JP2011124553A - ノイズフィルタ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】2つの磁脚と、前記2つの磁脚の端部間を接続する2つのツバ部を有する軟磁性コアと、前記2つの磁脚のそれぞれに設けられたコイルと、を備えるノイズフィルタであって、前記ツバ部の周辺部は、前記コイルの外側露出表面よりも、外側に張り出していることを特徴とするノイズフィルタ。
【選択図】 図1
Description
図7に、コイル部品を使用したノイズ対策の一例を示す。軟磁性トロイダルコア12を使用したコモンモードチョークコイル11と、棒状の軟磁性コア14を使用したノーマルモードチョークコイル13を用いたノイズフィルタである。コモンモードチョークコイル11は、線路AA´とGND間のコモンモードノイズの低減に効果があり、ノーマルモードチョークコイル13は、線路AA´のノーマルモードノイズの低減に効果がある。
ノーマルモードチョークコイル13に使用する軟磁性コア14は、直流重畳特性を有する必要があり、高い飽和磁束密度を持つFe系合金の軟磁性材料が好ましいが、図7に示すように開磁路にすることで直流重畳特性を向上させ、安価なソフトフェライト材が使用できる。
そこで、前記問題を解決するものとして、特許文献1に記載されている、コモンモードチョークコイルにノーマルモードチョークコイルの機能を付加し、コイル部品1個にてコモンモードノイズおよびノーマルモードノイズを対策したものが、図8に示すコモンモードノイズフィルタである。
前記ツバ部の周辺部は、前記コイルの外側露出表面よりも、外側に張り出していることを特徴とするノイズフィルタである。
また、本発明は、前記ツバ部の、前記コイルの外側露出表面よりも外側に張り出している面積率Fを、
F=(S−L)/Sと定義したとき、
(ここで、
Sはツバ部の磁脚軸方向に垂直な断面積、
Lは磁脚を含めたコイル部を磁脚軸方向でツバ部に投影された最外周までの面積の合計、である。)
F≧0.25であることを特徴とするノイズフィルタである。
また、本発明は、前記2磁脚の断面積をそれぞれa、bとしたとき、a≧b≧0.2aである関係を満足することを特徴とするノイズフィルタである。
また、本発明は、前記軟磁性コアは、2磁脚の軸方向の中央部分に分割面を有し、前記分割面にて2分割される前記軟磁性コアは、分割面に対して面対称であり、かつ、前記2分割面が、互いに全面にて対面していることを特徴とするノイズフィルタである。
また、本発明は、前記2磁脚にそれぞれ導線を巻回したコイルのターン数、及び導線の断面積が同値であることを特徴とするノイズフィルタである。
また、本発明は、軟磁性コアがMnZnフェライトコアであり、巻回したコイルと前記MnZnフェライトコアとの間に絶縁フィルムを有することを特徴とするノイズフィルタである。
磁脚の両端のツバ部が、対向するツバ部分と空間で磁路を形成し、従来技術における中脚の作用を有している。
また、従来構造では、図8に示すようにコイル部分がコア外形から出っ張るためにコイル部分を保護し、固定するためにツバ部を有するボビン29が必要であったが(特許文献1の図4の23、24、特許文献2の図1の14b参照)、本発明ではボビンが不要となり、より小型化が可能となる。
従って、ツバ部は、軟磁性コアの一部として機能しているため、コイル外側露出表面からの張り出しが大きいほど磁路形成能力が高くなる。ツバ部の厚さは、軟磁性コア材料の飽和磁束密度と2磁脚に接続されているツバ部の断面積から磁束が飽和しないように設計されるものである。前記含めて、フィルタのサイズと必要とするノイズ低減効果等を考慮して、軟磁性コアの形状は適宜決定されるものである。
F=(S−L))/Sと定義したとき、
(ここで、
Sはツバ部の磁脚軸方向に垂直な断面積、
Lは磁脚を含めたコイル部を磁脚軸方向でツバ部に投影された最外周までの面積の合計、である。)
前記、面積率F、ツバ部の磁脚軸方向に垂直な断面積S、磁脚を含めたコイル部を磁脚軸方向でツバ部に投影された最外周までの面積の合計Lについて説明する。
