JP2004032938A - インバータ装置用ノイズフィルタ - Google Patents

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Akinori Nishizawa
西沢 昭則
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Abstract

【課題】ノイズフィルタを構成するコモンモードコイルのコアを多段化したり、コア断面積を大きくしたり、飽和磁束密度のより高いコアを使用したりしなくてもコモンモードコイルのコアの飽和を防止でき、大きなノイズ減衰率が実現できるインバータ装置用ノイズフィルタを提供する。
【解決手段】ノイズフィルタの共振周波数fがインバータ装置のキャリア周波数fの近傍にあると前記ノイズフィルタに入力されるノイズ電流が共振により増幅されることにより、前記ノイズフィルタを構成しているコモンモードコイルのコアが磁気飽和するノイズ電流を発生するインバータ装置に用いられるものにおいて、前記コモンモードコイルの巻線数を増やすことにより前記ノイズフィルタの共振周波数が前記インバータ装置のキャリア周波数より低周波側に位置するように構成した。
【選択図】    図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インバータと系統電源との間にノイズフィルタを備えたインバータ装置に関し、特にノイズフィルタを構成しているコモンモードコイルのコアの飽和防止に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インバータ装置のノイズフィルタ設計は150kHz以上の周波数を考慮し行なわれる。すなわち、インバータ装置に関する国際EMI規格では、150kHzから30MHzまでの帯域で伝導性ノイズ量が規制されていることが多く、この帯域内でノイズフィルタの減衰率を設計する。つまり、一般のノイズフィルタはローパス(低周波では減衰しない)構造を持っているが、減衰が始まる周波数(ノイズフィルタの共振周波数)はあまり気にせず、150kHzでの減衰値のみに注目し、設計を行なうのが普通である。
【0003】
インバータ装置から発生するノイズ量が大きい場合、150kHz以上での減衰率を大きくするために、共振周波数がキャリア周波数付近にくることがあるが、この時、減衰率を大きくしようとしたにも関わらず、思ったような効果が得られない時がある。これはノイズフィルタを構成しているインダクタとしてのコモンモードコイルのコアが磁気飽和しているためであり、このような場合、上記コアの磁気飽和を回避する方策として、今までは「コアの巻き数を減らし、1つのインダクタのインダクタンスを低減すると共に、インダクタの多段化すなわちコアを多段化する」、「コア断面積を大きくする」、「飽和磁束密度の小さいフェライトコアをアモルファスコアに切り替える」などの対策を行なってきた。
【0004】
また、例えば、特開平9−84357号公報に示されているように、インバータ装置のキャリア周波数の影響は、交流電動機の対地間浮遊容量を介して流れる漏洩電流の方に向けられており、ノイズフィルタの方には向けられていなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来のインバータ装置用ノイズフィルタは、上記のようにコモンモードコイルのコアの飽和を避けるために、コモンモードコイルのコアを多段化したり、コア断面積を大きくしたり、高飽和磁束密度の非晶質系材料からなるコアを使用したりしており、インダクタが大型化したり、コアの材料費が高価となったりするといった問題があった。
【0006】
本発明は、上記のような従来のものの問題点を解決するためになされたものであり、ノイズフィルタを構成するコモンモードコイルのコアを多段化したり、コア断面積を大きくしたり、飽和磁束密度のより高いコアを使用したりしなくてもコモンモードコイルのコアの磁気飽和を防止でき、大きなノイズ減衰率が実現できるインバータ装置用ノイズフィルタを提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るインバータ装置用ノイズフィルタは、インバータ装置と系統電源との間に設置されるインバータ装置用ノイズフィルタであって、前記ノイズフィルタの共振周波数が前記インバータ装置のキャリア周波数の近傍にあると前記ノイズフィルタに入力されるノイズ電流が共振により増幅されることにより、前記ノイズフィルタを構成しているコモンモードコイルのコアが磁気飽和するノイズ電流を発生するインバータ装置に用いられるものにおいて、前記コモンモードコイルの巻線数を増やすことにより前記ノイズフィルタの共振周波数が前記インバータ装置のキャリア周波数より低周波側に位置するように構成したものである。
