JP2006160865A - 液切り乾燥用組成物およびそれを用いた液切り乾燥方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】液切り乾燥用組成物自体が凝縮して液切りをすることにより、優れた水切り性、およびシミのない液切りが可能であり、さらには液の蒸留再生が可能で繰返し使用することができる液切り乾燥用組成物および液切り乾燥方法を提供する。
【解決手段】本発明の液切り乾燥用組成物は、(A)SiO単位が1〜6の低分子量ポリオルガノシロキサンと、(B)グリコールエーテルエステルから選ばれる親水性溶媒とを含有する共沸組成あるいは擬似共沸組成の混合物を含む。(B)成分の親水性溶媒としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートまたはプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートが例示される。JIS R3202に拠る濡れ・乾燥界面の後退速度面積が0.3cm/sec以上であり、かつ乾燥直後の乾燥領域における水の接触角が50゜以下である液切り乾燥が実現される。
【選択図】なし

Description

本発明は、半導体、液晶、ガラスレンズなどの精密部品の液切り乾燥や、軽度な油分やパーティクルなどの除去を目的とした仕上げ乾燥に係わり、特に優れた液切り性を有し、シミのない液切りが可能な液切り乾燥用組成物と、それを用いた液切り乾燥方法に関する。
従来から、半導体素子の実装基板などの電子部品や、レンズなどの光学部品のような工業用部品の乾燥には、フロン113に代表されるフロン系溶剤が多用されていた。しかし、フロン系溶剤の放出がオゾン層の破壊に繋がり、人体や生物系に深刻な影響を与えることが明らかになってきたことから、使用が全廃され、フロン系溶剤を代替する乾燥剤および乾燥方法について種々の検討がなされている。
近年、半導体装置や液晶のカラーフィルターのような電子部品の精密乾燥が必要な分野を中心に、アルカリ洗浄および純水リンスの後に、アルコールのような親水性溶媒に浸漬したり蒸気に晒すことにより、水切り乾燥する方法が実施されている。
このような親水性溶媒としては、主にイソプロピルアルコール(IPA)が使用されている。すなわち、IPAに浸漬して水切りした後、温風乾燥、ランプ乾燥、減圧乾燥、IPA蒸気乾燥、あるいはハロゲン化炭化水素を用いた蒸気乾燥などが実施されている。
しかしながら、IPAなどの親水性溶媒は、水切り性能には優れているものの、フロン系溶剤に比べて蒸発潜熱や気化熱が大きいため、乾燥時に部品からより多くの熱を奪うと同時に部品を冷却して、空気中の有機物質の再吸着を招きやすく、しかも吸湿により乾燥ジミがより顕著になるという問題を有していた。
また、IPAやハロゲン化炭化水素のように極性が高い溶媒による蒸気乾燥は、ソルベントアタックといわれるプラスチック部品や樹脂被膜の白化やクラックを発生させるおそれがあった。
このようなIPAに代わるものとして、揮発性に優れたシロキサンを用いて工業用部品の乾燥を行う方法が提案されているが、シロキサンが洗浄対象物の表面に濡れ広がって、濡れ・乾燥界面が形成されてしまい、優れた乾燥特性が得られていなかった。
さらに、低分子量ポリオルガノシロキサン(a)と親水性溶媒(b)との混合液を使用し、液切り乾燥用の組成物自体が凝縮して液切りをするように構成された液切り乾燥用組成物およびそれを用いた液切り乾燥方法も提案されている。(例えば、特許文献1参照)
しかし、この組成物は、共沸組成あるいは擬似共沸組成ではないので、長期間の連続使用により、親水性溶媒の濃度が低くなるなどの組成変化が起こり、液の凝縮性が悪くなるすなわち液切り性が悪くなるという問題があった。また、液の蒸留再生ができず、液を使い捨てにせざるを得ないため、廃液量が多くなるという問題があった。
特開2000−38598公報
本発明は、これらの問題を解決するためになされたもので、液切り乾燥用組成物自体が凝縮して液切りをすることにより、優れた水切り性、およびシミのない液切りが可能であり、さらには液の蒸留再生が可能で繰返し使用することができる液切り乾燥用組成物および液切り乾燥方法を提供することを目的とする。
