JP2004203098A - 自動車用シート装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】自動車のシート装置をフロアから取外す作業はシート装置の前方のロアブラケットの溝をフロアのストライカから離反させるため、シート装置の後部を持ち上げ、斜め上方にシート装置を少しずつ持ち上げていく必要があるが、これは作業効率がきわめて悪い。
【解決手段】第１係止機構（４）のロアブラケット（１４）に支点部（３４）を形成し、タンブル状態のシート装置（１）を後方へ倒しながら、その回動中心を第２ストライカ（２５）と第２溝（２４）の係合点から支点部とフロア（６）側との当接点へと変える。これにより、ロアブラケット（１４）は自動的にストライカ（２３，２５）から離れる方向へ移動することになる。
【選択図】 図４
【解決手段】第１係止機構（４）のロアブラケット（１４）に支点部（３４）を形成し、タンブル状態のシート装置（１）を後方へ倒しながら、その回動中心を第２ストライカ（２５）と第２溝（２４）の係合点から支点部とフロア（６）側との当接点へと変える。これにより、ロアブラケット（１４）は自動的にストライカ（２３，２５）から離れる方向へ移動することになる。
【選択図】 図４
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シートの折り畳み状態及びタンブル状態をとり得る自動車用シート装置に関し、特に詳述すれば、シートのフロア（床）からの取外しを容易にさせた自動車用シート装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
シートを折り畳み状態及びタンブル（起立）状態とさせ得るとともに、タンブル状態のシートをフロアから取外し、フロア上の収納スペースを拡大して、該スペースを効果的に利用することは知られている。その一例が米国特許第５４９８０５１号明細書に開示される。
公知のシート装置は、シートクッションフレームの前方に配した第１係止機構と、シートクッションフレームの後方に配した第２係止機構とを有し、第１係止機構がフロアに固定された第１ストライカ機構と係脱自在であり、第２係止機構がフロアに固定された第２ストライカ機構と係脱自在となっている。
【０００３】
この種のシート装置のフロアへの装着は、重いシートを暗い車内で持ち上げ、第１係止機構のロアブラケットの溝に第１ストライカ機構のストライカを係合させ、次いで、シート装置を水平に移動しながら、第２係止機構のブラケットの溝に第２ストライカ機構のストライカを係合させる作業により成される。
【０００４】
さらに、シート装置のフロアからの取外しは、シート装置をタンブル状態とさせたまま操作ハンドルを持ち上げ、第１係止機構のフック部材を回動させ、第１係止機構のロアブラケットの第１溝と第１ストライカ機構の第１ストライカとの係合を解除可能な状態に保ちつつ、タンブル状態のシート装置を乗員や作業者が斜め上方に持ち上げ、第１係止機構と第１ストライカ機構との係合を完全に解除し、次いで、シート装置をフロアに置くか、車外に運び出す手順となっている。
【０００５】
【特許文献１】
米国特許第５４９８０５１号明細書
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
前述したシート装置のフロアからの取外し作業は、シート装置をタンブル状態とした後、第１係止機構のロアブラケットの第１溝と第１ストライカ機構の第１ストライカとの係合、即ちロックを解除するための操作レバーを引いた状態を保つ作業と、シート装置を斜め上方に持ち上げる作業の２つの作業を同時に行うことになり、煩わしい作業となっている。
このため、操作レバーの引きが甘く、第１溝と第１ストライカの係合解除が不完全という事態によるシート装置の取外し作業のやり直しが発生したりする不具合が生じる。
【０００７】
