JP3753087B2 - 電子楽器、差音出力装置、プログラムおよび記録媒体 - Google Patents

電子楽器、差音出力装置、プログラムおよび記録媒体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子楽器、差音出力装置、プログラムおよび記録媒体に関し、特に、石造りの建物におけるパイプオルガンなどの楽器演奏音を再現する電子楽器、上記演奏音を再現するための差音出力装置、この演奏処理を記述したプログラム及びそのプログラムを記録した記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
パイプオルガンが設置された近年の乾式構造のホールにおいては、ヨーロッパ中世の石造りの教会などと同じ残響時間の長い演奏音を再現できるように、ホール内装の高剛性化、パイプの配置の最適化、オルガンのレジストレーションによる対応、または、残響時間を電子的に補間する音場支援システムの導入といった対策が採られている。
かかるホール内装の高剛性化や音場支援システムの導入は、コストアップを招き、また、楽器構造上の制約からパイプの配置の最適化が難しい場合があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、石造りの建物は低音域まで残響時間が長くなるため、演奏音からは差音が知覚されやすい。ここで、差音とは、聴覚系で知覚される音であり、異なる振動数f1(Hz)とf2(Hz)の音を同一の耳で聞く場合に、聴覚器官内で共鳴上のひずみ(蝸牛内の基底膜の非線形性)から相互の振動数の差の振動(f1−f2)が発生することによって聞こえる派生的な音である。このため、石造りの建物では、楽器そのものの演奏音より低い音が遅れ時間を伴って知覚され、これが「豊かな低音」として聞こえてくる。
【0004】
しかしながら、乾式構造の建物で石造りの音響を再現する上記従来技術では、内装を石造りの建物と同一の音響特性にするのは実際上困難である。また、オルガンのレジストレーションや音場支援システムにより低音を強調することはできるが、差音による低音補強とは異なるため、低音に物足りなさが残るという問題があった。
【0005】
本発明は、上述された従来技術に介在する問題を解決するためになされたものであり、石造りの建物における豊かな低音を伴った演奏音を再現可能な電子楽器、差音出力装置、プログラムおよびこのプログラムを記録した記録媒体を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述課題を解決するため、本発明は、複数の演奏用操作子と、前記演奏用操作子の操作を検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果に応じて前記各演奏用操作子に割り当てられた楽音の音声信号を生成する手段であって、前記各演奏用操作子に割り当てられた異なる音高の楽音を同時発音させる音声信号を生成する場合は、前記異なる音高の楽音と、前記異なる音高の楽音から知覚される差音に相当する楽音とに対応する音声信号を生成する信号生成手段と、前記信号生成手段によって生成された音声信号を出力する出力手段とを備えることを特徴とする電子楽器を提供する。
【0007】
この構成によれば、演奏用操作子に割り当てられた異なる音高の楽音を同時発音させる音声信号を生成する場合は、異なる音高の楽音と、その異なる音高の楽音から知覚される差音に相当する楽音とに対応する音声信号を生成することにより、従来、聴覚系で知覚されていた差音を演奏音に含めて放音することができる。これにより、実際の演奏音より低い音が放音されるので、石造りの建物におけるような豊かな低音を伴った演奏音を放音することができる。
【0008】
また、本発明は、楽音を指定する演奏情報を入力する入力手段と、
前記演奏情報によって指定される楽音に基づいて音声信号を生成する手段であって、前記演奏情報によって異なる音高の楽音の同時発音が指示された場合は、前記異なる音高の楽音と、前記異なる音高の楽音から知覚される差音に相当する楽音とに対応する音声信号を生成する信号生成手段と、
前記信号生成手段によって生成された音声信号を出力する出力手段と
を備えることを特徴とする差音出力装置を提供する。
【0009】
この構成によれば、演奏情報によって異なる音高の楽音の同時発音が指示された場合は、異なる音高の楽音と、その異なる音高の楽音から知覚される差音に相当する楽音とに対応する音声信号を生成することにより、従来、聴覚系で知覚されていた差音を演奏音に含めて放音することができ、上述と同様に、石造りの建物におけるような豊かな低音を伴った演奏音を放音することができる。
【0010】
また、本発明は、楽音を指定する演奏情報を入力する入力手段と、
前記演奏情報によって指定される楽音に基づいて音声信号を生成する手段であって、前記演奏情報によって異なる音高の楽音の同時発音が指示された場合は、前記異なる音高の楽音から知覚される差音に相当する楽音とに対応する音声信号を生成する信号生成手段と、
前記信号生成手段によって生成された音声信号を出力する出力手段と
を備えることを特徴とする差音出力装置を提供する。
【0011】
この構成によれば、演奏情報によって異なる音高の楽音の同時発音が指示された場合は、その異なる音高の楽音から知覚される差音に相当する楽音とに対応する音声信号を生成することにより、従来、聴覚系で知覚されていた差音を放音することができる。
【0012】
また、本発明は、複数の操作子と、前記操作子の操作を検出する検出手段を有するコンピュータを、
前記検出手段の検出結果に応じて前記各操作子に割り当てられた楽音の音声信号を生成する手段であって、前記各操作子に割り当てられた異なる音高の楽音を同時発音させる音声信号を生成する場合は、前記異なる音高の楽音と、前記異なる音高の楽音から知覚される差音に相当する楽音とに対応する音声信号を生成する信号生成手段と、
