JP2005279624A - カーボンナノチューブの製造用触媒、製造方法及び製造装置 - Google Patents

カーボンナノチューブの製造用触媒、製造方法及び製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】550℃以下の温度で作用する触媒を発見して、ガラス基板などを軟化させずにカーボンナノチューブを高効率に合成できる新規なカーボンナノチューブ製造方法及び製造装置を開発する。
【解決手段】本発明に係るカーボンナノナノチューブ製造用触媒は、Fe元素とAl元素を含有し、又はCo元素とTi元素を含有する点に特徴を有する。この組み合わせ触媒は本発明者等によって初めて発見されたものであり、この組み合わせ触媒により初めてカーボンナノチューブを550℃以下で低温合成することに成功した。触媒基板がガラス基板2の場合には、基板温度は550℃以下に調整され、ガラス基板が軟化することは無い。従って、この方法によって製造されたカーボンナノチューブが成長したガラス基板は、そのままFED用の電子源として利用することができる。
【選択図】 図1

Description

本発明はカーボンナノチューブの製造用触媒に関し、更に詳細には、ガラス基板などのように軟化温度や融点の低い基体に触媒を保持し、基体を軟化させない程度の低温度で触媒上にカーボンナノチューブを効率的に成長させることができるカーボンナノチューブの製造用触媒、製造方法及び製造装置に関する。
1991年に炭素のアーク放電堆積物の中にヘリカル構造をしたカーボンナノチューブが発見され、この発見に触発されて、カーボンナノチューブの量産研究が開始された。アーク放電ではカーボンナノチューブ以外にアモルファス炭素などの不純物が生成され、しかも大量合成は困難であることが認識されつつある。
1994年にアメリンクス等(Amelinckx,X.B.Zhang,D.Bernaerts,X.F.Zhang,V.Ivanov and J.B.Nagy,SCIENCE,265(1994)635:非特許文献1)が、触媒を用いてカーボンナノチューブの合成に成功した。彼らの製造方法は、Co、Fe、Niのような金属触媒を微小粉に形成し、この触媒近傍を700℃以上に加熱し、この触媒に接触するようにアセチレンやベンゼンのような有機ガスを流通させ、これらの有機分子を分解する方法である。しかし、生成されたカーボンナノチューブの形状は様々で、直線状、曲線状、平面スパイラル状、コイル状などのカーボンナノチューブが混在していた。
一方、直線状のカーボンナノチューブの生成効率を向上させる研究が行われた。1994年にセラフィン等(Supapan Seraphin and Dan Zhou,Applied Physics Letters,Vol.64(1994)pp.2087−2089:非特許文献2)は、混合触媒を用いてカーボンナノチューブの生成実験を行った。彼らの混合触媒は、Fe/Ni、Ni/Mg、Ni/Ti、Co/Ni、Co/Cuの5種類である。製造されたカーボンナノチューブは主として単層カーボンナノチューブであり、生成効率はそれ程上昇しないことが分かった。
これらの研究以後、触媒CVD法を用いてカーボンナノチューブの大量合成の研究が行われている。これらの研究の殆どは、アセチレンなどの原料ガスを700℃以上に加熱された触媒で分解し、触媒上にカーボンナノチューブを生成させる方法である。従って、触媒を保持する基体は700℃以上の耐熱性を有することが前提になっている。
Amelinckx,X.B.Zhang,D.Bernaerts,X.F.Zhang,V.Ivanov and J.B.Nagy,SCIENCE,265(1994)635 Supapan Seraphin and Dan Zhou,Applied Physics Letters,Vol.64(1994)pp.2087−2089
カーボンナノチューブの利用法は各種検討されているが、その中でもカーボンナノチューブの電界放出特性を利用した電界放出型ディスプレイ(以後FEDという。Field Emission Display)が有力視されている。このFEDはガラス基板にナノチューブを立設させ、放出された電子を蛍光体に衝突させて画像表示するものである。
ガラス基板にカーボンナノチューブを立設する技術として、ガラス基板上にカーボンナノチューブ製造用触媒を固定し、この触媒上にカーボンナノチューブを垂直成長させる方法が考えられている。このとき、問題になるのは、ガラス基板の軟化点(軟化温度)以下でカーボンナノチューブを成長させることが必要になる。
