JP2004047703A - 配線基板への絶縁樹脂層の形成方法 - Google Patents

配線基板への絶縁樹脂層の形成方法 Download PDF

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前田 修二
Shinya Nishimoto
西本 晋也
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Abstract

【課題】異物混入による絶縁樹脂層の打痕発生を低減できる配線基板への絶縁樹脂層の形成方法を提供する。
【解決手段】その片面に支持フィルム4を貼着している熱硬化性樹脂フィルム3を、熱硬化性樹脂フィルム露出面6が配線基板1と接するように重ねた積層物5を、一方の熱盤11を覆うように配設されている弾性体からなるダイヤフラム16を圧搾空気を用いて膨張させて積層物5を他方の熱盤11に押し付けた状態で加圧して、配線基板1の両面に熱硬化性樹脂フィルム3が硬化した絶縁樹脂層を形成する配線基板への絶縁樹脂層の形成方法において、積層物5と加圧時に積層物5が押し付けられる熱盤11との間に、異物を埋没させるための軟化点が70℃以下であるシート材7を配置して、上記の加圧を行なうことを特徴とする配線基板への絶縁樹脂層の形成方法。
【選択図】   図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、配線基板の表面に絶縁樹脂層と導体回路層を逐次的に形成して多層プリント配線板を製造する際に使用される配線基板への絶縁樹脂層の形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子機器等に用いられるプリント配線板は、近年の電子機器の小型化や高性能化の要請に伴い、プリント配線板の回路の高密度化への要求が高まってきている。そこで、特開平2−260491号公報などで開示されているように、配線基板の表面に絶縁樹脂層及び導体回路層を逐次的に形成する、いわゆるビルドアップ工法によって多層プリント配線板を製造することが行なわれている。このものは、従来は平面状に広がった回路を三次元的に配置し、回路配置の高密度化と基板面積の小面積化を達成しようとするものである。
【0003】
このビルドアップ工法で多層プリント配線板を作製する場合、回路が形成された配線基板の表裏両面に硬化性樹脂フィルムを加熱圧着ロールで積層し、さらに硬化性樹脂フィルムを硬化させて、絶縁樹脂層を配線基板に設けるようにする工法が提案されている(特開平5−136575号公報)。この工法では、配線基板の表裏同時に硬化性樹脂フィルムを積層して絶縁樹脂層を形成することができるために、従来の一般的な液状樹脂を塗布する方法に比べて生産性が高く、また表裏両面の絶縁樹脂層の熱履歴が同じであって品質安定性も良好である。また、この工法に関して、導体厚に起因する凹凸が硬化性樹脂フィルム表面に発生して導体回路の形成性や部品実装性が悪化するため、特開平11−112155号公報などで開示されているように、配線基板に支持フィルム付き熱硬化性樹脂フィルムを加熱加圧して積層する工程で金属製プレスロールを用いることによって表面の平坦性を向上させる方法が提案されている。また、特開2000−228581号などに開示されているように、耐熱ゴムを介して回路基板と支持フィルム付き熱硬化性樹脂フィルムを加熱加圧して真空積層する第1工程、プレス用金属板又はラミネート用金属ロールを用いて支持フィルム上から加熱及び加圧し、支持フィルムに接する熱硬化性樹脂フィルムの表面を平滑化する第2工程を行う工法が提案されている。さらに、この第2工程において支持フィルム上に保護フィルムを載置し、この保護フィルム上から加熱及び加圧を行うことも提案されている。
【0004】