それ故に、本発明は、前述した従来技術の不具合を解消させることを解決すべき課題とする。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前述した課題を解決するために、基本的には、第１係止機構を構成するアッパブラケットに支点部を設け、該支点部がフロアと接したとき、第２溝と第２ストライカとの係合（ロック）を解除する方向にロアブラケットを動かす技術手段を採用する。
【０００９】
この技術手段の採用は、操作レバーを引いてフック部材を第１ストライカから離反させ、この状態のまま、タンブル状態のシート装置を水平状態に戻すことで、即ち後方へシートを倒すことでロアブラケットが上方に動き、第１溝と第１ストライカ及び第２溝と第２ストライカとの係合（ロック）が自動的に解除される。従って、シート装置を後方へ単にずらすことで、シート装置はストライカ機構から離れた状態とさせることができる。
【００１０】
前述した如く、本発明によるシート装置の取外し作業は、操作ハンドルを引いてタンブル状態のシート装置を水平に即ち後方へ倒す作業のみであるから、操作レバーを引いたままシート装置を持ち上げる従来のシート装置取外し作業に比し、その作業はきわめて容易となる。
【００１１】
本発明によれば、シートを支持するシートクッションフレームの前方部に支持された第１係止機構と、シートクッションの後方部に支持された第２係止機構を有し、第１係止機構がフロア側の第１ストライカ機構と及び第２係止機構がフロア側の第２ストライカ機構と係脱自在な自動車用シート装置において、第１係止機構がシートクッションフレームに固定されるアッパブラケットと、回転軸を介してアッパブラケットに回動自在に保持されるロアブラケットとを少なくとも有し、アッパブラケットが支点部を有し、タンブル状態のシートの後方への倒しによる該支点部のフロア側への当接により、ロアブラケットと第１ストライカ機構との離反を可能とする動きをロアブラケットがすることを特徴とする自動車用シート装置が提供される。
【００１２】
好ましくは、支点部がフロアと対向するアッパブラケットの側縁に形成された円弧状部により構成される。
【００１３】
【発明の実施の形態】
図１を参照する。自動車用シート装置１は、シート２を支持するシートクッションフレーム３と、シートクッションフレーム３の前方に固定された第１係止機構４と、シートクッションフレーム３の後方に固定された第２係止機構５とを有す。
第１係止機構４は、フロア（床）６に固定された第１ストライカ機構７と係脱自在であり、第２係止機構５は第２ストライカ機構８と係脱自在である。第１ストライカ機構７はフロアベゼル９により覆われる。
【００１４】
図２を参照して第１係止機構４の構造の一例を説明する。第１係止機構４は、シートクッションフレーム３に取付孔１２を介して支持されるアッパブラケット１１と、回転軸１３を介してアッパブラケット１１に回動自在に支持されるロアブラケット１４と、ロアブラケット１４にピン１５を介して回動自在に支持されるフック部材１６を有す。
回転軸１３は、アッパブラケット１１に穿設した長孔１７を貫通し、図示したシートクッションフレーム３とは離間対向するシートクッションフレーム（図示なし）と図示したシートクッションフレーム３との間に延在するパイプ１８に固定ナット２８を介して結合される。
【００１５】
長孔１７は、シート２が第１係止機構４と第２係止機構５でフロア６上に支持されている図１に示される状態で、前後方向に延びる形状となっている。長孔１７の幅と回転軸１３の径部とはほぼ同じ寸法に設定され、回転軸１３を長孔１７の幅方向には移動を拘束し、長さ方向には移動を許容する。アッパブラケット１１には、長孔１７に関して、取付孔１２と反対側の位置に円弧状のカム孔１９が形成されている。
そして、カム孔１９を貫通するピン２０がロアブラケット１４の側面に起立して固定されている。カム孔１９の両端は、ロアブラケット１４がアッパブラケット１１に対して回転したとき、カム孔１９の一方の端部がピン２０と当接して、その回転の範囲を規定するストッパとして作用する。
【００１６】
図２に示されるように、ロアブラケット１４の側面には、ピン２０の下方で且つ第１溝２１の上方に、フック部材１６がピン１５によってロアブラケット１４に対し回転自在に取り付けられている。フック部材１６は下方部に前方に向けて開口するフック溝２２が形成され、溝２２は第１ストライカ機構７の第１ストライカ２３の水平係止部と係合することで、第１ストライカ２３が第１溝２１に嵌っている状態を保持することができる構成となっている。
