JP2009186640A - 電子写真用トナー - Google Patents

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謙史 宮島
Makoto Nomiya
誠 野宮
Yoshiaki Kobayashi
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Abstract

【課題】低温定着性を維持しつつ、低温定着性に優れ、高速で薄紙にプリントしても定着装置の加熱部材に巻き付きが発生せず、プリント物を重ねて保存してもタッキングが発生せず、キャリア汚染が発生せず、且つカブリが発生しない優れた電子写真用トナーの提供。
【解決手段】少なくとも樹脂と着色剤とワックスを含有してなるコア粒子を、樹脂からなるシェル層にて被覆してなるコア・シェル構造の電子写真用トナーにおいて、該シェル層にトナーの1粒子当たり平均径100〜1000nmの穴が平均2〜30個存在することを特徴とする電子写真用トナー。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真用トナーに関する。
産業界においては、地球温暖化対策等の地球環境への配慮を加味した製品作りが積極的に行われ、電子写真方式の画像形成装置の分野でもプリント作成時における環境負荷の低減を実現する種々の技術が検討される様になった。そういった技術の1つに、従来よりも低い温度でトナー画像の定着が行えるいわゆる低温定着対応のトナーの技術がある(例えば、特許文献1参照)。
特開2005−221933号公報
しかしながら、低温定着対応のトナーを設計する際、ガラス転移温度の低い樹脂を選択することで低温定着を実現できるが、ガラス転移温度の低い樹脂を選択すると保存時に凝集が発生したり、転写材(例えば、45g/m2の薄紙)に高速でプリントするとき定着装置の加熱部材との離型性が低下し加熱部材に転写材が巻き付いたり、プリント物を重ねて保存したときタッキングが発生したりして実用上問題が発生していた。
本発明は、低温定着性を維持しつつ、低温定着性に優れ、高速で薄紙にプリントしても定着装置の加熱部材に巻き付きが発生せず、プリント物を重ねて保存してもタッキングが発生しない優れたトナーを提供することにある。
更に、多数枚(例えば、50000枚)プリントしてもキャリアが汚染されず、カブリの発生を防止できるという優れたトナーを提供することにある。
本発明は、下記構成を採ることにより達成される。
1.少なくとも樹脂と着色剤とワックスを含有してなるコア粒子を、樹脂からなるシェル層にて被覆してなるコア・シェル構造の電子写真用トナーにおいて、
該シェル層にトナーの1粒子当たり平均径100〜1000nmの穴が平均2〜30個存在することを特徴とする電子写真用トナー。
本発明のトナーは、低温定着性を維持しつつ、低温定着性に優れ、高速で薄紙にプリントしても定着装置の加熱部材に巻き付きが発生せず、プリント物を重ねて保存してもタッキングが発生せず、多数枚(例えば、50000枚)プリントしてもカブリが発生しない優れた効果を有する。
本発明者等は、低温定着性を維持しつつ、保存性に優れ、薄紙に高速でプリントしても定着装置の加熱部材に薄紙が巻き付きつかず、プリント物を重ねて保存してもタッキングが発生せず、多数枚(例えば、50000枚)プリントしてもカブリが発生しない電子写真用トナー(以下、単にトナーともいう)について検討を行った。
種々検討の結果、少なくとも樹脂と着色剤とワックスを含有してなるコア粒子を、樹脂からなるシェル層にて被覆したコア・シェル構造を有する低温定着特性を有するトナーのシェル層に特定の大きさの穴を特定数形成したトナーを用いると、上記問題が解決できることを見出した。
上記問題を解決できた理由について説明する。
保存安定性に優れるのは、コア粒子中のワックスがシェル層により隔離され、トナー粒子の表面に浮き出てこないため、保存中にトナーが凝集するのを防止できたことによると推察している。
定着装置の加熱部材に巻き付きの発生を防止できたのは、熱定着時にはコア粒子中のワックスが溶融してシェル層の穴からにじみ出し、にじみ出たワックスの働きにより加熱部材との離形性が良くなることによると推察している。
タッキングの発生が防止できるようになったのは、熱定着しても低Tgの樹脂がシェル層の穴から溶出せずワックスのみが溶出できることによると推察している。
多数枚(例えば、50000枚)プリントしてもカブリの発生を防止できるようになったのは、トナー粒子の穴に外添剤が充填され、現像中にキャリア表面に外添剤が移動するのを防止でき、キャリア表面が汚染されないことによりトナーの帯電量が低下せずカブリの発生を防止できたものと推察している。
尚、低Tgの樹脂でシェルを形成したトナーを用いてプリントした画像は、プリント物を重ねて保存したときタッキングの発生が確認されている。
尚、ワックスの溶出の程度及び低Tgの樹脂の溶出の程度は、熱定着条件を一定とした時には、シェル層の穴の大きさとその数で決まる。
シェル層の穴の大きさとその数を特定の範囲に制御することにより、保存時の凝集の発生を防止でき、定着部材への巻き付き及びプリント画像のタッキング発生を防止できる。
尚、低温定着性はコア粒子を形成する樹脂のTgを下げることにより達成することができる。本発明においては、コア粒子を形成する樹脂のTgは20〜45℃が好ましい。
シェル層の穴の平均径は、100〜1000nmであり、好ましくは200〜800nmである。
シェル層の穴の平均数は、トナー粒子1個当たり平均2〜30個であり、好ましくは5〜20個である。
シェル層に穴が形成できるのは、コア粒子を凝集・融着時に気体が取り込まれ、コア粒子表面にシェル用樹脂微粒子を凝集させた後、加熱してコア粒子に融着させるときコア粒子中の気体がシェル層を突き破り、シェル層に穴が形成されると推察している。
トナー粒子表面に形成する穴の大きさとその数は、コア粒子中に取り込まれた気体の量、シェル層の熟成(凝集/融着)条件等により左右される。具体的には、熟成の温度、時間で制御するのが好ましい。
尚、本発明において、トナーとはトナー粒子の総称、トナー粒子とは着色粒子の表面に外添剤を固着させたものをいう。
以下、本発明について詳細に説明する。
(トナー粒子表面の穴の平均径、平均数)
トナー粒子表面の穴の平均径、平均数は以下の方法で測定した値である。
穴の平均径と平均数は、先ず、走査型電子顕微鏡にてトナー粒子の3万倍写真を撮影し、この写真画像をスキャナーにより取り込む。取り込んだ写真画像を画像処理解析装置LUZEX AP(ニレコ製)にて解析し、穴の平均径については穴100個についての水平方向フェレ径を算出、その値を穴の平均径とする。穴の平均数については平均径が100〜1000nmの穴100個のトナー粒子について観測し、観測された数から計算で求める。
(トナーのガラス転移温度)
本発明のトナーは、そのガラス転移温度(Tg)が20〜45℃のものが好ましい。本発明では、トナーのガラス転移温度を上記範囲とすることにより、従来の定着プロセスに比べて低い温度(例えば、90℃〜135℃)でトナー画像の定着を行える様にしている。
トナーのガラス転移温度を測定する方法としては、示差熱量分析装置(DSC)による測定が代表的なものである。示差熱量分析装置の具体的なものとしては、例えば、「DSC−7示差走査カロリメータ(パーキンエルマー製)」、「TAC7/DX熱分析装置コントローラ(パーキンエルマー製)」等が挙げられる。
示差熱量分析装置によるガラス転移温度の具体的な測定方法は、例えば、昇温・冷却条件として、−30℃で1分間放置後、10℃/minの条件で100℃まで昇温し(第一の昇温過程)、次いで100℃で1分間放置後、10℃/minの条件で0℃まで冷却する(第一の冷却過程)。この操作により前履歴を消去する。次いで、0℃で1分間放置後、10℃/minの条件で100℃まで昇温する(第二の昇温過程)。そして、セカンドヒート(第二の昇温)の吸熱ピーク温度を求め、ガラス転移温度Tgとする方法が挙げられる。
