JP2008163270A - ポリエステル系樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 導電性、電磁波シールド性、機械的強度、熱安定性、難燃性、及び外観に優れた樹脂成形体となる、熱可塑性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 ポリカーボネート樹脂(A1)及び/又はポリエステル系樹脂(A2)50〜95重量%と、黒鉛(B)50〜5重量%からなる熱可塑性樹脂組成物であって、ポリカーボネート樹脂(A1)及び/又はポリエステル系樹脂(A2)と、含水率が0.2%以下の黒鉛(B)とを配合することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、優れた導電性を有する熱可塑性樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、特定の黒鉛を配合することによって帯電を防止し、優れた導電性を奏するのみでなく、機械的強度、耐熱性、難燃性、溶融熱安定性及び外観をも併せ持つ、熱可塑性樹脂組成物に関する。
主鎖がカーボネート結合(−R−O−C(=O)−O−)を含む繰り返し単位からなるポリカーボネート樹脂や、エステル結合(−R−C(=O)−O−)を含む繰り返し単位からなる、芳香族ポリエステル樹脂、液晶性ポリエステル樹脂及びポリアリレート樹脂等のポリエステル系樹脂は、機械的性質、電気的性質、耐熱性などに優れているため、電気・電子・OA機器部品、機械部品等の多くの用途に使用されている。
これらポリカーボネート樹脂やポリエステル系樹脂は、優れた特性を備えている反面、電気抵抗率が高いので帯電し易く、静電気に起因する様々な障害を引き起こす可能性が有る。例えば、樹脂成形品が静電気を帯びる(帯電する)と、表面に埃や塵の付着し、外観の低下やこれによる商品価値低下が生じる。特に電気・電子・OA機器部品用途においては、この樹脂成形品の帯電が誤操作の原因となり、機能上重大な問題を引き起こす場合もあるので、帯電が防止され、優れた導電性を奏する樹脂材料が求められている。
また電気・電子・OA機器においては、筐体である樹脂成形品内部にある電子部品が電磁波を発生するので、通常、電磁波を機器の外部に漏らさない目的で、電磁波シールド層として、メッキや蒸着等の方法により筐体表面へ金属被膜を形成することが行われている。そして近年では、製品製造工程の簡略化や製品デザインの多様化などから、この電磁波シールド性を筐体の樹脂材料自体に持たせること、つまり電磁波シールド性に優れた樹脂組成物が求められている。
この様な、導電性と電磁波シールド性を樹脂組成物に付与する方法としては、ポリカーボネート樹脂やポリエステル系樹脂に黒鉛を配合することが知られている。例えば高いハンダ耐熱性を有し、異方性、反りが小さく、表面固有抵抗値が1×10 〜1×10 Ωと優れた導電性を有する樹脂組成物として、平均粒径が5μm以上の黒鉛および平均粒径が5μm以上のタルクを配合した液晶性ポリエステル樹脂組成物等が提案されている(例えば特許文献1参照)。
また導電性、耐熱性、耐熱安定性、低吸水性、寸法安定性に優れた樹脂組成物として、黒鉛等の導電性フィラーとポリアリレート樹脂からなる組成物(例えば特許文献2参照。)や、剛性が高く、機械的特性及び導電性の異方性が小さい樹脂組成物として、ポリカーボネート樹脂等の熱可塑性樹脂と70%以上の粒子のアスペクト比が3以下である黒鉛粉末からなる組成物が提案されている(例えば特許文献3参照)。
そして導電性、耐熱性、耐衝撃性、寸法安定性および成形品の表面外観を兼備する車両用外装部品として、ポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂、耐衝撃性改良剤、平均粒径1〜70μmのグラファイト、及び制電性樹脂からなる熱可塑性樹脂組成物から得られた車両用外装部品が提案されている(例えば特許文献4参照)。
更には、層状剥離のない優れた帯電防止性、機械的強度、流動特性および良好な耐熱性とを併せ持つ樹脂組成物として、ポリカーボネート樹脂および黒鉛等非繊維状炭素充填材、流動改質剤からなる樹脂組成物が提案されている(例えば特許文献5参照)。
またポリエステル系樹脂の加水分解を防止し、溶融熱安定性、機械的特性、外観が良好で、線膨張係数の低い樹脂組成物として、ポリカーボネート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、黒鉛等無機充填材及び有機リン酸エステルからなる熱可塑性樹脂組成物(例えば特許文献6参照。)や、黒鉛を用い、非ハロゲン系やリン系難燃剤を用いずに難燃化した樹脂組成物(例えば特許文献7参照。)も提案されている
特開平 6−207083号公報 特開2000−143956号公報 特開2001−060413号公報 特開2002−235010号公報 特開2006−249290号公報 特開2004−352823号公報 特開2006−273931号公報