【００１７】
ロアブラケット１４に設けた第１溝２１が、図２で見て下向きに開口するが、左方に開口する第２溝２４を第１溝２１と並設する。
第２溝２４は、図１に示すように、第１ストライカ機構７の第２ストライカ２５と係合自在である。
【００１８】
ピン１５には係止溝が形成され、一端が係止溝に他端がロアブラケット１４に設けられた孔に係止されるようコイルバネ２７を取り付け、フック部材１６を常に第１ストライカ２３と係止する方向に回転するように付勢する。さらに、ピン１５の外径部には長さ方向に延びる複数の溝が形成され、溝と係合してピン１５に固定される操作レバー２６がその一端の孔２６ａで取り付けられる。
【００１９】
なお、操作レバー２６の他端は、シート２の反対側に取り付けられる第１ロック機構（図示なし）のピン（図示なし）に固定されている。これによって、操作レバー２６を上方にコイルバネ２７の付勢力に抗して引くことによって、フック部材１６を第１ストライカ２３から解除することが出来る構造となっている。
【００２０】
固定ナット２８には、左右のアッパブラケット１１を連結するように水平に横方向に延びるパイプ１８が嵌り取り付けられる。パイプ１８の外径上に止め具にコイル形状の跳ね上げスプリング２９の一端が取り付けられている。該スプリング２９の他端をアッパブラケット１１に植立したピン３０に係止させる。跳ね上げスプリング２９は、シート２をタンブル状態になる方向、即ち図１で反時計方向に回転させるように、アッパブラケット１１に作用力を付与する。そして、シート２をタンブル状態にするとき、または折り畳み状態の位置に戻すとき、跳ね上げスプリング２９によってシート２の重量を支え、軽く操作できるようにしている。
【００２１】
第２係止機構５は、シートクッションフレーム３の後方部を下方に張り出したブラケット部３２を有し、該ブラケット部３２は第３溝３１を備える。第３溝３１は、後方の第３ストライカ３３と係合自在である。
【００２２】
第２係止機構５は、自動車のドアロック等の適応されるロック機構と同様で、図示しないラッチと、ラッチを係合するポールを備える既知のロック機構である。そして、ラッチは第３ストライカ３３と係合し、ポールで回転が止められているときは係合を維持し、ポールに連結されるケーブル（図示なし）が操作手段（図示なし）によって引かれたときはラッチとの係合が外れ、ラッチは第３ストライカ３３との係合を解除する構成である。
なお、ケーブルはシートバックの折り畳み作動と連動するように構成してもよい。該ロック機構が解除されると、シート２は、第１ロック機構の回転軸１３回りに前方に回転させることが可能となり、タンブル状態にすることができるようになっている。
【００２３】
フロアベゼル９は、第１と第２ストライカ２３，２５が配されるフロア６のくぼみ部をカバーする合成樹脂製のもので、両ストライカ２３，２５の水平部の少なくとも中央部を外部に開放する開口部を有す。
【００２４】
アッパブラケット１１のフロア６と向かい合う側縁であって、カム孔１９に沿う部分に円弧状の丸みのある即ち側方へ膨出した支点部３４を形成する。図３の状態から図５の状態へとシート装置１を後方へ倒していくと、その途中で支点部３４がフロアカーペットの縁部に接する。このため、シート１は支点部３４を中心とする時計方向の回動となり、テコの作用によりロアブラケット１４を持ち上がった状態の運動となる。その結果、ロアブラケット１４が第２ストライカ２５から離れた方向へと移動し、第２溝２４が第２ストライカ２５から離反する。
【００２５】
言い換えれば、シート装置１の後方への倒しのための回動中心を第２溝２４と第２ストライカ２５との係合点から支点部３４とフロアカーペットとの接触点へ移動させることにより、ロアブラケット１４を該接触点を中心として時計方向に回動させる。かくして、第２溝２４と第２ストライカとの係合がシート１の後方への倒しにより自動的に解除される。
【００２６】