前記信号生成手段によって生成された音声信号を出力する出力手段として機能させるためのプログラムを提供する。
【0013】
この構成によれば、コンピュータがこのプログラムを実行することにより、各操作子に割り当てられた異なる音高の楽音を同時発音させる音声信号を生成する場合は、異なる音高の楽音と、その異なる音高の楽音から知覚される差音に相当する楽音とに対応する音声信号を生成することができる。これにより、従来、聴覚系で知覚されていた差音を演奏音に含めて放音することができ、上述と同様に、石造りの建物におけるような豊かな低音を伴った演奏音を放音することができる。
【0014】
また、本発明は、コンピュータを、
楽音を指定する演奏情報を入力する入力手段と、
前記演奏情報によって指定される楽音に基づいて音声信号を生成する手段であって、前記演奏情報によって異なる音高の楽音の同時発音が指示された場合は、前記異なる音高の楽音から知覚される差音に相当する楽音とに対応する音声信号を生成する信号生成手段と、
前記信号生成手段によって生成された音声信号を出力する出力手段として機能させるためのプログラムを提供する。
【0015】
この構成によれば、コンピュータがこのプログラムを実行することにより、演奏情報によって異なる音高の楽音の同時発音が指示された場合は、その異なる音高の楽音から知覚される差音に相当する楽音とに対応する音声信号を生成することができる。これにより、従来、聴覚系で知覚されていた差音を演奏音に含めて放音することができ、上述と同様に、石造りの建物におけるような豊かな低音を伴った演奏音を放音することができる。
【0016】
また、本発明は、上記プログラムを、CD−ROMや、フロッピーディスクや光記録ディスクといった、コンピュータに読み取り可能な記録媒体に格納して一般ユーザに配布したり、通信ネットワークを介して一般ユーザに配布する、といった態様でも実施され得る。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳述する。本実施形態は、本発明の電子楽器を電子音を発するパイプオルガン(以下、電子オルガンという。)に適用した場合を説明する。かかる実施の形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の範囲内で任意に変更可能である。
【0018】
(1) 第1実施形態
本第1実施形態に係る電子オルガン1は、乾式構造の建物や屋外において、石造りの建物内で聴衆者に聞こえていた演奏音を放音することを目的としている。この目的を達成するため、本実施形態の電子オルガン1は、各鍵に一対一で対応する電子音の楽音を鍵盤操作に合わせて放音するだけでなく、その楽音が複数同時発音されたときに従来は聴覚系で知覚されていた差音を特定し、その差音を電子音で同時に放音するように構成されている。
以下、説明の便宜上、各鍵によって直接指定される楽音を「鍵指定音」と表記し、2つの鍵指定音が同時受聴されるときに聞こえる差音の楽音と区別して表記する。
【0019】
(1−1) 実施形態の構成
図1は、電子オルガン1の電気的構成を示すブロック図である。この電子オルガン1は、CPU10、操作部11、押鍵検出部12、RAM13、ROM14、音源装置15、アンプ16およびスピーカ17によって構成される。
CPU10は、バス18を介して接続された各部、すなわち、操作部11、押鍵検出部12、RAM13、ROM14、音源装置15、アンプ16との間で各種情報の授受を行い、この電子オルガン1の制御中枢として機能する。操作部11は、図示しない電源スイッチなど操作ボタンの操作をCPU10に通知するものである。
【0020】
押鍵検出部12は、電子オルガン1が備える図示しないm個(m>2)の鍵のキーオンおよびキーオフの検出を所定周期で行う。また、押鍵検出部12は、キーオンを検出した場合はキーオンされた鍵のベロシティを検出してこれら検出結果をCPU10に通知する。
なお、本実施形態では、CPU10が押鍵検出部12の検出結果に基づきMIDI(Musical Instrument Digital Interface)データを音源装置15に供給することにより、音源装置15に演奏指示を行うようになされている。ここで、MIDIデータは、ヘッダトラックと複数のトラックブロックとから構成され、各トラックブロックには、各演奏トラックの演奏イベント等の演奏情報や演奏情報以外の各種イベントが格納される構成を採る。
【0021】
RAM13は、キーイベントテーブルT1、鍵指定音発音テーブルT2、差音発音テーブルT3、およびCPU10が読み出したプログラムデータなどが一時的に記憶されるメモリである。
キーイベントテーブルT1は、押鍵検出部12の検出結果を格納しておくテーブルである。例えば、図2に示すように、キーイベントテーブルT1には、押鍵された鍵をデータ「1」により示し、押鍵されていない鍵をデータ「0」により示す鍵情報(Flag情報)と、押鍵された各鍵のベロシティ(vel)とが格納される。
【0022】
鍵指定音発音テーブルT2は、ノートオンイベントが出力された鍵指定音の楽音名(ノートナンバ)、つまり、発音中の鍵指定音の楽音名を格納しておくテーブルである。例えば、図3に示すように、鍵指定音発音テーブルT2には、発音中の鍵指定音の楽音名が先頭の発音ノート(note1)から順に格納される。
差音発音テーブルT3は、発音中の鍵指定音に対応する差音の楽音名、つまり、発音中の差音の楽音名を格納するテーブルである。例えば、図4に示すように、差音発音テーブルT3には、発音中の差音の楽音名と、その差音に対応する2つの鍵指定音とが対応づけて格納される。
【0023】
ROM14は、2つの鍵指定音から知覚される差音を特定するための差音特定テーブルT4と、CPU10が実行する各種プログラムなどが記憶されるメモリである。図5は、差音特定テーブルT4を示す図である。
