JP2004154092A - 冷凍耐性を有する起泡性水中油型乳化物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、油脂20〜50重量%、無脂乳固形分1〜10重量%、澱粉分解物2〜25重量%及び水を含有する水中油型乳化物において、澱粉分解物のデキストリン価(DE)が3〜42の範囲であり且つ平均分子量が400〜9000の範囲であることを特徴とする冷凍耐性を有する起泡性水中油型乳化物及び冷凍耐性を有する起泡性水中油型乳化物の製造法である。
【選択図】なし
Description
【発明の属する技術分野】本発明は、冷凍耐性を有する起泡性水中油型乳化物及びその製造法に関し、さらに詳細にはホイップ状態で冷凍保存後、解凍しても風味が損なわれたり、組織が劣化したりせず、しかも口どけの良好な起泡性水中油型乳化物(ホイップドクリーム)に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ケーキやデザートなどにナッペしたりデコレーションするために用いるホイップドクリームは衛生的にも機能的にも劣化が激しいことから、冷凍保存することが提案されている。しかしながら凍結、解凍という温度変化によってホイップドクリームの品質には多くの悪影響がでる。たとえばデコレーションされたケーキが冷凍解凍後、型崩れまたはひび割れあるいは組織の荒れあるいは変色、風味劣化が起こるといった現象である。
従来、ショ糖を多く配合すると外観の劣化に効果があることは知られていたが甘すぎてしまうという欠点を有していた。ショ糖の代わりに種々の糖を利用することが提案されている。
例えば、油脂8〜60重量%、糖アルコール類5〜50重量%、糖アルコール類を除く無脂固形物2〜18重量%及び有効量の乳化剤、増粘剤、風味料と水を含み、該水対糖アルコールの重量比が1対0.1〜1.5であることを特徴とするホイップ後(含気後)冷解凍を行っても冷凍前の物性を全く損なうことのない起泡性水中油型乳化物(特許文献1参照)が提案されている。
また、油脂35〜55重量%、無脂乳固形分1〜10重量%、ポリグリセリン脂肪酸エステルを含む乳化剤0.1〜2重量%、ソルビトール及び/又は平均分子量が500以下の還元澱粉糖化物1〜10重量%、シクロデキストリン0.2〜2重量%及び水を含有することを特徴とするクリーム状組成物(特許文献2)が提案されている。
しかしながらこれらのものでは糖アルコール類に由来する独特の風味を有しスッキリ感に欠けると共に冷凍耐性の効果としてはまだ十分とは言えない状況にあった。
【0003】
【特許文献1】特開昭57−47457号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】特開平06−269256号公報(特許請求の範囲)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ホイップさせた状態もしくはこれをケーキ等にデコレーションした状態で冷凍保存し解凍しても、型崩れまたはひび割れあるいは組織の荒れあるいは変色、風味劣化が起こすことなく、かつ甘みの少ない優れた風味の冷凍耐性を有する起泡性水中油型乳化物及びその製造法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決する為の手段】本発明者らは、上記の課題に対して特に糖類全般について鋭意検討を行い特異的にある範囲の澱粉分解物が冷凍耐性と風味の両立という難問に対して効果を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明の第1は、油脂20〜50重量%、無脂乳固形分1〜10重量%、澱粉分解物2〜25重量%及び水を含有する水中油型乳化物において、澱粉分解物のデキストリン価(DE)が3〜42の範囲であり且つ平均分子量が400〜9000の範囲であることを特徴とする冷凍耐性を有する起泡性水中油型乳化物である。第2は、澱粉分解物がデキストリン、分枝デキストリン、マルトデキストリン、粉アメ、オリゴ糖から選ばれてなる1種又は2種以上である、第1記載の冷凍耐性を有する起泡性水中油型乳化物である。第3は、油脂中に占める乳脂の割合が20〜100重量%である、第1又は第2記載の冷凍耐性を有する起泡性水中油型乳化物である。