JP7048267B2 - 焼菓子用油脂組成物 - Google Patents
焼菓子用油脂組成物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP7048267B2 JP7048267B2 JP2017218219A JP2017218219A JP7048267B2 JP 7048267 B2 JP7048267 B2 JP 7048267B2 JP 2017218219 A JP2017218219 A JP 2017218219A JP 2017218219 A JP2017218219 A JP 2017218219A JP 7048267 B2 JP7048267 B2 JP 7048267B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- oil
- mass
- fat
- baked confectionery
- oils
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Confectionery (AREA)
- Edible Oils And Fats (AREA)
- Bakery Products And Manufacturing Methods Therefor (AREA)
Description
特許文献1では、トランス脂肪酸含量が5重量%以下であり、特定のSFCを有する油脂A100重量部に対し、特定の乳化剤から選択される1種以上の乳化剤Bを0.05~3重量%含有する焼き菓子練り込み用油脂組成物が提案されている。
しかしながら、いずれの方法も、マイグレーション抑制効果は充分なもので無い上、上記有効成分は高融点成分であるため、このような成分を焼菓子用油脂組成物中に使用した場合には、焼菓子製造時の油脂調温やクリーミング作業等の作業性が劣りやすかった。さらに、特許文献3及び4に記載の油脂を使用すると、焼菓子や油性菓子の口溶けが悪化しやすく、複合菓子としての食感が悪化する等の問題が生じやすかった。
(イ)口溶け、サクサクとした食感が良好な焼菓子が得られる油脂組成物を提供すること
(ロ)クリーミング性等の製造作業性が良好な油脂組成物を提供すること
(ハ)油脂移行を抑制でき、それに伴って、焼菓子の白色化現象等を抑制できる油脂組成物を提供すること
(1)SFCが10℃で25~45%、20℃で10~30%、30℃で0~15%
(2)油相を構成するトリグリセリド組成中、BO2の含量が2~12質量%(Bはベヘン酸残基、Oはオレイン酸残基)
(3)油相を構成する脂肪酸組成中、ラウリン酸残基が1~10質量%
また、本発明は上記焼菓子用油脂組成物を含む焼菓子、及び該焼菓子を含む複合菓子を提供するものである。
(イ)口溶け、サクサクとした食感が良好な焼菓子が得られる
(ロ)良好な製造作業性(クリーミング性等)で焼菓子を製造することができる
(ハ)油脂移行を抑制でき、それに伴って、焼菓子の白色化現象等を抑制することができる
本発明の焼菓子用油脂組成物は下記条件(1)~(3)を満たすものである。
(1)SFCが10℃で25~45%、20℃で10~30%、30℃で0~15%
(2)油相を構成するトリグリセリド組成中、BO2の含量が2~12質量%(Bはベヘン酸、Oはオレイン酸)
(3)油相を構成する脂肪酸組成中、ラウリン酸残基が1~10質量%
本発明の焼菓子用油脂組成物は、SFC(Solid Fat Content、固体脂含量)が10℃で25~45%、20℃で10~30%、30℃で0~15%である。
SFC値が各測定温度における範囲の下限未満である場合、焼菓子用油脂組成物が過度に軟らかい物性となり、焼菓子の製造作業性が損なわれる。また、SFC値が各測定温度における範囲の上限超である場合、焼菓子の製造作業性が低下することに加えて、焼菓子の食感が、ガリガリとした硬く詰まった噛みだしとなる上、口溶けが悪化する。また、SFCが上記範囲内であることで、十分にコシのある焼菓子用油脂組成物となり、クリーミング性が良好なものとなる。
上記SFCは、次のようにして測定する。即ち、測定対象となる試料を60℃に30分保持し、油脂を完全に融解し、そして0℃に30分保持して固化させる。さらに、25℃に30分保持し、テンパリングを行い、その後、0℃に30分保持する。これをSFCの各測定温度に順次30分保持後、SFCを測定する。
