JP5176339B2 - 電子楽器及び演奏処理プログラム - Google Patents

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Description

この発明は、望みの年代の楽器音を生成することができる電子楽器に関する。
特定の楽器の演奏を再現する技術については、例えば、非特許文献1,2により、特定ブランドのピアノからサンプリングしたデータを搭載した電子楽器音源が知られている。
http://web.archive.org/web/20060420061153/http://www.midia.co.jp/products/ni/sampling_line/akoustik_piano/akoustik_piano.html(インターネット公文書電子図書館上のURL) http://www.midia.co.jp/products/ni/sampling_line/akoustik_piano/akoustik_piano.html(オリジナルURL)
これに対して、古い時代に作曲された楽曲の演奏を作曲当時の楽器で再現することは、作曲家の意図をより深く感じることができると共に学術的にも価値があると考えられる。このような昔の楽器による演奏を電子楽器で再現しようとする場合、昔の楽器音色をサンプリングすることは難しく、サンプリングできなかった年代の楽器の演奏は再現することができない。また、低価格の電子楽器では、音源には特定の楽器音色が用意されるだけであり、数多くの音色データを搭載することが不可能である。
また、ピアノの場合、ピアノの歴史はダイナミックレンジ増大の歴史といっても良いが、電子楽器では同じ種類の音色は同程度のダイナミックレンジで演奏される。昔のピアノは、鍵盤機構が簡素で部品の重さが軽いため演奏した時のキーのタッチも軽いが、連打性とダイナミックレンジの改善を重ねた結果、年代が進むにつれてだんだんタッチが重くなってきた。しかしながら、このような楽音特性まで再現させるものは見られない。
この発明の主たる目的は、このような事情に鑑み、音源データを増やすことなく、予め用意された音源データ数に拘わらず細かい所望の年代の楽器音を作り出すことができる電子楽器を提供することを目的とする。
この発明の主たる特徴に従うと、複数の年代の楽器音をサンプリングした波形データ(波形セットA,B,…)を音源データとして記憶した音源データ記憶手段(Wm)と、ユーザ操作に応じて新旧の度合いを年代(指定年代)で指定する新旧度指定手段(15a;S1,S4)と、新旧度指定手段(15a;S1,S4)により指定された年代(指定年代)に応じて、音源データ記憶手段(Wm)に記憶された複数の年代の波形データ(波形セットA,B,…)から所定年代の波形データ(波形セット)を選択する音源データ選択手段(Ws;V11)と、新旧度指定手段(15a;S1,S4)により指定された年代(指定年代)に基づいて、音源データ選択手段(Ws;V11)により選択された所定年代の波形データ(波形セット)のアタック特性、周波数特性及び減衰特性の少なくとも何れか1つの特性を制御し、当該指定された年代(指定年代)の楽器音をシミュレートした楽音信号を生成するシミュレーション手段(Eq,Eg,Vc,Lca;V12〜V14,S6,S7)であって、該アタック特性については、当該指定された年代(指定年代)が当該所定年代(波形セットの年代)よりも古くなるに従ってゲインが大きくなり〔図5(1)〕、該周波数特性については、当該指定された年代(指定年代)が当該所定年代(波形セットの年代)よりも古くなるに従ってイコライザの低域のゲインが小さくなると共に、当該指定された年代(指定年代)が当該所定年代(波形セットの年代)よりも古くなるに従ってイコライザの高域のゲインが大きくなり〔図5(2)〕、該減衰特性については、当該指定された年代(指定年代)が当該所定年代(波形セットの年代)よりも古くなるに従ってゲインが早く立ち下がる〔図5(3)〕ように制御するもの(Eq,Eg,Vc,Lca;V12〜V14,S6,S7)とを具備する電子楽器(EM)〔請求項1〕が提供される。なお、括弧書きは、理解の便の為に付した実施例の参照記号、用語乃至箇所等であり、以下においても同様である。
また、この特徴に従って、複数の年代の楽器音をサンプリングした波形データ(波形セットA,B,…)を音源データとして記憶した音源データ記憶手段(Wm)を具備し、電子楽器として機能するコンピュータ(EM)に、ユーザ操作(15a)に応じて新旧の度合いを年代(指定年代)で指定する新旧度指定ステップ(S1,S4)と、新旧度指定ステップ(S1,S4)で指定された年代(指定年代)に応じて、音源データ記憶手段(Wm)に記憶された複数の年代の波形データ(波形セットA,B,…)から所定年代の波形データ(波形セット)を選択する音源データ選択ステップ(V11)と、新旧度指定ステップ(S1,S4)で指定された年代(指定年代)に基づいて、音源データ選択ステップ(V11)で選択された所定年代の波形データ(波形セット)のアタック特性、周波数特性及び減衰特性の少なくとも何れか1つの特性を制御し、当該指定された年代(指定年代)の楽器音をシミュレートした楽音信号を生成するシミュレーションステップ(V12〜V14,S6,S7)であって、該アタック特性については、当該指定された年代(指定年代)が当該所定年代(波形セットの年代)よりも古くなるに従ってゲインが大きくなり〔図5(1)〕、該周波数特性については、当該指定された年代(指定年代)が当該所定年代(波形セットの年代)よりも古くなるに従ってイコライザの低域のゲインが小さくなると共に、当該指定された年代(指定年代)が当該所定年代(波形セットの年代)よりも古くなるに従ってイコライザの高域のゲインが大きくなり〔図5(2)〕、該減衰特性については、当該指定された年代(指定年代)が当該所定年代(波形セットの年代)よりも古くなるに従ってゲインが早く立ち下がる〔図5(3)〕ように制御するもの(V12〜V14,S6,S7)とから成る手順を実行させる演奏処理プログラム〔請求項3〕が提供される。
