JP2008101202A - アクリル系フィルム - Google Patents

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啓太 遠坂
Takuya Kuman
琢也 久万
Akimitsu Tsukuda
佃  明光
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Abstract

【課題】 光学的品位ならびに機械特性に優れたアクリル系フィルムを提供する。
【解決手段】
(i)〜(iii)を満足するアクリル系フィルムとする。
(i)フィルムの長手方向、幅方向の破断点伸度がいずれも5%以上150%以下
(ii)面内の位相差Retが1nm以下でありかつ、厚み方向の位相差Rthが−10nm以上10nm以下
(iii)ナノインデンテーション法で測定したフィルム表面の硬度が0.2GPa以上0.35GPa以下
【選択図】 なし

Description

本発明は光学的品位ならびに機械特性に優れたアクリル系フィルムに関する。
近年、液晶ディスプレイに代表される薄型画像表示素子の需要拡大に伴い、これに用いられる光学用フィルムの需要も拡大している。
この光学用フィルムには、高い透明性、低複屈折性等の優れた光学特性が要求されアクリル系フィルムが好適に使用される。しかし、一般的にアクリル系フィルムは靭性が低く加工性ハンドリング性が良くないといった問題があった。
この靭性を解決するために、たとえば特許文献1にみられるような弾性体粒子を添加することで伸度を向上させ靭性を改善するといった方法があるが、弾性体粒子を添加することによって表面硬度が低下し傷が付きやすくなるといった問題がある。
また、特許文献2にみられるように靭性を向上するために延伸を行うことがあるが、延伸方向の面内に分子が配向し、厚み方向の複屈折が発現することがあった。
さらに、特許文献3には配向時の複屈折の増大を抑制することができる熱可塑性樹脂を混合することで、延伸を行っても面内の複屈折が発現しない製法が提案されているが、この場合も面内の位相差の発現を抑制することはできても厚み方向の複屈折の制御は困難であった。
特に、近年、画像表示素子には広視野角特性が求められるようになってきており、視野角向上のためには厚み方向も含めた複屈折の制御が必要となる。しかし、前述したようなこれまでの延伸方法によって靭性を与えたフィルムは面内および厚み方向の屈折率の制御が不十分であった。
特開2005−314534号公報 特開2006−131898号公報 特開2006−171464号公報
本発明は、上述した従来技術における問題点の解決を課題として検討した結果達成されたものである。すなわち、本発明の目的は、光学的品位ならびに機械特性に優れたアクリル系フィルムを提供することにある。
上記した目的を達成するための本発明は、下記の(i)〜(iii)を同時に満足するアクリル系フィルムによって達成される。
(i)フィルムの長手方向、幅方向の破断点伸度がいずれも5%以上150%以下
(ii)面内の位相差Retが10nm以下でありかつ、厚み方向の位相差Rthが−10nm以上10nm以下
(iii)ナノインデンテーション法で測定したフィルム表面の硬度が0.2GPa以上0.35GPa以下
本発明のアクリル系フィルムは、光学的品位ならびに機械特性に優れるため、画像表示素子などの光学部材に好適に適用することができる。
以下に本発明の好ましい実施の形態を説明する。
本発明におけるアクリル系フィルムは、各種アクリル酸エステル系モノマーの重合体から作られる熱可塑性樹脂をその構造中に含むアクリル系ポリマーからなるフィルムである。本発明で使用できるモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)(アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−メチルブチル(メタ)アクリレート、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアマイド、スチレンやα−メチルスチレン等のスチレン系モノマー、アクリロニトリル、無水マレイン酸などをあげることができる。
本発明のアクリル系フィルムは、フィルムの長手方向、幅方向の破断点伸度がいずれも5%以上150%以下である。破断点伸度が5%以上であるとアクリル系フィルムが適度な柔軟性を示し、製膜時や加工時のフィルム破れが低減し、スリット性などの加工性が向上する。破断点伸度が高いほど靭性は向上するため、好ましくは10%以上、より好ましくは20%以上、さらに好ましくは30%以上である。破断点伸度が5%以上のアクリル系フィルムを得るには、濾過によりフィルム中の異物を除去する、厚みムラを少なくする、二軸延伸するといった方法が好ましい。アクリル系フィルムの破断点伸度は現実的に150%が限界である。
本発明のアクリル系フィルムは、面内の位相差Retが10nm以下である。面内の位相差Retはより好ましくは5nm以下、さらにより好ましくは1nm以下である。アクリル系フィルムをディスプレイ用の光学等方性フィルムに用いるとき、面内の位相差が10nmより大きいと光漏れによるコントラストの低下が起こる、輝度ムラが生じる、または色調が悪化するといった問題が生じやすい。面内の位相差Retは0nmであることが最も好ましく、製膜するときのキャスト時のドラフト比を低くする、キャスト温度を高くする等の方法で配向が生じないようにする、また配向をキャンセルするような最適な延伸倍率に調整する等の方法によって達成することが可能である。
本発明のアクリル系フィルムは、厚み方向の位相差Rthが−10nm以上10nm以下である。厚み方向の位相差Rthは、より好ましくは−5nm以上5nm以下、さらに好ましくは−3nm以上3nm以下である。アクリル系フィルムの厚み方向の位相差Rthが−10nm以上かつ10nm以下であるとき、フィルム面内の光学等方性のみならず厚み方向の光学等方性も優れたアクリル系フィルムとなるため、広視野角特性が要求される用途に用いられる偏光板や光ディスクなどの保護フィルムとして好適に用いることができる。
ここで、面内の位相差Ret、厚み方向の位相差Rthとは、波長590nmの光線に対するアクリル系フィルム面内の遅相軸方向の屈折率をnx、進相軸方向の屈折率をny、波長590nmの光線に対するアクリル系フィルムの厚み方向の屈折率をnz、アクリル系フィルムの厚みをd(nm)としたときに、下式で定義される値である。
面内の位相差Ret(nm)=d×(nx−ny)
厚み方向の位相差Rth(nm)=d×{(nx+ny)/2−nz}
アクリル系フィルムは、キャスト時の配向や延伸によって分子の配向による面内位相差および厚み方向の位相差が発生することがある。本発明のRet、Rthを達成する光学等方性のフィルムを得るためには、製膜条件を分子鎖の配向が大きくならないように調整すること、位相差を発現させる添加剤や共重合成分を導入しないようにすることなどが有効である。また、アクリル系ポリマーの構造を後述する組成にすることでより光学等方性の高いアクリル系フィルムを得ることができる。