上記のような支持フィルム付き熱硬化性樹脂フィルムを配線基板に積層する方法では、加熱・加圧を行う積層工程の初期段階において加熱・加圧を施すためのロール又は熱盤の表面と、積層されるものとの間に異物があると、ロール又は熱盤側では局所的な圧力分散・吸収ができないために、異物が熱硬化性樹脂フィルム内に押し込まれ、熱硬化性樹脂フィルムが硬化して形成される絶縁樹脂層に打痕が発生することがある。絶縁樹脂層に発生した打痕は、絶縁樹脂層上での微細回路の形成不良や厚さ方向の絶縁信頼性を低下させるという多層プリント配線板の製造に際しての重大な問題を生じさせる原因となるため、打痕の発生を低減する方法の開発が望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、異物混入による絶縁樹脂層の打痕発生を低減できる、熱硬化性樹脂フィルムを用いて配線基板の表面に絶縁樹脂層を形成する配線基板への絶縁樹脂層の形成方法を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明の配線基板への絶縁樹脂層の形成方法は、両面に導体回路を設けた配線基板の両面に、その片面に支持フィルムを貼着している熱硬化性樹脂フィルムを、熱硬化性樹脂フィルム露出面が配線基板と接するように重ねた積層物を、減圧雰囲気において対向する熱盤間で加熱すると共に、一方の熱盤を覆うように配設されている弾性体からなるダイヤフラムを圧搾空気を用いて膨張させて積層物を他方の熱盤に押し付けた状態で加圧して、配線基板の両面に熱硬化性樹脂フィルムが硬化した絶縁樹脂層を形成する配線基板への絶縁樹脂層の形成方法において、積層物と加圧時に積層物が押し付けられる熱盤との間に、異物を埋没させるための軟化点が70℃以下であるシート材を配置して、上記の加圧を行なうことを特徴とする。なお、ここでいう軟化点については、JIS規格K7191(旧K7207、荷重たわみ温度試験方法)に基づいて測定される荷重たわみ温度を軟化点としている。
【0007】
請求項2に係る発明の配線基板への絶縁樹脂層の形成方法は、請求項1記載の配線基板への絶縁樹脂層の形成方法において、シート材の厚さが、15μm〜200μmであることを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明の配線基板への絶縁樹脂層の形成方法は、請求項1又は請求項2記載の配線基板への絶縁樹脂層の形成方法において、積層物と加圧時に積層物が押し付けられる熱盤との間に、複数枚のシート材を配置していて、前記熱盤に最も近い位置に配置したシート材の軟化点が、積層物に最も近い位置に配置したシート材の軟化点よりも低いことを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明の配線基板への絶縁樹脂層の形成方法は、請求項1乃至請求項3の何れかに記載の配線基板への絶縁樹脂層の形成方法において、積層物と加圧時に積層物が押し付けられる熱盤との間に、複数枚のシート材を配置していて、前記熱盤に最も近い位置に配置したシート材の方が、積層物に最も近い位置に配置したシート材よりも離型性に優れていることを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明の配線基板への絶縁樹脂層の形成方法は、請求項1乃至請求項4の何れかに記載の配線基板への絶縁樹脂層の形成方法において、加圧時に積層物が押し付けられる熱盤と接する位置に配置したシート材の前記熱盤と接する面に離型性を向上するための表面処理を施していることを特徴とする。
【0011】
請求項6に係る発明の配線基板への絶縁樹脂層の形成方法は、請求項1乃至請求項5の何れかに記載の配線基板への絶縁樹脂層の形成方法において、加圧時に積層物が押し付けられる熱盤のシート材接触面に粗化処理を施していることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0013】
図1は両面に導体回路1を設けた配線基板2の両面に、その片面に支持フィルム4を貼着している熱硬化性樹脂フィルム3を重ねて得られる積層物5を示す断面図である。また、図2は、この実施の形態で使用する真空成形装置10に各材料を配置して加熱・加圧を行う積層工程を説明するための模式的に示した断面図である。図3は、配線基板2の表面に熱硬化性樹脂フィルム3が硬化した絶縁樹脂層8を形成した絶縁樹脂層形成基板Aを示す断面図である。
【0014】
