JP2004358353A - 液滴吐出装置、液滴吐出方法、薄膜形成方法、及び電気光学装置 - Google Patents
液滴吐出装置、液滴吐出方法、薄膜形成方法、及び電気光学装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】従来のインクジェット装置のノズルは、膜や配線を形成させるために必要な箇所に吐出することのみを行なうことから、ムラや断線を修復できなかった。
【解決手段】本発明に係る液滴吐出装置は、媒体を移動させるための送り機構と、送り機構により送られた媒体に液滴を吐出するための第一のノズルと、第一のノズルによる液滴の吐出が不良となった媒体上の箇所である吐出不良箇所を検出する検出部と、検出部が吐出不良箇所を検出した場合に、吐出不良箇所に液滴を吐出する第二のノズルを有する。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明に係る液滴吐出装置は、媒体を移動させるための送り機構と、送り機構により送られた媒体に液滴を吐出するための第一のノズルと、第一のノズルによる液滴の吐出が不良となった媒体上の箇所である吐出不良箇所を検出する検出部と、検出部が吐出不良箇所を検出した場合に、吐出不良箇所に液滴を吐出する第二のノズルを有する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット法を用いて液滴を吐出して媒体に描画する液滴吐出装置と、液滴吐出装置を用いた吐出方法及び薄膜形成方法と、液滴吐出装置により形成された電気光学装置とに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、インクジェット法(液滴吐出法)を用いた液滴吐出装置(以下「インクジェット装置」という。)は、複数のノズルを有するインクジェットヘッドと吐出の対象である媒体の送り機構とを備えており、例えば、薄膜デバイスの製造工程に利用する場合は、吐出の対象である媒体を送り機構で送り出しながら、導電膜等の形成材料や発光層用インク等を含有した液滴をノズルから吐出させて、所望の膜や配線を形成させる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら液滴の粘度の増加や、気泡の混入等の原因によって、いくつかのノズルが目詰まりして液滴を吐出できない場合があり、ノズルに目詰まりが発生すると、前記所望の膜や配線上にドットの抜けが起こり、ムラや断線が生じる原因となる。
上記したインクジェット装置においては、前記ノズルは前記膜や配線を形成させるために必要な箇所に吐出することのみを行なうことから、前記ムラや断線を修復できないという問題があった。
【0004】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、
前記膜や配線を形成させるための第一のノズルと、前記第一のノズルによる吐出の不具合箇所を修正するための吐出を行なうための第二のノズルとを設け、さらに検出部によって前記不具合箇所を検知して、前記第二のノズルにより修正用の吐出を行なうことによって、所望の前記膜や配線を形成することができることを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するために、本発明に係る液滴吐出装置は、媒体と、前記媒体に対して相対移動するとともに該媒体に向けて液滴を吐出する第一のノズルと、前記媒体上の塗布不良箇所を検出する検出部と、前記検出部が前記塗布不良箇所を検出した場合に、当該塗布不良箇所に液滴を吐出する第二のノズルとを有する。
このようにすれば、検出部により検知された結果に基づいて、修正用ノズルを使用して前記塗布不良個所に向けて、修正用の吐出を行なうことによって、所望の前記膜や配線を形成することができる。
【0006】
また、本発明に係る他の液体吐出装置は、媒体と、前記媒体に対して相対移動するとともに該媒体に向けて液滴を吐出する第一のノズルと、前記媒体上の塗布不良箇所を検出する検出部と、前記検出部が前記塗布不良箇所を検出した場合に、当該塗布不良箇所に液滴を吐出する第二のノズルとを有する液体吐出装置において、前記媒体に対して相対移動する移動部材を有しており、前記第一のノズル、および、前記第二のノズルは、前記移動部材に設けられている。
このようにすれば、膜あるいは配線パターンの描画用の吐出と修正用の吐出とを直近で行なうことが可能となり、修正のためにノズルが移動する距離を短縮できる。前記の短縮により、移動誤差による位置ずれを防止することが可能となり、即ち、修正のための吐出の位置精度を高めることができる。さらに、前記第一のノズルと、前記第二のノズルとが、同一の移動機構に設けられているため、修正用の移動機構が不要となり、安価で簡便な装置を提供することができる。
【0007】
また、前記検出部は、前記塗布不良箇所の検出を、前記第一のノズルによる液滴吐出を開始する前、及び、液滴吐出を終了した後のいずれかに実施することとしてもよい。
このようにすれば、塗布不良箇所の検出を確実に精度よく行なうことができる。
【0008】
また、前記第一のノズルは、前記媒体上に描画列が形成されるように前記液滴を吐出し、前記塗布不良個所が検出された場合には、前記第二のノズルは、前記塗布不良箇所に対する液体の吐出を、前記塗布不良箇所が検出された描画列に引き続く描画列を描画する前に実施することとしてもよい。
このようにすれば、塗布不良の発生した液滴吐出から修正用の液滴吐出までの時間を短くすることが可能となり、修正用の塗布液の密着性を高めることが可能となる。
【0009】
また、前記液滴は、溶剤中に膜材料が溶解または分散されてなる塗布液であり、
前記塗布液を吐出して薄膜を形成してもよい。
このようにすれば、検出部により検出された結果に基づいて、修正用ノズルを使用して前記塗布不良個所に向けて、修正用の吐出を行なうことによって、所望の前記薄膜を形成することができる。
【0010】
また、本発明に係る液滴吐出方法は、媒体に液滴吐出を行なうステップと、
前記液滴吐出の欠損があるか否かを検知するステップと、前記検知結果に基づいて前記欠損の修正のための液滴吐出を行なうステップと、を有する。
【0011】
また、本発明に係る薄膜形成方法は、前記第一のノズルにより膜材料を吐出して薄膜形成を行なう工程と、
前記検出部により、前記薄膜の欠損があるか否かを検出する工程と、
前記検出する工程で、前記薄膜の欠損が検出された場合は、前記検出結果に基づいて前記第二のノズルを前記薄膜の欠損箇所に対応する位置に移動する工程と、
前記第二のノズルにより、膜材料の吐出を行なって薄膜の欠損を修正する工程と、を有する。
【0012】
また、前記第一のノズルは、前記媒体上に描画列が形成されるように前記液滴を吐出し、前記塗布不良個所が検出された場合の、前記第二のノズルにより、膜材料の吐出を行なって前記薄膜の欠損を修正する工程は、前記薄膜の欠損が検出された描画列に引き続く描画列を前記第一のノズルが描画すると同時に実施する。
このようにすれば、薄膜の欠損の発生した液滴吐出から修正用の液滴吐出までの時間を短くすることが可能となり、修正用の塗布液の密着性を高めることが可能となる。
【0013】
また、本発明に係る液滴吐出装置により形成されたことを特徴とする電気光学装置を提供することも可能となる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照しながら説明する。
===装置の全体構成例===
図1は、本実施形態の液滴吐出装置及び薄膜形成装置の主要な構成を示す概略図である。
本説明では、液滴吐出装置の一実施例として、適宜な基板P上に回路パターン(金属配線)などを形成するために塗布液を吐出するための薄膜形成装置50を示す。
図1に示すように、薄膜形成装置50は、移動部材としての移動可能なキャリッジ1と、キャリッジ1を移動するためのキャリッジ駆動モータ2と、媒体の一例としての基板Pを送るための基板送りモータ3と、キャリッジ駆動モータ2によって駆動されてキャリッジ1を移動させる駆動軸4と、基板送りモータ3によって駆動されて基板Pを送るための駆動軸5と、薄膜形成装置の制御を行なうための制御回路6と、基板送りモータ3と駆動軸5とを介して移動する基板Pの戴置台7と、ノズルの汚れ等を除去するためのノズルクリーニング部8と、戴置台7に固定された液滴の吐出不良を検出する検出部10a及び10bと、基板P上に吐出した塗布液を乾燥させるためのヒータ15、等とが基台9に備えられた構成となっている。
