JP2005320515A - 熱伝導性ポリカーボネート系樹脂組成物および成形体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 (A)ポリカーボネート系樹脂100重量部に対し、(B)黒鉛化されてなる炭素繊維であって、長さ方向の熱伝導率が100W/m・K以上、かつ繊維平均径5〜20μmの炭素繊維5〜40重量部未満、及び(C)熱伝導率が10W/m・K以上で平均粒子径が1〜500μmの熱伝導性粉体(但し窒化ホウ素を除く)5〜100重量部以下を含有してなることを特徴とする熱伝導性ポリカーボネート系樹脂組成物、及び該熱伝導性ポリカーボネート系樹脂組成物を成形してなることを特徴とする成形体である。
【選択図】 なし
Description
本発明で用いられる(A)ポリカーボネート系樹脂とは、ポリカーボネート樹脂単独(ポリカーボネート樹脂単独とは、ポリカーボネート樹脂の1種のみを含む態様に限定されず、例えば、モノマー組成や分子量が互いに異なる複数種のポリカーボネート樹脂を含む態様を含む意味で用いる)もしくはポリカーボネート樹脂と他の熱可塑性樹脂とのアロイ(混合物)である。該アロイとしては、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して他の熱可塑性樹脂が100重量部以下の割合で含むのが好ましく、70重量部以下の割合で含むのがより好ましい。該他の熱可塑性樹脂としては、熱可塑性ポリエステル樹脂が好ましく、ポリブチレンテレフタレート樹脂またはポリエチレンテレフタレート樹脂がより好ましく、さらに好ましくは、ポリカーボネート樹脂100重量部に対してポリブチレンテレフタレート樹脂またはポリエチレンテレフタレート樹脂を10〜70重量部の割合で含むポリカーボネート樹脂系アロイである。
該芳香族ジヒドロキシ化合物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビスフェノールA)、テトラメチルビスフェノールA、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−P−ジイソプロピルベンゼン、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4−ジヒドロキシビフェニルなどが挙げられ、好ましくはビスフェノールAが挙げられる。さらに、難燃性をさらに高める目的で上記の芳香族ジヒドロキシ化合物にスルホン酸テトラアルキルホスホニウムが1個以上結合した化合物や、シロキサン構造を有する両末端フェノール性OH基含有のポリマーあるいはオリゴマーを使用することができる。
該ポリカーボネート樹脂の分子量は、溶媒としてメチレンクロライドを用い、温度25℃で測定された溶液粘度より換算した粘度平均分子量で、14,000〜30,000の範囲であり、好ましくは15,000〜28,000、より好ましくは16,000〜26,000である。粘度平均分子量が14,000未満では機械的強度が不足し、30,000を越えると成形性に難を生じやすく好ましくない。
このような芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法については、限定されるものでは無く、ホスゲン法(界面重合法)あるいは、溶融法(エステル交換法)等で製造することができる。さらに、溶融法で製造された、末端基のOH基量を調整した芳香族ポリカーボネート樹脂を使用することができる。
本発明で用いられるポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)としては、ジメチルテレフタレートと1,4−ブタンジオールのエステル交換反応によるDMT法、テレフタル酸と1,4−ブタンジオールの直接重合法のいずれで製造されたものでも良い。
また、該PET、PBTのいずれの場合においても、重縮合反応時に、テレフタル酸又はそのジアルキルエステルと共に、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、トリメリット酸やそれらのジアルキルエステル等の二塩基酸、三塩基酸等や、またそれらのジアルキルエステルを使用することができる。これらの使用量は、テレフタル酸又はそのジアルキルエステル100重量部に対して40重量部以下の範囲であることが好ましい。
更に該炭素繊維としては、好ましくは長繊維状のものを使用するのが良い。例えば、1〜30mm、好ましくは2〜20mmのものを用いる。該長繊維状のものを使用することで、熱伝導性、及びそりの点で効果的である。
上記式(1)においてR1〜R4で示されるアリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。またXで示される2価の芳香族基としては、フェニレン基、ナフチレン基や、例えばビスフェノールから誘導される基等が挙げられる。これらの置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基等が挙げられる。nが0の場合はリン酸エステルであり、nが0より大きい場合は縮合リン酸エステル(混合物を含む)である。
