JP2005112659A - カーボンナノチューブ製造装置及びカーボンナノチューブの製造方法 - Google Patents

カーボンナノチューブ製造装置及びカーボンナノチューブの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 長さ、チューブ径(直径)及び成長方向等が均質なカーボンナノチューブを製造することが可能なカーボンナノチューブ製造装置、及び、カーボンナノチューブの製造方法を提供する。
【解決手段】 原料ガスが供給される反応室32と、反応室32内に搭載され表面に触媒26が担持され、これと反対側に高熱容量材料層20と高熱伝導材料層22と、高磁性材料層24と、がこの順で設けられ、貫通孔28を有する生成基板16とを備えたカーボンナノチューブ製造装置及びこれを用いたカーボンナノチューブの製造方法等。
【選択図】 図2

Description

本発明はカーボンナノチューブの製造装置及びカーボンナノチューブの製造方法に関し、特に、CVD方法を用いたカーボンナノチューブの製造装置及びカーボンナノチューブの製造方法に関する。
従来から、カーボンナノチューブの合成には、主にアーク放電法やレーザー蒸着法が用いられている。しかし、これらアーク放電法やレーザー蒸着法を用いたカーボンナノチューブの合成方法には、カーボンナノチューブの生成量が少ない、黒鉛やアモルファスカーボンが混在し、カーボンナノチューブの径、層数及び長さ等のばらつきが大きい、等といった問題がある。
即ち、アーク放電法では、カーボンナノチューブの生成と共に黒鉛やアモルファスカーボン等の非晶質状の煤が多量に生成するので、生成されたカーボンナノチューブから煤を分離するために複雑な精製を行わなければならない。そのため、カーボンナノチューブを大量に生産することが困難になっている。また、レーザー蒸着法では、レーザー出力に対する生産性が極めて低いことから大量生産を行うことは困難である。さらに、これらいずれの方法においても、カーボンナノチューブの径(チューブ径)、層数及び長さが大きくばらついてしまい、所望の形状で一定の配向性を確保しながらカーボンナノチューブを生成することは不可能である。
また、カーボンナノチューブの合成方法としては、触媒を用いて炭化水素ガスを熱分解することによってカーボンナノチューブを製造する熱分解法(CVD法)も提案されている(例えば、非特許文献1〜3参照。)。この熱分解法によれば、カーボンナノチューブの大量製造が可能となる。上記熱分解法としては、触媒を気相中に浮遊させる方法と、基板(Si基板、ゼオライト基板等)上に触媒を塗布する方法との2種類の方法が知られている。しかし、上述の触媒を気相中に浮遊させる方法では、カーボンナノチューブの配向性を保ちながら生成することは不可能であり、長さ、直径、及び成長方向が均質なカーボンナノチューブを生成することができない。
一方、基板上に触媒を塗布する方法を用いた場合であっても、カーボンナノチューブ生成時の温度条件や原料ガスの濃度の設定が非常にセンシティブであることから、広面積な基板上に均質なカーボンナノチューブを生成することは非常に困難である。
このように均質なカーボンナノチューブの生成を困難なものとしている原因としては、以下の原因が挙げられる。第1には、基板上に熱勾配ができ、これが影響していると考えられる。第2に、原料ガスとして供給される、水素系ガス(例えば、アンモニアガス)と燃料ガス(例えば、メタンガス)とは比重が異なることから、ガス組成分布が均一でないためであると考えられる。第3には、カーボンナノチューブの生成過程において、触媒金属表面にアモルファスカーボンが被覆してその成長を妨げ、長さが不均一になる。第4には、カーボンナノチューブの生成工程の後処理として、湿式での後処理を行うと、ファンデルワールス力が働き、カーボンナノチューブが束状になって方向の均一が保てないためと考えられる。
また、プラズマCVD法によってカーボンナノチューブを合成する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。これは、反応容器内に交流グロー放電によるプラズマを発生させることで基体上にカーボンナノチューブを形成するものである。しかし、電離イオン種やエネルギー、イオン密度等のプラズマパラメータを独立して制御することは困難であり、プラズマ制御性に劣るばかりか、基板に存在する微小な突起部でもプラズマが集中するという性質があるため、均一なチューブ径や長さ、成長方向等の配向性を有するカーボンナノチューブを生成することは困難である。しかも、直線状若しくは螺旋状といった形状制御をおこなうこともできない。
特開平11−11917号公報 Chem.Phys.Lett.260(1996)471 J.Phys.Chem.B 103(1999)6484 Chem.Phys.Lett.317(2000)83
上述のように、従来知られている技術では、長さ、チューブ径(直径)及び成長方向を制御し、短時間でカーボンナノチューブを制御する技術は確立されていないのが現状である。
本発明は、上記問題を解決すべく、長さ、チューブ径(直径)及び成長方向等が均質なカーボンナノチューブを製造することが可能なカーボンナノチューブ製造装置、及び、カーボンナノチューブの製造方法を提供することを目的とする。
第1の本発明は、原料ガスが供給される反応室と、前記反応室内に搭載され、前記原料ガスが供給される側に前記原料ガスと反応させてカーボンナノチューブを生成するための触媒を担持し、且つ、前記触媒が担持される側とは反対側に高熱容量材料層と高熱伝導材料層とをこの順で備える生成基体と、を備えたカーボンナノチューブ製造装置、及びこれを用いたカーボンナノチューブである。
