JP2008302605A - 感熱孔版用ポリプロピレンフイルム及びこれからなる感熱孔版原紙 - Google Patents

感熱孔版用ポリプロピレンフイルム及びこれからなる感熱孔版原紙 Download PDF

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Abstract

【課題】感熱孔版用として優れた穿孔性を有するポリプロピレンフイルム及びこれからなる感熱孔版原紙を提供すること。
【解決手段】融点が156℃以上のポリプロピレン樹脂(A)と、側鎖の炭素数が2以上のαオレフインを含有するポリオレフイン系樹脂(B)とを含む感熱孔版用ポリプロピレンフイルム。
【選択図】 なし

Description

本発明は、熱エネルギーで樹脂薄膜の一部を溶融・穿孔して、孔版印刷を可能とする感熱孔版原紙に用いる熱可塑性樹脂基材(フィルム)の改良に関するものである。
孔版印刷は基材シートに形成した孔を通じてインク等を印刷紙等に転写せしめる技術であるが、感熱孔版印刷では、天然セルロース繊維及び/または合成樹脂繊維からなる多孔性支持層と熱可塑性樹脂基材とを接合した積層体を印刷用基材とし、該熱可塑性樹脂基材の特定部位を、適宜選択された熱源を用いて穿孔し、印刷パターンを形成するものである(特許文献1)。ここで熱源としては、キセノン閃光源等による可視光〜赤外線のパルス放射、熱ヘッドとの接触等があり、最近ではレーザー光等のビーム状光線の照射等も提案されている。精緻な画像・文字等を印刷するためには、熱源の形状・サイズを小さくしていくことが求められるが、発生する熱量も小さくなるために、確実に穿孔するためには該熱可塑性樹脂基材が流動を開始するためのエネルギーが小さいことが重要と考えられる。このため、従来から、該材料の改善検討が鋭意行われており、延伸された熱可塑性樹脂フイルムとして、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂フイルムを延伸した熱可塑性樹脂フイルムで厚みが10μm以下のフイルムが好ましく用いられるとの提案がなされており(特許文献2)、この内、ポリプロピレンフイルムについては、穿孔性を向上するために、ポリプロピレン系共重合体フイルムが感熱孔版用フイルムとして提案されている(特許文献3)。ポリプロピレン系については更に電子線を照射する技術も提案されている(特許文献4)。
さらにまた、十分な穿孔性を得るために、ポリエステルフイルムを該感熱フイルムとして使用する改良技術の提案が多数(特許文献5〜7)なされ、現在は、広くポリエステルフイルムが感熱孔版原紙として用いられている。
一方、ポリプロピレンフイルムを当該技術分野に適用する技術が、早期に提案されていながら、実用化が困難であった理由の一つとして、第1に、ポリプロピレンフイルムの滑り性の問題がある。すなわち、ポリプロピレンフイルムでは滑り性を付与するため、通常、無機及び/または有機粒子を添加することで該表面に凹凸を形成する技術が使用されているが、この方法によると、粒子周辺にボイドが形成され、穿孔性に悪影響を与える可能性がある。一方、コンデンサ用ポリプロピレンフイルムではβ晶を形成しておき、これを延伸時にα晶に転移(結晶変態)させる際の変形挙動を利用して表面凹凸を形成させる技術が適用されているが、これでも滑り性は十分とはいえなかった。
第2の問題としては穿孔性特性の問題がある。ポリプロピレンは融点は低いものの結晶化度が高く、小エネルギーでは融解しにくいという問題を有している。このため、上述のポリプロピレン共重合体を用いる等の技術が提案されているが、ガラス転移温度の低いポリプロピレンでは結晶性の低下と共に急激に機械特性が低下するために薄膜化が難しいという問題を有していた。また、電子線等で感度を上げる技術は、非常に薄いフイルムでは電子線の照射効率に劣るため、実用化する上ではコスト面での制約があった。
