JP4493585B2 - 油脂性素材配合焼菓子練り込み用油脂組成物 - Google Patents
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例えば、ビスケット中の油脂の構成脂肪酸中のトランス酸含量が30質量%以上で特定の固体脂含量を有し、且つ、該油脂の固体脂含量とチョコレート中の油脂の固体脂含量との差が20℃で35質量%以下である油脂(例えば特許文献1参照)、必須成分として魚硬化油を20質量%以上とSFI値が20℃で50%以上、30℃で30%以上である植物性油脂を20質量%以上含有した油脂組成物であって、該油脂組成物のSFI値が20℃で30〜55%、30℃で10〜30%、40℃で5%以下の油脂組成物(例えば特許文献2参照)、80℃で溶解した後、30℃に移して60分後のSFC値が30℃に移して24時間後のSFC値に対して70%以上であることを特徴とする油脂組成物(例えば特許文献3参照)、トリグリセリドを構成する3個の脂肪酸の残基のうち、少なくとも1個が炭素数20〜24の飽和脂肪酸から構成される残基である2飽和1不飽和型混酸基トリグリセリドを10質量%以上含有する油脂(例えば特許文献4参照)などの提案がなされてきた。
上記ナッツ類(油脂性素材)としては、ピーナッツ、アーモンド、カシューナッツ、ピスタチオ、ヘーゼルナッツ、ピーカンナッツ、オーナッツ、マカデミアナッツ、ブラジルナッツ、ココナッツ、松、けし、ひまわり等の種実や堅果、それらのホール品・割物品・スライス品、それらを用いたペースト・ピューレ等の加工品等が挙げられる。
また、上記チョコレート類(油脂性素材)としては、チョコレートクリーム、チョコチップ、チョコクランチ、チョコチャンク等が挙げられる。
なお、上記油脂性素材の形状は、焼菓子生地との複合方法によって異なるが、粒状、板状、球状、チャンク状、チップ状、ダイス状、ペースト状等の形状とすることができる。
本発明に用いられる上記パーム分別軟部油(パーム軟質油)はトランス酸を実質的に含有しない油脂であるため、本発明では、上記油脂配合物に使用するその他の油脂(上記パーム分別軟部油以外の油脂)、及び上記油相に必要に応じ加えるその他の油脂(上記エステル交換油脂以外の油脂)として、それぞれ実施的にトランス酸を含有しない油脂を使用することで、水素添加油脂を使用せずとも良好なコンステンシーを有し、トランス酸を実質的に含有しない油脂組成物を簡単に得ることができる。
上記増粘安定剤の好ましい含有量は0〜5質量%、より好ましくは0〜2質量%である。
また、本発明の油脂組成物を製造する際のいずれかの工程で、窒素、空気等を含気させてもよい
これらの上記焼菓子生地における油脂組成物の使用量は、十分な効果を得るためには、焼菓子生地中において好ましくは3〜50質量%、より好ましくは5〜35質量%である。
得られた焼菓子は、表面がべたつくことがないため、通常通り、包装、流通することができる。
ヨウ素価55のパーム分別軟部油にナトリウムメチラートを触媒として非選択的エステル交換反応を行った後、脱色(白土3%、85℃、9.3×102Pa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込み量5%、4.0×102Pa以下の減圧下)を行い、パーム分別軟部油のエステル交換油脂Aを得た。
ヨウ素価65のパーム分別軟部油にナトリウムメチラートを触媒として、非選択的エステル交換反応を行った後、脱色(白土3%、85℃、9.3×102Pa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込み量5%、4.0×102Pa以下の減圧下)を行い、パーム分別軟部油のエステル交換油脂Bを得た。