以上のように構成したシート装置１のフロア６からの取外し手順を図３乃至５を参照して説明する。
シート装置１のシートバックを前倒しすることで、図示しないロック機構を操作し、第２係止機構５と第２ストライカ機構８との係合（ロック）は解除される。次いで、シート装置１を起立させタンブル状態（図３参照）とする。図３に示すタンブル状態を得た後、操作レバー２６を上方に引き、フック部材１６を第１ストライカ２３から離反させる。
【００２７】
次いで、図４に示すように、第２溝２４と第２ストライカ２５の係合点を中心にシート２を後方へ倒す。この後方へのシート装置１の倒しは、やがて、支点部３４をフロアカーペット３５の縁に当接させる。この時点では、第１溝２１は第１ストライカ２３から離反している。
支点部３４のフロアカーペット３５への当接は、その後のシート装置１の後方への倒し中、この当接点を中心にシート装置１を回動させることになる。その結果、当接点を中心とするテコの作用によりロアブラケット１４は時計方向に回動し、第２溝２４は第２ストライカ２５から自動的に完全に離反する（図５参照）。
図５に示す状態を得た後、シート装置１をフロア６の適所又は車外に運び出せばよい。
【００２８】
以上から明らかなように、支点部をロアブラケットに設けることによりタンブル（起立）状態のシート装置を後方へ倒す作業のみでシート装置をフロアから取外すことが本発明により可能となる。これは、シート装置の取外し作業中、シート装置の持ち上げを必要とせず、その作業を容易にする。
【図面の簡単な説明】
【図１】シート装置のフロアへの取付状態を示す正面図である。
【図２】第１係止機構の分解斜視図である。
【図３】シート装置をタンブル（起立）状態とした部分正面図である。
【図４】ロアブラケットの支点部をフロアカーペットに当接させた状態を示す部分正面図である。
【図５】ロアブラケットがストライカから離反した状態を示す部分正面図である。
【符号の説明】
１ シート装置
２ シート
３ シートクッションフレーム
４，５ 係止機構
６ フロア
７，８ ストライカ機構
９ フロアベゼル
１１，１４ ブラケット
１３ 回転軸
１６ フック部材
１９ カム孔
２１，２２，２４，３１ 溝
２３．２５，３３ ストライカ
３４ 支点部
【発明の属する技術分野】
本発明は、シートの折り畳み状態及びタンブル状態をとり得る自動車用シート装置に関し、特に詳述すれば、シートのフロア（床）からの取外しを容易にさせた自動車用シート装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
シートを折り畳み状態及びタンブル（起立）状態とさせ得るとともに、タンブル状態のシートをフロアから取外し、フロア上の収納スペースを拡大して、該スペースを効果的に利用することは知られている。その一例が米国特許第５４９８０５１号明細書に開示される。
公知のシート装置は、シートクッションフレームの前方に配した第１係止機構と、シートクッションフレームの後方に配した第２係止機構とを有し、第１係止機構がフロアに固定された第１ストライカ機構と係脱自在であり、第２係止機構がフロアに固定された第２ストライカ機構と係脱自在となっている。
【０００３】
この種のシート装置のフロアへの装着は、重いシートを暗い車内で持ち上げ、第１係止機構のロアブラケットの溝に第１ストライカ機構のストライカを係合させ、次いで、シート装置を水平に移動しながら、第２係止機構のブラケットの溝に第２ストライカ機構のストライカを係合させる作業により成される。
【０００４】
さらに、シート装置のフロアからの取外しは、シート装置をタンブル状態とさせたまま操作ハンドルを持ち上げ、第１係止機構のフック部材を回動させ、第１係止機構のロアブラケットの第１溝と第１ストライカ機構の第１ストライカとの係合を解除可能な状態に保ちつつ、タンブル状態のシート装置を乗員や作業者が斜め上方に持ち上げ、第１係止機構と第１ストライカ機構との係合を完全に解除し、次いで、シート装置をフロアに置くか、車外に運び出す手順となっている。
【０００５】
【特許文献１】
米国特許第５４９８０５１号明細書