第4は、油脂20〜50重量%、無脂乳固形分1〜10重量%、澱粉分解物(デキストリン価(DE)が3〜42の範囲であり且つ平均分子量が400〜9000の範囲である)2〜25重量%及び水を主要原料とするこれらのものを混合し、予備乳化、殺菌又は滅菌処理し均質化処理することを特徴とする冷凍耐性を有する起泡性水中油型乳化物の製造法である。第5は、澱粉分解物がデキストリン、分枝デキストリン、マルトデキストリン、粉アメ、オリゴ糖から選ばれてなる1種又は2種以上である、第4記載の起泡性水中油型乳化物の製造法である。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の冷凍耐性を有する起泡性水中油型乳化物は、油脂20〜50重量%、無脂乳固形分1〜10重量%、澱粉分解物2〜25重量%及び水を含有する水中油型乳化物において、澱粉分解物のデキストリン価(DE)が3〜42の範囲であり且つ平均分子量が400〜9000の範囲の冷凍耐性を有する起泡性水中油型乳化物である。
本発明の油脂としては、動植物性油脂及びそれらの硬化油脂の単独又は2種以上の混合物或いはこれらのものに種々の化学処理又は物理処理を施したものが例示できる。かかる油脂としては、大豆油、綿実油、コーン油、サフラワー油、オリーブ油、パーム油、菜種油、米ぬか油、ゴマ油、カポック油、ヤシ油、パーム核油、カカオ脂、乳脂、ラード、魚油、鯨油等の各種の動植物油脂及びそれらの硬化油、分別油、エステル交換油等の加工油脂(融点15〜40℃程度のもの)が例示できる。
油脂が20〜50重量%必要であり、好ましくは25〜50重量%、更に好ましくは25〜45重量%必要である。油脂が20重量%より低い場合は、水中油型乳化物を起泡する際の起泡性が悪化する傾向にある。50重量%を超える場合は、水中油型乳化物の粘度が高くなり、エージング中に可塑化現象(ボテ)を生じ易い傾向になる。
本発明では、油脂中に占める乳脂の割合が20〜100重量%が好ましく、より好ましくは30〜100重量%、更に好ましくは40〜100重量%は風味の点で好ましい。
【0007】本発明の無脂乳固形分とは、牛乳の全固形分から乳脂肪分を差引いた成分をいい、牛乳、脱脂乳、加糖練乳、無糖練乳、全脂粉乳、脱脂粉乳、バターミルク、バターミルクパウダー、ホエー、ホエーパウダー、カゼイン、カゼインナトリウム、ラクトアルブミン、生クリーム等の乳由来の原料が例示でき、これらの単独または2種以上混合使用するのが好ましい。
無脂乳固形分が1〜10重量%必要であり、好ましくは2〜8重量%、更に好ましくは2〜6重量%必要である。無脂乳固形分が1重量%より低い場合は、水中油型乳化物の乳化安定性が悪くなり、乳味感も少なくなって風味が悪くなる。
10重量%を超える場合は、水中油型乳化物の粘度が高くなり、エージング中に可塑化現象(ボテ)を生じ易い傾向になる。
【0008】本発明の澱粉分解物とは、澱粉を均一の反応系(糊化する)で酸または酵素で加水分解すると、その反応条件により異なる組成の各種の中間生成物が得られる。これらの分解物は共通の性質として、冷水に溶ける程度は異なるが甘味を持つので、一般に澱粉分解糖と呼ばれる。ここでは分解の程度が低く、甘味が殆どないものを抽出したもので、糖の名称をさけて澱粉分解物とよぶ。甘味度としては30以下のものが好ましい。甘味度とは澱粉分解物の甘味度は、ショ糖溶液と比較した値でありパネラー(被験者)による官能検査により甘味を感じる最小の濃度(いき値)の比較、または一定濃度のショ糖溶液(たとえば5%溶液)と同じ甘味の強さを示す被験甘味料の濃度の比較でおこなう。
【0009】澱粉分解物のデキストリン価(DE)が3〜42の範囲であり且つ平均分子量が400〜9000の範囲である必要がある。更に好ましくは澱粉分解物のデキストリン価(DE)が8〜42の範囲であり且つ平均分子量が400〜3000の範囲である必要がある。
DEとはDextrose Equivalentの略称で、澱粉分解物の加水分解の程度を意味し、次の式で表される。
DE=直接還元糖(グルコース換算)÷固形分×100
澱粉分解物の平均分子量はゲルろ過クロマトグラフィーにより測定した。
澱粉分解物の原料となる澱粉は、とうもろこし、ワキシーコーン、馬鈴薯、甘藷、タピオカなどの澱粉が利用できる。
澱粉分解物の量は、固形分量を意味し、2〜25重量%必要であり、好ましくは4〜22重量%、更に好ましくは5〜22重量%必要である。澱粉分解物が2重量%より低い場合は、期待する冷凍耐性の効果が得られにくい。25重量%を超える場合は、水中油型乳化物の粘度が高くなり、エージング中に可塑化現象(ボテ)を生じ易い傾向になる。
