JP2005000753A - 液滴吐出装置、液滴吐出装置の制御方法、カラーフィルター製造装置、カラーフィルター及びその製造方法、液晶装置、電子機器 - Google Patents
液滴吐出装置、液滴吐出装置の制御方法、カラーフィルター製造装置、カラーフィルター及びその製造方法、液晶装置、電子機器 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】インクの吐出不良検査を適宜実施することができ、かつ検査に用いたインク、ガラス基板を有効利用することのできる液滴吐出装置、液滴吐出装置の制御方法、カラーフィルター製造装置、カラーフィルター及びその製造方法、液晶装置、電子機器を提供する。
【解決手段】被処理基材上のパターン形成領域内に液状体を吐出して所望形状のパターンを形成する液滴吐出装置であって、被処理基材の流れ方向と交差する方向に配列された複数の液滴吐出ヘッドと、液滴吐出ヘッドを修復するメンテナンスユニット80と、被処理基材上に着弾した液滴の着弾位置を測定する検査部64と、液滴吐出ヘッド、メンテナンスユニット80および検査部64を制御する制御部100と、を備え、制御部100がパターン形成領域上に所定個数の液滴を吐出させ、検査部64によりその液滴の着弾位置を測定させて、液滴吐出検査を行うことを特徴とする。
【選択図】 図6
【解決手段】被処理基材上のパターン形成領域内に液状体を吐出して所望形状のパターンを形成する液滴吐出装置であって、被処理基材の流れ方向と交差する方向に配列された複数の液滴吐出ヘッドと、液滴吐出ヘッドを修復するメンテナンスユニット80と、被処理基材上に着弾した液滴の着弾位置を測定する検査部64と、液滴吐出ヘッド、メンテナンスユニット80および検査部64を制御する制御部100と、を備え、制御部100がパターン形成領域上に所定個数の液滴を吐出させ、検査部64によりその液滴の着弾位置を測定させて、液滴吐出検査を行うことを特徴とする。
【選択図】 図6
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液滴吐出装置、液滴吐出装置の制御方法、カラーフィルター製造装置、カラーフィルター及びその製造方法、液晶装置、電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、コンピュータディスプレイや大型テレビジョン等の電子機器の発達に伴い、液晶表示装置、特にカラー液晶表示装置の使用が増加している。この種の液晶表示装置には、通常、表示画像をカラー化するためにカラーフィルターが用いられている。カラーフィルターには、例えばガラス基板に対してR(赤)、G(緑)、B(青)のインクを所定のパターンで吐出させ、このインクを基板上で乾燥させることで着色層を形成するものがある。このような基板に対してインクを吐出する方式としては、例えばインクジェット方式の液滴吐出装置が採用されている。
【0003】
インクジェット方式の液滴吐出装置を採用した場合、インクジェットヘッドからガラス基板に対して所定量のインクを吐出して着弾させる。この場合、例えば直交する2方向(X方向、Y方向)に移動可能、および任意の回転軸を中心として回転可能とされたXYθステージにガラス基板を搭載し、インクジェットヘッドを固定したタイプの装置を用いることができる。このタイプの装置は、XYθステージの駆動によりインクジェットヘッドに対してガラス基板を所定の位置に位置決めした後、ガラス基板をX方向、Y方向に走査しながらインクジェットヘッドからインクを吐出することで、ガラス基板の所定の位置にインクを着弾させる構成となっている。
【0004】
この種の液滴吐出装置を用いたカラーフィルター製造装置の例が、下記の特許文献1に開示されている。この文献に開示されたカラーフィルター製造装置は、インクジェットヘッドにより基板上にインクを吐出してカラーフィルターの各画素を着色することによりカラーフィルターを製造している。一枚の基板上に複数枚のカラーフィルターを形成する場合、各々のカラーフィルターの画素の着色の直前の異常検出パターン描画領域でインクジェットヘッドの吐出不良の検出を行っている。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−101410号公報 (第10−11頁、第10図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来の液滴吐出装置においては、ガラス基板の余白部分の異常検出パターン描画領域にインクを吐出してインクジェットヘッドからインクが正常に吐出されているか否かの検査を行っていた。この検査用のインクを着弾させる領域を確保するために、余白を大きめに設定する必要があった。余白を大きくすると、ガラス基板における製品として利用できる面積が減少してしまい、ガラス基板の利用効率を向上させることができないという問題があった。
【0007】
また、検査用に吐出され余白部分に着弾したインクは、当然のことながら製品に利用されないので、検査用に吐出されたインクは利用されずに捨てられ、インクの利用効率が低下するという問題があった。
【0008】
さらに、1枚のガラス基板において吐出検査ができるのは、最初の余白部分の1回だけであった。そのため、ガラス基板に描画している最中にインク吐出不良が発生すると、次のガラス基板で吐出検査を行うまで吐出不良を検出することができなかった。つまり、1枚のガラス基板において、インク吐出不良が発生した以降の部分が製品として利用できなくなり、ガラス基板およびインクの利用効率が低下するという問題があった。
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、インクの吐出不良検査を適宜実施することができ、かつ検査に用いたインク、ガラス基板を有効利用することのできる液滴吐出装置、液滴吐出装置の制御方法、カラーフィルター製造装置、カラーフィルター及びその製造方法、液晶装置、電子機器を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の液滴吐出装置は、被処理基材上のパターン形成領域内に液状体を吐出することにより所望形状のパターンを形成する液滴吐出装置であって、前記被処理基材の流れ方向と交差する方向に配列された複数の液滴吐出ヘッドと、前記液滴吐出ヘッドを修復するメンテナンスユニットと、前記被処理基材上に着弾した液滴の着弾位置を測定する検査部と、前記液滴吐出ヘッド、前記メンテナンスユニットおよび前記検査部の動作を制御する制御部と、を備え、該制御部が、前記液滴吐出ヘッドから前記パターン形成領域上に所定個数の液滴を吐出させ、前記検査部によりその所定個数の液滴の着弾位置を測定させて、液滴吐出検査を行うことを特徴とする。
【0011】
すなわち、本発明の液滴吐出装置は、上記パターン形成領域上に所定個数の液滴を吐出させてその着弾位置を検査している。そのため検査に用いた液滴の液状体および被処理基材をそのまま製品として利用することができ、利用効率を向上させることができる。
また、上記パターン形成領域を液滴吐出検査領域として兼用しているため、従来のように余白の液滴吐出検査領域を広げることなく、広い面積を液滴吐出検査領域として使用することができる。そのため、より多く液滴吐出検査を行うことができる。
さらに、検査用に別途スペースを設ける必要がないため、被処理基材における製品として利用できる面積の割合を増やすことができ、利用効率を向上させることができる。
【0012】
上記の構成を実現するために、より具体的には、パターン形成領域上の所定の位置に液滴が着弾していないとの情報が検査部から制御部に入力されると、制御部がメンテナンスユニットにより液滴吐出ヘッドを修復させることが望ましい。
この構成によれば、上記パターン形成領域上の所定の位置に液滴が着弾していないときには、液滴吐出ヘッドを修復し、パターン形成領域の描画を継続することができる。
つまり、それ以上製品に利用できない部分の増加を防ぐことができ、上記被処理基材の利用効率の低下を防ぐことができる。
【0013】
上記の構成を実現するために、より具体的には、パターン形成領域上に液滴が着弾していないとの情報が検査部から制御部に入力されると、制御部が、メンテナンスユニットにより液滴吐出ヘッドを修復させた後に、液滴吐出ヘッドにより液滴が着弾していない所に向けて液滴を吐出させることが望ましい。
この構成によれば、上記パターン形成領域上に液滴が着弾していない所に、液滴を再び吐出させているので、液滴吐出検査の際に発生したパターン形成領域の欠陥が補修され製品に利用することができる。つまり、上記被処理基材の利用効率を向上させることができる。
【0014】
上記の構成を実現するために、パターン形成領域の描画時に、制御部が液滴吐出ヘッドおよび検査部により、所定の頻度で液滴吐出検査を行ってもよい。
この構成によれば、液滴吐出検査を所定の頻度で行っているため、液滴吐出ヘッドからの吐出不良を、その発生から早い時点で発見することができる。そのため、吐出不良の状態で描画される部分の増加を防ぐことができる。つまり、上記被処理基材の利用効率の低下を防ぐことができる。
【0015】
上記の構成を実現するために、より具体的には、各パターン形成領域の描画開始ごとに、制御部が液滴吐出ヘッドおよび検査部により、液滴吐出検査を行ってもよい。
