JP2004301141A - 自動変速機の変速制御装置 - Google Patents
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Abstract
【目的】自動変速機の変速制御装置において、加速要求量に応じて制御タイミングを変更し、ドライバビリティを向上し、運転者に違和感を与えるのを防止することにある。
【構成】エンジン出力による車両の駆動が行われていないコースト状態か否かを判定するコースト状態判定部と、このコースト状態判定部により車両がコースト状態にあると判定された場合には、通常変速制御から変速点を変更したコースト時変速制御を実行するコースト時変速制御部と、コースト状態判定部により車両がコースト状態から外れたと判定された場合には、スロットル開度変化率に応じて設定された遅延時間の経過後に、コースト時変速制御から通常変速制御に復帰制御する復帰制御部とが備えられた制御手段を設けている。
【選択図】 図1
【構成】エンジン出力による車両の駆動が行われていないコースト状態か否かを判定するコースト状態判定部と、このコースト状態判定部により車両がコースト状態にあると判定された場合には、通常変速制御から変速点を変更したコースト時変速制御を実行するコースト時変速制御部と、コースト状態判定部により車両がコースト状態から外れたと判定された場合には、スロットル開度変化率に応じて設定された遅延時間の経過後に、コースト時変速制御から通常変速制御に復帰制御する復帰制御部とが備えられた制御手段を設けている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動変速機の変速制御装置に係り、特にアクセルオフで車両が惰性走行している場合に変速制御する自動変速機の変速制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両においては、エンジンの駆動力を走行条件に応じて所要に変換して取出すための自動変速機や、その駆動力を分配するためのトランスファ等からなる動力伝達装置が設けられている。
【0003】
自動変速機としては、設定された変速マップに応じて変速段を自動的に切り換えるように変速制御する変速制御装置を設けたものがある。この自動変速機の変速制御装置では、アクセルオフで車両が惰性走行(コースト走行)している場合に、エンジンブレーキを作用させるために、ダウンシフト線を高側の車速に切り換えて早めにダウンシフトするものがある。
【0004】
また、従来、自動変速機の変速制御装置には、コースト時制御するものとして、コースト状態におけるダウンシフト時の変速ショックを低減するための特別な制御から復帰する場合に、復帰遅延(ディレイ)時間を、変速段が高速段のときに低速段よりも短く設定することで、復帰によって新たな変速ショックを防止して良好な走行特性を得るものがある(例えば、特許文献1参照)。また、自動変速機の変速制御装置には、アクセルペダルが解放したことにより降坂制御を解除する際に設定される遅延(ディレイ)時間に関し、アクセルペダルの踏み込み量が小さいときには、遅延(ディレイ)時間を短くし、一方、アクセルペダルの踏み込み量が大きいときには、遅延(ディレイ)時間を長くし、降坂制御と通常制御と登坂制御とが必要以上に繰り返されるのを防止したものがある(例えば、特許文献2参照)。更に、自動変速機の変速制御装置には、制動運転が行われたことにより第三の変速段より第一の変速段へダウンシフトされて変速段が第一の変速段である時にアクセルペダルが踏み込まれた場合に、更に低速段へのダウンシフト(キックダウン)は直ぐに行われるが、元の変速段へ戻る如きアップシフトは、アクセルペダルが踏み込まれてから所定時間が経過するまでは禁止されて第一の変速段に保持して、応答性の良い加速性能を得るものがある(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
【特許文献1】
特許第2779801号公報(第2、3頁、図1)
【特許文献2】
特許第3129089号公報(第2、3頁、図1)
【特許文献3】
特開昭60−211155号公報(第3頁、図1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来、アクセルオフで車両が惰性走行(コースト走行)している場合に、エンジンブレーキを作用させるために、ダウンシフト線を高側の車速に切り換えて早めにダウンシフトする自動変速機の変速制御装置においては、一旦変速線を切り換えた後に、アクセルペダルを踏み込んだ場合に、通常の変速線に復帰させる必要があり、その際に、アクセルペダルの踏み込みと同時に復帰させると、アップシフトする場合があり、運転者に違和感を生じるという不具合があった。
【0007】
この不具合を解消するために、前記特許文献3では、アクセルペダルを踏み込んだ後に、一定時間だけアップシフトを禁止し、また、前記特許文献1では、アクセルペダルを踏み込んだ後に、一定時間だけ復帰を遅らせ、この時間を高速段程に短く設定しているが、ドライバビリティが悪化し、違和感を生じさせ、改善が望まれていた。
【0008】
即ち、通常変速マップとコースト時変速マップとの切り替えにおいては、変速マップに遅延(ディレイ)時間を設けない場合に、図9のタイムチャートに示す如く、スロットル開度が所定値から低下すると(スロットルオンからスロットルオフ)(時間t1)、車速が低下し始め、また、変速マップでは通常変速マップからコースト時変速マップに変更され、そして、車速がダウンシフト変速線よりも低くなると、ギヤ段で2速→1速の変速が実施され(時間t2)、また、その後、時間t3地点において、スロットル開度が所定値まで大きくなると(加速が開始されると)(スロットルオフからスロットルオン)(時間t3)、コースト時変速マップから通常変速マップに変更され、このとき、同時に、車速がアップシフト変速線よりも高くなると、ギヤ段で1速→2速の変速が実施され、そして、車速が徐々に高くなり始める。
【0009】
