JP2007261839A - カーボンナノチューブの製造方法 - Google Patents

カーボンナノチューブの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2007261839A
JP2007261839A JP2006086635A JP2006086635A JP2007261839A JP 2007261839 A JP2007261839 A JP 2007261839A JP 2006086635 A JP2006086635 A JP 2006086635A JP 2006086635 A JP2006086635 A JP 2006086635A JP 2007261839 A JP2007261839 A JP 2007261839A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
catalyst
fine particles
cnt
substrate
carbon
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2006086635A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4706852B2 (ja
Inventor
Atsuhito Okamoto
篤人 岡本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Central R&D Labs Inc
Original Assignee
Toyota Central R&D Labs Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Central R&D Labs Inc filed Critical Toyota Central R&D Labs Inc
Priority to JP2006086635A priority Critical patent/JP4706852B2/ja
Publication of JP2007261839A publication Critical patent/JP2007261839A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4706852B2 publication Critical patent/JP4706852B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Abstract

【課題】直径制御性に優れ、触媒の周囲にアモルファスカーボンが堆積することに起因する触媒の活性や寿命の低下を抑制することが可能なカーボンナノチューブの製造方法を提供すること。
【解決手段】触媒を分散させた触媒分散液を基板表面に塗布し、基板表面に触媒を担持させる触媒担持工程と、触媒を担持させた基板表面にカーボンナノチューブを成長させる成長工程とを備え、触媒は、8〜10族元素から選ばれる1以上の第1元素と、4族元素及び5族元素から選ばれる1以上の第2元素とを含む微粒子と、微粒子の周囲を被覆する有機酸及び有機アミンから選ばれる1以上の有機物からなる保護層とを備え、成長工程は、基板表面に担持させた触媒微粒子上に、少なくとも炭素含有化合物ガスと酸素含有化合物ガスとを流し、化学気相成長法により基板表面にカーボンナノチューブを成長させるものであるカーボンナノチューブの製造方法。
【選択図】図7