しかし何れの樹脂組成物においても、分子量低下による機械的強度低下、黄変、分子量低下を抑制した樹脂成形体を得ることは困難であり、表面肌荒れによる外観低下をも生ずると言う問題があった。
本発明が解決しようとする課題は、上記従来技術の諸問題を全て解決し、優れた導電性、機械的強度、耐熱性、難燃性、溶融熱安定性及び良好な外観を同時に併せ持つ、熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
本発明者等は上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、樹脂組成物中の黒鉛に含まれている水分等の不純物により、樹脂組成物の溶融・混練時に熱可塑性樹脂が、とりわけポリカーボネート樹脂やポリエステル系樹脂が分解し、分子量の低下による機械的強度の低下等が生ずることを見出した。
そしてポリエステル系樹脂に含水率の低い黒鉛を配合することにより、優れた導電性、機械的強度、耐熱性、難燃性、溶融熱安定性を併せ持ち、表面性の良い樹脂成形体となる熱可塑性樹脂組成物となることを見出し、本発明を完成させた。
即ち本発明の要旨は、ポリカーボネート樹脂(A1)及び/又はポリエステル系樹脂(A2)50〜95重量%と、黒鉛(B)50〜5重量%からなる熱可塑性樹脂組成物であって、ポリカーボネート樹脂(A1)及び/又はポリエステル系樹脂(A2)と、含水率が0.2%以下の黒鉛(B)とを配合することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物、及びこれを成形してなる樹脂成形体に関する。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、優れた導電性、機械的強度、耐熱性、難燃性、溶融熱安定性を持ち合わせ、表面性の良い樹脂成形体を提供することが出来るので、電気・電子・OA機器部品、機械部品、車輌外装・外板部品、車輌内装部品、建築部材、各種容器、レジャ−用品・雑貨類、携帯電話やノートブック型パソコン、ビデオカメラ、コピー機、ファクシミリ等における、微小部品から各種用途の筐体まで、幅広く好適に使用できる。
以下、本発明の内容について詳細に説明する。本発明に用いるポリカーボネート樹脂(A1)は、例えば、芳香族ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体とを、または、これらに併せて少量のポリヒドロキシ化合物等を反応させてなる、直鎖または分岐の熱可塑性芳香族ポリカーボネート樹脂、または共重合体である。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂(A1)の製造方法は特に限定されるものではなく、従来公知の任意の製造方法を用いることができる。製造方法としては、具体的には例えば、界面重合法、溶融エステル交換法、ピリジン法、環状カーボネート化合物の開環重合法、プレポリマーの固相エステル交換法等が挙げられる。
原料として用いられ芳香族ジヒドロキシ化合物としては、具体的には例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビスフェノールA)、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=テトラブロモビスフェノールA)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1−トリクロロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサクロロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン等で例示されるビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等で例示されるビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン等で例示されるカルド構造含有ビスフェノール類;
4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエーテル等で例示されるジヒドロキシジアリールエーテル類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド等で例示されるジヒドロキシジアリールスルフィド類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド等で例示されるジヒドロキシジアリールスルホキシド類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホン等で例示されるジヒドロキシジアリールスルホン類;ハイドロキノン、レゾルシン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル等が挙げられる。