また、通常変速マップとコースト時変速マップとの切り替えにおいて、変速マップに遅延(ディレイ)時間を設けた場合には、図10のタイムチャートに示す如く、スロットル開度が所定値から低下すると(スロットルオンからスロットルオフ)(時間t1)、車速が低下し始め、また、変速マップでは通常変速マップからコースト時変速マップに変更され、そして、車速がダウンシフト変速線よりも低くなると、ギヤ段で2速→1速の変速が実施され(時間t2)、また、その後、時間t3地点において、スロットル開度が所定値まで大きくなると(加速が開始されると)(スロットルオフからスロットルオン)(時間t3)、車速が徐々に高くなり始め、そして、変速段に応じて設定された遅延(ディレイ)時間T1が経過した時に(時間t4)、コースト時変速マップから通常変速マップに変更され、このとき、同時に、車速がアップシフト変速線よりも高くなると、ギヤ段で1速→2速の変速が実施される。
【0010】
つまり、従来の自動変速機の変速制御装置においては、車両のコースト状態の走行中に、車速が、図4の変速マップにおける(B)点にあった場合に、変速マップでは、通常変速マップからコースト時変速マップに変更されているので、1速の状態である。ここで、図4の変速マップにおける(A)点までアクセルオン(加速時)を実施した場合に、コースト時変速マップから通常変速マップに変更されるので、1速→2速の変速が行われる。通常の自動変速機では、スロットルオン時に、シフトダウンするため、スロットルオンと同時のシフトアップは、運転者に違和感を与えることになる。
【0011】
そこで、前記特許文献1に示されているように、コースト時変速マップから通常変速マップヘの復帰時に、遅延(ディレイ)時間を設けることが提案されている。この時のタイムチャートとして、図10に示す如く、スロットルオンから1速→2速の変速までに時間があるため、運転者ヘの違和感が解消されることになる。
【0012】
しかしながら、前記特許文献1では、上述の遅延(ディレイ)時間が変速段に応じてのみ変化するため、加速要求状態では運転者に大きく違和感を与える場合が残っていた。例えば、図4の(B)点から(A)点まで状態が変わるときに、運転者の加速要求が小さい場合には、早めに1速→2速の変速を実施しても問題ないが、運転者の加速要求が大きい場合には、1速での加速時間(変速マップの復帰遅延(ディレイ)時間)を長くした方が良いことが明白である。
【0013】
【課題を解決するための手段】
そこで、この発明は、上述の不都合を除去するために、設定された変速マップに応じて変速段を自動的に切り換えるように変速制御する自動変速機の変速制御装置において、エンジン出力による車両の駆動が行われていないコースト状態か否かを判定するコースト状態判定部と、このコースト状態判定部により前記車両がコースト状態にあると判定された場合には、通常変速制御から変速点を変更したコースト時変速制御を実行するコースト時変速制御部と、前記コースト状態判定部により前記車両がコースト状態から外れたと判定された場合には、スロットル開度変化率に応じて設定された遅延時間経過後に、コースト時変速制御から通常変速制御に復帰制御する復帰制御部とが備えられた制御手段を設けたことを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
この発明は、コースト時変速制御から通常変速制御への切り換え時において、スロットル開度変化率に応じて設定された遅延時間経過後に、コースト時変速制御から通常変速制御に復帰制御することから、加速要求量に応じて変速制御タイミングを変更することができるので、ドライバビリティを向上し、運転者に違和感を与えるのを防止することができる。
【0015】
【実施例】
以下図面に基づいてこの発明の実施例を詳細且つ具体的に説明する。図1〜8は、この発明の実施例を示すものである。図2において、2は車両(図示せず)に搭載されるエンジン、4はこのエンジン2に連結された自動変速機である。
【0016】
自動変速機4は、第1の変速用ソレノイド(SOL1)6と、第2の変速用ソレノイド(SOL2)8とを備え、変速制御装置10の制御手段(ECM)12によって駆動制御される。この制御手段12は、予め設定された変速マップ(図4参照)に応じて変速段を自動的に切り換えるように変速制御するものである。
【0017】
自動変速機4においては、第1の変速用ソレノイド(SOL1)6と第2の変速用ソレノイド(SOL2)8とが制御手段12によって駆動制御され、第1の変速用ソレノイド(SOL1)6のオン(ON)・オフ(OFF)と第2の変速用ソレノイド(SOL2)8のオン(ON)・オフ(OFF)との組み合わせで複数の変速段(例えば、第1〜第4速)に切り換えられるものである。つまり、図5に示す如く、第1の変速用ソレノイド(SOL1)6のオン(ON)と第2の変速用ソレノイド(SOL2)8のオン(ON)との組み合わせで1速を実現し、第1の変速用ソレノイド(SOL1)6のオフ(OFF)と第2の変速用ソレノイド(SOL2)8のオン(ON)との組み合わせで2速を実現し、第1の変速用ソレノイド(SOL1)6のオフ(OFF)と第2の変速用ソレノイド(SOL2)8のオフ(OFF)との組み合わせで3速を実現し、第1の変速用ソレノイド(SOL1)6のオン(ON)と第2の変速用ソレノイド(SOL2)8のオフ(OFF)との組み合わせで4速を実現する。
【0018】
この制御手段12には、車速(Nv)を検出する車速センサ14と、スロットル開度(THR)を検出するスロットルセンサ14とが連絡している。
【0019】
また、制御手段12には、図3に示す如く、エンジン出力による車両の駆動が行われていないコースト状態(惰性状態)か否かを判定するコースト状態判定部18と、このコースト状態判定部18により車両がコースト状態にあると判定された場合には、通常変速制御から変速点を変更したコースト時変速制御を実行するコースト時変速制御部20と、コースト状態判定部18により車両がコースト状態から外れたと判定された場合には、スロットル開度変化率(△THR)に応じて設定された遅延(ディレイ)時間経過後に、コースト時変速制御から通常変速制御に復帰制御する復帰制御部22とが備えられている。
【0020】