本発明の液切り乾燥用組成物は、(A)SiO単位が1〜6の低分子量ポリオルガノシロキサンと、(B)グリコールエーテルエステルから選ばれる親水性溶媒とを含有する共沸組成あるいは擬似共沸組成の混合物を含むことを特徴とする。
本発明の液切り乾燥方法は、本発明の液切り乾燥用組成物を用いることを特徴とする。
本発明の液切り乾燥用組成物によれば、水やパーティクルや軽度な油分を洗浄対象物から除去し、さらに浸漬した状態から引上げることにより、対象物からすばやく均一に液が切れ、洗浄対象物の表面を乾燥することができる。
また、(A)成分である低分子量ポリオルガノシロキサンと、(B)成分であるグリコールエーテルエステルから選ばれる親水性溶媒とが、共沸組成あるいは擬似共沸組成となっているので、液切り乾燥用組成物の蒸留再生が可能で繰返し使用することができ、廃液量を低減することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明の実施形態の液切り乾燥用組成物は、(A)SiO単位が1〜6の低分子量ポリオルガノシロキサンの少なくとも1種と、(B)グリコールエーテルエステルから選ばれる少なくとも1種の親水性溶媒を含み、(A)成分である低分子量ポリオルガノシロキサンと(B)成分である親水性溶媒とが共沸組成あるいは擬似共沸組成を有する混合物を含有している。
ここで共沸混合物とは、液相組成と気相組成とが一致し、組成の変化なしに蒸留し得る混合物である。また、共沸混合物を形成しないものの、温度−組成により表される沸点図において沸騰曲線と凝縮曲線とが近接している場合、各々の成分の揮発性が近い場合、各々の成分の沸点が近接している場合などのように、液相の組成と気相の組成が近似するような現象を擬似共沸といい、このような擬似共沸を形成する混合物を擬似共沸混合物という。
共沸性(擬似共沸性を含む。)は、混合物としての沸点が各成分の固有の沸点よりも低くなる、あるいは高くなる場合に発現する。したがって、共沸性は単に各成分を混合しただけでは得られない場合が多く、混合物の沸点が各成分の固有の沸点よりも低くなる場合には、任意の割合で混合した液を蒸留し、留分を繰り返し蒸留したり、あるいは段数を設けた精留を行うことにより得ることができる。
実施形態における(A)低分子量ポリオルガノシロキサンと(B)グリコールエーテルエステルから選ばれる親水性溶媒との共沸混合物は、このようにして得られるものであり、混合物としての沸点が(A),(B)各成分の固有の沸点よりも低くなる。そして、一定圧力のもとで蒸留を繰り返しても、留分の実質的な変化が見られないという特徴を有する。
(A)成分である低分子量ポリオルガノシロキサンとしては、一般式:
Figure 2006160865
で表される直鎖状ポリオルガノシロキサン、および一般式:
Figure 2006160865
で表される環状ポリオルガノシロキサンから選ばれる少なくとも1種のポリオルガノシロキサンを挙げることができる。
なお、前記式(1)および(2)において、Rは互いに同一または相異なる置換または非置換の1価の炭化水素基を示す。また、式(1)においてlは0〜5の整数を、式(2)においてmは3〜7の整数をそれぞれ示す。
このような低分子量ポリオルガノシロキサンとして、具体的には、オクタメチルトリシロキサン(MDM)、デカメチルテトラシロキサン(MD2M)、ドデカメチルペンタシロキサン(MD3M)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)およびドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6)などを挙げることができる。なお、Mは(CHSiO0.5で表される1官能型シロキシ単位を、Dは(CHSiOで表される2官能型シロキシ単位をそれぞれ表す。
これらの低分子量ポリオルガノシロキサンは、単独であるいは2種以上を組み合せて使用することができる。少ない配合量で良好な液切り性が得られることから、(A)低分子量ポリオルガノシロキサンの少なくとも一部として、D4あるいはD5を使用することが好ましい。