【0024】
差音特定テーブルT4は、差音が知覚される2つの鍵指定音(noteA、noteB)と、差音の楽音名と、音量係数とが対応づけられて格納されたテーブルである。同図に示すように、本実施形態では、差音が知覚される2つの鍵指定音の組み合わせとして、倍音関係にある楽音の組み合わせが記述される。具体的には、音程が完全5度、完全4度、長3度、短3度の関係にある楽音が記述される。
これは、差音の知覚レベルは、任意の基音に対する2つの倍音を同時発音した場合の方が、倍音関係にない2音を同時発音した場合より知覚レベルが高いためである。
【0025】
また、差音特定テーブルT4に記述される音量係数は、第2倍音と第3倍音を同時発音した場合の差音の知覚レベルをL0とした場合に、その音量係数に対応する2つの鍵指定音による差音の知覚レベルL1を算出するためのL0の乗算係数である。
具体的には、本実施形態では、差音のベロシティをL1、この差音を知覚させる2つの楽音(noteA、noteB)の音量レベルをLA、LB、音量係数をkとすると、次式にて算出するようになされている。
【0026】
L0[dB]=LA[dB]+LB[dB]−dL[dB]……(1)
L1[dB]=k×L0[dB]……(2)
なお、dLは、130[dB]または120[dB]の値が適用される。
【0027】
本実施形態では、このようにして算出した知覚レベルL1を、発音させようとする差音のベロシティとして採用する。
さらに、本実施形態では、図5に示すように、音量係数kを、第2倍音と第3倍音(完全5度の2音)の場合を値1とし、第3倍音と第4倍音(完全4度の2音)の場合を値0.9とし、第4倍音と第5倍音(長3度の2音)の場合を値0.8とし、第5倍音と第6倍音(短3度)の場合を値0.7とした。これは、発明者らの実験によると、実際に、高次倍音ほどその差音の知覚レベルが徐々に低くなっていたからである。これにより、本実施形態では、差音の強さを、実際の知覚レベルとほとんど同じ強さに設定できるようになっている。ただし、これら算出式や音量係数値はあくまで一例であり、より精度の高い算出式や音量係数値があれば、それらを採用しても良いことは勿論である。
【0028】
音源装置15は、CPU10から供給されるMIDIデータに従って音声信号を生成して出力する装置である。なお、本実施形態では、CPU10が、MIDIデータに、鍵指定音の演奏イベントと、差音の演奏イベントとを各々予め定めた異なるトラックブロックに格納して音源装置15に供給する構成を採用している。これに対応して、音源装置15は、演奏イベントが含まれるトラックブロックに基づいて、その演奏イベントが鍵指定音の演奏イベントか、差音の演奏イベントかを判別するように構成されている。
【0029】
さらに、CPU10は、MIDIデータの差音に割り当てられたトラックブロックには、その差音に付加する残響係数を指定する残響指定イベントを格納するように構成されている。この構成の下、音源装置15は、残響指定イベントに基づき差音に残響音を付加するエフェクトとしても機能する。なお、後段で詳述するが、本実施形態の音源装置15は、デフォルトの状態で鍵指定音についても残響音を付加するように構成されている。
【0030】
前掲図1に示すように、この音源装置15は、音源部20とエフェクト部21とから構成される。音源部20は、MIDIデータの各トラックブロック内の演奏イベントに応じて音声信号を生成する。具体的には、音源部20は、演奏イベントがノートオンイベントの場合は、そのイベントによって指定される楽音名(ノートナンバ)およびベロシティに対応した音声信号を生成する一方、ノートオフイベントの場合には、そのイベントによって指定される楽音名の音声信号の生成を中止する。
【0031】
エフェクト部21は、石造りの建物の残響音を付加するための複数の残響係数が記憶されるメモリ(図示せず)と、これら残響係数を音声信号に畳み込み演算する畳み込み演算部(図示せず)とから構成される。
このエフェクト部21のメモリに記憶される残響係数について説明する。まず、図6に、第2倍音(2f0)と第3倍音(3f0)を石造りの建物で発音させた場合の差音の知覚レベルL0の解析結果を示す。
このエフェクト部21のメモリには、第2倍音または第3倍音の鍵指定音の残響特性C1(図6参照)を再現するための残響係数ks1と、第2および第3倍音からなる2つの鍵指定音のうち一方の鍵指定音がキーオフされてから両方の鍵指定音がキーオフされるまでの残響特性C2A(図6参照)を再現するための残響係数ks2Aと、両方の鍵指定音がキーオフされた後の残響特性C2B(図6参照)を再現するための残響係数ks2Bとが記憶される。
【0032】
そして、エフェクト部21は、音源部20が生成した各トラックに対応する音声信号のうち、鍵指定音の音声信号については残響係数ks1を畳み込み演算すると共に、差音の音声信号については残響指定イベントに応じて残響係数ks2Aまたはks2Bを畳み込み演算して出力するように構成されている。また、エフェクト部21は、これらの残響音を付加した音声信号を合成して外部に出力する。なお、実際には、畳み込み演算部から出力された音声信号はディジタル信号であるため、音源装置15は、音声信号をディジタルアナログ変換した後、外部に出力するように構成されている。
【0033】
なお、図6に示すように、残響特性C1と残響特性C2Bとはほぼ同じであるため、エフェクト部21において、残響特性C1と残響特性C2Bについては1つの残響係数を共用するようにしてもよい。また、同図に示すように、差音は所定の遅れ時間を伴って知覚されるため、その遅れ時間分だけ、差音の発音タイミングを鍵指定音の発音タイミングより遅らせることが好ましい。また、ここでは、説明の便宜上、このエフェクト部21が石造りの建物の残響音だけを付加する場合を説明するが、その他の音響空間の残響係数をメモリに記憶し、ユーザの選択に従っていずれかの音響空間の残響音を付加するようにしてもよく、また、その他のエフェクト機能を備えるようにしてもよい。
