JP2012212062A - トナーの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】
樹脂粒子の表面に、粉状着色剤を容易に且つ好適にしかも短時間で固定させることができ、さらに多枚数の連続印刷においても、着色剤の好適な固着状態を経時的に維持させることができるトナーの製造方法を提供すること。
【解決手段】
撹拌槽、回転駆動軸及び撹拌翼を有し、攪拌槽の底壁を貫通する回転駆動軸に固定した撹拌翼を該撹拌槽の底部に配置し、撹拌槽内部に複数枚のデフレクターが固定された金属環を撹拌槽上部から吊り下げて配置し、かつ、該撹拌槽内に少なくとも1つのガス導入口とガス排出口をそれぞれ配置した構造を有する回転翼式撹拌装置内に、樹脂粒子及び粉状着色剤を投入し、該撹拌槽内で樹脂粒子と粉状着色剤を該撹拌翼によって撹拌、混合することで該樹脂粒子に該粉状着色剤を固定化して、着色樹脂粒子を得ることを含むトナーの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、及び静電印刷法等において静電潜像を現像するために用いられるトナー(以下、単に「トナー」と称することがある。)の製造方法に関し、更に詳細には、着色剤の好適な固着状態を経時的に維持させることができるトナーの製造方法に関する。
電子写真装置、静電記録装置、及び静電印刷装置等の画像形成装置は、感光体上に形成される静電潜像を、トナーで現像することで所望の画像を形成する方法が広く実施され、複写機、プリンター、ファクシミリ、及びこれら複合機等に適用されている。
例えば、電子写真法を用いた電子写真装置では、一般には光導電性物質からなる感光体の表面を種々の手段で一様に帯電させた後、当該感光体上に静電潜像を形成し、次いで当該静電潜像を、トナーを用いて現像し、必要に応じて用紙等の記録材にトナー画像を転写した後、加熱等により定着し印刷物を得るものである。
上記画像形成装置において、現像に用いるトナーは、粉砕法等の乾式法、及び溶解懸濁法や重合法等の湿式法により製造されたものに大別され、重合法としては、懸濁重合法、乳化重合凝集法、分散重合法等が挙げられる。
粉砕法は、結着樹脂と着色剤を溶融混練するか、重合性単量体と着色剤を含有する混合物を重合させて得られる着色樹脂粒子の固形物を粉砕し、分級することによりトナーを製造する方法である。一方、湿式法は、着色樹脂粒子となる液滴を水系分散媒体中で形成する工程を含むトナーの製造方法である。
粉砕法で得られる着色樹脂粒子が不定形であるのに対して、湿式法で得られる着色樹脂粒子は、形状が球形に近く小粒径でシャープな粒径分布をもつ。特に、画像再現性や精細性等の画質を向上させる観点から、重合法により得られるトナー(重合トナー)のように、形状や粒径分布が高度に制御されたトナーが用いられるようになってきた。
近年、電子写真法を用いた複写機、プリンター等の画像形成装置は、急速にカラー化が進んでいる。カラー印刷では、写真等の高精細な画像の印刷も行なうことから、特に、高解像度で色再現性のよい印刷が求められており、その要求に対応できる高品質のカラートナーが必要とされている。
上記のような要求に対して、球形のカラートナーを用いると、転写性、現像性が向上し、高解像度に適していることが知られている。そこで、画像再現性や精細性等の画質を向上させる観点から、重合法により得られるトナー(重合法トナー)のように、形状や粒径分布が高度に制御されたトナーが主流になってきつつある。
しかしながら、電子写真装置に搭載されるカラートナーは、通常、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの4色のトナーで構成されている。これらのカラートナーを懸濁重合法で製造するには、各色ごとに、製造ラインが必要となり、その結果、設置場所が増大し、プラントも複雑化するという問題がある。
そのため、着色剤を含有しない樹脂粒子を、重合法などにより作製して、その後、着色を行なうことが検討されている。
特許文献1には、懸濁重合法により作製された樹脂粒子を水性媒体中に分散させ、その水性媒体中に別途準備した染料を分散させた水性媒体中を添加して、軟化点よりも40℃高い温度以下まで加温して、樹脂粒子を染色し、脱水し乾燥するトナーの製造方法が開示れている。
しかし、この製造方法により得られるトナーは、プリンター等の画像形成装置で長期間使用する際に、接触する部材等に染料の一部が移行し汚染することにより、帯電特性の低下が発生するおそれがあった。
特許文献2には、界面活性剤の存在下に、懸濁重合法により作製した樹脂粒子、酸性のpHを有するカーボンブラック及びシリカ微粉末を水性媒体中に分散させ、次いで、この水性媒体に酸を添加して水性媒体を酸性にした後、撹拌下で水性媒体を樹脂粒子のガラス転移温度よりも高い温度に加温して、カーボンブラックとシリカ微粉末を付着固定させた後、脱水し、乾燥するトナーの製造方法が開示されている。
特許文献3には、懸濁重合法により作製した樹脂粒子に、顔料を含む微粒子を添加、混合して、微粒子が付着した樹脂粒子を作製し、その後得られた樹脂粒子を水系媒体中に分散させて、水系媒体の温度を樹脂粒子のガラス転移温度より高い温度からガラス転移温度+50℃以下の温度に制御して、樹脂粒子の表面に微粒子を固着させたトナー及びトナーの製造方法が開示されている。
しかしながら、これらの製造方法では、水系媒体にて付着または固着せずに遊離した顔料の存在により、その後の脱水の工程にて、濾過材への目詰まりなどによる脱水不良が起こりやすい。
特開昭63−106667号公報 特開平3−7953号公報 特開2000−330334号公報
本発明の目的は、カラートナーの製造ラインが簡略化でき、且つ、得られるトナーも、印字濃度が高く、カブリの発生がなく、初期の噴出し性に優れており、多枚数の連続印刷を行なっても、カブリの発生や画像濃度の低下が起こり難く印字耐久性に優れるトナーの製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討したところ、撹拌翼を有する撹拌装置で、樹脂粒子と粉状着色剤とを撹拌、混合する外添処理工程において、該撹拌装置内に複数枚のデフレクターが固定された金属環が配置されている装置を使用することにより、樹脂粒子の表面に、粉状着色剤を容易に且つ好適にしかも短時間で固着させることができ、さらに多枚数の連続印刷においても、粉状着色剤の好適な固着状態を経時的に維持させることができることを見出し、これらの知見に基づいて本発明を完成するに到った。
即ち、本発明のトナーの製造方法は、撹拌槽、回転駆動軸及び撹拌翼を有し、攪拌槽の底壁を貫通する回転駆動軸に固定した撹拌翼を該撹拌槽の底部に配置し、撹拌槽内部に複数枚のデフレクターが固定された金属環を撹拌槽上部から吊り下げて配置し、かつ、該撹拌槽内に少なくとも1つのガス導入口とガス排出口をそれぞれ配置した構造を有する回転翼式撹拌装置内に、樹脂粒子及び粉状着色剤を投入し、該撹拌槽内で該樹脂粒子と該粉状着色剤とを該撹拌翼によって撹拌、混合することで該樹脂粒子に該粉状着色剤を固定化して、着色樹脂粒子を得ることを含むトナーの製造方法である。
また、本発明の別のトナーの製造方法は、撹拌槽、回転駆動軸及び撹拌翼を有し、攪拌槽の底壁を貫通する回転駆動軸に固定した撹拌翼を該撹拌槽の底部に配置し、撹拌槽内部に複数枚のデフレクターが固定された金属環を撹拌槽上部から吊り下げて配置し、かつ、該撹拌槽内に少なくとも1つのガス導入口とガス排出口をそれぞれ配置した構造を有する回転翼式撹拌装置内に、樹脂粒子及び粉状着色剤を投入し、該撹拌槽内で該樹脂粒子と該粉状着色剤とを該撹拌翼によって撹拌、混合することで該樹脂粒子に該粉状着色剤を固定化して、着色樹脂粒子を得、次いで、該撹拌装置内へ外添剤を投入して、該撹拌槽内で該着色樹脂粒子と該外添剤とを該撹拌翼によって撹拌、混合するトナーの製造方法である。
