JP6767160B2 - 複合菓子用油脂組成物 - Google Patents

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本発明は、複合菓子用油脂組成物に関するものであり、詳しくは、製造、流通、保存中における油脂のマイグレーション、及びそれによって生じる焼き菓子の白色化現象を抑制し得る、複合菓子用油脂組成物に関する。
従来から、バターケーキ、クッキー等の焼き菓子と、チョコレート等を組み合わせた複合菓子においては、製造、流通、保存中に焼き菓子の表面が白い粉をふき斑点状になる白色化現象がしばしば発生し、また、チョコレートの軟化やブルーム現象を伴う場合がある。このような現象は、そのメカニズムが未だ明確にはされていないが、各油脂製品間での油分中の特定成分のマイグレーションとそれに伴う油脂結晶の成長によって引き起こされるものと推定されている。
上記のマイグレーションを抑制するための手段としては、一つは焼き菓子の製造方法によるものが考えられており、例えば、ビスケット類の焼成後の冷却をより速やかに行うことによりマイグレーションを抑制することが可能であるという事実は広く知られている。また、上記のマイグレーションを抑制する試みは、上記の焼き菓子の製造方法によるもの以外にも、特に焼き菓子に使用する油脂の側面から盛んに行われており、次のような提案がなされている。
例えば、80℃で溶解した後、30℃に移して60分後のSFC値が、24時間後のSFC値に対して70%以上であることを特徴とする油脂組成物を使用する方法(例えば特許文献1参照)、トリグリセリドを構成する3個の脂肪酸の残基のうち、少なくとも1個が炭素数20〜24の飽和脂肪酸から構成される残基である2飽和1不飽和型混酸基トリグリセリドを10%以上含有する油脂を使用する方法(例えば特許文献2参照)、特定のポリグリセリン脂肪酸エステル及び/又は親油性のショ糖脂肪酸エステルを使用する方法(例えば特許文献3参照)、USU(U:不飽和脂肪酸、S:飽和脂肪酸)で表されるトリグリセリドを使用する方法(例えば特許文献4参照)等が提案されている。
しかし、特許文献1、2に記載の方法は、長鎖飽和脂肪酸を多く含む油脂と、ヤシ油や液状油等の低融点の油脂とのエステル交換油の効果を期待するものであるところ、これらの油脂は、クリーミング性が悪く、そのため得られる焼き菓子が硬く、重い食感になってしまうという問題があった。さらに、特許文献3に記載の方法は、乳化剤の効果を、そして、特許文献4に記載の方法は、上記特定のトリグリセリドの効果を期待するものであるが、該乳化剤や該トリグリセリドを多く配合すると製菓用油脂組成物のコシがなくなるため、クリーミング中にダレてしまい、そのため得られる焼き菓子が硬く、重い食感になってしまうという問題があった。
特開平4−66045号公報 特開昭63−126457号公報 特開平4−71441号公報 特開2002−65162号公報
従って、本発明の目的は、口どけがよく、油脂のマイグレーション、及びそれによって生じる焼き菓子の白色化現象やチョコレート等のブルームが長期にわたり抑制された複合菓子を提供すること、また該複合菓子を効率よく製造できる油脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、前述の問題点を解決すべく鋭意研究検討を重ねた結果、トリグリセリドを構成する脂肪酸残基が特定の組成であるランダムエステル交換油脂を使用した複合菓子用油脂組成物により、口どけや作業性を損なうことなく、油脂移行を抑制し、長期にわたり白色化を防ぐことが可能であることを見いだした。
本発明は上記知見に基づきなされたものであり、下記エステル交換油脂(I)を含有する複合菓子用油脂組成物を提供するものである。
エステル交換油脂(I):トリグリセリドを構成する脂肪酸残基として、オレイン酸残基を45〜80質量%、炭素数20〜22の飽和脂肪酸残基を3〜30質量%含有し、オレイン酸残基1質量部に対しリノール酸残基を0.01〜0.25質量部含有するランダムエステル交換油脂
また、本発明は、上記複合菓子用油脂組成物を用いて製造された複合菓子、及び、上記複合菓子用油脂組成物を使用する、複合菓子の白色化抑制方法を提供するものである。
本発明の複合菓子用油脂組成物によれば、口どけや作業性を損なうことなく、油脂のマイグレーション、及びそれによって生じる焼き菓子の白色化現象やチョコレート等のブルームを長期にわたり抑制することができる。
以下、本発明の複合菓子用油脂組成物について、好ましい実施形態に基づき詳細に説明する。
本発明の複合菓子用油脂組成物は、下記エステル交換油脂(I)を含有する。
エステル交換油脂(I):トリグリセリドを構成する脂肪酸残基として、オレイン酸残基を45〜80質量%、炭素数20〜22の飽和脂肪酸残基を3〜30質量%含有し、オレイン酸残基1質量部に対しリノール酸残基を0.01〜0.25質量部含有するランダムエステル交換油脂