【0008】
また、前記コモンモードコイルのコアが磁気飽和した状態におけるノイズフィルタの共振周波数をf、コモンモードコイルのインダクタンスをL、ノイズフィルタを構成する対地間コンデンサの容量をCとしたとき、コモンモードコイルの巻線数Nを1/(4π LC)倍以上に増やすものである。
【0009】
また、コモンモードコイルのコア断面積をS、コモンモードコイルの巻線数をN、コモンモードコイルのインダクタンスをLとしたとき、ノイズフィルタの出力ノイズ電流が0.2×(SN/L)以上の領域で、コモンモードコイルのコアとしてフェライト系材料からなるコアを使用したものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1および図2は本発明の実施の形態1によるインバータ装置用ノイズフィルタを説明するための図であり、より具体的には、図1はインバータ装置にノイズフィルタを適用したときの回路図、図2はノイズフィルタのノイズ減衰率の周波数特性とインバータ装置のキャリア周波数との関係を示す特性図である。図1において、1は系統電源、2はノイズフィルタ。3はノイズフィルタ2を構成するインダクタとしてのコモンモードコイルであり、コアと巻線から成る。4は相間コンデンサ、5は対地間コンデンサ、6はインバータ装置、7は交流電動機、8は交流電動機7の対地間浮遊容量である。インバータ装置6と系統電源1との間にノイズフィルタ2を備えている。
【0011】
図2において、f(ノイズフィルタのノイズ減衰率が山状に盛り上がっている所)はノイズフィルタの共振周波数、fはインバータのキャリア周波数である。縦軸のノイズ減衰率は対数で表示されており、0を境に図2の上方が正、下方が負となっている。図2の下方に行く程ノイズフィルタの減衰率が大きいと表現する。
本実施の形態では、図2に示すように、ノイズフィルタの共振周波数fがインバータ装置のキャリア周波数fより低周波側に位置している。
【0012】
図1のように構成されたものにおいて、インバータ装置6から発生した伝導性ノイズは、ノイズフィルタ2により減衰され、系統電源1側にはEMI規格以下の量しか発生しない。インバータ装置に関する国際EMI規格では、150kHzから30MHzまでの帯域(通常、図2のインバータ装置6のキャリア周波数fよりはるかに高周波域)で上記の伝導性ノイズ量が規制されていることが多く、ノイズフィルタ2のノイズ減衰率はこの帯域内で設計される。
【0013】
ノイズフィルタ2のノイズ減衰率は図2のような周波数特性を持ち、共振周波数fでは特性が山状に盛り上がる。このことは系統電源1側に漏れるノイズ電流が、共振周波数fでは増幅され、多く流れるということを意味している。コモンモードコイル3のコアに発生する磁束密度Bは、式(1)で表される。
B=LI/(SN)   (1)
ここで、Lはコモンモードコイル3のインダクタンス、Iはコモンモードコイル3に流れるノイズ電流、Sはコモンモードコイル3のコア断面積、Nはコモンモードコイル3の巻線数(巻線の巻数)である。
一方、インバータ装置6はキャリア周波数f、またはその高調波毎に大きなノイズ電流を発生する。
したがって、インバータ装置6のキャリア周波数fが、ノイズフィルタ2の共振周波数fと重なる(f=f)と、あるいは重ならなくてもノイズフィルタ2の共振周波数fの近傍(図2のf〜fの範囲、f、fについては後述する。)にある(f≦f≦f)と、ノイズフィルタ2に入力されるノイズ電流が共振により増幅されることにより大きな電流が流れ、コモンモードコイル3のコアに大きな磁束が発生し、コモンモードコイル3のコアが飽和することがある。
【0014】
このように、コアが磁気飽和するときの従来の対応策は既に述べたとおりである。コイル巻線数について言えば、これを減らすという考え方が支配的であり、増やすという考え方はなかった。この巻線数を減らすという考え方の背景は以下に説明する通りである。