このような(A)低分子量ポリオルガノシロキサンと共沸組成あるいは擬似共沸組成を形成する(B)成分のグリコールエーテルエステルとしては、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシ−3−メチル−ブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどを挙げることができる。
これらのグリコールエーテルエステルは、比較的粘度が低く、(A)低分子量ポリオルガノシロキサンとの共沸組成あるいは擬似共沸組成の混合物も低粘度になるので、液切り乾燥作業が容易である。また、アルコールと比較して引火点が高いので、安全に使用することができる。これらのグリコールエーテルエステルの中でも、特に、(A)低分子量ポリオルガノシロキサンよりも沸点の低いプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートあるいはプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートを使用することが好ましい。
実施形態においては、前記した(A)低分子量ポリオルガノシロキサンと、(B)グリコールエーテルエステルから選ばれる親水性溶媒とを、共沸組成あるいは擬似共沸組成となるように混合することで、JIS R3202に拠り、試料ガラスを浸漬、引上げ後、垂直に保持した時の濡れ・乾燥界面の減少する面積、すなわち後退速度面積が、0.3cm/sec以上となるようにする。この後退速度面積は、より好ましくは0.5cm/sec以上、さらに好ましくは1.0cm/sec以上とする。このような後退速度面積を有する組成物は、液切り性能に優れているので、すばやく均一に液が切れる。後退速度面積が0.3cm/sec未満の組成物では、液切れ性が不均一になって部品表面に液滴を残し易く、シミ発生などの不具合を生じやすい。
次に、後退速度面積の測定方法について記載する。JIS R3202に拠り、縦50mm×横50mm×厚さ5mmの試料ガラス板を、(A)成分である低分子量ポリオルガノシロキサンと(B)成分であるグリコールエーテルエステルとの共沸組成あるいは擬似共沸組成を有する混合液に、30秒間浸漬した後、瞬時に試料ガラス板を液面から引上げ、引上げると同時にストップウォッチを押して時間を測定する。液は徐々に濡れ・乾燥界面を後退させ、濡れ面積を減少させ、最後には試料ガラスから落下するか、端部に液が溜まる。液溜りが完全にできた時点、すなわち液が止まった時点でストップウォッチを押して測定を終了させる。この時聞をX秒とし、後退速度面積(Ycm/sec)を次式により算出する。
後退速度面積(Ycm/sec)=5×5/X
本発明の(A)低分子量ポリオルガノシロキサンと(B)グリコールエーテルエステルとの共沸組成あるいは擬似共沸組成を有する混合液を用いて乾燥させた洗浄対象物の表面からは、水や軽度な油分、パーティクルはもちろんのこと、液(混合液)自身も完全に除去されるため、清浄度の高い表面が得られる。表面にシロキサン成分などの残留があると、撥水性を示すため水の接触角が高くなる。
本発明で使用する(A)低分子量ポリオルガノシロキサンよりも分子量の高いポリオルガノシロキサンを使用すると、分子量の高いポリオルガノシロキサンが残留しやすく、洗浄対象物表面の清浄度が損なわれる。本発明の混合液を用いて液切り乾燥をした洗浄対象物である試料ガラス板においては、乾燥直後の乾燥領域における水の接触角の平均値(n=10)は50゜以下となる。一般に、ガラス表面や金属表面には酸化物などが存在するために、接触角にもばらつきが生じる。そのため、ここでは平均値を基準とした。
本発明の実施形態である(A)低分子量ポリオルガノシロキサンと(B)グリコールエーテルエステルとの共沸組成あるいは擬似共沸組成を有する混合液は、すばやく均一に液を切ることができ、液切り性能に優れているうえに、長期間の連続使用によっても組成の変化が起こることがないので、液の凝縮性すなわち液切り性が低下することがない。また、液を蒸留再生して繰り返し使用することができる。