靭性向上などを目的として行う延伸などによって位相差が発生する場合、後述するアニール処理を行うことによって位相差を低減し光学等方性の高いフィルムを得ることができる。
本発明のアクリル系フィルムは、ナノインデンテーション法によって深さ1μmを測定した硬度が、0.2GPa以上0.35GPa以下である。0.2GPa以上であれば、表面硬度が向上し製膜、加工時に傷がつきにくくなる。硬度はより好ましくは0.23GPa以上、さらに好ましくは0.25GPa以上である。アクリル系フィルムの場合、現実的には硬度は0.35GPa以下である。
ここで、ナノインデンテーション法とは、超微小硬度計を用いて室温押しこみ負荷/除去試験を行い、得られた荷重−押しこみ深さ線図から硬度−押しこみ深さ線図を作成し硬度を求める方法である。本発明における、ナノインデンテーション法による硬度とは、硬度−押しこみ深さ線図から求められる深さ1μmにおける硬度である。
靭性の高いアクリル系フィルムを得るために弾性体粒子を加えることができるが、弾性体粒子を加えることで、この硬度は低下するため傾向にある。また、アクリル系フィルムにハードコートすることによって耐傷性を向上する方法があるが、ハードコートする前のアクリル系フィルムの硬度が低い場合、ハードコートを行っても耐傷性の向上は困難となる。
本発明のアクリル系フィルムは、フィルム厚みが20μm以上、200μm以下であることが好ましい。厚みが20μm未満の場合、ハンドリング性が低下する傾向にある。また、200μmより大きいと製膜、加工工程時に曲げ等の変形により割れる等の問題が発生しやすくなる。
本発明のアクリル系フィルムは、25℃におけるヘイズが2%以下であることが好ましい。より好ましくは1%以下である。25℃におけるヘイズが2%より大きい場合、ディスプレイ用途で用いた時、コントラストの低下や画像が鮮明に見えないなどの視認性の悪化といった問題が生じることがある。
本発明のアクリル系フィルムは、120℃におけるヘイズが2%以下であることが好ましく、より好ましくは1%以下である。120℃におけるヘイズが2%より大きい場合、自動車のナビゲーションシステムやハンディカメラなどのように、高温下で使用したとき、視認性の悪化が生じるなどの問題が生じることがある。
ヘイズはアクリル系フィルム中の異物を高精度濾過により除去することや、フィルム表面の平滑性を向上させることによって低減することができる。また120℃におけるヘイズは、屈折率の温度依存性が異なる分子をフィルム中に含む場合、高温領域ではヘイズが生じるといった問題が生じることがあるため、フィルムの組成を均一とする、または、可塑剤等の添加物質を加える場合は、あらゆる温度における屈折率が等しい組成の物質を用いて製膜することが重要である。
本発明のアクリル系フィルムはガラス転移温度(Tg)が120℃以上であることが好ましい。より好ましくは130℃以上である。120℃未満の場合、プロジェクターのような高温になる機器や、車載用表示機器のような、高温の環境下で使用できない場合がある。また、フィルム表面にハードコート処理などを行うときに熱により変形し平面性を損なう場合がある。更に、Tgが低いと、溶媒の乾燥工程で、フィルムの耐熱性の問題から乾燥温度が制限され、溶媒乾燥に長時間を要し生産性が低下する場合がある。アクリル系フィルムのTgは現実的には160℃以下である。尚、ここでいうガラス転移温度とは、示差走査熱量測定器(Perkin Elmer社製DSC−7型)を用いて、昇温速度20℃/分で測定し、JIS K7121(1987)に従い求めた中間点ガラス転移温度(Tmg)である。
本発明のアクリル系フィルムは、以上のような物性を満たすアクリル系フィルムであれば良いが、構造式(a)〜(c)で表される構造単位のうち少なくとも1つ以上を含有するアクリル系ポリマーを用いると高い透明性、低複屈折性、耐侯性、成形性といった光学用途に適した特性を持っており好適である。
Figure 2008101202
(上記式中、R1、R2は、同一または相異なる水素原子または炭素数1〜5のアルキル基または、カルボキシル基、または炭素数2〜5のカルボキシアルキル基を表す。また、上記式中、X1、X2は、同一または相異なるCHまたはC=Oを表す。Xは、O、またはNRを表す。Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基または、カルボキシル基、または炭素数2〜5のカルボキシアルキル基を表す。)
特に耐熱性の点から、R1,R2は水素またはメチル基またはカルボキシメチル基が好ましく、とりわけメチル基が好ましく、X1、X2は、C=Oが好ましい。また、透明性の観点からXは、Oが好ましい。
Figure 2008101202
(上記式中、R、水素原子または炭素数1〜5のアルキル基または、カルボキシル基、または炭素数2〜5のカルボキシアルキル基を表す。)
特に耐熱性の点から、Rはメチル基が好ましい。
Figure 2008101202
(上記式中、Rは炭素数6〜15の脂環式構造を含有する置換基を表す。)
特に低吸湿性の点から、Rは下記構造式(d)、(e)で表される置換基であることが好ましい。
Figure 2008101202
Figure 2008101202
構造式(a)〜(c)の中でも、特に構造式(f)に示す環化構造を有するアクリル系ポリマーを用いると、透明性、耐熱性、生産性に優れ、また、光学等方性に優れたフィルムを得ることができるため好ましい。
Figure 2008101202
(上記式中、R、Rは、同一または相異なる水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表す。)
特に耐熱性の点からは、R,Rは水素またはメチル基が好ましく、とりわけメチル基が好ましい。
次に、上記構造式(f)で表されるグルタル酸無水物単位を含有するアクリル系ポリマーの製造方法の例を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
すなわち、後の加熱工程により上記構造式(f)で表されるグルタル酸無水物単位を与える不飽和カルボン酸単量体(i)および不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体(ii)と、その他のビニル系単量体単位を含む場合には該単位を与えるビニル系単量体(iii)とを重合させ、共重合体(ア)とした後、かかる共重合体(ア)を適当な触媒の存在下あるいは非存在下で加熱し、脱アルコールおよび/または脱水による分子内環化反応を行わせることにより製造することができる。この場合、典型的には共重合体(ア)を加熱することにより2単位の不飽和カルボン酸単位のカルボキシル基が脱水されて、あるいは隣接する不飽和カルボン酸単位と不飽和カルボン酸アルキルエステル単位からアルコールの脱離により1単位の前記グルタル酸無水物単位が生成される。この際用いられる不飽和カルボン酸単量体(i)としては、特に限定はなく、他のビニル化合物(iii)と共重合させることが可能な、構造式(g)の不飽和カルボン酸単量体が使用できる。
Figure 2008101202
(上記式中、Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表す。)