特公昭41−7623号公報 特公昭54−33117号公報 特公昭47―1184号公報 特公平5−30637号公報 特開昭60−48398号公報 特開昭60−85996号公報 特開昭62−149496号公報
本発明は、特定の組成を有するポリプロピレンフイルムを用いることで、感熱孔版用として優れた穿孔性を有するポリプロピレンフイルムおよび感熱孔版原紙を提案するものである。
本発明は、上述の問題を解決するために、
(1)融点が156℃以上のポリプロピレン樹脂(A)と、側鎖の炭素数が2以上のαオレフインを含有するポリオレフイン系樹脂(B)とを含む感熱孔版用ポリプロピレンフイルム。
(2)少なくとも片面の表面光沢度が100〜140%である、(1)に記載の感熱孔版用ポリプロピレンフイルム。
(3)ポリオレフイン系樹脂(B)が直鎖状低密度ポリエチレンである、(1)または(2)に記載の感熱孔版用ポリプロピレンフイルム。
(4)厚みが1.5〜3.5μmである、(1)〜(3)のいずれかに記載の感熱孔版用ポリプロピレンフイルム。
(5)上記(1)〜(4)のいずれかに記載の感熱孔版用ポリプロピレンフィルムを用いた感熱孔版原紙。
本発明の感熱孔版用ポリプロピレンフイルムは側鎖の炭素数が2以上のαオレフインを含有することで、以下の効果を奏する。
1.滑り性に優れるため貼り合わせ加工等の加工適正に優れ原紙製造時の歩留まりが高く、品質の均一性が高い。
2.感熱孔版原紙がシワになりにくく印刷がきれいに仕上がる、等の優れた特性・効果を有する。
3.穿孔性に優れ、均一性の高い孔が形成できるため高精細の印刷が可能となる。
以下に、本発明について、望ましい実施の形態とともに詳細に説明する。
本発明の感熱孔版用ポリプロピレンフイルムは、ポリプロピレン樹脂(A)と、側鎖の炭素数が2以上のαオレフィンを含有するポリオレフイン系樹脂(B)とを含んでいる。
まず、ポリプロピレン樹脂(A)は、その融点が156℃であることが重要であり、好ましくは、159℃以上であり、特に好ましくは、162℃以上である。本発明において融点の下限のみを規定する理由は、融点が高い、すなわち結晶性の高いポリプロピレン樹脂がフイルムの薄膜化に適しており、より好ましいことを見出したからである。すなわち、本発明の目的である孔版原紙の感度向上からは、前述の通り結晶性は低いことが好ましく、この観点からは目的に反するといえるが、ポリプロピレンは結晶性の低下がフイルムの剛性低下に直結し、ハンドリング性を著しく損なうものとなる。すなわち、本発明者らは、高感度化の要件であるフイルムの薄膜化と低結晶化はトレードオフの関係にあるものの、結晶性を高めることで達成できる薄膜化が感度向上に向けて大きく寄与することを見出して本発明に至ったものである。
従いなるべく高結晶性のポリプロピレン樹脂が本発明には好ましいが、該上限値については現在のポリプロピレン樹脂の製造技術に依存しており、工業的に入手可能なポリプロピレンの融点の上限値は167℃前後である。
ポリプロピレン樹脂(A)の融点を上述の範囲とするために、ポリプロピレンの立体規則性を高くすることが好ましい方法として例示される。具体的には、アイソタクチック構造を有するポリプロピレンの5つのモノマーユニットのメソ連鎖で表現されるアイソタクチックペンタッド分率(mmmm)を90%以上とすることであり、好ましくは92%以上とすることが好ましい。また、その構造中に含まれるプロピレン以外のモノマー成分も結晶性を阻害することで融点を低下させるため、極力プロピレン単独のモノマー単位から構成されていることが好ましいが、、本発明の目的に反しない限り、エチレン、ブテン−1、ヘキセン−1、4メチルペンテン−1等のαオレフインが共重合されていてもよい。
