JP2010085841A - 静電荷像現像用トナー - Google Patents

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Abstract

【課題】トナーの保存性(耐ブロッキング性)、及び低温定着性のバランスに優れ、多枚数の連続印刷を行なっても、カブリ等による画質の劣化が起こり難く印字耐久性にも優れ、さらに、常温のみでなく高温放置後においても印字耐久性に優れる静電荷像現像用トナーを提供する。
【解決手段】結着樹脂、着色剤、及び離型剤を含有する着色樹脂粒子、並びに外添剤を含む静電荷像現像用トナーにおいて、上記着色樹脂粒子が、スチレン系熱可塑性エラストマー、及び離型剤として数平均分子量(Mn)が2,000〜5,000である脂肪酸エステル化合物を含有し、当該脂肪酸エステル化合物の含有量が、結着樹脂100重量部に対して2〜20重量部であることを特徴とする静電荷像現像用トナーである。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において静電潜像を現像するために用いられる静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」と称することがある。)に関し、更に詳細には、保存性と低温定着性のバランスに優れ、且つ、印字耐久性にも優れる静電荷像現像用トナーに関する。
電子写真装置、静電記録装置、及び静電印刷装置等の画像形成装置は、感光体上に形成される静電潜像を、静電荷像現像用トナーで現像することで所望の画像を形成する方法が広く実施され、複写機、プリンター、ファクシミリ、及びこれら複合機等に適用されている。
例えば、電子写真法を用いた電子写真装置では、一般には光導電性物質からなる感光体の表面を種々の手段で一様に帯電させた後、当該感光体上に静電潜像を形成し、次いで当該静電潜像を、トナーを用いて現像し(現像工程)、必要に応じて用紙等の記録材にトナー画像を転写した(転写工程)後、加熱等によりトナーを記録材に定着させて(定着工程)、印刷物を得るものである。
上記定着工程では、通常、定着時に定着ロールの温度を150℃以上に加熱する必要があり、エネルギー源として多くの電力が消費される。近年、上記画像形成装置に対する、消費エネルギーの低減化、及び印刷の高速化の要請の高まりに伴い、低い定着温度でも高い定着率を維持できるトナー(低温定着性に優れたトナー)の設計が求められている。
上記要請に応え得るトナーの設計方法として、トナーのガラス転移温度(Tg)を低下させる方法、トナー中に低融点樹脂及び/又は低分子量樹脂を含有させる方法、トナー中にワックス等の離型性(剥離性)を有する低軟化点物質(離型剤)を含有させる方法などの提案がされている。
しかしながら、トナーに低温定着性の特性を過度に付与させると、定着時に定着ロールの温度を低く設定できる反面、トナーを高温下で使用する際、或いは、トナーを長期間放置(保存)する際に、トナー同士の融着(ブロッキング(凝集))が起こり易くなり、トナーの保存性が低下する問題が生じる。
このため、トナーの設計には、低温定着性とは相反する特性である保存性をも考慮して設計する必要がある。近年、低温定着性と保存性のバランスを考慮して設計されたトナーにおいて、常温のみでなく高温放置後においても、カブリ等による画質の劣化が起こり難く、印字耐久性に優れるトナーの開発が求められている。
特許文献1では、着色剤、スチレン系熱可塑性エラストマー、及び離型剤として低分子量ポリプロピレン(Mw=8,700)を用いて、粉砕法により得られる静電荷像現像用トナーが開示されている。
特許文献2では、着色剤、水酸基含有スチレン系熱可塑性エラストマー(クラレ社製、商品名:セプトンHG−252)、及び離型剤としてジペンタエリスリトールヘキサミリステートを用いて、懸濁重合法により得られる静電荷像現像用トナーが開示されている。
しかしながら、特許文献1及び2に開示されているトナーにおいては、トナーの保存性(耐ブロッキング性)、及び低温定着性のバランスを高いレベルで最適化させながら、高温放置後においても、カブリ等による画質の劣化が起こり難く印字耐久性にも優れるという、近年のトナーに対する高度な要求レベルを満たすには至っていない。
特開平7−271096号公報 特開2004−258429号公報
本発明の目的は、トナーの保存性(耐ブロッキング性)、及び低温定着性のバランスに優れ、多枚数の連続印刷を行なっても、カブリ等による画質の劣化が起こり難く印字耐久性にも優れ、さらに、常温のみでなく高温放置後においても印字耐久性に優れる静電荷像現像用トナーを提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討したところ、着色樹脂粒子中に、スチレン系熱可塑性エラストマー、及び離型剤として特定の特性を有する脂肪酸エステル化合物を特定量含有させることによって、保存性と低温定着性とのバランスに優れると共に、印字耐久性にも優れ、さらに、高温放置後においても印字耐久性に優れることを見出し、これらの知見に基づいて本発明を完成するに到った。
すなわち本発明の静電荷像現像用トナーは、結着樹脂、着色剤、及び離型剤を含有する着色樹脂粒子、並びに外添剤を含む静電荷像現像用トナーにおいて、
上記着色樹脂粒子が、スチレン系熱可塑性エラストマー、及び離型剤として数平均分子量(Mn)が2,000〜5,000である脂肪酸エステル化合物を含有し、当該脂肪酸エステル化合物の含有量が、結着樹脂100重量部に対して2〜20重量部であることを特徴とする静電荷像現像用トナーである。
前記静電荷像現像用トナーにおいて、スチレン系熱可塑性エラストマーが、(1)スチレン含有率が15〜70重量%であり、且つ、(2)メルトフローレート(JIS K7210、230℃、2.16kg荷重)が0.05〜100g/10分であり、当該スチレン系熱可塑性エラストマーの含有量が、結着樹脂100重量部に対して1〜10重量部であることが好ましい。
前記静電荷像現像用トナーにおいて、脂肪酸エステル化合物が、ポリグリセリンと炭素数12〜28の飽和脂肪酸をエステル化したポリグリセリン脂肪酸エステル化合物であることが好ましい。
上記の如き本発明の静電荷像現像用トナーによれば、トナーの保存性(耐ブロッキング性)、及び低温定着性のバランスに優れ、多枚数の連続印刷を行なっても、カブリ等による画質の劣化が起こり難く印字耐久性にも優れ、さらに、常温のみでなく高温放置後においても印字耐久性に優れた静電荷像現像用トナーを提供される。
本発明の静電荷像現像用トナーは、結着樹脂、着色剤、及び離型剤を含有する着色樹脂粒子、並びに外添剤を含む静電荷像現像用トナーにおいて、
上記着色樹脂粒子が、スチレン系熱可塑性エラストマー、及び離型剤として数平均分子量(Mn)が2,000〜5,000である脂肪酸エステル化合物を含有し、当該脂肪酸エステル化合物の含有量が、結着樹脂100重量部に対して2〜20重量部であることを特徴とするものである。
以下、本発明の静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」と称することがある。)について説明する。
本発明のトナーは、結着樹脂、着色剤、スチレン系熱可塑性エラストマー、及び特定の特性を有する離型剤を特定量含んでなる着色樹脂粒子、並びに外添剤から構成される。
結着樹脂としては、一般にトナー用の結着樹脂として用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、ポリエステル樹脂、及びエポキシ樹脂等が挙げられる。これらの結着樹脂は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
