JP2007254271A - 炭素材料の製造方法、炭素材料および電子素子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】カーボンナノチューブなどの炭素材料中に不純物として含まれるアモルファスカーボンや金属微粒子などをこの炭素材料に損傷を与えることなく選択的に除去して精製を行うことができる炭素材料の製造方法を提供する。
【解決手段】カーボンナノチューブなどの炭素材料を水蒸気および/または塩化水素を含む雰囲気中に保持することにより精製を行う。水蒸気および/または塩化水素を含む雰囲気は例えば250℃以上650℃以下の温度に加熱し、あるいは紫外線などの電磁波を照射し、圧力は例えば0.1気圧以上10気圧以下とする。保持時間は例えば10分〜10時間とする。炭素材料をCVD装置の反応室で成長させ、続いてこの反応室で炭素材料の精製を行うようにしてもよい。
【選択図】図1
【解決手段】カーボンナノチューブなどの炭素材料を水蒸気および/または塩化水素を含む雰囲気中に保持することにより精製を行う。水蒸気および/または塩化水素を含む雰囲気は例えば250℃以上650℃以下の温度に加熱し、あるいは紫外線などの電磁波を照射し、圧力は例えば0.1気圧以上10気圧以下とする。保持時間は例えば10分〜10時間とする。炭素材料をCVD装置の反応室で成長させ、続いてこの反応室で炭素材料の精製を行うようにしてもよい。
【選択図】図1
Description
この発明は炭素材料の製造方法、炭素材料および電子素子の製造方法に関し、例えば、カーボンナノチューブを用いる各種の素子の製造に適用して好適なものである。
カーボンナノチューブを用いて有用な素子を作製するためには、アモルファスカーボンや金属微粒子などのプロセス残渣が少ないカーボンナノチューブの製造方法が必要とされる。アモルファスカーボンや金属微粒子などを除去する方法としては、従来より各種の方法が知られている(例えば、特許文献1、2および非特許文献1〜6参照。)。アモルファスカーボンを除去する方法としては、カーボンナノチューブとアモルファスカーボンとの混合物を加熱された硝酸などの酸化性雰囲気中に数時間保持する方法がある。一方、金属微粒子を除去する方法としては、塩酸などの酸浴を用いる方法がある。
しかしながら、カーボンナノチューブとアモルファスカーボンとの混合物を加熱された酸化性雰囲気中に保持する方法では、アモルファスカーボンを選択的に除去することが難しいだけでなく、カーボンナノチューブに損傷が生じてしまう。また、塩酸などの酸浴を用いて金属微粒子を除去する方法では、金属微粒子を選択的に除去することが難しいだけでなく、通常は超音波処理を併用することもあって、カーボンナノチューブに損傷が生じてしまう。このため、カーボンナノチューブの成長後に、アモルファスカーボンや金属微粒子などの望まない物質の除去を可能とし、しかもカーボンナノチューブに損傷を与えない方法が必要とされるが、これまで有効な方法は提案されていないのが実情である。
そこで、この発明が解決しようとする課題は、カーボンナノチューブなどの炭素材料中に不純物として含まれるアモルファスカーボンや金属微粒子などをこの炭素材料に損傷を与えることなく選択的に除去して精製を行うことができる炭素材料の製造方法、この方法により製造される炭素材料およびこの方法を用いる電子素子の製造方法を提供することである。
上記課題を解決するために、第1の発明は、
炭素材料を水蒸気および/または塩化水素を含む雰囲気中に保持することにより精製を行うようにしたことを特徴とする炭素材料の製造方法である。
第2の発明は、
水蒸気および/または塩化水素を含む雰囲気中に保持することにより炭素材料の精製を行うことにより製造されることを特徴とする炭素材料である。
第3の発明は、
炭素材料を用いた電子素子の製造方法において、
上記炭素材料を水蒸気および/または塩化水素を含む雰囲気中に保持することにより精製を行うようにしたことを特徴とするものである。
炭素材料を水蒸気および/または塩化水素を含む雰囲気中に保持することにより精製を行うようにしたことを特徴とする炭素材料の製造方法である。
第2の発明は、
水蒸気および/または塩化水素を含む雰囲気中に保持することにより炭素材料の精製を行うことにより製造されることを特徴とする炭素材料である。
第3の発明は、
炭素材料を用いた電子素子の製造方法において、
上記炭素材料を水蒸気および/または塩化水素を含む雰囲気中に保持することにより精製を行うようにしたことを特徴とするものである。
第1〜第3の発明において、炭素材料は、基本的には炭素原子が規則的に配列した構造を有するもの全て、言い換えるとアモルファスカーボン以外のもの全てを含み、具体的には、例えば、カーボンナノチューブ(単層カーボンナノチューブおよび多層カーボンナノチューブ)、カーボンナノファイバー、フラーレン、グラファイトなどである。この炭素材料は、アーク放電法、レーザーアブレーション法、プラズマ合成法、化学気相成長(CVD)法、炭化水素触媒分解法などによって成長(合成)されるが、これに限定されるものではない。この炭素材料は、典型的には、成長時にプロセス残渣として残って不純物となるアモルファスカーボンおよび/または金属微粒子を含む。金属微粒子は、典型的には炭素材料の成長時の触媒に用いられる金属により形成されるものであるが、これに限定されるものではない。