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
前述したシート装置のフロアからの取外し作業は、シート装置をタンブル状態とした後、第１係止機構のロアブラケットの第１溝と第１ストライカ機構の第１ストライカとの係合、即ちロックを解除するための操作レバーを引いた状態を保つ作業と、シート装置を斜め上方に持ち上げる作業の２つの作業を同時に行うことになり、煩わしい作業となっている。
このため、操作レバーの引きが甘く、第１溝と第１ストライカの係合解除が不完全という事態によるシート装置の取外し作業のやり直しが発生したりする不具合が生じる。
【０００７】
それ故に、本発明は、前述した従来技術の不具合を解消させることを解決すべき課題とする。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前述した課題を解決するために、基本的には、第１係止機構を構成するアッパブラケットに支点部を設け、該支点部がフロアと接したとき、第２溝と第２ストライカとの係合（ロック）を解除する方向にロアブラケットを動かす技術手段を採用する。
【０００９】
この技術手段の採用は、操作レバーを引いてフック部材を第１ストライカから離反させ、この状態のまま、タンブル状態のシート装置を水平状態に戻すことで、即ち後方へシートを倒すことでロアブラケットが上方に動き、第１溝と第１ストライカ及び第２溝と第２ストライカとの係合（ロック）が自動的に解除される。従って、シート装置を後方へ単にずらすことで、シート装置はストライカ機構から離れた状態とさせることができる。
【００１０】
前述した如く、本発明によるシート装置の取外し作業は、操作ハンドルを引いてタンブル状態のシート装置を水平に即ち後方へ倒す作業のみであるから、操作レバーを引いたままシート装置を持ち上げる従来のシート装置取外し作業に比し、その作業はきわめて容易となる。
【００１１】
本発明によれば、シートを支持するシートクッションフレームの前方部に支持された第１係止機構と、シートクッションの後方部に支持された第２係止機構を有し、第１係止機構がフロア側の第１ストライカ機構と及び第２係止機構がフロア側の第２ストライカ機構と係脱自在な自動車用シート装置において、第１係止機構がシートクッションフレームに固定されるアッパブラケットと、回転軸を介してアッパブラケットに回動自在に保持されるロアブラケットとを少なくとも有し、アッパブラケットが支点部を有し、タンブル状態のシートの後方への倒しによる該支点部のフロア側への当接により、ロアブラケットと第１ストライカ機構との離反を可能とする動きをロアブラケットがすることを特徴とする自動車用シート装置が提供される。
【００１２】
好ましくは、支点部がフロアと対向するアッパブラケットの側縁に形成された円弧状部により構成される。
【００１３】
【発明の実施の形態】
図１を参照する。自動車用シート装置１は、シート２を支持するシートクッションフレーム３と、シートクッションフレーム３の前方に固定された第１係止機構４と、シートクッションフレーム３の後方に固定された第２係止機構５とを有す。
第１係止機構４は、フロア（床）６に固定された第１ストライカ機構７と係脱自在であり、第２係止機構５は第２ストライカ機構８と係脱自在である。第１ストライカ機構７はフロアベゼル９により覆われる。
【００１４】
図２を参照して第１係止機構４の構造の一例を説明する。第１係止機構４は、シートクッションフレーム３に取付孔１２を介して支持されるアッパブラケット１１と、回転軸１３を介してアッパブラケット１１に回動自在に支持されるロアブラケット１４と、ロアブラケット１４にピン１５を介して回動自在に支持されるフック部材１６を有す。
回転軸１３は、アッパブラケット１１に穿設した長孔１７を貫通し、図示したシートクッションフレーム３とは離間対向するシートクッションフレーム（図示なし）と図示したシートクッションフレーム３との間に延在するパイプ１８に固定ナット２８を介して結合される。
【００１５】