この構成によれば、各パターン形成領域を描画する際に液滴吐出検査を行っているので、液滴吐出ヘッドが吐出不良を発生しても、次のパターン形成領域を描画する時にその吐出不良を検出することができる。そのため、パターン形状中に描画不良が含まれるのは、描画中に吐出不良が発生したパターン形成領域だけにとどめることができる。つまり、上記被処理基材の利用効率の低下を防ぐことができる。
また、液滴吐出検査頻度が低くなるので、パターン形成領域への描画が中断される頻度が低くなる。そのため、パターン形成領域への描画にかかる時間を短縮することができる。
【0016】
本発明の液滴吐出装置の制御方法は、被処理基材上のパターン形成領域内に液状体を吐出することにより所望形状のパターンを形成する液滴吐出装置の制御方法であって、前記被処理基材の流れ方向と交差する方向に配列された複数の液滴吐出ヘッドと、前記液滴吐出ヘッドを修復するメンテナンスユニットと、前記被処理基材上に着弾した液滴の着弾位置を測定する検査部と、を備えた液滴吐出装置を用い、前記パターン形成領域上に前記液滴吐出ヘッドから所定個数の液滴を吐出させる工程と、その所定個数の液滴の着弾位置を前記検査部により測定する工程と、からなる液滴吐出検査を行うように制御することを特徴とする。
すなわち、液滴吐出ヘッドから前記所望形状上に所定個数の液滴を吐出させる工程と、検査部によりその所定個数の液滴の着弾位置を測定させる工程とを行うように制御して液滴吐出検査を行うことができる。
【0017】
本発明のカラーフィルター製造装置は、異なる色の着色層を備えたカラーフィルターを製造するカラーフィルター製造装置であって、上記本発明の液滴吐出装置が複数備えられ、各液滴吐出装置で用いる前記液状体がそれぞれ異なる色の色素を含み、各液滴吐出装置が異なる色の着色層をそれぞれ形成することを特徴とする。
すなわち、本発明のカラーフィルター製造装置は、異なる色の着色層、例えばR、G、Bの着色層をそれぞれ形成する複数の液滴吐出装置を備え、この液滴吐出装置が上記本発明の液滴吐出装置で構成されたものである。この構成によれば、カラーフィルターの品質を向上させることができるとともに、製造コスト低減を図ることができるカラーフィルター製造装置を実現することができる。
【0018】
本発明のカラーフィルターの製造方法は、異なる色の着色層を備えたカラーフィルターの製造方法であって、上記本発明のカラーフィルター製造装置を用いて前記着色層を形成することを特徴とする。
この構成によれば、カラーフィルターの品質を向上させることができるとともに、製造コスト低減を図ることができる。
【0019】
本発明のカラーフィルターは、異なる色の着色層を備えたカラーフィルターであって、上記本発明のカラーフィルターの製造方法により製造されたことを特徴とする。
この構成によれば、安価で品質の良いカラーフィルターを提供することができる。
【0020】
本発明の液晶装置は、一対の基板間に液晶が挟持された液晶装置であって、上記本発明のカラーフィルターを備えたことを特徴とする。
この構成によれば、安価で品質の良いカラー液晶表示装置を提供することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図1から図10を参照して説明する。
図1は本実施形態のカラーフィルター製造装置の概略構成図であり、R、G、Bの3色の着色層を備えたカラーフィルターを製造するための装置である。
本実施形態のカラーフィルター製造装置1は、図1に示すように、上流側からインク受容層形成装置2、R着色層形成装置3、G着色層形成装置4、B着色層形成装置5、本焼成装置6が配置され、これらの装置が任意の搬送装置(図示略)を介して連結されたものである。このカラーフィルター製造装置1には、R、G、Bの各着色層のパターンを区画する隔壁(バンクとも言う)が形成されたガラス、プラスチック等からなる透明基板(被処理基材)が供給される。インク受容層形成装置2は、隔壁で区画された領域内に樹脂組成物からなるインク受容層を下地層として形成するための装置である。R着色層形成装置3、G着色層形成装置4、B着色層形成装置5は、それぞれ後で着色層となるR、G、Bのインクからなる液状体を塗布するための装置である。本焼成装置6は、塗布後のR、G、Bのインクからなる液状体を一括して加熱、焼成するための装置である。これらの装置のうち、インク受容層形成装置2、R着色層形成装置3、G着色層形成装置4、B着色層形成装置5の4台には、本発明の液滴吐出装置(インクジェット装置)が用いられている。
【0022】
図2は、本実施形態のカラーフィルター製造装置1の要部である液滴吐出装置の部分のみを示す概略構成斜視図である。液滴吐出装置が用いられるインク受容層形成装置2、R着色層形成装置3、G着色層形成装置4、B着色層形成装置5の基本構成は全て同様であるため、ここではR着色層形成装置3を一例として説明する。
R着色層形成装置3は、図2に示すように、上流側から下流側(図2における右側から左側)に向けて給材部61、表面改質部62、描画部63、検査部64、仮焼成部65、除材部66が備えられている。大まかな処理の流れとしては、給材部61から供給された描画前の基板に対し、表面改質部62において親液処理、撥液処理が施され、描画部63において隔壁で区画された所定の領域にRのインクが吐出、描画される。次いで、検査部64において描画状態が検査され、仮焼成部65でインクの仮焼成が施された後、描画後の基板が除材部66により排出される。本装置において、これら各部は基板の流れ方向に沿って直線状に配置されている。なお、本装置は大型の基板を処理可能な大規模な装置であるため、作業者が後述するヘッドユニットのメンテナンスを行うための通路67が設けられている。給材部61および除材部66は任意の基板搬送手段で構成することができ、例えばローラコンベア、ベルトコンベア等が用いられる。表面改質部62は、プラズマ処理室を備えており、親液処理としては大気雰囲気中で酸素を反応ガスとするプラズマ処理(O2プラズマ処理)が行われ、基板の表面及び隔壁の側面が親液化される。撥液処理としては大気雰囲気中でテトラフルオロメタン(四フッ化炭素)を反応ガスとするプラズマ処理(CF4プラズマ処理)が行われ、隔壁の上面が撥液化される。
【0023】
図3は、描画部63の近傍のみを示す概略構成斜視図である。描画部63は、図3に示すように、一方向に移動可能なステージ70上に基板Sを吸着保持し、その状態で基板Sを一方向(図3における右側から左側)に搬送する構成となっており、基板Sの搬送方向と直交して延びるヘッドユニット71が装置本体に架設されている。すなわち、本実施形態の液滴吐出装置72は、液滴吐出ヘッド側が移動せず、基板側のみが移動する構成である。ヘッドユニット71は、基板Sの搬送方向と直交する方向に配列された複数個の液滴吐出ヘッド34が固定された大型基準プレート74を備えている。図4(a)は、大型基準プレート74を液滴吐出ヘッド34のノズル側から見た斜視図、図4(b)は1個の液滴吐出ヘッド34の拡大図(図4(a)の符号Hの円内の拡大図)である。これらの図に示すように、1枚の小型基準プレート73に対して1個の液滴吐出ヘッド34が固定され、1枚の大型基準プレート74に対してヘッドの個数分の小型基準プレート73が固定されている。本実施形態の場合、複数個の液滴吐出ヘッド34は複数個ずつ3列に配列されており、各列間で大型基準プレート74の長手方向にずれた位置に配置されている。また、各液滴吐出ヘッド34は、複数のノズル(図4では図示せず)18を有している。この構成により、このヘッドユニット71は、大型基準プレート74の長手方向、すなわち基板Sの搬送方向と直交する方向で例えば数mという長い寸法にわたって所定のピッチでインク滴を吐出可能となっている。そして、液滴吐出ヘッド34の配列方向と直交する方向に基板Sを搬送しつつインク滴を吐出することで、基板Sの全面にわたって所望のパターン形状でRのインクを描画することができる。また、図3における符号76はインクタンクである。インクタンク76はインクを貯留するものであり、配管(図示せず)を介してインクを液滴吐出ヘッド34に供給するものとなっている。
【0024】
液滴吐出ヘッド34は、例えばピエゾ素子によって液室を圧縮してその圧力波で液体を吐出させるもので、上述したように、一列または複数列に配列された複数のノズルを有している。この液滴吐出ヘッド34の構造の一例を説明すると、液滴吐出ヘッド34は、図5(a)に示すように、例えばステンレス製のノズルプレート12と振動板13とを備え、両者を仕切部材(リザーバプレート)14を介して接合したものである。ノズルプレート12と振動板13との間には、仕切部材14によって複数の空間15と液溜まり16とが形成されている。各空間15と液溜まり16の内部はインクで満たされており、各空間15と液溜まり16とは供給口17を介して連通したものとなっている。また、ノズルプレート12には、空間15からインクを噴射するためのノズル18が形成されている。一方、振動板13には、液溜まり16にインクを供給するための孔19が形成されている。
【0025】