上記の如き本発明のトナーの製造方法によれば、高速回転する攪拌羽根によって運動エネルギーが付加され解砕分散作用を受け、高速で流動してほぼ処理室の内壁を層状に移動し、デフレクターに衝突して衝撃力が発生し、この部分でも解砕分散作用を受けることになる。従って、攪拌翼とデフレクターとの協働により、樹脂粒子と粉状着色剤に対して強力な分散力を与え、さらに樹脂粒子への粉状着色剤の固定化処理が行なわれ、樹脂粒子の表面に、粉状着色剤を容易に且つ好適に短時間で固着させることができ、更に、回転翼式撹拌装置を用いることで、さらに粉状着色剤の好適な固着状態を経時的に維持させることができるため、印字濃度が高く、カブリの発生がなく、初期の噴出し性に優れており、多枚数の連続印刷を行なっても、カブリの発生や画像濃度の低下が起こり難く印字耐久性に優れるトナーの製造方法が提供される。
また、着色剤を含有しない樹脂粒子と粉状着色剤とを混合することにより着色樹脂粒子を得ることができるので、樹脂粒子までをひとつの製造ラインで製造することができるので、カラートナーの製造ラインを簡略化することが可能となる。
本発明のトナーの製造方法は、撹拌槽、回転駆動軸及び撹拌翼を有し、攪拌槽の底壁を貫通する回転駆動軸に固定した撹拌翼を該撹拌槽の底部に配置し、撹拌槽内部に複数枚のデフレクターが固定された金属環を撹拌槽上部から吊り下げて配置し、かつ、該撹拌槽内に少なくとも1つのガス導入口とガス排出口をそれぞれ配置した構造を有する回転翼式撹拌装置内に、樹脂粒子及び粉状着色剤を投入し、該撹拌槽内で樹脂粒子と粉状着色剤とを該撹拌翼によって撹拌、混合することで該樹脂粒子に該粉状着色剤を固定化して、着色樹脂粒子を得ることを特徴とするものである。
以下、本発明のトナーの製造方法について説明する。
本発明の製造方法で得られるトナーは、着色剤及び結着樹脂を含んでなる着色樹脂粒子、並びに外添剤を含有しており、上記着色樹脂粒子は、必要に応じて帯電制御剤、離型剤等のその他の添加物を含有していてもよい。
本発明において、着色樹脂粒子は、樹脂粒子と粉状着色剤とを回転翼式撹拌装置内で高速で撹拌、混合することで該樹脂粒子に該粉状着色剤を固定化することにより得ることができる。
樹脂粒子を構成する結着樹脂の具体例としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等の従来からトナーに広く用いられている樹脂を挙げることができる。
本発明において、樹脂粒子の製造方法は特に限定されず、(A)重合法や(B)粉砕法等の従来から用いられているトナーの製造方法において、通常含有される着色剤を含まないことにより製造することができる。本発明のトナーの製造方法においては、重合法で得られる樹脂粒子がミクロンオーダーで比較的小さい粒径分布を持つことから好ましい。上記重合法としては、乳化重合凝集法、分散重合法、懸濁重合法などが挙げられ、懸濁重合法が好ましい。
好ましい懸濁重合法を採用して樹脂粒子を製造する場合、以下のようなプロセスにより行なわれる。
(1)樹脂粒子
(A)懸濁重合法
(A−1)重合性単量体組成物の調製工程
先ず、重合性単量体、さらに必要に応じて帯電制御剤、離型剤等のその他の添加物を混合し、着色剤を含まない重合性単量体組成物の調製を行なう。重合性単量体組成物を調製する際の混合には、必要に応じて混合されるその他の添加剤が溶解させることができれば特に限定はなく、通常の撹拌装置を用いて行なうことができる。
本発明において重合性単量体とは、重合可能な化合物をいう。この重合性単量体が重合されて結着樹脂となる。重合性単量体の主成分として、モノビニル単量体を使用することが好ましい。モノビニル単量体としては、例えば、スチレン;ビニルトルエン、及びα−メチルスチレン等のスチレン誘導体;アクリル酸、及びメタクリル酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、及びアクリル酸ジメチルアミノエチル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、及びメタクリル酸ジメチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド化合物;エチレン、プロピレン、及びブチレン等のオレフィン;等が挙げられる。これらのモノビニル単量体は、単独で用いてもよいし、複数組み合わせて用いてもよい。これらのうち、モノビニル単量体として、スチレン、スチレン誘導体、及びアクリル酸もしくはメタクリル酸の誘導体が、好適に用いられる。
重合性単量体の一部として、ホットオフセット改善のために、上記モノビニル単量体と共に、任意の架橋性の重合性単量体を用いることが好ましい。架橋性の重合性単量体とは、2つ以上の重合可能な官能基を持つモノマーのことをいう。架橋性の重合性単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、及びこれらの誘導体等の、芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジメタクリレート、及びジエチレングリコールジメタクリレート等の、ポリアルコールの不飽和カルボン酸ポリエステル;N,N−ジビニルアニリン、及びジビニルエーテル等の、その他のジビニル化合物;トリメチロールプロパントリメタクリレート、及びジメチロールプロパンテトラアクリレート等の3個以上のビニル基を有する化合物;等を挙げることができる。これらの架橋性の重合性単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明では、架橋性の重合性単量体を、モノビニル単量体100質量部に対して、通常0.1〜5質量部、好ましくは0.3〜2質量部の割合で用いることが望ましい。
また、重合性単量体の一部として、マクロモノマーを用いると、トナーの保存性と低温定着性とのバランスが良好になるため、上記モノビニル単量体と共に、任意のマクロモノマーを用いることが好ましい。マクロモノマーとは、分子鎖の末端に重合可能な炭素−炭素不飽和結合を有するもので、数平均分子量が、通常1,000〜30,000の反応性の、オリゴマーまたはポリマーのことをいう。マクロモノマーは、モノビニル単量体を重合して得られる重合体のTg(ガラス転移温度)よりも、高いTgを有する重合体を与えるものが好ましい。
本発明では、マクロモノマーを、モノビニル単量体100質量部に対して、通常0.01〜10質量部、好ましくは0.03〜5質量部、さらに好ましくは0.05〜1質量部の割合で用いることが望ましい。
その他の添加物として、帯電制御剤を用いることが好ましい。帯電制御剤としては、各種の正帯電性または負帯電性の帯電制御剤を用いることができる。例えば、カルボキシル基または含窒素基を有する有機化合物の金属錯体、含金属染料、及びニグロシン等の樹脂でない帯電制御剤;4級アンモニウム塩基含有共重合体、スルホン酸基又はスルホン酸塩構造含有共重合体、及びカルボキシル基又はカルボン酸塩構造含有共重合体等の帯電制御樹脂;等を用いることができる。中でも、トナーの印字耐久性が良好になることから、帯電制御剤は、帯電制御樹脂を含むことが好ましい。帯電制御剤のうち、樹脂でない帯電制御剤と、帯電制御樹脂を併用しても良いし、帯電制御樹脂を単独で用いても良い。帯電制御樹脂を単独で用いることがより好ましい。帯電制御樹脂として、4級アンモニウム塩基含有共重合体を用いることが、さらに好ましい。
本発明では、帯電制御剤を、モノビニル単量体100質量部に対して、通常0.01〜10質量部、好ましくは0.03〜8質量部の割合で用いることが望ましい。
その他の添加物として、定着時におけるトナーの定着ロールからの離型性を改善できるので、離型剤を添加することが好ましい。離型剤としては、一般にトナーの離型剤として用いられるものであれば、特に制限無く用いることができる。低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、及び低分子量ポリブチレン等のポリオレフィンワックス;キャンデリラ、カルナウバ、ライス、木ロウ、及びホホバ等の天然ワックス;パラフィン、マイクロクリスタリン、及びペトロラクタム等の石油ワックス;モンタン、セレシン、及びオゾケライト等の鉱物ワックス;フィッシャートロプシュワックス等の合成ワックス;ペンタエリスリトールテトラミリステート、ペンタエリスリトールテトラパルミテート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、及びペンタエリスリトールテトララウレート等のペンタエリスリトールエステルやジペンタエリスリトールヘキサミリステート、ジペンタエリスリトールヘキサパルミテート、及びジペンタエリスリトールヘキサラウレート等のジペンタエリスリトールエステル等の多価アルコールエステル化合物;等が挙げられる。中でもトナーの低温定着性を向上させ、印字耐久性を悪化させないことから、多価アルコールエステル化合物が好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明では、離型剤を、モノビニル単量体100質量部に対して、通常0.1〜30質量部、好ましくは1〜20質量部の割合で用いることが望ましい。