この発明による電子楽器(EM)において、シミュレーション手段(Eq,Eg,Vc,Lca;V12〜V14,S6,S7)は、新旧度指定手段(15a;S1,S4)により指定された年代(指定年代)に基づいて楽音信号の発音強度を変化させる(図3)〔請求項2〕ように構成することができる。
この発明の主たる特徴に従う電子楽器(EM)では(請求項1,3)、音源データ記憶手段(Wm)に、複数の年代の楽器音をサンプリングした波形データ(波形セットA,B,…)を音源データとして記憶しておき、ユーザ操作(15a)により新旧(古い/新しい)新旧の度合いを年代(指定年代)で指定すると(S1,S4)、指定された年代(指定年代)に応じて、音源データ記憶手段(Wm)に記憶された複数の年代の波形データ(波形セットA,B,…)から所定年代の波形データ(波形セット)が選択され(Ws;V11)、シミュレーション機能(Eq,Eg,Vc,Lca;V12〜V14,S6,S7)によって、指定された年代(指定年代)に基づいて、選択された所定年代の波形データ(波形セット)のアタック特性、周波数特性及び減衰特性の少なくとも何れか1つの特性を制御し、当該指定された年代(指定年代)の楽器音をシミュレートした楽音信号が生成される。
つまり、ピアノ等の自然楽器は、その進化過程において音色や音量に関する特性が一定の方向性を持って変化しているので、所定年代の波形データ(波形セット)を元にして、この一定の方向性変化に従い、指定された年代(指定年代)の楽器音をシミュレートして楽音信号を生成させる。従って、この発明によれば、音源データ記憶手段に用意される音源データを増やすことなく望みの年代の楽器音を作り出し、しかも、再現される昔の楽器音の品質向上を図ることができる。
また、ユーザ操作により指定される新旧(古い/新しい)の度合いは年代と関連付けられているので、ユーザは、音源データ記憶手段に用意された波形データ数に拘わらず細かい所望の年代を連続的に指定することができ、指定された所望の年代の楽器音を高品質に作り出すことができる。
さらに、音源データとして各年代の楽器音をサンプリングした波形データを音源データ記憶手段(Wm)に記憶しておき、ユーザ操作により指定された年代(指定年代)に応じて1つの所定年代の波形データが選択されると(Ws;V11)、シミュレーション機能(Eq,Eg,Vc,Lca;V12〜V14,S6,S7)により、読み出された波形データのアタック特性、周波数特性又は減衰特性を制御し、当該指定された年代(指定年代)の楽器音をシミュレートし(図4、図5)、その際、アタック特性については、当該指定された年代(指定年代)が当該所定年代(波形セットの年代)よりも古くなるに従ってゲインが大きくなり〔図5(1)〕、周波数特性については、当該指定された年代(指定年代)が当該所定年代(波形セットの年代)よりも古くなるに従ってイコライザの低域のゲインが小さくなると共に、当該指定された年代(指定年代)が当該所定年代(波形セットの年代)よりも古くなるに従ってイコライザの高域のゲインが大きくなり〔図5(2)〕、減衰特性については、当該指定された年代(指定年代)が当該所定年代(波形セットの年代)よりも古くなるに従ってゲインが早く立ち下がる〔図5(3)〕ように制御する。つまり、1つの年代のサンプリング波形について、指定された年代が所定年代よりも古くなるのに従い、「アタック強調」、「EQ高域強調」又は「減衰早く」という楽音特性パラメータを強めるように加工することで、指定された所望の年代に対応する昔の楽器製作当時の楽音を高品質にシミュレートすることができる。
この発明による電子楽器(EM)では、さらに、ユーザ操作により指定された年代(指定年代)に基づいて楽音信号の発音強度を変化させる(図3)ように構成される(請求項2)。例えば、指定された年代(指定年代)が現代に近づくほど、生成される楽音信号の音量ダイナミックレンジを大きくしたり、鍵盤タッチが重くなるようにタッチカーブを自動設定する。従って、この発明によれば、より一層のリアル感をもって昔の楽器音を再現することができる。
〔別の特徴〕
なお、発明の課題に対応してこの明細書に記載された発明に備えられる別の特徴によると、次のように構成することができる:複数の年代の音源データを記憶した音源データ記憶手段(Wm,Pm)と、ユーザ操作に応じて新旧の度合いを指定する新旧度指定手段(15a;S1,S4)と、新旧度指定手段により指定された度合いに応じて、音源データ記憶手段に記憶された複数の年代の音源データから所定年代の音源データを選択する音源データ選択手段(Ws1,Ws2,Ps1,Ps2;V21,V31)と、音源データ選択手段により選択された音源データに基づいて、新旧度指定手段により指定された度合いに対応する年代の楽器音をシミュレートした楽音信号を生成するシミュレーション手段(Mx,Rc,Lca,Lcb;V22〜V25,V32〜V35,S6,S7)とを具備する電子楽器(EM)において、音源データ選択手段(Ws1,Ws2,Ps1,Ps2;V21,V31)は、新旧度指定手段により指定された度合いに応じて複数の年代の音源データを選択し、シミュレーション手段(Mx,Rc,Lcb;V22〜V25,V32〜V35,S6,S7)は、新旧度指定手段により指定された度合いに基づいて、音源データ選択手段により選択された複数の年代の音源データを合成し、当該度合いに対応する年代の楽器音をシミュレートする(図6、図7)。