【0015】
===キャリッジ周辺の構成例===
次に、キャリッジ周辺の構成について説明する。図2は薄膜形成装置のキャリッジ周辺を示した概略図である。
キャリッジ1には、図2に示すように、塗布液を吐出する複数の吐出ノズルからなるノズル群によって構成される吐出ヘッド12が設けられている。キャリッジ1は、駆動軸4を介して主走査方向に移動しながら、即ち、設けられた吐出ヘッド12が移動しながら、駆動軸5を介して副走査方向に移動する戴置台7上の基板Pに向けて塗布液を吐出する。
【0016】
===吐出ヘッドの構成例===
吐出ヘッドの構成について、図3及び図4を用いて説明する。図3は、吐出ヘッド12の下面におけるノズルの一実施例たる配列を示す説明図であり、図4は、吐出ヘッド12の下面におけるノズルの配列の応用例を示す説明図である。
図3に示すように、吐出ヘッド12は、第一のノズルである第一ノズル群20と、第二のノズルである第二ノズル群21によって構成されている。
前記第一ノズル群20は、副走査方向に沿って一直線に配置されたノズル列20a及びノズル列20cと、それぞれのノズル列と主走査方向に所定の間隔をもって配置されたノズル列20bとによって構成される。
さらに、前記第一ノズル群20を構成するそれぞれのノズル列は、ノズル列20aにおける副走査方向後端の吐出ノズル24とノズル列21bにおける副走査方向先端の吐出ノズル25、及び、ノズル列20bにおける副走査方向後端の吐出ノズル26とノズル列20cにおける副走査方向先端の吐出ノズル27とが、それぞれノズルピッチxと等しい間隔で配置されている。
なお、前記第一ノズル群20は、基板(図示せず)に向けて膜材料を分散した塗布液を吐出して、薄膜たる回路パターンを描画・形成するためのノズル(以下、「描画用ノズル」という。)である。
また、前記第二ノズル群21は、前記第一ノズル群20を構成するノズル列20cの副走査方向後方に位置するノズル列21aで構成され、吐出不良箇所の修正を行なうときの位置制御を容易にするために、前記第一ノズル群20を構成する最後尾のノズル列20cにおける副走査方向後端の吐出ノズル23と、ノズル列21aにおける副走査方向先端の吐出ノズル22とが、ノズルピッチxの整数倍の間隔Xを持って配置されている。
なお、前記第二ノズル群21は、前記第一ノズル群20による液滴の吐出によって生じる基板P上の不良箇所の修正を行なうためのノズル(以下、「修正用ノズル」という。)である。
【0017】
また、第一ノズル群20を構成するノズル列と、ノズルピッチxの整数倍の間隔Xを持って吐出ノズル22が副走査方向に沿って配置されている第二ノズル群21を構成するノズル列21aに代えて、図4の吐出ヘッド12の下面におけるノズルの配列を示す説明図に示すように、第二ノズル群21を構成するノズル列21aは、図示の主走査方向も含むどの方向に沿って配列される吐出ノズル22の構成としても良く、同等な効果を有するとともに、配置角度によってはノズルピッチを変えることも可能となる。
【0018】
また、前述の実施の形態では、第一ノズル群20は、3つのノズル列で構成され、第二ノズル群21は一つのノズル列で構成されると説明したが、これに限定されるものではない。第一ノズル群20、第二ノズル群21ともに、それぞれ一つ以上のノズル列で構成されていれば、同等な効果を有している。
【0019】
また、第一ノズル群20を構成するノズル列の数と、第二ノズル群21を構成するノズル列の数を同数とし、第一ノズル群20の最後端の吐出ノズルと、第二ノズル群21の最先端の吐出ノズルとの間隔をノズルピッチxにすれば、次の列の描画を行ないながら前列の修正の描画も行なうことができ、修正の描画を改めて行なう必要がないため、描画時間の短縮を図ることができる。
【0020】
===検出部の構成例及び検出方法例===
検出部の構成例及び検出方法について例を挙げ、図5及び図6を用いて説明する。図5は、検出部10aの構成を示す概略図であり、図6は、検出部10aのセンサ出力(出力信号)を表わす説明図である。
図5によれば、検出部10aは、吐出ヘッド12に備えられたノズル列20a、20b(本図では2つのノズル列を示す)を構成する複数の吐出ノズル22から吐出される液滴を検知する検知機構30と、前記検知機構30からの出力信号に基づいて解析を行なう処理装置(図示せず)とから構成されている。検知機構30としては、特に、発光部30aと受光部30bとから構成されるセンサの一実施例としての、透過型のレーザーセンサが好適に利用できる。但し、これに限定されるものではない。
また、検出部10aは、副走査方向の移動機構(図示せず)を有しており、副走査方向に移動可能である。
【0021】
不良ノズルの検出方法の一実施例について説明する。
検出部10aでは、複数の吐出ノズル22から液滴を連続して吐出させつつ、図5に示すように、レーザーが照射されている発光部30aと受光部30bとの間に、吐出ヘッド12を位置させ、吐出された液滴が交差するように検出部10aを移動させると、レーザーが液滴を検知して信号を出力し、処理装置に送信する。例えば、吐出ヘッド12に吐出ノズルが100個設けられているとすると、全ノズルが正常動作を知る場合は、図6(a)に示すように、#1から#100までの個々の吐出ノズルに対応した100パルスのセンサ出力(出力信号)が検知される。
ここで、例えば、#99の吐出ノズルが詰まりなどを起こし不良ノズルだった場合には、図6(b)に示すように、センサ出力は、#99の吐出ノズルに相当する99番目の出力が塗布液未検出のレベルのままであり、塗布液検出のレベルに到達しない。このセンサ出力を処理装置が検知し、不良ノズルを検出する。
【0022】
なお、検出部10aには、液体の吐出結果を読み込む画像処理装置を設置しても良い。これにより、吐出不良が発生している吐出ノズルの場所を特定する前に、予め、画像から吐出ノズルに吐出不良が発生しているかどうかを判別させることが可能となる。
【0023】
また、前述の説明では、不良ノズルの検出にあたっては検出部10aを移動させて検出を行なうこととして説明したが、これに限るものではない。例えば、基板Pの戴置台を移動させて検出動作を行っても同様な検出が可能である。
【0024】
また、前述の説明では、検出部10aについて説明したが、検出部が複数設けられている構成においても前述の検出部10aと同様な構成及び機能を有している。
【0025】
本構成の薄膜形成装置を用いることにより、
前記膜や配線を形成させるための第1のノズルによる吐出の不具合箇所を前記検出部によって検知し、前記検出部により検知された結果に基づいて、前記第一のノズルによる吐出の不良個所に向けて第二のノズルによって、修正用の吐出を行なうことによって、所望の前記膜や配線を形成することが可能となる。
【0026】
===回路基板の構成及び製造方法例===
次に、本発明に係る実施例として、適宜な基板P上に回路パターン(金属配線)などを形成してなる回路基板の構成及び製造方法について、図1及び図2を参照しながら、図8を用いて説明する。図8は、回路パターンの一実施例としての角形スパイラル形状の回路パターンを有した回路基板を示す図である。
この回路パターンの製造において使用する塗布液は、吐出ヘッド12によってノズルから吐出することができる液状であり、基板P上に形成された塗布液による薄膜を乾燥、加熱焼成することによって電気配線として充分使用することができる導電性を有する回路導体が得られるものであればよく、好ましくは金、銀などの金属微粒子を有機溶剤中に均一、且つ安定に分散させた金属微粉末分散液が使用される。
また、基板Pの基材としては、前記塗布液からなる薄膜を所望位置に塗布後、焼成して回路導体を形成するために必要な焼成温度に耐えうるものであればよく、その材料や形状、大きさ等には限定されないが、好ましくは、ガラス基板、表面の少なくとも一部に絶縁処理を施したシリコンウェハなどの金属基板、ポリイミド樹脂などの耐熱性合成樹脂基板など、種々の基板を用いることができる。
【0027】
ここで、前記塗布液と、図1及び図2に示す液滴吐出装置とを用いて基板P上に回路導体からなる回路パターンを形成する方法について一例を挙げて説明する。