一般に、着色樹脂粒子の製造方法は、粉砕法等の乾式法、並びに乳化重合凝集法、分散重合法、懸濁重合法、及び溶解懸濁法等の湿式法に大別され、細線再現性などの印字特性に優れたトナーが得られ易いことから湿式法が好ましい。湿式法の中でも、ミクロンオーダーで比較的小さい粒径分布を持つトナーが得られ易いことから、乳化重合凝集法、分散重合法、及び懸濁重合法等の重合法が好ましく、重合法の中でも懸濁重合法がより好ましい。
上記乳化重合凝集法は、乳化させた重合性単量体を重合し、樹脂微粒子を得て、着色剤等と凝集させ、着色樹脂粒子を製造する。また、上記溶解懸濁法は、結着樹脂や着色剤等のトナー成分を有機溶媒に溶解又は分散した溶液を水系媒体中で液滴形成し、当該有機溶媒を除去して着色樹脂粒子を製造する方法であり、それぞれ公知の方法を用いることができる。
本発明の着色樹脂粒子は、湿式法、又は乾式法を採用して製造することができる。
湿式法の中でも好ましい(A)懸濁重合法を採用し、または乾式法の中でも代表的な(B)粉砕法を採用して着色樹脂粒子を製造する場合、以下のようなプロセスにより行なわれる。
(A)懸濁重合法
(1)重合性単量体組成物の調製工程
先ず、重合性単量体、着色剤、スチレン系熱可塑性エラストマー、及び特定の特性を有する離型剤、さらに、必要に応じて帯電制御剤等のその他の添加物を混合、溶解又は分散して重合性単量体組成物の調製を行なう。重合性単量体組成物を調製する際には、例えば、メディア型湿式粉砕機を用いて行なう。
重合性単量体とは、重合可能な官能基を有するモノマーのことをいい、重合性単量体が重合して結着樹脂となる。重合性単量体の主成分として、モノビニル単量体を用いることが好ましい。
モノビニル単量体としては、例えば、スチレン;ビニルトルエン、及びα−メチルスチレン等のスチレン誘導体;アクリル酸、及びメタクリル酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、及びアクリル酸ジメチルアミノエチル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、及びメタクリル酸ジメチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル;アクリルアミド、及びメタクリルアミド;エチレン、プロピレン、及びブチレン等のオレフィン;等が挙げられる。これらのモノビニル単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記モノビニル単量体のうち、スチレン、スチレン誘導体、アクリル酸エステル、及びメタクリル酸エステルが特に好適に用いられる。
重合性単量体の一部として、トナーの保存性(耐ブロッキング性)を改善するために、上記モノビニル単量体と共に、任意の架橋性の重合性単量体を用いることができる。架橋性の重合性単量体とは、2つ以上の重合可能な官能基を有するモノマーのことをいう。
架橋性の重合性単量体としては、一般に、トナー用の架橋性の重合性単量体として用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、及びこれらの誘導体等の芳香族ジビニル化合物;二官能性エチレングリコールジメタクリレート、及びジエチレングリコールジメタクリレート等のエチレン性不飽和カルボン酸エステル;N,N−ジビニルアニリン、及びジビニルエーテル等のヘテロ原子含有ジビニル化合物;トリメチロールプロパントリメタクリレート、及びジメチロールプロパンテトラアクリレート等の3個以上のビニル基を有する化合物;等が挙げられる。これらの架橋性の重合性単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明では、架橋性の重合性単量体を、モノビニル単量体100重量部に対して、通常、0.1〜5重量部、好ましくは0.3〜2重量部の割合で用いることが望ましい。
また、重合性単量体の一部として、トナーの保存性と低温定着性とのバランスを向上させるために、上記モノビニル単量体と共に、任意のマクロモノマーを用いることができる。
マクロモノマーとは、分子鎖の末端に重合可能な炭素−炭素不飽和結合を有し、数平均分子量(Mn)が、通常1,000〜30,000の反応性のオリゴマーまたはポリマーのことをいう。マクロモノマーとして、重合性単量体を重合して得られる重合体(結着樹脂)のガラス転移温度(Tg)よりも高いTgを有するオリゴマーまたはポリマーを用いることが好ましい。
本発明では、マクロモノマーを、モノビニル単量体100重量部に対して、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.03〜5重量部、さらに好ましくは0.1〜2重量部の割合で用いることが望ましい。
着色剤としては、カラートナー(通常、ブラックトナー、シアントナー、イエロートナー、及びマゼンタトナーの4種類のトナーが用いられる。)を製造する場合、ブラック着色剤、シアン着色剤、イエロー着色剤、及びマゼンタ着色剤をそれぞれ用いることができる。
ブラック着色剤としては、カーボンブラック、チタンブラック、並びに酸化鉄亜鉛、及び酸化鉄ニッケル等の磁性粉等の顔料を用いることができる。
シアン着色剤としては、例えば、銅フタロシアニン顔料、その誘導体、及びアントラキノン顔料等の化合物が用いられる。具体的には、C.I.Pigment Blue2、3、6、15、15:1、15:2、15:3、15:4、16、17:1、及び60等が挙げられる。
イエロー着色剤としては、例えば、モノアゾ顔料、及びジスアゾ顔料等のアゾ顔料、縮合多環顔料等の化合物が用いられる。具体的には、C.I.Pigment Yellow3、12、13、14、15、17、62、65、73、74、83、93、97、120、138、155、180、181、185、及び186等が挙げられる。
マゼンタ着色剤としては、例えば、モノアゾ顔料、及びジスアゾ顔料等のアゾ顔料、縮合多環顔料等の化合物が用いられる。具体的には、C.I.Pigment Red31、48、57:1、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、144、146、149、150、163、170、184、185、187、202、206、207、209、251、及びC.I.Pigment Violet19等が挙げられる。
本発明では、それぞれの着色剤は、単独もしくは2種以上を組み合わせて用いてもよく、モノビニル単量体100重量部に対して、好ましくは1〜10重量部の割合で用いることが望ましい。
本発明では、着色樹脂粒子中に、スチレン系熱可塑性エラストマーを含有させる。
ここで、「スチレン系熱可塑性エラストマー」とは、スチレン系モノマーと、スチレン系モノマーと共重合し得るモノオレフィン及び/又はジオレフィン等の他のモノマーとのランダム、ブロック、グラフト等の共重合体、及びこれら共重合体の水添物のことをいう。
本発明で用いるスチレン系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレン型ブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン型ブロック共重合体、スチレン−ブタジエン・イソプレン−スチレン型ブロック共重合体及びこれらの水添物;スチレン−エチレン・ブチレン−スチレン型ブロック共重合体、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレン型ブロック共重合体、及びスチレン−エチレン・エチレン・プロピレン−スチレン型ブロック共重合体が代表的に挙げられる。