【0010】本発明の冷凍耐性を有する起泡性水中油型乳化物を製造するに際して、従来より使用されてきた、レシチン、モノグリセライド、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等の合成乳化剤を使用することができる。
【0011】本発明の冷凍耐性を有する起泡性水中油型乳化物については、各種塩類を使用するのが好ましく、ヘキサメタリン酸塩、第2リン酸塩、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸塩、重曹等を単独又は2種以上混合使用することが望ましい。
その他所望により安定剤、香料、着色剤、保存料等を使用することができる。
【0012】本発明の冷凍耐性を有する起泡性水中油型乳化物の製造法としては、一般的なクリーム類を製造する要領で行うことができる。具体的には油脂20〜50重量%、無脂乳固形分1〜10重量%、澱粉分解物(デキストリン価(DE)が8〜42の範囲であり且つ平均分子量が400〜9000の範囲である)2〜25重量%及び水を主要原料とするこれらのものを混合し、予備乳化、殺菌又は滅菌処理し均質化処理することにより得ることができる。
起泡性水中油型乳化物の保存性の点で滅菌処理することが好ましい。
【0013】滅菌処理には、間接加熱方式と直接加熱方式の2種類があり、間接加熱処理する装置としてはAPVプレート式UHT処理装置(APV株式会社製)、CP−UHT滅菌装置(クリマティー・パッケージ株式会社製)、ストルク・チューブラー型滅菌装置(ストルク株式会社製)、コンサーム掻取式UHT滅菌装置(テトラパック・アルファラベル株式会社製)等が例示できるが、特にこれらにこだわるものではない。また、直接加熱式滅菌装置としては、超高温滅菌装置(岩井機械工業(株)製)、ユーペリゼーション滅菌装置(テトラパック・アルファラバル株式会社製)、VTIS滅菌装置(テトラパック・アルファラバル株式会社製)、ラギアーUHT滅菌装置(ラギアー株式会社製)、パラリゼーター(パッシュ・アンド・シルケーボーグ株式会社製)等のUHT滅菌装置が例示でき、これらの何れの装置を使用してもよい。
【0014】
【実施例】以下に本発明の実施例を示し本発明をより詳細に説明するが、本発明の精神は以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中、%及び部は重量基準を意味する。。特に、添加剤の添加順序或いは油相を水相へ又は水相を油相へ加える等の乳化順序が以下の例示によって限定されるものではないことは言うまでもない。また、結果については以下の方法で評価した。
【0015】
A 水中油型乳化物の粘度、平均粒子径、固形分、ボテテスト(水中油型乳化物の安定性)を評価した。
方法は、
粘度:水中油型乳化物の粘度の測定は、B型粘度計(株式会社東京計器製)にて、2号ローター、60rpmの条件下で行った。
平均粒子径:平均粒子径は、粒子径体積基準で累積分布の50%に相当する粒子径であり、レーザー回折式粒度分布装置(LA500、(株)堀場製作所製)により測定した値である。
固形分:Microwave Moisture/Solid Analyzer(LAB WAVE 9000 CEM corporation製)、エンドポイント法
ボテテスト:水中油型乳化物を100ml容ビーカーに50g採り、20℃で2時間インキュベートし、その後5分間攪拌した時のボテの発生の有無を確認した。
【0016】
B 水中油型乳化物を起泡させた場合の評価方法
【0017】
実施例1
パーム油中融点部(36℃)10.0部、硬化大豆パーム油10.0部、バター脂10.0部にレシチン0.35部を添加混合溶解し油相とする。
これとは別に水60.88部に、脱脂粉乳3.5部、分枝デキストリン(松谷化学工業株式会社製、商品名:パインデックス#100、DE3、原材料ワキシーコーンスターチ、固形分96%、平均分子量8500、甘味度2)5.0部、シュガーエステル(三菱化学フーズ(株)製、 商品名:S−570)0.2部、ヘキサメタリン酸ナトリウム0.05部、重曹0.02部を溶解し水相を調製する。上記油相と水相を65℃で30分間ホモミキサーで攪拌し予備乳化した後、超高温滅菌装置(岩井機械工業(株)製)によって、144℃において4秒間の直接加熱方式による滅菌処理を行った後、45Kg/cm2 の均質化圧力で均質化して、直ちに5℃に冷却した。冷却後約24時間エージングして、起泡性水中油型乳化物を得た。この起泡性水中油型乳化物1kgに80gのグラニュー糖を加えて上記ホイップ方法にてホイップし、上記の方法に従いオーバーラン、保形性、離水の測定を行った。またこのホイップドクリームをスポンジケーキにデコレーションし−25℃の冷凍庫で10日間保存後、15℃の定温室で解凍し1日後と2日後上記の方法に従って外観の観察、保形性、組織の荒れ、ひび割れおよび風味を評価した。結果を表1に纏めた。