この構成による電子楽器(EM)では、ユーザ操作により指定された度合いに応じて複数の年代の音源データを選択し、選択された複数の音源データを、指定された度合いに基づいて合成することにより、当該度合いに対応する年代の楽器音をシミュレートする(図6、図7)。例えば、音源データとして、各年代の楽器音をサンプリングした波形データが音源データ記憶手段(Wm)に記憶されている場合は、指定された度合いに応じて2つの年代の波形データを選択し(Ws1,Ws2;V21)、これら2つのサンプリング波形を、当該度合いから求められたミキシング割合に従ってミキシングし(Mx;V22〜V25)、また、音源データとして、各年代の楽器音を表わす特徴パラメータが音源データ記憶手段(Wm)に記憶されている場合は、指定された度合いに応じて2つの年代の特徴パラメータを選択し(Ps1,Ps2;V31)、これら2つの特徴パラメータを、当該度合いから求められた補間比に従って再合成(モーフィング)する(Rc;V32〜V35)。従って、この構成によれば、複数の年代の音源データ(波形データや特徴パラメータ)から、指定された度合いに対応する昔の楽器製作当時の楽音を高品質にシミュレートすることができる。
〔システム構成〕
図1は、この発明の一実施例による電子楽器の概要を説明するための図であり、図1(1)はこの発明の一実施例による電子楽器のハードウエア構成ブロック図を示す。この電子楽器EMには、演奏操作及び楽音信号生成機能を有する音楽情報処理専用の電子音楽装置(通常の電子楽器)だけでなく、演奏操作部及び楽音信号生成部が設けられ音楽情報処理機能を有するパーソナルコンピュータ(PC)のような汎用の情報処理装置が含まれる。電子楽器EMは、中央処理装置(CPU)1、ランダムアクセスメモリ(RAM)2、読出専用メモリ(ROM)3、外部記憶装置4、演奏操作検出回路5、設定操作検出回路6、表示回路7、音源回路8、効果回路9、MIDIインターフェース(I/F)10、通信インターフェース(I/F)11等を備え、これら要素1〜11はバス12で互いに接続される。
CPU1は、RAM2及びROM3と共にデータ処理部DPを構成し、演奏処理プログラムを含む所定の制御プログラムに従い、タイマ13によるクロックを利用して演奏処理を含む種々の音楽情報処理を実行する。RAM2は、これらの処理に際して必要な各種データを一時的に記憶するためのワーク領域として用いられ、例えば、演奏処理の際には、現在指定されている年代情報を保持するための年代情報格納エリアが確保される。ここで、年代情報は、演奏モードの新旧の度合いを年代で表わした情報である。また、ROM3には、これらの処理を実行するために必要な各種制御プログラムや制御データが記憶され、例えば、制御データには、「アタック強調」、「EQ高域強調」及び「減衰早く」テーブル等の音色制御に関係するテーブルや、ベロシティ変換テーブル等がある。
外部記憶装置4は、ハードディスク(HD)や書換え可能な不揮発性の半導体メモリ等の内蔵記憶媒体の外に、コンパクトディスク・リード・オンリィ・メモリ(CD−ROM)、フレキシブルディスク(FD)、光磁気(MO)ディスク、ディジタル多目的ディスク(DVD)、スマートメディア(登録商標)等の小型メモリカード、等々、種々の可搬性の外部記録媒体を含み、制御プログラムや制御データを含む任意のデータを任意の外部記憶装置(例えば、HDD)4に記憶することができる。
演奏操作検出回路5は、鍵盤などの演奏操作子14と共に演奏操作部を構成し、演奏操作子14に対するユーザの演奏操作を検出し、演奏内容に対応する演奏データを生成してデータ処理部DPに導入する。設定操作検出回路6は、電子楽器EMの操作パネル等に設けられたキースイッチやマウス等の設定操作子15に対するユーザの設定操作(パネル設定)を検出し、設定内容に対応する設定データをデータ処理部DPに導入する。
例えば、図1(2)に示されるように、操作パネルには、年代表記「2000」、「1900」、…が記され、設定操作子15の1つとして、ユーザ操作により表記「2000」〜「1700」を移動可能なスライド式の年代指定スイッチ15aが設けられ、スイッチ15aの位置により、演奏モードの新旧の度合いを細かい連続的な年代情報で指定することができる。なお、新旧(古い/新しい)の度合いは、年代に関連付けられていなくてもよく、例えば、0%(最新)〜100%(最古)で表わされていてもよい。また、これに限らず、複数用意されている過去から現在までの楽器音色の種類(楽器音色名)に、新旧の度合いを表わすパラメータを関連付けておき、ユーザ操作で音色種類を選択すると、その音色種類に関連付けられているパラメータが指示されるようにしてもよい。
表示回路7は、操作パネル等に設けられた画面表示用LCD等のディスプレイ(表示器)16や各種インジケータ(図示せず)の表示/点灯内容をデータ処理部DPからの指令に従って制御し、操作子14,15の操作に対する表示援助を行う。例えば、演奏処理の際に年代指定スイッチ15aが操作されると、(2)に示すように、ディスプレイ画面16aにスイッチ15aの位置に対応する年代が表示される。なお、画面16aに年代表記や可動の年代指定スイッチ15aを表示し、方向キー或いはマウスなどの設定操作子の操作でスイッチ15aを移動するようにしてもよい。
音源回路8及び効果回路9は、所定音色の音源データに従って所定楽音特性を有する楽音信号を生成する楽音信号生成部SGとして機能し、単に「音源」とも呼ばれる。音源SGから出力される楽音信号は、D/A変換部やアンプ、スピーカを備えるサウンドシステム17に送られる。音源回路8は、主として、音源データ記憶部及び音源データ選択読出し部の機能を備え、効果付与DSPを有する効果回路9は、主として、楽音特性制御部の機能を備え、両回路8,9にはソフトウエアを含ませることができる。
