JP2009258538A - 静電荷像現像用トナー及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】低温定着が可能で、耐熱保管性に優れ、多数枚プリントしても転写抜けやハーフトーン部の濃度むら等の画像欠陥がないプリント画像が得られるとともに、熱定着時に臭気が発生しない静電荷像現像用トナー及びその製造方法の提供。
【解決手段】下記一般式(1)で表される化合物を含む重合性単量体を共重合して得られる樹脂を有する静電荷像現像用トナーにおいて、該一般式(1)で表される化合物が該樹脂に対し組成比で20〜45質量%であり、該一般式(1)で表される化合物の揮発量が前記静電荷像現像用トナーに対して1〜500ppmであり、芳香族カルボン酸、脂肪族カルボン酸、脂肪族アルコールより選択される化合物を1〜1000ppm含有し、且つ、ガラス転移点が20〜45℃であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
【選択図】なし

Description

本発明は、静電荷像現像用トナー及びその製造方法に関する。
近年、プリンターやコピー機の可動時の消費電力を低減化することに精力的な研究が進められてきている。又、ネット環境の浸透によるオフィスでのプリンター使用の高頻度化や、プリンターやファクシミリ等のデジタル機器のホームユース化といった時代の潮流によるさまざまな形態のオフィスや家庭内での使用機会の拡大に伴い、低格電力や電力コストを削減することは不可避の課題となっている。そこで、プリンターやコピー機は定着時に必要な熱やエネルギーを削減することでその課題を達成しようとし、低温定着化が求められている。その一例として、低融点のワックスを含有させたり、トナーを形成する樹脂のガラス転移点を低くさせることにより、従来よりも低い温度で定着画像を形成することが可能な技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2001−42564号公報(ワックス)
低温定着を可能にするには、一般にトナーを形成する樹脂のガラス転移点を低くして対応することが行われている。
ガラス転移点を低くするためには、一般式(1)で表されるようなガラス転移点が低い重合性単量体(以下、モノマーともいう)を増量しなければならないが、このようなモノマーは、重合反応性が低いため重合時に未反応モノマーとしてトナー粒子中に残留(残存)しやすい。その結果、未反応の残存モノマーが可塑剤として働き、保存時にトナー粒子同士がブロック化し問題を生じたり、現像器中でトナーの凝集物が発生したりして画像不良等を引き起こすという問題があった。
又、分子量分布の幅が広い樹脂を用いると部分的に溶融しにくくなり定着不良を引き起こすという問題があった。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は低温定着が可能で、耐熱保管性に優れ、多数枚プリントしても転写抜けやハーフトーン部の濃度むら等の画像欠陥がないプリント画像が得られるとともに、熱定着時に臭気が発生しない静電荷像現像用トナー及びその製造方法を提供することである。
本発明の上記課題は、以下の構成により達成される。
1.
下記一般式(1)で表される化合物を含む重合性単量体を共重合して得られる樹脂を有する静電荷像現像用トナーにおいて、
該一般式(1)で表される化合物が該樹脂に対し組成比で20〜45質量%であり、
該一般式(1)で表される化合物の揮発量が該静電荷像現像用トナーに対して1〜500ppmであり、
芳香族カルボン酸、脂肪族カルボン酸、脂肪族アルコールより選択される化合物を1〜1000ppm含有し、
且つ、ガラス転移点が20〜45℃であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
一般式(1) HC=CR−COOR
(式中、RはH、又はCH、Rは炭素数が3〜22の長鎖アルキル基、又は環状アルキル基を表す。)
2.
前記樹脂の重量平均分子量(Mw)が10000〜50000、Mw/Mnが1.5〜4であることを特徴とする前記1に記載の静電荷像現像用トナー。
3.
下記一般式(1)で表される化合物を含む重合性単量体を共重合して樹脂粒子を重合する工程、該樹脂粒子と着色剤粒子を凝集・融着する工程を有する静電荷像現像用トナーの製造方法において、
該重合する工程では、n回の重合反応を行い(ただし、nは2以上の整数)、
重合開始剤が2回以上に分割して添加され、
n回目の重合反応の後期に、油溶性の重合開始剤を添加することを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
一般式(1) HC=CR−COOR
(式中、RはH、又はCH、Rは炭素数が3〜22の長鎖アルキル基、又は環状アルキル基を表す。)
本発明の静電荷像現像用トナー及びその製造方法は、低温定着が可能で、耐熱保管性に優れ、多数枚プリントしても転写抜けやハーフトーン部の濃度むら等の画像欠陥がないプリント画像が得られるとともに、熱定着時に臭気が発生しない優れた効果を有する。
本発明者らは、低温定着が可能で、耐熱保管性に優れ、多数枚プリントしても転写抜けやハーフトーン部の濃度むら等の画像欠陥がないプリント画像が得られるとともに、熱定着時に臭気が発生しない優れた静電荷像現像用トナー(以下、単にトナーともいう)について検討を行った。
種々検討の結果、特定の構造を有する化合物を含む重合性単量体を共重合して得られた樹脂を有する静電荷像現像用トナーが、本発明の目的を達成できることを見出した。
具体的には、本発明のトナーは、下記一般式(1)で表される化合物を含む重合性単量体を共重合して得られた樹脂を含有し、
一般式(1)で表される化合物が該樹脂に対し組成比で20〜45質量%であり、
一般式(1)で表される化合物の揮発量が該トナーに対して1〜500ppmであり、
芳香族カルボン酸、脂肪族カルボン酸、脂肪族アルコールより選択される化合物を1〜1000ppm含有し、且つ、ガラス転移点が20〜45℃である。
一般式(1) HC=CR−COOR
(式中、RはH、又はCH、Rは炭素数が3〜22の長鎖アルキル基、又は環状アルキル基を表す。)
以下、本発明を詳細に説明する。
〔本発明の技術思想〕
低温定着が可能なトナーを得るには、トナーのガラス転移点(以下、Tgともいう)を低くする必要がある。そのためには、前記一般式(1)で表されるようなTgの低くできる重合性単量体を多量に用いなければならない。
しかし、一般式(1)で表される化合物は、重合の反応性がスチレンと比べて低くなるため、重合時に未反応モノマーとしてトナー粒子中に残留しやすくなる。
更に、一般式(1)で表される化合物は臭気が強く、トナー粒子中に多量に残存すると定着時の加熱により気化し、臭気が発生する。
又、トナー粒子中に一般式(1)で表される化合物が多量に残存すると、トナーに可塑剤的な効果をもたらす。ここでいう可塑剤的な効果とは、トナーがより低い温度で溶融するため低温定着性には有利に働くが、耐熱保管性が低下し保管中にトナー粒子同士が凝集しやすくなり、より低温での保管が必要になる。又、現像器中でトナーの凝集物が生じて画像不良等を起こす恐れがある。
本発明では、一般式(1)で表されるようなTgを低くする化合物を用いて重合して得られた樹脂でトナーを作製したとき、トナー粒子中に残存する一般式(1)の量をトナーの全質量に対し1〜500ppmとすることで、低温定着性、臭気及び耐熱保管性の問題を解決することができることを見出している。
本願発明者等は、トナー粒子中に残存する一般式(1)の量をトナーの全質量に対し1〜500ppmとするトナーは、多段階で重合反応を行う際に、重合初期に加えた重合開始剤を多段階反応にて消費されてから、言い換えると重合反応の後期に、油溶性の重合開始剤を添加することで、反応性の低い一般式(1)で表される化合物の重合反応を進行させ、トナー中に残存する未反応の一般式(1)で表される化合物の残存量を少なくすることが可能なことを見出した。
すなわち、油溶性の重合開始剤を添加した後、一定時間温度を保つことで、添加した重合開始剤による重合反応が新たに開始され、反応系中に残存している重合性単量体の反応が促進される。更に、油溶性の重合開始剤を添加した後に、重合温度を高温にすることで、系内に残存している重合開始剤を全て分解してしまうとともに、重合開始剤を急速に分解することで更に未反応モノマーの反応を促進することが可能となる。
又、低Tg化を進めるためには分子量を低く設定する必要があり、重合開始剤の量を従来よりも増量する手法が採られるが、この手法では、重合反応が促進され、オリゴマー(2量体、3量体等の低分子量成分)量も増加するため、耐熱保管性に悪影響を及ぼす。このため、重合開始剤総量を抑制しつつ、重合初期に加えた重合開始剤が十分消費されてから、追加(油溶性)の重合開始剤を添加することで、重合を望ましい状態で進めることが可能となる。
先ず、本発明で用いる用語について説明する。
本発明でいうトナーとはトナー粒子の総称である。トナー粒子とは着色粒子に外添剤を添加処理して得られた粒子をいう。着色粒子とは樹脂粒子と着色剤粒子を凝集・融着して得られた粒子をいう。
次に、一般式(1)で表される化合物について説明する。
《一般式(1)で表される化合物》
本発明で用いる一般式(1)で表される化合物は、下記の式で表される化合物である。
一般式(1) HC=CR−COOR
(式中、RはH、又はCH、Rは炭素数が3〜22の長鎖アルキル基、又は環状アルキル基を表す。)