Description

本発明は、カーボンナノチューブの製造方法に関し、さらに詳しくは、基板表面に高密度、かつ垂直配向したカーボンナノチューブ膜を成長させることが可能なカーボンナノチューブの製造方法に関する。
カーボンナノチューブ(CNT)は、黒鉛の一層に相当するグラフェンシート(炭素原子が六角網目状に配列したシート)を筒状に丸めた立体構造を持つ。CNTは、1枚の円筒状グラフェンシートからなる単層CNTと、複数枚の円筒状グラフェンシートが同心円状に重なった多層CNTとがある。また、合成された未処理のCNTの先端は、通常、「キャップ」と呼ばれる半球状のグラファイト層で閉じられた構造になっている。
CNTは、nmオーダーの直径と、μm〜cmオーダーの長さを有しており、アスペクト比が極めて大きく、先端の曲率半径が数nm〜数十nmと極めて小さいという特徴がある。CNTは、機械的にも強靱で、化学的・熱的安定性に優れ、円筒部のらせん構造に応じて金属にも半導体にもなるという特徴がある。そのため、CNTは、発光デバイス用の電子配線材料、放熱材料、繊維材料、フラットパネルディスプレイ用の電子放出源、トランジスタ材料、電子顕微鏡用の電子放出源(点光源)、あるいは、SPM用の探針等への応用が期待されている。
CNTを合成する方法には、
(1)Arや水素等の気体雰囲気中において炭素棒間でアーク放電を行わせ、陰極上にCNTを堆積させるアーク法、
(2)触媒を混ぜたグラファイトの表面にYAGレーザー等の強いパルス光を当て、これにより発生した炭素の煙を電気炉で加熱し、反応管の下流側でCNTを回収するレーザー蒸発法、
(3)触媒金属微粒子上で炭素化合物(例えば、メタン、アセチレン、ベンゼンなど)を熱分解させる化学気相成長法、
などが知られている。
(1)及び(2)の合成法により得られるCNTは、いずれも完全にランダムな方向を向いて絡み合った状態になっている。また、多量のカーボンナノカプセルやアモルファス粒子等を含んでいる場合もある。一方、CNTの持つ究極の異方性を最大限に引き出すためには、多数本のCNTを基材表面に配向させることが望ましい。また、CNTを電子配線材料、放熱材料、繊維材料等に応用する場合において、高電流密度、高熱伝導性、高強度等を得るためには、CNTを基板表面に高密度に生成させることが望ましく、(3)の化学気相成長法がこの目的に適する。さらに、CNTの特性はらせん度に依存するので、CNT合成時にCNTのらせん度を任意に制御できることが望ましい。そのため、CNTを基材表面上に高密度に配向成長させる方法、CNTの合成に用いられる触媒粒子やCNTの直径制御、及びCNTの複製技術等に関し、従来から種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1には、トルエンにカチオン性界面活性剤(ジデシルジメチルアンモニウムブロマイド)を溶解させ、これに塩化コバルト六水和物を溶解させ、これに水素化ホウ素ナトリウムを加えて塩化コバルトを還元し、コバルト微粒子を得るカーボンナノチューブ合成用触媒の製造方法が開示されている。同文献には、
(1)このような方法により平均粒径約4nmのコバルト粒子が得られる点、
(2)このコバルト粒子をトルエンに分散させた触媒液をシリコン基材上に滴下し、硫化水素/水素混合ガスと接触させることによって基材表面に硫化コバルト粒子を生成させ、この触媒基材を反応管に入れてアセチレン/N2混合ガスを900℃で1時間流通させることによって、直径20〜50nm、長さ0.5〜5μmのCNTが得られる点、及び、
(3)CNT合成用触媒として、5〜8族の金属、例えば、Ni、Co、Mo、Fe、Cu、V、Pd等を用いることができる点、
が記載されている。
また、特許文献2には、ガラス基板表面に膜厚1〜100nmの鉄ジルコニウム合金薄膜又は膜厚2.5nmのコバルトバナジウム合金薄膜を形成し、これを加熱する触媒の製造方法が開示されている。同文献には、
(1)薄膜を形成した基板を加熱すると、薄膜内部に触媒として機能する結晶性の金属微粒子が生成する点、
(2)薄膜を形成した基板を加熱し、これと反応性の炭素ガスとを接触させると、基板表面にCNTを成長させることができる点、及び、
(3)鉄又はコバルトに4族元素又は5族元素を添加すると、基板の加熱温度(成長炉温度)を低温化することができる点、
が記載されている。
また、非特許文献1には、Ti−Co合金ターゲットをレーザーアブレーションすることによって微粒子を生成させ、これを微分型静電分級器(Differential Mobility Analyzer, DMA)を用いて分級するTi−Co粒子の製造方法が開示されている。同文献には、
(1)このような方法によって、平均粒径5.8nm、標準偏差1.09nmであるTi−Co微粒子が得られる点、及び、
(2)この微粒子をSi基板表面に担持し、熱CVD法を用いてCNTを成長させると、平均径5.7nm、標準偏差1.13nmであるCNTが得られる点、
が記載されている。
また、非特許文献2には、Si基板表面に厚さ20nmのTiN薄膜(Coケイ化物の生成を抑制するためのバッファー層)を形成し、その表面にパルスアークプラズマにより生成したCo粒子を担持する触媒の製造方法が開示されている。同文献には、
(1)このような方法により、直径2〜3nmのCoナノ粒子が得られる点、及び、
(2)Coナノ粒子を担持したTiN/Si基板を用いると、外径3〜6.6nmのCNTを成長させることができる点、
が記載されている。
また、非特許文献3には、あらかじめ液相中で合成した粒径の均一なナノ粒子を触媒として、ナノ粒子の径に対応する直径を有するCNTを合成する点が記載されている。
さらに、化学気相成長法によりCNTを合成する場合、通常、もつれたCNTの間、あるいはCNTの壁面やキャップ表面にアモルファスカーボンが付着する場合がある。アモルファスカーボンは、成長中に触媒活性を失活させ、しかもCNTの特性に悪影響を及ぼす不純物となる。そのため、合成時にアモルファスカーボンを除去する方法も提案されている。
例えば、非特許文献4には、C源であるキシレン(5ml)にフェロセン(0.6g)を溶解させた溶液に水(0〜2.0ml)を加え、この溶液を管状炉に連続的に供給し、石英基板表面にカーボンナノチューブを成長させるカーボンナノチューブの製造方法が開示されている。同文献には、
(1) 水を含む雰囲気下でCNTを合成すると、チューブ壁を覆うアモルファスカーボンを効率的に除去することができる点、
(2) 溶液に水を加えない場合、CNTは直線的であるのに対し、溶液中に水を加えると、CNTが折れ曲がり、その表面も平滑でなくなり、「竹」状の構造になる点、
(3) 水を含む雰囲気下でCNTを合成すると、CNTの側面を構成するグラファイト層が壊れ、連続したグラファイトシートではなくなる点、及び
(4) 溶液中に加える水の量が増加するほど、CNTの成長速度が除々に低下する点、
が記載されている。
また、非特許文献5には、Si基板表面に、触媒としてAl23(10nm)/Fe(1nm)スパッタ膜を形成し、エチレン流量:10〜150cm3STP/min、水濃度20〜500ppm、温度750℃×10minの条件下で基板表面にCNTを成長させるCNTの合成方法が開示されている。同文献には、
(1) CVD合成時に水を添加することによって、触媒の活性及び寿命が向上する点、並びに、
(2) このような方法により、高密度でかつ垂直配向したミリメートル高さ(最高:2.5mm厚)の単層CNTを合成できる点、
が記載されている。
また、非特許文献6には、600nmのSiO2膜を有するSi基板上にAl23(10nm)/Fe(1nm)膜を形成し、エチレンをカーボン源に用いて750℃でCVD合成する単層CNTの製造方法が開示されている。同文献には、
(1) 水濃度100ppmまでは、水濃度の増加に伴いCNTの最大高さが増加し、水濃度が140ppmを超えると、水濃度の増加に伴いCNTの最大高さが減少する点、及び、
(2) 反応管の排出部の水/エチレン比が1/1000の時に膜厚が最大となる点、
が記載されている。
さらに、非特許文献7には、SiO2/Si基板表面に電子ビーム蒸着により厚さ0.1〜0.2nmのFe膜を形成し、これを酸素中において550℃でアニールし、さらに水素中において720℃で加熱することにより、SiO2上に〜1.3nmのFeクラスターを生成させ、メタン(66%)、水素(12%)、酸素(1%)及びアルゴン(21%)の混合ガスを用いて、CVD法により基板表面にCNTを生成させるCNTの製造方法が開示されている。同文献には、
(1) この方法により、10分間で約10μm厚の垂直配向した単層CNTが得られる点、及び、
(2) 酸素を添加しないと、垂直配向した単層CNTが得られない点、
が記載されている。
特許第3438041号公報 特開2004−267926号公報 S.Sato et al., Chemical Physics Letters 402(2005)149-154 M.Hiramasu et al., Japanese Journal of Applied Physics, 44(2005)L693-695 Journal of Physical Chemistry, B105(2001)11424-11431 A.Cal et al., Journal of Materials Research, 16(2001)3107-3110 K.Hata et al., Science, 306(2004)1362-1364 D.N.Futaba et al., Physical Review Letters, 95(2005)056104 G.Zhang et al., Proceedings of the National Academy of Science of the United States of America, 102(2005)16141-16145
周期律表の8〜10族に属するFe、Co、Niなど及びこれらの合金は、いずれもCNTを成長させるための触媒能が高いことが知られている。そのため、これらの金属又は合金からなる微粒子を基板表面に密に配置し、かつCNT合成条件を最適化すると、高密度のCNTを基板表面に成長させることができる。
通常の化学気相成長法によるCNT成長法では、触媒金属の薄膜や触媒金属の前駆体を基板表面に形成し、次いでこれに熱処理やプラズマ処理を施し、微粒子を生成し、これを触媒としてCNTを成長させる。しかしながら、これらの微粒子の粒径、数密度等を制御することは、極めて困難であり、それに伴いCNTの直径を制御することも難しい。