すなわち、コイル巻線数Nをn1/2倍にしたとすると、L→n・L、N→n1/2・Nとなることから(1)式は次の様になる。
B=n1/2LI/(SN)   (1)’
nを1よりも大きくする、すなわち、コイル巻線数を増やせば、(1)’式より、一見、当然にコア中の磁束密度Bはn1/2倍増加し、飽和という点から悪化する方向に行く様に思われることから、従来は、nを1より小さくする、すなわち、コイル巻線数を減らすことにより、コア中の磁束密度Bを低減し、コアの飽和を改善していた。
【0015】
ここで、ノイズフィルタの共振周波数fは次の式で表される。
=1/(2π・(LC)1/2)    (2)
したがって、コイル巻線数をn1/2倍にすると、fは1/n1/2になる。
すなわち、巻線数を低減(n<1)すると、fは高周波側にシフトすることになる。図2において150KHzから30MHzの位置は、fに対し高周波側に来ることになるため、fが高周波側にシフトするということは、インバータ装置に関する国際EMI規格による150kHzから30MHzまでの帯域におけるノイズフィルタのノイズ減衰率が劣化することを意味する。これを避けるには、(2)式よりLの値を最初の値と同じかそれ以上の値に設定する必要が生じる。
従来の技術の項で述べたコモンモードコイルの多段化は、こうすることにより、巻き線数の低減によるLの減少を補い、150kHzから30MHzまでの帯域におけるノイズフィルタのノイズ減衰率の劣化を防止することを狙ったものである。
【0016】
しかし、この実施の形態で述べる発明は、コアの飽和が問題となる場合に、従来、避けるべき手法と考えられていた「コイル巻線数の増加」により、コアの飽和を改善するものである。
コイル巻線数Nを大きくする(n>1)と、(2)式より、fは低周波側にシフトすることになる。fをキャリア周波数fよりも低周波側にシフトすると、従来の方法であるコイル巻線数Nを低減(n<1)する場合よりもノイズ減衰率がより改善される方向に行くことは図2より容易に理解することができる。150Hzから30MHzまでの帯域においても同様である。
【0017】
ここで、巻線数を増やすことについての障害と考えられていた、コアの磁気飽和について考察する。式(1)’において、「I」はコモンモードコイル3に流れるノイズ電流であることに留意する必要がある。すなわち、この「I」はノイズフィルタ2の出力としてのノイズ電流であるということである。ということは、ノイズフィルタ2への入力ノイズ電流値が同じでも、巻線数Nを大きくして共振周波数fを低周波側にシフトすることにより、ノイズフィルタ2の出力としてのノイズ電流値、すなわち「I」はシフトの程度によっては減少することになる。巻線数N(すなわち倍率n1/2)が増加することによりLがn倍に増加することによるBの増加(式(2)参照。)を補う以上にノイズ電流値「I」を低減させることができれば、コアの飽和の問題は解消されることになる。
【0018】
フィルタを構成するL(これを実現する上記N、S)、およびCの内、S、Cは通常ある一定範囲の値が使用される。したがって、今Nのみを変化させるとして、計測で得られるフィルタの入力ノイズ電流値と、この系のノイズ(及びその減衰率特性)を計測するための計測装置の入力インピーダンスR(通常50Ωで一定。)から、式(1)のBがBに等しくなるNの値は容易に求めることができる。
以下では、このような意味で、式(1)により算定した磁束密度Bがコアの飽和磁束密度Bと等しくなった場合、すなわち、そのときの上記の意味で設定したコイル巻線数Nを出発点として、コイル巻線数をどの程度増やせばコアの磁気飽和を解消できるかという点について考察する。
【0019】
尚、このことは、図2との絡みで言えば、上記出発点となるノイズフィルタ2のノイズ減衰率特性を固定して考え、実測したノイズフィルタ2への入力ノイズ電流値から、式(1)により飽和磁束密度Bと等しくなる磁束密度を生じるときのノイズ減衰率の値が求められるが、この減衰率に対応する周波数値が前述したf、f(f≦f)に対応する。
