JP2005271497A - 液体吐出ヘッド、液体吐出装置及び液体吐出ヘッドの製造方法 - Google Patents

液体吐出ヘッド、液体吐出装置及び液体吐出ヘッドの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、液体吐出ヘッド、液体吐出装置及び液体吐出ヘッドの製造方法に関し、特に発熱素子と発熱素子を駆動するトランジスタとを一体に基板上に形成したサーマル方式によるインクジェットプリンタに適用して、PチャンネルMOS型のトランジスタをスイッチングトランジスタに用いて、このトランジスタを確実にオンオフ制御して発熱素子を効率良く駆動することができるようにする。
【解決手段】 本発明は、スイッチングトランジスタ32におけるゲート酸化膜38のゲート電極側面を窒化酸化膜39により形成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、液体吐出ヘッド、液体吐出装置及び液体吐出ヘッドの製造方法に関し、特に発熱素子と発熱素子を駆動するトランジスタとを一体に基板上に形成したサーマル方式によるインクジェットプリンタに適用することができる。本発明は、スイッチングトランジスタにおけるゲート酸化膜のゲート電極側面を窒化酸化膜により形成することにより、PチャンネルMOS型のトランジスタをスイッチングトランジスタに用いて、このトランジスタを確実にオンオフ制御して発熱素子を効率良く駆動することができるようにする。
近年、画像処理等の分野において、ハードコピーのカラー化に対するニーズが高まってきている。このニーズに対して、従来、昇華型熱転写方式、溶融熱転写方式、インクジェット方式、電子写真方式及び熱現像銀塩方式等のカラーコピー方式が提案されている。
これらの方式のうちインクジェット方式は、液体吐出ヘッドであるプリンタヘッドに設けられたノズルから記録液(インク)の液滴を飛翔させ、記録対象に付着してドットを形成するものであり、簡易な構成により高画質の画像を出力することができる。このインクジェット方式は、ノズルからインク液滴を飛翔させる方法の相違により、静電引力方式、連続振動発生方式(ピエゾ方式)及びサーマル方式に分類される。
これらの方式のうちサーマル方式は、インクの局所的な加熱により気泡を発生し、この気泡によりインクをノズルから押し出して印刷対象に飛翔させる方式であり、簡易な構成によりカラー画像を印刷することができるようになされている。
このようなサーマル方式によるプリンタヘッドは、インクを加熱する発熱素子が発熱素子を駆動するロジック集積回路による駆動回路と共に一体に半導体基板上に形成される。これによりこの種のプリンタヘッドにおいては、発熱素子を高密度に配置して確実に駆動できるようになされている。
すなわちこのサーマル方式のプリンタにおいて、高画質の印刷結果を得るためには、発熱素子を高密度で配置する必要がある。具体的に、例えば600〔DPI〕相当の印刷結果を得るためには、発熱素子を42.333〔μm〕間隔で配置することが必要になるが、このように高密度に配置した発熱素子に個別の駆動素子を配置することは極めて困難である。これによりプリンタヘッドでは、半導体基板上に駆動素子であるスイッチングトランジスタ等を作成して集積回路技術により対応する発熱素子と接続し、さらには同様に半導体基板上に作成した駆動回路により各スイッチングトランジスタを駆動することにより、簡易かつ確実に各発熱素子を駆動できるようになされている。
プリンタヘッドにおいては、このように高密度に発熱素子を配置して、各発熱素子を駆動するスイッチングトランジスタ、このスイッチングトランジスタを駆動する駆動回路がMOS(Metal Oxide Semiconductor )型電界効果型トランジスタ(金属酸化物電界効果型トランジスタ)により作成される。またこのスイッチングトランジスタにより発熱素子を0.8〜1.4〔μJ〕により発熱させ、これによりインク液滴を飛び出させるようになされている。またこのように発熱素子の発熱に係る電力は、(発熱素子の印加電圧)2 /発熱素子の抵抗値の関係で表されることにより、このスイッチングトランジスタにより8〜25〔V〕の電圧を発熱素子に印加するようになされている。
このためプリンタヘッドにおいて、駆動回路を構成するトランジスタは、ゲート入力電圧が5〔V〕以下による通常のMOSトランジスタにより構成されるのに対し、スイッチングトランジスタにおいては、ドレインのゲート側とゲートとの間に低濃度の不純物層による拡散層(オフセット領域)を作成し、この拡散層によりゲート下のチャネル形成領域とドレインとの間の電界を緩和することにより、ゲート・ドレイン間の耐圧を増大させる構成が適用されるようになされている。またこのようなスイッチングトランジスタにおいては、駆動電流のドライブ能力が高いNチャンネルMOS型のトランジスタ(以下、NMOSトランジスタと呼ぶ)により作成され、これにより従来のプリンタヘッドでは、駆動回路により直接スイッチングトランジスタを駆動するようになされている。
これに対してPチャンネルMOS型のトランジスタ(以下、PMOSトランジスタと呼ぶ)においては、NMOSトランジスタに比して、駆動電流のドライブ能力が劣るものの、耐圧の向上を図り易い特徴がある。すなわちPMOSトランジスタは、キャリアが正孔(ホール)であることにより、NMOSトランジスタに比して電界によるキャリアの加速が小さく、これによりキャリアとシリコン結晶格子との衝突によりエネルギーの高い電子が発生するいわゆるインパクトイオン化現象が発生し難いためである。因みに、このようなエネルギーの高い電子は、ゲート酸化膜への注入によりこのゲート酸化膜中にトラップ準位を発生させ、又はゲート酸化膜とシリコン基板との界面に準位を発生させ、これによりMOSトランジスタにおいては、しきい値電圧が変動し、著しい場合にはオンオフ制御が困難になる。