図9に、図2(b)の図を例にして説明する。Sはツバ部の長辺Bと短辺Cの積で表される。磁脚を含めたコイル部を磁脚軸方向でツバ部に投影された最外周までの面積の合計Lは図9中の網目部分15となる。コイルのリード部分は網目部分には含まれない。従って、(S−L)は、図9のツバ部の磁脚軸方向に垂直な面積S(長辺Bと短辺Cの積)から、網目部分15の面積を減じた部分であって、斜線部分16である。よって面積率Fは、面積S(長辺Bと短辺Cの積)に対する、斜線部分16の率となる。
F≧0.25を満足すれば、ノーマルモードノイズ、コモンモードノイズのいずれに対しても優れたノイズ低減効果を得ることができる。
より好ましくは、F≧0.3であり、ノイズ低減効果がいっそう大きくなる。
また、Fが増加することは、ツバ部の張り出し量が磁脚とコイル巻回部の断面積に対して大きくなると解されるが、この場合、ノイズフィルタの組み立て時や、ハンドリング時に、外部からの応力によってツバ部周辺への欠けやクラックの発生の恐れがある。このため、Fの上限として0.7未満が好ましい。
前記構造にすることにより、予め巻回したコイルに対して、コイル両端から、磁脚部分を挿入することにより容易に組み立てが可能となる。
また、必要に応じて、前記2つの分割面の間に、非磁性のスペーサを挿入することで容易に磁気ギャップを形成することができる。
前記ツバ部の周辺部は、前記コイルの外側露出表面よりも、外側に張り出していることを特徴とするノイズフィルタである。
また、本発明は、前記ツバ部の、前記コイルの外側露出表面よりも外側に張り出している面積率Fを、
F=(S−L)/Sと定義したとき、
(ここで、
Sはツバ部の磁脚軸方向に垂直な断面積、
Lは磁脚を含めたコイル部を磁脚軸方向でツバ部に投影された最外周までの面積の合計、である。)
F≧0.25であることを特徴とするノイズフィルタである。
また、本発明は、前記2磁脚の断面積をそれぞれa、bとしたとき、a≧b≧0.2aである関係を満足することを特徴とするノイズフィルタである。
また、本発明は、前記軟磁性コアは、2磁脚の軸方向の中央部分に分割面を有し、前記分割面にて2分割される前記軟磁性コアは、分割面に対して面対称であり、かつ、前記2分割面が、互いに全面にて対面していることを特徴とするノイズフィルタである。
また、本発明は、前記2磁脚にそれぞれ導線を巻回したコイルのターン数、及び導線の断面積が同値であることを特徴とするノイズフィルタである。
また、本発明は、軟磁性コアがMnZnフェライトコアであり、巻回したコイルと前記MnZnフェライトコアとの間に絶縁フィルムを有することを特徴とするノイズフィルタである。
(比較例)
図8に示す軟磁性コアを含むノイズフィルタにおいて、NML=2.5μH、CML=40.0μH、Rdcが4.5mΩを得るには、A=26mm、B=30mm、C=21mmの外形寸法が必要であった。尚、中脚の軸方向の大きさは7mm角であった。
ここで、NML、CML、Rdcとは、図6に示すように2つのコイルを結線し、インダクタンス及び直流抵抗を測定し、2つのコイルの直列接続したインダクタンスがNML、直流抵抗がRdcであり、2つのコイルの並列接続したインダクタンスがCMLである。
前記軟磁性コアは、面対称になるように、外側2磁脚の中央部分で分割されていて、前記分割面全面で対面するように、対向する磁脚のベース部分の外側部分同士を、2磁脚及びボビンの外側を挟んで、テープで固定している。
また、前記NML及びCMLのインダクタンスとRdcを得るために、直径1.8mmの絶縁皮膜導線を6ターン巻回したコイルをボビンに形成し、外側の2磁脚がコイルボビンに挿入されるよう作製した。
前記比較例と同等のNML=2.5μH、CML=40.0μH、Rdcが4.5mΩを得るためのノイズフィルタ形状を検討した。
その結果、図1、図2(図1のa、b方向からの概略図)に示すように、形状がA=24mm、B=30mm、C=20mm、d(磁脚の直径)=11mm、ツバ部4、5の厚さが2mmである軟磁性コア1の2磁脚2、3に、それぞれ直径1.8mmの絶縁皮膜導線8を6ターン巻いてコイル6、7を形成することにより、前記比較例と同等のNML、CML、Rdcを得ることができた。
