JP2020058253A - 焼菓子用油脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】口溶けがよく、サクサクとした食感を有し、且つ乳や乳製品を焼菓子製造時に用いた場合であってもマイグレーションの発生が抑制された焼菓子が得られる焼菓子用油脂組成物を提供すること。【解決手段】次の条件(1)〜(4)を全て満たす焼菓子用油脂組成物。(1)油相の脂肪酸残基組成において、飽和脂肪酸残基(S)と不飽和脂肪酸残基(U)との質量比(S/U)が1.3〜2.0である。(2)油相の脂肪酸残基組成中の炭素数16の飽和脂肪酸残基及び炭素数18の飽和脂肪酸残基の含有量の和が、脂肪酸残基組成中の飽和脂肪酸残基の総量に対して、75質量%以上である。(3)油相のトリグリセリド組成において、SU2トリグリセリドとU3トリグリセリドとの含有量の和が35質量%以下である。(4)固体脂含有量が10℃で55〜75%、20℃で35〜50%、30℃で10〜30%である。【選択図】なし

Description

本発明は焼菓子用油脂組成物に関する。
クッキー、ビスケット及びバターケーキ等の焼菓子と、チョコレート等の油性菓子とを組合せて製造される、いわゆる複合菓子においては、その製造・流通・保存中に、焼菓子の表面が白色化し、外観が損なわれる白色化現象や、油性菓子の軟化現象、ブルーム現象が発生する場合がある。これらの現象の発生は、焼菓子と油性菓子との間で発生するマイグレーションと呼ばれる油脂移行が主因であると推定されている。
良好な風味の焼菓子及び複合菓子を得る観点から、その製造の際、バター、牛乳及び全脂粉乳等の乳脂を含有する乳や乳製品が頻用される。乳脂は、(1)乳脂の構成脂肪酸中に短鎖〜中鎖の脂肪酸が比較的多く含まれる、(2)(1)に伴い固化速度が遅いという2つの特徴を有している。そのため、乳脂を含有する乳や乳製品を用いて焼菓子及び複合菓子を製造した場合には、この特徴のためにマイグレーションの発生を抑制することが難しかった。
複合菓子のマイグレーション抑制方法としては、特に焼菓子製造時に用いる油脂についての検討が盛んに行われている。
単に焼菓子と油性菓子の間のマイグレーションの発生を抑制するだけであれば、固い油脂を焼菓子製造時に使用すればよい。しかし、この手法では得られる焼菓子は、その食感が硬く詰まったものとなり、口溶けが悪化しやすい。そのため、近年では主に「特定の乳化剤を含有させた油脂を用いる手法」及び「特定のエステル交換油脂を用いる手法」の2つの手法の検討が進められている。
特定の乳化剤を含有させた油脂を用いる手法として、例えば、特許文献1には、トランス脂肪酸含有量が5重量%以下であり、且つ特定のSFCを有する油脂A100重量部に対し、特定のソルビタン飽和脂肪エステル及びポリグリセリン脂肪酸エステルから選択される1種以上を0.05〜3重量%含有する焼菓子練り込用油脂組成物を用いる手法が開示されている。特許文献2には、特定の構成脂肪酸組成を有する非選択的エステル交換油脂に特定組成のショ糖脂肪酸エステルを含有させた油脂移行耐性油脂組成物を用いる手法が開示されている。特許文献3には、特定のトリグリセリド組成及び特定の構成脂肪酸組成を有する油脂に有機酸モノグリセリド、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム及びHLBが12以上のノニオン性乳化剤から選ばれる1種又は2種以上の乳化剤を含有させた油脂組成物を用いる手法が開示されている。
特定のエステル交換油脂を用いる手法として、例えば、特許文献4及び特許文献5には、パーム分別軟部油とベヘン系油脂とのランダムエステル交換油脂を用いる手法が開示されている。また、特許文献6及び特許文献7には、ラウリン系油脂とベヘン系油脂とのランダムエステル交換油脂を用いる手法が開示されている。
しかし、特許文献1〜3の手法は、乳化剤の作用で油脂の固化温度を上昇させることによりマイグレーションの発生を抑制するものであるところ、焼菓子の口溶けが不良となり、食感を損ねる場合があった。
また、焼菓子製造時に乳脂を含有する乳や乳製品を用いた場合においては、特許文献4〜7の記載の油脂組成物を用いた場合であっても、乳や乳製品由来の乳脂の働きにより、焼菓子生地中に含有される油脂全体の融点が低下してしまうため、十分にマイグレーションの発生を抑制することが難しかった。
また、特許文献8には、乳脂をハイエルシン菜種極度硬化油とのエステル交換油脂の形で用いる手法が開示されている。しかしこの手法は、乳脂を含有した際にみられる良好な風味が付与された焼菓子が得られるものではなかった。
したがって、乳脂を含有する乳や乳製品を焼菓子製造時に用いた場合であっても、マイグレーションの発生を十分に抑制する手法が求められている。
特開2017−093310号公報 特開2008−301731号公報 特開2013−226117号公報 特開2008−148670号公報 特開2010−104325号公報 特開2012−100621号公報 特開平09−165595号公報 特開2008−016002号公報
本発明の課題は、次の2点である。
(イ)口溶けがよく、サクサクとした食感が良好な焼菓子が得られる、焼菓子用の油脂組成物を提供すること。
(ロ)乳脂を含有する乳や乳製品を焼菓子製造時に用いた場合であっても、マイグレーションの発生が抑制される焼菓子用の油脂組成物を提供すること。
本発明者らによる鋭意検討の結果、特定の組成を有する焼菓子用油脂組成物を用いることで、上記課題を解決し得ることが知見され、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、次の条件(1)〜(4)を全て満たす焼菓子用油脂組成物に関するものである。
(1)油相の脂肪酸残基組成において、飽和脂肪酸残基(S)と不飽和脂肪酸残基(U)との質量比(S/U)が1.3〜2.0である。
(2)油相の脂肪酸残基組成中の炭素数16の飽和脂肪酸残基及び炭素数18の飽和脂肪酸残基の含有量の和が、脂肪酸残基組成中の飽和脂肪酸残基の総量に対して、75質量%以上である。
(3)油相のトリグリセリド組成において、SU2トリグリセリドとU3トリグリセリドとの含有量の和が35質量%以下である。
(4)固体脂含有量が10℃で55〜75%、20℃で35〜50%、30℃で10〜30%である。
Sは飽和脂肪酸残基を表し、Uは不飽和脂肪酸残基を表し、SU2はSが1分子、Uが2分子結合しているトリグリセリドを表し、U3はUが3分子結合しているトリグリセリドを表す。
本発明の焼菓子用油脂組成物によれば下記の効果が奏される。
(イ)口溶けがよく、サクサクとした食感が良好な焼菓子が得られる
(ロ)乳脂を含有する乳や乳製品を焼菓子や複合菓子の製造時に用いた場合であっても、マイグレーションの発生が抑制される
以下、本発明の焼菓子用油脂組成物について、好ましい実施形態に基づいて詳述する。
本発明の焼菓子用油脂組成物は、次の条件(1)〜(4)を全て満たすものである。
(1)油相の脂肪酸残基組成において、飽和脂肪酸残基(S)と不飽和脂肪酸残基(U)との質量比(S/U)が1.3〜2.0である。
(2)油相の脂肪酸残基組成中の炭素数16の飽和脂肪酸残基及び炭素数18の飽和脂肪酸残基の含有量の和が、脂肪酸残基組成中の飽和脂肪酸残基の総量に対して、75質量%以上である。
(3)油相のトリグリセリド組成において、SU2トリグリセリドとU3トリグリセリドとの含有量の和が35質量%以下である。
(4)SFCが10℃で55〜75%、20℃で35〜50%、30℃で10〜30%である。
Sは飽和脂肪酸残基を表し、Uは不飽和脂肪酸残基を表し、SU2はSが1分子、Uが2分子結合しているトリグリセリドを表し、U3はUが3分子結合しているトリグリセリドを表す。
以下、上記の各条件について説明する。
[条件(1)]
本発明の焼菓子用油脂組成物は、焼菓子用油脂組成物に含まれる油相の脂肪酸残基組成において、飽和脂肪酸残基(S)と不飽和脂肪酸残基(U)との質量比(S/U)が1.3〜2.0である。以下、飽和脂肪酸残基と不飽和脂肪酸残基との質量比を「S/U」ともいう。
飽和脂肪酸残基と不飽和脂肪酸残基との質量比は、油相中の飽和脂肪酸残基の含有量を、油相中の不飽和脂肪酸残基の含有量で除することにより得られる値である。
脂肪酸残基組成におけるS/Uが上記範囲内とすることで、本発明の焼菓子用油脂組成物を用いて得られる焼菓子の食感が、良好な口溶けやバラけを有し、サクサクとした噛みだしを有するものとなる。また、本発明の焼菓子用油脂組成物を用いて製造された焼菓子を油性菓子と複合させた際に、焼菓子生地中に乳脂を含む場合であっても、マイグレーションの発生が抑制される。さらに、本発明の焼菓子用油脂組成物が適度な可塑性を有するものとなり、製造作業性が良好となる。
本発明の焼菓子用油脂組成物中の油相の脂肪酸残基組成におけるS/Uは、1.4〜1.9となることが好ましく、1.5〜1.9となることがより好ましい。
本発明の焼菓子用油脂組成物に含まれる油相の脂肪酸残基組成については例えば、「日本油化学会制定基準油脂分析試験法2.4.2.3−2013」や「日本油化学会制定基準油脂分析試験法2.4.4.3−2013」を参考に、キャピラリーガスクロマトグラフ法により測定することができる。以下、脂肪酸残基組成の測定について同様である。
[条件(2)]
本発明の焼菓子用油脂組成物は、焼菓子用油脂組成物に含まれる油相の脂肪酸残基組成中における、炭素数16の飽和脂肪酸残基と炭素数18の飽和脂肪酸残基との含有量の和が、脂肪酸残基組成中の飽和脂肪酸残基の総量に対して、75質量%以上である。
脂肪酸残基組成における炭素数16の飽和脂肪酸残基と炭素数18の飽和脂肪酸残基の含有量の和が、脂肪酸残基組成中の飽和脂肪酸残基の総量に対して75質量%以上であることで、焼菓子生地中に乳脂を含有する場合でも、複合菓子におけるマイグレーションの発生を抑制することができる。
本発明の焼菓子用油脂組成物においては、脂肪酸残基組成中の飽和脂肪酸残基の総量に対する、脂肪酸残基組成における炭素数16の飽和脂肪酸残基と炭素数18の飽和脂肪酸残基の含有量の和が、80質量%以上であることが好ましく、80〜97質量%であることがより好ましい。上限は100質量%である。