上記エステル交換油脂(I)は、トリグリセリドを構成する脂肪酸残基として、オレイン酸残基を45〜80質量%、好ましくは47〜75質量%、より好ましくは50〜70質量%含有する。
また、上記エステル交換油脂(I)は、トリグリセリドを構成する脂肪酸残基として、炭素数20〜22の脂肪酸残基を3〜30質量%、好ましくは5〜25質量%、より好ましくは7〜20質量%含有する。
オレイン酸残基の占める割合が45〜80質量%から外れた場合又は炭素数20〜22の脂肪酸残基の占める割合が3〜30質量%から外れた場合には、本発明の効果が得られなくなってしまう。
また、上記エステル交換油脂(I)は、トリグリセリドを構成する脂肪酸残基として、オレイン酸残基1質量部に対しリノール酸残基を0.01〜0.25質量部含有する必要があり、オレイン酸残基1質量部に対し、リノール酸残基が好ましくは0.03〜0.22質量部、より好ましくは0.04〜0.18質量部、最も好ましくは0.05〜0.15質量部である。
上記エステル交換油脂(I)は、オレイン酸残基を多く含有する油脂と、炭素数20〜22の飽和脂肪酸残基を多く含有する油脂とを混合した油脂配合物(以下、油脂配合物(I)ということもある)をランダムエステル交換することにより、得ることができる。
上記のオレイン酸残基を多く含有する油脂としては、コーン油、綿実油、大豆油、菜種油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、ハイオレイックヒマワリ油、ハイオレイックキャノーラ油、ハイオレイックサフラワー油、牛脂、乳脂、豚脂等の各種動植物油脂並びにこれらに水素添加、分別及びエステル交換から選択される1又は2以上の処理を施した加工油脂が挙げられ、これらの中から必要に応じて1種又は2種以上を使用することができる。
本発明においては、上記の中でもハイオレイックヒマワリ油、ハイオレイックサフラワー油、ハイオレイックキャノーラ油を用いることが好ましい。
上記の炭素数20〜22の飽和脂肪酸残基を多く含有する油脂としては、ハイエルシン菜種油、魚油、サル脂、これらの油脂に水素添加、分別及びエステル交換から選択される1種又は2種以上の処理を施した加工油脂等が挙げられる。
上記エステル交換油脂(I)は、上記油脂配合物(I)をランダムエステル交換して得ることができる。このエステル交換反応は、化学的触媒による方法で行うことができ、また酵素による方法で行うこともでき、いずれも常法に従って行うことができる。
上記化学的触媒としては、例えば、ナトリウムメチラート等のアルカリ金属系触媒が用いられる。
また、上記酵素としては、例えば、アルカリゲネス(Alcaligenes)属、リゾープス(Rhizopus)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、ムコール(Mucor)属、ペニシリウム(Penicillium)属等に由来するリパーゼが挙げられる。尚、該リパーゼは、イオン交換樹脂或いはケイ藻土やセラミック等の担体に固定化して、固定化リパーゼとして用いることもできるし、粉末の形態で用いることもできる。
上記エステル交換油脂(I)は、ヨウ素価が55以上であることが好ましく、より好ましくは57以上、さらに好ましくは59以上である。
また、上記エステル交換油脂(I)は、SFC(固体脂含量)が10℃で好ましくは5〜35%、より好ましくは10〜33%、さらに好ましくは20〜30%、20℃で好ましくは1〜20%、より好ましくは5〜18%、さらに好ましくは9〜15%、30℃で好ましくは1〜15%、より好ましくは3〜12%、さらに好ましくは5〜10%である。
尚、本発明において、SFCの値は、AOCS official methodのcd16b-93に記載のパルスNMR(ダイレクト法)にて、測定対象となる試料(油脂又は油脂組成物)のSFCを測定した後、測定値を油相量に換算した値を使用する。即ち、水相を含まない試料を測定した場合は、測定値がそのままSFCとなり、水相を含む試料を測定した場合は、測定値を油相量に換算した値をSFCとする。(以下、SFCの測定について同様である。)
上記のSFCは、次のようにして測定する。即ち、油相を60℃に30分保持し、油脂を完全に融解し、そして0℃に30分保持して固化させる。さらに、25℃に30分保持し、テンパリングを行い、その後、0℃に30分保持する。これをSFCの各測定温度に順次30分保持後、SFCを測定する。
また、上記エステル交換油脂(I)は、融点(上昇融点)が35℃以上であることが好ましく、より好ましくは37℃以上、さらに好ましくは40℃以上である。
上記融点の測定法は「日本油化学会制定 基準油脂分析試験法 2.2.4.2(1996)1996年版」に準じて測定することができる。(以下、融点の測定について同様である。)
本発明の複合菓子用油脂組成物は、上記エステル交換油脂(I)を5〜70質量%含有することが好ましく、10〜65質量%含有することがより好ましく、15〜50質量%含有することがさらに好ましい。
本発明の複合菓子用油脂組成物は、上記エステル交換油脂(I)の他、下記エステル交換油脂(II)を含有することが好ましい。