尚、ガラス転移温度(Tg)は、測定時、ガラス転移領域におけるDSCサーモグラムのガラス転移点以下のベースラインの延長線と、ピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの間での最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度と定める。
示差熱量分析装置によるガラス転移温度の具体的な測定手順としては、トナー4.5mg〜5.0mgを小数点以下2桁まで精秤しアルミニウム製パン(KITNo.0219−0041)に封入し、装置のサンプルホルダにセットする。リファレンスは空のアルミニウム製パンを使用する。測定条件は、測定温度0℃〜200℃、昇温速度10℃/分、降温速度10℃/分で、Heat−Cool−Heatの温度制御を行い、その2nd.Heatにおけるデータをもとに解析を行う。
(トナー)
本発明のトナーは、少なくとも樹脂と着色剤とワックスを含有するコア粒子を、樹脂からなるシェル層で被覆したもので、該シェル層の表面に特定の径を有する穴を特定の数だけ形成して作製されたトナー粒子に外添剤を固着して作製されたものである。
本発明に係るトナー粒子はコア・シェル構造を有するが、前記コア・シェル構造は、懸濁重合法を用いて調製された多層構造を有する複合樹脂粒子や、後述する乳化重合、特に多段重合法を用いて調製された多層構造を有する複合樹脂粒子と着色剤分散液とを凝集剤などを用いて、凝集・融着させて得られた、着色樹脂粒子の形態で調製されたコア粒子上に、後述するシェリング操作により、少なくとも1層のシェル層が設けられることが好ましい。
本発明に係るシェル層の膜厚は、耐オフセット性及び保存性向上の観点から、50〜500nmの範囲であることが好ましく、100〜300nmがより好ましい。
尚、コア粒子の粒径とシェル層の膜厚との比は、コア粒子/シェル膜=100/1〜100/10の範囲が好ましく、更に好ましくは、100/3〜100/8の範囲である。
シェル層の膜厚は、トナー粒子のTEM(透過型電子顕微鏡)写真より、着色剤(カーボンブラック、イエロー顔料、マゼンタ顔料、シアン顔料等)やワックス等の存在領域(コア)を目視観察により確認し、トナー粒子の最表面から、コア粒子表面までの距離をランダムに十点測定し、その平均値からシェル層の膜厚を算出する。尚、TEM撮影を行うトナー粒子の数は、最低でも50個以上とする。
透過型電子顕微鏡を用いた撮影方法は、トナー粒子を測定する際に行う通常知られた方法を用いる、即ち、トナーの断層面を測定する具体的方法としては、常温硬化性のエポキシ樹脂中にトナーを十分分散させた後、包埋し硬化させてもよく、粒径100nm程度のスチレン微粉末に分散させた後加圧成形した後、必要により得られたブロックを四三酸化ルテニウム、又は、四三酸化オスミウムを併用し染色を施した後、ダイヤモンド歯を備えたミクロトームを用い薄片状のサンプルを切り出し透過型電子顕微鏡(TEM)を用い、トナーの断層形態を写真撮影する。
ここで、透過型電子顕微鏡としては、通常当業者の間でよく知られた機種で十分観察され、例えば、LEM−2000型(トプコン社製)、JEM−2000FX(日本電子製)等が用いられる。
(トナーの作製)
本発明のトナーは以下の様な工程を経て作製することができる。即ち、
(1)界面活性剤水溶液中にワックスをラジカル重合性単量体に溶解或いは分散させる溶解/分散工程
(2)樹脂粒子の分散液を作製する重合工程
(3)水系媒体中で樹脂粒子と着色剤粒子を凝集、融着させてコア粒子(会合粒子)を作製する凝集・融着工程
(4)会合粒子を熱エネルギーにより熟成して形状を調整する第1の熟成工程
(5)コア粒子の分散液中にシェル用の樹脂粒子を添加し、コア粒子表面にシェル用の樹脂粒子を凝集・融着させることでシェル層を形成し、コア・シェル構造の着色粒子を形成するシェル化工程
(6)コア・シェル構造の着色粒子を熱エネルギーにより熟成してコア・シェル構造の着色粒子の形状を調整、シェルに穴を形成する第2の熟成工程
(7)着色粒子の分散液を冷却し、冷却した着色粒子分散液より着色粒子を固液分離し、分離した着色粒子より界面活性剤等を除去する洗浄工程
(8)洗浄処理された着色粒子を乾燥する乾燥工程
(9)乾燥処理された着色粒子に外添剤を添加する外添剤処理工程
を経て作製することができる。
本発明のトナーは、先ず、樹脂粒子と着色剤粒子とを会合融着させてコアとなる粒子(コア粒子)を作製する。次に、コア粒子の分散液中に樹脂粒子を添加して、コア粒子表面にこの樹脂粒子を凝集、融着させることによりコア粒子表面にシェル層を被覆してコア・シェル構造を有する着色粒子を作製し、外添剤をその表面に固着させて作製することができる。
本発明のトナーを構成するコア粒子は、例えば、以下の工程を経て形成することができる。即ち、樹脂を形成する重合性単量体にワックス成分を溶解或いは分散させる。これを水系媒体中に機械的に微粒分散させ、ミニエマルジョン重合法により重合性単量体の重合を行う。この様にしてワックス成分を含有してなる複合樹脂粒子を形成する。
そして、上記手順で作製した複合樹脂粒子と着色剤粒子とを後述する塩析/融着することによりコア粒子を形成するものである。尚、重合性単量体中にワックス成分を溶解させるときは、ワックス成分を溶解させて溶かしても溶融させて溶かしてもよい。
以下、前述した各工程について説明する。
(1)溶解/分散工程
この工程では、界面活性剤水溶液中にラジカル重合性単量体にワックスを溶解、或いは分散させて、ワックスを混合したラジカル重合性単量体溶液を調製する工程である。
(2)重合工程
この重合工程の好適な一例においては、臨界ミセル濃度(CMC)以下の界面活性剤を含有した水系媒体中に、ワックスを溶解或いは分散含有させたラジカル重合性単量体溶液を添加し、機械的エネルギーを加えて液滴を形成し、次いで、水溶性のラジカル重合開始剤を添加することにより、当該液滴中で重合反応を進行させる。尚、前記液滴中に油溶性のラジカル重合開始剤を含有させておいてもよい。この様な重合工程では、機械的エネルギーを付与して強制的に乳化(液滴の形成)処理を行うことが必須となる。かかる機械的エネルギーを付与する手段としては、ホモミキサー、超音波、マントンゴーリン等の強い撹拌作用や超音波振動を付与する手段が挙げられる。
この重合工程により、ワックスと結着樹脂とを含有する樹脂粒子(複合樹脂粒子とも呼ばれる)が得られる。かかる樹脂粒子は着色した粒子でも、また、着色していない粒子もよい。着色した樹脂粒子は、着色剤を含有した単量体組成物を重合処理することにより得られる。また、着色していない樹脂粒子の場合、後述する凝集・融着工程で樹脂粒子分散液中に着色剤粒子の分散液を添加して樹脂粒子と着色剤粒子とを融着させることにより着色した粒子が得られる。
尚、重合工程で得られる樹脂粒子の質量平均粒径(分散粒子径)は、10〜1000nmの範囲にあることが好ましく、更に好ましくは30〜300nmの範囲とされる。この質量平均粒径は、電気泳動光散乱光度計「ELS−800(大塚電子社製)」を用いて測定された値である。
(3)凝集・融着工程
凝集・融着工程は、重合工程により得られた樹脂粒子を会合させてコア粒子(会合粒子)を形成する工程である。樹脂粒子を凝集及び融着させる方法としては塩析/融着法が代表的なものである。また、凝集・融着工程では樹脂粒子や着色剤粒子とともに、ワックス粒子や荷電制御剤等の内添剤粒子を凝集、融着させることも可能である。
ここで「塩析/融着」とは、粒子の凝集と融着を並行して進め、所望の粒子径まで成長したところで、凝集停止剤を添加することにより粒子成長を停止させるものである。
また、凝集・融着工程における「水系媒体」とは、主成分(50質量%以上)が水からなるものをいう。水系媒体を構成する水以外の成分としては、水に溶解する有機溶媒が挙げられ、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。
着色剤粒子は、着色剤を水系媒体中に分散させることにより調製することができる。着色剤の分散処理は、水中で界面活性剤濃度を臨界ミセル濃度(CMC)以上にした状態で行われる。着色剤の分散処理に使用する分散機は特に限定されるものではないが、例えば、以下の様なものが挙げられる。即ち、超音波分散機、機械的ホモジナイザー、マントンゴーリンや圧力式ホモジナイザー等の加圧分散機、サンドグラインダー、ゲッツマンミルやダイヤモンドファインミル等の媒体型分散機等が挙げられる。
