JP2006131898A - 熱可塑性樹脂フィルム - Google Patents

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光弘 堀内
Hiroyuki Tanaka
裕之 田中
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Abstract

【課題】優れた光学等方性と加工特性を両立した熱可塑性樹脂フィルムを提供する。
【解決手段】フィルム厚みが20〜250μmであり、ガラス転移温度が110℃以上の熱可塑性樹脂フィルムであって、フィルム長手方向の破断伸度とフィルム幅方向の破断伸度のうち、大きい方をL1、小さい方をL2とした時、L1が15%以上、L2が12%以下であり、かつレターデーションが10nm以下であることを特徴とする熱可塑性樹脂フィルムである。
【選択図】なし

Description

本発明は、光学的等方性の高い熱可塑性樹脂フィルムに関する。
近年、液晶ディスプレイに代表される平面ディスプレイパネルの拡大に伴い、これに用いられる光学用フィルムの需要が拡大してきた。ARフィルムやタッチパネル用透明導電性フィルム、プリズムシートなどの平面ディスプレイの部材シート基材には、これまで安価な二軸延伸PETフィルムが主に用いられてきたが、二軸延伸PETフィルムは光学異方性が大きく、輝度低下や色ムラ等の性能低下の原因となるため、これを改善できる光学等方性フィルムが求められている。また、偏光子保護フィルムや、偏光子−偏光子間で用いられるインナータイプのタッチパネル基材としては、高い光学等方性が要求されるとなる。
上記の様な光学等方性フィルムとしては、これまで、主にセルローストリアセテート(CTA)フィルムやノルボルネン骨格を有する非晶ポリオレフィンフィルム等が用いられているが、これらのフィルムは、光線透過率や光学等方性の面では優れているが、脆く裂けやすいため高速スリットが不可能になるなど、加工性やハンドリング性の面で問題がある。
熱可塑性樹脂フィルムにおいては、靱性を向上するために延伸を行うことが一般的であるが、延伸により位相差が発生してしまうため、光学等方性が要求される用途では用いることができない。例として特許文献1の実施例1、2では、光学等方性に優れた熱可塑性樹脂フィルムを1.1倍〜2倍と低倍率で延伸することでレターデーションが275±10nmと異方性の大きな位相差フィルムを得ている。
また、本来光学等方性に優れた非晶性熱可塑性樹脂(ノルボルネン系開環重合体水素添加物)を用いたシートであっても、冷却ドラム温度などの製膜条件により発生するわずかな機械的ひずみによって位相差が発生し、光学等方性が損なわれやすいという問題があった(特許文献2)。
一方で、ポリメチルメタクリレート(PMMA)に代表されるアクリル樹脂は光線透過率および光学等方性に優れており、少なくとも1方向に延伸させ、加熱収縮率を大きくすることによって耐衝撃性を向上させたアクリルフィルム(特許文献3)も知られているが、このような明くる樹脂は耐熱性が低く、コーティング後の乾燥、蒸着、スパッタなどの後加工工程や自動車内等の高温環境下で使用される時に受ける熱によって片伸び、平面性悪化などの問題が発生しやすいため、ディスプレイ用途では限定的にしか使用されていない。
特開2003−279741号公報(0033段) 特開2003−236915号公報(比較例2) 特開2000−109575号公報(請求項1、実施例1)
本発明の目的は、上述した従来の熱可塑性樹脂フィルムの問題を解決し、優れた光学等方性と加工特性を両立した熱可塑性樹脂フィルムを提供することにある。
すなわち本発明の熱可塑性樹脂フィルムは、フィルム厚みが20〜250μmであり、ガラス転移温度が110℃以上の熱可塑性樹脂フィルムであって、フィルム長手方向の破断伸度とフィルム幅方向の破断伸度のうち、大きい方をL1、小さい方をL2とした時、L1が15%以上、L2が12%以下であり、かつレターデーションが10nm以下であることを特徴とする熱可塑性樹脂フィルムである。
本発明により、透明性、光学等方性に優れ、かつ耐熱性が高く、高速でのスリットが可能な加工性に優れたフィルムを得ることができる。
本発明の熱可塑性樹脂フィルムは、厚みが20〜250μmである必要がある。厚みを上記範囲とすることによって、フィルムに適度な腰とハンドリング性を与えることができる。厚みを好ましくは50〜200μmとすることにより、加工工程における工程張力の変化や曲げ等の変形によって割れる問題が特に起こりにくくなり、また、適度な曲げ強さを有するため毎葉シートの状態での手や機械によるハンドリング時に折れ曲がりなどの問題が起こりにくくなる。
また、本発明の熱可塑性樹脂フィルムのガラス転移温度は、110℃以上とする必要がある。好ましくは120℃以上、さらに好ましくは130℃以上である。ガラス転移温度を上記の通りとすることによって、コーティングを行った後の乾燥工程や蒸着、スパッタ、紫外線照射といった加工工程で熱を受けた時の片伸びや平面性悪化といった問題を抑制することができる。ガラス転移温度については、高い方がコーティングに沸点の高い溶媒を用いることができるなど後加工の自由度が高くなり、高速、高温、高張力下で加工を行うことができるようになるため生産性の面で有利となるが、一般的にガラス転移温度が170℃以上の熱可塑性樹脂では溶融製膜、溶液製膜が困難になる。ここでいうガラス転移温度は、示差走査熱量測定器(例えばPerkin Elmer社製DSC−7型)を用いて、昇温速度20℃/分で測定される。
さらに本発明の熱可塑性樹脂フィルムは、フィルム長手方向の破断伸度とフィルム幅方向の破断伸度のうち、大きい方をL1、小さい方をL2とした時、L1が15%以上、好ましくは17%以上、さらに好ましくは20%以上、L2が12%以下、好ましくは10%以下、さらに好ましくは8%以下である必要がある。L1が15%より小さいか、L2が12%より大きい場合、高速でのスリット加工を行ったときに端面が直線とならず蛇行してしまったり、スリット中に破断してしまうといった問題が発生する。
L1、L2を上記規定範囲とするためには、熱可塑性樹脂のガラス転移温度以上の温度において、応力下で物理的に配向させることが有効である。物理的に配向させる手段としては、Tダイ法による溶融製膜時の押出温度と引き取り時の引き取り倍率を調整する方法、溶液製膜において塗布基材とフィルムの剥離強度と引き取り速度を調整する方法、溶融製膜や溶液製膜によって得られた等方性フィルムを少なくとも1方向に延伸する方法が好ましい。
また、本発明の熱可塑性樹脂フィルムのレターデーションは10nm以下である必要がある。10nmより大きい場合、ディスプレイ用途で用いた場合角度による輝度ムラの原因となる。レターデーションは好ましくは5nm以下、さらに好ましくは2nm以下とすることによって、特に角度による輝度ムラが小さく均一で安定した輝度のディスプレイを得ることができる。
レターデーションを10nm以下とするためには、非晶性の熱可塑性樹脂を用いることが好ましいが、本発明目的の範囲のL1,L2を有する熱可塑性樹脂フィルムにおいてレターデーションを10nm以下とするためには、機械的に配向した状態でも光学異方性を生じないような熱可塑性樹脂とする必要がある。