エステル交換油脂(II):トリグリセリドを構成する脂肪酸残基として、オレイン酸残基を5〜44質量%、オレイン酸を含む炭素数16〜18の脂肪酸残基を60〜97質量%、炭素数20〜22の飽和脂肪酸残基を3〜30質量%含有する、ヨウ素価が53以下であるランダムエステル交換油脂
上記エステル交換油脂(II)のトリグリセリドを構成する脂肪酸残基におけるオレイン酸残基の占める割合は5〜44質量%、好ましくは10〜41質量%、より好ましくは15〜39質量%である。
上記エステル交換油脂(II)のトリグリセリドを構成する脂肪酸残基における、オレイン酸残基を含む炭素数16〜18の脂肪酸残基の占める割合は60〜97質量%、好ましくは65〜95質量%、より好ましくは70〜93質量%である。
また、上記エステル交換油脂(II)のトリグリセリドを構成する脂肪酸残基における、炭素数20〜22の飽和脂肪酸残基の占める割合は、3〜30質量%、好ましくは5〜25質量%、より好ましくは7〜20質量%である。
上記エステル交換油脂(II)は、炭素数16〜18の脂肪酸残基を多く含有する油脂と、炭素数20〜22の飽和脂肪酸残基を多く含有する油脂とを混合した油脂配合物(以下、油脂配合物(II)ということもある)をランダムエステル交換することにより、得ることができる。
上記の炭素数16〜18の脂肪酸残基を多く含有する油脂としては、パーム油、コーン油、綿実油、大豆油、菜種油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオ脂、魚油、鯨油、バターオイル等の各種動植物油脂並びにこれらに水素添加、分別及びエステル交換から選択される1又は2以上の処理を施した加工油脂が挙げられ、これらの中から必要に応じて1種又は2種以上を使用することができる。
上記の炭素数20〜22の飽和脂肪酸残基を多く含有する油脂としては、ハイエルシン菜種油、魚油、サル脂、これらの油脂に水素添加、分別及びエステル交換から選択される1種又は2種以上の処理を施した加工油脂等が挙げられる。
上記エステル交換油脂(II)は、上記油脂配合物(II)をランダムエステル交換して得ることができる。ランダムエステル交換反応は、上記エステル交換油脂(I)を得る際と同様である。
上記エステル交換油脂(II)は、ヨウ素価が53以下であることが好ましく、より好ましくは50以下、さらに好ましくは48以下である。
ヨウ素価が53よりも大きいとエステル交換油脂(II)を併用する効果が乏しくなってしまう。
上記エステル交換油脂(II)は、SFC(固体脂含量)が10℃で好ましくは40〜60%、より好ましくは42〜58%、さらに好ましくは45〜55%であり、20℃で好ましくは25〜45%、より好ましくは27〜43%、さらに好ましくは30〜40%であり、30℃で好ましくは15〜35%、より好ましくは17〜33%、さらに好ましくは19〜30%である。
また、上記エステル交換油脂(II)は融点が35℃以上であることが好ましく、より好ましくは37℃以上、さらに好ましくは40℃以上である。
本発明の複合菓子用油脂組成物は、上記エステル交換油脂(II)を5〜50質量%含有することが好ましく、7〜40質量%含有することがより好ましく、10〜30質量%含有することがさらに好ましい。
本発明の複合菓子用油脂組成物は、上記エステル交換油脂(I)及び(II)以外の油脂を含有することができ、その場合にはパーム系油脂を含有することが好ましい。
パーム系油脂とは、パーム油、及び、パーム油に対し水素添加、分別、エステル交換等の物理的又は化学的処理の1種又は2種以上の処理を施した油脂を指す。本発明では、パーム系油脂として、パーム油、パームオレイン、パームスーパーオレイン、パームオレインのランダムエステル交換油脂、パームスーパーオレインのランダムエステル交換油脂のうちの1種又は2種以上を使用することが、本発明の効果をより高く引き出すことができ、また下記に述べるトランス脂肪酸をほとんど含有しない点で特に好ましい。
本発明の複合菓子用油脂組成物においては、上記のエステル交換油脂(I)、エステル交換油脂(II)及びパーム系油脂の合計が油分の70〜100質量%を占めることが好ましく、80〜100質量%がより好ましく、90〜100質量%がさらに好ましい。
本発明の複合菓子用油脂組成物には、上記のエステル交換油脂(I)、エステル交換油脂(II)及びパーム系油脂以外の、その他の食用油脂も使用することができる。その他の食用油脂としては、食用に適する油脂であればよく、例えば、大豆油、菜種油、ハイエルシン菜種油、米油、綿実油、ヒマワリ油、ハイオレイックヒマワリ油、サフラワー油、キャノーラ油、コーン油、パーム核油、ヤシ油、乳脂、牛脂、乳脂、豚脂、カカオ脂、魚油、鯨油等が挙げられ、さらに、これらの食用油脂に水素添加、分別、エステル交換等の物理的又は化学的処理の1又は2以上の処理を施した加工油脂を使用することもできる。本発明においては、これらの油脂は単独で用いることもでき、又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
