる。この場合は、ポンプ接続部材231がヒートパイプ21の凝縮部となり、この凝縮部と放熱部材22との間に断熱部材(圧電型ポンプ23の置き換え)を介在すると、放熱部材22の熱がポンプ接続部材231に熱伝導することを抑えることが可能となる。
上記圧電型ポンプ23は、例えばその圧電振動子の駆動周波数を制御して、その送り回数を制御して行われ、その吸熱側と放熱側における熱的な平衡を持たせて、その圧電定数を大きくして、その変位量を大きくするように駆動される。これにより、圧電型ポンプ23の送り回数を制御する駆動回路が不要となる。
即ち、図示しない印刷配線基板上に配置された温度センサを備え、この温度センサによって、撮像素子10の温度を一定時間毎に検出し、検出信号に基づいて動作時間を、例えば図示しないタイマーにより選択制御する。
具体的には、予め上記撮像素子10の温度と駆動周波数の動作時間との関係を図示しないメモリに記憶して、撮像素子10の温度上昇が始まり、所定時間が経過した状態で、上記温度センサ(図示せず)の検出信号に基づいて上記メモリの記憶情報から圧電型ポンプ23の駆動時間、停止時間を制御する。これにより、電池の消費電力の軽減を図ることが可能となる。
例えば、圧電型ポンプ23は、電子カメラにおける撮影モードや撮影画像を表示画面に表示する表示モードにおいて、上記温度センサ(図示せず)の検出信号に基づいて駆動することにより、作動流体が停止しないように強制循環させるように制御される。これにより、撮像素子10の温度は、効果的に冷却することが可能となる。
また、上記ヒートパイプ21は、流体循環手段である圧電型ポンプ23を配置することなく、作動流体を、その相変化を利用して吸熱側と放熱側との間の循環を行うように構成してもよい。
また、上記ヒートパイプ21は、例えば撮像素子10の背面側絶縁シート101に対向した外壁に赤外線を吸収する部材である熱吸収材212が接合されている。この熱吸収材212は、アルミニウム合金材で形成され、その表面側に黒色アルマイト処理、スプライン加工、あるいは上記粒状黒鉛とカーボンまたはガラス繊維が充填されたPPS樹脂、赤外線を散乱するための砂目処理やエンボス(規則または不規則な凹凸形状)処理等を施して0.9以上の放射率で、赤外線の反射率が低く熱吸収性を高めた熱吸収面211を形成すると、さらに良好な効果が期待される。これにより、ヒートパイプ21には、その熱吸収面211で、撮像素子10の背面側絶縁シート101から素子支持部材20の開口201を通して放熱及び対流により熱移送される熱を効率よく吸熱して、作動流体による高効率な相変化(気化)が実現できる。
ここで、撮像素子10の背面側絶縁シート101からの熱をヒートパイプ21に熱伝導で移送させる場合には、例えば熱伝導性ゴム材を用いて背面側絶縁シート101とヒートパイプ21の熱吸収面211との間を熱的に結合するように構成する。これにより、ヒートパイプ21は、撮像素子10の背面側絶縁シート101と同長となり、熱伝導により、熱移送され、さらに冷却効率の向上を図ることが可能となる。
また、撮像素子10の背面側絶縁シート101は、上記ヒートパイプ21の外壁に接続するように構成してもよい。
例えば上記ヒートパイプ21には、その放熱側に上記放熱部材22と熱的に断たれた上記ポンプ接続部材231が熱的に結合されて配置される。これにより、ヒートパイプ21は、その吸熱側及び放熱側に十分な相変化面積が得られ、上記熱対流及び熱放射により熱移送された熱を、効率よく吸熱及び放熱することが可能となり、撮像素子10の高効率な冷却を実現することが可能となる。
また、上記素子支持部材20には、FPC基板11が熱的に結合され、撮像素子10で発生した熱及び該FPC基板11に搭載された他の電子部品の熱がFPC基板11を経由して熱伝導により熱移送される。この素子支持部材20に熱伝導された熱は、該素子支持部材20から機器筐体(図示せず)に熱移送されて、放熱される。