具体的な化合物としては、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリルが挙げられる。これらの中ではアクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリルが好ましい。
《一般式(1)で表される化合物の樹脂に対する組成比》
一般式(1)で表される化合物の樹脂に対する組成比は、20〜45質量%、好ましくは20〜30質量%である。組成比を20質量%以上とすることで低温定着性が確保でき、45質量%以下とすることで耐熱保管性が確保できる。
《一般式(1)で表される化合物の揮発量》
本発明のトナーは、一般式(1)で表される化合物の揮発量がトナー全質量に対して1〜500ppm、好ましくは10〜400ppmである。
一般式(1)で表される化合物の揮発量を1ppm以上とすることで生産性よくトナーを作製することができ、定着時の加熱により臭気の発生も抑えることができる。
500ppm以下とすることで定着時の加熱により臭気の発生や現像器中でのトナーの凝集発生を防止でき、トナーの耐熱保管性も確保できるようになる。
(揮発量の定量方法)
一般式(1)で表される化合物の揮発量は、ヘッドスペースガスクロマトグラフィーにより定量することができる。
ヘッドスペースガスクロマトグラフィー法は、トナーを容器に封入し、画像形成装置の熱定着温度程度(例えば、170℃)に加熱し、容器中に揮発成分が充満した状態で速やかに容器中のガスをガスクロマトグラフに注入し、質量分析を行って化合物の同定を行いながら揮発成分を定量するものである。
樹脂由来の不純物や微量の添加物を測定する方法としては、溶媒に樹脂又はトナーを溶解してガスクロマトグラフに注入する方法もよく知られているが、この方法では、溶媒のピークに不純物や測定しようとする微量の添加物成分のピークが隠れてしまうことがあり、トータルの揮発性成分量を測定するには、上記のヘッドスペース法を適用することが好ましい。又、ヘッドスペース法ではガスクロマトグラフにより、揮発成分の全ピークを観測することを可能にするとともに、電磁気的相互作用を利用した分析法を用いることによって、高精度で揮発性物質やモノマー等を定量をも併せて行うことができる。
(測定条件)
1.試料の採取
20mlヘッドスペース用バイアルに0.8gの試料を採取する。試料の量は、質量当たりの面積を算出するのに必要なため、0.01gまで秤量する。専用クリンパーを用いてヘッドスペース用バイアルをシールする。
2.試料の加熱
170℃の恒温槽にヘッドスペース用バイアルを立てた状態で入れ30分加熱する。
3.ガスクロマトグラフィー分離条件の設定
質量比で15%になるようにシリコーンオイルSE−30でコーティングした担体を内径2.5mm、長さ30mのカラムに充填したものを分離カラムとして用いる。分離カラムをガスクロマトグラフに装備し、Heをキャリアとして、50ml/分で流す。分離カラムの温度を40℃にして3分間保持し、その後10℃/分で200℃まで昇温させ、200℃に到達後、5分間保持し測定する。
4.試料の注入
バイアルを恒温槽から取り出し、直ちにガスタイトシリンジで1mlを注入する。
5.計算
モノマーの定量は、各モノマーについて予め作成した検量線を用いて算出する。
6.装置としては下記の構成が好ましい。
(a)ヘッドスペース条件
ヘッドスペース装置:HP7694 Head Space Sampler(ヒューレットパッカード社製)
温度条件:トランスファーライン 200℃、ループ温度200℃
サンプル量:0.8g/20mlバイアル
(b)GC/MS条件
GC:HP5890(ヒューレットパッカード社製)
MS:HP5971(ヒューレットパッカード社製)
カラム:HP−624(30m×内径0.25mm)
オーブン温度:初期温度40℃(保持時間3分)、昇温速度10℃/分、到達温度200℃(保持時間5分)
測定モード:SIM(セレクトイオンモニター)モード
ヘッドスペースガスクロマトグラフィーにより定量される揮発性物質の具体例としては、モノマーであるスチレン、o−メチルスチレン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、架橋性モノマーであるn−オクチルメルカプタン、n−デシルメルカプタン等が挙げられる。
《香族カルボン酸、脂肪族カルボン酸、脂肪族アルコールより選択される化合物》
本発明のトナーは、芳香族カルボン酸、脂肪族カルボン酸、脂肪族アルコールより選択される化合物を1〜1000ppm、好ましくは10〜600ppm含有していることを特徴としている。
芳香族系カルボン酸、脂肪族カルボン酸、脂肪族アルコールより選択される化合物を1〜1000ppm含有することにより、熱定着時の臭気を効果が認められる。
尚、芳香族系カルボン酸、脂肪族カルボン酸、脂肪族アルコールより選択される化合物の含有量は、追加で添加する油溶性の重合開始剤の種類とその量により制御することができる。
(含有量の定量方法)
香族カルボン酸、脂肪族カルボン酸、脂肪族アルコールより選択される化合物の含有量は、一般式(1)で表される化合物の揮発量と同じ定量方法で定量することができる。
《トナーのガラス転移点》
本発明のトナーのガラス転移点(Tg)は、20〜45℃、好ましくは25〜40℃である。Tgを20℃以上とすることで耐熱保管性が確保でき、45℃以下とすることで低温定着性を確保できる。
Tgを20〜45℃の範囲にするには、共重合体樹脂を形成するモノマーの種類と量を調整する。プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート等はTgを引き下げるモノマーであり、スチレン、メチルメタクリレート、メタクリル酸等はTgを引き上げるモノマーである。
(Tgの測定方法)
Tgは示差走査熱量分析方法により測定することができ、例えばDSC−7示差走査カロリメーター(パーキンエルマー社製)、TAC7/DX熱分析装置コントローラー(パーキンエルマー社製)を用いて行うことができる。
測定手順としては、トナー4.5〜5.0mgを0.01mgまで精秤しアルミニウム製パン(KITNO.0219−0041)に封入し、DSC−7サンプルホルダにセットする。リファレンスは空のアルミニウム製パンを使用した。測定条件としては、測定温度0〜200℃、昇温速度10℃/分、降温速度10℃/分で、Heat−Cool−Heatの温度制御で行い、その2nd Heatにおけるデータをもとに解析を行った。
Tgは第1の吸熱ピークの立ち上がり前のベースラインの延長線と、第1の吸熱ピークの立ち上がり部分からピーク頂点までの間で最大傾斜を示す接線を引き、その交点をTgとする。
《樹脂の分子量、重合比》
本発明のトナーを構成する樹脂の重量平均分子量(Mw)は10000〜50000、Mw/Mnは2〜4であることが好ましい。
重合性単量体(モノマー)の種類や量、重合開始剤の量や種類を適宜選択することで重量平均分子量(Mw)、Mw/Mnが上記範囲の樹脂を作製することができる。
重量平均分子量(Mw)が10000以上の樹脂を用いることで耐熱保管性が確保でき、50000以下の樹脂を用いることで低温定着性を確保することができる。又、分子量分布(Mw/Mn)を4以下にすることで部分的に溶融しにくいことが無くなり、定着不良を引き起こすことが無くなり、2以上とすることで低温定着性を確保することができる。
(分子量の測定)
樹脂の分子量は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフ(GPC)を用いて測定することができる。
GPCによる樹脂の分子量の測定方法としては、1mg/mlになるように試料(トナー)をテトラヒドロフランに溶解する。溶解条件としては、室温にて超音波分散機を用いて5分間行う。次いで、ポアサイズ0.2μmのメンブランフィルターで処理した後、GPCへ10μl試料溶解液を注入する。
GPCの測定条件を下記に示す。
装置:HLC−8220(東ソー社製)
カラム:TSKguardcolumm+TSKgelSuperHZM−M 3連(東ソー社製)
カラム温度:40℃
溶媒:テトラヒドロフラン
流速:0.2ml/分
検出器:屈折率検出器(RI検出器)
試料の分子量測定では、試料の有する分子量分布を単分散のポリスチレン標準粒子を用いて測定した検量線を用いて算出する。検量線測定用のポリスチレンは10点用いた。
(重合率(Mw/Mn)の測定)
重合率の測定は、GPC測定チャートにおけるMw=500前後の面積比率により算出を行った。
具体的には、重合反応液を一部採取し、すぐに固液分離後乾燥し、上記樹脂の分子量と同様の測定方法において、採取した樹脂の重合率を下記式により算出した。
重合率=(Mw=500以上の全ピーク面積)/(Mw=500以下の全ピーク面積)尚、Mw=500以下のピークには、溶媒ピークを含まないものとする。
《トナーを形成するのに用いる素材》
本発明のトナーを形成するのに用いる素材としては、一般式(1)で表される化合物以外の重合性単量体着色剤、ワックス(以下、離型剤ともいう)、重合開始剤、連鎖移動剤、分散安定剤、界面活性剤等を挙げることができる。
(一般式(1)で表される化合物以外の重合性単量体)
