JP2006047451A - 電子楽器 - Google Patents

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Abstract

【課題】 単純な構成で、本物の共鳴に近く、倍音レベルの細かな調整が容易な共鳴音を発生することが可能な電子楽器を提供する。
【解決手段】 鍵盤204やダンパーペダル205の操作情報を、楽音制御情報として発生する楽音制御手段1と、該楽音制御情報に基づいて、複数の楽音を同時に発生可能な楽音発生手段2と、発生可能な楽音信号の倍音信号分だけ共鳴回路を備え、楽音発生手段2から発生した楽音を各共鳴回路への入力信号として、該共鳴回路により共鳴音を発生する共鳴音発生手段3と、楽音制御情報に基づいて、共鳴音発生手段3から発生した共鳴音を所定倍し、楽音発生手段2からの入力楽音に加算して出力する共鳴音混合手段4とを備えている。
【選択図】 図19

Description

本発明は、ピアノのダンパーペダルを踏みながら演奏した時のような響きを再現できる電子楽器に関する。
ピアノの弦は通常ダンパーによってその振動が押さえられている。そのため別の弦を弾いても、弾いていない弦は振動しない。反対にダンパーペダルを踏むことでダンパーが弦から離れると、弦は、別の弾かれた弦の振動によって共鳴する。この共鳴音がピアノとして重要である。
電子楽器などにおいて、ダンパーペダルを踏みながら演奏した時の響きを再現できる構成として、ダンパーペダル操作時のピアノ音を記憶しておき、それを読み出す方式(波形読み出し)や、入力楽音の基音ピッチに対応した遅延ループにより共鳴させる方式(遅延ループ)などがある。
ダンパーペダル操作時のピアノ音を記憶して読み出す波形読み出し方式を採用する場合、実際のピアノ音を収音するため所望の特性の音を収音するのが難しい。またダンパーペダル操作時の音を1音1音記憶するために膨大な波形メモリが必要となるという問題もある。
他方遅延ループにより共鳴させる方式を採用する場合では、ピッチの整数倍の倍音が必ず共鳴するが、実際のピアノでは基音(ピッチ)の整数倍の倍音が存在しなかったり、非整数倍の倍音が存在する場合がある。従ってこの方式では、このような現象を再現できないという問題もある。
もちろんこれらの問題は、ピアノに限られるわけではなく、他の楽器で共鳴音が反映される楽器についても同様なことが言える(以下の記載は基本的にピアノのダンパーによる共鳴を例にして説明するが、これに限定されるわけではない)。
本発明は、以上のような問題に鑑み創案されたもので、単純な構成で、本物の共鳴に近く、倍音レベルの細かな調整が容易な共鳴音を発生することが可能な電子楽器を提供せんとするものである。
上記課題を解決するため、本発明者は鋭意研鑽の結果、概略次の3つを基本とする本発明の構成を案出するに至った。そのうち2つの基本構成は、発生させた楽音を共鳴回路に入力し、共鳴音を生成して、元の楽音と混合させるものである。残りの基本構成は、楽音発生と共に、操作子の操作情報をトリガーとして共鳴音も同時に発生させ、両者の音を混合させるものである。
これらのいずれとも楽音発生に関しては、楽音波形記憶手段に楽音波形を記憶させそれを読み出して楽音を発生させる場合(3つの構成とも、その場合に楽音波形記憶手段は楽音発生手段中に含まれる)と、所定の楽音制御情報で楽音合成され楽音発生が行われる場合とがあり、いずれも排除されるものではない。以下に、それらの概略につき、夫々説明する。
その1つ目の構成は、楽音信号を、楽音の各倍音に対応した共鳴音発生手段の共鳴回路に入力することで、共鳴音を発生させる。
ここで楽音の倍音に対応した共鳴回路とは、元の波形(波形記憶手段から楽音波形を読み出す方式であれば、収音した元の波形)を分析することで倍音周波数、減衰率を求め、これを設計パラメータとして設計されたものである。
そのような共鳴回路は、フィルタ(場合により乗算器も)を含む回路で構成され、そのフィルタ係数は、倍音の倍音周波数を不減衰固有角振動数とし、倍音の減衰を指数関数で近似した時の指数を減衰率とした、1自由度粘性減衰系モデルの伝達関数を双一次変換して求める。また上記乗算器が用いられる場合その乗算係数は、その倍音を含む楽音の各倍音の振幅比を所定倍したものとする。
ここでは、楽音波形を記憶した楽音波形記憶手段から楽音波形を読み出す楽音波形読み出し方式を例に取ると理解し易いので、以下の説明ではその波形読み出し方式を基づいて説明する。但し楽音波形は、上述のように、楽音波形記憶手段に記憶されていてそれが読み出される方式の場合と、所定の楽音制御情報で楽音合成され楽音発生が行われる方式の場合とがあり、本発明構成ではどちらでも採用可能である。
そして、読み出す波形データの元の波形を倍音毎に分析し、その倍音毎の共鳴回路を設計する。そのために、元の波形データに含まれない倍音に対する共鳴回路は存在せず、その倍音周波数の共鳴音を発生することは無い(ただし、任意の倍音の共鳴回路を追加することは可能である)。またピッチの非整数倍の倍音に対する共鳴回路を持つことができるため、そのような倍音周波数の共鳴音を発生することができる。
従って、より元の楽器に近い共鳴音を発生することが可能である。また共鳴音の倍音毎のレベル調整が可能なため所望の音色を得ることが容易である。
2つ目の構成は、楽音発生手段により楽音を発生させると共に、その楽音の各音名[ピアノなどの一般的な楽器ではC(ド)、C#(ド#)、D(レ)、D#(レ#)、E(ミ)、F(ファ)、F#(ファ#)、G(ソ)、G#(ソ#)、A(ラ)、A#(ラ#)、B(シ)]に対応した複数系列(上記ピアノなどの一般的な楽器では12系列)の共鳴回路群で構成された共鳴音発生手段に、楽音信号を入力することで共鳴音を得る。この時楽音信号は同音名の共鳴回路群へは小さな振幅で、異音名の共鳴回路へは大きな振幅で入力することで、同音名の共鳴回路群の出力が、他の共鳴回路群の出力と比べて著しく大きくなることを防いでおり、バランスの良い共鳴音を得るようにしている。このような構成にした原理の詳細については、後述する。
上記各共鳴回路は、楽音の各倍音に対応している。また楽音の倍音に対応した共鳴回路とは、元の波形(波形記憶手段から楽音波形を読み出す方式であれば、収音した元の波形)を分析することで倍音周波数、減衰率を求め、これを設計パラメータとして設計されたものである。
上記共鳴回路は、上記1つ目の場合と同様、フィルタ(場合により乗算器も)を含む回路で構成され、そのフィルタ係数は、倍音の倍音周波数を不減衰固有角振動数とし、倍音の減衰を指数関数で近似した時の指数を減衰率とした、1自由度粘性減衰系モデルの伝達関数を双一次変換して求める。また上記乗算器が用いられる場合その乗算係数は、その倍音を含む楽音の各倍音の振幅比を所定倍したものとする。
ここでは、楽音波形を記憶した楽音波形記憶手段から楽音波形を読み出す楽音波形読み出し方式を例に取ると理解し易いので、以下の説明ではその波形読み出し方式を基づいて説明する。但し楽音波形は、上述のように、楽音波形記憶手段に記憶されていてそれが読み出される方式の場合と、所定の楽音制御情報で楽音合成され楽音発生が行われる方式の場合とがあり、本発明構成ではどちらでも採用可能である。
そして、読み出す波形データの元の波形を倍音毎に分析し、その倍音毎の共鳴回路を設計する。そのために、元の波形データに含まれない倍音に対する共鳴回路は存在せず、その倍音周波数の共鳴音を発生することは無い(ただし、任意の倍音の共鳴回路を追加することは可能である)。またピッチの非整数倍の倍音に対する共鳴回路を持つことができるため、そのような倍音周波数の共鳴音を発生することができる。
従って、より元の楽器に近い共鳴音を発生することが可能である。また共鳴音の倍音毎のレベル調整が可能なため所望の音色を得ることが容易である。
3つ目の構成は、発生可能な楽音信号を、楽音の各倍音に対応した複数の共鳴回路に入力して得られた共鳴音を、予め共鳴音波形記憶手段に記憶しておき、演奏(操作子の操作情報)に応じてその波形を読み出すことで、ピアノであれば、ダンパーペダルを踏みながら演奏した時の響きを再現する。
楽音の倍音に対応した共鳴回路とは、元の波形(波形記憶手段から楽音波形を読み出す方式であれば、収音した元の波形)を分析することで倍音周波数、減衰率を求め、これを設計パラメータとして設計されたものである。この3つ目の構成の共鳴回路は、共鳴音波形記憶手段に該共鳴音波形を記憶させるために必要とされるものであり、他の2つの基本構成と異なり、一旦記憶させてしまうと、電子楽器としては新たな共鳴音を記憶させることがない限り必要がない。
該共鳴回路は、上記1つ目及び2つ目の場合と同様、フィルタ(場合により乗算器も)を含む回路で構成され、そのフィルタ係数は、倍音の倍音周波数を不減衰固有角振動数とし、倍音の減衰を指数関数で近似した時の指数を減衰率とした、1自由度粘性減衰系モデルの伝達関数を双一次変換して求める。また上記乗算器が用いられる場合その乗算係数は、その倍音を含む楽音の各倍音の振幅比を所定倍したものとする。
本構成では、上記2つの構成と同様、楽音波形を記憶した楽音波形記憶手段から楽音波形を読み出す楽音波形読み出し方式を例にして説明すると、読み出す波形データの元の波形を倍音毎に分析し、その倍音毎の共鳴回路を設計する。そのために、最終的に共鳴音波形記憶手段に記憶される共鳴音波形を作成する別構成としての共鳴回路のうち、元の波形データに含まれない倍音に対する共鳴回路は存在せず、その倍音周波数の共鳴音を発生することは無い(但し共鳴音波形を共鳴音波形記憶手段に記憶しておくだけで、楽音波形は、同様に楽音波形記憶手段に記憶されて読み出される場合と、所定の楽音制御情報で楽音合成され楽音発生が行われる場合とがある。また、任意の倍音の共鳴回路を追加することは可能である)。またピッチの非整数倍の倍音に対する共鳴回路を持つことができるため、そのような倍音周波数の共鳴音を発生することができる。
従ってより元の楽器に近い共鳴音を発生することが可能である。また共鳴音の倍音毎のレベル調整が可能なため所望の音色を得ることが容易である。
上記1つ目の構成は、本出願において、以下のように、請求項1〜10として規定される。また2つ目の構成は、以下に示すように、請求項11〜21として規定される。さらに3つ目の構成は、以下に説明するように、請求項22〜29として規定される。
請求項1に係る電子楽器は、
複数の操作子を備え、その操作情報を、少なくとも発音開始/発音停止、音高、操作強さ、操作量等を指定する楽音制御情報として発生する楽音制御手段と、
上記楽音制御情報に基づいて、複数の楽音を同時に発生可能な楽音発生手段と、
発生可能な楽音信号の倍音信号分だけ共鳴回路を備え、楽音発生手段から発生した楽音を各共鳴回路への入力信号として、該共鳴回路により共鳴音を発生する共鳴音発生手段と、
上記楽音制御情報に基づいて、共鳴音発生手段から発生した共鳴音を所定倍し、楽音発生手段からの入力楽音に加算して出力する共鳴音混合手段と
を少なくとも楽音出力用に備えたことを基本的特徴としている。
上記構成は、上述のように、楽音発生手段から発生した楽音信号を、楽音の各倍音に対応した共鳴音発生手段の共鳴回路に入力することで、共鳴音を発生させる。そうして発生した共鳴音を、共鳴音混合手段により、元の楽音と混合させる。
このような共鳴回路は、元の波形を分析することで倍音周波数、減衰率を求め、これを設計パラメータとして設計されたものとなる。そして、楽音波形を記憶した楽音波形記憶手段から楽音波形を読み出す楽音波形読み出し方式を例にして説明すると、読み出す波形データの元の波形を倍音毎に分析し、その倍音毎の共鳴回路を設計する。そのために、元の波形データに含まれない倍音に対する共鳴回路は存在せず、その倍音周波数の共鳴音を発生することは無い(ただし、任意の倍音の共鳴回路を追加することは可能である)。またピッチの非整数倍の倍音に対する共鳴回路を持つことができるため、そのような倍音周波数の共鳴音を発生することができる。
従って、より元の楽器に近い共鳴音を発生することが可能である。また共鳴音の倍音毎のレベル調整が可能なため所望の音色を得ることが容易である。
尚、楽音波形は、楽音波形記憶手段に記憶されていてそれが読み出される方式の場合と、所定の楽音制御情報で楽音合成され楽音発生が行われる方式の場合とがあり、本発明構成ではどちらでも採用可能である。
請求項2の構成は、上記共鳴音発生手段の構成を規定するものであり、後述する実施形態の実施例1で示すように、楽音の倍音に対応し、その倍音周波数を共振周波数とする上記共鳴回路を複数並列に接続して、構成している。
請求項3の構成は、上記共鳴回路の構成を後述する実施形態に則して規定したものであり、より具体的には、
該共鳴回路はデジタルフィルタを有しており、それらのフィルタで使用されるフィルタ係数につき、
共鳴回路のインパルス応答は、倍音の振動波形を概略模擬するものとして、この振動波形は1自由度粘性減衰系モデルで再現できるものとし、
1自由度粘性減衰系モデルの振る舞いを決めるためのモデルパラメータは、質量、減衰固有振動数、減衰率とすると共に、これらを与えて、前記モデルの運動方程式の係数となる粘性係数と剛性係数を求め、
前記モデルの運動方程式をラプラス変換し、s表現の伝達関数式を得ると共に、これに求めた粘性係数、剛性係数及び質量を代入し、双一次変換を行って、z表現のフィルタ係数を求め、
前記質量は任意の値とし、前記減衰固有振動数は模擬しようとする倍音の振動数であり、前記減衰率は倍音の減衰を指数関数で近似したときの指数として、その値を求め、
その値を上記フィルタ係数としている。