本発明の複合菓子用油脂組成物に含まれる油分含量は、下記その他の成分に含有される油分も含め、好ましくは50〜100質量%、更に好ましくは60〜100質量%である。本発明の複合菓子用油脂組成物に含まれる油分含量が50質量%より少ないと、焼き菓子生地の配合が大きく制約を受ける場合があるほか、最終的に得られる複合菓子におけるブルーム抑制効果が安定しない場合がある。尚、本発明において、油分とはトリグリセリドを指すものとし、油相とは、油分の他、油溶性の成分もあわせたものを指すものとする。
本発明の複合菓子用油脂組成物には、油分に占めるベヘノイルジオレオイルグリセロールの割合(1,2位にオレイン酸、3位にベヘン酸が結合したトリグリセリドと、1,3位にオレイン酸、2位にベヘン酸が結合したトリグリセリドの合計を示す。以下、両者を合わせてBO2ということもある)が1.5〜10.0質量%であることが好ましく、2.0〜8.0質量%がより好ましく、2.5〜7.0質量%がさらに好ましい。
本発明の複合菓子用油脂組成物は、実質的にトランス脂肪酸を含まないことが好ましい。ここでいう「実質的にトランス脂肪酸を含まない」とは、油相中、トリグリセリドを構成する脂肪酸残基としてのトランス脂肪酸の含有量が好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、最も好ましくは2質量%以下であることを意味する。実質的にトランス脂肪酸を含まないことが好ましいのは以下の理由による。
水素添加は、油脂の融点を上昇させる典型的な方法であるが、水素添加油脂は、完全水素添加油脂を除いて、通常、トランス脂肪酸が10〜50質量%程度含まれている。一方、天然油脂中にはトランス脂肪酸が殆ど存在せず、反芻動物由来の油脂に10質量%未満含まれているにすぎない。近年、化学的な処理、特に水素添加に付されていない油脂組成物、即ち実質的にトランス脂肪酸を含まない油脂組成物であって、適切なコンシステンシーを有するものが要求されている。
本発明においては、上記のエステル交換油脂(I)、エステル交換油脂(II)及びパーム系油脂を含めた食用油脂として、天然油脂、並びに天然油脂に分別、完全水素添加及びエステル交換から選択される1又は2以上の処理を施した加工油脂から選択される1種又は2種以上を組合せて用いることにより、実質的にトランス脂肪酸を含まない複合菓子用油脂組成物を簡単に得ることができる。
本発明の複合菓子用油脂組成物には、その他の成分を含有させることができる。その他の成分としては、例えば、水、乳化剤、増粘安定剤、食塩や塩化カリウム等の塩味剤、クエン酸、酢酸、乳酸、グルコン酸等の酸味料、糖類や糖アルコール類、ステビア、アスパルテーム等の甘味料、β−カロチン、カラメル、紅麹色素等の着色料、トコフェロール、茶抽出物等の酸化防止剤、小麦蛋白や大豆蛋白等の植物蛋白、卵及び各種卵加工品、着香料、乳製品、調味料、pH調整剤、食品保存料、日持ち向上剤、果実、果汁、コーヒー、ナッツペースト、香辛料、カカオマス、ココアパウダー、穀類、豆類、野菜類、肉類、魚介類等の食品素材や食品添加物が挙げられる。
上記の乳化剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリン酒石酸脂肪酸エステル、グリセリンクエン酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム及びポリオキシエチレンソルビタンモノグリセリド等の合成乳化剤や、例えば大豆レシチン、卵黄レシチン、大豆リゾレシチン、卵黄リゾレシチン、酵素処理卵黄、サポニン、植物ステロール類、乳脂肪球皮膜等の天然乳化成分が挙げられる。
本発明の複合菓子用油脂組成物では、これらの中から選ばれた1種又は2種以上の乳化剤を使用することができる。乳化剤としての上記合成乳化剤及び/又は天然乳化成分の配合量は、特に制限はないが、本発明の複合菓子用油脂組成物中、油脂組成物基準で好ましくは0.01〜3%、さらに好ましくは0.1〜1.5%である。
上記増粘安定剤としては、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、アラビアガム、アルギン酸類、ペクチン、キサンタンガム、プルラン、タマリンドシードガム、サイリウムシードガム、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、寒天、グルコマンナン、ゼラチン、澱粉、化工澱粉等が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
本発明の複合菓子用油脂組成物は、可塑性を有することが好ましい。
また、本発明の複合菓子用油脂組成物は、水相を含有するマーガリンタイプとすることも、水相を含有しないショートニングタイプとすることもできるが、水分含量は25質量%以下であることが好ましく、20質量%以下がより好ましい。また乳化物である場合には、その乳化形態は、油中水型、及び二重乳化型のいずれでも構わない。