特に、熱安定性が優れる点でアクリル酸、メタクリル酸が好ましく、より好ましくはメタクリル酸である。これらはその1種、または2種以上用いることができる。なお、上記構造式(g)で表される不飽和カルボン酸単量体(i)は共重合すると上記構造式(f)で表される構造の不飽和カルボン酸単位を与える。
また、不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体(ii)としては特に制限はないが、好ましい例として、下記構造式(h)で表されるものを挙げることができる。
Figure 2008101202
(上記式中、Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表す。R10は水素原子または炭素数1〜6の脂肪族、もしくは脂環式炭化水素基を示す。)
これらのうち、炭素数1〜6の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基または置換基を有する該炭化水素基をもつアクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルが熱安定性が優れる点で特に好適である。なお、上記構造式(h)で表される不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体は、共重合すると上記構造式(f)で表される構造の不飽和カルボン酸アルキルエステル単位を与える。
不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体(ii)の好ましい具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸クロロメチル、(メタ)アクリル酸2−クロロエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシルおよび(メタ)アクリル酸2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチルなどが挙げられ、中でもメタクリル酸メチルが最も好ましく用いられる。これらはその1種または2種以上を用いることができる。
また、本発明で用いるアクリル系ポリマーの製造においては、本発明の効果を損なわない範囲で、スチレン、アクリルアミド、メタクリルアミドなど、他のビニル系単量体(iii)を用いてもかまわないが、透明性、複屈折、耐薬品性の点で芳香環を含まない単量体がより好ましく使用できる。これらは単独ないし2種以上を用いることができる。
アクリル系ポリマーの重合方法については、基本的にはラジカル重合による、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等の重合方法を用いることができるが、不純物がより少ない点で溶液重合、塊状重合、懸濁重合が特に好ましい。
重合温度については、特に制限はないが、色調の観点から、不飽和カルボン酸単量体および不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体を含む単量体混合物を95℃以下の重合温度で重合することが好ましい。また、重合温度の下限は、重合が進行する温度であれば、特に制限はないが、重合速度を考慮した生産性の面から、通常50℃以上である。重合収率あるいは重合速度を向上させる目的で、重合進行に従い重合温度を昇温することも可能である。また重合時間は、必要な重合度を得るのに十分な時間であれば特に制限はないが、生産効率の点から60〜360分間の範囲が好ましい。
本発明において、アクリル系ポリマーの製造時に用いられるこれらの単量体混合物の好ましい割合は、該単量体混合物を100質量部として、不飽和カルボン酸単量体(i)が5〜50質量部、より好ましくは9〜33質量部、不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体(ii)は好ましくは50〜95質量部、より好ましくは67〜91質量部、これらに共重合可能な他のビニル系単量体(iii)を用いる場合、その好ましい割合は0〜5質量部であり、より好ましい割合は0〜3質量部である。
不飽和カルボン酸単量体量(i)が5質量部未満の場合には、共重合体(ア)の加熱などによる上記構造式(f)で表されるグルタル酸無水物単位の生成量が少なくなり、本発明のアクリル系フィルムの耐熱性向上効果が小さくなる傾向がある。一方、不飽和カルボン酸単量体量(i)が50質量部より大きい場合には、共重合体(ア)の加熱による環化反応後に、不飽和カルボン酸単位が多量に残存する傾向があり、無色透明性、滞留安定性が低下する傾向がある。
また、本発明のアクリル系フィルムに使用するアクリル系ポリマーは、質量平均分子量が8万〜15万であることが好ましい。このような分子量を有するアクリル系ポリマーは、共重合体(ア)の製造時に、共重合体(ア)を所望の分子量、すなわち質量平均分子量で8万〜15万に予め制御しておくことにより、達成することができる。質量平均分子量が、15万をより大きい場合、後工程の環化時に着色する傾向が見られる。一方、質量平均分子量が、8万未満の場合、アクリル系フィルムの機械的強度が低下する傾向が見られる。
本発明に好ましく用いられるアクリル系ポリマーの製造に用いる共重合体(ア)を加熱し、(イ)脱水および/または(ロ)脱アルコールにより分子内環化反応を行いグルタル酸無水物単位を含有する熱可塑性重合体を製造する方法としては、特に制限はないが、ベントを有する加熱した押出機に通して製造する方法や不活性ガス雰囲気または減圧下で加熱脱揮できる装置内で製造する方法が生産性の観点から好ましい。中でも、酸素存在下で加熱による分子内環化反応を行うと、黄色度が悪化する傾向が見られるため、十分に系内を窒素などの不活性ガスで置換することが好ましい。また、これらに窒素などの不活性ガスが導入可能な構造を有した装置であることがより好ましい。例えば、二軸押出機に、窒素などの不活性ガスを導入する方法としては、ホッパー上部および/または下部より、10〜100リットル/分程度の不活性ガス気流の配管を繋ぐ方法などが挙げられる。
なお、環化時の温度は、(イ)脱水および/または(ロ)脱アルコールにより分子内環化反応が生じる温度であれば特に限定されないが、好ましくは180〜300℃の範囲、特に200〜280℃の範囲が好ましい。
また、この際の環化時間も特に限定されず、所望する共重合組成に応じて適宜設定可能であるが、通常、1分間〜60分間、好ましくは2分間〜30分間、とりわけ3〜20分間の範囲が好ましい。特に、押出機を用いて、十分な分子内環化反応を進行させるための加熱時間を確保するため、押出機スクリューの長さ/直径比(L/D)が40以上であることが好ましい。L/Dの短い押出機を使用した場合、未反応の不飽和カルボン酸単位が多量に残存するため、加熱成形加工時に反応が再進行し、成形品にシルバーや気泡が見られる傾向や成形滞留時に色調が大幅に低下する傾向がある。
さらに本発明では、共重合体(ア)を上記方法等により加熱する際にグルタル酸無水物への環化反応を促進させる触媒として、酸、アルカリ、塩化合物の1種以上を添加することができる。その添加量は特に制限はなく、共重合体(ア)100質量部に対し、0.01〜1質量部程度が適当である。