また、振動板13の空間15に対向する面と反対側の面上には、図5(b)に示すように、圧電素子(ピエゾ素子)20が接合されている。この圧電素子20は、一対の電極21の間に位置し、通電するとこれが外側に突出するようにして撓曲するよう構成されたものである。そして、このような構成のもとに圧電素子20が接合されている振動板13は、圧電素子20と一体になって同時に外側へ撓曲するようになっており、これによって空間15の容積が増大するようになっている。したがって、空間15内に増大した容積分に相当するインクが、液溜まり16から供給口17を介して流入する。また、このような状態から圧電素子20への通電を解除すると、圧電素子20と振動板13はともに元の形状に戻る。したがって、空間15も元の容積に戻ることから、空間15内部のインクの圧力が上昇し、ノズル18から基板に向けてインクの液滴Lが吐出される。
なお、液滴吐出ヘッドのインクジェット方式としては、前記の圧電素子20を用いたピエゾジェットタイプ以外の方式でもよく、例えば、エネルギー発生素子として電気熱変換体を用いた方式を採用してもよい。
【0026】
図3に示すように、ヘッドユニット71の長手方向の側方には、吸引・クリーニング部(メンテナンスユニット)80が設けられている。吸引・クリーニング部80は、各液滴吐出ヘッド34の詰まり等による吐出不良を防止すべく所定の頻度で各液滴吐出ヘッド34の吸引・クリーニング作業を行うためのものである。具体的な構成としては、吸引・クリーニング部80には、吸引時に各液滴吐出ヘッド34のノズルを塞ぐキャッピングユニット81や、ノズルを拭うためのワイパー82が備えられている。また、ヘッドユニット71の下流側には、描画後の基板Sの描画状態、すなわち所定の位置にインク滴が確実に吐出されているか否かを検査する検査部64が設けられている。検査部64は、例えばCCD等を用いたラインセンサにより構成されている。さらに本実施形態の場合、検査部64により所定の位置にインクが吐出されていない不良箇所が発見された時にその箇所にのみ再度インクを吐出して不良箇所を補修するための補修用ヘッド86がヘッドユニット71の上流側に設置されている。補修用ヘッド86がヘッドユニット71の上流側に位置しているため、補修時のみはステージ70が逆方向(図3における左側から右側)に移動するようになっている。補修用ヘッド86は1個の液滴吐出ヘッド34のみを有しており、基板Sの搬送方向と直交する方向に移動可能となっている。もしくは、補修用ヘッド86はヘッドユニット71の下流側に位置していてもよく、その場合にはステージ70が逆方向に移動する必要はない。また、検査部64の下流側には、例えばレーザー乾燥方式による仮焼成部88が設けられている。仮焼成部の焼成条件は、R、G、Bの各色によってそれぞれ最適化される。
【0027】
R着色層形成装置3には、図6に示すように、検査部64の出力に基づき基板Sを搬送するステージ70と、液滴を吐出する圧電素子20と、液滴吐出ヘッド34を備えるヘッドユニット71と、液滴吐出ヘッド34をメンテナンスする吸引・クリーニング部80とを制御する制御部100が備えられている。
制御部100は、ステージを駆動制御することにより基板Sの移動を制御し、圧電素子20への通電を制御することで液滴の吐出を制御し、ヘッドユニット71を駆動制御することにより液滴吐出ヘッド34の移動を制御している。
【0028】
以上、液滴吐出装置の構成をR着色層形成装置3の例を挙げて説明したが、カラーフィルター製造装置1の初段にあるインク受容層形成装置2のみは表面改質部62の上流側に洗浄部90を備えている。インク受容層形成装置2には隔壁が形成された基板Sが供給されるが、基板Sの表面改質を行う前にウェット洗浄、オゾン洗浄等の方法により基板Sを洗浄し、清浄になった基板Sを表面改質部62に供給する構成となっている。この構成により、基板Sに付着した異物等に起因する描画不良の発生が抑えられ、歩留りを向上することができる。
【0029】
次に、本実施形態のカラーフィルター製造装置1を用いたカラーフィルターの製造方法の一例を説明する。
上記カラーフィルター製造装置1を用いたカラーフィルターの製造方法は、図7に示すように、生産性を高める観点から長方形状の基板S上に、複数個のカラーフィルター領域(パターン形成領域)51をマトリクス状に形成する際に適用することができる。これらのカラーフィルター領域51は、後で基板Sを切断することにより、液晶表示装置に適合する個々のカラーフィルターとして用いることができる。なお、各カラーフィルター領域51においては、図7に示したように、Rのインク、Gのインク、およびBのインクをそれぞれ所定のパターン、本例では従来公知のストライプ型で形成して配置する。なお、この形成パターンとしては、ストライプ型のほかに、モザイク型やデルタ型あるいはスクウェアー型等としてもよい。
【0030】
このようなカラーフィルター領域51を形成するには、まず、図8(a)に示すように、透明の基板Sの一方の面に対し、ブラックマトリクス52を形成する。このブラックマトリクス52を形成する際には、光透過性のない樹脂(好ましくは黒色樹脂)を、スピンコート等の方法で所定の厚さ(例えば2μm程度)に塗布し、フォトリソグラフィー技術を用いてパターニングする。このブラックマトリクス52の格子で囲まれる最小の表示要素、すなわちフィルターエレメント53については、例えばX軸方向の幅を30μm、Y軸方向の長さを100μm程度とする。このブラックマトリクスは充分な高さを有しており、インク吐出時の隔壁として機能する。
次に、図8(b)に示すように、本実施形態のカラーフィルター製造装置1におけるインク受容層形成装置2の液滴吐出ヘッド34からインク受容層となる樹脂組成物を含有するインク滴54(液状体)を吐出し、これを基板S上に着弾させる。吐出するインク滴54の量については、加熱工程におけるインクの体積減少を考慮した十分な量とする。次いで、インク受容層形成装置2の焼成部においてインク滴の焼成を行い、図8(c)に示すようなインク受容層60とする。
【0031】
次に、図8(d)に示すように、R着色層形成装置3の液滴吐出ヘッド34からRのインク滴54R(液状体)を吐出し、これを基板S上に着弾させる。吐出するインク滴54の量については、加熱工程におけるインクの体積減少を考慮した十分な量とする。次いで、R着色層形成装置3の仮焼成部65においてインクの仮焼成を行い、図8(e)に示すようなR着色層34Rとする。以上の工程を、G着色層形成装置4、B着色層形成装置5においても繰り返し、図8(f)に示すように、G着色層34G、B着色層34Bを順次形成する。R着色層34R、G着色層34G、B着色層34Bを全て形成した後、本焼成装置6においてこれら着色層34R,34G,34Bを一括して焼成する。
次いで、基板Sを平坦化し、かつ着色層34R,34G,34Bを保護するため、図8(g)に示すように各着色層34R,34G,34Bやブラックマトリクス52を覆うオーバーコート膜(保護膜)56を形成する。このオーバーコート膜59の形成にあたっては、スピンコート法、ロールコート法、リッピング法等の方法を採用することもできるが、着色層34R,34G,34Bの場合と同様に液滴吐出装置を用いることもできる。
【0032】
次に本発明の特徴部である液滴の吐出検査方法の一例について説明する。
まず、最初にカラーフィルター領域51のフィルターエレメント53に液滴を吐出させる時には、液滴が正常に吐出されるか検査を行う。制御部100は、圧電素子20に通電して各ノズル18から1滴の検査用の液滴を吐出させて、カラーフィルター領域51のフィルターエレメント53上に着弾させる。なお、検査の際に吐出する液滴の数は数滴であっても良い。ノズル18から吐出される最初の液滴は、比較的飛行曲がりなどの吐出不良を起こしやすいため、数滴吐出させて検査するとより確実に検査できる。
検査用の液滴を吐出させると、制御部100は、ステージ70を駆動させて基板Sを下流側にある検査部64の所まで移動させる。基板Sが検査部64の下方まで移動されると、検査部64によりフィルターエレメント53上に着弾した検査用の液滴の着弾位置が測定される。
検査用液滴の着弾位置が、フィルターエレメント53上の所定の着弾位置であれば、制御部100は、基板Sを上流側にあるヘッドユニット71の所まで戻して、フィルターエレメント53上に続けて液滴を吐出する。
【0033】
また、フィルターエレメント53上に検査用液滴の着弾がなければ、制御部100は液滴吐出ヘッド34のノズル18が詰まったと判定する。そして、ヘッドユニット71を側方にある吸引・クリーニング部80に移動させ、ノズル18の吸引、ワイピングなどの補修を行う。ノズル18の補修が終わると、ヘッドユニット71を元の位置に戻し、基板Sを上流側のヘッドユニット71の下方へ移動させる。基板Sは吐出検査を行った位置まで戻され、検査用液滴が着弾しなかった所に液滴を吐出して補う。その後はフィルターエレメント53上に続けて液滴を吐出する。
【0034】
また、フィルターエレメント53上の所定の着弾位置からずれた位置に検査用液滴が着弾していると、制御部100は液滴の飛行曲がりが発生したと判定する。そして、ヘッドユニット71を吸引・クリーニング部80に移動させ、ノズル18の吸引、ワイピングなどの補修を行って飛行曲がりの原因を取り除く。飛行曲がりの原因が取り除かれると、制御部100はヘッドユニット71を元の位置に戻し、基板Sを上流側にあるヘッドユニット71の下方へ移動させ、フィルターエレメント53上に続けて液滴を吐出する。