本発明の複合菓子用油脂組成物は、油相のSFCが、好ましくは10℃で20〜60%、20℃で10〜40%、さらに好ましくは10℃で20〜50%、20℃で15〜30%となるように調整するのがよい。SFCが10℃で20%未満又は20℃で10%未満であると、複合菓子用油脂組成物が軟らかいため、良好な物性が得られにくい。一方、SFCが10℃で60%を超える又は20℃で40%を超えると、複合菓子用油脂組成物として硬すぎて使用しにくい。
本発明の複合菓子用油脂組成物は、上記エステル交換油脂(I)並びに必要に応じてエステル交換油脂(II)及びその他の油脂を含有する油相を溶解した後、必要に応じ水相を添加して乳化した後、冷却し、結晶化させることにより製造される。
詳しくは、先ず、上記エステル交換油脂(I)を好ましくは組成物基準で5〜70質量%となり得る量で用意し、必要に応じて、上記エステル交換油脂(II)を好ましくは組成物基準で5〜50質量%となり得る量で添加し、さらにその他の食用油脂を添加して、油相を調製する。そして、この油相を加熱溶解し、必要により、水にその他の成分を添加した水相を調製し、油相に添加し、乳化する。
次に殺菌処理するのが望ましい。殺菌方法は、タンクでのバッチ式でも、プレート型熱交換機や掻き取り式熱交換機を用いた連続式でも構わない。
次に、冷却し、必要により可塑化する。本発明において、冷却条件は好ましくは−0.5℃/分以上、さらに好ましくは−5℃/分以上とする。冷却に用いる機器としては、密閉型連続式チューブ冷却機、例えばボテーター、コンビネーター、パーフェクター等のマーガリン製造機やプレート型熱交換機等が挙げられ、また、開放型のダイアクーラーとコンプレクターの組み合わせ等が挙げられる。
また、本発明の複合菓子用油脂組成物を製造する際のいずれかの製造工程で、窒素、空気等を含気させても、させなくても構わない。
次に、本発明の複合菓子について述べる。
本発明の複合菓子は、上記の本発明の複合菓子用油脂組成物を練り込み油脂として用いたクッキー、ビスケット等の焼き菓子と、ナッツ類、チョコレート等が組み合わさったものをいい、好ましくは焼き菓子とチョコレートが組み合わさったものである。
上記焼き菓子の生地としては、例えば、パウンドケーキ生地、フルーツケーキ生地、マドレーヌ生地、バウムクーヘン生地、カステラ生地等のバターケーキ生地、アイスボックスクッキー生地、ワイヤーカットクッキー生地、サブレ生地、ラングドシャクッキー生地等のクッキー生地等が挙げられる。これらの焼き菓子生地は、シュガーバッター法、フラワーバッター法、オールインミックス法等、公知の方法によって製造することができ、常法に従って焼成されて焼き菓子とされる。
上記の焼き菓子生地を製造する際に用いる本発明の複合菓子用油脂組成物の使用量は、焼き菓子の種類により決定されるものであり、特に限定されるものではないが、おおよそ菓子生地中に10〜40質量%である。
上記ナッツ類としては、ピーナッツ、アーモンド、カシューナッツ、ピスタチオ、ヘーゼルナッツ、ピーカンナッツ、オーナッツ、マカデミアナッツ、ブラジルナッツ、ココナッツ、松、けし、ひまわり等の種実や堅果、それらのホール品・割物品・スライス品、それらを用いたペースト・ピューレ等の加工品等が挙げられる。
上記チョコレートとは、カカオマスやココアパウダー等のカカオ成分を含有し、カカオ成分にさらに粉乳等の各種粉末食品、油脂類、糖類、乳化剤、香料、色素等の中から選択した原料を任意の割合で混合し、常法によりロール掛け、コンチング処理して得たものを意味する。もちろん、気相や水相を含有するものであってもよい。
上記の各種粉末食品としては、例えば、脱脂粉乳、全粉乳、果実粉末、果汁粉末、生クリーム粉末、チーズ粉末、コーヒー粉末、ヨーグルト粉末等が例示される。各種粉末食品を使用する場合、その配合量は、チョコレート中、好ましくは0.5〜60質量%、さらに好ましくは1〜50質量%である。
上記油脂類としては、カカオバター、その他の動植物性油脂、及びこれらの分別油、硬化油、エステル交換油等が挙げられ、これらは単独で又は混合して使用することができ、好ましくはテンパリング型のものを使用する。油脂類の配合量は、チョコレート中、好ましくは20〜80質量%、さらに好ましくは30〜60質量%である。
上記乳化剤としては、特に限定されず、必要に応じて粘度上昇を抑制する目的で、レシチン、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル等を添加することができる。乳化剤の配合量は、チョコレート中、好ましくは0.01〜10質量%、さらに好ましくは0.1〜5質量%である。
本発明の複合菓子における複合方法の例としては、チョコレートをフィリング用、サンド用、トッピング用、コーティング用、エンローバー用等として焼き菓子と組み合わせたり、砕いた焼き菓子をチョコレート中に埋め込む方法が挙げられる。
最後に、本発明の複合菓子の白色化抑制方法について説明する。