【0018】
実施例2〜実施例8
実施例2
実施例1の分枝デキストリン5.0部を分枝デキストリン(参松工業株式会社製、商品名:BLD8、DE8、原材料コーンスターチ、固形分96%、平均分子量2000、甘味度5)5.0部に代えた以外は全て実施例1と同様に処理し同様な評価を行った。
実施例3
実施例1の分枝デキストリン5.0部をデキストリン(松谷化学工業株式会社製、商品名:パインデックス#1、DE8、原材料タピオカ澱粉、固形分96%、平均分子量2300、甘味度5)5.0部に代えた以外は全て実施例1と同様に処理し同様な評価を行った。
実施例4
実施例1の分枝デキストリン5.0部をマルトデキストリン(松谷化学工業株式会社製、商品名:TK−16、DE17、原材料タピオカ澱粉、固形分96%、平均分子量910、甘味度16)5.0部に代えた以外は全て実施例1と同様に処理し同様な評価を行った。
実施例5
実施例1の分枝デキストリン5.0部をマルトデキストリン(松谷化学工業株式会社製、商品名:パインデックス#4、DE19、原材料タピオカ澱粉、固形分96%、平均分子量990、甘味度18)5.0部に代えた以外は全て実施例1と同様に処理し同様な評価を行った。
実施例6
実施例1の分枝デキストリン5.0部を粉飴(松谷化学工業株式会社製、商品名:パインデックス#3、DE25、原材料コーンスターチ、固形分96%、平均分子量680、甘味度25)5.0部に代えた以外は全て実施例1と同様に処理し同様な評価を行った。
実施例7
実施例1の分枝デキストリン5.0部を粉飴(松谷化学工業株式会社製、商品名:MPD、DE25、原材料甘藷澱粉、固形分96%、平均分子量680、甘味度25)5.0部に代えた以外は全て実施例1と同様に処理し同様な評価を行った。
実施例8
実施例1の分枝デキストリン5.0部をオリゴ糖(三和澱粉工業株式会社製、商品名:直鎖オリゴ糖オリゴトース、DE40、原材料コーンスターチ、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、固形分98%、平均分子量420、甘味度30)5.0部に代えた以外は全て実施例1と同様に処理し同様な評価を行った。
【0019】
実施例1〜実施例8の評価を表1に纏めた。
【表1】
【0020】
比較例1
実施例1〜実施例8における澱粉分解物5部を水に代えて以下の要領で実施した。
パーム油中融点部(36℃)10.0部、硬化大豆パーム油10.0部、バター脂10.0部にレシチン0.35部を添加混合溶解し油相とする。
これとは別に水65.88部に、脱脂粉乳3.5部、シュガーエステル(三菱化学フーズ(株)製、 商品名:S−570)0.2部、ヘキサメタリン酸ナトリウム0.05部、重曹0.02部を溶解し水相を調製する。上記油相と水相を65℃で30分間ホモミキサーで攪拌し予備乳化した後、超高温滅菌装置(岩井機械工業(株)製)によって、144℃において4秒間の直接加熱方式による滅菌処理を行った後、45Kg/cm2 の均質化圧力で均質化して、直ちに5℃に冷却した。冷却後約24時間エージングして、起泡性水中油型乳化物を得た。この起泡性水中油型乳化物1kgに80gのグラニュー糖を加えて上記ホイップ方法にてホイップし、上記の方法に従いオーバーラン、保形性、離水の測定を行った。またこのホイップドクリームをスポンジケーキにデコレーションし−25℃の冷凍庫で10日間保存後、15℃の定温室で解凍し1日後と2日後上記の方法に従って外観の観察、保形性、組織の荒れ、ひび割れおよび風味を評価した。結果を表2に纏めた。
【0021】
実施例9
パーム油中融点部(36℃)10.0部、硬化大豆パーム油10.0部、バター脂10.0部にレシチン0.35部を添加混合溶解し油相とする。