また、使用可能な界面活性剤としては、前述の界面活性剤と同様のものが使用可能である。尚、着色剤(粒子)は表面改質されていてもよい。着色剤の表面改質法は、溶媒中に着色剤を分散させ、その分散液中に表面改質剤を添加し、この系を昇温することにより反応させる。反応終了後、着色剤を濾別し、同一の溶媒で洗浄ろ過を繰り返した後、乾燥することにより、表面改質剤で処理した着色剤(顔料)が得られる。
また、樹脂粒子を凝集及び融着させる方法の代表例である塩析/融着法は以下の工程よりなるものである。先ず、樹脂粒子と着色剤粒子とが存在する水系媒体中に、アルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩及び3価の塩等からなる塩析剤を凝集剤として水系媒体中に臨界凝集濃度以上の量を添加する。次に、樹脂粒子のガラス転移点以上であって、かつ、前記混合物の融解ピーク温度以上の温度に加熱して塩析を進行させ、同時に粒子の融着を行う。塩析剤であるアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩は、アルカリ金属として、リチウム、カリウム、ナトリウム等が挙げられ、アルカリ土類金属として、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどが挙げられ、好ましくはカリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウムが挙げられる。
凝集、融着を塩析/融着法で行う場合、塩析剤添加後の時間をできるだけ短くすることが好ましい。これは、塩析後の時間経過により、粒子の凝集状態や粒径分布、更には、トナーの表面性能に影響が与えられることが懸念されるためである。また、塩析剤を添加するときの温度は少なくとも樹脂粒子のガラス転移温度以下にすることが必要である。これは、塩析剤を添加するときの温度が樹脂粒子のガラス転移温度以上であると、樹脂粒子の塩析/融着は速やかに進行するものの粒径制御が困難になり、大粒径の粒子を形成することが懸念されるためである。塩析剤を添加するときの温度範囲としては、樹脂のガラス転移温度以下であればよいが、一般的には5〜55℃、好ましくは10〜45℃である。
また、塩析剤を樹脂粒子のガラス転移温度以下で添加した後は、できるだけ速やかに昇温を行って、樹脂粒子のガラス転移温度以上であり、かつ、前記混合物の融解ピーク温度以上の温度に加熱する。この昇温までの時間は1時間未満が好ましい。更に、昇温を速やかに行う必要があり、昇温速度は0.25℃/分以上が好ましい。昇温速度の上限は特に明らかではないが、瞬時に温度を上げると塩析が急激に進行するため、粒径制御が困難になることから、5℃/分以下が好ましい。この様に、凝集・融着工程を経ることで、樹脂粒子及び着色剤等の任意の粒子を塩析/融着させて形成してなる会合粒子(コア粒子)の分散液が得られる。
(4)第1の熟成工程
この工程は、前述の凝集・融着工程で形成された会合粒子の分散液に熱エネルギーを供給して会合粒子を熟成することにより、粒子の形状や粒子中に取り込まれる空気の量や大きさを調整する工程である。
本発明では、凝集・融着工程の加熱温度の制御に加え、特に、この第1の熟成工程における加熱温度と時間の制御することにより、コア粒子の形状や粒子中に取り込まれる空気の量や大きさを制御することができる。この様な熟成を行うことにより、コア粒子の粒径を一定に、かつ、粒径分布を狭い範囲に制御することができる。また、形成したコア粒子の表面を平滑化し、同時に、形状を均一に揃える様に制御することができる。具体的には、凝集・融着工程で加熱温度を低めにして樹脂粒子同士の融着の進行を抑制させることにより粒径の均一化を促進させ、第1の熟成工程で加熱温度を低めに、かつ、時間を長くしてコア粒子の形状を揃える様に制御する。
(5)シェル化工程
シェル化工程は、コア粒子分散液中にシェル用の樹脂粒子分散液を添加して、コア粒子表面にシェル用の樹脂粒子を凝集、融着させることにより、コア粒子表面をシェル層で被覆したコア・シェル構造の着色粒子を形成する工程である。
具体的には、コア粒子分散液の温度を前述の凝集・融着工程及び第1の熟成工程と同じ温度に維持しておき、この状態でシェル用樹脂粒子の分散液を添加する。そして、加熱撹拌を継続しながら数時間かけてゆっくりとシェル用樹脂粒子をコア粒子表面に被覆させることにより着色粒子を形成する。加熱撹拌時間は、1〜7時間が好ましく、3〜5時間が特に好ましい。
この様な操作を行うことにより、シェル化工程ではコア粒子表面に厚さが50nm〜500nmのシェル層が形成される。そして、着色粒子が所定の粒径になった段階で塩化ナトリウム等の停止剤を添加することにより、粒子成長を停止させる。
(6)第2の熟成工程
この工程は、シェル化により着色粒子が所定の粒径になった段階で停止剤を添加して粒子成長を停止させた後、着色剤粒子の分散液の加熱撹拌を数時間にわたり継続する工程である。第2の熟成工程では、加熱撹拌を継続することにより、コア粒子表面に付着させたシェル用樹脂粒子の融着を進行させて、シェル用樹脂粒子のコア粒子表面への固着を強化させると同時に、コア粒子中に閉じこめられていた空気をシェル層に穴を形成して放出する。
本発明では、第2の熟成工程の時間や熟成温度の設定条件により、穴の大きさや数、着色粒子の形状を制御することが可能である。
(7)洗浄工程
この工程は、第2の熟成工程を経たコア・シェル構造の着色粒子分散液を冷却処理し、冷却した着色粒子分散液より着色粒子を固液分離処理し、分離した着色粒子より界面活性剤等を除去するために着色粒子を洗浄処理する工程である。
先ず、コア・シェル構造の着色粒子分散液を急冷処理する。冷却処理条件は、1〜20℃/分の冷却速度で冷却する。具体的な冷却処理方法は、特に限定されるものではなく、例えば、反応容器外部より冷媒を供給して着色剤分散液を冷却する方法や、冷水を直接反応系に投入して冷却する方法等が挙げられる。
次に、上記冷却処理により所定温度まで冷却された着色粒子の分散液より、着色粒子を固液分離する(固液分離処理)。固液分離処理により分離されたウェット状態の着色粒子は、トナーケーキと呼ばれるケーキ状に凝集した集合物の形態を採る。更に、トナーケーキの形態を採る着色粒子表面より界面活性剤や塩析剤等の付着物を除去するために洗浄処理を行う。尚、固液分離処理の方法としては、例えば、遠心分離法、ヌッチェ等を使用する減圧ろ過法、フィルタープレス等を使用するろ過法等が挙げられる。
尚、着色粒子表面からの付着物除去を確実に行うために、固液分離処理と洗浄処理とを繰り返し行うことも好ましい。
(8)乾燥工程
この工程は、最終の洗浄処理を行った後の固液分離処理で作製されたトナーケーキを乾燥処理することにより、乾燥処理された着色粒子を得る工程である。この工程で使用可能な乾燥装置としては、例えば、スプレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機等が挙げられ、また、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動層乾燥機、回転式乾燥機、撹拌式乾燥機等を使用することが好ましい。乾燥処理後の着色粒子の含水量は、5質量%以下が好ましく、1質量%以下が更に好ましい。尚、乾燥処理した着色粒子同士が弱い粒子間引力により凝集することがあるが、この様な場合は当該凝集体を解砕処理してもよい。解砕処理装置としては、例えば、ジェットミル、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル、フードプロセッサー等の機械式の解砕装置が挙げられる。
以上の工程を経ることにより、本発明のトナーを構成する着色粒子を作製することが可能である。
(9)外添処理工程
この工程は、乾燥処理を終えた着色粒子に外添剤を添加、混合する工程である。外添処理に使用可能な装置としては、例えば、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル等の機械式の混合装置が挙げられる。