これにより例えば特開平10−71713号公報においては、PMOSトランジスタによる中耐圧のスイッチングトランジスタを昇圧回路で駆動するプリンタヘッドの構成が開示されるようになされている。
またさらにこのようなスイッチングトランジスタにおいては、ポリシリコンによりゲート電極が形成されるようになされており、例えば特開2000−108355号公報には、発熱素子にポリシリコンを適用して、ゲート電極と発熱素子とを同時に作成する方法が提案されるようになされている。
ところでこのようなプリンタヘッドにおいては、発熱素子を駆動する際に、スイッチングトランジスタのオン抵抗値、配線パターンの抵抗値によっても、電力が消費される。すなわち図8に示すように、スイッチングトランジスタ1のオン抵抗値、配線パターンの抵抗値(以下、これらの抵抗をまとめて寄生抵抗と呼ぶ)にあっては、発熱素子2に直列に接続されることになり、これによりトランジスタ1による駆動電圧VHにあっては、これら寄生抵抗と発熱素子2との抵抗値により分圧されて発熱素子2に印加される。これにより発熱素子2の抵抗値に対してこれら寄生抵抗の値を十分に小さくしなければ、効率良く発熱素子2を駆動できなくなる。すなわちこの場合、発熱素子2に印加される電圧は、VH×発熱素子抵抗/(発熱素子抵抗+寄生抵抗)となる。
このような寄生抵抗のうちトランジスタのオン抵抗値は、オン抵抗∝(ゲート長×ゲート酸化膜厚)の関係で表され、これによりゲート酸化膜の膜厚を薄くすることにより、オン抵抗を小さくして発熱素子の駆動に係る効率を向上することができる。
しかしながら従来のポリシリコンによるゲート電極においては、ゲート酸化膜と電極との界面で自由電子が失われてなる空乏層が形成され易く、これにより実際の膜厚に比してゲート酸化膜の厚みが見かけ上、厚くなり、トランジスタのオン抵抗値が増大する欠点がある。
この問題を解決する1つの方法として、例えば図9に示すように、金属シリサイド層とポリシリコンとの積層構造によりゲート電極を作成する方法が考えられる。すなわちこのトランジスタ3は、シリコン基板4の熱酸化によるゲート酸化膜5上に、ポリシリコン膜6、金属シリサイド膜7が積層されたポリサイド構造によりゲートGの電極が作成される。この場合、ポリシリコンのみによりゲート電極を作成する場合に比して、ゲート電極の抵抗値を小さくできることにより、その分、ゲート酸化膜5とゲートGの電極との間に形成される空乏層の厚みを薄くすることができ、これによりオン抵抗値を小さくすることができる。これによりこのようなゲート電極構造によるトランジスタにより発熱素子を駆動すれば、従来に比して一段と効率良く発熱素子を駆動して消費電力を低減することができると考えられる。なお図9に示すトランジスタ3は、ドレインDのゲートG側とゲートGとの間に拡散層8が形成され、ゲートGの両端にシリコン酸化膜によりサイドウォール9が形成されたものである。
またこのようなゲート電極構造によりPMOSトランジスタを作成すれば、耐圧マージンが広く、さらにオン抵抗値の小さなトランジスタを作成し得、これによりこのトランジスタをプリンタヘッドに適用してさらに一段と効率良く発熱素子を駆動することができると考えられる。
しかしながらこのようにPMOSトランジスタにより中耐圧のスイッチングトランジスタを作成すると、ゲート電極のポリシリコン層に添加されるボロンによりトランジスタのしきい値電圧が変動する場合があり、この場合、トランジスタのオンオフ制御が困難になる問題がある。
すなわちPMOSトランジスタに不純物として添加されるボロンは、ゲートを構成するシリコン酸化膜を突き抜け易く、図9において矢印Aにより示すように、ゲートGの電極の形成後にソースS及びドレインDの領域における不純物等を熱処理により活性化する際に、ポリシリコン膜6のボロンがゲート酸化膜5を突き抜けてチャネル形成領域に到達し、これによりこのチャネル形成領域の不純物濃度が変化してしきい値電圧が変動する。
このようなしきい値電圧の変動においては、ゲート酸化膜5の厚みを厚くすると、ボロンの突き抜けを防止して低減できるものの、その分、オン抵抗値が増大し、これにより発熱素子を効率良く駆動することができなくなる。
特開平10−71713号公報 特開2000−108355号公報
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、PチャンネルMOS型のトランジスタをスイッチングトランジスタに用いて、このトランジスタを確実にオンオフ制御して発熱素子を効率良く駆動することができる液体吐出ヘッド、液体吐出装置及び液体吐出ヘッドの製造方法を提案しようとするものである。
かかる課題を解決するため請求項1の発明においては、発熱素子と、発熱素子を駆動するPチャンネルMOS型による電界効果型トランジスタとを一体に基板上に形成し、電界効果型トランジスタによる発熱素子の駆動により液室に保持した液体を加熱して液体の液滴をノズルから飛び出させる液体吐出ヘッドに適用して、電界効果型トランジスタのゲート酸化膜のゲート電極側面が窒化酸化膜により形成されてなるようにする。
また請求項5の発明においては、液体吐出ヘッドにより液滴を飛び出させる液体吐出装置に適用して、液体吐出ヘッドが、発熱素子と、発熱素子を駆動するPチャンネルMOS型による電界効果型トランジスタとを一体に基板上に形成し、電界効果型トランジスタによる発熱素子の駆動により液室に保持した液体を加熱して液体の液滴をノズルから飛び出させ、電界効果型トランジスタのゲート酸化膜のゲート電極側面が窒化酸化膜により形成されてなるようにする。