一般式(1)で表される化合物以外の重合性単量体(モノマー)としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−クロロスチレン、3,4−ジクロロスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン等のスチレン或いはスチレン誘導体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル誘導体、アクリル酸ステアリル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル誘導体、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン系ビニル類、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等のビニルエステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン等のビニルケトン類、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物、ビニルナフタレン、ビニルピリジン等のビニル化合物類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸或いはメタクリル酸誘導体を挙げることができる。これらビニル系単量体は単独或いは組み合わせて使用することができる。
又、樹脂を構成する重合性単量体としてイオン性解離基を有するものを組み合わせて用いることが更に好ましい。例えば、カルボキシル基、スルフォン酸基、リン酸基等の置換基を単量体の構成基として有するもので、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマール酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル、スチレンスルフォン酸、アリルスルフォコハク酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート、3−クロロ−2−アシッドホスホオキシプロピルメタクリレート等が挙げられる。
更に、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート等の多官能性ビニル類を使用して架橋構造の樹脂とすることもできる。
(着色剤)
着色剤としては、カーボンブラック、磁性体、染料、顔料等を任意に使用することができ、カーボンブラックとしてはチャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等が使用される。磁性体としては鉄、ニッケル、コバルト等の強磁性金属、これらの金属を含む合金、フェライト、マグネタイト等の強磁性金属の化合物、強磁性金属を含まないが熱処理することにより強磁性を示す合金、例えばマンガン−銅−アルミニウム、マンガン−銅−錫等のホイスラー合金と呼ばれる種類の合金、二酸化クロム等を用いることができる。
染料としては、C.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95等を用いることができ、又これらの混合物も用いることができる。顔料としてはC.I.ピグメントレッド5、同48:1、同53:1、同57:1、同122、同139、同144、同149、同166、同177、同178、同222、C.I.ピグメントオレンジ31、同43、C.I.ピグメントイエロー14、同17、同74、同93、同94、同138、同156、同158、同180、同185、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントブルー15:3、同60等を用いることができ、これらの混合物も用いることができる。数平均一次粒子径は種類により多様であるが、概ね10〜200nm程度が好ましい。
着色剤の添加方法としては、樹脂粒子を凝集剤の添加にて凝集させる段階で添加し重合体を着色する。尚、着色剤は表面をカップリング剤等で処理して使用することができる。
(ワックス)
ワックスとしては、従来公知のものを用いることができる。具体的には、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等のポリオレフィンワックス、パラフィンワックス、サゾールワックス等の長鎖炭化水素系ワックス、ジステアリルケトン等のジアルキルケトン系ワックス、カルナウバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラミリステート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエート等のエステル系ワックス、エチレンジアミンジベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミド等のアミド系ワックス等が挙げられる。
ワックスの融点は、通常40〜160℃であり、好ましくは50〜120℃、更に好ましくは60〜90℃である。融点を上記範囲内にすることにより、トナーの耐熱保存性が確保されるとともに、低温で定着を行う場合でもコールドオフセット等を起こさずに安定したトナー画像形成が行える。又、トナー粒子中のワックス含有量は、1〜30質量%が好ましく、更に好ましくは5〜20質量%である。
次に、重合開始剤、連鎖移動剤及び界面活性剤について説明する。
(重合開始剤)
重合開始剤としては、水溶性の重合開始剤と油溶性の重合開始剤を用いる。
水溶性の重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、アゾビスアミノジプロパン酢酸塩、アゾビスシアノ吉草酸及びその塩、過酸化水素等を挙げることができる。
油溶性の重合開始剤としては、2,2′−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2′−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系又はジアゾ系重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンペルオキサイド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキサイド、t−ブチルヒドロペルオキサイド、ジ−t−ブチルペルオキサイド、ジクミルペルオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキサイド、ラウロイルペルオキサイド、2,2−ビス−(4,4−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、トリス−(t−ブチルペルオキシ)トリアジン等の過酸化物系重合開始剤や過酸化物を側鎖に有する高分子開始剤等を挙げることができる。
(連鎖移動剤)
本発明では、樹脂の分子量を調整する目的で、連鎖移動剤を用いることができる。
連鎖移動剤としては、特に限定されるものではなく、例えばオクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル、ターピノーレン、四臭化炭素及びα−メチルスチレンダイマー等を挙げることができる。
(分散安定剤)
又、反応系中に重合性単量体等を適度に分散させておくために分散安定剤を使用することも可能である。分散安定剤としては、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ等を挙げることができる。更に、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム、エチレンオキサイド付加物、高級アルコール硫酸ナトリウム等の界面活性剤として一般的に使用されているものを分散安定剤として使用することができる。
(界面活性剤)
次に、界面活性剤について説明する。
前述の重合性単量体を使用して重合を行うためには、界面活性剤を使用して水系媒体中に油滴分散を行う必要がある。この際に使用することのできる界面活性剤としては特に限定されるものではないが、下記のイオン性界面活性剤を好適なものの例として挙げることができる。
イオン性界面活性剤としては、スルフォン酸塩(ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム、アリールアルキルポリエーテルスルホン酸ナトリウム、3,3−ジスルホンジフェニル尿素−4,4−ジアゾビス−アミノ−8−ナフトール−6−スルフォン酸ナトリウム、オルト−カルボキシベンゼン−アゾジメチルアニリン、2,2,5,5−テトラメチル−トリフェニルメタン−4,4−ジアゾ−ビス−β−ナフトール−6−スルフォン酸ナトリウム等)、硫酸エステル塩(ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム等)、脂肪酸塩(オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム等)が挙げられる。
又、ノニオン性界面活性剤も使用することができる。具体的には、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドの組み合わせ、ポリエチレングリコールと高級脂肪酸とのエステル、アルキルフェノールポリエチレンオキサイド、高級脂肪酸とポリエチレングリコールのエステル、高級脂肪酸とポリプロピレンオキサイドのエステル、ソルビタンエステル等を挙げることができる。
《トナーの製造方法》
次に、トナーの製造方法について説明する。
トナーの製造方法は、前記一般式(1)で表される化合物を含む重合性単量体を共重合して樹脂粒子を形成する工程、該樹脂粒子と着色剤粒子を凝集・融着する工程を有する。
