JP2006289745A - ポリプロピレン系樹脂積層発泡シートおよび該積層発泡シートを熱成形して得られる成形体 - Google Patents
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Abstract
【課題】 熱成形により、非発泡ポリプロピレン系樹脂積層面下でのポリプロピレン系樹脂発泡シートの気泡の隠蔽性に優れ、外観美麗な成形体を得ることが可能なポリプロピレン系樹脂積層発泡シートを提供する。
【解決手段】 温度230℃および荷重21.18Nの条件下におけるメルトフローレートが3〜20g/10分であり、かつ、非発泡ポリプロピレン系樹脂層100重量部に対して酸化チタンを0.5〜5.0重量部含有する非発泡ポリプロピレン系樹脂層を、ポリプロピレン系樹脂発泡シートの少なくとも片面に積層するすることにより、上記特性を有するポリプロピレン系積層発泡シートを得ることができる。
【選択図】 なし
【解決手段】 温度230℃および荷重21.18Nの条件下におけるメルトフローレートが3〜20g/10分であり、かつ、非発泡ポリプロピレン系樹脂層100重量部に対して酸化チタンを0.5〜5.0重量部含有する非発泡ポリプロピレン系樹脂層を、ポリプロピレン系樹脂発泡シートの少なくとも片面に積層するすることにより、上記特性を有するポリプロピレン系積層発泡シートを得ることができる。
【選択図】 なし
Description
本発明は、気泡の隠蔽性に優れ、外観美麗な成形体を得るのに好適に使用できるポリプロピレン系樹脂積層発泡シートに関する。
熱可塑性樹脂からなる発泡シートは、一般に軽量で、断熱性や外部応力への緩衝性が良好であり、また、真空成形などの加熱成形により容易に成形体を得ることができるので、ポリスチレン系樹脂やポリエチレン系樹脂を中心に、食品容器や緩衝材、断熱材、自動車用部材などの用途で幅広く利用されている。
その中で、ポリプロピレン系樹脂を基材樹脂とする発泡シートは、その基材樹脂の特性から、従来のポリスチレン系樹脂発泡シートに比べると、耐熱性、耐油性に優れるものの、外観や剛性が不十分であり、これらの改良が必要とされている。
外観や剛性を向上させる手段として、押出ラミネート法や共押出法によってポリプロピレン系樹脂発泡シートの少なくとも片面に非発泡ポリプロピレン系樹脂層を積層する方法(例えば、特許文献1または特許文献2)が知られているが、外観や剛性は向上するものの、ポリプロピレン系樹脂は透明性が高く、積層面下のポリプロピレン系樹脂発泡シートの気泡が非発泡樹脂層より透けて見え、用途によっては外観を損なうことがあった。
この問題を解決するために、非発泡樹脂層に酸化チタンを添加することによって気泡を隠蔽する方法(特許文献3)が提案されている。しかしながら、非発泡樹脂層の厚みムラが大きい場合や、成形体口径に対して成形体深さが大きい深絞り形状の成形や側壁の角度が小さい形状の成形の場合、局部的にシートが延伸される部分において積層面下のポリプロピレン系樹脂発泡シートの気泡が非発泡樹脂層より部分的に透けて見え、外観を損なうことがあった。
特開平1−166942号
特開2001−310429号
特開平4−278340号
本発明の目的は、積層面下の気泡の隠蔽性に優れ、外観美麗な成形体を得るのに好適に使用できるポリプロピレン系樹脂積層発泡シートを提供することにある。
本発明者らは、かかる課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明に至った。
すなわち本発明は、
(1)ポリプロピレン系樹脂発泡シートの少なくとも片面に、非発泡ポリプロピレン系樹脂層が積層されてなるポリプロピレン系樹脂積層発泡シートであって、該非発泡ポリプロピレン系樹脂層に用いられるポリプロピレン系樹脂の、温度230℃および荷重21.18Nの条件下におけるメルトフローレートが3〜20g/10分であり、かつ非発泡ポリプロピレン系樹脂層中に、酸化チタンがポリプロピレン系樹脂100重量部に対して0.5〜5.0重量部含有されることを特徴とするポリプロピレン系樹脂積層発泡シート(請求項1)、
(2)非発泡ポリプロピレン系樹脂層の厚さが20〜150μmであることを特徴とする請求項1記載のポリプロピレン系樹脂積層発泡シート(請求項2)。
(3)請求項1または2に記載のポリプロピレン系樹脂積層発泡シートの非発泡ポリプロピレン系樹脂層面上に、ポリプロピレン系樹脂フィルムが積層されていることを特徴とするポリプロピレン系樹脂積層発泡シート(請求項3)、