このため、制御手段12には、図2に示す如く、スロットル開度(THR)の信号を入力してスロットル開度変化率(△THR)を計算するスロットル開度変化率計算ルーチン部24と、このスロットル開度変化率計算ルーチン部24からのスロットル開度変化率(△THR)の信号とスロットルセンサ16からのスロットル開度(THR)の信号とを入力して変速マップ(通常変速マップ、コースト時変速マップ)を決定する変速マップ決定ルーチン部26と、この変速マップ決定ルーチン部26で決定された変速マップの信号を入力するとともに車速センサ14からの車速(Nv)の信号を入力し且つスロットルセンサ16からのスロットル開度(THR)の信号を入力して目標ギヤ段を計算する目標ギヤ段計算ルーチン部28と、この目標ギヤ段計算ルーチン部28で決定された目標ギヤ段の信号を入力して変速ソレノイド出力値を決定し且つこの出力値を第1の変速用ソレノイド(SOL1)6と第2の変速用ソレノイド(SOL2)8とに出力してこの第1の変速用ソレノイド(SOL1)6と第2の変速用ソレノイド(SOL2)8とをオン(ON)・オフ(OFF)制御する変速ソレノイド出力決定部30とが設けられている。
【0021】
図4に示す如く、前記変速マップは、車速(Nv)とスロットル開度(THR)とにより、通常変速マップM1とコースト時変速マップM2とを予め備えている。
【0022】
変速マップは、車速とスロットル開度との相関関係により設定されているのであって、ある車速でダウンシフト線、また、異なるある車速でアップシフト線が設定されることはない。
【0023】
一方、コースト時変速マップM2においては、通常変速マップM1に比べて高い車速側で、車速C1で2速→1速ダウンシフト線が設定され、車速C2で1速→2速アップシフト線が設定され、車速C3で3速→2速ダウンシフト線が設定され、車速C4で2速→3速アップシフト線が設定され、車速C5で4速→3速ダウンシフト線が設定され、車速C6で3速→4速ダウンシフト線が設定される。
【0024】
これにより、制御手段12は、車速(Nv)の信号とスロットル開度(THR)の信号とを入力し、入力したスロットル開度(THR)からコースト状態かどうかを判定すると同時に、スロットル開度変化率(△THR)を計算し、図4における通常変速マップM1とコースト時変速マップM2とを切り替え、次に、選択されたいずれかのマップと制御手段12に入力されるスロットル開度(THR)と車速(Nv)とから目標ギア段を決定し、この目標ギア段となるように、第1の変速用ソレノイド(SOL1)6及び第2の変速用ソレノイド(SOL2)8を駆動制御し、変速段の変更を実施する。
【0025】
また、制御手段12は、図6に示す如く、スロットル開度変化率(△THR)に応じて設定された遅延(ディレイ)時間を、スロットル開度変化率(△THR)が大きい程に長く設定している。
【0026】
次に、この実施例の作用を説明する。
【0027】
図1に示す如く、制御手段12において、プログラムがスタートすると(ステップ102)、先ず、アクセルオフ(スロットルオフ)でコースト状態を判定するように、コースト中(THR=0%)か否かを判断する(ステップ104)。
【0028】
このステップ104が、THR>0%で、NOの場合には、コースト状態から通常状態になったか否かを判定するように、1回目か否かを判断し(ステップ106)、このステップ106がNOの場合には、遅延(ディレイ)カウンタの増加(インクリメント)を行い(ステップ108)、一方、前記ステップ106がYESで、コースト状態から通常状態になった場合には、スロットル開度変化率(△THR)の計算をし(ステップ110)、そして、図6から遅延(ディレイ)時間を決定する(ステップ112)。
【0029】
前記ステップ108又は前記ステップ112の処理後は、遅延(ディレイ)時間が経過したか否かを判断し(ステップ114)、このステップ114がYESの場合には、通常変速マップM1を選択する(ステップ116)。
【0030】
前記ステップ104が、THR=0%で、YESの場合、及び、前記ステップ114で、遅延(ディレイ)時間を経過していなく、NOの場合には、コースト変速マップM2を選択して使用する(ステップ118)。
【0031】
前記ステップ116又は前記ステップ118の処理後は、変速段の計算の処理を行う(ステップ120)。つまり、コースト状態から通常状態の場合には、先に計算した遅延(ディレイ)時間の経過後に、コースト変速マップM2を通常変速マップM1に変更する。
【0032】
そして、第1の変速用ソレノイド(SOL1)6及び第2の変速用ソレノイド(SOL2)8への変速ソレノイド出力値の処理を行い(ステップ122)、プログラムをエンドとする(ステップ124)。
【0033】
上述の通常変速マップM1とコースト時変速マップM2との切り替えにあっては、スロットル開度変化率(△THR)が小さい場合に、図7のタイムチャートに示す如く、スロットル開度(THR)が所定値から低下すると(スロットルオンからスロットルオフ)(時間t1)、車速(Nv)が低下し始め、また、変速マップでは通常変速マップM1からコースト時変速マップM2に変更され、そして、車速がダウンシフト変速線よりも低くなると、ギヤ段で2速→1速の変速が実施され(時間t2)、その後、再びスロットル開度(THR)が高くなり始めると(スロットルオフからスロットルオン)(時間t3)、スロットル開度(THR)が徐々に高くなり始め、また、車速(Nv)も徐々に高くなり始め、このとき、スロットル開度変化率(△THR)が小さいので、加速要求が小さいと判断し、ディレイ時間は、小さい値に設定される(図6参照)ので、T1時間経過後、コースト時変速マップM2から通常マップM1に変更され、且つ、同時に、ギヤ段で1速→2速の変速が実施され、このとき、時間t3から時間t5までの一定時間T1においては、加速要求が小さいので、加速時間(遅延(ディレイ)時間)が短くても、運転者への違和感が少ない。よって、コースト時変速マップM2は、時間t1から時間t5までの間で実行される。
【0034】
一方、通常変速マップM1とコースト時変速マップM2との切り替えにあっては、スロットル開度変化率(△THR)が大きい場合に、図8のタイムチャートに示す如く、スロットル開度(THR)が所定値から低下すると(スロットルオンからスロットルオフ)(時間t1)、車速(Nv)が低下し始め、また、変速マップでは通常変速マップM1からコースト時変速マップM2に変更され、そして、車速がダウンシフト変速線よりも低くなると、ギヤ段で2速→1速の変速が実施され(時間t2)、その後、再びスロットル開度(THR)が一気に大きくなって所定値に達すると(時間t3)、車速(Nv)が徐々に高くなり始め、このとき、スロットル開度変化率(△THR)が大きいので、加速要求が大きいと判断し、ディレイ時間は、大きい値に設定される(図6参照)ので、T2時間経過後、コースト時変速マップM2から通常変速マップM1に変更され、且つ、同時に、ギヤ段で1速→2速の変速が実施され、このとき、時間t3から時間t4までの一定時間T2が前記スロットル開度変化率(△THR)が小さい場合の一定時間T1よりも長く、加速要求が大きいので、加速時間(遅延(ディレイ)時間)を長くし、運転者への違和感を少なくする。よって、コースト時変速マップM2は、時間t1から時間t4までの間で実行される。