上記特徴を有する熱可塑性樹脂としては、例えばノルボルネン環構造を有するモノマーの開環重合体及びその水素添加物、ノルボルネン環構造を有するモノマーの付加重合体及びその水素添加物、ノルボルネン環構造を有するモノマーとビニル化合物との付加重合体及びその水素添加物等のノルボルネン系ポリマーに、機械的な配向による光学異方性の発生を抑制するための成分(例えばスチレンモノマー単位)を共重合もしくは添加した樹脂等も挙げることができるが、下記構造式(1)で表されるグルタル酸無水物単位を10〜40重量%含有するアクリル樹脂(A)を含有することが最も好ましい。
Figure 2006131898
上記式中、R、Rは、同一または相異なる水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表す。
かかる構造のグルタル酸無水物単位を含有することにより、耐熱性を向上できるだけでなく、機械的に配向した状態でも光学的に等方なフィルムを得ることができる。
当該グルタル酸無水物単位のアクリル樹脂(A)に対する含有量としては、10〜40重量%とすることが好ましく、さらに好ましくは20〜35重量%である。10重量%以上とすることによって、優れた耐熱性や耐薬品性、機械的な配向下での光学等方性を達成することができる。一方、40重量%以下とすることで、靱性の低下を防ぐことができ、高い加工性を有するフィルムとすることができる。
特に耐熱性の点からは、R,Rは水素またはメチル基が好ましく、とりわけメチル基が好ましい。
またアクリル樹脂(A)は、不飽和カルボン酸アルキルエステル由来の単位を含むことが好ましい。アクリル樹脂の基本構成単位として不飽和カルボン酸アルキルエステル由来の単位を採用することにより、熱や水に対して安定なアクリル樹脂とすることができる。
不飽和カルボン酸アルキルエステル単位としては例えば、下記一般式(2)で表されるものを挙げることができる。
Figure 2006131898
上記式中、Rは、水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表す。またRは、炭素数1〜5の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基を示す。
不飽和カルボン酸アルキルエステル単位の好ましい具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸クロロメチル、(メタ)アクリル酸2−クロロエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシルおよび(メタ)アクリル酸2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチルなどが挙げられる。不飽和カルボン酸アルキルエステル単位としては、上述した具体例のうち1種を単独で含んでいてもよいし、2種以上併存してもよいが、(メタ)アクリル酸メチル単位を含むことが、耐熱性の高いアクリル樹脂が得られやすいため好ましい。
アクリル樹脂(A)に対する不飽和カルボン酸アルキルエステル由来の単位の含有量としては、60〜90重量%が好ましく、より好ましくは65〜75重量%である。60重量%以上とすることにより、アクリル樹脂としての透明性を得ることができる。一方、上限値は、前述のグルタル酸無水物単位の好ましい添加量の下限値に対応する。
また、アクリル樹脂(A)は、本発明の効果を損なわない範囲でビニル系単位を含んでいてもよいが、スチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン系単位の含有濃度を1重量%以下、すなわち0〜1重量%とすることが好ましく、より好ましくは0〜0.1重量%である。スチレン系単位の含有濃度を1重量%以下とすることで、耐熱性および透明性の低下を防ぐことができる。
また、アクリル樹脂(A)は、不飽和カルボン酸単位の含有量を10重量%以下、すなわち0〜10重量%とすることが好ましく、より好ましくは0〜5重量%、さらに好ましくは0〜1重量%である。10重量%以下とすることによって、無色透明性、滞留安定性、耐湿性を維持することができる。
また、アクリル樹脂(A)の重量平均分子量としては、8万〜15万が好ましい。8万以上とすることで、アクリル樹脂フィルムの機械的強度を維持することができる。また15万以下とすることで、樹脂の着色を防ぐことができる。
アクリル樹脂(A)の、熱可塑性樹脂フィルムを構成する樹脂組成物に対する含有量としては、60〜93重量%とすることが好ましい。60重量%以上とすることで、透明性等、アクリル樹脂(A)の特性を活かした透明導電性膜を得ることができる。一方、上限値は、後述するアクリル弾性体粒子(B)の添加量の下限値に対応する。
また、熱可塑性樹脂フィルムを構成する樹脂組成物としては、アクリル樹脂(A)の他に、アクリル弾性体粒子(B)を含有することが好ましい。熱可塑性樹脂フィルムを構成する樹脂組成物中にアクリル弾性体粒子(B)が分散されていることにより、熱可塑性樹脂フィルムひいては透明伝導性フィルムとして優れた靱性、加工性を得ることができる。
アクリル弾性体粒子(B)を構成するゴム質重合体は、アクリル酸エチル単位やアクリル酸ブチル単位などのアクリル成分を必須成分とし、その他に好ましく含まれる成分として、ジメチルシロキサン単位やフェニルメチルシロキサン単位などのシリコーン成分、スチレン単位やα−メチルスチレン単位などのスチレン成分、アクリロニトリル単位やメタクリロニトリル単位などのニトリル成分、ブタンジエン単位やイソプレン単位などの共役ジエン成分、ウレタン成分またはエチレン成分、プロピレン成分、イソブテン成分などを挙げることができる。
これらのなかでも、アクリル成分、シリコーン成分、スチレン成分、ニトリル成分、共役ジエン成分から構成されるものが好ましい。
また、これらの成分を2種以上組み合わせたものから構成されるゴム弾性体も好ましく、例えば、アクリル成分およびシリコーン成分から構成されるゴム弾性体、アクリル成分およびスチレン成分から構成されるゴム弾性体、アクリル成分および共役ジエン成分から構成されるゴム弾性体、アクリル成分、シリコーン成分およびスチレン成分から構成されるゴム弾性体などが挙げられる。
また、これらの成分の他に、ジビニルベンゼン単位、アリルアクリレート単位、ブチレングリコールジアクリレート単位などの架橋性成分を含むものも好ましい。
なかでも、アクリル酸アルキルエステル単位と芳香族ビニル系単位との組み合わせは好ましい。アクリル酸アルキルエステル単位、中でもアクリル酸ブチルは靱性向上に極めて効果的であり、これに芳香族ビニル系単位、例えばスチレンを共重合させることによってアクリル弾性体粒子(B)の屈折率を調節することができる。
アクリル弾性体粒子(B)の平均粒子径としては、70〜300nmとすることが好ましく、より好ましくは100〜200nmである。70nm以上とすることで靱性向上の実効を得ることができ、300nm以下とすることで、耐熱性の低下を抑えることができる。
熱可塑性樹脂フィルムを構成する樹脂組成物に対するアクリル弾性体粒子(Bに対する含有量としては、7〜40重量%とすることが好ましく、より好ましくは12重量%〜20重量%である。アクリル弾性体粒子の基材に対する含有量を上記範囲にすることにより、耐折れ性などの加工適性と耐熱性が特に優れた透明伝導性フィルムを得ることができる。