本発明の焼菓子用油脂組成物は、その油相を構成するトリグリセリド組成中に、BO2(モノベヘニルジオレオイルグリセロール)を2~12質量%含有する。
一般に、SU2は油脂の液状油成分を主に構成することが知られており、BO2はSU2のなかでも融点が比較的高いことから、特定量含有させることで、保管中の焼菓子の液状油成分に「粘り」を生じさせることができ、結果として油脂移行を好ましく抑制できると推定される。そして、油脂移行が抑制されることに伴って、焼菓子の白色化が抑制され、また、油性菓子との複合菓子に用いた場合には油性菓子のブルーム発生についても抑制されると考えられる。
・検出部:示差屈折検出器
・カラム:ドコシルカラム(DCS)
・移動相:アセトン:アセトニトリル=65:35(体積比)
・流速:1ml/min
・カラム温度:40℃
・背圧:3.8MPa
本発明の焼菓子用油脂組成物においては、その油相を構成する脂肪酸組成中、ラウリン酸残基が1~10質量%である。本発明の焼菓子用油脂組成物の油相を構成する脂肪酸組成中、ラウリン酸残基量が上記範囲内にあることで、焼菓子製造時の、焼菓子用油脂組成物のクリーミング性が良好となり、良好な食感の焼菓子を得ることができる。
<条件(4)>
(4)油相を構成するトリグリセリド組成中、LLL(トリラウリン)の含量が5質量%以下(Lはラウリン酸)
換言すると、本発明の焼菓子用油脂組成物の油相を構成するトリグリセリドのうち、ラウリン酸残基を含有するトリグリセリドは、トリグリセリドを構成する3つの脂肪酸残基のうち、ラウリン酸残基が好ましくは2つ以下、より好ましくは1つであると、本発明の効果、特に製造作業性向上の効果が、一層得られやすくなる。
本発明の焼菓子用油脂組成物の油相に用いることのできる油脂としては、例えば、大豆油、菜種油、ハイエルシン菜種油、コーン油、綿実油、オリーブ油、落花生油、米油、サフラワー油、ハイオレイックサフラワー油、からし油、ヒマワリ油、ハイオレイックヒマワリ油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、サル脂、マンゴ脂、乳脂、牛脂、豚脂、カカオ脂、魚油、鯨油等の各種植物油脂、動物油脂、並びにこれらの油脂に水素添加、分別、エステル交換等の物理的又は化学的処理の1種又は2種以上の処理を施した油脂が挙げられ、これらから選択された2種又はそれ以上の油脂の混合物を使用することもできる。
構成脂肪酸組成中、オレイン酸残基を45~80質量%、炭素数20~22の脂肪酸残基を5~25質量%含有し、構成脂肪酸中の不飽和脂肪酸中におけるオレイン酸含量の質量比が0.80以上である、ランダムエステル交換油脂
エステル交換油脂(B):
構成脂肪酸組成中、オレイン酸残基を5~45質量%、ラウリン酸残基を1~40質量%含有し、構成脂肪酸中の飽和脂肪酸の含量に対するラウリン酸の質量比が0.05~0.45である、ランダムエステル交換油脂
上記エステル交換油脂(A)は、構成脂肪酸組成中にオレイン酸残基を好ましくは45~80質量%、より好ましくは47~75質量%、最も好ましくは50~70質量%含有する。
また、上記エステル交換油脂(A)は、構成脂肪酸組成中に炭素数20~22の脂肪酸残基を好ましくは5~25質量%、より好ましくは5~20質量%、最も好ましくは10~20質量%含有する。
また、上記エステル交換油脂(A)は、構成脂肪酸組成の不飽和脂肪酸中におけるオレイン酸含量の質量比が0.80以上であることが好ましく、0.85以上であることがより好ましく、0.87以上であることが最も好ましい。
上記融点は「日本油化学会制定 基準油脂分析試験法 2.2.4.2(1996)1996年版」に準じて測定することができる(以下、融点の測定について同様である)。
上記エステル交換油脂(B)は、構成脂肪酸組成中にオレイン酸残基を好ましくは5~45質量%、より好ましくは7~40質量%、最も好ましくは10~35質量%を含有する。
また、上記エステル交換油脂(B)は、構成脂肪酸組成中にラウリン酸残基を好ましくは1~40質量%、より好ましくは3~38質量%、最も好ましくは5~36質量%含有する。
また、上記エステル交換油脂(B)は、構成脂肪酸中の飽和脂肪酸の含量に対するラウリン酸の質量比が0.05~0.45であり、好ましくは0.07~0.45であり、より好ましくは0.09~0.45である。
