JP2000038598A - 液切り乾燥用組成物およびそれを用いた液切り乾燥方法 - Google Patents

液切り乾燥用組成物およびそれを用いた液切り乾燥方法

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JP2000038598A
JP2000038598A JP10209385A JP20938598A JP2000038598A JP 2000038598 A JP2000038598 A JP 2000038598A JP 10209385 A JP10209385 A JP 10209385A JP 20938598 A JP20938598 A JP 20938598A JP 2000038598 A JP2000038598 A JP 2000038598A
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draining
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Shigeo Santo
茂夫 山藤
Masaru Kumagai
勝 熊谷
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Momentive Performance Materials Japan LLC
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GE Toshiba Silicones Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 液切り乾燥用の組成物自体が凝縮して液切り
をすることにより、洗浄対象物に対して、その表面での
組成物の蒸発による濡れ・乾燥界面がすばやく減少す
る、また、乾燥直後の乾燥領域における水の平均接触角
が低くなるような液切り用組成物およびそれを用いた液
切り乾燥方法を提供する。 【解決手段】 SiO単位が1〜6の低分子量ポリオル
ガノシロキサン(a)と、分子量130以下の脂肪族ア
ルコール類、ケトン類、エステル類またはグリコール類
から選ばれた少なくとも1種類の親水性溶媒(b)とを
含有する液切り乾燥用組成物であって、液切り乾燥用組
成物に、JIS R3202(縦50mm×横50mm×厚
さ5mm)の試料ガラスを浸漬し、引上げた後、垂直に保
持した時の濡れ・乾燥界面の後退速度面積が0.3cm2
/sec 以上で、乾燥直後の乾燥領域における水の接触角
が50゜以下である液切り乾燥用組成物およびそれを用
いた液切り乾燥方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体、液晶、ガ
ラスレンズ等の精密部品等の液切り乾燥や、軽度な油分
やパーティクル等の除去を目的とした仕上げ乾燥に係わ
り、特に優れた水切り性、さらにシミのない液切りが可
能な液切り乾燥用組成物およびそれを用いた液切り乾燥
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、半導体などの実装基板などの電子
部品や、レンズなどの光学部品といった工業用部品の乾
燥にはフロンが多用されていた。しかし、フロンにはオ
ゾン層破壊等の問題があるため、全廃された中、フロン
を代替する乾燥剤および乾燥方法について種々の検討が
なされている。
【0003】近年、半導体や液晶のカラーフィルターの
ような精密乾燥が必要な分野を中心に、アルカリ洗浄お
よび純水リンスの後に、アルコールのような親水性溶媒
に浸漬したり、蒸気に晒すことにより水切り乾燥する方
法が実施されるようになった。
【0004】現在このような親水性溶媒としては、主に
イソプロピルアルコール(IPA)が使用されつつあ
る。IPAに浸漬して水切りした後、温風乾燥、ランプ
乾燥、減圧乾燥、IPA蒸気乾燥、あるいはハロゲン化
炭化水素を用いた蒸気乾燥等が実施されるようになっ
た。
【0005】しかしながら、IPA等の親水性溶媒は、
水切り性能には優れているものの、フロンに比べて蒸発
潜熱や気化熱が大きいため乾燥時には部品からより多く
の熱を奪うと同時に部品を冷却して、空気中の有機物質
の再吸着を招きやすく、しかも吸湿により乾燥ジミがよ
り顕著になるという問題を有している。
【0006】またIPAやハロゲン化炭化水素のように
極性が高い溶媒による蒸気乾燥は、ソルベントアタック
と言われるプラスチック部品や樹脂被膜の白化やクラッ
クを発生させる傾向にある。
【0007】さらにIPA蒸気乾燥では、持ち込まれた
水分はIPAと、水:IPAの比が12.6:87.4
のとき、共沸混合物を形成し、共沸点80.3℃を有す
るようになる。その結果、蒸気槽中の水分濃度も増加し
やすくなる。これは、ウォーターマークやパーティクル
の発生につながり、乾燥性低下の原因になる。
【0008】上述したように、IPAは水を取り込んで
しまうため、IPAの再利用率も自ずと下がってしま
う。
【0009】液のライフタイムや処理回数に応じた液交
換や、液の比抵抗などにより、IPA中の水分濃度が管
理されているが、IPAとしての効力を発揮できる水分
含有量は僅かである。IPA再生装置等の開発も検討さ
れているが多大な投資が必要とされる。
【0010】このIPAに代わるものとして、揮発性に
優れたシロキサンを用いることが提案されている。例え
ば、特開平8−117685号には、シロキサン共沸混
合物を用いた二段階の清浄又は脱水法が開示されてい
る。この方法は、揮発性メチルシロキサンと清浄又は脱
水を促進する薬剤を含む洗浄用組成物を表面に施し、表
面が洗浄用組成物で未だ濡れているときに、揮発性メチ
ルシロキサンを含む共沸混合物のすすぎ洗い用組成物で
表面をすすぎ洗いし、表面を強制乾燥又は自然乾燥する
という2段階法である。
【0011】これら共沸混合物は、シロキサン単体以上
の溶解力があることから、シロキサン単体ですすぎ洗い
をした場合より、界面活性剤等の水置換用流体を完全に
除去できることが示されている。さらに共沸混合物であ
ることから、蒸留によりその再生が行われ、再循環がで
きることが示されている。しかし、これら低分子シロキ