非特許文献3などでは、あらかじめ液相中で合成した粒径の均一なナノ粒子を触媒として、ナノ粒子の径に対応する直径を有するCNTを合成している。しかしながら、これまで報告されている液相合成ナノ粒子の触媒活性は極めて低く、基板上にランダムに成長した低密度のCNTしか得られていない。
一方、非特許文献1に開示されている気相法で生成したTi−Co二元合金微粒子は、微粒子の触媒活性が高いとともに微粒子の直径とCNTの直径がほぼ対応しており、CNTの配向成長と直径制御性に優れている。しかしながら、レーザーアブレーションによって微粒子を生成させ、これを静電的に分級する方法は、均一な粒径の粒子を得る方法としては効率が悪く、小さな粒径において均一なものを得るのが難しい。
さらに、従来の触媒は、触媒活性が低いために、触媒の周囲にアモルファスカーボンが堆積しやすい。そのため、有効に作用する触媒微粒子の数を低減させるという問題がある。また、アモルファスカーボンは、触媒の活性や寿命を低下させ、CNTの成長速度を低下させる原因となっていた。
本発明が解決しようとする課題は、高密度、かつ垂直配向しており、しかも直径制御性に優れたカーボンナノチューブの製造方法を提供することにある。
また、本発明が解決しようとする他の課題は、触媒の周囲にアモルファスカーボンが堆積することに起因する触媒の活性や寿命の低下を抑制することが可能なカーボンナノチューブの製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係るカーボンナノチューブの製造方法は、カーボンナノチューブ合成用触媒を分散させた触媒分散液を基板表面に塗布し、前記基板表面に前記カーボンナノチューブ合成用触媒を担持させる触媒担持工程と、前記カーボンナノチューブ合成用触媒を担持させた前記基板表面にカーボンナノチューブを成長させる成長工程とを備え、前記カーボンナノチューブ合成用触媒は、8族元素、9族元素及び10族元素から選ばれる1以上の第1元素と、4族元素及び5族元素から選ばれる1以上の第2元素とを含む微粒子と、前記微粒子の周囲を被覆する有機酸及び有機アミンから選ばれる1以上の有機物からなる保護層とを備え、前記成長工程は、前記基板表面に担持させた前記カーボンナノチューブ合成用触媒上に、少なくとも炭素含有化合物ガスと酸素含有化合物ガスとを流し、化学気相成長法により前記基板表面にカーボンナノチューブを成長させるものからなる。
第1原料、第2原料、アルコール、並びに、有機酸及び/又は有機アミンを所定の比率で混合し、所定の温度で加熱すると、第1元素及び第2元素を含む微粒子からなり、その周囲が保護層で被覆された触媒微粒子が得られる。保護層は、触媒微粒子の合成中における微粒子間の凝集を防ぐ作用がある。そのため、このような方法により、平均粒径が相対的に小さく、かつ、標準偏差の小さい微粒子が得られる。このようにして得られた微粒子を適当な分散媒に分散させ、この分散液を適当な基材表面に塗布・乾燥させると、触媒微粒子を基材表面に密に担持させることができる。さらに、これを用いてCVD法によりCNTを合成する場合において、触媒上に炭素含有化合物ガスに加えて酸素含有化合物ガスを流すと、触媒の周囲に堆積するアモルファスカーボンを選択的に酸化除去することができる。そのため、触媒とほぼ同等の直径及び標準偏差を有する高密度、かつ垂直配向したCNTを高い成長速度で合成することができる。
以下に、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
初めに、本発明に係る方法に用いられるCNT合成用触媒について説明する。本発明において、CNT合成用触媒は、第1元素と第2元素とを含む微粒子と、微粒子の周囲を被覆する保護層とを備えている。
「第1元素」とは、8族元素(Fe、Ru、Os)、9族元素(Co、Rh、Ir)及び10族元素(Ni、Pd、Pt)から選ばれる1以上の元素(主触媒元素)をいう。「第2元素」とは、4族元素(Ti、Zr、Hf)及び5族元素(V、Nb、Ta)から選ばれる1以上の元素(助触媒元素)をいう。微粒子は、第1元素及び第2元素のみを含むものでも良く、あるいは、第1元素及び第2元素に加えて、他の元素が含まれていても良い。他の元素としては、その他の金属・非金属元素や、出発原料に由来する元素(例えば、酸素)などがある。
触媒中に複数の第1元素が含まれる場合、それらの比率は、任意に選択することができる。同様に、触媒中に複数の第2元素が含まれる場合、そられらの比率は、任意に選択することができる。触媒に第1元素及び第2元素以外の元素が含まれる場合、微粒子の触媒活性に悪影響を及ぼす元素は、少ない方が好ましい。なお、酸素は、CNTを合成する際に還元(非酸化)雰囲気にさらされることによってある程度除去されるので、触媒中に含まれていても良い。
これらの中でも、4族元素(特に、Ti)は、他の元素に比べて、CNTの成長速度を増大させる効果が大きいので、第2元素として特に好適である。また、5族元素(特に、V)は、他の元素に比べて、合成されたCNTの直径制御性に優れているので、第2元素として特に好適である。
触媒中に含まれる第1元素と第2元素の比率は、触媒活性度に影響を与える。第1元素は、その薄膜から熱処理やプラズマ処理で微粒子を形成した場合においては、それ自体でCNTを成長させるための相対的に高い触媒活性度を有しているが、液相法で合成された場合には、その触媒活性度は極端に小さくなる。しかしながら、これに第2元素を添加すると、液相法であっても触媒活性度を劇的に向上させることができる。このような効果を得るためには、第2元素の含有量(=第2元素の原子数×100/(第1元素の原子数+第2元素の原子数))は、2at%以上が好ましい。
一方、第2元素の含有量が過剰になると、触媒活性度はかえって低下する。従って、第2元素の含有量は、50at%以下が好ましい。
最適な第2元素の含有量は、第1元素及び第2元素の種類に応じて異なる。例えば、Fe−Ti二元合金又はFe−Ti−O系酸化物の場合、Ti含有量は、2〜50at%が好ましく、さらに好ましくは4〜40at%、さらに好ましくは10〜35at%、さらに好ましくは15〜30at%である。
また、例えば、Fe−V二元合金又はFe−V−O系酸化物の場合、V含有量は、2〜50at%が好ましく、さらに好ましくは4〜35at%、さらに好ましくは5〜30at%である。
また、例えば、Fe−Ti−V三元合金又はFe−Ti−V−O系酸化物(Ti/Vの原子比=1)の場合、(Ti+V)の含有量は、2〜50at%が好ましく、さらに好ましくは5〜45at%、さらに好ましくは、7〜35at%、さらに好ましくは11〜27at%である。
触媒微粒子の直径及び標準偏差は、合成されるCNTの外径及び標準偏差に影響を与える。一般に、触媒微粒子の直径が小さくなるほど、外径の小さなCNTが得られる。また、触媒微粒子の直径の標準偏差が小さくなるほど、外径の標準偏差の小さなCNTが得られる。さらに、CNTの合成中における触媒微粒子の凝集が起きにくくなるほど、触媒微粒子の直径とほぼ同等の外径を有するCNTを合成することができる。
後述する本発明に係る製造方法を用いると、直径が1〜15nmである触媒微粒子を合成することができる。また、製造条件を最適化すると、直径が3〜5nmである触媒微粒子を合成することができる。さらに、後述する製造方法を用いると、分級することなく、直径の標準偏差が1nm以下である触媒微粒子を合成することができる。さらに、条件を最適化すると、直径の標準偏差が0.5nm以下である触媒微粒子を合成することができ、また、分散溶媒の極性調整による分別沈殿で、粒子をさらに精密分級することもできる。
保護層は、主として、微粒子を合成する際に微粒子の凝集を抑制し、粒子径を均一にする作用、及び、後述する分散液中に分散させる際に微粒子の凝集を抑制する作用を有する。保護層は、有機酸及び有機アミンから選ばれる1以上の有機物からなる。これらの有機物は、一分子内に疎水基と親水基を持つ界面活性剤の一種であり、微粒子表面をこれらで被覆することにより、合成時や分散時での微粒子の凝集を抑制することができる。
有機酸としては、具体的には、RCOOH、RSOH、RPOHなどがある。また有機アミンとしては、具体的には、RNH2、R2NH、R3Nなどがある。なお、Rは、アルキル鎖(Cn2n+1−、nは自然数)を表す。
保護層は、1種類の有機物からなるものでも良く、あるいは、2種以上の有機物からなるものでも良い。特に、2種以上の有機物を保護層として用いると、微粒子の粒子径が安定化し、均一化するという利点がある。
次に、本発明に係る方法に用いられる触媒分散液について説明する。
触媒分散液は、上述したカーボンナノチューブ合成用触媒を分散溶媒中に分散させたものからなる。
分散溶媒は、触媒微粒子を均一に分散させることが可能なものであればよい。このような分散溶媒としては、ヘキサン、トルエン、クロロホルムなどの極性の低い有機溶媒が挙げられる。
また、触媒分散液中の触媒微粒子濃度は、目的に応じて任意に選択することができる。一般に、触媒微粒子の濃度が低くなるほど、微粒子を均一に分散させるのが容易化するが、触媒微粒子の濃度が低くなりすぎると、基板表面に触媒微粒子を密に配置させるのが困難となる。従って、触媒微粒子の濃度は、0.001wt%以上が好ましい。
一方、触媒微粒子の濃度が高くなりすぎると、基板表面に粒子の単分子膜を形成するのが困難となる。従って、触媒微粒子の濃度は、1.0wt%以下が好ましい。
最適な触媒微粒子の濃度は、基板の引き上げ速度など、他の製造条件にも依存するので、これらを考慮して最適な濃度を選択するのが好ましい。
次に、カーボンナノチューブ合成用触媒の製造方法について説明する。
カーボンナノチューブ合成用触媒の製造方法は、溶解・混合工程と、加熱工程とを備えている。
溶解工程は、第1原料と、第2原料と、アルコールと、有機物とを有機溶媒中で溶解・混合する工程である。
「第1原料」とは、8族元素、9族元素及び10族元素のいずれか1以上の第1元素を含む化合物であって、有機溶媒に可溶なものをいう。第1原料には、このような条件を満たす1種類の化合物を用いても良く、あるいは、2種以上の化合物を組み合わせて用いても良い。
第1原料としては、具体的には、
(1) 第1元素のイオンに有機物が配位した有機錯体、
(2) 第1元素の有機酸塩
などがある。
第1元素を含む有機錯体としては、具体的には、Fe(III)アセチルアセトナート、Fe(II)アセチルアセトナート、Co(II)アセチルアセトナート、Co(III)アセチルアセトナート、Ni(II)アセチルアセトナート、白金(II)アセチルアセトナートなどがある。
また、第1元素を含む有機酸塩としては、具体的には、酢酸鉄(II)、シュウ酸鉄(II)、シュウ酸鉄(III)、酢酸コバルト(II)、酢酸コバルト(III)、酢酸ニッケル(II)、酢酸パラジウム(II)、硝酸パラジウム水和物(II)、硝酸パラジウム(II)などがある。