本発明の焼菓子用油脂組成物においては、焼菓子生地中に乳脂を含有する場合であっても、マイグレーション抑制の効果を十分に得る観点から、炭素数18の飽和脂肪酸残基に対する炭素数16の飽和脂肪酸残基の質量比が1.6以上であることが好ましく、1.7以上であることがより好ましく、1.8〜2.1の範囲にあることが最も好ましい。
本発明の焼菓子用油脂組成物においては、マイグレーション抑制の効果を十分に得る観点、及び、焼菓子用油脂組成物に適度な可塑性とコシを付与し、良好な製造作業性を得る観点から、脂肪酸残基組成中の飽和脂肪酸残基の総量に対する炭素数12の脂肪酸の含有量が15質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。尚、炭素数12の飽和脂肪酸の含有量の下限は0質量%である。
本発明の焼菓子用油脂組成物においては、口溶けがよく、サクサクとした食感が良好な焼菓子を得る観点から、焼菓子用油脂組成物に含まれる油相の脂肪酸残基組成中に炭素数20以上の飽和脂肪酸残基を実質的に含有しないことが好ましい。本発明の焼菓子用油脂組成物において、「油相の脂肪酸残基組成中に炭素数20以上の飽和脂肪酸残基を実質的に含有しない」とは、本発明の焼菓子用油脂組成物に含まれる油相の脂肪酸残基組成中の、炭素数20以上の飽和脂肪酸残基の含有量の和が3質量%以下であることを指し、好ましくは1.5質量%以下であることを指す。
[条件(3)]
本発明の焼菓子用油脂組成物は、含有される油相のトリグリセリド組成において、SU2トリグリセリドとU3トリグリセリドとの含有量の和が35質量%以下である。油相のトリグリセリド組成において、SU2トリグリセリドとU3トリグリセリドの含有量との和が35質量%以下であることで、焼菓子生地中に乳脂を含有する場合でも、複合菓子におけるマイグレーションの発生を抑制することができる。マイグレーションの発生の抑制の観点、及び焼菓子生地の調製時に良好な作業性を得る観点から、油相のトリグリセリド組成におけるSU2トリグリセリドとU3トリグリセリドとの含有量の和は10〜30質量%以下であることが好ましく、15〜25質量%であることがより好ましい。
本発明の焼菓子用油脂組成物は、マイグレーションの発生の抑制の観点、及び焼菓子生地の調製時に良好な作業性を得る観点から、油相のトリグリセリド組成における、S3トリグリセリドの含有量が、3〜20質量%であることが好ましく、5〜17質量%であることがより好ましく、7〜15質量%であることが最も好ましい。また、同様の観点から、S2Uトリグリセリドの含有量が、50〜70質量%であることが好ましく、55〜65質量%であることがより好ましい。
本発明におけるトリグリセリド組成は、例えば逆相HPLCで行われるトリグリセリド分子種分析により分析することが可能である。この逆相HPLCは、日本油化学会制定「基準油脂分析試験法2.4.6.2」に則って、任意の条件で実施することができ、例えば、次のような条件で測定することが可能である。
・検出部:示差屈折検出器
・カラム:ドコシルカラム(DCS)
・移動相:アセトン:アセトニトリル=65:35(体積比)
・流速:1ml/min
・カラム温度:40℃
・背圧:3.8MPa
[条件(4)]
本発明の焼菓子用油脂組成物は、SFCが10℃で55〜75%であり、20℃で35〜50%であり、且つ30℃で10〜30%である。SFC値が各測定温度における範囲の下限未満である場合、焼菓子生地中に乳脂を含有する場合にマイグレーションの発生を十分に抑制できない。SFC値が各測定温度における範囲の上限超である場合、マイグレーションの発生は抑制されるが、焼菓子の製造作業性が低下し、また、焼菓子の食感が、ガリガリとした硬く詰まった噛みだしとなる上、口溶けが悪化する。マイグレーションの発生を抑制し、食感が良好な焼菓子を得る観点、及び良好な製造作業性を得る観点から、本発明の焼菓子用油脂組成物の10℃のSFCが、60〜75%であることが好ましく、60〜70%であることがより好ましい。20℃のSFCが38〜50%であることが好ましく、40〜50%であることがより好ましい。30℃のSFCが15〜30%であることが好ましく、15〜25%であることがより好ましい。
SFCはSolid Fat Contentの略語であり、固体脂含有量を意味する。
本発明の焼菓子用油脂組成物は、焼菓子生地中に乳脂を含有させた場合であっても、マイグレーションの発生を十分に抑制できる点に特徴の一つを有する。
例えば、本発明の焼菓子用油脂組成物と乳脂とを6:4の質量比で混合し、焼菓子用油脂組成物に乳脂を含有させた場合であっても、乳脂と焼菓子用油脂組成物との混合物のSFCの測定値が、10℃で45〜65%、20℃で22〜42%、30℃で10〜20%の範囲の値をとり、その結果、マイグレーションの発生を抑制することができる。
本発明において、SFCの値は、AOCS official methodのcd16b-93に記載のパルスNMR(ダイレクト法)にて、測定対象となる試料のSFCを測定した後、測定値を油相量に換算した値を使用する。即ち、水相を含まない試料を測定した場合は、測定値がそのままSFCとなり、水相を含む試料を測定した場合は、測定値を油相量に換算した値をSFCとする。以下、SFCの測定について同様である。
上記SFCの測定に際しては、測定対象となる試料を60℃に30分保持し、油脂を完全に融解し、そして0℃に30分保持して固化させる。さらに、25℃に30分保持し、テンパリングを行い、その後、0℃に30分保持する。然る後、SFCの各測定温度に順次30分保持する。その後、上記パルスNMRにてSFCを測定する。
次に、本発明の焼菓子用油脂組成物で用いることのできる油脂について述べる。
本発明の焼菓子用油脂組成物の油相に用いることのできる油脂としては、例えば、大豆油、菜種油、ハイエルシン菜種油、コーン油、綿実油、オリーブ油、落花生油、米油、サフラワー油、ハイオレイックサフラワー油、からし油、ひまわり油、ハイオレイックヒマワリ油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、サル脂、カカオ脂及びマンゴ脂等の植物性油脂、牛脂、豚脂、乳脂、魚油及び鯨油等の動物性油脂、並びにこれらの油脂に水素添加、分別、エステル交換等の物理的又は化学的処理の1種又は2種以上の処理を施した油脂が挙げられる。本発明の焼菓子用油脂組成物は、上述の油脂の1種を単独で用いてもよく、2種以上を組合せて用いてもよい。本発明においては、水素添加又はエステル交換を行った後に分別処理を行い得られた分別油についても、エステル交換油脂として扱うものとする。
本発明においては、上記条件(1)〜(4)を満たすように、上述の油脂の1種又は2種以上を使用する。とりわけ、油相を構成するトリグリセリド組成を複雑なトリグリセリド組成とすることにより、マイグレーションの発生を十分に抑制する観点から、油脂にエステル交換油脂を含有させることが好ましく、ランダムエステル交換油脂を含有させることがより好ましい。本発明の焼菓子用油脂組成物の油相を構成する油脂は、ランダムエステル交換油脂を70質量%以上含有することが好ましく、80質量%以上含有することがより好ましく、90質量%以上含有することがさらに好ましく、油相を構成する油脂がランダムエステル交換油脂のみからなることが最も好ましい。
以下、本発明の焼菓子用油脂組成物に好適に用いられるランダムエステル交換油脂について詳述する。
本発明の焼菓子用油脂組成物は、次の条件(a)〜(d)を満たすエステル交換油脂(A)を油相中に含有することが好ましい。エステル交換油脂(A)を含有することによって、焼菓子生地中に乳脂が含有される場合であっても、マイグレーションの発生が抑制されるためである。
(a)トリグリセリド組成中のS3の含有量が1.0〜12質量%である。
(b)トリグリセリド組成中のS2Uの含有量が50〜90質量%である。
(c)トリグリセリド組成中のSU2及びU3の合計の含有量が5〜40質量%である。
(d)脂肪酸残基組成における飽和脂肪酸残基が実質的に炭素数16の飽和脂肪酸残基と炭素数18の飽和脂肪酸残基とで構成され、且つ炭素数18の飽和脂肪酸残基に対する炭素数16の飽和脂肪酸残基の質量比が1.0〜2.5である。
S3はSが3分子結合しているトリグリセリドを表し、S2UはSが2分子、Uが1分子結合しているトリグリセリドを表す。
以下、エステル交換油脂(A)の各条件について述べる。
まず条件(a)について述べる。
上記エステル交換油脂(A)は、トリグリセリド組成中にS3を1.0〜12質量%、好ましくは2.0〜10質量%含有する。S3の含有量が1.0質量%以上であると、固形脂量が十分に得られるため、液状油成分を留めやすく、マイグレーションの発生が抑制されやすくなり好ましい。また、S3の12質量%以下であると、得られる焼菓子の食感を損ねずに、マイグレーションの発生を抑制することができるため好ましい。
次に条件(b)について述べる。
上記エステル交換油脂(A)はトリグリセリド組成中にS2Uを50〜90質量%、より好ましくは55〜75質量%含有する。S2Uの含有量が上記の範囲内であると、得られる焼菓子の食感がガリガリとした硬く詰まった噛みだしとなることを防ぐことができ、良好な口溶けとなりやすいため好ましい。また、マイグレーションの発生が抑制されやすいため好ましい。さらに焼菓子生地製造時に室温下で適度な硬さとなり、良好な製造作業性を有する焼菓子用油脂組成物となりやすく好ましい。
次に条件(c)について述べる。
上記エステル交換油脂(A)はトリグリセリド組成中に、SU2とU3とを合計して5〜40質量%、好ましくは10〜30質量%含有する。
SU2とU3の含有量の和が、上記範囲内であることでマイグレーションの発生が抑制され、得られる焼菓子の食感が損なわれないため好ましい。
次に条件(d)について述べる。
上記エステル交換油脂(A)は、その脂肪酸残基組成における飽和脂肪酸残基が、実質的に炭素数16の飽和脂肪酸残基と炭素数18の飽和脂肪酸残基とで構成され、且つ炭素数18の飽和脂肪酸残基に対する炭素数16の飽和脂肪酸残基の質量比が1.0〜2.5、好ましくは1.3〜2.3、最も好ましくは1.3〜2.0である。炭素数18の飽和脂肪酸残基に対する炭素数16の飽和脂肪酸残基の質量比が上記範囲内である場合、マイグレーションの発生が抑制されるため好ましい。