尚、上記油脂配合物(B)は、上記ラウリン系油脂及び上記パーム系油脂の他に、構成脂肪酸組成や後述するSFC等を好ましい範囲に調整する観点から、エステル交換油脂(B)の好ましい構成脂肪酸組成を逸脱しない範囲で、他の油脂を含有することができる。他の油脂としては、例えば、大豆油、菜種油、コーン油、綿実油、オリーブ油、落花生油、米油、べに花油、ひまわり油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、サル脂、マンゴ脂、乳脂、牛脂、豚脂、カカオ脂、魚油、鯨油等の各種動植物油脂、並びにこれらに水素添加、分別及びエステル交換から選択される1又は2以上の処理を施した加工油脂が挙げられ、これらの中から1種又は2種以上を使用することができる。
その他の油脂としてパーム系油脂を使用する場合、本発明の焼菓子用油脂組成物におけるその含量は、油相基準で5~60質量%が好ましく、5~50質量%がさらに好ましい。
水素添加は、油脂の融点を上昇させる典型的な方法であるが、水素添加油脂は、完全水素添加油脂を除いて、通常、トランス脂肪酸が10~50質量%程度含まれている。一方、天然油脂中にはトランス脂肪酸が殆ど存在せず、反芻動物由来の油脂に10質量%未満含まれているにすぎない。近年、化学的な処理、特に水素添加に付されていない油脂組成物、即ち実質的にトランス脂肪酸を含まない油脂組成物であって、適切なコンシステンシーを有するものが要求されている。
<条件(5)>
(5)炭素数16以上の飽和脂肪酸残基を有するモノグリセリドと、炭素数16以上の不飽和脂肪酸残基を有するモノグリセリドとを、前者:後者で、1:2~8の質量比で含有する。
本発明の焼菓子用油脂組成物は、上記条件(1)~(3)を満たすことができる油相を溶解した後、必要に応じ、水相を添加して乳化し、冷却し、結晶化させることにより製造される。
次に、冷却し、必要により可塑化する。本発明において、冷却条件は、好ましくは-0.5℃/分以上、さらに好ましくは-5℃/分以上とする。冷却に用いる機器としては、密閉型連続式チューブ冷却機、例えばボテーター、コンビネーター、パーフェクター等のマーガリン製造機やプレート型熱交換機等が挙げられ、また、開放型のダイアクーラーとコンプレクターの組み合わせ等が挙げられる。
尚、本発明の焼菓子用油脂組成物を製造する際のいずれかの製造工程で、任意に、窒素、空気等を含気させることができる。
本発明の焼菓子は、上述した本発明の焼菓子用油脂組成物を練込油脂や折込油脂として用いたものである。
上記焼菓子としては、例えば、パイやペストリー、パウンドケーキ、フルーツケーキ、マドレーヌ、バウムクーヘン、カステラ等のバターケーキ、アイスボックスクッキー、ワイヤーカットクッキー、サブレ、ラングドシャクッキー等のクッキー、ビスケット等が挙げられる。
焼菓子生地を製造する際の本発明の焼菓子用油脂組成物の使用量は、選択した焼菓子の種類によって決定されるものであり、特に限定されないが、おおよそ焼菓子生地中に5~40質量%である。
本発明の複合菓子は、本発明の焼菓子用油脂組成物を用いた本発明の焼菓子と、ナッツ類、チョコレート等の油性菓子が組み合わさったものであり、本発明の焼菓子用油脂組成物の効果が顕著に得られることから、焼菓子とチョコレートとが組み合わさった複合菓子が好ましい。
沃素価が3以下となるまで水素添加を行い、極度硬化油としたハイエルシン菜種油30質量部、ハイオレイックヒマワリ油(構成脂肪酸組成中のオレイン酸残基量が86.3質量%)70質量部を、それぞれ加熱溶解した状態で混合して、油脂配合物(1)を得、この油脂配合物(1)に対し、ナトリウムメトキシドを触媒として用い常法に従ってランダムエステル交換反応を行った。
この後、常法に従って、漂白(白土量は対油3質量%、処理温度85℃)及び脱臭(250℃、60分間、吹込み水蒸気量は対油5質量%)の精製処理を行い、ランダムエステル交換油脂(1)(以下、単に、IE-1と記載する場合がある)を得た。
沃素価が55のパーム分別軟部油100質量部に対し、製造例1と同様に、常法に従って、ナトリウムメトキシドを触媒とするランダムエステル交換反応、漂白・脱臭の精製処理を行い、ランダムエステル交換油脂(2)(以下、単にIE-2と記載する場合がある)を得た。