「第2原料」とは、4族元素及び5族元素のいずれか1以上の第2元素を含む化合物であって、有機溶媒に可溶なものをいう。第2原料には、このような条件を満たす1種類の化合物を用いても良く、あるいは、2種以上の化合物を組み合わせて用いても良い。
第2原料としては、具体的には、
(1) 第2元素(M)のイオン又はMOイオンに有機基が配位した有機錯体、
(2) 第2元素の有機酸塩、
などがある。
第2元素を含む有機錯体としては、具体的には、VOアセチルアセトナート、TiOアセチルアセトナート、Zrトリフルオロアセチルアセトナート、Hfトリフルオロアセチルアセトナート、Tiジイソプロポオキサイドビステトラメチルヘプタンジオネートなどがある。
また、第2元素を含む有機酸塩としては、具体的には、シュウ酸チタン、硫酸チタン、酸化硫酸バナジウム、硫酸バナジウム、酢酸ジルコニウム、硫酸ハフニウムなどがある。
アルコールは、第1原料及び第2原料を還元し、有機溶媒中において金属イオン又はMOイオンを非イオンの状態にするための還元剤である。還元剤には、1種類のアルコールを用いても良く、あるいは、2種以上を組み合わせて用いても良い。
還元剤として使用可能なアルコールとしては、具体的には、1,2−ヘキサデカンジオール、1,2−オクタデカンジオール、1,2−テトラデカンジオールなどがある。
「有機物」とは、上述したように有機酸又は有機アミンからなる。有機物には、1種類の有機酸又は有機アミンを用いても良く、あるいは、2種以上を組み合わせて用いても良い。
有機酸としては、具体的には、オレイン酸、カプロン酸、ラウリン酸、酪酸、リノール酸などがある。
また、有機アミンとしては、具体的には、オレイルアミン、ヘキシルアミン、ラウリルアミンなどがある。
有機溶媒は、上述した第1原料、第2原料、アルコール及び有機物を溶解可能なものであればよい。また、溶液は、後述するように所定の温度に加熱されるので、沸点が200℃以上である溶媒を用いるのが好ましい。有機溶媒としては、具体的には、オクチルエーテル、フェニルエーテルなどがある。これらの有機溶媒は、それぞれ単独で用いても良く、あるいは、2種以上を組み合わせて用いても良い。
第1原料及び第2原料の比率は、作製しようとする触媒微粒子の組成に応じて最適な比率を選択する。本発明に係る方法を用いると、仕込み組成にほぼ一致する触媒微粒子が得られる。
また、溶液中における第1原料及び第2原料の濃度は、作製しようとする触媒微粒子の直径、標準偏差等に応じて最適な濃度を選択する。一般に、希薄溶液を用いると、粒径のそろった均一な触媒微粒子が得られる。第1原料及び第2原料に加える溶媒の量は、第1原料及び第2原料の種類にもよるが、通常、第1原料及び第2原料1mmolに対して、10〜50mL程度である。
還元剤は、上述したように溶液中に含まれる第1元素若しくは第2元素のイオン又はMOイオンに電子を与え、非イオンの状態にするためのものである。金属イオン又はMOイオンが還元されると、これらが互いに集まって微粒子を形成する。還元剤の添加量は、第1原料及び第2原料並びにその他の原料の種類にもよるが、通常、溶液中に含まれる第1元素若しくは第2元素のイオン又はMOイオンのモル数の1〜20倍程度である。
有機酸又は有機アミンは、溶液中において第1元素若しくは第2元素のイオン又はMOイオンと結合すると考えられている。この溶液中にさらに還元剤が加えられると、金属イオン又はMOイオンが還元されて微粒子状に凝集すると同時に、微粒子の周囲が有機酸又は有機アミンで被覆された状態となる。有機酸又は有機アミンの添加量は、第1原料及び第2原料並びにその他の原料の種類にもよるが、通常、溶液中に含まれる第1元素若しくは第2元素のイオン又はMOイオンのモル数の1〜10倍程度である。
加熱工程は、溶解・混合工程で得られた均一な溶液を、不活性雰囲気下において180℃〜300℃で加熱する工程である。加熱により溶液中に、保護層で被覆された触媒微粒子が生成する。
溶液の加熱は、溶液中で生成した微粒子の酸化を防ぐために不活性雰囲気下(例えば、窒素雰囲気下、アルゴン雰囲気下など)で行う。
加熱温度は、使用する原料の種類や目的とする直径に応じて、最適な温度を選択する。一般に、加熱温度が低すぎると、原料間の反応が不十分となる。原料間の反応を効率よく進行させるためには加熱温度は、180℃以上が好ましい。
一方、加熱温度が高すぎると、微粒子の凝集が進行し、粒子の直径が不均質になる。従って、加熱温度は、300℃以下が好ましい。
反応終了後、遠心分離等の手段を用いて微粒子と溶媒とを分離し、再びこれを適当な分散溶媒中に分散させれば、CNT合成用触媒分散液が得られる。
次に、本発明に係るカーボンナノチューブの製造方法について説明する。
本発明の第1の実施の形態に係るカーボンナノチューブの製造方法は、触媒担持工程と、成長工程とを備えている。
触媒担持工程は、上述した触媒分散液を基板表面に塗布し、基板表面にカーボンナノチューブ合成用触媒を担持させる工程である。
基板の材質は、特に限定されるものではなく、CNT合成用触媒の組成、後述する成長工程における成長条件、CNTの用途等に応じて最適なものを選択する。基板の材質としては、具体的には、Si、熱酸化膜付Si、サファイヤ、マグネシア、種々の金属、酸化物、窒化物を堆積したSi基板、メソポーラス材料などがある。
基板としてメソポーラス材料を用いる場合、基板表面のみがメソポーラス材料であっても良く、あるいは、基板全体がメソポーラス材料であっても良い。
表面のみがメソポーラスシリカからなる基板は、具体的には、
(1) シリコンアルコキシドに適量の水、エタノール、界面活性剤、及び酸を加えてゾル状態とし、
(2) これを適当な基板(例えば、Si基板など)表面に塗布して重縮合させることにより、基板表面に界面活性剤を含むメソポーラスシリカ膜を形成し、
(3) メソポーラスシリカ膜から界面活性剤を酸化又は溶媒抽出により除去する、
ことにより得られる。
また、全体がメソポーラスシリカからなる基板は、具体的には、
(1) シリコンアルコキシド(例えば、テトラアルコキシシランなど)に適量の水、エタノール、界面活性剤を加え、塩基性条件下でシリカ原料を加水分解させ、
(2) 溶液から粉末状の生成物を分離し、
(3) 粉末に含まれる界面活性剤を酸化又は溶媒抽出により除去し、
(4) 粉末を板状に成形し、焼結させる、
ことにより得られる。
シリコンアルコキシドに代えて特定の金属元素を含む金属アルコキシドを出発原料に用いると、シリカ以外の材料(例えば、チタニア、ジルコニア、アルミナなど)からなるメソポーラス材料が得られる。
基板表面への触媒分散液の塗布方法には、
(1) 基板表面に触媒分散液をスプレー、ハケ塗り等により塗布する方法、
(2) 基板表面に触媒分散液をスピンコーティングする方法、
(3) 触媒分散液中に基板をディッピングし、所定の引き上げ速度で基板を引き上げる方法、
などがある。本発明においては、いずれの方法を用いても良い。
特に、ディッピング法は、基板表面に均一に触媒分散液を塗布することができ、また、触媒分散液中の微粒子濃度や基板の引き上げ速度等を最適化すると、基板表面に微粒子を均一かつ密に担持させることができるので、塗布方法として好適である。
また、用いる基板表面が親水性の場合、触媒分散液を塗布する前に基板表面をシランカップリング剤などにより疎水処理する方が好ましい。予め疎水処理を施すことにより、微粒子を均一に担持できる。
基板表面に触媒分散液を塗布した後、基板を乾燥させ、触媒分散液に含まれていた分散溶媒を除去する。少なくとも上記工程後に、上記触媒微粒子は酸化され、金属酸化物微粒子となっている。なお、触媒微粒子表面を覆っている保護層は、成長工程に先立って、酸化雰囲気中での熱処理またはプラズマ処理によって除去しても良く、あるいは、保護層を除去することなく、そのままCNTの合成に用いても良い。本発明においては、後述するように、CNTの合成時に適量の酸素含有化合物ガスが用いられるので、必ずしもCNTの成長に先立って、保護層を除去する必要はない。
成長工程は、CNT合成用触媒を担持させた基板表面にカーボンナノチューブを成長させる工程である。
CNTの成長は、具体的には、触媒を担持させた基板表面に炭素含有化合物ガスを供給し、炭素含有化合物ガスを熱分解させること(いわゆる、「化学気相成長法」)により行う。基板表面において炭素含有化合物ガスを熱分解させると、基材表面に担持された触媒を種としてCNTが成長する。また、本発明においては、炭素含有化合物ガスを流すと同時に、酸素含有化合物ガスを供給する。
炭素含有化合物としては、
(1) メタン、アセチレン、エタン、プロパン、プロピレン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素、
(2) 上記炭化水素のHをヒドロキシ基(OH)で置換したメタノール、エタノール等のヒドロキシ化合物、
(3) 一酸化炭素、
などが好適である。これらの炭素含有化合物は、いずれか1種のみを用いても良く、あるいは、2種以上を組み合わせて用いても良い。
これらの中でも、炭化水素及びヒドロキシ化合物は、CNTを効率よく生成させることができ、取り扱いも容易であるので、炭素含有化合物として特に好適である。
酸素含有化合物ガスとしては、水蒸気、酸素、一酸化炭素、アルコールなどがある。特に、水蒸気は、酸化力が相対的に弱いので、CNTの成長に有害なアモルファスカーボンのみを選択的に除去するのが容易化する。また、水蒸気は、反応ガスへの添加量の計測制御が容易であるので、CNTの合成時に使用する酸素含有化合物ガスとして好適である。
酸素含有化合物ガスの添加量は、CNTの成長速度に影響を及ぼす。一般に、酸素含有化合物ガスの添加量が少なくなるほど、CNTの成長速度が低下する。相対的に高い成長速度を得るためには、炭素含有化合物ガス(x)に対する酸素含有化合物ガス(y)のモル比(y/x)は、反応管の導入部において、0.0002以上が好ましい。モル比(y/x)は、さらに好ましくは0.0007以上、さらに好ましくは0.002以上、さらに好ましくは0.003以上である。
一方、酸素含有化合物ガスの添加量が過剰になると、CNTの酸化が進行するため、CNTの成長速度がかえって低下する。従って、モル比(y/x)は、反応管の導入部において、0.02以下が好ましい。モル比(y/x)は、さらに好ましくは0.014以下、さらに好ましくは、0.01以下、さらに好ましくは、0.008以下である。