いま、キャリア周波数fがfに一致していた場合は、共振周波数fを、わずかに高い周波数にシフトするか、それともf−fに相当する分低い周波数にシフトすれば良い。また、キャリア周波数fがfに一致していた場合は、共振周波数fを、わずかに低い周波数にシフトするか、それともf−fに相当する分高い周波数にシフトすれば良い。
【0020】
なお、上記のように、f≦f≦fでコモンモードコイル3のコアが磁気飽和している場合に、ノイズフィルタ2の共振周波数fをより高周波側(図2の右側)に移動させてf<fとすることにより上記磁気飽和を回避することも考えられるが、この場合には、フィルタ減衰率を0にまでしかできないため、fおよびfにおけるフィルタ減衰率が0以下である場合には上記磁気飽和を回避することができないという問題がある。さらに、ノイズフィルタ2の共振周波数fが図2の右側にずれると、上述のインバータ装置に関する国際EMI規格による150kHzから30MHzまでの帯域におけるノイズフィルタのノイズ減衰率が小さくなってしまい、これらの帯域において所定の減衰率が得られないことがあるという問題もある。
【0021】
更に、コアの磁気飽和しているあるノイズフィルタがあり、これを基準として、コアの磁気飽和を解消するために、コイル巻線数をどの程度増やせばよいかという問題を考えると、この場合のキャリア周波数fはf≦f≦fであるから、f−fに相当する分低い周波数に共振周波数をシフトさせるようにコイル巻線数を増加すれば、確実にコアの磁気飽和は解消される。
したがって、以下では、共振周波数fをf−fに相当する分だけ低い周波数にシフトさせるために必要なコイル巻線数Nの倍率nを求めることとする。
【0022】
ここでコモンモードコイル3のコアが飽和する下限周波数fの位置にあってコモンモードコイル3のコアが飽和しているときに、巻線数をどの程度増やせば上記飽和を回避できるかについて検討する。
(周波数)=fにてちょうど飽和磁束密度に達したとすると、
=LI/(SN)   (3)
である。ただし、Lはコモンモードコイル3のインダクタンス、Sはコモンモードコイル3のコア断面積、Nはコモンモードコイル3の巻線数、Bはコモンモードコイル3のコアの飽和磁束密度、IはBに対応するノイズフィルタ2の出力ノイズ電流である。
ここで、ノイズフィルタ2の入力ノイズ電流をIとすると、ノイズフィルタ2のノイズ減衰率は、
/I=G(ω)   (4)
となる。ただし、ωは角周波数であり、ω=2πfである。
ここで、G(ω)は、
【0023】
【数1】
Figure 2004032938
【0024】
となり(ただし、Rはノイズ(及びその減衰率)を測定する時の計測器の入力インピーダンスであり、通常、50Ωである。)、この式(5)と式(4)を使うと式(3)は
【0025】
【数2】
Figure 2004032938
【0026】
となる。
ここで、巻線数を増やすことによりインダクタンスLをn倍すなわち、
L→nL(つまりN→n1/2N)
としたとき(つまり、巻線数はn1/2倍になる。)、飽和が回避出来るための条件は、
>nLI/(Sn1/2N)
であるから、これに式(5)を用いると、L→nL、N→n1/2・Nと置き換えることにより、
【0027】
【数3】
Figure 2004032938
【0028】
となる。これを式(6)を用いて、nについて解くと
【0029】
【数4】
Figure 2004032938
【0030】
通常、fは共振周波数fからそれほど大きく離れた値ではないため、10kHz程度、Lは数mH、Cは数nF、Rは50Ωとなることから、
(ωL),1/ωC)≫R
となり、また、
<1/(2π・(LC)1/2)(=f
と仮定した(インバータ装置のキャリア周波数fはノイズフィルタの共振周波数fより小さいと仮定した)上で式(8)を解くと
n<1            (9)
n>(1/ω LC)    (10)
となる。
【0031】
ここで、n<1の場合はすでに述べた理由により採用し得ない。
したがって、インバータ装置6のキャリア周波数fがコモンモードコイル3のコアが飽和する周波数f〜fの範囲にあって(f≦f≦f)共振によりノイズ電流が増幅され、コモンモードコイル3のコアが磁気飽和しているときに、磁気飽和したものを回避するためには、L値としては、(1/(ω LC)) 倍以上、巻線数Nとしては、1/(ω LC)倍以上必要であることが分かる。
なお、ここでωはfに対応する角周波数であるが、fは共振周波数fからそれほど大きく離れた値ではないため、実用上は共振周波数fに対応する角周波数ωで代用する。
