JP2008148670A - 複合菓子用油脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ヨウ素価52〜70のパーム軟部油と、炭素数20以上の飽和脂肪酸を60質量%以上含有する油脂とを、90:10〜50:50の質量比(前者:後者)で含有する油脂配合物をエステル交換したエステル交換油(A)を、油相中に5〜70質量%含有することを特徴とする複合菓子用油脂組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は、上記知見に基づきなされたもので、ヨウ素価52〜70のパーム軟部油と、炭素数20以上の飽和脂肪酸を50質量%以上含有する油脂とを、90:10〜50:50の質量比(前者:後者)で含有する油脂配合物をエステル交換したエステル交換油(A)を、油相中に5〜70質量%含有することを特徴とする複合菓子用油脂組成物を提供することにより、上記目的を達成したものである。
また、本発明は、上記複合菓子用油脂組成物を用いて製造された焼き菓子、及び、チョコレートからなる複合菓子を提供することにより、上記目的を達成したものである。
本発明の複合菓子用油脂組成物は、ヨウ素価52〜70のパーム軟部油と、炭素数20以上の飽和脂肪酸を50質量%以上含有する油脂とを、90:10〜50:50の質量比(前者:後者)で含有する油脂配合物をエステル交換したエステル交換油(A)を、油相中に5〜70質量%、好ましくは15〜60質量%、より好ましくは15〜55質量%含有する。
なお、本発明に用いられるパーム軟部油としては、ヨウ素価が53〜65のパーム分別軟部油を使用することが、クリーミング性が特に優れる複合菓子用油脂組成物が得られることに加え、焼き菓子の白色化の防止効果、及び、チョコレートのブルーム防止効果を得ることが可能な点で好ましい。
上記炭素数20以上の飽和脂肪酸を50質量%以上含有する油脂の割合が10質量%未満であると、焼き菓子の白色化の防止効果、及び、チョコレートのブルーム防止効果が低下してしまう。また、50質量%を超えると、クリーミング性が悪化してしまう。
25質量%、炭素数20以上の飽和脂肪酸を50質量%以上含有する油脂10〜30質量%、好ましくは15〜25質量%からなる油脂配合物をエステル交換したエステル交換油(B)を、油相中に好ましくは10〜30質量%、より好ましくは15〜25質量%、最も好ましくは20〜25質量%含有することが好ましい。
なお、上記炭素数20以上の飽和脂肪酸含量は、上記エステル交換油(A)、エステル交換油(B)に由来するものほか、下記のその他の油脂に由来するものも含めた合計量とする。
上記のその他の油脂としては、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、綿実油、大豆油、菜種油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、牛脂、豚脂、カカオ脂、魚油、鯨油等の各種動植物油脂、並びにこれらに水素添加、分別及びエステル交換から選択される1又は2以上の処理を施した加工油脂が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を使用することができる。
また、本発明の複合菓子用油脂組成物における上記その他の油脂の含有量は、油相中に、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、最も好ましくは、30〜
60質量%である。
上記SFCが10℃で20%未満又は20℃で10%未満の場合は、複合菓子用油脂組成物として軟らかすぎ、クリーミング中にダレを生じたりするため良好なクリーミング性が得られにくい。一方、上記SFCが10℃で60%を超える場合又は20℃で40%を超える場合は、クリーミング中にだまを生じ、クリーミング性が極端に悪くなるおそれがあることに加え、得られる焼き菓子の口溶けが悪く、また油性感が強いものとなってしまうおそれもある。
本発明の複合菓子用油脂組成物中におけるこれらの任意成分の含有量は、添加目的に応じて適宜選択されるものであるが、好ましくは合計で50質量%以下、さらに好ましくは合計で0.3〜30質量%である。
本発明の複合菓子用油脂組成物は、マーガリンタイプでもショートニングタイプでも良く、また、その乳化形態は、油中水型及び油中水中油型の何れでも構わない。
まず、上記エステル交換油(A)を5〜70質量%を含有し、さらに必要によりエステル交換油(B)、その他の油脂を含有する油相を溶解する。そして、必要により水相を混合乳化する。そして、次に殺菌処理するのが望ましい。殺菌方法はタンクでのバッチ式でも、プレート型熱交換機や掻き取り式熱交換機を用いた連続式でも構わない。次に、冷却可塑化する。この際、徐冷却より急速冷却の方が好ましい。冷却する機器としては、密閉型連続式チューブ冷却機、例えばボテーター、コンビネーター、パーフェクター等のマーガリン製造機やプレート型熱交換機等が挙げられ、また、開放型のダイアクーラーとコンプレクターの組み合わせ等が挙げられる。
本発明の複合菓子は、チョコレートと、上記のような複合菓子用油脂組成物を練り込み油脂として用いた焼き菓子とを組合わせることに得られるものである。
上記の焼き菓子を製造する際に用いる複合菓子用油脂組成物の使用量は、特に制限はなく、焼き菓子の種類により決定されるものであり、特に限定されるものではないが、おおよそ菓子生地中に10〜40質量%である。
ここで使用する各種粉末食品としては、例えば脱脂粉乳、全粉乳、果実粉末、果汁粉末、生クリーム粉末、チーズ粉末、コーヒー粉末、ヨーグルト粉末等が例示される。各種粉末食品の配合量は、チョコレート中、好ましくは0.5〜60質量%、さらに好ましくは1〜50質量%である。
このとき使用する乳化剤は特に限定されず、必要に応じて粘度上昇を抑制する目的でレシチン、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル等を添加することができる。乳化剤の配合量は、チョコレート中、好ましくは0.01〜10質量%、さらに好ましくは0.1〜5質量%である。
下記比較例1〜4は、本発明で用いられるエステル交換油(A)を含有しない複合菓子用油脂組成物の製造例及び該複合菓子用油脂組成物を用いた複合菓子の製造例を示す。
ヨウ素価55のパーム軟部油85質量部と、ハイエルシン菜種の極度硬化油15質量部を溶解、混合した油脂配合物10kgを、反応温度70℃にて、触媒としてリパーゼQLC(名糖産業(株)製)50gを用いて、15リットルの反応槽で非選択的エステル交換反応を行った。反応終了後(反応時間48時間)、脱色(白土3質量%、85℃、1.3×103Paの減圧下、30分間)、脱臭(250℃、水蒸気吹き込み量;対油3質量%、1.3×102Paの減圧下、60分間)を行い、エステル交換油(A)に該当する、エステル交換油(I)を得た。
ヨウ素価55のパーム軟部油50質量部と、ハイエルシン菜種の極度硬化油25質量部、パーム核油25質量部を溶解、混合した油脂配合物10kgを原料油脂として、反応温度70℃にて、触媒としてリパーゼQLC(名糖産業(株)製)50gを用いて、15リットルの反応槽で非選択的エステル交換反応を行った。反応終了後(反応時間48時間)、脱色(白土3%、85℃、1.3×103Paの減圧下、30分間)、脱臭(250℃、水蒸気吹き込み量;対油3%、1.3×102Paの減圧下、60分間)を行い、エステル交換油(B)に該当するエステル交換油(II)を得た。
ヨウ素価55のパーム軟部油にナトリウムメチラートを触媒として非選択的エステル交換反応を行なった後、脱色(白土3%、85℃、9.3×102Pa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込み量5%、4.0×102Pa以下の減圧下)を行い、エステル交換油(A)及び(B)のどちらにも該当しない、エステル交換油(III)を得た。
上記エステル交換油(I)50質量部、パーム油49.9質量部、レシチン0.1質量部を混合、常法により急冷可塑化し、ショートニングタイプである、本発明の複合菓子用油脂組成物を得た。
該複合菓子用油脂組成物の脂肪酸組成において、炭素数20以上の飽和脂肪酸の含有量は6質量%であり、油相のSFCは10℃で54%、20℃で28%であった。
また、下記の配合・製法によりテンパー型チョコレート(油分35質量%)を得た。
ついで、テンパリングしたチョコレートを、サブレに対し3倍量をエンローバーして貼り合わせ、本発明の複合菓子を製造した。なお、得られた複合菓子は、保存テストとして、25℃の恒温器に3カ月間保存し、サブレの白色化状態、及び、チョコレートのブルーム状態を下記評価基準に従って評価を行い、その結果を下記表1に記載した。
薄力粉 100質量部・ショートニング 45質量部・砂糖 45質量部・水 13質量部・重曹0.5質量部
15℃に調温したショートニングと砂糖をミキサーボウルに投入し、卓上ミキサーにセットし、軽く混合した後、高速で7分間クリーミングした。ついで、低速で混合しながら、30秒かけて水を添加、さらに1分混合した。さらに、あらかじめ混合して篩っておいた小麦粉、脱脂粉乳、重曹の混合物を添加、低速30秒、中速30秒混合し、サブレ生地を得た。このサブレ生地をワイヤーカットで、厚さ5mm、直径5cmに成型し、180℃10分焼成し、サブレを得た。
砂糖44.6質量部、カカオマス25質量部、カカオバター30質量部、レシチン0.4質量部からなる配合にて、常法に従い、溶解し、ロール掛け、コンチング処理し、チョコレートを得た。
◎ 良好
○ ほぼ良好
△ ややコシがなく、劣る
× コシがなく、劣る
×× だまが発生し、きわめて劣る
◎ 良好
○ ほぼ良好
△ やや白色化
× 白色化
◎ ブルームの発生が認められない
○ ブルームの発生が認められないが、艶がやや消失している
△ ややブルームの発生が認められる
× 激しいブルームが発生している
上記エステル交換油(I)25質量部、上記エステル交換油(II)25質量部、パーム油49.9質量部、レシチン0.1質量部を混合、常法により急冷可塑化し、ショートニングタイプである、本発明の複合菓子用油脂組成物を得た。
該複合菓子用油脂組成物の脂肪酸組成において、炭素数20以上の飽和脂肪酸の含有量は6.2質量%であり、油相のSFCは10℃で55%、20℃で29%であった。
このショートニングを使用し、実施例1と同様の配合・製法で、サブレ、さらに複合菓子を製造し、実施例1と同様の方法でクリーミング性評価、保存試験によるサブレの白色化状態、及び、チョコレートのブルーム状態の評価を実施し、その結果を表1に記載した。
エステル交換油(I)20質量部、エステル交換油(II)20質量部、エステル交換油(III)20質量部、パーム油39.9質量部、レシチン0.1質量部を混合、常法により急冷可塑化し、ショートニングタイプである、本発明の複合菓子用油脂組成物を得た。
該複合菓子用油脂組成物の脂肪酸組成において、炭素数20以上の飽和脂肪酸の含有量は5質量%であり、油相のSFCは10℃で52%、20℃で28%であった。
このショートニングを使用し、実施例1と同様の配合・製法で、サブレ、さらに複合菓子を製造し、実施例1と同様の方法でクリーミング性評価、保存試験によるサブレの白色化状態、及び、チョコレートのブルーム状態の評価を実施し、その結果を表1に記載した。
パーム極度硬化油10質量部、パーム油80質量部、菜種白絞油9.9質量部、レシチン0.1質量部を混合、常法により急冷可塑化し、ショートニングタイプである、比較例の複合菓子用油脂組成物を得た。
該複合菓子用油脂組成物の脂肪酸組成において、炭素数20以上の飽和脂肪酸の含有量は1質量%未満であり、油相のSFCは10℃で50%、20℃で26%であった。
このショートニングを使用し、実施例1と同様の配合・製法で、サブレ、さらに複合菓子を製造し、実施例1と同様の方法でクリーミング性評価、保存試験によるサブレの白色化状態、及び、チョコレートのブルーム状態の評価を実施し、その結果を表1に記載した。
上記エステル交換油(II)50質量部、パーム油49.9質量部、レシチン0.1質量部を混合、常法により急冷可塑化し、ショートニングタイプである、比較例の複合菓子用油脂組成物を得た。
該複合菓子用油脂組成物の脂肪酸組成において、炭素数20以上の飽和脂肪酸の含有量は6.4質量%であり、油相のSFCは10℃で55%、20℃で30%であった。
このショートニングを使用し、実施例1と同様の配合・製法で、サブレ、さらに複合菓子を製造し、実施例1と同様の方法でクリーミング性評価、保存試験によるサブレの白色化状態、及び、チョコレートのブルーム状態の評価を実施し、その結果を表1に記載した。
上記エステル交換油(III)50質量部、パーム油49.9質量部、レシチン0.1質量部を混合、常法により急冷可塑化し、ショートニングタイプである、比較例の複合菓子用油脂組成物を得た。
該複合菓子用油脂組成物の脂肪酸組成において、炭素数20以上の飽和脂肪酸の含有量は1質量%未満であり、油相のSFCは10℃で49%、20℃で23%であった。
このショートニングを使用し、実施例1と同様の配合・製法で、サブレ、さらに複合菓子を製造し、実施例1と同様の方法でクリーミング性評価、保存試験によるサブレの白色化状態、及び、チョコレートのブルーム状態の評価を実施し、その結果を表1に記載した。
上記エステル交換油(II)25質量部、上記エステル交換油(III)25質量部、パーム油49.9質量部、レシチン0.1質量部を混合、常法により急冷可塑化し、ショートニングタイプである、比較例の複合菓子用油脂組成物を得た。
該複合菓子用油脂組成物の脂肪酸組成において、炭素数20以上の飽和脂肪酸の含有量は3.2質量%であり、油相のSFCは10℃で52%、20℃で26%であった。
このショートニングを使用し、実施例1と同様の配合・製法で、サブレ、さらに複合菓子を製造し、実施例1と同様の方法でクリーミング性評価、保存試験によるサブレの白色化状態、及び、チョコレートのブルーム状態の評価を実施し、その結果を表1に記載した。
それに対し、エステル交換油(A)を含有しない比較例1〜4の複合菓子用油脂組成物を使用した複合菓子は、保存テスト中に、サブレの白色化やチョコレートのブルームの発生が見られた。
Claims (4)
- ヨウ素価52〜70のパーム軟部油と、炭素数20以上の飽和脂肪酸を50質量%以上含有する油脂とを、90:10〜50:50の質量比(前者:後者)で含有する油脂配合物をエステル交換したエステル交換油(A)を、油相中に5〜70質量%含有することを特徴とする複合菓子用油脂組成物。
- さらに、ヨウ素価52〜70のパーム軟部油40〜80質量%、炭素数14以下の飽和脂肪酸を50質量%以上含有する油脂10〜30質量%、及び、炭素数20以上の飽和脂肪酸を50質量%以上含有する油脂10〜30質量%からなる油脂配合物をエステル交換したエステル交換油(B)を、油相中に10〜30質量%含有することを特徴とする請求項1記載の複合菓子用油脂組成物。
- 脂肪酸組成において、炭素数20以上の飽和脂肪酸を2〜10質量%含有することを特徴とする請求項1又は2記載の複合菓子用油脂組成物。
- 請求項1〜3の何れかに記載の複合菓子用油脂組成物を用いて製造された焼き菓子、及び、チョコレートからなる複合菓子。
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