【0034】
アンプ16は、音源装置15から出力された音声信号を増幅し、スピーカ17を介して外部に演奏音を放音させるものである。なお、スピーカ17は、左右の2チャンネル構成のスピーカシステム、4チャンネル構成のスピーカシステムなどが適用される。
【0035】
(1.2) 第1実施形態の動作
この電子オルガン1において、操作部11の電源スイッチが操作されて電源が投入されると、CPU10は、ROM14に記憶されたプログラムを実行することにより以降に述べる処理を行う。図7はCPU10によって実行されるメインルーチンを示すフローチャートである。
【0036】
まず、CPU10は、電源が投入されると初期化処理を行う(ステップS1)。このステップS1において、CPU10は、RAM13の初期化処理、押鍵検出部12のセンサ初期化処理、音源装置15の設定の初期化処理などを行う。押鍵検出部12は、初期化処理が終了するとキー操作(キーオンまたはキーオフ)の検出処理を一定周期で行い、CPU10は、押鍵検出部12によってキー操作が検出されたか否かを一定周期で判断する(ステップS2)。
【0037】
このステップS2の判断結果が「NO」である場合、CPU10は、同判断を繰り返す。一方、キー操作が検出されると、ステップS2の判断結果が「YES」となり、CPU10の処理はステップS3に進む。このステップS3において、CPU10は、押鍵検出部12の検出結果に基づきキーイベントテーブルT1に鍵の操作情報を格納する。これが終了すると、CPU10の処理はステップS4に進み、演奏処理を開始する。この演奏処理は、押鍵検出部12によって検出されたキー操作に対応する演奏音を放音させるための処理である。そして、CPU10は、ステップS4の演奏処理を行うと、処理をステップS2に移行する。このようにして、CPU10は、ステップS2→S3→S4という処理を繰り返すことによって、演奏者の演奏に従った演奏音を放音させる制御を行う。
【0038】
図8および図9は、この演奏処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。
まず、CPU10は、押鍵検出部12によってキーオフが検出されたか否かを判断する(ステップS10)。この判断結果が「NO」である場合、CPU10は、RAM13のキーイベントテーブルT1に格納された鍵情報およびベロシティを取得し(ステップS11)、取得した鍵情報に基づいてキーオンされた各鍵に対応する鍵指定音の楽音名を特定し、鍵指定音発音テーブルT2に格納する(ステップS12)。それが終了すると、CPU10は、キーオンされた各鍵に対応する鍵指定音のノートオンイベントを生成してRAM13に格納する(ステップS13)。
【0039】
次に、CPU10は、ROM14に記憶された差音特定テーブルT4を参照して、鍵指定音発音テーブルT2に格納された鍵指定音のうちの各2音の組み合わせについて、その2音に対応づけられた差音があるか否かを検索する(ステップS14)。このステップS14の検索処理が終了すると、CPU10は、差音が抽出されたか否かを判断する(ステップS15)。
【0040】
このステップS15の判断結果が「NO」である場合、CPU10、ステップS19に処理を進め、ステップS13にて生成した鍵指定音のノートオンイベントを所定のトラックブロックに格納したMIDIデータを生成し、このMIDIデータを音源装置15に送信する。
一方、ステップS14の検索処理で上記条件を満たす差音が1つでも抽出された場合は、ステップS15の判断結果が「YES」となり、CPU10は、ステップS16に処理を進める。
【0041】
このステップS16においては、CPU10は、ROM14に記憶された差音特定テーブルT4から、抽出した各差音に対応づけられた2つの鍵指定音の楽音名をそれぞれ取得し、差音発音テーブルT3に格納する。
それが終了すると、CPU10は、処理をステップS17に進め、差音特定テーブルT4から、さらに、抽出した各差音の音量係数を取得すると共に、キーイベントテーブルT1から各差音に対応づけられた2つの鍵指定音のベロシティをそれぞれ取得し、上述した式(1)および式(2)の演算処理を行うことにより、各差音のベロシティを算出する。
【0042】
そして、このステップS17の演算処理が終了すると、CPU10は、処理をステップS18の処理に進め、差音のノートオンイベントを生成してRAM13に格納し、その後、処理をステップS19の処理に進める。
このステップS19においては、CPU10は、上記ステップS18にて生成した差音のノートオンイベントと、ステップS13にて生成した鍵指定音のノートイベントとをそれぞれ定めたトラックブロックに格納したMIDIデータを生成し、音源装置15に供給する。
このステップS19の処理が終了すると、CPU10は、処理をステップS20に進めてキーイベントテーブルT1をクリアし、当該演奏処理を終了する。
【0043】
一方、ステップS10の判断時において、押鍵検出部12が鍵のキーオフを1つでも検出していた場合は、ステップS10の判断結果が「YES」となり、CPU10の処理はステップS30の処理に進む。
このステップS30においては、CPU10は、キーオフされた各鍵に対応する鍵指定音の楽音名を、キーイベントテーブルT1の格納情報に基づき特定する。
【0044】
次に、CPU10は、処理をステップS31の処理に進め、キーオフされた鍵の楽音名(鍵指定音)を鍵指定音発音テーブルT2からクリアした後、処理をステップS32の処理に進め、特定した鍵指定音のノートオフイベントを生成してRAM13に格納する。