条件(d)における「飽和脂肪酸残基が実質的に炭素数16の飽和脂肪酸残基と炭素数18の飽和脂肪酸残基で構成される」とは、エステル交換油脂(A)の脂肪酸残基中の飽和脂肪酸残基に占める、炭素数18の飽和脂肪酸残基と炭素数16の飽和脂肪酸残基との含有量の和が90質量%以上、より好ましくは95質量%以上であることを意味する。
上記の、条件(a)〜(d)を満たすエステル交換油脂(A)は例えば次のようにして得られる。
まず、炭素数16の飽和脂肪酸残基と炭素数18の飽和脂肪酸残基の含有量との和が、脂肪酸残基組成中の飽和脂肪酸残基の含有量の90質量%以上であり、炭素数18の飽和脂肪酸残基に対する炭素数16の飽和脂肪酸残基の質量比が1.0〜2.5、好ましくは1.3〜2.3、最も好ましくは1.3〜2.0である油脂配合物を調製する。以下、このエステル交換油脂(A)を得るための油脂配合物を、油脂配合物(A)と記載する場合がある。
後述する分別の際の固液分離の効率を高める観点から、上記油脂配合物(A)の脂肪酸残基組成中の飽和脂肪酸残基(S)と不飽和脂肪酸残基(U)の質量比(S/U)が2.5〜3.2であることが好ましく、2.6〜3.0であることがより好ましい。
油脂配合物(A)を得るために用いられる油脂としては特に制限されず、例えば、大豆油、菜種油、コーン油、綿実油、オリーブ油、落花生油、米油、べに花油、ひまわり油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、サル脂、マンゴ脂及びカカオ脂等の植物性油脂、乳脂、牛脂、豚脂、魚油及び鯨油等の動物性油脂、並びにこれらの油脂に水素添加、分別又はエステル交換等の物理的又は化学的処理の1種又は2種以上の処理を施した油脂を用いることができる。これらの油脂の1種を単独で用いてもよく、2種以上を組合を混合して用いてもよい。
これらの油脂の中でも、脂肪酸残基組成中の炭素数16の飽和脂肪酸残基の含有量及び炭素数18の飽和脂肪酸残基の含有量を高め、炭素数18の飽和脂肪酸残基に対する炭素数16の飽和脂肪酸残基の質量比を上記の好ましい範囲に調整する観点から、油脂配合物(A)は、パーム油、パーム油の分別硬部油、パーム油の分別軟部油及び極度硬化油脂のうちから選択される1種又は2種以上を含有することが好ましい。
油脂配合物(A)に用いることのできる極度硬化油脂として、例えば、パーム油の極度硬化油脂、大豆油の極度硬化油脂、菜種油の極度硬化油脂、ハイオレイックヒマワリ油の極度硬化油脂及びハイエルシン菜種油の極度硬化油脂等が挙げられる。該極度硬化油脂は、油脂配合物(A)にトランス脂肪酸を実質的に含有させない観点から、その沃素価が5以下であることが好ましく、沃素価が3以下であることがより好ましい。上記極度硬化油脂のうち、脂肪酸残基組成中の炭素数16の飽和脂肪酸残基及び炭素数18の飽和脂肪酸残基の含有量や質量比を上述の好ましい範囲とする観点から、パーム油の極度硬化油脂を用いることが好ましい。パーム油の極度硬化油脂を用いる場合、例えばパーム油と、パーム油の極度硬化油とを、50:50〜70:30の質量比となるように混合することにより、上記条件を満たす油脂配合物(A)を得ることができる。
本発明においては、上記油脂配合物(A)に対してランダムエステル交換を行い、ランダムエステル交換油脂を得る。ランダムエステル交換は、化学的触媒を用いる方法及び酵素を用いる方法のいずれによっても可能であり、常法に従って行うことができる。
上記化学的触媒としては、例えば、ナトリウムメトキシド等のアルカリ金属系触媒が用いられ、上記酵素としては、例えば、アルカリゲネス属、リゾープス属、アスペルギルス属、ムコール属、リゾムコール属、ペニシリウム属等に由来するリパーゼ等が挙げられる。該リパーゼは、イオン交換樹脂或いはケイ藻土やセラミック等の担体に固定化して、固定化リパーゼとして用いることもできるし、粉末の形態で用いることもできる。
得られたランダムエステル交換油脂を分別することにより、本発明に好ましく用いられるエステル交換油脂(A)が得られる。
以下、本発明に好ましく用いられるエステル交換油脂(A)を得るための分別工程について詳述する。
分別工程では、上記のようにして得られたランダムエステル交換油脂から、晶析により上記ランダムエステル交換油脂の低融点部又は中融点部からなる、エステル交換油脂(A)を得る。晶析とは、融解状態の油脂を冷却結晶化して、結晶部を析出させ、これを結晶部と液状部に分離し油脂中の成分を分別することを指す。低融点部とは、晶析により、高融点部分を分離除去して得られた低融点画分のことであり、中融点部とは、晶析により、高融点部分と液状画分を分離除去した中融点画分のことである。中融点部は、例えば晶析により、高融点部分が取り除かれた上記ランダムエステル交換油脂の低融点画分に対して、さらに分別を行うことにより、該低融点画分中の高融点画分として得られるものであり、例えば低融点部分が取り除かれた上記ランダムエステル交換油脂の高融点画分に対して、さらに分別を行うことにより、該高融点画分中の低融点画分として得られるものである。
油脂を晶析により分別する際に、冷却結晶化する方法は特に限定されるものではなく、例えば、(1)攪拌しながら冷却結晶化する方法、(2)静置下で冷却結晶化する方法、(3)攪拌しながら冷却結晶化した後、さらに静置下で冷却結晶化する方法、及び(4)静置下で冷却結晶化した後、機械的攪拌により流動化する方法を挙げることができる。結晶部と液状部との分離が容易な結晶化スラリーが得られる観点から、(1)、(3)及び(4)のいずれかの方法をとることが好ましく、(1)の方法をとることがより好ましい。結晶化温度は、結晶化スラリー中の結晶部の割合、即ち、結晶化温度での上記ランダムエステル交換油脂のSFCが下記の範囲となる温度が好ましい。
上記ランダムエステル交換油脂の晶析においては、上記の冷却結晶化により得られる結晶化スラリー中の結晶部の割合、即ち、結晶化温度での上記ランダムエステル交換油脂のSFCを10〜70%とすることが好ましく、30〜60%とすることが好ましく、35〜55%とすることが最も好ましい。SFCを上記範囲とすることによって、本発明の焼菓子用油脂組成物として有用な油脂成分のみを選択的に分離する際の効率が上がり、分別の回数を少なくすることが可能となる。
上記ランダムエステル交換油脂の冷却温度や時間については、上記ランダムエステル交換油脂のSFCが上記範囲となるような条件が好ましく、例えば、上記ランダムエステル交換油脂が完全溶解した状態から、30分〜30時間かけて、30〜60℃、好ましくは35〜50℃まで冷却し、該温度を30分〜80時間、好ましくは1〜70時間保持することにより、上記範囲のSFCを満たすことができる。
上記ランダムエステル交換油脂の晶析において、完全溶解された上記ランダムエステル交換油脂を上記範囲のSFCとなるまで冷却する際には、急冷及び徐冷のいずれも可能であり、又はこれらを組合せて上記範囲のSFCに調整してもよい。得られた結晶化スラリーの結晶部と液状部との分離を容易にし、且つ得られる液状部の収率を向上させるために、上記ランダムエステル交換油脂の結晶が析出する温度帯以下においては徐冷することが好ましい。
本発明において上記ランダムエステル交換油脂を急冷する場合、その冷却速度は5℃/h以上であることが好ましく、5〜20℃/hであることがより好ましく、上記ランダムエステル交換油脂を徐冷する場合、その冷却速度は0.3〜3.5℃/hであることが好ましく、0.5〜3.0℃/hであることがより好ましい。
さらに、上記ランダムエステル交換油脂の結晶が析出する温度帯以下においては、上記範囲の好適なSFCが得られる温度まで冷却する過程の中で、冷却により析出した結晶を1回又は2回以上熟成させることができる。本発明における結晶の熟成とは、結晶をより均一な物にすると同時にさらに結晶化を進めて、結晶部と液状部を濾別しやすい結晶状態とし、結果として収率を向上させる操作を指す。具体的には、30〜60℃、好ましくは35〜50℃の任意の温度で、定温の状態で、30分〜80時間保持することによって、熟成を行うことができる。尚、熟成の回数の上限は、特に制限はないが通常は5回、好ましくは4回である。
晶析に供する上記ランダムエステル交換油脂の組成に応じて、晶析条件は適宜調整されるが、例えば、完全溶解の状態から47〜50℃まで1〜2時間で到達するよう急冷した後、結晶化スラリーを得るまでの間に、38〜44℃の任意の温度で1回又は2回以上の熟成工程を経る晶析条件が好ましい。各熟成工程間の温度移行は徐冷により行われることが好ましい。
結晶部と液状部とを分離する方法としては、自然濾過、吸引濾過、圧搾濾過、遠心分離、及びこれらの組合せ等が挙げられる。分離操作を簡便に、且つ効率的に行うために、フィルタープレスやベルトプレス等を用いた圧搾濾過を選択することが好ましい。上記ランダムエステル交換油脂が、上記結晶化時に、結晶化温度での固体脂含有量が高く、高粘度の結晶化スラリーであったり、塊状体が存在したりする場合等においては、濾過時に加わる圧力によってスラリー化させることが容易なので、特に圧搾濾過が適している。
圧搾濾過によって分別を行う場合の圧力は、好ましくは0.2MPa以上、さらに好ましくは0.5〜5MPaである。圧搾時の圧力は圧搾初期から圧搾終期にかけて徐々に上昇させることが好ましい。圧力の上昇速度は、好ましくは1MPa/分以下、さらに好ましくは0.5MPa/分以下、最も好ましくは0.1MPa/分以下である。加圧速度が1MPa/分より大きいと、得られるエステル交換油脂(A)の収率が低下する恐れがある。
上記油脂配合物(A)の中融点部を得る場合には、一度晶析した後に、得られた結晶部若しくは得られた液状部を、好ましくは上記条件の晶析によって、再度分別することにより中融点部を得ることができる。
上記エステル交換油脂(A)は上昇融点が25〜45℃であることが好ましく、30〜40℃であることがより好ましい。
上記エステル交換油脂(A)は、10℃のSFCが55〜75%であることが好ましく、60〜75%であることがより好ましい。20℃のSFCが30〜50%であることが好ましく、35〜50%であることがより好ましい。30℃のSFCが10〜30%であることが好ましく、10〜20%であることがより好ましい。SFCを上記範囲とすることで、マイグレーションの発生が抑制されやすく、食感の良好な焼菓子が得られやすい。
上記エステル交換油脂(A)を、本発明の焼菓子用油脂組成物に含有させることにより、乳脂を焼菓子生地中に含有させた場合であっても、マイグレーションの発生を好ましく抑制することのできる焼菓子用油脂組成物を得ることができる。