また、本発明の透明伝導性フィルムを構成する基材は、本発明の目的を損なわない範囲で、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリイミド、ポリエーテルイミドなどの他の熱可塑性樹脂、フェノール系、メラミン系、ポリエステル系、シリコーン系、エポキシ系などの熱硬化性樹脂をさらに含有していてもよい。また、ヒンダードフェノール系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、およびシアノアクリレート系の紫外線吸収剤あるいは酸化防止剤、高級脂肪酸、酸エステル系、酸アミド系および高級アルコールなどの滑剤あるいは可塑剤、モンタン酸、その塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアラミドおよびエチレンワックスなどの離型剤、亜リン酸塩、次亜リン酸塩などの着色防止剤、ハロゲン系あるいはリン系やシリコーン系の非ハロゲン系の難燃剤、核剤、アミン系、スルホン酸系、ポリエーテル系などの帯電防止剤、顔料などの着色剤などの添加剤を含有していてもよい。ただし、適用する用途が要求する特性に照らし、その添加剤保有の色が熱可塑性重合体に悪影響を及ぼさず、かつ透明性が低下しない範囲で添加するのが好ましい。具体的には、アクリル樹脂(A)およびアクリル弾性体粒子(B)以外の樹脂や添加剤の、熱可塑性樹脂フィルムに対する総含有量としては10重量%以下とするのが好ましい。
本発明の透明導電性フィルムは波長589nmにおける全光線透過率が90%以上であることが好ましく、特に好ましくは92%以上である。全光線透過率が90%未満の場合、ディスプレイ用途として用いた場合に十分な輝度が得られないという問題が生じる。
次に、本発明の熱可塑性樹脂フィルムを製造する方法について説明する。
前記一般式(1)で表されるグルタル酸無水物単位を含有するアクリル樹脂(A)は、基本的には以下に示す方法により製造することができる。
次の一般式(3)で表される不飽和カルボン酸単量体と次の一般式(4)で表される不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体と、その他のビニル系単量体単位を含む場合には該単位を与えるビニル系単量体とを重合させ、共重合体(a)とする。
Figure 2006131898
ただし、Rは水素または炭素数1〜5のアルキル基を表す。
Figure 2006131898
ただし、Rは水素または炭素数1〜5の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基を、Rは炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基を示す。
単量体の配合の割合としては、配合した単量体の総和を100重量%として、不飽和カルボン酸単量体は15〜45重量%が好ましく、より好ましくは20〜40重量部である。また、不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体は55〜85重量%が好ましく、より好ましくは60〜80重量%である。
不飽和カルボン酸単量体量の含有量を15〜45重量%とすることによって、共重合体(a)を加熱した際に上記一般式(1)で表されるグルタル酸無水物単位の含有量が20〜40重量%の好ましい範囲となり、耐熱性、無色透明性、滞留安定性の優れたアクリル樹脂(A)となりやすいため好ましい。
共重合体(a)を生成する重合方法としては、基本的にはラジカル重合による、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等の重合方法を用いることができ、不純物がより少ない点で溶液重合、塊状重合、懸濁重合が特に好ましい。
共重合体(a)を生成する重合温度としては、樹脂への着色を防ぎ良好な色調のものとするという観点から、95℃以下とすることが好ましく、より好ましくは85℃以下であり、さらに好ましくは75℃以下である。また、重合温度の下限としては、重合速度を考慮した生産性の面からは、50℃以上が好ましく、より好ましくは60℃以上である。また、重合収率あるいは重合速度を向上させる目的で、重合進行に従い重合温度を昇温してもよいが、この場合も当該工程を通じて上限温度は95℃以下に制御することが好ましく、重合開始温度も75℃以下の比較的低温で行うことが好ましい。
また共重合体(a)を生成する重合時間としては、生産効率の点からは60〜360分間が好ましく、より好ましくは90〜180分間である。
アクリル樹脂(A)の分子量は共重合体(a)の分子量によってきまるので、前述のようにアクリル樹脂(A)をその好ましい重合平均分子量の範囲内(8万〜15万)とする上で、共重合体(a)の分子量も、重量平均分子量で8万〜15万とすることが好ましい。
共重合体(a)の分子量は、例えば、アゾ化合物、過酸化物等のラジカル重合開始剤、あるいはアルキルメルカプタン、四塩化炭素、四臭化炭素、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、トリエチルアミン等の連鎖移動剤の添加量を調節することにより、制御することができる。特に、重合の安定性、取り扱いの容易さ等から、連鎖移動剤であるアルキルメルカプタンの添加量を調節する方法を好ましく採用することができる。
ここで使用するアルキルメルカプタンとしては例えば、n−オクチルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、n−オクタデシルメルカプタン等が挙げられ、なかでもt−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタンが好ましく用いられる。
アルキルメルカプタンの添加量としては、単量体の総和100重量部に対して、0.2〜5.0重量部が好ましく、より好ましくは0.3〜4.0重量部、さらに好ましくは0.4〜3.0重量部である。
共重合体(a)を適当な触媒の存在下あるいは非存在下で加熱すると、共重合体(a)内において隣接する2単位の不飽和カルボン酸単位同士のカルボキシル基から脱水されて、あるいは隣接する不飽和カルボン酸単位と不飽和カルボン酸アルキルエステル単位からアルコールが脱離して、1単位の前記グルタル酸無水物単位が生成される。
共重合体(a)を加熱して脱水および/または脱アルコールさせる、すなわち分子内環化反応を行う方法としては例えば、ベントを有する加熱した押出機を用いる方法や、不活性ガス雰囲気下または真空下で加熱脱揮できる装置を用いる方法が生産性の観点から好ましい。
具体的な装置としては例えば、”ユニメルト”タイプのスクリューを備えた単軸押出機、二軸押出機、三軸押出機、連続式またはバッチ式ニーダータイプの混練機などを用いることができ、とりわけ二軸押出機を用いることが、連続生産性、反応時の温度、時間、せん断速度のコントロールが容易で、かつ品質安定性の面で好ましい。また、押出機のスクリューの長さ/直径比(L/D)としては、40以上であることが好ましい。L/Dを40以上とすることで、十分な分子内環化反応を進行させるための加熱時間を確保することができ、L/Dが40以上の押出機を用いることによって、未反応の不飽和カルボン酸単位の残存量を減少させ、加熱成形加工時の反応の再進行による成形品内の気泡発生の少ないポリマーを得ることができ、成形滞留時の色調の悪化を抑制することが出来る。