(トナーの構成要素)
次に、本発明のトナーに使用可能な樹脂や着色剤、ワックス、界面活性剤、停止剤、更に、外添剤や滑剤等のトナー構成要素について、具体例を挙げて説明する。
先ず、本発明のトナーに使用可能な樹脂について説明する。本発明のトナーに使用可能な樹脂は、トナーのガラス転移温度を20〜45℃以下の範囲内にすることが可能なものであれば、特に限定されるものではない。
樹脂
本発明のトナーに使用可能な樹脂は、例えば、下記(1)〜(10)に示す様なビニル系単量体に代表される重合性単量体を重合して作製され、ガラス転移温度が20℃以上45℃以下の範囲にある重合体である。即ち、本発明のトナーに使用可能な樹脂は、下記に示すビニル系単量体を単独或いは複数種類組み合わせて重合を行って得られるものが挙げられる。
(1)スチレン或いはスチレン誘導体
スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−クロロスチレン、3,4−ジクロロスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン等
(2)メタクリル酸エステル誘導体
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等
(3)アクリル酸エステル誘導体
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニル等。
(4)オレフィン類
エチレン、プロピレン、イソブチレン等
(5)ビニルエステル類
プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等
(6)ビニルエーテル類
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等
(7)ビニルケトン類
ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン等
(8)N−ビニル化合物
N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等
(9)ビニル化合物類
ビニルナフタレン、ビニルピリジン等
(10)アクリル酸或いはメタクリル酸誘導体
アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等。
また、樹脂を構成する重合性単量体として、イオン性解離基を有する重合性単量体を組み合わせて使用することも可能である。イオン性解離基としては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等の置換基が挙げられ、イオン性解離基を有する重合性単量体はこれらの置換基を有するものである。
イオン性解離基を有する重合性単量体の具体例を以下に挙げる。
アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル、スチレンスルフォン酸、アリルスルフォコハク酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸、アシドホスホオキシエチルメタクリレート、3−クロロ−2−アシッドホスホオキシプロピルメタクリレート等。
更に、樹脂を構成する重合性単量体として、多官能性ビニル類を使用して架橋構造の樹脂とすることも可能である。多官能性ビニル類の具体例を以下に挙げる。
ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート等。
着色剤
次に、本発明のトナーに使用可能な着色剤としては、以下に示す様な公知のものが挙げられる。
黒色の着色剤としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラック、更にはマグネタイト、フェライト等の磁性粉も用いられる。
マゼンタもしくはレッド用の着色剤としては、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48;1、C.I.ピグメントレッド53;1、C.I.ピグメントレッド57;1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
オレンジもしくはイエロー用の着色剤としては、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138等が挙げられる。
グリーンもしくはシアン用の着色剤としては、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15;2、C.I.ピグメントブルー15;3、C.I.ピグメントブルー15;4、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー62、C.I.ピグメントブルー66、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
これらの着色剤は必要に応じて単独もしくは2つ以上を選択併用することも可能である。また、着色剤の添加量はトナー全体に対して1〜30質量%、好ましくは2〜20質量%の範囲に設定するのがよい。
ワックス
次に、本発明のトナーに使用可能なワックスについて説明する。本発明のトナーに使用可能なワックスとしては、従来公知のものが挙げられ、具体的には、以下のものが挙げられる。
(1)長鎖炭化水素系ワックス
ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等のポリオレフィンワックス、パラフィンワックス、サゾールワックス等
(2)エステル系ワックス
トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラミリステート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエート等
(3)アミド系ワックス
エチレンジアミンジベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミド等
(4)ジアルキルケトン系ワックス
ジステアリルケトン等
(5)その他
カルナウバワックス、モンタンワックス等。
ワックスの融点は、40〜160℃のものが好ましく、50〜120℃のものがより好ましく、60〜90℃のものが更に好ましい。ワックスの融点を上記範囲内にすることにより、トナーの耐熱保存性が確保され、同時に、低温での定着を行う場合でもコールドオフセット等を発生させずに安定したトナー画像形成が行える。また、トナー中のワックス含有量は、1〜30質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましい。
界面活性剤
前述のラジカル重合性単量体を使用して重合を行うためには、界面活性剤を使用して水系媒体中に油滴分散を行う必要がある。この際に使用することのできる界面活性剤としては特に限定されるものでは無いが、下記のイオン性界面活性剤を好適なものの例として挙げることができる。
イオン性界面活性剤としては、スルホン酸塩(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アリールアルキルポリエーテルスルホン酸ナトリウム、3,3−ジスルホンジフェニル尿素−4,4−ジアゾ−ビス−アミノ−8−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム、オルト−カルボキシベンゼン−アゾ−ジメチルアニリン、2,2,5,5−テトラメチル−トリフェニルメタン−4,4−ジアゾ−ビス−β−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム等)、硫酸エステル塩(ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム等)、脂肪酸塩(オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム等)が挙げられる。