ガラスの軟化点はガラスの種類により変化するが、例えば耐熱ガラスでも690℃、745℃、900℃などである。非耐熱ガラスになると、軟化点は更に低下し、570℃などの例がある。従って、このような、低い軟化点を有するガラス基板に触媒を固定して、700℃以上の炉壁温度でカーボンナノチューブを成長させると、カーボンナノチューブが成長してもガラスが軟化するため、とてもFED用に用いることができなくなる。つまり、ガラスを軟化させないでカーボンナノチューブを製造するためには、ガラスを軟化させない臨界温度として550℃を設定し、この臨界温度以下でカーボンナノチューブを成長させる方法を発見する必要がある。
従って、本発明の目的は、550℃以下の温度でカーボンナノチューブが成長する触媒を発見して、基板として使用されるガラスなどを軟化させずにカーボンナノチューブを高効率に垂直成長させることであり、この触媒を使用した新規なカーボンナノチューブ製造方法及び製造装置を提供することである。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の第1の形態は、Fe元素とAl元素を含有するカーボンナノナノチューブ製造用触媒である。
本発明の第2の形態は、Co元素とTi元素を含有するカーボンナノナノチューブ製造用触媒である。
本発明の第3の形態は、前記各元素の純金属膜が積層されたカーボンナノナノチューブ製造用触媒である。
本発明の第4の形態は、前記元素が合金として含有されるカーボンナノナノチューブ製造用触媒である。
本発明の第5の形態は、前記各元素が金属化合物として含有されるカーボンナノナノチューブ製造用触媒である。
本発明の第6の形態は、第1〜第5形態において、前記触媒を炭化したカーボンナノナノチューブ製造用触媒である。
本発明の第7の形態は、第1〜第6形態のいずれかのカーボンナノチューブ製造用触媒を炉壁温度で550℃以下に加熱された反応室に配置し、この反応室に予熱された原料ガスを供給して、前記触媒にカーボンナノチューブを成長させるカーボンナノチューブの製造方法である。
本発明の第8の形態は、前記原料ガスの予熱温度が100℃以上のガス温度に設定されるカーボンナノチューブの製造方法である。
本発明の第9の形態は、成長したカーボンナノチューブを酸化雰囲気で加熱してカーボンナノチューブの純度を向上させるカーボンナノチューブの製造方法である。
本発明の第10の形態は、前記第1〜第6のいずれかのカーボンナノチューブ製造用触媒が配置された反応室と、反応室の前段に設けられた予熱室と、予熱室を加熱する予熱ヒータと、反応室を炉壁温度で550℃以下に加熱する反応ヒータと、原料ガスを予熱室で予熱した後に反応室に供給してカーボンナノチューブを成長させるカーボンナノチューブ製造装置である。
本発明の第1の形態によれば、Fe元素とAl元素を含有するカーボンナノナノチューブ製造用触媒が提供されるから、炉壁温度が550℃以下の反応室でこの触媒上にカーボンナノチューブを略垂直に高効率に成長させることができる。Fe元素とAl元素の組み合わせ触媒は本発明者等によって初めて発見されたものであり、この組み合わせにより初めてカーボンナノチューブを低温合成することに成功した。触媒基板がガラス基板の場合には、基板温度は550℃以下に調整され、ガラス基板が軟化することは無い。従って、この方法によって製造されたカーボンナノチューブが成長したガラス基板は、そのままFED用の電子源として利用することができる。勿論、基板が耐熱性基板の場合には、550℃以上の所望温度に調整されてもよく、カーボンナノチューブを高効率に成長させることができる。
本発明の第2の形態によれば、Co元素とTi元素を含有するカーボンナノナノチューブ製造用触媒が提供されるから、前記Fe元素とAl元素の場合と同様に、炉壁温度が550℃以下の反応室でこの触媒上にカーボンナノチューブを略垂直に高効率に成長させることができる。Co元素とTi元素の組み合わせ触媒は本発明者等によって初めて発見されたものであり、この組み合わせにより初めてカーボンナノチューブを低温合成することに成功した。触媒基板がガラス基板の場合には、基板温度は550℃以下に調整され、ガラス基板が軟化することは無い。従って、この方法によって製造されたカーボンナノチューブが成長したガラス基板は、そのままFED用の電子源として利用することができる。勿論、基板が耐熱性基板の場合には、550℃以上の所望温度に調整されてもよく、カーボンナノチューブを高効率に成長させることができる。
本発明の第3の形態によれば、前記各元素の純金属膜が積層されたカーボンナノナノチューブ製造用触媒が提供され、積層順位はどちらでもよい。積層方法として、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法など各種のPVD法(物理的蒸着法)やCVD法(化学的蒸着法)が使用できる。
本発明の第4の形態によれば、前記元素が合金として含有されるカーボンナノナノチューブ製造用触媒が提供されるから、FeとAl、またCoとTiが均一に混ざり合い、カーボンナノチューブを均一に高密度成長させることができる。
本発明の第5の形態によれば、前記各元素が金属化合物として含有されるカーボンナノナノチューブ製造用触媒である。金属化合物としては、金属酸化物、金属窒化物、有機金属化合物など各種の化合物が利用できる。従って、目的触媒を公知の化学的処方により自在に調製できる利点がある。
本発明の第6の形態によれば、第1〜第5形態において、前記触媒を炭化したカーボンナノナノチューブ製造用触媒である。触媒表面を炭化すると、粒子状の炭化物が形成され、この炭化物触媒によりカーボンナノチューブが効率的に成長できる。従って、550℃以下の低温合成を効率的に実現できる。特に、前述したFe/Al触媒において有効である。
本発明の第7の形態によれば、第1〜第6形態のいずれかのカーボンナノチューブ製造用触媒を炉壁温度で550℃以下に加熱された反応室に配置し、この反応室に予熱された原料ガスを供給して、前記触媒にカーボンナノチューブを効率的に成長させることができる。原料ガスは予熱されているから、触媒表面に接触すると、直ちに分解され、カーボンナノチューブの成長が急速に生起する。
本発明の第8の形態によれば、前記原料ガスの予熱温度が100℃以上のガス温度に設定されるから、より効率的にカーボンナノチューブを製造することができる。
本発明の第9の形態によれば、成長したカーボンナノチューブを酸化雰囲気で加熱してカーボンナノチューブの純度を向上させることができる。カーボンナノチューブにアモルファス層が形成されても、この酸化により、アモルファス層が除去され、高純度のカーボンナノチューブを製造できる。
本発明の第10の形態によれば、前記第1〜第6のいずれかのカーボンナノチューブ製造用触媒が配置された反応室と、反応室の前段に設けられた予熱室と、予熱室を加熱する予熱用ヒータと、反応室を炉壁温度で550℃以下に加熱する反応用ヒータと、原料ガスを予熱室で予熱した後に反応室に供給してカーボンナノチューブを成長させるカーボンナノチューブ製造装置を構成できる。予熱室により原料ガスを活性化し、この活性化した原料ガスを反応室に直ちに誘導するから、原料ガスは触媒表面で直ちに分解され、より効率的にカーボンナノチューブを製造することができる。
以下に、本発明に係るカーボンナノチューブの製造用触媒、製造方法及び製造装置の実施形態を図面に従って詳細に説明する。
図1は、本発明に係るFe/Al触媒又はCo/Ti触媒の製造方法の一例を説明する工程図である。(1A)では、ガラス基板2の上面にマスク4を配置して、Al又はTiを蒸着する。その結果、開放面5にAl又はTiの金属膜が形成される。(1B)では、その上から、Fe又はCoを蒸着し、前記金属膜上に2層目の金属膜が形成される。本形態では、Fe/Alでは、下の金属膜はAlで、上の金属膜はFeである。また、Co/Tiでは、下の金属膜はTiで、上の金属膜はCoである。この上下は逆転しても構わない。
(1C)では、ガラス基板2に触媒8が二重膜として形成された触媒体6が完成される。この例では、触媒の膜幅は2mm、奥行きは10mmに設計された。(1D)では、触媒体6の要部断面が示されている。ガラス基板2の上面に第1触媒8a(Al又はTi)と第2触媒(Fe又はCo)が積層されている。第1触媒厚hと第2触媒厚Hは、好ましくは1〜15nmの範囲に調整され、更に好ましくは3〜7nmに調整される。この実施形態では、hとHの両者は4nmに設計されている。
図2は本発明に係る二元触媒の炭化処理装置の構成図である。ガス輸送管4は耐熱性のクオーツチューブからなり、その外周に炭化ヒータ12が配置され、内部に炭化室14が形成されている。炭化室14には触媒体6が配置され、触媒8が原料ガスに曝露されるように構成される。