また、本発明のポリプロピレンフィルムは、側鎖の炭素数が2以上のαオレフインを含有するポリオレフイン系樹脂(B)を含んでいる。
ここで、側鎖の炭素数が2以上のαオレフインとしては、ブテン−1,ペンテン−1、ヘキセン−1,4メチルペンテン−1、3メチルブテン−1、オクテン−1、等が例示される。このような側鎖を有するモノマー群を含有するポリオレフイン類を含有していると上述ポリプロピレン樹脂(A)との親和性が向上することでポリオレフイン系樹脂(B)の分散性が向上して穿孔性が向上するので好ましい。
ポリオレフイン系樹脂としては、具体的には、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン(直鎖状超低密度ポリエチレン、直鎖状超超低密度ポリエチレンを含む)、ポリブテン1系樹脂、ポリ4メチルペンテン1系樹脂が例示され、特に直鎖状低密度ポリエチレンが穿孔性と製膜性のバランスが取れるので好ましい。
特に好ましい直鎖状低密度ポリエチレンとしては、融点が120℃以下であることが好ましく、特に好ましくは60〜110℃である。具体的には、直鎖状低密度ポリエチレンとしては、“ハーモレックス”(日本ポリオレフイン(株)製)、直鎖状超低密度ポリエチレンとしては、“カーネル”(日本ポリオレフイン(株)製)、“エンゲージ”(デユポンダウエラストマー社製)等が例示される。
本発明のフイルムは上述の特徴を有するポリプロピレン樹脂(A)とポリオレフイン系樹脂(B)とを含んでいるが、ポリオレフイン系樹脂(B)の含有量はポリプロピレン樹脂(A)とポリオレフィン系樹脂(B)の合計量に対して0.1〜10質量%であることが好ましく、更に好ましくは1〜8質量%である。添加量が少なすぎると穿孔性に劣り、添加量が多すぎるとフイルムの剛性が低下することによりシワが発生しやすく、また熱寸法安定性も低下しやすい。
また、本発明の目的に反しない範囲で、公知の熱安定剤、酸化防止剤、塩素捕獲剤、有機及び/または無機の滑り剤、耐電防止剤等を含有していてもよい。このうち、無機の滑り剤については、異物欠点の原因異物を形成する恐れがあり、薄膜フイルムを製造する上では延伸工程でのフイルムの破断、穿孔工程でのエラーの原因となる可能性が高く、極力添加しないことが望ましい。また、塩素捕獲剤としては、ステアリン酸カルシウム等のいわゆる金属石鹸類と無機系のハイドロタルサイト類が例示されるが、金属石鹸類は熱安定性がそれほど良くないために溶融工程で異物を形成する恐れがある。一方、無機系のものはもともと粒子であるために、上述の通り製膜工程の安定性や穿孔性を阻害する恐れがある。このように一長一短があるため、金属石鹸の添加量としては、フィルムに対し200ppm(質量基準)以下、特に好ましくは100ppm(質量基準)以下としておくことが好ましく、ハイドロタルサイト類としては、フィルムに対し100ppm(質量基準)以下、より好ましくは50ppm(質量基準)以下としておくことが好ましい。このため、ポリプロピレン樹脂(A)中の残留塩素量を極力低減することが望ましく、残留塩素量はポリプロピレン樹脂(A)中15ppm(質量基準)以下、特に好ましくは10ppm(質量基準)以下としておくことが好ましい。
また、本発明フィルムに用いられる帯電防止剤等としては、多価アルコール脂肪酸部分エステル、アルキルジアルカノールアミン化合物、アルキルジアルキルベタイン型両性界面活性剤類、等が例示され、含有量としてはフィルムに対し0.01〜1質量%である。
本発明のフイルムは、以上の特性を有する樹脂を含む組成物を2軸延伸して得ることができる。フイルム厚みは1.5〜3.5μmであることが好ましく、より好ましくは1.7〜3μmである。
フイルム厚みが1.5μm未満のものは安定して製膜することが困難であり、得られたとしても剛性に劣りハンドリングが困難である。一方、3.5μmを超えた場合は感度特性を損なう可能性がある。