また、ノニオン性界面活性剤も使用することができる。具体的には、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドの組み合わせ、ポリエチレングリコールと高級脂肪酸とのエステル、アルキルフェノールポリエチレンオキサイド、高級脂肪酸とポリエチレングリコールのエステル、高級脂肪酸とポリプロピレンオキサイドのエステル、ソルビタンエステル等を挙げることができる。
外部添加剤
次に、本発明のトナーは、以下に示す無機微粒子や有機微粒子に代表されるものを外部添加剤(=外添剤)として添加し、トナー作製を行うことが好ましい。即ち、外添剤の添加により、トナーの流動性や帯電性が改良され、また、クリーニング性の向上等が実現される。外添剤の種類は特に限定されるものではなく、例えば、以下に挙げる無機微粒子や、滑剤が挙げられる。
無機微粒子としては、従来公知のものを使用することができる。具体的には、シリカ、チタニア、アルミナ、チタン酸ストロンチウム微粒子等が好ましく用いることができる。これら無機微粒子としては必要に応じて疎水化処理したものを用いても良い。具体的なシリカ微粒子としては、例えば日本アエロジル社製の市販品R−805、R−976、R−974、R−972、R−812、R−809、ヘキスト社製のHVK−2150、H−200、キャボット社製の市販品TS−720、TS−530、TS−610、H−5、MS−5等が挙げられる。
チタニア微粒子としては、例えば、日本アエロジル社製の市販品T−805、T−604、テイカ社製の市販品MT−100S、MT−100B、MT−500BS、MT−600、MT−600SS、JA−1、富士チタン社製の市販品TA−300SI、TA−500、TAF−130、TAF−510、TAF−510T、出光興産社製の市販品IT−S、IT−OA、IT−OB、IT−OC等が挙げられる。
アルミナ微粒子としては、例えば、日本アエロジル社製の市販品RFY−C、C−604、石原産業社製の市販品TTO−55等が挙げられる。
有機微粒子としては、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、スチレン−メチルメタクリレート共重合体などの重合体を使用することができる。
また、クリーニング性や転写性を更に向上させるために滑剤を使用することも可能である。滑剤としては、例えば、以下の様な高級脂肪酸の金属塩が挙げられる。即ち、ステアリン酸の亜鉛、アルミニウム、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、オレイン酸の亜鉛、マンガン、鉄、銅、マグネシウム等の塩、パルミチン酸の亜鉛、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、リノール酸の亜鉛、カルシウム等の塩、リシノール酸の亜鉛、カルシウム等の塩が挙げられる。
これら外添剤や滑剤の添加量は、前述の有機微粒子を含めて、トナー全体に対して0.1〜10.0質量%とすることが好ましい。
(現像剤)
本発明のトナーは、キャリアとトナーより構成される二成分現像剤として、また、トナーのみから構成される非磁性一成分現像剤として使用することが可能である。
本発明のトナーを二成分現像剤として使用する場合、例えば、後述するタンデム方式の画像形成装置を用いて、高速でのフルカラープリント作成が可能である。また、本発明のトナーは、そのガラス転移温度が20〜45℃のものであることから、定着時の紙温度を100℃程度とするいわゆる低温定着対応のプリント作製も可能である。
二成分現像剤として使用する際に用いられる磁性粒子であるキャリアは、例えば、鉄、フェライト、マグネタイト等の金属、それらの金属とアルミニウム、鉛等の金属との合金等の従来から公知の材料を使用することが可能である。これらの中ではフェライト粒子が好ましい。キャリアの体積平均粒径は15〜100μmのものが好ましく、25〜80μmのものがより好ましい。
また、キャリアを使用せずに画像形成を行う非磁性一成分現像剤として使用する場合、画像形成時にトナーは帯電部材や現像ローラ面に摺擦、押圧して帯電が行われる。非磁性一成分現像方式による画像形成は、現像装置の構造を簡略化できるので、画像形成装置全体をコンパクト化できるメリットがある。したがって、本発明のトナーを非磁性一成分現像剤として使用すると、コンパクトなカラープリンタでフルカラーのプリント作成が実現され、スペース的に制限のある作業環境でも色再現性に優れたフルカラープリントの作成が可能である。
(画像形成)
次に、本発明のトナーを用いた画像形成方法、画像形成装置について説明する。
図1は、本発明のトナーを二成分系現像剤として使用することが可能な画像形成装置の一例を示す概略図である。
図1において、1Y、1M、1C、1Kは感光体、4Y、4M、4C、4Kは現像装置、5Y、5M、5C、5Kは1次転写手段としての1次転写ロール、5Aは2次転写手段としての2次転写ロール、6Y、6M、6C、6Kはクリーニング装置、7は中間転写体ユニット、24は熱ロール式定着装置、70は中間転写体を示す。
この画像形成装置は、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるもので、複数組の画像形成部10Y、10M、10C、10Kと、転写部としての無端ベルト状中間転写体ユニット7と、記録部材Pを搬送する無端ベルト状の給紙搬送手段21及び定着手段としての熱ロール式定着装置24とを有する。画像形成装置の本体Aの上部には、原稿画像読み取り装置SCが配置されている。
各感光体に形成される異なる色のトナー像の1つとして、イエロー色の画像を形成する画像形成部10Yは、第1の感光体としてのドラム状の感光体1Y、該感光体1Yの周囲に配置された帯電手段2Y、露光手段3Y、現像手段4Y、1次転写手段としての1次転写ロール5Y、クリーニング手段6Yを有する。また、別の異なる色のトナー像の1つとして、マゼンタ色の画像を形成する画像形成部10Mは、第1の感光体としてのドラム状の感光体1M、該感光体1Mの周囲に配置された帯電手段2M、露光手段3M、現像手段4M、1次転写手段としての1次転写ロール5M、クリーニング手段6Mを有する。また、更に別の異なる色のトナー像の1つとして、シアン色の画像を形成する画像形成部10Cは、第1の感光体としてのドラム状の感光体1C、該感光体1Cの周囲に配置された帯電手段2C、露光手段3C、現像手段4C、1次転写手段としての1次転写ロール5C、クリーニング手段6Cを有する。また、更に他の異なる色のトナー像の1つとして、黒色画像を形成する画像形成部10Kは、第1の感光体としてのドラム状の感光体1K、該感光体1Kの周囲に配置された帯電手段2K、露光手段3K、現像手段4K、1次転写手段としての1次転写ロール5K、クリーニング手段6Kを有する。
無端ベルト状中間転写体ユニット7は、複数のロールにより巻回され、回動可能に支持された中間転写エンドレスベルト状の第2の像担持体としての無端ベルト状中間転写体70を有する。
画像形成部10Y、10M、10C、10Kより形成された各色の画像は、1次転写ロール5Y、5M、5C、5Kにより、回動する無端ベルト状中間転写体70上に逐次転写されて、合成されたカラー画像が形成される。給紙カセット20内に収容された転写材として用紙等の記録部材Pは、給紙搬送手段21により給紙され、複数の中間ロール22A、22B、22C、22D、レジストロール23を経て、2次転写手段としての2次転写ロール5Aに搬送され、記録部材P上にカラー画像が一括転写される。カラー画像が転写された記録部材Pは、熱ロール式定着装置24により定着処理され、排紙ロール25に挟持されて機外の排紙トレイ26上に載置される。
一方、2次転写ロール5Aにより記録部材Pにカラー画像を転写した後、記録部材Pを曲率分離した無端ベルト状中間転写体70は、クリーニング手段6Aにより残留トナーが除去される。
画像形成処理中、1次転写ロール5Kは常時、感光体1Kに圧接している。他の1次転写ロール5Y、5M、5Cはカラー画像形成時にのみ、それぞれ対応する感光体1Y、1M、1Cに圧接する。