この実施の形態の配線基板への絶縁樹脂層の形成方法では、図1に示すように、両面に導体回路1を設けた配線基板2の両面に、片面に支持フィルム4を貼着している熱硬化性樹脂フィルム3を、熱硬化性樹脂フィルム露出面6が配線基板2と接するように重ねて積層物5とする。この積層物5を、図2に示す真空成形装置10の熱盤11、11間において加熱加圧する。導体回路1を設けた配線基板2としては、例えば両面銅張積層板にエッチング加工を施して導体回路1を形成したものを使用することができる。また、その片面に支持フィルム4を貼着している熱硬化性樹脂フィルム3としては、ポリエチレンテレフタレート等の支持フィルム4上に、エポキシ樹脂、硬化剤、溶剤等を含む熱硬化性樹脂組成物の塗膜を形成し、この塗膜を加熱して溶媒を除去し、半硬化状態としたフィルム状の固形物を支持フィルム4上に定着したものが用いられるものであり、例えば市販品では松下電工社製「R−0996」などを使用することができる。この支持フィルム4付き熱硬化性樹脂フィルム3は、製造しようとする多層プリント配線板において導体回路を形成する必要のある範囲に対応する寸法に形成して用いるのが好ましい。
【0015】
図2に示す真空成形装置10において、上下の成型盤12、12は上下に対向配置してあり、それぞれの成形盤12にはヒータ等の発熱体を内蔵する熱盤11が固定されている。また、下側の成型盤12は上下動できる構造にしていて、下側の成型盤12を上昇させて、下側の成型盤12を囲むように設けてあるパッキン18を介して上下の成形盤12、12を型締めして閉じたときには、成形盤12、12間に密閉された真空引き室14が形成されるようにしてある。また下側の成型盤12には、下側の熱盤11の表面を覆うダイヤフラム16を取付けていて、且つ、このダイヤフラム16と、下側の熱盤11との間に空気を圧入するための圧搾空気注入孔15を形成している。ダイヤフラム16は圧搾空気注入孔15から圧搾空気が供給されると、風船のように膨らませることができるようになっていて、供給される圧搾空気によってダイヤフラム16が接触しているものを加圧する働きをするものであり、クロロプレンゴム、シリコン系ゴム、フッ素系樹脂などのゴム状弾性体のシートを用いて形成される。そして、上側の成形盤12には、上下の成形盤12、12間で形成される真空引き室14に通じる真空引き排気孔13が設けてあり、これを介して真空引き室14内の空気を抜くことによって、真空引き室14内を減圧雰囲気にすることができるようにしてある。
【0016】
この実施の形態の配線基板への絶縁樹脂層の形成方法では、図1に示す積層物5を、真空成形装置10内に配置する際に、上の熱盤11と積層物5との間及びダイヤフラム16と積層物5との間に、図2に示すように、異物を埋没させるための軟化点が70℃以下であるシート材7を配置する。なお、各熱盤11、11はこの段階で既に所定の加熱温度に昇温された状態にしておくことが、生産効率の点から好ましい。そして、所定の加熱温度としては、熱硬化性樹脂フィルム3で配線基板2の導体回路1、1間の間隙を十分に充填するためには70℃以上とすることが好ましい。
【0017】
次いで、下の成型盤12を上昇させて上下の成型盤12、12を型締めし、型締め後に形成される真空引き室14内の空気を真空引き排気孔13から抜くことによって、真空引き室14内を減圧雰囲気にする。その後、圧搾空気注入孔15を介して圧搾空気をダイアフラム16の下側より供給することによって弾性体からなるダイアフラム16が膨張し、積層物5はシート材7を介して上の熱盤11に押付けられ、その状態で加熱されながら加圧される。なお、この段階で下の熱盤11とダイアフラム16とは接近した位置にあるので、積層物5への加圧がダイアフラム16によって行われると共に、積層物5への加熱は上下の熱盤11、11によって行われる。この実施形態では、加圧時に積層物5がシート材7を介して押し付けられる上の熱盤11と積層物5の間及びダイヤフラム16と積層物5との間に、異物を埋没させるための軟化点が70℃以下であるシート材7を介在させた状態で、加熱しながら加圧を行なうことで、形成される絶縁樹脂層8(図3参照)への打痕発生を低減するようにしている。
【0018】
このようにして、積層物5は加熱・加圧されて、熱硬化性樹脂フィルム3で配線基板2の導体回路1、1間の間隙が充填されて配線基板2と熱硬化性樹脂フィルム3が一体化される。加熱・加圧を継続することで、熱硬化性樹脂フィルム3が硬化し、配線基板2の表面に熱硬化性樹脂フィルム3が硬化した絶縁樹脂層8が形成される。加熱・加圧を終えた後、ダイアフラム16への圧搾空気の供給を停止すると共に、真空引き室14内を常圧に戻してから、上下の成型盤12、12を型開きし、配線基板2の表面に熱硬化性樹脂フィルム3が硬化した絶縁樹脂層8が形成されたものを真空成形装置10から取り出して、支持フィルム4を剥離することにより図3に示す絶縁樹脂層形成基板Aが得られる。なお、真空成形装置10から取り出してから、さらに加熱や加圧を施すことも可能である。
【0019】
シート材7を配置しなかった場合には、積層物5と加圧時に積層物5が押し付けられる上の熱盤11との間、又は積層物5と下の熱盤11を覆っているダイアフラム16との間に異物が存在すると、熱硬化性樹脂フィルム3が硬化した絶縁樹脂層7の表面に異物による打痕が発生して微細回路形成の大きな支障となる。特に、積層物5と加圧時に積層物5が押し付けられる上の熱盤11との間に異物が存在すると、上の熱盤11では局所的な圧力分散・吸収ができないために、異物が熱硬化性樹脂フィルム3内に押し込まれやすく、そのため絶縁樹脂層に打痕が発生しやすくなる。この実施の形態では、軟化点が70℃以下であるシート材7を、積層物5と加圧時に積層物5が押し付けられる上の熱盤11との間及び積層物5とダイヤフラム16との間に配置することによって、加圧の初期段階において異物がシート材7に埋没・吸収されて、支持フィルム4を介して熱硬化性樹脂フィルム3に異物が埋没することが低減される。ここでいう軟化点については、JIS規格K7191(旧K7207、荷重たわみ温度試験方法)に基づいて測定される荷重たわみ温度を軟化点としている。
【0020】
なお、本発明の配線基板への絶縁樹脂層の形成方法では、軟化点が70℃以下であるシート材7を、積層物5と加圧時に積層物5が押し付けられる上の熱盤11との間のみに配置し、積層物5とダイヤフラム16との間には配置しないようにすることも可能であり、その場合も、絶縁樹脂層への打痕発生を低減する効果は生じるが、積層物5の両側にシート材7を配置することが打痕発生を低減する効果を高まるので望ましい。
【0021】
シート材7の軟化点が70℃以下の場合には、加熱しながら加圧する加圧の初期段階において異物がシート材7の方に埋没し、熱硬化性樹脂フィルム3の方に埋没することが少ないため、絶縁樹脂層に異物による打痕が発生することが低減するので、本発明ではシート材7の軟化点を70℃以下と制限しているが、シート材7の軟化点は60℃以下であることがより望ましい。軟化点が70℃以下のシート材7の具体例としては、各種のゴムシート、ポリエチレンシート、ポリプロピレンシート等を例示できる。
【0022】
熱硬化性樹脂フィルム3に貼着されている支持フィルム4上に配置するシート材7の厚さは、加熱・加圧の初期段階において異物を埋没・吸収する厚さとして5μm以上であることが望ましく、また、200μmを越えた場合には厚さが増加しても達成する効果は一定となるため200μm以下とすることがコスト的な点から好ましい。より好ましくは15μm〜100μmである。
【0023】
さらに、積層物5と加圧時に積層物5が押し付けられる上の熱盤11との間に、複数枚のシート材7を配置し、前記熱盤11に最も近い位置に配置したシート材7の軟化点を、積層物5に最も近い位置に配置したシート材7の軟化点よりも低くすると、異物の埋没・吸収は主に熱盤11側に配置された軟化点の低いシート材7にて行い、積層物5側に配置された軟化点が高いシート材7で熱硬化性樹脂フィルム表面を平坦にすることができるので好ましい。
【0024】
さらに、積層物5と加圧時に積層物5が押し付けられる上の熱盤11との間に、複数枚のシート材7を配置し、前記熱盤11に最も近い位置に配置したシート材7の方が、積層物5に最も近い位置に配置したシート材7よりも離型性に優れているようにすると、加熱・加圧終了後にシート材7と上の熱盤11とが密着することを抑制できるため好ましい。シート材7と上の熱盤11とが密着しないようにすると、加熱・加圧終了後に絶縁樹脂層を形成した配線基板2を容易に真空成型装置10内から取り出せるので生産性向上ができる。離型性に優れるシート材7としては。シリコーン系またはフッ素樹脂系のシート材を例示できる。
【0025】
また、この実施形態では、加圧時に積層物5が押し付けられる上の熱盤11と接する位置に配置したシート材7の前記熱盤11と接する面に離型性を向上するための表面処理を施しておくと、シート材7と上の熱盤11とが密着することを抑制できるため好ましい。シート材7と上の熱盤11とが密着しないようにすると、絶縁樹脂層を形成した配線基板2を容易に真空成型装置10内から取り出せるので生産性向上ができる。この離型性を向上するための表面処理としては、シリコーン系またはフッ素系離型剤を所定層表面に噴霧して行うことができる。
【0026】
また、この実施形態では、加圧時に積層物5が押し付けられる上の熱盤11のシート材7との接触面に粗化処理を施していることが好ましい。上の熱盤11の表面に粗化処理を施して粗化面状態にすると、異物を粗化面内に包含できるので絶縁樹脂層に打痕が発生することが抑制される。但し、熱盤表面の粗化処理は絶縁樹脂層表面の平坦化を損なうので熱盤表面の粗化は絶縁樹脂層上に回路形成する際に支障がない様に配慮することが必要である。絶縁樹脂層上に形成される回路形状と寸法および回路形成方法に依存するが、絶縁樹脂層上に問題無く回路形成できる平坦度の絶縁樹脂層を得るには熱盤の表面粗度の最大値(Rmax)が10μm以下となるように粗化処理を施すことが望ましい。
【0027】
また、この実施形態では、ダイアフラム16を圧搾空気を用いて膨張させたときに、積層物5に対応するダイアフラム16の表面に金属プレートを設置することで配線基板2に形成する絶縁樹脂層の表面の平坦性を向上させることができるので好ましい。プレート板としては、ステンレスチール板(SUS板)、銅板、アルミニウム板、真鍮板などの剛性を有したものであることが、絶縁樹脂層の表面の平坦性を向上させるために望ましい。また、平坦性を向上させるためには、真空成型装置で加熱・加圧して絶縁樹脂層を形成した配線基板を、プレス設備によって再度加熱加圧成型しても良い。
【0028】
【実施例】
以下本発明を実施例、比較例によって具体的に説明する。なお、以下に示す実施例及び比較例における軟化点については、JIS規格K7191(旧K7207、荷重たわみ温度試験方法)に基づいて測定した荷重たわみ温度を軟化点とした。
【0029】
(実施例1)
銅箔で回路幅0.15mm、ピッチ0.30mmの試験用格子状回路1を表裏両面に形成した配線基板2(松下電工株式会社製「R−1766T」、厚さ0.8mm、寸法340×510mm、銅箔厚さ0.035mm)を用い、この配線基板2の両面にそれぞれ一方の面に支持フィルム4(ポリエチレンテレフタレート、軟化点100〜104℃)を貼着している熱硬化性樹脂フィルム3(松下電工株式会社製「R−0996」、厚さ70μm、寸法330×500mm、軟化点70〜80℃)を重ねて図1に示す積層物5とすると共に、さらに積層物5の両外側にシート材7としてシリコーンゴムシート(アズワン株式会社製「6−9086−03薄膜シリコーンゴムフィルム」、厚さ200μm、寸法350×520、軟化点20℃以下)を重ねた。
【0030】
そして図2に示す概略断面構造を有する真空成形装置10(株式会社名機製作所製「MVLP−500/600」)を用い、上記の実施の形態で説明した手順に従って、上下の各熱盤11、11の温度を100℃に設定した状態で、真空時間60秒、加圧保持時間60秒、圧力0.5MPaの条件で、減圧雰囲気下、加熱加圧成形をした。尚、上の熱盤11は、表面粗度の最大値(Rmax)が2μm未満の鏡面仕上とした。この成形後、熱硬化性樹脂フィルム3に貼着されている支持フィルム4を剥がし、170℃で60分間加熱して硬化させることによって、配線基板2に絶縁樹脂層7を形成した絶縁樹脂層形成基板Aを作製した。
【0031】
(実施例2)
シート材7として、ポリプロピレンシート(王子製紙株式会社製「アルファン」、厚さ15μm、寸法350×520、軟化点52〜60℃)を用いた以外は、実施例1と同様にして絶縁樹脂層7を形成した絶縁樹脂層形成基板Aを作製した。
【0032】
(実施例3)
シート材7として、ポリエチレンシート(二村化学株式会社製「LL−XUMN」、厚さ30ミクロン、寸法350×520、軟化点41〜49℃)とポリプロピレンシート(王子製紙株式会社製「アルファン」、厚さ50ミクロン、寸法350×520、軟化点52〜60℃)を各1枚重ねたものをポリエチレンシートが上下の熱盤11側になるように積層物5の両外側に配設した。それ以外は、実施例1と同様にして絶縁樹脂層7を形成した絶縁樹脂層形成基板Aを作製した。
【0033】
(実施例4)
シート材7として、シリコーンゴムシート(アズワン株式会社製「6−9086−01薄膜シリコーンゴムフィルム」、厚さ50μm、寸法350×520、軟化点20℃以下)とポリエチレンシート(二村化学株式会社製「LL−XUMN」、厚さ30ミクロン、寸法350×520、軟化点41〜49℃)を各1枚重ねたものを、シリコーンゴムシートが上の熱盤11及びダイヤフラム16と接触するように積層物5の両外側に配設した。それ以外は、実施例1と同様にして絶縁樹脂層7を形成した絶縁樹脂層形成基板Aを作製した。
【0034】
(実施例5)
実施例3において、ポリエチレンシートについて、上の熱盤11及びダイヤフラム16に接触する面に離型処理剤(ダイキン工業株式会社製「ダイフリーGA6010」)を噴霧して皮膜を形成した。それ以外は、実施例3と同様にして絶縁樹脂層7を形成した絶縁樹脂層形成基板Aを作製した。
【0035】
(実施例6)
実施例1において、シリコーンゴムシートを厚さ50μmとした。また、上の熱盤11は、表面粗度の最大値(Rmax)が5μmとなるように粗化処理をしたものを用いた。それ以外は、実施例1と同様にして、絶縁樹脂層7を形成した絶縁樹脂層形成基板Aを作製した。
(実施例7)
実施例5において、上の熱盤11は、表面粗度の最大値(Rmax)が5μmとなるように粗化処理をしたものを用いた。それ以外は、絶縁樹脂層7を形成した絶縁樹脂層形成基板Aを作製した。
【0036】
(比較例1)
実施例1において、積層物5の外側にシート材7を配することなしに、図2に示す概略断面構造を有する真空成形装置10を用いて積層物5を加熱加圧成形した。それ以外は、実施例1と同様にして絶縁樹脂層7を形成した絶縁樹脂層形成基板Aを作製した。
【0037】
(比較例2)
実施例1において、シート材7としてポリイミドシート(デュポン社製「カプトン」、厚さ100ミクロン、寸法350×520、軟化点140℃以上)を用いた。それ以外は、実施例1と同様にして絶縁樹脂層7を形成した絶縁樹脂層形成基板Aを作製した。
【0038】
(比較例3)
実施例1において、シート材7として厚さ9ミクロンのポリエチレンテレフタレートシート(ユニチカ株式会社製「エンプレットPETシート」、寸法350×520、軟化点100〜104℃)用いた。それ以外は、実施例1と同様にして絶縁樹脂層5を積層した多層配線基板Aを作製した。
【0039】
上記の実施例1〜6、比較例1〜3で得た絶縁樹脂層形成基板Aについて、表裏両面の絶縁樹脂層の打痕数、上の熱盤11とシート材7との密着状態(剥離性)、および上の熱盤11側で得られた絶縁樹脂層7の平坦性を評価した。その結果を表1に示す。打痕数については、最大長さが25μm以上の打痕の個数を求めた(表裏両面の合計個数)。上の熱盤11側で得られた絶縁樹脂層7の平坦性については、打痕発生部以外の位置における表面粗度を測定し表面粗度の最大値(Rmax)が7μm以下であれば問題なしと評価した。
【0040】
【表1】
Figure 2004047703
【0041】
表1の結果から、本発明の実施例は比較例に比べて表裏両面の絶縁樹脂層の打痕数が低減していることが確認された。
【0042】
【発明の効果】
上記のように請求項1及び請求項2に係る発明の配線基板への絶縁樹脂層の形成方法は、両面に導体回路を設けた配線基板の両面に、その片面に支持フィルムを貼着している熱硬化性樹脂フィルムを、熱硬化性樹脂フィルム露出面が配線基板と接するように重ねた積層物を、減圧雰囲気において対向する熱盤間で加熱すると共に、一方の熱盤を覆うように配設されている弾性体からなるダイヤフラムを圧搾空気を用いて膨張させて積層物を他方の熱盤に押し付けた状態で加圧して、配線基板の両面に熱硬化性樹脂フィルムが硬化した絶縁樹脂層を形成する配線基板への絶縁樹脂層の形成方法において、積層物と加圧時に積層物が押し付けられる熱盤との間に、異物を埋没させるための軟化点が70℃以下であるシート材を配置して、上記の加圧を行なうようにするので、異物が熱硬化性樹脂フィルム内に押し込まれることを抑制することが可能となり、熱硬化性樹脂フィルムが硬化した絶縁樹脂層に打痕が発生することを低減できる効果を奏する。
【0043】
請求項3に係る発明の配線基板への絶縁樹脂層の形成方法は、積層物と加圧時に積層物が押し付けられる熱盤との間に、複数枚のシート材を配置していて、前記熱盤に最も近い位置に配置したシート材の軟化点を、積層物に最も近い位置に配置したシート材の軟化点よりも低くしているので、請求項1及び請求項2に係る発明の効果に加えて、加圧時に積層物が押し付けられる熱盤側で形成される絶縁樹脂層の平坦性をより確保しやすくなるという効果も奏する。