沃素価が60のパームスーパーオレイン100質量部に対し、製造例1と同様に、常法に従って、ナトリウムメトキシドを触媒とするランダムエステル交換反応、漂白・脱臭の精製処理を行い、ランダムエステル交換油脂(3)(以下、単にIE-3と記載する場合がある)を得た。
沃素価が55のパーム分別軟部油を80質量部と、沃素価が3以下となるまで水素添加を行い、極度硬化油としたハイエルシン菜種油20質量部とを、それぞれ加熱溶解した状態で混合して、油脂配合物(4)を得た。この油脂配合物(4)に対し、製造例1と同様に、常法に従って、ナトリウムメトキシドを触媒とするランダムエステル交換反応、漂白・脱臭の精製処理を行い、ランダムエステル交換油脂(4)(以下、単にIE-4と記載する場合がある)を得た。
パーム油60質量部、パーム核油(構成脂肪酸組成中のラウリン酸残基量50.1質量%)20質量部及び菜種油20質量部を、それぞれ加熱溶解した状態で混合して、油脂配合物(5)を得た。この油脂配合物(5)に対し、製造例1と同様に、常法に従って、ナトリウムメトキシドを触媒とするランダムエステル交換反応、漂白・脱臭の精製処理を行い、ランダムエステル交換油脂(5)(以下、単にIE-5と記載する場合がある)を得た。
沃素価が3以下となるまで水素添加を行い極度硬化油としたパーム油25質量部、及びヤシ油(構成脂肪酸組成中のラウリン酸残基量50.3質量%)75質量部を、それぞれ加熱溶解した状態で混合して、油脂配合物(6)を得た。この油脂配合物(6)に対し、製造例1と同様に、常法に従って、ナトリウムメトキシドを触媒とするランダムエステル交換反応、漂白・脱臭の精製処理を行い、ランダムエステル交換油脂(6)(以下、単にIE-6と記載する場合がある)を得た。
尚、IE-1は、上記エステル交換油脂(A)に該当し、IE-2~4はパーム系油脂、IE-5及びIE-6は上記エステル交換油脂(B)に該当する。
IE-1は、構成脂肪酸組成中、オレイン酸残基を60.4質量%、炭素数20~22の脂肪酸残基を17.4質量%含有し、構成脂肪酸中の不飽和脂肪酸中におけるオレイン酸含量の質量比が0.93であった。
IE-5は、構成脂肪酸組成中、オレイン酸残基を31.1質量%、ラウリン酸残基を7.3質量%含有し、構成脂肪酸中の飽和脂肪酸の含量に対するラウリン酸の質量比が0.12であり、構成脂肪酸組成中のパルミチン酸含量が29.4質量%、ステアリン酸含量が9.5質量%であった。
IE-6は、構成脂肪酸組成中、オレイン酸残基を4.5質量%、ラウリン酸残基を37.8質量%含有し、構成脂肪酸中の飽和脂肪酸の含量に対するラウリン酸の質量比が0.40であり、構成脂肪酸組成中のパルミチン酸含量が17.4質量%、ステアリン酸含量が15.5質量%であった。
IE-1の60質量部及びIE-5の40質量部を、それぞれ65℃に加熱溶解された状態で混合し、更に酸化防止剤(トコフェロール)0.15質量部及びレシチン0.1質量部を加えて撹拌し、得られた油相を急冷可塑化し、焼菓子用油脂組成物Iを得た。
IE-1の50質量部、IE-5の30質量部及びIE-6の20質量部を、それぞれ65℃に加熱溶解された状態で混合し、更に酸化防止剤(トコフェロール)0.15質量部及びレシチン0.1質量部を加えて撹拌し、得られた油相を急冷可塑化し、焼菓子用油脂組成物IIを得た。
IE-1の40質量部、IE-3の40質量部及びIE-5の20質量部を、それぞれ65℃に加熱溶解された状態で混合し、更に酸化防止剤(トコフェロール)0.15質量部及びレシチン0.1質量部を加えて撹拌し、得られた油相を急冷可塑化し、焼菓子用油脂組成物IIIを得た。
IE-1の40質量部、IE-2の20質量部、IE-3の20質量部及びIE-5の20質量部を、それぞれ65℃に加熱溶解された状態で混合し、更に酸化防止剤(トコフェロール)0.15質量部及びレシチン0.1質量部を加えて撹拌し、得られた油相を急冷可塑化し、焼菓子用油脂組成物IVを得た。
IE-1の40質量部、IE-3の35質量部、IE-4の10質量部及びIE-6の15質量部を、それぞれ65℃に加熱溶解された状態で混合し、更に酸化防止剤(トコフェロール)0.15質量部及びレシチン0.1質量部を加えて撹拌し、得られた油相を急冷可塑化し、焼菓子用油脂組成物Vを得た。