アクリル系ポリマーは、ガラス転移温度(Tg)が120℃以上であることが耐熱性の面で好ましい。ガラス転移温度を上げる方法としては、特に限定されないが、アクリル系ポリマー中の、例えば、前記構造式(f)で表される様な環化構造単位の含有量を増やすことが効果的である。
本発明のアクリル系ポリマーとしては、上記構造式(f)で表されるグルタル酸無水物単位と不飽和カルボン酸アルキルエステル単位からなる共重合体を好ましく使用することができる。不飽和カルボン酸アルキルエステル単位とグルタル酸無水物単位の含有量は、特に制限はないが、耐熱性が向上することから、不飽和カルボン酸アルキルエステル単位とグルタル酸無水物単位の合計を100質量部としたときに、好ましくは不飽和カルボン酸アルキルエステル単位50〜90質量部およびグルタル酸無水物単位10〜50質量部からなり、より好ましくは、不飽和カルボン酸アルキルエステル単位55〜80質量部およびグルタル酸無水物単位20〜45質量部からなる。グルタル酸無水物単位が10質量部未満である場合、耐熱性向上効果が小さくなるだけでなく、十分な低複屈折性(光学等方性)や耐薬品性が得られない傾向がある。
また、本発明のアクリル系ポリマーにおける各成分単位の定量は、プロトン核磁気共鳴(H−NMR)法による測定により行う。H−NMR法では、例えば、グルタル酸無水物単位、メタクリル酸、メタクリル酸メチルからなる共重合体の場合、ジメチルスルホキシド重溶媒中でのスペクトルの帰属を、0.5〜1.5ppmのピークがメタクリル酸、メタクリル酸メチルおよびグルタル酸無水物環化合物のα−メチル基の水素、1.6〜2.1ppmのピークはポリマー主鎖のメチレン基の水素、3.5ppmのピークはメタクリル酸メチルのカルボン酸エステル(−COOCH)の水素、12.4ppmのピークはメタクリル酸のカルボン酸の水素と、スペクトルの積分比から共重合体組成を決定することができる。また、上記に加えて、他の共重合成分としてスチレンを含有する共重合体の場合、6.5〜7.5ppmにスチレンの芳香族環の水素が見られ、同様にスペクトル比から共重合体組成を決定することができる。
また、本発明のアクリル系ポリマーは、アクリル系ポリマー中に他の不飽和カルボン酸単位および/または、共重合可能な他のビニル系単量体単位を含有することができる。
上記の熱可塑性重合体100質量部中に含有される他の不飽和カルボン酸単位量は10質量部以下、すなわち0〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0〜5質量部、最も好ましくは0〜1質量部である。不飽和カルボン酸単位が10質量部を超える場合には、無色透明性、滞留安定性が低下する傾向がある。
また、共重合可能な他のビニル系単量体単位量は、上記熱可塑性重合体100質量部中、5質量部以下、すなわち0〜5質量部の範囲であることが好ましく、より好ましくは0〜3質量部である。特に、スチレンなどの芳香族ビニル系単量体単位を含有する場合、含有量が上記範囲を超えると、無色透明性、光学等方性、耐薬品性が低下する傾向がある。
また、本発明のアクリル系フィルムには本発明の目的を損なわない範囲で、他の熱可塑性樹脂(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリイミド、ポリエーテルイミドなど)、熱硬化性樹脂(例えばフェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂など)の一種以上をさらに含有させることができ、また、ヒンダードフェノール系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、およびシアノアクリレート系の紫外線吸収剤および酸化防止剤、高級脂肪酸や酸エステル系および酸アミド系、さらに高級アルコールなどの滑剤および可塑剤、モンタン酸およびその塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアラミドおよびエチレンワックスなどの離型剤、亜リン酸塩、次亜リン酸塩などの着色防止剤、ハロゲン系難燃剤、リン系やシリコーン系の非ハロゲン系難燃剤、核剤、アミン系、スルホン酸系、ポリエーテル系などの帯電防止剤、顔料などの着色剤などの添加剤を任意に含有させてもよい。ただし、適用する用途が要求する特性に照らし、その添加剤保有の色が熱可塑性重合体に悪影響を及ぼさず、かつ透明性が低下しない範囲で添加することが重要である。
本発明のアクリル系フィルムの製造方法には、種々の方法を使用することができる。例えば、溶融製膜法、溶液製膜法、ホットプレス法等の製造法が使用できるが、好ましくは溶液製膜法、溶融製膜法が使用できる。さらに好ましくはフィルムの品質を優先する場合、溶液製膜法が最も好ましい。また、生産速度およびコストを優先する場合、溶融製膜法が最も好ましい。
以下に溶液製膜法を例にとってアクリル系フィルムを得る方法を説明するが本発明はこれに限定されるものではない。まず、アクリル系ポリマーを溶媒に溶解させてアクリル系ポリマー溶液を調製する。アクリル系ポリマーを溶解する溶媒としては特に限定はなく、塩化メチレン、塩化エチレン、クロロホルム、などのハロゲン化炭化水素系有機溶媒、アセトン、2−ブタノンなどのケトン系溶媒、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2ピロリドンなどの溶媒を例示できる。これらの溶媒は単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。なお、アクリル系ポリマーを溶液重合により調製した場合は、この重合溶液をそのまま製膜用のアクリル系ポリマー溶液としてもよいし、一旦単離したアクリル系ポリマーを上記有機溶媒に溶解させて製膜用のアクリル系ポリマー溶液としてもよい。
アクリル系ポリマー溶液はフィルム欠点やヘイズを良好とし伸度を向上させるために、濾過により異物を除去することが好ましい。このような濾過に用いるフィルターとしては、例えば、金網、燒結金属、多孔質セラミック、ガラス、ポリプロピレン系やポリエチレン樹脂などポリマーからなるフィルター、あるいは上記素材の2種類以上を組み合わせたフィルターがあげられる。
このフィルターの濾過精度は好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下、さらに好ましくは1μm以下である。フィルターの濾過精度は小さいほど好ましいが、小さすぎると目詰まりによるフィルター交換頻度が多くなり生産性が低下するため、濾過精度の下限としては0.1μm程度である。濾過精度の異なる複数のフィルターにより段階的に濾過を行うと濾過寿命が延長されるため好ましい。
溶液製膜法には乾湿式法、乾式法、湿式法などがあり、いずれの方法で製膜しても差し支えないが、ここでは乾式法を例にとって説明する。