【0045】
このステップS32の処理が終了すると、CPU10の処理はステップS33の処理に進む。このステップS33においては、CPU10は、差音発音テーブルT3に格納された差音のうち、ステップS30で特定した鍵指定音のノートオフによって、その差音に対応づけられた2つの鍵指定音の一方のみがノートオフされることとなる差音を検索する。より具体的に説明すると、CPU10は、差音発音テーブルT3に格納された鍵指定音の中からステップS30で特定した鍵指定音と対になる鍵指定音を検索し、その鍵指定音が鍵指定音発音テーブルT2に格納されている差音を検索する。
【0046】
このステップS33の検索処理が終了すると、CPU10は、処理をステップS34の処理を進め、上記条件を満たす差音が抽出されたか否かを判断する。
このステップS34の判断において、上記条件を満たす差音が1つでも抽出されれば、ステップS34の判断結果が「YES」となり、CPU10は、処理をステップS35の処理を進める。ステップS35においては、CPU10は、上記抽出した差音に対して減衰係数ks2Aを設定する残響指定イベントを生成してRAM13に格納した後、処理をステップS36の処理に進める。
【0047】
一方、ステップS34の判断結果が「NO」である場合は、CPU10は、ステップS35の処理を行わずにステップS36の処理に進める。
ステップS36においては、CPU10は、差音発音テーブルT3に格納された差音のうち、ステップS30で特定した鍵指定音のノートオフによって、その差音に対応づけられた2つの鍵指定音の両方がノートオフされることとなる差音を検索する。この検索処理は、上記ステップS33にて差音発音テーブルT3から特定したノートオフ対象の鍵指定音と対になる鍵指定音が、鍵指定音発音テーブルT2に格納されていない差音を検索する処理を行えばよい。
【0048】
このステップS36の検索処理が終了すると、CPU10は、処理をステップS37の処理を進め、差音に対応づけられた2つの鍵指定音の両方がノートオフされることとなる差音が抽出されたか否かを判断する。
このステップS37の判断において、差音が1つでも抽出されれば、ステップS37の判断結果が「YES」となり、CPU10は、処理をステップS38の処理に進める。ステップS38においては、CPU10は、その差音に、減衰係数ks2Bを設定する残響指定イベントを生成してRAM13に格納した後、ステップS39に処理を進め、その差音を差音発音テーブルT3からクリアする処理を行う。
【0049】
ステップS39の処理が終了すると、または、ステップS37の判断結果が「NO」である場合は、CPU10は、処理をステップS40の処理に進める。
ステップS40においては、CPU10は、押鍵検出部12によってキーオンが検出されたか否かを判断する。そして、このステップS40の判断結果が「YES」である場合は、CPU10は、処理をステップS11の処理に移行して、上述したステップS11〜S18の鍵指定音および差音のノートオンイベント生成処理を行う。
【0050】
一方、ステップS40の判断結果が「NO」である場合は、CPU10は、処理をステップS19の処理に進め、上記ステップS32、S35、S38にて生成した各種イベントを所定のトラックブロックに格納したMIDIデータを生成し、音源装置15に送信する処理を行う。この送信処理が終了すると、CPU10は、処理をステップS20の処理に進め、キーイベントテーブルT1をクリアし、当該演奏処理を終了する。
【0051】
このように、この電子オルガン1においては、CPU10が、ステップS12においてキーオンされた鍵指定音を鍵指定音発音テーブルT2に登録し、ステップS14において鍵指定音発音テーブルT2に登録された鍵指定音に基づき差音特定テーブルT4を参照して差音を特定する。従って、新たにキーオンされた鍵指定音と、現在発音中の鍵指定音のうちのいずれか2音から知覚される差音を正しく特定することができる。
そして、この電子オルガン1は、CPU10が、ステップS19において、キーオンされた鍵指定音のノートイベントと、特定した差音のノートオンイベントとを含むMIDIデータを生成して音源装置15に供給することにより、キーオンされた鍵指定音と、特定した差音とに対応する演奏音を放音させることができる。
【0052】
また、差音のベロシティについては、CPU10が、ステップS17において、その差音を知覚させる2音のベロシティと音量係数とに基づいて実際の知覚レベルとほぼ同一の値に設定する。従って、この電子オルガン1は、吸音特性の違いにより差音が知覚され難かった乾式構造の音響空間や野外においても、自然な差音を聞かせることができる。
【0053】
また、この電子オルガン1は、キーオフが検出された場合は、CPU10が、ステップS33において、差音発音テーブルT3に格納された差音のうち、キーオフされた鍵指定音のノートオフによって、その差音を知覚させる2つの鍵指定音の一方のみがノートオフされることとなる差音を検索する。そして、この差音については、ステップS35において、差音を知覚させる2音のうち一方の音がキーオフされた場合の石造りの建物の残響特性C2A(図5参照)を再現するための残響係数ks2Aを設定する残響指定イベントを生成し、そのイベントを含めたMIDIデータを生成して音源装置15に供給する。
【0054】
さらに、この電子オルガン1は、CPU10が、ステップS36において、差音発音テーブルT3に格納された差音のうち、キーオフされた鍵指定音のノートオフによって、その差音を知覚させる2つの鍵指定音の両方がノートオフされることとなる差音を検索する。そして、この差音については、ステップS38において、差音を知覚させる2音が両方ともキーオフされた場合の石造りの建物の残響特性C2B(図5参照)を再現するための残響係数ks2Bを設定する残響指定イベントを生成し、そのイベントを含めたMIDIデータを生成して音源装置15に供給する。