これらのスチレン系熱可塑性エラストマーの中でも、ホットオフセット現象を防止し、トナーの保存性(耐ブロッキング性)、及び低温定着性のバランスを最適化させる観点から、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレン型ブロック共重合体、及びスチレン−エチレン・エチレン・プロピレン−スチレン型ブロック共重合体が好ましく採用される。
本発明で用いるスチレン系熱可塑性エラストマー中のスチレン含有率は、15〜70重量%であることが好ましく、15〜60重量%であることがより好ましく、20〜40重量%であることがさらに好ましい。
上記スチレン含有率が、上記範囲未満である場合には、炭化水素ユニットの割合が高過ぎて、定着したトナーが定着面から剥離し易くなるために、定着性が低下する場合がある。一方、上記スチレン含有率が、上記範囲を超える場合には、結着樹脂との相溶性が高過ぎて、さらに、トナーの保存性が低下する場合がある。
本発明で好ましく用いるスチレン系熱可塑性エラストマーであるスチレン−エチレン・プロピレン−スチレン型ブロック共重合体及びスチレン−エチレン・エチレン・プロピレン−スチレン型ブロック共重合体としては、クラレ社から市販されており、例えば、スチレン−エチレン・エチレン・プロピレン−スチレン型ブロック共重合体として、セプトン 4033(スチレン含有率:30重量%、MFR:0.1g/10分)、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレン型ブロック共重合体として、セプトン 2004(スチレン含有率:18重量%、MFR:5g/10分)、及びセプトン 2104(スチレン含有率:65重量%、MFR:0.4g/10分)等が挙げられる。
本発明において、スチレン系熱可塑性エラストマーのメルトフローレート(MFR)は、0.05〜100g/10分であることが好ましく、0.05〜50g/10分であることがより好ましく、0.05〜10g/10分であることがさらに好ましい。
なお、上記メルトフローレート(MFR)は、JIS K7210に準拠して、230℃、2.16kg荷重で測定された値である。
上記メルトフローレート(MFR)が、上記範囲未満である場合には、トナーの保存性が低下し、印刷時においては、定着ロールにトナーが融着するホットオフセット現象が生じ易くなり、印字耐久性等のトナーの印字性能に悪影響を及ぼす場合がある。一方、上記メルトフローレート(MFR)が、上記範囲を超える場合には、トナーの低温定着性が低下し、印刷時においては、定着ロールの温度を高温に設定する必要があり、消費エネルギーの低減化の要請に応えられない場合がある。
本発明で用いるスチレン系熱可塑性エラストマーの含有量は、結着樹脂100重量部に対して、1〜10重量部であることが好ましく、2〜8重量部であることがより好ましく、3〜7重量部であることがさらに好ましい。
上記含有量が、上記範囲未満である場合には、常温での印字耐久性、及び高温放置後の印字耐久性が共に低下する場合がある。一方、上記含有量が、上記範囲を超える場合には、トナーの低温定着性が低下し、印刷時においては、定着ロールの温度を高温に設定する必要があり、消費エネルギーの低減化の要請に応えられない場合がある。
本発明では、離型剤として、特定の特性を有する脂肪酸エステル化合物を特定量用いる。
ここで、「脂肪酸エステル化合物」とは、「一価及び/又は多価アルコール」と、「飽和及び/又は不飽和脂肪酸」を、エステル化した化合物のことをいう。
一価又は多価アルコールとしては、具体的に、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、ノニルアルコール、ラウリルアルコール、セチルアルコール、及びステアリルアルコール等の1価の飽和脂肪族アルコール;アリルアルコール、メタリルアルコール、クロチルアルコール、及びオレイルアルコール等の1価の不飽和脂肪族アルコール;シクロヘキサノール等の1価の脂環式アルコール;フェノール、フェニルメタノール(ベンジルアルコール)、メチルフェノール(クレゾール)、p−エチルフェノール、ジメチルフェノール(キシレノール)、ノニルフェノール、ドデシルフェノール、フェニルフェノール、及びナフトール等の1価の芳香族アルコール;エチレングリコール、及びプロピレングリコール等の2価の飽和脂肪族アルコール;カテコール、及びヒドロキノン等の2価の芳香族アルコール;グリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、及びポリグリセリン等の3価以上の飽和脂肪族アルコール;等が代表的に挙げられる。
これらの一価又は多価アルコールの中でも、本発明で特定する特性を有する脂肪酸エステル化合物が得られ易いことから3価以上の飽和脂肪族アルコールが好ましく、さらに、グリセリンを脱水縮合するなどして得られるポリグリセリンが特に好ましく採用される。
「ポリグリセリン」とは、分子内に水酸基とエーテル結合を有し、具体的には、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、ヘプタグリセリン、ヘキサグリセリン、デカグリセリン等が挙げられる。
「ポリグリセリン」としては、種々の市販品を用いることができ、例えば、阪本薬品工業社製の市販品としては、「ポリグリセリン#310」、「ポリグリセリン#500」、及び「ポリグリセリン#750」等が挙げられ。
本発明で用いる脂肪酸エステル化合物の原料となる脂肪酸は、好ましくは炭素数が12〜28、より好ましくは炭素数が14〜24の「飽和脂肪酸及び/又は不飽和脂肪酸」が採用され、中でも、本発明で特定する特性を有する脂肪酸エステル化合物が得られ易いことから、上記炭素数を有する飽和脂肪酸が特に好ましい。
上記炭素数を有する飽和脂肪酸としては、具体的に、ラウリン酸(炭素数12)、ミリスチン酸(炭素数14)、ペンタデシル酸(炭素数15)、パルミチン酸(炭素数16)、マルガリン酸(炭素数17)、ステアリン酸(炭素数18)、アラキジン酸(炭素数20)、ベヘン酸(炭素数22)、リグノセリン酸(炭素数24)、セロチン酸(炭素数26)、及びメリシン酸(炭素数28)等が代表的に挙げられる。
これらの飽和脂肪酸の中でも、ベヘン酸(炭素数22)、ステアリン酸(炭素数18)、(アラキジン酸(炭素数20)が特に好ましく採用される。
不飽和脂肪酸としては、具体的に、パルミトイル酸(CH(CHCH=CH(CHCOOH)、オレイン酸(CH(CHCH=CH(CHCOOH)、バクセン酸(CH(CHCH=CH(CHCOOH)、リノール酸(CH(CH(CHCH=CH)(CHCOOH)、(9,12,15)−リノレン酸(CH(CHCH=CH)(CHCOOH)、(6,9,12)−リノレン酸(CH(CH(CHCH=CH)(CHCOOH)、エレオステアリン酸(CH(CH(CH=CH)(CHCOOH)、アラキドン酸(CH(CH(CHCH=CH)(CHCOOH)、及びネルボン酸(CH(CHCHCH=CH(CH13COOH)等が代表的に挙げられる。
なお、上記飽和脂肪酸及び/又は不飽和脂肪酸は、1種のみをそれぞれ単独で用いてもよく、あるいは2種以上を組み合わせて用いることもできる。
本発明で用いる脂肪酸エステル化合物の数平均分子量(Mn)は、2,000〜5,000であり、2,200〜4,000であることが好ましく、2,400〜3,000であることがより好ましい。