支持体にアクリル系ポリマー溶液を塗布する方法としては、アクリル系ポリマー溶液の粘弾性、アクリル系ポリマー溶液塗布厚み、支持体の種類、使用する有機溶媒などにより適宜選択されるが、正回転ロールコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター、ナイフコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、エアドクターコーター、カーテンコーター、ファウテンコーター、キスコーター、スクリーンコーター、コンマコーター、スリットダイコーターなどによって塗布することができる。
アクリル系ポリマー溶液を、ポリマーフィルム、ドラム、エンドレスベルトなどの支持体上に流延して塗膜を形成し、続く乾燥工程でかかる膜層から溶媒を揮発させ塗膜が自己支持性をもつまで乾燥する。その後、熱処理を行い残存溶媒の濃度を2質量%以下としたフィルムを得る。
フィルムが自己支持性を持つまでの乾燥工程は、温度が沸点より高いと発泡によるアクリル系フィルムの欠点が生じやすいため溶媒の沸点以下であることが好ましい。乾燥温度はあまり低すぎるとアクリル系フィルムの乾燥に長時間を要し生産性が悪いため、下限は0℃である。
次に乾燥工程を終えたアクリル系フィルムについて熱処理を行い、フィルム中の溶媒を揮発させる。熱処理の温度は(Tg−50)℃〜(Tg+50)℃の温度範囲で行うことが好ましい。熱処理の温度が低すぎると溶媒の乾燥に時間がかかり生産性が低下しやすい。温度が高すぎると、フィルム中の残存溶媒が揮発する際に発泡が生じる場合がある。熱処理工程後のアクリル系フィルム中の残存溶媒濃度は2質量%以下であることが好ましい。残存溶媒濃度が2質量%より大きいと製品として使用したときに溶媒が溶出する場合がある。フィルムの剛性が優れることから残存溶媒濃度はより好ましくは1質量%以下である。また、残存溶媒の影響でナノインデンテーション硬度が低くなることがある。残存溶媒濃度は少ないほど好ましいが、溶液製膜法で製膜したフィルム中の溶媒をすべて除去することは難しく、現実的には0.001質量%程度が下限である。
得られたアクリル系フィルムは、例えば工程フィルムを基材として製膜した場合は、積層したまま巻き取ってもよいし、乾燥工程の途中または最後で基材から剥離してもよい。基材から剥離する場合は、保護フィルムを積層して巻き取ると傷が抑制されるため好ましい。
次に溶融製膜法を例にとってアクリル系フィルムを得る方法を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。溶融製膜法には単軸あるいは二軸の押出スクリューのついたエクストルーダ型溶融押出装置等が使用できる。そのスクリューのL/Dとしては、25〜120とすることが着色を防ぐために好ましい。溶融押出温度としては、好ましくは150〜350℃、より好ましくは200〜300℃である。溶融剪断速度としては、1,000s−1以上5,000s−1以下が好ましい。また、溶融押出装置を使用し溶融混練する場合、着色抑制の観点から、ベントを使用し減圧下で、あるいは窒素気流下で溶融混練を行うことが好ましい。
Tダイ法は溶融した樹脂をギアポンプで計量した後にTダイ口金から吐出させ、静電印加法、エアーチャンバー法、エアーナイフ法、プレスロール法などでドラムなどの冷却媒体上に密着させて冷却固化し、フィルムを得ることができる。特に厚みムラが少なく透明なフィルムを得るには、プレスロール法が好ましい。
アクリル系フィルムの長手方向、幅方向の破断点伸度をいずれも5%以上とするためには、こうして得られた未延伸のフィルムを二軸延伸することが好ましい。二軸延伸の延伸方式は特に限定されず、逐次二軸延伸方式、同時二軸延伸方式などの方法を用いることができる。
同時二軸延伸方式により延伸する場合は、リニアモーターを利用した駆動方式によるテンターを用いて同時二軸延伸する方法が好ましい。フィルム把持クリップの駆動方式には、チェーン駆動方式、スクリュー駆動方式、パンタグラフ方式などを採用することもできる。
逐次二軸延伸方式としては、例えば、加熱された複数のロール群からなる縦延伸機を用いロールの周速差を利用して縦延伸を行ったあと、フィルムの両端をクリップなどで把持して、テンターに導き幅方向の延伸を行う方式などがあげられる。
延伸は、アクリル系フィルムのガラス転移温度をTgとしたとき(Tg−20)℃以上、(Tg+20)℃以下の温度で行うことが好ましい。延伸温度がこの範囲を外れると均一延伸ができなくなり、厚みムラやフィルム破れが生じることがある。また、(Tg−20)℃よりも低い温度での延伸はより分子の配向が大きくなるため位相差がつきやすく、(Tg+20)℃より高い温度での延伸は分子の配向が起こらないため破断点伸度が向上せず、また延伸時にフィルムの面状態が低下しやすい。延伸温度は、より好ましくは(Tg−10)℃以上、(Tg+10)℃以下で行う。延伸倍率は長手方向および幅方向に1.2〜2.0倍延伸することが好ましい。延伸倍率が高いほど、分子の配向が大きくなるため位相差が大きくなることがある。延伸倍率は1.2〜1.5倍の延伸を行うことがより好ましい。延伸速度は特に限定されないが100〜50,000%/分が好ましい。延伸速度が遅い場合、生産性が低下する。延伸速度が速すぎると、フィルム破れが生じやすい、厚みムラが生じやすいといった問題が生じることがある。
延伸したアクリル系フィルムは、特に厚み方向の位相差Rthを低減するためにアニール処理を行うことが好ましい。アニール処理は、水浴、湿熱処理、溶媒浴によって行うことができる。処理方法は、延伸してロールに巻き取ったフィルムに対し行ってもよいし、製膜中にアニール処理条件に制御した槽を通すことで実施してもよい。
アニール処理は、室温〜(Tg−50)℃の温度で行うことが好ましく、より好ましくは40℃〜(Tg−50)℃の温度で行う。アニール処理の温度が低すぎると、厚み方向の位相差の低減にかかる時間が長くなるため生産性が低下することがある。処理温度が高すぎると、アクリル系フィルムの寸法変化が生じやすくなる傾向にある。
アニールの処理時間は、水浴、湿熱処理、溶媒浴といったそれぞれの方法によって異なるが、0.5時間から100時間の処理を行うのが位相差低減のために好ましい。
本発明のアクリル系フィルムは、透明性、光学等方性、靭性に優れるため、例えば、各種カバー、各種端子板、プリント配線板、スピーカー、顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計などに代表される光学機器、また、映像機器関連部品としてカメラ、VTR、プロジェクションTV等のファインダー、フィルター、プリズム、フレネルレンズ等、光記録・光通信関連部品として各種光ディスク(VD、CD、DVD、MD、LD等)基板保護フィルム、光スイッチ、光コネクター等、情報機器関連部品として、液晶ディスプレイ、フラットパネルディスプレイ、プラズマディスプレイの導光板、フレネルレンズ、偏光板、偏光子保護フィルム、位相差フィルム、光拡散フィルム、視野角拡大フィルム、反射フィルム、反射防止フィルム、防眩フィルム、輝度向上フィルム、タッチパネル用導電フィルム、カバー等、に用いることができるが、特に光学等方性に優れるため、基板フィルムや、偏光子保護フィルムとして極めて有用である。
[物性の測定方法]
以下、実施例により本発明の構成、効果をさらに具体的に説明する。最も、本発明は下記実施例に限定されるものではない。各実施例の記述に先立ち、実施例で採用した測定方法を記載する。