サンの共沸混合物は、水の混入によって容易に共沸組成
が崩れてしまうため、直接水切り剤として使用すること
は困難である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】上述した通り、工業用
部品の乾燥において、IPA単体を用いると乾燥ジミが
発生してしまう、また、揮発性の良いシロキサンを用い
ても洗浄対象物の表面に濡れ広がって、濡れ・乾燥界面
が形成されてしまい優れた乾燥特性が得られていなかっ
た。
【0013】そこで、本発明は、液切り乾燥用の組成物
自体が凝縮して液切りをすることにより、洗浄対象物に
対して、その表面での組成物の蒸発による濡れ・乾燥界
面がすばやく減少する、また、乾燥直後の乾燥領域にお
ける水の平均接触角が低くなるような液切り用組成物お
よびそれを用いた液切り乾燥方法を提供することを目的
とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、SiO単位が
1〜6の低分子量ポリオルガノシロキサン(a)と、分
子量130以下の脂肪族アルコール類、ケトン類、エス
テル類またはグリコール類から選ばれた少なくとも1種
類の親水性溶媒(b)とを含有する液切り乾燥(仕上
げ)用組成物であって、この液切り乾燥用に、JIS
R3202(縦50mm×横50mm×厚さ5mm)の試料ガ
ラスを浸漬し、引上げした後、垂直に保持した時の濡れ
・乾燥界面の後退速度面積が0.3cm2 /sec 以上で、
乾燥直後の乾燥領域における水の接触角が50゜以下で
あることを特徴とする液切り乾燥用組成物を提供する。
【0015】本発明によれば、低分子量ポリオルガノシ
ロキサン(a)と親水性溶媒(b)との混合液により、
水やパーティクルや軽度な油分を対象物から除去し、さ
らに浸漬した状態から引上げることにより、対象物から
すばやく均一に液が切れ、洗浄対象物の表面を乾燥する
ことができる。
【0016】この混合液に用いた低分子量ポリオルガノ
シロキサン(a)と親水性溶媒(b)は、それぞれ液単
体では、表面張力が低くガラス表面やプラスチック表面
に濡れ広がる。乾燥過程では、十分に濡れ広がった薄膜
にある液体は、その表面から揮散することによって、表
面を乾燥させる。
【0017】ところが、低分子量ポリオルガノシロキサ
ン(a)と親水性溶媒(b)との混合液は、ガラス、プ
ラスチック、金属等の表面に濡れ広がらず、自ら液を均
一に凝縮させ、濡れ・乾燥界面がすばやく減少する、つ
まり良好な液切れが生じるという現象を本発明者らは発
見した。本発明はこの知見に基づいてなされたものであ
る。
【0018】低分子量ポリオルガノシロキサン(a)と
しては、一般式
【化3】 (式中、Rは同一または異なる置換または非置換の1価
の有機基を、lは0〜5の整数を示す)で表される直鎖
状ポリオルガノシロキサンおよび一般式
【化4】 (式中、Rは同一または異なる置換または非置換の1価
の有機基を、mは3〜7の整数を示す)で表される環状
ポリオルガノシロキサンを挙げることができる。
【0019】さらに具体的には、オクタメチルトリシロ
キサン(MDM)、デカメチルテトラシロキサン(MD
2M)、ドデカメチルペンタシロキサン(MD3M)、
オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)、デカメ
チルシクロペンタシロキサン(D5)、ドデカメチルシ
クロヘキサシロキサン(D6)等を挙げることができ
る。これら低分子量ポリオルガノシロキサンは単独、ま
たは組み合せて使用することができる。
【0020】親水性溶媒(b)としては、分子量130
以下の脂肪族アルコール類、ケトン類、エステル類、グ
リコール類をあげることができる。
【0021】具体的には、メタノール、エタノール、1
−プロパノール(n−プロパノール)、2−プロパノー
ル(イソプロパノール)、1−ブタノール、2−ブタノ
ール、イソブタノール、tert−ブタノール、ter
t−ペンタノール、3−メチル−2−ブタノ一ル、シク
ロヘキサノール、アセトン、メチルエチルケトン(ME
K)、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸ペ
ンチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プ
ロピオン酸ブチル、2−ペンタノン、2−メトキシエタ
ノール、2−エトキシエタノール、2−(メトキシメト
キシ)エタノール、2−イソプロポキシエタノール、2
−ブトキシエタノール、プロピレングリコールモノメチ
ルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテ
ル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプ
ロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレン
グリコールジメチルエーテル、ポリプロピレングリコー
ルモノメチルエーテル等を挙げることができる。これら
の親水性溶媒(b)は、単独、または組み合せて使用す
ることができる。
【0022】低分子量ポリオルガノシロキサン(a)と
親水性溶媒(b)の混合比の範囲は、(a)と(b)の
組み合せによって異なるが、JIS R3202(縦5
0mm×横50mm×厚さ5mm)の試料ガラスを浸漬、引上
げ後、垂直に保持した時の濡れ・乾燥界面の減少する面
積、すなわち後退速度面積が0.3cm2 /sec 以上にな
る組成比で配合する。後退速度面積は、より好ましくは
0.5cm2 /sec 以上、さらに好ましくは1.0cm2
sec 以上である。
【0023】例えば、具体的には低分子量ポリオルガノ
シロキサン(a)の混合比の範囲が0.1〜50重量%
であることが好ましい。より好ましくは0.5〜40重
量%、さらに好ましくは、1〜30重量%であることが
好ましい。
【0024】例えば、室温:25℃、相対湿度:50〜
60%RHの範囲で、親水性溶媒(b)がエタノールと
すると、低分子量ポリオルガノシロキサン(a)がMD
Mの場合は10〜60重量%、MD3Mでは0.1〜2
0重量%、D4では0.1〜40重量%、D5では0.