また、炭素含有化合物ガス及び酸素含有化合物ガスを基板表面に供給する場合、適当なキャリアガスを使用する。キャリアガスとしては、具体的には、水素、アンモニア、窒素、アルゴン、ヘリウム等、又はこれらの混合ガスが好適である。炭素含有化合物ガス及び酸素含有化合物ガスとキャリアガスの比率、ガスの総流量等は、炭素含有化合物及び酸素含有化合物の種類、反応管の大きさ、熱分解方法等に応じて、最適なものを選択する。
炭素含有化合物ガスを熱分解させる方法には、
(1) 反応容器内に基板を配置し、ヒータ、赤外線、レーザーなどを用いて基板を所定温度に加熱し、反応容器内に炭素含有化合物ガスを適当なキャリアガスとともに導入する熱化学気相成長(熱CVD)法、
(2) 反応容器内に基板を配置し、例えば、マイクロ波発振器等を用いて反応容器内にプラズマを発生させることにより基板を所定温度に加熱し、反応容器内に炭素含有化合物ガスを適当なキャリアガスとともに導入するプラズマ気相成長(プラズマCVD)法、
(3) 反応容器内に基板を配置し、基板表面近傍に配置したホットフィラメントを用いて基板を所定温度に加熱し、反応容器内に炭素含有化合物ガスを適当なキャリアガスとともに導入するホットフィラメント気相成長(ホットフィラメント熱CVD)法、
(4) 上述した各種方法の組み合わせ、
などがある。本発明においては、いずれの方法を用いても良い。
CNTの合成は、まず、基板を反応容器に入れて所定の圧力(例えば、10-5Torr(1.3×10-3Pa)以下)まで減圧する。次いで、加熱装置を用いて、基板を合成温度まで昇温させる。基板が合成温度に達したところで、反応ガス供給装置を用いて数分〜数時間、キャリアガスと炭素含有化合物ガス及び酸素含有化合物ガスとを所定の流量比で圧力を調整しながら流す。これにより、基板表面にCNTが成長する。
CNTの合成温度は、少なくとも、炭素含有化合物ガスを熱分解させることが可能な温度以上であれば良い。CNTの合成温度は、通常、500〜1000℃である。
また、炭素含有化合物ガス、酸素含有化合物ガス、及びキャリアガスの流量比、流量等は、炭素含有化合物ガスや酸素含有化合物ガスの種類、加熱方法等に応じて、最適な条件を選択する。
次に、本発明に係るカーボンナノチューブの製造方法の作用について説明する。
Fe等の8〜10族元素は、いずれも、CNTを成長させる強い触媒作用があることが知られている。CNTの外径は、CNTが成長し始める時点での触媒微粒子の直径でほぼ決まる。従って、所定の外径を有し、かつ外径のそろったCNTを合成するためには、触媒微粒子の直径及び標準偏差も制御する必要がある。例えば、基板表面に金属薄膜を形成し、これを熱処理する方法では、触媒微粒子の直径及び標準偏差の制御には限界がある。
一方、非特許文献3のように、これらの金属を用いて予め直径のそろった微粒子を作製し、これを触媒とするCNT成長法がある。しかし、この方法では、極めて低い活性度しか得られない。
一方、Fe、Co、Ni等の8〜10族元素に対し、4族元素又は5族元素を添加すると、触媒活性が向上することが知られている(例えば、特許文献2、非特許文献1参照)。8〜10族元素に4族元素又は5族元素を添加することによって触媒活性が向上するのは、Ti等の4族元素及びV等の5族元素は、いずれも炭素との親和力が強く、炭化物が形成される際に熱を発生するためと考えられる。
特許文献1に開示されているように、合金ターゲットのレーザーアブレーションにより、4族元素を含む合金微粒子を作製し、微分型静電分級器で分級すれば、比較的粒度分布の狭い触媒微粒子は得られるが、この方法は、非効率的である。
これに対し、第1原料、第2原料、アルコール、並びに、有機酸及び/又は有機アミンを所定の比率で混合し、所定の温度で加熱すると、第1元素及び第2元素を含み、その周囲が保護層で被覆された触媒微粒子が得られる。保護層は、触媒微粒子の合成中における微粒子間の凝集を防ぐ作用がある。そのため、このような方法により、平均粒径が相対的に小さく、かつ、より標準偏差の小さい微粒子が得られる。しかも、合成後に微粒子を分級する必要がないので、触媒微粒子を低コスト化することができる。
また、保護層は、合成された微粒子を分散液中に分散させる場合において微粒子の凝集を抑制する作用、及び基板表面に微粒子を配置させる場合に、微粒子を密に配置させるためのスペーサとしての作用もある。そのため、合成された微粒子を適当な分散媒に分散させて触媒分散液とし、この触媒分散液を基材表面に塗布・乾燥させると、粒径のそろった触媒微粒子を基材表面に密に担持させることができる。
さらに、これを用いてCNTを合成すると、CNTの成長活性度が向上し、微粒子が凝集する前にCNTの成長が始まる。そのため、触媒微粒子径とほぼ同等の直径を有する高密度のCNTが得られる。特に、第2元素として4族元素(特に、Ti)を用いた場合には、相対的に短時間で長さの長いCNTを高密度に成長させることができる。また、第2元素として5族元素(特に、V)を用いた場合には、触媒微粒子径にほぼ一致する外径を有するCNTが得られる。
また、CNTを成長させる際に、基板としてメソポーラス材料を用いると、触媒微粒子を基板表面に密に配置することができ、かつ、CNT成長時における触媒微粒子の凝集がさらに抑制されるので、CNTの直径制御性がさらに向上する。
さらに、CNTを成長させる際に、少なくとも炭素含有化合物ガス及び酸素含有化合物ガスを含む混合ガス用いると、CNTの成長速度がさらに向上する。これは、反応系内に適度な酸化力を有する適量の酸素含有化合物ガスを導入することによって、触媒周囲やCNT側壁に堆積するアモルファスカーボンが除去されるためと考えられる。
(参考例1)
[1. 触媒分散液の作製]
Feアセチルアセトナート(第1原料)、VOアセチルアセトナート(第2原料)、1,2−ヘキサデカンジオール(還元剤)、オレイン酸及びオレイルアミン(保護層)、並びに、オクチルエーテル(溶媒)を不活性ガス雰囲気下において所定の比率で混合し、これを250℃又は290℃で30分間反応させた。オクチルエーテルは、20mlとし、各原料の添加量は、Feアセチルアセトナート:VOアセチルアセトナート:還元剤:オレイン酸:オレイルアミン=0.9mmol:0.1mmol:7mmol:3mmol:3mmolとした。
反応終了後、室温に冷却し、遠心分離により触媒微粒子を得た。これをヘキサンに加えて触媒分散液を作製した。
[2. 触媒分散液の評価]
得られた触媒分散液をTEMグリッドに滴下・乾燥させた後、微粒子のTEM観察を行った。図1(a)及び図1(b)に、Feアセチルアセトナート及びVOアセチルアセトナートを出発原料に用いた触媒微粒子(以下、「Fe−V−O微粒子」という)のTEM写真を示す。図1(a)は、250℃×30分の条件下で合成されたFe−V−O微粒子について、ジャストフォーカスにより格子像を撮影したものである。図1(a)より、平均粒径3.1nmの均一な触媒微粒子が得られていることがわかる。また、図1(b)は、290℃×30分間の条件下で合成されたFe−V−O微粒子について、アンダーフォーカスにより撮影したものである。図1(b)より、平均粒径4.5nmであり、その周囲が保護層で被覆された均一な触媒微粒子が得られていることがわかる。
[3. CNTの合成及び評価]
基板には表面にメソポーラスシリカ膜を形成したSi基板(以下、単に「メソポーラスシリカ基板」という)、及び熱酸化膜付Si基板を用いた。メソポーラスシリカ基板は、公知の方法(例えば、J.Phys.Chem.B 2000, 104, 12095-12097参照)により作製した。すなわち、テトラエトキシシランに水及び酸を加えて熟成したゾル溶液に界面活性剤を加え、これをSi基板表面に塗布し、大気中で焼成することにより、メソポーラスシリカ基板を得た。次いで、メソポーラスシリカ基板にシランカップリング剤により疎水処理を施した。同様に、熱酸化膜付Si基板にも疎水処理を施した。
これらの基板を、それぞれ触媒分散液にディッピングし、一定の引き上げ速度(0.5mm/sec)で基板を引き上げ、乾燥させた。乾燥後、プラズマ処理により保護層を除去した。次いで、この基板を反応容器に入れ、熱CVD法によりCNTを生成させた。熱CVDは、炭素含有化合物ガスとしてアセチレンを用い、アセチレン流量:10sccm(cc/min)、水素(還元ガス)流量:45sccm(cc/min)、反応温度:700℃、反応時間:10minとした。
図2(a)に、Fe−V−O触媒(V/(Fe+V):10at%、反応温度:250℃)を担持させたメソポーラスシリカ基板を用いて合成されたCNT膜の断面のSEM写真を示す。また、図2(b)に、基板表面から採取したCNTのTEM写真を示す。図2より、ほぼ一定の外径を有するCNTが基板に対して垂直に、かつ高密度に成長していることがわかる。図示はしないが、熱酸化膜付Si基板を用いた場合に比べると、メソポーラスシリカ基板を用いた方が、CNTの成長量が多いことがわかった。
次に、メソポーラスシリカ基板表面から採取したCNTの外径をTEM観察により測定し、その標準偏差を求めた。同様に、触媒分散液中の触媒微粒子の直径をTEM観察により測定し、その標準偏差を求めた。図3(a)及び図3(b)に、それぞれ、Fe−V−O触媒微粒子及びこれを用いて合成されたCNTのヒストグラムを示す。図3より、触媒微粒子の直径とCNTの直径がほぼ一致しており、標準偏差もほぼ一致していることがわかる。
(参考例2、比較例1)
[1. 触媒分散液の作製]
第2原料としてVOアセチルアセトナート及び/又はTiOアセチルアセトナートを用いて、触媒分散液を作製した。なお、触媒分散液は、以下の4種類を作製した。また、その他の製造条件は、参考例1と同一とした。
(a) Feアセチルアセトナートのみを含むもの(以下、「Fe−O微粒子(比較例1)」という)。
(b) FeアセチルアセトナートとVOアセチルアセトナートの比が、98:2〜50:50であるもの(Fe−V−O微粒子)。
(b) FeアセチルアセトナートとTiOアセチルアセトナートの比が、98:2〜50:50であるもの(以下、「Fe−Ti−O微粒子」という)。
(c) Feアセチルアセトナートと(VOアセチルアセトナート+TiOアセチルアセトナート)の比が98:2〜50:50であり、かつ、VOアセチルアセトナートとTiOアセチルアセトナートの比が1:1であるもの(以下、「Fe−Ti−V−O微粒子」という)。
[2. 触媒分散液の評価]
得られた触媒分散液のICP発光分析を行い、微粒子中のFeとV又はFeとTiの組成比を測定した。図4(a)に、Fe−V−O微粒子の仕込み組成と化学分析組成との関係を示す。また、図4(b)に、Fe−Ti−O微粒子の仕込み組成と化学分析組成との関係を示す。図4より、仕込み組成にほぼ一致する化学分析組成を有する触媒微粒子が得られていることがわかる。なお、図示はしないが、Fe−Ti−V−O微粒子についても同様の結果が得られた。