【0055】
従って、この電子オルガン1は、音源装置15が、上記残響指定イベントに従って差音に付加する残響音を切り替えることによって、実際の石造りの建物にて知覚される差音の残響音と同じように、差音に付加する残響音を変化させることができる。なお、差音のノートオフイベントについては記述していないが、音源装置15が、減衰係数ks2Bを設定する残響指定イベントがあった差音についてノートオフするように予め設定しておくか、CPU10が、この残響指定イベントをMIDIデータに記述する際に、同じトラックブロックにノートオフイベントを記述するようにすればよい。
【0056】
さらに、この電子オルガン1においては、音源装置15が、鍵指定音については、石造りの建物で発音させた場合の鍵指定音の残響特性C1を再現するための残響係数ks1に基づいて残響音を付加して放音するように構成されている。
これらにより、この電子オルガン1は、石造りの建物における鍵指定音の残響音、差音および差音の残響音を再現した演奏音を放音することができ、乾式構造の音響空間や野外においても、石造りの建物の音響空間を再現することができる。
【0057】
以上の記述から明らかなように、本実施形態による電子オルガン1を使用すれば、従来、聴覚系で知覚されていた差音を演奏音に含めて放音することができる。言い換えれば、この電子オルガン1は、演奏音から聞こえる差音を補強することができる。この結果、この電子オルガン1は、乾式構造の音響空間などの任意の音響空間において、実際の演奏音より低い音が聞こえる、いわゆる「豊かな低音」を伴った演奏音を放音することができ、石造りの建物の音響空間を再現することができることとなる。
【0058】
(2) 第2実施形態
図10は、第2実施形態に係る差音出力装置100の電気的構成を示すブロック図である。
この差音出力装置100が、第1実施形態に係る電子オルガン1と異なる点は、押鍵検出部12に代えて、MIDIデータなどの演奏情報を外部から入力する演奏情報入力部120を備える点と、CPU110が、演奏情報入力部120から入力した演奏情報に基づいて上記演奏処理を行う点である。なお、第1実施形態に係る電子オルガン1と同様の構成については、同様の符号を付して示し、詳細な説明は省略する。
【0059】
この差音出力装置100において、演奏情報入力部120は、MIDIインターフェースが適用され、CPU110の制御の下、通信ケーブルを介して接続された演奏情報出力装置からMIDIデータを受信する。なお、演奏情報出力装置は、具体的には、MIDIキーボードなどのMIDI機器、MIDIデータを出力可能なコンピュータなどである。
【0060】
CPU110は、演奏情報入力部120を介して受信したMIDIデータの演奏イベントに基づき、第1実施形態におけるキー操作の検出処理(ステップS2)、キーイベントテーブルT1の格納処理(ステップS3)、演奏処理(ステップS4)を行う。なお、この場合のキーイベントテーブルT1には、演奏イベント中のノートナンバとベロシティを格納することとなる。
【0061】
次に、CPU110によって実行される演奏処理が、第1実施形態に係る演奏処理と異なる点を説明する。
まず、CPU110は、ステップS10のキーオフを検出する処理を、受信したMIDIデータ中のノートオフイベントを検出することにより行う。
また、CPU110は、ステップS11及びS12の鍵指定音発音テーブルT2に発音中の鍵指定音を格納する処理を、MIDIデータ中のノートオンイベントに基づいて行う。また、ステップS13の鍵指定音のノートイベントを生成する処理は、受信したMIDIデータに既に記述されているものを用いればよいので、必要としない処理である。
【0062】
同様に、ステップS30〜ステップS31で示される処理も、受信したMIDIデータ中のノートオフイベントに基づいてCPU110が行えばよく、また、ステップS32のノートオフイベント生成処理も、受信したMIDIデータに既に記述されているため必要としない。
そして、CPU110は、ステップS14〜S18で示される差音の特定処理および差音のノートイベント生成処理を実行した後、または、ステップS33〜S39で示される差音の残響指定イベント生成処理を実行した後、ステップS19においては、この生成した差音の各種イベントと、受信したMIDIデータ中の演奏イベントとに基づいてMIDIデータを生成して音源装置15に送信するように構成される。
【0063】
すなわち、第2実施形態に係る差音出力装置100においては、受信したMIDIデータを、差音の演奏イベントや残響指定イベントを含めたMIDIデータに変換して音源装置15に供給するようになされている。
これにより、この差音出力装置100は、外部から入力したMIDIデータに基づいて、当該MIDIデータには含まれていない差音を付加した演奏音を放音することができる。
【0064】
以上の記述から明らかなように、この差音出力装置100を使用すれば、従来のMIDIデータを利用して、石造りの建物におけるような豊かな低音を伴った演奏音を放音することができる。
【0065】
(2.1) 第2実施形態の変形例
本実施形態では、演奏情報としてMIDIデータを受信する場合について述べたが、音声信号そのものを入力するようにしてもよい。すなわち、入力した音声信号を既存の方法でMIDIデータに変換すれば、この音声信号に差音を付加した音声信号を生成することが可能となる。なお、音声信号は、モデムやTA(Terminal Adapter)などの通信装置を介して音声データの形で入力してもよいし、マイクを介して外部音声から入力してもよい。
【0066】
本実施形態では、入力した演奏情報に基づいて、その演奏情報に対応する演奏音に差音を含めた演奏音を放音する差音出力装置100について述べた。本発明はこれに限らず、この差音出力装置100が、入力した演奏情報に基づいて差音のみを放音するように構成してもよい。