また請求項6の発明においては、発熱素子と、発熱素子を駆動するPチャンネルMOS型による電界効果型トランジスタとを一体に基板上に形成し、電界効果型トランジスタによる発熱素子の駆動により液室に保持した液体を加熱して液体の液滴をノズルから飛び出させる液体吐出ヘッドの製造方法に適用して、電界効果型トランジスタのゲート酸化膜のゲート電極側面を窒化酸化膜により形成する。
請求項1の構成により、発熱素子と、発熱素子を駆動するPチャンネルMOS型による電界効果型トランジスタとを一体に基板上に形成し、電界効果型トランジスタによる発熱素子の駆動により液室に保持した液体を加熱して液体の液滴をノズルから飛び出させる液体吐出ヘッドに適用して、電界効果型トランジスタのゲート酸化膜のゲート電極側面が窒化酸化膜により形成されてなるようにすれば、ゲート電極を形成した後に熱処理する場合にあっても、ゲート電極に係るポリシリコン膜中で活性化したボロンのゲート酸化膜への侵入が窒化酸化膜により防止される。これによりしきい値電圧の変動を有効に回避して電界効果型トランジスタを確実にオンオフ制御可能な分、単に電界効果型トランジスタのゲート酸化膜を作成する場合に比してゲート酸化膜の膜厚を薄くすることで電界効果型トランジスタのオン抵抗値を小さくすることができる。これによりPチャンネルMOS型のトランジスタをスイッチングトランジスタに用いて、このトランジスタを確実にオンオフ制御して発熱素子を効率良く駆動することができる。
これにより請求項5、請求項6の構成によれば、PチャンネルMOS型のトランジスタをスイッチングトランジスタに用いて、このトランジスタを確実にオンオフ制御して発熱素子を効率良く駆動することができる液体吐出装置、液体吐出ヘッドの製造方法を提供することができる。
本発明によれば、PチャンネルMOS型のトランジスタをスイッチングトランジスタに用いて、このトランジスタを確実にオンオフ制御して発熱素子を効率良く駆動することができる。
以下、適宜図面を参照しながら本発明の実施例を詳述する。
(1)実施例の構成
図2は、本発明に係るラインプリンタを示す斜視図である。このラインプリンタ11は、フルラインタイプのラインプリンタであり、略長方形形状によりプリンタ本体12が形成される。このラインプリンタ11は、印刷対象である用紙13を収納した用紙トレイ14をこのプリンタ本体12の正面に形成されたトレイ出入口より装着することにより、用紙13を給紙できるようになされている。
ラインプリンタ11は、このようにトレイ出入口よりプリンタ本体12に用紙トレイ14が装着されて、ユーザーにより印刷が指示されると、このプリンタ本体12に設けられた給紙ローラの回転によりプリンタ本体12の背面側に向かって用紙トレイ14から用紙13が送り出され、プリンタ本体12の背面側に設けられた反転ローラによりこの用紙13の送り方向が正面方向に切り換えられる。ラインプリンタ11は、このようにして用紙送り方向が正面方向に切り換えられてなる用紙13が用紙トレイ14上を横切るように搬送され、ラインプリンタ11の正面側に配置された排出口よりトレイ15に排出される。
ラインプリンタ11は、上側端面に上蓋16が設けられ、この上蓋16の内側、正面方向への用紙搬送途中に、矢印Aにより示すように、ヘッドカートリッジ18が交換可能に配置される。
ここでヘッドカートリッジ18は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色によるフルラインタイプのプリンタヘッドであり、上側に各色のインクタンク19Y、19M、19C、19Kが設けられるようになされている。ヘッドカートリッジ18は、これらインクタンク19Y、19M、19C、19Kに係るプリンタヘッドのアッセンブリーであるヘッドアッセンブリー20と、このヘッドアッセンブリー20の用紙13側に設けられて、不使用時、ヘッドアッセンブリー20に設けられたノズル列を塞いでインクの乾燥を防止するヘッドキャップ21とにより構成される。これによりラインプリンタ11においては、このヘッドカートリッジ18に設けられたヘッドアッセンブリー20の駆動により、各色のインク液滴を用紙13に付着させて所望の画像等をカラーにより印刷することができるようになされている。
図3は、このヘッドアッセンブリー20を用紙13側より見てインク液滴Lの吐出に係る部分を拡大し、一部断面を取って示す斜視図である。ヘッドアッセンブリー20は、液室22の隔壁23等を作成したヘッドチップ24を順次ノズルシート25に貼り付けた後、ボンディング端子26を介してヘッドチップ24を配線して形成される。
ここでヘッドチップ24は、複数の発熱素子27、この複数の発熱素子27を駆動する駆動回路、この駆動回路の駆動に供する電源等を入力するパッド28等が形成されたものであり、ノズルシート25側から見て全体が長方形形状により形成され、この長方形形状の長辺の一辺に沿って複数の発熱素子27が所定ピッチにより配置される。
ヘッドチップ24は、この一辺側が開いてなるように、櫛の歯形状により液室22、インク流路の隔壁23が形成され、これによりこの一辺側にインク流路を形成して、このインク流路からそれぞれ対応するインクタンク19Y、19M、19C、19Kのインクを各液室22に導き得るようになされ、またこのようにして液室22に導かれたインクを発熱素子27の駆動により加熱できるようになされている。