1〜30重量%であることが好ましい。この混合範囲に
あるものは、すばやく均一に液が切れ、液切り性能に優
れる。
【0025】親水性溶媒(b)がIPAとすると、MD
Mでは10〜70重量%、MD2Mでは0.1〜60重
量%、D4では0.1〜50重量%、D5では0.1〜
40重量%であることが好ましい。この混合範囲にある
ものは、最も均一に液が切れ、液切り性能に優れる。
【0026】低分子量ポリオルガノシロキサン(a)が
0.1重量%未満であると後退速度面積が遅くなり、ま
た液切れ性が不均一になって部品表面に液滴を残し易
く、シミ発生等の不具合を生じやすい。50重量%を超
えると実用上の水切り性能がほとんどなく、または液切
れ性が不均一になって部品表面にシロキサン膜を残し易
くなる。
【0027】低分子量ポリオルガノシロキサンとして
は、少ない配合量で良好な液切り性が得られることから
D4、D5が好ましく、1〜20重量%、特に1〜10
重量%とすることが好ましい。またD4、D5は、良好
な効果が得られることから、脂肪族アルコールと組み合
わせて使用することが好ましい。
【0028】後退速度面積の測定方法について述べる。
JIS R3202(縦50mm×横50mm×厚さ5mm)
の試料ガラスを低分子量ポリオルガノシロキサン(a)
と親水性溶媒(b)の混合液に30秒間、浸漬させる。
瞬時に試料ガラスを液面から引上げ、引上げると同時に
ストップウォッチを押し、時間を測定する。液は徐々に
濡れ・乾燥界面を後退させ、濡れ面積を減少させる。最
後には、液は試料ガラスから落下するか、端部に液が溜
まる。液溜りが完全にできた時点、すなわち、液が止ま
った時点でストップウォッチを押し、測定を終了させ
る。この時聞を(X秒)とし、後退速度面積(Ycm2
sec )を次式により算出する。
【0029】(Ycm2 /sec )=5×5/X 本発明の低分子量ポリオルガノシロキサン(a)と親水
性溶媒(b)の混合液を用いて乾燥させた洗浄対象物の
表面からは、水や軽度な油分、パーティクルはもちろん
のこと、混合液自身も完全に除去されるため、清浄度の
高い表面が得られる。表面にシロキサン等の残留がある
と發水性を示すために水の接触角が高くなる。本発明で
使用する低分子量ポリオルガノシロキサン(a)よりも
分子量の高いポリオルガノシロキサンを使用するとシロ
キサンが残留しやすく、洗浄対象物表面の清浄度が損な
われる。本発明の混合液を用いて液切り乾燥をした洗浄
対象物である試料ガラスの乾燥直後の乾燥領域における
水の接触角の平均値(n=10)を50゜以下とする。
一般にガラス表面や金属表面には、酸化物等が存在する
ために、接触角にもバラツキがある。そのため、ここで
は平均値を基準とした。
【0030】また、低分子量ポリオルガノシロキサン
(a)は、洗浄力を示す指標の一つであるカウリブタノ
ール値(KB値)が小さく、プラスチック等の洗浄対象
物を劣化させるおそれはほとんどない。したがって低分
子量ポリオルガノシロキサン(a)の添加量を増やすこ
とによって、プラスチック等に対するソルベントアタッ
ク性を低減させることができる。また、低分子量ポリオ
ルガノシロキサン(a)は表面張力が低く、混合液の表
面張力は親水性溶媒(b)単体の表面張力以下となり、
微細間隙への浸透性に優れる。さらに混合液の親水性溶
媒(b)成分の作用で、液が切れる際に静電気等の除去
が可能になる。
【0031】本発明で使用する低分子量ポリオルガノシ
ロキサン(a)と親水性溶媒(b)の混合液は、沸点の
違いにより親水性溶媒(b)成分が揮散し、混合比があ
る範囲内で変化しても、水切り性能や液切り性能が劣る
ことがなく、本発明の液切り乾燥用組成物は、すばやく
均一に液を切ることができ、液切り性能に優れる。
【0032】また、洗浄対象物や治具に付着している水
の量が多い場合、低分子量ポリオルガノシロキサン
(a)と親水性溶媒(b)の混合液で水を置換する前
に、親水性溶媒に浸漬することにより予備の水置換を行
なってもよい。この予備水置換用の親水性溶媒は、低分
子量ポリオルガノシロキサン(a)と親水性溶媒(b)
の混合液で使用する親水性溶媒(b)を使用することが
より好ましい。
【0033】本発明の液切り乾燥用組成物には、液切り
性能、水切り性能を損なわない範囲であれば、例えば他
の有機溶剤や界面活性剤および/または安定化剤等をさ
らに混合して用いることができる。
【0034】例えば有機溶剤として、n−ヘプタン、n
−デカン等の炭化水素類を混合することによってコスト
を低減することができる。さらにはC6 14、C
7 16、C8 18等のペルフルオロカーボン類、CF3
CF2 CFHCFHCF3 等のハイドロフルオロカーボ
ン類、C4 9 OCH3 等のハイドロフルオロエーテル
(HFE)類、C3 HCl2 5 等のハイドロクロロフ
ルオロカーボン類等のフルオロカーボン類を組み合わせ
て使用することができ、難燃性または不燃性を付与させ
ることができる。炭化水素類またはフルオロカーボン類
の混合比は、低分子量ポリオルガノシロキサン(a)と
親水性溶媒(b)の混合液100重量部に対して10〜