[3. CNTの合成及び評価]
[1.]で得られた触媒分散液を用いて、CNTを合成した。使用した基板及びCNT合成条件は、参考例1と同一とした。
図5に、触媒組成とCNT膜厚の関係、並びに、Fe−O微粒子及びFe−Ti−O微粒子(Fe−10〜40at%Ti)を用いて合成されたCNT膜の断面のSEM写真を示す。Fe−O微粒子を用いた場合、CNTの生成本数が極めて少なく、CNTは基板表面を這うように生成していた。これに対し、Fe−Ti−O微粒子を用いた場合、基板に対して垂直に、かつ高密度にCNTが生成した。一定時間経過後のCNTの膜厚は、Ti含有量に依存しており、20〜25at%Tiの時に最も膜厚が厚くなった。
Fe−V−O微粒子及びFe−Ti−V−O微粒子を用いた場合も同様であり、いずれの組成も、基板に対して垂直に、かつ高密度にCNTが生成した。一定時間経過後のCNTの膜厚は、V量及びTi量に依存しており、Fe−V−O微粒子の場合は約10at%Vの時に、また、Fe−Ti−V−O微粒子の場合は約15at%(Ti+V)の時に最も膜厚が厚くなった。
図6に、触媒微粒子(Fe−V−O微粒子、Fe−Ti−O微粒子及びFe−Ti−V−O微粒子)の直径と、これを用いて合成されたCNTの外径との関係を示す。なお、図6には、他の研究者が用いた予め合成した触媒の直径及びこれを用いて合成されたCNTの外径も併せて示した。出典は、以下の通りである。
(1) S.Sato et al., Chemical Physics Letters 402(2005)149-154(非特許文献1)
(2) M.Hiramasu et al., Japanese Journal of Applied Physics, vol.44, No.22, 2005, pp.L693-695(非特許文献2)
(3) Kobayashi et al., Thin Solid Films, 464(2004)286-289
(4) Cheung et al., J.Phys.Chem.B, 106(2002), 2429-2433
(5) Choi et al., J.Phys.Chem.B, 106(2002)12361-12365
(6) Fu et al., J.Phys.Chem.B, 108(2004)6124-6129
(7) Li et al., J.Phys.Chem.B, 105(2002)2429-2433
(8) Sato et al., Chem.Phys.Lett., 382(2003)361-366
(9) Hiramasu et al., Jpn.J.Appl.Phys., 44(2005)1150-1154
図6中、黒塗りの印は、いずれも低密度かつランダムにCNTが成長しており、CNTが垂直配向した膜は得られていない。また、触媒微粒子の直径とCNTの外径との間にほとんど対応関係がないものが多い。
一方、Satoらにより得られたCNTは、高密度であり、かつ基板に対してほぼ垂直に配向していた。また、微粒子の直径とCNTの外径とがほぼ1:1に対応していた。しかしながら、この微粒子は、相対的に平均粒径が大きく、標準偏差も1nmを超えており、しかも、微分型静電分級器を用いて分級されたものであるため、大量合成に適用するのは困難である。また、Hiramasuらにより得られたCNTも同様に、高密度であり、かつ基板に対してほぼ垂直に配向していた。しかしながら、CNT合成中に微粒子が凝集したために、微粒子の直径とCNTの外径との間に1:1の対応関係はない。
これに対し、本発明に係る触媒分散液を用いた場合、高密度かつ垂直配向したCNTが得られ、しかも、いずれの触媒を用いた場合であっても微粒子の直径とCNTの外径との間にほぼ1:1の対応関係があった。さらに、CNTの外径は、3〜5nmの範囲にあり、外径の標準偏差は、いずれも1nm以下であった。
(実施例1、比較例2)
[1. 触媒分散液の作製]
Feアセチルアセトナート(第1原料)、TiOアセチルアセトナート(第2原料)、1,2−ヘキサデカンチオール(還元剤)、オレイン酸及びオレイルアミン(保護層)、オクチルエーテル(溶媒)を不活性ガス雰囲気下において所定の比率で混合し、これを210〜290℃で1〜30分間反応させた。オクチルエーテルは、20mlとし、各原料の添加量は、Feアセチルアセトナート:TiOアセチルアセトナート:還元剤:オレイン酸:オレイルアミン=0.8mmol:0.2mmol:7mmol:3mmol:3mmolとした。
反応終了後、室温まで冷却し、遠心分離器を用いて不純物を除去し、保護層で被覆された微粒子を得た。これをヘキサン中に適切な濃度(吸光度:0.5)で再分散させ、触媒分散液を得た。
[2. CNTの合成]
疎水化処理(シリル化処理)を施したメソポーラスシリカ基板を[1.]で作製した触媒分散液中に浸漬し、一定速度で大気中に引き上げること(引き上げ速度:0.5mm/sec)によって、微粒子の単分子膜を基板上に自己組織化的に形成した。その後、微粒子の表面を覆っている保護層を、プラズマ処理(10分間)により除去した。次いで、触媒が担持された基板をCNT成長装置内に配置し、成長装置内を1×10-4Pa以下まで減圧した。水蒸気を系内に導入しない場合(比較例2)は、引き続き、水素:アルゴン:アセチレンの流量比を16sccm:24sccm:10sccmに固定し、成長温度:700〜900℃、雰囲気圧:267Pa、成長時間:10minで、基板上にCNT膜の形成を行った。
一方、水蒸気を系内に導入する場合(実施例1)は、水蒸気導入装置(図示せず)を用いて、所望の水蒸気量だけを系内に導入し、成長実験を行った。なお、水蒸気導入装置を用いて水蒸気量を制御する際には、微量水蒸気センサーを反応管の導入部及び排出部に配置し、成長中に系内の水蒸気量が一定となるように制御を行った。
[3. CNTの評価]
図7に、水/アセチレン比と成長高さとの関係を基板断面写真と共に示す。図7より、アセチレンガスと水蒸気のモル比が0.0002〜0.02の範囲において、CNT膜の成長高さが、水蒸気を導入しない場合の約2倍以上になることがわかる。
次に、得られたCNT膜の結晶性をラマン散乱分光法によって評価(任意の3測定点におけるG/D比の平均値で評価)した。図8に、水蒸気なしの場合及び水蒸気を導入した場合(水/アセチレン比=5/1000)のCNTのラマンスペクトルを示す。
さらに、基板からCNTを剥離させ、有機溶媒中で超音波分散後、透過電子顕微鏡用グリッドに展開し、透過電子顕微鏡を用いてその微細構造を評価した(評価本数:各70本)。図9に、水蒸気なしの場合及び水蒸気を導入した場合(水/アセチレン比=5/1000)のCNTのTEM写真を示す。
次の表1に、評価結果をまとめて示す。水蒸気は、CNT成長中に弱い酸化剤として働くため、CNTの結晶性の低下が懸念されたが、水蒸気を導入しない場合と比較して同等レベルの結晶性を維持していることが判明した(図8、図9参照)。また、3層以下のCNTの生成割合は、水蒸気を導入した場合は74%、導入しない場合は64%であった。以上の結果から、水蒸気量が適量であれば、早い成長速度を維持しつつ、直径の揃った垂直配向CNT膜を成長できることが明らかとなった。
Figure 2007261839
(実施例2)
事前に微粒子の表面を覆っている保護層を除去しなかった以外は、実施例1と同様にしてCNT膜を成長させた。水/アセチレン比は、5/1000とした。その結果、プラズマ処理を行った場合と同等の100μm厚の垂直配向CNT膜が得られた。
(実施例3)
事前に微粒子の表面を覆っている保護層をUVオゾン処理(30秒)によって除去した以外は、実施例1と同様にしてCNT膜を成長させた。水/アセチレン比は、5/1000とした。その結果、プラズマ処理を行った場合と同等の94μm厚の垂直配向CNT膜が得られた。
(比較例2)
TiOアセチルアセトナートを用いなかった以外は、実施例1の[1.]と同一条件下で、Fe−O微粒子のみを含む触媒分散液を作製した。得られた触媒分散液を用いて、実施例1の[2.]と同様にしてCNT膜を成長させた。水/アセチレン比は、5/1000とした。その結果、垂直配向CNT膜は得られなかった。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
例えば、上記実施例では、炭素含有化合物ガスとしてアセチレンを用いたが、得られるCNTの結晶性、成長速度、成長温度等を考慮して、CNT成長用ガスとして、公知のエチレン、メタン等の炭化水素ガス、アルコール等を用いても良い。
また、水蒸気導入法は、
(1) 一定の温度に保持された水をArなどのキャリアガスでバブリングして反応炉内に導入する方法、
(2) 公知の炭素含有化合物に水を加えて、これを直接又はキャリアガスと共に反応炉内に導入する方法、
(3) 水を直接、反応炉内に噴霧する方法、
などを用いることができる。
本発明に係るカーボンナノチューブの製造方法は、半導体の配線材料、放熱材料、繊維材料、電子顕微鏡などに用いられる電子放出源(点光源)、走査型トンネル顕微鏡、原子間力顕微鏡、磁気力顕微鏡、走査型近接場光学顕微鏡などの走査型プローブ顕微鏡に用いられる探針等に用いられるCNTの製造方法として使用することができる。
図1(a)は、250℃×30分間の条件下で合成されたFe−V−O微粒子の電子顕微鏡写真(ジャストフォーカスによる格子像)であり、図1(b)は、290℃×30分間の条件下で合成されたFe−V−O微粒子の電子顕微鏡写真(アンダーフォーカス)である。 図2(a)は、Fe−V−O微粒子(反応温度:250℃)を用いて合成されたCNT膜の断面のSEM写真であり、図2(b)は、図2(a)に示す基板表面から採取されたCNTのTEM写真である。 図3(a)は、Fe−V−O微粒子(反応温度:250℃)の粒径ヒストグラムであり、図3(b)は、このFe−V−O微粒子を担持させたメソポーラスシリカ基板上に生成させたCNTの外径ヒストグラムである。 図4(a)は、Fe−V−O微粒子の仕込み組成と化学成分組成との関係であり、図4(b)は、Fe−Ti−O微粒子の仕込み組成と化学成分組成との関係である。 触媒微粒子の組成とCNT膜厚との関係を示す図、並びに、Fe−O微粒子及びFe−Ti−O微粒子を用いて合成されたCNT膜の断面のSEM写真である。 触媒微粒子の直径と、これを用いて合成されたCNTの外径との関係を示す図である。 水/アセチレン比とCNTの成長高さとの関係を示す図である。 水蒸気なしの場合及び水蒸気有りの場合(水/アセチレン比=5/1000)のCNTのラマンスペクトルである。 水蒸気なしの場合及び水蒸気有りの場合(水/アセチレン比=5/1000)のCNTのTEM写真である。