ここで、本出願の上記3つの基本構成に共通して使用される共鳴回路(3つ目の基本構成では、共鳴音波形を作成する際に使用される別回路としての共鳴回路の構成である)の設計について述べる。
1つの共鳴回路は、その音程の1つの倍音の動きを模擬するように設計される。但し共振周波数、或いは振幅の時間変動を十分模擬するには回路規模が大きくなりすぎるため、概略模擬できれば良いものとする。
共鳴回路のフィルタの部分は、1自由度粘性減衰系モデルの運動方程式より、伝達関数が得られる。図1に1自由度粘性減衰系モデルを示す。
同図は、ばね(剛性)、質量、ダッシュポット(粘性)で表現した、1自由度粘性減衰系モデルある(通常粘性はダンパという表現を使うが、本出願ではピアノのダンパーペダルが出てくるので、混同を避けるためダッシュポットと表現する)。ここでKは剛性係数、Cは粘性係数、Mは質量、xは質量の変位、f(t)は質量にかかる力を表す。このときのモデルの運動方程式は、下式数1のようになる。
Figure 2006047451
さらに上記数1をラプラス変換し、その伝達関数を求めると次式数2に示すようになる。この数2の伝達関数式は分子が定数項のみであり、分母がsの2次の多項式となっている。従って2次のローパスフィルタ(LPF)として実現できる。
Figure 2006047451
1自由度粘性減衰系モデルの振る舞いを表すための係数、及びそれらの関係式は、一般的に知られており、それらを下式数3〜数7に示す。
不減衰固有角振動数はω、臨界減衰係数はcc、減衰比はζ、減衰係数はσ、減衰角振動数はωdとする。また先にも述べたが、Kは剛性係数、Cは粘性係数、Mは質量を表す。
Figure 2006047451
Figure 2006047451
Figure 2006047451
Figure 2006047451
Figure 2006047451
ここで減衰角振動数ωdは、模擬しようとする倍音の周波数に2πを乗じたものとし、減衰率σは、模擬しようとする倍音の減衰を指数関数で近似した時の指数とする。また質量は任意の値とし、ここでは1とする。このように、減衰固有角振動数ωd、減衰率σ、質量Mを既知とすれば、伝達関数G(s)の分母多項式の係数である、粘性係数C及び剛性係数Kは、次のように求めることができる。
すなわち、上記式数6を変形したものと、数4を数5に代入すると、下式数8となる。
Figure 2006047451
従って粘性係数Cは、下式数9に示すようになる。
Figure 2006047451
また減衰固有角振動数ωdは共鳴回路の共振周波数に2πを乗じた値である(即ち減衰固有角振動数=共振周波数、単位がradとHzの違いだけ)。ここで上記式数7に数4の式を代入すると、下式数10が得られる。
Figure 2006047451
数10の式をΩについて解くと、下式数11が得られる。
Figure 2006047451
さらに数3に数11の結果を代入すると、下式数12に示すように、剛性係数Kが求まる。
Figure 2006047451
以上により、s表現の伝達関数の全ての係数が求まった。
さらにこれをデジタルフィルタで実現するには、双一次変換によりz表現の伝達関数式を得る必要がある。双一次変換とはsを下式数13のように置き換えることであり、一般的に知られている。Tはサンプリング時間であり、zは単位遅延を表す。
Figure 2006047451
上記式数13を、数2に代入して、下式数14を得る。
Figure 2006047451
ここで質量M、粘性係数C、剛性係数Kについて整理すると、下式数15〜数17のようになる。
Figure 2006047451
Figure 2006047451
Figure 2006047451
ここで伝達関数式である数2を、下式数18のように表現する。
Figure 2006047451
分母多項式の係数は、上記数15〜数17より、下式数19のように求まる。
Figure 2006047451
以上のように、減衰固有角振動数ωd、減衰率σ、質量Mを既知として、共鳴回路は実現できることになる。
以下に減衰固有角振動数ωdと減衰率σの求め方について述べる。
減衰角振動数ωdは、模擬しようとする倍音の周波数に2πを乗じたものとしているが、倍音の周波数を特定する方法としては、FFT分析で特定する、又は楽音よりバンドパスフィルタ(BPF)によって抽出される、倍音に対して、0クロス法を行なう等によって求められる。これは一般的に知られている手法であり、ここでは詳細な説明については省略する。
図2は、A_0の楽音のFFT分析による振幅−周波数特性を簡単に表したものである。図中のf1がA_0の1倍音の周波数、f2が2倍音の周波数、fN1が最高次倍音の周波数である。従って、後述する実施形態に表される図20の共鳴音発生手段におけるフィルタfilterA0-1の減衰固有角振動数は、f1×2πであり、同様に、フィルタfilterA0-2、フィルタfilterA0-N1の減衰固有角振動数はそれぞれf2×2π、fN1×2πとなる。
減衰率σは、模擬しようとする倍音の減衰を指数関数で近似した時の指数とする。本例では倍音の波形と下式数20による正弦波の最小二乗誤差が最も小さくなる減衰率σを用いている[後述する図3(実際のA_0の1倍音の波形の状態を示す)と図4(数20によって図3の波形に近似した波形の状態を示す)の波形の差が、最も小さくなるようにσを設定する]。
Figure 2006047451
x(t)は正弦波の瞬時値であり、Aは振幅であり、任意に決定する。ωdは前記特定した倍音周波数に2πを乗じた値であり、tは時間、σは減衰率である。Aは近似しようとする倍音の最大振幅とする。
前記の方法以外にも、倍音のエンベロープを抽出し、それは対数関数で近似するなどの方法を用いても良い。図3と図4に、実際にA_0の1倍音の波形と、数20によってそれを近似した波形を示す。
最小二乗誤差を求める方法、FFTによる分析方法、0クロス時間を計測する方法などは、一般的に知られており、ここでは特にその説明は省略する。
さらに請求項4の構成は、上述のように、上記共鳴回路のデジタルフィルタに乗算器が夫々連続して設けられる場合の構成につき規定しており、より具体的には、該乗算器への乗算係数については、その倍音を含む楽音の、各倍音の振幅比を所定倍したものに設定する。
このように、共鳴回路に乗算器を設けた場合、その乗算係数は、FFT分析等で求めることができる。後述する図20の乗算器M3-A0-1、M3-A0-2及びM3-A0-N1は、次のように求めることができる。
上記図2は、A_0の楽音波形について、FFT分析による振幅−周波数特性を簡単に表したものである。
1倍音は、周波数がf1Hzで、振幅レベルが0dBであり、2倍音は、周波数がf2Hzで、振幅レベルが−20dBHzである。N1倍音(最高次倍音)は、周波数がfN1Hzであり、振幅レベルは−40である。
従って振幅比は1倍音を1(基準)とすると、2倍音は10(−20/20)=0.1となり、N1倍音は10(−40/20)=0.01となる。従って図20の乗算器M3-A0-1の乗算係数は1、同乗算器M3-A0-2の乗算係数は0.1、乗算器M3-A0-N1の乗算係数は0.01となる。他の音程の共鳴回路も同様にその音程の楽音より求める。
本例ではA_0の1倍音を1としたが、他の音程の任意の倍音を1とし、A_0の乗算係数を1倍音は0.5、2倍音は0.05、……N1倍音は0.005のように、同音程の倍音間の振幅比を保ったまま、値を変更しても良い。またより好みの音色とするために、分析によらず任意の値を設定しても良い。
次に模擬しようとする倍音について述べる。
楽音発生手段が記憶された楽音波形の読み出しで楽音発生がなされる所謂読み出し方式の電子ピアノは、アコースティックピアノの楽音波形を収音し、それを記憶することが知られている。従って、共鳴回路の共振周波数を特定したり、減衰率を決定する場合は、元の収音した波形より模擬しようとする倍音を抽出して利用することができる(請求項5)。
よってA_0の1倍音を模擬しようとする場合は、A_0楽音波形より、f1倍音を中心とし、f1未満の帯域幅を持つバンドパスフィルタ(BPF)で切り出して、0クロス分析による共振周波数の特定を行なったり、減衰の近似を行なう。
図5にバンドパスフィルタ(BPF)の帯域幅を図示する。図中、矢印の範囲が、バンドパスフィルタ(BPF)の通過域である。
楽音発生手段が所定の楽音制御情報で楽音合成され楽音発生が行われる(所謂読み出し方式で無い)場合は、所定の楽音制御情報で楽音発生手段から発生した楽音を収音して、これについてFFT分析あるいは0クロス分析による共振周波数の特定を行なったり、減衰の近似を行なう。すなわち、模擬しようとする上記倍音は、所定の楽音制御情報で楽音合成され、出力された楽音波形より抽出された倍音とすることになる(請求項6)。
実際のピアノ音から各倍音を抽出して共振周波数及び減衰率を決定する上記本発明の構成の場合、従来の遅延ループによる共鳴音を発生させる場合に比べ以下のような利点がある。
実際のピアノの倍音は、厳密に基音の整数倍とはなっておらず、多少ずれている。また倍音の次数が高くなると(倍音の周波数が高くなると)、基音の整数倍からより高いほうに周波数がずれることが知られている。また、有るべきところに倍音が存在しない場合がある。その逆に倍音が立たない場所に倍音が存在する場合がある(この場合倍音と呼べないかもしれないが)。このようなことは、ピアノ1台1台で異なっており、その楽器の個性となっている。
従来の遅延ループ方式の共鳴回路は、遅延時間の逆数の整数倍の周波数に正確に共鳴するため、上記のような現象には対応できない。しかし実際のピアノ倍音を1本1本抽出して共鳴回路を設計する本発明の構成は、正しくこの現象を再現することができることになる。
1つ目の基本構成では、入力された楽音に対し、それを基音として、その倍音構成となる共鳴回路を倍音構成分だけ用意することになる。請求項7は、このような共鳴回路の数を省略できる構成について規定している。すなわち、より具体的には、1つの共鳴回路の共振周波数は、1つの倍音周波数に相当するが、倍音周波数が等しい、若しくは非常に近い倍音周波数の倍音が複数存在する場合は、1つの倍音周波数を代表させ、その倍音周波数を共振周波数とする1つの共鳴回路のみで構成することとしている。
例えば、ある音程の楽音の基音(1倍音)周波数がf1であるとすると、2倍音は約(f1×2)Hz、3倍音は約(f1×3)Hz、4倍音では(f1×4)Hzとなる。この時、この1オクターブ上の楽音の基音周波数は、約(f1×2)Hz、2倍音は(f1×4)Hzとなる。また2オクターブ上の楽音の基音周波数は、(f1×4)Hzとなる。従って、ある音程の2倍音と1オクターブ上の基音周波数は、ほぼ重なることとなる。また同様にある音程の4倍音と1オクターブ上の2倍音と2オクターブ上の基音周波数が重なることとなる。
またオクターブの関係に無い場合でも、異なる音程の異なる次数の倍音の周波数が非常に近い場合がある。
このように周波数が略等しい倍音については、個別に共鳴回路を持たずに、1つの倍音の周波数、またはそれらの平均の周波数を共振周波数とする共鳴回路を1つ持てば良い。これにより上述した1つ目の基本構成の共鳴音発生手段の回路規模を縮小できるようになる。
図6は、上から順に、C_2、C_3、C_4の倍音を、FFT分析で表したものである。図中四角形で囲んだ倍音の部分は、1つの共鳴回路で作ることができる。その分だけ回路構成を省略することが可能である。
また図7は、上から順に、C_4、E_4、A_4の倍音を、FFT分析で表したものである。図中四角形で囲んだ倍音の部分は、1つの共鳴回路で作ることができる。その分だけ回路構成を省略することが可能である。
他方、共鳴回路に入力する楽音に含まれる倍音の周波数と入力される共鳴回路の共振周波数が極めて近い場合、共鳴回路に入力する楽音に含まれる倍音の周波数と入力される共鳴回路の共振周波数と異なる場合に比べて、共鳴回路から出力される共鳴音は極めて大きくなる(楽音の倍音周波数と共鳴回路の共振周波数が近いと共鳴回路出力の振幅が大きくなりすぎる)。その場合、本来得たい共鳴音らしい響きではなく、その共振周波数を持った安定した楽音のような聞こえとなってしまう。図8及び図9にその例を挙げる。
図8は、C_2の楽音を、C_2の1倍音共鳴回路、C_3の1倍音共鳴回路、G#_2の1倍音の共鳴回路へ、夫々入力した時の共鳴音を上から順に示している。図9は、同様に、G#_2の楽音を、C_2の1倍音共鳴回路、C_3の1倍音共鳴回路、G#_2の1倍音の共鳴回路へ、夫々入力した時の共鳴音を上から順に示している。
図8では、C_2の1倍音共鳴回路とC_3の1倍音共鳴回路の共鳴音が大きい。これは、C_2の楽音が、C_2の1倍音とC_3の1倍音の周波数に極めて近い周波数の倍音を持つためである。同様に、図9では、G#_2の1倍音の共鳴回路の共鳴音の振幅が大きい。このため図8のような場合は、共鳴音はC_2の楽音が鳴っているような聞こえとなってしまう。同様に図9のような場合は、G#_2の楽音が鳴っているような聞こえとなってしまう。これでは、ピアノであれば、ダンパーペダル操作時のような聞こえにはならないことになる。
そこで請求項8の構成では、1つの共鳴回路の共振周波数は、1つの倍音周波数に相当するが、共鳴音発生手段として、特定の倍音周波数に対応する共鳴回路の共振周波数を所定量だけずらした共鳴回路を含む構成とする。
すなわち、図8や図9に示すような共鳴音の振幅を略同じ大きさに揃えるには、共鳴回路の共振周波数を少しずらせば良い。
上記請求項8の構成によって得られた結果を、図10及び図11に示す。