10000重量部以下、さらに5000重量部以下が好
ましい。なお、上述した炭化水素類またはフルオロカー
ボン類は単独で、あるいは2種以上併用して添加するこ
とができる。
【0035】また、親水性溶媒(b)が水溶性でない場
合には、水切り性能の向上に寄与する界面活性剤を添加
して使用することができる。少量の界面活性剤や軽度の
油分は、水と同様に液切り性能に影響なく、界面活性剤
や油分を伴なって混合液は液を切る。
【0036】本発明において好ましく用いられる界面活
性剤としてはポリオキシアルキレンアルキルエーテルス
ルホン酸塩、リン酸エステル等のアニオン系界面活性
剤;多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキ
レン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニ
ルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル
等のノニオン系界面活性剤;イミダゾリン誘導体等の両
性界面活性剤;オレイルプロピレンジアミン等のアルキ
ルアミン塩、アルキル第4級アンモニウム塩等のカチオ
ン系界面活性剤;アミン化合物と飽和脂肪酸の組み合せ
による界面活性剤が例示され、その他には単一物質で存
在することは少ないが、天然物から抽出されるテルペン
系化合物やカプリン酸等の高級脂肪酸エステル等が挙げ
られる。また上述したような各種化合物の化学構造の一
部をフッ素原子やケイ素原子で置き換えた合成化合物を
用いることも可能である。界面活性剤の組成比は、特に
限定されるものではないが、低分子量ポリオルガノシロ
キサン(a)と親水性溶媒(b)の混合液100重量部
に対して20重量部以下、さらに3重量部以下が好まし
い。なお、上述した界面活性剤は単独、あるいは2種以
上併用して添加することができる。
【0037】また、低分子量ポリオルガノシロキサン
(a)と親水性溶媒(b)の混合液に添加できる安定化
剤としては、例えば、グリシドール、シクロヘキセンオ
キシド等のエポキシド類;1,4−ジオキセン、1,
3,5−トリオキセン等のエーテル類;1−ペンテン、
1−へキセン等の不飽和炭化水素類;アクリル酸メチ
ル、アクリル酸エチル等のアクリル酸エステル等が挙げ
られる。これら安定化剤は、低分子量ポリオルガノシロ
キサン(a)と親水性溶媒(b)の混合液に対して0.
1〜5重量%程度の割合で添加することが好ましい。な
お上述した安定化剤は単独で、あるいは2種以上併用し
て添加することができる。
【0038】低分子量ポリオルガノシロキサン(a)の
沸点は、親水性溶媒(b)の沸点より高いことが好まし
い。具体的には、低分子量ポリオルガノシロキサン
(a)の沸点は、親水性溶媒(b)の沸点より50℃以
上高いのが好ましい。より好ましくは、低分子量ポリオ
ルガノシロキサン(a)の沸点は、親水性溶媒(b)の
沸点より80℃以上高い。
【0039】本発明の液切り乾燥用組成物を用いた液切
り乾燥方法によれば、洗浄対象物表面から、すばやく均
一に液を切ることができ、さらに水やパーティクルや軽
度な油分が混入してもこの優れた液切れ性が損なわれる
ことなく、液と共に除去されて、清浄度の高い表面が得
られることを特徴としている。
【0040】また、本発明の低分子量ポリオルガノシロ
キサン(a)と親水性溶媒(b)との混合液は、低表面
張力により微細間隙への浸透が良好で、水や油分、パー
ティクルの除去に有効である。さらに低表面張力であり
ながら、洗浄対象物上で凝縮することが可能で、凝縮す
ることによって洗浄対象物表面を流下し、液切り乾燥す
ることを特徴としている。
【0041】本発明で使用する低分子量ポリオルガノシ
ロキサン(a)と親水性溶媒(b)の混合液は、浸漬に
より良好な水置換性を示す。さらには脱脂性があること
から、軽度な油分や、パーティクルを除去することが可
能である。また、超音波・機械的攪拌を併用することが
より好ましい。
【0042】本発明の低分子量ポリオルガノシロキサン
(a)と親水性溶媒(b)の混合液による液切り浸漬槽
は、単層あるいは複数槽からなる。複数槽から構成され
る場合は、同一または異なる混合液を使用してもよい。
またカスケード方式を採用して、搬送方向とは逆に低分
子量ポリオルガノシロキサン(a)と親水性溶媒(b)
の混合液がオーバーフローするような構造とすることが
好ましい。
【0043】本発明の水切り・液切り乾燥方法は、低分
子量ポリオルガノシロキサン(a)と親水性溶媒(b)
の混合液で浸漬する他に、低分子量ポリオルガノシロキ
サン(a)と親水性溶媒(b)の混合液を洗浄対象物に
吹付けたり、あるいは洗浄対象物を低分子量ポリオルガ
ノシロキサン(a)と親水性溶媒(b)の混合液を蒸気
化したガスに晒すことによって、洗浄対象物の表面に存
在する水と低分子量ポリオルガノシロキサン(a)と親
水性溶媒(b)の混合液を置換することも可能である。
また窒素雰囲気中で蒸気化したガスに晒すことで、大気
中の酸素を遮断し、ウォーターマークの発生をより防ぐ