音源SGの音源データ記憶部には、現代を含む複数の年代にそれぞれ対応する複数の音源データセットを記憶しており、各年代の音源データセットは、音高或いは音高域にそれぞれ対応する複数の音源データ(波形データ、特徴パラメータ)から成る。また、音源データ選択読出し部は、音源データ記憶部から、年代指定スイッチ15aの操作に基づき発生する年代情報で指定される年代の音源データセットを選択し、演奏操作検出回路5や記憶手段(3,4)等からの演奏データ中のノート番号情報に応じて所定音高の音源データを楽音データとして読み出す。さらに、楽音特性制御部は、読み出された楽音データの楽音特性を指定年代に応じて制御し、指定年代に対応する楽音信号を生成する。そして、サウンドシステム17は、音源SGで生成された楽音信号に基づく楽音を発生する。
MIDII/F10は、この電子楽器EMと同様にMIDI形式で音楽情報を取り扱うことができるMIDI鍵盤、外部シーケンサやキーボードなどの他の電子音楽装置(外部MIDI機器)MDが接続され、MIDII/F10を通じて他の電子音楽装置MDとの間でMIDIデータを授受することができる。通信I/F11には、インターネットやローカルエリアネットワーク(LAN)などの通信ネットワークCNが接続され、外部のサーバコンピュータSV等から制御プログラムをダウンロードしたり演奏データを記憶装置4に保存してこの電子楽器EMで利用することができる。
〔演奏処理(メイン処理)〕
この発明の一実施例による電子楽器では、演奏処理プログラムに従い、ユーザ操作により新旧の度合い(年代)が指定されると、この度合いに応じて音源データ記憶部から所定年代の音源データ(波形データ又は特徴パラメータ)を選択し、選択された音源データに基づいて当該度合いに対応する年代の楽器音をシミュレートした楽音信号が生成される。つまり、この電子楽器は、指定された新旧の度合いに応じた演奏モードで、演奏データに基づく楽音信号を生成し、古い年代の楽器演奏を再現することができる。図2は、この発明の一実施例による演奏処理(メイン処理)の一例を表わすフローチャートである。
図2のメイン処理は、電子楽器EMの電源投入から実行される。電源が投入されてこのメイン処理がスタートすると、CPU1は、まず、ステップS1で初期設定を行う。初期設定では、年代情報を所定の初期値(例えば、現代を示す2000年代)に設定してRAM2の年代情報格納エリアに保持し、ディスプレイ画面16aに設定内容を表示する。ここで、初期設定の内容でよければ、設定操作子15のOKボタンに対するユーザ操作によりそのままステップS2に進み、別の年代情報を設定したい場合には、年代指定スイッチ15aの操作で年代情報の設定を変更した後、OKボタン操作でステップS2に進む。
ステップS2では、楽音特性のうち音色特性の設定に関わるボイス(音色)設定処理を行う。つまり、音源SGに対して、RAM2上に設定されている年代情報が表わす指定年代に応じて音源データ記憶手段(Wm,Pm)から所定年代の音源データ(波形データ、特徴パラメータ)を選択的に読み出し、楽器の進化過程における一定の方向性を持った音色特性の変化に従って、読み出された音源データの音色特性を制御し、指定年代の音色特性をもつ楽音信号を生成するように指示する。
ステップS2のボイス設定処理の後は、ステップS3で、楽音特性のうちベロシティ特性の設定に関係するベロシティ変換テーブルを設定する。つまり、楽器のベロシティ特性も現代から年代が古くなるに従って一定の一方向に変化していると見做すことができるので、現代の楽器のベロシティ特性から一定の一方向変化に従って指定年代のベロシティ特性を再現するようにした変換アルゴリズムを決定し、この変換アルゴリズムを指定年代に対応するベロシティ変換テーブルとして設定する。例えば、ピアノの場合は、図3に示すように、現代(2000年)のピアノを元に考え、年代が古くなるにつれて(→1900年→1700年)、ダイナミックレンジが狭く、そして、感度が良くて軽いタッチに感じられるように、所定の音高或いは音高域毎にベロシティ変換テーブルを設定する。
そして、ステップS3のベロシティ変換テーブル設定の後は、ステップS4で、年代指定スイッチ15aのユーザ操作により年代情報が変更された否かを判定する。ここで、年代情報が変更されたときは(S4=YES)、RAM2上の年代情報を更新し、ステップS2,S3にて、新たに指定された年代情報に応じてボイス設定処理及びベロシティ設定処理を行い、年代情報が変更されないときには(S4=NO)、ステップS5に進む。
ステップS5では発音指示があったか否かを判定する。この発音指示は、典型的には、鍵盤などの演奏操作子14の操作に基づく演奏データによるが、内部シーケンサ機能による記憶手段(3,4)等からの自動演奏データや、外部MIDI機器MDなどから各種I/F10,11を介して供給される演奏データであってもよい。ここで、発音指示がないときは(S5=NO)、ステップS4に戻り、発音指示があったときには(S5=YES)、ステップS6,S7の発音処理を行った後、ステップS4に戻る。
発音処理の第1ステップS6では、演奏データ中のノート番号情報でベロシティ変換テーブルを参照して演奏データ中のベロシティ情報を変換し、次の第2ステップS7で、同ノート番号情報と、ステップS2のボイス設定処理で設定された内容及びステップS6で変換されたベロシティ情報に基づく発音を音源SGに指令する。なお、この発音指令は、例えば、MIDI演奏データ中のノートオンメッセージで示され、そこにはノート番号情報とベロシティ情報が含まれている。
〔ボイス(音色)設定処理の第1実施形態〕