第1の本発明のカーボンナノチューブ製造装置によれば、前記触媒が担持される側とは反対側に高熱容量材料層と高熱伝導材料層とを備えた生成基体を用いることで、高熱伝導材料層により熱伝導率を高め、且つ、高熱容量材料層により熱を蓄えて、基体の温度を低下しにくくすることができ、生成基体に熱勾配が生じるのを防止することができる。これにより、生成基体として広面積な基体を用いた場合であっても、カーボンナノチューブの生成の際の温度条件を同一基体上で均一にすることができ、均質なカーボンナノチューブを製造することができる。
第1の本発明において上記生成基体は、カーボンナノチューブ生成のための触媒が担持された生成層と、高熱容量材料層と、高熱伝導材料層との三層で構成することができる。また、上記生成層と高熱容量材料層とは同一の材料で構成してもよい。上記生成層はシリコン基体を形成する材料等で構成することができる。また、上記高熱容量材料層に用いられる高熱容量材料としては、例えば、シリコンカーバイドやセラミックス系等の材料を用いることができる。更に、上記高熱伝導材料層に用いられる高熱伝導材料としては、例えば、銅やニッケル等を用いることができる。
第2の本発明は、原料ガスが供給される反応室と、前記反応室内に搭載され、前記原料ガスが供給される側に前記原料ガスと反応させてカーボンナノチューブを生成するための触媒を担持し、且つ、前記触媒が担持される側とは反対側に高磁性材料層を備える生成基体と、を備えたカーボンナノチューブ製造装置、及びこれを用いたカーボンナノチューブの製造方法である
第2の本発明のカーボンナノチューブ製造装置によれば、触媒が担持される側とは反対側に高磁性材料層を設けた生成基体を用いることで、カーボンナノチューブの先端に付着している触媒金属と高磁性材料層との反発力により、生成工程においてカーボンナノチューブの成長方向を均一にすることができる。これは、ニッケル等の高磁性材料で構成される高磁性材料層の磁力を利用することにより、製造装置において生成基体が固定された箇所による、カーボンナノチューブの生成条件、後処理条件等の違いを最小限にとどめることができるためである。
第2の本発明によれば、上記の作用により、生成基体上の微小な凹凸により、カーボンナノチューブの成長方向が不均一になること、及び、高速の生産ラインにおける生成基体のmm単位の位置ずれによって生じる触媒担持箇所のムラ、熱条件のムラ、及び原料ガス濃度のムラの影響によって基体端部付近のカーボンナノチューブ構造が不均質になることを防止することができる。これにより、生成基体上に生成したカーボンナノチューブの成長方向を均一にすることができ、更に、生成基体端部付近においても基体中心部と同質のカーボンナノチューブを生成させることができる。
第3の本発明は、原料ガスが供給される反応室と、前記反応室内に搭載され、前記原料ガスが供給される側に前記原料ガスと反応させてカーボンナノチューブを生成するための触媒を担持し、且つ、複数の貫通孔が設けられた生成基体と、を備え、前記生成基体の貫通孔を通じて前記原料ガスを排気するようにしたカーボンナノチューブ製造装置、及びこれを用いたカーボンナノチューブの製造方法である。
第3の本発明のカーボンナノチューブ製造装置によれば、複数の貫通孔が設けられた生成基体を用いることで、燃料ガスの排気を生成基体に設けられた貫通孔を通じて行うことができる。これにより、反応室内において燃料ガス(例えば、炭化水素系ガス及び水素系ガスの混合ガス)の濃度分布ができにくく、燃料ガスによる熱伝導、触媒活性化を均一にし、原料ガスに濃度ムラが生じるのを抑制することができる。このため、チューブ径や長さが均一なカーボンナノチューブを生成することができる。
第3の本発明によれば、上記の作用により、原料ガス中の炭化水素系ガス(例えば、メタンガス)と水素系ガス(例えば、水素ガス)との比重が異なることによって排気箇所に生じていた濃度分布を抑制することができ、生成基体上に均質なカーボンナノチューブを生成することができる。
第4の本発明のカーボンナノチューブの製造方法は、カーボンナノチューブを生成するための触媒が担持された生成基体上に原料ガスを供給して前記生成基体上にカーボンナノチューブを生成させる生成工程を含むカーボンナノチューブの製造方法であって、前記生成工程は、カーボンナノチューブ生成の際に生成した不純物を除去するための高温の酸素ガスを前記生成基体上に供給する。
上記生産工程においては、カーボンナノチューブの生成の際に副生成物としてアモルファスカーボン等の不純物が発生し、触媒表面に付着してしまう場合がある。第4の本発明によれば、上記生成工程におけるカーボンナノチューブの生成過程において高温の酸素ガスを上記生成基体上に供給することで、触媒表面を覆うように付着したアモルファスカーボンを燃焼除去することができる。これにより、アモルファスカーボン等の不純物が触媒表面を覆うことによって、触媒作用が低下し、カーボンナノチューブの生成が抑制されるのを防止することができ、結果として、長さが均一なカーボンナノチューブを生成することができる。
上記酸素ガスの温度は、触媒表面に付着したアモルファスカーボンを燃焼除去することができ且つカーボンナノチューブが燃焼しない温度であることが必要であり、例えば、500℃程度とすることが好ましい。また、酸素ガスの吹き付け間隔は、例えば、等間隔(2秒に1回等)でおこなうのが好ましい。
第5の本発明のカーボンナノチューブの製造方法は、カーボンナノチューブを生成するための触媒が担持された生成基体上に原料ガスを供給して前記生成基体上にカーボンナノチューブを生成させる生成工程と、前記生成工程において生成されたカーボンナノチューブを急冷して前記触媒と前記カーボンナノチューブとを分離する急冷工程と、を含む。