なお、液滴の飛行曲がりで起きる着弾位置のずれは、最大でも所定のフィルターエレメント53からはみ出さない程度であり、色の混色を起こす可能性は低い。
【0035】
カラーフィルター領域51内の全てのフィルターエレメント53に液滴を吐出し終わると、ヘッドユニット71の下方に次のカラーフィルター領域51が移動されてくる。すると、制御部100は、下方に次のカラーフィルター領域51のフィルターエレメント53に対して、再び液滴吐出検査を行う。
なお、この液滴の吐出検査は各カラーフィルター領域51ごとに行うだけではなく、各基板Sごとであったりさまざまな頻度で行っても良い。吐出検査を行う頻度は、主に液滴吐出ヘッド34のノズル18詰まりや、液滴の飛行曲がりが発生する頻度に応じて決まるものだからである。
【0036】
上記の構成によれば、フィルターエレメント53上に1滴の液滴を吐出させてその着弾位置を検査しているため、検査に用いた液滴のインク等および基板Sをそのまま製品として利用することができ、インク等および基板Sの利用効率を向上させることができる。
また、フィルターエレメント53を液滴吐出検査を行う領域として兼用しているため、従来のように基板Sの余白を用いた液滴吐出検査領域を広げることなく、広い面積を液滴吐出検査領域として使用することができる。そのため、液滴吐出検査を行う回数を従来よりも多くすることができる。
さらに、検査用に別途スペースを設ける必要がないため、基板Sにおけるカラーフィルター領域51として利用できる面積の割合を増やすことができる。つまり、基板Sの面積の内、製品として利用できる面積割合を向上させることができる。
【0037】
フィルターエレメント53上の所定の位置に検査用液滴が着弾していないときには、液滴吐出ヘッド34を修復し、所望形状の描画を継続することができる。つまり、それ以上製品に利用できない部分の増加を防ぐことができ、基板Sの利用効率の低下を防ぐことができる。
また、フィルターエレメント53上の検査用液滴が着弾していない所に、液滴を再び吐出させているので、液滴吐出検査の際に発生したフィルターエレメント53の欠陥が補修され製品に利用することができる。つまり、基板Sの利用効率を向上させることができる。
【0038】
新たなカラーフィルター領域51のフィルターエレメント53に液滴を吐出する際には液滴吐出検査を行っている。液滴吐出ヘッド34に吐出不良が発生しても、次のカラーフィルター領域51のフィルターエレメント53に液滴を吐出する時に行う液滴吐出検査で、その吐出不良を検出することができる。そのため、カラーフィルター領域51内に描画不良が含まれるのは、フィルターエレメント53に液滴吐出中に吐出不良が発生したカラーフィルター領域51だけにとどめることができる。つまり、描画不良が含まれるカラーフィルター領域51の数を最小限にして、基板Sの利用効率の低下を防ぐことができる。
また、液滴吐出検査頻度が低くなるので、カラーフィルター領域51への描画が中断される頻度が低くなる。そのため、カラーフィルター領域51への描画にかかる時間を短縮することができる。
【0039】
次に、上記カラーフィルターを備えた液晶装置(電気光学装置)の一実施形態を示す。図9はパッシブマトリクス型の液晶装置を示す図であり、図9中の符号30は液晶装置である。この液晶装置30は透過型のもので、一対のガラス基板31、32の間にSTN(Super Twisted Nematic)液晶等からなる液晶層33が挟持されてなるものである。
一方のガラス基板31には、その内面に上記カラーフィルター55が形成されている。カラーフィルター55は、R、G、Bの各色からなる着色層34R、34G、34Bが規則的に配列されて構成されたものである。なお、これらの色素層34R(34G、34B)間には、ブラックマトリクス52が形成されている。そして、これらカラーフィルター55およびブラックマトリクス52の上には、カラーフィルター55やブラックマトリクス52によって形成される段差をなくしてこれを平坦化するため、オーバーコート膜(保護膜)56が形成されている。オーバーコート膜56の上には複数の電極37がストライプ状に形成され、さらにその上には配向膜38が形成されている。
【0040】
他方のガラス基板32には、その内面に、カラーフィルター55側の電極と直交するようにして、複数の電極39がストライプ状に形成されており、これら電極39上には、配向膜40が形成されている。なお、前記カラーフィルター55の各着色層34R、34G、34Bは、それぞれ各ガラス基板32上の電極39、37の交差する位置に配置されている。また、電極37、39は、ITO(Indium Tin Oxide)などの透明導電材料によって形成されている。さらに、ガラス基板32とカラーフィルター55の外面側にはそれぞれ偏光板(図示せず)が設けられ、ガラス基板31、32間にはこれら基板31、32間の間隔(セルギャップ)を一定に保持するためスペーサ41が設けられている。さらに、これらガラス基板31、32間には液晶33を封入するためのシール材42が設けられている。
【0041】
本実施形態の液晶装置30では、上記カラーフィルター製造装置1を用いて製造されるカラーフィルター55を適用しているため、安価で品質の良いカラー液晶表示装置を実現することができる。
【0042】
次に、上記液晶装置からなる表示手段を備えた電子機器の具体例について説明する。
図10は、液晶テレビジョンの一例を示した斜視図である。図10において、符号500は液晶テレビジョン本体を示し、符号501は上記実施形態の液晶装置を備えた液晶表示部を示している。このように、図10に示す電子機器は、上記実施形態の液晶装置を備えたものであるから、安価で表示品位に優れたカラー液晶表示を有する電子機器を実現することができる。
【0043】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施の形態では本発明の液滴吐出装置をカラーフィルターの製造に応用する例を挙げたが、カラーフィルターのみならず、有機EL素子等のデバイス形成技術、あるいは各種配線形成技術に適用することも可能である。
【0044】
また、上記実施の形態では本発明の液滴吐出装置を基板が一方向に流れる構成に適応して説明したが、基板が一方向に流れる構成に限られることなく、基板が液滴吐出装置を双方向に移動するものなど、各種の構成に適応することができるものである。
また、上記実施の形態ではヘッドユニット71がその長手方向側方にもうけられた吸引・クリーニング部80へ移動して吸引、ワイピングなどの補修を受ける構成に適応して説明したが、このヘッドユニット71が移動する構成に限られることなく、逆に小型化された吸引・クリーニング部をヘッドユニット71の下方に移動させて吸引、ワイピングなどの補修を行う構成など、さまざまな構成に適応することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態のカラーフィルター製造装置の概略構成図である。
【図2】同、カラーフィルター製造装置の液滴吐出装置を示す斜視図である。
【図3】同、液滴吐出装置の描画部を示す斜視図である。
【図4】液滴吐出ヘッドの配置を示す斜視図である。
【図5】液滴吐出ヘッドの内部構成を示す斜視図である。
【図6】液滴吐出装置の吐出検査回路の構成を示すブロック図である。
【図7】カラーフィルター形成用基板を示す斜視図である。
【図8】カラーフィルターの製造方法を順を追って示す工程断面図である。
【図9】本発明の一実施形態の液晶装置の断面図である。
【図10】本発明の電子機器の一実施形態の液晶テレビジョンの斜視図である。
【符号の説明】
1・・・カラーフィルター製造装置、 34・・・液滴吐出ヘッド、 51・・・カラーフィルター領域(パターン形成領域)、 64・・・検査部、 72・・・液滴吐出装置、 80・・・吸引・クリーニング部(メンテナンスユニット)、100・・・制御部
【発明の属する技術分野】
本発明は、液滴吐出装置、液滴吐出装置の制御方法、カラーフィルター製造装置、カラーフィルター及びその製造方法、液晶装置、電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、コンピュータディスプレイや大型テレビジョン等の電子機器の発達に伴い、液晶表示装置、特にカラー液晶表示装置の使用が増加している。この種の液晶表示装置には、通常、表示画像をカラー化するためにカラーフィルターが用いられている。カラーフィルターには、例えばガラス基板に対してR(赤)、G(緑)、B(青)のインクを所定のパターンで吐出させ、このインクを基板上で乾燥させることで着色層を形成するものがある。このような基板に対してインクを吐出する方式としては、例えばインクジェット方式の液滴吐出装置が採用されている。
【0003】
インクジェット方式の液滴吐出装置を採用した場合、インクジェットヘッドからガラス基板に対して所定量のインクを吐出して着弾させる。この場合、例えば直交する2方向(X方向、Y方向)に移動可能、および任意の回転軸を中心として回転可能とされたXYθステージにガラス基板を搭載し、インクジェットヘッドを固定したタイプの装置を用いることができる。このタイプの装置は、XYθステージの駆動によりインクジェットヘッドに対してガラス基板を所定の位置に位置決めした後、ガラス基板をX方向、Y方向に走査しながらインクジェットヘッドからインクを吐出することで、ガラス基板の所定の位置にインクを着弾させる構成となっている。
