JP6418153B2 - 静電荷像現像用トナー - Google Patents
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Description
本発明の課題は、カブリの発生を抑制し、間欠耐久性に優れ、且つトナー搬送における追従性が良好なためベタ印字での先端均一性に優れるトナーを提供することである。
本発明のトナーは、結着樹脂、着色剤、及び離型剤を含む着色樹脂粒子、並びに外添剤を含有する。
以下、本発明に使用される着色樹脂粒子の製造方法、当該製造方法により得られる着色樹脂粒子、当該着色樹脂粒子を用いた本発明のトナーの製造方法及び本発明のトナーについて、順に説明する。
一般に、着色樹脂粒子の製造方法は、粉砕法等の乾式法、並びに乳化重合凝集法、懸濁重合法、及び溶解懸濁法等の湿式法に大別され、画像再現性等の印字特性に優れたトナーが得られ易いことから湿式法が好ましい。湿式法の中でも、ミクロンオーダーで比較的小さい粒径分布を持つトナーを得やすいことから、乳化重合凝集法、及び懸濁重合法等の重合法が好ましく、重合法の中でも懸濁重合法がより好ましい。
(A−1)重合性単量体組成物の調製工程
まず、重合性単量体、着色剤、及び離型剤、さらに必要に応じて添加される帯電制御剤等のその他の添加物を混合し、重合性単量体組成物の調製を行う。重合性単量体組成物を調製する際の混合には、例えば、メディア式分散機を用いて行う。
本発明では、架橋性の重合性単量体を、モノビニル単量体100質量部に対して、通常、0.1〜5質量部、好ましくは0.3〜2質量部の割合で用いることが望ましい。
マクロモノマーは、モノビニル単量体100質量部に対して、好ましくは0.03〜5質量部、さらに好ましくは0.05〜1質量部用いる。
ブラック着色剤としては、例えば、カーボンブラック、チタンブラック、並びに酸化鉄亜鉛、及び酸化鉄ニッケル等の磁性粉等を用いることができる。
エステルワックスは、モノビニル単量体100質量部に対して、好ましくは2〜10質量部用いられ、より好ましくは3〜7質量部用いられる。エステルワックスの含有量が多いほど、得られるトナーの静止摩擦係数及び動摩擦係数が低くなる傾向にある。
エステルワックスの融点は、通常、50〜90℃、好ましくは60〜85℃、より好ましくは65〜75℃である。
炭化水素系ワックスの数平均分子量は、300〜800であることが好ましく、400〜600であることがより好ましい。また、JIS K2235 5.4で測定される炭化水素系ワックスの針入度は、1〜10であることが好ましく、2〜7であることがより好ましい。
炭化水素系ワックスは、モノビニル単量体100質量部に対して、好ましくは0.5〜8質量部用いられ、より好ましくは1〜5質量部用いられる。炭化水素系ワックスの含有量が多いほど、得られるトナーの静止摩擦係数及び動摩擦係数が低くなる傾向にある。炭化水素系ワックスの含有量の変動は、トナーの動摩擦係数に与える影響の方が、トナーの静止摩擦係数に与える影響よりも大きい傾向にある。炭化水素系ワックスの融点は、通常、40〜100℃、好ましくは50〜80℃、より好ましくは60〜75℃である。
離型剤は、上述した1種又は2種以上のワックスを組み合わせて用いることが好ましい。
上記離型剤の総含有量は、モノビニル単量体100質量部に対して、好ましくは0.1〜30質量部であり、より好ましくは1〜20質量部である。
帯電制御剤としては、一般にトナー用の帯電制御剤として用いられているものであれば、特に限定されないが、帯電制御剤の中でも、重合性単量体との相溶性が高く、安定した帯電性(帯電安定性)をトナー粒子に付与させることができることから、正帯電性又は負帯電性の帯電制御樹脂が好ましく、さらに、正帯電性トナーを得る観点からは、正帯電性の帯電制御樹脂がより好ましく用いられる。本発明のトナーは、正帯電性トナーであることが好ましい。
正帯電性の帯電制御剤としては、ニグロシン染料、4級アンモニウム塩、トリアミノトリフェニルメタン化合物及びイミダゾール化合物、並びに、好ましく用いられる帯電制御樹脂としてのポリアミン樹脂、並びに4級アンモニウム基含有共重合体、及び4級アンモニウム塩基含有共重合体等が挙げられる。
負帯電性の帯電制御剤としては、Cr、Co、Al、及びFe等の金属を含有するアゾ染料、サリチル酸金属化合物及びアルキルサリチル酸金属化合物、並びに、好ましく用いられる帯電制御樹脂としてのスルホン酸基含有共重合体、スルホン酸塩基含有共重合体、カルボン酸基含有共重合体及びカルボン酸塩基含有共重合体等が挙げられる。