キャリアガスは原料ガスを送流するガスで、キャリアガスとしてはHe、Ar、Nなどの不活性ガスが使用される。原料ガスは、カーボンナノチューブを成長させる炭素供給用のガスで、炭化水素ガスが不要元素を含まない点から好適であり、C、CH、Cなどのアルカン、アルキン、アルケンなどが使用される。キャリアガスや原料ガスは上記に限定されず、カーボンナノチューブを成長させる機能を有する全てのガスが利用できる。炭化温度は550℃以下が好適であるが、炭化を効果的に生起する温度に自在に設定できる。
本実施形態では、炭化温度は450℃、500℃、550℃に調整され、He流量は230sccm、C流量は30sccm、炭化時間は30分間に調整された。
図3は450℃で炭化処理されたFe/Al触媒のFE−SEM像とAFM像である。FE−SEM像は電界放射型の走査型電子顕微鏡像であり、AFM像は原子間力顕微鏡像である。炭化処理により触媒表面が微粒子化し、左図のFE−SEM像からその粒子状態が理解される。右図はAFM像で、直線部分の断面図が下側に示されている。
図4は500℃で炭化処理されたFe/Al触媒のFE−SEM像とAFM像である。炭化処理により触媒表面が微粒子化していることが明瞭に理解できる。左図はFE−SEM像、右図はAFM像で、直線部分の断面図が下側に示されている。図3と比較して、炭化処理温度が50℃だけ高いため、粒子の直径と高さが大きくなっていることが分かる。
図5は、450℃と500℃の炭化処理を受けたFe/Al触媒の粒子分布図である。横軸は粒子の高さ(Size)を示し、縦軸は粒子の個数(Number)を示している。(5A)は450℃の粒子分布図で、12nmがその略中央値である。(5B)は500℃の粒子分布図で、18nmがその略中央値である。炭化温度が上昇すると、粒子高さが大きくなり、しかも粒度が均一化する傾向にあることが理解できる。
図6は、本発明に係るカーボンナノチューブ製造装置の概略構成図である。炭化処理された前記Fe/Al触媒を用いてカーボンナノチューブの合成試験が行われた。ガス輸送管20は前段の予熱室Aと後段の反応室Bに二分されている。予熱室Aは第1予熱ヒータ22aと第2予熱ヒータ22bにより加熱される。この実施形態では予熱室Aは二分割されているが、1段に構成してもよく、従って第1予熱ヒータ22aと第2予熱ヒータ22bを予熱ヒータ22でまとめる。
反応室Bは反応ヒータ26により加熱され、この反応室Bに触媒体6が配置される。予熱室Aと反応室Bの炉壁温度は3個の温度センサ28により測定される。バルブ6を介して、矢印a方向に原料ガス(C)とキャリアガス(He)が供給される。Cの流量は60sccm、Heの流量は200sccmに設定された。
予熱室Aの炉壁温度は700℃、反応室Bの炉壁温度は550℃に調整された。予熱室Aでは、原料ガスを高温化して、ガス活性が高められる。炉壁温度は700℃であるが、原料ガス自体のガス温度は100℃以上に到達していることが好ましい。100℃以上になると、触媒との反応性が高まり、原料ガス分解が効率化する。反応室Bは550℃の低温に設定され、ガラス基板2を軟化させずに、カーボンナノチューブの低温合成が実現されるように構成されている。合成時間は10分間に設定された。排気ガスは排気管32からオイル34の中にバブリングされ、矢印b方向に排出される。
図7は、炭化処理されたFe/Al触媒により550℃で成長したカーボンナノチューブのSEM像である。(7A)は合成直後の垂直成長したカーボンナノチューブを示している。カーボンナノチューブの表面及び先端の一部にアモルファスカーボンが堆積していることが分かる。垂直度はかなり高く、高密度に成長しており、本発明によりブラシ状カーボンナノチューブの製造が可能であることが実証された。
(7B)は、600℃で大気中熱酸化された(7A)のカーボンナノチューブのSEM像である。カーボンナノチューブが成長した(7A)の触媒を大気中で600℃で1分間加熱すると、アモルファス成分が酸化されて除去され、高純度のカーボンナノチューブを実現できた。従って、アモルファス成分は熱酸化により除去できることが分かった。
図8は、炭化処理を施さないFe/Al触媒により550℃で成長したカーボンナノチューブのSEM像である。図6の装置により製造しており、ガスを700℃で予熱している。しかし、カーボンナノチューブは成長しているが、あらゆる方向に成長し、垂直成長性が低いことが分かった。Fe/Al触媒では、炭化処理すると垂直成長性が格段に向上することが実証された。
図9は、炭化処理を施さないCo/Ti触媒により550℃で成長したカーボンナノチューブのSEM像である。図6の装置により製造しており、ガスを700℃で予熱している。Co/Ti触媒では、炭化処理を行わなくても、カーボンナノチューブを高密度に垂直成長させることができた。
図10は500℃で炭化処理されたCo/Ti触媒のAFM像である。炭化処理により、Co/Ti触媒が粒子化していることが確認された。次に、この炭化されたCo/Ti触媒を用いて図6の装置でカーボンナノチューブの合成試験を行った。
図11は500℃で炭化処理されたCo/Ti触媒により成長したカーボンナノチューブのSEM像である。成長条件は図6の説明と同様である。カーボンナノチューブの先端表面にアモルファスカーボンが堆積していることが分かった。しかし、カーボンナノチューブが高密度に垂直成長し、ブラシ状カーボンナノチューブが製造できることが実証された。
前記したアモルファスカーボンを酸化するために、この触媒基板を(7B)と同様の方法で、大気中で600℃で1分間熱酸化させた。その結果、アモルファスカーボンが除去され、高純度のカーボンナノチューブを製造できることが分かった。
以上の事実から次のことが分かった。Fe/Al触媒では、炭化処理された場合にブラシ状カーボンナノチューブが製造でき、炭化処理されない場合には、ブラシ状でないカーボンナノチューブが製造できる。Co/Ti触媒では、炭化処理されても、炭化処理されなくてもブラシ状カーボンナノチューブが製造できる。また、アモルファスカーボンが堆積した場合には、熱酸化することによりアモルファスカーボンが除去できる。
図12は製造されたカーボンナノチューブのラマン分光図である。横軸はラマンシフト(Ramanshift)、縦軸は任意単位の強度(Intensity)である。実線は炭化処理されたFe/Al触媒により550℃予熱成長し、その後熱酸化されたカーボンナノチューブのラマン分光グラフ、長破線は炭化処理されないCo/Ti触媒により550℃予熱成長したカーボンナノチューブのラマン分光グラフ、短破線は比較のためにFe触媒により700℃で成長したカーボンナノチューブのラマン分光グラフである。
グラファイトの結晶性を示すGband(約1600cm−)とアモルファスカーボンのピークであるDband(約1350cm−1)の比率(G/D比)は、実線で1.15、長破線で1.37、短破線で1.26であった。本発明触媒に係るカーボンナノチューブ(実線と長破線)は、通常のFe触媒によるカーボンナノチューブ(短破線)とあまり変わらず、本発明方法がブラシ状カーボンナノチューブの製造方法に有力であることが実証された。
本発明の第1の形態によれば、Fe元素とAl元素の組み合わせ触媒により、カーボンナノチューブを低温合成することができる。触媒基板がガラス基板の場合には、基板温度は550℃以下に調整され、ガラス基板が軟化することは無い。従って、この方法によって製造されたカーボンナノチューブが成長したガラス基板は、そのままFED用の電子源として利用することができる。勿論、基板が耐熱性基板の場合には、550℃以上の所望温度に調整されてもよく、カーボンナノチューブを高効率に成長させることができる。
本発明の第2の形態によれば、Co元素とTi元素の組み合わせ触媒により、カーボンナノチューブを低温合成することができる。触媒基板がガラス基板の場合には、基板温度は550℃以下に調整され、ガラス基板が軟化することは無い。従って、この方法によって製造されたカーボンナノチューブが成長したガラス基板は、そのままFED用の電子源として利用することができる。勿論、基板が耐熱性基板の場合には、550℃以上の所望温度に調整されてもよく、カーボンナノチューブを高効率に成長させることができる。
本発明の第3の形態によれば、前記各元素の純金属膜が積層されたカーボンナノナノチューブ製造用触媒が提供される。積層方法として、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法など各種のPVD法(物理的蒸着法)やCVD法(化学的蒸着法)が使用できる。
本発明の第4の形態によれば、前記元素が合金として含有されるカーボンナノナノチューブ製造用触媒が提供され、FeとAl、またCoとTiが均一に混ざり合い、カーボンナノチューブを均一に高密度成長させることができる。
本発明の第5の形態によれば、前記各元素が金属化合物として含有されるカーボンナノナノチューブ製造用触媒が提供され、金属化合物としては、金属酸化物、金属窒化物、有機金属化合物など各種の者が利用できる。従って、目的触媒を公知の化学的処方により自在に調製できる利点がある。
本発明の第6の形態により触媒表面を炭化すると、粒子状の炭化物が形成され、この炭化物触媒によりカーボンナノチューブが効率的に成長できる。従って、550℃以下の低温合成を効率的に実現できる。
本発明の第7の形態により、原料ガスは予熱されているから、触媒表面に接触すると、直ちに分解され、カーボンナノチューブの成長が急速に生起する。
本発明の第8の形態により、原料ガスの予熱温度が100℃以上のガス温度に設定されるから、より効率的にカーボンナノチューブを製造することができる。
本発明の第9の形態により、成長したカーボンナノチューブを酸化雰囲気で加熱してカーボンナノチューブの純度を向上できる。従って、カーボンナノチューブにアモルファス層が形成されても、この酸化により、アモルファス層が除去され、高純度のカーボンナノチューブを製造できる。
本発明の第10の形態により、予熱室により原料ガスを活性化し、この活性化した原料ガスを反応室に直ちに誘導するから、原料ガスは触媒表面で直ちに分解され、より効率的にカーボンナノチューブを製造することができる。
本発明に係るFe/Al触媒又はCo/Ti触媒の製造方法の一例を説明する工程図である。 本発明に係る二元触媒の炭化処理装置の構成図である。 450℃で炭化処理されたFe/Al触媒のFE−SEM像とAFM像である。 500℃で炭化処理されたFe/Al触媒のFE−SEM像とAFM像である。 450℃と500℃の炭化処理を受けたFe/Al触媒の粒子分布図である。 本発明に係るカーボンナノチューブ製造装置の概略構成図である。 炭化処理されたFe/Al触媒により550℃で成長したカーボンナノチューブのSEM像である。 炭化処理を施さないFe/Al触媒により550℃で成長したカーボンナノチューブのSEM像である。 炭化処理を施さないCo/Ti触媒により550℃で成長したカーボンナノチューブのSEM像である。 500℃で炭化処理されたCo/Ti触媒のAFM像である。 500℃で炭化処理されたCo/Ti触媒により成長したカーボンナノチューブのSEM像である。 製造されたカーボンナノチューブのラマン分光図である。
符号の説明
2 ガラス基板
4 マスク
5 開放面
6 触媒体
8 触媒
8a 第1触媒
8b 第2触媒
10 ガス輸送管
12 炭化ヒータ
14 炭化室
20 ガス輸送管
22 予熱ヒータ
22a 第1予熱ヒータ
22b 第2予熱ヒータ
26 反応ヒータ
30 バルブ
32 排気管
34 オイル
h 第1触媒厚
H 第2触媒厚

Claims (10)

  1. Fe元素とAl元素を含有することを特徴とするカーボンナノナノチューブ製造用触媒。
  2. Co元素とTi元素を含有することを特徴とするカーボンナノナノチューブ製造用触媒。
  3. 前記各元素の純金属膜が積層された請求項1又は2に記載のカーボンナノナノチューブ製造用触媒。
  4. 前記元素が合金として含有される請求項1又は2に記載のカーボンナノナノチューブ製造用触媒。
  5. 前記各元素が金属化合物として含有される請求項1又は2に記載のカーボンナノナノチューブ製造用触媒。
  6. 前記触媒を炭化した請求項1〜5のいずれかに記載のカーボンナノナノチューブ製造用触媒。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載のカーボンナノチューブ製造用触媒を炉壁温度で550℃以下に加熱された反応室に配置し、この反応室に予熱された原料ガスを供給して、前記触媒にカーボンナノチューブを成長させることを特徴とするカーボンナノチューブの製造方法。
  8. 前記原料ガスの予熱温度が100℃以上のガス温度に設定される請求項7に記載のカーボンナノチューブの製造方法。
  9. 成長したカーボンナノチューブを酸化雰囲気で加熱してカーボンナノチューブの純度を向上させる請求項7又は8に記載のカーボンナノチューブの製造方法。
  10. 請求項1〜6のいずれかに記載のカーボンナノチューブ製造用触媒が配置された反応室と、反応室の前段に設けられた予熱室と、予熱室を加熱する予熱用ヒータと、反応室を炉壁温度で550℃以下に加熱する反応用ヒータと、原料ガスを予熱室で予熱した後に反応室に供給してカーボンナノチューブを成長させることを特徴とするカーボンナノチューブ製造装置。
JP2004127395A 2004-03-27 2004-03-27 カーボンナノチューブの製造用触媒、製造方法及び製造装置 Pending JP2005279624A (ja)

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