ことができ、安全性も大きくなる。
【0044】本発明の液切り乾燥方法によれば、上記方
法で水置換を施した後、すばやく均一に液が切れること
で洗浄対象物表面を乾燥できる。低分子量ポリオルガノ
シロキサン(a)と親水性溶媒(b)の混合液に浸漬し
て、水を溶解あるいは脱離・沈降させることにより、水
置換を施した洗浄対象物は、浸漬槽から、洗浄対象物を
引き上げ、自然放置するだけですばやく均一に液が切
れ、乾燥することができる。
【0045】または、洗浄対象物を浸漬させた状態で、
浸漬槽の下部から、低分子量ポリオルガノシロキサン
(a)と親水性溶媒(b)の混合液を抜き出し、液面を
低下させることにより、低分子量ポリオルガノシロキサ
ン(a)と親水性溶媒(b)の混合液を洗浄対象物表面
から除去してもよい。抜き出す流量を調整することによ
り、液切り性能を助長することができる。
【0046】また、低分子量ポリオルガノシロキサン
(a)と親水性溶媒(b)の混合液の吹付けや、蒸気化
したガスに晒すことにより、水置換を施した場合は、そ
の供給を止める等の方法により、低分子量ポリオルガノ
シロキサン(a)と親水性溶媒(b)の混合液と洗浄対
象物の接触を遮断した後、自然放置することによって、
洗浄対象物からすばやく均一に液が切れ、乾燥すること
ができる。
【0047】上記方法で液が切れる速度は、後退速度面
積で表し0.3cm2 /sec 以上であることが好ましい。
より好ましくは0.5cm2 /sec 以上、さらに好ましく
は1.0cm2 /sec 以上で液が切れることが好ましい。
また、この液切り速度は、液が切れる方向と同じ方向に
軽くエアブローすることやスピンをかけることによっ
て、液切り速度をはやくすることも可能である。
【0048】端部に液溜りができる場合は、端部の液端
部と治具の接点をつくることによって、接点から液が流
れ、端部の液だまりを極力防止することができる。また
は、端部に波溜りができた後、エアナイフ等で液溜りを
除去してもよい。または温風乾燥や、減圧乾燥を行なっ
てもよい。
【0049】上記温風乾燥や減圧乾燥においては特に、
低分子量ポリオルガノシロキサン(a)の沸点が、親水
性溶媒(b)の沸点より高いことが好ましい。具体的に
は、低分子量ポリオルガノシロキサン(a)の沸点は、
親水性溶媒(b)の沸点より50℃以上高いのが好まし
い。より好ましくは、低分子量ポリオルガノシロキサン
(a)の沸点は、親水性溶媒(b)の沸点より80℃以
上高い。
【0050】上記温風乾燥や減圧乾燥することにより、
この低分子量ポリオルガノシロキサン(a)と親水性溶
媒(b)の混合液の親水性溶媒(b)成分の種類にもよ
るが、この親水性溶媒(b)成分と含有した水とが、共
沸または擬似共沸することにより、優先的に揮発するた
め、洗浄対象物表面にウォーターマーク等の乾燥ジミが
発生し難い。洗浄対象物表面に残った低分子量ポリオル
ガノシロキサン(a)は、蒸発潜熱が小さく、乾燥時に
部品表面から熱(気化熱)を奪うことがない。従って部
品の冷却がおこらないため、空気中の水分の凝縮等に起
因する乾燥ジミの発生や清浄度の低下を招くことがな
い。従って、温風乾燥や減圧乾燥を行なっても、洗浄対
象物表面を良好に仕上げることができる。
【0051】この親水性溶媒(b)は、少量で多量の水
と共沸するものが好ましい。具体的には、メタノール、
エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、1
−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、te
rt−ブタノールが挙げられる。低分子量ポリオルガノ
シロキサン(a)としては、中でも沸点の高いD4、D
5、D6、MD2M、MD3Mが好ましい。
【0052】部品表面の形状が複雑であれば、洗浄対象
物をスピンさせることにより、容易に低分子量ポリオル
ガノシロキサン(a)と親水性溶媒(b)の混合液を除
去することができる。低分子量ポリオルガノシロキサン
(a)と親水性溶媒(b)の混合液は、液切り性が良い
ことから、軽くスピンさせることによって、洗浄対象物
から容易にこの混合液を切ることで乾燥させることが可
能である。
【0053】現行のスピン乾燥は、高速回転による遠心
力を利用して、洗浄対象物の表面にある水を振り切るこ
とによる乾燥方法である。このスピン乾燥には公転式、
自転式があるが高速で回転させることによる発塵や洗浄
対象物の歪みや割れ、回転により振り切られた水滴が槽
内壁面などに当たり、ミストとなって飛散し、何らかの
不純物やパ−ティクルを含んで洗浄対象物に付着する汚
染や、高速回転による洗浄対象物、キャリア等の帯電等
の問題を有している。これら問題は本発明で使用する低
分子量ポリオルガノシロキサン(a)と親水性溶媒
(b)の混合液で、水を切り、低速でスピン乾燥するこ
とにより解決することができる。
【0054】さらに精密に仕上げるためには、洗浄対象
物が乾燥した状態あるいは、端部に液溜りがある状態で
蒸気乾燥を施してもよい。蒸気乾燥には、IPA等の有
機溶媒;ヘキサメチルジシロキサン(MM)等の低分子