図10は、C_2の楽音を、C_2の1倍音から数Hzずらした共振周波数の共鳴回路へ、C_3の1倍音から数Hzずらした共振周波数の共鳴回路へ、またG#_2の1倍音から数Hzずらした共振周波数の共鳴回路へ、夫々入力した時の共鳴音を上から順に示している。
図11は、G#_2の楽音を、C_2の1倍音から数Hzずらした共振周波数の共鳴回路へ、C_3の1倍音から数Hzずらした共振周波数の共鳴回路へ、またG#_2の1倍音から数Hzずらした共振周波数の共鳴回路へ、夫々入力した時の共鳴音を上から順に示している。
これらの図から明らかなように、共鳴回路の共振周波数を少しずらすことで、共鳴音の振幅を略同じ大きさに揃えることができるようになる。
ピアノは、弦振動が響板などへ伝わり、それが放音される。同時にその振動は、駒を通して他の弦にも伝わる。また他の弦に伝わった振動は、再び駒を通って元の弦に伝わる。よってピアノは、このようなフィードバック回路を持つ。これを簡単に行なうために、共鳴音発生手段にフィードバック経路を設ける。すなわち、上記共鳴音発生手段は、その出力を所定倍して、入力楽音と加算し、再度この共鳴音発生手段にフィードバックして入力する構造を持つものとする(請求項9)。
また請求項10の構成のように、共鳴音発生手段の出力を所定倍して、入力楽音と加算し、再度この共鳴音発生手段にフィードバックして入力する構造を共鳴音発生手段に持つと共に、そのフィードバック経路に、共鳴音発生手段の出力を所定時間遅らせる遅延回路及び/又は共鳴音発生手段の出力の振幅−周波数特性を変更するフィルタを備えるようにしても良い。この場合、上記遅延回路は振動の伝播遅延を模擬し、上記フィルタは駒の伝達特性を模擬することになる。
次に本願2つ目の基本構成の核をなす請求項11に係る電子楽器の構成につき説明する。該構成では、上述のように、楽音発生手段により楽音を発生させると共に、その楽音の各音名(ピアノなどの一般的な楽器ではC、C#、D、……Bの)に対応した複数系列(12系列)の共鳴回路群で構成された共鳴音発生手段に、楽音信号を入力することで共鳴音を得る。
この時楽音信号は同音名の共鳴回路群へは小さな振幅で、異音名の共鳴回路へは大きな振幅で入力することで、同音名の共鳴回路群の出力が、他の共鳴回路群の出力と比べて著しく大きくなることを防いでおり、バランスの良い共鳴音を得るようにしている。そのため、請求項11の構成は、楽音発生手段について、
楽音制御情報に基づいて楽音を生成、出力する楽音生成チャネルを複数持つ楽音生成手段と、
各楽音生成チャネル毎に全音名数設けられ、楽音制御情報に基づいて楽音の振幅を調整する係数を乗算する乗算器であって、そのうち少なくとも楽音発生手段で発生した楽音と同じ音名の乗算器の係数は他と異なる係数を有する乗算器と、
上記共鳴音発生手段の複数の共鳴回路群に夫々対応して設けられ、上記乗算器からの出力のうち同じ音名に対応する各楽音生成チャネル毎の乗算器から出力されてきた信号同士を加算する加算器と
で構成されるようにしており、
それと共に、楽音生成チャネルの出力は、そのチャネルの各乗算器に入力され、上記乗算器からの出力は、そのうちの同じ音名に対応する各楽音生成チャネル毎の乗算器からの出力が、上記共鳴音発生手段の共鳴回路群に夫々対応して設けられた加算器で加算され、夫々の共鳴回路群へ送出・入力され、該共鳴音発生手段で共鳴音として生成されて、共鳴音混合手段へ出力されるようにしている。
上記各共鳴回路の設計については、上記1つ目の構成の場合と同じであるので、その説明は省略する(そこに設けられるフィルタや乗算器についても同じ)。
請求項11について、より具体的な構成を述べれば、
複数の操作子を備え、その操作情報を、少なくとも発音開始/発音停止、音高、操作強さ、操作量等を指定する楽音制御情報として発生する楽音制御手段と、
上記楽音制御情報に基づいて、複数の楽音を同時に発生可能な楽音発生手段と、
複数の共鳴回路群と、各共鳴回路群に対応した複数の入力系列で構成され、各共鳴回路群の共鳴音出力を加算して出力する共鳴音発生手段と、
上記楽音制御情報に基づいて、共鳴音発生手段から発生した共鳴音を所定倍し、楽音発生手段からの入力楽音に加算して出力する共鳴音混合手段と
を少なくとも楽音出力用に備えており、
上記楽音発生手段は、
楽音制御情報に基づいて楽音を生成、出力する楽音生成チャネルを複数持つ楽音生成手段と、
各楽音生成チャネル毎に全音名数設けられ、楽音制御情報に基づいて楽音の振幅を調整する係数を乗算する乗算器であって、そのうち少なくとも楽音発生手段で発生した楽音と同じ音名の乗算器の係数は他と異なる係数を有する乗算器と、
上記共鳴音発生手段の複数の共鳴回路群に夫々対応して設けられ、上記乗算器からの出力のうち同じ音名に対応する各楽音生成チャネル毎の乗算器から出力されてきた信号同士を加算する加算器とで構成され、
楽音生成チャネルの出力は、そのチャネルの各乗算器に入力され、上記乗算器からの出力は、そのうちの同じ音名に対応する各楽音生成チャネル毎の乗算器からの出力が、上記共鳴音発生手段の共鳴回路群に夫々対応して設けられた加算器で加算され、夫々の共鳴回路群へ送出・入力され、該共鳴音発生手段で共鳴音として生成されて、共鳴音混合手段へ出力されることを特徴としていると言うことになる。
また楽音発生手段の楽音発生チャネルは、1チャネルあたり共鳴回路群の各音名に対応した数(ピアノなどの一般的な楽器では12)の乗算器を持ち、これらの乗算器の乗算係数は、楽音制御情報の音高によって決定されると共に、この中の1つの乗算係数が他の乗算係数より小さく、他の乗算係数同士は等しいようにすれば良い(請求項12)。
ここで、発生した楽音と同じ音名の共鳴回路群へは小さい振幅で入力し、異なる音名の共鳴回路群へは大きい振幅で、波形を入力するのは、以下のような理由による。
共鳴回路に入力する楽音に含まれる倍音の周波数と入力される共鳴回路の共振周波数が極めて近い場合、それら周波数が異なる場合に比べて、共鳴回路から出力される共鳴音は極めて大きくなる場合がある。すると、入力楽音の周波数と共振周波数が離れた共鳴回路の出力波形と、入力楽音の周波数と共振周波数が極めて近い共鳴回路の出力波形との音量バランスがとれなくなり、本来得たい共鳴音らしい響きではなく、その共振周波数を持った安定した楽音のような聞こえとなってしまう。
例えば図12は、後述する図27に示される共鳴回路群_Cに、音程C_3、D#_3、G_3の波形を入力した時の出力波形(共鳴音)である。同様に図13は、共鳴回路群_Gの共鳴音である。共鳴回路群_Cの共鳴音はC_3が著しく大きく、同様に共鳴回路群_Gの共鳴音はG_3が著しく大きい。このままでは、C_3、G_3の響きが大きすぎて、ピアノであれば、ダンパーペダル操作時のような響きは得られない。
そこで楽音を、その周波数と共振周波数が極めて近い周波数の共鳴回路へ入力する時は、楽音の振幅を他の共鳴回路へ入力するときと比べて、小さくする必要がある。
上述の例によれば、共鳴回路群_Cへ入力する時は、C_3の波形のみ振幅を小さくすると、その共鳴音は図14のように、どの音程の共鳴音もほぼ同じような振幅になる。同様に共鳴回路群_Gへ入力するときにはG_3の波形のみ振幅を小さくすると、図15のように、どの音程の共鳴音もほぼ同じような振幅になる。これによって、ピアノであれば、本来のダンパーペダルの操作時の響きを得ることができる。
また共鳴音発生手段の入力系列数は、共鳴回路群の各音名に対応した数(ピアノなどの一般的な楽器では12)であり、楽音分配手段の出力チャネルの分配系列も同数である(請求項13)。これは、各共鳴回路群は、各音名(ピアノなどの一般的な楽器ではC、C#、D、……、Bの12音)に対応して設けられるからである。
さらに共鳴音発生手段の共鳴回路群は、その対応する音名の楽音の倍音に対応した共鳴回路を複数並列に接続して使用される(請求項14)。各共鳴回路は音名の倍音に対応して設けられるものであるから当然である。
2つ目の基本構成でも、上述のように、共鳴音発生手段で使用される共鳴回路は、本出願の上記3つの基本構成に共通して使用されるものであり、1つの共鳴回路は、その音程の1つの倍音の動きを模擬するように設計される。
すなわち、2つ目の基本構成においても、
上記共鳴回路はデジタルフィルタを有しており、それらのフィルタで使用されるフィルタ係数につき、
共鳴回路のインパルス応答は、倍音の振動波形を概略模擬するものとして、この振動波形は1自由度粘性減衰系モデルで再現できるものとし、
1自由度粘性減衰系モデルの振る舞いを決めるためのモデルパラメータは、質量、減衰固有振動数、減衰率とすると共に、これらを与えて、前記モデルの運動方程式の係数となる粘性係数と剛性係数を求め、
前記モデルの運動方程式をラプラス変換し、s表現の伝達関数式を得ると共に、これに求めた粘性係数、剛性係数及び質量を代入し、双一次変換を行って、z表現のフィルタ係数を求め、
前記質量は任意の値とし、前記減衰固有振動数は模擬しようとする倍音の振動数であり、前記減衰率は倍音の減衰を指数関数で近似したときの指数として、その値を求めている(請求項15)。
このような共鳴回路の詳細については、本願の1つの基本構成の説明の際に詳述したので、ここではその説明を省略する。
請求項16の構成は、上記共鳴回路のデジタルフィルタに乗算器が夫々連続して設けられる場合の構成につき規定しており、より具体的には、該乗算器への乗算係数については、その倍音を含む楽音の、各倍音の振幅比を所定倍したものに設定することを規定しているが、これについても、その説明は上記請求項4の項でしており、ここではその説明を省略する。
楽音発生手段が記憶された楽音波形の読み出しで楽音発生がなされる場合は、模擬しようとする上記倍音は、記憶された楽音波形より抽出した倍音とする請求項17の構成についても、その説明は上記請求項5の項でしており、ここではその説明を省略する。
楽音発生手段が所定の楽音制御情報で楽音合成され楽音発生が行われる場合は、模擬しようとする上記倍音は、所定の楽音制御情報で楽音合成され、出力された楽音波形より抽出された倍音とする請求項18の構成についても、その説明は上記請求項6の項でしており、ここではその説明を省略する。
1つの共鳴回路の共振周波数は、1つの倍音周波数に相当するが、倍音周波数が等しい、若しくは非常に近い倍音周波数の倍音が複数存在する場合は、1つの倍音周波数を代表させ、その倍音周波数を共振周波数とする1つの共鳴回路のみで構成する請求項19の構成についても、その説明は上記請求項7の項でしており、ここではその説明を省略する。
上記共鳴音発生手段は、その出力を所定倍して、入力楽音と加算し、再度この共鳴音発生手段にフィードバックして入力する構造を持つ請求項20の構成についても、その説明は上記請求項9の項でしており、ここではその説明を省略する。
上記共鳴音発生手段は、その出力を所定倍して、入力楽音と加算し、再度この共鳴音発生手段にフィードバックして入力する構造を持つと共に、そのフィードバック経路には、共鳴発生手段の出力を所定時間遅らせる遅延回路及び/又は共鳴発生手段の出力の振幅−周波数特性を変更するフィルタを備えた請求項21の構成についても、その説明は上記請求項10の項でしており、ここではその説明を省略する。
さらに本願3つ目の基本構成の核をなす請求項22に係る電子楽器の構成につき説明する。該構成では、上述のように、発生可能な楽音信号を、楽音の各倍音に対応した複数の共鳴回路に入力して得られた共鳴音を、予め共鳴音波形記憶手段に記憶しておき、演奏(操作子の操作情報)に応じてその波形を読み出すことで、ピアノであれば、ダンパーペダルを踏みながら演奏した時の響きを再現する。
楽音の倍音に対応した共鳴回路とは、上述の2つの基本構成と基本的には同じであり、元の波形(波形記憶手段から楽音波形を読み出す方式であれば、収音した元の波形)を分析することで倍音周波数、減衰率を求め、これを設計パラメータとして設計されたものである。但し、この3つ目の構成の共鳴回路は、共鳴音波形記憶手段に該共鳴音波形を記憶させるために必要とされるものであり、他の2つの基本構成と異なり、一旦記憶させてしまうと、電子楽器としては新たな共鳴音を記憶させることがない限り必要がない。
上記各共鳴回路の設計については、上記1つ目及び2つ目の構成の場合と同じであるので、その説明は省略する(そこに設けられるフィルタや乗算器についても同じ)。
請求項22について、より具体的な構成を述べれば、
複数の操作子を備え、その操作情報を、少なくとも発音開始/発音停止、音高、操作強さ、操作量などを指定する楽音制御情報として発生する楽音制御手段と、
上記楽音制御情報に基づいて、複数の楽音を同時に発生可能な楽音発生手段と、
共鳴音波形を記憶した共鳴音波形記憶手段と、
上記楽音制御情報に基づいて、共鳴音波形記憶手段から共鳴音波形を読み出し、複数の共鳴音を同時に発生可能な共鳴音発生手段と、
上記楽音制御情報に基づいて、共鳴発生手段から発生した共鳴音を所定倍し、楽音発生手段からの入力楽音に加算して出力する共鳴音混合手段と
を少なくとも楽音出力用に備えたことを特徴としていると言うことになる。
上述のように、本願3つ目の基本構成にあっては、共鳴回路は、共鳴音波形記憶手段に該共鳴音波形を記憶させるために必要とされるものである。従って上記共鳴音波形記憶手段に記憶される共鳴音波形は、後述する実施例に示すように、発生可能な楽音の倍音に対応した複数の共鳴回路(フィルタを備え場合によりそれに乗算器を直接に接続している回路構成)を並列に接続した構成(本電子楽器に使用される共鳴音波形記憶手段に記憶される共鳴音波形を作成するために必要な構成)に対し、楽音を入力して得られた出力波形を予め記憶することになる(請求項23)。