IE-1の30質量部、IE-2の20質量部、IE-3の20質量部及びIE-5の30質量部を、それぞれ65℃に加熱溶解された状態で混合し、更に酸化防止剤(トコフェロール)0.15質量部及びレシチン0.1質量部を加えて撹拌し、得られた油相を急冷可塑化し、焼菓子用油脂組成物VIを得た。
IE-1の60質量部、IE-3の10質量部及びIE-5の30質量部を、それぞれ65℃に加熱溶解された状態で混合し、更に酸化防止剤(トコフェロール)0.15質量部及びレシチン0.1質量部を加えて撹拌し、得られた油相を急冷可塑化し、焼菓子用油脂組成物VIIを得た。
レシチン0.1質量部に代えて、SFA-MG(エマルジーMP、理研ビタミン社製)0.1質量部及びUSFA-MG(エマルジーMO、理研ビタミン社製)0.4質量部(SFA-MG:USFA-MG=1:4)を加えた他は実施例4と同様にして、焼菓子用油脂組成物VIIIを得た。
レシチン0.1質量部に代えて、SFA-MG(エマルジーMP、理研ビタミン社製)0.17質量部及びUSFA-MG(エマルジーMO、理研ビタミン社製)0.34質量部(SFA-MG:USFA-MG=1:2)を加えた他は実施例4と同様にして、焼菓子用油脂組成物IXを得た。
IE-1の40質量部、IE-2の45質量部及びIE-4の15質量部を、それぞれ65℃に加熱溶解された状態で混合し、更に酸化防止剤(トコフェロール)0.15質量部及びレシチン0.1質量部を加えて撹拌し、得られた油相を急冷可塑化し、焼菓子用油脂組成物Xを得た。
IE-1の95質量部及びIE-5の5質量部を、それぞれ65℃に加熱溶解された状態で混合し、更に酸化防止剤(トコフェロール)0.15質量部及びレシチン0.1質量部を加えて撹拌し、得られた油相を急冷可塑化し、焼菓子用油脂組成物XIを得た。
IE-3の20質量部、IE-4の50質量部及び菜種油30質量部を、それぞれ65℃に加熱溶解された状態で混合し、更に酸化防止剤(トコフェロール)0.15質量部及びレシチン0.1質量部を加えて撹拌し、得られた油相を急冷可塑化し、焼菓子用油脂組成物XIIを得た。
得られた焼菓子用油脂組成物I~XIIを用いて、下記の製造方法により、チョコレート複合クッキーを製造し、後述の各種評価を行った。
15℃に調温した焼菓子用油脂組成物(上記焼菓子用油脂組成物I~XIIのいずれか)45質量部と上白糖45質量部をミキサーボウルに投入して卓上ミキサーにセットし、軽く混合した後、高速で7分間クリーミングした。次いで、低速で混合しながら、30秒かけて水15質量部を添加し、さらに1分混合した。さらに、予め混合して篩っておいた小麦粉100質量部とベーキングパウダー1質量部の混合物を添加し、低速で1分混合して、ワイヤーカットクッキー生地を得た。得られたクッキー生地を、厚さ7ミリ、直径48ミリの丸型にワイヤーカット成型した。成型したクッキー生地をオーブン(フジサワ社製)で190℃にて13分焼成後、25℃にて40分冷却し、ワイヤーカットクッキーI~XII(英字は使用した焼菓子用油脂組成物に対応)を得た。
続いて、テンパリングしたチョコレートを、クッキーの重量に対して3倍量をカップに量り、ここに上記ワイヤーカットクッキーI~XIIを表面が出るように浸して複合し、チョコレート複合クッキーI~XII(英字は使用した焼菓子用油脂組成物に対応)を製造した。
クッキー生地の製造時の作業性として、焼菓子用油脂組成物と上白糖とのクリーミング時の作業性及びコシを、以下の評価基準に従って4段階で評価した。
・評価基準
◎:クリーミングした際に、非常にコシが良好であり、ダレが生じない。
○:クリーミングした際に、コシが良好であり、ダレがほとんど生じない。
△:クリーミングした際に、コシが弱く、ややダレが生じる。
×:クリーミングした際に、コシが非常に弱く、ダレが生じる。
得られたチョコレート複合クッキーを25℃で保存し、保存開始から14日後、28日後及び60日後の各段階において、クッキー部分の保存安定性(白色化現象の発生の有無)及びチョコレート部分の保存安定性(ブルーム現象の発生の有無)について、下記評価基準に従って4段階で評価した。
・クッキー部分の保存安定性の評価基準
◎:白色化なし
〇:表面にやや色ムラあり
△:若干白色化
×:白色化あり
・チョコレート部分の保存安定性の評価基準
◎:ブルームなし
○:やや艶がない
△:若干ブルームあり
×:ブルームあり