また、これらに窒素などの不活性ガスが導入可能な構造を有した装置であることがより好ましい。酸素存在下で加熱による分子内環化反応を行うと、黄味が増す傾向にあるため、十分に系内を窒素などの不活性ガスで置換することが好ましいからである。例えば二軸押出機に、窒素などの不活性ガスを導入する方法としては、ホッパーの上部および/または下部より配管を繋ぎ、10〜100L/分程度の不活性ガスを流す方法などが挙げられる。
分子内環化反応のために加熱する温度としては、当該反応を円滑に進行させるという点から、180〜300℃が好ましく、より好ましくは200〜280℃である。
分子内環化反応のために加熱する時間としては、所望する共重合組成に応じて適宜設定すればよいが、通常、1〜60分間が好ましく、より好ましくは2〜30分間、さらに好ましくは3〜20分間である。
また、分子内環化反応のために加熱する際に、酸性触媒、アルカリ性触媒、塩系触媒のうち1種以上を添加することも好ましい。酸性触媒としては、塩酸、硫酸、p−トルエンスルホン酸、リン酸、亜リン酸、フェニルホスホン酸、リン酸メチル等が挙げられる。塩基性触媒としては、金属水酸化物、アミン類、イミン類、アルカリ金属誘導体、アルコキシド類等が挙げられる。塩系触媒としては、酢酸金属塩、ステアリン酸金属塩、炭酸金属塩、水酸化アンモニウム塩等が挙げられる。中でも、アルカリ金属を含有する塩基性触媒または塩系触媒が、比較的少量の添加量で優れた反応促進効果を示すため、好ましく使用することができる。具体的には、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムフェノキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムフェノキシド等のアルコキシド化合物、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、ステアリン酸ナトリウム等の有機カルボン酸塩等が挙げられ、とりわけ、水酸化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、酢酸リチウム、酢酸ナトリウムを好ましく使用することができる。
これらの触媒の添加量としては、共重合体(a)100重量部に対し、0.01〜1重量部程度が好ましい。0.01重量部以上とすることで、当該触媒としての実効を得ることができ、1重量部以下とすることで、その触媒保有の色が熱可塑性重合体の着色に悪影響を及ぼしたり透明性が低下するのを防ぐことができる。
熱可塑性樹脂フィルムを構成する樹脂組成物にアクリル弾性体粒子(B)を含有せしめる場合、アクリル樹脂(A)またはその前駆体中にアクリル弾性体粒子(B)を分散せしめるに際し、アクリル弾性体粒子(B)を、その表層に60℃以上のガラス転移温度を有するアクリル系樹脂を積層するかまたはビニル系単量体をグラフト共重合せしめた状態で行うことが好ましい。そうすることで、ゴム質の重合体からなるアクリル弾性体粒子(B)同士の接着・凝集を防ぎ、その取扱い性が向上し、アクリル樹脂(A)中での分散性も向上する。
その表層に60℃以上のガラス転移温度を有するアクリル系樹脂を積層した態様(以下、「コア・シェル型」とも呼ぶ。)のアクリル弾性体粒子(B)において、シェル(殻)部分を構成する「60℃以上のガラス転移温度を有するアクリル系樹脂」としては、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単位や不飽和カルボン酸系単位を含有するものが好ましい。これらをシェル部分に含有するコア・シェル型のアクリル弾性体粒子(B)を、例えば前記共重合体(a)に添加して加熱する際に、マトリックス樹脂との親和性が良く分散性が向上する。また当該加熱により、シェル部分においても分子内環化反応が進行し、シェル部分とマトリックス樹脂が同化することになるので、シェル部分によりアクリル樹脂フィルムの透明性が阻害されるのを防ぐことができる。また、マトリックス樹脂内においてアクリル弾性体粒子(B)が強固に保持されることになるので、耐衝撃性等の機械特性も向上する。
不飽和カルボン酸アルキルエステル系単位の原料となる単量体としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、(メタ)アクリル酸メチルがより好ましく使用される。
また、不飽和カルボン酸系単位の原料となる単量体としては、(メタ)アクリル酸が好ましく、メタクリル酸がより好ましく使用される。
コア・シェル型のアクリル弾性体粒子(B)における、コアとシェルとの重量比としては、双方の総和に対して、コア(ゴム質重合体)が50〜90重量%であることが好ましく、より好ましくは60〜80重量%である。
コア・シェル型のアクリル弾性体粒子(B)の市販品としては例えば、三菱レイヨン社製”メタブレン”、鐘淵化学工業社製”カネエース”、呉羽化学工業社製”パラロイド”、ロームアンドハース社製”アクリロイド”、ガンツ化成工業社製”スタフィロイド”およびクラレ社製”パラペットSA”などが挙げられ、これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、ビニル系単量体をグラフト共重合せしめた態様(以下、「グラフト共重合型」とも呼ぶ。)アクリル弾性体粒子(B)において、ビニル系単量体としては、ビニル基を有する不飽和カルボン酸エステル系単量体、ビニル基を有する不飽和カルボン酸系単量体、芳香族ビニル系単量体等を採用することができる。また、アクリル弾性体粒子(B)を構成するゴム質重合体やマトリックス樹脂との相性に合わせて他のビニル系単量体を共重合せしめてもよい。
アクリル弾性体粒子(B)に付与するビニル系単量体の量としては、ゴム質重合体:ビニル系単量体の重量比で、(10〜80):(20〜90)が好ましく、より好ましくは(20〜70):(30〜80)、さらに好ましくは(30〜60):(40〜70)である。ビニル系単量体を20重量%以上とすることで、本態様の実効を得ることができる。一方、ビニル系単量体を90重量%以下とすることで、衝撃強度が低下するのを抑えることができる。
グラフト共重合型のアクリル弾性体粒子(B)においては、グラフト共重合していないビニル系単量体由来の成分を含んでいてもよいが、衝撃強度の観点からは、グラフト率は10〜100%であることが好ましい。ここで、グラフト率とは、ゴム質重合体に付与したビニル系単量体のうちグラフト共重合したものの重量割合である。また、グラフトしていない共重合体の極限粘度には特に制限はないが、メチルエチルケトン溶媒、30℃で測定した極限粘度で0.1〜0.6dl/gのものが、衝撃強度と成形加工性とのバランスの観点から好ましく用いられる。
アクリル弾性体粒子(B)をグラフト共重合型とする方法としては、塊状重合、溶液重合、懸濁重合および乳化重合などの重合法を採用することができる。