ヨウ素価65のパーム分別軟部油10kgを原料油脂として、反応温度70℃にて、触媒としてリパーゼQLC(名糖産業(株)製)50gを用いて、15リットルの反応槽でエステル交換反応を行った。反応終了後(反応時間48hr)、脱色(白土3%、85℃、10mmHgの減圧下、30分間)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込み量5%、4.0×102Pa以下の減圧下)を行い、パーム分別軟部油のエステル交換油脂Cを得た。
ヨウ素価55のパーム分別軟部油85質量部と、ハイエルシンナタネ極度水素添加油脂15質量部を溶解、混合した油脂配合物(炭素数20以上の飽和脂肪酸の含有量=7%)10kgを、反応温度70℃にて、触媒としてリパーゼQLC(名糖産業(株)製)50gを用いて、15リットルの反応槽でエステル交換反応を行った。反応終了後(反応時間48hr)、脱色(白土3%、85℃、10mmHgの減圧下、30分間)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込み量5%、4.0×102Pa以下の減圧下)を行い、パーム分別軟部油を85質量%含有し、且つ、構成脂肪酸として炭素数20以上の飽和脂肪酸を7質量%含有する油脂配合物を用いた、エステル交換油脂Dを得た。
上記製造例1で得られたヨウ素価55のパーム分別軟部油50質量部と、ハイエルシンナタネ極度水素添加油脂5質量部、大豆油45質量部を溶解、混合した油脂配合物10kgを、反応温度70℃にて、触媒としてリパーゼQLC(名糖産業(株)製)50gを用いて、15リットルの反応槽でエステル交換反応を行った。反応終了後(反応時間48hr)、脱色(白土3%、85℃、10mmHgの減圧下、30分間)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込み量5%、4.0×102Pa以下の減圧下)を行い、パーム分別軟部油を50%含有し、且つ、構成脂肪酸として炭素数20以上の飽和脂肪酸を2質量%含有する油脂配合物を用いた、エステル交換油脂Eを得た。
エステル交換油脂A90質量部、パーム油8質量部、レシチン1質量部、不飽和脂肪酸の割合が60質量%以上であるグリセリンモノ脂肪酸エステル1質量部からなる油相を、70℃まで加温して完全に溶解し混合した後、−30℃/分の冷却速度で急冷可塑化し、ショートニングタイプの油脂組成物を作製した。得られた油脂組成物の油相のSFCは10℃で44%、20℃で23%、40℃で1%であり、トランス酸含量は2質量%未満であり、トランス酸を実質的に含有していなかった。
エステル交換油脂B90質量部、パーム油8質量部、レシチン1質量部、不飽和脂肪酸の割合が60質量%以上であるグリセリンモノ脂肪酸エステル1質量部からなる油相を、70℃まで加温して完全に溶解し混合した後、−30℃/分の冷却速度で急冷可塑化し、ショートニングタイプの油脂組成物を作製した。得られた油脂組成物の油相のSFCは10℃で40%、20℃で17%、40℃で1%であり、トランス酸含量は2質量%未満であり、トランス酸を実質的に含有していなかった。
エステル交換油脂C90質量部、パーム油8質量部、レシチン1質量部、不飽和脂肪酸の割合が60質量%以上であるグリセリンモノ脂肪酸エステル1質量部からなる油相を、70℃まで加温して完全に溶解し混合した後、−30℃/分の冷却速度で急冷可塑化し、ショートニングタイプの油脂組成物を作製した。得られた油脂組成物の油相のSFCは10℃で40%、20℃で17%、40℃で1%であり、トランス酸含量は2質量%未満であり、トランス酸を実質的に含有していなかった。
エステル交換油脂C90質量部、パーム油8質量部、レシチン2質量部からなる油相を、70℃まで加温して完全に溶解し混合した後、−30℃/分の冷却速度で急冷可塑化し、ショートニングタイプの油脂組成物を作製した。得られた油脂組成物の油相のSFCは10℃で40%、20℃で17%、40℃で1%であり、トランス酸含量は2質量%未満であり、トランス酸を実質的に含有していなかった。