これとは別に水59.88部に、脱脂粉乳3.5部、粉飴(松谷化学工業株式会社製、商品名:MPD、DE25、原材料甘藷澱粉、固形分96%、平均分子量680、甘味度25)3.0部、オリゴ糖(三和澱粉工業株式会社製、商品名:直鎖オリゴ糖オリゴトース、DE40、原材料コーンスターチ、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、固形分98%、平均分子量420、甘味度30)3.0部、シュガーエステル(三菱化学フーズ(株)製、 商品名:S−570)0.2部、ヘキサメタリン酸ナトリウム0.05部、重曹0.02部を溶解し水相を調製する。上記油相と水相を65℃で30分間ホモミキサーで攪拌し予備乳化した後、超高温滅菌装置(岩井機械工業(株)製)によって、144℃において4秒間の直接加熱方式による滅菌処理を行った後、45Kg/cm2 の均質化圧力で均質化して、直ちに5℃に冷却した。冷却後約24時間エージングして、起泡性水中油型乳化物を得た。この起泡性水中油型乳化物1kgに80gのグラニュー糖を加えて上記ホイップ方法にてホイップし、上記の方法に従いオーバーラン、保形性、離水の測定を行った。またこのホイップドクリームをスポンジケーキにデコレーションし−25℃の冷凍庫で10日間保存後、15℃の定温室で解凍し1日後と2日後上記の方法に従って外観の観察、保形性、組織の荒れ、ひび割れおよび風味を評価した。結果を表2に纏めた。
【0022】
実施例10
パーム油中融点部(36℃)10.0部、硬化大豆パーム油10.0部、バター脂10.0部にレシチン0.35部を添加混合溶解し油相とする。
これとは別に水55.88部に、脱脂粉乳3.5部、粉飴(松谷化学工業株式会社製、商品名:MPD、DE25、原材料甘藷澱粉、固形分96%、平均分子量680、甘味度25)5.0部、オリゴ糖(三和澱粉工業株式会社製、商品名:直鎖オリゴ糖オリゴトース、DE40、原材料コーンスターチ、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、固形分98%、平均分子量420、甘味度30)5.0部、シュガーエステル(三菱化学フーズ(株)製、 商品名:S−570)0.2部、ヘキサメタリン酸ナトリウム0.05部、重曹0.02部を溶解し水相を調製する。上記油相と水相を65℃で30分間ホモミキサーで攪拌し予備乳化した後、超高温滅菌装置(岩井機械工業(株)製)によって、144℃において4秒間の直接加熱方式による滅菌処理を行った後、45Kg/cm2 の均質化圧力で均質化して、直ちに5℃に冷却した。冷却後約24時間エージングして、起泡性水中油型乳化物を得た。この起泡性水中油型乳化物1kgに80gのグラニュー糖を加えて上記ホイップ方法にてホイップし、上記の方法に従いオーバーラン、保形性、離水の測定を行った。またこのホイップドクリームをスポンジケーキにデコレーションし−25℃の冷凍庫で10日間保存後、15℃の定温室で解凍し1日後と2日後上記の方法に従って外観の観察、保形性、組織の荒れ、ひび割れおよび風味を評価した。結果を表2に纏めた。
【0023】
実施例11
パーム油中融点部(36℃)10.0部、硬化大豆パーム油10.0部、バター脂10.0部にレシチン0.35部を添加混合溶解し油相とする。
これとは別に水51.88部に、脱脂粉乳3.5部、粉飴(松谷化学工業株式会社製、商品名:MPD、DE25、原材料甘藷澱粉、固形分96%、平均分子量680、甘味度25)7.0部、オリゴ糖(三和澱粉工業株式会社製、商品名:直鎖オリゴ糖オリゴトース、DE40、原材料コーンスターチ、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、固形分98%、平均分子量420、甘味度30)7.0部、シュガーエステル(三菱化学フーズ(株)製、 商品名:S−570)0.2部、ヘキサメタリン酸ナトリウム0.05部、重曹0.02部を溶解し水相を調製する。上記油相と水相を65℃で30分間ホモミキサーで攪拌し予備乳化した後、超高温滅菌装置(岩井機械工業(株)製)によって、144℃において4秒間の直接加熱方式による滅菌処理を行った後、45Kg/cm2 の均質化圧力で均質化して、直ちに5℃に冷却した。冷却後約24時間エージングして、起泡性水中油型乳化物を得た。この起泡性水中油型乳化物1kgに80gのグラニュー糖を加えて上記ホイップ方法にてホイップし、上記の方法に従いオーバーラン、保形性、離水の測定を行った。またこのホイップドクリームをスポンジケーキにデコレーションし−25℃の冷凍庫で10日間保存後、15℃の定温室で解凍し1日後と2日後上記の方法に従って外観の観察、保形性、組織の荒れ、ひび割れおよび風味を評価した。結果を表2に纏めた。