図8によれば、一列目の描画領域(吐出ヘッドが吐出開始位置から吐出終了位置まで主走査方向に移動する間に吐出を行い描画する領域)の液滴吐出開始位置12aに位置した吐出ヘッド12は、主走査方向に平行なラインL1に対応したノズル(図示せず)から塗布液を吐出しながら主走査方向に移動する。主走査方向に直角方向のラインL2に到達すれば、L1、L2に対応したノズルから塗布液を吐出しながら吐出終了位置12bまで移動し、吐出ヘッド12の一列目の移動による回路パターンを描画する。続いて吐出ノズル12は、副走査方向に移動(実際は基板Pの戴置台7が移動することによって基板が移動する)し、2列目の描画領域の吐出開始位置12cから一列目と同様に移動しながら液滴を吐出する。以降の描画領域においても同様に描画を進め、図に示すような角形スパイラル形状の回路パターンの描画を完成させる。
【0028】
基板P上に塗布液による回路パターンを形成した後、この基板Pを乾燥し、さらに塗布液中に含まれる金属微粒子が基板P上に焼結される温度以上の温度で焼成することによって、金属微粒子が基板上に、及び互いに接合され、十分な導通性を有する導体からなる回路パターンが形成される。
焼成を終え、回路パターンが形成された基板Pは必要に応じて裁断され、IC、LSIなどの電子部品を取り付けることができる。
【0029】
===薄膜形成方法の手順例===
次に、図1及び図3を参照しつつ、図7を用いて、本発明の実施の形態における薄膜形成方法について説明する。図7は薄膜形成方法を説明するためのフローチャートである。
先ず、ユーザは薄膜形成装置において描画を行なう旨を不図示のコントロール部に指示する(ステップS102)。
次に、コントロール部は基板送りモータ3を駆動させて基板Pを描画の先頭位置に移動する(ステップS104)。
続いて、コントローラはキャリッジ駆動モータ2を駆動させて、キャリッジ1を主走査方向に移動させて検出部10aに対向する位置まで移動させる。
なお、以降の、基板Pの副走査方向における移動は、基板送りモータ3を駆動させて、キャリッジ1の走査方向への移動は、キャリッジ駆動モータ2を駆動させて、検出部10の副走査方向への移動は、不図示の移動機構を駆動させて、それぞれ行なわれる。
【0030】
次に、吐出ヘッド12は、図1においては不図示であるが、吐出ノズルから塗布液を連続的に吐出させて吐出状態を整えるフラッシングを行い、同時に検出部10aを副走査方向に移動させて前述した吐出不良ノズルの検出を行なう(ステップS106)。
前記ステップS106の判定(ステップS108)により、吐出不良ノズルが検出されないときは次のステップS120に進む。また、前記ステップS106の判定(ステップS108)により吐出不良ノズルが検出されたときは、ステップS110に進み、キャリッジ1をノズルクリーニング部8に対向する位置まで移動させ、ノズルクリーニング部8による、吐出ノズルのクリーニング動作を行なって、次のステップS120に進む。
ステップS120においては、キャリッジ1は、基板Pの左端側の位置からキャリッジ駆動モータ2の駆動によって主走査方向に移動を開始するとともに、キャリッジ1に設けられた不図示の吐出ヘッドから基板Pに向けて膜材料を分散した塗布液の吐出を開始する。即ち、薄膜パターンの一例としての回路パターンの描画を開始する。さらに、キャリッジ1は移動を継続しながら前記塗布液を吐出して回路パターンを形成し、基板Pの右端を通過した位置を吐出終了位置として、一列目の描画列の描画を終了する(ステップS122)。
なお、描画列に形成される回路パターンは、連続した吐出によるライン状、断続的に島状に並ぶパターン、などを含むパターンによって構成される。
【0031】
次に、キャリッジ1は、検出部10bに対向する位置まで移動し、さらに、吐出ヘッド12は、図1においては不図示の吐出ノズルから塗布液を連続的に吐出させて吐出状態を整えるフラッシングを行い、同時に検出部10bは副走査方向に移動して、前述した吐出不良ノズルの検出を行なう(ステップS124)。
前記ステップS124の判定(ステップS126)により、吐出不良ノズルが検出されないときは次のステップS144に進む。
【0032】
また、前記ステップS124の判定(ステップS126)により吐出不良ノズルが検出されたときの手順について以下に説明する。
先ず、ステップS126の判定において吐出不良ノズルが検出されたときは、検出された吐出不良ノズルの位置を制御回路に記憶する(ステップS130)。吐出不良ノズルの位置を記憶することは、媒体上の塗布不良位置を記憶することと同じである。本説明では、図3に示す吐出ノズル28が詰まりを起こし正常な吐出ができない吐出不良ノズルであるとして説明する。吐出ノズル28が吐出不良を起こすと、該吐出ノズル28の位置が抜けた状態、いわゆる、ドット抜けの状態が発生する。
【0033】
次に、キャリッジ1は、ノズルクリーニング部8に対向する位置まで移動し、ノズルクリーニング部8により、すべての吐出ノズルに対してクリーニングを行なう(ステップS132)。
次に、キャリッジ1に設けられた吐出ヘッド12に配置された修正用ノズル列21a(本例では吐出不良ノズルが一つであるので吐出ノズル22を対向させることとする)を、ステップS130において記憶された吐出不良を起こしている吐出ノズル28の位置に対向する位置に移動させる(実際には、基板送りモータ3を駆動させて基板Pを移動させて行なう)。次に、先述のステップS120及びステップS122におけるキャリッジ1の移動方向とは逆の方向、即ち、基板Pの右端側から左端側に向かってキャリッジ1を移動させながら修正用ノズル列21aの吐出ノズル22から修正用の塗布液を回路パターンの欠損部分に向かって吐出し、回路パターンの欠損部分を修正し、基板Pの左端を通過して修正のための吐出を終了する(ステップS136)。続いて手順は、ステップS144に進む。
【0034】
次に、ステップS144において、制御回路は、吐出終了か否かについての判定を行い、吐出終了と判定すれば、ここで吐出を終了し装置を停止する(ステップS148)。また、吐出終了ではないと判定すれば、次の手順として、基板送りモータ3を駆動して基板Pを所定量移動し(ステップS146)、次の描画列に対する塗布液の吐出に備える。
【0035】
以降の手順は、ステップS106からステップS148のフローの繰り返しで実施される。
【0036】
また、前述のステップS126の判定において、吐出不良ノズルがないと判定された場合における二列目の描画は、前列(ここでは一列目)を描画する際のキャリッジの移動方向とは逆の方向、即ち、基板Pの右端側を吐出の開始位置として基板Pの左端に向かう方向にキャリッジ1を移動しながら描画を行なう。以降前列に吐出不良ノズルがない場合は、前列とは逆方向にキャリッジ1が移動しながら描画する、いわゆる双方向描画を行なう。
双方向描画においては、基板Pの左端側と右端側にそれぞれ吐出不良ノズルの検出部を設けることによって、一列の描画の終了時点で直ぐに検出を行なうことが可能となり、描画スピードの向上を図ることができる。
【0037】
また、一定のキャリッジ移動方向においてのみ描画を行なう一方向描画においては、
吐出開始位置がいつも基板Pの同じ側になるため、基板Pの左端側または右端側のどちらか一方に検出部を設ければよい。このことによって、装置の構成が簡略化され、費用削減も図ることができる。
また、前述の一方向描画においては、一列の描画の終了側に検出部を設けることにより、キャリッジの戻りのための移動時間に、修正を行なうことができる。このことにより、さらに修正工程の時間を短縮することも可能となる。
【0038】
また、第1のノズルと、第二のノズルとによって吐出される塗布液は、それぞれの前記ノズル毎違う塗布液を用いてもよく、例えば、溶剤中に分散される膜材料の濃度を変える、または、溶剤を変える、または、膜材料を変える、等を行なうことができる。
このことにより、既描画パターンの表面状態の違い、等によって発生する可能性のある、修正のために吐出された塗布液がパターン形成されない等の不具合を防止することができるとともに、予測される描画パターンの不具合状態に応じた塗布液を選択し修正することが可能となる。
また、ドット単位の不良のみならず、連続した複数のドット、即ち、ライン状の不良の修正も可能である。
【0039】
また、前述の実施の形態では、移動部材として主走査方向に移動するキャリッジと、媒体の一例としての基板が副走査方向に移動する載置台とを用いた例により説明したが、逆の構成、即ち、副走査方向に移動するキャリッジと、主走査方向に移動する載置台とを用いてもよい。さらには、キャリッジ、または、基板のどちらか一方が固定され、他の一方が主走査方向および副走査方向の両方向に移動することも可能である。
【0040】
また、塗布不良個所とは、液滴の着弾位置不良、着弾した液滴のにじみ不良、液滴の着弾量の不足、というようなことを意味することもある。
【0041】
前述の実施の形態によれば、第1のノズルからの塗布液の吐出により形成される描画の一実施例である回路パターンの、不良パターンの修正を、通常の描画工程の中で行なうことができるため、専用の修正装置等を用いることが不要となり、装置等の製作費用の削減、廃止、または、回路パターンの不良を削減することが可能となる。
さらに、吐出不良の発生直後に修正することが可能であるため、既描画による回路パターンの塗布液の変化、例えば、既描画パターンが乾燥してしまう等の変化を防止することができ、既描画の塗布液と同じ状態で修正の塗布液を塗布することで双方の塗布液の密着性を向上させることも可能となる。
【0042】
===その他の実施の形態===
本実施形態の液滴吐出装置は、いろいろな機能を持った液体を吐出することが可能で、各種の電気光学装置(デバイス)の製造に用いることができる。前述した回路基板の金属配線形成をはじめ、例えば、液晶表示装置、有機EL装置、PDP装置、カラーの液晶表示装置に用いるカラーフィルタの製造、さらには、レンズ形成、レジスト形成装置等にも適用することができる。そこで、他の応用例の一例として、この液滴吐出装置を用いた液晶表示装置の製造方法および有機EL装置の製造方法について、図9、図10に基づいて説明し、他のデバイスについても簡単に説明する。
【0043】
図9は、液晶表示装置の断面図である。同図に示すように、液晶表示装置100は、上下の偏光板122、127間に、カラーフィルタ110と対向基板126とを組み合わせ、両者の間に液晶125を封入することにより構成されている。また、カラーフィルタ110および対向基板126間には、配向膜121、124が構成され、対向基板126の内側の面には、TFT(薄膜トランジスタ)素子(図示せず)と画素電極123とがマトリクス状に形成されている。
【0044】
カラーフィルタ110は、マトリクス状に並んだ画素(フィルタエレメント)を備え、画素と画素の境目は、バンク112により区切られている。画素の1つ1つには、赤(R)、緑(G)、青(B)のいずれかのフィルタ材料(機能液)が導入されている。すなわち、カラーフィルタ110は、透光性の基板111と、遮光性のバンク112とを備えている。バンク112が形成されていない部分は上記画素を構成し、この画素に導入された各色のフィルタ材料は着色層113を構成する。バンク112及び着色層113の上面には、オーバーコート層114及び電極層115が形成されている。
【0045】
そして、本実施形態の液滴吐出装置では、バンク112で区切られて形成された画素内に、吐出ヘッド12により、R・G・B各色の機能液を着色層形成領域毎に選択的に吐出している。そして、塗布した機能液を乾燥させることにより、成膜部となる着色層113を得るようにしている。また、液滴吐出装置では、吐出ヘッド12により、オーバーコート層114など各種の成膜部を形成している。
【0046】
同様に、図10を参照して、有機EL装置とその製造方法を説明する。図10は、有機EL装置の断面図である。同図に示すように、有機EL装置200は、ガラス基板201上に回路素子部202が積層され、回路素子部202上に主体を為す有機EL素子204が積層されている。また有機EL素子204の上側には、不活性ガスの空間を存して封止用基板205が形成されている。
【0047】
有機EL素子204には、無機物バンク層212aおよびこれに重ねた有機物バンク層212bによりバンク212が形成され、このバンク212により、マトリクス状の画素が画成されている。そして、各画素内には、下側から画素電極211、R・G・Bいずれかの発光層210bおよび正孔注入/輸送層210aが積層され、且つ全体がCaやAl等の薄膜を複数層に亘って積層した対向電極203で覆われている。
【0048】
そして、本実施形態の液滴吐出装置では、R・G・Bの各発光層210bおよび正孔注入/輸送層210aの成膜部を形成するようにしている。また、液滴吐出装置では、正孔注入/輸送層210aを形成した後に、吐出ヘッド12に導入する機能液としてCaやAl等の液体金属材料を用いて、対向電極203を形成する等している。
【0049】
また、PDP装置の製造方法では、複数の吐出ヘッド12にR、G、B各色の蛍光材料を導入し、蛍光材料を選択的に吐出して、基板上の多数の凹部にそれぞれ蛍光体を形成する。
【0050】
レンズの形成方法では、複数の吐出ヘッド12にレンズ材料を導入し、レンズ材料を選択的に吐出して、透明基板上に多数のマイクロレンズを形成する。例えば、ビーム収束用等のデバイスを製造する場合に適用可能である。
【0051】
レンズの製造方法では、複数の吐出ヘッド12に透光性のコーティング材料を導入し、コーティング材料を選択的に吐出して、レンズの表面にコーティング膜を形成する。
【0052】
レジスト形成方法では、複数の吐出ヘッド12にレジスト材料を導入し、レジスト材料を選択的に吐出して、基板上に任意形状のフォトレジストを形成する。例えば、上記の各種表示装置におけるバンクの形成はもとより、半導体製造技術の主体をなすフォトリソグラフィー法において、フォトレジストの塗布に広く適用可能である。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の液滴吐出装置、薄膜形成装置、液滴吐出方法、薄膜形成方法、及び電気光学装置によれば、
検出部により検知された結果に基づいて、修正用ノズルを使用して前記吐出不良個所に向けて、修正用の吐出を行なうことによって、所望の前記膜や配線を形成することができる。
【0054】
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の液滴吐出装置及び薄膜形成装置の主要な構成を示す概略図である。
【図2】薄膜形成装置のキャリッジ周辺を示した概略図である。
【図3】吐出ヘッド12の下面におけるノズルの一実施例たる配列を示す説明図である。
【図4】吐出ヘッド12の下面におけるノズルの配列の応用例たる配列を示す説明図である。
【図5】検出部10aの構成を示す概略図である。
【図6】検出部10aのセンサ出力(出力信号)を表わす説明図である。
【図7】薄膜形成方法を説明するためのフローチャートである。
【図8】回路パターンの一実施例としての角形スパイラル形状の回路パターンを有した回路基板を示す図である。
【図9】液晶表示装置の断面図である。
【図10】有機EL装置の断面図である。
【符号の説明】
1 キャリッジ
2 キャリッジ駆動モータ
3 基板送りモータ
4 キャリッジ送り駆動軸
5 基板送り駆動軸
6 制御回路
7 基板の戴置台
8 ノズルクリーニング部
9 基台
10a、10b 検出部
12 吐出ヘッド
15 ヒータ
20 第一のノズル(描画用ノズル)
21 第二のノズル(修正用ノズル)
30 検知機構
30a 発光部
30b 受光部
P 基板
50 薄膜形成装置
100 液晶表示装置
200 有機EL装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット法を用いて液滴を吐出して媒体に描画する液滴吐出装置と、液滴吐出装置を用いた吐出方法及び薄膜形成方法と、液滴吐出装置により形成された電気光学装置とに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、インクジェット法(液滴吐出法)を用いた液滴吐出装置(以下「インクジェット装置」という。)は、複数のノズルを有するインクジェットヘッドと吐出の対象である媒体の送り機構とを備えており、例えば、薄膜デバイスの製造工程に利用する場合は、吐出の対象である媒体を送り機構で送り出しながら、導電膜等の形成材料や発光層用インク等を含有した液滴をノズルから吐出させて、所望の膜や配線を形成させる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら液滴の粘度の増加や、気泡の混入等の原因によって、いくつかのノズルが目詰まりして液滴を吐出できない場合があり、ノズルに目詰まりが発生すると、前記所望の膜や配線上にドットの抜けが起こり、ムラや断線が生じる原因となる。
上記したインクジェット装置においては、前記ノズルは前記膜や配線を形成させるために必要な箇所に吐出することのみを行なうことから、前記ムラや断線を修復できないという問題があった。
【0004】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、
前記膜や配線を形成させるための第一のノズルと、前記第一のノズルによる吐出の不具合箇所を修正するための吐出を行なうための第二のノズルとを設け、さらに検出部によって前記不具合箇所を検知して、前記第二のノズルにより修正用の吐出を行なうことによって、所望の前記膜や配線を形成することができることを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するために、本発明に係る液滴吐出装置は、媒体と、前記媒体に対して相対移動するとともに該媒体に向けて液滴を吐出する第一のノズルと、前記媒体上の塗布不良箇所を検出する検出部と、前記検出部が前記塗布不良箇所を検出した場合に、当該塗布不良箇所に液滴を吐出する第二のノズルとを有する。
このようにすれば、検出部により検知された結果に基づいて、修正用ノズルを使用して前記塗布不良個所に向けて、修正用の吐出を行なうことによって、所望の前記膜や配線を形成することができる。
【0006】
また、本発明に係る他の液体吐出装置は、媒体と、前記媒体に対して相対移動するとともに該媒体に向けて液滴を吐出する第一のノズルと、前記媒体上の塗布不良箇所を検出する検出部と、前記検出部が前記塗布不良箇所を検出した場合に、当該塗布不良箇所に液滴を吐出する第二のノズルとを有する液体吐出装置において、前記媒体に対して相対移動する移動部材を有しており、前記第一のノズル、および、前記第二のノズルは、前記移動部材に設けられている。
このようにすれば、膜あるいは配線パターンの描画用の吐出と修正用の吐出とを直近で行なうことが可能となり、修正のためにノズルが移動する距離を短縮できる。前記の短縮により、移動誤差による位置ずれを防止することが可能となり、即ち、修正のための吐出の位置精度を高めることができる。さらに、前記第一のノズルと、前記第二のノズルとが、同一の移動機構に設けられているため、修正用の移動機構が不要となり、安価で簡便な装置を提供することができる。
【0007】
また、前記検出部は、前記塗布不良箇所の検出を、前記第一のノズルによる液滴吐出を開始する前、及び、液滴吐出を終了した後のいずれかに実施することとしてもよい。
このようにすれば、塗布不良箇所の検出を確実に精度よく行なうことができる。
【0008】
また、前記第一のノズルは、前記媒体上に描画列が形成されるように前記液滴を吐出し、前記塗布不良個所が検出された場合には、前記第二のノズルは、前記塗布不良箇所に対する液体の吐出を、前記塗布不良箇所が検出された描画列に引き続く描画列を描画する前に実施することとしてもよい。
このようにすれば、塗布不良の発生した液滴吐出から修正用の液滴吐出までの時間を短くすることが可能となり、修正用の塗布液の密着性を高めることが可能となる。
【0009】
また、前記液滴は、溶剤中に膜材料が溶解または分散されてなる塗布液であり、
前記塗布液を吐出して薄膜を形成してもよい。
このようにすれば、検出部により検出された結果に基づいて、修正用ノズルを使用して前記塗布不良個所に向けて、修正用の吐出を行なうことによって、所望の前記薄膜を形成することができる。
【0010】
また、本発明に係る液滴吐出方法は、媒体に液滴吐出を行なうステップと、
前記液滴吐出の欠損があるか否かを検知するステップと、前記検知結果に基づいて前記欠損の修正のための液滴吐出を行なうステップと、を有する。
【0011】
また、本発明に係る薄膜形成方法は、前記第一のノズルにより膜材料を吐出して薄膜形成を行なう工程と、
前記検出部により、前記薄膜の欠損があるか否かを検出する工程と、
前記検出する工程で、前記薄膜の欠損が検出された場合は、前記検出結果に基づいて前記第二のノズルを前記薄膜の欠損箇所に対応する位置に移動する工程と、
前記第二のノズルにより、膜材料の吐出を行なって薄膜の欠損を修正する工程と、を有する。
【0012】
また、前記第一のノズルは、前記媒体上に描画列が形成されるように前記液滴を吐出し、前記塗布不良個所が検出された場合の、前記第二のノズルにより、膜材料の吐出を行なって前記薄膜の欠損を修正する工程は、前記薄膜の欠損が検出された描画列に引き続く描画列を前記第一のノズルが描画すると同時に実施する。
このようにすれば、薄膜の欠損の発生した液滴吐出から修正用の液滴吐出までの時間を短くすることが可能となり、修正用の塗布液の密着性を高めることが可能となる。
【0013】
また、本発明に係る液滴吐出装置により形成されたことを特徴とする電気光学装置を提供することも可能となる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照しながら説明する。
===装置の全体構成例===
図1は、本実施形態の液滴吐出装置及び薄膜形成装置の主要な構成を示す概略図である。
本説明では、液滴吐出装置の一実施例として、適宜な基板P上に回路パターン(金属配線)などを形成するために塗布液を吐出するための薄膜形成装置50を示す。
図1に示すように、薄膜形成装置50は、移動部材としての移動可能なキャリッジ1と、キャリッジ1を移動するためのキャリッジ駆動モータ2と、媒体の一例としての基板Pを送るための基板送りモータ3と、キャリッジ駆動モータ2によって駆動されてキャリッジ1を移動させる駆動軸4と、基板送りモータ3によって駆動されて基板Pを送るための駆動軸5と、薄膜形成装置の制御を行なうための制御回路6と、基板送りモータ3と駆動軸5とを介して移動する基板Pの戴置台7と、ノズルの汚れ等を除去するためのノズルクリーニング部8と、戴置台7に固定された液滴の吐出不良を検出する検出部10a及び10bと、基板P上に吐出した塗布液を乾燥させるためのヒータ15、等とが基台9に備えられた構成となっている。
【0015】
===キャリッジ周辺の構成例===
次に、キャリッジ周辺の構成について説明する。図2は薄膜形成装置のキャリッジ周辺を示した概略図である。
キャリッジ1には、図2に示すように、塗布液を吐出する複数の吐出ノズルからなるノズル群によって構成される吐出ヘッド12が設けられている。キャリッジ1は、駆動軸4を介して主走査方向に移動しながら、即ち、設けられた吐出ヘッド12が移動しながら、駆動軸5を介して副走査方向に移動する戴置台7上の基板Pに向けて塗布液を吐出する。
【0016】
===吐出ヘッドの構成例===
吐出ヘッドの構成について、図3及び図4を用いて説明する。図3は、吐出ヘッド12の下面におけるノズルの一実施例たる配列を示す説明図であり、図4は、吐出ヘッド12の下面におけるノズルの配列の応用例を示す説明図である。
図3に示すように、吐出ヘッド12は、第一のノズルである第一ノズル群20と、第二のノズルである第二ノズル群21によって構成されている。
前記第一ノズル群20は、副走査方向に沿って一直線に配置されたノズル列20a及びノズル列20cと、それぞれのノズル列と主走査方向に所定の間隔をもって配置されたノズル列20bとによって構成される。
さらに、前記第一ノズル群20を構成するそれぞれのノズル列は、ノズル列20aにおける副走査方向後端の吐出ノズル24とノズル列21bにおける副走査方向先端の吐出ノズル25、及び、ノズル列20bにおける副走査方向後端の吐出ノズル26とノズル列20cにおける副走査方向先端の吐出ノズル27とが、それぞれノズルピッチxと等しい間隔で配置されている。
なお、前記第一ノズル群20は、基板(図示せず)に向けて膜材料を分散した塗布液を吐出して、薄膜たる回路パターンを描画・形成するためのノズル(以下、「描画用ノズル」という。)である。