得られたチョコレート複合クッキーを25℃で保存し、保存開始から14日後の段階において、クッキーの食感(口中での崩壊性)について、同一の品を喫食した際に同一の評価点を付すことができるように訓練された10人のパネラーにより、下記評価基準に従って4段階で官能評価を行った。尚、評価の際には、チョコレート複合クッキーと同一の保存条件で保存された、複合化されていないクッキーを対照品として用いた。
表3においては、パネラー10名の合計点を評価点数として、評価点数が32~40点を◎、23~31点を○、14~22点を△、13点以下を×として示した。
・評価基準
4点:非常に口溶けやバラけがよく、良好なサクサクとした噛みだしを有している。
3点:口溶け・バラけが良く、やや詰まった食感を有するが、サクサクとした噛みだしを有している。
2点:口溶けやバラけがやや悪く、詰まった食感を有し、固い噛みだしを有している。若しくは、口溶け・バラけは良いが、軟らかく、サクサクとした噛みだしが乏しかった。
1点:口どけ・バラけが悪い上、噛みだしが固く、ガリガリとした食感を有している。若しくは、口溶け・バラけは良いが、軟らかく、サクサクとした噛みだしが感じられなかった。
チョコレート複合クッキーの製造直後に、得られたチョコレート複合クッキーのクッキー部分について、SMART System5(CEM Japan社製)を使用して油分を測定した。チョコレート複合クッキーを25℃で保存し、保存開始から28日後と60日後において、チョコレート複合クッキーのクッキー部分について、製造直後と同様にして油分を測定した。製造直後及び保存後の油分の値から、油分移行率を次式により求めた。
〔(A-B)/A〕×100 (%)
(A:製造直後のクッキーの油分、B:保存後のクッキーの油分)
表3においては、油分移行率が30%以下を-、30%超35%以下を±、35%超45%以下を+、45%超を++として示した。油分移行率が高いほど、チョコレート複合クッキーにおけるクッキーからチョコレートへの油分の移行が多いことを示す。
尚、食感については、比較例1では硬く詰まった食感となり、口溶け・バラけが不良であった。逆に、比較例2では口溶け・バラけは良好であるが、噛みだしが軟らかくサクサクとした食感が得られなかった。
また、製造作業性については、本発明の焼菓子用油脂組成物の油相の構成脂肪酸中に、ラウリン酸残基を一定量以上含有することで製造作業性が向上することが、特に実施例5と比較例1を対比することにより示唆される。
また、SFA-MGとUSFA-MGを特定比率で含有させることで、クリーミング時の比重の減少が早まり、より一層、製造作業性が高まることが確認された。
Claims (5)
- 下記条件(1)、(2)及び(3)を満たす焼菓子用油脂組成物であって、油相を構成するトリグリセリド組成中、B2Oの含量が2質量%未満である、焼菓子用油脂組成物(Bはベヘン酸残基、Oはオレイン酸残基である)。
(1)SFCが10℃で25~45%、20℃で10~30%、30℃で0~15%
(2)油相を構成するトリグリセリド組成中、BO2の含量が2~12質量%
(3)油相を構成する脂肪酸組成中、ラウリン酸残基が1~10質量% - 更に下記条件(4)を満たす、請求項1の焼菓子用油脂組成物。
(4)油相を構成するトリグリセリド組成中、LLLの含量が5質量%以下(Lはラウリン酸残基) - 更に下記条件(5)を満たす、請求項1又は請求項2記載の焼菓子用油脂組成物。
(5)炭素数16以上の飽和脂肪酸残基を有するモノグリセリドと、炭素数16以上の不飽和脂肪酸残基を有するモノグリセリドとを、前者:後者で1:2~8の質量比で含有する - 請求項1~3のいずれか一項に記載の焼菓子用油脂組成物を含む焼菓子。
- 請求項4に記載の焼菓子を含む複合菓子。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017218219A JP7048267B2 (ja) | 2017-11-13 | 2017-11-13 | 焼菓子用油脂組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017218219A JP7048267B2 (ja) | 2017-11-13 | 2017-11-13 | 焼菓子用油脂組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2019088208A JP2019088208A (ja) | 2019-06-13 |