長孔１７は、シート２が第１係止機構４と第２係止機構５でフロア６上に支持されている図１に示される状態で、前後方向に延びる形状となっている。長孔１７の幅と回転軸１３の径部とはほぼ同じ寸法に設定され、回転軸１３を長孔１７の幅方向には移動を拘束し、長さ方向には移動を許容する。アッパブラケット１１には、長孔１７に関して、取付孔１２と反対側の位置に円弧状のカム孔１９が形成されている。
そして、カム孔１９を貫通するピン２０がロアブラケット１４の側面に起立して固定されている。カム孔１９の両端は、ロアブラケット１４がアッパブラケット１１に対して回転したとき、カム孔１９の一方の端部がピン２０と当接して、その回転の範囲を規定するストッパとして作用する。
【００１６】
図２に示されるように、ロアブラケット１４の側面には、ピン２０の下方で且つ第１溝２１の上方に、フック部材１６がピン１５によってロアブラケット１４に対し回転自在に取り付けられている。フック部材１６は下方部に前方に向けて開口するフック溝２２が形成され、溝２２は第１ストライカ機構７の第１ストライカ２３の水平係止部と係合することで、第１ストライカ２３が第１溝２１に嵌っている状態を保持することができる構成となっている。
【００１７】
ロアブラケット１４に設けた第１溝２１が、図２で見て下向きに開口するが、左方に開口する第２溝２４を第１溝２１と並設する。
第２溝２４は、図１に示すように、第１ストライカ機構７の第２ストライカ２５と係合自在である。
【００１８】
ピン１５には係止溝が形成され、一端が係止溝に他端がロアブラケット１４に設けられた孔に係止されるようコイルバネ２７を取り付け、フック部材１６を常に第１ストライカ２３と係止する方向に回転するように付勢する。さらに、ピン１５の外径部には長さ方向に延びる複数の溝が形成され、溝と係合してピン１５に固定される操作レバー２６がその一端の孔２６ａで取り付けられる。
【００１９】
なお、操作レバー２６の他端は、シート２の反対側に取り付けられる第１ロック機構（図示なし）のピン（図示なし）に固定されている。これによって、操作レバー２６を上方にコイルバネ２７の付勢力に抗して引くことによって、フック部材１６を第１ストライカ２３から解除することが出来る構造となっている。
【００２０】
固定ナット２８には、左右のアッパブラケット１１を連結するように水平に横方向に延びるパイプ１８が嵌り取り付けられる。パイプ１８の外径上に止め具にコイル形状の跳ね上げスプリング２９の一端が取り付けられている。該スプリング２９の他端をアッパブラケット１１に植立したピン３０に係止させる。跳ね上げスプリング２９は、シート２をタンブル状態になる方向、即ち図１で反時計方向に回転させるように、アッパブラケット１１に作用力を付与する。そして、シート２をタンブル状態にするとき、または折り畳み状態の位置に戻すとき、跳ね上げスプリング２９によってシート２の重量を支え、軽く操作できるようにしている。
【００２１】
第２係止機構５は、シートクッションフレーム３の後方部を下方に張り出したブラケット部３２を有し、該ブラケット部３２は第３溝３１を備える。第３溝３１は、後方の第３ストライカ３３と係合自在である。
【００２２】
第２係止機構５は、自動車のドアロック等の適応されるロック機構と同様で、図示しないラッチと、ラッチを係合するポールを備える既知のロック機構である。そして、ラッチは第３ストライカ３３と係合し、ポールで回転が止められているときは係合を維持し、ポールに連結されるケーブル（図示なし）が操作手段（図示なし）によって引かれたときはラッチとの係合が外れ、ラッチは第３ストライカ３３との係合を解除する構成である。
なお、ケーブルはシートバックの折り畳み作動と連動するように構成してもよい。該ロック機構が解除されると、シート２は、第１ロック機構の回転軸１３回りに前方に回転させることが可能となり、タンブル状態にすることができるようになっている。
【００２３】
フロアベゼル９は、第１と第２ストライカ２３，２５が配されるフロア６のくぼみ部をカバーする合成樹脂製のもので、両ストライカ２３，２５の水平部の少なくとも中央部を外部に開放する開口部を有す。
【００２４】