上記脂肪酸エステル化合物の数平均分子量(Mn)が、上記範囲未満である場合には、トナーの保存性が低下し、印刷時においては、定着ロールにトナーが融着するホットオフセット現象が生じ易くなり、印字耐久性等のトナーの印字性能に悪影響を及ぼす場合がある。一方、上記数平均分子量(Mn)が、上記範囲を超える場合には、トナーの低温定着性が低下し、印刷時においては、定着ロールの温度を高温に設定する必要があり、消費エネルギーの低減化の要請に応えられない場合がある。
また、本発明で用いる脂肪酸エステル化合物の重量平均分子量(Mw)は、2,500〜8,000であることが好ましく、3,000〜7,000であることがより好ましく、4,000〜6,000であることがより好ましい。
重量平均分子量(Mw)が上記範囲にあると、トナーの保存性(耐ブロッキング性)、及び低温定着性のバランスを最適化させることができ、常温のみでなく高温放置後においても印字耐久性に優れる。
また、本発明で用いる脂肪酸エステル化合物の分子量分布(Mw/Mn)は、1.2〜2.2であることが好ましく、1.4〜2.1であることがより好ましく、1.6〜1.9であることがさらに好ましい。
分子量分布が上記範囲にあると、トナーの保存性(耐ブロッキング性)、及び低温定着性のバランスを最適化させることができ、常温のみでなく高温放置後においても印字耐久性に優れる。
なお、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲルパミエーションクロマトグラフ(GPC)法によってGPC測定装置を用いて測定される値である。
本発明で用いる脂肪酸エステル化合物の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、2〜20重量部であり、3〜15重量部であることが好ましく、4〜10重量部であることがより好ましい。
上記含有量が、上記範囲未満である場合には、低温定着性が低下する場合がある。
一方、上記含有量が、上記範囲を超える場合には、保存性が低下する場合がある。
その他の添加物として、トナーの帯電性を向上させるために、正帯電性又は負帯電性の帯電制御剤を用いることができる。
帯電制御剤としては、一般にトナー用の帯電制御剤として用いられているものであれば、特に限定されないが、帯電制御剤の中でも、重合性単量体との相溶性が高く、安定した帯電性(帯電安定性)をトナー粒子に付与させることができることから、正帯電性又は負帯電性の帯電制御樹脂が好ましく、さらに、正帯電性トナーを得る観点からは、正帯電性の帯電制御樹脂がより好ましく用いられる。
正帯電性の帯電制御樹脂としては、藤倉化成社製の市販品等を用いることができ、例えば、FCA−161P(:商品名、スチレン/アクリル樹脂)、FCA−207P(:商品名、スチレン/アクリル樹脂)、及びFCA−201−PS(:商品名、スチレン/アクリル樹脂)等が挙げられる。
負帯電性の帯電制御樹脂としては、藤倉化成社製の市販品等を用いることができ、例えば、FCA−626N(:商品名、スチレン/アクリル樹脂)、FCA−748N(:商品名、スチレン/アクリル樹脂)、及びFCA−1001N(:商品名、スチレン/アクリル樹脂)等が挙げられる。
本発明では、帯電制御剤を、モノビニル単量体100重量部に対して、好ましくは0.01〜10重量部、より好ましくは0.03〜8重量部の割合で用いることが望ましい。
その他の添加物として、分子量や分子量分布を調整するために、分子量調整剤を用いることができる。
分子量調整剤としては、一般にトナー用の分子量調整剤として用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、及び2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオール等のメルカプタン類;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、N,N'−ジメチル−N,N'−ジフェニルチウラムジスルフィド、及びN,N'−ジオクタデシル−N,N'−ジイソプロピルチウラムジスルフィド等のチウラムジスルフィド類;等が挙げられる。これらの分子量調整剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、分子量調整剤は、次工程(1−2)液滴形成工程において、水系分散媒体中で重合性単量体組成物の液滴を形成させる段階で添加されてもよい。
本発明では、分子量調整剤を、モノビニル単量体100重量部に対して、好ましくは0.01〜10重量部、より好ましくは0.1〜5重量部の割合で用いることが望ましい。
(2)懸濁液を得る懸濁工程(液滴形成工程)
上記(1)重合性単量体組成物の調製工程により得られた重合性単量体組成物を、水系分散媒体中に懸濁させて懸濁液(重合性単量体組成物分散液)を得る。ここで、懸濁とは、水系分散媒体中で重合性単量体組成物の液滴を形成させることを意味する。液滴形成のための分散処理は、例えば、インライン型乳化分散機(荏原製作所社製、商品名:エバラマイルダー MDN303V)、高速乳化・分散機(特殊機化工業社製、商品名:T.K.ホモミクサー MARK II型)等の強攪拌が可能な装置を用いて行なうことができる。
液滴形成において、着色樹脂粒子の粒径コントロール、及び円形度を向上させるために、水系分散媒体中に分散安定化剤を含有させて用いる。
分散安定化剤としては、例えば、硫酸バリウム、及び硫酸カルシウム等の硫酸塩;炭酸バリウム、炭酸カルシウム、及び炭酸マグネシウム等の炭酸塩;リン酸カルシウム等のリン酸塩;酸化アルミニウム、及び酸化チタン等の金属酸化物、並びに、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、及び水酸化第二鉄等の金属水酸化物などの金属化合物;ポリビニルアルコール、メチルセルロース、及びゼラチン等の水溶性高分子化合物;アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤等の有機高分子化合物;等が挙げられる。これらの中でも、金属水酸化物が好ましく、特に、pH領域が、通常、pH7.5〜11で用いられる水酸化マグネシウムが好ましい。
分散安定化剤の添加量は、モノビニル単量体100重量部に対して、0.1〜20重量部であることが好ましく、0.2〜10重量部であることがより好ましい。
重合性単量体組成物の重合に用いられる重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、及び過硫酸アンモニウム等の無機過硫酸塩;4,4’−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;ジ−t−ブチルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、及びt−ブチルパーオキシイソブチレート等の有機過酸化物;等が挙げられる。これらの中でも、有機過酸化物が好ましく用いられる。
重合開始剤は、重合性単量体組成物を、分散安定化剤を含有する水系分散媒体中に分散させた後、液滴形成前の段階で添加されてもよいが、重合性単量体組成物に直接添加されてもよい。
重合開始剤の添加量は、モノビニル単量体100重量部に対して、0.1〜20重量部であることが好ましく、0.3〜15重量部であることがより好ましく、1.0〜10重量部であることがさらに好ましい。
(3)重合工程
上記(2)懸濁液を得る工程(液滴形成工程)により得られた、所望の懸濁液(重合性単量体組成物の液滴を含有する水系分散媒体)を、加熱し、重合を開始させることで、着色樹脂粒子の水分散液が得られる。
本発明における重合温度は、50℃以上であることが好ましく、60〜98℃であることがより好ましい。また、本発明における重合時間は、1〜20時間であることが好ましく、2〜15時間であることがより好ましい。