量ポリオルガノシロキサン類;C6 14、C7 16、C
8 17等のペルフルオロカーボン類、CF3 CF2 CF
HCFHCF3 等のハイドロフルオロカーボン類、C4
9 OCH3 等のハイドロフルオロエーテル類、C3
Cl2 5 等のハイドロクロロフルオロカーボン類等の
フルオロカーボン類を使用することができる。洗浄対象
物がプラスチック等のソルベントアタックを受けやすい
ものは、低分子量ポリオルガノシロキサン類やフルオロ
カーボン類で蒸気乾燥することが好ましい。
【0055】上述した浸漬、吹付けおよび蒸気下雰囲気
による液切りと、自然乾燥、エアブロー、エアナイフ、
温風乾燥、減圧乾燥、スピン乾燥および蒸気乾燥による
乾燥は、併用して用いてもよい。また窒素雰囲気下でこ
れらの液切り乾燥を行うことによって安全に使用するこ
とができる。
【0056】本発明で使用する低分子量ポリオルガノシ
ロキサン(a)と親水性溶媒(b)の混合液は、洗浄対
象物の水切り処理回数に伴ない水分濃度は増加する。管
理方法は、比重計、屈折率、比抵抗、カールフィッシャ
ー水分濃度計を用いて水分を管理することができる。低
分子量ポリオルガノシロキサン(a)と親水性溶媒
(b)の混合液は、飽和水分量を超えると、飽和液と水
に分離する。飽和液は、未だ水切り性能があり、過剰の
水は沈降することによって、槽のドレンから排出するこ
とができる。また飽和液は、モレキュラーシービィング
効果を有する吸着剤等により含水した水分を除去するも
可能である。また蒸留によって水分を除去してもよい。
【0057】また、本発明の液切り乾燥用組成物の一態
様においては、50重量部以下の水が含有されている。
低分子量ポリオルガノシロキサン(a)と親水性溶媒
(b)の混合液にあらかじめ少量の水を添加することに
よって、混合液の引火点が、上昇し、より安全に使用す
ることが可能である。たとえば混合液によっても異なる
が、表1に示すように、n−プロパノールとD5の混合
液に水を添加して引火点を測定したところ、水分が全体
量に対して約5重量%では約2℃上昇し、水分が全体量
に対して約10重量%では、約4℃上昇する。
【0058】
【表1】 従来の乾燥方法は、揮発性の良好な液体に置換すること
によって部品表面を乾燥していた。これは液体の乾燥特
性に依存するため、前述のとおり凝縮熱(気化熱)が大
きい液体は、乾燥ジミを残しやすい。また含有する少量
の水分を残したまま乾燥することがあり、スポットマー
クを生じやすい。従って、水分濃度限界値が数%と低
く、さらに湿度管理が必要であった。
【0059】これに対し、本発明の組成物は表面で乾燥
させるのではなく、凝縮して流下することによい液切り
が行われるために上述の問題がない。さらに本発明の低
分子量ポリオルガノシロキサン(a)と親水性溶媒
(b)の混合液の水分飽和限界値は、混合液の組み合せ
にもよるが、例えば2−ブタノール/D5の混合液の水
分濃度限界値は30重量%以上を示す。この飽和水分濃
度以内であれば良好に水切りを行なうことができる。こ
の値は従来方法で使用されているIPA水分濃度限界値
の5〜6倍に値し、従来方法にくらべ液寿命が長い。
【0060】また、本発明の低分子量ポリオルガノシロ
キサン(a)と親水性溶媒(b)の混合液は、湿度等の
雰囲気の影響を受けにくい。さらに、蒸気乾燥を必ずし
も必要とせず、プラスチック等の基材に対してソルベン
トアタックの影響は少なく、安全性も高い。
【0061】本発明の液切り乾燥用組成物およびそれを
用いた液切り乾燥方法は、各種洗浄対象物に対して適用
可能であり、洗浄対象物の材質は特に限定されるもので
なく、金属、半金属、セラミックス、プラスチック材料
等が挙げられる。例えば、金属、半金属としては鉄、ア
ルミニウム、シリコン、銅、ステンレス等がセラミック
スとしては窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化アルミニウ
ム、ガラス、磁器等が、プラスチックとしては、ポリア
ミド、ポリイミド、エポキシ、ポリオレフィン、ポリエ
ステル、アクリル樹脂等が例示され、またこれらの複合
材料であってもよい。具体的にはプリント基板や実装部
品等の電予部品、光学部品、半導体部品、金属部品、表
面処理部品、精密機器部品、光学部品、ガラス部品、セ
ラミックス部品、プラスチック部品等が挙げられる。
【0062】
【発明の実施の形態】[実施例1〜11、比較例1〜
9]洗浄対象物として、アセトンを用いて表面をワイピ
ングしたJIS R3202(縦50mm×横50mm×厚
さ5mm)の試料ガラスを用意した。
【0063】表2に示す本発明の低分子量ポリオルガノ
シロキサン(a)と親水性溶媒(b)の混合液である実
施例1〜11と比較例1〜9の試料溶液に、試料ガラス
を30秒間浸漬、引上げ後、垂直に保持した時の濡れ・
乾燥界面の後退速度を測定した。さらに乾燥直後の乾燥
領域における水の接触角(n=10の平均値)を接触角
計を用いて測定した。
【0064】表2に併記した測定結果から明らかなよう
に、本発明の実施例1〜11では、後退速度面積が0.