炭素材料を水蒸気および/または塩化水素を含む雰囲気中に保持する場合の雰囲気の温度および圧力ならびに時間は、炭素材料の種類、炭素材料の成長に用いる方法、炭素材料に含まれるアモルファスカーボンおよび/または金属微粒子の量や存在形態などに応じて適宜選ばれる。具体的には、水蒸気および/または塩化水素を含む雰囲気は、水蒸気および/または塩化水素にエネルギーを付与してアモルファスカーボンおよび/または金属微粒子の除去速度の向上を図る観点より、例えば250℃以上650℃以下の温度に加熱されるが、これに限定されるものではない。ここで、水蒸気の比誘電率は温度の上昇に伴って減少するため、水蒸気により、非極性物質であるアモルファスカーボンをより選択的に除去することが可能である。この水蒸気および/または塩化水素を含む雰囲気の圧力は例えば0.1気圧以上10気圧以下とするが、これに限定されるものではない。また、この水蒸気および/または塩化水素を含む雰囲気に保持する時間は例えば10分〜10時間であるが、これに限定されるものではない。水蒸気および/または塩化水素を含む雰囲気を加熱する代わりに、あるいは加熱と同時に、電磁波、具体的には例えば高周波、マイクロ波、赤外線、可視光線、紫外線などを照射することにより励起するようにしてもよい。
炭素材料にアモルファスカーボンが含まれる場合には、この炭素材料に水蒸気が接触するとこのアモルファスカーボンの酸化が促進されて除去される。また、炭素材料に金属微粒子が含まれる場合には、この炭素材料に塩化水素が接触するとこの金属微粒子が分解されて除去される。さらに、水蒸気および/または塩化水素の分解により水素などの分解生成物が生成される場合、この分解生成物と炭素材料との反応によりアモルファスカーボンおよび/または金属微粒子が分解されて除去されることもある。水蒸気および/または塩化水素を含む雰囲気中に空気または酸素を含ませることにより、酸素の作用でアモルファスカーボンが酸化されて除去される効果も併せて得ることができる。あるいは、水蒸気および/または塩化水素を含む雰囲気中に水素(中性または荷電状態)を含ませることにより、水素の作用でアモルファスカーボンや金属微粒子が水素化されて除去される効果も併せて得ることができる。
好適には、炭素材料を水蒸気および塩化水素を含む雰囲気中に保持することにより精製を行う。この場合、炭素材料に含まれるアモルファスカーボンおよび金属微粒子を一回の処理で除去することができ、極めて効率的である。炭素材料の成長時に金属触媒を用いる場合、金属微粒子はアモルファスカーボンで覆われた状態で存在することが多いため、炭素材料を水蒸気および塩化水素を含む雰囲気中に保持した場合、水蒸気の作用でまずアモルファスカーボンが除去され、続いて露出した金属微粒子が塩化水素の作用で除去されると考えられる。炭素材料をまず水蒸気だけを含む雰囲気中に保持し、続いて塩化水素だけを含む雰囲気中に保持しても、炭素材料に含まれるアモルファスカーボンおよび金属微粒子を除去することができる。
一つの実施形態においては、炭素材料を化学気相成長装置の反応室において化学気相成長法により成長させた後、この反応室においてこの炭素材料を水蒸気および/または塩化水素を含む雰囲気中に保持することにより精製を行う。こうすることで、炭素材料の成長および精製を化学気相成長装置の反応室において連続的に行うことができるので、効率的であるだけでなく、炭素材料を途中で大気に晒さないで済むため汚染を防止することができる。
炭素材料が単層カーボンナノチューブである場合、好適な一つの実施形態においては、アルコールまたはアルコールの水溶液を気化させることにより得られるガスを反応ガスに用い、化学気相成長法により常圧で単層カーボンナノチューブを成長させた後、この単層カーボンナノチューブを水蒸気および/または塩化水素を含む雰囲気中に保持することにより精製を行う。最も好適には、化学気相成長装置の反応室において、アルコールまたはアルコールの水溶液を気化させることにより得られるガスを反応ガスに用い、化学気相成長法により常圧で単層カーボンナノチューブを成長させた後、この反応室においてこの単層カーボンナノチューブを水蒸気および/または塩化水素を含む雰囲気中に保持することにより精製を行う。化学気相成長法により常圧で単層カーボンナノチューブを成長させる場合、典型的には、化学気相成長装置の反応室の反応部の外部でアルコールまたはアルコールの水溶液を自然蒸発などで気化させることにより得られるガスをこの反応部に導入することにより反応を行う。このように化学気相成長法により常圧で単層カーボンナノチューブを成長させることにより、化学気相成長法により減圧下で単層カーボンナノチューブを成長させる場合に比べて、成長パラメータの制御が容易であり、制御された構造を有する高品質の単層カーボンナノチューブの成長が容易である。また、アルコールまたはアルコールの水溶液を気化させることにより得られるガスを反応ガスに用いることにより、直径が極めて小さい単層カーボンナノチューブを含み、かつ直径の分布幅が極めて狭い単層カーボンナノチューブの成長が可能となる。
アルコールの水溶液のアルコール濃度(体積濃度)は0%より大きく100%未満であり、この範囲内であれば基本的にはアルコール濃度は問わないが、アルコール濃度が75%以上では100%に近いほどより小さい直径の単層カーボンナノチューブを製造することができ、アルコール濃度が50%以上95%以下、好適には50%以上80%以下とすると直径の分布幅が狭い単層カーボンナノチューブを製造することができ、特にアルコール濃度が70%以上80%以下では直径の分布幅が極めて狭い単層カーボンナノチューブを製造することができる。単層カーボンナノチューブの成長温度は、一般的には500℃以上1500℃以下であり、好適には、650℃以上900℃以下、より好適には800℃以上900℃以下とするが、これに限定されるものではない。単層カーボンナノチューブの成長は、典型的には、この成長温度において、アルコールまたはアルコールの水溶液を気化させることにより得られるガスを金属触媒に接触させることにより行う。金属触媒としては、カーボンナノチューブの成長に従来より用いられている公知の各種のものを用いることができる。