本発明に係るトナーの製造方法の特徴は、樹脂粒子を形成する工程で重合開始剤を添加した後、少なくとも2回以上重合反応を進行させ、重合の後期に、追加で油溶性の重合開始剤を添加して重合を完結することである。
前述のように、重合の初期に加えた重合開始剤が十分消費されてから、追加で油溶性の重合開始剤を添加することで残存する重合性単量体を少なくすることができる。
更に、追加で油溶性の重合開始剤を添加してからも、一定時間温度を保つことで穏やかに重合が行われ、その後、高温にすることで、系内に残存している重合開始剤を全て分解してしまうとともに、重合開始剤を急速に分解することで更に未反応モノマーの反応を促進することが可能となる。
重合開始剤の量を従来通りにすると、オリゴマーレベルでの重合を促進し、結果として、耐熱保存性に悪影響を及ぼす。このため、重合開始剤総量を抑制しつつ、重合初期に加えた重合開始剤が十分消費されてから、追加の重合開始剤を添加することで、重合を望ましい状態で進めることが可能になる。
重合率は、前述する(重合率の測定)方法により算出することができる。
以下に、多層構造樹脂粒子(コア・シェル構造粒子)を例にトナーの製造方法を説明する。
具体的には、以下のような工程を経て作製することができる。
(1)離型剤を重合性単量体に溶解或いは分散する溶解/分散工程
(2)重合性単量体を重合して樹脂粒子の分散液を作製する重合工程
(3)水系媒体中で樹脂粒子と着色剤粒子を凝集・融着させてコア粒子(会合粒子)を得る凝集・融着工程
(4)コア粒子を熱エネルギーにより熟成して形状を調整する第1の熟成工程
(5)コア粒子分散液中に、シェル用の樹脂粒子を添加してコア粒子表面にシェル用粒子を凝集・融着させてコア・シェル構造の着色粒子を形成するシェル化工程
(6)コア・シェル構造の着色粒子を熱エネルギーにより熟成して、コア・シェル構造の着色粒子の形状を調整する第2の熟成工程
(7)冷却された着色粒子分散液から着色粒子を固液分離し、当該着色粒子から界面活性剤等を除去する洗浄工程
(8)洗浄処理された着色粒子を乾燥する乾燥工程
又、必要に応じて乾燥工程の後に、
(9)乾燥処理された着色粒子に外添剤を添加する工程
以下、各工程について説明する。
(1)溶解/分散工程
この工程では、ラジカル重合性単量体に離型剤化合物を溶解させて、離型剤化合物を混合したラジカル重合性単量体溶液を作製する工程である。
(2)重合工程
この重合工程の好適な一例においては、臨界ミセル濃度(CMC)以下の界面活性剤を含有した水系媒体中に、ワックスを溶解或いは分散含有したラジカル重合性単量体溶液を添加し、機械的エネルギーを加えて液滴を形成させ、次いで水溶性の重合開始剤を添加し、重合初期に加えた水溶性の重合開始剤が十分消費されてから、油溶性の重合開始剤を追加添加することで、重合を望ましい状態で進める。
このような重合工程においては、機械的エネルギーを付与して強制的に乳化(液滴の形成)処理が必須となる。かかる機械的エネルギーの付与手段としては、ホモミキサー、超音波、マントンゴーリン等の強い撹拌又は超音波振動エネルギーの付与手段を挙げることができる。
この重合工程により、ワックスと結着樹脂とを含有する樹脂粒子が得られる。かかる樹脂粒子は、着色された微粒子であってもよく、着色されていない微粒子であってもよい。着色された樹脂粒子は、着色剤を含有する単量体組成物を重合処理することにより得られる。又、着色されていない樹脂粒子を使用する場合には、後述する凝集・融着工程において、樹脂粒子の分散液に、着色剤粒子の分散液を添加し、樹脂粒子と着色剤粒子とを融着させることで着色粒子とすることができる。
重合温度は、重合開始剤の最低ラジカル生成温度以上であればどの温度を選択してもよいが、例えば50〜90℃の範囲が用いられる。ただし、常温開始の重合開始剤、例えば過酸化水素−還元剤(アスコルビン酸)の組み合わせを用いることで室温又はそれ以上の温度で重合することも可能である。
一般式(1)で表される重合性単量体は、一般的に反応性が低く未反応のまま反応系内に残存する可能性が高いため、この重合工程時における、重合開始剤の添加方法によって制御することが可能である。
未反応の重合性単量体を低減させるには、重合後期に油溶性の重合開始剤を添加する。その際の添加量は、重合開始剤総量の10質量%以上が好ましい。
更に、未反応の一般式(1)で表される化合物の重合反応を促進させるため、油溶性の重合開始剤を添加後、温度を上昇することが好ましい。
上記工程を経ることにより、一般式(1)で表される化合物の揮発量をトナーに対して1〜500ppmに制御できる。
芳香族系カルボン酸、脂肪族カルボン酸、脂肪族アルコールより選択される化合物は、油溶性の重合開始剤の量や種類により1〜1000ppmに制御することができる。
(3)凝集・融着工程
凝集・融着の方法としては、重合工程により得られた樹脂粒子(着色又は非着色の樹脂粒子)を用いた塩析/融着する方法が好ましい。又、凝集・融着工程においては、樹脂粒子や着色剤粒子とともに、ワックス微粒子や荷電制御剤等の内添剤微粒子を凝集・融着させることができる。
尚、ここでいう「塩析/融着」とは、凝集と融着を並行して進め、所望の粒子径まで成長したところで、凝集停止剤を添加して粒子成長を停止させ、更に、必要に応じて粒子形状を制御するための加熱を継続して行うことをいう。
前記凝集・融着工程における「水系媒体」とは、主成分(50質量%以上)が水からなるものをいう。ここに、水以外の成分としては、水に溶解する有機溶媒を挙げることができ、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
着色剤粒子は、着色剤を水系媒体中に分散することにより作製することができる。着色剤の分散処理は、水中で界面活性剤濃度を臨界ミセル濃度(CMC)以上にした状態で行われる。着色剤の分散処理に使用する分散機は特に限定されないが、好ましくは超音波分散機、機械的ホモジナイザー、マントンゴーリンや圧力式ホモジナイザー等の加圧分散機、サンドグラインダー、ゲッツマンミルやダイヤモンドファインミル等の媒体型分散機が挙げられる。又、使用される界面活性剤としては、前述の界面活性剤と同様のものを挙げることができる。尚、着色剤(微粒子)は表面改質されていてもよい。着色剤の表面改質法は、溶媒中に着色剤を分散させ、その分散液中に表面改質剤を添加し、この系を昇温することにより反応させる。反応終了後、着色剤を濾別し、同一の溶媒で洗浄濾過を繰り返した後、乾燥することにより、表面改質剤で処理された着色剤(顔料)が得られる。
好ましい凝集・融着方法である塩析/融着法は、樹脂粒子と着色剤粒子とが存在している水中に、アルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩及び3価の塩等からなる塩析剤を臨界凝集濃度以上の凝集剤として添加し、次いで、前記樹脂粒子のガラス転移点以上であって、且つ前記混合物の融解ピーク温度以上に加熱することで塩析を進行させると同時に融着を行う工程である。ここで、塩析剤であるアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩は、アルカリ金属として、リチウム、カリウム、ナトリウム等が挙げられ、アルカリ土類金属として、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等が挙げられ、好ましくはカリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウムが挙げられる。
凝集・融着を塩析/融着で行う場合、塩析剤を添加した後に放置する時間をできるだけ短くすることが好ましい。この理由として明確ではないが、塩析した後の放置時間によって、粒子の凝集状態が変動し、粒径分布が不安定になったり、融着させたトナーの表面性が変動したりする問題が発生する。又、塩析剤を添加する温度としては少なくとも樹脂粒子のガラス転移点以下であることが必要である。この理由としては、塩析剤を添加する温度が樹脂粒子のガラス転移点以上であると樹脂粒子の塩析/融着は速やかに進行するものの、粒径の制御を行うことができず、大粒径の粒子が発生したりする問題が発生する。この添加温度の範囲としては樹脂のガラス転移点以下であればよいが、一般的には20〜45℃が好ましい。
又、塩析剤を樹脂粒子のガラス転移点以下で加え、その後にできるだけ速やかに昇温し、樹脂粒子のガラス転移点以上であって、且つ、前記混合物の融解ピーク温度(℃)以上の温度に加熱する。この昇温までの時間としては1時間未満が好ましい。更に、昇温を速やかに行う必要があるが、昇温速度としては、0.25℃/分以上が好ましい。上限としては特に明確ではないが、瞬時に温度を上げると塩析が急激に進行するため、粒径制御がやりにくいという問題があり、5℃/分以下が好ましい。この融着工程により、樹脂粒子及び任意の微粒子が塩析/融着されてなる会合粒子(コア粒子)の分散液が得られる。
(4)第1の熟成工程
そして、本発明では、凝集・融着工程の加熱温度や特に第1の熟成工程の加熱温度と時間の制御することにより、粒径が一定で分布が狭く形成したコア粒子表面が平滑だが均一な形状を有するものになるように制御する。具体的には、凝集・融着工程で加熱温度を低めにして樹脂粒子同士の融着の進行を抑制させて均一化を促進させ、第1の熟成工程で加熱温度を低めに、且つ、時間を長くしてコア粒子の表面が均一な形状のものに制御する。
(5)シェル化工程