その他の添加物として、分子量調整剤を用いることが好ましい。分子量調整剤としては、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、及び2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオール等のメルカプタン類;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、N、N'−ジメチル−N、N'−ジフェニルチウラムジスルフィド、N、N'−ジオクタデシル−N、N'−ジイソプロピルチウラムジスルフィド等のチウラムジスルフィド類;等が挙げられる。分子量調整剤は、重合開始前または重合途中に添加することができる。
本発明では、分子量調整剤を、モノビニル単量体100質量部に対して、通常0.01〜10質量部、好ましくは0.1〜5質量部の割合で用いることが望ましい。
(A−2)懸濁液を得る懸濁工程(液滴形成工程)
上記(A−1)重合性単量体組成物の調製工程により得られた重合性単量体組成物を、水系分散媒体中に懸濁させて懸濁液(重合性単量体組成物分散液)を得る。ここで、懸濁とは、水系分散媒体中で重合性単量体組成物の液滴を形成させることを意味する。液滴形成のための分散処理は、例えば、インライン型乳化分散機(荏原製作所社製、商品名:エバラマイルダー)、高速乳化・分散機(特殊機化工業社製、商品名:T.K.ホモミクサー MARK II型)等の強攪拌が可能な装置を用いて行なうことができる。
本発明において、水系分散媒体は、水単独でもよいが、低級アルコール、及び低級ケトン等の水に溶解可能な溶剤を併用することもできる。
本発明において、水系分散媒体には、分散安定化剤を含有させることが好ましい。分散安定化剤としては、例えば、硫酸バリウム、及び硫酸カルシウム等の硫酸塩;炭酸バリウム、炭酸カルシウム、及び炭酸マグネシウム等の炭酸塩;リン酸カルシウム等のリン酸塩;酸化アルミニウム、及び酸化チタン等の金属酸化物;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、及び水酸化第二鉄等の金属水酸化物;等の金属化合物や、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、及びゼラチン等の水溶性高分子;アニオン性界面活性剤;ノニオン性界面活性剤;両性界面活性剤;等の有機化合物が挙げられる。
上記分散安定化剤の中でも、金属化合物、特に難水溶性の金属水酸化物のコロイドを含有する分散安定化剤は、着色樹脂粒子の粒径分布を狭くすることができ、洗浄後の分散安定化剤残存量が少ないので、得られる重合トナーは、画像を鮮明に再現することができ、特に、高温高湿下の画像品質を悪化させないので好ましい。
上記分散安定化剤は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。分散安定化剤の添加量は、重合性単量体100質量部に対して0.1〜20質量部であることが好ましく、さらに0.2〜10質量部であることがより好ましい。また、分散安定化剤の添加量は、水系分散媒体100質量部に対して0.1〜10質量部であることが好ましく、さらに0.2〜5質量部であることがより好ましい。
重合開始剤としては、過硫酸カリウム、及び過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;4,4’−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;ジ−t−ブチルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、及びt−ブチルパーオキシイソブチレート等の有機過酸化物が挙げられる。これらの中で、残留重合性単量体を少なくすることができ、印字耐久性も優れることから、有機過酸化物を用いるのが好ましい。
重合開始剤は、前記のように、重合性単量体組成物が水系分散媒体中へ分散された後、液滴形成前に、添加されても良いが、重合性単量体組成物へ添加されても良い。
重合性単量体組成物の重合に用いられる、重合開始剤の添加量は、モノビニル単量体100質量部に対して、好ましくは0.1〜20質量部であり、さらに好ましくは0.3〜15質量部であり、最も好ましくは1.0〜10質量部である。
(A−3)重合工程
上記(A−2)懸濁液を得る工程(液滴形成工程)により得られた、所望の懸濁液(重合性単量体組成物の液滴を含有する水系分散媒体)を、加熱し、重合を開始し、樹脂粒子の水分散液が得られる。
本発明における重合温度は、50℃以上であることが好ましく、60〜95℃であることがより好ましい。また、本発明における重合時間は、1〜20時間であることが好ましく、2〜15時間であることがより好ましい。
なお、重合性単量体組成物の液滴を安定に分散させた状態で重合を行うために、本重合工程においても上記(A−2)懸濁液を得る工程(液滴形成工程)に引き続き、攪拌による分散処理を行ないながら重合反応を進行させてもよい。
本発明において、重合工程により得られる樹脂粒子をコア層とし、その外側にコア層と異なるシェル層を作ることで得られる、所謂コアシェル型(または、「カプセル型」ともいう。)の樹脂粒子とすることが好ましい。
コアシェル型の樹脂粒子は、低軟化点の物質よりなるコア層を、それより高い軟化点を有する物質で被覆することにより、トナーの定着温度の低温化と保存時の凝集防止とのバランスを取ることができる。
上記コアシェル型の樹脂粒子を製造する方法としては、特に制限はなく従来公知の方法によって製造することができる。in situ重合法や相分離法が、製造効率の観点から好ましい。
in situ重合法によるコアシェル型の樹脂粒子の製造法を以下に説明する。
樹脂粒子が分散している水系分散媒体中に、シェル層を形成するための重合性単量体(シェル用重合性単量体)とシェル用重合開始剤を添加し、重合を行なうことでコアシェル型の樹脂粒子を得ることができる。
シェル用重合性単量体としては、前述の重合性単量体と同様のものを用いることができる。その中でも、スチレン、メチルメタクリレート等のTgが80℃を超える重合体が得られる単量体を、単独であるいは2種以上組み合わせて使用することが好ましい。
シェル用重合性単量体の重合に用いるシェル用重合開始剤としては、過硫酸カリウム、及び過硫酸アンモニウム等の過硫酸金属塩;2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)、及び2,2’−アゾビス−(2−メチル−N−(1,1−ビス(ヒドロキシメチル)2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)等の水溶性のアゾ化合物;等の重合開始剤を挙げることができる。
本発明において用いるシェル用重合開始剤の添加量は、シェル用重合性単量体100質量部に対して0.1〜30質量部であることが好ましく、より好適には1〜20質量部であることが好ましい。
シェル層の重合温度は、50℃以上であることが好ましく、より好適には60〜95℃である。また、シェル層の重合時間は、1〜20時間であることが好ましく、より好適には2〜15時間である。
(A−4)洗浄、濾過、脱水、及び乾燥工程
上記(A−3)重合工程後に得られる樹脂粒子の水分散液は、常法に従い、洗浄、濾過、脱水、及び乾燥の一連の操作を、必要に応じて数回繰り返し行なわれることが好ましい。