2次転写ロール5Aは、ここを記録部材Pが通過して2次転写が行われるときにのみ、無端ベルト状中間転写体70に圧接する。
また、装置本体Aから筐体8を支持レール82L、82Rを介して引き出し可能にしてある。
筐体8は、画像形成部10Y、10M、10C、10Kと、無端ベルト状中間転写体ユニット7とを有する。
画像形成部10Y、10M、10C、10Kは、垂直方向に縦列配置されている。感光体1Y、1M、1C、1Kの図示左側方には無端ベルト状中間転写体ユニット7が配置されている。無端ベルト状中間転写体ユニット7は、ロール71、72、73、74、76を巻回して回動可能な無端ベルト状中間転写体70、1次転写ロール5Y、5M、5C、5K及びクリーニング手段6Aとからなる。
筐体8の引き出し操作により、画像形成部10Y、10M、10C、10Kと、無端ベルト状中間転写体ユニット7とは、一体となって、本体Aから引き出される。
このように感光体1Y、1M、1C、1K上に帯電、露光、現像によりトナー像を形成し、無端ベルト状中間転写体70上で各色のトナー像を重ね合わせ、一括して記録部材Pに転写し、定着装置24で加圧及び加熱により固定して定着する。トナー像を記録部材Pに転移させた後の感光体1Y、1M、1C、1Kは、クリーニング装置6Aで転写時に感光体に残されたトナーを清掃した後、上記の帯電、露光、現像のサイクルに入り、次の像形成が行われる。
図1において、1Y、1M、1C、1Kは感光体、4Y、4M、4C、4Kは現像手段、5Y、5M、5C、5Kは1次転写手段としての1次転写ロール、5Aは2次転写手段としての2次転写ロール、6Y、6M、6C、6Kはクリーニング手段、7は中間転写体ユニット、24は熱ロール式定着装置、70は中間転写体を示す。
本発明のトナーは、ガラス転移温度を20〜45℃以下とすることにより、現状の定着温度よりも低い温度でトナー画像の定着が行えるいわゆる低温定着対応の技術が採り入れられたものである。即ち、本発明のトナーで形成されたトナー画像が形成された転写材を、加熱ロール表面温度を90℃乃至150℃とする条件下で定着処理を行っても、例えば、転写材を折り曲げた個所でのトナーの定着性を評価するいわゆる折り目定着強度等が安定した結果が得られるものである。
本発明のトナーを低温定着対応の画像形成装置で使用したとき、定着装置における加熱部材の表面温度を上記範囲、特に、140℃未満、更に、加熱部材の表面温度を130℃未満に設定することが可能である。
具体的な定着装置の形態としては、図2に示す加熱ロールを用いた定着装置が挙げられる。また、本発明のトナーを使用する場合、定着装置には加熱部材から供給される熱を転写材に効率よく供給することが求められ、加熱部材或いは加圧部材の何れか一方に耐熱性のベルトを用いたいわゆるベルト定着と呼ばれる定着装置が好ましい。
図2は、加熱定着方式の定着装置(加圧ロールと加熱ロールを用いたタイプ)の一例を示す概略図である。
図2に示す定着装置24は、加熱ロール240と、これに当接する加圧ロール241とを備えている。尚、図2において、246は分離爪、Pはトナー画像17が形成された転写材(転写紙)である。
加熱ロール240aは、例えば、フッ素樹脂や弾性体からなる被覆層82が芯金240aの表面に形成されてなり、線状ヒーターよりなる加熱部材244を内包している。
芯金240は、金属から構成され、その内径は10〜70mmとされる。芯金240を構成する金属は、特に限定されるものではないが、例えば、鉄、アルミニウム、銅等の金属や、これらの合金を挙げることができる。
芯金240aの肉厚は0.1〜15mmとされ、省エネの要請(薄肉化)と、強度(構成材料に依存)とのバランスを考慮して決定することが好ましい。例えば、0.57mmの鉄よりなる芯金と同等の強度を、アルミニウムよりなる芯金で保持するためには、その肉厚を0.8mmとする必要がある。
被覆層240cの表面を構成するフッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)及びテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)などが挙げられる。
フッ素樹脂からなる被覆層240cの厚みは10〜500μmとされ、好ましくは20〜400μmとされる。
また、被覆層240cを構成する弾性体としては、LTV、RTV、HTVなどの耐熱性の良好なシリコンゴム及びシリコンスポンジゴムなどを用いることが好ましい。
被覆層240cを構成する弾性体のアスカーC硬度は、80°未満とされ、好ましくは60°未満とされる。
また、被覆層240cの厚みは0.1〜30mmが好ましく、0.1〜20mmがより好ましい。
加熱部材244としては、ハロゲンヒーターを好適に使用することができる。
加圧ロール250は、弾性体からなる被覆層250bが芯金250a表面に形成されてなる。被覆層250bを構成する弾性体は、特に限定されるものではなく、ウレタンゴム、シリコンゴムなどの各種軟質ゴム及びスポンジゴムが挙げられるが、この中でも、シリコンゴム及びシリコンスポンジゴムが好ましい。
被覆層250bの厚みは0.1〜30mmが好ましく、0.1〜20mmがより好ましい。
また、定着温度(加熱ロール240の表面温度)は定着時に転写材の温度を100℃前後にすることのできる温度で、後述する定着線速にもよるが、70〜180℃である。また、定着線速は80〜640mm/secが好ましく、加熱ロール240と加圧ロール250のニップ幅は8〜40mm、好ましくは11〜30mmに設定する。
尚、分離爪246は、加熱ロール240に熱定着された転写材が、加熱ロールに巻き付くのを防止するため設けられている。
図3は、加熱定着方式の定着装置(シームレスベルトと加熱ロールを用いたタイプ)の一例を示す概略図である。
図3に示す定着装置24は、ニップ幅を確保するためにベルトと加熱ロールを用いたタイプのもので、加熱ロール240とシームレスベルト241、及びシームレスベルト241を介して加熱ロール240に押圧される圧力パッド(圧力部材)242a、圧力パッド(圧力部材)242b、前記潤滑剤供給部材243とで主要部が構成されている。
加熱ロール240は、金属製のコア(円筒状芯金)240aの周囲に耐熱性弾性体層240b、及び離型層(耐熱性樹脂層)240cより形成され、コア240aの内部には加熱源としてハロゲンランプ244が配置されている。加熱ロール240の表面温度は温度センサ245により計測され、その計測信号に基づいて図示しない温度コントロールによりハロゲンランプ244がフィードバック制御され、加熱ロール240表面が一定温度になるように調整される。シームレスベルト241は、加熱ロール240に対し所定の角度で巻き付けられるように接触し、ニップ部を形成している。
シームレスベルト241の内側には、低摩擦層を表面に有する圧力パッド242がシームレスベルト241を介して加熱ロール240に押圧される状態で配置されている。圧力パッド242は、強いニップ圧がかかる圧力パッド242aと、弱いニップ圧がかかる圧力パッド242bとが設けられ、金属製等のホルダ242cに保持されている。
ホルダ242cには、シームレスベルト241がスムーズに摺動回転するようにベルト走行ガイドが取り付けられている。ベルト走行ガイドはシームレスベルト241内面と摺擦するため摩擦係数が低い部材が望ましく、かつ、シームレスベルト241から熱を奪いにくいように熱伝導の低い部材が好ましい。尚、シームレスベルト241の材質の具体例としては、例えばポリイミドが挙げられる。
本発明のトナーにより形成されたトナー画像17は、最終的に転写材P上に転写され、定着処理により、転写材上に固定されることにより画像形成が行われる。上記画像形成に使用される転写材Pは、トナー画像を保持する支持体で、通常画像支持体、記録材或いは転写紙と呼ばれるものである。具体的には薄紙から厚紙までの普通紙や上質紙、アート紙やコート紙等の塗工された印刷用紙、市販されている和紙やはがき用紙、OHP用のプラスチックフィルム、布等の各種転写材を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