1.破断点伸度
(株)オリエンテック製のフィルム強伸度自動測定装置“テンシロンAMF/RTA−100”を用いて、次の条件で測定した。
試料サイズ:幅10mm、長さ150mm
チャック間距離50mm
引張速度:300mm/分
測定環境:23℃、65%RH、大気圧下
フィルム破断時の長さからチャック間距離を減じたものをチャック間距離で除したものに100を乗じて破断点伸度とした。測定はフィルムの長手方向、幅方向それぞれについて5回行い、平均値をとった。
2.面内の位相差Ret、厚み方向の位相差Rth
王子計測機器(株)製の自動複屈折系“KOBRA−21ADH、Ver.6.3B(低位相差測定専用)”の測定メニュー「屈折率測定」を用い、波長590nmの光線に対するフィルム面内の位相差Retと、厚み方向の位相差Rthを測定した。
3.ナノインデンテーション法による硬度
MTSシステムズ社製の超微小硬度計「Nano Indenter XP」を用いてナノインデンテーション法によって測定を行った。測定条件を下記の条件とし、押しこみ負荷/除荷試験を行い、荷重−押しこみ線図を取得する。
測定方法:ナノインデンテーション法(連続剛性測定法)
使用圧子:ダイヤモンド製正三角錐圧子
最大押しこみ深さ:3μm
測定雰囲気:室温、大気中
荷重Pと押しこみ後に弾性変形分が回復し、残存する圧痕の投影面積Aを用いて、硬度は式(1)より求められる。本発明における硬度は押し込み深さ1μmのときの硬度である。
硬度=P/A ・・・(1)
4.ヘイズ
室温25℃の雰囲気下で、東洋精機(株)製直読ヘイズメーターを用いて、ヘイズ(%)を3回測定し、平均値で透明性を評価した。光源にはハロゲンランプ(12V50W)を用い、JIS−K7136−2000に準じて測定を行った。
120℃におけるヘイズは、120℃に熱したガラス板をブランクとしたときに、該ガラス上にフィルムを張り付け、温度計にて120℃となっていることを確認した状態で測定を行った。
5.ガラス転移温度(Tg)
示差走査熱量計(Perkin Elmer社製DSC−7型)を用い、窒素雰囲気下、20℃/minの昇温速度で測定した。サンプル量は5mgとした。
尚、ここでいうガラス転移温度とは、示差走査熱量測定器(Perkin Elmer社製DSC−7型)を用いて、昇温速度20℃/分で測定し、JIS K7121(1987)に従い、求めた中間点ガラス転移温度(Tmg)である。
6.質量平均分子量(絶対分子量)
アクリル系ポリマー10mgをジメチルホルムアミド2gに溶解して、DAWN−DSP型多角度光散乱光度計(Wyatt Technology社製)を備えたゲルパーミエーションクロマトグラフ(ポンプ:515型、Waters社製、カラム:TSK−gel−GMHXL、東ソー社製)を用いて、カラム温度30℃、流速1.0L/分で測定した。
7.残存溶媒
製膜直後のフィルムを20cm四方でサンプリングし、フィルム重量wを秤量した。次にこのフィルムを温度200℃の熱風オーブン中で10分間熱処理した後、フィルム重量wを秤量し、以下の式からフィルム中の残存溶媒を求めた。なお、測定は2回行い平均値を求めた。
残存溶媒(%)=(w−w)/w×100
8.フィルム厚み
マイクロ厚み計(アンリツ社製)を用いて5点の測定し、平均値を求めた。
9.高速スリット性
市販スリッターを用い、フェザー安全剃刀(株)製片刃(FAS−10)での空中カットで、長さ500mのフィルムについて張力15kg/m、10m/分の条件でスリットを行い、スリット後の端面を目視観察して以下の判定を行った。
不良:スリット中にフィルムが破断しスリット不可能であった。もしくは、スリット可能であっても、端面が不揃いな部分が存在し、目視で周期0.5mm以上、振幅5mm以上の端面乱れが観察される。
良:スリットが可能であったが、周期0.5mm以上、振幅1mm以上5mm以上の端面乱れが観察される。
優:端面が直線であり、目視判定で0.5mm以上の周期の端面乱れが観察されない。
測定は各水準について10回行い、最も悪い結果を用いた。
10.コントラスト
テーブルと水平なステージに下から順に偏光板、試料、偏光板と設置する。ここで、下側の偏光板は回転可能とする。
テーブルから垂直上向きに光源からでた出射光を上記偏光板、試料、偏光板を通過せしめ、トプコン社製色彩輝度計BM−5Aで輝度を測定した。ここで偏光板は日東電工社製偏光フィルムG1220DUを用いた。また、光源は蛍光管FL6AEX規格を用いた。
測定はまず、上下の偏光板の吸収軸が並行になるようにし、試料を0.1°ピッチで±2°回転せしめる。この測定の中で最小の輝度となった値を「並行時の最大輝度」とする次に下側の偏光板を時計回りに90°回転させ、試料を0.1°ピッチで±2°回転せしめる。この測定の中で最小の輝度となった値を「偏光板直交時の最小輝度」とする。次に式(2)に従いコントラスト値を算出した。測定は5回行い、平均値をとった。
コントラスト値=(並行時の最大輝度)/(直交時の最小輝度)・・・(2)
11.鉛筆引掻試験
HEIDON(新東科学株式会社製)を用いて、下記条件で鉛筆引掻試験を行った。引掻傷が測定回数5回中、2回以上付くときの鉛筆の硬さを鉛筆硬度とした。鉛筆硬度が2B以上のものを合格とした。
鉛筆角度:45°
鉛筆速度:30mm/分
引掻距離:30mm
錘:500g
12.視認性
アクリル系フィルムの下にカラー写真を置き、アクリル系フィルムを通して写真を見た場合の画像の鮮明度とムラを目視で観察した。
像が鮮明に見える:○
像がぼやける:×
13.高温視認性
アクリル系フィルムを金枠に張り、120℃にて恒温したオーブン内に置いたときの視認性を確認した。室温に置く時と視認性が変わらないものを○。白くぼやけるものを×とした。
[実施例]
(1)アクリル系ポリマーの調製
アクリル系ポリマー(あ)
先ず、メタクリル酸メチル/アクリルアミド共重合体系懸濁剤を、次の様にして調整した。
メタクリル酸メチル20質量部、
アクリルアミド80質量部、
過硫酸カリウム0.3質量部、
イオン交換水1500質量部
を反応器中に仕込み、反応器中を窒素ガスで置換しながら、単量体が完全に重合体に転化するまで、70℃に保ち反応を進行させた。得られた水溶液を懸濁剤とした。容量が5リットルで、バッフルおよびファウドラ型撹拌翼を備えたステンレス製オートクレーブに、上記懸濁剤0.05質量部をイオン交換水165質量部に溶解した溶液を供給し、系内を窒素ガスで置換しながら400rpmで撹拌した。
次に、下記仕込み組成の混合物質を、反応系を撹拌しながら添加した。
メタクリル酸 :27質量部
メタクリル酸メチル :73質量部
t−ドデシルメルカプタン :1.2質量部
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル:0.4質量部
添加後、70℃まで昇温し、内温が70℃に達した時点を重合開始時点として、180分間保ち、重合を進行させた。