本発明の液切り乾燥用組成物には、液切り性能や水切り性能を損なわない範囲であれば、 例えば、COCHのようなハイドロフルオロエーテル(HFE)を1〜10重量%の割合で配合することができる。HFEの配合により、パーティクルの分散性がより良好になる。また、他の有機溶剤や界面活性剤および/または安定化剤などをさらに混合することができる。
本発明の液切り乾燥用組成物を用いた液切り乾燥方法によれば、洗浄対象物表面から、すばやく均一に液を切ることができ、さらに水やパーティクルや軽度な油分が混入してもこの優れた液切れ性が損なわれることなく、液と共に除去されて、清浄度の高い表面が得られる。
また、本発明の(A)低分子量ポリオルガノシロキサンと(B)グリコールエーテルエステルとの共沸組成あるいは擬似共沸組成を有する混合液は、低い表面張力により微細な間隙への浸透性が良好であり、水や油分、パーティクルの除去に有効である。さらに、低表面張力でありながら洗浄対象物上で凝縮することが可能であり、凝縮することによって洗浄対象物表面を流下し、液切り乾燥する。
また、本発明の(A)低分子量ポリオルガノシロキサンと(B)グリコールエーテルエステルとの共沸組成あるいは擬似共沸組成を有する混合液は、浸漬により良好な水置換性を示し、さらには脱脂性があることから、軽度な油分や、パーティクルを除去することが可能である。また、液切り乾燥にあたっては、超音波・機械的撹拌を併用することがより好ましい。
本発明の(A)低分子量ポリオルガノシロキサンと(B)グリコールエーテルエステルとの共沸組成あるいは擬似共沸組成を有する混合液による液切り浸漬槽は、単層あるいは複数槽から成る。複数槽から構成される場合は、同一または異なる混合液を使用してもよい。またカスケード方式を採用して、搬送方向とは逆に混合液がオーバーフローするような構造とすることが好ましい。
本発明の実施形態の水切り・液切り乾燥方法は、(A)低分子量ポリオルガノシロキサンと(B)グリコールエーテルエステルとの共沸組成あるいは擬似共沸組成を有する混合液に浸漬する他に、この共沸組成あるいは擬似共沸組成を有する混合液を洗浄対象物に吹付けたり、あるいは混合液を蒸気化したガスに洗浄対象物を晒すことにより、洗浄対象物の表面に存在する油分やパーティクルと(A)低分子量ポリオルガノシロキサンと(B)グリコールエーテルエステルとの混合液を置換することも可能である。また窒素雰囲気中で蒸気化したガスに晒すことで、大気中の酸素を遮断し、結露したウォーターマークの発生をより防ぐことができ、安全性も大きくなる。
本発明の液切り乾燥方法によれば、上記方法で水置換を施した後、すばやく均一に液が切れることで洗浄対象物表面を乾燥することができる。(A)低分子量ポリオルガノシロキサンと(B)グリコールエーテルエステルとの共沸組成あるいは擬似共沸組成を有する混合液に浸漬して、油分やパーティクルを溶解あるいは脱離・沈降させることにより、置換を施した洗浄対象物を、浸漬槽から引き上げ、自然放置するだけですばやく均一に液が切れ、乾燥することができる。
または、洗浄対象物を浸漬させた状態で、浸漬槽の下部から(A)低分子量ポリオルガノシロキサンと(B)グリコールエーテルエステルとの共沸組成あるいは擬似共沸組成を有する混合液を抜き出し、液面を低下させることにより、前記共沸組成あるいは擬似共沸組成を有する混合液を洗浄対象物表面から除去してもよい。抜き出す流量を調整することにより、液切り性能を助長することができる。
また、(A)低分子量ポリオルガノシロキサンと(B)グリコールエーテルエステルとの共沸組成あるいは擬似共沸組成混合液の吹付けや、蒸気化したガスに晒すことにより、水置換を施した場合は、その供給を止めるなどの方法により前記混合液と洗浄対象物との接触を遮断した後、自然放置することによって、洗浄対象物からすばやく均一に液が切れ、乾燥することができる。
このとき、液が切れる速度は後退速度面積で表され、0.3cm/sec以上であることが好ましい。より好ましくは0.5cm/sec以上、さらに好ましくは1.0cm/sec以上で液が切れることが好ましい。また、この液切り速度は、液が切れる方向と同じ方向に軽くエアブローすることやスピンをかけることによって、より速くすることも可能である。