本発明では、帯電制御剤を、モノビニル単量体100質量部に対して、通常、0.01〜10質量部、好ましくは0.03〜8質量部の割合で用いることが望ましい。帯電制御剤の添加量が、0.01質量部未満の場合にはカブリが発生することがある。一方、帯電制御剤の添加量が10質量部を超える場合には印字汚れが発生することがある。
分子量調整剤としては、一般にトナー用の分子量調整剤として用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、及び2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオール等のメルカプタン類;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、N,N’−ジメチル−N,N’−ジフェニルチウラムジスルフィド、N,N’−ジオクタデシル−N,N’−ジイソプロピルチウラムジスルフィド等のチウラムジスルフィド類;等が挙げられる。これらの分子量調整剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明では、分子量調整剤を、モノビニル単量体100質量部に対して、通常0.01〜10質量部、好ましくは0.1〜5質量部の割合で用いることが望ましい。
本発明では、少なくとも重合性単量体、着色剤、及び離型剤を含む重合性単量体組成物を、分散安定化剤を含む水系媒体中に分散させ、重合開始剤を添加した後、重合性単量体組成物の液滴形成を行う。液滴形成の方法は特に限定されないが、例えば、(インライン型)乳化分散機(太平洋機工社製、商品名:マイルダー)、高速乳化分散機(プライミクス株式会社製、商品名:T.K.ホモミクサー MARK II型)等の強攪拌が可能な装置を用いて行う。
上記(A−2)のようにして、液滴形成を行い、得られた水系分散媒体を加熱し、重合を開始し、着色樹脂粒子の水分散液を形成する。
重合性単量体組成物の重合温度は、好ましくは50℃以上であり、更に好ましくは60〜95℃である。また、重合の反応時間は好ましくは1〜20時間であり、更に好ましくは2〜15時間である。
着色樹脂粒子が分散している水系媒体中に、シェル層を形成するための重合性単量体(シェル用重合性単量体)と重合開始剤を添加し、重合することでコアシェル型の着色樹脂粒子を得ることができる。
重合により得られた着色樹脂粒子の水分散液は、重合終了後に、常法に従い、ろ過、分散安定化剤の除去を行う洗浄、脱水、及び乾燥の操作が、必要に応じて数回繰り返されることが好ましい。
粉砕法を採用して着色樹脂粒子を製造する場合、以下のようなプロセスにより行われる。
まず、結着樹脂、着色剤、及び離型剤、さらに必要に応じて添加される帯電制御剤等のその他の添加物を混合機、例えば、ボールミル、V型混合機、FMミキサー(:商品名)、高速ディゾルバ、インターナルミキサー等を用いて混合する。次に、上記により得られた混合物を、加圧ニーダー、二軸押出混練機、ローラ等を用いて加熱しながら混練する。得られた混練物を、ハンマーミル、カッターミル、ローラミル等の粉砕機を用いて、粗粉砕する。更に、ジェットミル、高速回転式粉砕機等の粉砕機を用いて微粉砕した後、風力分級機、気流式分級機等の分級機により、所望の粒径に分級して粉砕法による着色樹脂粒子を得る。
上述の(A)懸濁重合法、又は(B)粉砕法等の製造方法により、着色樹脂粒子が得られる。
以下、トナーを構成する着色樹脂粒子について述べる。なお、以下で述べる着色樹脂粒子は、コアシェル型のものとそうでないもの両方を含む。
上記着色樹脂粒子の平均円形度が0.96未満の場合、印字の細線再現性が悪くなるおそれがある。
本発明においては、上記着色樹脂粒子を、外添剤と共に混合攪拌して外添処理を行うことにより、着色樹脂粒子の表面に、外添剤を付着させて1成分トナー(現像剤)とする。なお、1成分トナーは、さらにキャリア粒子と共に混合攪拌して2成分現像剤としてもよい。
なお、これらの外添剤は、それぞれ単独で用いることもできるが、2種以上を併用して用いることができる。中でも粒径の異なる2種以上のシリカを併用することが好ましい。
シリカ微粒子Aの個数平均一次粒径は、9〜25nmであることがより好ましく、11〜20nmであることがさらに好ましい。