上記共鳴回路は、入力された楽音に対応した共鳴音を出力し、上述のように、その出力は、最終的に共鳴音波形記憶手段に記憶される。
この共鳴回路がフィルタとその後に接続される乗算器とで構成されている場合、その出力レベル(該乗算器の乗算係数)を、共鳴音作成時に入力される楽音によって変更する。
この時、入力する楽音に含まれる倍音の周波数と等しい共振周波数の共鳴回路の出力波形の振幅を、それ以外の共鳴回路の出力波形の振幅より小さくすると良い。
すなわち、各フィルタは入力される楽音の倍音と略等しい共振周波数を持つ共鳴回路である。従って、その共振周波数と等しい周波数の倍音が入力されると、その共鳴回路の出力は、他の共鳴回路出力に比べ振幅が非常に大きくなる。
そのため、ある楽音を入力すると、その楽音に含まれる倍音の周波数と同じ共振周波数を持つ共振回路の振幅が、他の共振回路に比べて非常に大きくなる。この状態で全ての共鳴回路の出力を加算すると、入力した楽音の様な聞こえとなり、ピアノであれば、所望とするダンパーペダルを踏んで演奏した時の様な共鳴音は得られない。
従って、入力する楽音に含まれる倍音の周波数と等しい共振周波数の共鳴回路の乗算器の乗算係数は、他の共鳴回路の乗算器の乗算係数に比べ小さくすることが必要である。
例えば図16のaは、F_6の楽音を、C_6に含まれる倍音の共振周波数を持った複数の共鳴回路に入力した時の出力の合計である。同様にbは、F_6の楽音を、D#_6に含まれる倍音の共振周波数を持った複数の共鳴回路に入力した時の出力の合計である。同様にcは、F_6の楽音を、F_6に含まれる倍音の共振周波数を持った複数の共鳴回路(後述する図31のフィルタfilterF6-1〜filterF6-N69)に入力したときの出力の合計である。
この時の共鳴回路のレベル(共鳴回路の直後の乗算器の乗算係数)は、全て1である。この時、a、bに比べて、cの振幅が非常に大きい。よってこれらの共鳴音を加算しても、F_6の楽音の様な聞こえとなる。
図17は、C_6の共鳴回路とD#_6の共鳴回路の出力レベルは1で、F_6の共鳴回路の出力レベル(図31の乗算器M3-F6-1〜M3-F6-N69)を0.1とした場合である。
するとF_6の共鳴回路出力も、他の共鳴回路出力とほぼ同様の振幅となる。
これらの共鳴音を加算すれば、ピアノであれば、所望とするダンパーペダルを踏みながら演奏した時の響きが得られる(ここでは説明のため3音としたが、実際は全ての共鳴回路の出力を加算する)。
3つ目の基本構成では、上述のように、共鳴回路は、共鳴音波形記憶手段に記憶される共鳴音を作成するために使用されるものであり。上記2つの基本構成とはその点が異なるが、本基本構成で使用される共鳴回路自身の構成は、上記2つの基本構成で共鳴音発生手段中に使用されるものと同一であり、1つの共鳴回路は、その音程の1つの倍音の動きを模擬するように設計される。
すなわち、3つ目の基本構成においても、
上記共鳴回路はデジタルフィルタを有しており、それらのフィルタで使用されるフィルタ係数につき、
共鳴回路のインパルス応答は、倍音の振動波形を概略模擬するものとして、この振動波形は1自由度粘性減衰系モデルで再現できるものとし、
1自由度粘性減衰系モデルの振る舞いを決めるためのモデルパラメータは、質量、減衰固有振動数、減衰率とすると共に、これらを与えて、前記モデルの運動方程式の係数となる粘性係数と剛性係数を求め、
前記モデルの運動方程式をラプラス変換し、s表現の伝達関数式を得ると共に、これに求めた粘性係数、剛性係数及び質量を代入し、双一次変換を行って、z表現のフィルタ係数を求め、
前記質量は任意の値とし、前記減衰固有振動数は模擬しようとする倍音の振動数であり、前記減衰率は倍音の減衰を指数関数で近似したときの指数として、その値を求めている(請求項24)。
このような共鳴回路の詳細については、本願の1つの基本構成の説明の際に詳述したので、ここではその説明を省略する。
請求項25の構成は、上記共鳴回路のデジタルフィルタに乗算器が夫々連続して設けられる場合の構成につき規定しており、より具体的には、該乗算器への乗算係数については、その倍音を含む楽音の、各倍音の振幅比を所定倍したものに設定することを規定しているが、これについても、その説明は上記請求項4、16の項でしており、ここではその説明を省略する。
楽音発生手段が記憶された楽音波形の読み出しで楽音発生がなされる場合は、模擬しようとする上記倍音は、記憶された楽音波形より抽出した倍音とする請求項26の構成についても、その説明は上記請求項5、17の項でしており、ここではその説明を省略する。
楽音発生手段が所定の楽音制御情報で楽音合成され楽音発生が行われる場合は、模擬しようとする上記倍音は、所定の楽音制御情報で楽音合成され、出力された楽音波形より抽出された倍音とする請求項27の構成についても、その説明は上記請求項6、18の項でしており、ここではその説明を省略する。
上記共鳴音発生手段は、その出力を所定倍して、入力楽音と加算し、再度この共鳴音発生手段にフィードバックして入力する構造を持つ請求項28の構成についても、その説明は上記請求項9、20の項でしており、ここではその説明を省略する。
上記共鳴音発生手段は、その出力を所定倍して、入力楽音と加算し、再度この共鳴音発生手段にフィードバックして入力する構造を持つと共に、そのフィードバック経路には、共鳴発生手段の出力を所定時間遅らせる遅延回路及び/又は共鳴発生手段の出力の振幅−周波数特性を変更するフィルタを備えた請求項29の構成についても、その説明は上記請求項10、21の項でしており、ここではその説明を省略する。
本発明の請求項1〜請求項29記載の電子楽器によれば、単純な構成で、本物の共鳴に近く、倍音レベルの細かな調整が容易な共鳴音を発生することが可能となるいう優れた効果を奏し得る。
以下、本発明の実施の形態を、電子ピアノを例にとって、図示例と共に説明する。
図18は、本発明に係る電子ピアノのハードウェア構成を示す説明図、また図19は、本電子ピアノに適用される上記1つ目の基本構成の最良の実施形態構成を示す機能ブロック図である。
図18に示すように、本電子ピアノは、システムバス200を介して、CPU201、ROM202、RAM203、鍵盤204、ダンパーペダル205、音源206及びデジタルシグナルプロセッサ(DSP)207が相互に接続されて構成されている。システムバス200は、アドレス信号、データ信号又は制御信号等を送受するために使用される(アドレスバス、データバス、コントロール信号ラインよりなる信号バス)。
CPU201は、本電子ピアノの制御をつかさどる中央演算装置であって、後述するROM202に格納されているプログラムに従って、鍵盤204、ダンパーペダル205を制御して、鍵盤204のキー、ダンパーペダル205の操作状態などを走査し、鍵盤204の押鍵・離鍵に伴う押鍵データ[キーON・OFF、キー識別情報(キー番号など)、キータッチレスポンス:キーデータ]やダンパーペダル205の踏み込み量等の操作情報を楽音制御情報として、音源206やDSP207へ割り当て処理を行い、DSP207の出力側に接続された音響システム209より所望の楽音信号を発生させるように制御する。
上記ROM202は、上述したCPU201用のプログラムの他に、CPU201が楽音発生に参照する種々のパラメータデータを格納する読み出し専用メモリである。
上記RAM203は、CPU201におけるプログラム処理での処理段階のデータを一時記憶しておいたり、パラメータデータを記憶しておく、読み書き可能でメモリである。また、このRAM203には、必要に応じてレジスタ、カウンタ、フラグ機能等が定義されている。
上記鍵盤204は、A_0〜C_8までの88鍵を有する鍵盤回路であり、これは図示しない鍵盤スキャン回路により、該回路から発せられた押鍵データが検出されて、出力される。すなわち、88鍵の鍵盤204には、夫々2点スイッチが設けられており、任意の鍵盤204が所定以上の深さまで押し下げられたことを検出すると、その鍵盤の音高データ(キー番号)の押鍵信号を生成すると共に、2点スイッチ間を通過する速度からベロシティを生成し、それらを押鍵データとして、鍵盤スキャン回路に送られる。該鍵盤スキャン回路は、2点スイッチからの押鍵データを受け取ると、それをCPU201に送る。
鍵盤スキャン回路からの押鍵データは、CPU201により、夫々のチャンネルに対応する音源206に送られることになる。
上記ダンパーペダル205は、実際のピアノの下部に取り付けられたペダルと略同じ構成であるが、ここには可変抵抗器が組み込まれていて、この抵抗による電圧の変動などをペダルの踏み込み量として検出する構成が備えられている。該構成で検出されたペダルの踏み込み量データは、CPU201及びDSP207に送られる。そのデータを該CPU201が受けた場合、RAM203上に共鳴設定フラグを1に設定する。もちろんこの踏み込みが無くなれば、上記検出構成からその踏み込み量が0としてCPU201に送られ、RAM203上の共鳴設定フラグは、0に設定される。
上記音源206は、専用のLSIで設計されており、鍵盤204で演奏されたキーに応じた読み出しアドレスを発生して、本願の楽音発生手段の楽音波形記憶手段に相当する波形メモリ208から原データ(ピアノ音色)を読み出し、さらに、該原データの補間処理を行った後、同じく同回路で生成された音色毎のエンベロープを乗算し、夫々の音色の波形データを設定されたチャンネル分累算して、外部に楽音信号を発生する。尚、ここに記載されているPCM音源構成とは異なり、音源206は、他のFM音源方式、正弦波加算方式、減算方式により、楽音を発生させる構成であっても良い。
上記DSP207は、RAM203上の共鳴設定フラグの状態を関知したCPU201からの指令により、上記共鳴設定フラグが1にセットされている場合、上記音源206から出力された楽音から共鳴音を発生させ、該楽音に付加する音響効果付加構成である。その共鳴音の付加具合に関しては、上記ダンパーペダル205の踏み込み量が楽音制御情報として、直接ダンパーペダル205の上記検出構成(可変抵抗器)から割り当てられる。
さらに、上記音源206から出力され(ダンパーペダル205の操作がある場合、さらに共鳴音が付加され)た楽音信号は、音響システム209のD/A変換回路(図示無し)に入力され、デジタル−アナログ変換され、アナログ信号処理部(図示無し)でノイズが除去され、アンプ(図示無し)で増幅されて、スピーカ(図示無し)から外部に楽音として出力される。
図19は、上記構成の本電子ピアノの楽音出力側の機能ブロックを示している。同図に示されるように、楽音制御手段1と、楽音発生手段2と、共鳴音発生手段3と、共鳴音混合手段4とを、その構成として備えている。
そのうち上記楽音制御手段1は、鍵盤204、ダンパーペダル205、CPU201、ROM202、RAM203で構成される。上述のように、CPU201は、鍵盤204、ダンパーペダル205の操作を検知し、その操作情報を楽音制御情報として記憶する。楽音制御情報は、操作された鍵盤(の番号など=音高)、鍵盤の状態(ON/OFF)、鍵盤の操作強さ(ベロシティデータ)、ダンパーペダル205の踏み込み量などである。CPU201は、これら楽音制御情報を音源206に送ることで、楽音発生/停止の指示を行なう。またDSP207へも送出し、後述する共鳴音発生手段3及び共鳴音混合手段4の動作に関わる係数の書き込み(書き換え)を行なう。ROM202には、CPU201がこのような動作を行なうための手続きを記述したプログラムが記憶される。また前記係数を、楽音制御情報と対応して記憶している。(対応しないで記憶する場合もある。)
上記楽音発生手段2は、上記音源206及び波形メモリ208で構成されており、上記楽音制御情報に基づいて、複数の楽音を同時に発生できる構成である。
上記共鳴音発生手段3は、上記DSP207で構成されており、後述するように、発生可能な楽音信号の倍音信号分だけ共鳴回路を備え、楽音発生手段2から発生した楽音を各共鳴回路への入力信号として、該共鳴回路により共鳴音を発生させる構成である。その詳細については、図20を使用して後述する。
上記共鳴音混合手段4は、同じく上記DSP207で構成されており、楽音制御情報に基づいて、共鳴音発生手段3から発生した共鳴音を所定倍し、楽音発生手段2からの入力楽音に加算して出力する構成である。本実施例構成では、図19に示すように、DSP207で構成された、共鳴音発生手段3の出力側に接続された乗算器M1-1と、楽音発生手段2の出力側に接続された乗算器M1-2と、両乗算器M1-1及びM1-2の出力を加算する加算器A1とを備えることになる。
上記乗算器M1-1は、共鳴音発生手段3からの共鳴音の振幅を所定倍する構成である。この乗算係数は、楽音制御手段1が発する楽音制御情報のダンパーペダル205の踏み込み量に応じて決定される。
上記乗算器M1-2は、楽音発生手段2からの楽音の振幅を所定倍する構成である。
次に上記DSP207によって構成される共鳴音発生手段3を、図20を使用して説明する。
同図に示すように、該共鳴音発生手段3は、フィルタと乗算器とを直列に接続して1つのユニットとして構成した共鳴回路を、1つの音程(鍵盤)に対し、1〜69音分備えることで、1ユニットの共鳴回路が、1つの音程に1つの倍音の周波数に相当する共振周波数を持つ構成となっている。従って1つの楽音の入力に対し、69音の共鳴音が、これらの共鳴回路で作られ、それらが、加算器AD3-1で加算されて、1つの楽音の共鳴音として出力される。