第5の本発明によれば、上記生成工程の後に、カーボンナノチューブを急冷する急冷工程を施すことで、ファンデルワールス力が働いて束状になること(バンドル化)を防止しながらカーボンナノチューブから触媒を分離(除去)することができる。これにより、カーボンナノチューブの構造変化を最低限にとどめた状態で、触媒を除去することができる。
第5の本発明によれば、上記の作用により、従来、酸性溶液(例えば、塩酸等)で溶出させて触媒を除去していた際に生じていた、カーボンナノチューブの原子レベルでのダメージや、溶液が蒸発する際のバンドル化を防止することで、均質なカーボンナノチューブを生成することができる。
上記急冷は、例えば、750℃程度に加熱されていたカーボンナノチューブを、所望のサイズに成長した後、液体窒素等を用いて、約1〜2秒程度で−200℃程度にまで冷却することでおこなうことができる。
第6の本発明のカーボンナノチューブの製造方法は、基体表面に点欠陥を導入する点欠陥導入工程と、前記点欠陥導入工程において点欠陥が導入された前記基体に、カーボンナノチューブを生成するための触媒を担持させ生成基体を形成する触媒担持工程と、原料ガスを前記生成基体上に供給してカーボンナノチューブを生成する生成工程と、を含む。
第6の本発明のカーボンナノチューブの製造方法によれば、点欠陥が導入された基体に触媒を担持させた生成基体を用いることで、触媒と基体との密着性を格段に高めることができ、熱による触媒の凝集を防止して触媒の高分散化を図ることができる。これにより、従来、平滑な欠陥のない基体上に触媒を蒸着させたものを用いた際に生成工程において生じていた触媒の凝集を防止することができ、均質(特にチューブ径が均一な)なカーボンナノチューブを生成することができる。
上記点欠陥の導入方法としては、イオン注入法等などが挙げられ、例えば、シリコン、カーボン、ボロン、パラジウム、白金、ニッケル、コバルト等のイオンを基体に導入することによって基体表面に点欠陥を導入することができる。
また、第6の本発明によれば、上記の作用により、従来、触媒を基体表面に高分散した状態で担持させるために用いられている多孔質材料への含侵担持法の際に生じる、基体表面の凹凸に起因するカーボンナノチューブの成長方向を制御できないといった問題がない。
第6の本発明においては、上記基体上に触媒を高分散させるために、更に、前記触媒を分散させる高温の水素ガスを前記基体上の前記触媒に供給することができる。
このように、触媒に高温の水素ガスを吹き付けることにより、触媒を微細化することができ、更なる触媒の高分散化を図ることができる。また、かかる水素ガスを吹き付ける方法は、水素中で加熱する方法に比して簡便であることから大量生産に適している。上記水素ガスの温度としては、例えば、約500℃程度が好ましい。
第7の本発明のカーボンナノチューブの製造方法は、カーボンナノチューブを生成するための触媒が担持された生成基体上に原料ガスを供給して前記生成基体上にカーボンナノチューブを生成させる生成工程と、前記生成工程において生成されたカーボンナノチューブを20℃以下且つ1×10-3Pa以下の条件下に曝して水分を除去する水分除去工程と、を含む。
第7の本発明のカーボンナノチューブの製造方法によれば、生成工程の後にカーボンナノチューブを20℃以下且つ1×10-3Pa以下の条件下に曝して水分を除去する水分除去工程を施すことで、生成したカーボンナノチューブに付着した水分を昇華させることによって除去することができる。このため、カーボンナノチューブのバンドル化を防止することができ、カーボンナノチューブの構造変化を最低限に留めた状態で水分の除去が可能となる。これにより、チューブ間隔及び配向性を均一に保った状態で水分を短時間で除去することができ、均質なカーボンナノチューブを生成することができる。
第8の本発明は、カーボンナノチューブを生成するための触媒が担持された生成基体上に原料ガスを供給して前記生成基体上にカーボンナノチューブを生成させる生成工程と、前記生成工程において生成されたカーボンナノチューブに酸素雰囲気下で電圧を印加し、前記生成工程において生成した不純物を除去するカーボン除去工程と、を含む。
第8の本発明によれば、上記生成工程の後に、例えば、カーボンナノチューブの先端部(触媒が結合している場合には触媒)に電極を接触させて、酸素雰囲気(例えば、大気中)下で基体と電極との間に電圧(例えば、1500V程度)を印加するカーボン除去工程を施すことで、カーボンナノチューブに付着した生成工程において発生した不純物(特にアモルファスカーボン)を、低エネルギーで、カーボンナノチューブの構造を保ったまま除去することができる。
純粋な1本のカーボンナノチューブの電気抵抗はオームの法則に支配されないバリスティック伝導のため、カーボンナノチューブの長さに依存することがなく、基体との接触抵抗のみ(カーボンナノチューブ一本当たり、6.5kΩ程度)である。一方、アモルファスカーボンが付着したカーボンナノチューブは付着部分だけ通常のドリフト伝導となり、抵抗値が約1.5×1015Ω/m程度と大きい。
第8の本発明はこの抵抗値の差を利用したものである。即ち、アモルファスカーボンが付着したカーボンナノチューブは付着部のみが抵抗値が高くなり部分的に温度が上昇するため、付着したアモルファスカーボンのみを燃焼させて除去することができる。また、上記電極としては、ニッケル、金(金箔)、白金等を用いることができる。
第9の本発明のカーボンナノチューブの製造方法は、カーボンナノチューブを生成するための触媒が担持された生成基体上に原料ガスを供給して前記生成基体上にカーボンナノチューブを生成させる生成工程と、前記生成工程において生成されたカーボンナノチューブに酸素雰囲気下で電圧を印加し、前記カーボンナノチューブの純度を測定する測定工程と、を含む。