JP7048267B2 true JP7048267B2 (ja) | 2022-04-05 |
Family
ID=66835115
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017218219A Active JP7048267B2 (ja) | 2017-11-13 | 2017-11-13 | 焼菓子用油脂組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7048267B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7372137B2 (ja) * | 2019-12-25 | 2023-10-31 | 太陽油脂株式会社 | 焼菓子用油脂組成物 |
Citations (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007143433A (ja) | 2005-11-25 | 2007-06-14 | Adeka Corp | 油脂性素材配合焼菓子練り込み用油脂組成物 |
JP2010004806A (ja) | 2008-06-27 | 2010-01-14 | Kaneka Corp | 焼き菓子用油脂組成物 |
JP2010213637A (ja) | 2009-03-18 | 2010-09-30 | Nisshin Oillio Group Ltd | 発芽大豆を原料とする豆乳を含有する乳化油脂組成物 |
JP2015202099A (ja) | 2014-04-16 | 2015-11-16 | 株式会社Adeka | 複合菓子用油脂組成物 |
JP2015228810A (ja) | 2014-06-04 | 2015-12-21 | 不二製油グループ本社株式会社 | 油中水型乳化物 |
JP2017093310A (ja) | 2015-11-18 | 2017-06-01 | 不二製油株式会社 | 焼菓子練り込み用油脂組成物 |
JP2017169468A (ja) | 2016-03-22 | 2017-09-28 | 不二製油株式会社 | 起泡性水中油型乳化物用油脂組成物及び起泡性水中油型乳化物 |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS63126457A (ja) * | 1986-11-17 | 1988-05-30 | Kao Corp | 焼菓子用油脂のマイグレ−シヨン抑制剤及びそれを用いる複合焼菓子類の製造法 |
GB2297760A (en) * | 1995-02-09 | 1996-08-14 | Loders Croklaan Bv | Behenic acid containing fats |
-
2017
- 2017-11-13 JP JP2017218219A patent/JP7048267B2/ja active Active
Patent Citations (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007143433A (ja) | 2005-11-25 | 2007-06-14 | Adeka Corp | 油脂性素材配合焼菓子練り込み用油脂組成物 |
JP2010004806A (ja) | 2008-06-27 | 2010-01-14 | Kaneka Corp | 焼き菓子用油脂組成物 |
JP2010213637A (ja) | 2009-03-18 | 2010-09-30 | Nisshin Oillio Group Ltd | 発芽大豆を原料とする豆乳を含有する乳化油脂組成物 |
JP2015202099A (ja) | 2014-04-16 | 2015-11-16 | 株式会社Adeka | 複合菓子用油脂組成物 |
JP2015228810A (ja) | 2014-06-04 | 2015-12-21 | 不二製油グループ本社株式会社 | 油中水型乳化物 |