その後、通常の方法に従い、反応系の冷却、ポリマーの分離、洗浄、乾燥を行い、ビーズ状の共重合体を得た。この共重合体の重合率は97%であり、質量平均分子量は13万であった。上記共重合体に添加剤(NaOCH3)を0.2質量%配合し、2軸押出機(TEX30(日本製鋼社製、L/D=44.5)を用いて、ホッパー部より窒素を10L/分の量でパージしながら、スクリュー回転数100rpm、原料供給量5kg/h、シリンダ温度290℃で分子内環化反応を行い、ペレット状のアクリル系ポリマー(あ)を得た。アクリル系ポリマー(あ)の分子量は13万、Tgは140℃であった。
(2)弾性体粒子の調製
多層構造重合体である弾性体粒子(い)
冷却器付きのガラス容器(容量5リットル)内に、初期調整溶液として、
脱イオン水120質量部、
炭酸カリウム0.5質量部、
スルホコハク酸ジオクチル0.5質量部、
過硫酸カリウム0.005質量部
を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌後、
アクリル酸ブチル53質量部、
スチレン17質量部、
メタクリル酸アリル(架橋剤)1質量部
を仕込んだ。これら混合物を70℃で30分間反応させて、ゴム質重合体を得た。
次いで、
メタクリル酸メチル21質量部、
メタクリル酸9質量部、
過硫酸カリウム0.005質量部
の混合物を引き続き70℃で90分かけて連続的に添加し、更に90分間保持して、シェル層を重合させた。
この重合体ラテックスを硫酸で凝固し、苛性ソ−ダで中和した後、洗浄、濾過、乾燥して、多層構造重合体である弾性体粒子(い)を得た。電子顕微鏡で測定した弾性体粒子のゴム質重合体部分の平均粒子径は140nmであった。
(3)アクリル系ポリマー(あ)と弾性体粒子(い)との配合
アクリル系ポリマー(あ)80質量部と弾性体粒子(い)20質量部とを配合し、2軸押出機(日本製鋼社製TEX30、L/D=44.5)を用いて、スクリュー回転数150rpm、シリンダ温度280℃で混練し、ペレット状のアクリル系ポリマー組成物(う)を得た。ポリマーのTgは137℃であった。
(4)アクリル系ポリマー(あ)溶液の調整
アクリル系ポリマー(あ)を80℃で8時間減圧乾燥した後、2−ブタノンに固形分濃度25質量%となるように溶解させ、1.2μmカットフィルターを用いて濾過を行い、ホッパーにて24時間静置して溶液中の泡を除去してアクリル系ポリマー溶液(え)を得た。このポリマー溶液の25℃における粘度は4Pa・sであった。
(5)アクリル系ポリマー組成物(う)溶液の調整
アクリル系ポリマー組成物(う)を80℃で8時間減圧乾燥した後、2−ブタノンに固形分濃度25質量%となるように溶解させ、1.2μmカットフィルターを用いて濾過を行い、ホッパーにて24時間静置して溶液中の泡を除去してアクリル系ポリマー組成物溶液(お)を得た。このポリマー溶液の25℃における粘度は4Pa・sであった。
(6)溶液製膜
上記の方法で調整したポリマー溶液を22℃で、ギアポンプを用い、リップ間隙0.5mm、幅300mmのTダイを通じて、離型処理を施したPETフィルム上に流延した。その後、60℃、70℃、90℃、100℃、120℃の乾燥を段階的に各1分行い、さらに130℃の熱処理を3分、170℃の熱処理を40分行い、100μmのアクリル系フィルムを得た。
(実施例1)
アクリル系ポリマー溶液(え)を製膜してアクリル系フィルムを得た。このアクリル系フィルムを、リニア式の同時二軸テンターを用いて延伸温度130℃にて長手方向、幅方向いずれも1.5倍となるように二軸延伸を行い、60℃の水浴によるアニール処理を30分行った。
(実施例2)
アクリル系ポリマー溶液(え)を製膜してアクリル系フィルムを得た。このアクリル系フィルムを、延伸温度130℃にてフィルムの長手方向、幅方向いずれも1.5倍となるように二軸延伸を行い、温度60℃湿度90%の条件でアニール処理を48時間行った。
(実施例3)
アクリル系ポリマー溶液(え)を製膜してアクリル系フィルムを得た。このアクリル系フィルムを、延伸温度130℃にてフィルムの長手方向、幅方向いずれも1.1倍となるように二軸延伸を行い、60℃の水浴によるアニール処理を30分行った。
(実施例4)
アクリル系ポリマー溶液(え)を製膜してアクリル系フィルムを得た。このアクリル系フィルムを、延伸温度120℃にてフィルムの長手方向、幅方向いずれも1.5倍となるように二軸延伸を行い、60℃の水浴によるアニール処理を30分行った。
(実施例5)
アクリル系ポリマー溶液(え)を製膜してアクリル系フィルムを得た。このアクリル系フィルムを、延伸温度140℃にてフィルムの長手方向、幅方向いずれも1.5倍となるように二軸延伸を行い、60℃の水浴によるアニール処理を30分行った。
(実施例6)
アクリル系ポリマー溶液(え)を22℃で、ギアポンプを用い、リップ間隙0.1mm、幅300mmのTダイを通じて、離型処理を施したPETフィルム上に流延した。その後、60℃、70℃、90℃、100℃、120℃の乾燥を段階的に各1分行い、さらに130℃の熱処理を3分、170℃の熱処理を10分行い、20μmのアクリル系フィルムを得た。こうして得られたアクリル系フィルム上に22℃で、ギアポンプを用い、リップ間隙0.1mm、幅300mmのTダイを通じて、アクリル系ポリマー組成物溶液(お)を流延した。その後、60℃、70℃、90℃、100℃、120℃の乾燥を段階的に各1分行い、さらに130℃の熱処理を3分、170℃の熱処理を10分行い、40μmのアクリル系フィルムを得た。さらにその上に22℃で、ギアポンプを用い、リップ間隙0.1mm、幅300mmのTダイを通じて、アクリル系ポリマー溶液(え)を流延した。その後、60℃、70℃、90℃、100℃、120℃の乾燥を段階的に各1分行い、さらに130℃の熱処理を3分、170℃の熱処理を10分行った。こうして、三層構造を有する厚み60μmのアクリル系フィルムを得た。
(実施例7)
100℃で3時間乾燥したアクリル系ポリマー(あ)を45mmφの一軸押出機(S1)(設定温度250℃)で溶融してギアポンプで移送し、濾過精度50μmのフィルターで濾過した後、Tダイ(設定温度250℃、スリット間隙0.6mm、スリット幅400mm)を介してシート状に押出した。
ダイから吐出後のシートをタッチロール式の製膜機を用い、130℃の冷却ロールに片面を完全に接着させるようにして冷却し、アクリル系フィルムを得た。このとき、Tダイのリップ間隙/フィルム厚み=2.4となるよう、冷却ロールの速度を調整した。得られたフィルムの厚みは250μmであった。
このアクリル系フィルムを、延伸温度135℃にてフィルムの長手方向、幅方向いずれも2.5倍となるように二軸延伸を行い、60℃の水浴によるアニール処理を30分行った。
(実施例8)
100℃で3時間乾燥したアクリル系ポリマー(あ)を45mmφの一軸押出機(S1)(設定温度250℃)で溶融してギアポンプで移送し、濾過精度50μmのフィルターで濾過した後、Tダイ(設定温度250℃、スリット間隙0.6mm、スリット幅400mm)を介してシート状に押出した。
ダイから吐出後のシートをタッチロール式の製膜機を用い、130℃の冷却ロールに片面を完全に接着させるようにして冷却し、アクリル系フィルムを得た。このとき、Tダイのリップ間隙/フィルム厚み=7.5となるよう、冷却ロールの速度を調整した。得られたフィルムの厚みは80μmであった。