(4)ポリプロピレン樹脂発泡シートに用いられるポリプロピレン系樹脂の、温度210℃における平衡コンプライアンスが1.2×10-3Pa-1未満であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂積層発泡シート(請求項4)、
(5)請求項1〜4のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂積層発泡シートを加熱成形して得られる成形体(請求項5)、に関する。
(1)ポリプロピレン系樹脂発泡シートの少なくとも片面に、非発泡ポリプロピレン系樹脂層が積層されてなるポリプロピレン系樹脂積層発泡シートであって、該非発泡ポリプロピレン系樹脂層に用いられるポリプロピレン系樹脂の、温度230℃および荷重21.18Nの条件下におけるメルトフローレートが3〜20g/10分であり、かつ非発泡ポリプロピレン系樹脂層中に、酸化チタンがポリプロピレン系樹脂100重量部に対して0.5〜5.0重量部含有されることを特徴とするポリプロピレン系樹脂積層発泡シート(請求項1)、
(2)非発泡ポリプロピレン系樹脂層の厚さが20〜150μmであることを特徴とする請求項1記載のポリプロピレン系樹脂積層発泡シート(請求項2)。
(3)請求項1または2に記載のポリプロピレン系樹脂積層発泡シートの非発泡ポリプロピレン系樹脂層面上に、ポリプロピレン系樹脂フィルムが積層されていることを特徴とするポリプロピレン系樹脂積層発泡シート(請求項3)、
(4)ポリプロピレン樹脂発泡シートに用いられるポリプロピレン系樹脂の、温度210℃における平衡コンプライアンスが1.2×10-3Pa-1未満であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂積層発泡シート(請求項4)、
(5)請求項1〜4のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂積層発泡シートを加熱成形して得られる成形体(請求項5)、に関する。
本発明のように、積層される非発泡ポリプロピレン層に関して、使用されるポリプロピレン系樹脂のメルトフローレートおよび含有される酸化チタン部数を特定の範囲に規定することにより、積層面下の気泡の隠蔽性に優れた成形体を得ることが可能なポリプロピレン系樹脂脂積層発泡シートを得ることができる。
本発明は、積層される非発泡ポリプロピレン層に関して、使用されるポリプロピレン系樹脂のメルトフローレートおよび含有される酸化チタン部数を特定の範囲に規定することにより、積層面下の気泡の隠蔽性に優れた成形体を得ることが可能なポリプロピレン系樹脂脂積層発泡シートを、安価に提供するものである。
なお、本発明におけるポリプロピレン系樹脂積層発泡シートを得るための、ポリプロピレン系樹脂発泡シートに非発泡ポリプロピレン系樹脂層を積層する方法は、特に限定されるものでなく、押出ラミネート法や共押出法等の公知の方法によって積層することができる。
本発明における非発泡ポリプロピレン系樹脂層に用いられるポリプロピレン系樹脂の、温度230℃および荷重21.18Nの条件下におけるメルトフローレートは、加工性、二次成形性および添加する酸化チタンの分散性の点から、3〜20g/10分であることが望ましい。
ポリプロピレン系樹脂の上記条件下でのメルトフローレートが3g/10分に満たないと、非発泡樹脂層の厚みムラが生じやすく、成形体の剛性を損なうのと同時に、加熱成形時に厚みムラの部分で部分的に延伸する箇所が発生し、積層面下の気泡隠蔽性を損なう場合がある。また、添加する酸化チタンの分散性を損ない、非発泡樹脂層に色ムラが発生し積層面下の気泡隠蔽性を部分的に損なう傾向がある。一方、メルトフローレートが20g/10分を超えると、加熱成形時に成形体の側壁など局部的に延伸されやすい部分での延伸度合いが高くなり、部分的に隠蔽性が損なわれる傾向がある。
なお、本明細書におけるポリプロピレン系樹脂のメルトフローレートは、JIS K7210に準じて、測定される。
本発明における非発泡ポリプロピレン系樹脂層に用いられるポリプロピレン系樹脂としては、プロピレンの単独重合体、プロピレンと他の単量体とのブロック共重合体、またはプロピレンと他の単量体とのランダム共重合体などがあげられる。これらのうちでは、剛性が高く、安価であるという点からは、ポリプロピレン単独重合体が好ましく、低温脆性という点からは、プロピレンと他の単量体とのブロック共重合体であることが好ましい。