本発明の複合菓子の白色化抑制方法は、複合菓子の製造の際に、上記エステル交換油脂(I)を含有する本発明の複合菓子用油脂組成物を、複合菓子の焼き菓子の練り込み油脂として使用するものである。
本発明の複合菓子用油脂組成物の使用量は、複合菓子の種類により決定されるものであり、特に限定されるものではないが、おおよそ菓子生地中に1〜40質量%となるように使用する。その他、本発明の複合菓子の白色化抑制方法に関し、特に説明しない点については、前述の本発明の複合菓子用油脂組成物及び本発明の複合菓子についての説明を適宜適用することができる。
以下、本発明を実施例等により更に詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例等により何ら制限されるものではない。
尚、以下のエステル交換油脂I〜VIIIのうち、エステル交換油脂I〜IVは本発明に係るエステル交換油脂(I)であり、エステル交換油脂V及びVIはパーム系油脂であり、エステル交換油脂VIIは本発明に係るエステル交換油脂(II)であり、エステル交換油脂VIIIは比較用のエステル交換油脂である。
エステル交換油脂の製造
<エステル交換油脂Iの製造>
ハイオレイックキャノーラ油70質量部と、ハイエルシン菜種極度硬化油30質量部とからなる油脂配合物を、ナトリウムメチラートを触媒としたランダムエステル交換反応に供した後、漂白(白土3%、85℃、0.93kPa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込み量5%、0.4kPa以下の減圧下)を行ない、エステル交換油脂Iを得た。
<エステル交換油脂IIの製造>
ハイオレイックヒマワリ油90質量部と、ハイエルシン菜種極度硬化油10質量部とからなる油脂配合物を、ナトリウムメチラートを触媒としたランダムエステル交換反応に供した後、漂白(白土3%、85℃、0.93kPa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込み量5%、0.4kPa以下の減圧下)を行ない、エステル交換油脂IIを得た。
<エステル交換油脂IIIの製造>
ハイオレイックヒマワリ油80質量部と、ハイエルシン菜種極度硬化油20質量部とからなる油脂配合物を、ナトリウムメチラートを触媒としたランダムエステル交換反応に供した後、漂白(白土3%、85℃、0.93kPa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込み量5%、0.4kPa以下の減圧下)を行ない、エステル交換油脂IIIを得た。
<エステル交換油脂IVの製造>
ハイオレイックヒマワリ油70質量部と、ハイエルシン菜種極度硬化油30質量部とからなる油脂配合物を、ナトリウムメチラートを触媒としたランダムエステル交換反応に供した後、漂白(白土3%、85℃、0.93kPa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込み量5%、0.4kPa以下の減圧下)を行ない、エステル交換油脂IVを得た。
<エステル交換油脂Vの製造>
ヨウ素価60のパーム分別軟部油を、ナトリウムメチラートを触媒としたランダムエステル交換反応に供した後、漂白(白土3%、85℃、0.93kPa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込み量5%、0.4kPa以下の減圧下)を行ない、エステル交換油脂Vを得た。
<エステル交換油脂VIの製造>
ヨウ素価55のパーム分別軟部油を、ナトリウムメチラートを触媒としたランダムエステル交換反応に供した後、漂白(白土3%、85℃、0.93kPa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込み量5%、0.4kPa以下の減圧下)を行ない、エステル交換油脂VIを得た。
<エステル交換油脂VIIの製造>
ヨウ素価55のパーム分別軟部油80質量部と、ハイエルシン菜種極度硬化油20質量部とからなる油脂配合物を、ナトリウムメチラートを触媒としたランダムエステル交換反応に供した後、漂白(白土3%、85℃、0.93kPa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込み量5%、0.4kPa以下の減圧下)を行ない、エステル交換油脂VIIを得た。
<エステル交換油脂VIIIの製造>
菜種油70質量部と、ハイエルシン菜種極度硬化油30質量部とからなる油脂配合物を、ナトリウムメチラートを触媒としたランダムエステル交換反応に供した後、漂白(白土3%、85℃、0.93kPa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込み量5%、0.4kPa以下の減圧下)を行ない、エステル交換油脂VIIIを得た。
Figure 0006767160
〔実施例1〕