実施例1において、前述の面積率Fを計算する。ツバ部断面積S=30mm×24mm=720mm2で、L=334.8mm2(直径(11mm+1.6mm+1.6mm)の円の面積の2倍)となるので、F=(S−L)/S=0.535となることがわかる。 比較例に比べて、Aが2mm、Cが1mm小さくなっている。(Bは同値)
前記軟磁性コアは、面対称になるように、2磁脚のそれぞれの中央部分で分割されていて、前記分割面全面で対面するように、対向する2ツバ部4、5の外側部分同士を、2磁脚及びコイルの外側を挟んで、テープで固定している。また、コイル6、7とツバ部4、5との間、及びコイル6、7と磁脚2、3の間にはそれぞれ絶縁フィルム9としてポリイミドフィルムを挟んでいる。
図3に本実施例のノイズフィルタを、室温22℃、周波数100kHz、OSCレベル1Vの条件でNMLを測定した直流重畳特性を示す。直流電流値Idc=70A付近まで、2つのコイルを直列接続したインダクタンスNMLの低下は認められず、優れた直流重畳特性であることが分かる。
前記実施例1に比べて、より小型化のため、磁脚の断面積を検討した。その結果、2磁脚の両方の断面積を小さくすると、断面積を小さくするに伴って、NML及びCMLのインダクタンスが減少して特性が劣化するが、片方のみの断面積を小さくしても、NML、CMLには変化しないということが分かった。そこで、実施例1では、両磁脚の直径dが11mmであるが、片側のみの直径を小さくして、同等の特性が得られる限界を調べた。
その結果、片側の直径11mmを4.92mmにしても同等の特性(NML=2.5μH、CML=40.0μH、Rdcが4.5mΩ)が得られることが分かった。この場合、実施例1に比べて、コイルの直径を1.8mmから1.3mmと小さくし、ターン数を6から5と1つ減少させている。
実施例2において、前述の面積率Fを計算する。ツバ部断面積S=24mm×20mm=480mm2で、L=322.9mm2(直径(11mm+1.3mm+1.3mm)の円の面積と直径(4.92mm+1.3mm+1.3mm)の円の面積の合計)となるので、F=(S−L)/S=0.327となることがわかる。
尚、片側の磁脚の直径を4.92mm未満にすると、CMLが急減することが分かった。
図4に示すように、磁脚2の直径を11mm(d1)、磁脚3の直径を4.92mm(d2)として、形状がA=14mm、B=24mm、C=20mm、ツバ部4、5の厚さが2mmである軟磁性コア1の2磁脚2、3に、それぞれ直径1.3mmの絶縁皮膜導線8を5ターン巻いてコイル6、7を形成することによりフィルタを作製した。実施例1と同様に前記軟磁性コアは2分割され、テープで固定されている。
比較例に比べて、Aが12mm、Bが6mm、Cが1mm小さくなっている。また、実施例1に比べて、Aが10mm、Bが6mm小さくなっている。(Cは同値。)
実施例2では、2つの磁脚の断面形状は円であるが、断面積が異なっていて、直径の比が11:4.92であることより、断面積比は、5:1である。
実施例2のノイズフィルタを、実施例1と同様の条件で直流重畳特性を測定したところ、実施例1と同等の結果であった。
前記実施例2に比べて、更に小型化のため、2磁脚の内、断面積が大きい磁脚の断面形状を検討した。その結果、断面積不変のままで、B方向の磁脚の厚さを小さくすることで、更なる小型化が可能であることが分かった。
即ち、図5に示すように、形状がA=14mm、B=22mm、C=20mm、d11=9mm、d12=12.5mm、d2=4.92mm、ツバ部4、5の厚さが2mmである軟磁性コア1の2磁脚2、3に、それぞれ直径1.3mmの絶縁皮膜導線8を6ターン巻いてコイルを形成することにより作製したフィルタにおいても、同等特性:NML=2.5μH、CML=40.0μH、Rdcが4.5mΩ、が得られた。実施例1と同様に前記軟磁性コア1は2分割され、テープで固定されている。
実施例3において、前述の面積率Fを計算する。ツバ部断面積S=22mm×20mm=440mm2で、L=190.7mm2(長辺(9mm+1.3mm+1.3mm)×短辺3.5mmの長方形と直径(9mm+1.3mm+1.3mm)の円の面積と、直径(4.92mm+1.3mm+1.3mm)の円の面積の合計)となるので、F=(S−L)/S=0.566となり、大きな値であることがわかる。
実施例3では、2つの磁脚2、3の内、断面積の小さい磁脚3の断面形状は円(直径5mm)であるが、断面積の大きい磁脚2の断面形状は、3.5mm×9mmの長方形の2長辺を、直径9mmの半円で挟んだ形状となっている。この断面積は、実施例1、2での直径11mmの円と同値の約95mm2である。
実施例2と実施例3で、断面積の大きい磁脚の形状は異なるが、断面積は約95mm2で同値である。
比較例に比べて、Aが12mm、Bが8mm、Cが1mm小さくなっている。また、実施例1に比べて、Aが10mm、Bが8mm小さくなっている。(Cは同値。)更に、実施例2に比べて、Bが2mm小さくなっている。(A、Cは同値。)
実施例3のノイズフィルタを、実施例1と同様の条件で直流重畳特性を測定したところ、実施例1と同等の結果であった。
実施例1の軟磁性コア1は、面対称になるように、2磁脚2、3の中央部分で分割され、前記分割面全面で対面するように、対向する2ツバ部4、5の外側部分同士を2磁脚2、3及びコイル6、7の外側を挟んで、テープで固定しているものであったが、実施例4では、プレス成形金型を用いて、図1、図2に示されているC寸法の方向にMnZnフェライト顆粒をプレス成形後、焼成することによって、前記実施例1と同形状の軟磁性コアを得た。前記軟磁性コアに実施例1と同様にコイルを形成し、ノイズフィルタを作製し、実施例1と同等の結果が得られた。
実施例4のコア作製方法では、コアにコイルを直接巻回する必要があるため、コイル形成工数が大きいという欠点があるが、量産時の特性ばらつきは低減されるという利点を有している。
実施例1の軟磁性コア1は、面対称になるように、2磁脚2、3の中央部分で分割され、前記分割面全面で対面するように、対向する2ツバ部4、5の外側部分同士を2磁脚2、3及びコイル6、7の外側を挟んで、テープで固定しているものであったが、実施例5では、(片側ツバ部)と(2磁脚+片側ツバ部)の非対称に分割できる軟磁性コアを用いて、ノイズフィルタを作製した。その結果、実施例1と同様の結果が得られた。
2、3 磁脚
4、5 ツバ部
6、7 コイル
8 絶縁皮膜導線
9 絶縁フィルム
10 ノイズフィルタ
Claims (6)
- 2つの磁脚と、前記2つの磁脚の端部間を接続する2つのツバ部を有する軟磁性コアと、前記2つの磁脚のそれぞれに設けられたコイルと、を備えるノイズフィルタであって、
前記ツバ部の周辺部は、前記コイルの外側露出表面よりも、外側に張り出していることを特徴とするノイズフィルタ。 - 前記ツバ部の、前記コイルの外側露出表面よりも外側に張り出している面積率Fを、
F=(S−L)/Sと定義したとき、
(ここで、
Sはツバ部の磁脚軸方向に垂直な断面積、
Lは磁脚を含めたコイル部を磁脚軸方向でツバ部に投影された最外周までの面積の合計、である。)
F≧0.25であることを特徴とする請求項1に記載のノイズフィルタ。 - 前記2磁脚の断面積をそれぞれa、bとしたとき、a≧b≧0.2aである関係を満足することを特徴とする請求項1または2に記載にノイズフィルタ。
- 前記軟磁性コアは、2磁脚の軸方向の中央部分に分割面を有し、前記分割面にて2分割される前記軟磁性コアは、分割面に対して面対称であり、かつ、前記2分割面が、互いに全面にて対面していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のノイズフィルタ。
- 前記2磁脚にそれぞれ導線を巻回したコイルのターン数、及び導線の断面積が同値であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のノイズフィルタ。
- 軟磁性コアがMnZnフェライトコアであり、巻回したコイルと前記MnZnフェライトコアとの間に絶縁フィルムを有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のノイズフィルタ。
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