【0024】
実施例12
パーム油中融点部(36℃)10.0部、硬化大豆パーム油10.0部、バター脂10.0部にレシチン0.35部を添加混合溶解し油相とする。
これとは別に水45.88部に、脱脂粉乳3.5部、粉飴(松谷化学工業株式会社製、商品名:MPD、DE25、原材料甘藷澱粉、固形分96%、平均分子量680、甘味度25)10.0部、オリゴ糖(三和澱粉工業株式会社製、商品名:直鎖オリゴ糖オリゴトース、DE40、原材料コーンスターチ、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、固形分98%、平均分子量420、甘味度30)10.0部、シュガーエステル(三菱化学フーズ(株)製、 商品名:S−570)0.2部、ヘキサメタリン酸ナトリウム0.05部、重曹0.02部を溶解し水相を調製する。上記油相と水相を65℃で30分間ホモミキサーで攪拌し予備乳化した後、超高温滅菌装置(岩井機械工業(株)製)によって、144℃において4秒間の直接加熱方式による滅菌処理を行った後、45Kg/cm2 の均質化圧力で均質化して、直ちに5℃に冷却した。冷却後約24時間エージングして、起泡性水中油型乳化物を得た。この起泡性水中油型乳化物1kgに80gのグラニュー糖を加えて上記ホイップ方法にてホイップし、上記の方法に従いオーバーラン、保形性、離水の測定を行った。またこのホイップドクリームをスポンジケーキにデコレーションし−25℃の冷凍庫で10日間保存後、15℃の定温室で解凍し1日後と2日後上記の方法に従って外観の観察、保形性、組織の荒れ、ひび割れおよび風味を評価した。結果を表2に纏めた。
【0025】
実施例13
パーム油中融点部(36℃)10.0部、硬化大豆パーム油10.0部、バター脂10.0部にレシチン0.35部を添加混合溶解し油相とする。
これとは別に水41.88部に、脱脂粉乳3.5部、粉飴(松谷化学工業株式会社製、商品名:MPD、DE25、原材料甘藷澱粉、固形分96%、平均分子量680、甘味度25)12.0部、オリゴ糖(三和澱粉工業株式会社製、商品名:直鎖オリゴ糖オリゴトース、DE40、原材料コーンスターチ、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、固形分98%、平均分子量420、甘味度30)12.0部、シュガーエステル(三菱化学フーズ(株)製、 商品名:S−570)0.2部、ヘキサメタリン酸ナトリウム0.05部、重曹0.02部を溶解し水相を調製する。上記油相と水相を65℃で30分間ホモミキサーで攪拌し予備乳化した後、超高温滅菌装置(岩井機械工業(株)製)によって、144℃において4秒間の直接加熱方式による滅菌処理を行った後、45Kg/cm2 の均質化圧力で均質化して、直ちに5℃に冷却した。冷却後約24時間エージングして、起泡性水中油型乳化物を得た。この起泡性水中油型乳化物1kgに80gのグラニュー糖を加えて上記ホイップ方法にてホイップし、上記の方法に従いオーバーラン、保形性、離水の測定を行った。またこのホイップドクリームをスポンジケーキにデコレーションし−25℃の冷凍庫で10日間保存後、15℃の定温室で解凍し1日後と2日後上記の方法に従って外観の観察、保形性、組織の荒れ、ひび割れおよび風味を評価した。結果を表2に纏めた。
【0026】
比較例1、実施例9〜実施例13の評価を表2に纏めた。
【表2】
【0027】
実施例14
パーム油中融点部(36℃)8.5部、硬化大豆パーム油8.5部、バター脂8.5部にレシチン0.35部を添加混合溶解し油相とする。
これとは別に水55.38部に、脱脂粉乳3.5部、粉飴(松谷化学工業株式会社製、商品名:MPD、DE25、原材料甘藷澱粉、固形分96%、平均分子量680、甘味度25)7.5部、オリゴ糖(三和澱粉工業株式会社製、商品名:直鎖オリゴ糖オリゴトース、DE40、原材料コーンスターチ、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、固形分98%、平均分子量420、甘味度30)7.5部、シュガーエステル(三菱化学フーズ(株)製、 商品名:S−570)0.2部、ヘキサメタリン酸ナトリウム0.05部、重曹0.02部を溶解し水相を調製する。