また、本発明に使用される外添剤粒子の個数平均一次粒径の他の測定方法としては、外添剤粒子を水などの分散媒中に分散させ、当該分散液を粒度分布測定装置(日機装製、商品名:マイクロトラック3300EXII)等により測定する方法により、個数平均一次粒径を測定する方法等が挙げられる。
シランカップリング剤としては、例えば、ヘキサメチルジシラザン等のジシラザン;環状シラザン;トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、及びビニルトリアセトキシシラン等のアルキルシラン化合物、並びにγ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、アミノシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、及びN−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン化合物;等が挙げられる。
シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、及びアミノ変性シリコーンオイル等が挙げられる。
疎水化処理剤は、上記のうち、1種のみを用いてもよく、又は2種以上用いてもよい。
正帯電性の現像剤を得る場合、良好な正帯電性を持つ現像剤が得られ易いことから、アミノシラン化合物やアミノ変性シリコーンオイル等のアミノ基を含有するケイ素化合物を用いることがさらに好ましい。
シリカ微粒子Aの含有量が0.1質量部未満の場合、外添剤としての機能を十分に発揮させることができず、流動性が低下したり、保存性や耐久性が低下したりする場合がある。一方、シリカ微粒子Aの含有量が1.2質量部を超える場合、トナー粒子の表面から、当該シリカ微粒子Aが遊離し易くなり、高温高湿環境下での帯電性が低下してカブリが発生する場合がある。
なお、他の外添剤の種類や含有量、またその他の外添条件等にもよるが、シリカ微粒子Aの含有量が多いほど、得られるトナーの静止摩擦係数及び動摩擦係数が低くなる傾向にある。
シリカ微粒子Bの個数平均一次粒径が36nm未満である場合には、スペーサー効果が低下し、カブリの発生など印字性能に悪影響を及ぼす。一方、シリカ微粒子Bの個数平均一次粒径が200nmを超える場合には、トナー粒子の表面から、当該シリカ微粒子Bが遊離し易くなり、外添剤としての機能が低下し、印字性能に悪影響を及ぼす。
シリカ微粒子Bの個数平均一次粒径は、40〜150nmであることがより好ましく、45〜100nmであることがさらに好ましい。
シリカ微粒子Bの含有量が0.3質量部未満の場合には、外添剤としての機能を十分に発揮させることができず、印字性能に悪影響を及ぼす場合がある。一方、シリカ微粒子Bの含有量が2.0質量部を超える場合には、トナー粒子の表面から、当該シリカ微粒子Bが遊離し易くなり、外添剤としての機能が低下し、印字性能に悪影響を及ぼす場合がある。
なお、他の外添剤の種類や含有量、またその他の外添条件等にもよるが、シリカ微粒子Bの含有量が多いほど、得られるトナーの静止摩擦係数及び動摩擦係数が低くなる傾向にある。また、シリカ微粒子Bは疎水化処理されていることが好ましい。疎水化処理剤はシリカ微粒子Aに用いたものと同様のものを用いることができる。
脂肪酸金属塩微粒子の個数平均一次粒径は、0.1〜3μmであることが好ましく、0.3〜2μmであることがより好ましい。
脂肪酸金属塩微粒子のその他の詳細は、上述した「(A−1)重合性単量体組成物の調製工程」の項に記載された離型剤として使用される脂肪酸金属塩と同様である。
アルミナ微粒子の個数平均一次粒径は、30〜200nmであることがより好ましく、50〜90nmであることがさらに好ましい。また、アルミナ微粒子は疎水化処理されていてもよい。
アルミナ微粒子の含有量が0.1質量部未満の場合、低温低湿(L/L)環境下における帯電量の上昇が著しくなり、印字カブリが発生する場合がある。一方、アルミナ微粒子の含有量が1.2質量部を超える場合、高温高湿(H/H)環境下における帯電量の低下が著しくなり、印字カブリが発生する場合がある。
なお、詳細な機構は明らかではないが、着色樹脂粒子に対するアルミナ微粒子の含有量が上記範囲内である場合、トナーの帯電量を均一化する効果が発揮されると推察される。
また、他の外添剤の種類や含有量、またその他の外添条件等にもよるが、アルミナ微粒子の含有量が多いほど、得られるトナーの静止摩擦係数及び動摩擦係数が低くなる傾向にある。