なお、重合性単量体組成物の液滴を安定に分散させた状態で重合を行うために、本重合工程においても上記(2)懸濁液を得る工程(液滴形成工程)に引き続き、攪拌による分散処理を行いながら重合反応を進行させてもよい。
重合工程により得られる着色樹脂粒子を、コア層とし、その外側にコア層と異なるシェル層を作ることで得られる、コアシェル構造(または、「カプセル型」ともいう。)を有する着色樹脂粒子としてもよい。
コアシェル構造を有する着色樹脂粒子は、低軟化点の物質よりなるコア層を、それより高い軟化点を有する物質であるシェル層で被覆することにより、トナーの定着温度の低温化と保存時の凝集防止とのバランスをとることができる。
上記コアシェル構造を有する着色樹脂粒子を製造する方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法によって製造することができる。in situ重合法や相分離法が、製造効率の観点から好ましい。
in situ重合法によるコアシェル構造を有する着色樹脂粒子の製造法を、以下に説明する。
コア層である着色樹脂粒子が分散している水系分散媒体中に、シェル層を形成するための重合性単量体(シェル用重合性単量体)とシェル用重合開始剤を添加し、重合を行なうことでコアシェル構造を有する着色樹脂粒子を得ることができる。
シェル用重合性単量体としては、前述の重合性単量体と同様のものを用いることができる。その中でも、スチレン、及びメチルメタクリレート等のTgが80℃を超える重合体が得られる単量体を、単独であるいは2種以上組み合わせて用いることが好ましい。
シェル用重合性単量体の重合に用いるシェル用重合開始剤としては、過硫酸カリウム、及び過硫酸アンモニウム等の過硫酸金属塩;2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)、及び2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(1,1−ビス(ヒドロキシメチル)2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)等の水溶性のアゾ化合物;等の重合開始剤を挙げることができる。
シェル用重合開始剤の添加量は、シェル用重合性単量体100重量部に対して、0.1〜30重量部であることが好ましく、1〜20重量部であることがより好ましい。
シェル層の重合温度は、50℃以上であることが好ましく、60〜95℃であることがより好ましい。また、シェル層の重合時間は、1〜20時間であることが好ましく、2〜15時間であることがより好ましい。
(4)分離・洗浄、濾過、脱水、及び乾燥工程
上記(3)重合工程後に得られる着色樹脂粒子の水分散液は、常法に従い、分離・洗浄、濾過、脱水、及び乾燥の一連の操作を、必要に応じて数回繰り返し行なわれることが好ましい。
先ず、着色樹脂粒子の水分散液中に残存する分散安定化剤を除去するために、着色樹脂粒子の水分散液に、酸又はアルカリを添加し洗浄を行なうことが好ましい。
使用した分散安定化剤が、酸に可溶な無機化合物である場合、着色樹脂粒子水分散液へ酸を添加し、一方、使用した分散安定化剤が、アルカリに可溶な無機化合物である場合、着色樹脂粒子水分散液へアルカリを添加する。
分散安定化剤として、酸に可溶な無機化合物を使用した場合、着色樹脂粒子水分散液へ酸を添加し、pHを6.5以下に調整することが好ましい。より好適にはpH6以下に調整することが好ましい。添加する酸としては、硫酸、塩酸、硝酸等の無機酸、及び蟻酸、酢酸等の有機酸を用いることができるが、分散安定化剤の除去効率が大きいことや製造設備への負担が小さいことから、特に硫酸が好適である。
分散安定化剤の除去工程を経て得られる着色樹脂粒子水分散液を、分離・洗浄装置等を用いて、イオン交換水等の洗浄水による洗浄を行いながら、固液分離し、湿潤状態の着色樹脂粒子(ウエットケーキ)を形成させることが好ましい。
分離・洗浄装置としては、特に限定されず、例えば、ベルトフィルターが代表的に挙げられる。市販品としては、住友重機械工業社製の連続式ベルトフィルター(商品名:イーグルフィルター)、アタカ大機社製の真空水平式ベルトフィルター(商品名:ダイキ・ADPECフィルター)、及び月島機械社製の水平ベルトフィルター(商品名:月島−水平ベルトフィルター)等が挙げられる。
分離・洗浄装置等による洗浄工程を経て得られる湿潤状態の着色樹脂粒子(ウエットケーキ)を、水に再分散させて、着色樹脂粒子の再分散液を得る。
なお、上記分離・洗浄と再分散の一連の工程は、必要に応じて複数回繰り返し行うこともできる。
分離洗浄工程を経て得られる着色樹脂粒子の再分散液を、脱水装置等を用いて脱水を行ない、含水率が低い湿潤状態の着色樹脂粒子(ウエットケーキ)を形成させる。
分離洗浄工程を経て得られる着色樹脂粒子の再分散液を、脱水する方法としては、特に限定されず、種々の公知の方法を採用することができ、例えば、遠心濾過法、真空濾過法、及び加圧濾過法等を利用した脱水方法が挙げられる。
脱水装置としては、含水率が低いウエットケーキが得られる脱水装置であれば、特に限定されず、例えば、遠心濾過法を利用した脱水装置としては、サイホンピーラー型セントリヒュージ、及びデカンタ型遠心分離機;真空濾過法を利用した脱水装置としては、ベルトフィルター;加圧濾過法を利用した脱水装置としては、フィルタープレス、ベルトプレス、及びロータリーフィルター;等が挙げられる。
これらの脱水装置の中でも、脱水効率が高く、所望の含水率が低い湿潤状態の着色樹脂粒子(ウエットケーキ)を形成させることができることから、遠心濾過法を利用した脱水装置が好ましく用いられ、市販品としては、三菱化工機社製のサイホンピーラー型セントリフュージ(商品名:Hz-40Si型)が挙げられる。
脱水工程を経て得られる含水率が低い湿潤状態の着色樹脂粒子(ウエットケーキ)を、乾燥機等を用いて乾燥を行ない、所望の乾燥した着色樹脂粒子を得る。
脱水工程を経て得られる含水率が低い湿潤状態の着色樹脂粒子(ウエットケーキ)を、乾燥する方法としては、特に限定されず、種々の公知の方法を採用することができ、例えば、真空乾燥法、気流乾燥法、噴霧乾燥法、及び流動層乾燥法等を利用した乾燥方法が挙げられる。
乾燥機としては、所望の乾燥した着色樹脂粒子が得られる乾燥機であれば、特に限定されず、種々の市販された乾燥機を用いることができ、例えば、真空乾燥法を利用した乾燥機としては、ホソカワミクロン社製の真空乾燥機(商品名:ナウターミキサー NXV−1)、大川原製作所社製の真空乾燥機(商品名:リボコーン)、神鋼パンテック社製の真空乾燥機(商品名:SVミキサー);気流乾燥法を利用した乾燥機としては、ホソカワミクロン社製の気流乾燥機(商品名:ドライマスターDMR)、セイシン企業社製の気流乾燥機(商品名:フラッシュジェットドライヤー);流動層乾燥法を利用した乾燥機としては、大川原製作所社製の気流層乾燥機(商品名:スリットフロー);等が代表的に挙げられる。
(B)粉砕法
粉砕法を採用して着色樹脂粒子を製造する場合、以下のようなプロセスにより行なわれる。
先ず、結着樹脂、着色剤、スチレン系熱可塑性エラストマー、及び特定の特性を有する離型剤、さらに必要に応じて添加する帯電制御剤等のその他の添加物を混合機、例えば、ボールミル、V型混合機、ヘンシェルミキサー(:商品名)、高速ディゾルバ、インターナルミキサー、フォールバーグ等を用いて混合する。
次に、上記により得られた混合物を、加圧ニーダー、二軸押出混練機、及びローラ等を用いて加熱しながら混練する。得られた混練物を、ハンマーミル、カッターミル、ローラミル等の粉砕機を用いて、粗粉砕する。更に、ジェットミル、高速回転式粉砕機等の粉砕機を用いて微粉砕した後、風力分級機、気流式分級機等の分級機により、所望の粒径に分級して粉砕法による着色樹脂粒子を得る。