Claims (3)

  1. カーボンナノチューブ合成用触媒を分散させた触媒分散液を基板表面に塗布し、前記基板表面に前記カーボンナノチューブ合成用触媒を担持させる触媒担持工程と、
    前記カーボンナノチューブ合成用触媒を担持させた前記基板表面にカーボンナノチューブを成長させる成長工程とを備え、
    前記カーボンナノチューブ合成用触媒は、8族元素、9族元素及び10族元素から選ばれる1以上の第1元素と、4族元素及び5族元素から選ばれる1以上の第2元素とを含む微粒子と、前記微粒子の周囲を被覆する有機酸及び有機アミンから選ばれる1以上の有機物からなる保護層とを備え、
    前記成長工程は、前記基板表面に担持させた前記カーボンナノチューブ合成用触媒上に、少なくとも炭素含有化合物ガスと酸素含有化合物ガスとを流し、化学気相成長法により前記基板表面にカーボンナノチューブを成長させるものである
    カーボンナノチューブの製造方法。
  2. 前記酸素含有化合物ガスは、水蒸気である請求項1に記載のカーボンナノチューブの製造方法。
  3. 前記炭素含有化合物ガスと前記酸素含有化合物ガスのモル比は、0.0002以上0.02以下である請求項1又は2に記載のカーボンナノチューブの製造方法。
JP2006086635A 2006-03-27 2006-03-27 カーボンナノチューブの製造方法 Expired - Fee Related JP4706852B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006086635A JP4706852B2 (ja) 2006-03-27 2006-03-27 カーボンナノチューブの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006086635A JP4706852B2 (ja) 2006-03-27 2006-03-27 カーボンナノチューブの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007261839A true JP2007261839A (ja) 2007-10-11
JP4706852B2 JP4706852B2 (ja) 2011-06-22