【0035】
この結果、制御手段12には、エンジン出力による車両の駆動が行われていないコースト状態か否かを判定するコースト状態判定部18と、このコースト状態判定部18により車両がコースト状態にあると判定された場合には、通常変速制御から変速点を変更したコースト時変速制御を実行するコースト時変速制御部20と、コースト状態判定部18により車両がコースト状態から外れたと判定された場合には、スロットル開度変化率(△THR)に応じて設定された遅延(ディレイ)時間の経過後に、コースト時変速制御から通常変速制御に復帰制御する復帰制御部22とを備えていることから、コースト時変速制御から通常変速制御への切り換え時において、スロットル開度変化率に応じて設定された遅延時間の経過後に、コースト時変速制御から通常変速制御に復帰制御するので、加速要求量に応じて変速制御タイミングを変更することができるので、ドライバビリティを向上し、運転者に違和感を与えるのを防止することができる。
【0036】
また、制御手段12は、図6に示す如く、遅延(ディレイ)時間をスロットル開度変化率(△THR)が大きい程に長く設定していることから、運転者の加速要求が大きい程、シフトアップのタイミングを遅らせているので、違和感のないスムーズな変速制御を実施可能とする。
【0037】
つまり、この実施例においては、コースト時変速マップM2から通常変速マップM1に復帰する場合に、図6、7、8に示す如く、スロットル開度変化率(△THR)を運転者の加速要求と判断して、スロットル開度変化率(△THR)に応じて、コースト変速マップM2から通常変速マップM1に切り換える時の遅延(ディレイ)時間を変化させることにより、言い換えれば、運転者が操作するアクセル開度の変化率が大きい程、復帰を遅らせるようにすれば、運転者が惰性(コースト)走行からアクセルペダルを急に踏み込んだ場合程に、アップシフトするまでの時間を遅らせることができ、更なる違和感をなくすることができる。
【0038】
なお、この実施例において、遅延(ディレイ)時間は、図6のスロットル開度変化率(△THR)のテーブルの代わりに、エンジン出力トルク、あるいは、アクセル開度変化率のテーブルとしても良く、また、コースト時変速マップから通常変速マップへの切り換えは、遅延(ディレイ)時間経過後に切り換える代わりに、エンジン回転数がある程度上昇したら、実施することも可能である。
【0039】
また、コースト走行中のアクセルペダルの踏み込み時の車速やエンジン回転数を検出し、その後、車速やエンジン回転数が安定してから通常変速マップに切り換え、違和感のないスムーズな変速制御を実施することも可能である。
【0040】
【発明の効果】
以上詳細な説明から明らかなようにこの発明によれば、エンジン出力による車両の駆動が行われていないコースト状態か否かを判定するコースト状態判定部と、このコースト状態判定部により車両がコースト状態にあると判定された場合には、通常変速制御から変速点を変更したコースト時変速制御を実行するコースト時変速制御部と、コースト状態判定部により車両がコースト状態から外れたと判定された場合には、スロットル開度変化率に応じて設定された遅延時間経過後に、コースト時変速制御から通常変速制御に復帰制御する復帰制御部とが備えられた制御手段を設けたことにより、コースト時変速制御から通常変速制御への切り換え時において、スロットル開度変化率に応じて設定された遅延時間経過後に、コースト時変速制御から通常変速制御に復帰制御することから、加速要求量に応じて変速制御タイミングを変更することができるので、ドライバビリティを向上し、運転者に違和感を与えるのを防止し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】変速制御のフローチャートである。
【図2】変速制御装置の制御ブロック図である。
【図3】変速制御装置の制御手段のブロック図である。
【図4】通常変速マップとコースト時変速マップとを備えた変速マップである。
【図5】各変速用ソレノイドと変速段との関係を示す説明図である。
【図6】スロットル開度変化率と遅延(ディレイ)時間との関係を示す説明図である。
【図7】スロットル開度変化率が小さいときのマップを切り替えるタイムチャートである。
【図8】スロットル開度変化率が大きいときの変速マップを切り替えるタイムチャートである。
【図9】従来において遅延(ディレイ)時間がないときの変速マップを切り替えるタイムチャートである。
【図10】従来において遅延(ディレイ)時間があるときの変速マップを切り替えるタイムチャートである。
【符号の説明】
2 エンジン
4 自動変速機
6 第1の変速用ソレノイド
8 第1の変速用ソレノイド
10 変速制御装置
12 制御手段
14 車速センサ
16 スロットルセンサ
18 コースト状態判定部
20 コースト時変速制御部
22 復帰制御部
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動変速機の変速制御装置に係り、特にアクセルオフで車両が惰性走行している場合に変速制御する自動変速機の変速制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両においては、エンジンの駆動力を走行条件に応じて所要に変換して取出すための自動変速機や、その駆動力を分配するためのトランスファ等からなる動力伝達装置が設けられている。
【0003】
自動変速機としては、設定された変速マップに応じて変速段を自動的に切り換えるように変速制御する変速制御装置を設けたものがある。この自動変速機の変速制御装置では、アクセルオフで車両が惰性走行(コースト走行)している場合に、エンジンブレーキを作用させるために、ダウンシフト線を高側の車速に切り換えて早めにダウンシフトするものがある。
【0004】
また、従来、自動変速機の変速制御装置には、コースト時制御するものとして、コースト状態におけるダウンシフト時の変速ショックを低減するための特別な制御から復帰する場合に、復帰遅延(ディレイ)時間を、変速段が高速段のときに低速段よりも短く設定することで、復帰によって新たな変速ショックを防止して良好な走行特性を得るものがある(例えば、特許文献1参照)。また、自動変速機の変速制御装置には、アクセルペダルが解放したことにより降坂制御を解除する際に設定される遅延(ディレイ)時間に関し、アクセルペダルの踏み込み量が小さいときには、遅延(ディレイ)時間を短くし、一方、アクセルペダルの踏み込み量が大きいときには、遅延(ディレイ)時間を長くし、降坂制御と通常制御と登坂制御とが必要以上に繰り返されるのを防止したものがある(例えば、特許文献2参照)。更に、自動変速機の変速制御装置には、制動運転が行われたことにより第三の変速段より第一の変速段へダウンシフトされて変速段が第一の変速段である時にアクセルペダルが踏み込まれた場合に、更に低速段へのダウンシフト(キックダウン)は直ぐに行われるが、元の変速段へ戻る如きアップシフトは、アクセルペダルが踏み込まれてから所定時間が経過するまでは禁止されて第一の変速段に保持して、応答性の良い加速性能を得るものがある(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
【特許文献1】
特許第2779801号公報(第2、3頁、図1)
【特許文献2】
特許第3129089号公報(第2、3頁、図1)
【特許文献3】
特開昭60−211155号公報(第3頁、図1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来、アクセルオフで車両が惰性走行(コースト走行)している場合に、エンジンブレーキを作用させるために、ダウンシフト線を高側の車速に切り換えて早めにダウンシフトする自動変速機の変速制御装置においては、一旦変速線を切り換えた後に、アクセルペダルを踏み込んだ場合に、通常の変速線に復帰させる必要があり、その際に、アクセルペダルの踏み込みと同時に復帰させると、アップシフトする場合があり、運転者に違和感を生じるという不具合があった。
【0007】
この不具合を解消するために、前記特許文献3では、アクセルペダルを踏み込んだ後に、一定時間だけアップシフトを禁止し、また、前記特許文献1では、アクセルペダルを踏み込んだ後に、一定時間だけ復帰を遅らせ、この時間を高速段程に短く設定しているが、ドライバビリティが悪化し、違和感を生じさせ、改善が望まれていた。
【0008】
即ち、通常変速マップとコースト時変速マップとの切り替えにおいては、変速マップに遅延(ディレイ)時間を設けない場合に、図9のタイムチャートに示す如く、スロットル開度が所定値から低下すると(スロットルオンからスロットルオフ)(時間t1)、車速が低下し始め、また、変速マップでは通常変速マップからコースト時変速マップに変更され、そして、車速がダウンシフト変速線よりも低くなると、ギヤ段で2速→1速の変速が実施され(時間t2)、また、その後、時間t3地点において、スロットル開度が所定値まで大きくなると(加速が開始されると)(スロットルオフからスロットルオン)(時間t3)、コースト時変速マップから通常変速マップに変更され、このとき、同時に、車速がアップシフト変速線よりも高くなると、ギヤ段で1速→2速の変速が実施され、そして、車速が徐々に高くなり始める。
【0009】
また、通常変速マップとコースト時変速マップとの切り替えにおいて、変速マップに遅延(ディレイ)時間を設けた場合には、図10のタイムチャートに示す如く、スロットル開度が所定値から低下すると(スロットルオンからスロットルオフ)(時間t1)、車速が低下し始め、また、変速マップでは通常変速マップからコースト時変速マップに変更され、そして、車速がダウンシフト変速線よりも低くなると、ギヤ段で2速→1速の変速が実施され(時間t2)、また、その後、時間t3地点において、スロットル開度が所定値まで大きくなると(加速が開始されると)(スロットルオフからスロットルオン)(時間t3)、車速が徐々に高くなり始め、そして、変速段に応じて設定された遅延(ディレイ)時間T1が経過した時に(時間t4)、コースト時変速マップから通常変速マップに変更され、このとき、同時に、車速がアップシフト変速線よりも高くなると、ギヤ段で1速→2速の変速が実施される。
【0010】
つまり、従来の自動変速機の変速制御装置においては、車両のコースト状態の走行中に、車速が、図4の変速マップにおける(B)点にあった場合に、変速マップでは、通常変速マップからコースト時変速マップに変更されているので、1速の状態である。ここで、図4の変速マップにおける(A)点までアクセルオン(加速時)を実施した場合に、コースト時変速マップから通常変速マップに変更されるので、1速→2速の変速が行われる。通常の自動変速機では、スロットルオン時に、シフトダウンするため、スロットルオンと同時のシフトアップは、運転者に違和感を与えることになる。
【0011】
そこで、前記特許文献1に示されているように、コースト時変速マップから通常変速マップヘの復帰時に、遅延(ディレイ)時間を設けることが提案されている。この時のタイムチャートとして、図10に示す如く、スロットルオンから1速→2速の変速までに時間があるため、運転者ヘの違和感が解消されることになる。
【0012】
しかしながら、前記特許文献1では、上述の遅延(ディレイ)時間が変速段に応じてのみ変化するため、加速要求状態では運転者に大きく違和感を与える場合が残っていた。例えば、図4の(B)点から(A)点まで状態が変わるときに、運転者の加速要求が小さい場合には、早めに1速→2速の変速を実施しても問題ないが、運転者の加速要求が大きい場合には、1速での加速時間(変速マップの復帰遅延(ディレイ)時間)を長くした方が良いことが明白である。
【0013】
【課題を解決するための手段】
そこで、この発明は、上述の不都合を除去するために、設定された変速マップに応じて変速段を自動的に切り換えるように変速制御する自動変速機の変速制御装置において、エンジン出力による車両の駆動が行われていないコースト状態か否かを判定するコースト状態判定部と、このコースト状態判定部により前記車両がコースト状態にあると判定された場合には、通常変速制御から変速点を変更したコースト時変速制御を実行するコースト時変速制御部と、前記コースト状態判定部により前記車両がコースト状態から外れたと判定された場合には、スロットル開度変化率に応じて設定された遅延時間経過後に、コースト時変速制御から通常変速制御に復帰制御する復帰制御部とが備えられた制御手段を設けたことを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
この発明は、コースト時変速制御から通常変速制御への切り換え時において、スロットル開度変化率に応じて設定された遅延時間経過後に、コースト時変速制御から通常変速制御に復帰制御することから、加速要求量に応じて変速制御タイミングを変更することができるので、ドライバビリティを向上し、運転者に違和感を与えるのを防止することができる。
【0015】
【実施例】
以下図面に基づいてこの発明の実施例を詳細且つ具体的に説明する。図1〜8は、この発明の実施例を示すものである。図2において、2は車両(図示せず)に搭載されるエンジン、4はこのエンジン2に連結された自動変速機である。
【0016】
自動変速機4は、第1の変速用ソレノイド(SOL1)6と、第2の変速用ソレノイド(SOL2)8とを備え、変速制御装置10の制御手段(ECM)12によって駆動制御される。この制御手段12は、予め設定された変速マップ(図4参照)に応じて変速段を自動的に切り換えるように変速制御するものである。
【0017】
自動変速機4においては、第1の変速用ソレノイド(SOL1)6と第2の変速用ソレノイド(SOL2)8とが制御手段12によって駆動制御され、第1の変速用ソレノイド(SOL1)6のオン(ON)・オフ(OFF)と第2の変速用ソレノイド(SOL2)8のオン(ON)・オフ(OFF)との組み合わせで複数の変速段(例えば、第1〜第4速)に切り換えられるものである。つまり、図5に示す如く、第1の変速用ソレノイド(SOL1)6のオン(ON)と第2の変速用ソレノイド(SOL2)8のオン(ON)との組み合わせで1速を実現し、第1の変速用ソレノイド(SOL1)6のオフ(OFF)と第2の変速用ソレノイド(SOL2)8のオン(ON)との組み合わせで2速を実現し、第1の変速用ソレノイド(SOL1)6のオフ(OFF)と第2の変速用ソレノイド(SOL2)8のオフ(OFF)との組み合わせで3速を実現し、第1の変速用ソレノイド(SOL1)6のオン(ON)と第2の変速用ソレノイド(SOL2)8のオフ(OFF)との組み合わせで4速を実現する。
【0018】
この制御手段12には、車速(Nv)を検出する車速センサ14と、スロットル開度(THR)を検出するスロットルセンサ14とが連絡している。
【0019】
また、制御手段12には、図3に示す如く、エンジン出力による車両の駆動が行われていないコースト状態(惰性状態)か否かを判定するコースト状態判定部18と、このコースト状態判定部18により車両がコースト状態にあると判定された場合には、通常変速制御から変速点を変更したコースト時変速制御を実行するコースト時変速制御部20と、コースト状態判定部18により車両がコースト状態から外れたと判定された場合には、スロットル開度変化率(△THR)に応じて設定された遅延(ディレイ)時間経過後に、コースト時変速制御から通常変速制御に復帰制御する復帰制御部22とが備えられている。
【0020】
このため、制御手段12には、図2に示す如く、スロットル開度(THR)の信号を入力してスロットル開度変化率(△THR)を計算するスロットル開度変化率計算ルーチン部24と、このスロットル開度変化率計算ルーチン部24からのスロットル開度変化率(△THR)の信号とスロットルセンサ16からのスロットル開度(THR)の信号とを入力して変速マップ(通常変速マップ、コースト時変速マップ)を決定する変速マップ決定ルーチン部26と、この変速マップ決定ルーチン部26で決定された変速マップの信号を入力するとともに車速センサ14からの車速(Nv)の信号を入力し且つスロットルセンサ16からのスロットル開度(THR)の信号を入力して目標ギヤ段を計算する目標ギヤ段計算ルーチン部28と、この目標ギヤ段計算ルーチン部28で決定された目標ギヤ段の信号を入力して変速ソレノイド出力値を決定し且つこの出力値を第1の変速用ソレノイド(SOL1)6と第2の変速用ソレノイド(SOL2)8とに出力してこの第1の変速用ソレノイド(SOL1)6と第2の変速用ソレノイド(SOL2)8とをオン(ON)・オフ(OFF)制御する変速ソレノイド出力決定部30とが設けられている。
【0021】
図4に示す如く、前記変速マップは、車速(Nv)とスロットル開度(THR)とにより、通常変速マップM1とコースト時変速マップM2とを予め備えている。
【0022】
変速マップは、車速とスロットル開度との相関関係により設定されているのであって、ある車速でダウンシフト線、また、異なるある車速でアップシフト線が設定されることはない。
【0023】
一方、コースト時変速マップM2においては、通常変速マップM1に比べて高い車速側で、車速C1で2速→1速ダウンシフト線が設定され、車速C2で1速→2速アップシフト線が設定され、車速C3で3速→2速ダウンシフト線が設定され、車速C4で2速→3速アップシフト線が設定され、車速C5で4速→3速ダウンシフト線が設定され、車速C6で3速→4速ダウンシフト線が設定される。
【0024】
これにより、制御手段12は、車速(Nv)の信号とスロットル開度(THR)の信号とを入力し、入力したスロットル開度(THR)からコースト状態かどうかを判定すると同時に、スロットル開度変化率(△THR)を計算し、図4における通常変速マップM1とコースト時変速マップM2とを切り替え、次に、選択されたいずれかのマップと制御手段12に入力されるスロットル開度(THR)と車速(Nv)とから目標ギア段を決定し、この目標ギア段となるように、第1の変速用ソレノイド(SOL1)6及び第2の変速用ソレノイド(SOL2)8を駆動制御し、変速段の変更を実施する。
【0025】
また、制御手段12は、図6に示す如く、スロットル開度変化率(△THR)に応じて設定された遅延(ディレイ)時間を、スロットル開度変化率(△THR)が大きい程に長く設定している。
【0026】
次に、この実施例の作用を説明する。
【0027】
図1に示す如く、制御手段12において、プログラムがスタートすると(ステップ102)、先ず、アクセルオフ(スロットルオフ)でコースト状態を判定するように、コースト中(THR=0%)か否かを判断する(ステップ104)。
【0028】
このステップ104が、THR>0%で、NOの場合には、コースト状態から通常状態になったか否かを判定するように、1回目か否かを判断し(ステップ106)、このステップ106がNOの場合には、遅延(ディレイ)カウンタの増加(インクリメント)を行い(ステップ108)、一方、前記ステップ106がYESで、コースト状態から通常状態になった場合には、スロットル開度変化率(△THR)の計算をし(ステップ110)、そして、図6から遅延(ディレイ)時間を決定する(ステップ112)。
【0029】
前記ステップ108又は前記ステップ112の処理後は、遅延(ディレイ)時間が経過したか否かを判断し(ステップ114)、このステップ114がYESの場合には、通常変速マップM1を選択する(ステップ116)。
【0030】
前記ステップ104が、THR=0%で、YESの場合、及び、前記ステップ114で、遅延(ディレイ)時間を経過していなく、NOの場合には、コースト変速マップM2を選択して使用する(ステップ118)。
【0031】
前記ステップ116又は前記ステップ118の処理後は、変速段の計算の処理を行う(ステップ120)。つまり、コースト状態から通常状態の場合には、先に計算した遅延(ディレイ)時間の経過後に、コースト変速マップM2を通常変速マップM1に変更する。
【0032】
そして、第1の変速用ソレノイド(SOL1)6及び第2の変速用ソレノイド(SOL2)8への変速ソレノイド出力値の処理を行い(ステップ122)、プログラムをエンドとする(ステップ124)。
【0033】
上述の通常変速マップM1とコースト時変速マップM2との切り替えにあっては、スロットル開度変化率(△THR)が小さい場合に、図7のタイムチャートに示す如く、スロットル開度(THR)が所定値から低下すると(スロットルオンからスロットルオフ)(時間t1)、車速(Nv)が低下し始め、また、変速マップでは通常変速マップM1からコースト時変速マップM2に変更され、そして、車速がダウンシフト変速線よりも低くなると、ギヤ段で2速→1速の変速が実施され(時間t2)、その後、再びスロットル開度(THR)が高くなり始めると(スロットルオフからスロットルオン)(時間t3)、スロットル開度(THR)が徐々に高くなり始め、また、車速(Nv)も徐々に高くなり始め、このとき、スロットル開度変化率(△THR)が小さいので、加速要求が小さいと判断し、ディレイ時間は、小さい値に設定される(図6参照)ので、T1時間経過後、コースト時変速マップM2から通常マップM1に変更され、且つ、同時に、ギヤ段で1速→2速の変速が実施され、このとき、時間t3から時間t5までの一定時間T1においては、加速要求が小さいので、加速時間(遅延(ディレイ)時間)が短くても、運転者への違和感が少ない。よって、コースト時変速マップM2は、時間t1から時間t5までの間で実行される。
【0034】
一方、通常変速マップM1とコースト時変速マップM2との切り替えにあっては、スロットル開度変化率(△THR)が大きい場合に、図8のタイムチャートに示す如く、スロットル開度(THR)が所定値から低下すると(スロットルオンからスロットルオフ)(時間t1)、車速(Nv)が低下し始め、また、変速マップでは通常変速マップM1からコースト時変速マップM2に変更され、そして、車速がダウンシフト変速線よりも低くなると、ギヤ段で2速→1速の変速が実施され(時間t2)、その後、再びスロットル開度(THR)が一気に大きくなって所定値に達すると(時間t3)、車速(Nv)が徐々に高くなり始め、このとき、スロットル開度変化率(△THR)が大きいので、加速要求が大きいと判断し、ディレイ時間は、大きい値に設定される(図6参照)ので、T2時間経過後、コースト時変速マップM2から通常変速マップM1に変更され、且つ、同時に、ギヤ段で1速→2速の変速が実施され、このとき、時間t3から時間t4までの一定時間T2が前記スロットル開度変化率(△THR)が小さい場合の一定時間T1よりも長く、加速要求が大きいので、加速時間(遅延(ディレイ)時間)を長くし、運転者への違和感を少なくする。よって、コースト時変速マップM2は、時間t1から時間t4までの間で実行される。
【0035】
この結果、制御手段12には、エンジン出力による車両の駆動が行われていないコースト状態か否かを判定するコースト状態判定部18と、このコースト状態判定部18により車両がコースト状態にあると判定された場合には、通常変速制御から変速点を変更したコースト時変速制御を実行するコースト時変速制御部20と、コースト状態判定部18により車両がコースト状態から外れたと判定された場合には、スロットル開度変化率(△THR)に応じて設定された遅延(ディレイ)時間の経過後に、コースト時変速制御から通常変速制御に復帰制御する復帰制御部22とを備えていることから、コースト時変速制御から通常変速制御への切り換え時において、スロットル開度変化率に応じて設定された遅延時間の経過後に、コースト時変速制御から通常変速制御に復帰制御するので、加速要求量に応じて変速制御タイミングを変更することができるので、ドライバビリティを向上し、運転者に違和感を与えるのを防止することができる。
【0036】
また、制御手段12は、図6に示す如く、遅延(ディレイ)時間をスロットル開度変化率(△THR)が大きい程に長く設定していることから、運転者の加速要求が大きい程、シフトアップのタイミングを遅らせているので、違和感のないスムーズな変速制御を実施可能とする。
【0037】
つまり、この実施例においては、コースト時変速マップM2から通常変速マップM1に復帰する場合に、図6、7、8に示す如く、スロットル開度変化率(△THR)を運転者の加速要求と判断して、スロットル開度変化率(△THR)に応じて、コースト変速マップM2から通常変速マップM1に切り換える時の遅延(ディレイ)時間を変化させることにより、言い換えれば、運転者が操作するアクセル開度の変化率が大きい程、復帰を遅らせるようにすれば、運転者が惰性(コースト)走行からアクセルペダルを急に踏み込んだ場合程に、アップシフトするまでの時間を遅らせることができ、更なる違和感をなくすることができる。
【0038】