【0004】
この種の液滴吐出装置を用いたカラーフィルター製造装置の例が、下記の特許文献1に開示されている。この文献に開示されたカラーフィルター製造装置は、インクジェットヘッドにより基板上にインクを吐出してカラーフィルターの各画素を着色することによりカラーフィルターを製造している。一枚の基板上に複数枚のカラーフィルターを形成する場合、各々のカラーフィルターの画素の着色の直前の異常検出パターン描画領域でインクジェットヘッドの吐出不良の検出を行っている。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−101410号公報 (第10−11頁、第10図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来の液滴吐出装置においては、ガラス基板の余白部分の異常検出パターン描画領域にインクを吐出してインクジェットヘッドからインクが正常に吐出されているか否かの検査を行っていた。この検査用のインクを着弾させる領域を確保するために、余白を大きめに設定する必要があった。余白を大きくすると、ガラス基板における製品として利用できる面積が減少してしまい、ガラス基板の利用効率を向上させることができないという問題があった。
【0007】
また、検査用に吐出され余白部分に着弾したインクは、当然のことながら製品に利用されないので、検査用に吐出されたインクは利用されずに捨てられ、インクの利用効率が低下するという問題があった。
【0008】
さらに、1枚のガラス基板において吐出検査ができるのは、最初の余白部分の1回だけであった。そのため、ガラス基板に描画している最中にインク吐出不良が発生すると、次のガラス基板で吐出検査を行うまで吐出不良を検出することができなかった。つまり、1枚のガラス基板において、インク吐出不良が発生した以降の部分が製品として利用できなくなり、ガラス基板およびインクの利用効率が低下するという問題があった。
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、インクの吐出不良検査を適宜実施することができ、かつ検査に用いたインク、ガラス基板を有効利用することのできる液滴吐出装置、液滴吐出装置の制御方法、カラーフィルター製造装置、カラーフィルター及びその製造方法、液晶装置、電子機器を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の液滴吐出装置は、被処理基材上のパターン形成領域内に液状体を吐出することにより所望形状のパターンを形成する液滴吐出装置であって、前記被処理基材の流れ方向と交差する方向に配列された複数の液滴吐出ヘッドと、前記液滴吐出ヘッドを修復するメンテナンスユニットと、前記被処理基材上に着弾した液滴の着弾位置を測定する検査部と、前記液滴吐出ヘッド、前記メンテナンスユニットおよび前記検査部の動作を制御する制御部と、を備え、該制御部が、前記液滴吐出ヘッドから前記パターン形成領域上に所定個数の液滴を吐出させ、前記検査部によりその所定個数の液滴の着弾位置を測定させて、液滴吐出検査を行うことを特徴とする。
【0011】
すなわち、本発明の液滴吐出装置は、上記パターン形成領域上に所定個数の液滴を吐出させてその着弾位置を検査している。そのため検査に用いた液滴の液状体および被処理基材をそのまま製品として利用することができ、利用効率を向上させることができる。
また、上記パターン形成領域を液滴吐出検査領域として兼用しているため、従来のように余白の液滴吐出検査領域を広げることなく、広い面積を液滴吐出検査領域として使用することができる。そのため、より多く液滴吐出検査を行うことができる。
さらに、検査用に別途スペースを設ける必要がないため、被処理基材における製品として利用できる面積の割合を増やすことができ、利用効率を向上させることができる。
【0012】
上記の構成を実現するために、より具体的には、パターン形成領域上の所定の位置に液滴が着弾していないとの情報が検査部から制御部に入力されると、制御部がメンテナンスユニットにより液滴吐出ヘッドを修復させることが望ましい。
この構成によれば、上記パターン形成領域上の所定の位置に液滴が着弾していないときには、液滴吐出ヘッドを修復し、パターン形成領域の描画を継続することができる。
つまり、それ以上製品に利用できない部分の増加を防ぐことができ、上記被処理基材の利用効率の低下を防ぐことができる。
【0013】
上記の構成を実現するために、より具体的には、パターン形成領域上に液滴が着弾していないとの情報が検査部から制御部に入力されると、制御部が、メンテナンスユニットにより液滴吐出ヘッドを修復させた後に、液滴吐出ヘッドにより液滴が着弾していない所に向けて液滴を吐出させることが望ましい。
この構成によれば、上記パターン形成領域上に液滴が着弾していない所に、液滴を再び吐出させているので、液滴吐出検査の際に発生したパターン形成領域の欠陥が補修され製品に利用することができる。つまり、上記被処理基材の利用効率を向上させることができる。
【0014】
上記の構成を実現するために、パターン形成領域の描画時に、制御部が液滴吐出ヘッドおよび検査部により、所定の頻度で液滴吐出検査を行ってもよい。
この構成によれば、液滴吐出検査を所定の頻度で行っているため、液滴吐出ヘッドからの吐出不良を、その発生から早い時点で発見することができる。そのため、吐出不良の状態で描画される部分の増加を防ぐことができる。つまり、上記被処理基材の利用効率の低下を防ぐことができる。
【0015】
上記の構成を実現するために、より具体的には、各パターン形成領域の描画開始ごとに、制御部が液滴吐出ヘッドおよび検査部により、液滴吐出検査を行ってもよい。
この構成によれば、各パターン形成領域を描画する際に液滴吐出検査を行っているので、液滴吐出ヘッドが吐出不良を発生しても、次のパターン形成領域を描画する時にその吐出不良を検出することができる。そのため、パターン形状中に描画不良が含まれるのは、描画中に吐出不良が発生したパターン形成領域だけにとどめることができる。つまり、上記被処理基材の利用効率の低下を防ぐことができる。
また、液滴吐出検査頻度が低くなるので、パターン形成領域への描画が中断される頻度が低くなる。そのため、パターン形成領域への描画にかかる時間を短縮することができる。
【0016】
本発明の液滴吐出装置の制御方法は、被処理基材上のパターン形成領域内に液状体を吐出することにより所望形状のパターンを形成する液滴吐出装置の制御方法であって、前記被処理基材の流れ方向と交差する方向に配列された複数の液滴吐出ヘッドと、前記液滴吐出ヘッドを修復するメンテナンスユニットと、前記被処理基材上に着弾した液滴の着弾位置を測定する検査部と、を備えた液滴吐出装置を用い、前記パターン形成領域上に前記液滴吐出ヘッドから所定個数の液滴を吐出させる工程と、その所定個数の液滴の着弾位置を前記検査部により測定する工程と、からなる液滴吐出検査を行うように制御することを特徴とする。
すなわち、液滴吐出ヘッドから前記所望形状上に所定個数の液滴を吐出させる工程と、検査部によりその所定個数の液滴の着弾位置を測定させる工程とを行うように制御して液滴吐出検査を行うことができる。
【0017】
本発明のカラーフィルター製造装置は、異なる色の着色層を備えたカラーフィルターを製造するカラーフィルター製造装置であって、上記本発明の液滴吐出装置が複数備えられ、各液滴吐出装置で用いる前記液状体がそれぞれ異なる色の色素を含み、各液滴吐出装置が異なる色の着色層をそれぞれ形成することを特徴とする。
すなわち、本発明のカラーフィルター製造装置は、異なる色の着色層、例えばR、G、Bの着色層をそれぞれ形成する複数の液滴吐出装置を備え、この液滴吐出装置が上記本発明の液滴吐出装置で構成されたものである。この構成によれば、カラーフィルターの品質を向上させることができるとともに、製造コスト低減を図ることができるカラーフィルター製造装置を実現することができる。
【0018】
本発明のカラーフィルターの製造方法は、異なる色の着色層を備えたカラーフィルターの製造方法であって、上記本発明のカラーフィルター製造装置を用いて前記着色層を形成することを特徴とする。
この構成によれば、カラーフィルターの品質を向上させることができるとともに、製造コスト低減を図ることができる。
【0019】
本発明のカラーフィルターは、異なる色の着色層を備えたカラーフィルターであって、上記本発明のカラーフィルターの製造方法により製造されたことを特徴とする。
この構成によれば、安価で品質の良いカラーフィルターを提供することができる。
【0020】
本発明の液晶装置は、一対の基板間に液晶が挟持された液晶装置であって、上記本発明のカラーフィルターを備えたことを特徴とする。
この構成によれば、安価で品質の良いカラー液晶表示装置を提供することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図1から図10を参照して説明する。
図1は本実施形態のカラーフィルター製造装置の概略構成図であり、R、G、Bの3色の着色層を備えたカラーフィルターを製造するための装置である。