なお、粉砕法で用いる結着樹脂、着色剤、スチレン系熱可塑性エラストマー、及び特定の特性を有する離型剤、さらに必要に応じて添加する帯電制御剤等のその他の添加物は、前述の(A)懸濁重合法で挙げたものを用いることができる。また、粉砕法により得られる着色樹脂粒子は、前述の(A)懸濁重合法により得られる着色樹脂粒子と同じく、in situ重合法等の方法によりコアシェル構造を有する着色樹脂粒子として用いることが好ましい。
(着色樹脂粒子)
以下において、上記(4)分離・洗浄、濾過、脱水、及び乾燥工程を経て得られる着色樹脂粒子の粒径特性について述べる。
なお、以下で述べる着色樹脂粒子は、コアシェル型のものとそうでないもの両方を含む。
着色樹脂粒子の体積平均粒径(Dv)は、高画質の画像形成を行なう観点から、5〜15μmであることが好ましく、6〜12μmであることがより好ましく、7〜10μmであることがさらに好ましい。
上記着色樹脂粒子の体積平均粒径(Dv)が、上記範囲未満である場合には、トナーの流動性が低下し、カブリ等による画質の劣化が起り易くなり、印字性能に悪影響を及ぼす場合がある。一方、上記着色樹脂粒子の体積平均粒径(Dv)が、上記範囲を超える場合には、高精細な画像形成が難しくなり、得られる画像の解像度が低下し易くなり、印字性能に悪影響を及ぼす場合がある。
着色樹脂粒子の体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比である粒径分布(Dv/Dn)は、高画質の画像形成を行なう観点から、1.0〜1.3であることが好ましく、1.0〜1.2であることがより好ましい。
上記着色樹脂粒子の粒径分布(Dv/Dn)が、上記範囲を超える場合には、トナーの流動性が低下し、カブリ等による画質の劣化が起り易くなり、印字性能に悪影響を及ぼす場合がある。
なお、着色樹脂粒子の体積平均粒径(Dv)、及び個数平均粒径(Dn)は、粒径測定機を用いて測定される値であり、例えば、ベックマン・コールター社製の粒径測定機(商品名:マルチサイザー)を用いて測定することができる。
着色樹脂粒子の平均円形度は、高画質の画像形成を行なう観点から、0.96〜1.00であることが好ましく、0.97〜1.00であることがより好ましく、0.98〜1.00であることがさらに好ましい。
上記着色樹脂粒子の平均円形度が、上記範囲未満である場合には、トナー印字の細線再現性が低下し易くなり、印字性能に悪影響を及ぼす場合がある。
ここで、「円形度」とは、粒子像と同じ投影面積を有する円の周囲長を、粒子の投影像の周囲長で除した値として定義される。また、本発明における平均円形度は、粒子の形状を定量的に表現する簡便な方法として用いたものであり、着色樹脂粒子の凹凸の度合いを示す指標であり、平均円形度は着色樹脂粒子が完全な球形の場合に1を示し、着色樹脂粒子の表面形状が複雑になるほど小さな値となる。平均円形度は、0.4μm以上の円相当径の粒子群について測定された各粒子の円形度(Ci)をn個の粒子について下記計算式1よりそれぞれ求め、次いで、下記計算式2より平均円形度(Ca)を求める。
計算式1:
円形度(Ci)=粒子の投影面積に等しい円の周囲長/粒子投影像の周囲長
Figure 2010085841
上記計算式2において、fiは、円形度(Ci)の粒子の頻度である。
上記円形度及び平均円形度は、例えば、シスメックス社製のフロー式粒子像分析装置「FPIA−2000」、「FPIA−2100」、及び「FPIA−3000」等を用いて測定することができる。
(5)外添工程
上記(4)分離・洗浄、濾過、脱水、及び乾燥工程を経て得られる着色樹脂粒子は、トナーの帯電性、流動性、及び保存性等を調整する観点から、外添剤と共に混合攪拌して外添処理を行なうことにより、着色樹脂粒子の表面に、外添剤を付着添加させて1成分トナーとする。また、当該1成分トナーは、さらにキャリア粒子と共に混合攪拌して2成分現像剤としてもよい。
外添処理を行なう攪拌機は、着色樹脂粒子の表面に外添剤を付着させることができる攪拌装置であれば特に限定されず、例えば、ヘンシェルミキサー(:商品名、三井鉱山社製)、スーパーミキサー(:商品名、川田製作所社製)、Qミキサー(:商品名、三井鉱山社製)、メカノフュージョンシステム(:商品名、細川ミクロン社製)、及びメカノミル(:商品名、岡田精工社製)等の混合攪拌が可能な攪拌機を用いて外添処理を行なうことができる。
外添剤としては、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化錫、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、及び/又は酸化セリウム等からなる無機微粒子;ポリメタクリル酸メチル樹脂、シリコーン樹脂、及び/又はメラミン樹脂等からなる有機微粒子;等が挙げられる。これらの中でも、無機微粒子が好ましく、無機微粒子の中でも、シリカ、及び/又は酸化チタンからなる微粒子が好ましく、特にシリカからなる微粒子が好適である。
なお、これらの外添剤は、それぞれ単独で用いることもできるが、2種以上を併用して用いることが好ましい。
本発明では、外添剤を、着色樹脂粒子100重量部に対して、通常、0.1〜6重量部、好ましくは0.2〜5重量部の割合で用いることが望ましい。
(6)トナー
上記工程を経て得られるトナーは、着色樹脂粒子中に、スチレン系熱可塑性エラストマー、及び離型剤として特定の特性を有する脂肪酸エステル化合物を特定量含有させたことにより、トナーの保存性(耐ブロッキング性)、及び低温定着性のバランスを最適化させることができ、多枚数の連続印刷を行なっても、カブリ等による画質の劣化が起こり難く印字耐久性にも優れ、さらに、常温のみでなく高温放置後においても印字耐久性に優れるトナーである。
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。なお、部及び%は、特に断りのない限り重量基準である。
本実施例及び比較例において行った試験方法は以下のとおりである。
(1)脂肪酸エステル化合物の分子量(重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及び分子量分布)
脂肪酸エステル化合物をテトラヒドロフランに溶解して、0.2重量%溶液とした後、0.45μmのメンブランフィルターで濾過し、測定試料として以下の測定条件で測定した。
<測定条件>
測定装置:HLC−8220GPC(東ソー社製)
カラム:Shodex GPC KF−402HQ 2本(昭和電工社製)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
溶離速度:0.3ml/分
検知器:RI(極性(+))
カラム温度:40℃
注入量:20μl
(2)スチレン系熱可塑性エラストマーのメルトフローレート(MFR)
スチレン系熱可塑性エラストマーのメルトフローレート(MFR)は、JIS K7210に準拠して、230℃、2.16Kg荷重で測定した。
(3)着色樹脂粒子の粒径特性
(3−1)体積平均粒径(Dv)、個数平均粒径(Dn)、及び粒径分布(Dv/Dn)
着色樹脂粒子を約0.1g秤量し、ビーカーに取り、分散剤としてアルキルベンゼンスルホン酸水溶液(富士フィルム社製、商品名:ドライウエル)0.1mlを加えた。そのビーカーへ、更にアイソトンIIを10〜30ml加え、20Wの超音波分散機で3分間分散させた後、粒径測定機(ベックマン・コールター社製、商品名:マルチサイザー)を用いて、アパーチャー径;100μm、媒体;アイソトンII、測定粒子個数;100,000個の条件下で、着色樹脂粒子の体積平均粒径(Dv)、及び個数平均粒径(Dn)を測定し、粒径分布(Dv/Dn)を算出した。