先ず、樹脂粒子の水分散液中に残存する分散安定化剤を除去するために、樹脂粒子の水分散液に、酸又はアルカリを添加し洗浄を行なう。
使用した分散安定化剤が、酸に可溶な無機化合物である場合、樹脂粒子水分散液へ酸を添加し、一方、使用した分散安定化剤が、アルカリに可溶な無機化合物である場合、樹脂粒子水分散液へアルカリを添加する。
分散安定化剤として、酸に可溶な無機化合物を使用した場合、樹脂粒子水分散液へ酸を添加し、pHを6.5以下に調整することが好ましい。より好適にはpH6以下に調整することが好ましい。添加する酸としては、硫酸、塩酸、硝酸等の無機酸、及び蟻酸、酢酸等の有機酸を用いることができるが、分散安定化剤の除去効率が大きいことや製造設備への負担が小さいことから、特に硫酸が好適である。
(B)粉砕法
粉砕法を採用して樹脂粒子を製造する場合、以下のようなプロセスにより行なわれる。
先ず、結着樹脂、必要に応じて帯電制御剤やその他の添加物を混合機、例えば、ボールミル、V型混合機、ヘンシェルミキサー(:商品名)、高速ディゾルバ、インターナルミキサー、フォールバーグ等を用いて混合する。次に、上記により得られた混合物を、加圧ニーダー、二軸押出混練機、ローラ等を用いて加熱しながら混練する。得られた混練物を、ハンマーミル、カッターミル、ローラミル等の粉砕機を用いて、粗粉砕する。更に、ジェットミル、高速回転式粉砕機等の粉砕機を用いて微粉砕した後、風力分級機、気流式分級機等の分級機により、所望の粒径に分級して粉砕法による樹脂粒子を得る。
なお、粉砕法で用いる結着樹脂、及び帯電制御剤やその他の添加物は、前述の(A)重合法で挙げたものを用いることができる。また、粉砕法により得られる樹脂粒子は、前述の(A)重合法により得られる樹脂粒子と同じく、in situ重合法等の方法によりコアシェル型の樹脂粒子とすることもできる。
本発明で用いる樹脂粒子の体積平均粒径Dvは、画像再現性の観点から、3〜15μmであることが好ましく、4〜12μmであることがより好ましい。
樹脂粒子の体積平均粒径Dvが、上記範囲未満である場合には、トナーの流動性が低下し、カブリ等による画質の劣化が起り易くなる場合がある。一方、樹脂粒子の体積平均粒径Dvが、上記範囲を超える場合には、得られる画像の解像度が低下する場合がある。
また、樹脂粒子の体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dp)との比である粒径分布(Dv/Dp)は、画像再現性の観点から、1.0〜1.3であることが好ましく、1.0〜1.2であることがより好ましい。
樹脂粒子の粒径分布(Dv/Dp)が、上記範囲を超える場合には、トナーの流動性が低下し、カブリ等による画質の劣化が起り易くなる場合がある。
上記樹脂粒子の体積平均粒径Dv、及び個数平均粒径Dpは、例えば、粒径測定機(ベックマン・コールター社製、商品名:マルチサイザー)等を用いて測定することができる。
樹脂粒子の平均円形度は、画像再現性の観点から、0.960〜0.995であることが好ましく、0.970〜0.995であることがより好ましい。
本発明において、円形度は、粒子像と同じ投影面積を有する円の周囲長を、粒子の投影像の周囲長で除した値として定義される。また、本発明における平均円形度は、粒子の形状を定量的に表現する簡便な方法として用いたものであり、樹脂粒子の凹凸の度合いを示す指標であり、平均円形度は樹脂粒子が完全な球形の場合に1を示し、樹脂粒子の表面形状が複雑になるほど小さな値となる。平均円形度は、0.6μm以上の円相当径の粒子群について測定された各粒子の円形度(Ci)をn個の粒子について下記計算式1よりそれぞれ求め、次いで、下記計算式2より平均円形度(Ca)を求める。
計算式1:
円形度(Ci)=粒子の投影面積に等しい円の周囲長/粒子投影像の周囲長
Figure 2012212062
上記計算式2において、fiは、円形度(Ci)の粒子の頻度である。
上記円形度及び平均円形度は、シスメックス社製フロー式粒子像分析装置「FPIA−2000」、「FPIA−2100」、「FPIA−3000」等を用いて測定することができる。
樹脂粒子の平均円形度が上記範囲未満の場合、印字の細線再現性が悪くなる虞がある。樹脂粒子の平均円形度を上記範囲とすることが容易なことから、樹脂粒子は重合法で製造されたものであることが好ましい。
(2)着色樹脂粒子
本発明のトナーの製造方法は、前述の(A)重合法又は(B)粉砕法により樹脂粒子と粉体状の着色剤(以下、「粉状着色剤」とも言う。)とを、撹拌槽、回転駆動軸及び撹拌翼を有し、攪拌槽の底壁を貫通する回転駆動軸に固定した撹拌翼を該撹拌槽の底部に配置し、撹拌槽内部に複数枚のデフレクターが固定された金属環を撹拌槽上部から吊り下げて配置し、かつ、該撹拌槽内に少なくとも1つのガス導入口とガス排出口をそれぞれ配置した構造を有する回転翼式撹拌装置内に、投入し、該撹拌槽内で該樹脂粒子と該着色剤とを該撹拌翼によって撹拌、混合することで該樹脂粒子に該粉状着色剤を固定化(複合化)して、着色樹脂粒子を得る。
本発明では、粉体状の着色剤を用いるが、カラートナー(通常、ブラックトナー、シアントナー、イエロートナー、マゼンタトナーの4種類のトナーが用いられる。)を製造する場合、粉体状の、ブラック着色剤、シアン着色剤、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤をそれぞれ用いることができる。
粉体状の着色剤の個数平均一次粒径は、1〜500nmであることが好ましく、5〜200nmであることがより好ましく、10〜100nmであることが更に好ましい。
この個数平均一次粒径が1nmよりも小さいと、攪拌してもシェアがかからなくなり、複合化することができないことがあり、逆に500nmより大きいと大きすぎるため、複合化しても、トナーから脱落し、安定的に複合状態が維持できないことがある。
本発明において、ブラック着色剤としては、カーボンブラック、チタンブラック、並びに酸化鉄亜鉛、及び酸化鉄ニッケル等の磁性粉等の顔料を用いることができる。
シアン着色剤としては、例えば、銅フタロシアニン顔料、その誘導体、及びアントラキノン顔料等の化合物が用いられる。具体的には、C.I.Pigment Blue2、3、6、15、15:1、15:2、15:3、15:4、16、17:1、及び60等が挙げられる。
イエロー着色剤としては、例えば、モノアゾ顔料、及びジスアゾ顔料等のアゾ顔料、縮合多環顔料等の化合物が用いられる。具体的には、C.I.Pigment Yellow3、12、13、14、15、17、62、65、73、74、83、93、97、120、138、155、180、181、185、及び186等が挙げられる。
マゼンタ着色剤としては、例えば、モノアゾ顔料、及びジスアゾ顔料等のアゾ顔料、縮合多環顔料等の化合物が用いられる。具体的には、C.I.Pigment Red31、48、57:1、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、144、146、149、150、163、170、184、185、187、202、206、207、209、237、251、及びC.I.Pigment Violet19等が挙げられる。
本発明では、それぞれの粉状着色剤は、単独もしくは2種以上を組み合わせて用いても良く、樹脂粒子100質量部に対して、通常1〜10質量部、好ましくは4〜8質量部の割合で用いることが望ましい。
本発明で使用する回転翼式撹拌装置は、図1に示すように、撹拌槽内部に、撹拌槽1の蓋1から吊り下がっている支柱3に支持棒4を介して固定されている金属環5にデフレクター6が固定されており、撹拌槽の底部には、撹拌槽内を撹拌する撹拌翼7が配置されている。撹拌翼は、図1に矢印で示すように時計回りに回転する。
撹拌槽内を回転する撹拌翼の先端速度は、40〜120m/sであることが好ましく、50〜110m/sであるこおとがより好ましく、60〜100m/sであることが更に好ましい。この先端速度が40m/sより小さいと樹脂粒子に粉状着色剤を固定化し難くなることがあり、逆に120m/sより大きくなると発熱が起こり樹脂粒子及び/又は着色樹脂粒子同士の融着による凝集が発生し易くなり、噴出しが発生したり、印字耐久性が低下することがある。
