本発明は、ワックスを含有するオイルレストナーを用いた画像形成方法に関する。本発明では、トナーの表面抵抗率をワックス単体の表面抵抗率よりも小さくすることで、両面プリント時に裏面側での濃度ムラなどの画像不良の発生を防ぐことを可能にした。これは、ワックスの表面抵抗率をトナーの表面抵抗率よりも大きくすることにより、おもて面に均一に形成されているワックス層の存在により、裏面の電荷分布が均一化されてムラのない均一な転写が行えるようになったものと推測される。
すなわち、定着後にトナーあるいは定着装置を介しておもて面に均一なワックス層が形成される。このとき、紙面上にトナー層が存在する領域としない領域が形成されるが、ワックス層の抵抗率が紙面上で支配的になるようにトナー層よりも高くすることにより、紙面上の抵抗率の分布を均一化させる。そして、抵抗率の分布を均一化することで、裏面側に電荷が付与されたときに均一な電荷の分布が得られる結果、転写性能にばらつきが生じなくなると推測される。
以下、本発明について詳細に説明する。
最初に、本発明に係る画像形成方法に使用されるトナーについて説明する。本発明に使用されるトナーは、ワックスを含有するものであり、また、トナーの表面抵抗率をρt、トナーに含有されるワックスの表面抵抗率をρwとしたときに、ρt/ρw<1の関係を有するものである。
図1に本発明に使用されるトナーの構造を示す。図1に示すトナーは、樹脂の連続相(海)中にワックスの相が孤立した相(島)として存在するいわゆる海島構造を有するものである。図1(a)と(b)は、樹脂の連続相中にワックス相が存在する海島構造のトナーの模式図である。
本発明に使用されるトナーの構造は、透過型電子顕微鏡で撮影された断面写真により確認される。すなわち、透過型電子顕微鏡(TEM)により、樹脂の連続相中(樹脂相)に輝度の異なる着色剤相や前述したワックス相が島状に存在することが確認される。
トナーの構造を観察する透過型電子顕微鏡装置としては、例えば「LEM−2000型(トプコン社製)」等が挙げられる。
透過型電子顕微鏡によるトナーの撮影は、たとえば、常温硬化性のエポキシ樹脂中にトナーを十分分散させた後、包埋し硬化させて、粒径100nm程度のスチレン微粉末に分散させた後加圧成形する。この時、必要により得られたブロックを四三酸化ルテニウムや四三酸化オスミウムを併用して染色処理を施すことも可能である。加圧成形後、ダイヤモンド歯を備えたミクロトームを用いて薄片状のサンプルを切り出し透過型電子顕微鏡(TEM)に装填してトナーの断層形態を写真撮影する。
本発明に使用されるトナーは、ワックスを内蔵するいわゆるオイルレストナーと呼ばれるトナーである。ワックスは前述した表面抵抗率の関係を満足するものであれば、特に限定されるものではなく、公知のワックスを使用することが可能である。
具体的には、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ポリブチレンワックスなどのポリオレフィンワックス、パラフィンワックス、サゾールワックスなどの長鎖炭化水素系ワックス、ジステアリルケトンなどのジアルキルケトン系ワックス、カルナウバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラミリステート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなどのエステル系ワックス、エチレンジアミンジベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミドなどのアミド系ワックスなどが挙げられる。
ワックスの融点は、通常40〜160℃であり、好ましくは50〜120℃、さらに好ましくは60〜90℃である。融点を上記範囲内にすることにより、トナーの耐熱保存性が確保されるとともに、低温で定着を行う場合でもコールドオフセットなどを起こさずに安定したトナー画像形成が行える。また、トナー中のワックス含有量は、10質量%〜30質量%が好ましい。
本発明に使用されるトナー及びワックスの表面抵抗率は、以下の手順に示すように、トナーあるいはワックスを加圧して測定試料を作成し、熱をかけずに圧力のみで成形した測定試料により測定される。
(1)トナーまたはワックスを加圧成形機に投入し、圧力を加えて直径80mm、厚さ2mmの円板状の測定試料を作製する。
(2)対向電極上に作製した試料を載置し、さらに、試料上にJIS−K6911に準拠するHRプローブ(直径50mm)を載置する。
(3)対向電極、プローブを微小電流計(デジタル超高抵抗/微小電流計「R8340A」(アドバンテスト社製)を使用)に接続し、500Vの電圧を対向電極とプローブの間に印加する。なお、測定環境は、温度23℃、湿度45%とする。
加圧成形機はトナーやワックスなどの粉末試料を円板状に加圧成形する装置で、高密度の測定試料を作製するものである。
図2に、加圧成形機により作製された測定試料の外形(a)と測定状態(b)を示す。
次に、本発明に使用されるトナーを構成する樹脂について説明する。
本発明に使用されるトナーを構成する樹脂の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されるものではなく、公知のトナーを構成する結着樹脂と同程度の重量平均分子量(Mw)を有するものである。
本発明に使用されるトナーを構成する樹脂の分子量は、たとえば、THF(テトラヒドロフラン)を溶媒としたGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて測定することが可能である。
GPC(ゲルパーミエイションクロマトグラフィー)法による樹脂の分子量の測定方法は、先ず、濃度1mg/mlとなるように測定試料をテトラヒドロフラン(THF)に溶解させる。溶解条件は、室温にて超音波分散機を用いて5分間行う。
次いで、ポアサイズ0.2μmのメンブランフィルターで処理を行った後、GPCへ10μl試料溶解液を注入する。
GPCの具体的な測定条件の例を下記に示す。
装置:HLC−8220(東ソー株式会社製)
カラム:TSKguardcolumn+TSKgelSuperHZM−M3連(東ソー株式会社製)
カラム温度:40℃
溶媒:テトラヒドロフラン(THF)
流速:0.2ml/min
検出器:屈折率検出器(RI検出器)
なお、試料の分子量測定では、試料の有する分子量分布を単分散のポリスチレン標準粒子を用いて測定した検量線を用いて算出する。検量線測定用のポリスチレンは10点用いた。
また、本発明に使用されるトナーは、体積基準メディアン径(体積D50%径)が3乃至8μmのものが好ましい。体積基準メディアン径はコールターマルチサイザーIII(ベックマン・コールター社製)に、データ処理用のコンピューターシステム(ベックマン・コールター社製)を接続した装置を用いて測定、算出することができる。
測定手順としては、トナー0.02gを、界面活性剤溶液20ml(トナーの分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)で馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、トナー分散液を作製する。このトナー分散液を、サンプルスタンド内のISOTONII(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定濃度5〜10%になるまでピペットにて注入し、測定機カウントを2500個に設定して測定する。尚、コールターマルチサイザーのアパチャ−径は50μmのものを使用した。
本発明に使用されるトナー及びワックスの軟化点は、フローテスターによる測定により算出することができる。具体的には、フローテスター「CFT−500」(島津製作所製)を用い、ダイスの細孔の径1mm、長さ1mm、荷重20kg/cm2、昇温速度6℃/min、昇温開始温度50℃の条件下で1cm3の試料を溶融流出させたときの流出開始点から流出終了点の高さの2分の1に相当する温度を軟化点とする。
次に、本発明に使用されるトナーの作製方法について説明する。