乳脂を焼菓子生地中に含有させた場合であっても、マイグレーションの発生を好ましく抑制することのできる焼菓子用油脂組成物を得る観点から、本発明の焼菓子用油脂組成物は、油相中に上記のエステル交換油脂(A)を60〜100質量%含有することが好ましく、65〜95質量%含有することがより好ましく、70〜85質量%含有することが最も好ましい。
本発明の焼菓子用油脂組成物は、上記エステル交換油脂(A)に加えて、条件(e)、(f)及び(g)を満たすエステル交換油脂(B)を含有することが好ましい。エステル交換油脂(B)を含有することにより、焼菓子用油脂組成物がさらに複雑なトリグリセリド組成をもつ油相を含有するとなるため、マイグレーションの発生がより効果的に抑制されやすくなる。
条件(e):脂肪酸残基組成中に含まれる飽和脂肪酸残基に占める、炭素数16の飽和脂肪酸残基と炭素数18の飽和脂肪酸残基との含有量の和が、60〜90質量%であり、炭素数22の飽和脂肪酸残基の含有量が5〜20質量%である。
条件(f):脂肪酸残基組成中に含有される炭素数18の不飽和脂肪酸残基の含有量が20〜40質量%である
条件(g):SFCが10℃で40〜60%、20℃で25〜45%、30℃で15〜35%である
条件(e)について述べる。
上記エステル交換油脂(B)の脂肪酸残基組成中に含有される飽和脂肪酸残基に占める、炭素数16の飽和脂肪酸残基と炭素数18の飽和脂肪酸残基の含有量の和は60〜90質量%、好ましくは70〜90質量%、より好ましくは75〜85質量%である。また、上記エステル交換油脂(B)の脂肪酸残基組成中に含有される飽和脂肪酸残基に占める炭素数22の飽和脂肪酸残基の含有量は5〜20質量%、好ましくは10〜20質量%である。
上記エステル交換油脂(B)の脂肪酸残基組成中に含まれる飽和脂肪酸残基は、良好な食感の焼菓子を得る観点から、40〜65質量%であることが好ましく、45〜60質量%であることがより好ましい。
条件(f)について述べる。
上記エステル交換油脂(B)の脂肪酸残基組成中に含まれる炭素数18の不飽和脂肪酸残基の含有量は20〜40質量%、好ましくは30〜40質量%である。
条件(g)について述べる。
上記エステル交換油脂(B)は、10℃のSFCが40〜60%、好ましくは42〜58%、より好ましくは45〜55%である。20℃のSFCが25〜45%、好ましくは27〜43%、より好ましくは30〜40%である。30℃のSFCが15〜35%、好ましくは17〜33%、より好ましくは19〜30%である。
上記エステル交換油脂(B)は、炭素数16〜18の飽和脂肪酸残基と炭素数18の不飽和脂肪酸残基とを多く含有する油脂と、炭素数20〜22の飽和脂肪酸残基を多く含有する油脂とを混合した油脂配合物をランダムエステル交換することにより、得ることができる。以下、このエステル交換油脂(B)を得るための油脂配合物を、油脂配合物(B)と記載する場合がある。
炭素数16〜18の飽和脂肪酸残基と炭素数18の不飽和脂肪酸残基とを多く含有する油脂としては、パーム油、コーン油、綿実油、大豆油、菜種油、米油、ひまわり油、サフラワー油及びカカオ脂等の植物性油脂、牛脂、乳脂、豚脂、魚油、鯨油及びバターオイル等の動物性油脂、並びにこれらの油脂に水素添加、分別及びエステル交換から選択される1又は2以上の処理を施した加工油脂が挙げられる。上記の炭素数16〜18の飽和脂肪酸残基と炭素数18の不飽和脂肪酸残基とを多く含有する油脂として、これらの中から必要に応じて1種又は2種以上を使用することができるが、条件(e)〜(g)を好ましく満たすことができる点で、パーム分別軟部油を用いることが好ましい。パーム分別軟部油を用いる場合、その沃素価は50〜70であることが好ましい。
上記の炭素数20〜22の飽和脂肪酸残基を多く含有する油脂としては、ハイエルシン菜種油、魚油、サル脂、これらの油脂に水素添加、分別及びエステル交換から選択される1種又は2種以上の処理を施した加工油脂等が挙げられる。
上記エステル交換油脂(B)は、上記油脂配合物(B)をランダムエステル交換して得ることができる。ランダムエステル交換反応は、上記エステル交換油脂(A)を得る際と同様である。
上記条件(e)〜(g)を満たす観点から、油脂配合物(B)における炭素数16〜18の飽和脂肪酸残基と炭素数18の不飽和脂肪酸残基とを多く含有する油脂と、上記の炭素数20〜22の飽和脂肪酸残基を多く含有する油脂とを、質量比が、前者:後者で、70〜90:10〜30となるように混合することが好ましい。
上記エステル交換油脂(B)は上昇融点が35〜50℃であることが好ましく、より好ましくは40〜47℃である。
本発明の焼菓子用油脂組成物は、マイグレーション発生の抑制の観点から、上記エステル交換油脂(B)を、油相中に、5〜20質量%含有することが好ましく、7〜15質量%含有することがより好ましい。
本発明の焼菓子用油脂組成物は、上記条件(1)〜(4)を満たす限り、上記のエステル交換油脂(A)及びエステル交換油脂(B)以外のその他油脂を含有してもよい。
その他油脂としては、例えば、大豆油、菜種油、コーン油、綿実油、オリーブ油、落花生油、米油、べに花油、ひまわり油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、サル脂、マンゴ脂及びカカオ脂等の植物性油脂、乳脂、牛脂、豚脂、魚油及び鯨油等の動物性油脂、並びにこれらの油脂に水素添加、分別及びエステル交換等の物理的又は化学的処理の1種又は2種以上の処理を施した油脂が挙げられる。上記油脂の1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合し用いることができる。油相を構成するトリグリセリド組成を複雑なトリグリセリド組成とすることにより、マイグレーションの発生を十分に抑制する観点から、ランダムエステル交換油脂が好ましく選択される。
本発明の焼菓子用油脂組成物が上記エステル交換油脂(A)及びエステル交換油脂(B)以外に、ランダムエステル交換油脂を含有する場合には、パーム系のランダムエステル交換油脂を選択することが好ましい。ここで、パーム系のランダムエステル交換油脂とは、ランダムエステル交換反応に付す前の油脂配合物中にパーム系油脂を50質量含有するものを意味する。パーム系油脂とは、パーム油、及び、パーム油に対し水素添加、分別、エステル交換等の物理的又は化学的処理の1種又は2種以上の処理を施した油脂を指す。
本発明では、パーム系油脂として、パーム油、パームオレイン、パームスーパーオレイン、パームオレインのランダムエステル交換油脂、パームスーパーオレインのランダムエステル交換油脂のうちの1種又は2種以上を使用することが、本発明の効果をより高く引き出すことができ、また下記に述べるトランス脂肪酸をほとんど含有しない点で特に好ましい。
本発明の焼菓子用油脂組成物においては、上記エステル交換油脂(A)及びエステル交換油脂(B)の合計が、油相の65〜100質量%となることが好ましく、75〜100質量%となることがより好ましい。
本発明の焼菓子用油脂組成物は、実質的にトランス脂肪酸を含まないことが好ましい。ここでいう「実質的にトランス脂肪酸を含まない」とは、油相中、トリグリセリドを構成する脂肪酸残基のトランス脂肪酸の含有量が好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、最も好ましくは2質量%以下であることを意味する。
本発明の焼菓子用油脂組成物は、その他の成分を含有する場合がある。その他の成分としては、例えば、水、乳化剤、増粘安定剤、食塩や塩化カリウム等の塩味剤、クエン酸、酢酸、乳酸、グルコン酸等の酸味料、糖類や糖アルコール類、ステビア、アスパルテーム等の甘味料、β−カロチン、カラメル、紅麹色素等の着色料、トコフェロール、茶抽出物等の酸化防止剤、小麦蛋白や大豆蛋白等の植物蛋白、卵及び各種卵加工品、着香料、乳製品、調味料、pH調整剤、食品保存料、日持ち向上剤、果実、果汁、コーヒー、ナッツペースト、香辛料、カカオマス、ココアパウダー、穀類、豆類、野菜類、肉類、魚介類等の食品素材や食品添加物が挙げられる。
本発明の油脂組成物は乳化剤を含有することが好ましい。乳化剤としては、例えば、モノグリセリドやジグリセリド等のグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリン酒石酸脂肪酸エステル、グリセリンクエン酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム及びポリオキシエチレンソルビタンモノグリセリド等の合成乳化剤や、例えば大豆レシチン、卵黄レシチン、大豆リゾレシチン、卵黄リゾレシチン、酵素処理卵黄、サポニン、植物ステロール類、乳脂肪球皮膜等の天然乳化成分が挙げられる。これらの乳化剤の中でも、本発明の油脂組成物は炭素数16以上の飽和脂肪酸残基を有するモノグリセリドと、炭素数16以上の不飽和脂肪酸残基を有するモノグリセリドとを、前者:後者で、好ましくは1:2〜8、より好ましくは1:2.5〜7、さらに好ましくは1:3〜6の質量比で含有する。焼菓子生地中に乳脂を含有する場合であっても、マイグレーションの発生を好ましく抑制することができるためである。
炭素数16以上の飽和脂肪酸残基を有する上記モノグリセリドは、その構成脂肪酸鎖が炭素数16〜22であることが好ましく、16〜20であることがより好ましい。また、炭素数16以上の不飽和脂肪酸残基を有する上記モノグリセリドは、その構成脂肪酸鎖が炭素数16〜22であることが好ましく、16〜20であることがより好ましい。
本発明の焼菓子用油脂組成物における、炭素数16以上の飽和脂肪酸残基を有するモノグリセリドの含有量と、炭素数16以上の不飽和脂肪酸残基を有するモノグリセリドの含有量との和は、焼菓子用油脂組成物中、0.1〜1.2質量%であることが好ましく、0.3〜1.0質量%であることが好ましい。
本発明の焼菓子用油脂組成物は、乳化剤として、ソルビタン脂肪酸エステルを含有することが好ましい。焼菓子生地中に乳脂を含有させた場合、マイグレーションの発生を一層抑制することができるからである。