ヘッドチップ24は、半導体ウエハの段階で、露光硬化型のドライフィルムレジストを発熱素子27側面に積層した後、フォトリソプロセスによってこのドライフィルムレジストから液室の部位等を取り除くことにより、隔壁23が形成されるようになされている。
これに対してノズルシート25は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのインクにそれぞれ対応する用紙幅によるノズル29の列が並設されたシート状部材であり、電鋳技術によりコバルトを含むニッケル材により形成される。ノズルシート25は、各ノズル29の列を間に挟んで千鳥に、各ヘッドチップ24をそれぞれボンディング端子26にワイヤボンディングする際の作業用の開口30が形成されるようになされている。
図4は、このヘッドアッセンブリー20に配置されるヘッドチップ24のノズル29を含む近傍の構成を示す断面図である。ヘッドチップ24は、半導体製造工程により、複数チップ分がシリコン基板31による半導体ウエハ上にまとめて形成された後、各チップにスクライビングされて形成される。
この実施例においては、発熱素子27の駆動に供する中耐圧のスイッチングトランジスタ32がPMOSトランジスタにより作成され、またこのスイッチングトランジスタ32のゲート電極がポリサイド構造により作成される。これによりヘッドチップ24では、従来に比して耐圧マージンが広く、オン抵抗値の小さなトランジスタをスイッチングトランジスタ32に適用して、その分効率良く発熱素子27を駆動するようになされている。
またヘッドチップ24は、このスイッチングトランジスタ32を駆動する駆動回路を構成するドライバートランジスタ33等がNMOS及びPMOSトランジスタにより作成されると共に、これらのドライバートランジスタ33等についてもスイッチングトランジスタ32と同様にポリサイド構造によるゲート電極により作成される。この実施例では、これらのトランジスタ32及び33等がほぼ同一のゲート入力電圧により動作するように作成され、これにより昇圧回路を設けることなく、ドライバートランジスタ33によりスイッチングトランジスタ32を直接駆動するようになされている。これらにより発熱素子27を駆動するスイッチングトランジスタ32においては、ゲート入力電圧が5〔V〕以下に設定されるのに対し、ゲート・ドレイン間の耐圧が、発熱素子27の駆動に係る電圧以上、少なくとも10〔V〕以上に設定されるようになされている。
ここで図5、図1、図6は、このヘッドチップ24の製造工程を示す断面図である。このヘッドチップ24は、図5(A)に示すように、膜厚100〔nm〕によりシリコン窒化膜(Si34 )が堆積された後、フォトリソグラフィー工程、リアクティブイオンエッチング工程によりシリコン基板31が処理され、これによりトランジスタ32、33を形成する所定領域以外の領域よりシリコン窒化膜が取り除かれる。これらによりヘッドチップ24は、シリコン基板31上のトランジスタを作成する領域にシリコン窒化膜が堆積される。
続いてヘッドチップ24は、熱酸化工程によりシリコン窒化膜が除去されている領域に熱シリコン酸化膜が膜厚500〔nm〕により形成され、この熱シリコン酸化膜によりトランジスタを分離するための素子分離領域(LOCOS)35が形成される。なおこの素子分離領域35は、その後の処理により最終的に膜厚260〔nm〕に形成される。
ヘッドチップ24は、続いてフォトリソグラフィー工程、イオン注入工程、熱拡散工程によりシリコン基板31が処理され、これによりシリコン基板31中にNウェル領域及びPウェル領域が形成される。
続いて図5(B)に示すように、熱処理炉において、水素と酸素とによる混合ガス(H2 /O2 )の雰囲気中で、850度により熱処理され、これにより膜厚8〜25〔nm〕による熱酸化膜36が形成される。この実施例においては、この熱酸化膜36がゲート電極の形状によりパターニングされてゲート酸化膜が形成される。なおこのゲート酸化膜の膜厚は、ソース・ドレイン間の耐圧、ゲート長、ゲート入力電圧等に基づいて、これら8〜25〔nm〕の範囲で所望の値に設定される。
続いて図1(C)に示すように、プラズマ発生源を有する窒化装置によりシリコン基板31が処理され、熱酸化膜36の表面にシリコン窒化酸化膜37が膜厚1〜4〔nm〕程度により形成され、これによりシリコン基板31の熱処理時に活性化したボロンの熱酸化膜36への侵入を防止するブロック層が形成される。
この実施例において、この窒化装置には、誘導結合型プラズマ発生装置が適用される。ここでこのプラズマ発生装置は、チェンバー外壁の周囲にコイルが配置され、このコイルにRF電源が接続されて構成される。このプラズマ発生装置においては、窒素ガスを導入した後、コイルへのRF電源の印加により窒素プラズマ放電を発生し、この窒素プラズマを加工対象であるシリコン基板31に照射する。またこのときプラズマ発生装置に内蔵の加熱機構によりシリコン基板31を加熱して室温〜400度の範囲の温度によりシリコン基板31を保持する。これによりヘッドチップ24は、この窒素プラズマの照射により主にプラズマ中の窒素ラジカル種と熱酸化膜36の表面との間で化学反応が生じ、これにより熱酸化膜36の表面にシリコン窒化酸化膜37が成長する。
なおこのようなプラズマ発生源を有する窒化装置にあっては、このような誘導結合型プラズマ発生装置に代えて、基板表面近傍において1〔eV〕以下の電子温度によるプラズマを発生可能な装置であれば、種々の装置を広く適用することができる。