なお、非発泡ポリプロピレン系樹脂層に用いられるポリプロピレン系樹脂が、プロピレンと他の単量体とのブロック共重合体、またはプロピレンと他の単量体とのランダム共重合体である場合、ポリプロピレン系樹脂の特徴である高結晶性、高い剛性および良好な耐薬品性を保持する点から、含有されるプロピレン単量体成分が全体の75重量%以上であることが好ましく、全体の90重量%以上であることがさらに好ましい。
本発明のポリプロピレン系樹脂非発泡層においては、ポリプロピレン系樹脂として、上記のものを単独で用いるだけでなく、2種類以上を混合して用いることもできる。更に、ポリプロピレン系樹脂としては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、ブテン系樹脂などを混合したものも用いることもできる。
本発明における非発泡ポリプロピレン系樹脂層中の酸化チタンの含有量は、ポリプロピレン系発泡樹脂100重量部に対して0.5〜5.0重量部が好ましく、0.7〜4.5重量部がより好ましく、0.9〜4.0重量部がさらに好ましい。酸化チタンの含有量が0.5重量部未満であると、積層面下の気泡隠蔽性に劣り本発明の効果を得がたい傾向がある。また、5.0重量部より多く含有させても、気泡隠蔽性の効果は向上せず、コストの面から好ましくない。
本発明の方法において、積層される非発泡ポリプロピレン系樹脂層の厚みは、好ましくは20μm〜150μmであり、より好ましくは50μm〜120μmである。非発泡ポリプロピレン系樹脂層の厚みが20μm未満の場合は、積層面下の気泡隠蔽性の効果に劣る傾向がある。非発泡ポリプロピレン系樹脂層の厚みが150μmを超えると、気泡隠蔽性の効果は十分得られるが、積層発泡シートの軽量性が損なわれ、また、コストが高くなる傾向がある。
本発明においては、光沢などの意匠性を付与するために、非発泡ポリプロピレン系樹脂層面の上に、ポリプロピレン系樹脂フィルムを積層しても良い。
本発明において用いられるポリプロピレン系樹脂フィルムは、ポリプロピレンホモポリマー、ポリプロピレンコポリマー等のポリプロピレン系樹脂からなる、無延伸、又は2軸延伸されたポリプロピレン系樹脂フィルムである。また、該積層フィルムは、2層以上の多層フィルムを使用しても良い。
なお、ポリプロピレン系樹脂フィルムの厚みは特に限定されないが、成形性や軽量性およびコストの観点から、15〜80μmが好ましく、20〜70μmがより好ましい。
本発明においては、さらなる意匠性付与を目的に、ポリプロピレン系樹脂積層フィルムは、非発泡樹脂層と接着する面に、印刷層が形成されていてもよい。
本発明における印刷層は、樹脂、溶剤および顔料を混合したものを主成分とするインクによって印刷されることにより形成される。印刷インク用樹脂としては、塩化ビニルと酢酸ビニルの共重合物、ゴムの塩素化物、ポリ酢酸ビニルの塩素化物、ポリプロピレンの塩素化物、アクリル酸およびその誘導体の重合物、ダイマー酸とポリアミンとの縮合物、ポリエステルまたはポリエーテルとジイソシアネートの重合物、セルソースの硝酸エステル化合物等があげられる。また、それらの樹脂を1種または2種以上混合して用いてもよい。特に、ポリプロピレン系樹脂との接着性の点から、塩素化ポリプロピレンが好ましい。また、印刷インクには、必要に応じて、アンカーコート剤、帯電防止剤、安定剤、酸化防止剤、分散剤等を添加してもよい。但し、印刷層は、本発明の目的を達成できるものであれば良く、上記のものに限定されない。
本発明において、色の薄い印刷フィルムや部分的に印刷の無い柄を有する印刷フィルムなどを積層した場合においても、積層面下の気泡隠蔽性に優れるため、得られる成形体の外観は美麗である。
本発明のポリプロピレン系樹脂発泡シートの製造に用いられる基材樹脂のポリプロピレン系樹脂としては、その溶融粘度が高く、発泡性に優れるという点から、直鎖線状のポリプロピレン系樹脂(以下、「原料ポリプロピレン系樹脂」ということもある)に対して電子線を照射して長鎖分岐を導入したもの(例えば、サンアロマー社製HMS−PP等)、または、原料ポリプロピレン系樹脂に対してイソプレン単量体およびラジカル重合開始剤を溶融混練して得られる改質ポリプロピレン樹脂が好ましい。特に、原料ポリプロピレン系樹脂、イソプレン単量体およびラジカル重合開始剤とを溶融混練して得られる改質ポリプロピレン樹脂が、製造が容易であり、安価に製造し得る点、かつ発泡シートの製造に適する溶融粘度の調整が容易である点から、好ましい。