また、本発明フイルムの少なくとも片面の表面光沢度は100〜140%であることが好ましく、更に好ましくは、110〜130%である。ここで光沢度は表面粗さを反映する指標であり、表面が粗面化されているほど光沢度はする。一方、表面が平滑な程、光沢度は上昇する。従って、光沢度が低く過ぎて、表面が荒れている場合はフイルムが滑りやすくなり、整った巻き姿のフイルムロールが得難く加工適正が悪化することがある。一方、光沢度が高過ぎて、表面が平滑な場合は、滑りが悪くシワが入る等の問題により歩留まりが低下する場合がある。
このような光沢度値を得るためには、ポリオレフィン系樹脂(B)の添加量を調整することで達成可能であり、樹脂(B)の添加量を多くすると光沢度は低下する。さらにこの方法に加えて、本発明のフイルムの前駆体として未延伸フイルムを成型する際の冷却温度をコントロールする方法が例示される。すなわち、未延伸フイルムの冷却温度を上げるとポリプロピレンの結晶系の内でβ型結晶が生じ、2軸延伸工程でβ→α転移により表面に凹凸を形成すること可能となる。具体的には溶融押出シート化工程において冷却温度を80〜120℃の範囲とすることが好ましい。この結果、冷却シート中にα型の球晶と共にβ型の球晶が形成され、延伸工程において該β型球晶がα型に転移する際に表面の凹凸を形成するため、目的の光沢度を得ることができる。また、更にβ型結晶を生成しやすく方法としてβ型結晶を選択的に形成する核剤を樹脂に添加しておく方法が例示される。このような核剤としては、公知の12−ヒドロキシステアリン酸カリウム、安息香酸マグネシウム、コハク酸マグネシウム、フタル酸マグネシウム等のカルボン酸のアルカリ又はアルカリ土類金属塩、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、ナフタリンスルホン酸ナトリウム等の芳香族スルホン酸化合物、二または三塩基カルボン酸のジもしくはトリエステル類、テトラオキサスピロ化合物類、イミドカルボン酸誘導体、フタロシアニンブルー等のフタロシアニン系、キナクリドン、キナクリドンキノン等のキナクリドン系等の顔料、有機二塩基酸である成分Aとアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物又は塩である成分Bとからなる二成分系、特定のアミド化合物が例示される。
また、本発明のフイルムの少なくとも片面について、多孔質基材との接着性を良好とするため表面濡れ張力を上げておくことが好ましい。表面濡れ張力としては、35〜52mN/mであることが好ましく、更に好ましくは38〜50mN/mである。濡れ張力が35mN/mを下回ると接着性が低くなる恐れがあり、一方、52mN/mを上回るとフイルムをロール状に巻いた際にブロッキングをする恐れがある。上記した範囲の表面濡れ張力を得るためには、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理等を用いることで、表面に極性基を導入する方法が例示されるが、このうち、薄膜フイルムの処理ではコロナ処理、プラズマ処理が安定した処理が可能となるので好ましく、特にコロナ放電処理はコスト面で有利であり、好ましく用いられる。
本発明のフイルムは以上の特性を有するものであるが、感熱孔版原紙として使用するためには少なくとも片面が多孔性支持体層と接合されてなることが必要である。
多孔性支持体層は、孔版原紙としての膜強度を保持すると同時にインクの含浸並びに移動が容易であることが求められ、天然セルロース繊維及び/または合成樹脂繊維からなる多孔体であることが好ましい。また、該多孔質支持体層と本発明のフイルムとの接合においては、ポリエステル系、ポリウレタン系、アクリル系接着剤が適宜使用される。
次いで、本発明のフイルムの製造方法について説明する。
本発明のフイルムは、2軸延伸法によって製造されることが好ましいが、その場合はテンター法、チューブラー(バブル)法、何れの方法によってもよい。この中でもテンター法は厚み斑・平面性が良好となるので好ましい。テンター法でも更に同時2軸延伸法と逐次2軸延伸法とがあるが、何れの方法によってもよい。以下逐次2軸延伸法により本発明のフイルムを得る方法を説明するが、もちろんこれに限定されるものではない。
ポリプロピレン樹脂(A)とポリオレフイン系樹脂(B)とをペレットブレンドしておき、押出機を用いて230〜270℃で溶融混練し、ポリマーフィルターにより樹脂中の異物を除去したT型スリットダイに導いてシート状に溶融押出する。もちろん、ペレットブレンドに拠らず、あらかじめ溶融ブレンドしておいてもよい。
次いで該溶融シートを80〜120℃にコントロールした冷却ドラム上にエアー圧で密着させながら冷却固化する。ここで、冷却ドラムの温度が80℃を下回ると2軸延伸後のフイルムの表面が平滑過ぎて巻き取りが難しくなる可能性がある。一方、該温度が120℃を超えると結晶化が遅くなり、ライン速度を落とさざるを得ず、経済性が悪化する恐れがある。
次いで冷却固化したシートを複数の加熱金属ロールにより予熱し、135〜155℃、好ましくは140〜150℃に該シート温度を上昇せしめ、周速差を設けた1対または複数のロール間で3〜7倍、好ましくは4〜6倍に長手方向に延伸し一軸延伸フイルムとする。次いで該一軸延伸フイルムの幅方向の両端をクリップで把持して加熱オーブンに導いて150〜170℃に予熱した後に幅方向に7〜12倍、好ましくは8〜11倍に延伸し2軸延伸フイルムとし、幅方向に0〜20%のリラックスを許しながら140〜160℃でアニールする。このようにして得られた2軸延伸フイルムの両エッジ部をトリミングした後に必要に応じて、コロナ放電処理、火炎処理、オゾン処理等の表面処理を施した後にロール状に巻き取る。巻き取られたフイルムは、20〜40℃の雰囲気中でエージング処理を施された後に多孔性支持体との貼り合わせに適当な製品幅に裁断する。
感熱孔版原紙については、上述のようにして得られたポリプロピレンフイルムと多孔性支持体とを接着剤を用いて接合せしめることで得られる。この際に接着剤は本発明のフイルム、多孔性支持体いずれに塗布しても構わないが、通常フイルムが薄く剛性にも劣るために、均一に塗布することは技術的な難易度が高いことから、多孔性支持体に塗布してフイルムに貼り合わせることが好ましい。ポリプロピレンフイルムと多孔性支持体とを貼り合わせた後に熱風オーブン中で溶媒等を除去し、接着剤を乾燥固化した後に巻き取る。
次に本発明の実施例に用いる測定法及び評価法について説明する。
(1)光沢度(%)
JIS K−7105(1981)に準じ、スガ試験機株式会社製 デジタル変角光沢計UGV−5Dを用いて入射角60°受光角60°の条件で測定した5点のデータの平均値を光沢度とした。
(2)フイルム厚み(μm)
JIS C−2330(2001)の7.4.1.1によりマイクロメータ法厚さを測定した。
(3)融点(Tm)、溶融結晶化温度(Tmc)(℃)
セイコー社製RDC220示差走査熱量計を用いて、以下の条件で5回の測定を行い、その内の最大値と最小値の2点を除いた残り3点の平均値をTm、Tmcとした。
<試料の調製>
検体として4±1mgを測定用のアルミパンに封入する。
<測定>
以下の(a)→(b)→(c)のステップでフィルムを溶融・再結晶・再溶融させる。
(a)溶融(1st Run):30℃→280℃(昇温速度20℃/分)
(b)再結晶化 :280℃で5分保持後に20℃/分で 30℃まで冷却
(c)再溶融(2nd Run):30℃→280℃(昇温速度20℃/分)