尚、コア・シェル型あるいはグラフト共重合型のアクリル弾性体粒子(B)の粒子径および含有量は、シェル部分やグラフト共重合体部分を除外したゴム質重合体を対象として評価する。粒子径については、例えば透過型電子顕微鏡による断面観察などからシェル部分やグラフト共重合部分を除外して評価できる。また、含有量は、アクリル樹脂を溶解するアセトンなどの溶媒に溶解させたあとの不溶成分から評価することが出来る。
アクリル樹脂(A)あるいはその前駆体にアクリル弾性体粒子(B)やその他の添加剤を配合する方法としては例えば、アクリル樹脂(A)とその他の添加成分を予めブレンドした後、通常200〜350℃にて、一軸または二軸押出機により均一に溶融混練する方法を採用することができる。
また、アクリル樹脂(A)の前駆体である共重合体(a)にアクリル弾性体粒子(B)やその他の添加剤を添加し、二軸押出機等による前述の分子内環化反応と同時に、アクリル弾性体粒子(B)やその他の添加剤の溶融混練による配合を行うことができる。
溶融混練において、アクリル弾性体粒子(B)に付与したシェル部分等の不飽和カルボン酸単量体単位や不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体単位の環化反応も同時に行うことができる。
また、後述する溶液製膜の場合には、アクリル樹脂(A)とアクリル弾性体粒子(B)成分とを溶解あるいは分散する溶媒中で混合した後に溶媒を除く方法を用いることができる。
また特に溶液製膜においては、本発明のプリズムシートの基材を構成する樹脂は、異物を取り除く目的で濾過することが好ましい。異物を除去することにより、樹脂の着色を防ぎ、プリズムシートの基材として有用に使用できる。テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン等の溶剤に溶解した樹脂を、25℃以上100℃以下の温度にて、焼結金属、多孔性セラミック、サンド、金網等のフィルターで濾過する事ができる。
本発明の熱可塑性樹脂フィルムは、溶融製膜あるいは溶液製膜にて製膜することができる。溶融製膜としては、インフレーション法、Tダイ法、カレンダー法、切削法などがあり、特にTダイ法を好ましく採用できる。溶液製膜としては、ポリマーフィルム上キャスト法、キャスティングドラム法、金属ベルト上キャスト法などがあり、特にポリマーフィルム上キャスト法を好ましく採用できる。以下、それぞれの製造方法を例に説明する。
溶融製膜には、単軸あるいは二軸の押出スクリューのついたエクストルーダ型溶融押出装置等が使用できる。そのスクリューのL/Dとしては、25〜120とすることが着色を防ぐために好ましい。溶融押出温度としては、好ましくは150〜350℃、より好ましくは200〜300℃である。溶融剪断速度としては、1000s−1以上5000s−1以下が好ましい。また、溶融押出装置を使用し溶融混練する場合、着色抑制の観点から、ベントを使用し減圧下で、あるいは窒素気流下で溶融混練を行うことが好ましい。
Tダイ法は、溶融した樹脂をギアーポンプで計量した後にTダイ口金から吐出させ、静電印加法、エアーチャンバー法、エアーナイフ法、プレスロール法などでドラムなどの冷却媒体上に密着させて冷却固化し、フィルムを得ることができる。特に厚みムラが少なく、透明なフィルムを得るには、プレスロール法が好ましい。
溶液製膜は、樹脂組成物のマトリックス樹脂を溶剤にて溶かす。かかる溶剤としては、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン等を用いることができ、特にアセトンやメチルエチルケトンを好ましく採用できる。
ポリマーフィルム上キャスト法は、樹脂組成物を溶かした溶液を、バーコーター、ダイコーターなどを用いて、ポリエチレンテレフタレートなどの耐熱フィルム上にキャストし、溶剤を蒸発除去する(乾式法)かあるいは溶液を凝固液で固化する(湿式法)ことにより製造できる。
本発明の熱可塑性樹脂フィルムにおいて、L1、L2を本発明目的の範囲とするためには、上述の通りTダイ法による溶融製膜時の押出温度と引き取り時の引き取り倍率を調整する方法、溶液製膜において塗布基材とフィルムの剥離強度と引き取り速度を調整する方法、溶融製膜や溶液製膜によって得られた等方性フィルムを少なくとも1方向に延伸する方法が好ましい。
Tダイ法による溶融製膜時の押出温度と引き取り時の引き取り倍率を調整する方法としては、押出温度を熱可塑性樹脂フィルムを構成する熱可塑性樹脂のガラス転移温度より100℃〜150℃高い温度としTダイのリップ間隙の1/5〜1/20、好ましくは1/5〜1/10の厚さになるように引き取ることが好ましい。Tダイから押し出し後、冷却ロールに接するまでの時間は0.05秒以上1秒以下、好ましくは0.15秒以上0.6秒以下であることが好ましい。また、冷却ロールの表面温度は熱可塑性樹脂フィルムを構成する熱可塑性樹脂のガラス転移温度より40℃以上低い温度とすることが好ましいが、冷却ロールの温度を15℃以下にすると結露が発生しやすくなり、フィルムの欠点を生じやすくなる場合がある。このような条件で溶融押出することによって機械的に適度に配向し、本発明目的の範囲のL1、L2を有するフィルムを得ることができ、上述した様な機械的に配向しても光学的な異方性の生じにくい熱可塑性樹脂と組み合わせることによって、本発明の目的の熱可塑性樹脂フィルムを得ることができる。
また、溶融製膜もしくは溶液製膜によって得られた等方性フィルムを延伸する場合は、熱可塑性樹脂フィルムを構成する熱可塑性樹脂のガラス転移温度より10℃低い温度からガラス転移温度より20℃高い温度の範囲で1.1倍〜3.0倍、好ましくは1.1倍〜2.0倍の範囲で延伸することが好ましい。
本発明の熱可塑性フィルムは使用の目的によって表面にコーティングによって帯電防止層や易接着層を設けたり、に紫外線硬化樹脂からなるハードコート層、三角プリズム層、マイクロレンズアレイ等を設けたり、金属や酸化金属の蒸着層や、スパッタによる透明導電層を設けたり、接着層を介して他の光学等方性フィルムや偏光子、位相差フィルム等の光学機能フィルム、ガラス基板などと積層した形で用いることができる。
[測定方法]
(1)各成分組成
熱可塑性樹脂フィルムにアセトンを加え、4時間還流し、この溶液を9,000rpmで30分間、遠心分離し、アセトン可溶成分とアセトン不溶成分とに分離した。アセトン可溶成分を60℃で5時間減圧乾燥し、各成分単位定量を行って、アクリル樹脂(A)の各成分組成とした。
各成分単位の定量は、プロトン核磁気共鳴(H−NMR)法により行った。
H−NMR法では、例えば、グルタル酸無水物単位、メタクリル酸、メタクリル酸メチルからなる共重合体の場合、ジメチルスルホキシド重溶媒中でのスペクトルの帰属を、0.5〜1.5ppmのピークがメタクリル酸、メタクリル酸メチルおよびグルタル酸無水物環化合物のα−メチル基の水素、1.6〜2.1ppmのピークはポリマー主鎖のメチレン基の水素、3.5ppmのピークはメタクリル酸メチルのカルボン酸エステル(−COOCH)の水素、12.4ppmのピークはメタクリル酸のカルボン酸の水素と、スペクトルの積分比から共重合体組成を決定した。また、上記に加えて、他の共重合成分としてスチレンを含有する共重合体の場合、6.5〜7.5ppmにスチレンの芳香族環の水素が見られ、同様にスペクトル比から共重合体組成を決定した。