本発明に使用されるワックスを内蔵するトナーは、安定した帯電性能を発現させるためにトナー表面にワックスが露出せず、定着時に内蔵されたワックスが効率よく浸み出すことができる構造を有することが好ましい。すなわち、前述した図1(a)のような構造を有するトナーが好ましく、このようなトナーは、ワックスを含有する樹脂粒子を水系媒体中で凝集して粒子を形成する工程を経て作製することが可能である。
ワックスを含有する樹脂粒子を水系媒体中で凝集してトナー粒子を形成する代表的な方法としては、次の2つの方法が挙げられる。
(1)ワックスを溶解させた重合性単量体を重合して樹脂粒子を形成し、形成された樹脂粒子を水系媒体中で凝集する工程を経てトナーを作製する方法。
(2)樹脂粒子とワックス粒子とを水系媒体中で凝集させる工程を経てトナーを作製する方法。
以下、本発明に使用されるトナーの作製方法について、さらに説明する。
本発明に使用されるトナーは、例えば、上記(1)で述べたように、樹脂を形成する重合性単量体にワックスを溶解或いは分散させた後、水系媒体中に機械的に微粒分散させ、ミニエマルジョン重合法により重合性単量体を重合させて、ワックスを内蔵する複合樹脂粒子を形成する。そして、形成された複合樹脂粒子と着色剤粒子とを凝集させてトナーを形成する方法がある。この場合、重合性単量体中にワックス成分を溶かすとき、ワックス成分を溶解させて溶かしても溶融して溶かしてもよい。
また、上記(2)で述べたように、水系媒体中に機械的に微粒分散させた重合性単量体を重合させて樹脂粒子を形成し、形成された樹脂粒子と着色剤粒子、ワックス粒子を凝集させてトナーを形成する方法がある。
樹脂粒子の製造方法について、上記(1)の方法をメインにしてさらに説明する。
〔溶解/分散工程〕
この工程では、ラジカル重合性単量体にワックス化合物を溶解させて、ワックス化合物を混合したラジカル重合性単量体溶液を調製する工程である。なお、(2)の方法ではワックスを含有させずに、ラジカル重合性単量体を調製する。
〔重合工程〕
この重合工程の好適な一例においては、臨界ミセル濃度(CMC)以下の界面活性剤を含有した水系媒体中にラジカル重合性単量体溶液を添加し、機械的エネルギーを加えて液滴を形成させ、次いで水溶性のラジカル重合開始剤を添加し、当該液滴中で重合反応を進行させる。なお、前記液滴中に油溶性重合開始剤を含有させておいてもよい。このような重合工程においては、機械的エネルギーを付与して強制的に乳化(液滴の形成)処理が必須となる。かかる機械的エネルギーの付与手段としては、ホモミキサー、超音波、マントンゴーリンなどの強い攪拌または超音波振動エネルギーを付与する手段が挙げられる。
この重合工程により、(1)の場合にはワックスを含有する樹脂粒子が得られる。また、(2)の場合はワックスを含有しない樹脂粒子が得られる。ここで、作製された樹脂粒子は、着色された粒子であってもよい。着色された樹脂粒子は、着色剤を含有する単量体組成物を重合処理することにより得られる。また、着色されていない樹脂粒子を使用する場合は、後述する凝集・融着工程において、樹脂粒子の分散液に、着色剤粒子の分散液を添加して、樹脂粒子と着色剤粒子とを融着させることで着色粒子とすることができる。
また、(2)の場合は樹脂粒子分散液に着色粒子分散液とワックス粒子分散液を添加して、樹脂粒子と着色剤粒子、ワックス粒子を融着させることで着色粒子を形成することが可能である。
〔凝集・融着工程〕
凝集・融着工程における凝集、融着の方法は、重合工程により得られた樹脂粒子(着色又は非着色の樹脂粒子)を用いた塩析/融着法が好ましい。また、当該凝集・融着工程においては、樹脂粒子や着色剤粒子とともに、ワックス粒子や荷電制御剤などの内添剤微粒子を凝集、融着させることもできる。
前記凝集・融着工程における「水系媒体」とは、主成分(50質量%以上)が水からなるものをいう。ここに、水以外の成分としては、水に溶解する有機溶媒を挙げることができ、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。
着色剤粒子は、着色剤を水系媒体中に分散することにより調製することができる。着色剤の分散処理は、水中で界面活性剤濃度を臨界ミセル濃度(CMC)以上にした状態で行われる。着色剤の分散処理に使用する分散機は特に限定されないが、好ましくは超音波分散機、機械的ホモジナイザー、マントンゴーリンや圧力式ホモジナイザー等の加圧分散機、サンドグラインダー、ゲッツマンミルやダイヤモンドファインミル等の媒体型分散機が挙げられる。又、使用される界面活性剤としては、前述の界面活性剤と同様のものを挙げることができる。尚、着色剤(微粒子)は表面改質されていてもよい。着色剤の表面改質法は、溶媒中に着色剤を分散させ、その分子量液中に表面改質剤を添加し、この系を昇温することにより反応させる。反応終了後、着色剤を濾別し、同一の溶媒で洗浄濾過を繰り返した後、乾燥することにより、表面改質剤で処理された着色剤(顔料)が得られる。
また、ワックス粒子分散液も着色剤粒子分散液と同様の手順で作製することが可能である。
好ましい凝集、融着方法である塩析/融着法は、樹脂微粒子と着色剤微粒子とが存在している水中に、アルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩及び3価の塩等からなる塩析剤を臨界凝集濃度以上の凝集剤として添加し、次いで、前記樹脂微粒子のガラス転移点以上であって、且つ前記混合物の融解ピーク温度(℃)以上の温度に加熱することで塩析を進行させると同時に融着を行う工程である。ここで、塩析剤であるアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩は、アルカリ金属として、リチウム、カリウム、ナトリウム等が挙げられ、アルカリ土類金属として、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどが挙げられ、好ましくはカリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウムが挙げられる。
凝集、融着を塩析/融着で行う場合、塩析剤を添加した後に放置する時間をできるだけ短くすることが好ましい。この理由として明確では無いが、塩析した後の放置時間によって、粒子の凝集状態が変動し、粒径分布が不安定になったり、融着させたトナーの表面性が変動したりする問題が発生する。また、塩析剤を添加する温度としては少なくとも樹脂微粒子のガラス転移温度以下であることが必要である。この理由としては、塩析剤を添加する温度が樹脂微粒子のガラス転移温度以上であると樹脂微粒子の塩析/融着は速やかに進行するものの、粒径の制御を行うことができず、大粒径の粒子が発生したりする問題が発生する。この添加温度の範囲としては樹脂のガラス転移温度以下であればよいが、一般的には5〜55℃、好ましくは10〜45℃である。
また、塩析剤を樹脂微粒子のガラス転移温度以下で加え、その後にできるだけ速やかに昇温し、樹脂微粒子のガラス転移温度以上であって、かつ、前記混合物の融解ピーク温度(℃)以上の温度に加熱する。この昇温までの時間としては1時間未満が好ましい。更に、昇温を速やかに行う必要があるが、昇温速度としては、0.25℃/分以上が好ましい。上限としては特に明確では無いが、瞬時に温度を上げると塩析が急激に進行するため、粒径制御がやりにくいという問題があり、5℃/分以下が好ましい。この融着工程により、樹脂微粒子及び任意の微粒子が塩析/融着されてなる会合粒子の分散液が得られる。
〔シェル化工程〕
シェル化工程では、会合粒子分散液中にシェル用の樹脂粒子分散液を添加して会合粒子表面に樹脂粒子を凝集、融着させ、会合粒子表面にシェル用の樹脂粒子を被覆させて着色粒子を形成する。このように、シェル化を行うことにより、着色粒子表面に着色剤やワックスが露出することがなくなり、良好な帯電性能が付与される。