さらに詳細に説明すると、図中の1つのフィルタとそれに接続される乗算器は、1組で1つの音程(鍵盤)の1つの倍音の周波数に相当する共振周波数を持つ共鳴回路となっている。この実施例ではフィルタfilterA0-1と乗算器M3-A0-1は音程A_0の1倍音の周波数に相当する共振周波数を持つ共鳴回路であり、同様にフィルタfilterA0-2と乗算器M3-A0-2は音程A_0の2倍音に相当し、フィルタfilterA0-Nと乗算器M3-A0-NはA_0の最高次倍音に相当する共振周波数を持つ共鳴回路である。同様に、フィルタfilterA#0-1と乗算器M3-A#0-1、フィルタfilterA#0-2と乗算器M3-A#0-2、フィルタfilterA#0-N2と乗算器M3-A#0-N2は、夫々音程A#_0の1倍音、2倍音、最高次倍音に相当する共振周波数を持つ共鳴回路である。またAD3-1は、全ての共鳴回路の出力を加算する加算器である。
フィルタfilterF6、……についても同様である。本実施例ではA_0〜F_6の全音程における全倍音に相当する共鳴回路を並列に結合している例である。本実施例でフィルタfilterがA0〜F6で終わっているのは、ピアノにおいてはダンパーペダル205によって制動を受ける音程が、A_0〜F_6までの69鍵であるからである。必要であれば、F#_6〜C_8までの各倍音に対応するフィルタを持っても良い。ピアノ以外の他の楽器に応用する場合はA_0〜F_6の範囲にこだわる必要は無い。
またM3-A0-1〜M3-F6-N69は各共鳴回路の乗算器であり、この乗算係数を任意に設定することにより、共鳴音の音色を自由に設定することが可能である。
尚、共鳴回路の設計については、上述したので、ここではその説明は省略する。
以上までが、本発明に係る実施例1の構成についての説明である。以下、これらの構成の動作について、その流れを追って順に説明する。
まず鍵盤204を押鍵すると、その鍵盤に対応した音高、押鍵速度に対応した強さ(ベロシティデータ)などの楽音制御情報が、楽音制御手段1により発生され、楽音発生手段2に送られる。
また複数の鍵盤204を押鍵すると、それらに対応した複数の音高、強さなどの楽音制御情報が、楽音制御手段1より楽音発生手段2へ送られる。
楽音発生手段2は、その楽音情報に応じた楽音を読み出し(波形メモリ208から読み出し)、共鳴音発生手段3と共鳴音混合手段4へ送る。
複数の楽音が発生した場合は、それらの楽音を加算し、共鳴音発生手段3と共鳴音混合手段4へ送る。例えばC_3とG_3の鍵盤204が強く操作された場合、C_3の強打に応じた楽音波形と、G_3の強打に応じた楽音波形を読み出し、それらを加算した波形を楽音として、共鳴音発生手段3と共鳴音混合手段4に送出する。
共鳴音発生手段3は、入力された信号の倍音の周波数に対応した共振周波数を持つ共鳴回路からは、振幅が大きい共鳴音が発生し、信号の倍音の周波数とは異なる共振周波数を持つ共鳴回路からは、振幅が小さい共鳴音が発生される。即ち倍音の周波数と共振周波数が近ければ近いほど、その共鳴回路の出力の振幅は大きくなり、離れていれば離れているほど、その共鳴回路の出力の振幅は小さくなる。例えばC_3とG_3の強打に応じた波形を加算したものが入力されると、C_3とG_3の強打波形の倍音周波数に近い共振周波数の共鳴回路からは、振幅が大きい共鳴音が発生し、C_3とG_3の強打波形の倍音周波数から離れた共振周波数の共鳴回路からは、小さな振幅の共鳴音が発生する。そして加算器AD3-1により、各共鳴回路で発生した共鳴音を全てを加算して、共鳴音混合手段4に出力する。
共鳴音混合手段4は、乗算器M1-1で所定倍した共鳴音と、乗算器M1-2で所定倍した楽音を加算器A1で加算し、音響システム209へ出力する。このとき乗算器M1-1の乗算係数は、楽音制御情報に応じた値となっている。楽音制御手段1は、ダンパーペダル205の踏み込み量を検知して、その操作がなされるたびに、乗算器M1-1の乗算係数の値を変更する。踏み込み量が大きいほど、乗算係数は大きく、踏み込み量が小さいほど、乗算係数は小さくなる。また踏み込み量が無い状態から、所定の踏み込み量までは、乗算係数は0で、所定の踏み込み量を超えると、ある一定の値をとるようにしても良い。
音響システム209は、上述のような構成を備えており、共鳴音混合手段4からの出力を、音響放射する。
図21〜図23は、以上の実施例構成を有する電子ピアノの動作処理フローを示している。
図21は、本電子ピアノのメイン処理フローを示している。同図に示すように、電子ピアノの電源がONにされると、電子ピアノの各部分の初期設定がなされる(ステップS100)。そして鍵盤204の操作状況がスキャンされ、その押鍵・離鍵の状況によって各種処理を行う鍵盤処理がなされる(ステップS102)。次にダンパーペダル205の操作状況がスキャンされ、その踏み込み量の状況によって各種処理を行うペダル処理がなされる(ステップS104)。さらにその他の処理(例えばパネル操作処理など)がなされる(ステップS106)。
図22は、上記ステップS102の鍵盤処理の流れを示す処理フロー図である。同図に示すように、鍵盤204の操作状況がスキャンされる(ステップS200)。それから鍵盤204の操作状況に変化があるか否かがチェックされる(ステップS202)。
鍵盤204の操作状況に変化がなければ(ステップS202;N)、鍵盤処理を終了し、メインフローのペダル処理へ移行する。他方鍵盤204の操作状況に変化があれば(ステップS202;Y)、その変化のあった操作が押鍵か否かがチェックされる(ステップS204)。
押鍵であれば(ステップS204;Y)、楽音発生手段2へ楽音制御情報が書き込まれると共に、発音開始の指示が出力される(ステップS206)。
他方離鍵であれば(ステップS204;N)、楽音発生手段2へ楽音制御情報が書き込まれると共に、発音停止の指示が出力される(ステップS208)。
そして操作状況が変化した全ての鍵盤の処理が終了したか否かがチェックされる(ステップS210)。
操作状況が変化した全ての鍵盤の処理が終了していなければ(ステップS210;N)、上記ステップS204に復帰する。他方操作状況が変化した全ての鍵盤の処理が終了していれば(ステップS210;Y)、鍵盤処理が終了し、メインフローのペダル処理へ移行する。
図23は、上記ステップS104のペダル処理の流れを示す処理フロー図である。同図に示すように、ダンパーペダル205の操作状況がスキャンされる(ステップS300)。それからダンパーペダル205の操作状況に変化があるか否かがチェックされる(ステップS302)。
ダンパーペダル205の操作状況に変化がなければ(ステップS302;N)、ペダル処理が終了し、メインフローのその他の処理へ移行する。他方ダンパーペダル205の操作状況に変化があれば(ステップS302;Y)、共鳴音混合手段の乗算器M1-1に、ペダル操作量に応じた乗算係数が書き込まれる(ステップS304)。以上のようにしてペダル処理が終了し、メインフローのその他の処理へ移行する。
尚、図6及び図7で説明したように、ある音程の楽音の基音(1倍音)周波数がf1であるとすると、2倍音は約(f1×2)Hz、3倍音は約(f1×3)Hz、4倍音では(f1×4)Hzとなる。この時、この1オクターブ上の楽音の基音周波数は、約(f1×2)Hz、2倍音は(f1×4)Hzとなる。また2オクターブ上の楽音の基音周波数は、(f1×4)Hzとなる。従って、ある音程の2倍音と1オクターブ上の基音周波数は、ほぼ重なることとなる。また同様にある音程の4倍音と1オクターブ上の2倍音と2オクターブ上の基音周波数が重なることとなる。
またオクターブの関係に無い場合でも、異なる音程の異なる次数の倍音の周波数が非常に近い場合がある。
このように周波数が略等しい倍音については、個別に共鳴回路を持たずに、1つの倍音の周波数、またはそれらの平均の周波数を共振周波数とする共鳴回路を1つ持てば良い。これにより上述した共鳴音発生手段3の回路規模を縮小できる(共鳴回路の数を減らせる)ようになる。
図6は、上から順に、C_2、C_3、C_4の倍音を、FFT分析で表したものである。図中四角形で囲んだ倍音の部分は、1つの共鳴回路で作ることができる。その分だけ回路構成を省略することが可能である。
また図7は、上から順に、C_4、E_4、A_4の倍音を、FFT分析で表したものである。図中四角形で囲んだ倍音の部分は、1つの共鳴回路で作ることができる。その分だけ回路構成を省略することが可能である。
他方、図8〜図11で説明したように、共鳴回路に入力する楽音に含まれる倍音の周波数と入力される共鳴回路の共振周波数が極めて近い場合、共鳴回路に入力する楽音に含まれる倍音の周波数と入力される共鳴回路の共振周波数と異なる場合に比べて、共鳴回路から出力される共鳴音は極めて大きくなる(楽音の倍音周波数と共鳴回路の共振周波数が近いと共鳴回路出力の振幅が大きくなりすぎる)。その場合、本来得たい共鳴音らしい響きではなく、その共振周波数を持った安定した楽音のような聞こえとなってしまう。
図8は、C_2の楽音を、C_2の1倍音共鳴回路、C_3の1倍音共鳴回路、G#_2の1倍音の共鳴回路へ、夫々入力した時の共鳴音を上から順に示している。図9は、同様に、G#_2の楽音を、C_2の1倍音共鳴回路、C_3の1倍音共鳴回路、G#_2の1倍音の共鳴回路へ、夫々入力した時の共鳴音を上から順に示している。
図8では、C_2の1倍音共鳴回路とC_3の1倍音共鳴回路の共鳴音が大きい。これは、C_2の楽音が、C_2の1倍音とC_3の1倍音の周波数に極めて近い周波数の倍音を持つためである。同様に、図9では、G#_2の1倍音の共鳴回路の共鳴音の振幅が大きい。このため図8のような場合は、共鳴音はC_2の楽音が鳴っているような聞こえとなってしまう。同様に図9のような場合は、G#_2の楽音が鳴っているような聞こえとなってしまう。これでは、ピアノであれば、ダンパーペダル操作時のような聞こえにはならないことになる。
そこで本構成では、1つの共鳴回路の共振周波数は、1つの倍音周波数に相当するが、共鳴音発生手段3として、特定の倍音周波数に対応する共鳴回路の共振周波数を所定量だけずらした共鳴回路を含む構成とする。
すなわち、図8や図9に示すような共鳴音の振幅を略同じ大きさに揃えるには、共鳴回路の共振周波数を少しずらせば良い。
上記構成によって得られた結果を、図10及び図11に示す。
図10は、C_2の楽音を、C_2の1倍音から数Hzずらした共振周波数の共鳴回路へ、C_3の1倍音から数Hzずらした共振周波数の共鳴回路へ、またG#_2の1倍音から数Hzずらした共振周波数の共鳴回路へ、夫々入力した時の共鳴音を上から順に示している。
図11は、G#_2の楽音を、C_2の1倍音から数Hzずらした共振周波数の共回路へ、C_3の1倍音から数Hzずらした共振周波数の共鳴回路へ、またG#_2の1倍音から数Hzずらした共振周波数の共鳴回路へ、夫々入力した時の共鳴音を上から順に示している。
これらの図から明らかなように、共鳴回路の共振周波数を少しずらすことで、共鳴音の振幅を略同じ大きさに揃えることができるようになる。
他方、ピアノは、弦振動が響板などへ伝わり、それが放音される。同時にその振動は、駒を通して他の弦にも伝わる。また他の弦に伝わった振動は、再び駒を通って元の弦に伝わる。よってピアノは、このようなフィードバック回路を持つ。これを簡単な回路構成で達成するために、図24に示すように、共鳴音発生手段3に、フィードバック経路を設ける。すなわち、上記共鳴音発生手段3は、その出力を乗算器M11-A1により所定倍して、さらに加算器AD11-2により、元の入力楽音と加算し、再度この共鳴音発生手段3にフィードバックして入力する構造を持つようにすると良い。
また図24に示すと同様に共鳴音発生手段3の出力を所定倍して、入力楽音と加算し、再度この共鳴音発生手段にフィードバックして入力する構造を共鳴音発生手段3に持つと共に、図25に示すように、そのフィードバック経路に、共鳴発生手段3の出力を所定時間遅らせる遅延器D11-1及び共鳴音発生手段3の出力の振幅−周波数特性を変更するフィルタFlt11-1を備えるようにしても良い。この場合、上記遅延器D11-1は振動の伝播遅延を模擬し、上記フィルタFlt11-1は駒の伝達特性を模擬することになる。
実施例2の構成も、電子ピアノに関する構成であるが、そのハードウェア構成及び機能ブロック構成は、実施例1の図18及び図19と略同じであるので、ここではその図面及び構成の説明は省略する。
但し、本実施例構成では、楽音発生手段2と共鳴音発生手段3の構成が、実施例1とは異なるので、図26に基づき、これらの機能ブロック構成を説明する。尚、同図に示されるように、上記楽音発生手段2は、音源206とDSP207の両方によって構成されることは言うまでもない。
上記図26に示すように、本実施例構成における楽音発生手段2は、通常の音源に相当する楽音生成手段20を有しており、その出力側は、CH1〜CHNまでの発音する発音数分の楽音生成チャンネルを備えている。
ここから出力された楽音は、各楽音生成チャンネルが2つに分岐されており、その一方は、図19に示されるように、共鳴音混合手段4に入力される。
他方は、図26に示されるように、各楽音生成チャンネルCH1〜CHNの1つ1つには、夫々音名に対応した数の乗算器[本実施例では電子ピアノであるからC(ド)、C#(ド#)、D(レ)、D#(レ#)、E(ミ)、F(ファ)、F#(ファ#)、G(ソ)、G#(ソ#)、A(ラ)、A#(ラ#)、B(シ)の12個分]が接続され、更に各チャンネルで同じ音名のものを集めて(同様に夫々の音名に対応する)加算する加算器(本実施例では_C〜_Bの12個)へと接続されている。この各加算器の出力が、各音名に対応して設けられた共鳴音発生手段3の各共鳴回路群(本実施例では_C〜_Bの12個)に送られる。