端部に液溜りができる場合は、端部の液端部と治具の接点をつくることによって、接点から液が流れ、端部の液溜りを極力防止することができる。また、端部に波溜りができた後、エアナイフなどで液溜りを除去してもよい。さらに、温風乾燥や、減圧乾燥などを行なってもよい。
部品表面の形状が複雑であれば、洗浄対象物をスピンさせることにより、容易に(A)低分子量ポリオルガノシロキサンと(B)グリコールエーテルエステルとの共沸組成あるいは擬似共沸組成混合液を除去することができる。この共沸組成あるいは擬似共沸組成混合液は液切り性が良いことから、洗浄対象物を軽くスピンさせることによって、容易に混合液を切ることで乾燥させることが可能である。
現行のスピン乾燥は、高速回転による遠心力を利用して、洗浄対象物の表面にある液を振り切ることによる乾燥方法である。このスピン乾燥には公転式、自転式があるが、高速で回転させることによる発塵や洗浄対象物の歪みや割れ、回転により振り切られた液滴が槽内壁面などに当たり、ミストとなって飛散し、何らかの不純物やパ−ティクルを含んで洗浄対象物に付着する汚染や、高速回転による洗浄対象物、キャリアの帯電などの問題を有している。これらの問題は、本発明で使用する(A)低分子量ポリオルガノシロキサンと(B)グリコールエーテルエステルとの共沸組成あるいは擬似共沸組成混合液で液を切り、低速でスピン乾燥することにより解決することができる。
さらに精密に仕上げるためには、洗浄対象物が乾燥した状態あるいは端部に液溜りがある状態で蒸気乾燥を施してもよい。蒸気乾燥には、IPAなどの有機溶媒;ヘキサメチルジシロキサン(MM)などの低分子量ポリオルガノシロキサン類;C14、C16、C17などのペルフルオロカーボン類、CFCFCFHCFHCFなどのハイドロフルオロカーボン類、COCHなどのハイドロフルオロエーテル類、CHClなどのハイドロクロロフルオロカーボン類のようなフルオロカーボン類を使用することができる。洗浄対象物がプラスチックなどのソルベントアタックを受けやすいものは、低分子量ポリオルガノシロキサン類やフルオロカーボン類で蒸気乾燥することが好ましい。
前記した浸漬、吹付けおよび蒸気下雰囲気による液切りと、自然乾燥、エアブロー、エアナイフ、温風乾燥、減圧乾燥、スピン乾燥および蒸気乾燥による乾燥は、併用して用いてもよい。また窒素雰囲気下でこれらの液切り乾燥を行うことによって、安全に使用することができる。
本発明の実施形態の(A)低分子量ポリオルガノシロキサンと(B)グリコールエーテルエステルとの共沸組成あるいは擬似共沸組成混合液は、湿度などの雰囲気の影響を受けにくい。さらに、蒸気乾燥を必ずしも必要とせず、プラスチックなどの基材に対してソルベントアタックの影響が少なく、安全性も高い。
実施形態の液切り乾燥用組成物およびそれを用いた液切り乾燥方法は、各種洗浄対象物に対して適用可能であり、洗浄対象物の材質は特に限定されるものでなく、金属、半導体、セラミックス、プラスチック材料などが挙げられる。例えば、金属、半導体としては鉄、アルミニウム、シリコン、銅、ステンレスなどが、セラミックスとしては窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化アルミニウム、ガラス、磁器などが、プラスチックとしては、ポリアミド、ポリイミド、エポキシ、ポリオレフィン、ポリエステル、アクリル樹脂などが例示され、またこれらの複合材料であってもよい。具体的には、プリント基板や実装部品などの電子部品、光学部品、半導体部品、金属部品、表面処理部品、精密機器部品、光学部品、ガラス部品、セラミックス部品、プラスチック部品などが挙げられる。
次に、具体的実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例1〜4、比較例1〜10
表1に示す組成で、(A)低分子量ポリオルガノシロキサンと(B)グリコールエーテルエステルとの共沸組成あるいは擬似共沸組成を有する液切り乾燥液を調製した。なお、比較例10は、TSF451−10(ジーイー東芝シリコーン社商品名、分子量1200の直鎖状ジメチルシリコーン)を使用した。