エステル交換油脂D90質量部、パーム油8質量部、レシチン1質量部、不飽和脂肪酸の割合が60質量%以上であるグリセリンモノ脂肪酸エステル1質量部からなる油相を、70℃まで加温して完全に溶解し混合した後、−30℃/分の冷却速度で急冷可塑化し、ショートニングタイプの油脂組成物を作製した。得られた油脂組成物の油相のSFCは10℃で52%、20℃で31%、40℃で3%であり、トランス酸含量は2質量%未満であり、トランス酸を実質的に含有していなかった。
エステル交換油脂E90質量部、パーム油8質量部、レシチン2質量部からなる油相を、70℃まで加温して完全に溶解し混合した後、−30℃/分の冷却速度で急冷可塑化し、ショートニングタイプの油脂組成物を作製した。得られた油脂組成物の油相のSFCは10℃で20%、20℃で9%、40℃で1%であり、トランス酸含量は2質量%未満であり、トランス酸を実質的に含有していなかった。
大豆液状油95質量部、ハイエルシン菜種極度水素添加油脂3質量部、レシチン2質量部からなる油相を、70℃まで加温して完全に溶解し混合した後、−30℃/分の冷却速度で急冷可塑化し、ショートニングタイプの油脂組成物を作製した。得られた油脂組成物の油相のSFCは10℃で2%、20℃で1%、40℃で1%であり、トランス酸含量は2質量%未満であり、トランス酸を実質的に含有していなかった。
大豆液状油55質量部及びパーム油43質量部、レシチン2質量部からなる油相を、70℃まで加温して完全に溶解し混合した後、−30℃/分の冷却速度で急冷可塑化し、ショートニングタイプの油脂組成物を作製した。得られた油脂組成物の油相のSFCは10℃で20%、20℃で8%、40℃で1%であり、トランス酸含量は2質量%未満であり、トランス酸を実質的に含有していなかった。
エステル交換油脂A50質量部、パーム油48質量部、レシチン2質量部からなる油相を、70℃まで加温して完全に溶解し混合した後、−30℃/分の冷却速度で急冷可塑化し、ショートニングタイプの油脂組成物を作製した。得られた油脂組成物の油相のSFCは10℃で47%、20℃で22%、40℃で1%であり、トランス酸含量は2質量%未満であり、トランス酸を実質的に含有していなかった。
上記実施例1〜5及び上記比較例1〜4で得られた油脂組成物を用い、下記の配合、製法で実施例6〜10及び比較例5〜8のチョコチップ配合ワイヤーカットビスケットをそれぞれ製造した。
薄力粉100質量部、砂糖40質量部、全卵15質量部、食塩1質量部、ベーキングパウダー1質量部、水10質量部、油脂組成物55質量部、チョコレートチップ(大東カカオ製)22質量部
卓上ミキサー(ケンウッドミキサー)に油脂組成物及び砂糖を投入、軽く混合した後、最高速で5分クリーミングした。次いで、あらかじめ全卵、水、食塩を混合した水相を少しずつ加えて攪拌・混合し、さらに薄力粉及びベーキングパウダーを加えた後、低速で1分混合した。最後にチョコレートチップを投入し、低速で30秒混合した。ここで得られたチョコチップ配合ワイヤーカットビスケット生地(ビスケット生地における油脂組成物の使用量は、22.5質量%)を、厚さ7ミリ、直径4センチの丸型にワイヤーカット成型した。成型したビスケット生地をオーブン(フジサワ社製)で180℃にて10分焼成後、25℃にて40分冷却し、チョコチップ配合ワイヤーカットビスケットを得た。
得られた実施例6〜10及び比較例5〜8のチョコチップ配合ワイヤーカットビスケットについて、20℃にて白色化・ブルーム試験を行った。白色化・ブルーム試験においては、製造直後(焼成時)及び4週間後(焼成後4週間後)に、ビスケット部分及びチョコチップ部分の油分とヨウ素価を測定し、あわせて、製造直後と4週間後のビスケット部分の食感・性状(白色化)、チョコチップ部分の食感・性状(ブルーム)を比較した。油分の分析結果を下記表2に、食感・性状の評価結果を下記表3に記載した。油分分析は、ビスケット部分とチョコチップ部分を分離後、各区分を油分水分計(CEM社製)により測定した。食感・性状(白色化、ブルーム)の評価は、下記評価基準に従った。