このような構成を採用したのは以下のような理由による。
共鳴回路の共振周波数とそれに入力される楽音の周波数が近ければ、近いほどその出力波形(共鳴音)の振幅が大きくなる。このため、入力楽音の周波数と共振周波数が離れた共鳴回路の出力波形と、入力楽音の周波数と共振周波数が極めて近い共鳴回路の出力波形の音量バランスがとれなくなる。そこで、楽音を、その周波数と共振周波数が極めて近い周波数の共鳴回路へ入力する時は、楽音の振幅を他の共鳴回路へ入力するときと比べて、小さくする必要がある。すなわち、上記楽音発生手段2の各チャンネルの乗算器以下の構成は、元々後方の共鳴音発生手段3側のために引き出されたものであり、共鳴回路群で共鳴音を作り出す際に、入力楽音の周波数と共振周波数が極めて近い共鳴回路の出力波形の音量バランスがとれなくなるような元となる楽音の振幅を、各楽音生成チャンネルCH1〜CHNの夫々音名に対応した_C〜_Bの12個の乗算器のうち、入力楽音の周波数と共振周波数が極めて近い楽音が入力される乗算器を使用して、他の共鳴回路へ入力する時と比べて小さくするものである。
ここでは図26に則して、楽音発生手段2の楽音生成手段20、乗算器及び加算器と、共鳴音発生手段3の共鳴回路群を、夫々説明する。
上述のように、楽音発生手段2は、楽音生成チャネルをCH1〜CHNのN個有している。これらの楽音生成チャネルは、発音する楽音数分使用される。例えば、楽音C_1だけ発音する場合は、CH1からのみ楽音C_1が出力される。楽音C_1とE_1とG_1を発生する場合は、C_1をCH1から、E_1をCH2から、G_1をCH3から出力される。
次に上記乗算器について説明する。乗算器は、本実施例構成では、音名に対応した12個が一組となり、楽音生成チャネル毎に1組ずつ装備されている。従って乗算器の総数は、N(楽音生成チャネル数)×12(全音名数)となる。
1つの楽音生成チャネル出力は、音名に対応したM3_x_C、M3_x_C#、……、M3_x_B(xは楽音生成チャネルの番号、末尾のアルファベットは共鳴回路群に対応する音名を示す)の12の乗算器に入力される。各乗算器は、共鳴回路群_C〜_Bへの楽音の振幅を制御するものである。この乗算器による振幅制御の仕方については後述する。
例えば楽音生成チャネル1から発音があった場合、M3_1_C〜M3_1_Bの12の乗算器全てに楽音生成チャネル1からの楽音が入力される。
また加算器AD_3_C、AD_3_C#、AD_3_D、……、AD_3_Bは、音名に対応して、本実施例構成は、12個備えられている。音名に対応した上記乗算器は、同様に音名に対応した加算器に夫々接続される。これは同様に音名に対応して設けられた共鳴回路群に、同じ音名に対応した複数の乗算器の出力を加算し、対応する共鳴回路群へ出力するからである。すなわち振幅制御された(乗算器を通った)各楽音生成チャネルの出力を、共鳴回路群毎に加算するものである。例えば乗算器M3_1_C、M3_2_C、……M3_N_Cは、同じ音名(C)の加算器AD_3_Cへ接続され、乗算器M3_1_C#、M3_2_C#、……、M3_N_C#は、同じ音名(C#)の加算器AD_3_C#へ接続される。
さらに共鳴回路群は、夫々音名[本実施例ではC(ド)、C#(ド#)、D(レ)、D#(レ#)、E(ミ)、F(ファ)、F#(ファ#)、G(ソ)、G#(ソ#)、A(ラ)、A#(ラ#)、B(シ)の12個分]に対応して設けられている(_C、_C#、……、_B)。
そして1つの共鳴回路群は、その音名の全倍音に対応した共鳴回路で構成される。例えば、共鳴回路群_Cは、楽音C_1の全倍音、C_2の全倍音、C_3の全倍音、……及びC_8の全倍音に対応した共鳴回路で構成される。あるいは、ダンパーが装備された音域である楽音C_1の全倍音、C_2の全倍音、C_3の全倍音、……及びC_6の全倍音に対応した共鳴回路で構成しても良い。
すなわち、図27に示されるように、1つのfilterとそれに接続される乗算器は1組で、1つの音程(鍵盤)の1つの倍音の周波数に相当する共振周波数を持つ共鳴回路となっている。この実施例ではフィルタfilterA0-1と乗算器M4-A0-1は、音程A_0の1倍音の周波数に相当する共振周波数を持つ共鳴回路であり、同様にフィルタfilterA0-2と乗算器M4-A0-2は、音程A_0の2倍音に相当し、フィルタfilterA0-N1と乗算器M4-A0-N1は、A_0の最高次倍音に相当する共振周波数を持つ共鳴回路である。同様に、フィルタfilterA1-1と乗算器M4-A1-1、フィルタfilterA1-2と乗算器M4-A1-2、フィルタfilterA1-N2と乗算器M4-A1-N2は、夫々音程A_1の1倍音、2倍音、最高次倍音に相当する共振周波数を持つ共鳴回路である。
またフィルタfilterA7、……についても同様である。本実施例ではA_0、A_1、A_2、……、A_7の8音程における全倍音に相当する共鳴回路を並列に結合している例である。そしてM4-A0-1〜M4-A7-N7は各共鳴回路の乗算器であり、この乗算係数を任意に設定することにより共鳴音の音色を自由に設定することが可能である。あるいはダンパーが装備された音域であるA_0、A_1、A_2、……、A_5の6音程における全倍音に相当する共鳴回路を並列に結合してもよい。
さらにAD4-1は全ての共鳴回路の出力を加算する加算器である。これにより、1つの楽音に対する共鳴音の出力が1つになる。
各共鳴回路については上述の通りであり上記DSP207で構成される。1つの共鳴回路は、図28に示すように、2次のIIRフィルタで実現されている(これは伝達関数より明らかである)。尚、図中Z(-1)は、単位遅延を示している。
次に以上の構成における、楽音生成チャンネルから単音だけが生成される場合と複数音生成される場合とに分けて、信号の流れを説明する。
最初に、楽音生成チャンネルから単音だけが生成される場合について説明する。ここで、鍵盤C_1だけを押したとする。楽音生成手段20の楽音生成チャンネルCH1から楽音C_1が出力される。楽音C_1は、音名Cに対応する乗算器M3_1_Cを通って、音名Cに対応する加算器AD_3_Cへ出力される。
また楽音C_1は、音名C#に対応する乗算器M3_1_C#を通って、音名C#に対応する加算器AD_3_C#へも出力される。
同様に楽音C_1は、他のD〜Bの10音名に対応する乗算器M3_1_D〜M3_1_Bを通って、D〜Bの10音名に対応する加算器AD_3_D〜AD_3_Bへも入力される。
この時入力楽音がC_1なので、乗算器M3_1_Cの乗算係数のみ他の乗算器M3_1_D〜M3_1_Bより小さい係数がセットされる。他の乗算器M3_1_D〜M3_1_Bは同じ係数がセットされる(例えば他の乗算器が1で、乗算器M3_1_Cの乗算係数のみ0.1とするなど)。従って乗算器M3_1_Cを通った楽音の振幅のみが小さくなる。
各加算器は、入力された、振幅制御後の楽音C_1を、加算器と同じ音名に対応した共鳴回路群に出力する。即ち加算器AD_3_C〜AD_3_Bは、夫々共鳴回路群_C〜共鳴回路群_Dへ楽音C_1を出力する。
次に、楽音生成チャンネルから複数音が生成される場合について説明する。ここで、まず鍵盤C_1と鍵盤E_1が押されたとする。楽音生成手段CH1から楽音C_1が、CH2から楽音E_1が出力される。
楽音C_1は音名Cに対応する乗算器M3_1_Cを通って、音名Cに対応する加算器AD_3_Cへ出力される。また楽音C_1は音名C#に対応する乗算器M3_1_C#を通って、音名C#に対応する加算器AD_3_C#へ出力される。同様に、楽音C_1は他のD〜Bの10音名に対応する乗算器M3_1_D〜M3_1_Bを通って、D〜Bの10音名に対応する加算器AD_3_D〜AD_3_Bへ入力される。
この時入力楽音がC_1なので、乗算器M3_1_Cの乗算係数のみ、他の乗算器M3_1_D〜M3_1_Bより小さい係数がセットされる。他の乗算器M3_1_D〜M3_1_Bは同じ係数がセットされる。従って乗算器M3_1_Cを通った楽音の振幅のみが小さくなる。
同様に楽音E_1は、音名Cに対応する乗算器M3_2_Cを通って、音名Cに対応する加算器AD_3_Cへ出力される。また楽音E_1は、音名C#に対応する乗算器M3_2_C#を通って、音名C#に対応する加算器AD_3_C#へ出力される。同様に楽音E_1は、他のD〜Bの10音名に対応する乗算器M3_1_D〜M3_1_Bを通って、D〜Bの10音名に対応する加算器AD_3_D〜AD_3_Bへ入力される。
この時入力楽音がE_1なので、乗算器M3_2_Eの乗算係数のみ他の乗算器M3_2_C〜M3_2_D#、M3_2_F〜M3_2_Bより小さい係数がセットされる。他の乗算器M3_2_C〜M3_2_D#、M3_2_F〜M3_2_Bは同じ係数がセットされる。従って乗算器M3_2_Eを通った楽音の振幅のみが小さくなる。
各加算器AD_3_C〜AD_3_Bは、振幅制御された(乗算器を通った)楽音C_1と振幅制御された楽音E_1を加算し、夫々対応する共鳴回路群_C〜_Bへ出力する。
共鳴回路に入力する楽音に含まれる倍音の周波数と入力される共鳴回路の共振周波数が極めて近い場合、それら周波数が異なる場合に比べて、共鳴回路から出力される共鳴音は極めて大きくなる場合があり、入力楽音の周波数と共振周波数が離れた共鳴回路の出力波形と、入力楽音の周波数と共振周波数が極めて近い共鳴回路の出力波形との音量バランスがとれなくなり、本来得たい共鳴音らしい響きではなくなってしまう。しかし、本実施例構成のように、楽音を、その周波数と共振周波数が極めて近い周波数の共鳴回路へ入力する時は、楽音の振幅を他の共鳴回路へ入力するときと比べて、小さくしている。そのため、上述の例によれば、共鳴回路群_Cへ入力する時は、C_3の波形のみ振幅が小さくされるため、その共鳴音は、上記図14のように、どの音程の共鳴音もほぼ同じような振幅になる。同様に共鳴回路群_Gへ入力する時には、G_3の波形のみ振幅が小さくされるため、上記図15のように、どの音程の共鳴音もほぼ同じような振幅になる。これによって、本実施例構成が電子ピアノであるので、本来のダンパーペダルの操作時の響きを得ることができる。
ここで、本実施例における電子ピアノの動作処理フローを説明する。ただし、メイン処理フローは図21と、さらにペダル処理フローは図23と基本的に同じであり、これらの説明は省略する。他方図29に、本実施例2の電子ピアノにおける鍵盤処理フローを示す。
図29に示すように、鍵盤204の操作状況がスキャンされる(ステップS400)。それから鍵盤204の操作状況に変化があるか否かがチェックされる(ステップS402)。
鍵盤204の操作状況に変化がなければ(ステップS402;N)、鍵盤処理を終了し、メインフローのペダル処理へ移行する。他方鍵盤204の操作状況に変化があれば(ステップS402;Y)、その変化のあった操作が押鍵か否かがチェックされる(ステップS404)。
押鍵でなければ(ステップS404;N)、楽音発生手段2へ楽音制御情報が書き込まれると共に、発音停止の指示が出力され(ステップS408)、次のステップS416へ移行する。他方押鍵であれば(ステップS404;Y)、楽音生成チャンネルが指定される(ステップS406)。そして楽音発生手段2へ楽音制御情報が書き込まれる(ステップS410)。
次に楽音発生手段2の、指定された楽音生成チャンネルに接続された乗算器に、発音する音名に応じた乗算係数が書き込まれる(ステップS412)。その後、発音開始の指示が出力される(ステップS414)。
最後に操作状況が変化した全ての鍵盤の処理が終了したか否かがチェックされる(ステップS416)。
操作状況が変化した全ての鍵盤の処理が終了していなければ(ステップS416;N)、上記ステップS404に復帰する。他方操作状況が変化した全ての鍵盤の処理が終了していれば(ステップS416;Y)、鍵盤処理が終了し、メインフローのペダル処理へ移行する。
本実施例構成でも、楽音発生手段1により楽音を発生させると共に、その楽音の(ピアノなどの一般的な楽器ではC、C#、D、……Bの)各音名に対応した複数系列(上記ピアノなどの一般的な楽器では12系列)の共鳴回路群_C〜_Bで構成された共鳴音発生手段3に、楽音信号を入力することで共鳴音を得ている。
この時本実施例構成では、上記構成により、発生した楽音信号は同じ音名の共鳴回路群へは(その周波数と共振周波数が極めて近い周波数の共鳴回路へ入力する時)小さな振幅で(上述の例によれば、共鳴回路群_Cへ入力する時は、C_3の波形のみ振幅を小さくすると、その共鳴音は図14のように、どの音程の共鳴音もほぼ同じような振幅になる。同様に共鳴回路群_Gへ入力するときにはG_3の波形のみ振幅を小さくすると、図15のように、どの音程の共鳴音もほぼ同じような振幅になる。)、異なる音名の共鳴回路へは大きな振幅で入力するようにしているため、同音名の共鳴回路群の出力が、他の共鳴回路群の出力と比べて著しく大きくなることを防いでおり、バランスの良い共鳴音を得るようにしている。これによって、ピアノであれば、本来のダンパーペダルの操作時の響きを得ることができる。
尚、本実施例構成においても、図6及び図7で説明したように、周波数が略等しい倍音については、個別に共鳴回路を持たずに、1つの倍音の周波数、またはそれらの平均の周波数を共振周波数とする共鳴回路を1つ持てば良い。これにより上述した共鳴音発生手段3の回路規模を縮小できる(共鳴回路の数を減らせる)ようになる。
