JP2003252751A - 新規マイクロスフェアおよびその製造法 - Google Patents

新規マイクロスフェアおよびその製造法

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JP2003252751A
JP2003252751A JP2002374330A JP2002374330A JP2003252751A JP 2003252751 A JP2003252751 A JP 2003252751A JP 2002374330 A JP2002374330 A JP 2002374330A JP 2002374330 A JP2002374330 A JP 2002374330A JP 2003252751 A JP2003252751 A JP 2003252751A
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Tomoyasu Nunofuji
智康 布藤
Kazumichi Yamamoto
一路 山本
Tsugiichi Arai
次一 荒井
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Takeda Pharmaceutical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】分散性に優れたマイクロスフェアの提供。 【解決手段】水中乾燥法によるマイクロスフェアの製造
時に、外水相に浸透圧調節剤を添加することを特徴とす
る、分散性が改善されたマイクロスフェアの製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、分散性が改善され
たマイクロスフェア、その製造法および該マイクロスフ
ェアを含有する徐放性組成物などに関する。
【0002】
【従来の技術】生体内分解性ポリマーを用い、W/O型
乳化物から徐放性マイクロスフェアを製造する方法は、
例えば特許文献1〜3などに記載されている。また、徐
放性を有する生体内分解性ポリマーは、例えば生理活性
物質を内包させるためのマイクロスフェア等の基材とし
て有用である。この様な生体内分解性ポリマーとして、
ポリ乳酸、乳酸とグリコール酸との共重合体を含むもの
等(特許文献4等)が有用であることが知られている。
これら生体内分解性ポリマーは従来の合成法によって作
られたものをそのまま用いていたが、合成されたものそ
のままでは末端カルボキシル基量が少ないために徐放性
基材としての有用性に乏しいことが判ってきた。そこ
で、上記の如き生体内分解性ポリマーであって高分子量
のものを加水分解処理し、重量平均分子量を適当なもの
とした後に徐放性製剤用基材として使用することが検討
された。しかしながら、加水分解処理、水洗して得られ
たものは、適当な重量平均分子量と末端カルボキシル基
量を有するものであっても、初期バーストを起こしやす
く徐放性基材としては不適当なものであった。そのた
め、その改良が要望されている現状にある。特許文献5
には、生理活性ペプチドまたはその塩と末端に遊離のカ
ルボキシル基を有する生体内分解性ポリマーとからなる
徐放性製剤およびその製造法が開示されている。しかし
ながら、これらの文献にはマイクロスフェアの分散性を
向上させる方法は記載されていない。
【0003】
【特許文献1】特開昭57−118512号公報
【特許文献2】特開昭57−150609号公報
【特許文献3】特開平6−145046号公報
【特許文献4】特開平11−269094号公報
【特許文献5】特開平7−97334号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、分散性が改
善されたマイクロスフェア、その製造法などを提供する
ことを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題に鑑み鋭意研究を行った結果、水中乾燥法によるマイ
クロスフェアの製造法において、外水相に浸透圧調節剤
を存在させることにより、予想外にも製造されたマイク
ロスフェアの分散性が著しく改善されることを見出し
た。本発明者らは、これらの知見に基づいて、さらに研
究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。すなわ
ち、本発明は、 (1)水中乾燥法によるマイクロスフェアの製造時に、
外水相に浸透圧調節剤を添加することを特徴とする、分
散性が改善されたマイクロスフェアの製造法; (2)改善された分散性が、約400から約700mgのマイク
ロスフェアを1.5mLの注射用分散媒に2分未満で分散でき
る程度である、前記(1)記載の製造法; (3)水中乾燥法にW/O/W型乳化物を用いる前記(1)
記載の製造法; (4)内水相にさらに薬物保持物質を含ませる前記
(3)記載の製造法; (5)水中乾燥法にO/W型乳化物を用いる前記(1)記
載の製造法; (6)水中乾燥法にS/O/W型乳化物を用いる前記(1)
記載の製造法; (7)生理活性物質またはその塩を含む液を内水相と
し、重量平均分子量15000〜50000の乳酸重合体またはそ
の塩を含む溶液を油相とするW/O型乳化物を、浸透圧調
節剤を含有した外水相に分散させて水中乾燥法に付する
ことを特徴とするマイクロスフェアの製造法; (8)乳酸重合体またはその塩における重量平均分子量
5000以下の重合体含有量が約10重量%以下である、前記
(7)記載の製造法; (9)乳酸重合体またはその塩における重量平均分子量
5000以下の重合体含有量が約5重量%以下である、前記
(7)記載の製造法; (10)乳酸重合体またはその塩における重量平均分子
量3000以下の重合体含有量が約1.5重量%以下である、前
記(7)記載の製造法; (11)乳酸重合体またはその塩における重量平均分子
量1000以下の重合体含有量が約0.1重量%以下である、前