この際に、2nd Runで観測される融解に伴う吸熱ピーク温度をTmとし、該ピーク値が複数ある場合は最もピーク面積が大きいピークをTmとして採用する。
また、Tmcは再結晶化の際に観測される結晶化に伴う発熱ピーク温度をTmcとして、該ピーク値が複数ある場合は最もピーク面積が大きいピークをTmcとして採用する。
(4)極限粘度([η])
試料0.1mgを135℃のテトラリン100mlに溶解させ、この溶液を135℃の恒温槽中で粘度計を用いて測定し、比粘度Sにより次式にしたがって極限粘度[η]をもとめた(単位:dl/g)。
[η]=(S/0.1)×(1+0.22×S)
(5)MFR(メルトマスフローレート)(g/10分)
ポリプロピレン系樹脂は、JIS−K7210(1999)に示されるポリプロピレン試験方法(230℃、21.18N)に準じ、ポリエチレン系樹脂は、JIS−K6922(2005)に準じて測定した。
(6)すべり係数
2枚のフイルムを以下の方法で滑らせる際に観測される摩擦力からすべり係数を求める。
<サンプル調製>
短冊状に切り出したフイルムサンプル(幅75mm×長さ100mm)を50℃の熱風オーブン中で3時間エージングした後に23℃、相対湿度65%の雰囲気で12時間以上調湿する。
<摩擦力の測定>
次いで該サンプル2枚を重ね、更に、荷重(重量200g、底面積50mm×50mmの正方形)を乗せた上で、一方のフイルムを短冊の長手方向に引き取る(引き取り速度:150mm/分)際の摩擦力をスリップテスターで測定する。
摩擦力はフイルムが滑り始める臨界点で観測される静摩擦力と、引き取り中に観測される動摩擦力に区分されるが、本発明においては、後者の動摩擦力R(g)をチャートより読みとり、
すべり係数=R(g)/200(g)
とする。本測定を5回繰り返し、その平均値を求める。
すべり係数が1.0を超えるとシワが発生しやすく、巻き取りやラミネートの際のハンドリング性等を損なう可能性がある。
(7)濡れ張力
ホルムアミドとエチレングリコールモノエーテルとの混合液を用いて、JIS K 6768(1999)に準じて測定した(単位:mN/m)。
(8)印刷特性(穿孔感度)
ポリプロピレンの感熱印刷原紙としての印刷特性評価として穿孔感度を評価した。ポリプロピレンフィルムを多孔性支持体(和紙)に貼り合わせて原紙を作製し、サーマルヘッドにより印加エネルギー0.09mJおよび0.12mJにて文字画像を製版した。製版された原紙のポリプロピレンフィルム側から顕微鏡で画像部の穿孔状態を観察し、穿孔感度を下記の項目で評価した。
◎:所定の穿孔が確実に行われ良好であった。
○:ごく一部に所定の穿孔が得られない部分があった。
△:所々に所定の穿孔が得られない部分があった。
×:所定の穿孔が全く得られない。
(9)製膜方法
以下の製膜方法により2軸延伸を行いフイルムサンプルを得た。
準備されたポリプロピレンペレットをスクリュー径90mmφ/90mmφのタンデム押出機より245℃で溶融押出し、95℃に設定された冷却ドラム上で冷却固化し未延伸シートを得た。次いで該未延伸シートを4本の金属ロールで順次昇温し、所定の温度までフイルム温度を昇温した後に、1対の延伸ロール間で長手方向に所定の倍率に延伸した後に、クリップで該1軸延伸フイルムの両端を把持して、熱風オーブンに導いた。該1軸延伸フイルムは熱風オーブン中で所定の温度に予熱された後に幅方向に9倍延伸し、次いで150℃で幅方向に5%のリラックスを許しながら熱固定した。
このようにして得られた2軸延伸フイルムは熱風オーブンを出た後に、ドラム面と反対側をコロナ放電処理を施し、クリップにより把持されていた製膜エッジを除去してロール状に巻き取った。該ロールは1日間、常温で放置した後にスリットして、製品ロールとして巻き取った。
(実施例1)