3cm2 /sec 以上であった。さらに乾燥直後の水との接
触角は50゜以下であった。比較例1〜9では、実施例
のように、液が凝縮せず、後退速度面積の測定はできな
かった。さらに比較例8、9では接触角が高く、50゜
以上の値を示した。これは高分子量のポリオルガノシロ
キサンが表面に存在することを示す。
【0065】
【表2】 [実施例12〜16、比較例10〜16]洗浄対象物と
して、アセトンを用いて表面をワイピングしたJISR
3202(縦50mm×横50mm×厚さ5mm)の試料ガラ
スを用意した。
【0066】表3に示す本発明の低分子量ポリオルガノ
シロキサン(a)と親水性溶媒(b)の混合液である実
施例12〜16と比較例10〜16の試料溶液に、試料
ガラスを30秒間浸漬、引上げ後、垂直に保持した時の
濡れ・乾燥界面の後退速度面積を測定した。さらに、こ
の混合液に水を添加し、擬似的に水の蓄積を受けた(水
の添加量は飽和水分濃度以内とした)溶液を調製した。
同様に、試料ガラスを30秒間浸漬、引上げ後、垂直に
保持した時の後退速度面積を測定し、乾燥後の外観(ス
ポットマーク、パーティクルの有無)を目視で評価し
た。比較例では、後退速度面積の測定が不可であるた
め、比較として乾燥速度の測定を実施した。さらに、水
分濃度が5重量%になるように調整し、同様な方法を用
いて乾燥後の外観を評価した。
【0067】
【表3】 表3に併記した測定結果から明らかなように、本発明の
実施例12〜16では、飽和水分濃度内の水が混入して
も後退速度面積は0.3cm2 /sec 以上の値を示し、液
切り性が良好であることを示した。さらに外観はスポッ
トマーク、パーティクルともに観察されず、清浄度の高
い表面が得られた。比較例10〜16では、5重量%の
水の蓄積があると、乾燥ジミ、つまりスポットマークが
多量に発生することが観察された。
【0068】[実施例17〜21、比較例17〜20]
洗浄対象物として、アセトンを用いて表面をワイピング
したアルミ板(縦50mm×横50mm×厚さ5mm)を用意
した。このアルミ板に、工作油G−6040(商品名:
日本工作油製)を0.6g塗布したものを洗浄対象物と
して、表4に示す本発明の低分子量ポリオルガノシロキ
サン(a)と親水性溶媒(b)の混合液である実施例1
7〜21と比較例17〜20の試料溶液をそれぞれ30
0g用いて脱脂洗浄を行い、洗浄後の残留油分量を求め
た。
【0069】なお、洗浄は、この混合液を収容したステ
ンレス製容器に、超音波(100W、39KHz )を照射
しながら約25℃の液温で3分間洗浄を行った。その
後、超音波を停止し、アルミ板を引上げ後、垂直に保持
した時の後退速度面積を測定した。端部に液が残らない
ように、端部と治具を接触させ、液が完全に逃げるよう
に設置した。このように乾燥させたアルミ板を、200
gのフレオンにより残留する油分を抽出し、HORIB
A油分濃度計:OCMA−220を用いてアルミ板1枚
に残留する油分量を定量した。比較例では、同様な方法
を用いて、溶剤による脱脂洗浄を実施した。アルミ板を
引上げ後、垂直に保持し、同じ治具を用いて自然乾燥さ
せた。アルミ板1枚に残留する油分量を定量した。
【0070】
【表4】 表4に併記した測定結果から明らかなように、本発明の
実施例17〜21では、残留油分量は、塩化メチレンで
蒸気洗浄したものと同じレベルを示し、油分の除去能力
に優れることがわかる。一方、比較例17〜20では、
表面に油分が残留していることを示す。これは溶剤が表
面から乾燥するため、そのまま油分を濃縮させ、表面に
高沸点の油分を残すことを表す。また、後退速度面積
は、凝縮しないために測定できなかった。
【0071】[実施例22〜38、比較例21〜30]
洗浄対象物として、アルカリ洗浄後、純水でリンスした
プラスチックレンズ(材質:ジエチレングリコールビス
アリルカーボネート、厚さ:5mm、直径:75mm)を用
意した。このプラスチックレンズを評価用サンプルとし
て実施例22〜38および比較例21〜30に示す水切
り工程で、水切り剤に、室温で30秒間、浸漬および揺
動することによって、洗浄対象物に付着した純水を溶解
除去あるいは脱離・沈降させて除去した後、乾燥を行っ
た。
【0072】実施例22、23の試料溶液を満たした水
切り浸漬槽からレンズを引上げ、垂直に保持し、液が切
れることにより乾燥させた。レンズ端部の液溜りを防止
するため、レンズ端部と治具を接触させ、治具に液が流
れるように設置した。比較例21、26の試料溶液を満
たした水切り浸漬槽からレンズを引上げ、垂直に保持
し、自然乾燥を行なった。治具は、同一のものを使用し
た。
【0073】実施例24の試料溶液を満たした水切り浸
漬槽からレンズを引上げ、垂直に保持し、液が切れた
後、端部の液溜りを除去するため温風乾燥(50℃)を
2分間行なった。比較例22の試料溶液を満たした水切
り浸漬槽からレンズを引上げ、垂直に保持し、温風乾燥
(50℃)を2分間行なった。
【0074】実施例25の試料溶液を満たした水切り浸
漬槽からレンズを引上げ、垂直に保持し、液が切れた
後、端部の液溜りを除去するため減圧乾燥(5気圧)を
2分間行った。比較例27の試料溶液を満たした水切り
浸漬槽からレンズを引上げ、垂直に保持し、減圧乾燥
(5気圧)を2分間行った。
【0075】実施例26〜29の試料溶液を満たした水
切り浸漬槽からレンズを引上げ、垂直に保持し液が切れ
た後、端部の液溜りを除去するためエアナイフ乾燥を1
分間行なった。比較例23、28の試料溶液を満たした
水切り浸漬槽からレンズを引上げ、垂直に保持しエアナ
イフ乾燥を1分間行なった。
【0076】実施例30〜33の試料溶液を満たした水
切り浸漬槽からレンズを引上げ、垂直に保持し液が切れ
た後、端部の液溜りを除去するためスピン乾燥を1分間
行なった。比較例24、29の試料溶液を満たした水切
り浸漬槽からレンズを引上げ、垂直に保持しスピン乾燥
を1分間行なった。
【0077】実施例34の試料溶液を満たした水切り浸
漬槽からレンズを引上げ、垂直に保持し液が切れた後、
端部の液溜りを除去するため、低分子量ポリオルガノシ