これらの中でも、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン類を用いることが好ましく、特に、得られるポリカーボネート樹脂の耐衝撃性の点から、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビスフェノールA)が好ましい。ポリカーボネート樹脂(A)の原料である芳香族ジヒドロキシ化合物は、一種または任意の割合で二種以上を併用してもよい。
芳香族ジヒドロキシ化合物と反応させるカーボネート前駆体としては、カルボニルハライド、カーボネートエステル、ハロホルメート等が使用され、具体的にはホスゲン;ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等のジアリールカーボネート類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート類;二価フェノールのジハロホルメート等が挙げられる。これらカーボネート前駆体もまた1種類でも2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
またポリカーボネート樹脂(A1)は、分岐構造を有していてもよく、具体的には例えば、溶融エステル交換法により製造される分岐構造を有するポリカーボネート樹脂や、界面重合法等により製造される直鎖状ポリカーボネート樹脂に、三官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した、分岐した芳香族ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
三官能以上の多官能性芳香族化合物としては、フロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−2、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−3、1,3,5−トリ(4−ヒドロキシフェニル)べンゼン、1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタン等で例示されるポリヒドロキシ化合物類、または、3,3−ビス(4−ヒドロキシアリール)オキシインドール(イサチンビスフェノール)、5−クロロイサチン、5,7−ジクロロイサチン、5−ブロムイサチン等が挙げられる。
これらの中でも1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましい。多官能性芳香族化合物は、上述の芳香族ジヒドロキシ化合物の一部を置換して使用することができ、その使用量は芳香族ジヒドロキシ化合物に対して0.01〜10モル%の範囲が好ましく、0.1〜2モル%の範囲がより好ましい。
次にポリカーボネート樹脂(A1)の製造方法として、界面重合法と溶融エステル交換法について説明する。界面重合法による反応は、反応に不活性な有機溶媒、及びアルカリ水溶液の存在下で、通常pHを9以上に保って行う。反応は、芳香族ジヒドロキシ化合物と、必要に応じて分子量調整剤(末端停止剤)、および芳香族ジヒドロキシ化合物の酸化防止のための酸化防止剤をホスゲンと反応させた後、第三級アミンまたは第四級アンモニウム塩等の重合触媒を添加し、界面重合を行うことによってポリカーボネートを得る。分子量調節剤の添加はホスゲン化時から重合反応開始時までの間であれば特に限定されない。なお反応温度は例えば、0〜40℃で、反応時間は例えば数分(例えば10分)〜数時間(例えば6時間)である。
ここで反応に不活性な有機溶媒としては、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の塩素化炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素などが挙げられる。またアルカリ水溶液に用いられるアルカリ化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物が挙げられる。
分子量調節剤としては一価のフェノール性水酸基を有する化合物が挙げられ、具体的には例えば、m−メチルフェノール、p−メチルフェノール、m−プロピルフェノール、p−プロピルフェノール、p−tert−ブチルフェノールおよびp−長鎖アルキル置換フェノールなどが挙げられる。分子量調節剤の使用量は、芳香族ジヒドロキシ化合物100モルに対して、好ましくは50〜0.5モル、より好ましくは30〜1モルである。
重合触媒としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリプロピルアミン、トリヘキシルアミン、ピリジン等の第三級アミン類:トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩などが挙げられる。
溶融エステル交換法による反応は、具体的には例えば、炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化合物とのエステル交換反応である。炭酸ジエステルとしては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−tert−ブチルカーボネート等の炭酸ジアルキル化合物、ジフェニルカーボネート及びジトリルカーボネート等の置換ジフェニルカーボネート等が挙げられ、中でもジフェニルカーボネートまたは置換ジフェニルカーボネートが好ましく、特にジフェニルカーボネートが好ましい。
溶融エステル交換法における分子量や末端ヒドロキシル基量の調節は、一般的に炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化合物との混合比率調整や、反応時の減圧度調整等により行われる。より積極的な方法としては、反応時に別途、末端停止剤を添加する調整方法が挙げられる。末端停止剤としては、一価フェノール類、一価カルボン酸類、炭酸ジエステル類が挙げられる。末端ヒドロキシル基量は、製品ポリカーボネートの熱安定性、加水分解安定性、色調等に大きな影響を及ぼす。用途にもよるが、実用的な物性を持たせるためには、中でも1000ppm以下、特に700ppm以下であることが好ましい。
またポリカーボネート樹脂(A1)を溶融エステル交換法で製造する際、ポリカーボネート樹脂(A1)の末端ヒドロキシル基量は100ppm以上であることが好ましい。このような末端ヒドロキシル基量とすることにより、分子量の低下を抑制でき、色調もより良好なものとすることができる。
この様なポリカーボネート樹脂(A1)を得るためには、具体的には例えば、溶融エステル交換法に於いて、原料である芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して、炭酸ジエステルを等モル量以上用いること好ましく、中でも1.01〜1.30モルとすることが好ましい。
溶融エステル交換法においては、通常、エステル交換触媒を用いる。エステル交換触媒としては特に制限はないが、具体的には例えば、アルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物が好ましい。また補助的に、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物またはアミン系化合物などの塩基性化合物を併用してもよい。尚、これらの触媒は、重合終了後に失活処理しておくことが好ましい。
溶融エスエル交換法における反応条件は、任意であり、適宜選択して決定すればよいが、具体的には例えば100〜320℃の温度で反応を行い、最終的には2mmHg以下の減圧下、芳香族ヒドロキシ化合物等の副生成物を除去しながら溶融重縮合反応を行う方法が挙げられる。
溶融エスエル交換法は、バッチ式または連続的に行うことができるが、本発明の樹脂組成物の安定性等を考慮すると、連続式で行うことが好ましい。また溶融エスエル交換法で用いた触媒の失活剤としては、該触媒を中和する化合物、例えばイオウ含有酸性化合物またはそれより形成される誘導体を用いることが好ましい。このような触媒を中和する化合物は、該触媒が含有するアルカリ金属に対して、好ましくは0.5〜10当量、より好ましくは1〜5当量の範囲で添加する。さらに加えて、このような触媒を中和する化合物は、ポリカーボネートに対して、1〜100ppmであることが好ましく、特に1〜20ppmであることが好ましい。
本発明で用いるポリカーボネート樹脂(A1)の分子量は、通常、溶液粘度から換算した粘度平均分子量[Mv]が15000〜30000である。この粘度平均分子量が低すぎると機械的強度が低下しすぎてしまい、逆に高きすぎても流動性が低下し、成形加工が困難になる。
よって粘度平均分子量は、中でも17000〜27000、特に19000〜25000であることが好ましい。本発明に用いるポリカーボネート樹脂(A1)としては、粘度平均分子量の異なる2種類以上の芳香族ポリカーボネート樹脂を混合して、上述の粘度平均分子量の範囲内としてもよく、この際、粘度平均分子量が上述の好適範囲外であるポリカーボネート樹脂をもちいてもよい。
ここで粘度平均分子量[Mv]とは、溶媒としてメチレンクロライドを使用し、ウベローデ粘度計を用いて温度20℃での極限粘度[η](単位dl/g)を求め、Schnellの粘度式、すなわち、η=1.23×10−40.83、から算出される値を意味する。ここで極限粘度[η]とは各溶液濃度[C](g/dl)での比粘度[ηsp]を測定し、下記式により算出した値である。
Figure 2008163270
さらに、本発明に用いるポリカーボネート樹脂(A1)は、バージン原料だけでなく、使用済製品から再生されたポリカーボネート樹脂、いわゆるマテリアルリサイクルされたものを用いてもよい。使用済製品としては、光学ディスク等の光記録媒体、導光板、自動車窓ガラス・自動車ヘッドランプレンズ・風防等の車両透明部材、水ボトル等の容器、メガネレンズ、防音壁・ガラス窓・波板等の建築部材等が好ましく挙げられる。また、製品の不適合品、スプルー、ランナー等から得られた粉砕品またはそれらを溶融して得たペレット等も使用可能である。再生されたポリカーボネート樹脂は、(A1)の80重量%以下であることが好ましく、より好ましくは50重量%以下である。