第9の本発明のカーボンナノチューブの製造方法は、カーボンナノチューブに電圧をかけ、カーボンナノチューブの純度を測定する測定工程を施すことで、カーボンナノチューブに付着したアモルファスカーボンを高精度且つ短時間で定量することができる。
上記測定工程においては、カーボンナノチューブに電圧をかけた際の抵抗値や電流量を用いることにより、カーボンナノチューブの純度を測定することができる。これにより、従来のTEM(Transmission electron microscope)観察による定量方法と比較して短時間で、アモルファスカーボンを定量することができるため、短時間でカーボンナノチューブの純度を測定でき、均質なカーボンナノチューブを短時間で製造することができる。また、上記測定工程によれば、カーボンナノチューブを破壊して測定する必要がない。
本発明によれば、長さ、チューブ径(直径)及び成長方向等が均質なカーボンナノチューブを製造することが可能なカーボンナノチューブ製造装置、及び、カーボンナノチューブの製造方法を提供することができる。
以下、本発明のカーボンナノチューブの製造装置及びカーボンナノチューブの製造方法について図を用いて説明する。本発明のカーボンナノチューブの製造方法の各工程について図1を用いて説明する。図1は、本発明のカーボンナノチューブの製造方法の各工程を説明するための説明図である。図1に示すように、本発明のカーボンナノチューブの製造方法は、基板に触媒を担持(蒸着)させて生成基板を形成する触媒担持工程10と、前記生成基板表面に原料ガス(メタンガスとアルゴンガスとの混合ガス)を供給して、生成基板表面にカーボンナノチューブを生成させる生成工程12と、生成したカーボンナノチューブに対して触媒除去、アモルファスカーボン除去、水分除去、及びキャップオープンの等の後処理を行う後処理工程14とを含む。
本発明のカーボンナノチューブの製造方法に用いる生成基板について図2を用いて説明する。図2は、本発明における生成基板の構成を示すための断面図である。図2において、生成基板16は、カーボンナノチューブを生成させるための触媒26が担持された生成層18と、熱容量が高い高熱容量材料層20と、熱伝導性が高い高熱伝導材料層22と、磁性を有する高磁性材料層24と、で構成される。また、生成基板16は、厚さ方向に複数の貫通孔28が設けられている。
生成層18は、シリコンで形成されており、その表面に触媒26が蒸着されている。また、生成層18の表面は、後述するイオン注入処理において点欠陥が導入されており、生成層18と触媒26との結合力が強化されている。触媒26としては、Ni板、ステンレス板、SiC、ゼオライト、活性炭、Si等の担体に担持されたFe、Pd、Co、Ni、又はこれらの合金などを用いることができる。
高熱容量材料層20は、熱容量の高いシリコンカーバイトで形成されており、熱を貯えることで、生成基板16の表面温度が低下しにくいように構成されている。これにより、基板表面に熱勾配ができるのを防止することができる。また、熱を効率よく貯え、熱勾配の発生を防ぐ観点から、生成基板16の総質量に対して高熱容量材料層20の質量の占める割合は、80質量%以上であることが好ましい。尚、生成層18と高熱容量材料層20とは、同種の材料で形成することができ、例えば、生成層18に高熱容量材料を用いることで、一層で生成層18と高熱容量材料層20とを兼ねることができる。
高熱伝導材料層22は、熱伝導性の高い銅で形成されており、生成基板16の全体に均一に熱が伝えやすくすることで、熱勾配が発生するのを防止できるように構成されている。また、高熱容量材料層20と高熱伝導材料層22とは、生成層18に対して、高熱容量材料層20及び高熱伝導材料層22の順に設けられる。
このように生成基板16に高熱容量材料層20と高熱伝導材料層22とを設けることで、生成基板16に熱勾配が発生するのを防止し、生成層18上に均質なカーボンナノチューブを生成することができる。
また、生成基板16には更に、高磁性材料層24が設けられている。高磁性材料層24は、磁性材料であるニッケルで形成される。このため、カーボンナノチューブの生成の際に、カーボンナノチューブの先端部に結合している触媒金属と高磁性材料層24との間に反発力(斥力)が生じ、カーボンナノチューブの成長方向を均一にすることができる。更に、磁性材料層の磁力により、基板を固定することができることから、高速の生産ラインにおいて基板がずれるのを防止でき、基板中心部に生成するカーボンナノチューブと基板の端部付近に生成するカーボンナノチューブとを均質に生成させることができる。
尚、高熱伝導材料層22と高磁性材料層24とはNi等の同じ材料で構成することができ、両層の役割を一層で兼ねることもできる。
本発明において、生成基板16には複数の貫通孔28が設けられており、後述するカーボンナノチューブ製造装置の反応室内に設置された際に、この貫通孔28を通じて原料ガスが排気されるように構成される。
次に、触媒担持工程10について説明する。触媒担持工程10は、図2における生成層18と高熱容量材料層20と高熱伝導材料層22と高磁性材料層24とから構成される基板に、触媒金属を担持(蒸着)してカーボンナノチューブの生成に用いる生成基板16を形成する工程である。
触媒担持工程10には、上記基板に触媒26を担持させるに先立ち、イオン注入処理により基板表面に点欠陥を導入する点欠陥導入工程が行われる。イオン注入処理においてシリコンのイオンが注入されると、上記基板表面に点欠陥が生じ、触媒26と基板表面との密着力を大幅に高めることができる。
また、触媒担持工程10は、上記基板表面に触媒26を蒸着させる際に、高温(約500℃)の水素ガスを吹き付ける。これにより、触媒26を更に微細化することができ、高分散状態で、触媒を基板表面に担持させることができる。
このように触媒担持工程10において、点欠陥を基板に導入し、更に、触媒蒸着の際に高温の水素ガスを吹きつけることで、生成工程12において、触媒26が凝集してチューブ径が不均一になるのを防止することができる。
尚、触媒26を上記基板に担持(蒸着)させる具体的な方法については特に制限はなく、本発明の効果を損なわない範囲で公知の方法を適宜選定して用いることができる。
次に、生成工程12について説明する。生成工程12は、触媒担持工程10を経て得られた生成基板16を真空の反応室に配置すると共にカーボンナノチューブの生成に適した所定温度に加熱された状態とし、生成基板16表面に原料ガスを供給して、カーボンナノチューブを基板上に生成させる工程である。
生成工程12に用いられるカーボンナノチューブ製造装置について図3を用いて説明する。図3は、本発明のカーボンナノチューブ製造装置を示す概略図である。図3において、カーボンナノチューブ製造装置30は、反応室32と、反応室32に原料ガスを供給するための供給口34と、反応室32内に搭載された生成基板16と、から構成される。
反応室32内部は、複数のメッシュ状ヒータ36によって所定の温度に加熱されている。原料ガス供給時の反応室の所定温度としては、400℃以上が好ましい。該所定温度が400℃未満であると、生成速度が遅く、径や長さ、配向性の均一なカーボンナノチューブを安定的に生成するのに不充分である。特に好ましくは、500〜600℃であり、この範囲であると均質なカーボンナノチューブをより効率よく生成することができる。
また、反応室32には、噴射口38が備えられており、カーボンナノチューブの生成中に高温の酸素ガスを生成基板16上に吹きつけられるようになっている。
反応室32において、生成基板16上に供給された後の原料ガスの排出は、生成基板16に設けられた複数の貫通孔28を介して行われる。この際、反応室32の生成基板16と接触する底面には、吸気用の孔が設けられており、かかる吸気用の孔は排出管40を介してポンプ42と接続されている。また、ポンプ42の吸引により、反応室内に負圧がかけられている。また、上述の原料ガスの排出も、反応室32の底面に設けられた孔及び排出管40を介して行われる。
このように、生成基板16に複数の貫通孔28を設け、かかる複数の貫通孔28を介して原料ガスの排気を行うことで、従来、反応室内の排気箇所に応じて生じていた原料ガスの比重差による濃度分布ができにくく、均質なカーボンナノチューブを生成することができる。
尚、本工程における真空状態としては、一般に1×10-4〜1×10-9Pa程度が望ましい。また、上記原料ガスには、メタン/アルゴンガスの他、炭化水素系ガス(CH系ガス)、水素系ガス(H系ガス)を用いることができる。具体的には、一種若しくは二種以上の炭化水素系ガス、あるいは一種若しくは二種以上の炭化水素系ガスと一種若しくは二種以上の水素系ガスとの両方を用いることができる。前記炭化水素系ガスの炭化水素成分としては、炭素数1〜6の炭化水素(例えばメタン、エタン、アセチレン、ベンゼン等)が好適に挙げられ、前記水素系ガスとしては、例えば水素ガス、アンモニアガス等が好適に挙げられる。
生成工程12において、複数のメッシュ状ヒータ36によって加熱され、ポンプ42によって真空状態にされた反応室32内に供給口34から原料ガスが供給されると、生成基板16表面と原料ガスとが接触し、かかる生成基板16の触媒26担持部が原料ガスで飽和される。生成工程12においては、かかる触媒26担持部においてカーボンナノチューブを成長させることができる。
生成工程12においては、カーボンナノチューブの生成の際、2秒に一回の間隔で、高温(約500℃)の酸素ガスを噴射口38から噴射して、生成基板16表面に酸素ガスを吹き付ける。反応室内の合成反応においては、原料ガスに含まれる全てのメタンがカーボンナノチューブの生成に使用されるものではなく、アモルファスカーボンとなり触媒26の表面等に付着するものもある。このように触媒26の表面をアモルファスカーボンが覆ってしまうと、触媒作用が低下し、カーボンナノチューブの成長が遮られてしまい均質なカーボンナノチューブを生成することができない。本発明においては、上述のようにカーボンナノチューブの生成中に高温の酸素ガスを吹き付けることで、触媒26による燃焼反応と相俟って、触媒26に付着したアモルファスカーボンのみを燃焼除去することができる。
次に、後処理工程14について説明する。後処理工程14は、生成工程で生成されたカーボンナノチューブの後処理を行なう工程である。具体的には、加熱、酸処理(王水処理等)などを行なってチューブ端をカッティングして開口(キャップオープン)する処理や、カーボンナノチューブの生成後にその先端部から触媒を除去する触媒除去処理、及び、カーボンナノチューブに付着したアモルファスカーボン等の煤を除去するカーボン除去処理などを行なう。
本発明においては、まずカーボンナノチューブに付着したアモルファスカーボンを除去するために、後処理工程14にカーボン除去工程を含ませる。カーボン除去工程は、後述する触媒除去工程により、カーボンナノチューブの先端部から触媒26を除去する前又は後のいずれにおこなってもよい。
本発明においてカーボン除去工程は、生成工程12により生成されたカーボンナノチューブの先端(触媒除去前には、触媒)に白金等で形成された電極を接触させ、酸素雰囲気下で、生成基板16と上記電極との間に電圧を以下して、カーボンナノチューブに付着したアモルファスカーボンのみを燃焼除去する工程である。
図4を用いて、カーボン除去工程におけるアモルファスカーボン除去処理について説明する。図4は、カーボン除去工程におけるアモルファスカーボン除去処理を説明するための概略図である。図4において、生成基板16上で成長したカーボンナノチューブ44は、その先端に触媒26が付着しており、かかる触媒26を有する先端部において電極46と接触している。
また、カーボンナノチューブ44には所々にアモルファスカーボン48が付着している。上記カーボン除去工程においては、酸素雰囲気下で、図4に示すように電極46をカーボンナノチューブ44の先端部に触媒26を介して接触させ、且つ、生成基板16と電極46との間に電圧を印加する。この際の電圧としては約1500V程度が好ましい。
このように電極46と生成基板16との間に電圧を印加すると、アモルファスカーボン48の付着部の抵抗のみが高くなり、部分的に温度が上昇する。このようにして、アモルファスカーボンのみを燃焼除去することができる。
従来の方法では、カーボンナノチューブからアモルファスカーボンを除去するために、酸溶液(例えば、硝酸)で超音波分散した後に濾過する方法や、単に燃焼除去する方法が用いられていた。しかし、このような方法によると、カーボンナノチューブの構造欠陥や、バンドル化が生じ、また、カーボンナノチューブをも除去してしまう場合が多いことから、収率が低く、結果として、均質なカーボンナノチューブを得ることができなかった。
本発明の製造方法によれば、電圧を印加してアモルファスカーボンを除去するため、カーボンナノチューブの構造の均質性を保ったまま、カーボンナノチューブの燃焼損失が少ないアモルファスカーボンを低エネルギーで除去することができる。
本発明においては、上記後処理工程の際、カーボンナノチューブの生成後にその先端部から触媒26を除去するために、後処理工程14において急冷工程を行う。かかる急冷工程は、生成工程12においてカーボンナノチューブが所望のサイズに成長した後に行われ、750℃程度にまで加熱されていたカーボンナノチューブを1〜2秒程度で−200℃付近にまで急冷する工程である。このように触媒26が付着した状態のカーボンナノチューブを急冷すると両者の熱収縮率の差により、カーボンナノチューブから触媒を除去することができる。
従来では、上記触媒除去処理において、酸性溶液(例えば、塩酸)により触媒26を溶出させて除去していたが、かかる方法では、カーボンナノチューブに原子レベルでダメージを与えていたり、酸性溶液の蒸発の際にファンデルワールス力の作用により、カーボンナノチューブが束状になるバンドル化を生じていた。このため、従来の方法においては、均質なカーボンナノチューブを生成することが困難であったが、本発明の製造方法によれば、上述のように急冷工程により、カーボンナノチューブの先端部から触媒26を除去することで、均質なカーボンナノチューブを生成することができる。
これは、急冷工程においては、酸性溶液のような液体を用いずに触媒を除去することができるため、カーボンナノチューブのバンドル化を防止し、カーボンナノチューブの間隔を均一にすることができるためである。かかる、急冷処理を施す手段については特に限定はなく、例えば、液体窒素を用いる等、本発明の効果を損なわない範囲で、公知の急冷手段を適宜選定して用いればよい。
本発明においては、カーボンナノチューブの生成後に水分を除去するために、20℃以下、且つ、1×10-3Pa以下に曝す水分除去処理を施す。即ち、生成されたカーボンナノチューブを低温・高真空状態に曝すことで、液体の蒸発を伴わず、水分を昇華させることにより除去することができるため、水分除去の際のカーボンナノチューブのバンドル化を防止することができる。これにより、チューブ間隔や配向性が均一なカーボンナノチューブを生成することができる。
上記水分除去処理において、温度が20℃を超えるとカーボンナノチューブが凝集し、配向性を低下させてしまう。また、圧力が、1×10-3Paを超えると、水分を除去するためにある程度の時間を費やし、短時間で水分の除去を行うことができなくなる。上記温度としては、0℃以下が好ましく、−200℃以下が更に好ましい。また、上記温度の下限は特に限定はないが、−250℃以上が好ましい。また、上記圧力としては、1×10-5Pa以下が好ましく、1×0-8Pa以下が更に好ましい。また、上記圧力の下限は特に限定はないが、1×10-10Pa以上が好ましい。
本発明の製造方法においては、これらの後処理工程を経て生成されたカーボンナノチューブの純度を測定する測定工程を含む。該測定工程は、カーボンナノチューブの先端に電極を接触させ、生成基板16と上記電極との間に電圧を印加して、生成基板16と上記電極との間の抵抗値を測定する工程である。かかる。抵抗値を測定することによって、カーボンナノチューブに付着しているアモルファスカーボンの定量を精度よくおこなうことができる。
上記測定工程におけるカーボンナノチューブの純度の求め方について説明する。カーボンナノチューブ自体の電気抵抗は、オームの法則に支配されないバリスティック伝導であるため、その長さに依存せず、生成基板16との接触抵抗のみである。カーボンナノチューブ1本当たりの電気抵抗をR’[Ω]、生成基板16の単位面積当たりのカーボンナノチューブの本数をn[本/m2]とすると、電極とカーボンナノチューブと生成基板16との関係を並列回路とみなすことができる。よって、カーボンナノチューブの純度が100%の場合には、生成基板−カーボンナノチューブの先端部間の単位面積当たりの抵抗値R(100)は、下記式(1)で表すことができる。
R(100)=1/((1/R’)×n)=R’/n[Ω/m2]…式(1)
図5に示すように、半径a[m]・長さl[m]のカーボンナノチューブ44に、m個の半径b[m]の球状のアモルファスカーボンが付着していると仮定する。カーボンナノチューブ表面に不純物が付着しているとドリフト伝導となり電子が散乱される。このため、アモルファスカーボン付着部の抵抗値をR’’[Ωm]とすると、カーボンナノチューブ1本当たりの抵抗は、2amR’’+R’[Ω]となる。上記式(1)と同様に基板−カーボンナノチューブ先端部間での単位面積当たりの抵抗値Rを求めると、下記式(2)で表すことができる。
R=1/{1/(2amR’’+R’)×n}=(2amR’’+R’)/n[Ω/m2]…式(2)
一方、この場合のカーボンナノチューブの純度を、カーボンナノチューブの単位体積当たりの純度をQ[Vol%]として求めると、下記式(3)のように表すことができる。
Q=a2πl×100/(a2πl+4πb3/3)…式(3)
ここで、R’=6500Ω、R’’=5.0×10-3Ωm、n=10,000,000本/m2、b=5.0×10-9m、l=1.0×10-3mとして上記式に代入すると、カーボンナノチューブの純度Qと抵抗値との関係は図6のように示すことができる。図6は、カーボンナノチューブの純度と抵抗値との関係を示すグラフである。
このように、従来では、TEMを用い、検査用に破壊する必要があり、また、大幅な時間が必要とされ、更に、局所的な純度しか測定できなかったカーボンナノチューブの純度を、上記測定工程によって測定した抵抗値を用いることにより、簡便且つ短時間で求めることができ、均質なカーボンナノチューブの製造に資することができる。
[実施例1]
−触媒担持工程−
まず、カーボンナノチューブ生成用の基板として、表面層より1層目(生成層)にSi、2層目(高熱容量材料層)にSiO2、三層目(高熱伝導材料層)にCuを用いた、厚さ3.0mm、100×100mmの平滑基板を用意した。基板を基板洗浄部に設けた電気炉中に入れ、真空度1.0×10-3Paの雰囲気のもと10℃/minで800℃まで昇温し、5時間加熱処理して洗浄した。その後、30℃/minで20℃まで降温し、20℃に到達した後、基板を蒸着装置に入れ、真空中でCo(コバルト)を120秒間、20℃の条件で蒸着処理した。シリコン基板の表面に担持されたCoの厚さは100Åであった。
−カーボンナノチューブ生成工程−
次いで、原料ガス(炭化水素系ガス:C26、水素系ガス:NH3)供給される供給口とフィラメントとを備える生成装置の反応室内部に上記より得られた基板を設置した。尚、上記生成装置は、所望の真空状態を形成できるようになっている。また、この生成装置は、供給口から各種グリッドを原料ガスが通過して、該供給方向に配置された基板のCo担持面にカーボンナノチューブを生成できるようになっている。
上記基板は、前記触媒担持工程での蒸着完了後、大気中で10分間経過した後に、そのCo担持面が生成装置の供給口と対向するように配置した。そして、真空ポンプを駆動させて8×10-5Paになるまで真空引きを行なった。続いて、真空状態のままで、500℃・1時間の条件で、熱CVD法により基板上にカーボンナノチューブを生成させた。
−後処理工程−
後処理工程は、以下の(i)〜(iv)の順でおこなった。
(i)触媒金属除去
後処理工程において、触媒金属の除去は、30%の塩酸に上記降温後のカーボンナノチューブが生成された基板を室温で浸漬しておこなった。
(ii)アモルファスカーボンの除去
アモルファスカーボンの除去は、上記触媒除去後に乾燥空気中で、500℃・0.5時間の条件下に基板を曝すことでおこなった。
(iii)水分除去
水分除去は、空気中で120℃・4時間の条件下に曝すことでおこなった。
(iv)キャップオープン
カーボンナノチューブが生成されたシリコンを30%王水(室温)に10時間浸漬し、カーボンナノチューブの一端を開口するキャップオープンを行なった。
−評価−
以上のようにして得たカーボンナノチューブをTEM観察することによって、カーボンナノチューブのチューブ径、長さ、間隔、成長角度を測定し、そのばらつき率を図7で比較した。尚、各ばらつき率は、(標準偏差/平均値)×100のようにして算出した。
[実施例2]
実施例1において用いた基板を、表面層より1層目(生成層・高熱容量材料層)にSiO2、2層目(高熱伝導材料層・高磁性材料層)にNiを用いた、厚さ3.0mm、100×100mmの平滑基板に変更した以外は実施例1と同様にして、基板上にカーボンナノチューブを生成させ、同様の観察を行った。結果を図7に示す。
[実施例3]
実施例2において用いた基板を、表面層より1層目(生成層・高熱容量材料層)にSiO2、2層目(高熱伝導材料層・高磁性材料層)にNiを用いた、厚さ3.0mm、100×100mmであり、且つ、孔径0.1mmφの貫通孔を5mm間隔で有する平滑基板に変更し、上記生成装置において、かかる貫通孔を通じて真空排気するようにした以外は実施例2と同様にして、基板上にカーボンナノチューブを生成させ、同様の観察を行った。結果を図7に示す。
[実施例4]
実施例3の生成工程において、1秒間間隔で、500℃の酸素ガスを1L基板に吹き付けた以外は実施例3と同様にして、基板上にカーボンナノチューブを生成させ、同様の観察を行った。結果を図7に示す。
[実施例5]
実施例4の後処理工程の(i)触媒金属除去に代えて、生成工程で約800℃にまで加熱された基板を、液体窒素を用いて−120℃にまで急冷する処理をおこなった以外は実施例4と同様にして、基板上にカーボンナノチューブを生成させ、同様の観察を行った。結果を図7に示す。
[実施例6]
実施例5の触媒担持工程において、Coの蒸着前に常温・1時間の条件でSiをイオン注入し、その後500℃の水素ガスを基板表面に吹き付けた以外は実施例5と同様にして、基板上にカーボンナノチューブを生成させ、同様の観察を行った。結果を図7に示す。
[実施例7]
実施例6の後処理工程の(iii)水分除去に代えて、液体窒素温度−120℃・1×10-3Pa以下で2時間保持する処理をおこなった以外は実施例6と同様にして、基板上にカーボンナノチューブを生成させ、同様の観察を行った。結果を図7に示す。