上記構成により、撮像素子10で発生した熱は、背面側絶縁シート101から対流及び熱伝導によりヒートパイプ21の熱吸収面211に熱移送されると共に、熱伝導により素子支持部材20に熱移送される。ここで、ヒートパイプ21は、その熱吸収面211で熱を吸熱することで、その作動流体が相変化して気化され、流路内に移動して液化されて、放熱することにより、撮像素子10の熱を排熱して冷却する。
同時に、撮像素子10で発生した熱は、素子支持部材20に熱伝導により熱移送され、素子支持部材20を介して機器筐体(図示せず)等に排熱されて放熱される。これにより、撮像素子の高効率な熱制御が可能となる。
このように、上記撮像素子モジュール1は、FPC基板11及び撮像素子10と熱的に結合されて配置される放熱部材22を熱伝導性の優れた合成樹脂材料で形成して、この放熱部材22に対してインサート成形により相変化する蓄熱体9を熱的に結合して配置するように構成した。
これによれば、撮像素子10が駆動されると、その熱は、背面側絶縁シート101からFPC基板11の開口部111を通り放熱部材22に熱移送されると、該放熱部材22の蓄熱体9が相変化する。これにより、放熱部材22は、定温保持されると共に、熱移送された熱を放熱して、撮像素子10を所望の値に熱制御する。この結果、簡単な構成で、撮像素子の熱を含む印刷配線基板の熱を効率良く樹脂放熱部材を介して放熱することができて、高効率な冷却が実現され、モジュールの熱設計を含む製作の自由度の向上を図ることができる。
また、上記放熱部材22は、合成樹脂材料に代えて金属材料、例えばアルミニウムで形成するようにしてもよい。この場合には、例えば図3に示すように蓄熱体9aをインサート成形により上記熱伝導性の優れた合成樹脂材料で被覆した合成樹脂シート状に別体に形成して、この蓄熱体9aを放熱部材22と上記ポンプ接続部材231との間に接合配置する。これにより、放熱部材22は、上記ヒートパイプ21及び素子支持部材20から撮像素子10からの熱が移送されると、その熱が一旦、蓄熱体9aで吸収されて該蓄熱体9aが相変化することで、定温保持されると共に、ポンプ接続部材231を介して放熱を実行する。
なお、蓄熱体9aは、同様に例えばパラフィン、熱を伝えやすい物質からなる炭素繊維や融解温度以上であっても固体形状に保持できるゲル剤が充填されたパラフィン等の有機系蓄熱材、ポリマーで充填したパラフィンや無機水和塩等の芯材を容器で被覆したいわゆる樹脂シート状に構成され、撮像素子10の使用限界温度以下、例えば60〜80℃で、相変化して融解、凝固可能に形成される。また、蓄熱体9aの融点が60℃以上としたが、45℃〜59℃で融解する物質としては、無機系(例えば、酢酸ナトリウム5水和物)に置き換えることも可能である。このように蓄熱体9aをPPS樹脂にインサート成形手法や金属材料に接合する接着手法を用いることで、放熱板材の面積が小さく、且つ、板厚の薄い形状にすることができ、小形化が可能となる。
次に、上記撮像素子モジュール1の使用形態について説明する。例えば上記撮像素子モジュール1は、図4に示すように携帯用電子機器である電子カメラのレンズユニットとして使用に供される。但し、この図4においは、図の便宜上、図1に示す光学ローパスフィルタ13、防塵機構を構成する透明ガラス基板17及びシャッタ16を省略し、その他、上記図1及び図2と同一部分について、同一符合を付して詳細な説明を省略する。
即ち、上記撮像素子モジュール1は、例えば枠部材14が位置決めピン24を介してレンズユニットを構成するレンズ本体であるユニット基板15に位置決めされた状態で、その素子支持部材20及び枠部材14が圧縮コイルばね25を挟んで螺子部材26を用いて上記ユニット基板に螺着されて組付けられる。
上記ユニット基板15上には、レンズ光学系50が組付けられる。このレンズ光学系50には、撮像レンズ系が収納配置される。この撮像レンズ系は、例えば第1群の第1のレンズ55a、第2群の第2及び第3のレンズ55b,55c、第3群の第4のレンズ25dの3群4枚で構成され、その第2群の第2及び第3のレンズ55b,55cを光軸O方向に移動させて焦点調節が行われる。
上記第1のレンズ55aと、第4のレンズ55dは、それぞれホルダ56a,56dに収容され、このホルダ56a,56dを介して光軸上に位置決め固定されて配置される。そして、第2及び第3のレンズ55b、55cは、ホルダ56bに収容され、このホルダ56bは、例えばガタ防止構造を有した案内機構57に光軸に対応した矢印A,B方向に移動自在に支持される。
このホルダ56bは、直線螺子機構58に光軸方向の矢印A,B方向に直線移動自在に連結される。この直線螺子機構58は、例えばステッピングモータ59に駆動自在に連結され、このステッピングモータ59の駆動に連動して回転駆動されて、上記ホルダ56aを矢印A,B方向に直線移動される。この際、ホルダ56bは、上記案内機構57に案内されて矢印A,B方向に移動されて、上記第2及び第3のレンズ55b,55cを光軸方向に移動させて焦点調整を実行する。
このように上記撮像素子モジュール1は、電子カメラのレンズ光学系50と組み合わせてレンズユニットを構成することにより、上述したように高効率な冷却を実現したうえで、その熱設計を含む製作の自由度の向上が図れるため、そのカメラ全体の小形化に寄与することが可能となる。
また、レンズユニット構造としては、その他、図5及び図6に示すようにレンズ側マウント部材80を用いて上記ユニット基板15に組付けるように構成してもよい。このレンズ側マウント部材80は、例えば金属酸化物やセラミック等のフィラーを混入した熱伝導性の優れた合成樹脂材料、例えば球状黒鉛にガラス繊維やカーボン樹脂等を充填したPPS(ポリフェニレンスルフィド)樹脂等で形成される。
即ち、レンズ側マウント部材80には、印刷配線基板81が配置され、この印刷配線基板81上には、パッケージタイプの撮像素子10aが搭載されて電気的に接続される。この撮像素子10aの受光面には、保護ガラス82が被着される。
そして、印圧配線基板81の背面側には、上記相変化流路を構成するループ状の平板型のヒートパイプ21が配置され、このヒートパイプ21の外周部には、シリコンシートやグラファイトシート等の熱伝導材を被着した熱吸収面211が撮像素子に対向して設けられる。そして、ヒートパイプ21の放熱側は、上記レンジ側マウント部材80に熱伝導性に優れた接着剤を用いて接合される。
また、印刷配線基板81の背面側には、素子支持部材83が絶縁スペーサ部材84を介在して螺子部材85を用いて高さ調整自在に組付けられる。そして、素子支持部材83と上記レンズ側マウント部材80との間には、一般的なPPS樹脂やABS樹脂、上記熱伝導性の優れた金属酸化物やセラミック等のフィラーを混入した、例えば球状黒鉛にガラス繊維やカーボン樹脂等を充填したPPS(ポリフェニレンスフィド)樹脂による熱を断熱する断熱部材86が介在される。
そして、PPS樹脂を用いた断熱部材86には、素子支持部材83に接近した位置に、上述した撮像素子10aの使用限界温度以下の60〜80℃で相変化する蓄熱体9がインサート成形されて熱的に結合されて配される。この断熱部材86は、例えば赤外線硬化型接着剤を用いてマウント部材80と素子支持部材83との間に接合され、その蓄熱体9により定温保持された状態で、マウント部材80と素子支持部材83との相互間を熱的に遮断する。
上記レンズ側マウント部材80には、取付け孔801が設けられ、この取付け孔801に図示しない螺子部材等を挿通させて上記ユニット基板15に螺着することで、取付け配置される。また、レンズ側マウント部材80には、その基端側に接点端子基板87が配置され、接点端子基板87を介してカメラ本体側と電気的に接続される。
ここで、上記レンズ側マウント部材80には、上記蓄熱体9がインサート成形により熱的に結合されて配され、この蓄熱体9により、撮像素子10aの使用限界温度以下の60〜80℃に定温保持され、撮像素子10aを所望の値に熱制御する。
また、上記撮像素子モジュール1は、例えば図7に示す一眼レフ用電子カメラの機器筐体を構成するカメラ本体91に内装されて使用に供される。但し、この図7においは、上記図1及び図2と同一部分について、同一符合を付して詳細な説明を省略する。
即ち、一眼レフ用電子カメラは、上記熱伝導性の優れた合成樹脂材料製のカメラ本体91に上記枠部材14を介して撮像光学系、ファインダー光学系、焦点検出光学系が配置される。このうち撮像光学系は、光路の順に撮影レンズ群92a、ハーフミラー92b、反射ミラー54で構成される。
この撮影レンズ群92aは、マウントを介してカメラ本体91に着脱自在に組付けられる。ハーフミラー92bは、撮影レンズ群92aからの光路を上記撮像素子モジュール1fの方向とファインダー光学系とに分割するように構成される。また、このハーフミラー92bは、上記シャッタ88と連動して持ち上がるクイックリターンミラーで構成されている。
反射ミラー92cは、撮影レンズ群92aからの光を焦点検出光学系に導くように構成されている。また、反射ミラー92cは、ハーフミラー92bと連動して持ち上がるように構成され、持ち上げられたときに光路から外れて撮影レンズ群92aからの光が撮像素子モジュール1fに導かれて、撮影レンズ群92aからの光路を撮像素子モジュール方向と焦点検出光学系とに切替え設定される。
焦点検出光学系は、撮影レンズ群92aの結像面と等価な予定結像面92d近傍に配置されたコンデンサーレンズ93aと、このコンデンサーレンズ93aからの光を折曲げてカメラ本体91内でコンパクトに収めるための反射ミラー93bと、縦横方向にそれぞれ一対の開口絞りを持つ開口絞り群93cと、再結像レンズ93dが開口絞り93cに対応して一体形成された再結像光学系93eとの組み合わせと、光電変換素子列93fとで構成されている。
また、一対の開口絞り93cと対応する一対の再結像レンズ93dとの組み合わせにおいて、それぞれの開口絞り93cの中心及びそれに対応する再結像レンズ93dは、撮影レンズ群92aの光軸から偏心している。ファインダー光学系は、ハーフミラー92bで反射された方向の光路上において撮影レンズ群92aの結像面と等価な予定結像面に配置されたスクリーン94aと、ペンタダハプリズム94bと、接眼レンズ94cとで構成されている。
このように上記撮像素子モジュール1は、カメラ本体91内に組付けることで、上述したように高効率な冷却を実現したうえで、その熱設計を含む製作の自由度の向上を図ることが可能となる。
なお、上記実施の形態では、弾性変形自在なFPC基板11を用いて構成した場合について説明したが、これに限ることなく、その他、ハードタイプの印刷配線基板を用いて構成することも可能で、同様に有効な効果が期待される。
また、この発明は、上記放熱構造に限ることなく、その他、例えば図8、図9及び図10、図11乃至図13にそれぞれ示すように構成してよく、いずれも上記実施の形態による放熱構造と同様に有効な効果を期待することができる。但し、これら図8乃至図13においては、上記図1乃至図5と同一部分について同一符号を付して、その詳細な説明を省略する。
図8に示すモジュール構造は、上記ベアチップタイプの撮像素子10の背面側絶縁シート101がFPC基板11に設けた開口部111内に収容するように該FPC基板11に搭載されて電気的に接続され、このFPC基板11の開口部111の背面側には、相変化流路を構成するループ状の平板型ヒートパイプ21(例えば外形状はループ状で、パイプ幅は撮像素子10の寸法より小さく、略背面側絶縁シート101幅と同じである)の一部(吸熱部)が上記背面側絶縁シート101に対向されて配置されている。そして、上記FPC基板11の背面側には、粒状黒鉛にアルミナ粉、ガラス繊維やカーボン繊維が充填されたPPS樹脂等の熱伝導性の優れた合成樹脂材料でインサート成形された筒状の素子支持部材30が配置されて、その一端部が熱的に結合される。
また、撮像素子10の背面側絶縁シート101と後述する第1の放熱部材32との空間部には、撮像素子10の近傍における周囲温度を検出する温度センサ8や撮像素子10から出力される画像信号を保持及び利得制御するAFE(アナログ・フロント・エンド)IC素子等の電子部品が配置されている。
上記ヒートパイプ21には、その外周部の上記背面側絶縁シート101に対向する部位に黒色アルマイト処理等が施されて熱吸収面211が形成される。この熱吸収面211は、素子支持部材30の開口部301と熱伝導による熱結合が断たれており、撮像素子10の背面側絶縁シート101からの熱が熱対流及び熱放射により熱移送される。そして、このヒートパイプ21の熱吸収面211を挟んだ両側の一部は、上記素子支持部材30に接着剤334を介して接合されて支持され、熱伝導により熱的に結合される。
この素子支持部材30は、その内壁部にフィン案内溝302が設けられ、このフィン案内溝302には、相変化する蓄熱体を挟持した放熱部材を構成する第1及び第2の放熱部材32,33が移動自在に収容される。この第1及び第2の放熱部材32,33は、例えば金属酸化物やセラミック等のフィラーを混入した熱伝導性の優れた合成樹脂材料、例えば球状黒鉛にガラス繊維やカーボン樹脂等を充填したPPS(ポリフェニレンスルフィド)樹脂等で形成される。
そして、蓄熱体31は、例えばパラフィン、熱を伝えやすい物質からなる炭素繊維や融解温度以上であっても固体形状に保持できるゲル剤が充填されたパラフィン等の有機系蓄熱材、ポリマーで充填したパラフィンや無機水和塩等の芯材を容器で被覆したいわゆる蓄熱マイクロカプセル構造を有し、撮像素子10の使用限界温度以下、例えば60〜80℃で、相変化して融解、凝固可能に形成されている。これにより、蓄熱体31は、上記第1及び第2の放熱部材32,33を、撮像素子10の使用限界温度以下の60〜80℃に定温保持して、撮像素子10を所望の値に熱制御する。
この第1及び第2の放熱部材32,33には、対向して複数のフィン321,331が設けられ、相互間が蓄熱体31を介して熱結合されている。このうち第2の放熱部材33には、その一端部に透孔333を有した取付け部332が設けられ、この取付け部332の透孔333が上記素子支持部材30に設けられた図示しない螺子孔に対向されて該素子支持部材30に載置される。
そして、取付け部332上には、透孔341を有したスペーサ部材34が積重され、このスペーサ部材34上には、上記FPC基板11が上記素子支持部材30を包み込むように折返された一部が載置される。このFPC基板11上には、例えばステンレス鋼やアルミニウム製の押え部材35が積重されて配置される。
これらFPC基板11及び押え部材35には、透孔112,351が上記スペーサ部材34の透孔341に対応して設けられ、この各透孔351,112,341,333には、螺子部材36が挿入されて上記素子支持部材30で、ヒートパイプ21の両側に穿設された螺子孔(図示せず)に螺着されて上記素子支持部材30に熱的に結合されて位置決め配置される。
また、上記FPC基板11には、例えば温度センサ37が搭載され、この温度センサ37で上記第1及び第2の放熱部材32,33内の温度が検出される。この温度センサ37は、第1及び第2の放熱部材32,33内の周囲温度を検出して図示しない制御部に出力する。この制御部(図示せず)は、温度センサ37の検出信号に基づいて、その温度が所定時間以上、所定の温度以上であるのを検出した状態で、危険信号を生成して図示しない表示部に動作停止等の危険を表示したりする。
さらに、上記撮像素子10には、例えばその撮像面の周囲部に、例えば本出願人による特願2006−222709号の図4、図5に示される手振れ防止機構を構成する粒状黒鉛にガラス繊維やカーボン繊維が充填されたPPS樹脂でインサート成形された移動枠38に支持された押え部材39が係合され、その面方向が一定に維持された状態で、移動枠38を介して二次元的に移動されて、いわゆる手振れ補正が可能に構成される。この移動枠38は、例えば図示しない結合手段を介して上記押え部材39に熱的に結合され、その駆動に伴う熱が結合手段を介して排熱される。
図9に示すモジュール構造は、上記ベアチップタイプの撮像素子10を用いて構成したもので、同様にFPC基板11には、撮像素子10の背面側絶縁シート101に対応して開口部111が形成される。そして、この開口部111の背面側には、放熱部材を構成する素子支持部材40が対向配置される。この素子支持部材40は、例えば金属酸化物やセラミック等のフィラーを混入した熱伝導性の優れた合成樹脂材料、例えば球状黒鉛にガラス繊維やカーボン樹脂等を充填したPPS(ポリフェニレンスルフィド)樹脂等で形成される。
素子支持部材40には、開口部401が上記開口部111に対向して設けられ、この開口部401には、上記相変化流路を構成する平板型ループ状のヒートパイプ21の一部が撮像素子10の背面側絶縁シート101に対向するように配置される。
このヒートパイプ21には、その素子支持部材40の開口部401に対応する部位に同様に黒色アルマイト処理等が施されて熱吸収面211が形成される。この熱吸収面211は、素子支持部材40の開口部401と熱伝導による熱結合が断たれると共に、断熱部材41を介してヒートパイプ21の放熱側とも熱的に断たれており、上記撮像素子10の背面側絶縁シート101からの熱が熱対流及び熱放射により熱移送される。そして、このヒートパイプ21の熱吸収面211を挟んだ両側の一部は、上記素子支持部材40に支持されて熱伝導により熱的に結合される。
上記ヒートパイプ21の放熱側には、例えば図示しない機器筐体と熱的に結合される放熱部材42が熱的に結合される。この放熱部材42は、例えば金属酸化物やセラミック等のフィラーを混入した熱伝導性の優れた合成樹脂材料、例えば球状黒鉛にガラス繊維やカーボン樹脂等を充填したPPS(ポリフェニレンスルフィド)樹脂等で形成され、上記断熱部材41を介してヒートパイプ21の熱吸収面211を支持して、該ヒートパイプ21を素子支持部材40に組付け配置する。これにより、ヒートパイプ21は、その熱吸収面211が、断熱部材41により放熱部材42と熱的に断たれ、上記撮像素子10の背面側絶縁シート101からの熱が熱対流及び熱放射により熱移送されると、作動流体が相変化により吸熱して気化され、放熱側において液化されて排熱する。
なお、上記断熱部材41は、上記図5に示す断熱部材86と同様の蓄熱体9をインサート成形により熱的に結合させて配するように構成してもよい。
また、上記素子支持部材40には、上記相変化する蓄熱体9がインサート成形により熱的に結合されて配される。この蓄熱体9は、例えばパラフィン、熱を伝えやすい物質からなる炭素繊維や融解温度以上であっても固体形状に保持できるゲル剤が充填されたパラフィン等の有機系蓄熱材、ポリマーで充填したパラフィンや無機水和塩等の芯材を容器で被覆したいわゆる蓄熱マイクロカプセル構造を有し、撮像素子10の使用限界温度以下、例えば60〜80℃で、相変化して融解、凝固可能に形成されている。これにより、蓄熱体9は、上記素子支持部材40を、撮像素子10の使用限界温度以下の60〜80℃に定温保持して、撮像素子10を所望の値に熱制御する。
そして、ヒートパイプ21には、上記圧電型ポンプ23が配管接続される。圧電型ポンプ23は、例えば上記素子支持部材40に支持されて配置され、上記ヒートパイプ21内に作動流体を循環供給する。
また、この圧電型ポンプ23は、その他、図10に示すように放熱部材42に取付けてヒートパイプ21に対して配管接続するようにしてもよい。ここで、上記放熱部材42及び断熱部材41には、上記素子支持部材40と同様の畜熱体9がインサート成形により熱的に結合させて配するようにしてもよい(図10参照)。これにより、放熱部材42及び断熱部材41は、撮像素子10の使用限界温度以下の60〜80℃に定温保持するように構成することでさらに良好な冷却効果を得ることが可能となる。
なお、上記撮像素子10上には、光学ローパスフィルタ43が支持部材431に支持された状態で、パッキン部材432が介在されて組付けられる。そして、この光学ローパスフィルタ43上には、防塵機構を構成する透明ガラス基板433が圧電素子等で構成される加振部材434及び押圧部材435が介在されて組付けられる。この透明ガラス基板433は、加振部材434が図示しない駆動制御部を介して駆動されて加振されると、押圧部材435の弾性力に抗して気密を保った状態で振動して、その上面等に付着した埃等を除去して、光学ローパスフィルタ43内への侵入を防止する。
また、図11及び図12に示すモジュール構造は、撮像素子10aは、例えばベアチップタイプの撮像素子10aが、いわゆるハードタイプの印刷配線基板61に粒状黒鉛とカーボン繊維や非結晶(ガラス)の繊維等が充填されたPPS樹脂のインサート成形の素子支持部材62を介して搭載される。この素子支持部材62には、上記相変化する蓄熱体9がインサート成形により熱的に結合されて配される。この蓄熱体9は、例えばパラフィン、炭素繊維が充填されたパラフィン等の有機系蓄熱材、ポリマーで充填したパラフィンや無機水和塩等の芯材を容器で被覆したいわゆる蓄熱マイクロカプセル構造を有し、撮像素子10の使用限界温度以下、例えば60〜80℃で、相変化して融解、凝固可能に形成されている。これにより、蓄熱体9は、上記素子支持部材62を、撮像素子10の使用限界温度以下の60〜80℃に定温保持する。
素子支持部材62には、位置決めピン621が印刷配線基板61に対向して突設され、この位置決めピン621が印刷配線基板61の挿通孔611に挿入されて相互間が位置決めされて組付けられる。これにより、撮像素子10aは、その受光面が撮像レンズに対して光軸が一致されて組付けることが可能となる。
上記素子支持部材62には、開口部622と開口部601が設けられ、この撮像素子支持部材62を挟み、上記撮像素子10aの背面側より突出されたリード端子102aが挿通され、該リード端子102aが上記印刷配線基板61に半田等により電気的に接続される。
そして、この印刷配線基板61の背面側には、例えば電子カメラを構成するバックライト63及びLCD(liquid Crystal Display)64の収容されたシールド部材65が、取付け具66及び螺子部材67を用いて組付けられている。また、撮像素子10aの背面側絶縁シート101aや上記撮像素子支持部材62に設けられた開口部622及び開口部601を設けず、撮像素子10aと撮像素子支持部材62との熱結合は、熱伝導のみにすることもできる。
このシールド部材65は、熱伝導性のよいアルミニウム等で形成され、例えば機器筐体である電子カメラを構成する後カバー68に熱伝導により熱的に結合されて組付けられている。この後カバー68は、図示しない前カバー及び中枠でカメラ筐体を構成する。
上記印刷配線基板61には、開口612及び切欠き部613がヒートパイプ69に対応して所定の間隔に設けられる。この開口612及び切欠き部613には、相変化流路を構成するループ状のヒートパイプ69が挿通されて該ヒートパイプ69が印刷配線基板61の上面側から背面側に配管される。
このヒートパイプ69は、例えばウイックの形成された上記日本金属産業(株)製の熱伝導性に優れたヒートパイプを用い、撮像素子10aの背面側から、その吸熱側に熱が加わると、その毛細管現象により作動流体が熱を奪って蒸発し、気圧を上げて他端側の気圧の低い側に流れる相変化を利用するもので、印刷配線基板61の背面側において、熱伝導性のよいアルミニウム等で形成された複数のパイプ支持部材70を介して上記シールド部材65に支持されて熱伝導により熱的に結合される。
ここで、内壁にウイックと呼ばれる毛細管作用を持つヒートパイプ69内では、凝縮した作動流体が再び、ウイックの毛細管により吸熱側へ還流し、この蒸発、凝縮、及び還流のサイクルが実行され、撮像素子10aの温度上昇を抑制することができる。そして、上記印刷配線基板61には、温度センサが、例えば上記パイプ支持部材70間の空間を利用(図示しない熱伝導性の高いゴム材を介在して支持する)して搭載され、リード線711を介して電気的に接続される。
なお、このヒートパイプ69のパイプ支持部材70間には、図13に示すように上記温度センサ71に変えて圧電型ポンプ72を接続配管するようにしてもよい。また、このヒートパイプ69は、パイプ支持部材70に支持された部位の近傍を、例えば軸方向に伸縮自在なベローズ型接続管73を用いて配管接続するように構成することにより、簡便な配管接続を行うことが可能となる。
ここで、ヒートパイプ69は、素子支持部材62の開口部601及び開口部622を通して撮像素子10aの背面側絶縁シート101aからの熱が対流及び熱放射により熱移送されると、その作動流体が相変化により吸熱して気化され、放熱側において液化されて排熱する。同時に、撮像素子10aの熱は、パッケージ本体60、素子支持部材62及び印刷配線基板61を介してシールド部材65に熱伝導により熱移送されて放熱される。この際、素子支持部材62は、その蓄熱体9が熱を吸収して相変化することで、定温保持され、放熱の促進を図る。
また、上記印刷配線基板61に実装されるCPU(中央演算装置)や、AFEIC素子等の電子部品の発熱は、該印刷配線基板61の部品搭載部位の背面側と上記シールド部材65との間にシリコンシート等の熱伝導材を介在してシールド部材65に直接的に熱伝導するように熱的に結合する。これにより、印刷配線基板61に実装した電子部品の熱は、素子支持部材62に熱伝導するのが抑えられてシールド部材65を介して効率よく放熱され、素子支持部材62の構成の簡略化が図れる。
なお、上記ヒートパイプ69は、その素子支持部材62の開口部622に対向する外周部に黒色アルマイト処理等を施して熱吸収面を形成するように構成してもよい。これにより、撮像素子10aからの熱対流及び熱放射による熱のヒートパイプ69への熱移送の促進を図ることが可能となる。
また、このモジュール構造においては、上記印刷配線基板61に代えて上述した自在状に形成されたFPC基板(図12中二点鎖線で示す)74を用いて構成するようにしてもよい。この場合、FPC基板74は、上記ヒートパイプ69の配管方向に対して直交する方向に引き出すように構成することにより、FPC基板74を電気的に接続するための接続コネクタとヒートパイプ69とが干渉することがなくなり、その組立て作業の簡便化を図ることが可能となる。
なお、上記各実施の形態においては、ヒートパイプ21,69を組付け配置するように構成した場合で説明したが、これに限ることなく、ヒートパイプ21,69を組付け配置することなく構成することも可能である。このようにヒートパイプ21,69を省略することで、操作モジュールが簡素化され、小型化となる。
よって、この発明は、上記実施の形態に限ることなく、その他、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を実施し得ることが可能である。さらに、上記実施の形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組合せにより種々の発明が抽出され得る。
例えば実施の形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
また、この発明は、上記図5及び図11に示す実施の形態に基づいて、次のような構成を得ることもできる。
(付記1)
撮像素子と、
前記撮像素子と電気的に接続された印刷配線基板と、
前記印刷配線基板及び撮像素子と熱的に結合された熱伝導性の高い合成樹脂材料の放熱部材と、
前記放熱部材の一部で、上記撮像素子の近傍にインサート成形された相変化材料からなる蓄熱体と、
を具備することを特徴とする撮像素子モジュール。
(付記2)
撮像レンズの装着されるレンズ本体と、
前記レンズ本体の光軸中心に位置する撮像素子と、
前記撮像素子と電気的に接続された印刷配線基板と、
前記印刷配線基板及び撮像素子と熱的に結合された金属材料からなる第1の放熱部材と、
光学素子が配置された熱伝導性の高い合成樹脂材料からなる第2の放熱部材と、
前記第2の放熱部材の前記第1の放熱部材と接合する近傍位置に、インサート成形された相変化する蓄熱体と、
を具備することを特徴とするレンズユニット。
(付記3)
撮像レンズの装着された光学素子の配置される熱伝導性の高い合成樹脂材料からなる機器筐体と、
前記撮像レンズの光軸中心に位置する撮像素子と、
前記撮像素子と電気的に接続された印刷配線基板と、
前記印刷配線基板及び撮像素子と熱的に結合された金属材料からなる放熱部材と、
前記機器筐体にインサート成形により熱的に結合されて配された相変化材料からなる蓄熱体と、
前記機器筐体に設けられ、前記撮像素子で取得した画像データを表示する表示部と、
を具備することを特徴とする携帯用電子機器。