実施例1〜4と比較例1〜10で得られた液切り乾燥液について、以下に示すようにして、後退速度と乾燥後の接触角、組成変化、パーティクル量、および油分残渣量をそれぞれ測定した。
[後退速度および乾燥後の接触角の測定]
洗浄対象物として、アセトンを用いて表面をワイピングしたJIS R3203(縦50mm×横50mm×厚さ5mm)の試料ガラス板を用意した。実施例1〜4と、比較例1〜10の液切り乾燥液に、それぞれ試料ガラス板を30秒間浸漬し、引上げ後、垂直に保持した時の濡れ・乾燥界面の後退速度を測定した。また、乾燥直後の乾燥領域における水の接触角(n=10の平均値)を接触角計を用いて測定した。測定結果を表1に示す。
表1の測定結果から明らかなように、本発明の実施例1〜4の液切り乾燥液では、後退速度面積が0.3cm/sec以上の値を示し、液切り性が良好であることを示した。また、乾燥直後の水の接触角は50°以下であり、ポリオルガノシロキサンの残留がなく洗浄対象物表面が清浄であることが確認された。比較例4〜10では、液が凝縮しないため、後退速度面積の測定ができなかった。さらに、比較例10では接触角が大きく50°以上の値を示し、高分子量のポリオルガノシロキサンが表面に存在することを示していた。
[組成変化測定]
実施例1〜4と比較例1〜3の液切り乾燥液100ccを、それぞれ200ccのガラスビーカーに入れ、25℃に設定された恒温槽内に7日間放置した。そして、7日後の組成変化率をガスクロマトグラフィーを用いて測定し、組成変化を以下の基準に基づいて判定・評価した。結果を表1に示す。
組成変化判定基準 ○: 各成分の変化率 2%以下
×: 各成分の変化率 5%以上
表1の測定結果から明らかなように、実施例1〜4の液切り乾燥液は、各成分の組成変化率が2%以下であり、ほとんど組成変化がなかった。比較例1〜3の液切り乾燥液では、各成分の変化率が5%以上であり、組成変化が大きいことを示した。
[パーティクル量測定]
洗浄対象物として、アセトンを用いて表面をワイピングしたJIS R3203(縦50mm×横50mm×厚さ5mm)の試料ガラス板を用意した。実施例1〜4と比較例1〜10の液切り乾燥液300gを、それぞれステンレス製容器内に収容し、これらの液に超音波(100w39kHz)を照射しながら約25℃の液温で試料ガラス板の洗浄を3分間行った。
試料ガラス板は垂直になるように治具にセットし、端部と治具を接触させ、端部に液が残らず液が完全に逃げるように設置した。液が凝縮した後、試料ガラス板に付着したパーティクル量を、液中微粒子計を用いて測定した。測定は、50mlのIPA抽出溶媒(0.8μm以下の薄膜フィルタによりろ過したもの)に乾燥後の試料ガラス板を浸漬し、浸振器で10分間撹拌後、10ml中に含まれるパーティクル(サイズ2〜50μm)を測定することにより行った。比較例では、実施例と同様にして洗浄し、試料ガラス板を引上げた後、垂直に保持し、同じ治具を用いて自然乾燥させた。その後、試料ガラス板に付着したパーティクル量(サイズ2〜50μm)を測定した。そして、以下の基準に基づいて判定・評価した。結果を表1に示す。
パーティクル量判定基準 ○: 20個以下
×: 50個以上
表1の判定結果から明らかなように、実施例1〜4の液切り乾燥液を用いて乾燥を行った試料ガラス板1枚に付着するパーティクル量(2〜50μm)は、20個以下の値を示し、良好な表面状態が得られた。これに対して、比較例4〜10の液切り乾燥液を用いて乾燥を行った試料ガラス板1枚に付着するパーティクル量は50個以上であった。
[油分残渣量測定]
アセトンを用いて表面をワイピングしたアルミニウム板(縦50mm×横50mm×厚さ5mm)に、工作油G−6040(日本工作油社の商品名)を0.6g塗布したものを洗浄対象物とした。この洗浄対象物を、実施例1〜4と比較例1〜10の液切り乾燥液300gを用いて脱脂洗浄を行い、洗浄後の残留油分量を求めた。