焼菓子生地が乳脂を含有する場合であっても、マイグレーションの発生を効果的に抑制する観点から、該ソルビタン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸残基は、好ましくは炭素数16以上の飽和脂肪酸残基であることが好ましく、炭素数18の飽和脂肪酸残基であることがより好ましい。
上記ソルビタン脂肪酸エステルのエステル化率は、好ましくは35〜85%であり、より好ましくは50〜80%である。エステル化率が35%以上であると、焼菓子生地が乳脂を含有する場合に、マイグレーションの発生を一層効果的に抑制することができる。またエステル化率が85%以下のソルビタン脂肪酸エステルは、工業的な生産又は商業的に販売されており市販品の入手が容易であるため好ましい。ソルビタン脂肪酸エステルのエステル化率(%)は下記式により算出される。下記式中のエステル価及び水酸基価は、「基準油脂分析試験法(I)」(社団法人 日本油化学会編)の[2.3.3−1996 エステル価]及び[2.3.6−1996 ヒドロキシル価]に準じて測定される。

エステル化率(%)={エステル価/(エステル価+水酸基価)}×100
本発明の焼菓子用油脂組成物がソルビタン脂肪酸エステルを含有する場合、その含有量は、好ましくは0.1〜1.0質量%、より好ましくは0.3〜0.7質量%である。マイグレーションの発生を一層効果的に抑制することができる。
本発明の焼菓子用油脂組成物は、可塑性を有することが好ましい。焼菓子用油脂組成物の形態は、水相を含有するマーガリンタイプとすることができ、水相を含有しないショートニングタイプとすることもできる。本発明の焼菓子用油脂組成物が水相を含有する場合、水分含有量が25質量%以下であることが好ましく、20質量%以下がより好ましい。また乳化物である場合には、その乳化形態は、油中水型及び二重乳化型のいずれでも構わない。
本発明の焼菓子用油脂組成物は、上記条件(1)〜(4)を満たす油相を、75質量%以上含有することが好ましく、85質量%以上含有することがより好ましく、95質量%以上含有することが最も好ましい。
次に本発明の焼菓子用油脂組成物の製造方法について述べる。
本発明の焼菓子用油脂組成物は、上記条件(1)〜(4)を満たす油相を溶解した後、必要に応じ、水相を添加して乳化し、冷却し、結晶化させることにより製造される。
詳細には、まず、上記条件(1)〜(4)を満たすように、各種の油脂を1種又は2種以上選択して、加熱溶解し、混合・攪拌を行い、油相を調製する。油溶性のその他の成分については、必要により油相に含有させることができる。また、必要に応じて、水に水溶性のその他の成分を添加した水相を調製した後、該水相を油相に添加し、乳化する。
次に、殺菌処理を行うのが好ましい。尚、殺菌方法は、タンクでのバッチ式でも、プレート型熱交換機や掻き取り式熱交換機を用いた連続式でも構わない。
次に、冷却し、必要により可塑化する。本発明において、冷却条件は、好ましくは−0.5℃/分以上、さらに好ましくは−5℃/分以上とする。冷却に用いる機器としては、密閉型連続式チューブ冷却機、例えばボテーター、コンビネーター、パーフェクター等のマーガリン製造機やプレート型熱交換機等が挙げられ、また、開放型のダイアクーラーとコンプレクターの組合せ等が挙げられる。
本発明の焼菓子用油脂組成物を製造する際のいずれかの製造工程で、任意に、窒素、空気等を含気させ、可塑性や作業性を向上させることができる。含気させる場合は、本発明の焼菓子用油脂組成物100gに対して、好ましくは10〜50cc含入させる。
次に、本発明の焼菓子について述べる。
本発明の焼菓子は、上記の焼菓子用油脂組成物を練込油脂や折込油脂として用いたものである。焼菓子生地が乳脂を含む場合であっても、効果的にマイグレーションの発生を抑制する観点から、本発明の焼菓子用油脂組成物を焼菓子生地中に練込ことが好ましい。
上記焼菓子としては、例えば、パイやペストリー、パウンドケーキ、フルーツケーキ、マドレーヌ、バウムクーヘン、カステラ等のバターケーキ、アイスボックスクッキー、ワイヤーカットクッキー、サブレ、ラングドシャクッキー等のクッキー、ビスケット等が挙げられる。
これらの焼菓子の生地は、シュガーバッター法、フラワーバッター法、オールインミックス法等、公知の方法によって製造することができ、常法に従って焼成される。
焼菓子生地を製造する際の本発明の焼菓子用油脂組成物の使用量は、選択した焼菓子の種類によって決定されるものであり、特に限定されないが、例えば、ワイヤーカットクッキー生地中に5〜30質量%含有される。
本発明の焼菓子は、本発明の焼菓子用油脂組成物を用いて製造されるため、焼菓子生地中に乳脂を含む場合であっても、マイグレーションの発生が好ましく抑制されている。本発明の焼菓子は、生地中の油脂分に対する乳脂含有量が0〜50質量%であることが好ましい。本発明の焼菓子の生地中の油脂分に対する乳脂の含有量を50質量%以下とすることによって、十分にマイグレーションの発生を一層抑制できるため好ましい。
次に、本発明の複合菓子について述べる。
本発明の複合菓子は、本発明の焼菓子用油脂組成物を用いた本発明の焼菓子と油性菓子とを組合せたものである。焼菓子と油性菓子とを組合せるとは、焼菓子の表面に油性菓子を配置するか、又は焼菓子中に油性菓子を配置することをいう。油性菓子としては、例えば、ナッツ類及びチョコレート類等が挙げられる。本発明の焼菓子用油脂組成物の効果が顕著に得られることから、焼菓子とチョコレートとが組合せた複合菓子が好ましい。
上記ナッツ類としては、ピーナッツ、アーモンド、カシューナッツ、ピスタチオ、ヘーゼルナッツ、ピーカンナッツ、オーナッツ、マカデミアナッツ、ブラジルナッツ、ココナッツ、松、けし、ひまわり等の種実や堅果、それらのホール品・割物品・スライス品、それらを用いたペースト・ピューレ等の加工品等が挙げられる。
上記チョコレートとは、カカオマスやココアパウダー等のカカオ成分を含有し、カカオ成分にさらに粉乳等の各種粉末食品、油脂類、糖類、乳化剤、香料、色素等の中から選択した原料を任意の割合で混合し、常法によりロール掛け、コンチング処理して得たものを意味する。もちろん、気相や水相を含有するものも使用することができる。
上記各種粉末食品としては、例えば、脱脂粉乳、全粉乳、果実粉末、果汁粉末、生クリーム粉末、チーズ粉末、コーヒー粉末、ヨーグルト粉末等が例示される。各種粉末食品を使用する場合、その配合量は、チョコレート中、好ましくは0.5〜60質量%、さらに好ましくは1〜50質量%である。
上記油脂類としては、カカオバター、その他の動植物性油脂、及びこれらの分別油、硬化油、エステル交換油脂等が挙げられ、これらは単独で又は混合して使用することができ、好ましくはテンパリング型のものを使用する。油脂類の配合量は、チョコレート中、好ましくは20〜80質量%、さらに好ましくは30〜60質量%である。
上記乳化剤としては、特に限定されず、必要に応じて粘度上昇を抑制する目的で、レシチン、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等を用いることができる。チョコレート中の乳化剤の配合量は、チョコレート中、好ましくは0.01〜10質量%、さらに好ましくは0.1〜5質量%である。
本発明の複合菓子における複合化方法の例としては、チョコレートの場合は、チョコレートをフィリング用、サンド用、トッピング用、コーティング用、エンローバー用等として焼菓子と組合せたり、砕いた焼菓子をチョコレート中に埋め込む方法が挙げられる。また焼成前の焼菓子生地に小片状のチョコレートを分散させる方法も挙げられる。ナッツ類の場合についても、これに準じて複合することができる。
次に、本発明の複合菓子のマイグレーションの発生の抑制方法について述べる。
本発明の複合菓子のマイグレーションの発生の抑制方法は、複合菓子に用いる焼菓子を製造する際に、上記の焼菓子用油脂組成物を用いることを特徴とする。
本方法によれば、焼菓子生地中に乳脂を含有する場合であっても、複合菓子におけるマイグレーションの発生が抑制され、伴って焼菓子の白色化や、油性菓子表面のブルーム等の発生を抑制するものである。
本発明の抑制方法が用いられる複合菓子としては、特に限定されず、上記の焼菓子用油脂組成物を用いて製造された焼菓子と、ナッツ類、チョコレート等の油性菓子が組合せたものを挙げることができるが、マイグレーションの発生を抑制する効果が顕著に得られることから、焼菓子とチョコレートとが組合せた複合菓子に好ましく適用される。
上記複合菓子に用いられる焼菓子としては、例えば、パイやペストリー、パウンドケーキ、フルーツケーキ、マドレーヌ、バウムクーヘン、カステラ等のバターケーキ、アイスボックスクッキー、ワイヤーカットクッキー、サブレ、ラングドシャクッキー等のクッキー、ビスケット等が挙げられ、焼菓子を製造する際に使用される焼菓子用油脂組成物の量は、焼菓子の種類によっても異なるが、例えば、ワイヤーカットクッキー生地中に5〜30質量%含有される。
以下、実施例を基に本発明をさらに詳述する。
<焼菓子用油脂組成物に用いるエステル交換油脂の製造>
(製造例1)
パーム油55質量部と、沃素価が1以下となるまで水素添加を施したパーム極度硬化油45質量部からなる油脂配合物に対して、ナトリウムメトキシドを触媒としてランダムエステル交換反応を行い、常法により、漂白処理、脱臭処理を行い、精製した。
この精製された油脂からドライ分別により高融点部を除去し、得られた低融点部を常法により精製して、本発明に好適に用いられるエステル交換油脂(1)を得た。以下、このエステル交換油脂(1)をIE−1ともいう。
得られたIE−1はエステル交換油脂(A)に該当する。トリグリセリド組成中にS3を8.3質量%含有し、S2Uを65.7質量%含有し、SU2とU3との含有量の和が19.5質量%であった。また、IE−1の脂肪酸残基組成中の飽和脂肪酸残基における炭素数16の飽和脂肪酸残基と炭素数18の飽和脂肪酸残基の含有量は97.5質量%であり、IE−1の飽和脂肪酸残基は実質的に炭素数16の飽和脂肪酸残基と炭素数18の飽和脂肪酸残基とで構成されていた。さらに、IE−1の脂肪酸残基組成中の炭素数18の飽和脂肪酸残基に対する炭素数16の飽和脂肪酸残基の質量比は、1.85であった。IE−1の脂肪酸残基組成中の炭素数12の飽和脂肪酸残基の含有量は0.7質量%であり、IE−1の脂肪酸残基組成中の飽和脂肪酸残基における炭素数12の飽和脂肪酸残基の含有量は1.4質量%であった。
(製造例2)