尚、H−NMR法の他に、赤外分光法によっても各成分単位の定量が可能である。当該方法においては、グルタル酸無水物単位は、1800cm−1及び1760cm−1の吸収が特徴的であり、ビニルカルボン酸由来の単位やビニルカルボン酸アルキルエステル由来の単位から区別した。測定は各水準の異なる部分について5回測定を行い、平均値を用いた。
(2)重量平均分子量(絶対分子量)
ジメチルホルムアミドを溶媒として、DAWN−DSP型多角度光散乱光度計(Wyatt Technology社製)を備えたゲルパーミエーションクロマトグラフ(ポンプ:515型,Waters社製、カラム:TSK−gel−GMHXL,東ソー社製)を用いて測定した。測定は各水準の異なる部分について5回測定を行い、平均値を用いた。
(3)ガラス転移温度(Tg)
示差走査熱量計(Perkin Elmer社製DSC−7型)を用い、窒素雰囲気下、20℃/minの昇温速度で測定した。ガラス転移温度の求め方は、JIS−K7121の9.3項の中間点ガラス転移温度の求め方に従い、測定チャートの各ベースラインの延長した直線から縦軸方向に等距離にある直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線とが交わる点の温度とした。測定は各水準の異なる部分について5回測定を行い、平均値を用いた。
(4)破断伸度(L1,L2)
フィルム長手方向及び幅方向に長さ200mm、幅10mmにサンプリングし、(株)オリエンテック製テンシロン(UCT−100)を用いて、初期チャック間隔50mm、引張速度300mm/分で測定した。測定はそれぞれ20サンプルについて行い、平均値を求めた上で、各サンプルのフィルム長手方向の破断伸度とフィルム幅方向の破断伸度のうち、大きい方をL1、小さい方をL2とした。
(5)レターデーション
王子計測(株)社製の自動複屈折計(KOBRA−21ADH)を用いて測定した。レターデーションの測定は、波長分散測定モードにおいて、波長480.4nmの光線に対する位相差、波長548.3nmの光線に対する位相差、波長628.2nmの光線に対する位相差、波長752.7nmの光線に対する位相差を測定し、各波長における位相差(R)および測定波長(λ)からコーシーの波長分散式(R(λ)=a+b/λ+c/λ+d/λ)の各a〜dの係数を求め、このコーシーの波長分散式に波長550nm(λ=550)を代入して求めた。測定は各水準の異なる部分についてそれぞれ10回行い、平均値を用いた。
(6)全光線透過率
JIS K 7361−1(1997)に準じ、東洋精機(株)製直読ヘイズメーターを用いて、23℃での全光線透過率(%)を測定した。測定は各水準の異なる部分についてそれぞれ10回行い、平均値を用いた。
(7)高速スリット性
市販スリッターを用い、フェザー安全剃刀(株)製片刃(FAS−10)での空中カットで、長さ500mのフィルムについて張力15kg/m、100m/分の条件でスリットを行い、スリット後の端面を目視観察して以下の判定を行った。
不良:スリット中にフィルムが破断しスリット不可能であったか、スリット可能であっても、端面が不揃いな部分が存在し、目視で周期0.5mm以上、振幅5mm以上の端面乱れが観察される。
良:スリット可能であったが、端面が不揃いな部分が存在し、目視で周期0.5mm以上、振幅1mm以上5mm未満の端面乱れが観察される。
優:端面が直線であり、目視判定で0.5mm以上の周期の端面乱れが観察されない。
測定は各水準について10回行い、最も悪い結果を用いた。
(8)耐熱加工適性
<塗液A>ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)社製)90重量部、マクロモノマーAN−6S(末端基がメタクリロイル基で高分子量(セグメント)の成分がスチレン/アクリロニトリルであり、数平均分子量が6,000のマクロモノマー)(東亞合成(株)社製、固形分40重量%)20重量部、光開始剤1−ヒドロキシフェニルケトン(チバ・スペシャリテイ・ケミカルズ(株)社製) 5重量部、トルエン50重量部、メチルエチルケトン50重量部を攪拌混合して塗液Aとした。
幅570mmのフィルムの中央部550mmについて、市販のコーター装置を用いて、3本リバースコート法によって上記塗液Aを乾燥後の厚みが5μmとなるように塗布し、フローターオーブンで、1.5MPaの張力下で80℃30秒、100℃30秒の2段階乾燥を行った後、塗膜からの高さ12cmにセットした80W/cmの強度を有する高圧水銀ランプ灯の下を5m/分の速度で通過させ、ハードコート層を作成した。
紫外線照射後の自由回転ロール/自由回転ロール間(ロール間長さ1m、張力1.5MPa、搬送速度7m/分)の搬送フィルムの状態を観察し、耐熱加工性を下記の通り判定した。
不良:1回/10分以上の頻度でフィルム破れが発生するか、振幅20mm以上のうねりを伴う平面性悪化が発生する。
良:振幅20mm以上のうねりを伴う平面性悪化は発生しないが、エッジ部が10mm以上カールしている。
優:平面性が良好であり、振幅20mm以上のうねりを伴う平面性悪化や10mm以上のエッジ部上カールが発生しない。
測定は各水準について10回行い、最も悪い結果を用いた。
(9)輝度ムラ
正面輝度7000cd/mの性能を有するサイドライト型バックライトの上に熱可塑性樹脂フィルムを配置を30゜おきに回転して正面輝度を測定し、その最大値Vmax(cd/m)と最小値Vmin(cd/m)から輝度ムラL(%)を下式で求め、下記のように判定した。
L(%)=(Vmax−Vmin)/Vmax×100
優:L≦1%
良:1%<L≦2%
不良:L>2%
Lが2%以下の時、ディスプレイ用部材の機材として用いたときに輝度ムラが小さく高品位なディスプレイを得ることができる。
測定は各水準について10回行い、最も悪い結果を用いた。
[実施例1〜10、比較例1〜4]
(1)アクリル樹脂の調製
アクリル樹脂(A−1)
先ず、メタクリル酸メチル/アクリルアミド共重合体系懸濁剤を、次の様にして調整した。
メタクリル酸メチル20重量部、
アクリルアミド80重量部、
過硫酸カリウム0.3重量部、
イオン交換水1500重量部
を反応器中に仕込み、反応器中を窒素ガスで置換しながら、単量体が完全に重合体に転化するまで、70℃に保ち反応を進行させた。得られた水溶液を懸濁剤とした。
容量が5リットルで、バッフルおよびファウドラ型撹拌翼を備えたステンレス製オートクレーブに、上記懸濁剤0.05部をイオン交換水165部に溶解した溶液を供給し、系内を窒素ガスで置換しながら400rpmで撹拌した。
次に、下記仕込み組成の混合物質を、反応系を撹拌しながら添加した。
メタクリル酸 :27重量部
メタクリル酸メチル :73重量部
t−ドデシルメルカプタン : 1.2重量部
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル: 0.4重量部
添加後、70℃まで昇温し、内温が70℃に達した時点を重合開始時点として、180分間保ち、重合を進行させた。
その後、通常の方法に従い、反応系の冷却、ポリマーの分離、洗浄、乾燥を行い、ビーズ状の共重合体を得た。この共重合体の重合率は97%であり、重量平均分子量は13万であった。
上記共重合体に添加剤(NaOCH3)を0.2重量%配合し、2軸押出機(TEX30(日本製鋼社製、L/D=44.5)を用いて、ホッパー部より窒素を10L/分の量でパージしながら、スクリュー回転数120rpm、原料供給量5kg/h、シリンダ温度290℃で分子内環化反応を行い、ペレット状のアクリル樹脂(A−1)を得た。アクリル樹脂(A−1)の特性を表1に示す。
アクリル樹脂(A−2)
懸濁重合に用いる混合物質を下記組成とした以外はアクリル樹脂(A−1)と同様にして、アクリル樹脂(A−2)を得た。
メタクリル酸 :33重量部
メタクリル酸メチル :67重量部
t−ドデシルメルカプタン : 1.5重量部
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル: 0.4重量部
アクリル樹脂(A−2)の特性を表1に示す。
アクリル樹脂(A−3)
懸濁重合に用いる混合物質を下記組成とした以外はアクリル樹脂(A−1)と同様にし
て、アクリル樹脂(A−3)を得た。
メタクリル酸 :23重量部
メタクリル酸メチル :77重量部
t−ドデシルメルカプタン : 1.2重量部
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル: 0.4重量部
アクリル樹脂(A−3)の特性を表1に示す。
アクリル樹脂(A−4)
容量20リットルのバッフルおよびファウドラ型撹拌翼を備えたステンレス製オートクレーブに、ポリビニルアルコール系懸濁剤(クラレ(株)製“ポバールPVA−117”)0.1重量部をイオン交換水165重量部に溶解した溶液を供給し、400rpmで撹拌しながら、系内を流量10リットル/分の窒素ガスで15分間バブリングした。この時の水溶液の溶存酸素濃度は2.5ppmであった。
次に窒素ガスを5リットル/分の流量でフローし、反応系を撹拌しながら下記混合物質を添加し65℃に昇温した。
メタクリル酸:30重量部
メタクリル酸メチル:70重量部
t−ドデシルメルカプタン:0.4重量部
ラウリルパーオキシド:0.3重量部
次に内温が65℃に達した時点を重合開始時間として、内温を65℃で210分間保ち、その後85℃に昇温して、内温を85℃で60分間保ち重合を終了した。
以降、通常の方法に従い、反応系の冷却、ポリマーの分離、洗浄、乾燥を行い、ビーズ状のアクリル樹脂およびグルタル酸無水物構造単位の前駆体を得た。このアクリル樹脂およびグルタル酸無水物構造単位の前駆体の重合率は98%であり、質量平均分子量は13.3万であった。
上記で得られたアクリル樹脂およびグルタル酸無水物構造単位の前駆体100重量部に、触媒として酢酸リチウム0.2重量部を配合し、これを直径38mmの2軸・単軸複合型連続混練押出機HTM38(CTE社製、L/D=47.5、ベント部2箇所)に供給した。ホッパー部より窒素を10リットル/分の流量でパージしながら、スクリュー回転数75rpm、原料供給量10kg/h、シリンダ温度290℃で分子内環化反応を行いペレット状のアクリル樹脂組成物を得た。
このアクリル樹脂組成物のグルタル酸無水物単位は32重量部、メタクリル酸メチル単位は65重量部、メタクリル酸単位は3重量部であった。またアクリル樹脂組成物のガラス転移温度は138℃であった。アクリル樹脂(A−4)の特性を表1に示す。
アクリル樹脂(A−5)
懸濁重合に用いる混合物質を下記組成とした以外はアクリル樹脂(A−4)と同様にして、アクリル樹脂(A−5)を得た。
メタクリル酸:45重量部
メタクリル酸メチル:55重量部
t−ドデシルメルカプタン:0.4重量部
ラウリルパーオキシド:0.3重量部
アクリル樹脂(A−5)の特性を表1に示す。
Figure 2006131898
(2)アクリル弾性体粒子の調製
コア・シェル型アクリル弾性体粒子(B)
冷却器付きのガラス容器(容量5リットル)内に、初期調整溶液として、
脱イオン水120重量部、炭酸カリウム0.5重量部、スルホコハク酸ジオクチル0.5重量部、過硫酸カリウム0.005重量部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌後、アクリル酸ブチル53重量部、スチレン17重量部、メタクリル酸アリル(架橋剤)1重量部を仕込んだ。これら混合物を70℃で30分間反応させて、ゴム質重合体を得た。
次いで、メタクリル酸メチル21重量部、メタクリル酸9重量部、過硫酸カリウム0.005重量部の混合物を引き続き70℃で90分かけて連続的に添加し、更に90分間保持して、シェル層を重合させた。
この重合体ラテックスを硫酸で凝固し、苛性ソ−ダで中和した後、洗浄、濾過、乾燥して、コア・シェル型のアクリル弾性体粒子(B)を得た。電子顕微鏡で測定したアクリル弾性体粒子のゴム質重合体部分の平均粒子径は140nmであった。
(3)アクリル樹脂組成物の調製
アクリル樹脂組成物(C−1)
前記アクリル樹脂の前駆体(a−1)を80重量部とアクリル弾性体粒子(B)を20重量部を配合し、2軸押出機(TEX30(日本製鋼社製、L/D=44.5))を用いて、ホッパー部より窒素を10L/分の量でパージしながら、スクリュー回転数100rpm、原料供給量5kg/h、シリンダ温度290℃で混練し、ペレット状のアクリル樹脂組成物(C−1)を得た。
アクリル樹脂組成物(C−2)
アクリル樹脂の前駆体(a−2)を70重量部、アクリル弾性体粒子(B)を30重量部用いた以外は前記C−1と同様にして、アクリル樹脂組成物(C−2)を得た。
アクリル樹脂組成物(C−3)
アクリル樹脂の前駆体(a−3)を90重量部、アクリル弾性体粒子(B)を10重量部用いた以外は前記C−1と同様にして、アクリル樹脂組成物(C−3)を得た。
アクリル樹脂組成物(C−4)
アクリル樹脂の前駆体(a−1)を90重量部、アクリル弾性体粒子(B)を10重量部用いた以外は前記C−1と同様にして、アクリル樹脂組成物(C−4)を得た。
アクリル樹脂組成物(C−5)
アクリル樹脂の前駆体(a−1)の代わりにポリメチルメタクリレート樹脂(旭化成“デルペット80NB”)80重量部を、アクリル弾性体粒子(B)の代わりに三菱レイヨン“メタブレン(W−341)”20重量部を用い、シリンダ温度を240℃とした以外は前記C−1と同様にして、アクリル樹脂組成物(C−5)を得た。
アクリル樹脂組成物(C−6)
アクリル樹脂の前駆体(a−4)を80重量部、アクリル弾性体粒子(B)を20重量部用いて、シリンダ温度を280℃とした以外は前記C−1と同様にして、アクリル樹脂組成物(C−6)を得た。
アクリル樹脂組成物(C−7)
アクリル樹脂の前駆体(a−5)を80重量部、アクリル弾性体粒子(B)を20重量部用いた以外は前記C−6と同様にして、アクリル樹脂組成物(C−7)を得た。
アクリル樹脂組成物(C−8)
アクリル弾性体粒子(B)を添加せず、アクリル樹脂の前駆体(a−4)100重量部をそのまま用いてアクリル樹脂組成物(C−8)を得た。
アクリル樹脂組成物(C−9)
アクリル樹脂の前駆体(a−4)を50重量部、アクリル弾性体粒子(B)を50重量部用いた以外は前記C−6と同様にして、アクリル樹脂組成物(C−9)を得た。
アクリル樹脂組成物(C−10)
アクリル弾性体粒子(B)を添加せず、アクリル樹脂の前駆体(a−5)100重量部をそのまま用いてアクリル樹脂組成物(C−10)を得た。