具体的には、会合粒子分散液は上記凝集・融着工程での温度を維持した状態でシェル用樹脂粒子の分散液が添加され、加熱撹拌を継続しながら数時間かけてゆっくりとシェル用樹脂粒子を会合粒子表面に被覆させて着色粒子を形成する。加熱撹拌時間は、1時間〜7時間が好ましく、3時間〜5時間が特に好ましい。そして、シェル化により着色粒子が所定の粒径になった段階で塩化ナトリウムなどの停止剤を添加して粒子成長を停止させ、その後も会合粒子に付着させたシェル用樹脂粒子を融着させるために数時間加熱撹拌を継続する。そして、シェル化工程では会合粒子表面に厚さが10〜500nmの表面層が形成される。このようにして、コア粒子表面に樹脂粒子を固着させてシェルを形成し、まるみを帯び、しかも形状の揃った着色粒子を形成することが可能である。
本発明では、上述の工程を経ることにより、まるみを帯び、しかも形状のそろったトナーを作製することが可能である。
〔冷却工程〕
この工程は、前記着色粒子の分散液を冷却処理(急冷処理)する工程である。冷却処理条件としては、1〜20℃/minの冷却速度で冷却する。冷却処理方法としては特に限定されるものではなく、反応容器の外部より冷媒を導入して冷却する方法や、冷水を直接反応系に投入して冷却する方法を例示することができる。
〔固液分離・洗浄工程〕
この固液分離・洗浄工程では、上記の工程で所定温度まで冷却された着色粒子の分散液から当該着色粒子を固液分離する固液分離処理と、固液分離されたトナーケーキ(ウエット状態にある着色粒子をケーキ状に凝集させた集合物)から界面活性剤や塩析剤などの付着物を除去する洗浄処理とが施される。ここに、濾過処理方法としては、遠心分離法、ヌッチェ等を使用して行う減圧濾過法、フィルタープレス等を使用して行う濾過法など特に限定されるものではない。
〔乾燥工程〕
この工程は、洗浄処理されたトナーケーキを乾燥処理し、乾燥された着色粒子を得る工程である。この工程で使用される乾燥機としては、スプレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機などを挙げることができ、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動層乾燥機、回転式乾燥機、攪拌式乾燥機などを使用することが好ましい。乾燥された着色粒子の水分は、5質量%以下であることが好ましく、更に好ましくは2質量%以下とされる。尚、乾燥処理された着色粒子同士が、弱い粒子間引力で凝集している場合には、当該凝集体を解砕処理してもよい。ここに、解砕処理装置としては、ジェットミル、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル、フードプロセッサー等の機械式の解砕装置を使用することができる。
〔外添処理工程〕
この工程は、乾燥された着色粒子に必要に応じ外添剤を混合し、トナーを作製する工程である。外添剤の混合装置としては、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル等の機械式の混合装置を使用することができる。
次に、本発明に使用されるトナーの製造方法で使用可能な重合性単量体について説明する。本発明に使用可能なトナーを構成する樹脂は、少なくとも1種の重合性単量体を重合して得られた重合体を構成成分として含むものである。具体的には、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−クロロスチレン、3,4−ジクロロスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンの様なスチレンあるいはスチレン誘導体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル誘導体、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニル等の、アクリル酸エステル誘導体、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン系ビニル類、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等のビニルエステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン等のビニルケトン類、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物、ビニルナフタレン、ビニルピリジン等のビニル化合物類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸あるいはメタクリル酸誘導体などのビニル系単量体が挙げられる。これらのビニル系単量体は単独あるいは組み合わせて使用することができる。
また、樹脂を構成する重合性単量体としてイオン性解離基を有するものを組み合わせて用いることも可能である。例えば、カルボキシル基、スルフォン酸基、リン酸基等の置換基を単量体の構成基として有するもので、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマール酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル、スチレンスルフォン酸、アリルスルフォコハク酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート、3−クロロ−2−アシッドホスホオキシプロピルメタクリレート等が挙げられる。
さらに、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート等の多官能性ビニル類を使用して架橋構造の樹脂とすることもできる。
次に、本発明に使用されるトナーの製造方法で使用可能な重合開始剤、連鎖移動剤及び界面活性剤について説明する。
本発明に使用されるトナーを構成する樹脂は、前述の重合性単量体を重合して生成されるが、使用可能なラジカル重合開始剤には、油溶性重合開始剤と水溶性重合開始剤が挙げられる。
油溶性重合開始剤には、2,2′−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2′−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系またはジアゾ系重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンペルオキサイド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキサイド、t−ブチルヒドロペルオキサイド、ジ−t−ブチルペルオキサイド、ジクミルペルオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキサイド、ラウロイルペルオキサイド、2,2−ビス−(4,4−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、トリス−(t−ブチルペルオキシ)トリアジンなどの過酸化物系重合開始剤や過酸化物を側鎖に有する高分子開始剤などが挙げられる。
また、水溶性重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、アゾビスアミノジプロパン酢酸塩、アゾビスシアノ吉草酸およびその塩、過酸化水素等を挙げることができる。
また、反応系中に重合性単量体等を適度に分散させておくために分散安定剤を使用することも可能である。分散安定剤としては、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ等を挙げることができる。さらに、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム、エチレンオキサイド付加物、高級アルコール硫酸ナトリウム等の界面活性剤として一般的に使用されているものを分散安定剤として使用することができる。