この発明の一実施例による電子楽器では、音源データの音色特性の制御によって、指定された年代の音色特性をもつ楽音信号を音源に生成させるボイス(音色)設定処理が種々の実施形態で実行される。図4及び図5は、この発明の第1実施形態によるボイス設定処理〔1〕を説明するための図である。第1実施形態では、発音用の音源データに波形データが用いられ、指定年代に応じて選択された1つの年代の波形データのアタック特性や周波数特性、減衰特性などの音色に関係する特性を、指定年代に基づいて各種音色制御テーブルに従い制御することにより、当該指定年代の楽器音色をシミュレートする。例えば、指定年代(例えば、1760年)に最も近い年代(例えば、1800年)の波形データAを選択し(Ws)、指定年代と選択された波形データAの年代との差に基づいて、波形データAのアタック特性(アタック強調)やディケイ特性(減衰早く)等のエンベロープ特性及び周波数特性(EQ高域強調)を制御する(Eq,Eg,Vc,Lca)。なお、後述する第2及び第3実施形態では、指定年代(1760年)に最も近い新旧2つの年代(1800年及び1700年)の音源データを指定年代と各年代との差に応じて合成する。
さて、第1実施形態においては、音源SGは図4(3)の機能ブロック図で示されるように構成される。音源データ記憶部及び音源データ選択読出し部は夫々波形セット記憶部Wm及び波形選択読出し部Wsで構成され、楽音特性制御部はEQ(イコライザ)部Eq、エンベロープジェネレータ部Eg、ベロシティ変換部Vc及び音量制御部Lcaで構成される。波形セット記憶部Wmには、各年代の楽器音を所定音高或いは音高域毎にサンプリングした多数の波形データを各年代の波形セットとして複数セット記憶される。波形選択読出し部Wsは、これらの波形セットの中から、年代指定スイッチ15aのユーザ操作による年代情報に対応する年代の波形セットを選択し、さらに、選択された年代の波形セットから、演奏データ中のノート番号情報に対応する音高の波形データを読み出す。
例えば、波形セット記憶部Wmに1800年及び1700年の波形セットA,Bが記憶されており(1701〜1799年間については、波形セットが記憶されていない)、図4(3)のシミュレーションの模式図に示すように、ユーザにより1760年が指定された場合、データ処理部DPの年代評価機能により、指定年代=1760年と波形セットA,Bの年代との差(年代差)を求め、年代差が小さい方の1800年の波形セットAを選択すべきとする波形セット選択信号が波形選択読出し部Wsに与えられる。従って、波形選択読出し部Wsは、指定された年代に最も近い波形セットとして波形セットAを選択し、この波形セットAからノート番号に対応する音高の波形データを読み出す。
EQ部は、波形選択読出し部Wsで読み出された波形セットAの波形データの周波数特性を「EQ高域強調」テーブルに基づくEQゲインの設定値に従って制御し、指定された年代の楽器音の周波数特性をシミュレートする。エンベロープジェネレータ部Egは、音量制御部Lcaを通じて、この波形データのアタック特性及び減衰特性をそれぞれ「アタック強調」テーブル及び「減衰早く」テーブルに基づくアタック(レベル)及びディケイ(タイム)の設定値に従って制御し、指定された年代の楽器音のアタック特性及び減衰特性をシミュレートする。
図5は、「アタック強調」テーブル、「EQ高域強調」テーブル及び「減衰早く」テーブルによるアタック特性、周波数特性及び減衰特性の制御を説明するための図である。「アタック強調」テーブルは、指定された年代及び選択された波形セットの年代間の「年代差」と音量変化を付与するエンベロープジェネレータ部Egに対する「アタック(レベル)の設定値」とを対応付けるテーブルであり、ピアノの場合、図5(1)のようなアタック特性を与える。「アタック強調」テーブルにより、図示の“a”〜“e”のように、指定された年代が波形セットの年代よりも古くなるに従ってアタックが強調される。すなわち、図5(1)の実線“c”は、制御されない波形セット(指定年代)のアタック特性を表わし、年代が古くなるにつれて破線“d”,“e”のようにアタックが強調され、年代が新しくなるにつれて一点鎖線“b”,“a”のようにアタック特性が弱められる。なお、ここではアタックレベルGaのみを変化させているが、アタックタイムなどを変えてもよい。また、より複雑な変化をするものでもよい。
「EQ高域強調」テーブルは、指定された年代及び選択された波形セットの年代間の「年代差」とEQ部Eqに対する「EQゲインの設定値」とを対応付けるテーブルであり、ピアノの場合、図5(2)のような周波数特性を与える。「EQ高域強調」テーブルにより、図示のように、指定年代が波形セットの年代よりも古くなるに従って、図示の“a”〜“e”のように、高周波数領域(高域)側ではEQゲインGbが大きくなり、低周波数領域(低域)側ではEQゲインGbが小さくなる周波数f−EQゲインGb特性が設定され、高域が強調される。すなわち、図5(2)の実線“c”は、制御されない指定年代のフラットなゲイン特性を表わし、年代が古くなるにつれて破線“d”,“e”のようにゲインが制御され、年代が新しくなるにつれて一点鎖線“b”,“a”のようにゲインが制御される。なお、ここではゲインGbのみが変化するようにしているが、ピークの周波数位置やQなどを変えてもよい。また、より複雑な変化をするものでもよい。
「減衰早く」テーブルは、指定された年代及び選択された波形セットの年代間の「年代差」とエンベロープジェネレータ部Egに対する「ディケイ(タイム)の設定値」とを対応付けるテーブルであり、ピアノの場合、図5(3)のようなディケイ特性を与える。「減衰早く」テーブルにより、指定年代が波形セットの年代よりも古いくなるに従って減衰が早められる。すなわち、図5(3)の実線“c”は、制御されない指定年代のディケイ特性を表わし、年代が古くなるにつれて破線“d”,“e”のようにディケイタイムtj,tiを短く減衰を早め、年代が新しくなるにつれて一点鎖線“b”,“a”のようにディケイタイムを長くする。なお、ここではディケイ開始からのディケイタイムti,tj,…のみを変化させているが、ディケイレベルGcなどを変えてもよい。また、より複雑な変化をするものでもよい。