本発明において、攪拌槽内部に配置される金属環5は、複数のデフレクター6を有しており、デフレクター6は図2に示すようにその金属環5に溶接等により固定されており、デフレクターが固定された金属環5は、複数の支持棒4で溶接等により固定されており、支持棒4は撹拌槽上部から吊り下って突出している支柱3に溶接等で固定されている。デフレクターの枚数は複数必要であり、3〜20枚であることが好ましく、6〜16枚であることがより好ましく、8〜12枚であることが更に好ましい。この枚数が1枚であると解砕分散力が小さくなり(シェアが掛からなくなり)、樹脂粒子に粉状着色剤を固定し難くなり、逆に20枚より多くなると混合槽内で樹脂粒子と粉状着色剤との混合が起こり難くなり、樹脂粒子に粉状着色剤が均一固定化できなくなる場合がある。
デフレクター6が固定された金属環5を、撹拌槽上部からに吊り下って突出している支柱3に固定する支持棒4は3〜12本であることが好ましく、3〜10本であることがより好ましく、4〜8本であることが更に好ましい。この本数が3本より少ないと高速での混合での耐久性に欠け、支持棒が折れる場合があり、逆に12本より多いと混合の妨げとなる場合がある。
デフレクターの金属環5への固定は、デフレクター板内を貫通させて溶接して固定することも可能であり(図示せず)、図2に示すようにデフレクター板の一端を溶接して固定することも可能であるが、撹拌槽内が高速流動することからデフレクター板の強度を考慮するとデフレクターの一端を溶接して固定することが好ましい。
金属環5に固定されるデフレクター6は、各デフレクターの面積の合計が撹拌槽底部の面積の0.05〜1倍であることが好ましく、0.15〜0.6倍であることがより好ましく、0.2〜0.4倍であることが更に好ましい。この面積が5%より小さいと解砕分散力が小さくなり(シェアが掛からなくなり)、樹脂粒子に粉状着色剤を固定し難くなる場合があり、逆に100%より大きいと混合槽内でが樹脂粒子と粉状着色剤との混合が起こり難くなり、樹脂粒子に粉状着色剤を均一に固定化できなくなる場合がある。
デフレクター6は、図3に示すように、撹拌翼の回転方向の水平面と、デフレクター面とのなす角度θが、10〜90°であることが好ましく、20〜80°であることがより好ましく、30〜60°であることが更に好ましく、40〜45°であると特に好ましい。この角度が10°より小さくても、90°より大きくても、樹脂粒子がデフレクターに衝突することに発生する解砕分散力が小さくなり(シェアが掛からなくなり)、樹脂粒子に粉状着色剤を固定化し難くなる場合がある。
本発明においては、撹拌翼7の最上部と前記デフレクター6の最下部とのクリアランスLと、撹拌槽の内寸高さHとの比(L/H)が、0.01〜0.2であることが好ましく、0.015〜0.1であることがより好ましく、0.02〜0.08であることが更に好ましい。この比が0.01よりも小さいと高速で撹拌する撹拌翼7とデフレクター6が装置等の振動で接触する場合があり装置設計上危険であり、逆に0.2より大きいと樹脂粒子がデフレクターに衝突することに発生する解砕分散力が小さくなり(シェアが掛からなくなり)、樹脂粒子に粉状着色剤を固定し難くなる場合がある。
本発明において、固定化処理を行なう撹拌装置の槽内温度は、樹脂粒子のガラス転移温度より低い温度に制御することが好ましい。具体的には、10〜45℃であることが好ましく、15〜40℃であることがより好ましく、20〜35℃であることがさらに好ましい。
上記固定化処理を行なう撹拌装置の槽内温度が、上記範囲にある場合には、樹脂粒子の表面に、粉状着色剤を容易に且つ好適に付着させることができ、樹脂粒子及び/又は着色樹脂粒子同士の融着による凝集物の発生割合が少なく、さらに粉状着色剤の好適な固着状態を経時的に維持させることができるため、多枚数の連続印刷を行なっても、カブリ、縦筋等による画質の劣化が起こり難く印字耐久性に優れるトナーが得られる。
また、固定化処理を行なう攪拌装置は、撹拌によるエネルギーの付与で槽内温度が上昇するので、槽内温度を制御するために、撹拌槽の外部に冷媒を通過させることができるジャケットが配置されていることが好ましい(図示せず)。冷媒としては水を使用することもできるが、槽内温度を容易に制御し易い点からチラー水を使用することが好ましい。
本発明で使用する攪拌装置は、高速で回転する攪拌翼が固定された回転駆動軸の軸部が流量0.1〜2m/hrの気体で封止されていることが好ましく、0.2〜1.5m/hrの気体で封止されていることがより好ましい。封止する軸部の気体の流量が小さいと、攪拌翼を装着してある軸の軸受け部に、樹脂粒子及び/又は着色樹脂粒子が侵入して、そこで樹脂粒子及び/又は着色樹脂粒子が練られることにより樹脂粒子及び/又は着色樹脂粒子の凝集物が発生し、白筋が発生し易くなることがある。
逆に流量が大きいと、樹脂粒子に封止気体が流入することで樹脂粒子の見掛け密度が低下する結果、攪拌翼に衝突する樹脂粒子と粉状着色剤の個数が減少し、粉状着色剤の凝集物が解砕されなくなり、白筋が発生し易くなったり、粉状着色剤が樹脂粒子にうまく固定化されなくなり、印字枚数が増加したときにカブリが発生し易くなったりする。また、封止する気体と一緒に樹脂粒子及び/又は着色樹脂粒子が混合機外に排出され、収率が低下することがある。
封止する気体は、特に限定はないが、通常、ヘリウムやアルゴン等の希ガス、窒素、乾燥空気等を使用することができるが、希ガスや窒素等の不活性ガスが好ましく、窒素が特に好ましい。
本発明において、撹拌槽内で樹脂粒子と着色剤とを撹拌翼によって撹拌、混合する時間は、1〜60分であることが好ましく、2〜30分であることがより好ましく、3〜15分であることが更に好ましい。この時間が1分未満であると、樹脂粒子に粉状着色剤を固定化し難くなることがあり、逆に60分を超えても固定化は完了している考えられるので生産性が悪くなる。
本発明において、固定化処理を行なう攪拌装置は、本発明で特定する複数枚のデフレクターを固定して金属環を撹拌槽上部から吊り下げて配置可能な攪拌装置であれば特に限定されないが、例えば、FMミキサー(:商品名、日本コークス社製)、COMPOSI(:商品名、日本コークス社製)、スーパーミキサー(:商品名、川田製作所社製)、メカノフュージョンシステム(:商品名、細川ミクロン社製)、メカノミル(:商品名、岡田精工社製)等の混合攪拌が可能な攪拌装置を用いて行なうことができる。中でも、撹拌翼の高速回転が可能なCOMPOSI(:商品名、日本コークス社製)が好ましい。
撹拌装置内に配置される撹拌翼は、特に限定されず、プロペラ型、パドル型及びタービン型等の様々な形状のものが使用できるが、本発明においては、混合の効率が高く、デフレクターをより効率的に活用できることから、タービン型の形状のものが好ましい。
(3)トナー
本発明の製造方法では、前述の方法により得られる着色樹脂粒子と、少なくとも1種の無機微粒子からなる外添剤とを、撹拌装置を用いて、撹拌、混合することにより外添処理をしてトナーを製造することが好ましい。外添処理に使用する撹拌装置は、前述した固定化処理に使用する撹拌装置と同様のものを使用できるが、撹拌翼の高速回転が可能であり、外添処理時間を短くすることができる点から、COMPOSI(:商品名、日本コークス社製)が好ましい。また、着色樹脂粒子を得た後に、引き続いて、同じ撹拌装置に外添剤を投入して、撹拌、混合してトナー製造することが製造ラインの簡略化できるので好ましい。
本発明において用いる外添剤は、下記特定の範囲の個数平均一次粒径を有するシリカ微粒子(A)及びシリカ微粒子(B)を併用して用いることが好ましい。
シリカ微粒子(A)の個数平均一次粒径は、5〜25nmであることが好ましく、6〜20nmであることがより好ましく、8〜20nmであることがさらに好ましい。
シリカ微粒子(A)の個数平均一次粒径が、上記範囲外にある場合には、カブリが発生する場合がある。
シリカ微粒子(B)の個数平均一次粒径は、30〜120nmであることが好ましく、30〜80nmであることがより好ましく、35〜60nmであることがさらに好ましい。