以下に、実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらに限定されるものではない。
《トナーの作製》
以下のようにしてトナーを作製した。
〈コア用樹脂粒子の作製〉
(1)第1段重合
撹拌装置、温度センサ、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器中に、下記化合物を添加して混合し、
スチレン 110.9質量部
n−ブチルアクリレート 52.8質量部
メタクリル酸 12.3質量部
当該混合液に、
パラフィンワックス「HNP−57(日本精鑞社製)」 93.8質量部
を添加した後、80℃に加温して溶解させることにより、重合性単量体溶液とした。
一方、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム2.9質量部をイオン交換水1340質量部に溶解させた界面活性剤溶液を調製した。当該界面活性剤溶液を80℃に加熱した後、上記重合性単量体溶液を投入し、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス(エムテクニック社製)」により、上記重合性単量体溶液を2時間混合分散させた。そして、平均粒径が245nmの乳化粒子(油滴)の分散液を調製した。
次いで、イオン交換水1460質量部を添加した後、重合開始剤(過硫酸カリウム)6質量部をイオン交換水142質量部に溶解させた開始剤溶液と、n−オクチルメルカプタン1.8質量部とを添加し、温度を80℃とした。この系を80℃にて3時間にわたり加熱、撹拌することにより重合(第1段重合)を行い樹脂粒子を作製した。これを「樹脂粒子C」とする。
(2)第2段重合(外層の形成)
上記「樹脂粒子C」に、過硫酸カリウム5.1質量部をイオン交換水197質量部に溶解させた開始剤溶液を添加し、80℃の温度条件下に下記重合性単量体を混合してなる単量体混合液を1時間かけて滴下した。単量体混合液は、
スチレン 282.2質量部
n−ブチルアクリレート 134.4質量部
メタクリル酸 31.4質量部
n−オクチルメルカプタン 4.93質量部
からなり、滴下終了後、2時間にわたり加熱撹拌を行って第2段重合(外層の形成)を行った。その後、28℃まで冷却し、「コア用樹脂粒子」を得た。
尚、形成された「コア用樹脂粒子」の重量平均分子量は21,300、質量平均粒径は180nm、ガラス転移温度は39℃であった。
(シェル用樹脂粒子の作製)
撹拌装置、温度センサ、冷却管、窒素導入装置を付けた反応容器にポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム2.0質量部をイオン交換水3000質量部に溶解させた界面活性剤溶液を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。
この界面活性剤溶液に、重合開始剤(過硫酸カリウム:KPS)10質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた開始剤溶液を添加し、下記化合物を混合してなる重合性単量体混合溶液を3時間かけて滴下した。尚、重合性単量体混合溶液は、
スチレン 528質量部
n−ブチルアクリレート 176質量部
メタクリル酸 120質量部
n−オクチルメルカプタン 22質量部
からなる。当該重合性単量体混合液を滴下後、この系を80℃にて1時間にわたり加熱、撹拌して重合を行い樹脂粒子を作製した。これを「シェル用樹脂粒子」とする。
尚、「シェル用樹脂粒子」の重量平均分子量は12,000、質量平均粒径は120nm、ガラス転移温度は53℃であった。
(着色剤分散液Cの作製)
ドデシル硫酸ナトリウム10質量%の水溶液900質量部を撹拌しながら、着色剤「C.I.ピグメントブルー15:3」210質量部を徐々に添加し、次いで、撹拌装置「クレアミックス」(エム・テクニック社製)を用いて分散処理することにより、シアン色の着色剤分散液を作製した。これを、「着色剤分散液C」とする。この着色剤分散液中の着色剤粒子の平均分散径を動的光散乱式粒度分析計「マイクロトラックUPA150」(日機装(株)製)を用いて測定したところ、150nmであった。
〈着色粒子の作製〉
(着色粒子1の作製)
(1)コア粒子の形成(塩析/融着(会合・融着)工程)
撹拌装置、温度センサ、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、
「コア用樹脂粒子」 420.7質量部(固形分換算)
イオン交換水 900質量部
「着色剤分散液C」 200質量部(固形分換算)
を投入して撹拌した。反応容器内の温度を30℃に調製した後、この溶液に5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを9に調整した。
次いで、塩化マグネシウム・6水和物2質量部をイオン交換水1000質量部に溶解した水溶液を、撹拌下、30℃にて10分間かけて反応系に添加し、3分間放置した後に昇温を開始して、この系を60分間かけて65℃まで昇温させて会合を開始した。この状態で「マルチサイザー3(コールター社製)」にて会合粒子の粒径を測定し、粒子の体積基準メディアン系(D50)が5.5μmになった時点で、塩化ナトリウム40.2質量部をイオン交換水1000質量部に溶解した水溶液を添加して粒径成長を停止させた。更に、熟成処理として液温度70℃にて1時間にわたり加熱撹拌することにより融着を継続させて「コア粒子1」を形成した。
「コア粒子1」の円形度を「FPIA2100」(システックス社製)にて測定したところ0.930であった。
(2)シェルの形成(シェル化工程)
次に、上記「コア粒子1」を作製した反応容器を65℃にして、そこへ
「シェル用樹脂粒子」 50質量部(固形分換算)
を添加した。更に、塩化マグネシウム・6水和物2質量部をイオン交換水1000質量部に溶解した水溶液を10分間かけて添加した後、70℃(シェル化温度)まで昇温し、1時間にわたり撹拌を継続した。この様にして「コア粒子1」表面に「シェル用樹脂粒子」を凝集・融着させ、その後、70℃で1時間熟成処理(第1熟成)を行った後、更に80℃に加温して1時間間熟成処理(第2熟成)を行いコア粒子中の気体を放出させてシェル層に穴を形成した。
熟成処理後、塩化ナトリウム40.2質量部を添加し、8℃/分の冷却速度で30℃まで冷却して「着色粒子1」の分散液を得た。
(3)洗浄、及び、乾燥工程
「着色粒子1」の分散液をバスケット型遠心分離機「MARKIII 型式番号60×40(松本機械(株)製)」を用いて固液分離を行うことにより、「着色粒子1」のトナーケーキを形成した。そして、濾液の電気伝導度が5μS/cmになるまで前記バスケット型遠心分離機を用いて「着色粒子1」の洗浄と固液分離を繰り返し行った。濾液が所定の電気伝導度になった後、乾燥装置「フラッシュジェットドライヤー(セイシン企業社製)」を用いて、含水量が0.5質量%となるまで乾燥処理を行うことにより「着色粒子1」を得た。「着色粒子1」は、コア・シェル構造を有し、体積基準におけるメディアン径(D50)が6.0μm、ガラス転移温度が39.5℃であった。
着色粒子100個について穴の数と穴の大きさを前記の方法で測定したところ、穴の数は平均2個、穴の径は平均400nmであった。
(着色粒子2〜10、12〜15の作製)
「着色粒子1」の作製における熟成条件を、下記表1のように変更した以外は同様にして「着色粒子2〜10、12〜15」を作製した。
(着色粒子11の作製)
「着色粒子1」の作製において、70℃で1時間熟成処理(第1熟成)を行ったのみで、熟成処理を終了した以外は同様にして、「着色粒子11」を作製した。
〈トナーの作製〉
(トナー1〜15の作製)
上記で作製したシアン色の「着色粒子1〜15」に対し、以下の外添処理を行うことにより、シアン色の「トナー1〜15」を作製した。即ち、疎水性シリカ(個数平均粒径=12nm、疎水化度=68)1質量%、疎水性チタニア(個数平均粒径=20nm、疎水化度=63)1質量%添加し、「ヘンシェルミキサー(三井三池化工社製)」で混合した。