また、前記第二ノズル群21は、前記第一ノズル群20を構成するノズル列20cの副走査方向後方に位置するノズル列21aで構成され、吐出不良箇所の修正を行なうときの位置制御を容易にするために、前記第一ノズル群20を構成する最後尾のノズル列20cにおける副走査方向後端の吐出ノズル23と、ノズル列21aにおける副走査方向先端の吐出ノズル22とが、ノズルピッチxの整数倍の間隔Xを持って配置されている。
なお、前記第二ノズル群21は、前記第一ノズル群20による液滴の吐出によって生じる基板P上の不良箇所の修正を行なうためのノズル(以下、「修正用ノズル」という。)である。
【0017】
また、第一ノズル群20を構成するノズル列と、ノズルピッチxの整数倍の間隔Xを持って吐出ノズル22が副走査方向に沿って配置されている第二ノズル群21を構成するノズル列21aに代えて、図4の吐出ヘッド12の下面におけるノズルの配列を示す説明図に示すように、第二ノズル群21を構成するノズル列21aは、図示の主走査方向も含むどの方向に沿って配列される吐出ノズル22の構成としても良く、同等な効果を有するとともに、配置角度によってはノズルピッチを変えることも可能となる。
【0018】
また、前述の実施の形態では、第一ノズル群20は、3つのノズル列で構成され、第二ノズル群21は一つのノズル列で構成されると説明したが、これに限定されるものではない。第一ノズル群20、第二ノズル群21ともに、それぞれ一つ以上のノズル列で構成されていれば、同等な効果を有している。
【0019】
また、第一ノズル群20を構成するノズル列の数と、第二ノズル群21を構成するノズル列の数を同数とし、第一ノズル群20の最後端の吐出ノズルと、第二ノズル群21の最先端の吐出ノズルとの間隔をノズルピッチxにすれば、次の列の描画を行ないながら前列の修正の描画も行なうことができ、修正の描画を改めて行なう必要がないため、描画時間の短縮を図ることができる。
【0020】
===検出部の構成例及び検出方法例===
検出部の構成例及び検出方法について例を挙げ、図5及び図6を用いて説明する。図5は、検出部10aの構成を示す概略図であり、図6は、検出部10aのセンサ出力(出力信号)を表わす説明図である。
図5によれば、検出部10aは、吐出ヘッド12に備えられたノズル列20a、20b(本図では2つのノズル列を示す)を構成する複数の吐出ノズル22から吐出される液滴を検知する検知機構30と、前記検知機構30からの出力信号に基づいて解析を行なう処理装置(図示せず)とから構成されている。検知機構30としては、特に、発光部30aと受光部30bとから構成されるセンサの一実施例としての、透過型のレーザーセンサが好適に利用できる。但し、これに限定されるものではない。
また、検出部10aは、副走査方向の移動機構(図示せず)を有しており、副走査方向に移動可能である。
【0021】
不良ノズルの検出方法の一実施例について説明する。
検出部10aでは、複数の吐出ノズル22から液滴を連続して吐出させつつ、図5に示すように、レーザーが照射されている発光部30aと受光部30bとの間に、吐出ヘッド12を位置させ、吐出された液滴が交差するように検出部10aを移動させると、レーザーが液滴を検知して信号を出力し、処理装置に送信する。例えば、吐出ヘッド12に吐出ノズルが100個設けられているとすると、全ノズルが正常動作を知る場合は、図6(a)に示すように、#1から#100までの個々の吐出ノズルに対応した100パルスのセンサ出力(出力信号)が検知される。
ここで、例えば、#99の吐出ノズルが詰まりなどを起こし不良ノズルだった場合には、図6(b)に示すように、センサ出力は、#99の吐出ノズルに相当する99番目の出力が塗布液未検出のレベルのままであり、塗布液検出のレベルに到達しない。このセンサ出力を処理装置が検知し、不良ノズルを検出する。
【0022】
なお、検出部10aには、液体の吐出結果を読み込む画像処理装置を設置しても良い。これにより、吐出不良が発生している吐出ノズルの場所を特定する前に、予め、画像から吐出ノズルに吐出不良が発生しているかどうかを判別させることが可能となる。
【0023】
また、前述の説明では、不良ノズルの検出にあたっては検出部10aを移動させて検出を行なうこととして説明したが、これに限るものではない。例えば、基板Pの戴置台を移動させて検出動作を行っても同様な検出が可能である。
【0024】
また、前述の説明では、検出部10aについて説明したが、検出部が複数設けられている構成においても前述の検出部10aと同様な構成及び機能を有している。
【0025】
本構成の薄膜形成装置を用いることにより、
前記膜や配線を形成させるための第1のノズルによる吐出の不具合箇所を前記検出部によって検知し、前記検出部により検知された結果に基づいて、前記第一のノズルによる吐出の不良個所に向けて第二のノズルによって、修正用の吐出を行なうことによって、所望の前記膜や配線を形成することが可能となる。
【0026】
===回路基板の構成及び製造方法例===
次に、本発明に係る実施例として、適宜な基板P上に回路パターン(金属配線)などを形成してなる回路基板の構成及び製造方法について、図1及び図2を参照しながら、図8を用いて説明する。図8は、回路パターンの一実施例としての角形スパイラル形状の回路パターンを有した回路基板を示す図である。
この回路パターンの製造において使用する塗布液は、吐出ヘッド12によってノズルから吐出することができる液状であり、基板P上に形成された塗布液による薄膜を乾燥、加熱焼成することによって電気配線として充分使用することができる導電性を有する回路導体が得られるものであればよく、好ましくは金、銀などの金属微粒子を有機溶剤中に均一、且つ安定に分散させた金属微粉末分散液が使用される。
また、基板Pの基材としては、前記塗布液からなる薄膜を所望位置に塗布後、焼成して回路導体を形成するために必要な焼成温度に耐えうるものであればよく、その材料や形状、大きさ等には限定されないが、好ましくは、ガラス基板、表面の少なくとも一部に絶縁処理を施したシリコンウェハなどの金属基板、ポリイミド樹脂などの耐熱性合成樹脂基板など、種々の基板を用いることができる。
【0027】
ここで、前記塗布液と、図1及び図2に示す液滴吐出装置とを用いて基板P上に回路導体からなる回路パターンを形成する方法について一例を挙げて説明する。
図8によれば、一列目の描画領域(吐出ヘッドが吐出開始位置から吐出終了位置まで主走査方向に移動する間に吐出を行い描画する領域)の液滴吐出開始位置12aに位置した吐出ヘッド12は、主走査方向に平行なラインL1に対応したノズル(図示せず)から塗布液を吐出しながら主走査方向に移動する。主走査方向に直角方向のラインL2に到達すれば、L1、L2に対応したノズルから塗布液を吐出しながら吐出終了位置12bまで移動し、吐出ヘッド12の一列目の移動による回路パターンを描画する。続いて吐出ノズル12は、副走査方向に移動(実際は基板Pの戴置台7が移動することによって基板が移動する)し、2列目の描画領域の吐出開始位置12cから一列目と同様に移動しながら液滴を吐出する。以降の描画領域においても同様に描画を進め、図に示すような角形スパイラル形状の回路パターンの描画を完成させる。
【0028】
基板P上に塗布液による回路パターンを形成した後、この基板Pを乾燥し、さらに塗布液中に含まれる金属微粒子が基板P上に焼結される温度以上の温度で焼成することによって、金属微粒子が基板上に、及び互いに接合され、十分な導通性を有する導体からなる回路パターンが形成される。
焼成を終え、回路パターンが形成された基板Pは必要に応じて裁断され、IC、LSIなどの電子部品を取り付けることができる。
【0029】
===薄膜形成方法の手順例===
次に、図1及び図3を参照しつつ、図7を用いて、本発明の実施の形態における薄膜形成方法について説明する。図7は薄膜形成方法を説明するためのフローチャートである。
先ず、ユーザは薄膜形成装置において描画を行なう旨を不図示のコントロール部に指示する(ステップS102)。
次に、コントロール部は基板送りモータ3を駆動させて基板Pを描画の先頭位置に移動する(ステップS104)。
続いて、コントローラはキャリッジ駆動モータ2を駆動させて、キャリッジ1を主走査方向に移動させて検出部10aに対向する位置まで移動させる。
なお、以降の、基板Pの副走査方向における移動は、基板送りモータ3を駆動させて、キャリッジ1の走査方向への移動は、キャリッジ駆動モータ2を駆動させて、検出部10の副走査方向への移動は、不図示の移動機構を駆動させて、それぞれ行なわれる。
【0030】
次に、吐出ヘッド12は、図1においては不図示であるが、吐出ノズルから塗布液を連続的に吐出させて吐出状態を整えるフラッシングを行い、同時に検出部10aを副走査方向に移動させて前述した吐出不良ノズルの検出を行なう(ステップS106)。
前記ステップS106の判定(ステップS108)により、吐出不良ノズルが検出されないときは次のステップS120に進む。また、前記ステップS106の判定(ステップS108)により吐出不良ノズルが検出されたときは、ステップS110に進み、キャリッジ1をノズルクリーニング部8に対向する位置まで移動させ、ノズルクリーニング部8による、吐出ノズルのクリーニング動作を行なって、次のステップS120に進む。
ステップS120においては、キャリッジ1は、基板Pの左端側の位置からキャリッジ駆動モータ2の駆動によって主走査方向に移動を開始するとともに、キャリッジ1に設けられた不図示の吐出ヘッドから基板Pに向けて膜材料を分散した塗布液の吐出を開始する。即ち、薄膜パターンの一例としての回路パターンの描画を開始する。さらに、キャリッジ1は移動を継続しながら前記塗布液を吐出して回路パターンを形成し、基板Pの右端を通過した位置を吐出終了位置として、一列目の描画列の描画を終了する(ステップS122)。
なお、描画列に形成される回路パターンは、連続した吐出によるライン状、断続的に島状に並ぶパターン、などを含むパターンによって構成される。
【0031】
次に、キャリッジ1は、検出部10bに対向する位置まで移動し、さらに、吐出ヘッド12は、図1においては不図示の吐出ノズルから塗布液を連続的に吐出させて吐出状態を整えるフラッシングを行い、同時に検出部10bは副走査方向に移動して、前述した吐出不良ノズルの検出を行なう(ステップS124)。
前記ステップS124の判定(ステップS126)により、吐出不良ノズルが検出されないときは次のステップS144に進む。
【0032】
また、前記ステップS124の判定(ステップS126)により吐出不良ノズルが検出されたときの手順について以下に説明する。
先ず、ステップS126の判定において吐出不良ノズルが検出されたときは、検出された吐出不良ノズルの位置を制御回路に記憶する(ステップS130)。吐出不良ノズルの位置を記憶することは、媒体上の塗布不良位置を記憶することと同じである。本説明では、図3に示す吐出ノズル28が詰まりを起こし正常な吐出ができない吐出不良ノズルであるとして説明する。吐出ノズル28が吐出不良を起こすと、該吐出ノズル28の位置が抜けた状態、いわゆる、ドット抜けの状態が発生する。
【0033】
次に、キャリッジ1は、ノズルクリーニング部8に対向する位置まで移動し、ノズルクリーニング部8により、すべての吐出ノズルに対してクリーニングを行なう(ステップS132)。
次に、キャリッジ1に設けられた吐出ヘッド12に配置された修正用ノズル列21a(本例では吐出不良ノズルが一つであるので吐出ノズル22を対向させることとする)を、ステップS130において記憶された吐出不良を起こしている吐出ノズル28の位置に対向する位置に移動させる(実際には、基板送りモータ3を駆動させて基板Pを移動させて行なう)。次に、先述のステップS120及びステップS122におけるキャリッジ1の移動方向とは逆の方向、即ち、基板Pの右端側から左端側に向かってキャリッジ1を移動させながら修正用ノズル列21aの吐出ノズル22から修正用の塗布液を回路パターンの欠損部分に向かって吐出し、回路パターンの欠損部分を修正し、基板Pの左端を通過して修正のための吐出を終了する(ステップS136)。続いて手順は、ステップS144に進む。
【0034】
次に、ステップS144において、制御回路は、吐出終了か否かについての判定を行い、吐出終了と判定すれば、ここで吐出を終了し装置を停止する(ステップS148)。また、吐出終了ではないと判定すれば、次の手順として、基板送りモータ3を駆動して基板Pを所定量移動し(ステップS146)、次の描画列に対する塗布液の吐出に備える。
【0035】
以降の手順は、ステップS106からステップS148のフローの繰り返しで実施される。
【0036】
また、前述のステップS126の判定において、吐出不良ノズルがないと判定された場合における二列目の描画は、前列(ここでは一列目)を描画する際のキャリッジの移動方向とは逆の方向、即ち、基板Pの右端側を吐出の開始位置として基板Pの左端に向かう方向にキャリッジ1を移動しながら描画を行なう。以降前列に吐出不良ノズルがない場合は、前列とは逆方向にキャリッジ1が移動しながら描画する、いわゆる双方向描画を行なう。
双方向描画においては、基板Pの左端側と右端側にそれぞれ吐出不良ノズルの検出部を設けることによって、一列の描画の終了時点で直ぐに検出を行なうことが可能となり、描画スピードの向上を図ることができる。
【0037】
また、一定のキャリッジ移動方向においてのみ描画を行なう一方向描画においては、
吐出開始位置がいつも基板Pの同じ側になるため、基板Pの左端側または右端側のどちらか一方に検出部を設ければよい。このことによって、装置の構成が簡略化され、費用削減も図ることができる。
また、前述の一方向描画においては、一列の描画の終了側に検出部を設けることにより、キャリッジの戻りのための移動時間に、修正を行なうことができる。このことにより、さらに修正工程の時間を短縮することも可能となる。
【0038】
また、第1のノズルと、第二のノズルとによって吐出される塗布液は、それぞれの前記ノズル毎違う塗布液を用いてもよく、例えば、溶剤中に分散される膜材料の濃度を変える、または、溶剤を変える、または、膜材料を変える、等を行なうことができる。
このことにより、既描画パターンの表面状態の違い、等によって発生する可能性のある、修正のために吐出された塗布液がパターン形成されない等の不具合を防止することができるとともに、予測される描画パターンの不具合状態に応じた塗布液を選択し修正することが可能となる。
また、ドット単位の不良のみならず、連続した複数のドット、即ち、ライン状の不良の修正も可能である。
【0039】
また、前述の実施の形態では、移動部材として主走査方向に移動するキャリッジと、媒体の一例としての基板が副走査方向に移動する載置台とを用いた例により説明したが、逆の構成、即ち、副走査方向に移動するキャリッジと、主走査方向に移動する載置台とを用いてもよい。さらには、キャリッジ、または、基板のどちらか一方が固定され、他の一方が主走査方向および副走査方向の両方向に移動することも可能である。
【0040】
また、塗布不良個所とは、液滴の着弾位置不良、着弾した液滴のにじみ不良、液滴の着弾量の不足、というようなことを意味することもある。
【0041】
前述の実施の形態によれば、第1のノズルからの塗布液の吐出により形成される描画の一実施例である回路パターンの、不良パターンの修正を、通常の描画工程の中で行なうことができるため、専用の修正装置等を用いることが不要となり、装置等の製作費用の削減、廃止、または、回路パターンの不良を削減することが可能となる。
さらに、吐出不良の発生直後に修正することが可能であるため、既描画による回路パターンの塗布液の変化、例えば、既描画パターンが乾燥してしまう等の変化を防止することができ、既描画の塗布液と同じ状態で修正の塗布液を塗布することで双方の塗布液の密着性を向上させることも可能となる。
【0042】
===その他の実施の形態===
本実施形態の液滴吐出装置は、いろいろな機能を持った液体を吐出することが可能で、各種の電気光学装置(デバイス)の製造に用いることができる。前述した回路基板の金属配線形成をはじめ、例えば、液晶表示装置、有機EL装置、PDP装置、カラーの液晶表示装置に用いるカラーフィルタの製造、さらには、レンズ形成、レジスト形成装置等にも適用することができる。そこで、他の応用例の一例として、この液滴吐出装置を用いた液晶表示装置の製造方法および有機EL装置の製造方法について、図9、図10に基づいて説明し、他のデバイスについても簡単に説明する。
【0043】