なお、この実施例において、遅延(ディレイ)時間は、図6のスロットル開度変化率(△THR)のテーブルの代わりに、エンジン出力トルク、あるいは、アクセル開度変化率のテーブルとしても良く、また、コースト時変速マップから通常変速マップへの切り換えは、遅延(ディレイ)時間経過後に切り換える代わりに、エンジン回転数がある程度上昇したら、実施することも可能である。
【0039】
また、コースト走行中のアクセルペダルの踏み込み時の車速やエンジン回転数を検出し、その後、車速やエンジン回転数が安定してから通常変速マップに切り換え、違和感のないスムーズな変速制御を実施することも可能である。
【0040】
【発明の効果】
以上詳細な説明から明らかなようにこの発明によれば、エンジン出力による車両の駆動が行われていないコースト状態か否かを判定するコースト状態判定部と、このコースト状態判定部により車両がコースト状態にあると判定された場合には、通常変速制御から変速点を変更したコースト時変速制御を実行するコースト時変速制御部と、コースト状態判定部により車両がコースト状態から外れたと判定された場合には、スロットル開度変化率に応じて設定された遅延時間経過後に、コースト時変速制御から通常変速制御に復帰制御する復帰制御部とが備えられた制御手段を設けたことにより、コースト時変速制御から通常変速制御への切り換え時において、スロットル開度変化率に応じて設定された遅延時間経過後に、コースト時変速制御から通常変速制御に復帰制御することから、加速要求量に応じて変速制御タイミングを変更することができるので、ドライバビリティを向上し、運転者に違和感を与えるのを防止し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】変速制御のフローチャートである。
【図2】変速制御装置の制御ブロック図である。
【図3】変速制御装置の制御手段のブロック図である。
【図4】通常変速マップとコースト時変速マップとを備えた変速マップである。
【図5】各変速用ソレノイドと変速段との関係を示す説明図である。
【図6】スロットル開度変化率と遅延(ディレイ)時間との関係を示す説明図である。
【図7】スロットル開度変化率が小さいときのマップを切り替えるタイムチャートである。
【図8】スロットル開度変化率が大きいときの変速マップを切り替えるタイムチャートである。
【図9】従来において遅延(ディレイ)時間がないときの変速マップを切り替えるタイムチャートである。
【図10】従来において遅延(ディレイ)時間があるときの変速マップを切り替えるタイムチャートである。
【符号の説明】
2 エンジン
4 自動変速機
6 第1の変速用ソレノイド
8 第1の変速用ソレノイド
10 変速制御装置
12 制御手段
14 車速センサ
16 スロットルセンサ
18 コースト状態判定部
20 コースト時変速制御部
22 復帰制御部
Claims (2)
- 設定された変速マップに応じて変速段を自動的に切り換えるように変速制御する自動変速機の変速制御装置において、エンジン出力による車両の駆動が行われていないコースト状態か否かを判定するコースト状態判定部と、このコースト状態判定部により前記車両がコースト状態にあると判定された場合には、通常変速制御から変速点を変更したコースト時変速制御を実行するコースト時変速制御部と、前記コースト状態判定部により前記車両がコースト状態から外れたと判定された場合には、スロットル開度変化率に応じて設定された遅延時間経過後に、コースト時変速制御から通常変速制御に復帰制御する復帰制御部とが備えられた制御手段を設けたことを特徴とする自動変速機の変速制御装置。
- 前記制御手段は、前記遅延時間を、前記スロットル開度変化率が大きい程に長く設定したことを特徴とする請求項1に記載の自動変速機の変速制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003091270A JP2004301141A (ja) | 2003-03-28 | 2003-03-28 | 自動変速機の変速制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003091270A JP2004301141A (ja) | 2003-03-28 | 2003-03-28 | 自動変速機の変速制御装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2004301141A true JP2004301141A (ja) | 2004-10-28 |
Family
ID=33404684
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003091270A Pending JP2004301141A (ja) | 2003-03-28 | 2003-03-28 | 自動変速機の変速制御装置 |
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Country | Link |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2007177922A (ja) * | 2005-12-28 | 2007-07-12 | Komatsu Ltd | 自動変速機の制御装置及び方法 |
JP2008115945A (ja) * | 2006-11-02 | 2008-05-22 | Toyota Motor Corp | 車両の制御装置、制御方法、その方法を実現するプログラムおよびそのプログラムを記録した記録媒体 |
JP2015068387A (ja) * | 2013-09-27 | 2015-04-13 | トヨタ自動車株式会社 | 車両の制御装置 |
-
2003
- 2003-03-28 JP JP2003091270A patent/JP2004301141A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2008115945A (ja) * | 2006-11-02 | 2008-05-22 | Toyota Motor Corp | 車両の制御装置、制御方法、その方法を実現するプログラムおよびそのプログラムを記録した記録媒体 |
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