(3−2)平均円形度
容器中に、予めイオン交換水10mlを入れ、その中に分散剤としての界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸)0.02gを加え、更に着色樹脂粒子0.02gを加え、超音波分散機で60W、3分間分散処理を行った。測定時の着色樹脂粒子濃度を3,000〜10,000個/μlとなるように調整し、0.4μm以上の円相当径の着色樹脂粒子1,000〜10,000個についてフロー式粒子像分析装置(シメックス社製、商品名:FPIA−2100)を用いて測定した。測定値から平均円形度を求めた。
円形度は下記計算式1に示され、平均円形度は、その数平均を取ったものである。
計算式1:
(円形度)=(粒子の投影面積に等しい円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
(4)トナーの印字特性
(4−1)保存性
トナー10gを密閉可能な容器(ポリエチレン製、容量:100ml)に入れて、密閉した後、当該容器を55℃の温度に保持した恒温水槽の中に沈めた。8時間経過した後、恒温水槽から当該容器を取り出し、容器内のトナーを42メッシュの篩上へ置いた。この際、容器内でのトナーの凝集構造を破壊しないように、容器内からトナーを静かに取り出し、注意深く篩上に移して置くようにする。
トナーを置いた篩を、粉体測定機(ホソカワミクロン社製、商品名:パウダテスタPT−R)を用いて、振幅1mmの条件で、30秒間振動させた後、篩上に残留したトナーの重量を測定し、凝集トナーの重量とした。最初に容器に入れたトナーの重量に対する凝集トナーの重量の割合(重量%)を算出した。
なお、1サンプルにつき上記測定を3回行ない、凝集トナーの重量の割合(重量%)を算出し、その平均値を保存性の指標とした。
(4−2)最低定着温度
市販の非磁性一成分現像方式のプリンターの定着ロール部の温度を変化できるように改造したプリンターを用いて、定着試験を行った。
定着試験は、黒ベタ(印字濃度100%)を印字して、改造プリンターの定着ロールの温度を5℃ずつ変化させて、それぞれの温度でのトナーの定着率を測定し、温度−定着率の関係を求めて行った。
定着率は、黒ベタ(印字濃度100%)の印字領域においてテープ剥離を行ない、テープ剥離前後の画像濃度の比率から計算した。すなわち、テープ剥離前の画像濃度をID(前)、テープ剥離後の画像濃度をID(後)とすると、定着率は、下記計算式3により算出できる。
計算式3:
定着率(%)=(ID(後)/ID(前))×100
ここで、テープ剥離操作とは、試験用紙の測定部分に粘着テープ(住友スリーエム社製、商品名:スコッチメンディングテープ810−3−18)を貼り、一定圧力で押圧して付着させ、その後、一定速度で紙に沿った方向に粘着テープを剥離する一連の操作である。また、画像濃度は、反射式画像濃度計(マクベス社製、商品名:RD914)を用いて測定した。
この定着試験において、定着率が80%を超える最低の定着ロールの温度をトナーの最低定着温度とした。
(4−3)耐久印字試験
耐久印字試験には、市販の非磁性一成分現像方式のプリンター(沖データ社製、商品名:ML−5400、印刷スピード:A4サイズ24枚/1分)を用い、現像装置のトナーカートリッジに、トナーを充填した後、印字用紙をセットした。温度23℃、湿度50%の常温常湿(N/N)環境下で、24時間放置した後、同環境下にて、5%印字濃度で18,000枚まで連続印字を行なった。
500枚毎に黒ベタ印字(印字濃度100%)を行ない、反射式画像濃度計(マクベス社製、商品名:RD914)を用いて黒ベタ画像の印字濃度を測定した。さらに、その後、白ベタ印字(印字濃度0%)を行ない、白ベタ印字の途中でプリンターを停止させ、現像後の感光体上における非画像部のトナーを、粘着テープ(住友スリーエム社製、商品名:スコッチメンディングテープ810−3−18)に付着させた後、剥ぎ取り、それを印字用紙に貼り付けた。
次に、その粘着テープを貼り付けた印字用紙の白色度(B)を、白色度計(日本電色社製、商品名:ND−1)で測定し、同様にして、未使用の粘着テープだけを印字用紙に貼り付け、その白色度(A)を測定し、この白色度の差(B−A)をカブリ値とした。この値が小さい方が、カブリが少なく良好であることを示す。
印字濃度が1.3以上で、且つカブリ値が5%以下の画質を維持できる連続印字枚数を調べた。
なお、表1中、「18,000<」と記載されているものは、18,000枚の時点で、印字濃度が1.3以上で、且つカブリ値が5%以下の画質を維持できたことを示す。
(4−4)高温放置後の耐久印字試験
トナー400gをトナーカートリッジに入れ、このカートリッジをアルミ袋で密閉した後、50℃の温度に保持した恒温水槽の中に沈める。5日間経過した後、恒温水槽からカートリッジを取り出し、その後は、上記(4−3)耐久印字試験と同様の方法で試験した。
なお、表1中、「18,000<」と記載されているものは、18,000枚の時点で、印字濃度が1.3以上で、且つカブリ値が5%以下の画質を維持できたことを示す。
(脂肪酸エステル化合物の合成)
(合成例1)
温度計、窒素導入管、攪拌機、及び冷却管を取り付けた4つロフラスコに、多価アルコールとしてポリグリセリン(阪本薬品工業社製、商品名:ポリグリセリン#500)100g(0.19mol)、及び脂肪酸としてベヘン酸(日油社製、商品名:NAA−222S)566g(1.6mol)を加え、窒素気流下、220℃で反応水を留去しつつ、24時間常圧で反応させた。
得られたエステル化粗生成物600gに、トルエン180g、及びn−プロパノール30gを入れ、8%水酸化カリウム水溶液100gを加え、70℃で30分間攪拌して脱酸を行い、30分間静置後水層部を除去した。
次いで、ここに、脱酸の工程で用いたエステル化粗生成物100部に対してイオン交換水を20部加え、70℃で30分間攪拌した後、30分間静置して水層部を分離、除去する水洗を行った。廃水のpHが中性になるまでこの水洗を4回繰り返した。
得られたエステル層を180℃、1kPaの減圧条件下で溶媒を留去した後、ろ過を行い、脂肪酸エステル化合物Aを得て、分子量試験に供した。
(合成例2)
合成例1において、脂肪酸の種類と添加量を、ベヘン酸566gからステアリン酸205gとベヘン酸245gに変更したこと以外は、合成例1と同様にして合成例2の脂肪酸エステル化合物Bを得て、分子量試験に供した。
(合成例3)
合成例1において、多価アルコールの種類を、市販品のポリグリセリン#500から市販品のポリグリセリン#310(:商品名、阪本薬品工業社製)に変更し、脂肪酸として加えたベヘン酸の添加量を、566gから490gに変更した以外は、合成例1と同様にして合成例3の脂肪酸エステル化合物Cを得て、分子量試験に供した。
(実施例1)
モノビニル単量体としてスチレン80.5部及びn−ブチルアクリレート19.5部(これらの単量体を共重合して得られた共重合体の計算Tg=55℃)、着色剤としてカーボンブラック(三菱化学社製、商品名:♯25B)7部、架橋性の重合性単量体としてジビニルベンゼン0.5部、分子量調整剤としてt−ドデシルメルカプタン1.2部、及びマクロモノマーとしてポリメタクリル酸エステルマクロモノマー(東亜合成化学工業社製、商品名:AA6、Tg=94℃)0.3部を、メディア型湿式粉砕機を用いて湿式粉砕を行った後、帯電制御剤として帯電制御樹脂(藤倉化成社製、商品名:アクリベース FCA−207P、スチレン/アクリル樹脂)1部、離型剤として合成例1で得た脂肪酸エステル化合物A5部、及び、スチレン系熱可塑性エラストマーとして、市販品のスチレン−エチレン・エチレン・プロピレン−スチレン型ブロック共重合体であるセプトン 4033(:商品名、クラレ社製、スチレン含有率:30重量%、MFR:0.1g/10分)5部を添加、混合して、重合性単量体組成物を得た。