本発明のトナーは、特定の摩擦試験法により測定される静止摩擦係数及び動摩擦係数により規定されるトナーである。
本発明における特定の摩擦試験法とは、本発明に係るトナー4gを9MPaで1分間加圧して得られる直径55mmの円盤状のペレットを、接触子として直径3mmのステンレス球を用いて測定する方法である。測定は、温度が15〜30℃のいわゆる室温条件下、湿度が0〜30%RHの測定環境下で行われることが好ましい。また、測定速度は0.1〜2mm/秒、測定距離は1〜20mmとすることが好ましい。本発明では、温度23℃、湿度20%RHの環境下で、測定速度0.5mm/秒、測定距離5mmの条件で行う。 本発明のトナーについて上記特定の摩擦試験法を行う場合には、例えば、自動摩擦磨耗解析装置(協和界面科学社製、製品名:TS501)等を使用することができる。
トナーの静止摩擦係数が0.220未満の場合には、フィルミングが生じやすく、また、帯電不良を原因とするカブリが生じやすくなる。一方、トナーの静止摩擦係数が0.320を超える場合には、摩擦係数が高すぎるため、使用する現像器内の部材(ロール、ブレード、シール、OPC等)の摩耗が早まる結果、トナーの印字耐久性が低下する。
トナーの静止摩擦係数は、0.240〜0.310であることが好ましく、0.260〜0.310であることがより好ましい。
トナーの動摩擦係数は、0.200〜0.250であることが好ましく、0.210〜0.240であることがより好ましい。
静止摩擦係数から動摩擦係数を引いた差が0.010未満である場合には、トナーのカブリが生じやすくなり、ベタ先端均一性が悪化する。なお、静止摩擦係数が動摩擦係数にほぼ等しくなることはほとんど無い。静止摩擦係数から動摩擦係数を引いた差が0.090を超える場合には、ベタ先端均一性が悪化する。
静止摩擦係数から動摩擦係数を引いた差は、0.020〜0.075であることが好ましく、0.040〜0.065であることがより好ましい。
本実施例及び比較例において行った試験方法は以下のとおりである。
[実施例1]
モノビニル単量体としてスチレン77部及びn−ブチルアクリレート23部、着色剤としてカーボンブラック7部、架橋性単量体としてジビニルベンゼン0.7部、ポリメタクリル酸エステルマクロモノマー(東亜合成化学工業社製、商品名:AA6、Tg:94℃)0.3部、正帯電性制御樹脂(藤倉化成社製、商品名:FCA207P)1部、離型剤としてヘキサグリセリンオクタベヘネート4部(融点70℃)、パラフィンワックス(日本精鑞社製、融点66℃)1部及び個数平均一次粒径0.5μmのステアリン酸亜鉛微粒子0.2部、及び分子量調整剤としてテトラメチルチウラムジスルフィド1.2部を室温下、ビーズミルで分散させ、均一混合液を得た。この混合液を攪拌しながら、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルブタノエート5.2部を添加し、均一になるまで攪拌を継続し、重合性単量体組成物を得た。
実施例1において、着色剤、離型剤及び外添剤の添加量を表1に示す通りに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜6、比較例1〜5の静電荷像現像用トナーを作製した。得られた各静電荷像現像用トナーの特性を表1に示す。
上記実施例1〜実施例6及び比較例1〜比較例5のトナー、並びにトナーに使用した着色樹脂粒子について、特性を調べた。詳細は以下の通りである。
(1)着色樹脂粒子の粒径特性
着色樹脂粒子の体積平均粒径Dv、個数平均粒径Dn、及び粒径分布Dv/Dnは粒径測定機(ベックマン・コールター社製、商品名:マルチサイザー)により測定した。このマルチサイザーによる測定は、アパーチャー径:100μm、分散媒体:アイソトンII(:商品名)、濃度10%、測定粒子個数:100,000個の条件で行った。
具体的には、着色樹脂粒子サンプル0.2gをビーカーに取り、その中に分散剤としてアルキルベンゼンスルホン酸水溶液(富士フイルム社製、商品名:ドライウエル)を加えた。そこへ、更に分散媒体を2mL加え、着色樹脂粒子を湿潤させた後、分散媒体を10mL加え、超音波分散器で1分間分散させてから上記の粒径測定器による測定を行った。
トナーサンプル4gを成型機に入れ、圧力9MPaで1分間加圧して直径55mmの円盤状のペレットを作製した。得られたペレットを、温度23℃、湿度20%RHの環境下で、自動摩擦磨耗解析装置(協和界面科学社製、製品名:TS501)を用いて、以下の条件で5回測定し、その平均値を算出して、静止摩擦係数及び動摩擦係数を求めた。