また本実施例構成においても、図24で説明したように、鳴音発生手段3の出力を所定倍して、入力楽音と加算し、再度この共鳴音発生手段にフィードバックして入力する構造を共鳴音発生手段3に持つ構成としたり、図25で説明したように、上記図24のような構成を有すると共に、そのフィードバック経路に、共鳴発生手段3の出力を所定時間遅らせる遅延器D11-1及び共鳴音発生手段3の出力の振幅−周波数特性を変更するフィルタFlt11-1を備えるようにしても良い。
実施例3の構成も、電子ピアノに関する構成であるが、そのハードウェア構成は、実施例1の図18と略同じであるので、ここではその図面及び構成の説明は省略する。
但し、本実施例構成では、楽音制御手段1から出力された楽音制御情報が、図30に示すように、楽音発生手段2と共鳴音発生手段3の両方に入力され、夫々から、楽音の発生、及び共鳴音の発生が別々になされ、夫々乗算器M1-1、M1-2を介して、加算器A1で加算され、音響システム209へ出力されるという構成になっており、前2つの実施例構成と異なっている。従って、図30に示す機能ブロック構成図に基づき説明する。尚、同図に示される共鳴音混合手段4は、DSP207によって構成されており、図30において、点線で囲まれた部分に1つの構成例が示されている。また共鳴音発生手段3の構成は、本電子ピアノとは別構成の共鳴音演算手段5により作成された共鳴音波形を記憶した波形メモリからの波形読み出しによって行われることについては、後述する。
上記図30に示されるうち、楽音制御手段1及び楽音発生手段2の構成は、上記実施例1及び2の構成と同じであるので、ここではその説明を省略する。
本実施例における共鳴音発生手段3は、図示されてはいないが上記楽音発生手段2と同様に、読み出し方式の音源と共鳴音波形を記憶した波形メモリによって構成される。本実施例構成では、楽音発生手段2と共鳴音発生手段3が同一の音源と波形メモリで構成されているが、別の音源と波形メモリを用いても良い。
同図のM1-1は、共鳴音発生手段3からの共鳴音の振幅を所定倍する乗算器である。この乗算係数は楽音制御手段1が発する楽音制御情報のダンパーペダル205の踏み込み量に応じて決定される。またM1-2は、楽音発生手段2からの楽音の振幅を所定倍する乗算器である。さらにA1は、それぞれ所定倍された共鳴音と楽音を加算する加算器である。
上述のように、共鳴音発生手段3は、読み出し方式の音源と共鳴音波形を記憶した波形メモリによって構成されているため、電子ピアノ本体としては、共鳴音を作り出すわけではない。共鳴音波形は、この電子ピアノとは別構成の共鳴音演算手段5により予め作成され、上記共鳴音波形記憶手段としての波形メモリに記憶される。
図31に、本実施例では、電子ピアノとは別体構成として使用される共鳴音演算手段5の一例を示す。該共鳴音演算手段5は、信号処理装置と、該信号処理装置の信号処理手続を記述したプログラムとによって実現される。
同図に示されるように、1つのフィルタfilterとそれに接続される乗算器が1組で、1つの音程(鍵盤)の1つの倍音の周波数に相当する共振周波数を持つ共鳴回路を構成している。この実施例ではフィルタfilterA0-1と乗算器M3-A0-1は、音程A_0の1倍音の周波数に相当する共振周波数を持つ共鳴回路であり、同様にフィルタfilterA0-2と乗算器M3-A0-2は、音程A_0の2倍音に相当し、フィルタfilterA0-Nと乗算器M3-A0-Nは、A_0の最高次倍音に相当する共振周波数を持つ共鳴回路である。同様に、フィルタfilterA#0-1と乗算器M3-A#0-1、フィルタfilterA#0-2と乗算器M3-A#0-2、フィルタfilterA#0-N2と乗算器M3-A#0-N2は、夫々音程A#_0の1倍音、2倍音、最高次倍音に相当する共振周波数を持つ共鳴回路である。またAD3-1は、全ての共鳴回路の出力を加算する加算器である。
フィルタfilterF6、……についても同様である。本実施例では、A_0〜F_6の全音程における全倍音に相当する共鳴回路を並列に結合している例である。本実施例でフィルタfilterが、A0〜F6で終わっているのは、ピアノにおいては、ダンパーペダル205によって制動を受ける音程が、A_0〜F_6までの69鍵であるからである。必要であれば、F#_6〜C_8までの各倍音に対応するフィルタfilterを持っても良い。他の楽器に応用する場合はA_0〜F_6の範囲にこだわる必要は無い。
さらにM3-A0-1〜M3-F6-N69は、各共鳴回路の乗算器であり、この乗算係数を任意に設定することにより共鳴音の音色を自由に設定することが可能である。
このような構成からなる共鳴音演算手段5で算出された共鳴音波形は、共鳴音用波形メモリに記憶させるために、該共鳴音演算手段5は本電子ピアノの製造段階で使用され、電子ピアノには通常含まれないが、電子ピアノに備えて新たな共鳴音を作り、上記共鳴音用波形メモリに記憶させるような構成としても良い。
以上の共鳴音演算手段5について説明したが、これによって作成された共鳴音を波形メモリに記憶した本実施例に係る電子ピアノを使用して演奏する場合の流れを、順を追って説明する。
まず鍵盤204を押鍵すると、その鍵盤に対応した音高、押鍵速度に対応した強さ(ベロシティ)などの楽音制御情報が楽音制御手段1により作成され、楽音発生手段2に送られる。また複数の鍵盤を押鍵すると、それらに対応した複数の音高、強さなどの楽音制御情報が楽音制御手段1より楽音発生手段2へ送られる。
楽音発生手段2は、その楽音情報に応じた楽音を読み出し、共鳴音混合手段4へ送出する。複数の楽音が発生した場合は、それらの楽音が加算され、共鳴音混合手段4に送られる。例えば、C_3とG_3の鍵盤204が強く操作された場合、C_3の強打に応じた楽音波形と、G_3の強打に応じた楽音波形が波形メモリから読み出され、それらを加算した波形を楽音として、共鳴音混合手段4に送出する。
また楽音制御情報は、同時に共鳴音発生手段3へも送られる。共鳴音発生手段3は、操作された鍵盤の音高と操作強さに応じた共鳴音波形を共鳴音波形を記憶した波形メモリから読み出し、それらを加算して、共鳴音混合手段4へ送出する。例えば、C_3とG_3の鍵盤が強く操作された場合、C_3の強打に応じた共鳴音波形と、G_3の強打に応じた共鳴音波形が、上記波形メモリから読み出され、それらを加算した波形が、楽音として共鳴音混合手段4に送出される。
この場合ダンパーペダル205が操作されていなくても、共鳴音波形の読み出しは行なわれる。
このような共鳴音発生及び上記楽音発生とも、鍵盤操作の強さに応じて波形を選択せず、読み出しの時の振幅を変更しても良い。またエンベロープを変更しても良い。
また共鳴音混合手段4は、乗算器M1-1で所定倍した共鳴音と、乗算器M1-2で所定倍した楽音を、加算器A1で加算し、音響出力手段へ出力する。この時M1-1の乗算係数は楽音制御情報に応じた値となっている。すなわち、楽音制御手段1はダンパーペダル205の踏み込み量を検知して、その操作がなされる度に、乗算器M1-1の乗算係数の値を変更する。踏み込み量が大きいほど、乗算係数は大きく、また踏み込み量が小さいほど、乗算係数は小さくなる(共鳴音の読み出しは、ダンパーペダル205の操作にかかわらず行なわれる。ダンパーペダル205の操作で変化するのは、共鳴音混合手段4の乗算器M1-1の乗算係数のみである。ダンパーペダル205が操作されない状態では、M1-1の乗算係数は0なので共鳴音の振幅は0となり、見かけ上共鳴音が発生していないことになる)。さらに踏み込み量が無い状態から所定の踏み込み量までは、乗算係数は0で、所定の踏み込み量を超えると、ある一定の値をとるようにしても良い。
ここで、本実施例における電子ピアノの動作処理フローを説明する。ただし、メイン処理フローは図21と、さらにペダル処理フローは図23と基本的に同じであり、これらの説明は省略する。他方図32に、本実施例3の電子ピアノにおける鍵盤処理フローを示す。
図32に示すように、鍵盤204の操作状況がスキャンされる(ステップS500)。それから鍵盤204の操作状況に変化があるか否かがチェックされる(ステップS502)。
鍵盤204の操作状況に変化がなければ(ステップS502;N)、鍵盤処理を終了し、メインフローのペダル処理へ移行する。他方鍵盤204の操作状況に変化があれば(ステップS502;Y)、その変化のあった操作が押鍵か否かがチェックされる(ステップS504)。
押鍵であれば(ステップS504;Y)、楽音発生手段2へ楽音制御情報が書き込まれると共に、発音開始の指示が出力され(ステップS506)、さらに共鳴音発生手段3へ楽音制御情報が書き込まれると共に、発音開始の指示が出力される(ステップS508)。他方押鍵でなければ(ステップS504;N)、楽音発生手段2へ楽音制御情報が書き込まれると共に、発音停止の指示が出力され(ステップS510)、さらに共鳴音発生手段3へ楽音制御情報が書き込まれると共に、発音停止の指示が出力される(ステップS512)。
最後に操作状況が変化した全ての鍵盤の処理が終了したか否かがチェックされる(ステップS514)。
操作状況が変化した全ての鍵盤の処理が終了していなければ(ステップS514;N)、上記ステップS504に復帰する。他方操作状況が変化した全ての鍵盤の処理が終了していれば(ステップS514;Y)、鍵盤処理が終了し、メインフローのペダル処理へ移行する。
本実施例構成では、楽音制御情報を受け取った楽音発生手段2により楽音が発生せしめられていると共に、同時にその楽音制御情報を受け取った共鳴音発生手段3により共鳴音が発生せしめられる。
この共鳴音に関しては、予め上記共鳴音演算手段5により、演奏の予定される楽音に対応する共鳴音波形が作成され、波形メモリに該共鳴音波形が記憶されている。該波形メモリは、その生産段階で、本電子ピアノの共鳴音波形記憶手段として、装備されることになる。従って、上記のように、楽音制御情報を受け取った共鳴音発生手段3により、楽音発生手段2による楽音発生と共に、共鳴音が発生せしめられることになる。
上述のように、上記共鳴音演算手段5を、本電子ピアノに装備しておいても良い。それにより、電子ピアノ上で新たな共鳴音を作ることが可能となる。
尚、本実施例構成においても、図24で説明したように、鳴音発生手段3の出力を所定倍して、入力楽音と加算し、再度この共鳴音発生手段にフィードバックして入力する構造を共鳴音発生手段3に持つ構成としたり、図25で説明したように、上記図24のような構成を有すると共に、そのフィードバック経路に、共鳴発生手段3の出力を所定時間遅らせる遅延器D11-1及び共鳴音発生手段3の出力の振幅−周波数特性を変更するフィルタFlt11-1を備えるようにしても良い。
尚、本発明の電子楽器は、上述の図示例では、電子ピアノを例にとって説明しているが、電子ピアノにのみ限定されるものではなく、他の楽器でも、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、同様な構成を取ることは可能である。
本発明の電子楽器は、楽器を演奏した時の共鳴音を楽音の発生と同時に発音できる構成の他、楽器ではなく、特定の音響効果の得られる音響効果室などで、任意の音を発生させた際又は空気振動を起こさせて、その共鳴音を得ようとする場合にも適用できることになる。
1自由度粘性減衰系モデルを示すモデル説明図である。 FFT分析による振幅−周波数特性を示すグラフである。 A_0の1倍音を示す波形図である。 A_0の1倍音の近似波形を示す波形図である。 倍音を切り出す帯域幅の例を示すグラフである。 C_2、C_3、C_4の倍音をFFT分析した振幅−周波数特性を示すグラフである。 C_4、E_4、A_4の倍音をFFT分析した振幅−周波数特性を示すグラフである。 C_2の楽音を、C_2、C_3、G#_2の各1倍音共鳴回路へ入力した時の共鳴音の状態を示すグラフである。 G#_2の楽音を、C_2、C_3、G#_2の各1倍音共鳴回路へ入力した時の共鳴音の状態を示すグラフである。 C_2の楽音を、C_2、C_3、G#_2の各1倍音から数Hzずらした共鳴周波数の夫々の共鳴回路へ入力した時の共鳴音の状態を示すグラフである。 G#_2の楽音を、C_2、C_3、G#_2の各1倍音から数Hzずらした共鳴周波数の夫々の共鳴回路へ入力した時の共鳴音の状態を示すグラフである。 共鳴回路群_Cに、音程C_3、D#_3、G_3の波形を入力した時の出力波形、すなわち共鳴音を示す説明図である。 共鳴回路群_Gに、音程C_3、D#_3、G_3の波形を入力した時の出力波形、すなわち共鳴音を示す説明図である。 共鳴回路群_Cに、音程C_3、D#_3、G_3の波形を入力した際、C_3波形のみ振幅を小さくした時の共鳴音を示す説明図である。 共鳴回路群_Gに、音程C_3、D#_3、G_3の波形を入力した際、G_3波形のみ振幅を小さくした時の共鳴音を示す説明図である。 F_6の楽音を、C_6に含まれる倍音の共振周波数を持った複数の共鳴回路、D#_6に含まれる倍音の共振周波数を持った複数の共鳴回路、及びF_6に含まれる倍音の共振周波数を持った複数の共鳴回路に入力した時の出力の合計を示すグラフである。 C_6の共鳴回路とD#_6の共鳴回路の出力レベルは1で、F_6の共鳴回路の出力レベルを0.1とした場合の出力の合計を示すグラフである。 本発明の実施例1に係る電子ピアノのハードウェア構成を示す説明図である。 上記電子ピアノに適用される実施例1の基本構成を示す機能ブロック図である。 DSPによって構成される共鳴音発生手段3の機能ブロックを示した説明図である。 本電子ピアノのメイン処理フローを示すフローチャートである。 本実施例における鍵盤処理フローを示すフローチャートである。 本実施例におけるペダル処理フローを示すフローチャートである。 共鳴音発生手段にフィードバック構成を付加した場合の構成を示す説明図である。 共鳴音発生手段にフィードバック構成、遅延回路、振幅ー周波数特性を変更するフィルタを付加した場合の構成を示す説明図である。 実施例2における楽音発生手段2と共鳴音発生手段3の機能ブロック構成を示す説明図である。 実施例2における共鳴音発生手段3に備えられた音名Aに対応した共鳴回路群の構成を示す説明図である。 2次のIIRフィルタで実現される共鳴回路の構成を示す説明図である。 実施例2における鍵盤処理フローを示すフローチャートである。 電子ピアノに適用される実施例3の構成を示す機能ブロック図である。 本電子ピアノの共鳴音波形記憶手段に記憶される共鳴音波形を作成する際に使用される共鳴音演算手段5を示す機能ブロック図である。 実施例3における鍵盤処理フローを示すフローチャートである。