アッパブラケット１１のフロア６と向かい合う側縁であって、カム孔１９に沿う部分に円弧状の丸みのある即ち側方へ膨出した支点部３４を形成する。図３の状態から図５の状態へとシート装置１を後方へ倒していくと、その途中で支点部３４がフロアカーペットの縁部に接する。このため、シート１は支点部３４を中心とする時計方向の回動となり、テコの作用によりロアブラケット１４を持ち上がった状態の運動となる。その結果、ロアブラケット１４が第２ストライカ２５から離れた方向へと移動し、第２溝２４が第２ストライカ２５から離反する。
【００２５】
言い換えれば、シート装置１の後方への倒しのための回動中心を第２溝２４と第２ストライカ２５との係合点から支点部３４とフロアカーペットとの接触点へ移動させることにより、ロアブラケット１４を該接触点を中心として時計方向に回動させる。かくして、第２溝２４と第２ストライカとの係合がシート１の後方への倒しにより自動的に解除される。
【００２６】
以上のように構成したシート装置１のフロア６からの取外し手順を図３乃至５を参照して説明する。
シート装置１のシートバックを前倒しすることで、図示しないロック機構を操作し、第２係止機構５と第２ストライカ機構８との係合（ロック）は解除される。次いで、シート装置１を起立させタンブル状態（図３参照）とする。図３に示すタンブル状態を得た後、操作レバー２６を上方に引き、フック部材１６を第１ストライカ２３から離反させる。
【００２７】
次いで、図４に示すように、第２溝２４と第２ストライカ２５の係合点を中心にシート２を後方へ倒す。この後方へのシート装置１の倒しは、やがて、支点部３４をフロアカーペット３５の縁に当接させる。この時点では、第１溝２１は第１ストライカ２３から離反している。
支点部３４のフロアカーペット３５への当接は、その後のシート装置１の後方への倒し中、この当接点を中心にシート装置１を回動させることになる。その結果、当接点を中心とするテコの作用によりロアブラケット１４は時計方向に回動し、第２溝２４は第２ストライカ２５から自動的に完全に離反する（図５参照）。
図５に示す状態を得た後、シート装置１をフロア６の適所又は車外に運び出せばよい。
【００２８】
以上から明らかなように、支点部をロアブラケットに設けることによりタンブル（起立）状態のシート装置を後方へ倒す作業のみでシート装置をフロアから取外すことが本発明により可能となる。これは、シート装置の取外し作業中、シート装置の持ち上げを必要とせず、その作業を容易にする。
【図面の簡単な説明】
【図１】シート装置のフロアへの取付状態を示す正面図である。
【図２】第１係止機構の分解斜視図である。
【図３】シート装置をタンブル（起立）状態とした部分正面図である。
【図４】ロアブラケットの支点部をフロアカーペットに当接させた状態を示す部分正面図である。
【図５】ロアブラケットがストライカから離反した状態を示す部分正面図である。
【符号の説明】
１ シート装置
２ シート
３ シートクッションフレーム
４，５ 係止機構
６ フロア
７，８ ストライカ機構
９ フロアベゼル
１１，１４ ブラケット
１３ 回転軸
１６ フック部材
１９ カム孔
２１，２２，２４，３１ 溝
２３．２５，３３ ストライカ
３４ 支点部
Claims (2)
- シートを支持するシートクッションフレームの前方部に支持された第１係止機構と、シートクッションの後方部に支持された第２係止機構を有し、第１係止機構がフロア側の第１ストライカ機構と及び第２係止機構がフロア側の第２ストライカ機構と係脱自在な自動車用シート装置において、第１係止機構がシートクッションフレームに固定されるアッパブラケットと、回転軸を介してアッパブラケットに回動自在に保持されるロアブラケットとを少なくとも有し、アッパブラケットが支点部を有し、タンブル状態のシートの後方への倒しによる該支点部のフロア側への当接により、ロアブラケットと第１ストライカ機構との離反を可能とする動きをロアブラケットがすることを特徴とする自動車用シート装置。
- 支点部がフロアと対向するアッパブラケットの側縁に形成された円弧状部により構成される請求項１記載の自動車用シート装置。
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