このようにして熱酸化膜36の表面にシリコン窒化酸化膜37が形成されると、ヘッドチップ24は、続いて図1(D)に示すように、シリコン基板31が洗浄された後、CVD(Chemical Vapor Deposition:化学気相成長)法によりポリシリコン膜が膜厚100〔nm〕により堆積される。さらに続いてイオン注入工程によりポリシリコン膜中にボロンが注入され、活性化アニール工程によりこのポリシリコン膜中のボロン、ソース及びドレイン作成領域の不純物が活性化される。この活性化アニール工程において、熱酸化膜36の表面に形成されたシリコン窒化酸化膜37においては、ポリシリコン膜中のボロンの拡散防止層(ブロック層)として機能し、これによりスイッチングトランジスタ32におけるしきい値電圧の変動を有効に回避するようになされている。なおシリコン窒化酸化膜37においては、この活性化アニール工程の他に、以下に説明する各熱処理工程においてもポリシリコン膜中のボロンの拡散防止層として機能するようになされている。
続いてヘッドチップ24は、タングステンシリサイド膜が膜厚100〔nm〕により堆積された後、リソグラフィー工程によりトランジスタのゲート領域が露光処理され、さらに続いてSF6 +HBr系のガスを用いたドライエッチング工程により、余剰な熱酸化膜36、シリコン窒化酸化膜37、ポリシリコン膜、タングステンシリサイド膜が除去される。これによりスイッチングトランジスタ32の作成領域においては、基板31側から見てゲート酸化膜38、シリコン窒化酸化膜39、さらにこのシリコン窒化酸化膜39の上層にポリシリコン膜40、タングステンシリサイド膜41によるポリサイド構造によりゲートGの電極が形成される。
続いてイオン注入工程、熱処理工程によりシリコン基板31が処理され、ゲートGとドレインDとの間の耐圧を確保する電界緩和層が低濃度の拡散層42により形成される。さらにソースS及びドレインDの領域を形成するためのイオン注入工程、熱処理工程によりシリコン基板31が処理される。さらに続いてCVD法を用いたシリコン酸化膜(SiO2 )の堆積とリアクティブイオンエッチング法とによりゲートGの両端にサイドウォール43が形成され、これらによりMOSトランジスタ32、33等が作成される。
このようにしてスイッチングトランジスタ32をPMOSトランジスタにより作成するにつき、この実施例では、ゲート酸化膜38のゲートGの電極側面をシリコン窒化酸化膜39により形成することにより、所望のしきい値電圧により確実にオンオフ制御し得、その分単にゲート酸化膜を作成する場合に比してゲート酸化膜38の膜厚を薄くすることができるようになされている。
具体的に、トランジスタ32、33は、ゲート長2.0〔μm〕以下、ゲート入力電圧5〔V〕以下により作成されるのに対し、スイッチングトランジスタ32については、ゲート・ドレイン間の耐圧がゲート入力電圧に比して高電圧である25〔V〕程度に設定される。これによりヘッドチップ24は、ゲート入力電圧5〔V〕以下の駆動回路により直接スイッチングトランジスタ32を駆動して、このスイッチングトランジスタ32により8〜25〔V〕の電圧で発熱素子27を駆動するようになされている。
このようにしてトランジスタ32、33が作成されると、ヘッドチップ24は、続いて図6(E)に示すように、CVD法によりシリコン酸化膜であるNSG(Non-doped Silicate Glass)膜、ボロンとリンが添加されたシリコン酸化膜であるBPSG(Boron Phosphorus Silicate Glass)膜が順次膜厚100〔nm〕、500〔nm〕により作成され、これにより全体として膜厚が600〔nm〕による1層目の層間絶縁膜45が作成される。
続いてフォトリソグラフィー工程の後、C48 /CO/O2 /Ar系ガスを用いたリアクティブイオンエッチング法によりシリコン半導体拡散層(ソース・ドレイン)上にコンタクトホール46が作成される。
さらにヘッドチップ24は、希フッ酸によりシリコン基板31が洗浄され、これによりトランジスタ32、33のソースS及びドレインDの領域表面より自然酸化膜が除去される。続いてスパッタリング法により、膜厚30〔nm〕によるチタン、膜厚70〔nm〕による窒化酸化チタンバリアメタル、膜厚30〔nm〕によるチタン、シリコンが1〔at%〕添加されたアルミニューム、または銅が0.5〔at%〕添加されたアルミニュームが膜厚500〔nm〕により順次堆積される。さらに続いて反射防止膜である窒化酸化チタンが膜厚25〔nm〕により堆積され、これらにより1層目の配線パターン材料層が成膜される。
続いてヘッドチップ24は、フォトリソグラフィー工程、ドライエッチング工程により、成膜された配線パターン材料層が選択的に除去され、1層目の配線パターン47が作成される。ヘッドチップ24は、このようにして作成された1層目の配線パターン47により、ドライバートランジスタ33を接続してロジック集積回路が形成されるようになされている。
ヘッドチップ24は、続いてTEOS(テトラエトキシシラン:Si(OC254 )を原料ガスとしたCVD法により層間絶縁膜であるシリコン酸化膜が堆積される。続いてヘッドチップ24は、SOG(Spin On Glass )を含む塗布型シリコン酸化膜の塗布とエッチバックとにより、シリコン酸化膜が平坦化され、これらの工程が2回繰り返されて1層目の配線パターン47と続く2層目の配線パターンとを絶縁する膜厚440〔nm〕のシリコン酸化膜による2層目の層間絶縁膜48が形成される。
ヘッドチップ24は、続いてスパッタリング装置により膜厚50〜100〔nm〕によるβ−タンタル膜が堆積され、これによりシリコン基板31上に抵抗体膜が成膜される。なおスパッタリングの条件は、ウエハ加熱温度200〜400度、直流印加電力2〜4〔kW〕、アルゴンガス流量25〜40〔sccm〕に設定した。さらに続いてヘッドチップ24は、フォトリソグラフィー工程、BCl3 /Cl2 ガスを用いたドライエッチング工程により抵抗体膜が選択的に除去され、正方形形状により、又は一端を配線パターンにより接続する折り返し形状により、40〜100〔Ω〕の抵抗値を有する発熱素子27が形成される。