本実施形態のカラーフィルター製造装置1は、図1に示すように、上流側からインク受容層形成装置2、R着色層形成装置3、G着色層形成装置4、B着色層形成装置5、本焼成装置6が配置され、これらの装置が任意の搬送装置(図示略)を介して連結されたものである。このカラーフィルター製造装置1には、R、G、Bの各着色層のパターンを区画する隔壁(バンクとも言う)が形成されたガラス、プラスチック等からなる透明基板(被処理基材)が供給される。インク受容層形成装置2は、隔壁で区画された領域内に樹脂組成物からなるインク受容層を下地層として形成するための装置である。R着色層形成装置3、G着色層形成装置4、B着色層形成装置5は、それぞれ後で着色層となるR、G、Bのインクからなる液状体を塗布するための装置である。本焼成装置6は、塗布後のR、G、Bのインクからなる液状体を一括して加熱、焼成するための装置である。これらの装置のうち、インク受容層形成装置2、R着色層形成装置3、G着色層形成装置4、B着色層形成装置5の4台には、本発明の液滴吐出装置(インクジェット装置)が用いられている。
【0022】
図2は、本実施形態のカラーフィルター製造装置1の要部である液滴吐出装置の部分のみを示す概略構成斜視図である。液滴吐出装置が用いられるインク受容層形成装置2、R着色層形成装置3、G着色層形成装置4、B着色層形成装置5の基本構成は全て同様であるため、ここではR着色層形成装置3を一例として説明する。
R着色層形成装置3は、図2に示すように、上流側から下流側(図2における右側から左側)に向けて給材部61、表面改質部62、描画部63、検査部64、仮焼成部65、除材部66が備えられている。大まかな処理の流れとしては、給材部61から供給された描画前の基板に対し、表面改質部62において親液処理、撥液処理が施され、描画部63において隔壁で区画された所定の領域にRのインクが吐出、描画される。次いで、検査部64において描画状態が検査され、仮焼成部65でインクの仮焼成が施された後、描画後の基板が除材部66により排出される。本装置において、これら各部は基板の流れ方向に沿って直線状に配置されている。なお、本装置は大型の基板を処理可能な大規模な装置であるため、作業者が後述するヘッドユニットのメンテナンスを行うための通路67が設けられている。給材部61および除材部66は任意の基板搬送手段で構成することができ、例えばローラコンベア、ベルトコンベア等が用いられる。表面改質部62は、プラズマ処理室を備えており、親液処理としては大気雰囲気中で酸素を反応ガスとするプラズマ処理(O2プラズマ処理)が行われ、基板の表面及び隔壁の側面が親液化される。撥液処理としては大気雰囲気中でテトラフルオロメタン(四フッ化炭素)を反応ガスとするプラズマ処理(CF4プラズマ処理)が行われ、隔壁の上面が撥液化される。
【0023】
図3は、描画部63の近傍のみを示す概略構成斜視図である。描画部63は、図3に示すように、一方向に移動可能なステージ70上に基板Sを吸着保持し、その状態で基板Sを一方向(図3における右側から左側)に搬送する構成となっており、基板Sの搬送方向と直交して延びるヘッドユニット71が装置本体に架設されている。すなわち、本実施形態の液滴吐出装置72は、液滴吐出ヘッド側が移動せず、基板側のみが移動する構成である。ヘッドユニット71は、基板Sの搬送方向と直交する方向に配列された複数個の液滴吐出ヘッド34が固定された大型基準プレート74を備えている。図4(a)は、大型基準プレート74を液滴吐出ヘッド34のノズル側から見た斜視図、図4(b)は1個の液滴吐出ヘッド34の拡大図(図4(a)の符号Hの円内の拡大図)である。これらの図に示すように、1枚の小型基準プレート73に対して1個の液滴吐出ヘッド34が固定され、1枚の大型基準プレート74に対してヘッドの個数分の小型基準プレート73が固定されている。本実施形態の場合、複数個の液滴吐出ヘッド34は複数個ずつ3列に配列されており、各列間で大型基準プレート74の長手方向にずれた位置に配置されている。また、各液滴吐出ヘッド34は、複数のノズル(図4では図示せず)18を有している。この構成により、このヘッドユニット71は、大型基準プレート74の長手方向、すなわち基板Sの搬送方向と直交する方向で例えば数mという長い寸法にわたって所定のピッチでインク滴を吐出可能となっている。そして、液滴吐出ヘッド34の配列方向と直交する方向に基板Sを搬送しつつインク滴を吐出することで、基板Sの全面にわたって所望のパターン形状でRのインクを描画することができる。また、図3における符号76はインクタンクである。インクタンク76はインクを貯留するものであり、配管(図示せず)を介してインクを液滴吐出ヘッド34に供給するものとなっている。
【0024】
液滴吐出ヘッド34は、例えばピエゾ素子によって液室を圧縮してその圧力波で液体を吐出させるもので、上述したように、一列または複数列に配列された複数のノズルを有している。この液滴吐出ヘッド34の構造の一例を説明すると、液滴吐出ヘッド34は、図5(a)に示すように、例えばステンレス製のノズルプレート12と振動板13とを備え、両者を仕切部材(リザーバプレート)14を介して接合したものである。ノズルプレート12と振動板13との間には、仕切部材14によって複数の空間15と液溜まり16とが形成されている。各空間15と液溜まり16の内部はインクで満たされており、各空間15と液溜まり16とは供給口17を介して連通したものとなっている。また、ノズルプレート12には、空間15からインクを噴射するためのノズル18が形成されている。一方、振動板13には、液溜まり16にインクを供給するための孔19が形成されている。
【0025】
また、振動板13の空間15に対向する面と反対側の面上には、図5(b)に示すように、圧電素子(ピエゾ素子)20が接合されている。この圧電素子20は、一対の電極21の間に位置し、通電するとこれが外側に突出するようにして撓曲するよう構成されたものである。そして、このような構成のもとに圧電素子20が接合されている振動板13は、圧電素子20と一体になって同時に外側へ撓曲するようになっており、これによって空間15の容積が増大するようになっている。したがって、空間15内に増大した容積分に相当するインクが、液溜まり16から供給口17を介して流入する。また、このような状態から圧電素子20への通電を解除すると、圧電素子20と振動板13はともに元の形状に戻る。したがって、空間15も元の容積に戻ることから、空間15内部のインクの圧力が上昇し、ノズル18から基板に向けてインクの液滴Lが吐出される。
なお、液滴吐出ヘッドのインクジェット方式としては、前記の圧電素子20を用いたピエゾジェットタイプ以外の方式でもよく、例えば、エネルギー発生素子として電気熱変換体を用いた方式を採用してもよい。
【0026】
図3に示すように、ヘッドユニット71の長手方向の側方には、吸引・クリーニング部(メンテナンスユニット)80が設けられている。吸引・クリーニング部80は、各液滴吐出ヘッド34の詰まり等による吐出不良を防止すべく所定の頻度で各液滴吐出ヘッド34の吸引・クリーニング作業を行うためのものである。具体的な構成としては、吸引・クリーニング部80には、吸引時に各液滴吐出ヘッド34のノズルを塞ぐキャッピングユニット81や、ノズルを拭うためのワイパー82が備えられている。また、ヘッドユニット71の下流側には、描画後の基板Sの描画状態、すなわち所定の位置にインク滴が確実に吐出されているか否かを検査する検査部64が設けられている。検査部64は、例えばCCD等を用いたラインセンサにより構成されている。さらに本実施形態の場合、検査部64により所定の位置にインクが吐出されていない不良箇所が発見された時にその箇所にのみ再度インクを吐出して不良箇所を補修するための補修用ヘッド86がヘッドユニット71の上流側に設置されている。補修用ヘッド86がヘッドユニット71の上流側に位置しているため、補修時のみはステージ70が逆方向(図3における左側から右側)に移動するようになっている。補修用ヘッド86は1個の液滴吐出ヘッド34のみを有しており、基板Sの搬送方向と直交する方向に移動可能となっている。もしくは、補修用ヘッド86はヘッドユニット71の下流側に位置していてもよく、その場合にはステージ70が逆方向に移動する必要はない。また、検査部64の下流側には、例えばレーザー乾燥方式による仮焼成部88が設けられている。仮焼成部の焼成条件は、R、G、Bの各色によってそれぞれ最適化される。
【0027】
R着色層形成装置3には、図6に示すように、検査部64の出力に基づき基板Sを搬送するステージ70と、液滴を吐出する圧電素子20と、液滴吐出ヘッド34を備えるヘッドユニット71と、液滴吐出ヘッド34をメンテナンスする吸引・クリーニング部80とを制御する制御部100が備えられている。
制御部100は、ステージを駆動制御することにより基板Sの移動を制御し、圧電素子20への通電を制御することで液滴の吐出を制御し、ヘッドユニット71を駆動制御することにより液滴吐出ヘッド34の移動を制御している。
【0028】
以上、液滴吐出装置の構成をR着色層形成装置3の例を挙げて説明したが、カラーフィルター製造装置1の初段にあるインク受容層形成装置2のみは表面改質部62の上流側に洗浄部90を備えている。インク受容層形成装置2には隔壁が形成された基板Sが供給されるが、基板Sの表面改質を行う前にウェット洗浄、オゾン洗浄等の方法により基板Sを洗浄し、清浄になった基板Sを表面改質部62に供給する構成となっている。この構成により、基板Sに付着した異物等に起因する描画不良の発生が抑えられ、歩留りを向上することができる。