また、樹脂の分子量を調整することを目的として、一般的に用いられる連鎖移動剤を使用することも可能である。連鎖移動剤としては、特に限定されるものではなく、例えばオクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル、ターピノーレン、四臭化炭素およびα−メチルスチレンダイマー等が使用される。
また、ラジカル重合性単量体を使用して重合を行うためには、界面活性剤を使用して水系媒体中に油滴分散を行う必要がある。この際に使用することのできる界面活性剤としては特に限定されるものでは無いが、下記のイオン性界面活性剤を好適なものの例として挙げることができる。
イオン性界面活性剤としては、スルホン酸塩(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アリールアルキルポリエーテルスルホン酸ナトリウム、3,3−ジスルホンジフェニル尿素−4,4−ジアゾ−ビス−アミノ−8−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム、オルト−カルボキシベンゼン−アゾ−ジメチルアニリン、2,2,5,5−テトラメチル−トリフェニルメタン−4,4−ジアゾ−ビス−β−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム等)、硫酸エステル塩(ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム等)、脂肪酸塩(オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム等)が挙げられる。
また、ノニオン性界面活性剤も使用することができる。具体的には、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドの組み合わせ、ポリエチレングリコールと高級脂肪酸とのエステル、アルキルフェノールポリエチレンオキサイド、高級脂肪酸とポリエチレングリコールのエステル、高級脂肪酸とポリプロピレンオキサイドのエステル、ソルビタンエステル等が挙げられる。
次に、本発明に使用されるトナーに用いられる着色剤について説明する。本発明に使用されるトナーに用いられる着色剤は、カーボンブラック、磁性体、染料、顔料等を任意に使用することが可能である。具体的な着色剤を以下に示す。
黒色の着色剤としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラック、更にマグネタイト、フェライト等の磁性粉も用いられる。
また、マゼンタもしくはレッド用の着色剤としては、C.I.ピグメントレッド48;1、C.I.ピグメントレッド53;1、C.I.ピグメントレッド57;1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド154、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド238等が挙げられる。
オレンジもしくはイエロー用の着色剤としては、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138、ソルベントイエロー162等が挙げられる。
グリーンもしくはシアン用の着色剤としては、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15;2、C.I.ピグメントブルー15;3、C.I.ピグメントブルー15;4、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー62、C.I.ピグメントブルー66等が挙げられる。
なお、これらの着色剤は必要に応じて単独もしくは2つ以上を選択併用しても良い。また、着色剤の添加量はトナー全体に対して1〜30質量%、好ましくは2〜20質量%の範囲に設定するのが良い。
荷電制御剤は、公知のもので、かつ水中に分散することができるものを使用することができる。具体的には、ニグロシン系染料、ナフテン酸または高級脂肪酸の金属塩、アゾ系金属錯体、ジサリチル酸金属塩、ジベンジル酸塩あるいはその金属錯体等が挙げられる。
なお、これら荷電制御剤やワックスは、分散した状態で数平均一次粒子径が200〜900nm程度とすることが好ましい。
また、本発明に使用されるトナーは、上述した水系媒体中での粒子の会合工程を経て作製されるトナーの他に、たとえば、特開平7−152198号特許に開示されているような懸濁重合法により作製することも可能である。すなわち、重合性単量体に着色剤とワックスを溶解分散させた重合性単量体組成物を水系媒体中に投入し、水系媒体中で重合性単量体組成物を分散撹拌させた状態で重合を行って、トナーを作製する方法である。
本発明に使用されるトナーは、一成分現像剤でも二成分現像剤として用いられるもののいずれでもよいが、鮮明なフルカラーのピクトリアル画像を形成する上では、非磁性一成分現像剤が特に好ましく使用される。
次に、本発明に係る画像形成方法が実施可能な画像形成装置について説明する。本発明に係る画像形成方法が実施可能な画像形成装置は、特に限定されるものではないが、単色のトナーで画像形成を行うモノクロ画像形成装置や、像担持体上のトナー像を中間転写ベルトに順次転写して画像形成を行うカラー画像形成装置、各色毎に複数の像担持体を中間転写体上に直列配置させ、各像担持体上に形成された各色トナー画像を中間転写体上に転写して画像形成を行うタンデム型カラー画像形成装置等が挙げられる。
図3は、本発明の画像形成装置の実施の形態としてのカラー画像形成装置を示す断面構成図である。なお、図3の画像形成装置は、転写シートPの両面に画像形成を行う、いわゆる両面プリントを行うことが可能なものとする。
この画像形成装置は、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるもので、複数組の画像形成部10Y、10M、10C、10Kと、転写部としての無端ベルト状中間転写ベルトユニット7と、転写シートPを搬送する無端ベルト状の給紙搬送手段21及び定着手段としてのベルト式定着装置24とを有する。画像形成装置の本体Aの上部には、原稿画像読み取り装置SCが配置されている。
各感光体に形成される異なる色のトナー像の1つとして、イエロー色の画像を形成する画像形成部10Yは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1Y、該感光体1Yの周囲に配置された帯電手段2Y、露光手段3Y、現像手段4Y、1次転写手段としての1次転写ローラ5Y、クリーニング手段6Yを有する。また、別の異なる色のトナー像の1つとして、マゼンタ色の画像を形成する画像形成部10Mは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1M、該感光体1Mの周囲に配置された帯電手段2M、露光手段3M、現像手段4M、1次転写手段としての1次転写ローラ5M、クリーニング手段6Mを有する。また、更に別の異なる色のトナー像の1つとして、シアン色の画像を形成する画像形成部10Cは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1C、該感光体1Cの周囲に配置された帯電手段2C、露光手段3C、現像手段4C、1次転写手段としての1次転写ローラ5C、クリーニング手段6Cを有する。また、更に他の異なる色のトナー像の1つとして、黒色画像を形成する画像形成部10Kは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1K、該感光体1Kの周囲に配置された帯電手段2K、露光手段3K、現像手段4K、1次転写手段としての1次転写ローラ5K、クリーニング手段6Kを有する。
無端ベルト状中間転写ベルトユニット7は、複数のローラにより巻回され、回動可能に支持された半導電性エンドレスベルト状の第2の像担持体としての無端ベルト状中間転写体70を有する。