本発明に用いるポリエステル系樹脂(A2)とは、主鎖がエステル結合を含む繰り返し単位からなる熱可塑性樹脂であり、具体的には例えば、芳香族ポリエステル樹脂(A2−1)、液晶性ポリエステル樹脂(A2−2)、ポリアリレート樹脂(A2−3)等である。以下に、本発明に用いるポリエステル系樹脂(A2)として、これら(A2−1)〜(A2−3)を例にして説明する。
本発明に用いる芳香族ポリエステル樹脂(A2−1)は、芳香環を重合体の連鎖単位に有する熱可塑性ポリエステルであり、芳香族ジカルボン酸(あるいはそのエステル形成性誘導体)とジオール(あるいはそのエステル形成性誘導体)とを主成分とする縮合反応により得られる重合体ないしは共重合体である。
芳香族ジカルボン酸としては、具体的には例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、3,3’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルメタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルイソプロピリデンジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、2,5−アンスラセンジカルボン酸、2,6−アンスラセンジカルボン酸、4,4”−p−ターフェニレンジカルボン酸、2,5−ピリジンジカルボン酸等が挙げられる。中でもテレフタル酸が好ましい。
これらの芳香族ジカルボン酸は、2種以上を混合して使用してもよい。なお少量であれば、これらの芳香族ジカルボン酸とともにアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸などの脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、あるいはp−オキシ安息香酸のようなオキシカルボン酸を1種以上混合使用することができる。
また、ジオール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ネオペンチルグリコール、デカメチレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどの脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族ジオールなど、およびそれらの混合物などが挙げられる。なお、少量であれば分子量400〜6,000の長鎖ジオールすなわちポリエチレングリコール、ポリ−1,3−プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどを1種以上共重合せしめてもよい。
本発明に用いる芳香族ポリエステル樹脂(A2−1)としては、具体的には例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリへキシレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレン−1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボキシレート等や、これらの共重合体、具体的には例えばポリエチレンイソフタレート/テレフタレート、ポリブチレンフタレート/イソフタレート、ポリブチレンテレフタレート/デカンジカルボキシレート等が挙げられる。
中でも本発明に用いる芳香族ポリエステル樹脂(A2−1)としては、機械的性質、成形性等のバランスに優れた、ポリブチレンテレフタレートやポリエチレンテレフタレートが好ましい。
本発明に用いる芳香族ポリエステル樹脂(A2−1)は、フェノールと1,1,2,2−テトラクロロエタンとの5対5(重量比)の混合溶媒中、30℃で測定した固有粘度[η]が0.6〜1.5dl/gであることが好ましい。
本発明に用いる液晶性ポリエステル樹脂(A2−2)は、サーモトロピック液晶性ポリマーと呼ばれるポリエステル樹脂であり、(1)芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオールと芳香族ヒドロキシカルボン酸との組合せからなるもの、(2)異種の芳香族ヒドロキシカルボン酸からなるもの、(3)芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオールとの組合せからなるもの、(4)ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルに芳香族ヒドロキシカルボン酸を反応させたものなどが挙げられ、400℃以下の温度で異方性溶融体を形成するものである。
尚、これらの芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオールおよび芳香族ヒドロキシカルボン酸の代わりに、それらのエステル形成性誘導体が使用されることもある。
本発明に用いる液晶性ポリエステル樹脂(A2−2)としては、具体的には例えば、特公昭47−47870号公報、特公昭63−3888号公報、特公昭63−3891号公報、特公昭56−18016号公報等に記載の従来公知の任意のものを使用できる。またこれら液晶性ポリエステル樹脂(A2−2)の製造方法も任意であり、従来公知の任意の方法を適用すればよい。
市販の液晶性ポリエステル樹脂(A2−2)としては、具体的には例えば、イーストマンコタック社製X7G、ダートコ社製Xyday(ザイダー)、住友化学社製エコノール、セラニーズ社製ベクトラ等が挙げられる。
本発明に用いるポリアリレート樹脂(A2−3)は、芳香族ジカルボン酸又はその誘導体とビスフェノール類又はその誘導体とよりなるものである。好ましい芳香族ジカルボン酸としてはイソフタル酸、テレフタル酸、オルトフタル酸などであるが、イソフタル酸とテレフタル酸の9/1〜1/9(重量比)の混合物を用いることが加工性等の面で特に好適である。
ビスフェノール類としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジクロロジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−ジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシ−ジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−ジフェニルケトン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ブタン、ジ−(4−ヒドロキシフェニル)−シクロヘキシルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2,2,2−トリクロロエタンなどが挙げられる。中でも2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビスフェノールA)が好ましい。
本発明に用いるポリアリレート樹脂(A2−3)の製造方法は任意であり、具体的には例えば溶液重合、溶融重合、界面重合等の各種の方法が挙げられる。本発明に用いるポリアリレート樹脂(A2−3)の固有粘度は、フェノール/テトラクロロエタン(重量比1/1)の混合溶媒中、30℃で測定して、通常0.4〜1.2dl/gである。市販のポリアリレート樹脂(A2−3)としては、具体的には例えば、ユニチカ社製Uポリマー等が挙げられる。
本発明に用いる黒鉛(B)は、含水率が0.2%以下であることを特徴とする。含水率が高すぎると、ポリカーボネート樹脂(A1)やポリエステル系樹脂(A2)との溶融混練により、これら樹脂の分解を促し、分子量低下やこれに伴う樹脂成形体の機械的強度の低下、黄変、更には表面肌荒れにより外観低下が生ずる場合がある。
また本発明に用いる黒鉛(B)の形状は任意であり、従来公知の任意のものから適宜選択して決定すればよいが、具体的には例えば、天然鱗片状黒鉛、天然土状黒鉛、人造黒鉛等が挙げられる。これらは一種または任意の割合で二種以上を併用してもよい。
本発明に用いる黒鉛(B)は、更に、平均粒径が50μm以下であり、全黒鉛粒子量における粒径50μm以上の黒鉛粒子の含有量が、50%以下(相対粒子量50%以下)であることが好ましい。また平均粒径は50μm以下であれば適宜選択して決定すればよいが、通常、その下限は1μmである。
黒鉛(B)の平均粒径が大き過ぎたり、また粒径50μm以上の相対粒子量が多すぎると、黒鉛粒子の分散性が低下し、得られる樹脂成形体の外観が低下する場合がある。よって本発明に用いる黒鉛(B)は、その平均粒径が中でも40μm以下、更には30μm以下、特に25μm以下であることが好ましい。
逆に平均粒径が小さすぎても混合材料を混練機にフィードする際に黒鉛粒子の凝集により、安定してフィードができない場合があるので、黒鉛(B)の平均粒径は1μm以上、中でも3μm以上、特に5μm以上であることが好ましい。尚、粒径50μm以上の黒鉛粒子の相対粒子量は少ないほど好ましく、中でも40%以下、更には30%以下、特に20%以下であることが好ましい。
そして本発明に用いる黒鉛(B)のアスペクト比は、3を超えて50以下であることが好ましい。このアスペクト比が小さすぎると、樹脂成形体における導電性の改良効果が小さくなる場合があり、逆に大きすぎても導電性や機械的強度、及び成形収縮率の異方性が顕著になるので好ましくない。
尚、本発明における黒鉛(B)の相対粒子量は、測定した粒子の数を100%としたときの各粒径(範囲)を有する黒鉛粒子の比率を示し、その測定方法は通常、レーザー回折式分布測定装置により測定することが出来る。アスペクト比は、黒鉛(B)の長軸の長さ(長径)と短軸の長さ(短径)の比(長径/短径)を示す。本発明に用いる黒鉛(B)のアスペクト比の求め方は、溶媒中に黒鉛を分散させた後、走査型電子顕微鏡(500倍拡大)により分散した黒鉛の写真(撮影範囲は250μm×250μm角。)を撮影し、この写真からランダムに40〜50個の黒鉛粒子画像について、長径と短径を測定し、その比を求め、全体の平均値をアスペクト比とした。
更に、本発明に用いる黒鉛(B)は、その炭素純度が高い方が好ましく、具体的には95%以上、特に98%以上であることが好ましい。黒鉛の炭素純度が低すぎると、樹脂成分との溶融混練時に樹脂が分解して分子量低下が顕著となり、機械的強度のみならず、難燃性の低下や、樹脂成形体の外観が低下する場合がある。また本発明に用いる黒鉛(B)は、本発明の効果を損なわない範囲で、樹脂成分との親和性を良好なものとするために、表面処理を施してあることが好ましい。この様な表面処理としては、具体的には例えば、エポキシ処理、ウレタン処理、酸化処理等が挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物における黒鉛(B)の配合量は、ポリカーボネート樹脂(A1)及び/又はポリエステル系樹脂(A2)(以下、これらを併せて「(A)成分」と言うことがある。)と、黒鉛(B)(以下、「(B)成分」と言うことがある。)との混合物を100重量%とした際に、5〜50重量%である。黒鉛(B)の配合量が5重量%未満では、導電性や難燃性が不十分であり、逆に50重量%を越えると、耐衝撃性や流動性が不十分となる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、必要に応じて本発明の目的を損なわない範囲で、(A)成分、(B)成分以外に、他の樹脂、耐衝撃性改良剤および各種の樹脂添加剤、無機フィラーなどを配合することができる。
他の樹脂としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などのポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリメタクリレート樹脂などが挙げられる。
耐衝撃性改良剤としては、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、そのブタジエン部分の一部あるいは全てが水添された水添スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、水添スチレン−イソプレンブロック共重合体、エチレンプロピレンエラストマー、熱可塑性ポリエステルエラストマー、熱可塑性ポリアミドエラストマー、ゴム状のコアを有するコアシェルポリマー等が挙げられる。ゴム状のコアを有するコアシェルポリマーとしては、コアのポリマーとしては、ブタジエン系ゴム、アクリル酸エステル系ゴムなどが挙げられ、シェルのポリマーとしては、メタクリル酸エステル系ポリマー、スチレン系ポリマーなどが挙げられる。
樹脂添加剤としては、リン系安定剤、フェノール系安定剤、難燃剤、滴下防止剤、離型剤、染顔料、帯電防止剤、防曇剤、滑剤・アンチブロッキング剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、防菌剤等が挙げられる。
無機フィラーとしては、例えば、ガラス繊維、ガラスミルドファイバー、ガラスフレーク、ガラスビーズ、炭素繊維、シリカ、アルミナ、酸化チタン、硫酸カルシウム粉体、石膏、石膏ウィスカー、硫酸バリウム、タルク、マイカ、珪酸カルシウム、カーボンブラック、グラファイト、鉄粉、銅粉、二硫化モリブデン、炭化ケイ素、炭化ケイ素繊維、窒化ケイ素、窒化ケイ素繊維、黄銅繊維、ステンレス繊維、チタン酸カリウム繊維あるいはウィスカーなどである。これらは、一種類でも二種類以上を組み合わせて使用することもできる。
滴下防止剤としては、従来公知の任意のフルオロポリマーを用いることが出来る。具体的には例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、公知の熱可塑性樹脂組成物の製造方法により製造することができる。具体的には例えば、上述の(A)成分、(B)成分、及び必要に応じて配合される添加成分を、タンブラ−やヘンシェルミキサ−などの各種混合機を用い予め混合した後、バンバリ−ミキサ−、ロ−ル、ブラベンダ−、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニ−ダ−などで溶融混練すればよい。
また、各成分を予め混合せずに、または、一部の成分のみ予め混合し、フィーダ−を用いて押出機に供給して溶融混練してもよい。更に、溶融混練時にかかる熱や剪断力等によって変化を受けやすい成分を配合する場合には、この様な成分以外を押出機上流部分から一括投入し、中流以降で変化を受けやすい成分を添加し、樹脂成分と溶融混練する方法が好ましい。
本発明の樹脂成形体は、上述した本発明の熱可塑性樹脂組成物を、各種製品(成形品)の製造(成形)用樹脂材料として使用し、成形することで得られる。成形方法は、従来公知の任意の樹脂成形方法から、適宜選択して決定すればよい。
具体的には例えば、一般的な射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、二色成形法、ガスアシストなどの中空成形法、断熱金型を用いた成形法、急速加熱金型を用いた成形法、発泡成形(超臨界流体も含む)、インサート成形、インモールドコーティング(IMC)成形法、押出成形法、フィルム成形法、シート成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法などが挙げられる。中でも樹脂成形体の形状自由度や量産性の面から、射出成形法が好ましい。
以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。尚、以下の実施例および比較例における各原料の配合量は、重量部を示す。実施例、比較例において用いた各原料は、以下の通りである。
<A成分> ポリカーボネート:三菱瓦斯化学社製 ユーピロンS−3000F Mv21000
<B成分> 黒鉛:以下の表1に記載のものを用いた。尚、含水率はカールフィッシャー水分計(三菱化学社製;水分計CA−100)を用い、温度280℃で水分量を測定した。
Figure 2008163270
<C成分>難燃剤:MITENI社製金属塩系難燃剤 パーフルオロブタンスルホン酸カリウム塩 RM65
<D成分>滴下防止剤:DuPont社製 ポリテトラフルオロエチレン(PTFE) テフロン(登録商標)6J
<E成分>離型剤:コクニスジャパン社製 ペンタエリスリトールテトラステアレート VPG861
<F成分>安定剤:旭電化工業社製リン系安定剤 AX71
(実施例1〜7、比較例1〜6)
[ペレット作成]
表1、2に示す成分、割合にて配合した樹脂組成物を、タンブラーミキサーにて均一混合した後、2箇所のフィード口を有する二軸押出機(30mmφ)を用いて、シリンダー温度260℃で樹脂組成物と板状充填剤をメインホッパーから混練機内へフィードし、溶融、混練してペレットを製造した。
[機械物性評価]
得られたペレットを射出成形機(住友重機械工業社製、サイキャップM−2、型締め力75T)を用い、シリンダー温度280℃、金型温度110℃の条件で、ISO多目的試験片を製造し、曲げ弾性率FM(ISO178曲げ試験法による3点曲げ試験により測定。)、及びシャルピー衝撃強度CI(ISO179により非ノッチにて測定。尚、試験機容量50Jで破壊しない場合をNBと記した。)を測定した。結果を表1、2に示す。
[熱安定性評価]
上述の成形において、成形サイクルを49秒、及び180秒とした、二つの樹脂成形体について粘度平均分子量を測定した。成形サイクル49秒を「通常」、180秒を「滞留」として結果を表1、2に示す。
[燃焼性評価]
得られたペレットを、射出成形機(日本製鋼所社製 J50−EP 型締め力50T)を用い、シリンダー温度280℃、金型温度110℃の条件で厚さ1.6mmのUL燃焼試験片を成形し、UL94の試験を行った。結果を表1、2に示す。
[表面抵抗の測定]
得られたペレットを、射出成形機(住友重機械工業社製、SH100、型締め100T)を用い、厚さ3mm、100mm角の角板を成形。アドバンテスト社製 R8349、R12704を用いて、表面抵抗の測定を行った。結果を表1、2に示す。
Figure 2008163270
Figure 2008163270
実施例1〜6より、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、優れた導電性、機械的強度、熱安定性、難燃性を兼備することが判る。そして優れた導電性から、電磁波シールド性が期待できる。尚、何れの樹脂成形体においても、表面性は良好であった。そして実施例7から、難燃剤の量を僅かに増加させるのみで、V−1がV−0となり、難燃性が顕著に向上することが判る。
そして実施例1〜3と比較例1、2とを比較すると、黒鉛の配合量が本発明の範囲を超えると難燃性が低下し、更に押出しによるペレット化も困難となることが分かる。そして実施例1〜7と比較例3〜6とを比較すると、配合する黒鉛の含水率が本発明の範囲を超えて高すぎると、充分な熱安定性が得られずに分子量の低下が著しくなることが分かる。

Claims (5)

  1. ポリカーボネート樹脂(A1)及び/又はポリエステル系樹脂(A2)50〜95重量%と、黒鉛(B)50〜5重量%からなる熱可塑性樹脂組成物であって、ポリカーボネート樹脂(A1)及び/又はポリエステル系樹脂(A2)と、含水率が0.2%以下の黒鉛(B)とを配合することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  2. 黒鉛(B)の平均粒径が50μm以下、粒径50μm以上の黒鉛粒子の含有量が全黒鉛粒子量の50%以下であることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 黒鉛(B)のアスペクト比が3を超えて50以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 黒鉛(B)の炭素純度が95%以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる樹脂成形体。
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