ポリプロピレン樹脂(A)としてBorealis製BorcleanTMHB300BF(融点:166℃、MFR=2.5g/10分) 97質量%とポリオレフイン系樹脂(B)として直鎖状低密度ポリエチレン樹脂−1(以下LLDPE−1)(日本ポリエチレン(株)製“カーネル”KF282(MFR=2.2g/10分、融点=97℃)3質量%とをチップブレンドして、前記(9)項記載の製膜方法に従って、押出機に導き、95℃の冷却ドラム上でシート化した。次いで長手方向に145℃で4.5倍に延伸し、幅方向に156℃で9倍に延伸した。2軸延伸後コロナ放電処理を施し、41mN/mの濡れ張力とした。得られたフイルムの厚みは1.7μmであった。
こうして得られた2軸延伸ポリプロピレンフィルムはハンドリング性も良く、和紙と貼り合わせて、印刷特性を評価した結果、穿孔感度は良好であった。
(実施例2)
ポリプロピレン樹脂(A)として住友化学(株)社製FS2016(融点:162℃、MFR=2.0g/10分) 95質量%とポリオレフイン系樹脂(B)としてLLDPE−2(日本ポリエチレン(株)製“ハーモレックス”NF324A(MFR=1.0g/10分、融点120℃)5質量%とをチップブレンドし、押出機に導いた。延伸条件としては長手方向に143℃で4.8倍、幅方向に154℃で9倍とした。コロナ放電処理は48mN/mとした。上記以外は実施例1と同様とした。得られたフイルム厚みは3.2μmであった。
印刷特性評価の結果は、実施例1にやや劣るものの優れていた。
(実施例3)
ポリプロピレン樹脂(A)として前出のBorealis製HB300BF 94質量%とポリオレフイン系樹脂(B)としてLLDPE−1を2質量%とポリブテン−1(三井化学(株)製BL4000) 2質量%とをチップブレンドして用いた。延伸条件としては、長手方向に145℃で4.8倍に延伸し、幅方向に156℃で9倍に延伸した。2軸延伸後コロナ放電処理を施し、43mN/mの濡れ張力とした。上記以外は実施例1と同様とした。得られたフイルムの厚みは2.2μmであった。
印刷特性を評価した結果、穿孔感度は良好であった。
(比較例1)
実施例1と同様の製膜条件を用いて、ポリプロピレン樹脂(A)のみでフイルム厚み2.3μmのフイルムを得た。表1に示すごとく、滑り性が悪く、和紙とのラミネートが均一にできず、穿孔感度の測定ができなかった。
(比較例2)
ポリプロピレン樹脂として、プロピレン98質量%、エチレン2質量%からなるエチレンプロピレン共重合体樹脂(融点:155℃、MFR:3.0g/10分)を用い、該チップ97質量%にポリオレフィン系樹脂(B)としてLLDPE−1を3質量%添加して2軸延伸フイルムを得た。但し、5μm以下のフイルムが安定して得られないために、厚みを6μmとした。
こうして得られたフイルムの穿孔感度は劣っていた。
Figure 2008302605
Tm:融点
Tmc:溶融結晶化温度
[η]:極限粘度

Claims (5)

  1. 融点が156℃以上のポリプロピレン樹脂(A)と、側鎖の炭素数が2以上のαオレフインを含有するポリオレフイン系樹脂(B)とを含む感熱孔版用ポリプロピレンフイルム。
  2. 少なくとも片面の表面光沢度が100〜140%である、請求項1に記載の感熱孔版用ポリプロピレンフイルム。
  3. ポリオレフイン系樹脂(B)が、融点が120℃以下の直鎖状低密度ポリエチレンである、請求項1または2に記載の感熱孔版用ポリプロピレンフイルム。
  4. 厚みが1.5〜3.5μmである、請求項1〜3のいずれかに記載の感熱孔版用ポリプロピレンフイルム。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の感熱孔版用ポリプロピレンフィルムを用いた感熱孔版原紙。
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