これにより、この差音出力装置100は、音源を備えないMIDIキーボードなどの演奏装置に接続することによって、いわゆる音源装置やトーンジェネレータとして使用する用途以外に、ホールなどの音場改善に使用される音場支援装置などに適用することが可能である。
【0067】
(3) 変形例
本願発明は、上述した実施形態に限らず種々の態様にて実施することができる。例えば、以下のような変形実施が可能である。
【0068】
(3.1)
上述の各実施形態では、完全5度、完全4度、長3度、短3度の関係にある楽音(鍵指定音)を同時発音する場合に限って差音を発音させる場合について述べた。本発明はこれに限る必要はなく、例えば、鍵指定音を複数同時発音させる場合は、常に全ての差音(これら鍵指定音相互の振動数の差の振動数の楽音)を発音するようにしてもよい。
【0069】
(3.2)
上述の各実施形態では、式(1)により求めた差音の知覚レベルL0に、音量係数kを乗算した値を差音のベロシティL1とする場合について述べた。本発明はこれに限らず、音量係数kを用いずに、式(1)から求まる知覚レベルL0を差音のベロシティとするなど簡易に算出してもよい。これは、差音の音量は鍵指定音よりかなり低い音量で知覚されるものであるため、必ずしもベロシティを厳密に算出しなくても充分な効果を得ることが可能だからである。この場合、音量係数kを差音特定テーブルに格納する必要がないので、データ量が少なくてすみ、また、音量係数kを抽出して演算に用いる、といった処理が必要ないので、CPU10、110の処理負担を軽減することができる。
【0070】
(3.3)
また、上述の実施形態では、音源装置15が予め定められた残響係数ks1、ks2A、ks2Bに基づき残響音を付加するエフェクト処理を行う場合について述べたが、ユーザが、残響音付加処理における、立ち上がり時間、持続音レベル、減衰時間1(減衰特性C2Aに対応)、減衰時間2(減衰特性C2B)の設定を変更できるようにしてもよい。
【0071】
(3.4)
上述の第1実施形態では、本発明の電子楽器を電子オルガンに適用する場合について述べたが、電子ピアノなどの鍵盤楽器、電子バイオリンなどの弦楽器などの種々の電子楽器に適用することが可能である。また、電子楽器に限らず、ソフトウェア音源またはハードウェア音源を備えるパーソナルコンピュータなどの演奏機能を具備するコンピュータやトーンジェネレータなどに広く適用することができる。また。第2実施形態に係る差音出力装置100は、従来、演奏音から差音が知覚されやすかった楽器、例えば、パイプオルガン、ピアノ、ベース、バイオリンの演奏音若しくは差音を放音させるのに好適である。
【0072】
(3.5)
上述の各実施形態では、図7に示すメインルーチンや、図8および図9に示す演奏処理ルーチンを行うプログラムを予め電子オルガン1、差音出力装置100などに記憶しておく場合について述べたが、本発明はこれに限らず、このプログラムを磁気記録媒体、光記録媒体、半導体記憶媒体などのコンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録し、コンピュータがプログラムを読み取って実行するようにしてもよい。また、このプログラムをサーバに格納し、ネットワークを介してサーバが送信要求のあったPCなどの端末にプログラムを送信するようにしてもよい。
【0073】
【発明の効果】
上述したように本発明によれば、石造りの建物における豊かな低音を伴った演奏音を再現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係る電子オルガンの電気的構成を示すブロック図である。
【図2】 キーイベントテーブルを示す図である。
【図3】 鍵指定音発音テーブルを示す図である。
【図4】 差音発音テーブルを示す図である。
【図5】 差音特定テーブルを示す図である。
【図6】 第2倍音(2f0)と第3倍音(3f0)を石造りの建物で発音させた場合の差音の知覚レベルL0の解析結果を示す図である。
【図7】 メインルーチンを示すフローチャートである。
【図8】 演奏処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図9】 図8の続きのフローチャートである。
【図10】 第2実施形態に係る差音出力装置の電気的構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1……電子オルガン、10、110……CPU、
11……操作部、12……押鍵検出部、
13……RAM、14……ROM、
15……音源装置、16……アンプ、
17……スピーカ、18……バス、
20……音源部、21……エフェクト部、
T1……キーイベントテーブル、T2……鍵指定音発音テーブル、
T3……差音発音テーブル、T4……差音特定テーブル、
100……差音出力装置。

Claims (13)

  1. 複数の演奏用操作子と、
    前記演奏用操作子の操作を検出する検出手段と、
    前記検出手段の検出結果に応じて前記各演奏用操作子に割り当てられた楽音の音声信号を生成する手段であって、前記各演奏用操作子に割り当てられた異なる音高の楽音を同時発音させる音声信号を生成する場合は、前記異なる音高の楽音と、前記異なる音高の楽音から知覚される差音に相当する楽音とに対応する音声信号を生成する信号生成手段と、
    前記信号生成手段によって生成された音声信号を出力する出力手段と
    を備えることを特徴とする電子楽器。
  2. 前記信号生成手段は、前記異なる音高の楽音と、前記異なる音高の楽音から知覚される差音に相当する楽音とに対応する音声信号を生成した後、少なくとも前記異なる音高の楽音のいずれかを消音させた音声信号を生成する場合は、前記消音させる楽音と、その楽音に対応する差音とを除く音声信号を生成する