沃素価55のパーム分別軟部油80質量部とハイエルシン菜種極度硬化油20質量部とからなる油脂配合物に対して、ナトリウムメトキシドを触媒としてランダムエステル交換反応を行い、常法により、漂白処理、脱臭処理を行い、精製し、エステル交換油脂(2)を得た。以下、このエステル交換油脂(2)をIE−2ともいう。
得られたIE−2は、エステル交換油脂(B)に該当する。IE−2の脂肪酸残基組成中の飽和脂肪酸残基における、炭素数16の飽和脂肪酸残基と炭素数18の飽和脂肪酸残基の含有量の和は79.6質量%であり、炭素数22の飽和脂肪酸残基組成の含有量が14.7質量%であった。また、IE−2の脂肪酸残基組成中の飽和脂肪酸残基の含有量は56.7質量%であり、炭素数18の不飽和脂肪酸残基の含有量は34.6質量%であった。IE−2の脂肪酸残基組成中の炭素数12の飽和脂肪酸残基の含有量は0.6質量%であった。得られたIE−2のSFCを測定すると、10℃で51.5、20℃で33.0、30℃で25.5であった。
(製造例3)
パーム油60質量部、パーム核油20質量部、及び沃素価が1以下となるまで水素添加を施したハイエルシン菜種油20質量部からなる油脂配合物に対して、ナトリウムメトキシドを触媒としてランダムエステル交換反応を行い、常法により、漂白処理、脱臭処理を行い、精製し、エステル交換油脂(3)を得た。以下、このエステル交換油脂(3)をIE−3ともいう。
得られたIE−3は、エステル交換油脂(B)に該当する。IE−3の脂肪酸残基組成中の飽和脂肪酸残基における、炭素数16の飽和脂肪酸残基と炭素数18の飽和脂肪酸残基の含有量の和は65.3質量%であり、炭素数22の飽和脂肪酸残基組成の含有量が12.6質量%であった。また、IE−3の脂肪酸残基組成中の飽和脂肪酸残基の含有量は59.5質量%であり、炭素数18の不飽和脂肪酸残基の含有量は31.1質量%であった。IE−3の脂肪酸残基組成中の炭素数12の飽和脂肪酸残基の含有量は7.3質量%であった。IE−3のSFCを測定すると、10℃で55.2、20℃で36.4、30℃で21.3であった。
(製造例4)
パーム核油75質量部、沃素価が1以下となるまで水素添加を施したパーム極度硬化油25質量部からなる油脂配合物に対して、ナトリウムメトキシドを触媒としてランダムエステル交換反応を行い、常法により、漂白処理、脱臭処理を行い、精製し、エステル交換油脂(4)を得た。以下、このエステル交換油脂(4)をIE−4ともいう。
得られたIE−4は、検討用のエステル交換油脂である。脂肪酸残基組成における飽和脂肪酸残基と不飽和脂肪酸残基の質量比は、前者対後者で5.2であり、脂肪酸残基組成中の飽和脂肪酸残基における、炭素数16の飽和脂肪酸残基と炭素数18の飽和脂肪酸残基の含有量の和は39.0質量%であり、脂肪酸残基組成中の飽和脂肪酸残基における炭素数12の飽和脂肪酸残基の含有量は40.7質量%であった。また、トリグリセリド組成におけるSU2トリグリセリドとU3トリグリセリドの和は3.2質量%であった。さらに、10℃でのSFCは71.8%、20℃でのSFCは51.0%、30℃でのSFCは19.7%であった。
(製造例5)
沃素価55のパーム分別軟部油に対して、ナトリウムメトキシドを触媒としてランダムエステル交換反応を行い、常法により、漂白処理、脱臭処理を行い、精製し、エステル交換油脂(5)を得た。以下、このエステル交換油脂(5)をIE−5ともいう。
得られたIE−5は、検討用のエステル交換油脂である。脂肪酸残基組成における飽和脂肪酸残基と不飽和脂肪酸残基の質量比は、前者対後者で0.9であり、脂肪酸残基組成中の飽和脂肪酸残基における、炭素数16の飽和脂肪酸残基と炭素数18の飽和脂肪酸残基の含有量の和は95.3質量%であった。また、トリグリセリド組成におけるSU2トリグリセリドとU3トリグリセリドの和は34.3質量%であった。さらに、10℃でのSFCは42.5%、20℃でのSFCは22.7%、30℃でのSFCは11.3%であった。
(製造例6)
沃素価65のパーム分別軟部油に対して、ナトリウムメトキシドを触媒としてランダムエステル交換反応を行い、常法により、漂白処理、脱臭処理を行い、精製し、エステル交換油脂(6)を得た。以下、このエステル交換油脂(6)をIE−6ともいう。
得られたIE−6は、検討用のエステル交換油脂である。脂肪酸残基組成における飽和脂肪酸残基と不飽和脂肪酸残基の質量比は、前者対後者で0.7であり、脂肪酸残基組成中の飽和脂肪酸残基における、炭素数16の飽和脂肪酸残基と炭素数18の飽和脂肪酸残基の含有量の和は95.7質量%であった。また、トリグリセリド組成におけるSU2トリグリセリドとU3トリグリセリドの和は38.1質量%であった。さらに、10℃でのSFCは30.3%、20℃でのSFCは13.7%、30℃でのSFCは6.0%であった。
<検討1>
上記6種のエステル交換油脂に加えて、沃素価55のパーム分別軟部油、パーム分別硬部油及びパーム油を用いて、以下の実施例1〜8及び比較例1〜4を調製した。
(実施例1)
IE−1を100質量部、レシチン0.1質量部からなる油相を65℃に加熱溶解後、急冷可塑化しながら油脂組成物100g中15ccとなるように含気させ、可塑性を有する焼菓子用油脂組成物Aを得た。
焼菓子用油脂組成物Aの油相の脂肪酸残基組成における飽和脂肪酸残基(S)と不飽和脂肪酸残基(U)の質量比(S/U)は1.5であった。また、油相の脂肪酸残基組成中の飽和脂肪酸残基における、炭素数16の飽和脂肪酸残基と炭素数18の飽和脂肪酸残基の含有量の和は97.5質量%であった。さらに、脂肪酸残基組成中の飽和脂肪酸残基における、炭素数12の飽和脂肪酸残基の含有量は0.3質量%であり、炭素数22の飽和脂肪酸残基は含有されていなかった。また、炭素数18の飽和脂肪酸残基に対する炭素数16の飽和脂肪酸残基の質量比は1.85であった。また、トリグリセリド組成におけるSU2トリグリセリドとU3トリグリセリドとの含有量の和は19.5質量%であった。さらに、トリグリセリド組成におけるS3トリグリセリドは8.3質量%、S2Uトリグリセリドは65.7質量%であった。また、10℃でのSFCは67.8%、20℃でのSFCは40.8%、30℃でのSFCは15.7%であった。
(実施例2)
IE−1を90質量部、IE−2を10質量部、レシチン0.1質量部からなる油相を65℃に加熱溶解後、急冷可塑化しながら油脂組成物100g中15ccとなるように含気させ、可塑性を有する焼菓子用油脂組成物Bを得た。焼菓子用油脂組成物Bの油相の脂肪酸残基組成における飽和脂肪酸残基(S)と不飽和脂肪酸残基(U)の質量比(S/U)は1.5であった。また、脂肪酸残基組成中の飽和脂肪酸残基における、炭素数16の飽和脂肪酸残基と炭素数18の飽和脂肪酸残基の含有量の和は95.8質量%であった。さらに、脂肪酸残基組成中の飽和脂肪酸残基における、炭素数12の飽和脂肪酸残基の含有量は0.4質量%であり、炭素数22の飽和脂肪酸残基の含有量は1.4質量%であった。
また、炭素数18の飽和脂肪酸残基に対する炭素数16の飽和脂肪酸残基の質量比は1.92であった。また、トリグリセリド組成におけるSU2トリグリセリドとU3トリグリセリドとの含有量の和は20.4質量%であった。さらに、トリグリセリド組成におけるS3トリグリセリドは8.8質量%、S2Uトリグリセリドは63.3質量%であった。また、10℃でのSFCは66.2%、20℃でのSFCは40.0%、30℃でのSFCは16.7%であった。
(実施例3)
IE−1を80質量部、IE−2を20質量部、レシチン0.1質量部からなる油相を65℃に加熱溶解後、急冷可塑化しながら油脂組成物100g中15ccとなるように含気させ、可塑性を有する焼菓子用油脂組成物Cを得た。焼菓子用油脂組成物Cの油相の脂肪酸残基組成における飽和脂肪酸残基(S)と不飽和脂肪酸残基(U)の質量比(S/U)は1.5であった。また、脂肪酸残基組成中の飽和脂肪酸残基における、炭素数16の飽和脂肪酸残基と炭素数18の飽和脂肪酸残基の含有量の和は94.1質量%であった。さらに、脂肪酸残基組成中の飽和脂肪酸残基における、炭素数12の飽和脂肪酸残基の含有量は0.5質量%であり、炭素数22の飽和脂肪酸残基の含有量は2.8質量%であった。
また、炭素数18の飽和脂肪酸残基に対する炭素数16の飽和脂肪酸残基の質量比は2.00であった。また、トリグリセリド組成におけるSU2トリグリセリドとU3トリグリセリドとの含有量の21.3質量%であった。さらに、トリグリセリド組成におけるS3トリグリセリドは9.3質量%、S2Uトリグリセリドは61.0質量%であった。また、10℃でのSFCは64.5%、20℃でのSFCは39.2%、30℃でのSFCは17.7%であった。
(実施例4)
IE−1を75質量部、IE−2を10質量部、IE−4を15質量部、レシチン0.1質量部からなる油相を65℃に加熱溶解後、急冷可塑化しながら油脂組成物100g中15ccとなるように含気させ、可塑性を有する焼菓子用油脂組成物Dを得た。焼菓子用油脂組成物Dの油相の脂肪酸残基組成における飽和脂肪酸残基(S)と不飽和脂肪酸残基(U)の質量比(S/U)は1.8であった。また、脂肪酸残基組成中の飽和脂肪酸残基における、炭素数16の飽和脂肪酸残基と炭素数18の飽和脂肪酸残基の含有量の和は84.3質量%であった。さらに、脂肪酸残基組成中の飽和脂肪酸残基における、炭素数12の飽和脂肪酸残基の含有量は8.4質量%であり、炭素数22の飽和脂肪酸残基の含有量は1.3質量%であった。また、炭素数18の飽和脂肪酸残基に対する炭素数16の飽和脂肪酸残基の質量比は1.86であった。また、トリグリセリド組成におけるSU2トリグリセリドとU3トリグリセリドとの含有量の和は17.9質量%であった。さらに、トリグリセリド組成におけるS3トリグリセリドは14.3質量%、S2Uトリグリセリドは58.5質量%であった。また、10℃でのSFCは66.8%、20℃でのSFCは41.5%、30℃でのSFCは17.3%であった。
(実施例5)
IE−1を70質量部、IE−2を15質量部、IE−3を15質量部、レシチン0.1質量部からなる油相を65℃に加熱溶解後、急冷可塑化しながら油脂組成物100g中15ccとなるように含気させ、可塑性を有する焼菓子用油脂組成物Eを得た。焼菓子用油脂組成物Eのの油相の脂肪酸残基組成における飽和脂肪酸残基(S)と不飽和脂肪酸残基(U)の質量比(S/U)は1.5であった。また、脂肪酸残基組成中の飽和脂肪酸残基における、炭素数16の飽和脂肪酸残基と炭素数18の飽和脂肪酸残基の含有量の和は90.1質量%であった。さらに、脂肪酸残基組成中の飽和脂肪酸残基における、炭素数12の飽和脂肪酸残基の含有量は2.2質量%であり、炭素数22の飽和脂肪酸残基の含有量は4.0質量%であった。また、炭素数18の飽和脂肪酸残基に対する炭素数16の飽和脂肪酸残基の質量比は2.05であった。また、トリグリセリド組成におけるSU2トリグリセリドとU3トリグリセリドとの含有量の和は21.0質量%であった。さらに、トリグリセリド組成におけるS3トリグリセリドは10.9質量%、S2Uトリグリセリドは58.9質量%であった。また、10℃でのSFCは63.5%、20℃でのSFCは39.0%、30℃でのSFCは18.0%であった。
(実施例6)
IE−1を65質量部、IE−2を15質量部、IE−5を20質量部、レシチン0.1質量部からなる油相を65℃に加熱溶解後、急冷可塑化しながら油脂組成物100g中15ccとなるように含気させ、可塑性を有する焼菓子用油脂組成物Fを得た。焼菓子用油脂組成物Fの油相の脂肪酸残基組成における飽和脂肪酸残基(S)と不飽和脂肪酸残基(U)の質量比(S/U)は1.3であった。また、脂肪酸残基組成中の飽和脂肪酸残基における、炭素数16の飽和脂肪酸残基と炭素数18の飽和脂肪酸残基の含有量の和は94.5質量%であった。さらに、脂肪酸残基組成中の飽和脂肪酸残基における、炭素数12の飽和脂肪酸残基の含有量は0.6質量%であり、炭素数22の飽和脂肪酸残基の含有量は2.2質量%であった。また、炭素数18の飽和脂肪酸残基に対する炭素数16の飽和脂肪酸残基の質量比は2.40であった。また、トリグリセリド組成におけるSU2トリグリセリドとU3トリグリセリドとの含有量の和は23.8質量%であった。さらに、トリグリセリド組成におけるS3トリグリセリドは9.2質量%、S2Uトリグリセリドは59.0質量%であった。また、10℃でのSFCは60.3%、20℃でのSFCは36.0%、30℃でのSFCは16.3%であった。
(実施例7)
IE−1を50質量部、IE−6を30質量部、パーム分別硬部油を20質量部、レシチン0.1質量部からなる油相を65℃に加熱溶解後、急冷可塑化しながら油脂組成物100g中15ccとなるように含気させ、可塑性を有する焼菓子用油脂組成物Gを得た。焼菓子用油脂組成物Gの油相の脂肪酸残基組成における飽和脂肪酸残基(S)と不飽和脂肪酸残基(U)の質量比(S/U)は1.3であった。また、脂肪酸残基組成中の飽和脂肪酸残基における、炭素数16の飽和脂肪酸残基と炭素数18の飽和脂肪酸残基の含有量の和は94.5質量%であった。さらに、脂肪酸残基組成中の飽和脂肪酸残基における、炭素数12の飽和脂肪酸残基の含有量は0.6質量%であり、炭素数22の飽和脂肪酸残基は含有されていなかった。また、炭素数18の飽和脂肪酸残基に対する炭素数16の飽和脂肪酸残基の質量比は3.41であった。また、トリグリセリド組成におけるSU2トリグリセリドとU3トリグリセリドとの含有量の和は24.1質量%であった。さらに、トリグリセリド組成におけるS3トリグリセリドは12.4質量%、S2Uトリグリセリドは56.9質量%であった。また、10℃でのSFCは56.9%、20℃でのSFCは35.6%、30℃でのSFCは18.5%であった。
(実施例8)
IE−1を60質量部、IE−2を30質量部、IE−4を10質量部、レシチン0.1質量部からなる油相を65℃に加熱溶解後、急冷可塑化しながら油脂組成物100g中15ccとなるように含気させ、可塑性を有する焼菓子用油脂組成物Hを得た。焼菓子用油脂組成物Hの油相の脂肪酸残基組成における飽和脂肪酸残基(S)と不飽和脂肪酸残基(U)の質量比(S/U)は1.6であった。また、脂肪酸残基組成中の飽和脂肪酸残基における、炭素数16の飽和脂肪酸残基と炭素数18の飽和脂肪酸残基の含有量の和は84.6質量%であった。さらに、脂肪酸残基組成中の飽和脂肪酸残基における、炭素数12の飽和脂肪酸残基の含有量は6.0質量%であり、炭素数22の飽和脂肪酸残基の含有量は4.1質量%であった。また、炭素数18の飽和脂肪酸残基に対する炭素数16の飽和脂肪酸残基の質量比は2.05であった。また、トリグリセリド組成におけるSU2トリグリセリドとU3トリグリセリドとの含有量の和は20.5質量%であった。さらに、トリグリセリド組成におけるS3トリグリセリドは13.5質量%、S2Uトリグリセリドは55.4質量%であった。また、10℃でのSFCは63.3%、20℃でのSFCは39.5%、30℃でのSFCは19.0%であった。
(比較例1)
IE−1を50質量部、パーム分別軟部油を20質量部、パーム油を30質量部、レシチン0.1質量部からなる油相を65℃に加熱溶解後、急冷可塑化しながら油脂組成物100g中15ccとなるように含気させ、可塑性を有する焼菓子用油脂組成物Iを得た。焼菓子用油脂組成物Iの脂肪酸残基組成における飽和脂肪酸残基(S)と不飽和脂肪酸残基(U)の質量比(S/U)は1.2であった。また、脂肪酸残基組成中の飽和脂肪酸残基における、炭素数16の飽和脂肪酸残基と炭素数18の飽和脂肪酸残基の含有量の和は97.2質量%であった。さらに、脂肪酸残基組成中の飽和脂肪酸残基における、炭素数12の飽和脂肪酸残基の含有量は0.4質量%であり、炭素数22の飽和脂肪酸残基は含有されていなかった。また、炭素数18の飽和脂肪酸残基に対する炭素数16の飽和脂肪酸残基の質量比は3.33であった。また、トリグリセリド組成におけるSU2トリグリセリドとU3トリグリセリドとの含有量の和は26.2質量%であった。さらに、トリグリセリド組成におけるS3トリグリセリドは6.4質量%、S2Uトリグリセリドは61.2質量%であった。また、10℃でのSFCは55.9%、20℃でのSFCは27.5%、30℃でのSFCは11.0%であった。
(比較例2)
IE−1を30質量部、パーム分別軟部油を20質量部、パーム油を50質量部、レシチン0.1質量部からなる油相を65℃に加熱溶解後、急冷可塑化しながら油脂組成物100g中15ccとなるように含気させ、可塑性を有する焼菓子用油脂組成物Jを得た。焼菓子用油脂組成物Jの油相の脂肪酸残基組成における飽和脂肪酸残基(S)と不飽和脂肪酸残基(U)の質量比(S/U)は1.1であった。また、脂肪酸残基組成中の飽和脂肪酸残基における、炭素数16の飽和脂肪酸残基と炭素数18の飽和脂肪酸残基の含有量の和は97.1質量%であった。さらに、脂肪酸残基組成中の飽和脂肪酸残基における、炭素数12の飽和脂肪酸残基の含有量は0.5質量%であり、炭素数22の飽和脂肪酸残基は含有されていなかった。また、炭素数18の飽和脂肪酸残基に対する炭素数16の飽和脂肪酸残基の質量比は4.74であった。また、トリグリセリド組成におけるSU2トリグリセリドとU3トリグリセリドとの含有量の和は28.5質量%であった。さらに、トリグリセリド組成におけるS3トリグリセリドは6.1質量%、S2Uトリグリセリドは59.3質量%であった。また、10℃でのSFCは52.4%、20℃でのSFCは23.4%、30℃でのSFCは10.0%であった。
(比較例3)
IE−1を50質量部、IE−2を20質量部、IE−6を30質量部、レシチン0.1質量部からなる油相を65℃に加熱溶解後、急冷可塑化しながら油脂組成物100g中15ccとなるように含気させ、可塑性を有する焼菓子用油脂組成物Kを得た。焼菓子用油脂組成物Kの油相の脂肪酸残基組成における飽和脂肪酸残基(S)と不飽和脂肪酸残基(U)の質量比(S/U)は1.2であった。また、脂肪酸残基組成中の飽和脂肪酸残基における、炭素数16の飽和脂肪酸残基と炭素数18の飽和脂肪酸残基の含有量の和は93.3質量%であった。さらに、脂肪酸残基組成中の飽和脂肪酸残基における、炭素数12の飽和脂肪酸残基の含有量は0.6質量%であり、炭素数22の飽和脂肪酸残基の含有量は3.1質量%であった。また、炭素数18の飽和脂肪酸残基に対する炭素数16の飽和脂肪酸残基の質量比は2.68であった。また、トリグリセリド組成におけるSU2トリグリセリドとU3トリグリセリドとの含有量の和は26.8質量%であった。さらに、トリグリセリド組成におけるS3トリグリセリドは8.6質量%、S2Uトリグリセリドは55.5質量%であった。また、10℃でのSFCは53.3%、20℃でのSFCは31.1%、30℃でのSFCは14.7%であった。
(比較例4)
IE−1を60質量部、IE−2を10質量部、IE−4を30質量部、レシチン0.1質量部からなる油相を65℃に加熱溶解後、急冷可塑化しながら油脂組成物100g中15ccとなるように含気させ、可塑性を有する焼菓子用油脂組成物Lを得た。焼菓子用油脂組成物Lの油相の脂肪酸残基組成における飽和脂肪酸残基(S)と不飽和脂肪酸残基(U)の質量比(S/U)は2.0であった。また、脂肪酸残基組成中の飽和脂肪酸残基における、炭素数16の飽和脂肪酸残基と炭素数18の飽和脂肪酸残基の含有量の和は74.0質量%であった。さらに、脂肪酸残基組成中の飽和脂肪酸残基における、炭素数12の飽和脂肪酸残基の含有量は15.5質量%であり、炭素数22の飽和脂肪酸残基の含有量は1.2質量%であった。また、炭素数18の飽和脂肪酸残基に対する炭素数16の飽和脂肪酸残基の質量比は1.79であった。また、トリグリセリド組成におけるSU2トリグリセリドとU3トリグリセリドとの含有量の和は15.5質量%であった。さらに、トリグリセリド組成におけるS3トリグリセリドは19.8質量%、S2Uトリグリセリドは53.6質量%であった。また、10℃でのSFCは67.4%、20℃でのSFCは43.1%、30℃でのSFCは17.9%であった。
<チョコレート複合クッキーの製造方法>
上記の実施例1〜8、比較例1〜4で得られた焼菓子用油脂組成物A〜Lを用いて、下記配合・製造方法でワイヤーカットクッキーA〜Lを製造した後、得られたワイヤーカットクッキーとチョコレートを複合させて、チョコレート複合クッキーを製造した。
(ワイヤーカットクッキーの製造方法)