シェル化工程では、コア粒子分散液中にシェル用の樹脂粒子分散液を添加してコア粒子表面にシェル用の樹脂粒子を凝集・融着させ、コア粒子表面にシェル用の樹脂粒子を被覆させて着色粒子を形成する。
具体的には、コア粒子分散液は上記凝集・融着工程及び第1の熟成工程での温度を維持した状態でシェル用樹脂粒子の分散液を添加し、加熱撹拌を継続しながら数時間かけてゆっくりとシェル用樹脂粒子をコア粒子表面に被覆させて着色粒子を形成する。加熱撹拌時間は、1〜7時間が好ましく、3〜5時間が特に好ましい。
(6)第2の熟成工程
シェル化により着色粒子が所定の粒径になった段階で塩化ナトリウム等の停止剤を添加して粒子成長を停止させ、その後もコア粒子に付着させたシェル用樹脂粒子を融着させるために数時間加熱撹拌を継続する。そして、シェル化工程ではコア粒子表面に厚さが100〜300nmのシェルを形成する。このようにして、コア粒子表面に樹脂粒子を固着させてシェルを形成し、丸みを帯び、しかも形状の揃った着色粒子が形成される。
第2の熟成工程の時間を長めに設定したり、熟成温度を高めに設定したりすることで着色粒子の形状を真球方向に制御することが可能である。
(7)冷却工程・固液分離・洗浄工程
この工程は、前記着色粒子の分散液を冷却処理(急冷処理)する工程である。冷却処理条件としては、1〜20℃/minの冷却速度で冷却する。冷却処理方法としては特に限定されるものではなく、反応容器の外部より冷媒を導入して冷却する方法や、冷水を直接反応系に投入して冷却する方法を例示することができる。
この固液分離・洗浄工程では、上記の工程で所定温度まで冷却された着色粒子の分散液から当該着色粒子を固液分離する固液分離処理と、固液分離されたトナーケーキ(ウエット状態にある着色粒子をケーキ状に凝集させた集合物)から界面活性剤や塩析剤等の付着物を除去する洗浄処理とが施される。ここに、濾過処理方法としては、遠心分離法、ヌッチェ等を使用して行う減圧濾過法、フィルタープレス等を使用して行う濾過法等特に限定されるものではない。
(8)乾燥工程
この工程は、洗浄処理されたケーキを乾燥処理し、乾燥された着色粒子を得る工程である。この工程で使用される乾燥機としては、スプレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機等を挙げることができ、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動層乾燥機、回転式乾燥機、撹拌式乾燥機等を使用することが好ましい。乾燥された着色粒子の水分は、5質量%以下であることが好ましく、更に好ましくは2質量%以下とされる。尚、乾燥処理された着色粒子同士が、弱い粒子間引力で凝集している場合には、当該凝集体を解砕処理してもよい。ここに、解砕処理装置としては、ジェットミル、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル、フードプロセッサー等の機械式の解砕装置を使用することができる。
(9)外添処理工程
この工程は、乾燥された着色粒子に外添剤を混合し、トナーを作製する工程である。
外添剤の混合装置としては、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル等の機械式の混合装置を使用することができる。
(樹脂粒子の径)
樹脂粒子の質量平均粒径(分散粒子径)は、10〜1000nmの範囲にあることが好ましく、更に好ましくは30〜300nmである。
この質量平均粒径は、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子社製)を用いて測定される。
(トナー粒子の径)
本発明のトナーの粒子径は、体積基準におけるメディアン径(D50)3〜8μmのものが好ましい。この粒子径では、高画質に対応した画質の再現性が望めるからである。
トナーの体積基準におけるメディアン径(D50)の測定は、コールターマルチサイザー3(ベックマン・コールター製)に、データ処理用のコンピューターシステム(ベックマン・コールター製)を接続した装置を用いて測定、算出して求めることができる。
測定手順としては、トナー0.02gを、界面活性剤溶液20ml(トナーの分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)で馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、トナー分散液を作製する。このトナー分散液を、サンプルスタンド内のISOTONII(ベックマン・コールター製)の入ったビーカーに、測定器表示濃度が5%〜10%になるまでピペットにて注入する。この濃度範囲にすることにより、再現性のある測定値が得られる。測定機において、測定粒子カウント数を25000個、アパチャー径を50μmにし、測定範囲である1〜30μmの範囲を256分割しての頻度値を算出する。体積積算分率が大きい方から50%の粒子径を体積基準におけるメディアン径とする。
《現像剤》
本発明のトナーは、一成分現像剤、非磁性一成分現像剤、二成分現像剤として用いることができる。
一成分現像剤として用いる場合は、非磁性一成分現像剤或いはトナー中に0.1〜0.5μm程度の磁性粒子を含有させ磁性一成分現像剤としたものが挙げられ、何れにも使用することができる。又、キャリアと混合して二成分現像剤として用いることができる。この場合は、キャリアの磁性粒子として、鉄、フェライト、マグネタイト等の鉄含有磁性粒子に代表される、従来から公知の材料を用いることができるが、特に好ましくはフェライト粒子もしくはマグネタイト粒子である。上記キャリアの体積平均粒径は15〜100μmのものが好ましく、20〜80μmのものがより好ましい。
キャリアの体積基準におけるメディアン径(D50)の測定は、レーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)を用いて測定することができる。
キャリアは、磁性粒子が更に樹脂により被覆されているコーティングキャリア、或いは樹脂中に磁性粒子を分散させたいわゆる樹脂分散型キャリアが好ましい。コーティング用の樹脂組成としては、特に限定はないが、例えば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル系樹脂或いはフッ素含有重合体系樹脂等が用いられる。又、樹脂分散型キャリアを構成するための樹脂としては特に限定されず、公知のものを使用することができ、例えば、スチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、フェノール樹脂等を使用することができる。
又、キャリアとトナーの混合比は、質量比でキャリア:トナー=1:1〜50:1の範囲が好ましい。
《画像形成方法及び画像形成装置》
次に、本発明のトナーが使用可能な画像形成方法、画像形成装置について説明する。本発明のトナーは、例えば、プリント速度が300mm/sec(A4判用紙に換算して65枚/分の出力性能)レベル以上の高速のフルカラー画像形成装置に使用されることが好ましい。具体的には、短時間で大量の文書をオン・デマンドに作成ことが可能なプリンター等が挙げられる。又、本発明では、定着ローラの温度を150℃以下、好ましくは130℃以下の温度にする画像形成方法に適用することも可能である。
図1は、本発明のトナーを使用することが可能な画像形成装置の一例を示す概略図である。
図1において、1Y、1M、1C、1Kは感光体、4Y、4M、4C、4Kは現像装置、5Y、5M、5C、5Kは1次転写手段としての1次転写ロール、5Aは2次転写手段としての2次転写ロール、6Y、6M、6C、6Kはクリーニング装置、7は中間転写体ユニット、24は熱ロール式定着装置、70は中間転写体を示す。
この画像形成装置は、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるもので、複数組の画像形成部10Y、10M、10C、10Kと、転写部としての無端ベルト状中間転写体ユニット7と、記録部材Pを搬送する無端ベルト状の給紙搬送手段21及び定着手段としての熱ロール式定着装置24とを有する。画像形成装置の本体Aの上部には、原稿画像読み取り装置SCが配置されている。
各感光体に形成される異なる色のトナー像の1つとして、イエロー色の画像を形成する画像形成部10Yは、第1の感光体としてのドラム状の感光体1Y、該感光体1Yの周囲に配置された帯電手段2Y、露光手段3Y、現像手段4Y、1次転写手段としての1次転写ロール5Y、クリーニング手段6Yを有する。又、別の異なる色のトナー像の1つとして、マゼンタ色の画像を形成する画像形成部10Mは、第1の感光体としてのドラム状の感光体1M、該感光体1Mの周囲に配置された帯電手段2M、露光手段3M、現像手段4M、1次転写手段としての1次転写ロール5M、クリーニング手段6Mを有する。又、更に別の異なる色のトナー像の1つとして、シアン色の画像を形成する画像形成部10Cは、第1の感光体としてのドラム状の感光体1C、該感光体1Cの周囲に配置された帯電手段2C、露光手段3C、現像手段4C、1次転写手段としての1次転写ロール5C、クリーニング手段6Cを有する。又、更に他の異なる色のトナー像の1つとして、黒色画像を形成する画像形成部10Kは、第1の感光体としてのドラム状の感光体1K、該感光体1Kの周囲に配置された帯電手段2K、露光手段3K、現像手段4K、1次転写手段としての1次転写ロール5K、クリーニング手段6Kを有する。