◎:さくさくした軽い食感である。
〇:さくさくした軽い食感であるが、やや口溶けが悪い
△:ガリガリした硬い食感である。
×:ガリガリした極めて重く、硬い食感である。
◎:白色化なし
〇:表面にやや色ムラあり
△:若干白色化
×:白色化あり
◎:ソフトな食感である。
〇:ややソフトな食感である。
△:やや硬い食感である。
×:ガリガリした硬い食感である。
××:べたつきの激しい食感である。
◎:ブルームなし
〇:やや艶がない
△:若干ブルームあり
×:ブルームあり
特に、油脂配合物にヨウ素価60以上のパーム分別軟部油を使用した、実施例2及び実施例3の油脂組成物(実施例7及び実施例8のチョコチップビスケット)は、特に優れたブルーム防止効果、白色化の防止効果、油脂性素材の焼成加熱による固化現象の緩和効果を示した。
なお、油相中に、レシチンを含有するものの、不飽和脂肪酸を主体とするグリセリン脂肪酸エステルを含有しない実施例4の油脂組成物(実施例9のチョコチップビスケット)に比べ、レシチン及び不飽和脂肪酸を主体とするグリセリン脂肪酸エステルを含む実施例3の油脂組成物(実施例8のチョコチップビスケット)は、ブルーム防止効果、白色化の防止効果がより優れていた。
また、ヨウ素価52〜70のパーム分別軟部油を70質量%以上含む油脂配合物をエステル交換した油脂を含有しない比較例2及び比較例3の油脂組成物は、クリーミング性が不良であり、また、得られた比較例6及び比較例7のチョコチップビスケットは、経日的なビスケット部分からチョコチップ部分への油分移行量は比較的多く、20℃4週間保存テストによってビスケット部分に白色化は生じなかったが、チョコチップ部分は若干ブルームが発生した。また、食感がガリガリして不良であった。特に、液状油を多く使用した比較例2の油脂組成物を使用した比較例6のチョコチップビスケットは、4週間後のチョコチップ部分のべとつきが極めて激しかった。
また、ヨウ素価52〜70のパーム分別軟部油を70質量%以上含む油脂配合物をエステル交換した油脂を70質量%未満しか含有しない比較例4の油脂組成物は、クリーミング性がやや不良であり、また、得られた比較例8のチョコチップビスケットは、経日的なビスケット部分からチョコチップ部分への油分移行量が少ないため、20℃4週間保存テストによってビスケット部分の白色化、チョコチップ部分のブルームが共に発生し、食感もやや不良であった。
Claims (6)
- ヨウ素価52〜70のパーム分別軟部油を70質量%以上含む油脂配合物をエステル交換した油脂を、油相中に80〜100質量%含有することを特徴とする油脂性素材配合焼菓子練り込み用油脂組成物。
- 上記油相中の構成脂肪酸組成において、炭素数20以上の飽和脂肪酸の占める割合が1〜5質量%であることを特徴とする請求項1記載の油脂性素材配合焼菓子練り込み用油脂組成物。
- 上記油相のSFC(固体脂含量)が10℃で15〜50%、20℃で10〜40%、40℃で0〜5%であることを特徴とする請求項1又は2記載の油脂性素材配合焼菓子練り込み用油脂組成物。
- トランス酸を実質的に含有しないことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の油脂性素材配合焼菓子練り込み用油脂組成物。
- 上記油相中に、不飽和脂肪酸を主体とするグリセリン脂肪酸エステルを0.3〜5質量%及びレシチンを0.3〜5質量%含有することを特徴とする請求項1〜4記載の油脂性素材配合焼菓子練り込み用油脂組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の油脂性素材配合焼菓子練り込み用油脂組成物を含有することを特徴とする油脂性素材配合焼菓子
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