さらには、本発明のポリプロピレン系樹脂発泡シートの製造に使用されるポリプロピレン系樹脂は、積層発泡シートの加熱成形時の局所的な延伸を起こしにくくし、積層面下の気泡隠蔽性の効果をさらに得やすいことから、210℃で測定した平衡コンプライアンスが1.2×10‐3Pa‐1未満であることが好ましく、1.0×10‐3Pa‐1未満であることがより好ましい。
なお、本明細書中の平衡コンプライアンスの測定には、レオメトリック・サイエンティフィック社製レオメータSR−2000を用い、以下の方法により測定する。3mm厚としたポリプロピレン系樹脂の成形体を二枚の平行円板にはさみ、温度を210±1℃に保って充分に溶融させた後、前記平行円板の間隔を1.4mmに調整し、円板からはみ出した樹脂を取り除く。次いで、時間t=0において、サンプルに与えられる応力σcが100N/m2の一定の値に保たれるように片方の円板を他方に対して回転させ、300秒間にわたりそのときの歪み量γ(t)を経時的に測定する。つぎに、前記応力σcを与え始めてからの時間tに対して、以下に示す式で定義されるクリープコンプライアンスJ(t)をプロットする。
充分な時間が経過した後、クリープコンプライアンスJ(t)は時間tに対して直線関係を与えるようになり、平衡コンプライアンスは、前記クリープコンプライアンスJ(t)と時間tとのプロットにおいて、両者が直線関係を与える部分を時間t=0に補外したときの切片として与えられる。
本発明における前記原料ポリプロピレン系樹脂は、プロピレンと共重合しうる他の単量体を共重合したものを用いてもよい。プロピレンと共重合しうる他の単量体としては、例えば、エチレン、ブテン−1、α−オレフィン、環状オレフィン、ジエン系単量体およびビニル単量体などがあげられる。これらの単量体のうち、エチレンまたはブテン−1が、安価である点等から好ましい。
本発明における前記原料ポリプロピレン系樹脂の分子量(重量平均分子量)は、工業的に入手しやすいという点から、5万〜200万の範囲内にあることが好ましく、安価であるという点から、10万〜100万の範囲内にあることがさらに好ましい。
本発明におけるポリプロピレン系樹脂発泡シートの基材樹脂としてのポリプロピレン系樹脂には、必要に応じて、他の樹脂またはゴムを本発明の効果を損なわない範囲内で添加してもよい。基材樹脂としてのポリプロピレン系樹脂に対する、他の樹脂またはゴムの添加量は、この樹脂の種類またはゴムの種類により異なり、前述のように本発明の効果を損なわない範囲内にあれば良いものであるが、通常、25重量部程度以下であることが好ましい。
本発明における前記基材樹脂としてのポリプロピレン系樹脂には、さらに、必要に応じて、酸化防止剤、金属不活性剤、燐系加工安定剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、蛍光増白剤、金属石鹸、制酸吸着剤などの安定剤、または架橋剤、連鎖移動剤、造核剤、滑剤、可塑剤、充填材、強化材、顔料、染料、難燃剤、帯電防止剤などの添加剤を本発明の効果を損なわない範囲内で添加してもよい。
本発明におけるポリプロピレン系樹脂発泡シートは、例えば、下記のような押出発泡法により容易に製造される。
本発明におけるポリプロピレン系樹脂発泡シートは、例えば、押出機内にてポリプロピレン系樹脂および発泡剤を溶融混練後、押出機内において樹脂温度を発泡温度に調節した後、環状のリップを有するサーキュラーダイスを用い、そのダイスのリップから大気圧中に押出して円筒状の発泡体を得、次いで、その円筒状発泡体を引き取りながら、冷却筒(マンドレル)による成形加工により延伸・冷却後、切り開いて、シート状にする方法によって容易に製造される。また、改質ポリプロピレン系樹脂組成物の製造と連続して押出発泡を行っても良い。
本発明における前記発泡剤としては、脂肪族炭化水素類、脂環式炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、無機ガス、水などが挙げられ、それらの1種または2種以上を組み合わせて用いても良い。発泡剤の添加量(混練量)は、発泡剤の種類および目標とする発泡シートの密度により異なるが、ポリプロピレン系樹脂組成物100重量部に対して、1.5〜10重量部が好ましく、2.3〜8重量部がより好ましい。