したがって、実用的には巻線数Nを、1/(ω LC)倍以上、すなわち1/(4π LC)倍以上とすることにより上記磁気飽和を解消することができる。
【0032】
なお、L値を(1/(ω ・L・C)) 以上とするためには、
▲1▼コア材料の磁気抵抗Rmを(ω LC)倍以下と小さくする、
▲2▼C値を1/(ω LC)倍以上と大きくする
▲3▼巻線数Nを1/(ω LC)倍以上と増加する、
▲4▼コモンモードコイル3を複数段とする。
ことが考えられる。
▲1▼磁気抵抗Rmを小さくする方法として、コモンモードコイル3のコアの断面積を大きくするという方法がある。ただし、コアが大型となり、ノイズフィルタ2の大型化、高価格化を引き起こすという問題がある。
また、▲2▼C値をやたらに大きくすると、大地に対して漏洩電流を多く流すことなり、他の機器の誤動作を引き起こすことになりかねない。規格の方でも漏洩電流の限度値が決められており、C値には限界がある。規格をぎりぎり満足するC値ではなく、余裕を持った値とするのが一般的である。
また、▲4▼同じコモンモードコイル3を2段とすることにより、L値は2倍となるが、ノイズフィルタの大型化、高価格化を引き起こす。
したがって、▲3▼巻線数Nを増やすのが最も好ましい。
【0033】
これにより、ノイズフィルタ2を構成するコモンモードコイル3のコアを多段化したり、コア断面積を大きくしたり、飽和磁束密度のより高いコア材料を使用したりしなくてもコモンモードコイル3のコアの磁束密度飽和を防止でき、大きなノイズ減衰率が実現できる。
【0034】
実施の形態2.
図3は本発明の実施の形態2によるインバータ装置用ノイズフィルタを説明するための図であり、より具体的には、インバータ装置のキャリア周波数とノイズフィルタの共振周波数とが重なった場合のノイズフィルタの出力ノイズ電流と使用可能なコモンモードコイル3コア材料との関係を説明する説明図である。インバータ装置のキャリア周波数とノイズフィルタの共振周波数と重なった場合、以下で詳細に説明するように、ノイズフィルタの出力ノイズ電流が0.2×(SN/L)以上の領域では、フェライト系材料からなるコモンモードコイル3のコアでは磁気飽和してしまう。このようなインバータ装置において、上記実施の形態1で説明したように、ノイズフィルタの共振点をインバータのキャリア周波数より低周波側に位置させることにより、コモンモードコイル3のコアとしてフェライト系材料の使用が可能となる。
【0035】
以下、インバータ装置のキャリア周波数とノイズフィルタの共振周波数と重なった場合、フェライト系材料からなるコモンモードコイル3のコアでは磁気飽和してしまうノイズフィルタの出力ノイズ電流の領域について説明する。
コモンモードコイル3のコアに発生する磁束密度はコモンモード電流からのものとディファレンシャルモード電流(商用電流)からのものがある。コモンモードコイル3のコアの巻線はコモンモードで巻かれており、コモンモード電流に対して大きなインダクタンスを発生する。しかし、コア内に発生する磁束も一部は外部に漏れ、これが漏れインダクタンスとして商用電流に対して働く。発生磁束密度はB=LI/(SN)で与えられ、コモンモードからはLは大きいがIは小さい、商用電流からはLは小さいがIは大きい、という関係となっており、これら2つを足し合わせることでトータルの発生磁束を見積もれる。
【0036】
例えば3.7kW出力のインバータ装置では商用電流として数十A程度流れることがあり、ここからコモンモードコイル3のコアに発生する磁束を見積もると0.1〜0.2(T)程度発生することもある。つまりコモンモード電流から発生する磁束密度としては0.4−0.2=0.2(T)が限度値となる(ここで0.4はフェライト系材料からなるコアの飽和磁束密度)。
【0037】
したがって、本実施の形態では、コモンモードコイル3の巻き数(巻線数)を変えたことにより、ノイズフィルタの出力ノイズ電流が0.2×(SN/L)を超える領域が存在し、フェライト系材料からなるコモンモードコイル3のコアでは磁気飽和するような構成を持つインバータ装置用ノイズフィルタに関し、磁気飽和を引き起こす状態(巻き数)から、コモンモードコイル3の巻き数を増やすことにより、磁気飽和を回避し、フェライト系材料からなるコモンモードコイル3のコアを使用したので、ノイズ減衰率を落とすことなく、安価なフェライト系材料からなるコモンモードコイル3のコアを用いてノイズフィルタを構成することができる。