シリカ微粒子(B)の個数平均一次粒径が、上記範囲未満にある場合には、印字耐久性が低下する場合がある。一方、シリカ微粒子(B)の個数平均一次粒径が、上記範囲を超える場合には、画像再現性が低下する場合がある。
本発明において、外添剤として好ましく用いられるシリカ微粒子(A)は、種々の市販品を用いることができ、例えば、クラリアント社製のHDK2150(:商品名、個数平均一次粒径:12nm)、日本アエロジル社製のR504(:商品名、個数平均一次粒径:12nm)、RA200HS(:商品名、個数平均一次粒径:12nm)、テイカ社製のMSP−012(:商品名、個数平均一次粒径:16nm)、MSP−013(:商品名、個数平均一次粒径:12nm)、キャボット社製のTG820F(:商品名、個数平均一次粒径:7nm)、TG7120(:商品名、個数平均一次粒径:20nm)等が挙げられる。
本発明において、外添剤として好ましく用いられるシリカ微粒子(B)は、種々の市販品を用いることができ、例えば、日本アエロジル社製のNA50Y(:商品名、個数平均一次粒径:35nm)、VPNA50H(:商品名、個数平均一次粒径:40nm);クラリアント社製のH05TA(:商品名、個数平均一次粒径:50nm);等が挙げられる。
本発明において、外添剤として、上述のように特定の粒径範囲を有するシリカ微粒子(A)及び(B)を併用して用いることが好ましいが、必要に応じてその他の外添剤を含有させてもよく、例えば、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化錫、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、及び酸化セリウム等の無機微粒子;メタクリル酸エステル重合体、アクリル酸エステル重合体、スチレン-メタクリル酸エステル共重合体、スチレン-アクリル酸エステル共重合体、メラミン樹脂、及びコアがスチレン重合体でシェルがメタクリル酸エステル重合体で形成されたコアシェル型粒子等の有機樹脂粒子;が挙げられる。
本発明において用いる外添剤は、疎水化処理されていることが好ましい。疎水化処理剤としては、例えば、シランカップリング剤、シリコーンオイル、脂肪酸及び脂肪酸金属塩等を使用することができる。これらの中でも、シランカップリング剤、及びシリコーンオイルが好ましい。
シリカ微粒子(A)の含有量は、着色樹脂粒子100質量部に対して、0.1〜3.0質量部であることが好ましく、0.3〜2.5質量部であることが好ましく、0.5〜2.0質量部であることがさらに好ましい。
シリカ微粒子(A)の含有量が、上記範囲未満である場合には、画像再現性が低下する場合がある。一方、シリカ微粒子(A)の含有量が、上記範囲を超える場合には、カブリが発生する場合がある。
シリカ微粒子(B)の含有量は、着色樹脂粒子100質量部に対して、0.1〜3.0質量部であることが好ましく、0.3〜2.5質量部であることがより好ましく、0.5〜2質量部であることがさらに好ましい。
シリカ微粒子(B)の含有量が、上記範囲外である場合には、印字耐久性が低下する場合がある。
本発明において、外添剤の添加量は、着色樹脂粒子100質量部に対して、0.1〜6.0質量部であることが好ましく、0.2〜5.0質量部であることがより好ましく、0.5〜4.0質量部であることがさらに好ましい。
外添剤の添加量が、上記範囲外である場合には、印字耐久性が低下する場合や、画像再現性が低下する場合がある。
本発明において、外添剤として、さらに「脂肪酸金属塩粒子」を併用して用いることが、トナーの印字耐久性を向上させる観点から好ましい。
ここで、「脂肪酸金属塩粒子」とは、「金属」と、炭素数が11〜30、好ましくは12〜24のアルキル基(R−)を有する「高級脂肪酸」との塩の粒子のことをいう。
本発明で用いる脂肪酸金属塩を構成する「金属」としては、例えば、Li、Na、K、Rb、Cs、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn等が挙げられる。
また、本発明で用いる脂肪酸金属塩を構成する「高級脂肪酸」としては、例えば、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、及びリグノセリン酸等が挙げられる。
本発明で用いる脂肪酸金属塩としては、具体的に、ラウリン酸リチウム、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ラウリン酸マグネシウム、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸バリウムなどのラウリン酸金属塩;ミリスチン酸リチウム、ミリスチン酸ナトリウム、ミリスチン酸カリウム、ミリスチン酸マグネシウム、ミリスチン酸カルシウム、ミリスチン酸バリウムなどのミリスチン酸金属塩;パルミチン酸リチウム、パルミチン酸ナトリウム、パルミチン酸カリウム、パルミチン酸マグネシウム、パルミチン酸カルシウム、パルミチン酸バリウムなどのパルミチン酸金属塩;ステアリン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、及びステアリン酸カリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛などのステアリン酸金属塩;等が代表的に挙げられる。
本発明で用いる脂肪酸金属塩粒子の個数平均一次粒径は、通常0.1〜5μmであり、0.2〜3μmであることが好ましく、0.3〜2μmであることがより好ましい。
上記脂肪酸金属塩粒子の個数平均一次粒径が、上記範囲未満である場合には、トナーの帯電性が低下し、カブリが発生する場合がある。一方、上記脂肪酸金属塩粒子の個数平均一次粒径が、上記範囲を超える場合には、印字画像に白抜けが発生する場合がある。
本発明で用いる脂肪酸金属塩粒子の含有量は、着色樹脂粒子100質量部に対して、0.01〜0.5質量部であることが好ましく、0.01〜0.3であることがより好ましく、0.02〜0.2質量部であることがさらに好ましい。
上記脂肪酸金属塩粒子の含有量が、上記範囲未満である場合には、トナーの印字耐久性を向上させる効果が十分に得られない場合がある。一方、上記脂肪酸金属塩粒子の含有量が、上記範囲を超える場合には、トナーの流動性が低下し、カスレが発生する場合がある。
本発明において、撹拌槽内で着色樹脂粒子と外添剤とを撹拌翼によって撹拌、混合する時間は、5〜600秒であることが好ましく、10〜300秒であることがより好ましく、30〜150秒であることが更に好ましい。この時間が5秒未満であると、着色樹脂粒子に外添剤を付着又は一部埋没させ難くなることがあり、逆に300秒を超えると外添処理が進行し過ぎて、外添剤が着色樹脂粒子に埋没することがあり、噴出しが発生したり、印字耐久性が低下することがある。
(7)トナー
上記(6)の工程を経て得られるトナーは、外添工程において、着色樹脂粒子と外添剤とを、撹拌槽、回転駆動軸及び撹拌翼を有し、攪拌槽の底壁を貫通する回転駆動軸に固定した撹拌翼を該撹拌槽の底部に配置し、撹拌槽内部に複数枚のデフレクターが固定された金属環を撹拌槽上部から吊り下げて配置し、かつ、該撹拌槽内に少なくとも1つのガス導入口とガス排出口をそれぞれ配置した構造を有する回転翼式撹拌装置の槽内で、混合攪拌して外添処理を行なうことにより、着色樹脂粒子の表面に、外添剤を容易に且つ好適に付着させることができ、トナー粒子同士の融着による凝集物の発生割合が少なく、さらに外添剤の好適な付着状態を経時的に維持させることができるため、多枚数の連続印刷を行なっても、カブリ、縦筋等による画質の劣化が起こり難く印字耐久性に優れるトナーである。
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。なお、部及び%は、特に断りのない限り質量基準である。
本実施例及び比較例において行った試験方法は以下のとおりである。
(1)樹脂粒子特性
(1−1)体積平均粒径Dv、及び粒径分布Dv/Dn
測定試料(樹脂粒子)を約0.1g秤量し、ビーカーに取り、分散剤としてアルキルベンゼンスルホン酸水溶液(富士フィルム社製、商品名:ドライウエル)0.1mlを加えた。そのビーカーへ、更にアイソトンIIを10〜30ml加え、20W(Watt)の超音波分散機で3分間分散させた後、粒径測定機(ベックマン・コールター社製、商品名:マルチサイザー)を用いて、アパーチャー径;100μm、媒体;アイソトンII、測定粒子個数;100,000個の条件下で、樹脂粒子の体積平均粒径(Dv)、及び個数平均粒径(Dn)を測定し、粒径分布(Dv/Dn)を算出した。
(1−2)平均円形度
容器中に、予めイオン交換水10mlを入れ、その中に分散剤として界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸)0.02gを加え、更に測定試料(樹脂粒子)0.02gを加え、超音波分散機で60W(Watt)、3分間分散処理を行った。測定時の樹脂粒子濃度が3,000〜10,000個/μlとなるように調整し、0.4μm以上の円相当径の樹脂粒子1,000〜10,000個についてフロー式粒子像分析装置(シメックス社製、商品名:FPIA−2100)を用いて測定した。測定値から平均円形度を求めた。
円形度は下記計算式1に示され、平均円形度は、その平均をとったものである。
計算式1:
(円形度)=(粒子の投影面積に等しい円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
(2)トナー特性
(2−1)流動性
目開きが各々150μm、75μm、及び45μmの3種の篩いをこの順に上から重ねて、一番上の篩い上に測定する重合トナー4gを精秤して載せる。次いで、この重ねた3種の篩いを粉体測定機(細川ミクロン社製、商品名「パウダーテスター」)を用いて、振動強度目盛り4の条件で15秒間振動した後、各篩い上に残った現像剤の質量を測定する。各測定値を以下の式、、及びに入れて、a、b、及びcの値を求め、次に、これらの値を式に入れて、流動性の値を算出する。1サンプルにつき3回測定し、その平均値を求めた。
a=〔(150μm篩に残った重合体質量(g) )/4g〕×100
b=〔(75μm篩に残った重合体質量(g) )/4g〕×100×0.6
c=〔(45μm篩に残った重合体質量(g) )/4g〕×100×0.2
流動性(%)=100−(a+b+c)
(2−2)ブローオフ帯電量
キャリア(パウダーテック社製、商品名「NZ−3」)9.5g と、試料0.5gを秤量し、容積100ccのガラス瓶に入れ、30分間、150回転/分の回転数で回転させた後、ブローオフメーター(東芝ケミカル社製、商品名「T B − 2 0 3」 )を用い、窒素ガスを4.5kPaの圧力でブロー、9.5kPaの圧力で吸引して、ブローオフ帯電量を測定した。
測定は、温度23℃ 、相対湿度50%で行った。トナー及び外添剤のブローオフ帯電量の測定により、トナーの帯電極性及び外添剤の帯電極性が分かる。
(3) 印字試験
(3−1)初期噴出し
印字耐久性試験には、市販の非磁性一成分現像方式のプリンター(HL−3040CN)を用いた。現像装置のトナーカートリッジに、トナーを充填した後、連続印刷を行なった。連続印字は常温常湿(N/N)環境下(温度:23℃、湿度:50%)で行っている。
印刷はハーフトーン印字濃度30%で行い、トナーカートリッジより印刷用紙に噴出したトナーによる0.3×0.3mm以上の斑点がハーフトーン上にいくつあるか数え、この数が0になるまで印刷を行なった。
評価は印刷物上に出てくる、斑点の数が0になるまでの印刷枚数で行い、この印刷枚数がより少ないほうが、画質に問題なく印刷できたことを示す。
(3−2)印字濃度及びカブリ(N/N環境下)
市販の非磁性一成分現像方式のプリンター(HL−3040CN)を用い、現像装置のトナーカートリッジに、トナーを充填した後、印字用紙をセットした。常温常湿(N/N)環境下(温度:23℃、湿度:50%)で、24時間放置した後、同環境下にて、ベタ印字(印字濃度100%)を行ない、反射式画像濃度計(マクベス社製、商品名:RD918)を用いてベタ画像の印字濃度を測定した。さらに、その後、白ベタ印字(印字濃度0%)を行ない、白ベタ印字の途中でプリンターを停止させ、現像後の感光体上における非画像部のトナーを、粘着テープ(住友スリーエム社製、商品名:スコッチメンディングテープ810−3−18)に付着させた後、剥ぎ取り、新しい印字用紙に貼り付け、分光色差計(日本電色社製、商品名:SE−2000)で色調を測定した。同様に、リファレンスとして、未使用の粘着テープをその印字用紙に貼り付け、同様に色調を測定し、それぞれの色調をL*a*b*空間の座標として表し、測定サンプルと基準サンプルの色調から色差ΔEを算出してカブリ値を求めた。カブリ値は、小さい方が、カブリが少なく、画質が良好であることを示す。
(3−3)印字耐久性(N/N環境下)
印字耐久性試験には、市販の非磁性一成分現像方式のプリンター(HL−3040CN)を用い、現像装置のトナーカートリッジに、トナーを充填した後、印字用紙をセットした。
常温常湿(N/N)環境下(温度:23℃、湿度:50%)で、24時間放置した後、同環境下にて、5%印字濃度で10,000枚まで連続印字を行い、500枚ごとに、印字濃度とかぶりを測定した。
500枚毎に、ベタ印字(印字濃度100%)を行ない、さらに、白ベタ印字(印字濃度0%)を行ない、(3−2)と同様にして、印字濃度及びカブリ値を求めた。
耐久性の試験は、上記のベタ印字を行った際の印字濃度が1.3以上で、かつ白ベタ印字を行った際のカブリ値が1%以下である画質を維持できる連続印字枚数を10,000枚まで試験した。試験結果に、「10,000<」とあるのは、10,000枚連続で印字しても、上記基準を満たしていることを示す。
(実施例1)
スチレン83部及びn−ブチルアクリレート17部、帯電制御剤として正帯電性の帯電制御樹脂(藤倉化成社製、商品名:FCA−207P、スチレン/アクリル樹脂)1部、架橋性の重合性単量体としてジビニルベンゼン0.6部、分子量調整剤としてt−ドデシルメルカプタン1.9部、及びマクロモノマーとしてポリメタクリル酸エステルマクロモノマー(東亜合成社製、商品名:AA6、得られる重合体のTg=94℃)0.25部を、攪拌装置で攪拌、混合した後、さらにメディア式分散機を用いて均一に分散させた。ここに、離型剤としてジペンタエリスリトールヘキサミリステート5部を添加、混合、溶解して、重合性単量体組成物を得た。
他方、室温下で、イオン交換水250部に塩化マグネシウム10.2部を溶解した水溶液に、イオン交換水50部に水酸化ナトリウム6.2部を溶解した水溶液を、攪拌下で徐々に添加して、水酸化マグネシウムコロイド(難水溶性の金属水酸化物コロイド)分散液を調製した。
上記水酸化マグネシウムコロイド分散液に、室温下で、上記重合性単量体組成物を投入し、攪拌した。そこへ重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂社製、商品名:パーブチルO)6部を添加した後、インライン型乳化分散機(荏原製作所社製、商品名:エバラマイルダー)を用いて、15,000rpmの回転数で10分間高速剪断攪拌して分散を行ない、重合性単量体組成物の液滴形成を行なった。 上記重合性単量体組成物の液滴が分散した懸濁液(重合性単量体組成物分散液)を、攪拌翼を装着した反応器内に投入し、90℃に昇温し、重合反応を開始させた。重合転化率が、ほぼ100%に達したときに、シェル用重合性単量体としてメチルメタクリレート1部、及びイオン交換水10部に溶解したシェル用重合開始剤である2,2'−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド)(和光純薬社製、商品名:VA−086、水溶性)0.3部を添加し、90℃で4時間反応を継続した後、水冷して反応を停止し、コアシェル型構造を有する樹脂粒子の水分散液を得た。
上記着色樹脂粒子の水分散液を、室温下で、硫酸を攪拌しながら滴下し、pHが6.5以下となるまで酸洗浄を行なった。次いで、濾過分離を行ない、得られた固形分にイオン交換水500部を加えて再スラリー化させて、水洗浄処理(洗浄・濾過・脱水)を数回繰り返し行なった。次いで、濾過分離を行ない、得られた固形分を乾燥機の容器内に入れ、45℃で48時間乾燥を行ない、乾燥した樹脂粒子を得た。