本発明においては、発泡シートの気泡径を適宜の大きさにコントロールするために、必要に応じて、重炭酸ソーダ−クエン酸混合物またはタルクなどの造核剤を併用しても良い。必要に応じて用いられる該造核剤の添加量は、特に制限はないが、通常、ポリプロピレン系樹脂組成物100重量部に対して、0.01〜3重量部であることが好ましい。
本発明における発泡シートにおける厚み方向の気泡数は5個以上、好ましくは7個以上が好ましい。発泡シートでの厚み方向の気泡数が5個より小さくなると、断熱性、表面性に劣る傾向がある。
本発明に用いられるポリプロピレン系樹脂発泡シートの独立気泡率は、60%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、80%以上がさらに好ましい。独立気泡率が60%より小さい場合には、得られる成形体の剛性に劣る場合がある。
本発明におけるポリプロピレン系樹脂発泡シートは、得られる成形体の軽量性、剛性に優れることから、密度としては0.06〜0.185g/cm3が好ましく、0.09〜0.165g/cm3がより好ましく、坪量としては150〜500g/m2が好ましく、200〜400g/m2がより好ましい。
本発明におけるポリプロピレン系樹脂積層発泡シートを加熱成形することによって、非発泡樹脂層積層面下の発泡シートの気泡隠蔽性に優れた外観美麗な成形体を得ることができる。
加熱成形の具体例としては、例えば、プラグ成形、マッチド・モールド成形、ストレート成形、ドレープ成形、プラグアシスト成形、プラグアシスト・リバースドロー成形、エアスリップ成形、スナップバック成形、リバースドロー成形、フリードローイング成形、プラグ・アンド・リッジ成形、リッジ成形などの方法があげられる。これらのなかでは、金型形状転写性に優れるため外観が良好で、高い剛性を確保しやすい点から、マッチド・モールド成形が好ましい。
次に、本発明を実施例に基づき詳細に説明するが、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。
実施例および比較例には、以下に示すポリプロピレン系樹脂発泡シートを用いた。
(ポリプロピレン系樹脂発泡シートAの製造方法)
発泡シートの基材樹脂として、ポリプロピレンホモポリマー(三井化学社製、F102W)100重量部、ラジカル重合開始剤(t−ブチルパーオキシベンゾエート)0.25重量部およびイソプレン0.5重量部を、二軸押出機にて樹脂温度240℃で溶融混練することにより、改質ポリプロピレン系樹脂のペレットを用いた。なお、本基材樹脂の平衡コンプライアンスは0.8×10-3Pa-1であった。
前記発泡シート基材樹脂100重量部、ブレンドオイル0.05重量部および気泡核形成剤(永和化成工業社製、セルボンSC/K)0.5重量部を、リボンブレンダーで撹拌混合した配合物を90−125mmφタンデム型押出機に供給し、210℃に設定した第1段押出機中にて溶融させた後、発泡剤としてイソブタンを前記発泡シート基材樹脂100重量部に対し1.7重量部圧入混合し、160℃(ダイスの樹脂流入部に設置した温度センサーによって測定)に設定した第2段押出機中で冷却し、口径127mmφサーキュラーダイより大気圧下に押出吐出量80kg/hourで吐出し、外径335mmφおよび本体長さ800mmの冷却筒にて成形しながら、引取速度を3.9m/分として発泡シートの坪量が330g/m2となるよう引き取りつつ、延伸・冷却し円筒型発泡体を得、これをカッターで切り開くことにより1035mm巾の発泡シートAを得た。得られた発泡シートは、JIS−K6767に準拠し測定した密度が0.14g/cm3、ASTM D2856記載の方法に準拠しエアピクノメータにより測定した独立気泡率が82%であった。
発泡シートの基材樹脂として、ポリプロピレンホモポリマー(三井化学社製、F102W)100重量部、ラジカル重合開始剤(t−ブチルパーオキシベンゾエート)0.25重量部およびイソプレン0.5重量部を、二軸押出機にて樹脂温度240℃で溶融混練することにより、改質ポリプロピレン系樹脂のペレットを用いた。なお、本基材樹脂の平衡コンプライアンスは0.8×10-3Pa-1であった。