表1に、各トナーの作製時の第1熟成と第2熟成の温度と時間、各トナーのガラス転移温度(Tg)、穴の大きさ、穴の数を示す。
Figure 2009186640
尚、Tg、穴の大きさと数は前記の方法で測定して得られた値である。
〈現像剤の作製〉
上記で作製した各トナーに対し、シリコーン樹脂を被覆した体積平均粒径35μmのフェライトキャリアを混合して、トナー濃度が6%の「二成分現像剤1〜18」を作製した。
《評価実験》
(画像評価)
画像評価は、電子写真方式を採用する市販の複合機「bizhub PRO C500」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)を使用し、A4判薄紙(45g/m2)上にシアン色のプリント画像を作成して行った。
プリント画像の作成は、常温常湿環境(20℃、55%RH)下で、A4サイズのプリントを通算で50000枚の連続プリントを行った。尚、上記連続プリントを行う際、101枚目から200枚目のプリントでは下記の加熱ロールへの巻き付きを評価するため、定着装置の分離爪を取り外して行った。また、4400枚目から4900枚目のプリントは用紙の両面に出力するものとした。
プリント画像は、細線画像(8本/mm、5本/mm)、ハーフトーン画像(画素濃度0.80)、白地画像、ベタ画像(画素濃度1.30)がそれぞれ1/4等分にあるA4サイズの画像をプリントした。両面プリント時のプリント画像は印字率12%の文字原稿をプリントとした。
尚、上記画像形成装置の定着装置は図3に示す加熱ロールとシームレスベルトより構成されるものとし、加熱ロールの表面材質、及び、表面温度を以下の様に設定した。
定着速度:230mm/sec
加熱ロールの表面材質:ポリテトラフロオロエチレン(PTFE)
加熱ロールの表面温度:135℃(但し、低温定着性評価時は以下の様に設定)
更に、上記50000枚のプリント作成を実施後、加熱ロール表面温度を90℃、105℃、125℃に変更して、各表面温度下で100枚の連続プリントを行い、低温定着性の評価を行った。
(評価項目)
評価は、「保存安定性」、「分離性」、「キャリア汚染」、「タッキンング」について行った。
〈低温定着性〉
50000枚の連続プリントを実施する前に、上記評価機の定着装置の加熱ロール表面温度を90℃、105℃、120℃に設定し、各設定温度下でA4判サイズの上質紙(64g/m2)で連続100枚のプリントを行った。各設定温度下における10枚目のプリント上に出力された定着画像を評価した。
得られたプリント画像の定着強度は、「電子写真技術の基礎と応用:電子写真学会編」第9章1.4項に記載のメンディングテープ剥離法に準じた方法を用い、定着率により評価した。具体的には、シアントナーの付着量が0.6mg/cm2である2.54cm角のベタシアンプリント画像を作成し、「スコッチメンディングテープ(住友3M社製)」を定着画像上に貼付、剥離して、前後の画像濃度を測定する。そして、テープ剥離前後における濃度からトナーの残存率を算出し、これを定着率とした。
定着率が95%以上となるトナー画像形成が行える加熱ロール表面温度を最低定着温度とした。尚、加熱ロール表面温度は非接触温度計で測定し、画像濃度は反射濃度計「RD−918(マクベス社製)」を用いて測定した。尚、評価は◎及び○を合格とした。
評価基準
◎:最低定着温度が95℃のもの
○:最低定着温度が95℃と105℃のもの
×:最低定着温度が120℃のもの。
〈低温定着時の分離性〉
上記低温定性の評価を実施時に、各設定温度下における加熱ロールとA4判薄紙(45g/m2)との分離性を評価した。評価は各設定温度下でA4判薄紙を連続100枚プリントして、分離爪を介しての分離性と、画像の仕上がりを以下の様に評価した。尚、評価は◎及び○を合格とした。
評価基準
◎:100枚のA4判薄紙がカールせずに加熱ロールと分離できた
○:加熱ロールと分離爪により分離するA4判薄紙が数枚見られたが、画像上に分離爪跡が確認できるものは存在しなかった
×:加熱ロールと分離爪により分離するA4判薄紙が存在し、かつ、画像上に分離爪跡が確認されるものが存在した。尚、評価は◎及び○を合格とした。
〈タッキング〉
印字率12%の文字原稿をA4判上質紙(64g/m2)にプリントしたとき、紙温が70℃〜75℃となるように定着温度(加熱ロールの温度)を設定、両面コピーし、排紙部に500枚スタックして下記のランク評価を行った。尚、評価は◎及び○を合格とした。
評価基準
◎:全く裏表の張り付きがない
○:かすかに裏表の張り付きがあるように感じられるが実用上問題なし
×:裏表は張り付き、剥がすとぱりぱり音がする。
〈保存安定性〉
トナーの保存安定性は、トナーを55℃、85%RHの環境に24時間放置し、その後28メッシュの篩で篩い、篩を通過したトナーの質量比で評価した。尚、評価は◎及び○を合格とした。
評価基準
◎:メッシュ通過率 90%以上(保存性優良)
○:メッシュ通過率 60%以上90%未満(保存性良好)
×:メッシュ通過率 60%未満(保存性不良)。
〈キャリア汚染(トナースペント)〉
キャリア汚染は、キャリア表面に固着したトナーをトナースペントとして以下のように測定した。
電子写真方式を採用する市販の複合機「bizhub PRO C500」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)を使用し、A4判薄紙(45g/m2)上にシアン色を常温常湿環境(20℃、55%RH)下で、A4サイズのプリントを通算で50000枚の連続プリントを行った後、現像剤をサンプリングし、評価に使用した。
(前準備)
ビーカーに、現像剤、少量の中性洗剤、純水を添加してよくなじませ、ビーカー底に磁石を当てながら上澄み液を捨てる。更に、純水を添加し上澄み液を捨てることで、トナー及び中性洗剤を除くことで、キャリアのみを分離する。40℃にて乾燥し、キャリア単体を得る。
(測定)
前準備により現像剤より分離したキャリア10gを30mlのサンプル管に入れ、MEK20gと共に30分撹拌し上澄み液を抽出した。抽出した上澄み液を分光光度計U−3500(日立製作所社製)にて透過率を測定し、波長650nmでの透過濃度を計測した。尚、キャリア汚染は、0.85以上を合格とする。
評価基準
◎ 透過濃度0.95以上でほとんどトナースペントなし。
○ 透過濃度0.85以上、0.95未満でトナースペントしているが問題ない状態
× 透過濃度0.85未満で、トナースペントによりキャリアが汚染され帯電性能低下を起こす。
〈画像上のカブリ〉
キャリア汚染で50000枚プリントを行った後に、白紙をプリントし、プリント画像上のカブリを目視で評価した。基準は◎及び○を合格とした。
評価基準
◎:カブリが全くないレベル
○:カブリが存在するが、実用上問題のないレベル
×:カブリが多く、実用上問題有り。
表2に、評価結果を示す。
Figure 2009186640
表2の結果から明らかなように、本発明の「実施例1〜10」の「トナー1〜10」は、上記評価項目の全てにおいて満足できる結果が得られたが、発明外の「比較例1〜5」の「トナー11〜15」は上記評価項目を何れかに問題が有り満足するものではなかった。
本発明のトナーを二成分系現像剤として使用することが可能な画像形成装置の一例を示す概略図である。 加熱定着方式の定着装置(加圧ロールと加熱ロールを用いたタイプ)の一例を示す概略図である。 加熱定着方式の定着装置(シームレベルトと加熱ロールを用いたタイプ)の一例を示す概略図である。
符号の説明
1 感光体(感光体ドラム)
4 現像装置(トナーカートリッジ)
6 クリーニング装置
7 中間転写ベルト
10 画像形成部
24 定着装置
240 加熱ロール
241 シームレスベルト
P 転写材(記録材)

Claims (1)

  1. 少なくとも樹脂と着色剤とワックスを含有してなるコア粒子を、樹脂からなるシェル層にて被覆してなるコア・シェル構造の電子写真用トナーにおいて、
    該シェル層にトナーの1粒子当たり平均径100〜1000nmの穴が平均2〜30個存在することを特徴とする電子写真用トナー。
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