上記油相と水相を65℃で30分間ホモミキサーで攪拌し予備乳化した後、超高温滅菌装置(岩井機械工業(株)製)によって、144℃において4秒間の直接加熱方式による滅菌処理を行った後、45Kg/cm2 の均質化圧力で均質化して、直ちに5℃に冷却した。冷却後約24時間エージングして、起泡性水中油型乳化物を得た。この起泡性水中油型乳化物1kgに80gのグラニュー糖を加えて上記ホイップ方法にてホイップし、上記の方法に従いオーバーラン、保形性、離水の測定を行った。またこのホイップドクリームをスポンジケーキにデコレーションし−25℃の冷凍庫で10日間保存後、15℃の定温室で解凍し1日後と2日後上記の方法に従って外観の観察、保形性、組織の荒れ、ひび割れおよび風味を評価した。結果を表3に纏めた。
【0028】
実施例15
パーム油中融点部(36℃)15.0部、硬化大豆パーム油15.0部、バター脂15.0部にレシチン0.35部を添加混合溶解し油相とする。
これとは別に水44.88部に、脱脂粉乳3.5部、粉飴(松谷化学工業株式会社製、商品名:MPD、DE25、原材料甘藷澱粉、固形分96%、平均分子量680、甘味度25)3.0部、オリゴ糖(三和澱粉工業株式会社製、商品名:直鎖オリゴ糖オリゴトース、DE40、原材料コーンスターチ、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、固形分98%、平均分子量420、甘味度30)3.0部、シュガーエステル(三菱化学フーズ(株)製、 商品名:S−570)0.2部、ヘキサメタリン酸ナトリウム0.05部、重曹0.02部を溶解し水相を調製する。上記油相と水相を65℃で30分間ホモミキサーで攪拌し予備乳化した後、超高温滅菌装置(岩井機械工業(株)製)によって、144℃において4秒間の直接加熱方式による滅菌処理を行った後、45Kg/cm2 の均質化圧力で均質化して、直ちに5℃に冷却した。冷却後約24時間エージングして、起泡性水中油型乳化物を得た。この起泡性水中油型乳化物1kgに80gのグラニュー糖を加えて上記ホイップ方法にてホイップし、上記の方法に従いオーバーラン、保形性、離水の測定を行った。またこのホイップドクリームをスポンジケーキにデコレーションし−25℃の冷凍庫で10日間保存後、15℃の定温室で解凍し1日後と2日後上記の方法に従って外観の観察、保形性、組織の荒れ、ひび割れおよび風味を評価した。結果を表3に纏めた。
【0029】
実施例16
パーム油中融点部(36℃)5.0部、バター脂11.2部にレシチン0.25部を添加混合溶解し油相とする。
これとは別に水31.48部に、脱脂粉乳3.9部、生クリーム(固形分51%、油分47%)40.0部、粉飴(松谷化学工業株式会社製、商品名:MPD、DE25、原材料甘藷澱粉、固形分96%、平均分子量680、甘味度25)8.0部、シュガーエステル(三菱化学フーズ(株)製、 商品名:S−570)0.1部、ヘキサメタリン酸ナトリウム0.05部、重曹0.02部を溶解し水相を調製する。上記油相と水相を65℃で30分間ホモミキサーで攪拌し予備乳化した後、超高温滅菌装置(岩井機械工業(株)製)によって、144℃において4秒間の直接加熱方式による滅菌処理を行った後、45Kg/cm2 の均質化圧力で均質化して、直ちに5℃に冷却した。冷却後約24時間エージングして、起泡性水中油型乳化物を得た。この起泡性水中油型乳化物1kgに80gのグラニュー糖を加えて上記ホイップ方法にてホイップし、上記の方法に従いオーバーラン、保形性、離水の測定を行った。またこのホイップドクリームをスポンジケーキにデコレーションし−25℃の冷凍庫で10日間保存後、15℃の定温室で解凍し1日後と2日後上記の方法に従って外観の観察、保形性、組織の荒れ、ひび割れおよび風味を評価した。結果を表3に纏めた。
【0030】
比較例2
パーム油中融点部(36℃)5.0部、硬化大豆パーム油5.0部、バター脂5.0部にレシチン0.35部を添加混合溶解し油相とする。