無端ベルト状中間転写体ユニット7は、複数のロールにより巻回され、回動可能に支持された中間転写エンドレスベルト状の第2の像担持体としての無端ベルト状中間転写体70を有する。
画像形成部10Y、10M、10C、10Kより形成された各色の画像は、1次転写ロール5Y、5M、5C、5Kにより、回動する無端ベルト状中間転写体70上に逐次転写されて、合成されたカラー画像が形成される。給紙カセット20内に収容された転写材として用紙等の記録部材Pは、給紙搬送手段21により給紙され、複数の中間ロール22A、22B、22C、22D、レジストロール23を経て、2次転写手段としての2次転写ロール5Aに搬送され、記録部材P上にカラー画像が一括転写される。カラー画像が転写された記録部材Pは、熱ロール式定着装置24により定着処理され、排紙ロール25に挟持されて機外の排紙トレイ26上に載置される。
一方、2次転写ロール5Aにより記録部材Pにカラー画像を転写した後、記録部材Pを曲率分離した無端ベルト状中間転写体70は、クリーニング手段6Aにより残留トナーが除去される。
画像形成処理中、1次転写ロール5Kは常時、感光体1Kに圧接している。他の1次転写ロール5Y、5M、5Cはカラー画像形成時にのみ、それぞれ対応する感光体1Y、1M、1Cに圧接する。
2次転写ロール5Aは、ここを記録部材Pが通過して2次転写が行われるときにのみ、無端ベルト状中間転写体70に圧接する。
又、装置本体Aから筐体8を支持レール82L、82Rを介して引き出し可能にしてある。
筐体8は、画像形成部10Y、10M、10C、10Kと、無端ベルト状中間転写体ユニット7とを有する。
画像形成部10Y、10M、10C、10Kは、垂直方向に縦列配置されている。感光体1Y、1M、1C、1Kの図示左側方には無端ベルト状中間転写体ユニット7が配置されている。無端ベルト状中間転写体ユニット7は、ロール71、72、73、74、76を巻回して回動可能な無端ベルト状中間転写体70、1次転写ロール5Y、5M、5C、5K及びクリーニング手段6Aとからなる。
筐体8の引き出し操作により、画像形成部10Y、10M、10C、10Kと、無端ベルト状中間転写体ユニット7とは、一体となって、本体Aから引き出される。
このように感光体1Y、1M、1C、1K上に帯電、露光、現像によりトナー像を形成し、無端ベルト状中間転写体70上で各色のトナー像を重ね合わせ、一括して記録部材Pに転写し、定着装置24で加圧及び加熱により固定して定着する。トナー像を記録部材Pに転移させた後の感光体1Y、1M、1C、1Kは、クリーニング装置6Aで転写時に感光体に残されたトナーを清掃した後、上記の帯電、露光、現像のサイクルに入り、次の像形成が行われる。
図1において、1Y、1M、1C、1Kは感光体、4Y、4M、4C、4Kは現像手段、5Y、5M、5C、5Kは1次転写手段としての1次転写ロール、5Aは2次転写手段としての2次転写ロール、6Y、6M、6C、6Kはクリーニング手段、7は中間転写体ユニット、24は熱ロール式定着装置、70は中間転写体を示す。
本発明のトナーは、ガラス転移温度を20〜45℃とすることにより、現状の定着温度よりも低い温度でトナー画像の定着が行えるいわゆる低温定着対応の技術が採り入れられたものである。即ち、本発明のトナーで形成されたトナー画像が形成された転写材を、加熱ロール表面温度を90〜150℃とする条件下で定着処理を行っても、例えば、転写材を折り曲げた箇所でのトナーの定着性を評価するいわゆる折り目定着強度等が安定した結果が得られるものである。
本発明のトナーを低温定着対応の画像形成装置で使用したとき、定着装置における加熱部材の表面温度を上記範囲、特に、140℃未満、更に、加熱部材の表面温度を130℃未満に設定することが可能である。
具体的な定着装置の形態としては、図2に示す加熱ロールを用いた定着装置が挙げられる。又、本発明のトナーを使用する場合、定着装置には加熱部材から供給される熱を転写材に効率よく供給することが求められ、加熱部材或いは加圧部材の何れか一方に耐熱性のベルトを用いたいわゆるベルト定着と呼ばれる定着装置が好ましい。
図2は、加熱定着方式の定着装置(加圧ロールと加熱ロールを用いたタイプ)の一例を示す概略図である。
図2に示す定着装置24は、加熱ロール240と、これに当接する加圧ロール241とを備えている。尚、図2において、246は分離爪、Pはトナー画像17が形成された転写材(転写紙)である。
加熱ロール240aは、例えば、フッ素樹脂や弾性体からなる被覆層82が芯金240aの表面に形成されてなり、線状ヒーターよりなる加熱部材244を内包している。
芯金240は、金属から構成され、その内径は10〜70mmとされる。芯金240を構成する金属は、特に限定されるものではないが、例えば、鉄、アルミニウム、銅等の金属や、これらの合金を挙げることができる。
芯金240aの肉厚は0.1〜15mmとされ、省エネの要請(薄肉化)と、強度(構成材料に依存)とのバランスを考慮して決定することが好ましい。例えば、0.57mmの鉄よりなる芯金と同等の強度を、アルミニウムよりなる芯金で保持するためには、その肉厚を0.8mmとする必要がある。
被覆層240cの表面を構成するフッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)及びテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)などが挙げられる。
フッ素樹脂からなる被覆層240cの厚みは10〜500μmとされ、好ましくは20〜400μmとされる。
又、被覆層240cを構成する弾性体としては、LTV、RTV、HTVなどの耐熱性の良好なシリコンゴム及びシリコンスポンジゴムなどを用いることが好ましい。
被覆層240cを構成する弾性体のアスカーC硬度は、80°未満とされ、好ましくは60°未満とされる。
又、被覆層240cの厚みは0.1〜30mmが好ましく、0.1〜20mmがより好ましい。
加熱部材244としては、ハロゲンヒーターを好適に使用することができる。
加圧ロール250は、弾性体からなる被覆層250bが芯金250a表面に形成されてなる。被覆層250bを構成する弾性体は、特に限定されるものではなく、ウレタンゴム、シリコンゴムなどの各種軟質ゴム及びスポンジゴムが挙げられるが、この中でも、シリコンゴム及びシリコンスポンジゴムが好ましい。
被覆層250bの厚みは0.1〜30mmが好ましく、0.1〜20mmがより好ましい。
又、定着温度(加熱ロール240の表面温度)は定着時に転写材の温度を100℃前後にすることのできる温度で、後述する定着線速にもよるが、70〜180℃である。又、定着線速は80〜640mm/secが好ましく、加熱ロール240と加圧ロール250のニップ幅は8〜40mm、好ましくは11〜30mmに設定する。
尚、分離爪246は、加熱ロール240に熱定着された転写材が、加熱ロールに巻き付くのを防止するため設けられている。
図3は、加熱定着方式の定着装置(シームレスベルトと加熱ロールを用いたタイプ)の一例を示す概略図である。
図3に示す定着装置24は、ニップ幅を確保するためにベルトと加熱ロールを用いたタイプのもので、加熱ロール240とシームレスベルト241、及びシームレスベルト241を介して加熱ロール240に押圧される圧力パッド(圧力部材)242a、圧力パッド(圧力部材)242b、前記潤滑剤供給部材243とで主要部が構成されている。
加熱ロール240は、金属製のコア(円筒状芯金)240aの周囲に耐熱性弾性体層240b、及び離型層(耐熱性樹脂層)240cより形成され、コア240aの内部には加熱源としてハロゲンランプ244が配置されている。加熱ロール240の表面温度は温度センサー245により計測され、その計測信号に基づいて図示しない温度コントロールによりハロゲンランプ244がフィードバック制御され、加熱ロール240表面が一定温度になるように調整される。シームレスベルト241は、加熱ロール240に対し所定の角度で巻き付けられるように接触し、ニップ部を形成している。
シームレスベルト241の内側には、低摩擦層を表面に有する圧力パッド242がシームレスベルト241を介して加熱ロール240に押圧される状態で配置されている。圧力パッド242は、強いニップ圧がかかる圧力パッド242aと、弱いニップ圧がかかる圧力パッド242bとが設けられ、金属製等のホルダ242cに保持されている。
ホルダ242cには、シームレスベルト241がスムーズに摺動回転するようにベルト走行ガイドが取り付けられている。ベルト走行ガイドはシームレスベルト241内面と摺擦するため摩擦係数が低い部材が望ましく、且つ、シームレスベルト241から熱を奪いにくいように熱伝導の低い部材が好ましい。尚、シームレスベルト241の材質の具体例としては、例えばポリイミドが挙げられる。
本発明のトナーにより形成されたトナー画像17は、最終的に転写材P上に転写され、定着処理により、転写材上に固定されることにより画像形成が行われる。上記画像形成に使用される転写材Pは、トナー画像を保持する支持体で、通常画像支持体、記録材或いは転写紙と呼ばれるものである。具体的には薄紙から厚紙までの普通紙や上質紙、アート紙やコート紙等の塗工された印刷用紙、市販されている和紙やはがき用紙、OHP用のプラスチックフィルム、布等の各種転写材を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
以下に実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの態様に限定されるものではない。
《トナーの作製》