JP2017093310A (ja) | 2015-11-18 | 2017-06-01 | 不二製油株式会社 | 焼菓子練り込み用油脂組成物 |
JP2017169468A (ja) | 2016-03-22 | 2017-09-28 | 不二製油株式会社 | 起泡性水中油型乳化物用油脂組成物及び起泡性水中油型乳化物 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2019088208A (ja) | 2019-06-13 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4493585B2 (ja) | 油脂性素材配合焼菓子練り込み用油脂組成物 | |
JP4606406B2 (ja) | 複合菓子用油脂組成物 | |
JP2005350660A (ja) | 可塑性油脂組成物 | |
KR20150138224A (ko) | 유지 조성물 및 당해 유지 조성물을 사용한 베이커리 식품 | |
JP5191083B2 (ja) | 長期のブルームが抑制された可塑性油脂組成物 | |
JP6505979B2 (ja) | 複合菓子用油脂組成物 | |
KR20220152236A (ko) | 반죽용 유중수형 유화 조성물 | |
JP6113942B1 (ja) | 油性食品 | |
JP2016189773A (ja) | フィリング及び/又はトッピング用油脂組成物、フィリング及び/又はトッピング用油中水型乳化油脂組成物、及び該油中水型乳化油脂組成物を含む食品 | |
JP6827282B2 (ja) | 可塑性油脂組成物 | |
JP5917262B2 (ja) | 油脂組成物 | |
JP6767160B2 (ja) | 複合菓子用油脂組成物 | |
JP4841136B2 (ja) | 可塑性油脂組成物 | |
JP7203555B2 (ja) | 油脂組成物 | |
JP2009240220A (ja) | 可塑性油脂組成物 | |
JP7226925B2 (ja) | 油脂を連続相とする油脂組成物 | |
JP7048267B2 (ja) | 焼菓子用油脂組成物 | |
JP2005320445A (ja) | パームステアリン含有可塑性油脂組成物 | |
JP6189016B2 (ja) | クリーミング性改良油脂を含有する可塑性油脂組成物 | |
JP5496300B2 (ja) | 油脂組成物の長期のブルームの抑制方法 | |
JP6679207B2 (ja) | 可塑性油脂組成物 | |
JP6947516B2 (ja) | 製菓用油脂組成物 | |
JP2017216894A (ja) | 焼菓子練り込み用油脂組成物 | |
JP7376226B2 (ja) | 焼菓子用油脂組成物 | |
JP2007267654A (ja) | 製パン練込用油脂組成物 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20200902 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20210623 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20210629 |
|
A601 | Written request for extension of time |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601 Effective date: 20210816 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20211011 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20220308 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20220324 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7048267 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |