JP2012006354A - 耐熱ポリスチレン系樹脂発泡積層シートとそれを用いた成形品 - Google Patents

耐熱ポリスチレン系樹脂発泡積層シートとそれを用いた成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた耐熱性を有するとともに脆性、成形性、外観の点で良好であり、かつ経済性にも優れた耐熱ポリスチレン系樹脂発泡積層シートと、それを用いた食品用容器等の成形品とを提供することを課題としている。
【解決手段】ポリスチレン系樹脂を含み密度が0.50〜0.05g/cm3であるポリスチレン系樹脂発泡層と、ポリスチレン系樹脂及び耐熱性を高めるポリフェニレンエーテル系樹脂を含み密度が0.5〜0.05g/cm3である耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層との積層構造を有し、全体の密度が0.35〜0.05g/cm3で、かつ総厚みが0.5〜3.0mmであることを特徴とする耐熱ポリスチレン系樹脂発泡積層シート、並びに、該発泡積層シートを、耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層が内面側となるように熱成形して製造された成形品を提供する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、耐熱ポリスチレン系樹脂発泡積層シートとそれを用いた成形品に関し、具体的には例えば、従来の耐熱ポリスチレン系樹脂製の発泡シートに比較して耐熱性を損なうことなく脆性を改善した耐熱ポリスチレン系樹脂発泡積層シート、及びそれを用いた、特に食品用の容器等として好適な成形品に関する。
従来、発泡シートを形成するポリスチレン系樹脂としては、耐熱性を有する耐熱ポリスチレン系樹脂が知られている。耐熱ポリスチレン系樹脂で形成された発泡シートは、汎用されているポリスチレン系樹脂製の発泡シートに比べて脆性が強い。従って、押出発泡法等の一般的な製造方法による製造中に切断することがあり、生産性が悪いという問題がある。また、上記耐熱ポリスチレン系樹脂で形成した発泡シートは、熱成形により容器を製造する際にも、強い脆性によって切断が多発したり、あるいは打ち抜き時に割れが発生したりするため、製品収率が悪いという問題がある。
また、上記耐熱ポリスチレン系樹脂で形成された発泡シートは、成形性も悪いため深絞り成形ができず、特に気泡を細かくすると伸びが悪化してさらに成形性が悪くなるため、気泡の粗い、外観の劣るものしか得られないという問題もある。これを改善するために、耐熱ポリスチレン系樹脂にゴム成分を添加したり(特許文献1)、あるいは非発泡のフィルムを発泡シートと積層したり(特許文献2)することが検討されたが、それでもなお脆性の改善効果は十分でなく、さらなる改善が望まれている。
特公平5−79251号公報 特公平5−3977号公報
また、耐熱ポリスチレン系樹脂は、コスト的に高いことから、同程度の耐熱性能を有し、しかも経済的にも有利な耐熱性のスチレン系樹脂発泡シートが望まれていた。
本発明は、優れた耐熱性を有するとともに脆性、成形性、外観の点で良好であり、かつ経済性にも優れた耐熱ポリスチレン系樹脂発泡積層シート、及び、それを用いた食品用容器等の成形品を提供することを課題とする。
本発明者は、耐熱ポリスチレン系樹脂発泡シートの脆性改善、成形性改善等について鋭意研究した。その結果、特定の密度範囲を有するポリスチレン系樹脂発泡層と、ポリスチレン系樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂とを特定の質量比で含み特定の密度範囲を有する耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層とを積層して、特定の厚み、および密度範囲を有する発泡積層シートとすることで、これらの課題が一挙に解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の耐熱ポリスチレン系樹脂発泡積層シートは、ポリスチレン系樹脂を含み密度が0.50〜0.05g/cm3であるポリスチレン系樹脂発泡層と、ポリスチレン系樹脂及び耐熱性を高めるポリフェニレンエーテル系樹脂を含み密度が0.50〜0.05g/cm3である耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層との積層構造を有し、全体の密度が0.35〜0.05g/cm3で、かつ総厚みが0.5〜3.0mmであることを特徴とするものである。また、耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層においては、ポリスチレン系樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂との合計100質量部に対して、ポリフェニレンエーテル系樹脂が10質量部以上50質量部以下の量で含まれている。
また、本発明の成形品は、前記耐熱ポリスチレン系樹脂発泡積層シートを、耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層が内面側となるように熱成形して形成されたことを特徴とするものである。
本発明によれば、優れた耐熱性を有するとともに脆性、成形性、外観の点で良好であり、かつ経済性にも優れた耐熱ポリスチレン系樹脂発泡積層シートが得られる。また、上記耐熱ポリスチレン系樹脂発泡積層シートを、耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層が内面側となるように熱成形することで、上記の特性に優れた食品用容器等の成形品が得られる。
以下に、本発明の耐熱ポリスチレン系樹脂発泡積層シートの一実施形態について説明する。
<耐熱ポリスチレン系樹脂発泡積層シート>
本実施形態の耐熱ポリスチレン系樹脂発泡積層シート(以下、単に発泡積層シートともいう)は、ポリスチレン系樹脂を含み密度が0.50〜0.05g/cm3であるポリスチレン系樹脂発泡層と、ポリスチレン系樹脂及び耐熱性を高めるポリフェニレンエーテル系樹脂を含み密度が0.50〜0.05g/cm3である耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層との積層構造を有するものである。該積層構造としては、
・耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層/ポリスチレン系樹脂発泡層の2層構造の他、
・耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層/ポリスチレン系樹脂発泡層/耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層の3層構造が挙げられる。
また、耐熱ポリスチレン系樹脂発泡積層シートは、全体の密度が0.35〜0.05g/cm3で、かつ総厚みが0.5〜3.0mmである。
前記耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層、および前記ポリスチレン系樹脂発泡層の密度がそれぞれ0.50〜0.05g/cm3の範囲に限定されるのは、以下の理由による。即ち、耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層、およびポリスチレン系樹脂発泡層の密度が一方でも0.50g/cm3を超えると、発泡積層シート全体の坪量が大きくなって経済的なメリットが失われる。
これに対して、耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層、およびポリスチレン系樹脂発泡層の密度が一方でも0.05g/cm3未満であると、気泡の連通化が大きくなるため、熱成形時の伸びが悪くなって亀裂が発生したり、成形機内で部分的な加熱が発生しやすくなって、成形条件の幅が狭くなったりするという問題を生じる。また、成形品の強度も低下する。
さらに、上記両発泡層を積層してなる、前記耐熱ポリスチレン系樹脂発泡積層シートの全体の密度が0.35〜0.05g/cm3の範囲に限定されるのは、以下の理由による。
即ち、全体の密度が0.35g/cm3を超えると、発泡シート製の容器の重要な特性の一つである断熱性が不十分になり、また、樹脂量が一定であれば密度が高くなるほど全体の厚みが薄くなるため、強度も低下する。そのため、強度をアップすべく樹脂量を増やす必要が生じ、コストアップにつながる。一方、全体の密度が0.05g/cm3未満であると、発泡積層シートが軟らかすぎて、強度が不足する。
なお、全体の密度は、これらの事実を併せ考慮すると、0.30〜0.07g/cm3であることが好ましく、0.25〜0.08g/cm3であることがより好ましい。
また、発泡積層シートの総厚みが0.5〜3.0mmの範囲に限定されるのは、総厚みが0.5mm未満であると、強度、断熱性が不足し、3.0mmを超えると熱成形性が不良となるからである。
これらの事実を併せ考慮すると、発泡積層シートの総厚みは、0.6〜2.5mmであることが好ましく、0.7〜2.3mm程度であることがより好ましい。
後述するように、熱可塑性樹脂フィルム層をさらに積層する場合、発泡積層シートの全体の密度に、この熱可塑性樹脂フィルム層の密度は含まない。同様に、発泡積層シートの総厚みに、上記熱可塑性樹脂フィルム層の厚みは含まない。即ち、全体の密度、および総厚みは、耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層、および、ポリスチレン系樹脂発泡層の両方を対象としたものである。
前記発泡積層シートにおけるその他の物性値については、特に限定されないが、前記耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層と前記ポリスチレン系樹脂発泡層との積層構造において、耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層の占める割合は、両者の総質量の20〜80質量%であることが好ましい。
耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層の占める割合が総質量の20質量%以上であることにより、耐熱性の低下が抑制されるという利点がある。具体的には、例えば、加熱された食品の油等による表面の侵食や、電子レンジ調理などによる加熱時に、容器が変形することが抑制され得る。
一方、耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層の占める割合が総質量の80質量%以下であることにより、コストメリットにより優れるという利点がある。なお、耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層の占める割合は、上記耐熱性、脆性等の総合的な観点から、30〜70質量%であることがより好ましい。
前記発泡積層シートが、前述した(耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層/ポリスチレン系樹脂発泡層/耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層)の3層構造の場合は、両側の耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層の合計の質量が、上記の範囲内となるように調整することが好ましい。また、後述するように、熱可塑性樹脂フィルム層をさらに積層する場合、総質量に、熱可塑性樹脂フィルム層の重さは含まない。総質量は、あくまでも両発泡層を対象とする。
前記発泡積層シートは、例えば、耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層とポリスチレン系樹脂発泡層とをそれぞれ別個に押出発泡成形した後、接着剤や熱融着等によって貼り合わせることにより製造できる。しかしながら、この製造方法は、接着剤を用いたり熱融着をしたりする工程がある分、コストアップにつながり得る。
それゆえ前記発泡積層シートは、共押出法によって、耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層とポリスチレン系樹脂発泡層とを積層しつつ押出発泡成形して製造することが好ましい。発泡積層シートを共押出法で製造する場合、合流金型内での両樹脂の粘度が近い方が、押出発泡成形し易いことから、それぞれの発泡層の密度差が小さい方が好ましい。このため、耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層の密度(A)と、ポリスチレン系樹脂発泡層の密度(B)との比(A/B)は、0.5〜2.0であることが好ましく、0.5〜1.8であることがより好ましい。特に、溶融粘度を考慮すると、A<Bであること、即ち、比(A/B)が1.0未満であることがさらに好ましい。
前記ポリスチレン系樹脂発泡層を形成するポリスチレン系樹脂は、分子中にスチレン骨格を有するスチレン系モノマーが重合してなるものである。
該ポリスチレン系樹脂としては、汎用のポリスチレン系樹脂が挙げられ、例えばスチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ジメチルスチレン、パラメチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン等のスチレン系モノマー1種の単独重合体、又はこれらスチレン系モノマー複数種の共重合体が挙げられる。また、スチレン−ブタジエン共重合体等が例示される。なかでも、ポリスチレン樹脂(スチレン単独重合体)などが好ましい。
また、該ポリスチレン系樹脂としては、これら共重合体にさらにブタジエンゴム等のゴムを混合した混合樹脂、又は、上記共重合体を構成する成分に、さらにブタジエン等の、樹脂に柔軟性を付与しうる成分を加えて共重合させた共重合体(例えば、スチレン−ブタジエン共重合体)などが挙げられる。
また、該ポリスチレン系樹脂としては、例えばスチレン系モノマーと、無水マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリルアミド、アクリルニトリル等との共重合体(スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体)が挙げられる。
前記耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層に含まれるポリスチレン系樹脂としては、前記ポリスチレン系樹脂発泡層を形成するポリスチレン系樹脂として挙げられたものを採用することができる。なかでも、ポリフェニレンエーテル系樹脂との相溶性の観点からは、ポリスチレン樹脂(スチレン単独重合体)などが好ましい。
また、耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層には、耐熱性の付与に有効となるポリフェニレンエーテル系樹脂が含まれている。
前記ポリフェニレンエーテル系樹脂は、次の一般式(1)で表される分子構造を有する。
Figure 2012006354
ここでR1及びR2は、炭素数1〜4のアルキル基又はハロゲン原子を示し、nは重合度を表す正の整数である。
例示すれば、ポリ(2,6−ジメチルフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2,6−ジエチルフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2,6−ジクロルフェニレン−1,4−エーテル)等が本実施形態において用いられ得る。
また、重合度nは、通常10〜5000の範囲内である。
ポリフェニレンエーテル系樹脂は、ポリスチレン系樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂との合計100質量部に対して、10質量部以上50質量部以下となる割合の量で用いられる。
ポリフェニレンエーテル系樹脂は、耐熱性の向上に有効なものではあるが、ポリフェニレンエーテル系樹脂を、ポリスチレン系樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂との合計100質量部に対して、10質量部以上50質量部以下となる割合で耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層に含有させることが好ましいのは、10質量部未満であると、ポリフェニレンエーテル系樹脂の添加効果が確実に発揮されないおそれがあることによる。また、50質量部を超えた含有割合であってもポリフェニレンエーテル系樹脂の添加効果がそれ以上に発揮されにくい。
また、一般的には、ポリフェニレンエーテル系樹脂は、ポリスチレン系樹脂に比べて高価であるために上記範囲を超えてポリフェニレンエーテル系樹脂を含有させると材料コストの観点において好ましいとはいえない。
通常、ポリスチレン系樹脂のビカット軟化温度は、102℃程度であるが、上記のようなポリフェニレンエーテル系樹脂を含有させることにより、ビカット軟化温度を110〜155℃の範囲に向上させることができ、該ポリフェニレンエーテル系樹脂を含んだ耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層を使用することで、得られるスチレン系樹脂発泡積層シートや該スチレン系樹脂発泡積層シートを2次加工した製品などの耐熱性向上を図ることができる。
一般にポリスチレン系樹脂が用いられてなる製品に耐熱性が求められる場合には、スチレンホモポリマーよりもビカット軟化温度の高いスチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−マレイミド共重合体、ポリパラメチルスチレン樹脂などのコポリマーをその形成材料に採用することが行われている。
一方で、上記のようにポリフェニレンエーテル系樹脂をブレンドする方法は、単に製品に耐熱性を付与することができるばかりでなく、優れた靱性を付与することができる点においても優れている。
したがって、ポリフェニレンエーテル系樹脂を含んだ耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層を使用して発泡トレーなどの成形品を形成させることにより、急激な変形が加えられても割れたりすることのない成形品を形成させることができる。
ただし、ポリフェニレンエーテル系樹脂は、特有の臭いを有していることから、特に臭気を嫌う用途などにおいては消臭のための成分を含有させることが好ましい。
この消臭成分としては、ゼオライト系やリン酸ジルコニウム系の無機物粒子が挙げられる。
前記耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層に含まれるポリスチレン系樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂との樹脂混合物においては、ビカット軟化点が、115℃以上であることが好ましく、120℃以上であることがより好ましい。また、該ビカット軟化点は、ポリスチレン系樹脂発泡層を形成する前記ポリスチレン系樹脂のビカット軟化点より高いことが好ましい。なお、ビカット軟化点は、日本工業規格JIS K7206−1991「熱可塑性プラスチックのビカット軟化温度試験方法」に規定された方法(B法、50℃/h)に則って測定された値である。
前記発泡積層シートは、さらに熱可塑性樹脂フィルム層(以下、単にフィルム層ともいう)を積層していてもよい。
熱可塑性樹脂フィルム層を積層した場合の具体的な層構成としては、例えば、
・熱可塑性樹脂フィルム層/耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層/ポリスチレン系樹脂発泡層の3層構造、
・熱可塑性樹脂フィルム層/ポリスチレン系樹脂発泡層/耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層の3層構造、
・熱可塑性樹脂フィルム層/耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層/ポリスチレン系樹脂発泡層/熱可塑性樹脂フィルム層の4層構造、
・熱可塑性樹脂フィルム層/耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層/ポリスチレン系樹脂発泡層/耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層の4層構造、
・熱可塑性樹脂フィルム層/耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層/ポリスチレン系樹脂発泡層/耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層/熱可塑性樹脂フィルム層の5層構造
等が挙げられる。
前記熱可塑性樹脂フィルム層を形成する樹脂としては、例えばスチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ジメチルスチレン、パラメチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレンの単独重合体または共重合体が挙げられる。斯かる樹脂としては、具体的には例えば、スチレン−無水マレイン酸系共重合体、スチレン−アクリル酸系共重合体、スチレン−メタクリル酸系共重合体、耐衝撃性ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン系共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系共重合体等が挙げられ、耐熱性を要求される側(食品容器であれば内面側)に熱可塑性樹脂フィルム層が配される場合は、当該フィルム層を形成する樹脂としては、スチレン−アクリル酸系重合体、スチレン−メタクリル酸系共重合体等が好ましい。
前記熱可塑性樹脂フィルム層として、ガスバリヤ性を有する熱可塑性樹脂フィルム層を採用することも好ましい態様である。該ガスバリヤ性を有するフィルムとしては、例えばエチレン−酢酸ビニル系共重合体フィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリエステルフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、塩化ビニリデン系・アクリロニトリル共重合体フィルム、アクリロニトリル系メチルメタアクリレート−ブタジエン共重合体フィルム、ナイロンフィルム、二軸延伸ナイロンフィルム、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルム、高密度ポリエチレンフィルム、アイオノマー樹脂フィルム(例えば、登録商標サーリン)、又はこれらフィルムの少なくとも一方の面に金属蒸着膜が形成された金属蒸着フィルム等が挙げられる。これらフィルムは、1種が単独で、又は2層以上が積層されて用いられ得る。
熱可塑性樹脂フィルム層の厚みは、10μm〜500μmであることが好ましく、15μm〜300μmであることがより好ましい。
フィルム層の厚みが10μm以上であることにより、容器に成形したときにフィルム層に穴明きが発生することが抑制され得るという利点がある。
一方、フィルム層の厚みが500μm以下であることにより、積層時に、特にポリスチレン系樹脂発泡層に焼けや剥離が生じることが抑制され得るという利点がある。また、以下に述べるようにフィルム層を、耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層および/またはポリスチレン系樹脂発泡層とともに、共押出法によって積層、形成することも考えられるところ、厚みが上記の範囲内であることにより、フィルム層は、共押出法では発泡層と積層させて形成しやすいものとなることから、共押出法を採用することは、製造コストの点でも好ましい。
前記耐熱ポリスチレン系樹脂発泡積層シートの製造方法としては、特に限定されるものではなく、前述した共押出法、接着剤を用いた接着法、あるいは熱を利用した熱融着法などの製造方法を適宜、採用することができる。なかでも共押出法は、耐熱ポリスチレン系樹脂発泡積層シートの生産性、作業性、経済性に優れる上、共押出の条件を調整するだけで、製造される発泡積層シートの製品スペックを種々、変更できることから、製品スペック幅を広くとることができるという点で好ましい。しかも、共押出により製造された発泡積層シートは、成形性に優れるという特徴を有し得る。
これに対し、成形後の耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層とポリスチレン系樹脂発泡層とを貼り合わせる方法は、貼り合わせ工程を必要とするため、経済性の点では不利である。また、それぞれ別個に押出発泡成形によって得られる耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層の厚み、ポリスチレン系樹脂発泡層の厚みを250μm以下とすることが難しい上、両層の延伸コントロールが難しいため、貼り合わせる方法で製造された発泡積層シートは、熱成形する際の伸びが低下して、良好な成形性が得られない可能性がある。
また、耐熱ポリスチレン系樹脂発泡積層シートの厚みが比較的薄い場合、即ち、発泡積層シートを構成する耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層および/またはポリスチレン系樹脂発泡層の厚みが比較的薄い場合には、特に熱融着法による貼り合わせ時において、発泡層が熱によって収縮を起こすおそれがあり、延伸が制御できないことから、熱融着法で製造された発泡積層シートは、熱成形時の伸びが悪くなって、成形性が低下することがある。
熱可塑性樹脂フィルム層をさらに積層する場合、共押出法によって、耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層及びポリスチレン系樹脂発泡層のうちの少なくとも一方に積層して、発泡積層シートを形成してもよい。特に、熱可塑性樹脂フィルム層と耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層とポリスチレン系樹脂発泡層とを全て一度に、共押出法によって積層、形成することが、その後の貼り合わせ工程を省略できるため、生産性や経済性の点で好ましい。また、例えば、熱可塑性樹脂フィルム層と耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層(あるいはポリスチレン系樹脂発泡層)とを共押出法によって積層し、その後、ポリスチレン系樹脂発泡層(あるいは耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層)を、接着剤を用いた接着法、または熱融着法によってさらに積層することもできる。
各層の接着に使用する接着剤としては、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体、メタクリル酸メチル重合体エラストマー等の基材樹脂を含有する接着剤(例えば、旭化成工業社製の「タフプレン」、「タフテック」など)が好ましい。また、接着における塗布厚みは、5μm〜150μm程度が好ましい。なお、接着剤を用いて各層を貼り合わせる場合、接着剤の厚みは、発泡積層シートの総厚みには加えない。
前記熱融着法としては、例えば、あらかじめ加熱した各層を積層する方法、あらかじめ積層した各層を加熱する方法、積層と加熱とを同時に行う方法等が挙げられる。
前記熱融着法における加熱の媒体としては、熱ロールや熱風等が用いられ得る。熱ロールは、表面にクロムメッキまたはテフロン(登録商標)コーティングを行い、加熱された層とのべたつきを防止しておくことが好ましい。
なお、接着剤による接着法や熱融着法を採用した場合は、耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層、ポリスチレン系樹脂発泡層、熱可塑性樹脂フィルム層の各境界面が明確に認識できるが、共押出法を用いた場合は、層の境界面が不明確になる場合がある。
熱可塑性樹脂フィルム層には、酸化チタン等の顔料を、フィルム製造時の原料100質量部に対して5質量部以下の割合で混合してもよい。また、熱可塑性樹脂フィルム層、耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層、およびポリスチレン系樹脂発泡層は、それぞれ着色剤等であらかじめ着色されていてもよい。また、熱可塑性樹脂フィルムにあらかじめ印刷を施し、その印刷面を内側として積層するようにすれば、外観に艶が出て表面のきれいな成形品を得ることができる。
耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層、又は、ポリスチレン系樹脂発泡層を形成するための押出発泡法、共押出法は、従来公知の一般的な方法と同様にして行うことができる。即ち、押出発泡法は、例えば、所望の密度となるように、押出機に基材樹脂、発泡剤及び発泡に必要な添加剤を入れ、溶融混練した後、押出機のダイから押し出すことにより行うことができる。また、共押出法は、例えば、積層する層の数だけ用意した押出機にそれぞれ各層用の基材樹脂、発泡剤(発泡層のみ)、添加剤等を入れ、溶融混練した後、各押出機を繋ぐ合流金型内で積層してダイから押し出すことにより行うことができる。
耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層、又は、ポリスチレン系樹脂発泡層の形成においては、あらかじめ基材樹脂と、発泡剤等の添加剤とを均一に混合した後、押出機に供給してもよい。また、添加剤は、予め基材樹脂と同種の樹脂に高濃度となるように添加して、所謂マスターバッチの状態で用いてもよい。
前記発泡剤としては、公知のものが挙げられ、例えば、分解型発泡剤、気体の発泡剤、又は揮発性の発泡剤が挙げられる。
分解型発泡剤としては、例えば、炭酸アンモニウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウム、カルシウムアジド、ナトリウムアジド、ホウ水素ナトリウム等の無機系分解性発泡剤、アゾジカルボンアミド、アゾビススルホルムアミド、アゾビスイソブチロニトリル及びジアゾアミノベンゼン等のアゾ化合物、N,N’−ジニトロソペンタンメチレンテロラミン及びN,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソテレフタルアミド等のニトロソ化合物、ベンゼンスルホニルヒドラジド等が挙げられる。これらの発泡剤は、1種を単独で、又は2種以上が組み合わされて用いられ得る。さらに、発泡剤の分解温度、発生ガス量及び分解速度を調節するために、公知の発泡助剤が用いられ得る。
気体の発泡剤としては、窒素、炭酸ガス、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、メチルエーテル等が挙げられる。なお、気体とは常温(25℃)、常圧(1気圧)で気体状のものである。
揮発性の発泡剤としては、エーテル、石油エーテル、アセトン、ペンタン、イソペンタン、へキサン、イソヘキサン、ヘプタン、イソヘプタン、ベンゼン、トルエン等が挙げられる。また、揮発性の発泡剤としては、水も挙げられる。揮発性の発泡剤は、これらを混合したものであってもよい。
前記発泡剤としては、n−ブタン、i−ブタン、あるいは両者の混合物(混合ブタン)等のブタン類が好ましい。また、気泡サイズを約40μm以下にするためには、窒素、炭酸ガス、又は水の1種を単独で使用すること、又はこれらの2種以上を併用することが好ましい。特に、窒素は、空気から直接分離できるので安価であるという利点がある。
発泡に必要な添加剤としては、例えば、気泡調節剤等が挙げられる。該気泡調節剤としては、具体的にはタルク、シリカ等の無機粉未、多価カルボン酸等の酸性塩、多価カルボン酸と炭酸ナトリウム又は重炭酸ナトリウムとの反応混合物等が挙げられる。気泡調節剤が多すぎると、気泡膜が熱に弱くなり、押出積層時に気泡膜が破れ、その結果気泡が大きくなる可能性がある。このような気泡の増大を防ぐためには、発泡剤として窒素、炭酸ガスを用いることが好ましい。
耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層、又は、ポリスチレン系樹脂発泡層の形成においては、さらに必要に応じて、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤、滑剤、難燃剤、帯電防止剤等を用いてもよい。溶融混練された樹脂、又はさらに積層される樹脂は、発泡に最も適する温度に調節されたダイから直接に、シート状に押し出して発泡させるか、または一旦、円筒状に押し出して発泡させた後、所定のラインで切断することによりシ一ト状とされる。
<成形品>
本発明の成形品の一実施形態について説明する。
本実施形態の成形品は、耐熱ポリスチレン系樹脂発泡積層シートを、耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層が内面側となるように熱成形して形成されたものである。
前記耐熱ポリスチレン系樹脂発泡積層シートから、成形品を製造するための熱成形の方法としては、例えば真空成形や圧空成形、あるいはこれらの応用としてのフリードローイング成形、プラグ・アンド・リッジ成形、リッジ成形、マッチド・モールド成形、ストレート成形、ドレープ成形、リバースドロー成形、エアスリップ成形、プラグアシスト成形、プラグアシストリバースロード成形等の、従来公知の一般的な成形法を採用することができる。
製造された成形品は、耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層が内面側に配されているため、優れた耐熱性を有するものとなる。従って、前記成形品は各種容器として好適であり、特に内容物が電子レンジ等で加熱調理に供される、食品用の容器に最適である。
次に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下に、実施例、比較例に基づいて本発明をさらに説明する。なお、各実施例、各比較例で製造したシートの各特性は、それぞれ下記の方法によって測定を行った。
[耐熱評価]
・成形品の作製
耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層側が容器内面側となるように発泡積層シートを熱成形して、長辺190mm、短辺140mm、深さ30mmの角トレー型の成形品を得た。
・耐油試験
角トレー型の成形品に、125〜150℃の所定温度に加熱したサラダオイルを、トレー深さの約70%まで注ぎ、30秒後にサラダオイルを除いて表面状態を目視にてチェックした。
そして、表面状態がオイル注入前とほとんど変わらなければ耐油性良好(OK)とし、変化があればその状態を記録した。
・熱変形試験
トレーに約50℃の温水を100cc入れ、ガラス板をのせて蓋をした状態で、電子レンジ(500w)を用いて3分間加熱した際の、トレー上縁部の変形状態をチェックし、下記の3段階で評価した。
変形小:トレー上縁部(リップ部)において、相対向する短辺のそれぞれの中心間を
測定した寸法変化が±8mm未満(元の寸法は190mm)であり、
使用可と判断される。
変形中:寸法変化が±8〜18mmの範囲内であり、使用限度と判断される。
変形大:寸法変化が±18mm以上であり、使用不可と判断される。
[脆性評価方法]
・落球試験
実施例、比較例のシートより長さ150mm、幅50mmの試験片を、その長さ方向がシートの押出方向と平行方向になり、且つ幅方向が直行方向になるように、各5枚ずつ切り取り、スパン100mmにてクランプし、質量80gの鉄球を試験片の中央に落下させた際に、割れが発生する高さを調べた。そして、試験片が3枚以上割れなかった高さをそれぞれの方向での落球試験値とし、その平均値をシート全体の落球試験値とした。なお、積層シートの場合には、その表裏両側(耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層側を表側とする)について、上記の試験を行った。
(実施例1)
耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層用の樹脂である、ポリスチレン樹脂(商品名「XC−515」 DIC社製)70質量部と、ポリフェニレンエーテル系樹脂(PPE)とポリスチレン系樹脂(PS)との混合物(商品名「ノリルEFN4230」 サビック社製 PPE/PS=70/30)30質量部とを混合した混合樹脂100質量部に対し、気泡調整剤(タルク練り込みマスターバッチ 商品名「DSM1401A」 東洋スチレン社製)1.0質量部を添加し、スクリュー径90mmと115mmのタンデム押出機のうち、スクリュー径90mm押出機のホッパー上にセットしたバッチ式連続混合装置に投入して均一に混和した後、ホッパーより押出機へ供給した。
押出機のシリンダー温度は、最高設定温度を280℃とし、発泡剤として混合ブタン約3.7質量部を加えた後、120kg/hの割合で合流金型に供給した。
一方、ポリスチレン系樹脂発泡層用の樹脂である、ポリスチレン樹脂(商品名「XC−515」 DIC社製)100質量部に対し、気泡調整剤(上記の「DSM1401A」)0.8質量部を添加し、スクリュー径90mmと115mmのタンデム押出機のうち、スクリュー径90mm押出機のホッパー上にセットしたバッチ式連続混合装置に投入して均一に混和した後、ホッパーより押出機へ供給した。
押出機のシリンダー温度は、最高設定温度を240℃とし、発泡剤として混合ブタン約2.2質量部を加えた後、80kg/hの割合で合流金型に供給した。
合流金型に供給された上記2種類の樹脂を、当該合流金型内で合流、積層したのち口径125mmの円形のダイに供給し、ダイのスリットを通して、内側が耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層、外側がポリスチレン系樹脂発泡層となるように円筒形に押出させた直後に、その内側と外側にエアーをかけて冷却した。エアー温度は27℃であり、吹きかけ量は、内側の耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層側では0.09m3/m2、外側のポリスチレン系樹脂発泡層側では0.07m3/m2とした。
そして、冷却後の円筒を切り開いて、耐熱ポリスチレン系樹脂発泡積層シートを製造した。上記耐熱ポリスチレン系樹脂発泡積層シートのうち、耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層の厚みは1.47mm、密度は0.095g/cm3 、坪量は140g/m2であり、またポリスチレン系樹脂発泡層の厚みは0.43mm、密度は0.140g/cm3、坪量は60g/m2であった。また、耐熱ポリスチレン系樹脂発泡積層シートの総厚みは1.90mmであり、全体の密度は0.105g/cm3であり、坪量は200g/m2であった。
なお、耐熱ポリスチレン系樹脂発泡積層シートの総厚み、耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層の厚み、およびポリスチレン系樹脂発泡層の厚みはそれぞれ、顕微鏡写真で測定した。また、耐熱ポリスチレン系樹脂発泡積層シートの全体の密度と坪量は、発泡積層シートの幅方向(TD方向)に沿って、一辺1cm角のサンプルを10個切り取り、それぞれの厚みと質量とから算出し、それらの平均値で表した。
さらに、耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層、およびポリスチレン系樹脂発泡層の密度と坪量はそれぞれ、耐熱ポリスチレン系樹脂発泡積層シートの幅方向(TD方向)に沿って、一辺1cm角のサンプルを10個切り取り、それらを各々カミソリで両層に分けて、それぞれの厚みと質量とから算出し、それらの平均値で表した。なお、耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層またはポリスチレン系樹脂発泡層のどちらかを着色しておけば上記作業が容易となる。
(実施例2)
実施例1と同様にして調製した耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層用の樹脂を、実施例1と同様にしてバッチ式連続混合装置に投入して均一に混和した後、ホッパーより押出機へ供給した。
押出機のシリンダー温度は最高設定温度を280℃とし、発泡剤として混合ブタン約2.4質量部を加えた後、110kg/hの割合で合流金型に供給した。
一方、実施例1と同様にして調製したポリスチレン系樹脂発泡層用の樹脂を、実施例1と同様にしてバッチ式連続混合装置に投入して均一に混和した後、ホッパーより押出機へ供給した。
押出機のシリンダー温度は最高設定温度を300℃とし、発泡剤として混合ブタン約3.5質量部を加えた後、90kg/hの割合で合流金型に供給した。
合流金型に供給された上記2種類の樹脂を、当該合流金型内で合流、積層したのち口径135mmの円形のダイに供給し、ダイのスリットを通して、内側が耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層、外側がポリスチレン系樹脂発泡層となるように円筒形に押出させた直後に、その内側と外側にエアーをかけて冷却した。エアー温度は27℃であり、吹きかけ量は、内側の耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層側では0.09m3/m2、外側のポリスチレン系樹脂発泡層側では0.08m3/m2とした。
そして冷却後の円筒を切り開いて、耐熱ポリスチレン系樹脂発泡積層シートを製造した。上記耐熱ポリスチレン系樹脂発泡積層シートのうち、耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層の厚みは約1.00mm、密度は0.110g/cm3、坪量は110g/m2であり、またポリスチレン系樹脂発泡層の厚みは0.90mm、密度は0.100g/cm3、坪量は90g/m2であった。また、耐熱ポリスチレン系樹脂発泡積層シートの総厚みは1.90mmであり、全体の密度は0.105g/cm3であり、坪量は200g/m2であった。
(実施例3)
実施例1と同様の配合で、耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層の質量がより少なくなるように、それぞれの発泡層の押出量や押出条件を変えて耐熱ポリスチレン系樹脂発泡積層シートを製造した。上記耐熱ポリスチレン系樹脂発泡積層シートのうち、耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層の厚みは0.50mm、密度は0.070g/cm3、坪量は35g/m2であり、また、ポリスチレン系樹脂発泡層の厚みは1.40mm、密度は0.118g/cm3、坪量は165g/m2であった。また、耐熱ポリスチレン系樹脂発泡積層シートの総厚みは1.90mmであり、全体の密度は0.105g/cm3であり、坪量は200g/m2であった。
(比較例1)
実施例1と同様にして調製した耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層用の樹脂を、実施例1と同様にしてバッチ式連続混合装置に投入して均一に混和した後、ホッパーより押出機へ供給した。
押出機のシリンダー温度は最高設定温度を250℃とし、発泡剤として混合ブタン約3.3質量部を加え、120kg/hの割合で、口径125mmの円形のダイより円筒状に押出し発泡させた。この時、実施例1と同様にエアーによる冷却を実施し、厚み1.90mm、密度0.105g/cm3 、坪量200g/m2の、単層の、耐熱ポリスチレン系樹脂発泡シートを得た。
(比較例2)
実施例1と同様にして調製したポリスチレン系樹脂発泡層用の樹脂を、実施例1と同様にして押出発泡させて、厚み1.90mm、密度0.105g/cm3、坪量200g/m2の、単層の、ポリスチレン樹脂発泡シートを得た。
上記各実施例、比較例のシートの物性を表1に示す。
Figure 2012006354
表1より、各実施例の発泡積層シートはいずれも、単層のポリスチレン系樹脂発泡シートである比較例2に比べて耐熱性に優れる上、単層の耐熱ポリスチレン系樹脂発泡シートである比較例1に比べて脆性が改善されていることが確認された。また、各実施例を比較した結果、実施例3のものは、耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層の占める割合を、耐熱ポリスチレン系樹脂発泡積層シートの総質量の20%未満となるようにした結果(積層シートの総坪量が200g/m2に対し、耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層の坪量は35g/m2であるので、上記の割合は17.5%になる)、熱変形性が、実施例1や実施例2に比べると少し大きいことが判明した。
(参考例)
以下に、ポリスチレン系樹脂とポリフェニレンエーテル(PPE)系樹脂とを含有させた組成物で形成した発泡シートと、ポリスチレン系樹脂で形成した発泡シートとにおいて割れ難さを評価した事例を示す。
(シート1)
スチレン系樹脂(DIC社製GPPS[スチレンホモポリマー]商品名「XC−515」)70質量%、及び、ポリフェニレンエーテル系樹脂(PPE)とスチレン系樹脂(PS)との混合樹脂(サビック社製 商品名「ノリルEFN4230」 PPE/PS=70/30)30質量%からなる樹脂成分100質量部に対して、消臭成分として東亜合成社製のリン酸ジルコニウム系消臭剤(商品名「ケスモンNS−10」)を0.5質量部含有する樹脂組成物を押出し発泡して、厚み2.0mm、目付け180g/m2の発泡シートを作製した。
(シート2)
GPPS、PPE、及び、消臭成分を含む樹脂組成物に代えてアクリル系モノマーとスチレンモノマーとの共重合体を押出し発泡してシート1と同じ厚みで同じ目付けの発泡シートを作製した。
(シート3)
GPPS、PPE、及び、消臭成分を含む樹脂組成物に代えてGPPSのみを押出し発泡してシート1と同じ厚みで同じ目付けの発泡シートを作製した。
(耐熱性評価:示差走査熱量測定)
上記シートから6.5±0.5mgのサンプルを採取し、JIS K7121に基づいて示差走査熱量測定を実施した(使用装置:エスアイアイ・ナノテクノロジー社製、示差走査熱量計装置、型名「DSC6220」)。
その結果、シート1のサンプルにおいては、JIS K7121 9.3(1)に記載の「中間点ガラス転移温度(Tmg)」が120℃付近に観察され、シート2のサンプルでは、106℃に観察された。
(靱性評価:ダイナタップ衝撃試験)
上記シート1〜3から、100×100mmのテストピースを採取して、該テストピースに対して、ASTM D3763に基づくダイナタップ衝撃試験を実施した(使用装置:General Research Corp.社製、ダイナタップ衝撃試験装置、型名「GRC8250」)。
その結果、シート2のテストピースについては、最大点変位3.2mm、最大荷重29Nという結果となり、シート3のテストピースについては、最大点変位4.0mm、最大荷重36Nという結果となった。
一方でシート1のテストピースについては、最大点変位4.4mm、最大荷重42Nという結果となった。
このことからもシート1は、PPE系樹脂が含有されることによって変位と荷重が大きな割れ難い状態となっていることがわかる。

Claims (6)

  1. ポリスチレン系樹脂を含み密度が0.50〜0.05g/cm3であるポリスチレン系樹脂発泡層と、ポリスチレン系樹脂及び耐熱性を高めるポリフェニレンエーテル系樹脂を含み密度が0.50〜0.05g/cm3である耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層との積層構造を有し、全体の密度が0.35〜0.05g/cm3で、かつ総厚みが0.5〜3.0mmであり、ポリスチレン系樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂との合計100質量部に対して、10〜50質量部のポリフェニレンエーテル系樹脂が前記耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層に含まれていることを特徴とする耐熱ポリスチレン系樹脂発泡積層シート。
  2. 耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層の占める割合が、総質量の20〜80質量%であることを特徴とする請求項1記載の耐熱ポリスチレン系樹脂発泡積層シート。
  3. 耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層の密度(A)とポリスチレン系樹脂発泡層の密度(B)との比(A/B)が0.5〜2.0であることを特徴とする請求項1又は2記載の耐熱ポリスチレン系樹脂発泡積層シート。
  4. 耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層とポリスチレン系樹脂発泡層とを、共押出法により、積層しつつ押出発泡成形して製造してなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の耐熱ポリスチレン系樹脂発泡積層シート。
  5. さらに熱可塑性樹脂フィルム層が積層されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の耐熱ポリスチレン系樹脂発泡積層シート。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の耐熱ポリスチレン系樹脂発泡積層シートを、耐熱ポリスチレン系樹脂発泡層が内面側となるように熱成形して形成されたことを特徴とする成形品。
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