以下、トナーの作製について説明する。
〈樹脂粒子の作製〉
〔樹脂粒子1の作製〕
(1回目重合)
スチレン 209質量部
n−ブチルアクリレート 141質量部
メタクリル酸 25質量部
n−オクチルメルカプタン 5質量部
からなるモノマー混合液を、撹拌装置を取り付けたステンレス釜に入れ、そこにペンタエリスリト−ルテトラベヘン酸エステル100質量部を添加し、70℃に加温し溶解してモノマー溶液を作製した。
一方、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム2質量部をイオン交換水1350質量部に溶解させた界面活性剤溶液を70℃に加熱し、前記モノマー溶液に添加、混合した後、循環経路を有する機械式分散機CLEARMIX(エム・テクニック(株)製)により、70℃で30分間分散を行い、乳化分散液を作製した。
次いで、この乳化分散液に、過硫酸カリウム(水溶性の重合開始剤)11.3質量部をイオン交換水225質量部に溶解した重合開始剤溶液を添加し、この系を80℃にて1.5時間にわたり加熱撹拌することにより重合を行い、ラテックス(樹脂微粒子)を得た。これを「ラテックス1」とする。
(2回目重合(外層の形成))
上記のようにして得られたラテックス1に、過硫酸カリウム10質量部をイオン交換水190質量部に溶解させた開始剤溶液を添加し、80℃の温度条件下に、
スチレン 286.5質量部
n−ブチルアクリレート(n−BA) 192.7質量部
メタクリル酸 34.9質量部
n−オクチルメルカプタン 7.0質量部
からなるモノマー混合液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、GPCにて重合率を測定しながら重合を進行させ、重合率が90%になった時点で、ベンゾイルパーオキサイド(油溶性の重合開始剤)4.5質量部を添加し、この系を90℃にて1時間にわたり加熱撹拌することにより重合反応を終了させた後、28℃まで冷却しラテックスを得た。このラテックスを「樹脂粒子1(コア用ラテックス)」とする。
〔樹脂粒子2の作製〕
(1回目重合)
スチレン 199質量部
n−ブチルアクリレート 151質量部
メタクリル酸 25質量部
n−オクチルメルカプタン 5質量部
(2回目重合(外層の形成))
スチレン 272.3質量部
n−ブチルアクリレート 206.9質量部
メタクリル酸 34.9質量部
n−オクチルメルカプタン 7.0質量部
1回目重合及び2回目重合の組成比を上記のように変更した以外は樹脂粒子1の作製と同様にして「樹脂粒子2」を作製した。
〔樹脂粒子3の作製〕
(1回目重合)
スチレン 231質量部
2−エチルヘキシルアクリレート(n−EHA) 118質量部
メタクリル酸 25質量部
n−オクチルメルカプタン 5質量部
(2回目重合(外層の形成))
スチレン 316.9質量部
2−エチルヘキシルアクリレート 162.3質量部
メタクリル酸 34.9質量部
n−オクチルメルカプタン 7.0質量部
1回目重合及び2回目重合の組成比を上記のように変更した以外は樹脂粒子1の作製と同様にして「樹脂粒子3」を作製した。
〔樹脂粒子4の作製〕
(1回目重合)
スチレン 220質量部
n−ブチルアクリレート 130質量部
メタクリル酸 25質量部
n−オクチルメルカプタン 5質量部
(2回目重合(外層の形成))
スチレン 301.7質量部
n−ブチルアクリレート 177.5質量部
メタクリル酸 34.9質量部
n−オクチルメルカプタン 7.0質量部
1回目重合及び2回目重合の組成比を上記のように変更した以外は樹脂粒子1の作製と同様にして「樹脂粒子4」を作製した。
〔樹脂粒子5の作製〕
(1回目重合)
スチレン 220質量部
n−ブチルアクリレート 130質量部
メタクリル酸 25質量部
n−オクチルメルカプタン 5質量部
(2回目重合(外層の形成))
スチレン 301.7質量部
n−ブチルアクリレート 177.5質量部
メタクリル酸 34.9質量部
n−オクチルメルカプタン 7.0質量部
1回目重合及び2回目重合の組成比を上記のように変更し、ベンゾイルパーオキサイドを0.04質量部添加して樹脂粒子1の作製と同様にして「樹脂粒子5」を作製した。
〔樹脂粒子6の作製〕
(1回目重合)
スチレン 276質量部
ラウリルアクリレート 74質量部
メタクリル酸 25質量部
n−オクチルメルカプタン 5質量部
(2回目重合(外層の形成))
スチレン 377.8質量部
ラウリルアクリレート 101.4質量部
メタクリル酸 34.9質量部
n−オクチルメルカプタン 7.0質量部
1回目重合及び2回目重合の組成比を上記のように変更した以外は樹脂粒子1の作製と同様にして「樹脂粒子6」を作製した。
〔樹脂粒子7の作製〕
(1回目重合)
スチレン 183質量部
n−ブチルアクリレート 167質量部
メタクリル酸 25質量部
n−オクチルメルカプタン 5質量部
(2回目重合(外層の形成))
スチレン 251.0質量部
n−ブチルアクリレート 228.2質量部
メタクリル酸 34.9質量部
n−オクチルメルカプタン 7.0質量部
1回目重合及び2回目重合の組成比を上記のように変更した以外は樹脂粒子1の作製と同様にして「樹脂粒子7」を作製した。
〔樹脂粒子8の作製〕
2回目重合の後期に、添加する重合開始剤を添加しなかった以外は樹脂粒子1の作製と同様にして「樹脂粒子8」を作製した。
〔樹脂粒子9の作製〕
2回目重合の後期に、添加する重合開始剤を過硫酸カリウム3.0質量部に変更した以外は樹脂粒子1の作製と同様にして「樹脂粒子9」を作製した。
〔樹脂粒子10の作製〕
(1回目重合)
スチレン 294質量部
ラウリルアクリレート 55質量部
メタクリル酸 25質量部
n−オクチルメルカプタン 5質量部
(2回目重合(外層の形成))
スチレン 403.1質量部
ラウリルアクリレート 76.1質量部
メタクリル酸 34.9質量部
n−オクチルメルカプタン 7.0質量部
1回目重合及び2回目重合の組成比を上記のように変更した以外は樹脂粒子1の作製と同様にして「樹脂粒子10」を作製した。
〔樹脂粒子11の作製〕
(1回目重合)
スチレン 294質量部
n−ブチルアクリレート 56質量部
メタクリル酸 25質量部
n−オクチルメルカプタン 5質量部
(2回目重合(外層の形成))
スチレン 403.1質量部
n−ブチルアクリレート 76.1質量部
メタクリル酸 34.9質量部
n−オクチルメルカプタン 7.0質量部
1回目重合及び2回目重合の組成比を上記のように変更した以外は樹脂粒子1の作製と同様にして「樹脂粒子11」を作製した。
〔樹脂粒子12の作製〕
(1回目重合)
スチレン 165質量部
n−ブチルアクリレート 185質量部
メタクリル酸 25質量部
n−オクチルメルカプタン 5質量部
(2回目重合(外層の形成))
スチレン 225.7質量部
n−ブチルアクリレート 253.6質量部
メタクリル酸 34.9質量部
n−オクチルメルカプタン 7.0質量部
1回目重合及び2回目重合の組成比を上記のように変更した以外は樹脂粒子1の作製と同様にして「樹脂粒子12」を作製した。
〔樹脂粒子13の作製〕
(1回目重合)
スチレン 255質量部
n−ブチルアクリレート 94質量部
メタクリル酸 25質量部
n−オクチルメルカプタン 5質量部
(2回目重合(外層の形成))
スチレン 349.9質量部
n−ブチルアクリレート 129.3質量部
メタクリル酸 34.9質量部
n−オクチルメルカプタン 7.0質量部
1回目重合及び2回目重合の組成比を上記のように変更し、ベンゾイルパーオキサイドを10質量部添加した以外は樹脂粒子1の作製と同様にして「樹脂粒子13」を作製した。
〔樹脂粒子14の作製〕
(1回目重合)
スチレン 242質量部
n−ブチルアクリレート 107質量部
メタクリル酸 25質量部
n−オクチルメルカプタン 5質量部
(2回目重合(外層の形成))
スチレン 332.2質量部
n−ブチルアクリレート 147.1質量部
メタクリル酸 34.9質量部
n−オクチルメルカプタン 7.0質量部
1回目重合及び2回目重合の組成比を上記のように変更し、ベンゾイルパーオキサイドを10質量部添加して樹脂粒子1の作製と同様にして「樹脂粒子14」を作製した。
〈シェル用樹脂粒子の作製〉
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けたステンレス釜(SUS釜)に、ドデシル硫酸ナトリウム8質量部をイオン交換水3000質量部に溶解させた界面活性剤溶液を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、液温80℃に昇温した。
この界面活性剤溶液に、過硫酸カリウム10質量部をイオン交換水200質量部に溶解した重合開始剤溶液を添加し、温度を80℃とした後、下記モノマー混合液を100分かけて滴下し、この系を80℃にて2時間にわたり加熱、撹拌することにより重合を行い、「シェル用樹脂粒子」を作製した。
スチレン 570質量部
n−ブチルアクリレート 165質量部
メタクリル酸 70質量部
n−オクチルメルカプタン 5.5質量部
〈トナー1の作製〉
(着色剤粒子分散液1の作製)
ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム90質量部をイオン交換水1600質量部に撹拌溶解した。この溶液を撹拌しながら、カーボンブラック「リーガル330」(キャボット社製)400質量部を徐々に添加し、次いで、撹拌装置「クレアミックス」(エム・テクニック社製)を用いて分散処理を行い、着色剤粒子分散液1を作製した。
(凝集・融着工程)(コア粒子1の作製)
420.7質量部(固形分換算)の「樹脂粒子1」と、イオン交換水900質量部と、「着色剤粒子分散液1」200質量部とを、温度センサー、冷却管、窒素導入装置、撹拌装置を取り付けた反応容器に入れて撹拌した。容器内の温度を30℃に調整した後、この溶液に5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを8〜11に調整した。
次いで、塩化マグネシウム・6水和物2質量部をイオン交換水1000質量部に溶解した水溶液を、撹拌下、30℃にて10分間かけて添加した。3分間放置した後に昇温を開始し、この系を60分間かけて65℃まで昇温した。コールターマルチサイザー3にて粒子径を確認しながら、体積基準におけるメディアン径(D50)が6.5μmになるまで凝集を進行させた時点で、塩化ナトリウム40.2質量部をイオン交換水1000質量部に溶解した水溶液を添加して粒径成長を停止させ、更に、熟成処理として液温度70℃にて1時間にわたり加熱撹拌することにより融着を継続させ、「コア粒子1」を作製した。
(シェル層の形成(シェリング操作))
次いで、65℃においてシェル用樹脂粒子を96質量部(固形分換算)添加し、更に塩化マグネシウム・6水和物2質量部をイオン交換水1000質量部に溶解した水溶液を、10分間かけて添加した後、70℃(シェル化温度)まで昇温し、1時間にわたり撹拌を継続し、コア粒子1の表面に、「シェル層用樹脂粒子1」を融着させた後、75℃で20分熟成処理を行い、シェル層を形成させた。
ここで、塩化ナトリウム40.2質量部を加え、8℃/分の条件で30℃まで冷却し、生成した融着粒子を濾過し、45℃のイオン交換水で繰り返し洗浄し、その後、40℃の温風で乾燥することにより、コア粒子表面にシェル層を有する体積基準におけるメディアン径(D50)6.6μmの「着色粒子1」を作製した。
(外添剤処理)
着色粒子1に疎水性シリカ(数平均一次粒径=12nm、疎水化度=68)を1質量%及び疎水性酸化チタン(数平均一次粒径=20nm、疎水化度=63)を1.2質量%添加し、ヘンシェルミキサーにより混合して「トナー1」を作製した。
〈トナー2〜15の作製〉
トナー1の作製において用いた樹脂粒子1を「樹脂粒子2〜15」に変更した以外は同様にして「トナー2〜15」を作製した。
表1に、トナーの作製に用いた一般式(1)で表される化合物、後期に添加する重合開始剤、一般式(1)で表される化合物の揮発量、芳香族カルボン酸、脂肪族カルボン酸、脂肪族アルコールより選択される化合物の含有量、Tg、Mw、Mw/Mnを示す。
Figure 2009258538
尚、一般式(1)で表される化合物の揮発量、芳香族カルボン酸、脂肪族カルボン酸、脂肪族アルコールより選択される化合物の含有量、Tg、Mw、Mw/Mnは、前記に記載の方法で測定して得られた値である。
《現像剤の作製》
次いで、上記で作製した各トナーに対して、シリコーン樹脂を被覆した体積平均粒径50μmのフェライトキャリアを混合し、それぞれトナー濃度が6質量%の「現像剤1〜15」を作製した。
《評価》
評価は、デジタルカラー複合機「bizhub PRO C500」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ製)を用い、上記で作製したトナーと現像剤を順番に装填し、プリントを行い、以下の項目について評価を行った。
プリントは、画像部が10%の画像(文字画像が7%、人物顔写真、ベタ白画像、ベタ黒画像がそれぞれ1/4等分にあるオリジナル画像)を用いて行った。尚、評価は◎及び○を合格とした。
〈低温定着性〉
低温定着性の評価は、20℃、55%RHの環境で、上記評価機の定着装置の加熱ローラ表面温度を、プリント用紙表面温度が80〜150℃の範囲内で、10℃刻みで変化するように変更し、各温度でトナー画像を定着してプリント画像を作製した。尚、プリント画像の作成に当たっては、プリント用紙としてはA4判サイズの上質紙(80g/m)を使用した。
定着して得られたプリント画像の定着強度を、「電子写真技術の基礎と応用:電子写真学会編」第9章1.4項に記載のメンディングテープ剥離法に準じた方法を用いて定着率により評価した。
具体的には、トナーの付着量が0.6mg/cmである2.54cm角のベタ黒プリント画像を作成した後、スコッチメンディングテープ(住友3M社製)で剥離する前後の画像濃度を測定し、画像濃度の残存率を定着率として求めた。
定着率が95%以上得られたプリント用紙表面温度を最低定着温度とする。尚、プリント用紙表面温度は非接触温度計で測定した。画像濃度は反射濃度計「RD−918」(マクベス社製)で測定した。
評価基準
◎:最低定着温度100℃未満での定着が可能
○:最低定着温度100℃以上、130℃未満での定着が可能
×:最低定着温度130℃以上での定着が可能。
〈転写抜け〉
転写抜けは、画像濃度0.4のハーフトーン画像を、A4判上質紙(64g/m)に100枚、両面プリントし、転写抜けによるホワイトスポットの発生を目視にて評価した。
評価基準
◎:全く転写抜けなし
○:プリント100枚当たり、裏面のみ1〜5個の転写抜けが存在するが、凝視しなければできないため実用上問題ない
×:プリント50枚当たり、表裏関係なく、5個以上の明瞭な転写抜けが存在し実用上問題あり。
〈ハーフトーン部の濃度むら〉
ハーフトーン部の濃度むらは、転写抜けの評価にてプリントした100枚目の画像を目視にて評価した。
評価基準
◎:濃度むらが認められない
○:かすかな濃度むらが確認されるが実用上問題なし
×:濃度むらが認められ実用上問題あり
〈画像形成時の臭気〉
軽印刷業に従事する10人にモニターになってもらい、1万枚プリント終了後の定着部における「臭気が気になる人の数、気にならない人の数」で評価した。
評価基準
◎:10人中8人以上が、臭気が気にならない
○:10人中6人以上が、多少臭気が気になるものの不快ではない
×:10人中5人以上が、臭気が気になり不快を訴えた。
〈耐熱保管性〉
各トナー100gを55℃、90%RHの条件下で24時間放置した後、目開き45μmのフルイで篩い、フルイ上に残った凝集物の量(割合)で耐熱保管性(トナーの保管安定性)を評価した。
評価基準
◎:フルイ上に残った量が、5質量%未満で凝集非常に少なく優良(断熱梱包材全く無しで夏場に輸送を行っても凝集物の発生なし)
○:フルイ上に残った量が、5〜30質量%で凝集量少なく良好(ダンボール梱包のみで夏場に輸送を行っても凝集物の発生なし)
×:フルイ上に残った量が、30質量%より多く、凝集量が多く実用上問題(保冷輸送の必要有り)。
表2に、評価結果を示す。
Figure 2009258538
表2より、実施例1〜7に用いた「トナー1〜7」は低温定着性と耐熱保管性、転写抜け、ハーフトーン部の濃度むら等の画像欠陥がなく、熱定着時に臭気がきにならず、耐熱保管性も問題ないことが判る。一方、比較例1〜8に用いた「トナー8〜15」は上記評価項目の何れかに問題があることが判る。
本発明のトナーを使用することが可能な画像形成装置の一例を示す概略図である。 加熱定着方式の定着装置(加圧ロールと加熱ロールを用いたタイプ)の一例を示す概略図である。 加熱定着方式の定着装置(シームレベルトと加熱ロールを用いたタイプ)の一例を示す概略図である。
符号の説明
1 感光体(感光体ドラム)
4 現像装置(トナーカートリッジ)
6 クリーニング装置
7 中間転写ベルト
10 画像形成部
24 定着装置
240 加熱ロール
241 シームレスベルト
P 転写材(記録材)

Claims (3)

  1. 下記一般式(1)で表される化合物を含む重合性単量体を共重合して得られる樹脂を有する静電荷像現像用トナーにおいて、
    該一般式(1)で表される化合物が該樹脂に対し組成比で20〜45質量%であり、
    該一般式(1)で表される化合物の揮発量が該静電荷像現像用トナーに対して1〜500ppmであり、
    芳香族カルボン酸、脂肪族カルボン酸、脂肪族アルコールより選択される化合物を1〜1000ppm含有し、
    且つ、ガラス転移点が20〜45℃であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
    一般式(1) HC=CR−COOR
    (式中、RはH、又はCH、Rは炭素数が3〜22の長鎖アルキル基、又は環状アルキル基を表す。)
  2. 前記樹脂の重量平均分子量(Mw)が10000〜50000、Mw/Mnが1.5〜4であることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
  3. 下記一般式(1)で表される化合物を含む重合性単量体を共重合して樹脂粒子を重合する工程、該樹脂粒子と着色剤粒子を凝集・融着する工程を有する静電荷像現像用トナーの製造方法において、
    該重合する工程では、n回の重合反応を行い(ただし、nは2以上の整数)、
    重合開始剤が2回以上に分割して添加され、
    n回目の重合反応の後期に、油溶性の重合開始剤を添加することを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
    一般式(1) HC=CR−COOR
    (式中、RはH、又はCH、Rは炭素数が3〜22の長鎖アルキル基、又は環状アルキル基を表す。)
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