このようにして発熱素子27が形成されると、ヘッドチップ24は、CVD法により膜厚300〔nm〕によるシリコン窒化膜が堆積され、発熱素子27の絶縁保護層49が形成される。続いてフォトレジスト工程、CHF3 /CF4 /Arガスを用いたドライエッチング工程により、所定箇所のシリコン窒化膜が除去され、これにより発熱素子27を配線パターンに接続する部位が露出される。さらにCHF3 /CF4 /Arガスを用いたドライエッチング工程により、層間絶縁膜49に開口を形成してビアホール50が作成される。
さらにヘッドチップ24は、スパッタリング法により、膜厚200〔nm〕によるチタン、シリコンを1〔at%〕添加したアルミニューム、または銅を0.5〔at%〕添加したアルミニュームが膜厚600〔nm〕により順次堆積される。続いてヘッドチップ24は、膜厚25〔nm〕による窒化酸化チタンが堆積され、これにより反射防止膜が形成される。これらによりヘッドチップ24は、シリコン又は銅を添加したアルミニュームによる2層目の配線パターン材料層が形成される。
続いてフォトリソグラフィー工程、BCl3 /Cl2 ガスを用いたドライエッチング工程により配線パターン材料層が選択的に除去され、2層目の配線パターン51が作成される。ヘッドチップ24は、この2層目の配線パターン51により、電源用の配線パターン、アース用の配線パターンが作成され、またスイッチングトランジスタ32を発熱素子27に接続する配線パターンが作成される。なお発熱素子27の上層に取り残されたシリコン窒化膜49にあっては、この配線パターン作成の際のエッチング工程において、エッチングに供する塩素ラジカル種からβ−タンタルによる発熱素子27を保護する保護層として機能する。またこのシリコン窒化膜52においては、このエッチング工程において、塩素ラジカルに曝される部位が膜厚300〔nm〕から膜厚100〔nm〕に減少する。
続いてヘッドチップ24は、インク保護層、絶縁層として機能するシリコン窒化膜52がプラズマCVD法により膜厚200〜400〔nm〕により堆積される。さらに熱処理炉において、4〔%〕の水素を添加した窒素ガスの雰囲気中で、又は100〔%〕の窒素ガス雰囲気中で、400度、60分間の熱処理が実施される。これによりヘッドチップ24は、トランジスタ32、33の動作が安定化され、さらに1層目の配線パターン47と2層目の配線パターン51との接続が安定化されてコンタクト抵抗が低減される。
ヘッドチップ24は、続いて耐キャビテーション材料層が膜厚100〜300〔nm〕により堆積された後、BCl3 /Cl2 ガスを用いたパターニングにより耐キャビテーション層53が形成される。この実施例では、タンタルをターゲットに用いたDCマグネトロン・スパッタリング装置によりβ−タンタルによる耐キャビテーション層53が形成される。またこのような耐キャビテーション層53にあっては、β−タンタルに代えて、タンタルとアルミニュームとの合金を用いることも可能であり、この場合、β−タンタルの結晶粒界の間にアルミニュームが存在するようにアルミニュームの含有量を15〔at%〕程度にすれば、β−タンタル膜に比して下層の絶縁保護層への圧縮応力を低減することができる。
なおここで耐キャビテーション層53は、発熱素子27の駆動により液室22に発生した気泡が消滅する際の物理的ダメージ(キャビテーション)を吸収して発熱素子27を保護し、また発熱素子27の駆動により高温となったインクの化学作用から発熱素子27を保護する保護層である。
ヘッドチップ24は、続いて図4に示すように、感光性有機系樹脂が塗布された後、露光現像工程により液室22及びインク流路に対応する部位が取り除かれ、その後硬化され、これにより液室22の隔壁23、インク流路の隔壁23等が作成される。ヘッドチップ24は、このようにしてシリコン基板31上に作成された複数ヘッドチップ分がスクライビングされて作成される。
(2)実施例の動作
以上の構成において、このラインプリンタ11においては(図2)、印刷に供する画像データ、テキストデータ等によるヘッドカートリッジ18の駆動により、処理対象である用紙13を所定の用紙送り機構により搬送しながら、ヘッドカートリッジ18に設けられたヘッドアッセンブリー20からインク液滴が吐出され、このインク液滴が搬送中の用紙13に付着して画像、テキスト等が印刷される。
これに対応してヘッドカートリッジ18のヘッドアッセンブリー20においては(図2、図3)、インクタンク19Y、19M、19C、19Kのインクが各ヘッドチップ24に形成された液室22に導かれ、発熱素子27の駆動によるこの液室22のインクの加熱により、ノズルシート25に設けられたノズル29からインク液滴Lが吐出される。これらによりこのラインプリンタ11においては、所望の画像等を印刷することができるようになされている。
しかしてこのヘッドアッセンブリー20においては、複数の発熱素子27、この複数の発熱素子27を駆動するスイッチングトランジスタ32等を一体に形成してなるヘッドチップ24(図1、図4〜図6)と、インク液滴を吐出するノズル29によるノズル列、開口30を電鋳処理により作成してなるシート状の部材であるノズルシート25とを配置して形成される(図3)。またこのようなノズル29によるノズル列が、印刷対象の用紙幅により形成され、これによりフルラインタイプのラインヘッドが構成され、シリアルヘッドのプリンタヘッドによる場合に比して高速度に所望の画像等を印刷することができる。