前記発泡シート基材樹脂100重量部、ブレンドオイル0.05重量部および気泡核形成剤(永和化成工業社製、セルボンSC/K)0.5重量部を、リボンブレンダーで撹拌混合した配合物を90−125mmφタンデム型押出機に供給し、210℃に設定した第1段押出機中にて溶融させた後、発泡剤としてイソブタンを前記発泡シート基材樹脂100重量部に対し1.7重量部圧入混合し、160℃(ダイスの樹脂流入部に設置した温度センサーによって測定)に設定した第2段押出機中で冷却し、口径127mmφサーキュラーダイより大気圧下に押出吐出量80kg/hourで吐出し、外径335mmφおよび本体長さ800mmの冷却筒にて成形しながら、引取速度を3.9m/分として発泡シートの坪量が330g/m2となるよう引き取りつつ、延伸・冷却し円筒型発泡体を得、これをカッターで切り開くことにより1035mm巾の発泡シートAを得た。得られた発泡シートは、JIS−K6767に準拠し測定した密度が0.14g/cm3、ASTM D2856記載の方法に準拠しエアピクノメータにより測定した独立気泡率が82%であった。
(ポリプロピレン系樹脂発泡シートBの製造方法)
発泡シート基材樹脂として、平衡コンプライアンスが19.0×10-3Pa-1であるポリプロピレン系樹脂(バセル社製、PF−814)を用いること以外は、発泡シートAの製造方法と同様の方法にて、1035mm巾の発泡シートBを得た。得られた発泡シートは、密度が0.16g/cm3、独立気泡率が77%であった。
発泡シート基材樹脂として、平衡コンプライアンスが19.0×10-3Pa-1であるポリプロピレン系樹脂(バセル社製、PF−814)を用いること以外は、発泡シートAの製造方法と同様の方法にて、1035mm巾の発泡シートBを得た。得られた発泡シートは、密度が0.16g/cm3、独立気泡率が77%であった。
(実施例1)
非発泡ポリプロピレン系樹脂層の基材樹脂として、温度230℃および荷重21.18Nの条件下におけるメルトフローレート(以下、MFRと称する)が7g/10分であるポリプロピレンホモポリマー(三井化学社製、F107DV)を用い、ベース樹脂がポリプロピレンである着色用酸化チタンマスターバッチ(東洋インキ社製、PPM1KA703WHT、酸化チタン濃度:60%)を基材樹脂100重量部に対して5.0重量部(酸化チタン:3.0重量部)をリボンブレンダーで撹拌混合して配合物を得た。得られた配合物をTダイを備えた押出機に供給し、押出ラミネート法によって、ポリプロピレン系樹脂発泡シートAの片面に、を巾1010mmおよび厚さ120μmの非発泡ポリプロピレン系樹脂層として積層し、発泡シート層/非発泡樹脂層(二層)のポリプロピレン系樹脂積層発泡シートを得た。
非発泡ポリプロピレン系樹脂層の基材樹脂として、温度230℃および荷重21.18Nの条件下におけるメルトフローレート(以下、MFRと称する)が7g/10分であるポリプロピレンホモポリマー(三井化学社製、F107DV)を用い、ベース樹脂がポリプロピレンである着色用酸化チタンマスターバッチ(東洋インキ社製、PPM1KA703WHT、酸化チタン濃度:60%)を基材樹脂100重量部に対して5.0重量部(酸化チタン:3.0重量部)をリボンブレンダーで撹拌混合して配合物を得た。得られた配合物をTダイを備えた押出機に供給し、押出ラミネート法によって、ポリプロピレン系樹脂発泡シートAの片面に、を巾1010mmおよび厚さ120μmの非発泡ポリプロピレン系樹脂層として積層し、発泡シート層/非発泡樹脂層(二層)のポリプロピレン系樹脂積層発泡シートを得た。
(実施例2)
非発泡樹脂層の機材樹脂としてMFRが15g/10分であるポリプロピレンホモポリマー(三井化学社製、J106G)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、ポリプロピレン系樹脂積層発泡シートを得た。
非発泡樹脂層の機材樹脂としてMFRが15g/10分であるポリプロピレンホモポリマー(三井化学社製、J106G)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、ポリプロピレン系樹脂積層発泡シートを得た。
(実施例3)
添加する上記酸化チタンマスターバッチを1.6重量部(酸化チタン:1.0重量部)とした以外は、実施例1と同様の方法により、ポリプロピレン系樹脂積層発泡シートを得た。
添加する上記酸化チタンマスターバッチを1.6重量部(酸化チタン:1.0重量部)とした以外は、実施例1と同様の方法により、ポリプロピレン系樹脂積層発泡シートを得た。
(実施例4)