【0038】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、インバータ装置と系統電源との間に設置されるインバータ装置用ノイズフィルタであって、前記ノイズフィルタの共振周波数が前記インバータ装置のキャリア周波数の近傍にあると前記ノイズフィルタに入力されるノイズ電流が共振により増幅されることにより、前記ノイズフィルタを構成しているコモンモードコイルのコアが磁気飽和するノイズ電流を発生するインバータ装置に用いられるものにおいて、前記コモンモードコイルの巻線数を増やすことにより前記ノイズフィルタの共振周波数が前記インバータ装置のキャリア周波数より低周波側に位置するように構成したので、ノイズフィルタを構成するコモンモードコイルのコアを多段化したり、コア断面積を大きくしたり、飽和磁束密度のより高いコアを使用したりしなくてもコモンモードコイルのコアの磁気飽和を防止でき、大きなノイズ減衰率が実現できる。
【0039】
また、前記コモンモードコイルのコアが磁気飽和した状態におけるノイズフィルタの共振周波数をf、コモンモードコイルのインダクタンスをL、ノイズフィルタを構成する対地間コンデンサの容量をCとしたとき、コモンモードコイルの巻線数Nを1/(4π LC)倍以上に増やすので、コモンモードコイルの巻線数に対し、磁気飽和を引き起こすノイズフィルタ設計での禁止領域を規定でき、どの程度巻線数を増やせば、飽和を回避できるかの指標を得ることができる。
【0040】
また、コモンモードコイルのコア断面積をS、コモンモードコイルの巻線数をN、コモンモードコイルのインダクタンスをLとしたとき、ノイズフィルタの出力ノイズ電流が0.2×(SN/L)以上の領域で、コモンモードコイルのコアとしてフェライト系材料からなるコアを使用したので、ノイズ減衰率を落とすことなく、コモンモードコイルのコアとして安価なフェライト系材料を用いてノイズフィルタを構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1によるインバータ装置用ノイズフィルタを説明するための図である。
【図2】本発明の実施の形態1によるインバータ装置用ノイズフィルタを説明するための図である。
【図3】本発明の実施の形態2によるインバータ装置用ノイズフィルタを説明するための図である。
【符号の説明】
1 系統電源、2 ノイズフィルタ、3 コモンモードコイル、4 相間コンデンサ、5 対地間コンデンサ、6 インバータ装置、7 交流電動機、8 交流電動機7の対地間浮遊容量。

Claims (3)

  1. インバータ装置と系統電源との間に設置されるインバータ装置用ノイズフィルタであって、前記ノイズフィルタの共振周波数が前記インバータ装置のキャリア周波数の近傍にあると前記ノイズフィルタに入力されるノイズ電流が共振により増幅されることにより、前記ノイズフィルタを構成しているコモンモードコイルのコアが磁気飽和するノイズ電流を発生するインバータ装置に用いられるものにおいて、前記コモンモードコイルの巻線数を増やすことにより前記ノイズフィルタの共振周波数が前記インバータ装置のキャリア周波数より低周波側に位置するように構成したことを特徴とするインバータ装置用ノイズフィルタ。
  2. 前記コモンモードコイルのコアが磁気飽和した状態におけるノイズフィルタの共振周波数をf、コモンモードコイルのインダクタンスをL、ノイズフィルタを構成する対地間コンデンサの容量をCとしたとき、コモンモードコイルの巻線数Nを1/(4π LC)倍以上に増やすことを特徴とする請求項1記載のインバータ装置用ノイズフィルタ。
  3. コモンモードコイルのコア断面積をS、コモンモードコイルの巻線数をN、コモンモードコイルのインダクタンスをLとしたとき、ノイズフィルタの出力ノイズ電流が0.2×(SN/L)以上の領域で、コモンモードコイルのコアとしてフェライト系材料からなるコアを使用したことを特徴とする請求項1または2記載のインバータ装置用ノイズフィルタ。
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