画像形成部10Y、10M、10C、10Kより形成された各色の画像は、1次転写ローラ5Y、5M、5C、5Kにより、回動する無端ベルト状中間転写ベルト70上に逐次転写されて、合成されたカラー画像が形成される。給紙カセット20内に収容された記録媒体として用紙等の転写シートPは、給紙搬送手段21により給紙され、複数の中間ローラ22A、22B、22C、22D、レジストローラ23を経て、2次転写手段としての2次転写ローラ5Aに搬送され、転写シートP上にカラー画像が一括転写される。カラー画像が転写された転写シートPは、ベルト式定着装置24により定着処理され、排紙ローラ25に挟持されて機外の排紙トレイ26上に載置される。
一方、2次転写ローラ5Aにより転写シートPにカラー画像を転写した後、転写シートPを曲率分離した無端ベルト状中間転写ベルト70は、クリーニング手段6Aにより残留トナーが除去される。
画像形成処理中、1次転写ローラ5Kは常時、感光体1Kに圧接している。他の1次転写ローラ5Y、5M、5Cはカラー画像形成時にのみ、それぞれ対応する感光体1Y、1M、1Cに圧接する。
2次転写ローラ5Aは、ここを転写シートPが通過して2次転写が行われる時にのみ、無端ベルト状中間転写ベルト70に圧接する。
また、装置本体Aから筐体8を支持レール82L、82Rを介して引き出し可能にしてある。
筐体8は、画像形成部10Y、10M、10C、10Kと、無端ベルト状中間転写ベルトユニット7とを有する。
画像形成部10Y、10M、10C、10Kは、垂直方向に縦列配置されている。感光体1Y、1M、1C、1Kの図示左側方には無端ベルト状中間転写ベルトユニット7が配置されている。無端ベルト状中間転写ベルトユニット7は、ローラ71、72、73、74、76を巻回して回動可能な無端ベルト状中間転写ベルト70、1次転写ローラ5Y、5M、5C、5K及びクリーニング手段6Aとからなる。
筐体8の引き出し操作により、画像形成部10Y、10M、10C、10Kと、無端ベルト状中間転写ベルトユニット7とは、一体となって、本体Aから引き出される。
このように感光体1Y、1M、1C、1K上に帯電、露光、現像によりトナー像を形成し、無端ベルト状中間転写ベルト70上で各色のトナー像を重ね合わせ、一括して転写シートPに転写し、ベルト式定着装置24で加圧及び加熱により固定して定着する。トナー像を転写シートPに転移させた後の感光体1Y、1M、1C、1Kは、クリーニング装置6Aで転写時に感光体に残されたトナーを清掃した後、上記の帯電、露光、現像のサイクルに入り、次の像形成が行われる。
無端ベルト状中間転写ベルト70の構造例を図4に示す。図4(a)は、表面層701と基材層703を有する2層構造のもので、図4(b)は、基材層703上に中間層704を有し、中間層704上に表面層701を有する3層構造のものである。また、図4(c)は、基材層703の外側に2つの中間層704、705を有し、中間層705の外側に表面層701を有する4層構造のものである。
表面層701には、表面エネルギーの低い結着樹脂を含有させることが好ましく、中間転写ベルト70上の表面エネルギーを低くすることによりベルトからのトナー画像の離れを促進させることが可能である。その結果、2次転写時に中間転写ベルト70から転写シートPへのトナー画像の転写性が促進され、転写シート上に高画質のトナー画像が得られる。低表面エネルギーを有する材料としては、例えば、フッ素系材料、シリコン系材料、あるいはこれらを主成分とする材料、フッ素樹脂粉末、シリコン樹脂、シリコーンオイル成分を分散してなる材料等が挙げられる。
次に、基材層703は、テンションロールへの張架で生ずる張力により発生する伸びやクリーニングブレードとの接触など、中間転写ベルト70に加わる負荷によるベルトの変形を回避し、転写部への影響を低減させる剛性を有する材料で作製される。具体的には、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフロロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)等の樹脂材料及びこれらを主原料としてなる樹脂材料が挙げられる。また、前述の樹脂材料と弾性材料とをブレンドした材料を使用することも可能である。弾性材料としては、例えば、ポリウレタン、塩素化ポリイソプレン、NBR、クロロピレンゴム、EPDM、水素添加ポリブタジエン、ブチルゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
この中でも、ポリイミド樹脂を含有することが好ましい。ポリイミド樹脂は、ポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミック酸の加熱により形成される。また、ポリアミック酸は、テトラカルボン酸二無水物や、その誘導体とジアミンのほぼ等モル混合物を有機極性溶媒に溶解させ、溶液状態で反応させることにより得られる。
また、中間転写ベルト70の表面抵抗率は、本発明に使用されるトナーの表面抵抗率よりも低い値を有することが好ましい。このように、中間転写ベルトの表面抵抗率をトナーの表面抵抗率よりも低くすることで、中間転写ベルト上に形成されたトナー画像を転写シート上に円滑に転写できるようにしている。中間転写ベルト70の表面抵抗率は、具体的には、1×108〜1×1012Ω/□であることが好ましい。
中間転写ベルトの表面抵抗率の測定は、円形電極(例えば、三菱油化(株)製ハイレスターIPのHRプローブ)を用い、JIS K6991に基づいて測定することが可能である。表面抵抗率の具体的な測定方法は、例えば、特開2001−242725号公報の段落0048や図8の記載を参照することができる。
本発明に係る画像形成方法が行える画像形成装置は、転写シートPの両面に画像形成を行う、いわゆる両面プリントが可能なものが好ましい。
両面プリントモードが選択され、転写シートPの裏面に画像形成を行う場合には、転写シートPのおもて面に行った画像形成と同様にして、転写シートPの裏面に所定の画像データに基づくトナー画像を形成する。このとき、おもて面の画像定着を終えた転写シートPを振り分けガイド27により、下方にある再給紙手段9に搬送し、再給紙反転ローラ91により後端部を挟持させた後、逆送させて転写シートPを反転させる。反転させた転写シートPを再給紙搬送路92に送り出し、感光体1Y、1M、1C、1K上で形成されて無端ベルト状中間転写ベルト70上に重ね合わされたトナー画像を転写シートP上に転写、定着する。このようにして、転写シートPの両面にトナー画像を形成する。
本発明に係る画像形成方法に使用される転写シートPは、トナー画像を保持する支持体で、通常画像支持体、転写材あるいは転写紙とも呼ばれるものである。具体的には、薄紙から厚紙までの普通紙、アート紙やコート紙等の塗工された印刷用紙、市販されている和紙やはがき用紙、OHP用のプラスチックフィルム、布等の各種転写シートが挙げられる。
また、本発明に係る画像形成方法では、ピクトリアルな写真様画像を出力する機会の多いオフセット印刷に使用される用紙である光沢塗工紙や非光沢紙も使用可能である。
オフセット印刷に使用される光沢塗工紙は、印刷時に使用される浸し水によるぬれを促進させるため用紙表面に高い親水性が要求される。さらに、紙がぬれても紙表面から繊維や填材が剥離しないように、融点が100℃〜160℃のワックスやポリアクリルアミドなどの樹脂エマルジョンを紙基体に塗工して光沢層を形成している。
キャスト法(原紙に塗った塗料が生乾きのうちに鏡面加工したシリンダ面に紙を押しつけて乾燥させて光沢塗工紙を作製する方法)で作製した光沢塗工紙は、電子線硬化樹脂被覆層を2層以上積層した構造のものが代表的である。この様な光沢塗工紙は、内側の樹脂被覆層に顔料を含まない電子線硬化樹脂組成物を電子線照射して形成された硬化体が用いられ、外側の樹脂被覆層に顔料を含む電子線硬化樹脂組成物を電子線照射して形成された硬化体が用いられている。光沢塗工紙は、表面の白色度が高く、美粧性も良好である。
一方、オフセット印刷用の非光沢紙は、光沢塗工紙同様、印刷時に使用される浸し水によるぬれを促進させるため用紙表面に高い親水性が要求される。また、紙がぬれても紙表面から繊維や填材が剥離しないように、紙力剤と呼ばれる紙に強度を付与する薬剤が用いられている。