このアクリル系フィルムを、延伸温度135℃にてフィルムの長手方向、幅方向いずれも1.4倍となるように二軸延伸を行い、60℃の水浴によるアニール処理を30分行った。
(実施例9)
100℃で3時間乾燥したアクリル系ポリマー(あ)を45mmφの一軸押出機(S1)(設定温度250℃)で溶融してギアポンプで移送し、濾過精度50μmのフィルターで濾過した後、Tダイ(設定温度250℃、スリット間隙0.6mm、スリット幅400mm)を介してシート状に押出した。
ダイから吐出後のシートをタッチロール式の製膜機を用い、130℃の冷却ロールに片面を完全に接着させるようにして冷却し、アクリル系フィルムを得た。このとき、Tダイのリップ間隙/フィルム厚み=10となるよう、冷却ロールの速度を調整した。得られたフィルムの厚みは60μmであった。
このアクリル系フィルムを、延伸温度135℃にてフィルムの幅方向に1.5倍となるように一軸延伸を行い、60℃の水浴によるアニール処理を30分行った。
(実施例10)
100℃で3時間乾燥したアクリル系ポリマー(あ)を45mmφの一軸押出機(S1)(設定温度250℃)で溶融してギアポンプで移送し、濾過精度50μmのフィルターで濾過した後、Tダイ(設定温度250℃、スリット間隙0.6mm、スリット幅400mm)を介してシート状に押出した。
ダイから吐出後のシートをタッチロール式の製膜機を用い、130℃の冷却ロールに片面を完全に接着させるようにして冷却し、アクリル系フィルムを得た。このとき、Tダイのリップ間隙/フィルム厚み=10となるよう、冷却ロールの速度を調整した。得られたフィルムの厚みは60μmであった。
このアクリル系フィルムを、延伸温度150℃にてフィルムの長手方向、幅方向いずれも1.4倍となるように二軸延伸を行い、60℃の水浴によるアニール処理を10分行った。
(比較例1)
アクリル系ポリマー(え)溶液を22℃で、ギアポンプを用い、リップ間隙0.2mm、幅1,360mmのTダイを通じて、離型処理を施したPETフィルム上に流延した。その後、60℃、70℃、80℃、100℃、120℃の乾燥を段階的に各1分行い、さらに130℃の熱処理を3分、170℃の熱処理を10分行い、厚み30μmのアクリル系フィルムを得た。このアクリル系フィルムは、破断点伸度が低く高速スリット性が悪かった。
(比較例2)
アクリル系ポリマー組成物溶液(お)を22℃で、ギアポンプを用い、リップ間隙0.2mm、幅1360mmのTダイを通じて、離型処理を施したPETフィルム上に流延した。その後、40℃、60℃、80℃、100℃、120℃の乾燥を段階的に各1分行い、さらに130℃の熱処理を3分、170℃の熱処理を10分行い、厚み30μmのアクリル系フィルムを得た。このアクリル系フィルムは、弾性体粒子を含むためナノインデンテーション法による硬度が低く、鉛筆引掻試験が6B未満と傷が付きやすかった。
(比較例3)
アクリル系ポリマー(え)溶液を22℃で、ギアポンプを用い、リップ間隙0.5mm、幅1,360mmのTダイを通じて、離型処理を施したPETフィルム上に流延した。その後、40℃、60℃、80℃、100℃、120℃の乾燥を段階的に各1分行い、さらに130℃の熱処理を3分、170℃の熱処理を40分行い、厚み100μmのアクリル系フィルムを得た。上記によって得られたアクリル系フィルムを、延伸温度130℃にてフィルムの長手方向、幅方向もそれぞれ1.5倍となるように二軸延伸を行った。このアクリル系フィルムはアニール処理を行っていないため、厚み方向の位相差Rthが高くコントラストが低下した。
(比較例4)
アクリル系ポリマー(え)溶液を22℃で、ギアポンプを用い、リップ間隙0.5mm、幅1,360mmのTダイを通じて、離型処理を施したPETフィルム上に流延した。その後、40℃、60℃、80℃、100℃、120℃の乾燥を段階的に各1分行い、さらに130℃の熱処理を3分、170℃の熱処理を40分行い、厚み100μmのアクリル系フィルムを得た。上記によって得られたアクリル系フィルムを、延伸温度130℃にてフィルムの長手方向に1.5倍となるように一軸延伸を行った。このアクリル系フィルムはフィルムの幅方向に延伸していないため、幅方向の破断点伸度が低く、高速スリットができなかった。また、面内方向の位相差Ret、厚み方向の位相差Rthが高くコントラストが低下した。
Figure 2008101202
Figure 2008101202
実施例1〜6のアクリル系フィルムは高速スリット性、コントラスト、鉛筆硬度に優れたフィルムであったが、比較例1〜4のフィルムは高速スリット性が悪い、コントラストに劣るまたは鉛筆硬度が低いといったフィルムであった。

Claims (7)

  1. 以下の(i)〜(iii)を同時に満足するアクリル系フィルム。
    (i)フィルムの長手方向、幅方向の破断点伸度がいずれも5%以上150%以下
    (ii)面内の位相差Retが10nm以下でありかつ、厚み方向の位相差Rthが−10nm以上10nm以下
    (iii)ナノインデンテーション法で測定したフィルム表面の硬度が0.2GPa以上0.35GPa以下
  2. 厚みが20μm以上200μm以下である、請求項1に記載のアクリル系フィルム。
  3. 25℃におけるヘイズが2%以下であり、かつ120℃におけるヘイズが2%以下である、請求項1または2に記載のアクリル系フィルム。
  4. ガラス転移温度が120℃以上である、請求項1〜3のいずれかに記載のアクリル系フィルム。
  5. 以下に示す構造式(a)〜(c)で表される構造単位のうち少なくとも1つ以上を含有するアクリル系ポリマーを含む、請求項1〜4のいずれかに記載のアクリル系フィルム。
    Figure 2008101202
    (上記式中、R1、R2は、同一または相異なる水素原子または炭素数1〜5のアルキル基または、カルボキシル基、または炭素数2〜5のカルボキシアルキル基を表す。また、上記式中、X、Xは、同一又は相異なるCHまたはC=Oを表す。Xは、O、またはNRを表す。Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基または、カルボキシル基、または炭素数2〜5のカルボキシアルキル基を表す。)
    Figure 2008101202
    (上記式中、Rは、水素原子または炭素数1〜5のアルキル基または、カルボキシル基、または炭素数2〜5のカルボキシアルキル基を表す。)
    Figure 2008101202
    (上記式中、Rは炭素数6〜15の脂環式構造を含有する置換基を表す。)
  6. 下記構造式(f)で表されるグルタル酸無水物単位を含有するアクリル系ポリマーを含む、請求項5に記載のアクリル系フィルム。
    Figure 2008101202
    (上記式中、R、Rは、同一または相異なる水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表す。)
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載のアクリル系フィルムを用いた偏光子用保護フィルム。
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