添加する上記酸化チタンマスターバッチを7.0重量部(酸化チタン:4.2重量部)とした以外は、実施例1と同様の方法により、ポリプロピレン系樹脂積層発泡シートを得た。
添加する上記酸化チタンマスターバッチを7.0重量部(酸化チタン:4.2重量部)とした以外は、実施例1と同様の方法により、ポリプロピレン系樹脂積層発泡シートを得た。
(実施例5)
非発泡ポリプロピレン系樹脂層の厚さを50μmとした以外は、実施例1と同様の方法により、ポリプロピレン系樹脂積層発泡シートを得た。
非発泡ポリプロピレン系樹脂層の厚さを50μmとした以外は、実施例1と同様の方法により、ポリプロピレン系樹脂積層発泡シートを得た。
(実施例6)
積層用のポリプロピレン系樹脂フィルムとして、厚さ25μmおよび巾1000mmの無延伸ポリプロピレンフィルム(サントックス社製、KT#25)を使用し、実施例1と同様の方法により、非発泡樹脂層を積層するのと同時に、非発泡樹脂層上に樹脂フィルムを積層し、発泡シート層/非発泡樹脂層/フィルム層(三層)のポリプロピレン系樹脂積層発泡発泡シートを得た。
積層用のポリプロピレン系樹脂フィルムとして、厚さ25μmおよび巾1000mmの無延伸ポリプロピレンフィルム(サントックス社製、KT#25)を使用し、実施例1と同様の方法により、非発泡樹脂層を積層するのと同時に、非発泡樹脂層上に樹脂フィルムを積層し、発泡シート層/非発泡樹脂層/フィルム層(三層)のポリプロピレン系樹脂積層発泡発泡シートを得た。
(実施例7)
発泡シートとしてポリプロピレン系樹脂発泡シートBを用いた以外は、実施例1と同様の方法により、ポリプロピレン系樹脂積層発泡シートを得た。
発泡シートとしてポリプロピレン系樹脂発泡シートBを用いた以外は、実施例1と同様の方法により、ポリプロピレン系樹脂積層発泡シートを得た。
(比較例1)
非発泡樹脂層に酸化チタンを含有させないこと以外は、実施例1と同様の方法により、ポリプロピレン系樹脂積層発泡シートを得た。
非発泡樹脂層に酸化チタンを含有させないこと以外は、実施例1と同様の方法により、ポリプロピレン系樹脂積層発泡シートを得た。
(比較例2)
非発泡樹脂層の基材樹脂としてMFRが0.5g/10分であるポリプロピレンホモポリマー(三井化学社製、E111G)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、ポリプロピレン系樹脂積層発泡シートを得た。
非発泡樹脂層の基材樹脂としてMFRが0.5g/10分であるポリプロピレンホモポリマー(三井化学社製、E111G)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、ポリプロピレン系樹脂積層発泡シートを得た。
(比較例3)
非発泡樹脂層の基材樹脂としてMFRが30g/10分であるポリプロピレンホモポリマー(三井化学製、F109V)用いた以外は、実施例1と同様の方法により、ポリプロピレン系樹脂積層発泡シートを得た。
非発泡樹脂層の基材樹脂としてMFRが30g/10分であるポリプロピレンホモポリマー(三井化学製、F109V)用いた以外は、実施例1と同様の方法により、ポリプロピレン系樹脂積層発泡シートを得た。
(比較例4)
添加する上記酸化チタンマスターバッチを0.5重量部(酸化チタン:0.3重量部)とした以外は、実施例1と同様の方法により、ポリプロピレン系樹脂積層発泡シートを得た。
添加する上記酸化チタンマスターバッチを0.5重量部(酸化チタン:0.3重量部)とした以外は、実施例1と同様の方法により、ポリプロピレン系樹脂積層発泡シートを得た。
(比較例5)
非発泡ポリプロピレン系樹脂層の厚さを20μmとした以外は、実施例1と同様の方法により、ポリプロピレン系樹脂積層発泡シートを得た。
非発泡ポリプロピレン系樹脂層の厚さを20μmとした以外は、実施例1と同様の方法により、ポリプロピレン系樹脂積層発泡シートを得た。
実施例および比較例にて得られた積層シートに対する評価方法は以下のとおりである。
(評価用成形体の作成)
得られたポリプロピレン系樹脂積層発泡シートを、図1に示す形状の成形体(サイズ:開口部200mm×180mm、高さ30mm、側面角度16.5度、の角型容器形状)を得るために雌雄嵌合金型(金型クリアランス:1.5mm、取り数:20個/shot)を用いて、連続真空成形機(浅野研究所社製、FLC415型)を用いてマッチド・モールド真空成形法により、非発泡樹脂層またはフィルム層が外側になるように熱成形することにより、評価用の成形体を得た。