Family

ID=38635202

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006086635A Expired - Fee Related JP4706852B2 (ja) 2006-03-27 2006-03-27 カーボンナノチューブの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4706852B2 (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009155181A (ja) * 2007-12-27 2009-07-16 Toshiba Corp カーボンナノチューブ製造装置
US20110042276A1 (en) * 2009-08-24 2011-02-24 Seth Adrian Miller Separation of Carbon Nanotubes Using Magnetic Particles
JP2012031015A (ja) * 2010-07-30 2012-02-16 Toray Ind Inc カーボンナノチューブ製造法
US8455050B2 (en) 2007-02-05 2013-06-04 National Institute Of Advanced Industrial Science And Technology Manufacturing apparatus and manufacturing method for alined carbon nanotubes
DE112011103166T5 (de) 2010-09-22 2013-08-01 Aisin Seiki Kabushiki Kaisha Herstellungsverfahren für eine Kohlenstoffnanoröhre
JP5549984B2 (ja) * 2009-06-17 2014-07-16 独立行政法人産業技術総合研究所 高比表面積のカーボンナノチューブ集合体の製造方法
JP2015093807A (ja) * 2013-11-12 2015-05-18 独立行政法人産業技術総合研究所 カーボンナノチューブ集合体及びその製造方法
JP2015198194A (ja) * 2014-04-02 2015-11-09 株式会社デンソー 半導体素子
CN111924828A (zh) * 2020-07-31 2020-11-13 深圳市德方纳米科技股份有限公司 阵列型碳纳米管及其制备方法

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002201014A (ja) * 2000-10-30 2002-07-16 Honda Motor Co Ltd カーボンナノチューブの製造方法
JP2003144906A (ja) * 2001-11-16 2003-05-20 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 壁面に付着した炭素質物の除去方法
JP2003171832A (ja) * 2001-12-11 2003-06-20 Showa Denko Kk 炭素繊維の合成用原料組成物、それを用いた炭素繊維の製造方法および炭素繊維
JP2005263564A (ja) * 2004-03-19 2005-09-29 Toyota Central Res & Dev Lab Inc カーボンナノチューブの製造方法
JP2005279624A (ja) * 2004-03-27 2005-10-13 Osaka Prefecture カーボンナノチューブの製造用触媒、製造方法及び製造装置
WO2006011655A1 (ja) * 2004-07-27 2006-02-02 National Institute Of Advanced Industrial Scienceand Technology 単層カーボンナノチューブおよび配向単層カーボンナノチューブ・バルク構造体ならびにそれらの製造方法・装置および用途

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002201014A (ja) * 2000-10-30 2002-07-16 Honda Motor Co Ltd カーボンナノチューブの製造方法
JP2003144906A (ja) * 2001-11-16 2003-05-20 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 壁面に付着した炭素質物の除去方法
JP2003171832A (ja) * 2001-12-11 2003-06-20 Showa Denko Kk 炭素繊維の合成用原料組成物、それを用いた炭素繊維の製造方法および炭素繊維
JP2005263564A (ja) * 2004-03-19 2005-09-29 Toyota Central Res & Dev Lab Inc カーボンナノチューブの製造方法
JP2005279624A (ja) * 2004-03-27 2005-10-13 Osaka Prefecture カーボンナノチューブの製造用触媒、製造方法及び製造装置
WO2006011655A1 (ja) * 2004-07-27 2006-02-02 National Institute Of Advanced Industrial Scienceand Technology 単層カーボンナノチューブおよび配向単層カーボンナノチューブ・バルク構造体ならびにそれらの製造方法・装置および用途

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8455050B2 (en) 2007-02-05 2013-06-04 National Institute Of Advanced Industrial Science And Technology Manufacturing apparatus and manufacturing method for alined carbon nanotubes
JP2009155181A (ja) * 2007-12-27 2009-07-16 Toshiba Corp カーボンナノチューブ製造装置
JP5549984B2 (ja) * 2009-06-17 2014-07-16 独立行政法人産業技術総合研究所 高比表面積のカーボンナノチューブ集合体の製造方法
US20110042276A1 (en) * 2009-08-24 2011-02-24 Seth Adrian Miller Separation of Carbon Nanotubes Using Magnetic Particles
US8297444B2 (en) * 2009-08-24 2012-10-30 Empire Technology Development Llc Separation of carbon nanotubes using magnetic particles
JP2012031015A (ja) * 2010-07-30 2012-02-16 Toray Ind Inc カーボンナノチューブ製造法
DE112011103166T5 (de) 2010-09-22 2013-08-01 Aisin Seiki Kabushiki Kaisha Herstellungsverfahren für eine Kohlenstoffnanoröhre
JP2015093807A (ja) * 2013-11-12 2015-05-18 独立行政法人産業技術総合研究所 カーボンナノチューブ集合体及びその製造方法
JP2015198194A (ja) * 2014-04-02 2015-11-09 株式会社デンソー 半導体素子
CN111924828A (zh) * 2020-07-31 2020-11-13 深圳市德方纳米科技股份有限公司 阵列型碳纳米管及其制备方法
CN111924828B (zh) * 2020-07-31 2022-03-08 深圳市飞墨科技有限公司 阵列型碳纳米管及其制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4706852B2 (ja) 2011-06-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4730707B2 (ja) カーボンナノチューブ合成用触媒及びその製造方法、触媒分散液、並びに、カーボンナノチューブの製造方法
JP4706852B2 (ja) カーボンナノチューブの製造方法
Hong et al. Controlling the growth of single-walled carbon nanotubes on surfaces using metal and non-metal catalysts
US8034408B2 (en) One-dimensional metal and metal oxide nanostructures
JP5747333B2 (ja) カーボンナノチューブ配向集合体の製造方法
JP2013540683A (ja) 成長したカーボン・ナノチューブを有するガラス基材及びその製造方法
JP2005263564A (ja) カーボンナノチューブの製造方法
JP5622278B2 (ja) カーボンナノチューブ配向集合体製造用基材、カーボンナノチューブ配向集合体の製造方法、及びカーボンナノチューブ配向集合体製造用基材の製造方法
US9950926B2 (en) Method for production of germanium nanowires encapsulated within multi-walled carbon nanotubes
Zhang et al. Synthesis of 3C-SiC nanowires from a graphene/Si configuration obtained by arc discharge method
KR20230058050A (ko) 산화 카본 나노튜브 및 그 제조 방법
Qu et al. SiO x Nanowire Assemblies Grown by Floating Catalyst Method
Jeon et al. Synthesis of gallium-catalyzed silicon nanowires by hydrogen radical-assisted deposition method
JP6623512B2 (ja) 炭素ナノ構造体集合物およびその製造方法
Rao et al. Nanotubes and nanowires
Sharma et al. Effect of different metal catalysts on the growth of carbon nanotubes by chemical vapor deposition using five step process
KR101415228B1 (ko) 1차원 탄소 나노섬유의 합성 방법
JP2010042942A (ja) カーボンナノチューブ形成用基材の製造方法及び該カーボンナノチューブ形成用基材を使用するカーボンナノチューブの製造方法
CN112638821A (zh) 碳纳米管复合体、碳纳米管复合体的制造方法、以及精制碳纳米管的制造方法
JP6519485B2 (ja) カーボンナノチューブ、カーボンナノチューブ集合体およびカーボンナノチューブ集合体の製造方法
Choi et al. Synthesis of Bimetallic Nanoparticles and Their Application to Growth of Multiwalled Carbon Nanotube Forest
JP6950939B2 (ja) カーボンナノチューブ集合体合成用触媒担持体及びカーボンナノチューブ集合体合成用部材
JP6709913B2 (ja) カーボンナノチューブ製造用触媒担持体の製造方法、およびカーボンナノチューブの製造方法
WO2016072096A1 (ja) 炭素ナノ構造体集合物およびその製造方法
Lin et al. Formation of SnO2 Nanowires Using Thermal Evaporation of SnO

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070710

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20101021

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20101025

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20101124

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110106

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110113

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110216

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110301

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140325

Year of fee payment: 3

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313532

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140325

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees