JP2004066358A - 小径ドリル - Google Patents

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Yuji Hirose
広瀬 祐二
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Abstract

【目的】硬質脆性材料の穴明けに使用する焼結ダイヤモンド付き小径ドリルの深穴加工における折損に対する安定性を図るとともに、製作コストの上昇を抑える。
【構成】小径ドリルにおいて、フルートの軸線方向の長さが先端切れ刃の直径の2〜20倍であり、ボデーの軸線方向の長さがフルートの軸線方向の長さよりも30%以上長く、そして、フルートのシャンク側の終端部からボデーのシャンク側の終端部までの範囲において、ボデーの直径を前記先端切れ刃の直径よりも小さくすることにより、従来ドリルよりも深穴加工における切削性が向上するとともに、工具剛性の低下を防ぎ折損を起きにくくする。さらに、製作が容易で、製作コストの上昇が抑えられる。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は小径ドリルに関し、たとえば単結晶シリコン板の如き硬質脆性材料に対する小径穴、かつ、深穴の穴明け加工に好適な小径ドリルに関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体製造装置のなかの一部品として使用されている単結晶シリコン板は、厚さが5〜6mmで外径が200〜300mmの円板に、穴径が0.4mmとか0.6mmといった穴が300〜600穴穿設されたものがあり、ガスシャワーのノズルとして使われる。このように単結晶シリコン板,硬質ガラス,セラミックスなどの硬質脆性材料へ安定して小径穴明け加工を施すことを目的とする小径ドリルとして、本発明の出願人が特開平11−48016に開示した小径ドリルがある。図5はこの小径ドリルの代表的な形状を例示したもので、段付き丸棒状をなすドリル本体(1)は、超硬合金の先端に焼結ダイヤモンド(2)が一体に焼結され、先端角(α)を形成して対峙する一対の先端切れ刃(5)が形成され、前記ドリル本体(1)の外周には、ねじれを伴なったフルート(6)が形成され、前記先端角(α)が80°〜100°であり、前記フルート(6)のねじれ角(β)が15°〜25°の小径ドリルである。一般に、プリント配線板を積層させた多層基板の穴明け加工に使用される小径ドリルは、前記先端角(α)が120°乃至130°、前記フルート(6)のねじれ角(β)が30°乃至40°の範囲に設定されているが、特開平11−48016に開示された小径ドリルによれば、単結晶シリコン板,硬質ガラス,セラミックスといった硬質脆性材料に対して、工具寿命の延長が図られるとともに、ドリル折損に関して信頼性の向上が図られる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前述した半導体製造装置のなかの一部品として使用される単結晶シリコン板は、消耗による寿命を改善させるため、厚さを8〜10mmに増したものが使用されるようになってきている。従来から使用されているドリルは、剛性を確保するため、一般的にボデー(4)の長さがフルート(6)の長さに対して3〜10%しか長くなく、具体的には、厚さ5〜6mmの単結晶シリコン板に対して、前記フルート(6)の軸線方向の長さが7mm、前記ボデー(4)の軸線方向の長さが7.4mmの小径ドリルが使用されていた。そのため、前述のような厚さを8〜10mmに増した単結晶シリコン板の小径穴明けに関して、前記ボデー(4)の長さが不足し、従来と同様に一方向からの穴明け加工では貫通させることができなかった。そこで、一方の面から穴明け加工した後、単結晶シリコン板を反転させ、対向する裏面から穴明け加工すれば、穴を貫通させることが可能であるが、板を反転させる際に生じるずれによって、穴の真直度が損なわれてしまう。これを避けるために、従来と同様に、一方向からの貫通穴明け加工を行うには、前記フルート(6)の軸線方向の長さを最低でも9〜11mmとする必要があるが、従来から使用されているドリルでさえ成形が困難であるのに、さらに前記フルート(6)の軸線方向の長さと前記ボデー(4)の軸線方向の長さともに長くするのは、現在の製作技術水準では、製作上困難を極めてしまう。仮に製作できた場合でも、ドリルの寸法精度、使用上の信頼性などに問題を生じることは避けられず、結果として、歩留まりの低下による製作コストの大幅な上昇、ドリルの工具寿命の悪化、加工された穴の加工精度の悪化といった問題が生じる。
【0004】
単結晶シリコン板の穴明け加工に関して、小径ドリルによる穴明け加工以外の加工方法も以下に紹介する。一つは超音波加工によるものである。これは、加工穴径に等しい外径をもった超硬合金製のピンが剣山の針のように植え込まれたものを工具とし、この工具と加工物との間に砥粒を含んだ水を流し込みながら超音波振動させた工具を前進させることにより、穴明けが進められるというものである。この方法は基本的にラップ加工なので、ドリル加工より加工時間が長くかかり、また工具の摩耗につれて加工穴が先細りとなるために、同一径の穴が明かないといった問題がある。
【0005】
もう一つの例は、小径ドリルに砥粒を電着させた電着砥石による方法である。この方法によれば、穴の内壁面の仕上り状態はドリル加工より優れたものとなるが、やはり加工時間が長いうえ、0.6mm程度以下の小径になると、ドリル外表面の曲率半径が極めて小さくなるために砥粒の密着性が悪くなり、工具寿命が短いという問題が起きる。また、小径であればあるほど、ドリルの外径に比較して相対的に砥粒の粒径が大きくなるので、砥粒のばらつきがそのままドリル外径のばらつきとなって表われやすくなる。さらに、砥粒が脱落すれば、ドリル外径に及ぼす変化の度合いが大きくなることになる。
【0006】
前述した超音波加工、電着砥石による加工ともに、加工穴の直進性、直径精度は、深穴となることで一層悪くなり、工具寿命の点でも実用的な加工が困難である。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記の如き課題に鑑みなされたもので、丸棒状をなすドリル本体(1)の先端には、先端角(α)を形成して対峙する一対の先端切れ刃(5)が形成され、前記ドリル本体(1)の外周には、ねじれを伴ったフルート(6)が形成され、前記ドリル本体(1)は、超硬合金の先端に焼結ダイヤモンド(2)を有し、または、超硬合金からなる母材の表面に硬質膜が被覆された小径ドリルであり、ボデー(4)の軸線方向の長さが前記フルート(6)の軸線方向の長さよりも30%以上長く、前記フルート(6)のシャンク側の終端部(8)から前記ボデー(4)のシャンク側の終端部(9)までの範囲において、前記ボデー(4)の直径が前記先端切れ刃(5)の直径よりも小さいことを特徴とする小径ドリルである。さらに詳細には、前記先端切れ刃(5)の直径が0.1〜2.0mmであり、前記フルート(6)の軸線方向の長さが前記先端切れ刃(5)の直径の2〜20倍であり、前記先端角(α)が80゜〜100゜であり、前記フルート(6)のねじれ角(β)が15゜〜25゜であることを特徴とするドリルである。また、本発明は、上記小径ドリルを用いた穴明け加工において、前記ドリルにおけるフルート(6)の軸線方向の長さが加工される穴の深さよりも短く、かつ、前記ドリルが送り方向に前進する切削過程と、前記ドリルが穴から完全に抜かれる程度に送り方向に対して後退する退避過程とを交互に繰り返す、いわゆるピック加工を行うことを特徴とする穴明け加工方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の小径ドリルは、先端切れ刃(5)とマージン(7)の材質として、焼結ダイヤモンド(2)が使用される。これは、半導体製造装置のなかの一部品として使用されている単結晶シリコンや硬質カーボン、セラミックス等の硬質脆性材料に対して、高い耐摩耗性が得られ、実用的な工具寿命が得られるからである。そして、製作コストやドリル本体(1)の強度の点から、先端切れ刃(5)とマージン(7)をなす先端部のみが焼結ダイヤモンド(2)を有していればよい。超硬合金と前記焼結ダイヤモンド(2)との密着強度が高くなることから、ドリル本体(1)は、超硬合金の先端に焼結ダイヤモンド(2)が一体焼結されることが好ましい。あるいは、先端切れ刃(5)とマージン(7)の耐摩耗性が高められるという同様な効果が得られることから、焼結ダイヤモンド(2)の代わりに、超硬合金を母材とするドリル本体(1)の表面に硬質膜および/または潤滑膜が被覆されたものでもよい。前記硬質膜としては、チタン化合物、チタンアルミニウム化合物、硬質炭素、アルミニウム化合物、チタンクロム化合物があり、前記チタンアルミニウム化合物にはSi、Cr、Mo、W、V、Nb、Ta、Zr、Hfを含んでもよい。また、前記潤滑膜としては、モリブデン化合物、クロム化合物、タングステン化合物がある。具体的には、TiC、TiCN、TiN、TiCO、TiCNO、TiNO、TiAlC、TiAlCN、TiAlN、TiAlCO、TiAlCNO、TiAlNO、TiAlSiC、TiAlSiCN、TiAlSiN、TiAlSiCO、TiAlSiCNO、TiAlSiNO、TiAlCrC、TiAlCrCN、TiAlCrN、TiAlCrCO、TiAlCrCNO、TiAlCrNO、ダイヤモンド、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、Al、TiCrC、TiCrCN、TiCrN、TiCrCO、TiCrCNO、TiCrNO、MoS、CrN、WSといったものがある。
【0009】
半導体製造装置のなかの一部品として使用されている単結晶シリコンや硬質カーボン、セラミックス等の硬質脆性材料からなる円板への貫通穴明け加工において、前記円板、すなわち、被削材の厚み増加により、加工される穴が深くなった場合、前述したように、穴の真直度を高めるためには、一方向から穴明け加工を行い貫通させることが望ましい。それに伴って、用いられるドリルにおいては、加工する穴の深さ増加分に見合う程度に、フルート(6)の軸線方向の長さとボデー(4)の軸線方向の長さを伸ばす必要があるが、結果として、ドリル剛性の低下を招いてしまうことになる。そこで、本発明の小径ドリルは、前記フルート(6)の軸線方向の長さが先端切れ刃(5)の直径の2〜20倍以下に設定されている。これによって、ドリルの剛性低下の主因である前記フルート(6)の軸線方向の長さが従来ドリルと同等以下に抑えられ、ドリルの剛性低下が阻止されることから、ドリル折損などのトラブルを回避することができ、ドリルとしての穴明け加工の安定性が確保できる。加工される穴については、加工中の負荷を起因とするドリルの撓みが抑えられることによって、穴の曲がりが小さく真直度の良好な穴となる。同時に、製作するうえでも、フルート(6)の成形加工が従来ドリルと同等またはそれ以上に容易であるため、従来通りの製作技術水準で製作可能であり、製作コストの上昇を抑えることができる。また、本発明のドリルを用いた穴明け加工では、該ドリルのフルート(6)の軸線長さが加工される穴の深さより短いため、穴あけ加工が進むと、前記フルート(6)が加工した穴に完全に潜り込む状態が生じる。しかし、該ドリルが送り方向に前進する切削過程と、前記ドリルが穴から完全に抜かれる程度に送り方向に対して後退する退避過程とを交互に繰り返す、いわゆるピック加工が行われ、しかも、前記切削過程1回当りの送り量が小さいことから、生成される切りくずは、少量かつ細かく分断されたものとなるため、該ドリルのフルート(6)の軸線方向の長さが先端切れ刃(5)の直径の2倍以上あれば、前記切削過程において、切りくずを前記フルート(6)内に留めておくことができ、前記切削過程後の退避過程において、切りくずを前記フルート(6)内から穴の外へ排出することができ、円滑な切りくず排出が実現される。
【0010】
ドリルのボデー(4)の軸線方向の長さは、シャンク(3)が被削材に干渉しないように、加工される穴の深さより長く設定されなければならない。しかし、所望される穴の深さは、一律に決っておらず、さまざまに変化するため、本発明のドリルでは、実際に、この種のドリルが使用されている加工現場で所望されている穴深さの現状と、ドリルの剛性を確保することとを考えあわせて、前記ボデー(4)の軸線方向の長さは、フルート(6)の軸線方向の長さの最大値(先端切れ刃の直径の20倍)に対して、少なくとも30%(先端切れ刃の直径の2.6倍)長く設定される。これ以下になると、ドリルの剛性は充分であるが、所望される深さの穴を貫通加工できない場合がでてくる。一方、前記フルート(6)の軸線方向の長さが最小(先端切れ刃の直径の2倍)となる場合には、前述の最大となる場合にくらべ、前記ボデー(4)の軸線方向の長さが同じであっても、ドリルの剛性が充分高くなるため、さらに前記ボデー(4)の軸線方向の長さは、前記フルート(6)の軸線方向の長さに対して、30%増加を大きく超え、最大値の目安としては、前記フルート(6)の軸線方向の長さの20倍程度まで長く設定することができるようになり、より深い穴明け加工が可能となる。
【0011】
また、ドリルのボデー(4)は、加工した穴の内壁に干渉しないように、その直径が加工される穴の直径、すなわち、先端切れ刃(5)の直径より小さくなければならない。そのため、本発明のドリルは、前記フルート(6)のシャンク側の終端部(8)から前記ボデー(4)のシャンク側の終端部(9)までの範囲において、ボデー(4)の直径は先端切れ刃(5)の直径より小さく設定される。
【0012】
さらに、本発明のドリルによれば、従来ドリルによる穴明け加工において、所望される穴の深さが深くなった場合に、前記従来ドリルに対して、ボデー(4)の軸線方向の長さを延ばす加工を追加するだけで、フルート(6)の加工を一切行わなくても完成させることができるため、標準的な工具仕様である従来ドリルの完成在庫品のなかから必要本数のみを追加加工して顧客へ提供することができ、ドリルの製作コストを抑えるとともに顧客ニーズへの即応が可能となる。
【0013】
本発明のドリルは、先端切れ刃(5)の直径を0.1〜2.0mmの範囲としているが、前記直径が0.1mmより小さくなると、ドリルの強度低下による剛性不足からドリル折損の問題が生じるためであり、前記直径が2.0mmより大きくなると、被削材である単結晶シリコン板へ与えるダメージが大きくなり、穴の入口と出口にこば欠けを発生させてしまったり、単結晶シリコン板自体を破損させる恐れがあるからである。
【0014】
本発明の小径ドリルでは、先端角(α)を80°〜100°とすることによって、穴明け加工時のスラスト抵抗を減少させ、ドリルに対する負荷を軽減させる。また、先端切れ刃(5)の直径が同一のドリルでの比較において、先端角の小さいものの方が切れ刃長さが長くなるので、その分、単位切れ刃長さ当りの負担が軽減され切れ刃摩耗が抑えられる。先端角(α)が小さすぎると、チゼルエッジの強度不足やリップハイトの精度が得られにくいといった問題が生じることから、前記先端角(α)は80°以上がよい。
【0015】
また、フルート(6)のねじれ角(β)を15°〜25°とすることで、先端切れ刃(5)部のすくい角が小さくなり、刃先強度が増す。また、前記ねじれ角(β)が小さくなることで、前記フルート(6)が設けられた範囲において、軸直角方向の断面積が増加することになり、その結果、ボデー(4)の強度が増して折損に対する信頼性が高められる。ただし、前記ねじれ角(β)は小さすぎると、切れ味や切りくず排出性を低下させてしまうため、15°以上がよい。
【0016】
次に、この発明の実施形態について、図を参照しながら説明する。図1は本発明の第1の実施形態を正面からみた形状を示し、図2は先端部の拡大図を示している。ドリル本体(1)は、丸棒状をなす超硬合金の先端に焼結ダイヤモンド(2)が一体に焼結されたものである。先端切れ刃(5)の材質としては、高い耐摩耗性を有する焼結ダイヤモンドが好適であるが、先端切れ刃(5)とマージン(7)の耐摩耗性が高められるという同様な効果が得られることから、焼結ダイヤモンド(2)の代わりに、超硬合金を母材とするドリル本体(1)の表面に硬質膜および/または潤滑膜が被覆されたものでもよい。前記硬質膜としては、チタン化合物、チタンアルミニウム化合物、硬質炭素、アルミニウム化合物、チタンクロム化合物があり、前記チタンアルミニウム化合物にはSi、Cr、Mo、W、V、Nb、Ta、Zr、Hfを含んでもよい。また、前記潤滑膜としては、モリブデン化合物、クロム化合物、タングステン化合物がある。具体的には、TiC、TiCN、TiN、TiCO、TiCNO、TiNO、TiAlC、TiAlCN、TiAlN、TiAlCO、TiAlCNO、TiAlNO、TiAlSiC、TiAlSiCN、TiAlSiN、TiAlSiCO、TiAlSiCNO、TiAlSiNO、TiAlCrC、TiAlCrCN、TiAlCrN、TiAlCrCO、TiAlCrCNO、TiAlCrNO、ダイヤモンド、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、Al、TiCrC、TiCrCN、TiCrN、TiCrCO、TiCrCNO、TiCrNO、MoS、CrN、WSといったものがある。ドリル本体(1)はシャンク(3)とボデー(4)とからなる段付き丸棒を呈し、前記シャンク(3)と前記ボデー(4)との接続部がテーパ状をなしている。図3は第2の実施形態を正面からみた形状を示しているが、この図のように、前記接続部におけるシャンク(3)端面の形状が軸線に直角な平面であってもよい。そして、シャンク(3)は工具保持具に嵌合する太さを持ち、ボデー(4)の先端には一対の先端切れ刃(5)がドリルの中心軸に対峙して形成され、正確には中心軸を通る平行面に先端切れ刃(5)が投影されてなす先端角(α)が形成され、先端切れ刃(5)の後方にはボデー(4)の外周に沿ってねじれ角(β)なる捩れを伴ったフルート(6)が先端部のマージン(7)とともに備わっている。そして、ボデー(4)の軸線方向の長さは、フルート(6)の軸線方向の長さに対して30%以上長く、前記フルート(6)の軸線方向の長さが前記先端切れ刃(5)の直径の2〜20倍であり、前記フルート(6)のシャンク側の終端部(8)から前記ボデー(4)のシャンク側の終端部(9)までの範囲において、前記ボデー(4)の直径は、前記先端切れ刃(5)の直径より小さく形成されている。
【0017】
小径ドリルを使用して単結晶シリコン板に穴明けする場合の代表的な加工方法を以下に述べる。まず折損事故が起きないように先端切れ刃(5)の直径が大きめのドリルによって揉み付け作業が行なわれる。揉み付けによって深さの浅いセンター穴が設けられたら、所望される先端切れ刃(5)の直径をもつ小径ドリルに工具交換され、加工液として水が外部より給水されながら穴明けが行なわれる。このとき、折損防止のために穴明けは一時に行なわれずにピック加工される。
【0018】
図4は、前記のような代表的な加工方法に倣って行なった、本発明の小径ドリルにおける加工例を示すものである。図4の左側の図が従来のドリル、右側の図が本発明のドリルにおける加工例を示している。図4に示すように、この小径ドリルは、厚さ5mmの単結晶シリコン板の穴明け加工に使用されていた従来ドリルに対して、追加加工によりボデー(4)の長さを7.4mmから11mmへ延長したものであり、フルート(6)の長さが7mmのままであり、前記フルート(6)のシャンク側の終端部(8)から前記ボデー(4)のシャンク側の終端部(9)までの範囲において、前記ボデー(4)の直径を先端切れ刃(5)の直径より小さくしたものである。前記フルート(6)の軸方向の長さは、先端切れ刃(5)の直径の2〜20倍の範囲で、ドリルの切削性と切りくずの排出性に応じて適宜選ばれる。前記ボデー(4)の軸線方向の長さも、前記フルート(6)の軸線方向の長さより30%以上長く、さらに詳細には、所望される穴の深さとドリルの切削性に応じて適宜選ばれる。ドリルの先端部には従来ドリルと同じ焼結ダイヤモンド(2)が使われており、先端切れ刃(5)の直径は0.5mmである。被削材は10mm厚さの単結晶シリコン板である。まず、揉み付け作業には、先端切れ刃の直径が1mmで先端部に焼結ダイヤモンドが一体成形されたドリルが使用され、深さ0.05mmのセンター穴が明けられる。その後、前述の本発明の小径ドリルを使用して穴明け加工を行うが、切削条件として、ドリルの回転数は15000rpmであり、送りは15mm/min、初回は0.5mmの深さまで加工し、それ以降、切削過程1回当りの送り量が0.1mmのピック加工が行われる。また、ドリルは、先端切れ刃(5)が単結晶シリコンを貫通した後、貫通量として、さらに送り方向に0.5mm送られる。
【0019】
このような切削条件で加工試験を行った結果、本発明の小径ドリルは、従来から行われている5mm厚さの単結晶シリコン板の穴明けと同一の切削条件で加工することが可能であった。そして、本発明の小径ドリルは、従来ドリルに対して、フルート(6)の軸線方向の長さが従来ドリルと同一に保たれて、剛性の低下がわずかであるため、加工された穴の真直度は、ほぼ従来ドリル並みに良好であった。また、切りくずは、ピック加工を行うことによって、円滑に排出することができた。さらに、100穴加工した時点においてドリルの折損はなく、先端切れ刃(5)の損傷も軽微であり、工具寿命は従来ドリルとほぼ同等という結果が得られた。
【発明の効果】
以上のように、本発明の小径ドリルは、半導体製造部品などに用いられる単結晶シリコン,硬質ガラス,セラミックスなどの硬質脆性材料からなる板へ貫通する穴明け加工を行うことを目的とした小径ドリルであり、この発明の小径ドリルによれば、被削材である前記硬質脆性材料からなる板の厚みが増した場合に、前記ドリルのボデー(4)が加工した穴の内壁に干渉することなく、なおかつ、シャンク(3)が被削材である円板に干渉することなく、一方向から穴明け加工を行い貫通させることができるため、加工した穴の真直度が良好となる。また、本発明の小径ドリルは、フルート(6)の軸線方向の長さが従来ドリルとほぼ同一なので、ドリルの剛性低下が抑えられるため、ドリル折損などのトラブルが阻止され、結果として穴明け加工の信頼性が増す。さらに、本発明の小径ドリルは、フルート(6)の成形加工が従来ドリルと同等または同等以上に容易なため、従来どおりの製作技術水準で製作することができて、また、既に製作された従来ドリルの完成品に対して、ボデー(4)の軸線方向の長さを延長する加工を追加するだけで完成させることができるので、標準的な工具仕様である従来ドリルの完成在庫品のなかから必要本数のみを追加加工して顧客へ提供することができ、結果としてドリルの製作コストの上昇を抑制し、顧客ニーズへの即応が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の小径ドリルにおける第1の実施形態の正面図である。
【図2】図1の先端部拡大図である。
【図3】本発明の小径ドリルにおける第2の実施形態の正面図である。
【図4】従来の小径ドリルと本発明の小径ドリルの加工例を示す。
【図5】従来の小径ドリルの正面図である。
【符号の説明】
1 ドリル本体
2 焼結ダイヤモンド
3 シャンク
4 ボデー
5 先端切れ刃
6 フルート
7 マージン
8 フルートのシャンク側の終端部
9 ボデーのシャンク側の終端部
α 先端角
β ねじれ角

Claims (8)

  1. 丸棒状をなすドリル本体(1)の先端には、先端角(α)を形成して対峙する一対の先端切れ刃(5)が形成され、前記ドリル本体(1)の外周には、ねじれを伴ったフルート(6)が形成され、前記ドリル本体(1)は、超硬合金の先端に焼結ダイヤモンド(2)を有する小径ドリルにおいて、ボデー(4)の軸線方向の長さが前記フルート(6)の軸線方向の長さよりも30%以上長く、前記フルート(6)のシャンク側の終端部(8)から前記ボデー(4)のシャンク側の終端部(9)までの範囲において、前記ボデー(4)の直径が前記先端切れ刃(5)の直径よりも小さいことを特徴とする小径ドリル。
  2. 丸棒状をなすドリル本体(1)の先端には、先端角(α)を形成して対峙する一対の先端切れ刃(5)が形成され、前記ドリル本体(1)の外周には、ねじれを伴ったフルート(6)が形成され、前記ドリル本体(1)は、超硬合金からなる母材の表面に硬質膜および/または潤滑膜が被覆された小径ドリルにおいて、ボデー(4)の軸線方向の長さが前記フルート(6)の軸線方向の長さよりも30%以上長く、前記フルート(6)のシャンク側の終端部(8)から前記ボデー(4)のシャンク側の終端部(9)までの範囲において、前記ボデー(4)の直径が前記先端切れ刃(5)の直径よりも小さいことを特徴とする小径ドリル。
  3. 前記フルート(6)の軸線方向の長さが前記先端切れ刃(5)の直径の2〜20倍であることを特徴とする請求項1と請求項2に記載の小径ドリル。
  4. 前記先端切れ刃(5)の直径が0.1〜2.0mmであることを特徴とする請求項1と請求項2に記載の小径ドリル。
  5. 前記先端角(α)が80°〜100°であることを特徴とする請求項1と請求項2に記載の小径ドリル。
  6. 前記フルート(6)のねじれ角(β)が15°〜25°であることを特徴とする請求項1と請求項2に記載の小径ドリル。
  7. 前記超硬合金の先端の焼結ダイヤモンド(2)が前記ドリル本体(1)に一体焼結されることを特徴とする請求項1に記載の小径ドリル。
  8. 請求項1乃至請求項7に記載の小径ドリルを用いた穴明け加工において、フルート(6)の軸線方向の長さが加工される穴の深さよりも短く、かつ、前記ドリルが送り方向に前進する切削過程と、前記ドリルが穴から完全に抜かれる程度に送り方向に対して後退する退避過程とを交互に繰り返す、いわゆるピック加工を行うことを特徴とする穴明け加工方法。
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