この実施例に係るヘッドアッセンブリー20においては、図7に示すように、このスイッチングトランジスタ32に、NMOSトランジスタに比して耐圧の向上が図り易いPMOSトランジスタが適用されて、ドレインDのゲートG側とゲートGとの間に拡散層42が形成されて作成され、これによりこのスイッチングトランジスタ32におけるゲートGとドレインDとの間の耐圧が増大される。
またヘッドアッセンブリー20においては、このスイッチングトランジスタ32を駆動するドライバートランジスタ33等がPMOSトランジスタ及びNMOSトランジスタにより作成されると共に、これらのトランジスタ32、33のゲートGの電極がポリシリコン膜40、タングステンシリサイド膜41によるポリサイド構造により形成され、その分従来に比してゲート酸化膜38の膜厚が薄く作成される。これらによりヘッドアッセンブリー20においては、従来に比して高電圧でオン抵抗値の小さなスイッチングトランジスタ32等が作成され、これにより寄生抵抗が小さくなり、その分、発熱素子27が効率良く駆動されるようになされている。
しかしてこのように単にゲート酸化膜38上にゲートGの電極を作成した場合にあっては、基板31の熱処理時、ポリシリコン膜40に添加されるボロンが活性化してゲート酸化膜38を突き抜ける場合があり、この場合、トランジスタ32のしきい値電圧が変動し、これによりトランジスタ32のオンオフ制御が困難になる。特にこの実施例のようにゲート電極へのポリサイド構造の適用によりゲート酸化膜38の膜厚を薄く作成する場合、このようなしきい値電圧の変動が起き易くなる。
このためヘッドアッセンブリー20においては、トランジスタ32のゲート酸化膜38のゲート電極側面がシリコン窒化酸化膜39により形成され、これにより図7において矢印Aにより示すように、このシリコン窒化酸化膜39によりゲート酸化膜38へのボロンの侵入が防止される。すなわちゲート酸化膜38とポリシリコン膜40との間に形成されるシリコン窒化酸化膜39においてはポリシリコン膜40中で活性化したボロンに対して下層への拡散防止層として機能し、これによりしきい値電圧の変動が有効に回避される。
これによりヘッドアッセンブリー20においては、このようにシリコン窒化酸化膜39を作成してトランジスタ32を確実にオンオフ制御可能な分、単にトランジスタ32のゲート酸化膜を作成する場合に比してゲート酸化膜38の膜厚を薄くすることでトランジスタ32のオン抵抗値を小さくし得、これによりさらに一段と発熱素子27を効率良く駆動することができる。
これらによりヘッドアッセンブリー20においては、PチャンネルMOS型のトランジスタをスイッチングトランジスタ32に適用して、このトランジスタ32を確実にオンオフ制御して発熱素子27を効率良く駆動することができるようになされている。
具体的にこの実施例では、ゲート・ドレイン間電圧8〜25〔V〕、ゲート入力電圧5〔V〕以下、ゲート長2.0〔μm〕以下に設定し、この設定に基づいてゲート酸化膜38の膜厚8〜25〔nm〕、シリコン窒化酸化膜39の膜厚1〜4〔nm〕でPMOSトランジスタによりスイッチングトランジスタ32を作成することにより、このスイッチングトランジスタ32を確実にオンオフ制御して発熱素子27を効率良く駆動することができる。
またこのようなスイッチングトランジスタ32においては、ドレインDの領域のゲートG側とゲートGとの間にオフセット領域が設けられて、ゲート入力電圧に比してゲート・ドレイン間電圧が高電圧に設定されることにより、スイッチングトランジスタにおけるゲート・ドレイン間の電圧を増大させることができる。
またシリコン窒化酸化膜39の作成に係るゲート酸化膜38の窒化処理においては、ゲート酸化膜38の耐圧、しきい値電圧に何ら変動が生じないことにより、シリコン窒化酸化膜39の作成において十分な信頼性を確保することができる。
(3)実施例の効果
以上の構成によれば、スイッチングトランジスタにおけるゲート酸化膜のゲート電極側面を窒化酸化膜により形成することにより、PチャンネルMOS型のトランジスタをスイッチングトランジスタに用いて、このトランジスタを確実にオンオフ制御して発熱素子を効率良く駆動することができる。
またスイッチングトランジスタのゲート電極をポリサイド構造により作成することにより、従来に比してスイッチングトランジスタのオン抵抗値を小さくし得、その分さらに一段と効率良く発熱素子を駆動することができる。
またスイッチングトランジスタにおいて、ドレイン領域のゲート側とゲートとの間にオフセット領域を設けて、ゲート入力電圧に比してゲート・ドレイン間電圧を高電圧に設定することにより、スイッチングトランジスタにおけるゲート・ドレイン間電圧を増大させることができる。
なお上述の実施例においては、PMOSトランジスタとNMOSトランジスタとを同一工程で作成することにより、NMOSトランジスタについてもゲート酸化膜のゲート電極側面にシリコン窒化酸化膜を作成する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えばPMOSトランジスタとNMOSトランジスタとを別工程でそれぞれ作成することにより、NMOSトランジスタについてはシリコン窒化酸化膜の作成を省略するようにしても良い。
また上述の実施例においては、発熱素子の抵抗値を40〜100〔Ω〕により作成する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、発熱素子の抵抗値にあっては、100〔Ω〕以上により作成するようにしても良い。すなわち耐圧の向上を図り易いPMOSトランジスタによりスイッチングトランジスタを作成する場合、発熱素子の抵抗値を高くすれば、寄生抵抗の値に対する発熱素子の抵抗値の比率が増大し、その分、さらに一段と効率良く発熱素子を駆動することができる。
また上述の実施例においては、ポリサイド構造によるゲート電極によりスイッチングトランジスタを作成する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、ポリシリコン構造によるゲート電極によりスイッチングトランジスタを作成する場合にも広く適用することができる。
また上述の実施例においては、カラー印刷用のフルラインタイプのプリンタヘッドに本発明を適用して4本のノズル列を作成する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば白黒印刷用のフルラインタイプのプリンタヘッドに本発明を適用してノズル列を1本により作成する場合等、種々の本数によりノズル列を作成する場合に広く適用することができる。
また上述の実施例においては、フルラインタイプのプリンタヘッドに本発明を適用する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えばプリンタヘッドを特定方向に移動させるいわゆるシリアルタイプのプリンタヘッドに本発明を適用する場合にも広く適用することができる。
また上述の実施例においては、本発明をプリンタヘッドに適用してインク液滴を飛び出させる場合について述べたが、本発明はこれに限らず、インク液滴に代えて液滴が各種染料の液滴、保護層形成用の液滴等である液体吐出ヘッド、さらには液滴が試薬等であるマイクロディスペンサー、各種測定装置、各種試験装置、液滴がエッチングより部材を保護する薬剤である各種のパターン描画装置等に広く適用することができる。
本発明は、液体吐出ヘッド、液体吐出装置及び液体吐出ヘッドの製造方法に関し、特に発熱素子と発熱素子を駆動するトランジスタとを一体に基板上に形成したサーマル方式によるインクジェットプリンタに適用することができる。
本発明の実施例に係るラインプリンタに適用されるヘッドアッセンブリーにおけるヘッドチップの作成工程の説明に供する断面図である。 本発明の実施例に係るラインプリンタを示す斜視図である。 図2のヘッドアッセンブリーのインク液滴の吐出に係る部分を拡大して示す斜視図である。 図2のヘッドアッセンブリーのインク液滴の吐出に係る部分を示す断面図である。 図1の前工程を示す断面図である。 図1の続きを示す断面図である。 図4のヘッドチップにおけるスイッチングトランジスタを示す断面図である。 寄生抵抗の説明に供する接続図である。 ポリサイド構造によるゲート電極によるスイッチングトランジスタを示す断面図である。
符号の説明
1、3、32、33……トランジスタ、2、27……発熱素子、4、31……基板、5、38……ゲート酸化膜、6、40……ポリシリコン膜、7、41……金属シリサイド膜、11……ラインプリンタ、20……ヘッドアッセンブリー、24……ヘッドチップ、39……窒化酸化膜

Claims (6)

  1. 発熱素子と、前記発熱素子を駆動するPチャンネルMOS型による電界効果型トランジスタとを一体に基板上に形成し、前記電界効果型トランジスタによる前記発熱素子の駆動により液室に保持した液体を加熱して前記液体の液滴をノズルから飛び出させる液体吐出ヘッドにおいて、
    前記電界効果型トランジスタのゲート酸化膜の前記ゲート電極側面が窒化酸化膜により形成された
    ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
  2. 前記基板が、シリコン基板であり、
    前記シリコン基板の熱酸化により前記ゲート酸化膜が形成された
    ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
  3. 前記ゲート電極が、ポリサイド構造により形成された
    ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
  4. 前記電界効果型トランジスタは、
    ドレイン領域のゲート側と前記ゲートとの間にオフセット領域が設けられて、ゲート入力電圧に比してゲートドレイン間電圧が高電圧に設定された
    ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
  5. 液体吐出ヘッドにより液滴を飛び出させる液体吐出装置において、
    前記液体吐出ヘッドが、
    発熱素子と、前記発熱素子を駆動するPチャンネルMOS型による電界効果型トランジスタとを一体に基板上に形成し、前記電界効果型トランジスタによる前記発熱素子の駆動により液室に保持した液体を加熱して前記液体の液滴をノズルから飛び出させ、
    前記電界効果型トランジスタのゲート酸化膜のゲート電極側面が窒化酸化膜により形成された
    ことを特徴とする液体吐出装置。
  6. 発熱素子と、前記発熱素子を駆動するPチャンネルMOS型による電界効果型トランジスタとを一体に基板上に形成し、前記電界効果型トランジスタによる前記発熱素子の駆動により液室に保持した液体を加熱して前記液体の液滴をノズルから飛び出させる液体吐出ヘッドの製造方法において、
    前記電界効果型トランジスタのゲート酸化膜のゲート電極側面を窒化酸化膜により形成する
    ことを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。
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