アルコールとしては基本的にはどのようなものを用いてもよく、一価アルコールでも多価アルコールでもよく、飽和アルコールでも不飽和アルコールでもよい。一般に炭素数が少ない一価アルコールは常温で液体であり、水と任意に混和するため、アルコール濃度が高い水溶液も容易に調製することができ、好ましい。アルコールとしては、具体的には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール(イソプロパノール)、1−ブタノール、2−ブタノール(sec−ブタノール)、2−メチル−1−プロパノール(イソブタノール)、2−メチル−2−プロパノール(tert−ブタノール)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
アルコールの水溶液のアルコール濃度および/またはアルコールの水溶液の気化速度を調節することにより、単層カーボンナノチューブの直径および/または直径の分布を制御することができる。アルコールの水溶液の気化速度は、例えば、アルコールの水溶液を入れる容器の温度を変えることにより調節することができる。
アルコールの水溶液のアルコール濃度および/またはアルコールの水溶液の気化速度を調節することにより、単層カーボンナノチューブの直径および/または直径の分布を制御することができる。アルコールの水溶液の気化速度は、例えば、アルコールの水溶液を入れる容器の温度を変えることにより調節することができる。
この炭素材料は各種の素子に用いることができる。この素子は、基本的にはどのようなものであってもよいが、例えば、炭素材料の電気的、機械的、電気光学的あるいは電気機械的特性を応用する素子などである。炭素材料のうちカーボンナノチューブ、取り分け単層カーボンナノチューブを用いる電子素子としては、電界放出素子、電界効果トランジスタ(FET)(薄膜トランジスタ(TFT)も含む)、単電子トランジスタ、分子センサー、太陽電池、光電変換素子、発光素子、メモリーなどが挙げられる。
上述のように構成されたこの発明においては、炭素材料を水蒸気および/または塩化水素を含む雰囲気に晒しても炭素材料には殆ど、あるいは全く影響を及ぼさないので、この炭素材料の炭素原子が規則的に配列した構造の損傷は実質的に生じない。また、水蒸気および/または塩化水素あるいはその分解生成物の作用により、炭素材料に含まれるアモルファスカーボンおよび/または金属微粒子を選択的にしかも効率的に除去することができる。
この発明によれば、高純度の炭素材料を容易に製造することができる。そして、この方法により製造された高純度の炭素材料を用いることにより、高性能の電子素子を得ることができる。
以下、この発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
まず、この発明の第1の実施形態について説明する。
第1の実施形態においては、アーク放電法、レーザーアブレーション法、プラズマ合成法、減圧CVD法などの従来公知の方法により成長された炭素材料の精製を行う。この炭素材料は、この炭素材料の成長時にプロセス残渣として残って不純物となったアモルファスカーボンおよび/または金属微粒子を含む。
まず、この発明の第1の実施形態について説明する。
第1の実施形態においては、アーク放電法、レーザーアブレーション法、プラズマ合成法、減圧CVD法などの従来公知の方法により成長された炭素材料の精製を行う。この炭素材料は、この炭素材料の成長時にプロセス残渣として残って不純物となったアモルファスカーボンおよび/または金属微粒子を含む。
まず、従来公知の方法により成長された炭素材料を外部空間から隔離された容器中に入れる。次に、この容器中でこの炭素材料を水蒸気および/または塩化水素を含む雰囲気中に保持する。通常は容器の外部で水蒸気および/または塩化水素を発生させ、これを容器中に導入することにより、水蒸気および/または塩化水素を含む雰囲気を作る。この水蒸気および/または塩化水素を含む雰囲気は、例えば250℃以上650℃以下、好適には350℃以上400℃以下の温度に加熱し、圧力は例えば0.1気圧以上10気圧以下とする。また、この水蒸気および/または塩化水素を含む雰囲気中に炭素材料を保持する時間は例えば10分〜10時間、典型的には1〜5時間である。
このように、この第1の実施形態によれば、炭素材料を水蒸気および/または塩化水素を含む雰囲気中に保持することにより、炭素材料にアモルファスカーボンが含まれる場合には水蒸気あるいはその分解により生成される水素などの分解生成物の作用により、このアモルファスカーボンの酸化が促進され分解されて除去され、炭素材料に金属微粒子が含まれる場合には塩化水素あるいはその分解により生成される水素などの分解生成物の作用により、この金属微粒子が分解されて除去される。こうして炭素材料に含まれるアモルファスカーボンや金属微粒子などの不純物が除去され、精製が行われる。この場合、炭素材料を水蒸気および/または塩化水素に晒しても炭素原子が規則的に配列した構造に損傷は生じない。また、精製を行う際に超音波処理が不要であるので、この超音波処理による炭素材料の損傷の問題もない。