紙力剤には、一般にポリアクリルアミドが用いられ、そのイオン性によりアニオン性ポリアクリルアミド、カチオン性ポリアクリルアミド、両性ポリアクリルアミドがある。主な紙力剤の添加処方には、カチオン性ポリアクリルアミドや両性ポリアクリルアミドを単品でパルプスラリーに添加する単独処方や、アニオン性ポリアクリルアミドとカチオン性ポリアクリルアミドとをそれぞれパルプスラリーに添加する併用処方がある。
また、アクリルアミドモノマーとアニオン性基を有するビニルモノマー、及び、必要に応じてカチオン性基を有するビニルモノマーを共重合させた製紙用添加剤を用いて抄紙することにより、被破壊強度を向上させた非光沢紙もある。
さらに、紙力剤として澱粉あるいはポリビニルアルコールを塗布した非光沢紙もある。なお、紙力剤にポリビニルアルコールを使用する場合、塗布液中のポリビニルアルコールの含有量を50質量%以上とし、さらにポリグリコール型非イオン界面活性剤などの浸透剤を10〜10,000ppm添加した塗布液を用いると良好な非光沢紙が得られる。
また、用紙の秤量は64〜150g/m2が好ましい。
以下、実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれに限定されるものではない。なお、以下の記載に示される「部」及び「%」は、特にことわりのない限り、全て「固形分質量部」と「固形分質量%」を意味するものである。
1.トナーの作製
1−1.トナー1〜5の作製
(1)トナーシェル用樹脂粒子s1の作製
以下の重合性単量体を混合して重合性単量体溶液を調製した。
スチレン 322.3g
n−ブチルアクリレート 121.9g
メタクリル酸 35.5g
n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル 9.55g
撹拌装置、温度センサ、冷却管、窒素導入装置を取り付けたセパラブルフラスコに、アニオン系界面活性剤C12H25OSO3Na7.08gをイオン交換水3010gに溶解させ、窒素気流下に230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させて、界面活性剤溶液を調製した。
前記界面活性剤溶液に、重合開始剤(過硫酸カリウム:KPS)9.2gをイオン交換水200gに溶解させた開始剤溶液を添加して温度を75℃にした後、前記重合性単量体溶液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、75℃にて2時間にわたり加熱、撹拌を行って重合を行い、トナーシェル用樹脂粒子を作製した。得られたトナーシェル用樹脂粒子を「トナーシェル用樹脂粒子s1」とした。
(2)トナー母体用樹脂粒子分散液1の調製
以下の重合性単量体を混合してなる重合性単量体溶液11を作製した。
スチレン 72.1g
n−ブチルアクリレート 20.0g
メタクリル酸 7.9g
撹拌装置、温度センサ、冷却管、窒素導入装置を取り付けたセパラブルフラスコに、アニオン系界面活性剤C12H25OSO3Na 7.08gをイオン交換水3010gに溶解させ、窒素気流下、撹拌しながら内部の温度を80℃に昇温させて界面活性剤溶液を調製した。
前記界面活性剤溶液に、重合開始剤(過硫酸カリウム:KPS)9.2gをイオン交換水200gに溶解させた開始剤用域を添加し、温度を75℃とした後、前記重合性単量体溶液11を1時間かけて滴下した。滴下終了後、反応系を75℃にて2時間にわたり加熱、撹拌することにより重合(第1段重合)を行って樹脂粒子の分散液を得た。これを「トナー母体用樹脂粒子1」とする。
(3)着色剤分散液(Bk)の調製
アニオン性界面活性剤C10H21(OCH2CH2)2OSO3Na90gをイオン交換水1600gに添加し、溶解、撹拌させた溶液に、カーボンブラック(リーガル330R:キャボット社製)400gを徐々に添加した。次に、機械式分散機CLEARMIX(エム・テクニック(株)製)を用いて分散処理して着色剤分散液(K)を調製した。この分散液における着色剤粒子の粒子径を、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子社製)を用いて測定したところ、110nmであった。
(4)ワックス分散液1の調製
下記構成のワックス分散液を調製し、これをワックス分散液1とした。
ワックス(ポリプロピレンワックス) 20部
ノニオン界面活性剤(ポリグリセリンベヘン酸エステル) 0.7部
イオン交換水 100部
アニオン界面活性剤(ドデシル硫酸エステルナトリウム) 0.35部
(5)着色粒子1Bkの作製
(会合工程)
トナー母体用樹脂粒子分散液1 420.7g(固形分換算)、イオン交換水900g、「着色剤分散液(Bk)」200g(固形分換算)、「ワックス分散液1」80g(固形分換算)とを、温度センサ、冷却管、窒素導入装置、撹拌装置を取り付けた反応容器(四つ口フラスコ)に入れ撹拌した。容器内の温度を30℃に調整した後、この液に5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを11.0に調整した。
次いで、塩化マグネシウム・6水和物12.1gをイオン交換水1000gに溶解させた水溶液を、撹拌下で30℃にて10分間かけて添加した。3分間放置後、この系を60分間かけて90℃まで昇温し、粒子径を成長させて会合反応を行った。その状態で「コールターカウンターTA−III(ベックマン・コールター社製)」にて会合粒子の粒径を測定し、体積基準メディアン径が7μmになった時点で、塩化ナトリウム40.2gをイオン交換水1000gに溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させた。引き続き、熟成処理として液温度を98℃にして6時間にわたり加熱撹拌して融着を継続させた。
さらに、トナーシェル用樹脂粒子(s1)96gを添加して、3時間にわたり加熱撹拌を継続して会合粒子表面に融着させた。この後、塩化ナトリウム40.2gを添加し、冷却速度8℃/分で30℃まで冷却し、塩酸を添加してpHを2.0に調整し、撹拌を停止した。生成した粒子を濾過し、45℃のイオン交換水で繰り返し洗浄し、その後、40℃の温風で乾燥して「着色粒子1Bk」を得た。
(6)トナー1Bkの作製
得られた「着色粒子1Bk」に、数平均1次粒子径が12nm、疎水化度が68の疎水性シリカを1質量%、及び、数平均1次粒子径が20nm、疎水化度が63の疎水性酸化チタンを1.2質量%となるように添加して、ヘンシェルミキサにより混合して「黒色トナー1Bk」を得た。得られたトナーの表面抵抗率を前述した測定装置で測定したところ、1.9×1017Ω/□だった。また、使用したワックス1の表面抵抗率を測定したところ、2.0×1017Ω/□だった。
(7)トナー1Y、1M、1Cの作製
トナー1Bkの作製において、カーボンブラック(リーガル330R:キャボット社製)に代わり、C.I.Pigment Yellow74を用いた他は同様の手順でイエロートナー1Yを、C.I.Pigment Red122を用いた他は同様の手順でマゼンタトナー1Mを、C.I.Pigment Blue15:3を用いた他は同様の手順でシアントナー1Cを作製した。得られたトナーの表面抵抗率はトナー1Bkと同じ結果が得られた。
(8)トナー2〜5の作製
トナー1の作製の会合工程における「ワックス分散液1」の添加量を120g、240g、70g、40gにした以外は同様の手順でトナー2〜5を作製した。作製されたトナーの表面抵抗率を後述する表1に示す。
1−2.トナー6〜10の作製
(1)トナーシェル用樹脂粒子s1の作製
前述のトナー1〜5の作製工程と同様の手順により、シェル用樹脂粒子s1を作製した。すなわち、
スチレン 322.3g
n−ブチルアクリレート 121.9g
メタクリル酸 35.5g
n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル 9.55g