【0044】
請求項4及び請求項5に係る発明の配線基板への絶縁樹脂層の形成方法によれば、請求項1及び請求項2に係る発明の効果に加えて、加熱・加圧終了後にシート材と加圧時に積層物が押し付けられる熱盤とが密着することを抑制できるという効果も奏する。
【0045】
請求項6に係る発明の配線基板への絶縁樹脂層の形成方法によれば、加圧時に積層物が押し付けられる熱盤のシート材接触面に粗化処理を施しているので、請求項1及び請求項2に係る発明の効果に加えて、熱硬化性樹脂フィルムが硬化した絶縁樹脂層に打痕が発生することをより低減できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態で使用する積層物の構成を示す断面図である。
【図2】本発明の実施形態で使用する真空成形装置に各材料を配置して加熱・加圧を行う積層工程を説明するための模式的に示した断面図である。
【図3】本発明の実施形態で得られる絶縁樹脂層形成基板を示す断面図である。
【符号の説明】
1 配線基板
2 導体回路
3 熱硬化性樹脂フィルム
4 支持フィルム
5 積層物
6 熱硬化性樹脂フィルム露出面
7 シート材
8 絶縁樹脂層
A 絶縁樹脂層形成基板
10 真空成形装置
11 熱盤
12 成形盤
13 真空引き排気孔
14 真空引き室
15 圧搾空気注入孔
16 ダイヤフラム
18 パッキン

Claims (6)

  1. 両面に導体回路を設けた配線基板の両面に、その片面に支持フィルムを貼着している熱硬化性樹脂フィルムを、熱硬化性樹脂フィルム露出面が配線基板と接するように重ねた積層物を、減圧雰囲気において対向する熱盤間で加熱すると共に、一方の熱盤を覆うように配設されている弾性体からなるダイヤフラムを圧搾空気を用いて膨張させて積層物を他方の熱盤に押し付けた状態で加圧して、配線基板の両面に熱硬化性樹脂フィルムが硬化した絶縁樹脂層を形成する配線基板への絶縁樹脂層の形成方法において、積層物と加圧時に積層物が押し付けられる熱盤との間に、異物を埋没させるための軟化点が70℃以下であるシート材を配置して、上記の加圧を行なうことを特徴とする配線基板への絶縁樹脂層の形成方法。
  2. シート材の厚さが、15μm〜200μmであることを特徴とする請求項1記載の配線基板への絶縁樹脂層の形成方法。
  3. 積層物と加圧時に積層物が押し付けられる熱盤との間に、複数枚のシート材を配置していて、前記熱盤に最も近い位置に配置したシート材の軟化点が、積層物に最も近い位置に配置したシート材の軟化点よりも低いことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の配線基板への絶縁樹脂層の形成方法。
  4. 積層物と加圧時に積層物が押し付けられる熱盤との間に、複数枚のシート材を配置していて、前記熱盤に最も近い位置に配置したシート材の方が、積層物に最も近い位置に配置したシート材よりも離型性に優れていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の配線基板への絶縁樹脂層の形成方法。
  5. 加圧時に積層物が押し付けられる熱盤と接する位置に配置したシート材の前記熱盤と接する面に離型性を向上するための表面処理を施していることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の配線基板への絶縁樹脂層の形成方法。
  6. 加圧時に積層物が押し付けられる熱盤のシート材接触面に粗化処理を施していることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載の配線基板への絶縁樹脂層の形成方法。
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JP2012195528A (ja) * 2011-03-18 2012-10-11 Panasonic Corp フレキシブルプリント配線板の製造方法
JP2019041123A (ja) * 2018-11-21 2019-03-14 味の素株式会社 粗化硬化体の製造方法

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