得られたポリプロピレン系樹脂積層発泡シートを、図1に示す形状の成形体(サイズ:開口部200mm×180mm、高さ30mm、側面角度16.5度、の角型容器形状)を得るために雌雄嵌合金型(金型クリアランス:1.5mm、取り数:20個/shot)を用いて、連続真空成形機(浅野研究所社製、FLC415型)を用いてマッチド・モールド真空成形法により、非発泡樹脂層またはフィルム層が外側になるように熱成形することにより、評価用の成形体を得た。
(気泡隠蔽性評価)
得られた成形体外側の積層面下の気泡隠蔽性を目視により、以下のように評価した。
◎:積層面下の気泡が確認できなく、気泡隠蔽性が非常に優れる。
○:積層面下の気泡が部分的に若干確認できるが、気泡隠蔽性は概ね優れる。
×:積層面下の気泡が明らかに確認でき、気泡隠蔽性が劣る。
得られた成形体外側の積層面下の気泡隠蔽性を目視により、以下のように評価した。
◎:積層面下の気泡が確認できなく、気泡隠蔽性が非常に優れる。
○:積層面下の気泡が部分的に若干確認できるが、気泡隠蔽性は概ね優れる。
×:積層面下の気泡が明らかに確認でき、気泡隠蔽性が劣る。
得られたポリプロピレン系樹脂積層発泡シートに対する気泡遮蔽性評価結果を、表1に示す。
以上のように、実施例1〜6のポリプロピレン系樹脂発泡シートを製造することにより、非発泡樹脂層下の気泡の隠蔽性に優れ、外観美麗な成形体を得ることができた。一方、比較例1〜4では、実施例のような良好な成形体を得ることができなかった。
Claims (5)
- ポリプロピレン系樹脂発泡シートの少なくとも片面に、非発泡ポリプロピレン系樹脂層が積層されてなるポリプロピレン系樹脂積層発泡シートであって、該非発泡ポリプロピレン系樹脂層に用いられるポリプロピレン系樹脂の、温度230℃および荷重21.18Nの条件下におけるメルトフローレートが3〜20g/10分であり、かつ、該非発泡ポリプロピレン系樹脂層中に酸化チタンがポリプロピレン系樹脂100重量部に対して0.5〜5.0重量部含有されることを特徴とする、ポリプロピレン系樹脂積層発泡シート。
- 非発泡ポリプロピレン系樹脂層の厚さが、20〜150μmであることを特徴とする請求項1記載のポリプロピレン系樹脂積層発泡シート。
- 請求項1または2に記載のポリプロピレン系樹脂積層発泡シートの非発泡ポリプロピレン系樹脂層面上に、ポリプロピレン系樹脂フィルムが積層されていることを特徴とするポリプロピレン系樹脂積層発泡シート。
- ポリプロピレン樹脂発泡シートに用いられるポリプロピレン系樹脂の、温度210℃における平衡コンプライアンスが1.2×10-3Pa-1未満であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂積層発泡シート。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂積層発泡シートを加熱成形して得られる成形体。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010269502A (ja) * | 2009-05-21 | 2010-12-02 | Japan Polypropylene Corp | ポリオレフィン系樹脂による積層発泡シートの押出成形方法 |
JP2010280138A (ja) * | 2009-06-04 | 2010-12-16 | Japan Polypropylene Corp | ポリオレフィン系樹脂積層発泡シートの押出成形による製法 |
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JP2001139716A (ja) * | 1999-11-19 | 2001-05-22 | Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd | 改質ポリプロピレン系樹脂発泡シートおよびそれよりなる成形体 |
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-
2005
- 2005-04-08 JP JP2005112609A patent/JP2006289745A/ja active Pending
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