このとき、得られた樹脂粒子の体積平均粒径(Dv)は9.1μm、粒径分布(Dv/Dn)は1.13、平均円形度は0.988であった。
得られた樹脂粒子100部に対し、粉状着色剤として、個数平均一次粒径が80nmのC.I.ピグメントイエロー155(クラリアント社製、商品名「Toner Yellow 3GP」)を6部添加し、高速攪拌機(日本コークス社製、商品名:COMPOSI [CP2])を用いて、回転駆動軸の軸部から1m/hrの流量で窒素を流しながら、周速64m/sで5分間混合攪拌して複合化処理を行ない、着色樹脂粒子を得た。
得られた着色樹脂粒子100部に、外添剤として、シリカ微粒子(A)として、疎水化された個数平均一次粒径20nmのシリカ微粒子(キャボットコーポレーション社製、商品名:TG−7120)を0.8部、シリカ微粒子(B)として、疎水化された個数平均一次粒径50nmのシリカ微粒子(クラリアント社製、商品名:H05TA)を1.5部、及び脂肪酸金属塩粒子として個数平均一次粒径が0.5μmステアリン酸亜鉛(堺化学工業社製、商品名:SPZ100F)0.1部を添加し、上述した高速撹拌装置を用いて、回転駆動軸の軸部から0.4m/hrの流量で窒素を流しながら、撹拌翼の先端速度を64m/sで60秒間、混合攪拌して外添処理を行なって、トナーを得た。
高速撹拌機については、、攪拌翼はタービン型撹拌翼を使用し、デフレクター板は金属環に溶接で固定されたもものを使用した。デフレクターの枚数は8枚であり、攪拌槽の内寸高さHは150mm、攪拌翼の最上部とデフレクターの最下部であるクリアランスLは10mmであり、その比(L/H)は0.067であり、撹拌翼の回転方向の水平面と、デフレクター面とのなす角度θは45°であった。デフレクター板8枚の合計面積は、撹拌槽底面積の0.28倍であった。
また、処理中は、7℃のチラー水を用いて攪拌槽を冷却して、撹拌槽の槽内温度が35℃となるように制御した。
得られたトナーのトナー物性測定および印字試験を行った。その結果を、表1に記載する。
Figure 2012212062
(実施例2)
実施例1において用いた粉状着色剤の添加量を、6部から8部に変更した以外は、実施例1と同様にしてトナーを得た。得られたトナーについて、トナー物性測定および印字試験を行った。その結果を、表1に記載する。
(実施例3)
実施例1において、撹拌翼の周速を64m/sから50m/sに変更した以外は、実施例1と同様にしてトナーを得た。得られたトナーについて、トナー物性測定および印字試験を行った。その結果を、表1に記載する。
(比較例1)
実施例1において、撹拌装置をを日本コークス製のCOMPOSI[CP2](:商品名)から、日本コークス社製、FM10(:商品名)に変更し、周速を38.5m/s、デフレクタ枚数を1枚、撹拌槽底部の面積に対する各デフレクターの合計面積を0.4倍、撹拌翼の回転方向の水平面と、デフレクター面とのなす角度θを90°に変更した以外は、実施例1と同様にしてトナーを得た。得られたトナーについて、トナー物性測定および印字試験を行った。その結果を、表1に記載する。
表1から、デフレクターを1枚有さない装置を用いて外添処理を行って製造した比較例1のトナーは、初期印字試験において、印字濃度が低く、カブリ及び噴出しが発生し易いことが分かる。また、比較例1のトナーでは、初期印字試験の結果が悪かったので、印字耐久性の試験は行わなかった。
これに対して、本発明の特徴である複数枚のデフレクターを有する撹拌装置を用いて外添処理を行った実施例1〜3のトナーは、初期印字試験において、印字濃度が高く、カブリ及び噴出しが発生し難く、印字耐久性も高い。
本発明で用いる回転翼式撹拌装置を側面から見た模式図である。 本発明で用いる回転翼式撹拌装置のデフレクターを上部から見た模式図である。 撹拌翼の回転方向の水平面と、デフレクター面とのなす角度θを示す図である。
1 撹拌槽
2 蓋
3 支柱
4 支持棒
5 金属環
6 デフレクター
7 撹拌翼

Claims (11)

  1. 撹拌槽、回転駆動軸及び撹拌翼を有し、攪拌槽の底壁を貫通する回転駆動軸に固定した撹拌翼を該撹拌槽の底部に配置し、撹拌槽内部に複数枚のデフレクターが固定された金属環を撹拌槽上部から吊り下げて配置し、かつ、該撹拌槽内に少なくとも1つのガス導入口とガス排出口をそれぞれ配置した構造を有する回転翼式撹拌装置内に、
    樹脂粒子及び粉状着色剤を投入し、該撹拌槽内で該樹脂粒子と該着色剤とを該撹拌翼によって撹拌、混合することで該樹脂粒子に該粉状着色剤を固定化して、着色樹脂粒子を得ることを含むトナーの製造方法。
  2. 撹拌槽、回転駆動軸及び撹拌翼を有し、攪拌槽の底壁を貫通する回転駆動軸に固定した撹拌翼を該撹拌槽の底部に配置し、撹拌槽内部に複数枚のデフレクターが固定された金属環を撹拌槽上部から吊り下げて配置し、かつ、該撹拌槽内に少なくとも1つのガス導入口とガス排出口をそれぞれ配置した構造を有する回転翼式撹拌装置内に、
    樹脂粒子及び粉状着色剤を投入し、該撹拌槽内で該樹脂粒子と該粉状着色剤とを該撹拌翼によって撹拌、混合することで該樹脂粒子に該粉状着色剤を固定化して、着色樹脂粒子を得、
    次いで、該撹拌装置内へ外添剤を投入して、該撹拌槽内で該着色樹脂粒子と該外添剤とを該撹拌翼によって撹拌、混合するトナーの製造方法。
  3. 前記攪拌翼の先端速度が40〜120m/sである請求項1または2に記載のトナーの製造方法。
  4. 前記デフレクターの枚数が3〜20枚であり、かつ、各デフレクター面積の合計が攪拌槽の底部面積の0.05〜1倍である請求項1〜3のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
  5. 前記デフレクターが、撹拌翼の回転方向の面と、デフレクター面との成す角度θが10°〜90°となるように配置する請求項1〜4のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
  6. 前記攪拌翼の最上部と前記デフレクターの最下部とのクリアランスLと、撹拌槽の内寸高さHとの比(L/H)が0.01〜0.2である請求項1〜5のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
  7. 前記着色樹脂粒子を得た後、外添剤として、少なくとも一種の無機微粒子からなる外添剤を投入し、該撹拌槽内にて外添処理を行なう請求項1〜6いずれかに記載のトナーの製造方法。
  8. 前記外添剤として、個数平均一次粒径5〜25nmの無機微粒子(A)及び個数平均一次粒径30nm〜120nmの無機微粒子(B)を含有する請求項7に記載のトナーの製造方法。
  9. 前記攪拌槽が、冷媒を通過せしめるジャケット構造を有し、該ジャケットに冷媒を通過させて、前記撹拌槽内を、前記着色樹脂粒子を構成する前記樹脂粒子のガラス転移温度より低い温度に制御する請求項1〜8のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
  10. 前記ガス導入口から不活性ガスを供給する請求項1〜9のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
  11. 前記樹脂粒子が湿式法で得られたものである請求項1〜10のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014202964A (ja) * 2013-04-05 2014-10-27 キヤノン株式会社 トナー処理装置
JP2014202966A (ja) * 2013-04-05 2014-10-27 キヤノン株式会社 トナー処理装置
JP2017076043A (ja) * 2015-10-14 2017-04-20 キヤノン株式会社 トナー用処理装置及びトナーの製造方法

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