これとは別に水56.88部に、脱脂粉乳3.5部、粉飴(松谷化学工業株式会社製、商品名:MPD、DE25、原材料甘藷澱粉、固形分96%、平均分子量680、甘味度25)12.0部、オリゴ糖(三和澱粉工業株式会社製、商品名:直鎖オリゴ糖オリゴトース、DE40、原材料コーンスターチ、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、固形分98%、平均分子量420、甘味度30)12.0部、シュガーエステル(三菱化学フーズ(株)製、 商品名:S−570)0.2部、ヘキサメタリン酸ナトリウム0.05部、重曹0.02部を溶解し水相を調製する。上記油相と水相を65℃で30分間ホモミキサーで攪拌し予備乳化した後、超高温滅菌装置(岩井機械工業(株)製)によって、144℃において4秒間の直接加熱方式による滅菌処理を行った後、45Kg/cm2 の均質化圧力で均質化して、直ちに5℃に冷却した。冷却後約24時間エージングして、起泡性水中油型乳化物を得た。この起泡性水中油型乳化物1kgに80gのグラニュー糖を加えて上記ホイップ方法にてホイップし、上記の方法に従いオーバーラン、保形性、離水の測定を行った。またこのホイップドクリームをスポンジケーキにデコレーションし−25℃の冷凍庫で10日間保存後、15℃の定温室で解凍し1日後と2日後上記の方法に従って外観の観察、保形性、組織の荒れ、ひび割れおよび風味を評価した。結果を表3に纏めた。
【0031】
比較例3
パーム油中融点部(36℃)18.0部、硬化大豆パーム油18.0部、バター脂18.0部にレシチン0.25部を添加混合溶解し油相とする。
これとは別に水40.93部に、脱脂粉乳3.5部、粉飴(松谷化学工業株式会社製、商品名:MPD、DE25、原材料甘藷澱粉、固形分96%、平均分子量680、甘味度25)0.5部、オリゴ糖(三和澱粉工業株式会社製、商品名:直鎖オリゴ糖オリゴトース、DE40、原材料コーンスターチ、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、固形分98%、平均分子量420、甘味度30)0.5部、シュガーエステル(三菱化学フーズ(株)製、 商品名:S−570)0.2部、ヘキサメタリン酸ナトリウム0.05部、重曹0.02部を溶解し水相を調製する。上記油相と水相を65℃で30分間ホモミキサーで攪拌し予備乳化した後、超高温滅菌装置(岩井機械工業(株)製)によって、144℃において4秒間の直接加熱方式による滅菌処理を行った後、45Kg/cm2 の均質化圧力で均質化して、直ちに5℃に冷却した。冷却後約24時間エージングして、起泡性水中油型乳化物を得た。この起泡性水中油型乳化物1kgに80gのグラニュー糖を加えて上記ホイップ方法にてホイップし、上記の方法に従いオーバーラン、保形性、離水の測定を行った。またこのホイップドクリームをスポンジケーキにデコレーションし−25℃の冷凍庫で10日間保存後、15℃の定温室で解凍し1日後と2日後上記の方法に従って外観の観察、保形性、組織の荒れ、ひび割れおよび風味を評価した。結果を表3に纏めた。
【0032】
実施例14、実施例15、実施例16、比較例2、比較例3の評価を表3に纏めた。
【表3】
【0033】
【発明の効果】ホイップさせた状態もしくはこれをケーキ等にデコレーションした状態で冷凍保存し解凍しても、型崩れまたはひび割れあるいは組織の荒れあるいは変色、風味劣化が起こすことなく、かつ甘みの少ない優れた風味の冷凍耐性を有する起泡性水中油型乳化物及びその製造法を提供することが可能になった。
Claims (5)
- 油脂20〜50重量%、無脂乳固形分1〜10重量%、澱粉分解物2〜25重量%及び水を含有する水中油型乳化物において、澱粉分解物のデキストリン価(DE)が3〜42の範囲であり且つ平均分子量が400〜9000の範囲であることを特徴とする冷凍耐性を有する起泡性水中油型乳化物。
- 澱粉分解物がデキストリン、分枝デキストリン、マルトデキストリン、粉アメ、オリゴ糖から選ばれてなる1種又は2種以上である、請求項1記載の冷凍耐性を有する起泡性水中油型乳化物。
- 油脂中に占める乳脂の割合が20〜100重量%である、請求項1又は請求項2記載の冷凍耐性を有する起泡性水中油型乳化物。
- 油脂20〜50重量%、無脂乳固形分1〜10重量%、澱粉分解物(デキストリン価(DE)が3〜42の範囲であり且つ平均分子量が400〜9000の範囲である)2〜25重量%及び水を主要原料とするこれらのものを混合し、予備乳化、殺菌又は滅菌処理し均質化処理することを特徴とする冷凍耐性を有する起泡性水中油型乳化物の製造法。
- 澱粉分解物がデキストリン、分枝デキストリン、マルトデキストリン、粉アメ、オリゴ糖から選ばれてなる1種又は2種以上である、請求項4記載の起泡性水中油型乳化物の製造法。
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