(測定条件)
接触子:点接触子(直径3mmのSUS球)を使用した。測定の前に、イソプロパノールにより超音波洗浄後、90℃の温度条件下にて5分間乾燥させた。
測定速度:0.5mm/秒
測定距離:5mm
使用治具:円盤型試料固定治具
上記実施例1〜実施例6、及び比較例1〜比較例5のトナーについて、印字評価を行った。詳細は以下の通りである。
(1)高温高湿(H/H)環境下における初期カブリ試験
市販の非磁性一成分プリンター(印刷速度:20枚/分)と評価対象のトナーを、温度35℃、湿度80%の高温高湿(H/H)環境下に一昼夜放置した後、カブリを測定した。
印字に使用していない紙の色相を分光光度計で測定して基準値とし、次いで、測定対象トナーを用いて前述のプリンターで白ベタを印字し、その白ベタの任意の5箇所の色相を測定した後、基準値との差(ΔE)が最も大きい値をカブリ値とした。カブリ値が小さい方が、カブリが少なく良好である。
「(1)高温高湿(H/H)環境下における初期カブリ試験」に使用されたものと同様のプリンターにトナーを入れ、温度23℃、湿度50%の常温常湿(N/N)環境下で一昼夜放置した後、4%印字濃度で一枚毎に印字と停止を繰り返す印字(印字時間3秒/枚、印字と印字の間隔9秒)を行い、500枚ごとに、印字濃度とカブリを測定した。印字濃度は、ベタ印字した用紙をマクベス式反射型画像濃度測定機で測定した。カブリは上記の方法で測定した。
このように、上記のベタ印字を行った際の印字濃度が1.3以上で、かつ白ベタ印字を行った際のカブリ値が1以下である画質を維持できる連続印字枚数を15,000枚まで試験した。間欠耐久性試験結果に、「>15000」とあるのは、15,000枚連続で印字しても、上記基準を満たしていることを示す。
上記の間欠耐久性の試験において、3,000枚印刷後、ベタ印字を行い、上記のマクベス式反射型画像濃度測定機を使用して、ベタ画像の先端から10mmの部分の画像濃度と、中央部分の画像濃度を測定した。先端部と中央部の画像濃度の差によりベタ先端均一性の評価を行った。
以下、表1を参照しながら、トナー評価について検討する。
まず、比較例1のトナーについて検討する。表1より、比較例1のトナーは、静止摩擦係数が0.448、動摩擦係数が0.428、静止摩擦係数から動摩擦係数を引いた差が0.020である。
表1より、比較例1のトナーは、初期カブリが0.5であり、ベタ先端均一性の値が0.11である。したがって、比較例1のトナーについては、少なくとも初期カブリ及びベタ先端均一性に問題は見られない。
しかし、比較例1のトナーは、間欠耐久性試験の評価枚数が11,000枚と少ない。この評価枚数は、今回評価したトナー中、最も少ない。
以上より、静止摩擦係数が0.320を超え、動摩擦係数が0.270を超える比較例1のトナーは、間欠耐久性に劣ることが分かる。これは、トナーの静止摩擦係数及び動摩擦係数がいずれも高すぎることによって、トナーが流動及び静止を繰り返す環境下においては、トナー同士の摩擦又はトナーと部材(ロール等)との摩擦により耐久性が低下することによるものと考えられる。
表1より、比較例2のトナーは、初期カブリが0.6である。したがって、比較例2のトナーについては、少なくとも初期カブリに問題は見られない。
しかし、比較例2のトナーは、間欠耐久性試験の評価枚数が13,000枚と少なく、ベタ先端均一性の値が0.24と高い。特に、ベタ先端均一性の値は、今回評価したトナー中、最も高い。
以上より、静止摩擦係数が0.320を超える比較例2のトナーは、間欠耐久性に劣り、ベタ先端均一性に乏しいことが分かる。これは、トナーの静止摩擦係数が高すぎることによって、ベタ画像の先端から内部にかけてトナーが均一に分布する性質、いわゆるトナーの追従性が低下することによるものと考えられる。
表1より、比較例3のトナーは、初期カブリが0.6、間欠耐久性試験の評価枚数が15,000枚である。したがって、比較例3のトナーについては、少なくとも初期カブリ及び間欠耐久性に問題は見られない。
しかし、比較例3のトナーは、ベタ先端均一性の値が0.22と高い。
以上より、静止摩擦係数から動摩擦係数を引いた差が0.090を超える比較例3のトナーは、ベタ先端均一性に乏しいことが分かる。これは、トナーの静止摩擦係数と動摩擦係数との差が大きすぎることによって、ベタ画像の先端から内部にかけてトナーが均一に分布する性質、いわゆるトナーの追従性が低下することによるものと考えられる。