符号の説明
1 楽音制御手段
2 楽音発生手段
3 共鳴音発生手段
4 共鳴音混合手段
5 共鳴音演算手段
20 楽音生成手段
200 システムバス
201 CPU
202 ROM
203 RAM
204 鍵盤
205 ダンパーペダル
206 音源
207 DSP
208 波形メモリ
209 音響システム

Claims (29)

  1. 複数の操作子を備え、その操作情報を、少なくとも発音開始/発音停止、音高、操作強さ、操作量等を指定する楽音制御情報として発生する楽音制御手段と、
    上記楽音制御情報に基づいて、複数の楽音を同時に発生可能な楽音発生手段と、
    発生可能な楽音信号の倍音信号分だけ共鳴回路を備え、楽音発生手段から発生した楽音を各共鳴回路への入力信号として、該共鳴回路により共鳴音を発生する共鳴音発生手段と、
    上記楽音制御情報に基づいて、共鳴音発生手段から発生した共鳴音を所定倍し、楽音発生手段からの入力楽音に加算して出力する共鳴音混合手段と
    を少なくとも楽音出力用に備えたことを特徴とする電子楽器。
  2. 楽音の倍音に対応し、その倍音周波数を共振周波数とする共鳴回路を複数並列に接続して、上記共鳴音発生手段を構成したことを特徴とする請求項1記載の電子楽器。
  3. 上記共鳴回路はデジタルフィルタを有しており、それらのフィルタで使用されるフィルタ係数につき、
    共鳴回路のインパルス応答は、倍音の振動波形を概略模擬するものとして、この振動波形は1自由度粘性減衰系モデルで再現できるものとし、
    1自由度粘性減衰系モデルの振る舞いを決めるためのモデルパラメータは、質量、減衰固有振動数、減衰率とすると共に、これらを与えて、前記モデルの運動方程式の係数となる粘性係数と剛性係数を求め、
    前記モデルの運動方程式をラプラス変換し、s表現の伝達関数式を得ると共に、これに求めた粘性係数、剛性係数及び質量を代入し、双一次変換を行って、z表現のフィルタ係数を求め、
    前記質量は任意の値とし、前記減衰固有振動数は模擬しようとする倍音の振動数であり、前記減衰率は倍音の減衰を指数関数で近似したときの指数として、その値を求める
    ことを特徴とする請求項2記載の電子楽器。
  4. 上記共鳴回路のデジタルフィルタに乗算器が夫々連続して設けられる場合、該乗算器への乗算係数については、その倍音を含む楽音の、各倍音の振幅比を所定倍したものに設定することを特徴とする請求項3記載の電子楽器。
  5. 楽音発生手段が記憶された楽音波形の読み出しで楽音発生がなされる場合は、模擬しようとする上記倍音は、記憶された楽音波形より抽出した倍音とする請求項3又は4記載の電子楽器。
  6. 楽音発生手段が所定の楽音制御情報で楽音合成され楽音発生が行われる場合は、模擬しようとする上記倍音は、所定の楽音制御情報で楽音合成され、出力された楽音波形より抽出された倍音とする請求項3又は4記載の電子楽器。
  7. 1つの共鳴回路の共振周波数は、1つの倍音周波数に相当するが、倍音周波数が等しい、若しくは非常に近い倍音周波数の倍音が複数存在する場合は、1つの倍音周波数を代表させ、その倍音周波数を共振周波数とする1つの共鳴回路のみで構成することを特徴とする請求項1〜6いずれか1つに記載の電子楽器。
  8. 1つの共鳴回路の共振周波数は、1つの倍音周波数に相当するが、共鳴音発生手段として、特定の倍音周波数に対応する共鳴回路の共振周波数を所定量だけずらした共鳴回路を含むことを特徴とする請求項1〜7いずれか1つに記載の電子楽器。
  9. 上記共鳴音発生手段は、その出力を所定倍して、入力楽音と加算し、再度この共鳴音発生手段にフィードバックして入力する構造を持つことを特徴とする請求項1〜8いずれか1つに記載の電子楽器。
  10. 上記共鳴音発生手段は、その出力を所定倍して、入力楽音と加算し、再度この共鳴音発生手段にフィードバックして入力する構造を持つと共に、そのフィードバック経路には、共鳴音発生手段の出力を所定時間遅らせる遅延回路及び/又は共鳴音発生手段の出力の振幅−周波数特性を変更するフィルタを備えたことを特徴とする請求項1〜8いずれか1つに記載の電子楽器。
  11. 複数の操作子を備え、その操作情報を、少なくとも発音開始/発音停止、音高、操作強さ、操作量等を指定する楽音制御情報として発生する楽音制御手段と、
    上記楽音制御情報に基づいて、複数の楽音を同時に発生可能な楽音発生手段と、
    複数の共鳴回路群と、各共鳴回路群に対応した複数の入力系列で構成され、各共鳴回路群の共鳴音出力を加算して出力する共鳴音発生手段と、
    上記楽音制御情報に基づいて、共鳴音発生手段から発生した共鳴音を所定倍し、楽音発生手段からの入力楽音に加算して出力する共鳴音混合手段と
    を少なくとも楽音出力用に備えており、
    上記楽音発生手段は、
    楽音制御情報に基づいて楽音を生成、出力する楽音生成チャネルを複数持つ楽音生成手段と、
    各楽音生成チャネル毎に全音名数設けられ、楽音制御情報に基づいて楽音の振幅を調整する係数を乗算する乗算器であって、そのうち少なくとも楽音発生手段で発生した楽音と同じ音名の乗算器の係数は他と異なる係数を有する乗算器と、
    上記共鳴音発生手段の複数の共鳴回路群に夫々対応して設けられ、上記乗算器からの出力のうち同じ音名に対応する各楽音生成チャネル毎の乗算器から出力されてきた信号同士を加算する加算器とで構成され、
    楽音生成チャネルの出力は、そのチャネルの各乗算器に入力され、上記乗算器からの出力は、そのうちの同じ音名に対応する各楽音生成チャネル毎の乗算器からの出力が、上記共鳴音発生手段の共鳴回路群に夫々対応して設けられた加算器で加算され、夫々の共鳴回路群へ送出・入力され、該共鳴音発生手段で共鳴音として生成されて、共鳴音混合手段へ出力されることを特徴とする電子楽器。
  12. 楽音発生手段の楽音発生チャネルは、1チャネルあたり共鳴回路群の各音名に対応した数の乗算器を持ち、これらの乗算器の乗算係数は、楽音制御情報の音高によって決定されると共に、この中の1つの乗算係数が他の乗算係数より小さく、他の乗算係数同士は等しいことを特徴とする請求項11記載の電子楽器。
  13. 共鳴音発生手段の入力系列数は、共鳴回路群の各音名に対応した数であり、楽音分配手段の出力チャネルの分配系列も同数であることを特徴とする請求項11又は12記載の電子楽器。
  14. 共鳴音発生手段の共鳴回路群は、その対応する音名の楽音の倍音に対応した共鳴回路を複数並列に接続することを特徴とする請求項11〜13いずれか1つに記載の電子楽器。
  15. 上記共鳴回路はデジタルフィルタを有しており、それらのフィルタで使用されるフィルタ係数につき、
    共鳴回路のインパルス応答は、倍音の振動波形を概略模擬するものとして、この振動波形は1自由度粘性減衰系モデルで再現できるものとし、
    1自由度粘性減衰系モデルの振る舞いを決めるためのモデルパラメータは、質量、減衰固有振動数、減衰率とすると共に、これらを与えて、前記モデルの運動方程式の係数となる粘性係数と剛性係数を求め、
    前記モデルの運動方程式をラプラス変換し、s表現の伝達関数式を得ると共に、これに求めた粘性係数、剛性係数及び質量を代入し、双一次変換を行って、z表現のフィルタ係数を求め、
    前記質量は任意の値とし、前記減衰固有振動数は模擬しようとする倍音の振動数であり、前記減衰率は倍音の減衰を指数関数で近似したときの指数として、その値を求める
    ことを特徴とする請求項11〜14いずれか1つに記載の電子楽器。
  16. 上記共鳴回路のデジタルフィルタに乗算器が夫々連続して設けられる場合、該乗算器への乗算係数については、その倍音を含む楽音の、各倍音の振幅比を所定倍したものに設定することを特徴とする請求項15記載の電子楽器。
  17. 楽音発生手段が記憶された楽音波形の読み出しで楽音発生がなされる場合は、模擬しようとする上記倍音は、記憶された楽音波形より抽出した倍音とする請求項11〜16いずれか1つに記載の電子楽器。
  18. 楽音発生手段が所定の楽音制御情報で楽音合成され楽音発生が行われる場合は、模擬しようとする上記倍音は、所定の楽音制御情報で楽音合成され、出力された楽音波形より抽出された倍音とする請求項11〜16いずれか1つに記載の電子楽器。
  19. 1つの共鳴回路の共振周波数は、1つの倍音周波数に相当するが、倍音周波数が等しい、若しくは非常に近い倍音周波数の倍音が複数存在する場合は、1つの倍音周波数を代表させ、その倍音周波数を共振周波数とする1つの共鳴回路のみで構成することを特徴とする請求項11〜18いずれか1つに記載の電子楽器。
  20. 上記共鳴音発生手段は、その出力を所定倍して、入力楽音と加算し、再度この共鳴音発生手段にフィードバックして入力する構造を持つことを特徴とする請求項11〜19いずれか1つに記載の電子楽器。
  21. 上記共鳴音発生手段は、その出力を所定倍して、入力楽音と加算し、再度この共鳴音発生手段にフィードバックして入力する構造を持つと共に、そのフィードバック経路には、共鳴音発生手段の出力を所定時間遅らせる遅延回路及び/又は共鳴音発生手段の出力の振幅−周波数特性を変更するフィルタを備えたことを特徴とする請求項11〜19いずれか1つに記載の電子楽器。
  22. 複数の操作子を備え、その操作情報を、少なくとも発音開始/発音停止、音高、操作強さ、操作量などを指定する楽音制御情報として発生する楽音制御手段と、
    上記楽音制御情報に基づいて、複数の楽音を同時に発生可能な楽音発生手段と、
    共鳴音波形を記憶した共鳴音波形記憶手段と、
    上記楽音制御情報に基づいて、共鳴音波形記憶手段から共鳴音波形を読み出し、複数の共鳴音を同時に発生可能な共鳴音発生手段と、
    上記楽音制御情報に基づいて、共鳴発生手段から発生した共鳴音を所定倍し、楽音発生手段からの入力楽音に加算して出力する共鳴音混合手段と
    を少なくとも楽音出力用に備えたことを特徴とする電子楽器。
  23. 上記共鳴音波形記憶手段に記憶される共鳴音波形は、発生可能な楽音の倍音に対応した複数の共鳴回路を並列に接続した構成に対し、楽音を入力して得られた出力波形を予め記憶したものであることを特徴とする請求項22記載の電子楽器。
  24. 上記共鳴回路はデジタルフィルタを有しており、それらのフィルタで使用されるフィルタ係数につき、
    共鳴回路のインパルス応答は、倍音の振動波形を概略模擬するものとして、この振動波形は1自由度粘性減衰系モデルで再現できるものとし、
    1自由度粘性減衰系モデルの振る舞いを決めるためのモデルパラメータは、質量、減衰固有振動数、減衰率とすると共に、これらを与えて、前記モデルの運動方程式の係数となる粘性係数と剛性係数を求め、
    前記モデルの運動方程式をラプラス変換し、s表現の伝達関数式を得ると共に、これに求めた粘性係数、剛性係数及び質量を代入し、双一次変換を行って、z表現のフィルタ係数を求め、
    前記質量は任意の値とし、前記減衰固有振動数は模擬しようとする倍音の振動数であり、前記減衰率は倍音の減衰を指数関数で近似したときの指数として、その値を求める
    ことを特徴とする請求項23記載の電子楽器。
  25. 上記共鳴回路のデジタルフィルタに乗算器が夫々連続して設けられる場合、該乗算器への乗算係数については、その倍音を含む楽音の、各倍音の振幅比を所定倍したものに設定することを特徴とする請求項24記載の電子楽器。
  26. 楽音発生手段が記憶された楽音波形の読み出しで楽音発生がなされる場合は、模擬しようとする上記倍音は、記憶された楽音波形より抽出した倍音とする請求項22〜25いずれか1つに記載の電子楽器。
  27. 楽音発生手段が所定の楽音制御情報で楽音合成され楽音発生が行われる場合は、模擬しようとする上記倍音は、所定の楽音制御情報で楽音合成され、出力された楽音波形より抽出された倍音とする請求項22〜25いずれか1つに記載の電子楽器。
  28. 上記共鳴音発生手段は、その出力を所定倍して、入力楽音と加算し、再度この共鳴音発生手段にフィードバックして入力する構造を持つことを特徴とする請求項22〜27いずれか1つに記載の電子楽器。
  29. 上記共鳴音発生手段は、その出力を所定倍して、入力楽音と加算し、再度この共鳴音発生手段にフィードバックして入力する構造を持つと共に、そのフィードバック経路には、共鳴音発生手段の出力を所定時間遅らせる遅延回路及び/又は共鳴音発生手段の出力の振幅−周波数特性を変更するフィルタを備えたことを特徴とする請求項22〜27いずれか1つに記載の電子楽器。
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