図9は、液晶表示装置の断面図である。同図に示すように、液晶表示装置100は、上下の偏光板122、127間に、カラーフィルタ110と対向基板126とを組み合わせ、両者の間に液晶125を封入することにより構成されている。また、カラーフィルタ110および対向基板126間には、配向膜121、124が構成され、対向基板126の内側の面には、TFT(薄膜トランジスタ)素子(図示せず)と画素電極123とがマトリクス状に形成されている。
【0044】
カラーフィルタ110は、マトリクス状に並んだ画素(フィルタエレメント)を備え、画素と画素の境目は、バンク112により区切られている。画素の1つ1つには、赤(R)、緑(G)、青(B)のいずれかのフィルタ材料(機能液)が導入されている。すなわち、カラーフィルタ110は、透光性の基板111と、遮光性のバンク112とを備えている。バンク112が形成されていない部分は上記画素を構成し、この画素に導入された各色のフィルタ材料は着色層113を構成する。バンク112及び着色層113の上面には、オーバーコート層114及び電極層115が形成されている。
【0045】
そして、本実施形態の液滴吐出装置では、バンク112で区切られて形成された画素内に、吐出ヘッド12により、R・G・B各色の機能液を着色層形成領域毎に選択的に吐出している。そして、塗布した機能液を乾燥させることにより、成膜部となる着色層113を得るようにしている。また、液滴吐出装置では、吐出ヘッド12により、オーバーコート層114など各種の成膜部を形成している。
【0046】
同様に、図10を参照して、有機EL装置とその製造方法を説明する。図10は、有機EL装置の断面図である。同図に示すように、有機EL装置200は、ガラス基板201上に回路素子部202が積層され、回路素子部202上に主体を為す有機EL素子204が積層されている。また有機EL素子204の上側には、不活性ガスの空間を存して封止用基板205が形成されている。
【0047】
有機EL素子204には、無機物バンク層212aおよびこれに重ねた有機物バンク層212bによりバンク212が形成され、このバンク212により、マトリクス状の画素が画成されている。そして、各画素内には、下側から画素電極211、R・G・Bいずれかの発光層210bおよび正孔注入/輸送層210aが積層され、且つ全体がCaやAl等の薄膜を複数層に亘って積層した対向電極203で覆われている。
【0048】
そして、本実施形態の液滴吐出装置では、R・G・Bの各発光層210bおよび正孔注入/輸送層210aの成膜部を形成するようにしている。また、液滴吐出装置では、正孔注入/輸送層210aを形成した後に、吐出ヘッド12に導入する機能液としてCaやAl等の液体金属材料を用いて、対向電極203を形成する等している。
【0049】
また、PDP装置の製造方法では、複数の吐出ヘッド12にR、G、B各色の蛍光材料を導入し、蛍光材料を選択的に吐出して、基板上の多数の凹部にそれぞれ蛍光体を形成する。
【0050】
レンズの形成方法では、複数の吐出ヘッド12にレンズ材料を導入し、レンズ材料を選択的に吐出して、透明基板上に多数のマイクロレンズを形成する。例えば、ビーム収束用等のデバイスを製造する場合に適用可能である。
【0051】
レンズの製造方法では、複数の吐出ヘッド12に透光性のコーティング材料を導入し、コーティング材料を選択的に吐出して、レンズの表面にコーティング膜を形成する。
【0052】
レジスト形成方法では、複数の吐出ヘッド12にレジスト材料を導入し、レジスト材料を選択的に吐出して、基板上に任意形状のフォトレジストを形成する。例えば、上記の各種表示装置におけるバンクの形成はもとより、半導体製造技術の主体をなすフォトリソグラフィー法において、フォトレジストの塗布に広く適用可能である。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の液滴吐出装置、薄膜形成装置、液滴吐出方法、薄膜形成方法、及び電気光学装置によれば、
検出部により検知された結果に基づいて、修正用ノズルを使用して前記吐出不良個所に向けて、修正用の吐出を行なうことによって、所望の前記膜や配線を形成することができる。
【0054】
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の液滴吐出装置及び薄膜形成装置の主要な構成を示す概略図である。
【図2】薄膜形成装置のキャリッジ周辺を示した概略図である。
【図3】吐出ヘッド12の下面におけるノズルの一実施例たる配列を示す説明図である。
【図4】吐出ヘッド12の下面におけるノズルの配列の応用例たる配列を示す説明図である。
【図5】検出部10aの構成を示す概略図である。
【図6】検出部10aのセンサ出力(出力信号)を表わす説明図である。
【図7】薄膜形成方法を説明するためのフローチャートである。
【図8】回路パターンの一実施例としての角形スパイラル形状の回路パターンを有した回路基板を示す図である。
【図9】液晶表示装置の断面図である。
【図10】有機EL装置の断面図である。
【符号の説明】
1 キャリッジ
2 キャリッジ駆動モータ
3 基板送りモータ
4 キャリッジ送り駆動軸
5 基板送り駆動軸
6 制御回路
7 基板の戴置台
8 ノズルクリーニング部
9 基台
10a、10b 検出部
12 吐出ヘッド
15 ヒータ
20 第一のノズル(描画用ノズル)
21 第二のノズル(修正用ノズル)
30 検知機構
30a 発光部
30b 受光部
P 基板
50 薄膜形成装置
100 液晶表示装置
200 有機EL装置
Claims (9)
- 媒体と、
前記媒体に対して相対移動するとともに該媒体に向けて液滴を吐出する第一のノズルと、
前記媒体上の塗布不良箇所を検出する検出部と、
前記検出部が前記塗布不良箇所を検出した場合に、当該塗布不良箇所に液滴を吐出する第二のノズルとを有することを特徴とする液滴吐出装置。 - 請求項1に記載の液滴吐出装置であって、
前記媒体に対して相対移動する移動部材を有しており、
前記第一のノズル、および前記第二のノズルは、前記移動部材に設けられていることを特徴とする液滴吐出装置。 - 請求項1に記載の液滴吐出装置であって、
前記検出部は、前記塗布不良箇所の検出を、前記第一のノズルによる液滴吐出を開始する前、及び、液滴吐出を終了した後のいずれかに実施することを特徴とする液滴吐出装置。 - 請求項1に記載の液滴吐出装置であって、
前記第一のノズルは、前記媒体上に描画列が形成されるように前記液滴を吐出し、前記塗布不良個所が検出された場合には、
前記第二のノズルは、前記塗布不良箇所に対する液体の吐出を、前記塗布不良箇所が検出された描画列に引き続く描画列を前記第一のノズルが描画する前に実施することを特徴とする液滴吐出装置。 - 請求項1に記載の液滴吐出装置であって、
前記液滴は、溶剤中に膜材料が溶解または分散されてなる塗布液であり、
前記塗布液を吐出して薄膜を形成することを特徴とする液滴吐出装置。 - 媒体に液滴吐出を行なうステップと、
前記液滴吐出の欠損があるか否かを検出するステップと、
前記検知結果に基づいて前記欠損の修正のための液滴吐出を行なうステップと、
を有することを特徴とする液滴吐出方法。 - 請求項5に記載の液滴吐出装置を使用する薄膜形成方法であって、
前記第一のノズルにより膜材料を吐出して薄膜形成を行なう工程と、
前記検出部により、前記薄膜の欠損があるか否かを検出する工程と、
前記検出する工程で、前記薄膜の欠損が検出された場合は、前記検出結果に基づいて前記第二のノズルを前記薄膜の欠損に対応する位置に移動する工程と、
前記第二のノズルにより、膜材料の吐出を行なって前記薄膜の欠損を修正する工程と、
を有することを特徴とする薄膜形成方法。 - 請求項7に記載の薄膜形成方法であって、
前記第一のノズルは、前記媒体上に描画列が形成されるように前記液滴を吐出し、前記塗布不良個所が検出された場合の、前記第二のノズルにより、膜材料の吐出を行なって前記薄膜の欠損を修正する工程は、
前記薄膜の欠損が検出された描画列に引き続く描画列を前記第一のノズルが描画すると同時に実施することを特徴とする薄膜形成方法。 - 請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の液滴吐出装置により形成されたことを特徴とする電気光学装置。
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