他方、攪拌槽において、室温下で、イオン交換水250部に塩化マグネシウム(水溶性多価金属塩)7.4部を溶解した水溶液に、イオン交換水50部に水酸化ナトリウム(水酸化アルカリ金属)4.1部を溶解した水溶液を攪拌下で徐々に添加して、水酸化マグネシウムコロイド(難水溶性の金属水酸化物コロイド)分散液を調製した。
なお、得られた水酸化マグネシウムコロイド分散液の一部を採取し、水酸化マグネシウムコロイドの粒径分布を、粒径分布測定器(島津製作所社製、商品名:SALD)を用いて測定したところ、水酸化マグネシウムコロイドの粒径は、D50(個数粒径分布の50%累積値)が0.35μm、D90(個数粒径分布の90%累積値)が0.62μmであった。
一方、シェル用重合性単量体としてメチルメタクリレート(Tg=105℃)2部、及びイオン交換水65部を超音波乳化機にて微分散化処理して、シェル用重合性単量体の水分散液を得た。
なお、シェル用重合性単量体の液滴の粒径は、D90が1.6μmであった。
上記により得られた水酸化マグネシウムコロイド分散液に、上記重合性単量体組成物を投入し、液滴が安定するまで攪拌し、そこへ重合開始剤としてt−ブチルパーオキシイソブチレート(日油社製、商品名:パーブチルIB)6部を添加した後、インライン型乳化分散機(荏原製作所社製、商品名:エバラマイルダー MDN303V)を用いて、15,000rpmの回転数で高剪断攪拌して、循環させながら分散を行ない重合性単量体組成物の液滴形成を行なった。
次に、液滴形成された重合性単量体組成物の水分散液に、四ホウ酸ナトリウム十水和物1部を添加し、攪拌翼を装着した反応器に入れ、85℃に昇温して重合反応を行ない、重合転化率がほぼ100%に達した後に、前記シェル用重合性単量体の水分散液と、シェル用重合開始剤として2,2'−アゾビス(2−メチル−N−(2−ハイドロキシエチル)−プロピオンアミド)(和光純薬社製、商品名:VA−086、水溶性)0.3部を反応器に添加した。さらに、4時間重合を継続した後、水冷して反応を停止し、コアシェル構造の着色樹脂粒子の水分散液を得た。
上記着色樹脂粒子の水分散液に、希硫酸により洗浄(25℃、10分間)して、pHを4.5以下にした。次いで、濾過により水を分離した後、新たにイオン交換水200部を加えて再スラリー化し、水洗浄処理(洗浄・濾過・脱水)を室温(25℃)で数回繰り返し行なって、得られた固形分を濾過分離した後、真空乾燥を行ない、乾燥した着色樹脂粒子を得た。
上記により得られた着色樹脂粒子100部に、外添剤として、環状シラザンで疎水化処理した個数平均一次粒径が7nmのシリカ微粒子(キャボット社製、商品名:TG820F)1部、及びアミノ変性シリコーンオイルで疎水化処理した個数平均一次粒径が35nmのシリカ微粒子(日本アエロジル社製、商品名:NEA50)1部を添加し、高速攪拌機(三井鉱山社製、商品名:ヘンシェルミキサー)を用いて、混合攪拌して外添処理を行ない、実施例1の静電荷像現像用トナーを作製し、試験に供した。
(実施例2)
実施例1において、離型剤の種類を、脂肪酸エステル化合物Aから脂肪酸エステル化合物Bに変更し、スチレン系熱可塑性エラストマーの種類を、市販品のセプトン 4033から市販品のスチレン−エチレン・プロピレン−スチレン型ブロック共重合体であるセプトン 2004(:商品名、クラレ社製、スチレン含有率:18重量%、MFR:5g/10分)に変更し、その量を5部から3部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例2のトナーを作製し、試験に供した。
(実施例3)
実施例1において、スチレン系熱可塑性エラストマーの種類を、市販品のセプトン 4033から市販品のスチレン−エチレン・プロピレン−スチレン型ブロック共重合体であるセプトン 2104(:商品名、クラレ社製、スチレン含有率:65重量%、MFR:0.4g/10分)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例3のトナーを作製し、試験に供した。
(実施例4)
実施例1において、離型剤の種類を、脂肪酸エステル化合物Aから脂肪酸エステル化合物Cに変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例4のトナーを作製し、試験に供した。
(比較例1)
実施例1において、スチレン系熱可塑性エラストマーを用いなかったこと以外は、実施例1と同様にして比較例1のトナーを作製し、試験に供した。
(比較例2)
実施例1において、離型剤の種類を、脂肪酸エステル化合物Aから市販品のW663(:商品名、日油社製、ジペンタエリスリトールヘキサミリステート)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして比較例2のトナーを作製し、試験に供した。
(結果)
各実施例及び比較例で作製したトナーの試験結果を、表1に示す。
Figure 2010085841
(結果のまとめ)
表1に記載されている試験結果より、以下のことが分かる。
比較例1のトナーは、スチレン系熱可塑性エラストマーを用いなかったことに起因し、保存性と低温定着性とのバランスは比較的良好であったものの、常温での印字耐久性、及び高温放置後の印字耐久性は、共に不良であった。
また、比較例2のトナーは、離型剤として、本発明で特定する脂肪酸エステル化合物を用いなかったことに起因し、常温での印字耐久性、及び高温放置後の印字耐久性は比較的良好であったものの、保存性と低温定着性とのバランスを最適化することはできなかった。
これに対して、実施例1〜4のトナーは、スチレン系熱可塑性エラストマー、及び離型剤として特定の特性を有する脂肪酸エステル化合物を特定量用いたことに起因し、トナーの保存性(耐ブロッキング性)、及び低温定着性のバランスを最適化させることができ、常温のみでなく高温放置後においても印字耐久性に優れるトナーであった。

Claims (3)

  1. 結着樹脂、着色剤、及び離型剤を含有する着色樹脂粒子、並びに外添剤を含む静電荷像現像用トナーにおいて、
    上記着色樹脂粒子が、スチレン系熱可塑性エラストマー、及び離型剤として数平均分子量(Mn)が2,000〜5,000である脂肪酸エステル化合物を含有し、当該脂肪酸エステル化合物の含有量が、結着樹脂100重量部に対して2〜20重量部であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
  2. 前記スチレン系熱可塑性エラストマーが、(1)スチレン含有率が15〜70重量%であり、且つ、(2)メルトフローレート(JIS K7210、230℃、2.16kg荷重)が0.05〜100g/10分であり、当該スチレン系熱可塑性エラストマーの含有量が、結着樹脂100重量部に対して1〜10重量部であることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
  3. 前記脂肪酸エステル化合物が、ポリグリセリンと炭素数12〜28の飽和脂肪酸をエステル化したポリグリセリン脂肪酸エステル化合物であることを特徴とする請求項1又2に記載の静電荷像現像用トナー。
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