なお、洗浄対象物であるアルミニウム板は垂直になるように治具にセットし、端部と治具を接触させ、端部に液が残らず完全に逃げるように設置した。洗浄は、液切り乾燥液300gをステンレス製容器内に収容し、液に超音波(100w39kHz)を照射しながら約25℃の液温で3分間行った。その後、超音波の照射を停止し、アルミニウム板を引上げた。次いで、液が凝縮した後、100gのフレオン(抽出溶媒S−316)により残留する油分を抽出し、HORIBA油分濃度計:OCMA−220を用いてアルミニウム板1枚に残留する油分量を定量した。
なお、比較例では、実施例と同様な方法で脱脂洗浄を行い、アルミニウム板を引上げた後垂直に保持し、同じ治具を用いて自然乾燥させた。そして、アルミニウム板1枚に残留する油分量を定量した。測定結果を表1に示す。
表1に示す測定結果から明らかなように、実施例1〜4の液切り乾燥液を用いて脱脂洗浄を行った場合は、残留油分量が極めて少なく、塩化メチレンにより蒸気洗浄したもの(参考例)と同レベルであり、油分の除去能力に優れることがわかった。一方、比較例4〜10では、表面にかなりの量の油分が残留していることがわかった。
Figure 2006160865
本発明の液切り乾燥用組成物およびそれを用いた液切り乾燥方法によれば、水やパーティクルや軽度な油分を洗浄対象物から除去し、さらに浸漬した状態から引上げることにより、対象物からすばやく均一に液が切れ、洗浄対象物の表面を乾燥することができる。
プリント基板や実装部品などの電子部品、光学部品、半導体部品、金属部品、表面処理部品、精密機器部品、光学部品、ガラス部品、セラミックス部品、プラスチック部品などの液切り乾燥に適用可能である。

Claims (7)

  1. (A)SiO単位が1〜6の低分子量ポリオルガノシロキサンと、(B)グリコールエーテルエステルから選ばれる親水性溶媒とを含有する共沸組成あるいは擬似共沸組成の混合物を含むことを特徴とする液切り乾燥用組成物。
  2. 前記(B)グリコールエーテルエステルから選ばれる親水性溶媒が、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートまたはプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートであることを特徴とする請求項1記載の液切り乾燥用組成物。
  3. JIS R3202に拠る濡れ・乾燥界面の後退速度面積が0.3cm/sec以上であり、かつ乾燥直後の乾燥領域における水の接触角が50゜以下であることを特徴とする請求項1または2記載の液切り乾燥用組成物
  4. 前記(A)低分子量ポリオルガノシロキサンが、一般式:
    Figure 2006160865
    (式中、Rは同一または異なる置換または非置換の1価の炭化水素基を示し、lは0〜5の整数を示す。)
    で表される直鎖状ポリオルガノシロキサン、および一般式:
    Figure 2006160865
    (式中、Rは同一または異なる置換または非置換の1価の炭化水素基を示し、mは3〜7の整数を示す。)
    で表される環状ポリオルガノシロキサンから選ばれる少なくとも1種の低分子量ポリオルガノシロキサンであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の液切り乾燥用組成物。
  5. 前記(A)低分子量ポリオルガノシロキサンが、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサンおよびドデカメチルシクロヘキサシロキサンから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項4記載の液切り乾燥用組成物。
  6. さらに(C)ハイドロフルオロエーテル(HFE)を含有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の液切り乾燥用組成物。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項記載の液切り乾燥用組成物を用いることを特徴とする液切り乾燥方法。
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