〈実施例1〉
Ni触媒を用いてアーク放電法により成長させたカーボンナノチューブの試料の精製を行った。
図1は試料の精製に用いた精製装置を示す。図1に示すように、石英製の横型の容器1を炉2内に入れる。容器1の両端は炉2の外部に突き出るようにする。炉2の温度は熱電対(図示せず)により測定し、温度制御装置3により制御する。炉2の温度は温度制御装置3によりプログラム可能である。炉2の外部にある容器1の一端に、水蒸気および塩化水素の原料として塩酸4が入れられたバブラ5が配管6を介して接続されている。バブラ5中の塩酸4には配管7を介して空気や酸素などのキャリアガスが供給されるようになっており、バブリングにより水蒸気および塩化水素を発生させることができるようになっている。炉2の一端から供給された水蒸気、塩化水素、空気あるいは酸素およびこれらが試料と反応して生成されるガスは容器1の他端から外部に排気される。
Ni触媒を用いてアーク放電法により成長させたカーボンナノチューブの試料の精製を行った。
図1は試料の精製に用いた精製装置を示す。図1に示すように、石英製の横型の容器1を炉2内に入れる。容器1の両端は炉2の外部に突き出るようにする。炉2の温度は熱電対(図示せず)により測定し、温度制御装置3により制御する。炉2の温度は温度制御装置3によりプログラム可能である。炉2の外部にある容器1の一端に、水蒸気および塩化水素の原料として塩酸4が入れられたバブラ5が配管6を介して接続されている。バブラ5中の塩酸4には配管7を介して空気や酸素などのキャリアガスが供給されるようになっており、バブリングにより水蒸気および塩化水素を発生させることができるようになっている。炉2の一端から供給された水蒸気、塩化水素、空気あるいは酸素およびこれらが試料と反応して生成されるガスは容器1の他端から外部に排気される。
セラミックス製のボート8上にアーク放電法により成長させたカーボンナノチューブの試料9を載せ、これを炉2の中心部の容器1の中に置いた。そして、配管7を介してバブラ5中の塩酸4に室温で空気を供給してバブリングすることにより発生した水蒸気、塩化水素および空気の混合気体を配管6を介して1リットル/minの流量で容器1に流す。容器1は室温から10℃/minの昇温速度で350℃に加熱され、この温度で3時間保持されるように、温度制御装置3がプログラムされている。350℃で3時間保持してから炉2の加熱を停止し、容器1を自然対流により冷却する。こうして試料9の精製を行った。
この後、精製を行った試料9を、時間および温度を変えた異なる条件で、超音波を当てながら塩酸溶液(23wt%)中に置いてカーボンナノチューブを分散させ、リンスを行った。この結果得られる懸濁液(サスペンション)を遠心分離し(14000rpmで10分間)、上清(上澄み)の酸を外部に取り除いた。沈降物(カーボンナノチューブ)を脱イオン水で再び懸濁し、三回遠心分離を行い、真空乾燥した。
この後、精製を行った試料9を、時間および温度を変えた異なる条件で、超音波を当てながら塩酸溶液(23wt%)中に置いてカーボンナノチューブを分散させ、リンスを行った。この結果得られる懸濁液(サスペンション)を遠心分離し(14000rpmで10分間)、上清(上澄み)の酸を外部に取り除いた。沈降物(カーボンナノチューブ)を脱イオン水で再び懸濁し、三回遠心分離を行い、真空乾燥した。
図2Aは精製前の試料の透過型電子顕微鏡(transmission electron microscopy,TEM) 像を示す。図2Aから分かるように、精製前、すなわちアーク放電法による成長直後の試料にはカーボンナノチューブ以外に不純物としてアモルファスカーボンおよび金属微粒子が含まれている。図2Bは、この試料におけるカーボンナノチューブ11と不純物として含まれるアモルファスカーボン12および金属微粒子13とが混在した様子を模式的に示したものである。アモルファスカーボン12は金属微粒子13を覆うように形成されていることが多い。一般に、これらのアモルファスカーボン12および金属微粒子13の一方を他方から分離することは非常に難しい。
図3AおよびBは精製後の試料のTEM像であり、図3Aは低倍率のもの、図3Bは高倍率のものである。図3AおよびBより、精製後の試料にはアモルファスカーボンおよび金属微粒子は殆ど観察されず、アモルファスカーボンおよび金属微粒子がほぼ完全に除去されていることが分かる。図4はこの試料のラマンスペクトルである。図4より、単層カーボンナノチューブに特徴的なラジアルブリージングモード(radial-breathing mode,RBM)が現れている一方で、アモルファスカーボンのような欠陥のあるカーボンを含むことを示すDバンドの強度は極めて小さく、この試料にアモルファスカーボンが殆ど含まれていないことが分かる。このことから明らかなように、この精製後の試料は実質的に単層カーボンナノチューブのみからなる。この単層カーボンナノチューブの平均直径は1.55nmであり、図3B中「1.55nm」の数値はこの平均直径を示す。
図5Aは精製前の試料(以下「試料1」という)のTEM像、図5Bは精製後の試料(以下「試料2」という)のTEM像、図5Cは酸化性雰囲気を用いる従来の精製方法による精製後の試料(以下「試料3」という)のTEM像である。試料3は精製方法以外のことについては試料2と同じである。図5AおよびBより、精製後の試料2では、精製前の試料1に比べて、アモルファスカーボンおよび金属微粒子が殆ど観察されないことが分かる。これに対して、図5Cに示すように、従来の精製方法による精製後の試料3では、アモルファスカーボンおよび金属微粒子が多く残存していることが分かる。
図6A、BおよびCはそれぞれ試料1、2、3のX線回折(XRD)パターンである。図6AおよびBより、精製後の試料2では精製前の試料1に比べて、2θ=26度付近にあるカーボンナノチューブ固有の回折ピークが高い強度でシャープに現れており、精製によって殆どのアモルファスカーボンが除去されたことが分かる。さらに、精製後の試料2では精製前の試料1に比べて、例えば2θ=45度付近に現れている金属微粒子からの回折ピークの強度が著しく減少しており、精製処理によって殆どの金属微粒子が除去されたことが分かる。これに対して、図6Cに示すように、従来の精製方法による精製後の試料3では、金属微粒子からの回折ピークが高い強度で現れており、金属微粒子の除去が十分でないことが分かる。
図7A、BおよびCはそれぞれ試料1、2、3のX線光電子分光(X-ray photoelectron spectroscopy,XPS)スペクトル、図8A、BおよびCは炭素(C)の1s軌道に由来するピーク付近の拡大図、図9A、BおよびCは酸素(O)の1s軌道に由来するピーク付近の拡大図である。このXPSスペクトルから分かるように、精製後の試料2の炭素(C)の1s軌道に由来するピークの強度は精製前の試料1と比べて大きく変化していない。これは、精製処理中に単層カーボンナノチューブの壁面が損傷を受けていないことを意味している。また、精製後の試料2の酸素(O)の1s軌道に由来するピークの強度も精製前の試料1と比べて大きく変化していない。これは、単層カーボンナノチューブの表面に酸素を含む官能基が殆ど存在していないことを意味しており、酸素は単層カーボンナノチューブの表面に吸着していると考えられる。
表1にXPS測定により求めた試料1、2、3の成分元素の含有量をwt%で示す。表1より、精製後の試料2は精製前の試料1に比べて、炭素の含有量は約1.4ポイント、ニッケルの含有量は約0.23ポイント減少しており、アモルファスカーボンおよび金属微粒子とも減少していることが分かる。従来の精製方法による精製後の試料3では、炭素の含有量は試料2に比べて少し少ないものの、NiおよびOの含有量が試料2に比べて多い。
図10は、精製による試料からのアモルファスカーボンおよび金属微粒子の除去の度合いの評価のために作製した単層カーボンナノチューブFETのドレイン電流−ドレイン電圧曲線である。この単層カーボンナノチューブFETは次のようにして作製した。まず、導電性Si基板上に形成されたSiO2 膜の表面にソース電極およびドレイン電極として用いるAu/Tiマイクロ電極を互いに対向して作製し、続いて単層カーボンナノチューブをアルコールに分散させた溶媒をこれらのAu/Tiマイクロ電極間に滴下した後、これらのAu/Tiマイクロ電極と滴下により得られた単層カーボンナノチューブとをPtで接続する。こうして作製した単層カーボンナノチューブFETのバックゲート(導電性Si基板)によりゲート電圧を−1V、0V、1V、2Vと変化させて印加し、ドレイン電流−ドレイン電圧特性を測定した。測定は室温で大気圧下で行った。図10より、ゲート電圧によりドレイン電流を変調することができることが分かり、これはカーボンナノチューブ試料の純度が高いことを示している。
〈実施例2〉
実施例2では試料の精製に図11に示す精製装置を用いた。図11に示すように、この精製装置では、石英製の縦型の容器1を用い、これを縦型の炉2内に入れる。この精製装置のその他の構成は実施例1で用いた精製装置と同様である。この場合、炉2の外部にある容器1の下端に、セラミックス製のボート8上に試料9を載せたものを置く。
この精製装置を用いて、Ni触媒を用いてアーク放電法により成長させた試料の精製を実施例1と同様にして行ったところ、実施例1と同様な結果が得られた。
実施例2では試料の精製に図11に示す精製装置を用いた。図11に示すように、この精製装置では、石英製の縦型の容器1を用い、これを縦型の炉2内に入れる。この精製装置のその他の構成は実施例1で用いた精製装置と同様である。この場合、炉2の外部にある容器1の下端に、セラミックス製のボート8上に試料9を載せたものを置く。
この精製装置を用いて、Ni触媒を用いてアーク放電法により成長させた試料の精製を実施例1と同様にして行ったところ、実施例1と同様な結果が得られた。
次に、この発明の第2の実施形態について説明する。
この第2の実施形態においては、基板上に金属触媒を形成し、炭素源としてのアルコールまたはアルコールの水溶液を気化させることにより得られるガスを反応ガスに用いてCVD法により常圧で単層カーボンナノチューブを成長させた後、この単層カーボンナノチューブの試料を水蒸気および/または塩化水素を含む雰囲気中に保持することにより精製を行う。単層カーボンナノチューブを成長させる際には、CVD装置の反応室の反応部(炉の中に入っている反応管の部分)の外部でアルコールまたはアルコールの水溶液を気化させることにより得られるガスをこの反応部に導入することにより反応を行う。
この第2の実施形態においては、基板上に金属触媒を形成し、炭素源としてのアルコールまたはアルコールの水溶液を気化させることにより得られるガスを反応ガスに用いてCVD法により常圧で単層カーボンナノチューブを成長させた後、この単層カーボンナノチューブの試料を水蒸気および/または塩化水素を含む雰囲気中に保持することにより精製を行う。単層カーボンナノチューブを成長させる際には、CVD装置の反応室の反応部(炉の中に入っている反応管の部分)の外部でアルコールまたはアルコールの水溶液を気化させることにより得られるガスをこの反応部に導入することにより反応を行う。
単層カーボンナノチューブを成長させる基板は、無機材料および/または有機材料からなる基板であり、必要に応じてその材料が選ばれる。無機材料からなる基板としては、例えば、Si基板(表面にSiO2 膜が形成されたものを含む)、ガラス基板、石英基板などが用いられる。有機材料からなる基板としては、例えば、ポリマー基板が用いられる。無機材料および有機材料からなる基板としては、これらの材料を組み合わせたものが用いられる。
基板上に形成する金属触媒としては、例えば、Fe、Co、Ni、Mo、Pt、Pd、Rh、Irなどの金属や、これらの金属のうちの二種以上を組み合わせたもの、例えば、Fe−Co、Ni−Co、Fe−Mo、Co−Moなどを用いることができるが、これらに限定されるものはない。この金属触媒は、典型的には、所定の担体に担持させる。この担体としては、例えば、MgO、シリカ、アルミナ、ゼオライト、ジルコニア、チタニアなどを用いることができるが、これらに限定されるものではない。
成長温度は、500℃以上1500℃以下、好適には650℃以上900℃以下、より好適には800℃以上900℃以下とする。
成長温度は、500℃以上1500℃以下、好適には650℃以上900℃以下、より好適には800℃以上900℃以下とする。
アルコールの水溶液のアルコール濃度は、0%より大きく100%未満であるが、好適には50%以上95%以下、より好適には50%以上80%以下、さらに好適には70%以上80%以下とする。アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノールなどを用いることができる。
この第2の実施形態によれば、アルコールまたはアルコールの水溶液を気化させることにより得られるガスを反応ガスに用いてCVD法により常圧で単層カーボンナノチューブを成長させるので、制御された構造を有する高品質の単層カーボンナノチューブを容易に製造することができる。しかも、直径が例えば0.6〜1.8nmと極めて小さい単層カーボンナノチューブを含み、かつ直径の分布幅が例えば0.6〜0.7nmと極めて狭い単層カーボンナノチューブを容易に製造することができる。そして、この単層カーボンナノチューブの試料を水蒸気および/または塩化水素を含む雰囲気中に保持することにより精製を行うので、単層カーボンナノチューブに損傷を与えることなく、アモルファスカーボンおよび金属微粒子を選択的に除去することができ、高純度の単層カーボンナノチューブを得ることができる。
〈実施例3〉
(1)触媒の調製
触媒としてFe−Coを、従来の化学的含浸(chemical impregnation)法により作製した。具体的には、まず、硝酸鉄(Fe(NO3 )3 9H2 O)および硝酸コバルト(Co(NO3 )3 9H2 O)をエタノール(典型的には40ml)に溶解することにより硝酸金属溶液を調製した。次に、炭酸マグネシウム塩の分解により得られた酸化マグネシウム(MgO)を担体としてこの溶液に加えた。次に、こうして得られた混合物を均一化のために3時間超音波処理した。この混合物からロータリーエバポレーターによりエタノールを除去した後、得られた材料を115℃で一晩乾燥させた。この後、この材料を粉末にした。MgO担体における全触媒量は10wt%に固定し、遷移金属のモル比はFe/Co=1:2とした。
(1)触媒の調製
触媒としてFe−Coを、従来の化学的含浸(chemical impregnation)法により作製した。具体的には、まず、硝酸鉄(Fe(NO3 )3 9H2 O)および硝酸コバルト(Co(NO3 )3 9H2 O)をエタノール(典型的には40ml)に溶解することにより硝酸金属溶液を調製した。次に、炭酸マグネシウム塩の分解により得られた酸化マグネシウム(MgO)を担体としてこの溶液に加えた。次に、こうして得られた混合物を均一化のために3時間超音波処理した。この混合物からロータリーエバポレーターによりエタノールを除去した後、得られた材料を115℃で一晩乾燥させた。この後、この材料を粉末にした。MgO担体における全触媒量は10wt%に固定し、遷移金属のモル比はFe/Co=1:2とした。
(2)常圧CVD
図12は単層カーボンナノチューブを常圧で製造するために用いたCVD装置を示す。図12に示すように、反応管である石英管11を炉12内に入れる。石英管11の両端は炉12の外部に突き出るようにする。炉12の温度は熱電対13により測定し、温度制御装置14により制御する。炉12の外部にある石英管11の一端の内部に、エタノールまたはエタノール水溶液15が入った容器16を置いた。エタノールまたはエタノール水溶液15の濃度は100〜50%とした。石英ボート17の上に触媒金属微粒子としてFe/Co微粒子を担持したMgOからなる触媒18を約1g載せ、これを炉12の中心部の石英管11の中に挿入した。そして、容器16内のエタノールまたはエタノール水溶液15から気化したエタノールまたはエタノールおよび水のガスをAr/H2 混合ガス流(Ar:250ml/min、H2 :20ml/min)により輸送しながら、常圧において850℃、典型的には30分間の反応時間で単層カーボンナノチューブをCVD法により製造した。エタノールまたはエタノール水溶液15の気化速度の制御は、容器16の底面に鉄片19を固定しておき、石英管11の外部に設けた磁石20を石英管11に沿って移動させることで容器16を移動させ、それによって炉12との間の距離を変化させ、加熱されている石英管11からの輻射熱によるエタノールまたはエタノール水溶液15の温度変化を制御することにより行った。
図12は単層カーボンナノチューブを常圧で製造するために用いたCVD装置を示す。図12に示すように、反応管である石英管11を炉12内に入れる。石英管11の両端は炉12の外部に突き出るようにする。炉12の温度は熱電対13により測定し、温度制御装置14により制御する。炉12の外部にある石英管11の一端の内部に、エタノールまたはエタノール水溶液15が入った容器16を置いた。エタノールまたはエタノール水溶液15の濃度は100〜50%とした。石英ボート17の上に触媒金属微粒子としてFe/Co微粒子を担持したMgOからなる触媒18を約1g載せ、これを炉12の中心部の石英管11の中に挿入した。そして、容器16内のエタノールまたはエタノール水溶液15から気化したエタノールまたはエタノールおよび水のガスをAr/H2 混合ガス流(Ar:250ml/min、H2 :20ml/min)により輸送しながら、常圧において850℃、典型的には30分間の反応時間で単層カーボンナノチューブをCVD法により製造した。エタノールまたはエタノール水溶液15の気化速度の制御は、容器16の底面に鉄片19を固定しておき、石英管11の外部に設けた磁石20を石英管11に沿って移動させることで容器16を移動させ、それによって炉12との間の距離を変化させ、加熱されている石英管11からの輻射熱によるエタノールまたはエタノール水溶液15の温度変化を制御することにより行った。
図13は、100%のエタノール濃度を用いて製造した直後の試料のラマンスペクトルを示す。図13より、130〜350cm-1の低周波領域に単層カーボンナノチューブの特徴的なラマン散乱モードの一つであるラジアルブリージングモード(RBM)が明確に観測される。RBMモードの周波数は単層カーボンナノチューブの直径に逆比例し、その関係は□=223.75/d+6.5と表すことができる(例えば、Lyu,S.C.;Liu,B.C.;Lee,T.J.;Liu,Z.Y.;Yang,C.W.;Park,C.Y.;Lee,C.J.,Chem.Commun.2003,734 参照。)。ただし、□はcm-1単位のRBM周波数、dはnm単位の単層カーボンナノチューブの直径であり、バンドル効果を考慮に入れている。130〜350cm-1のRBM周波数は0.6〜1.8nmの直径に対応する。1586cm-1のメインピーク(Gバンド)の左側に現れている1552cm-1のショルダーピークはグラファイトのE2gモードの***に由来するものである。このショルダーピークもまた、単層カーボンナノチューブの特徴的なラマン散乱モードの一つである(例えば、A.Kasuya,Y.Sasaki,Y.Saito,K.Tohji,Y.Nishina,Phys.Rev.Lett.1997,78,4434参照。)。これらの特徴的なピークに加えて、1320cm-1に、欠陥により誘起されるモード、いわゆるDバンドが現れており、これは試料がアモルファスカーボンのような欠陥のあるカーボンを含むことを示す。Dバンドに対するGバンドの強度比(G/D比)は2.8であった。G/D比は単層カーボンナノチューブの純度の良い尺度であり、この比は試料の単層カーボンナノチューブ純度の増加にしたがって増加する(例えば、H.Kataura,Y.Kumazawa,Y.Maniwa,Y.Ohtsuka,R.Sen,S.Suzuki,Y.Achiba,Carbon 2000,38,1691 参照。)。
この実施例3においては、単層カーボンナノチューブの直径およびカイラリティーは、触媒における生成反応により決定される。したがって、単層カーボンナノチューブの構造はエタノール供給速度によって制御することができると考えられる。これを確認するために異なるエタノール濃度で単層カーボンナノチューブを製造した。表2に、試験を行ったエタノール濃度および得られた結果をまとめた。直径の分布はラマンスペクトルにおけるRBM周波数から推定した。また、図14に表2の結果をグラフで示した。
図14に示すように、エタノール濃度は明らかに単層カーボンナノチューブの直径の分布に影響を与える。一般に、もしエタノール濃度が高ければ、それに応じてエタノール蒸気濃度も高くなり、カーボンナノチューブの気−液−固(VLS)成長プロセスに基づくずっと多くの種類のカーボン付着をもたらす。これに対し、エタノール濃度が低ければ、それに応じてエタノール蒸気濃度も低くなり、カーボン付着のタイプの種類が減少する。この傾向は図14において見ることができる。
高品質の単層カーボンナノチューブの製造は、CVD装置の反応部の形状のような実験のセットアップに大きく依存する。従来のエタノールCVDにおいては、蒸発したエタノールが液化するのを防止するために、単層カーボンナノチューブは減圧下で製造される。減圧下では、常圧下と比較すると、エタノール濃度のよう成長パラメータを制御することは困難である。図12に示すCVD装置においては、炉12の外部にある石英管11の一端の内部にエタノールまたはエタノール水溶液15を入れた容器16を設置しており、このため、エタノール濃度および気化速度を調整することにより常圧下で高品質の単層カーボンナノチューブを制御された直径の分布で製造することが可能となった。
(3)精製
常圧CVD法による製造直後の試料に対して実施例1と同様な方法で精製を行った。具体的には、図12に示すCVD装置において、図示省略した所定の機構により、石英管11の内部と容器16との間を遮断するとともに、実施例1と同様な構成により石英管11の内部に水蒸気および塩化水素を供給し、この水蒸気および塩化水素を含む雰囲気中に製造直後の試料を保持することにより精製を行った。この結果、実施例1と同様に試料中のアモルファスカーボンおよび金属微粒子を殆ど除去することができた。
常圧CVD法による製造直後の試料に対して実施例1と同様な方法で精製を行った。具体的には、図12に示すCVD装置において、図示省略した所定の機構により、石英管11の内部と容器16との間を遮断するとともに、実施例1と同様な構成により石英管11の内部に水蒸気および塩化水素を供給し、この水蒸気および塩化水素を含む雰囲気中に製造直後の試料を保持することにより精製を行った。この結果、実施例1と同様に試料中のアモルファスカーボンおよび金属微粒子を殆ど除去することができた。
以上、この発明の実施形態および実施例について具体的に説明したが、この発明は上述の実施形態および実施例に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、上述の実施形態および実施例において挙げた精製装置の構成、CVD装置の構成、数値、材料、原料、プロセスなどはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれらと異なる精製装置の構成、CVD装置の構成、数値、材料、原料、プロセスなどを用いてもよい。
例えば、上述の実施形態および実施例において挙げた精製装置の構成、CVD装置の構成、数値、材料、原料、プロセスなどはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれらと異なる精製装置の構成、CVD装置の構成、数値、材料、原料、プロセスなどを用いてもよい。
1…容器、2…炉、3…温度制御装置、4…塩酸、5…バブラ、8…ボート、9…試料、11…石英管、12…炉、13…熱電対、14…温度制御装置、15…エタノールまたはエタノール水溶液、16…容器、17…石英ボート、18…触媒、19…鉄片、20…磁石
Claims (17)
- 炭素材料を水蒸気および/または塩化水素を含む雰囲気中に保持することにより精製を行うようにしたことを特徴とする炭素材料の製造方法。
- 塩酸を空気でバブリングすることにより発生させた水蒸気および塩化水素を含む雰囲気中に上記炭素材料を保持するようにしたことを特徴とする請求項1記載の炭素材料の製造方法。
- 上記炭素材料を250℃以上650℃以下の温度に加熱された上記水蒸気および/または塩化水素を含む雰囲気中に保持するようにしたことを特徴とする請求項1記載の炭素材料の製造方法。
- 上記炭素材料を電磁波が照射された上記水蒸気および/または塩化水素を含む雰囲気中に保持するようにしたことを特徴とする請求項1記載の炭素材料の製造方法。
- 上記水蒸気および/または塩化水素を含む雰囲気の圧力が0.1気圧以上10気圧以下であることを特徴とする請求項1記載の炭素材料の製造方法。
- 上記炭素材料を化学気相成長装置の反応室において化学気相成長法により成長させた後、この反応室において上記炭素材料を上記水蒸気および/または塩化水素を含む雰囲気中に保持することにより精製を行うようにしたことを特徴とする請求項1記載の炭素材料の製造方法。
- 上記炭素材料はカーボンナノチューブであることを特徴とする請求項1記載の炭素材料の製造方法。
- 上記炭素材料は単層カーボンナノチューブであることを特徴とする請求項1記載の炭素材料の製造方法。
- 化学気相成長装置の反応室において、アルコールまたはアルコールの水溶液を気化させることにより得られるガスを反応ガスに用い、化学気相成長法により常圧で上記単層カーボンナノチューブを成長させた後、この反応室において上記単層カーボンナノチューブを水蒸気および/または塩化水素を含む雰囲気中に保持することにより精製を行うようにしたことを特徴とする請求項8記載の炭素材料の製造方法。
- 化学気相成長装置の反応室の反応部の外部で上記アルコールまたはアルコールの水溶液を気化させることにより得られるガスを上記反応部に導入するようにしたことを特徴とする請求項9記載の炭素材料の製造方法。
- 上記アルコールの水溶液のアルコール濃度が0%より大きく100%未満であることを特徴とする請求項9記載の炭素材料の製造方法。
- 上記アルコールの水溶液のアルコール濃度が50%以上95%以下であることを特徴とする請求項9記載の炭素材料の製造方法。
- 上記アルコールの水溶液のアルコール濃度が50%以上80%以下であることを特徴とする請求項9記載の炭素材料の製造方法。
- 上記アルコールが一価アルコールであることを特徴とする請求項9記載の炭素材料の製造方法。
- 上記アルコールの水溶液のアルコール濃度および/または上記アルコールの水溶液の気化速度を調節することにより上記単層カーボンナノチューブの直径および/または直径の分布を制御するようにしたことを特徴とする請求項9記載の炭素材料の製造方法。
- 水蒸気および/または塩化水素を含む雰囲気中に保持することにより炭素材料の精製を行うことにより製造されることを特徴とする炭素材料。
- 炭素材料を用いた電子素子の製造方法において、
上記炭素材料を水蒸気および/または塩化水素を含む雰囲気中に保持することにより精製を行うようにしたことを特徴とする電子素子の製造方法。
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