アクリル樹脂組成物(C−11)
アクリル樹脂の前駆体(a−5)を50重量部、アクリル弾性体粒子(B)を50重量部用いた以外は前記C−6と同様にして、アクリル樹脂組成物(C−11)を得た。
アクリル樹脂組成物(C1〜C11)の特性値を表2に示す。
Figure 2006131898
(4)製膜
実施例1
アクリル樹脂組成物(C−1)を80℃で8時間真空乾燥し、ベント付きの65mmφの一軸押出機を用いて、スリット間隙1.0mmのTダイ(設定温度260℃)を介して押出し、表面仕上げ1Sのステンレス製冷却ロール(70℃)に両面を完全に接着させるようにして冷却して、厚み100μmの熱可塑性樹脂フィルムを得た。Tダイ吐出後冷却ロールに接するまでの時間は0.6秒であった。
実施例2
アクリル樹脂組成物(C−2)を80℃で8時間真空乾燥した後、メチルエチルケトンに固形分濃度30重量%となるように溶解させ、1μmカットフィルターを用いて濾過を行った。この溶液をギアポンプを用いてスリット間隙0.5mmのTダイを通じてPETフィルム上にキャストし、熱風オーブンにて60℃、110℃、170℃でそれぞれ30分間熱処理を行い、熱可塑性樹脂フィルムを得た。こうして得たフィルムを複数の加熱ロール上で120℃に加熱した後、フィルム長手方向に1.5倍延伸した。得られたフィルムの厚みは100μmであった。
実施例3
延伸倍率を2.0倍に変更した以外は実施例2と同様にして厚み100μmの熱可塑性樹脂フィルムを得た。
実施例4
アクリル樹脂組成物(C−3)を80℃で8時間真空乾燥した後、メチルエチルケトンに固形分濃度30重量%となるように溶解させ、1μmカットフィルターを用いて濾過を行った。この溶液をギアポンプを用いてスリット間隙0.5mmのTダイを通じてPETフィルム上にキャストし、熱風オーブンにて60℃、110℃、170℃でそれぞれ30分間熱処理を行い、熱可塑性樹脂フィルムを得た。こうして得たフィルムを複数の加熱ロール上で110℃に加熱した後、フィルム長手方向に2.0倍延伸した。得られたフィルムの厚みは100μmであった。
実施例5
アクリル樹脂組成物(C−6)を80℃で8時間真空乾燥し、ベント付きの65mmφの一軸押出機を用いて、スリット間隙1.0mmのTダイ(設定温度260℃)を介して押出し、表面仕上げ1Sのステンレス製冷却ロール(70℃)に両面を完全に接着させるようにして冷却して未延伸の熱可塑性樹脂フィルムを得た。Tダイ吐出後冷却ロールに接するまでの時間は0.6秒であった。この未延伸の熱可塑性樹脂フィルムを複数の加熱ロール上で130℃に加熱した後、フィルム長手方向に1.5倍延伸し、フィルム厚み30μmの熱可塑性樹脂フィルムを得た。
実施例6
アクリル樹脂組成物(C−7)を用い、延伸時の温度を150℃に変更した以外は実施例5と同様にして、フィルム長手方向に1.5倍延伸した、フィルム厚み30μmの熱可塑性樹脂フィルムを得た。
実施例7
アクリル樹脂組成物(C−8)を用い、延伸時の温度を140℃に変更した以外は実施例5と同様にして、フィルム長手方向に1.5倍延伸した、フィルム厚み30μmの熱可塑性樹脂フィルムを得た。
実施例8
アクリル樹脂組成物(C−9)を用い、延伸時の温度を120℃に変更した以外は実施例5と同様にして、フィルム長手方向に1.5倍延伸した、フィルム厚み30μmの熱可塑性樹脂フィルムを得た。
実施例9
アクリル樹脂組成物(C−10)を用い、延伸時の温度を160℃に変更した以外は実施例5と同様にして、フィルム長手方向に1.5倍延伸した、フィルム厚み30μmの熱可塑性樹脂フィルムを得た。
実施例10
アクリル樹脂組成物(C−11)を用いた以外は実施例5と同様にして、フィルム長手方向に1.5倍延伸した、フィルム厚み30μmの熱可塑性樹脂フィルムを得た。
比較例1
アクリル樹脂組成物(C−1)を80℃で8時間真空乾燥した後、メチルエチルケトンに固形分濃度30重量%となるように溶解させ、1μmカットフィルターを用いて濾過を行った。この溶液をギアポンプを用いてスリット間隙0.5mmのTダイを通じてPETフィルム上にキャストし、熱風オーブンにて60℃、110℃、170℃でそれぞれ30分間熱処理を行い、厚み100μmの熱可塑性樹脂フィルムを得た。
比較例2
アクリル樹脂組成物(C−4)を用いた以外は比較例1と同じ条件で製膜を行い、厚み100μmの熱可塑性樹脂フィルムを得た。
比較例3
アクリル樹脂組成物(C−5)を用い、Tダイの温度を240℃、冷却ロールの温度を50℃とした以外は実施例1と同様にして製膜を行い、厚さ100μmの熱可塑性樹脂フィルムを得た。
比較例4
アクリル樹脂組成物(C−8)を用い、延伸を行わないこと以外は実施例5と同様にして、フィルム厚み30μmの熱可塑性樹脂フィルムを得た。
得られた熱可塑性樹脂フィルムの特性を表3に示す。
Figure 2006131898
実施例1〜10の熱可塑性樹脂フィルムは高速スリット性、耐熱加工性、輝度ムラの優れたフィルムであったが、比較例1〜4の熱可塑性樹脂フィルムは高速スリット性、耐熱加工性、輝度ムラのいずれかが劣るフィルムであった。
本発明のフィルムは、ARフィルムやタッチパネル用透明導電性フィルム、プリズムシートなどの平面ディスプレイ用部材シートの基材、偏光子保護フィルム等の光学フィルムとして用いることができる。

Claims (7)

  1. フィルム厚みが20〜250μmであり、ガラス転移温度が110℃以上の熱可塑性樹脂フィルムであって、フィルム長手方向の破断伸度とフィルム幅方向の破断伸度のうち、大きい方をL1、小さい方をL2とした時、L1が15%以上、L2が12%以下であり、かつレターデーションが10nm以下であることを特徴とする熱可塑性樹脂フィルム。
  2. 下記構造式(1)で表されるグルタル酸無水物単位を10〜40重量%含有するアクリル樹脂(A)を含有する樹脂組成物からなる、請求項1に記載の熱可塑性樹脂フィルム。
    Figure 2006131898
    (上記式中、R、Rは、同一または相異なる水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表す。)
  3. アクリル樹脂(A)が不飽和カルボン酸アルキルエステル由来の単位を60〜90重量%含有する、請求項2に記載の熱可塑性樹脂フィルム。
  4. アクリル樹脂(A)が不飽和カルボン酸アルキルエステル由来の単位として(メタ)アクリル酸メチル単位を含む、請求項3記載の熱可塑性樹脂フィルム。
  5. 熱可塑性樹脂フィルムを構成する樹脂組成物が、アクリル樹脂(A)を60〜93重量%、アクル弾性体粒子(B)を7〜40重量%含有する、請求項2〜4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂フィルム。
  6. アクリル弾性体粒子(B)の平均粒子径が70〜300nmである、請求項5記載の熱可塑性樹脂フィルム。
  7. 全光線透過率が90%以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の熱可塑性樹脂フィルム。
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