表1より、比較例4のトナーは、ベタ先端均一性の値が0.15である。したがって、比較例4のトナーについては、少なくともベタ先端均一性に問題は見られない。
しかし、比較例4のトナーは、初期カブリが1.7と高く、間欠耐久性試験の評価枚数が11,000枚と少ない。この初期カブリの値は、今回評価したトナー中、最も高い。また、この間欠耐久性試験の評価枚数は、今回評価したトナー中、最も少ない。
以上より、静止摩擦係数が0.220未満、動摩擦係数が0.190未満である比較例4のトナーは、初期カブリが生じやすく、間欠耐久性に劣ることが分かる。これは、トナーの静止摩擦係数及び動摩擦係数がいずれも低すぎることによって、カブリが発生しやすくなることによるものと考えられる。
表1より、比較例5のトナーは、初期カブリが1.0であり、ベタ先端均一性の値が0.12である。したがって、比較例5のトナーについては、少なくとも初期カブリ及びベタ先端均一性に問題は見られない。
しかし、比較例5のトナーは、間欠耐久性試験の評価枚数が12,000枚と少ない。
以上より、動摩擦係数が0.270を超える比較例5のトナーは、間欠耐久性に劣ることが分かる。これは、トナーの動摩擦係数が高すぎることによって、トナーが流動及び静止を繰り返す環境下においては、トナー同士の摩擦又はトナーと部材(ロール等)との摩擦により耐久性が低下することによるものと考えられる。
表1より、実施例1〜実施例6のトナーは、初期カブリが1.0以下と低く、間欠耐久性試験の評価枚数が14,000枚以上と多く、ベタ先端均一性の値が0.15以下と低い。
したがって、上記特定の方法により測定した静止摩擦係数が0.220〜0.320であり、動摩擦係数が、0.190〜0.270であり、且つ静止摩擦係数から動摩擦係数を引いた差が0.010〜0.090である本発明のトナーは、間欠耐久性に優れ、ベタ先端均一性が良好であり、初期カブリが生じにくいことが分かる。
Claims (7)
- 結着樹脂、着色剤、及び離型剤を含む着色樹脂粒子、並びに外添剤からなる静電荷像現像用正帯電性トナーであって、
前記離型剤として、エステルワックスを含有し、
前記着色樹脂粒子は、さらに正帯電性の帯電制御剤を含み、
前記静電荷像現像用正帯電性トナー4gを9MPaで1分間加圧して得られる直径55mmの円盤状のペレットを、接触子として直径3mmのステンレス球を用いて測定した静止摩擦係数が0.220〜0.320であり、動摩擦係数が、0.190〜0.270であり、且つ静止摩擦係数から動摩擦係数を引いた差が0.040〜0.075であることを特徴とする静電荷像現像用正帯電性トナー。 - 前記外添剤として、個数平均一次粒径が7〜35nmのシリカ微粒子A、及び個数平均一次粒径が36〜200nmのシリカ微粒子Bを含有することを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用正帯電性トナー。
- 前記外添剤として、個数平均一次粒径が5〜400nmであるアルミナ微粒子を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の静電荷像現像用正帯電性トナー。
- 前記外添剤として、個数平均一次粒径が0.05〜5μmである脂肪酸金属塩微粒子を含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の静電荷像現像用正帯電性トナー。
- 前記離型剤として、脂肪酸金属塩を含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の静電荷像現像用正帯電性トナー。
- 前記離型剤として、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、パラフィンワックス、及びマイクロクリスタリンワックスからなる群より選ばれる少なくとも1つの炭化水素系ワックスを含有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の静電荷像現像用正帯電性トナー。
- 体積平均粒径が7.8〜8.8μmであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の静電荷像現像用正帯電性トナー。
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