該脂肪族スルホン酸塩としては、好ましくは、フルオロアルカン−スルホン酸金属塩、より好ましくは、パーフルオロアルカン−スルホン酸金属塩が挙げられる。フルオロアルカン−スルホン酸金属塩としては、好ましくは、フルオロアルカン−スルホン酸のアルカリ金属塩、フルオロアルカン−スルホン酸のアルカリ土類金属塩などが挙げられ、より好ましくは、炭素数4〜8のフルオロアルカンスルホン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩などが挙げられる。該フルオロアルカン−スルホン酸金属塩の具体例としては、パーフルオロブタン−スルホン酸ナトリウム、パーフルオロブタン−スルホン酸カリウム、パーフルオロメチルブタン−スルホン酸ナトリウム、パーフルオロメチルブタン−スルホン酸カリウム、パーフルオロオクタン−スルホン酸ナトリウム、パーフルオロオクタン−スルホン酸カリウムなどが挙げられる。
ポリジオルガノシロキサンは、官能基を含有していなくても、官能基を含有していてもよい。官能基を含有しているポリジオルガノシロキサンの場合、官能基はメタクリル基、アルコキシ基またはエポキシ基であることが好ましい。
ルやシアン化ビニリデン等を挙げることができる。
本発明の樹脂組成物を得るための方法としては、各種混練機、例えば、一軸および多軸混練機、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダープラストグラム等で、上記成分を混練した後、冷却固化する方法や、適当な溶媒、例えば、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素およびその誘導体に上記成分を添加し、溶解する成分同志、あるいは溶解する成分と不溶解成分を懸濁状態で混ぜる溶液混合法等が用いられる。
工業的コストからは溶融混練法が好ましいが、これに限定されるものではない。溶融混練においては、単軸や二軸の押出機を用いることが好ましい。
なお、以下の実施例において、各成分として次に示すものを用いた。
(A)樹脂
(A−1)ポリカーボネート樹脂:ポリ−4,4−イソプロピリデンジフェニルカーボネート、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、商品名:ユーピロン(登録商標)S−3000、粘度平均分子量21,000(以下、PCと略記する)
(A−2)ポリエチレンテレフタレート樹脂:三菱化学(株)製、商品名:ノバペックスGG500(以下、PETと略記する)
(A−3)ポリブチレンテレフタレート樹脂:三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、商品名:ノバデュラン(登録商標)5010(以下、PBTと略記する)
(B−1)炭素繊維:三菱化学産資(株)製、商品名:ダイアリードK223HG、繊維径10μm、長さ6mm、サイジング剤含有率0.0%、熱伝導率540W/m・K
(B−2)炭素繊維:三菱化学産資(株)製、商品名:ダイアリードK223GM、繊維径10μm、長さ6mm、サイジング剤含有率6.2%、熱伝導率20W/m・K
(C−3)窒化アルミニウム:(株)トクヤマ製、商品名SH02−SW10 タイプI、平均粒子径12.6μm、熱伝導率170W/m・K
(C−4)炭化ケイ素:屋久島電工(株)製、商品名:ダイヤシックGC−1000、平均粒径10μm、熱伝導率60W/m・K
(C−5)酸化マグネシウム:協和化学工業(株)製、商品名:パイロキスマ3320、平均粒径20μm、熱伝導率60W/m・K
難燃剤:リン酸エステル化合物:レゾルシノールビス(ジキシレニルホスフェート)、旭電化工業(株)製、商品名:FP500フッ素樹脂:ポリテトラフルオロエチレン、ダイキン工業(株)製、商品名:ポリフロンF−201Lエラストマー:(ブタジエン&スチレン)コア/アクリルシェルの多層構造重合体、三菱レイヨン(株)製、商品名:メタブレンE−901
表1に示す割合にて調製した(A)ポリカーボネート系樹脂と難燃剤、フッ素樹脂およびエラストマーをタンブラーミキサーにて均一に混合したのち、二軸押出機(日本製鋼所製、TEX30XCT、L/D=42、バレル数12)を用いて、シリンダー温度280℃スクリュー回転数200rpmにてバレル1より押出機にフィードし、溶融混練させ、さらにバレル7より(B)炭素繊維および(C)熱伝導性粉体を表1に示す割合にて押出機に途中フィードして溶融混練して樹脂組成物をペレット化した。
次にこの樹脂組成物を、自動熱プレス機(大竹機械工業製、380角、65トン)を用い、プレス温度260℃、余熱8分、プレス20秒、冷却2分の条件で2mm厚のプレス成形品を作成し、成形品を3枚重ねたサンプルにて熱伝導率を測定した。
結果を表1に示す。
(1)熱伝導率
迅速熱伝導率測定装置(京都電子工業製、Kemtherm QTM−D3)を用いて、プレス成形品の熱伝導率を測定した。
(2)流動長
射出成形機(住友重機械工業製、サイキャップM−2、型締め力75T)を用いて、樹脂温度(パージ樹脂の実測温度):290℃,金型温度:80℃,金型:20mm幅×1mm厚み,射出圧力:147MPaの条件で流動長を測定した。
(3)そり
射出成形機(東芝機械製、型締め力150T)を用い、シリンダー温度280℃、金型温度80℃の条件で、150mm×150mm/高さ20mm/厚み2mmの箱型の試験片を成形した。次いで、この試験片の天面の反りを、ミツトヨ社製三次元測定機を用いて測定した。測定は、天面の中心線に沿って10mm間隔で15点測定し、両端を結んだ基準線からの最大落ち込み量を反りとした。
アンダーライターズラボラトリーズインコーポレーションのUL−94「材料分類のための燃焼試験」(以下、UL−94)に示される試験方法に従って、厚さが1/16インチの5本の試験片について試験し、その結果に基づいてUL−94規格のV−0、V−1およびV−2のいずれかの等級に評価した。UL−94についての各Vの等級基準は、概略以下のとおりである。
(i)V−0:10秒接炎後の燃焼時間が10秒以下であり、5本のトータル燃焼時間が50秒以下かつ、全試験片とも脱脂綿に着火するような微粒炎を落下しない。
(ii)V−1:10秒接炎後の燃焼時間が30秒以下であり、5本のトータル燃焼時間が250秒以下、かつ、全試験片とも脱脂綿に着火するような微粒炎を落下しない。
(iii)V−2:10秒接炎後の燃焼時間が30秒以下であり、5本のトータル燃焼時間が250秒以下、かつ、これらの試験片から落下した微粒炎から脱脂綿に着火する。
(iv)NG:上記いずれの燃焼時間にも該当せず、燃焼し続けた場合。
Claims (11)
- (A)ポリカーボネート系樹脂100重量部に対し、(B)黒鉛化されてなる炭素繊維であって、長さ方向の熱伝導率が100W/m・K以上、かつ繊維平均径5〜20μmの炭素繊維5〜40重量部未満、及び(C)熱伝導率が10W/m・K以上で平均粒子径が1〜500μmの熱伝導性粉体(但し窒化ホウ素を除く)5〜100重量部以下を含有してなることを特徴とする熱伝導性ポリカーボネート系樹脂組成物。
- (C)熱伝導性粉体が、ケイ素、マグネシウム及びアルミニウムから選ばれる少なくとも一種の炭化物、酸化物又は窒化物である請求項1に記載の熱伝導性ポリカーボネート系樹脂組成物。
- (C)熱伝導性粉体が、黒鉛粉体である請求項1又は2に記載の熱伝導性ポリカーボネート系樹脂組成物。
- (A)ポリカーボネート系樹脂が、ポリカーボネート樹脂単独、又はポリカーボネート樹脂100重量部に対し、ポリブチレンテレフタレート樹脂もしくはポリエチレンテレフタレート樹脂100重量部以下の割合で含むポリカーボネート樹脂系アロイであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱伝導性ポリカーボネート系樹脂組成物。
- (B)の炭素繊維が、長さ方向の熱伝導率が400W/m・K以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱伝導性ポリカーボネート系樹脂組成物。
- (C)成分が炭素繊維、黒鉛、金属被覆炭素繊維、金属被覆黒鉛、金属被覆ガラス、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、炭化ホウ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、金属繊維および金属粉末からなる群の1つまたは2つ以上からなる熱伝導性粉末であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱伝導性ポリカーボネート系樹脂組成物。
- さらに、難燃剤を配合してなる請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱伝導性ポリカーボネート系樹脂組成物。
- さらに、滴下防止剤を配合してなる請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱伝導性ポリカーボネート系樹脂組成物。
- さらに、耐衝撃性改良剤としてエラストマーを配合してなる請求項1〜8のいずれか1項に記載の熱伝導性ポリカーボネート系樹脂組成物。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の熱伝導性ポリカーボネート系樹脂組成物を成形してなることを特徴とする成形体。
- OA、電気・電子部品、精密機器部品の筐体である請求項10に記載の成形体。
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