ベロシティ変換部Vcは、先に説明したように(図2:S3,S6)、演奏データ中のベロシティ情報をベロシティ変換テーブルに従って変換する機能を実行し、変換されたベロシティ情報を音量制御部Lcaに送る。そして、音量制御部Lcaは、エンベロープジェネレータ部Egからの音量変化情報及びベロシティ変換部Vcからの変換されたベロシティ情報に基づいて、EQ部Wqから入力される波形データの音量レベルを制御し、音量制御された波形データを楽音信号としてサウンドシステム17に出力する。第1実施形態では、1つの波形セットから指定年代の楽器音が求められるので、最も単純な形として、楽器の進化過程における波形セットを1つしか持たない構成で実施することができる。
図4(1)の第1実施形態のボイス設定処理〔1〕は、図2のメイン処理におけるステップS2で実行され、上述のような音色に関係する楽音特性の制御を行うための設定を行う。ボイス設定処理〔1〕の最初のステップV11では、発音に用いる波形セット群から、指定された年代情報に最も近い年代の波形セットを選択する。ここで、指定された年代情報が波形セット記憶部Wmに記憶された波形セットの年代と一致する場合は、ステップV12,V13の処理をスルーして直ちにステップV14に進み、当該波形セットを選択するだけで上述したアタック特性、周波数特性及び減衰特性の制御をしないように音源SGに設定し、その後、メイン処理のステップS3にリターンする。
一方、指定年代が波形セット記憶部Wm内の波形セットの年代に一致しない場合には、ステップV12,V13の処理を行ってからステップV14に進む。ステップV12では、指定された年代と選択された波形セットの年代との年代差を求め、次のステップV13で、選択された波形セットに関連付けられた各種音色テーブルに基づいて、年代差の値に割り当てられた設定値をそれぞれ求める。ここで、各種音色テーブルとは、上述した「アタック強調」テーブル、「EQ高域強調」テーブル及び「減衰早く」テーブルであり、年代差に対応するアタック(レベル)、EQゲイン及びディケイ(タイム)の設定値が求められる。そして、ステップV14において、ステップV13で求めた設定値を音源に設定し、その後、メイン処理のステップS3にリターンする。
〔ボイス(音色)設定処理の第2実施形態〕
この発明の一実施例による電子楽器では、第2及び第3実施形態によるボイス(音色)設定処理〔2〕,〔3〕に従って、指定年代に応じて複数の年代の音源データセットを選択し、選択した複数年代の音源データセット間の音源データ合成により当該指定年代の楽器音をシミュレートすることができる。図6は、この発明の第2実施形態によるボイス設定処理〔2〕を説明するための図である。第2実施形態では、発音用の音源データに波形データが用いられ、指定年代に応じて2つ年代の波形セットを選択し両波形セットの波形データをミキシングすることにより、当該指定年代の楽器音色をシミュレートする。
第2実施形態においては、音源SGは図6(3)の機能ブロック図で示されるように構成される。音源データ記憶部並びに音源データ選択読出し部は、それぞれ、波形セット記憶部Wm並びに第1及び第2波形選択読出し部Ws1,Ws2で構成され、楽音特性制御部はミキサ部Mx、ベロシティ変換部Vc及び音量制御部Lcbで構成される。波形セット記憶部Wmには、第1実施形態と同様に、各年代の楽器音を所定音高或いは音高域毎にサンプリングした多数の波形データを各年代の波形セットとして複数セット記憶される。第1及び第2波形選択読出し部Ws1,Ws2は、これらの波形セットの中から、年代指定スイッチ15aのユーザ操作による年代情報に対応する2つ年代の波形セットを選択し、さらに、選択された各年代の波形セットから、演奏データ中のノート番号情報に対応する音高の波形データを読み出す。
例えば、波形セット記憶部Wmに1800年及び1700年の波形セットA,Bが記憶されており(1701〜1799年間は波形セットが記憶されていない)、図6(2)のシミュレーションの模式図に示すように、ユーザにより1760年が指定された場合、データ処理部DPの年代評価機能により、指定年代=1760年に対して新旧2方向に最も近い年代である1800年及び1700年の波形セットA,Bを波形セット記憶部Wmから選択すべきとする第1及び第2波形セット選択信号を第1及び第2波形選択読出し部Ws1,Ws2に与えると共に、両波形セットA,Bの年代と指定年代と間の年代差1,2を求め、さらに、求めた年代差1,2からミキサ部Mxに与えるミキシング比を算出する。このミキシング比は、例えば、ミキサ部Mxから出力される波形データにおける波形セットA,B成分の割合が「年代差2:年代差1」になるように設定される。
第1及び第2波形選択読出し部Ws1,Ws2は、第1及び第2波形セット選択信号に従って指定年代から新旧2方向に最も近い年代の第1及び第2波形セットA,Bを選択し、この波形セットAからノート番号に対応する音高の波形データを読み出し、ミキサ部Mxは、与えられたミキシング比に応じて両波形セットA,Bをミキシングする。これにより、指定された年代の楽器音の音色特性をシミュレートする。なお、第1実施形態で説明したEQ処理、アタック処理、ディケイ処理を同時にやってもよい。
ベロシティ変換部Vcは、先に説明したように(図2:S3,S6)、演奏データ中のベロシティ情報をベロシティ変換テーブルに従って変換する機能を実行し、変換されたベロシティ情報を音量制御部Lcbに送り、音量制御部Lcbは、変換されたベロシティ情報に基づいて、ミキサ部Mxから入力される波形データの音量レベルを制御し、音量制御された波形データを楽音信号としてサウンドシステム17に出力する。
図6(1)の第2実施形態のボイス設定処理〔2〕は、図2のメイン処理におけるステップS2で実行され、上述した音色特性のシミュレーションを行うための設定を行う。ボイス設定処理〔2〕の最初のステップV21では、発音に用いる波形セット群から、指定された年代情報よりも新しく最も近い年代の第1波形セットを選択するように第1波形選択読出し部Ws1に指示する。なお、指定された年代が波形セット記憶部Wmに記憶された何れかの波形セットの年代と一致する場合には、音源SGに対応して、当該波形セットを選択するように第1波形選択読出し部Ws1に指示し当該波形セットの波形データをそのまま通過させるようにミキサ部Mxに指示するだけで、ステップV22〜V25の処理をスルーして直ちにメイン処理のステップS3にリターンする。
ステップV21で第1波形セットを選択した後は、ステップV22に進み、指定された年代と第1波形セットの年代との年代差1を求め、さらに、ステップV23に進む。ステップV23では、発音に用いる波形セット群から、指定された年代情報よりも古く最も近い年代の第2波形セットを選択するように第2波形選択読出し部Ws2に指示し、続くステップV24で、指定された年代と第2波形セットの年代との年代差2を求める。そして、ステップV25にて、年代差1と年代差2とからミキシング比を求め、ミキサ部Mxに設定し、その後、メイン処理(図2)のステップS3にリターンする。
〔ボイス(音色)設定処理の第3実施形態〕
図7は、この発明の第3実施形態によるボイス設定処理〔3〕を説明するための図である。第3実施形態では、楽器音波形を生成するための特徴パラメータが発音用の音源データに用いられ、指定年代に応じて2つ年代の波形データを選択すると共にこれらの波形データをミキシングすることにより、当該指定年代の楽器音色をシミュレートすることができ、音源SGは図7(2)の機能ブロック図で示されるように構成される。
音源データ記憶部並びに音源データ選択読出し部は、それぞれ、パラメータセット記憶部Pm並びに第1及び第2パラメータ選択読出し部Ps1,Ps2で構成され、楽音特性制御部は再合成部Rc、ベロシティ変換部Vc及び音量制御部Lcbで構成される。パラメータセット記憶部Pmには、各年代の楽器音波形を分析して得られた所定音高或いは音高域毎の多数の特徴パラメータを各年代のパラメータセットとして複数セット記憶される。特徴パラメータは、例えば、サンプリングされた楽音波形の特徴的な部分を切り出した時間的断片(極く短い波形)と、再合成するためにそれらの変形や組み合わせ方とを表わすベクトルデータであり、或いは、サンプリング楽音波形を時間周波数分析(例えば短時間FFT、ウェーブレット変換など)して得られる部分音に関する値(例えば、時間、位相、強度など)を表わすパラメータである。
第1及び第2パラメータ選択読出し部Ps1,Ps2は、第2実施形態の波形選択読出し部Ps1,Ps2と同様に、これらのパラメータセットの中から、年代指定スイッチ15aのユーザ操作による年代情報に対応する2つ年代のパラメータセットを選択し、さらに、選択された各年代のパラメータセットから、演奏データ中のノート番号情報に対応する音高のパラメータを読み出す。例えば、パラメータセット記憶部Pmに1800年及び1700年のパラメータセットA,Bが記憶されており(1701〜1799年間はパラメータセットが記憶されていない)、図6(2)と同様に、ユーザにより1760年が指定された場合、指定年代に対して新旧2方向に最も近い年代である1800年及び1700年のパラメータセットA,Bをパラメータセット記憶部Pmから選択すべきとする第1及び第2パラメータセット選択信号を第1及び第2パラメータ選択読出し部Ps1,Ps2に与えると共に、両パラメータセットA,Bの年代と指定年代との間の年代差1,2を求め、さらに、求めた年代差1,2から再合成部Rcに与える補間比を算出する。
第1及び第2パラメータ選択読出し部Ps1,Ps2は、第1及び第2パラメータセット選択信号に従って指定年代から新旧2方向に最も近い年代の第1及び第2パラメータセットA,Bを選択し、このパラメータセットAからノート番号に対応する音高のパラメータを読み出し、再合成部Rcは、与えられた補間比に応じて両パラメータセットA,Bの特徴パラメータを補間し、補間されたパラメータを使って所謂「分析合成処理」により中間の楽音データを生成する(モーフィング)ことにより、指定された年代の楽器音の音色特性をシミュレートする。このような分析合成処理は、例えば、特許文献1に示されるように、特徴パラメータとして前述したベクトルデータを用い、これを補間したパラメータを元にして再合成を行い中間的な楽音波形データを生成したり、或いは、特徴パラメータとして前述した部分音パラメータを用い、これを補間したパラメータを逆変換して再合成を行い中間的な楽音波形データを生成する。
特開2001−100759号公報
ベロシティ変換部Vcは、先に説明したように(図2:S3,S6)、演奏データ中のベロシティ情報をベロシティ変換テーブルに従って変換する機能を実行し、変換されたベロシティ情報を音量制御部Lcbに送り、音量制御部Lcbは、変換されたベロシティ情報に基づいて、再合成部Rcから入力される波形データの音量レベルを制御し、音量制御されたパラメータを楽音信号としてサウンドシステム17に出力する。