15℃に調温した焼菓子用油脂組成物A〜Lのうち1つを27質量部、無塩バター(油分83%)を22.5質量部、上白糖を50質量部だけミキサーボウルに量って、卓上ミキサーにセットし、軽く混合した後、高速で7分間クリーミングした。次いで、低速で混合しながら、30秒かけて水11.5質量部を添加した後、全卵(油分10.3%)12質量部、食塩1質量部を添加し、さらに1分混合し、混合物を得た。得られた混合物に、予め混合して篩っておいた薄力粉(油分1.7%)100質量部とベーキングパウダー1質量部の混合物を添加し、低速で1分混合して、ワイヤーカットクッキー生地を得た。得られたワイヤーカットクッキー生地A〜Lは、含有される油脂中の38.4質量%が乳脂であった。
得られたクッキー生地を、厚さ7ミリ、直径48ミリの丸型にワイヤーカット成型した。成型したクッキー生地をオーブン(フジサワ社製)で、上火180℃下火170℃にて17分焼成後、25℃にて40分冷却し、ワイヤーカットクッキーA〜Lを得た。
尚、ワイヤーカットクッキーの後の英字は使用した焼菓子用油脂組成物に対応している。
(チョコレートとの複合化)
まず、複合化させるチョコレートを、砂糖44.6質量部、カカオマス25質量部、カカオバター30質量部及びレシチン0.4質量部からなる配合にて、常法に従い、溶解、ロール掛け、コンチング処理し、テンパー型チョコレートとして調製した。続いて、得られたテンパー型チョコレートをテンパリングし、ワイヤーカットクッキーA〜Lの重量に対して3倍量をカップに量り、ここに上記ワイヤーカットクッキーA〜Lを表面が出るように浸して複合し、チョコレート複合クッキーA〜Lを製造した。
尚、チョコレート複合クッキーの後の英字は使用した焼菓子用油脂組成物に対応している。
(チョコレート複合クッキーの評価方法)
実施例及び比較例で得られた焼菓子用油脂組成物を用いて製造したチョコレート複合クッキーのチョコレート部分の保存安定性(ブルーム現象の発生の有無)、チョコレート複合クッキーのクッキー部分の食感、及びチョコレート複合クッキーの保存中の油脂移行について、下記評価基準に則って評価を行った。評価結果を表1に示す。
(保存安定性)
得られたチョコレート複合クッキーを25℃で保存し、保存開始から14日後の段階において、チョコレート部分の保存安定性(ブルーム現象の発生の有無)について、下記評価基準に従って4段階で評価した。
チョコレート部分の保存安定性の評価基準
◎:ブルームなし
○:やや艶がない
△:若干ブルームあり
×:ブルームあり
(チョコレート複合クッキーのクッキー部分の食感)
得られたチョコレート複合クッキーを25℃で保存し、保存開始から60日後の段階において、クッキーの食感(口中での崩壊性)について、同一の品を喫食した際に同一の評価点を付すことができるように訓練された10人のパネラーにより、下記評価基準に従って4段階で官能評価を行った。評価の際には、チョコレート複合クッキーと同一の保存条件で保存された、複合化されていないクッキーを対照品として用いた。
表1においては、パネラー10名の合計点を評価点数として、評価点数が32〜40点を◎、23〜31点を○、14〜22点を△、13点以下を×として示した。
評価基準
4点:非常に口溶けやバラけがよく、良好なサクサクとした噛みだしを有している。
3点:口溶け・バラけがよく、やや目が詰まった食感を有するが、サクサクとした噛みだしを有している。
2点:口溶けやバラけがやや悪く、目が詰まった食感を有し、固い噛みだしを有している。若しくは、口溶け・バラけはよいが、軟らかく、サクサクとした噛みだしが乏しかった。
1点:口溶け・バラけが悪い上、噛みだしが固く、ガリガリとした食感を有している。若しくは、口溶け・バラけはよいが、軟らかく、サクサクとした噛みだしが感じられなかった。
(チョコレート複合クッキーの保存中の油脂移行)
チョコレート複合クッキーの製造直後に、得られたチョコレート複合クッキーのクッキー部分について、SMART System5(CEM Japan社製)を使用して油分を測定した。チョコレート複合クッキーを25℃で保存し、保存開始から60日後において、チョコレート複合クッキーのクッキー部分について、製造直後と同様にして油分を測定した。製造直後及び保存後の油分の値から、油分移行率を次式により求めた。
〔(A−B)/A〕×100 (%)
(A:製造直後のクッキーの油分、B:保存後のクッキーの油分)
表1においては、油分移行率が30%以下を−、30%超35%以下を±、35%超45%以下を+、45%超を++として示した。油分移行率が高いほど、チョコレート複合クッキーにおけるクッキーからチョコレートへの油分の移行が多いことを示す。
尚、チョコレート複合クッキーの保存中の油脂移行の評価については、−又は±の評点が得られたものを合格として取り扱った。それ以外の評価については、◎又は○の評点が得られたものを合格として取り扱った。これらの評価結果について表1に示す。
<検討2>
上述の焼菓子用油脂組成物Bや焼菓子用油脂組成物Dの配合をベースに、乳化剤の使用について検討した。
(実施例2-2)
IE−1を90質量部、IE−2を10質量部からなる混合油脂99.5質量部を65℃に加熱溶解した後、炭素数16の飽和脂肪酸残基を有するモノグリセリドの製剤としてエマルジーMP(理研ビタミン社製)0.1質量部、炭素数18の不飽和脂肪酸残基を有するモノグリセリドの製剤としてエマルジーMO(理研ビタミン社製)を0.4質量部加えて油相を調製し、この油相を急冷可塑化しながら油脂組成物100g中15ccとなるように含気させ、可塑性を有する焼菓子用油脂組成物B−2を得た。
(実施例2−3)
IE−1を90質量部、IE−2を10質量部からなる混合油脂99.0質量部を65℃に加熱溶解した後、炭素数16の飽和脂肪酸残基を有するモノグリセリドの製剤としてエマルジーMP(理研ビタミン社製)0.1質量部、炭素数18の不飽和脂肪酸残基を有するモノグリセリドの製剤としてエマルジーMO(理研ビタミン社製)0.4質量部、ソルビタン脂肪酸エステルとしてソルビタントリステアレート(エステル化率75%)0.5質量部を加えて油相を調製し、この油相を急冷可塑化しながら油脂組成物100g中15ccとなるように含気させ、可塑性を有する焼菓子用油脂組成物B−3を得た。
(実施例4−2)
IE−1を75質量部、IE−2を10質量部、IE−4を15質量部からなる混合油脂99.5質量部を65℃に加熱溶解した後、炭素数16の飽和脂肪酸残基を有するモノグリセリドの製剤としてエマルジーMP(理研ビタミン社製)0.1質量部、炭素数18の不飽和脂肪酸残基を有するモノグリセリドの製剤としてエマルジーMO(理研ビタミン社製)を0.4質量部加えて油相を調製し、この油相を急冷可塑化しながら油脂組成物100g中15ccとなるように含気させ、可塑性を有する焼菓子用油脂組成物D−2を得た。
(実施例4−3)
IE−1を75質量部、IE−2を10質量部、IE−4を15質量部からなる混合油脂99.5質量部を65℃に加熱溶解した後、炭素数16の飽和脂肪酸残基を有するモノグリセリドの製剤としてエマルジーMP(理研ビタミン社製)0.1質量部、炭素数18の不飽和脂肪酸残基を有するモノグリセリドの製剤としてエマルジーMO(理研ビタミン社製)を0.4質量部、ソルビタン脂肪酸エステルとしてソルビタントリステアレート0.5質量部を加えて油相を調製し、急冷可塑化しながら油脂組成物100g中15ccとなるように含気させ、可塑性を有する焼菓子用油脂組成物D−3を得た。
得られた焼菓子用油脂組成物B−2、B−3、D−2、D−3を用いて、検討1と同様にチョコレート複合クッキーB−2、B−3、D−2、D−3を製造した。得られたチョコレート複合クッキーB−2、B−3、D−2、D−3を、温度プログラム設定が可能な恒温槽を用いて、18℃での4時間の保管と、27℃での2時間の保管とを、交互に繰り返すサイクル試験を28日間実施した。得られたチョコレート複合クッキーそれぞれに対して、保存開始から、14日後、28日後の時点において、検討1と同じ評価基準で評価を行った。これらの評価結果について、表2に示す。

Claims (6)

  1. 次の条件(1)〜(4)を全て満たす焼菓子用油脂組成物。
    (1)油相の脂肪酸残基組成において、飽和脂肪酸残基(S)と不飽和脂肪酸残基(U)との質量比(S/U)が1.3〜2.0である。
    (2)油相の脂肪酸残基組成中の炭素数16の飽和脂肪酸残基及び炭素数18の飽和脂肪酸残基の含有量の和が、脂肪酸残基組成中の飽和脂肪酸残基の総量に対して、75質量%以上である。
    (3)油相のトリグリセリド組成において、SU2トリグリセリドとU3トリグリセリドとの含有量の和が35質量%以下である。
    (4)固体脂含有量が10℃で55〜75%、20℃で35〜50%、30℃で10〜30%である。
    Sは飽和脂肪酸残基を表し、Uは不飽和脂肪酸残基を表し、SU2はSが1分子、Uが2分子結合しているトリグリセリドを表し、U3はUが3分子結合しているトリグリセリドを表す。
  2. 次の条件(a)〜(d)を全て満たすエステル交換油脂(A)を含有する、請求項1記載の焼菓子用油脂組成物。
    (a)トリグリセリド組成中のS3の含有量が1.0〜12質量%である。
    (b)トリグリセリド組成中のS2Uの含有量が50〜90質量%である。
    (c)トリグリセリド組成中のSU2及びU3の合計の含有量が5〜40質量%である。
    (d)脂肪酸残基組成における飽和脂肪酸残基が実質的に炭素数16の飽和脂肪酸残基と炭素数18の飽和脂肪酸残基とで構成され、且つ炭素数18の飽和脂肪酸残基に対する炭素数16の飽和脂肪酸残基の質量比が1.0〜2.5である。
    S3はSが3分子結合しているトリグリセリドを表し、S2UはSが2分子、Uが1分子結合しているトリグリセリドを表す。
  3. 炭素数16以上の飽和脂肪酸残基を有するモノグリセリドと、炭素数16以上の不飽和脂肪酸残基を有するモノグリセリドとを、前者:後者で、1:2〜8の質量比で含有する、請求項1又は2記載の焼菓子用油脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の焼菓子用油脂組成物を用いて製造された焼菓子。
  5. 請求項4に記載の焼菓子を用いて製造された複合菓子。
  6. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の焼菓子用油脂組成物を使用する、複合菓子のマイグレーションの発生の抑制方法。
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