    ことを特徴とする請求項1に記載の電子楽器。
  3. 前記異なる音高の楽音から知覚される差音は、前記異なる音高の楽音相互の振動数の差の振動数の楽音である
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の電子楽器。
  4. 前記信号生成手段は、
    異なる音高の楽音と、前記異なる音高の楽音から知覚される差音とを対応づけた差音特定テーブルを記憶する記憶手段と、
    異なる音高の楽音を同時発音させる音声信号を生成する場合に、前記異なる音高の楽音に対応する差音を、前記差音特定テーブルから検索する検索手段と、
    前記検索手段により差音が抽出された場合は、前記差音と、前記異なる音高の楽音とに対応する音声信号を生成する一方、前記検索手段により差音が抽出されなかった場合は、前記異なる音高の楽音に対応する音声信号を生成する音源手段と
    を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電子楽器。
  5. 前記検索手段は、前記異なる音高の楽音と、前記異なる音高の楽音に対応する差音とに対応する音声信号を生成した後、前記異なる音高の楽音のいずれかを消音させた音声信号を生成する場合は、前記消音させる楽音に対応づけられた差音を、前記差音特定テーブルから検索し、
    前記音源手段は、前記検索手段により差音が抽出された場合は、前記差音と、前記消音させる楽音とを除く音声信号を生成する一方、前記検索手段により差音が抽出されなかった場合は、前記消音させる楽音を除く音声信号を生成する
    ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電子楽器。
  6. 前記音源手段は、
    同時発音させる楽音と差音とに残響音を付加した音声信号を生成するエフェクト手段を有することを特徴とする請求項4または5に記載の電子楽器。
  7. 前記エフェクト部は、前記差音特定テーブルにて差音に対応づけられた異なる音高の楽音について、一方の楽音が消音される場合と、両方の楽音が消音される場合とで、前記差音に付加する残響音を切り替えることを特徴とする請求項4または5に記載の電子楽器。
  8. 楽音を指定する演奏情報を入力する入力手段と、
    前記演奏情報によって指定される楽音に基づいて音声信号を生成する手段であって、前記演奏情報によって異なる音高の楽音の同時発音が指示された場合は、前記異なる音高の楽音と、前記異なる音高の楽音から知覚される差音に相当する楽音とに対応する音声信号を生成する信号生成手段と、
    前記信号生成手段によって生成された音声信号を出力する出力手段と
    を備えることを特徴とする差音出力装置。
  9. 楽音を指定する演奏情報を入力する入力手段と、
    前記演奏情報によって指定される楽音に基づいて音声信号を生成する手段であって、前記演奏情報によって異なる音高の楽音の同時発音が指示された場合は、前記異なる音高の楽音から知覚される差音に相当する楽音とに対応する音声信号を生成する信号生成手段と、
    前記信号生成手段によって生成された音声信号を出力する出力手段と
    を備えることを特徴とする差音出力装置。
  10. 複数の操作子と、前記操作子の操作を検出する検出手段を有するコンピュータを、
    前記検出手段の検出結果に応じて前記各操作子に割り当てられた楽音の音声信号を生成する手段であって、前記各操作子に割り当てられた異なる音高の楽音を同時発音させる音声信号を生成する場合は、前記異なる音高の楽音と、前記異なる音高の楽音から知覚される差音に相当する楽音とに対応する音声信号を生成する信号生成手段と、
    前記信号生成手段によって生成された音声信号を出力する出力手段として機能させるためのプログラム。
  11. コンピュータを、
    楽音を指定する演奏情報を入力する入力手段と、
    前記演奏情報によって指定される楽音に基づいて音声信号を生成する手段であって、前記演奏情報によって異なる音高の楽音の同時発音が指示された場合は、前記異なる音高の楽音から知覚される差音に相当する楽音とに対応する音声信号を生成する信号生成手段と、
    前記信号生成手段によって生成された音声信号を出力する出力手段として機能させるためのプログラム。
  12. 複数の操作子と、前記操作子の操作を検出する検出手段を有するコンピュータを、
    前記検出手段の検出結果に応じて前記各操作子に割り当てられた楽音の音声信号を生成する手段であって、前記各操作子に割り当てられた異なる音高の楽音を同時発音させる音声信号を生成する場合は、前記異なる音高の楽音と、前記異なる音高の楽音から知覚される差音に相当する楽音とに対応する音声信号を生成する信号生成手段と、
    前記信号生成手段によって生成された音声信号を出力する出力手段として機能させるためのプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
  13. コンピュータを、
    楽音を指定する演奏情報を入力する入力手段と、
    前記演奏情報によって指定される楽音に基づいて音声信号を生成する手段であって、前記演奏情報によって異なる音高の楽音の同時発音が指示された場合は、前記異なる音高の楽音から知覚される差音に相当する楽音とに対応する音声信号を生成する信号生成手段と、
    前記信号生成手段によって生成された音声信号を出力する出力手段として機能させるためのプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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