ロキサンの1種であるヘキサメチルジシロキサン(M
M、沸点100℃)を用いて蒸気乾燥を1分間行なっ
た。
【0078】実施例35の試料溶液を満たした水切り浸
漬槽からレンズを引上げ、垂直に保持し液が切れた後、
端部の液溜りを除去するため、へキサメチルジシロキサ
ンを用いて、室温で30秒間浸漬させ、引上げ乾燥を行
なった。
【0079】実施例36〜38の試料溶液を満たした水
切り浸漬槽からレンズを引上げ、垂直に保持し液が切れ
た後、端部の液溜りを除去するためHFE(C4 9
CH3 )を用いて蒸気乾燥を1分間行なった。比較例2
5の試料溶液を満たした水切り浸漬槽からレンズを引上
げ、垂直に保持しIPAを用いて蒸気乾燥を1分間行な
った。比較例30の試料溶液を満たした水切り浸漬槽か
らレンズを引上げ、垂直に保持し2−ブタノールを用い
て蒸気乾燥を1分間行なった。
【0080】評価は、乾燥後SEMにより外観のスポッ
トマーク(乾燥ジミ)、パーティクル、およびソルベン
トクラックの有無を評価した。実施例の液切り乾燥と比
較例の自然乾燥のみ、引上げてから完全に液が切れるま
での時間を目視で測定した。本発明の実施例で、水切り
と乾燥を行なったものは、表5に併記した結果から明ら
かな通り、スポットマーク、パーティクル、クラック等
が観察されず、清浄度の高い表面が得られ水切り性およ
び乾燥性に優れることを示すことが分かる。
【表5】 一方、表6に併記した結果から明らかなように、比較例
21〜24、26〜29では、スポットマーク、パ−テ
ィクル、クラックが観察された。比較例25、30で
は、スポットマーク、パ−ティクルは観察されなかった
が、クラックが全面に観察された。
【0081】
【表6】
【0082】
【発明の効果】本発明の液切り乾燥用組成物およびそれ
を用いた液切り乾燥方法によれば、微細間隙への浸透が
良好で、水やパーティクルや軽度な油分を対象物から除
去することができる。さらに、浸漬した状態から引上げ
るとすばやく均一に液が切れ、洗浄対象物上で凝縮する
ことによって洗浄対象物表面を液切り乾燥して、清浄度
の高い表面を得ることができる。
【0083】本発明の液切り乾燥用組成物を用いた液切
り乾燥方法において、温風乾燥や減圧乾燥することによ
り、親水性溶媒と含有された水とが、共沸または擬似共
沸することにより、優先的に揮発するため、洗浄対象物
表面にウォーターマーク等の乾燥ジミが発生し難い。一
方、洗浄対象物表面に残った低分子量ポリオルガノシロ
キサンは、蒸発潜熱が小さく、乾燥時に部品表面から熱
(気化熱)を奪うことがないため、空気中の水分の凝縮
等に起因する乾燥ジミの発生や清浄度の低下を招くこと
がない。従って、温風乾燥や減圧乾燥を行なっても、洗
浄対象物表面を良好に仕上げることができる。
【0084】さらに、本発明の液切り乾燥用組成物は高
い水分濃度限界値を有しているため、液寿命が長い。
【0085】また、本発明の液切り乾燥用組成物および
これを用いた液切り乾燥方法は、湿度等の雰囲気の影響
を受けにくく、プラスチック等の基材に対してソルベン
トアタックの影響は少なく、安全性も高い。
【0086】

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 SiO単位が1〜6の低分子量ポリオル
    ガノシロキサン(a)と、分子量130以下の脂肪族ア
    ルコール類、ケトン類、エステル類またはグリコール類
    から選ばれた少なくとも1種類の親水性溶媒(b)とを
    含有する液切り乾燥用組成物であって、 前記液切り乾燥用組成物に、JIS R3202(縦5
    0mm×横50mm×厚さ5mm)の試料ガラスを浸漬し、引
    上げた後、垂直に保持した時の濡れ・乾燥界面の後退速
    度面積が0.3cm2 /sec 以上で、乾燥直後の乾燥領域
    における水の接触角が50゜以下であることを特徴とす
    る液切り乾燥用組成物。
  2. 【請求項2】 前記低分子量ポリオルガノシロキサン
    (a)は、 【化1】 (式中、Rは同一または異なる置換または非置換の1価
    の有機基を、lは0〜5の整数を示す)で表される直鎖
    状ポリオルガノシロキサンおよび一般式 【化2】 (式中、Rは同一または異なる置換または非置換の1価
    の有機基を、mは3〜7の整数を示す)で表される環状
    ポリオルガノシロキサンから選ばれた少なくとも1種の
    低分子量ポリオルガノシロキサンであることを特徴とす
    る請求項1記載の液切り乾燥用組成物。
  3. 【請求項3】 前記低分子量ポリオルガノシロキサン
    (a)が、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテ
    トラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、オク
    タメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペ
    ンタシロキサンおよびドデカメチルシクロヘキサシロキ
    サンから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とす
    る請求項2記載の液切り乾燥用組成物。
  4. 【請求項4】 さらに、50重量部以下の水が含有され
    ていることを特徴する請求項1記載の液切り乾燥用組成
    物。
  5. 【請求項5】 さらに、有機溶媒、界面活性剤および/
    または安定化剤が添加されていることを特微とする請求
    項1記載の液切り乾燥用組成物。
  6. 【請求項6】 前記低分子量ポリオルガノシロキサン
    (a)の沸点が、前記親水性溶媒(b)の沸点より高い
    ことを特徴とする液切り乾燥用組成物。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至6いずれか一項に記載の液
    切り乾燥用組成物を用いた液切り乾燥方法。
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