【0029】
次に、本実施形態のカラーフィルター製造装置1を用いたカラーフィルターの製造方法の一例を説明する。
上記カラーフィルター製造装置1を用いたカラーフィルターの製造方法は、図7に示すように、生産性を高める観点から長方形状の基板S上に、複数個のカラーフィルター領域(パターン形成領域)51をマトリクス状に形成する際に適用することができる。これらのカラーフィルター領域51は、後で基板Sを切断することにより、液晶表示装置に適合する個々のカラーフィルターとして用いることができる。なお、各カラーフィルター領域51においては、図7に示したように、Rのインク、Gのインク、およびBのインクをそれぞれ所定のパターン、本例では従来公知のストライプ型で形成して配置する。なお、この形成パターンとしては、ストライプ型のほかに、モザイク型やデルタ型あるいはスクウェアー型等としてもよい。
【0030】
このようなカラーフィルター領域51を形成するには、まず、図8(a)に示すように、透明の基板Sの一方の面に対し、ブラックマトリクス52を形成する。このブラックマトリクス52を形成する際には、光透過性のない樹脂(好ましくは黒色樹脂)を、スピンコート等の方法で所定の厚さ(例えば2μm程度)に塗布し、フォトリソグラフィー技術を用いてパターニングする。このブラックマトリクス52の格子で囲まれる最小の表示要素、すなわちフィルターエレメント53については、例えばX軸方向の幅を30μm、Y軸方向の長さを100μm程度とする。このブラックマトリクスは充分な高さを有しており、インク吐出時の隔壁として機能する。
次に、図8(b)に示すように、本実施形態のカラーフィルター製造装置1におけるインク受容層形成装置2の液滴吐出ヘッド34からインク受容層となる樹脂組成物を含有するインク滴54(液状体)を吐出し、これを基板S上に着弾させる。吐出するインク滴54の量については、加熱工程におけるインクの体積減少を考慮した十分な量とする。次いで、インク受容層形成装置2の焼成部においてインク滴の焼成を行い、図8(c)に示すようなインク受容層60とする。
【0031】
次に、図8(d)に示すように、R着色層形成装置3の液滴吐出ヘッド34からRのインク滴54R(液状体)を吐出し、これを基板S上に着弾させる。吐出するインク滴54の量については、加熱工程におけるインクの体積減少を考慮した十分な量とする。次いで、R着色層形成装置3の仮焼成部65においてインクの仮焼成を行い、図8(e)に示すようなR着色層34Rとする。以上の工程を、G着色層形成装置4、B着色層形成装置5においても繰り返し、図8(f)に示すように、G着色層34G、B着色層34Bを順次形成する。R着色層34R、G着色層34G、B着色層34Bを全て形成した後、本焼成装置6においてこれら着色層34R,34G,34Bを一括して焼成する。
次いで、基板Sを平坦化し、かつ着色層34R,34G,34Bを保護するため、図8(g)に示すように各着色層34R,34G,34Bやブラックマトリクス52を覆うオーバーコート膜(保護膜)56を形成する。このオーバーコート膜59の形成にあたっては、スピンコート法、ロールコート法、リッピング法等の方法を採用することもできるが、着色層34R,34G,34Bの場合と同様に液滴吐出装置を用いることもできる。
【0032】
次に本発明の特徴部である液滴の吐出検査方法の一例について説明する。
まず、最初にカラーフィルター領域51のフィルターエレメント53に液滴を吐出させる時には、液滴が正常に吐出されるか検査を行う。制御部100は、圧電素子20に通電して各ノズル18から1滴の検査用の液滴を吐出させて、カラーフィルター領域51のフィルターエレメント53上に着弾させる。なお、検査の際に吐出する液滴の数は数滴であっても良い。ノズル18から吐出される最初の液滴は、比較的飛行曲がりなどの吐出不良を起こしやすいため、数滴吐出させて検査するとより確実に検査できる。
検査用の液滴を吐出させると、制御部100は、ステージ70を駆動させて基板Sを下流側にある検査部64の所まで移動させる。基板Sが検査部64の下方まで移動されると、検査部64によりフィルターエレメント53上に着弾した検査用の液滴の着弾位置が測定される。
検査用液滴の着弾位置が、フィルターエレメント53上の所定の着弾位置であれば、制御部100は、基板Sを上流側にあるヘッドユニット71の所まで戻して、フィルターエレメント53上に続けて液滴を吐出する。
【0033】
また、フィルターエレメント53上に検査用液滴の着弾がなければ、制御部100は液滴吐出ヘッド34のノズル18が詰まったと判定する。そして、ヘッドユニット71を側方にある吸引・クリーニング部80に移動させ、ノズル18の吸引、ワイピングなどの補修を行う。ノズル18の補修が終わると、ヘッドユニット71を元の位置に戻し、基板Sを上流側のヘッドユニット71の下方へ移動させる。基板Sは吐出検査を行った位置まで戻され、検査用液滴が着弾しなかった所に液滴を吐出して補う。その後はフィルターエレメント53上に続けて液滴を吐出する。
【0034】
また、フィルターエレメント53上の所定の着弾位置からずれた位置に検査用液滴が着弾していると、制御部100は液滴の飛行曲がりが発生したと判定する。そして、ヘッドユニット71を吸引・クリーニング部80に移動させ、ノズル18の吸引、ワイピングなどの補修を行って飛行曲がりの原因を取り除く。飛行曲がりの原因が取り除かれると、制御部100はヘッドユニット71を元の位置に戻し、基板Sを上流側にあるヘッドユニット71の下方へ移動させ、フィルターエレメント53上に続けて液滴を吐出する。
なお、液滴の飛行曲がりで起きる着弾位置のずれは、最大でも所定のフィルターエレメント53からはみ出さない程度であり、色の混色を起こす可能性は低い。
【0035】
カラーフィルター領域51内の全てのフィルターエレメント53に液滴を吐出し終わると、ヘッドユニット71の下方に次のカラーフィルター領域51が移動されてくる。すると、制御部100は、下方に次のカラーフィルター領域51のフィルターエレメント53に対して、再び液滴吐出検査を行う。
なお、この液滴の吐出検査は各カラーフィルター領域51ごとに行うだけではなく、各基板Sごとであったりさまざまな頻度で行っても良い。吐出検査を行う頻度は、主に液滴吐出ヘッド34のノズル18詰まりや、液滴の飛行曲がりが発生する頻度に応じて決まるものだからである。
【0036】
上記の構成によれば、フィルターエレメント53上に1滴の液滴を吐出させてその着弾位置を検査しているため、検査に用いた液滴のインク等および基板Sをそのまま製品として利用することができ、インク等および基板Sの利用効率を向上させることができる。
また、フィルターエレメント53を液滴吐出検査を行う領域として兼用しているため、従来のように基板Sの余白を用いた液滴吐出検査領域を広げることなく、広い面積を液滴吐出検査領域として使用することができる。そのため、液滴吐出検査を行う回数を従来よりも多くすることができる。
さらに、検査用に別途スペースを設ける必要がないため、基板Sにおけるカラーフィルター領域51として利用できる面積の割合を増やすことができる。つまり、基板Sの面積の内、製品として利用できる面積割合を向上させることができる。
【0037】
フィルターエレメント53上の所定の位置に検査用液滴が着弾していないときには、液滴吐出ヘッド34を修復し、所望形状の描画を継続することができる。つまり、それ以上製品に利用できない部分の増加を防ぐことができ、基板Sの利用効率の低下を防ぐことができる。
また、フィルターエレメント53上の検査用液滴が着弾していない所に、液滴を再び吐出させているので、液滴吐出検査の際に発生したフィルターエレメント53の欠陥が補修され製品に利用することができる。つまり、基板Sの利用効率を向上させることができる。
【0038】
新たなカラーフィルター領域51のフィルターエレメント53に液滴を吐出する際には液滴吐出検査を行っている。液滴吐出ヘッド34に吐出不良が発生しても、次のカラーフィルター領域51のフィルターエレメント53に液滴を吐出する時に行う液滴吐出検査で、その吐出不良を検出することができる。そのため、カラーフィルター領域51内に描画不良が含まれるのは、フィルターエレメント53に液滴吐出中に吐出不良が発生したカラーフィルター領域51だけにとどめることができる。つまり、描画不良が含まれるカラーフィルター領域51の数を最小限にして、基板Sの利用効率の低下を防ぐことができる。
また、液滴吐出検査頻度が低くなるので、カラーフィルター領域51への描画が中断される頻度が低くなる。そのため、カラーフィルター領域51への描画にかかる時間を短縮することができる。
【0039】
次に、上記カラーフィルターを備えた液晶装置(電気光学装置)の一実施形態を示す。図9はパッシブマトリクス型の液晶装置を示す図であり、図9中の符号30は液晶装置である。この液晶装置30は透過型のもので、一対のガラス基板31、32の間にSTN(Super Twisted Nematic)液晶等からなる液晶層33が挟持されてなるものである。