[実施例8]
実施例7の後処理工程の(ii)アモルファスカーボンの除去に代えて、生成工程において生成されたカーボンナノチューブの先端部に白金電極を接触させ、1500Vの電圧を5min印加する処理を行った以外は実施例7と同様にして、基板上にカーボンナノチューブを生成させ、同様の観察を行った。結果を図7に示す。
[比較例1]
実施例1において用いた基板を、厚さ3.0mm、100×100mmの平滑シリコン基板に変更した以外は実施例1と同様にして、基板上にカーボンナノチューブを生成させ、同様の観察を行った。結果を図7に示す。
図7からわかるように、比較例1に比して、実施例1〜8に向かうに従って、チューブ径、長さ、間隔、及び成長角度のばらつき率が低減されており、より均質なカーボンナノチューブを生成することができた。
本発明のカーボンナノチューブの製造方法の各工程を説明するための説明図である。 本発明における生成基板の構成を示すための断面図である。 本発明のカーボンナノチューブ製造装置を示す概略図である。 カーボン除去工程におけるアモルファスカーボン除去処理を説明するための概略図である。 カーボンナノチューブとアモルファスカーボンとの関係示す説明図である。 カーボンナノチューブの純度と抵抗値との関係を示すグラフである。 実施例において生成したカーボンナノチューブのチューブ径、長さ、間隔、成長角度のばらつき率を示すグラフである。
符号の説明
10 触媒担持工程
12 生成工程
14 後処理工程
16 生成基板
18 生成層
20 高熱容量材料層
22 高熱伝導材料層
24 高磁性材料層
26 触媒
28 貫通孔
30 カーボンナノチューブ製造装置
32 反応室

Claims (11)

  1. 原料ガスが供給される反応室と、
    前記反応室内に搭載され、前記原料ガスが供給される側に前記原料ガスと反応させてカーボンナノチューブを生成するための触媒を担持し、且つ、前記触媒が担持される側とは反対側に高熱容量材料層と高熱伝導材料層とをこの順で備える生成基体と、
    を備えたカーボンナノチューブ製造装置。
  2. 原料ガスが供給される反応室と、
    前記反応室内に搭載され、前記原料ガスが供給される側に前記原料ガスと反応させてカーボンナノチューブを生成するための触媒を担持し、且つ、前記触媒が担持される側とは反対側に高磁性材料層を備える生成基体と、
    を備えたカーボンナノチューブ製造装置。
  3. 原料ガスが供給される反応室と、
    前記反応室内に搭載され、前記原料ガスが供給される側に前記原料ガスと反応させてカーボンナノチューブを生成するための触媒を担持し、且つ、複数の貫通孔が設けられた生成基板と、を備え、
    前記生成基体の貫通孔を通じて前記原料ガスを排気するようにしたカーボンナノチューブ製造装置。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のカーボンナノチューブ製造装置を用いてカーボンナノチューブを製造するカーボンナノチューブの製造方法。
  5. カーボンナノチューブを生成するための触媒が担持された生成基体上に原料ガスを供給して前記生成基体上にカーボンナノチューブを生成させる生成工程を含むカーボンナノチューブの製造方法であって、前記生成工程は、前記生成工程において生成した不純物を除去するための高温の酸素ガスを前記生成基体上に供給するようにしたカーボンナノチューブの製造方法。
  6. カーボンナノチューブを生成するための触媒が担持された生成基体上に原料ガスを供給して前記生成基体上にカーボンナノチューブを生成させる生成工程と、
    前記生成工程において生成されたカーボンナノチューブを急冷して前記触媒と前記カーボンナノチューブとを分離する急冷工程と、
    を含んだカーボンナノチューブの製造方法。
  7. 基体表面に点欠陥を導入する点欠陥導入工程と、
    前記点欠陥導入工程において点欠陥が導入された前記基体に、カーボンナノチューブを生成するための触媒を担持させ生成基体を形成する触媒担持工程と、
    原料ガスを前記生成基体上に供給してカーボンナノチューブを生成する生成工程と、
    を含んだカーボンナノチューブの製造方法。
  8. 前記触媒担持工程において、前記触媒を分散させる高温の水素ガスを前記基体上の前記触媒に供給するようにした請求項7に記載のカーボンナノチューブの製造方法。
  9. カーボンナノチューブを生成するための触媒が担持された生成基体上に原料ガスを供給して前記生成基体上にカーボンナノチューブを生成させる生成工程と、
    前記生成工程において生成されたカーボンナノチューブを20℃以下且つ1×10-3Pa以下の条件下に曝して水分を除去する水分除去工程と、
    を含んだカーボンナノチューブの製造方法。
  10. カーボンナノチューブを生成するための触媒が担持された生成基体上に原料ガスを供給して前記生成基体上にカーボンナノチューブを生成させる生成工程と、
    前記生成工程において生成されたカーボンナノチューブに酸素雰囲気下で電圧を印加し、前記生成工程において生成した不純物を除去するカーボン除去工程と、
    を含んだカーボンナノチューブの製造方法。
  11. カーボンナノチューブを生成するための触媒が担持された生成基体上に原料ガスを供給して前記生成基体上にカーボンナノチューブを生成させる生成工程と、
    前記生成工程において生成されたカーボンナノチューブに酸素雰囲気下で電圧を印加し、前記カーボンナノチューブの純度を測定する測定工程と、
    を含んだカーボンナノチューブの製造方法。
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