エステル交換油脂Iを25質量部、エステル交換油脂VIを75質量部、酸化防止剤(ビタミンE)0.01質量部及びレシチン0.1質量部からなる油相を65℃に加熱溶解後、急冷可塑化し、可塑性を有する複合菓子用油脂組成物Aを得た。(油脂組成物A中のBO2含量:3.1質量%)
〔実施例2〕
エステル交換油脂IIを33質量部、エステル交換油脂VIを45質量部、エステル交換油脂VIIを22質量部、酸化防止剤(ビタミンE)0.01質量部及びレシチン0.1質量部からなる油相を65℃に加熱溶解後、急冷可塑化し、可塑性を有する複合菓子用油脂組成物Bを得た。(油脂組成物B中のBO2含量:3.3質量%)
〔実施例3〕
エステル交換油脂IIIを32質量部、エステル交換油脂VIを45質量部、エステル交換油脂VIIを23質量部、酸化防止剤(ビタミンE)0.01質量部及びレシチン0.1質量部からなる油相を65℃に加熱溶解後、急冷可塑化し、可塑性を有する複合菓子用油脂組成物Cを得た。(油脂組成物C中のBO2含量:4.5質量%)
〔実施例4〕
エステル交換油脂IVを40質量部、エステル交換油脂VIを30質量部、エステル交換油脂VIIを30質量部、酸化防止剤(ビタミンE)0.01質量部及びレシチン0.1質量部からなる油相を65℃に加熱溶解後、急冷可塑化し、可塑性を有する複合菓子用油脂組成物Dを得た。(油脂組成物D中のBO2含量:6.3質量%)
〔実施例5〕
エステル交換油脂IVを45質量部、エステル交換油脂VIを35質量部、エステル交換油脂VIIを20質量部、酸化防止剤(ビタミンE)0.01質量部及びレシチン0.1質量部からなる油相を65℃に加熱溶解後、急冷可塑化し、可塑性を有する複合菓子用油脂組成物Eを得た。(油脂組成物E中のBO2含量:6.8質量%)
〔実施例6〕
エステル交換油脂IVを35質量部、エステル交換油脂Vを20質量部、エステル交換油脂VIIを45質量部、酸化防止剤(ビタミンE)0.01質量部及びレシチン0.1質量部からなる油相を65℃に加熱溶解後、急冷可塑化し、可塑性を有する複合菓子用油脂組成物Fを得た。(油脂組成物F中のBO2含量:6.0質量%)
〔実施例7〕
エステル交換油脂IVを37質量部、エステル交換油脂Vを25質量部、エステル交換油脂VIIを38質量部、酸化防止剤(ビタミンE)0.01質量部及びレシチン0.1質量部からなる油相を65℃に加熱溶解後、急冷可塑化し、可塑性を有する複合菓子用油脂組成物Gを得た。(油脂組成物G中のBO2含量:6.1質量%)
〔実施例8〕
エステル交換油脂IVを40質量部、エステル交換油脂VIIを38質量部、パーム油を22質量部、酸化防止剤(ビタミンE)0.01質量部及びレシチン0.1質量部からなる油相を65℃に加熱溶解後、急冷可塑化し、可塑性を有する複合菓子用油脂組成物Hを得た。(油脂組成物H中のBO2含量:6.5質量%)
〔実施例9〕
エステル交換油脂IVを32質量部、エステル交換油脂VIを68質量部、酸化防止剤(ビタミンE)0.01質量部及びレシチン0.1質量部からなる油相を65℃に加熱溶解後、急冷可塑化し、可塑性を有する複合菓子用油脂組成物Iを得た。(油脂組成物I中のBO2含量:4.4質量%)
〔実施例10〕
エステル交換油脂IVを13質量部、エステル交換油脂Vを42質量部、エステル交換油脂VIIを45質量部、酸化防止剤(ビタミンE)0.01質量部及びレシチン0.1質量部からなる油相を65℃に加熱溶解後、急冷可塑化し、可塑性を有する複合菓子用油脂組成物Jを得た。(油脂組成物J中のBO2含量:3.0質量%)
〔比較例1〕
エステル交換油脂Vを20質量部、エステル交換油脂VIIを50質量部、菜種油を30質量部、酸化防止剤(ビタミンE)0.01質量部及びレシチン0.1質量部からなる油相を65℃に加熱溶解後、急冷可塑化し、可塑性を有する油脂組成物Kを得た。(油脂組成物K中のBO2含量:1.4質量%)
〔比較例2〕
エステル交換油脂VIを70質量部、菜種油を30質量部、酸化防止剤(ビタミンE)0.01質量部及びレシチン0.1質量部からなる油相を65℃に加熱溶解後、急冷可塑化し、可塑性を有する油脂組成物Lを得た。(油脂組成物L中のBO2含量:0質量%)
〔比較例3〕
パーム油を70質量部、菜種油を30質量部、酸化防止剤(ビタミンE)0.01質量部及びレシチン0.1質量部からなる油相を65℃に加熱溶解後、急冷可塑化し、可塑性を有する油脂組成物Mを得た。
(油脂組成物M中のBO2含量:0質量%)
〔比較例4〕
エステル交換油脂VIIIを30質量部、エステル交換油脂Vを20質量部、エステル交換油脂VIIを50質量部、酸化防止剤(ビタミンE)0.01質量部及びレシチン0.1質量部からなる油相を65℃に加熱溶解後、急冷可塑化し、可塑性を有する油脂組成物Nを得た。(油脂組成物N中のBO2含量:4.3質量%)
<チョココーティングクッキーの製造及び評価>
得られた複合菓子用油脂組成物A〜J及び比較例である油脂組成物K〜Nを用いて下記の製造方法によりチョココーティングクッキーを製造し、後述の各種評価及び試験等を行った。それらの結果を表2に示す。
(チョココーティングクッキーの製造方法)
15℃に調温した油脂組成物(上記油脂組成物A〜Nのいずれか)45質量部と上白糖45質量部をミキサーボウルに投入して卓上ミキサーにセットし、軽く混合した後、高速で7分間クリーミングした。次いで、低速で混合しながら、30秒かけて水15質量部を添加し、さらに1分混合した。さらに、予め混合して篩っておいた小麦粉100質量部とベーキングパウダー1質量部の混合物を添加し、低速で1分混合して、ワイヤーカットクッキー生地を得た。得られたクッキー生地を、厚さ7ミリ、直径48ミリの丸型にワイヤーカット成型した。成型したクッキー生地をオーブン(フジサワ社製)で190℃にて13分焼成後、25℃にて40分冷却し、ワイヤーカットクッキーA〜N(英字は使用した油脂組成物に対応)を得た。
一方、砂糖44.6質量部、カカオマス25質量部、カカオバター30質量部、レシチン0.4質量部からなる配合にて、常法に従い、溶解、ロール掛け、コンチング処理し、テンパー型チョコレートを得た。
続いて、テンパリングしたチョコレートを、上記ワイヤーカットクッキーA〜Nそれぞれに対し3倍量でエンローバーして貼り合わせ、チョココーティングクッキーA〜N(英字は使用した油脂組成物に対応)を製造した。
(クリーミング時の作業性・コシの評価)
チョココーティングクッキーの製造の際に、油脂組成物と上白糖とのクリーミング時の作業性及びコシを、以下の評価基準に従って4段階で評価した。
・評価基準
◎:クリーミングした際、非常にコシが良好であり、ダレが生じない。
○:クリーミングした際、コシが良好であり、ダレがほとんど生じない。
△:クリーミングした際にややボロボロとしてまとまりがない、又はコシが弱く、ややダレが生じる。
×:クリーミングした際にボロボロとしてまとまりがない、又はコシが非常に弱く、ダレが生じる。
(保存安定性試験)
得られたチョココーティングクッキーを25℃で保存し、保存開始から14日後、28日後、60日後、120日後、180日後の各段階において、クッキー部分の白色化及びコーティングチョコレート部分のブルームについて、下記評価基準に従って4段階で評価した。
・クッキー部分の白色化評価基準
◎:白色化なし
〇:表面にやや色ムラあり
△:若干白色化
×:白色化あり
・チョコレート部分のブルーム評価基準
◎:ブルームなし
○:やや艶がない
△:若干ブルームあり
×:ブルームあり
また、25℃での保存開始から14日後の段階においてのみ、クッキー部分の口どけについて、それぞれ10人のパネラーにより下記評価基準に従って4段階で官能評価した。
・クッキー部分の口どけ評価基準
4点…非常に口どけがよい。
3点…口どけがよい。
2点…口どけがやや悪い。
1点…口どけが悪い。
10人のパネラーの合計点を評価点数とし、表2においては、評価点数が32〜40点を◎、23〜31点を○、14〜22点を△、13点以下を×として示した。
(油脂移行)
得られたチョココーティングクッキーを25℃で保存し、保存開始から30日後及び60日後において、チョココーティングクッキーのクッキー部分について、SMART System5(CEM Japan社製)を使用し油分を測定した。油分移行率を次式により求めた。
〔(A−B)/A〕×100 (%)
(A:製造直後のクッキーの油分、B:保存後のクッキーの油分)
表2においては、油分移行率が30%以下を−、30〜35%を±、35〜45%を+、45%以上を++として示した。油分移行率が高いほど、チョコレートクッキーにおけるクッキーからチョコレートへの油分の移行が多いことを示す。
Figure 0006767160

Claims (6)

  1. 下記エステル交換油脂(I)及び下記エステル交換油脂(II)を含有する複合菓子用油脂組成物。
    エステル交換油脂(I):トリグリセリドを構成する脂肪酸残基として、オレイン酸残基を45〜80質量%、炭素数20〜22の飽和脂肪酸残基を3〜30質量%含有し、オレイン酸残基1質量部に対しリノール酸残基を0.01〜0.25質量部含有するランダムエステル交換油脂。
    エステル交換油脂(II):トリグリセリドを構成する脂肪酸残基として、オレイン酸残基を5〜44質量%、オレイン酸を含む炭素数16〜18の脂肪酸残基を60〜97質量%、炭素数20〜22の飽和脂肪酸残基を3〜30質量%含有する、ヨウ素価が53以下であるランダムエステル交換油脂。
  2. 上記エステル交換油脂(I)の固体脂含量(SFC)が、10℃で5〜35%、20℃で1〜20%、30℃で1〜15%である請求項1記載の複合菓子用油脂組成物。
  3. 練り込み油脂である、請求項1又は2に記載の複合菓子用油脂組成物。
  4. 上記エステル交換油脂(I)を5〜70質量%含有する、請求項1〜のいずれか一項記載の複合菓子用油脂組成物。
  5. 請求項1〜のいずれか一項記載の複合菓子用油脂組成物を含む複合菓子。
  6. 請求項1〜のいずれか一項記載の複合菓子用油脂組成物を使用する、複合菓子の白色化抑制方法。
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