一方のガラス基板31には、その内面に上記カラーフィルター55が形成されている。カラーフィルター55は、R、G、Bの各色からなる着色層34R、34G、34Bが規則的に配列されて構成されたものである。なお、これらの色素層34R(34G、34B)間には、ブラックマトリクス52が形成されている。そして、これらカラーフィルター55およびブラックマトリクス52の上には、カラーフィルター55やブラックマトリクス52によって形成される段差をなくしてこれを平坦化するため、オーバーコート膜(保護膜)56が形成されている。オーバーコート膜56の上には複数の電極37がストライプ状に形成され、さらにその上には配向膜38が形成されている。
【0040】
他方のガラス基板32には、その内面に、カラーフィルター55側の電極と直交するようにして、複数の電極39がストライプ状に形成されており、これら電極39上には、配向膜40が形成されている。なお、前記カラーフィルター55の各着色層34R、34G、34Bは、それぞれ各ガラス基板32上の電極39、37の交差する位置に配置されている。また、電極37、39は、ITO(Indium Tin Oxide)などの透明導電材料によって形成されている。さらに、ガラス基板32とカラーフィルター55の外面側にはそれぞれ偏光板(図示せず)が設けられ、ガラス基板31、32間にはこれら基板31、32間の間隔(セルギャップ)を一定に保持するためスペーサ41が設けられている。さらに、これらガラス基板31、32間には液晶33を封入するためのシール材42が設けられている。
【0041】
本実施形態の液晶装置30では、上記カラーフィルター製造装置1を用いて製造されるカラーフィルター55を適用しているため、安価で品質の良いカラー液晶表示装置を実現することができる。
【0042】
次に、上記液晶装置からなる表示手段を備えた電子機器の具体例について説明する。
図10は、液晶テレビジョンの一例を示した斜視図である。図10において、符号500は液晶テレビジョン本体を示し、符号501は上記実施形態の液晶装置を備えた液晶表示部を示している。このように、図10に示す電子機器は、上記実施形態の液晶装置を備えたものであるから、安価で表示品位に優れたカラー液晶表示を有する電子機器を実現することができる。
【0043】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施の形態では本発明の液滴吐出装置をカラーフィルターの製造に応用する例を挙げたが、カラーフィルターのみならず、有機EL素子等のデバイス形成技術、あるいは各種配線形成技術に適用することも可能である。
【0044】
また、上記実施の形態では本発明の液滴吐出装置を基板が一方向に流れる構成に適応して説明したが、基板が一方向に流れる構成に限られることなく、基板が液滴吐出装置を双方向に移動するものなど、各種の構成に適応することができるものである。
また、上記実施の形態ではヘッドユニット71がその長手方向側方にもうけられた吸引・クリーニング部80へ移動して吸引、ワイピングなどの補修を受ける構成に適応して説明したが、このヘッドユニット71が移動する構成に限られることなく、逆に小型化された吸引・クリーニング部をヘッドユニット71の下方に移動させて吸引、ワイピングなどの補修を行う構成など、さまざまな構成に適応することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態のカラーフィルター製造装置の概略構成図である。
【図2】同、カラーフィルター製造装置の液滴吐出装置を示す斜視図である。
【図3】同、液滴吐出装置の描画部を示す斜視図である。
【図4】液滴吐出ヘッドの配置を示す斜視図である。
【図5】液滴吐出ヘッドの内部構成を示す斜視図である。
【図6】液滴吐出装置の吐出検査回路の構成を示すブロック図である。
【図7】カラーフィルター形成用基板を示す斜視図である。
【図8】カラーフィルターの製造方法を順を追って示す工程断面図である。
【図9】本発明の一実施形態の液晶装置の断面図である。
【図10】本発明の電子機器の一実施形態の液晶テレビジョンの斜視図である。
【符号の説明】
1・・・カラーフィルター製造装置、 34・・・液滴吐出ヘッド、 51・・・カラーフィルター領域(パターン形成領域)、 64・・・検査部、 72・・・液滴吐出装置、 80・・・吸引・クリーニング部(メンテナンスユニット)、100・・・制御部
Claims (11)
- 被処理基材上のパターン形成領域内に液状体を吐出することにより所望形状のパターンを形成する液滴吐出装置であって、
前記被処理基材の流れ方向と交差する方向に配列された複数の液滴吐出ヘッドと、
前記液滴吐出ヘッドを修復するメンテナンスユニットと、
前記被処理基材上に着弾した液滴の着弾位置を測定する検査部と、
前記液滴吐出ヘッド、前記メンテナンスユニットおよび前記検査部の動作を制御する制御部と、を備え、
該制御部が、
前記液滴吐出ヘッドから前記パターン形成領域上に所定個数の液滴を吐出させ、前記検査部によりその所定個数の液滴の着弾位置を測定させて、
液滴吐出検査を行うことを特徴とする液滴吐出装置。 - 前記パターン形成領域上の所定の位置に液滴が着弾していないとの情報が、前記検査部から前記制御部に入力されると、
前記制御部が、前記メンテナンスユニットにより前記液滴吐出ヘッドを修復させることを特徴とする請求項1記載の液滴吐出装置。 - 前記パターン形成領域上に液滴が着弾していないとの情報が、前記検査部から前記制御部に入力されると、
前記制御部が、前記メンテナンスユニットにより前記液滴吐出ヘッドを修復させた後に、前記液滴吐出ヘッドにより前記液滴が着弾していない所に向けて液滴を吐出させることをことを特徴とする請求項2記載の液滴吐出装置。 - 前記パターン形成領域の描画時に、前記制御部が前記液滴吐出ヘッドおよび前記検査部により、所定の頻度で前記液滴吐出検査を行うことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の液滴吐出装置。
- 各前記パターン形成領域の描画開始ごとに、前記制御部が前記液滴吐出ヘッドおよび前記検査部により、前記液滴吐出検査を行うことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の液滴吐出装置。
- 被処理基材上のパターン形成領域内に液状体を吐出することにより所望形状のパターンを形成する液滴吐出装置の制御方法であって、
前記被処理基材の流れ方向と交差する方向に配列された複数の液滴吐出ヘッドと、
前記液滴吐出ヘッドを修復するメンテナンスユニットと、
前記被処理基材上に着弾した液滴の着弾位置を測定する検査部と、
を備えた液滴吐出装置を用い、
前記パターン形成領域上に前記液滴吐出ヘッドから所定個数の液滴を吐出させる工程と、
その所定個数の液滴の着弾位置を前記検査部により測定する工程と、
からなる液滴吐出検査を行うように制御することを特徴とする液滴吐出装置の制御方法。 - 異なる色の着色層を備えたカラーフィルターを製造するカラーフィルター製造装置であって、
請求項1から5のいずれかに記載の液滴吐出装置が複数備えられ、各液滴吐出装置で用いる前記液状体がそれぞれ異なる色の色素を含み、各液滴吐出装置が異なる色の着色層をそれぞれ形成することを特徴とするカラーフィルター製造装置。 - 異なる色の着色層を備えたカラーフィルターの製造方法であって、
請求項7記載のカラーフィルター製造装置を用いて前記着色層を形成することを特徴とするカラーフィルターの製造方法。 - 異なる色の着色層を備えたカラーフィルターであって、
請求項8に記載のカラーフィルターの製造方法により製造されたことを特徴とするカラーフィルター。 - 一対の基板間に液晶が挟持された液晶装置であって、
請求項9に記載のカラーフィルターを備えたことを特徴とする液晶装置。 - 請求項10に記載の液晶装置を備えたことを特徴とする電子機器。
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JP2003165021A JP2005000753A (ja) | 2003-06-10 | 2003-06-10 | 液滴吐出装置、液滴吐出装置の制御方法、カラーフィルター製造装置、カラーフィルター及びその製造方法、液晶装置、電子機器 |
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JP2003165021A Withdrawn JP2005000753A (ja) | 2003-06-10 | 2003-06-10 | 液滴吐出装置、液滴吐出装置の制御方法、カラーフィルター製造装置、カラーフィルター及びその製造方法、液晶装置、電子機器 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN112718380A (zh) * | 2020-12-30 | 2021-04-30 | 常德环创力达环保科技有限公司 | 一种石膏砖块缺角修补装置 |
-
2003
- 2003-06-10 JP JP2003165021A patent/JP2005000753A/ja not_active Withdrawn
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