撹拌装置、温度センサ、冷却管、窒素導入装置を取り付けたセパラブルフラスコに、アニオン系界面活性剤C12H25OSO3Na7.08gをイオン交換水3010gに溶解させ、窒素気流下に230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させて、界面活性剤溶液を調製した。
前記界面活性剤溶液に、重合開始剤(過硫酸カリウム:KPS)9.2gをイオン交換水200gに溶解させた開始剤溶液を添加して温度を75℃にした後、前記重合性単量体溶液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、75℃にて2時間にわたり加熱、撹拌を行って重合を行い、トナーシェル用樹脂粒子を作製した。得られたトナーシェル用樹脂粒子を「トナーシェル用樹脂粒子s1」とした。
(2)トナー母体用樹脂粒子分散液2の調製
撹拌装置、温度センサ、冷却管、窒素導入装置を取り付けたセパラブルフラスコに、アニオン系界面活性剤C12H25OSO3Na7.08gをイオン交換水3010gに溶解させ、窒素気流下に230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。
前記界面活性剤溶液に、重合開始剤(過硫酸カリウム:KPS)9.2gをイオン交換水200gに溶解させた開始剤溶液を添加して温度を75℃にした後、スチレン70.1g、n−ブチルアクリレート19.9g、メタクリル酸10.9gからなる単量体混合液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、この系を75℃で2時間にわたり加熱、撹拌を行って重合を行い(第1段重合)、「トナー母体用樹脂粒子分散液(2H)」を調製した。
次に、撹拌装置を取り付けたフラスコに、ペンタエリスリト−ルテトラベヘン酸エステル131.2gを、スチレン105.6g、n−ブチルアクリレート30.0g、メタクリル酸6.2gおよびn−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル5.6gからなる単量体混合液に添加し、90℃に加温し溶解させて単量体溶液を調製した。
一方、撹拌装置を取り付けたフラスコに、アニオン系界面活性剤C12H25OSO3Na1.6gをイオン交換水2700gに溶解させた界面活性剤溶液を調製し、内温を98℃に昇温させ、前述の「トナー母体用樹脂粒子分散液(2H)」を固形分換算で28g添加した。
次いで、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム・テクニック(株)製)により、「トナー母体用樹脂粒子分散液(2H)」を含有する界面活性剤溶液中に、前記単量体溶液を8時間かけて混合分散させ、均一な分散粒子径を有する乳化粒子(油滴)が分散された乳化液を調製した。
次いで、この分散液(乳化液)に、重合開始剤(過硫酸カリウム:KPS)5.1gをイオン交換水240gに溶解させた開始剤溶液と、イオン交換水750gとを添加し、この系を98℃にて12時間にわたり加熱、撹拌して重合(第2段重合)を行った。第2段重合により、樹脂粒子表面にペンタエリスリトールテトラベヘン酸エステルを含有した樹脂を被覆してなる複合樹脂粒子の分散液(2HM)を得た。
さらに、複合樹脂粒子分散液(2HM)全量を投入した撹拌装置付きのフラスコに、重合開始剤(過硫酸カリウム:KPS)7.4gをイオン交換水200gに溶解した開始剤溶液を添加し、温度を80℃に保った状態で、スチレン300g、n−ブチルアクリレート95g、メタクリル酸15.3gおよびn−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル10.4gからなる単量体混合液を1時間かけて滴下し、この系を80℃で2時間にわたり加熱、撹拌して重合(第3段重合)を行った。その後、この系を28℃まで冷却して、前述の複合樹脂粒子表面に樹脂を被覆した構造の複合樹脂粒子からなる「トナー母体用樹脂粒子分散液2」を調製した。
(3)着色粒子6Bkの作製
(会合工程)
トナー母体用樹脂粒子分散液2 439.2g(固形分換算)、イオン交換水900g、「着色剤分散液(Bk)」200gを、温度センサ、冷却管、窒素導入装置、撹拌装置を取り付けた反応容器(四つ口フラスコ)に入れ撹拌した。容器内の温度を30℃に調整した後、この液に5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを11.0に調整した。
次いで、塩化マグネシウム・6水和物12.1gをイオン交換水1000gに溶解させた水溶液を、撹拌下で30℃にて10分間かけて添加した。3分間放置後、この系を60分間かけて90℃まで昇温し、粒子径を成長させて会合反応を行った。その状態で「コールターカウンターTA−III(ベックマン・コールター社製)」にて会合粒子の粒径を測定し、体積基準メディアン径が6μmになった時点で、塩化ナトリウム40.2gをイオン交換水1000gに溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させた。引き続き、熟成処理として液温度を98℃にして6時間にわたり加熱撹拌して融着を継続させた。
さらに、トナーシェル用樹脂粒子(s1)96gを添加して、3時間にわたり加熱撹拌を継続して会合粒子表面に融着させた。この後、塩化ナトリウム40.2gを添加し、冷却速度8℃/分で30℃まで冷却し、塩酸を添加してpHを2.0に調整し、撹拌を停止した。生成した粒子を濾過し、45℃のイオン交換水で繰り返し洗浄し、その後、40℃の温風で乾燥して「着色粒子6Bk」を得た。
(4)トナー6Bkの作製
得られた「着色粒子6Bk」に、数平均1次粒子径が12nm、疎水化度が68の疎水性シリカを1質量%、及び、数平均1次粒子径が20nm、疎水化度が63の疎水性酸化チタンを1.2質量%となるように添加して、ヘンシェルミキサにより混合して「黒色トナー2Bk」を得た。得られたトナー6の表面抵抗率を表1に示す。
(5)トナー6Y、6M、6Cの作製
トナー6Bkの作製において、カーボンブラック(リーガル330R:キャボット社製)に代わり、C.I.Pigment Yellow74を用いた他は同様の手順でイエロートナー6Yを、C.I.Pigment Red122を用いた他は同様の手順でマゼンタトナー6Mを、C.I.Pigment Blue15:3を用いた他は同様の手順でシアントナー6Cを作製した。なお、得られたトナー6Y、6M、6Cの表面抵抗率はトナー6Bkと同じ値になった。
(6)トナー7の作製
トナー6のトナー母体用樹脂粒子分散液2の調製において、ペンタエリスリト−ルテトラベヘン酸エステルの添加量を208.5gに変更し、かつ、会合工程におけるトナー母体用樹脂粒子分散液2の添加量を482.4gに変更にした他は同様の手順にて、トナー7を作製した。
(7)トナー8の作製
トナー6のトナー母体用樹脂粒子分散液2の調製において、ペンタエリスリト−ルテトラベヘン酸エステルの添加量を506.4gに変更し、かつ、会合工程におけるトナー母体用樹脂粒子分散液2の添加量を649.2gに変更にした他は同様の手順にて、トナー8を作製した。
(8)トナー9の作製
トナー6のトナー母体用樹脂粒子分散液2の調製において、ペンタエリスリト−ルテトラベヘン酸エステルの添加量を109.8gに変更し、かつ、会合工程におけるトナー母体用樹脂粒子分散液2の添加量を427.2gに変更にした他は同様の手順にて、トナー9を作製した。
(9)トナー10の作製
トナー6のトナー母体用樹脂粒子分散液2の調製において、ペンタエリスリト−ルテトラベヘン酸エステルの添加量を62.2gに変更し、かつ、会合工程におけるトナー母体用樹脂粒子分散液2の添加量を400.5gに変更にした他は同様の手順にて、トナー10を作製した。各トナーの表面抵抗率は後述する表1に示す。
1−3.トナー11〜15の作製
(1)トナー11の作製
イオン交換水292質量部に、0.1モル/リットルのNa3PO4水溶液45質量部を投入し、60℃に加温後、TK式ホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて、12500rpmにて撹拌した。これに、1.0モル/リットルのCaCl2水溶液68質量部を徐々に添加し、リン酸カルシウム化合物を含有するpH6の水系媒体を得た。
次に、以下の組成よりなる重合性単量体等を用いて重合性単量体組成物を調製した。
スチレン 83質量部
n−ブチルアクリレート 32質量部
カーボンブラック(リーガル330R:キャボット社製) 17質量部
荷電制御剤(ジ−t−ブチルサリチル酸塩) 5質量部
ジビニルベンゼン 1質量部
上記成分を60℃に加温した後、ワックス1(ポリプロピレン)14質量部を添加し、十分に溶解分散させて分散組成物を調製した。
この分散組成物に有機過酸化物系開始剤t−ブチルパーオキシピバレート3.5質量部とトルエン1.5質量部を予め混合したものを溶解して重合性単量体組成物を得た。
この重合性単量体組成物を前記水系媒体中に投入し、高速回転剪断撹拌機クレアミックス(エムテクニック社製)で高速撹拌して10分間造粒を行った。これをパドル撹拌機にかえて、内温65℃で重合を継続させた。重合反応開始後5時間経過した時に無水炭酸ナトリウム5質量部を系内に添加した後、重合温度を80℃に昇温し、さらに5時間継続して撹拌を行って重合を完了させた。なお、重合完了時の懸濁液のpHは10.6であった。冷却後、ろ過により固液分離を行って水洗後、リスラリーを行い、さらに希塩酸を添加して分散剤を溶解し、再び固液分離、水洗、ろ過、乾燥処理を行って、着色粒子を得た。
得られた着色粒子に、疎水性シリカ(数平均1次粒径12nm、疎水化度68)を1質量%、疎水性酸化チタン(数平均1次粒子径20nm、疎水化度63)を1.2質量%添加し、ヘンシェルミキサーにより混合して、体積基準のメディアン径が7.0μmのトナー11Bkを作製した。
トナー11Bkの作製で使用したカーボンブラック(リーガル330R:キャボット社製)に代えて、C.I.Pigment Yellow74を用いてトナー11Yを、C.I.Pigment Red122を用いてトナー11Mを、C.I.Pigment Blue15:3を用いてトナー11Cを作製した。
(2)トナー12の作製
トナー11の作製工程において、ワックス1の添加量を23質量部に変更した以外は同様の手順で、トナー12を作製した。
(3)トナー13の作製
トナー11の作製工程において、ワックス1の添加量を56質量部に変更した以外は同様の手順で、トナー13を作製した。
(4)トナー14の作製
トナー11の作製工程において、ワックス1の添加量を12質量部に変更した以外は同様の手順で、トナー14を作製した。
(5)トナー15の作製
トナー11の作製工程において、ワックス1の添加量を7質量部に変更した以外は同様の手順で、トナー15を作製した。
以上のようにして作製したトナー1〜15を後述する表1に示す。
3.キャリアの製造
〔フェライト芯材の製造〕
MnOを18mol%、MgOを4mol%、Fe2O3を78mol%を湿式ボールミルで2時間粉砕、混合し乾燥させた後に、900℃で2時間保持することにより仮焼成し、これをボールミルで3時間粉砕しスラリー化した。分散剤およびバインダーを添加し、スプレードライヤーにより造粒、乾燥し、その後1200℃で3時間本焼成を行い、抵抗値4.3×108Ω・cmのフェライト芯材粒子を得た。
〔被覆用樹脂の製造〕
先ず、界面活性剤として炭素数12のアルキル基を有するベンゼンスルホン酸ナトリウムを用いた水溶液媒体中の濃度を0.3質量%とした乳化重合法により、シクロヘキシルメタクリレート/メチルメタクリレート(共重合比5/5)の共重合体を合成し、体積平均一次粒径0.1μm、重量平均分子量(Mw)200,000、数平均分子量(Mn)91,000、Mw/Mn=2.2、軟化点温度(Tsp)230℃およびガラス転移温度(Tg)110℃の樹脂微粒子を得た。なお、前記樹脂微粒子は、乳化状態において、水と共沸し、残存モノマー量を510ppmとした。
次に、フェライト芯材粒子100質量部と前記樹脂微粒子2質量部とを攪拌羽根付き高速攪拌混合機に投入し、120℃で30分間攪拌混合して機械的衝撃力の作用を利用して体積平均粒径61μmの樹脂被覆キャリアを得た。
4.現像剤の製造
前述の各トナー1〜15を上記キャリアと混合して、各々トナー濃度が6質量%の各色の現像剤を調製した。各色の現像剤を表1に示す様に組み合わせて現像剤セット1〜15とした。各現像剤セットの構成を後述する表1に示す。
5.評価実験
(1)評価装置
作製した現像剤1〜15を図3に示す画像形成装置(KonicaMinolta 8050(コニカミノルタビジネステクノロジー社製))に搭載し、両面プリントの画像形成を連続2000枚行って、1000枚目と2000枚目に出力された画像の評価を行った。画像形成は高温高湿環境下(30℃、80%RH)で行い、記録用紙はオンデマンド印刷用カラー記録紙「PODグロスコート」(王子製紙株式会社製)128g/mm2(A3サイズ)を用いた。
また、画像形成に使用した原稿は、画素率が7%の文字画像(3ポイント、5ポイント)、カラー人物顔画像(ハーフトーンを含むドット画像、反射濃度が1.30のグレイパッチ付き)、べた白画像、2色トナー使用のべた画像(シアントナーとマゼンタトナーを使用し、トナー付着量が15g/m2(定着後のトナー層の厚みが20μm))がそれぞれ1/4等分に掲載されたオリジナル画像(A4判)を2枚用いて行った。このとき、裏面側にプリントされた文字画像とカラー人物画像がおもて面に出力されたベタ白画像とべた画像の裏側に出力されるようにした。
また、画像形成装置の定着温度は上側ローラの表面温度が200℃、下側ローラの表面温度が180℃になるように設定した。
(2)評価項目
評価は、1000枚目と2000枚目の記録用紙裏面に出力された画像についての転写性を評価した。具体的には、おもて面がべた白画像と2層のべたトナー画像部になっている裏面でのべたトナー画像部の抜け、文字画像部の抜け、及び濃度ムラを評価した。なお、評価において、◎、○は合格、×は不合格とした。
〈べた画像部の抜け〉
裏面に形成されたべた画像部において、長径が0.4mm以上の抜けが何個あるかを数えて評価を行った。なお、抜け部はビデオプリンタ付き顕微鏡で測定した。
◎:0.4mm以上の白抜け頻度:抜け部の発生が両方とも3個以下
○:0.4mm以上の白抜け頻度:2000枚目のプリント画像で4個以上10個未満発生したが、1000枚目のプリント画像は3個以下
×:0.4mm以上の白抜け頻度:1000枚目のプリント画像で10個以上発生。
〈文字画像の抜け〉
裏面に形成された文字画像をルーペで観察し、文字画像上の抜けの発生を評価した。
◎:2000枚目まで抜けの発生なし
○:1000枚目のプリントまで抜けの発生がなく、2000枚目でやっと観察できる程度の抜けがあったが、実用上問題なし
×:1000枚目のプリントで抜けが発生した。
〈濃度むら〉
スタート時、2000枚目に出力した記録用紙裏面に形成されたカラー人物顔画像部に設けられたグレイパッチ部のR濃度の変動を反射濃度計により評価した。
濃度変動=(2000枚目の反射濃度)−(スタート時の反射濃度)
◎:濃度差が0.05未満
○:濃度差が0.05以上0.20未満
×:濃度差が0.20以上
結果を表1に示す。
表1の結果から明らかなように、本発明に該当する実施例1〜3と7〜9では、2000枚の両面連続プリントを行っても裏面にトナー画像が形成されていても、べた画像部の抜けや文字部の抜けが発生しなかった。一方、比較例では2000枚になる前から画像欠陥の発生が見られ、実施例とは明らかに異なる結果となった。
また、カラー人物顔画像の仕上がりをルーペを用いて目視評価したところ、実施例1〜3と7〜9ではおもて面の状態に関係なく顔画像上に抜けがないことが確認されたが、比較例では1000枚目でおもて面にトナー画像が形成されている場合に顔画像上に抜けが発生していることがルーペなしでも確認された。
このように、本実施例により本発明に係る画像形成方法により両面連続プリントを行ったときに裏面側にも良好なトナー転写が発現されることが確認された。