図7(1)の第3実施形態のボイス設定処理〔3〕は、図2のメイン処理におけるステップS2で実行され、上述した音色特性のシミュレートを行うための設定を行う。ボイス設定処理〔3〕の最初のステップV31では、発音に用いるパラメータセット群から、指定された年代情報よりも新しく最も近い年代の第1パラメータセットを選択するように第1パラメータ選択読出し部Ps1に指示する。なお、指定された年代がパラメータセット記憶部Pmに記憶された何れかのパラメータセットの年代と一致する場合には、当該パラメータセットを選択するように第1パラメータ選択読出し部Ps1に指示し当該パラメータセットのパラメータに従って再合成するようにミキサ部Mxに指示するだけで、ステップV32〜V35の処理をスルーして直ちにメイン処理のステップS3にリターンする。
ステップV31で第1パラメータセットを選択した後は、ステップV32に進み、指定された年代と第1パラメータセットの年代との年代差1を求め、さらに、ステップV33に進む。ステップV33では、発音に用いるパラメータセット群から、指定された年代情報よりも古く最も近い年代の第2パラメータセットを選択するように第2パラメータ選択読出し部Ps2に指示し、続くステップV34で、指定された年代と第2パラメータセットの年代との年代差2を求める。そして、ステップV35にて、年代差1と年代差2とから補間比を求め、再合成部Rcに設定し、その後、メイン処理(図2)のステップS3にリターンする。
〔種々の実施態様〕
以上、図面を参照しつつこの発明の好適な実施例を詳述したが、この実施例は単なる一例であって、この発明の精神を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、調律を、年代ごとに主流だったものに変えるようにしてもよい。
また、年代設定で設定操作子15aを操作したらOKボタンを用いることなく年代情報が変更されたと判断し、ボイス設定処理やベロシティ変換テーブルの設定をするようにしてもよい。さらに、年代設定を不揮発的に外部記憶装置などに記憶しておき、次回の電源投入時にその設定を初期設定として呼び出すようにしてもよい。
この発明の一実施例による電子楽器のシステム構成概要図である。 この発明の一実施例によるメイン処理を表わすフローチャートである。 この発明の一実施例におけるベロシティ変換テーブルの特性を説明するための図である。 この発明の第1実施形態によるボイス設定処理及び音源機能を説明するための図である。 この発明の第1実施形態におけるボイス設定用各種テーブルによる音色の制御特性を説明するための図である。 この発明の第2実施形態によるボイス設定処理及び音源機能を説明するための図である。 この発明の第3実施形態によるボイス設定処理及び音源機能を説明するための図である。
符号の説明
16a;15a ディスプレイ画面及び年代指定用操作子、
Wm;Pm 音源データセット(波形セット、パラメータセット)記憶部、
Ws,Ws1,Ws2;Ps1,Ps2 音源データ(波形、パラメータ)選択読出し部。

Claims (3)

  1. 複数の年代の楽器音をサンプリングした波形データを音源データとして記憶した音源データ記憶手段と、
    ユーザ操作に応じて新旧の度合いを年代で指定する新旧度指定手段と、
    新旧度指定手段により指定された年代に応じて、音源データ記憶手段に記憶された複数の年代の波形データから所定年代の波形データを選択する音源データ選択手段と、
    新旧度指定手段により指定された年代に基づいて、音源データ選択手段により選択された所定年代の波形データのアタック特性、周波数特性及び減衰特性の少なくとも何れか1つの特性を制御し、当該指定された年代の楽器音をシミュレートした楽音信号を生成するシミュレーション手段であって、該アタック特性については、当該指定された年代が当該所定年代よりも古くなるに従ってゲインが大きくなり、該周波数特性については、当該指定された年代が当該所定年代よりも古くなるに従ってイコライザの低域のゲインが小さくなると共に、当該指定された年代が当該所定年代よりも古くなるに従ってイコライザの高域のゲインが大きくなり、該減衰特性については、当該指定された年代が当該所定年代よりも古くなるに従ってゲインが早く立ち下がるように制御するものと
    を具備することを特徴とする電子楽器。
  2. 前記シミュレーション手段は、前記新旧度指定手段により指定された年代に基づいて楽音信号の発音強度を変化させることを特徴とする請求項1に記載の電子楽器。
  3. 複数の年代の楽器音をサンプリングした波形データを音源データとして記憶した音源データ記憶手段を具備し、電子楽器として機能するコンピュータに、
    ユーザ操作に応じて新旧の度合いを年代で指定する新旧度指定ステップと、
    新旧度指定ステップで指定された年代に応じて、音源データ記憶手段に記憶された複数の年代の波形データから所定年代の波形データを選択する音源データ選択ステップと、
    新旧度指定ステップで指定された年代に基づいて、音源データ選択ステップで選択された所定年代の波形データのアタック特性、周波数特性及び減衰特性の少なくとも何れか1つの特性を制御し、当該指定された年代の楽器音をシミュレートした楽音信号を生成するシミュレーションステップであって、該アタック特性については、当該指定された年代が当該所定年代よりも古くなるに従ってゲインが大きくなり、該周波数特性については、当該指定された年代が当該所定年代よりも古くなるに従ってイコライザの低域のゲインが小さくなると共に、当該指定された年代が当該所定年代よりも古くなるに従ってイコライザの高域のゲインが大きくなり、該減衰特性については、当該指定された年代が当該所定年代よりも古くなるに従ってゲインが早く立ち下がるように制御するものと
    から成る手順を実行させる演奏処理プログラム。
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