記(7)記載の製造法; (12)乳酸重合体またはその塩の重量平均分子量が15
000〜40000のものである、前記(7)記載の製造法; (13)乳酸重合体またはその塩の重量平均分子量が17
000〜26000のものである、前記(7)記載の製造法; (14)浸透圧調節剤が、アルコール類、糖類、アミノ
酸類、ペプチド類、タンパク質類、水溶性アミノ酸の
塩、もしくはその誘導体またはこれらの混合物である、
前記(1)または(7)記載の製造法; (15)浸透圧調節剤がマンニトールである、前記
(1)または(7)記載の製造法; (16)浸透圧調節剤の外水相中の濃度が、外水相の浸
透圧が生理食塩水の浸透圧の約1/50〜約5倍となる濃度
である前記(1)または(7)記載の製造法; (17)生理活性物質が水溶性の生理活性物質である前
記(7)記載の製造法; (18)生理活性物質が生理活性ペプチドである前記
(7)記載の製造法; (19)生理活性物質がLH-RH誘導体である前記(7)
記載の製造法; (20)LH-RH誘導体が式 5-oxo-Pro-His-Trp-Ser-Tyr-Y-Leu-Arg-Pro-Z [式中、YはDLeu、DAla、DTrp、DSer(tBu)、D2Nalまたは
DHis(ImBzl)を示し、ZはNH-C2H5またはGly-NH2を示
す。]で表されるペプチドまたはその塩である前記
(7)記載の製造法; (21)前記(1)または(7)記載の製造法によって
得られるマイクロスフェア; (22)前記(21)記載のマイクロスフェアを含有し
てなる徐放性組成物; (23)前立腺癌、前立腺肥大症、子宮内膜症、子宮筋
腫、子宮線維腫、思春期早発症、月経困難症もしくは乳
癌の予防、治療用または避妊用である前記(22の徐放
性組成物; (24)注射用である前記(22)記載の徐放性組成
物; (25)さらにマンニトールを含有する前記(22)記
載の徐放性組成物; (26)組成物全体に対してマイクロスフェアを約70重
量%以上含有する前記(22)記載の徐放性組成物; (27)哺乳動物に対して、前記(22)記載の徐放性
組成物の有効量を投与することを特徴とする前立腺癌、
前立腺肥大症、子宮内膜症、子宮筋腫、子宮線維腫、思
春期早発症、月経困難症もしくは乳癌の予防・治療方法
または避妊方法; (28)分散性が改善されたマイクロスフェアを製造す
るために、生理活性物質またはその塩と高分子重合物を
含む乳化物を水中乾燥する際に、外水相に浸透圧調節剤
を存在させることを特徴とする方法および (29)分散性が改善されたマイクロスフェアの製造す
るための、生理活性物質またはその塩と高分子重合物を
含む乳化物を水中乾燥する際の外水相における、浸透圧
調節剤の使用などを提供する。さらに本発明は、 (30)生理活性物質またはその塩と重量平均分子量5
000以下の重合体含有量が約5重量%以下である、重
量平均分子量15000〜50000の乳酸重合体また
はその塩とを含有することを特徴とする分散性が改善さ
れたマイクロスフェア; (31)上記(30)記載のマイクロスフェアを含有す
る約400から約700mgの徐放性組成物を1.5m
Lの分散媒で2分未満で分散する上記(30)記載のマ
イクロスフェア; (32)水中乾燥法によるマイクロスフェアの製造時に
外水相に浸透圧調節剤を存在させて製造され得る、上記
(30)記載のマイクロスフェア; (33)水中乾燥法がW/O/W型である上記(32)
記載の徐放性組成物; (34)水中乾燥法がO/W型である上記(32)記載
の徐放性組成物; (35)水中乾燥がS/O/W型である上記(32)記
載の徐放性組成物; (36)生理活性物質またはその塩を含む液を内水相と
し、重量平均分子量5000以下の重合体含有量が約5
重量%以下である、重量平均分子量15000〜500
00の乳酸重合体またはその塩を含む溶液を油相とする
W/O型乳化物を浸透圧調節剤を含有した水相に分散さ
せて水中乾燥法に付して製造され得る、上記(30)記
載のマイクロスフェア; (37)乳酸重合体が、重量平均分子量3000以下の
重合体含有量が約1.5重量%以下のものである上記
(30)記載のマイクロスフェア; (38)乳酸重合体が、重量平均分子量1000以下の
重合体含有量が約0.1重量%以下のものである上記
(30)記載のマイクロスフェア; (39)乳酸重合体が、重量平均分子量が15000〜
40000のものである上記(30)記載のマイクロス
フェア; (40)乳酸重合体が、重量平均分子量が17000〜
26000のものである上記(30)記載のマイクロス
フェア; (41)生理活性物質が水溶性の生理活性物質である上
記(30)記載のマイクロスフェア; (42)生理活性物質が生理活性ペプチドである上記
(41)記載のマイクロスフェア; (43)生理活性物質がLH-RH誘導体である上記(4
1)記載のマイクロスフェア; (44)LH-RH誘導体が式 5-oxo-Pro-His-Trp-Ser-Tyr-Y-Leu-Arg-Pro-Z [式中、YはDLeu、DAla、DTrp、DSer(tBu)、D2Nalまたは
DHis(ImBzl)を示し、ZはNH-C2H5またはGly-NH2を示
す。]で表されるペプチドである上記(43)記載のマ
イクロスフェア; (45)浸透圧調節剤の外相中の濃度が、外水相の浸透
圧が生理食塩水の浸透圧の約1/50〜約5倍となる程
度である上記(32)〜(36)記載のマイクロスフェ
ア; (46)浸透圧調節剤がアルコール類、糖類、アミノ酸
類、ペプチド類、タンパク質類、水溶性アミノ酸の塩、
もしくはその誘導体またはこれらの混合物である上記
(32)〜(36)記載のマイクロスフェア; (47)アルコール類が多価アルコール類または一価ア
ルコール類である上記(43)記載のマイクロスフェ
ア; (48)多価アルコール類がグリセリン、アラビトー
ル、キシリトール、アドニトール、マンニトール、ソル
ビトール、ズルシトールまたはこれらの混合物である上
記(47)記載のマイクロスフェア; (49)一価アルコール類がメタノール、エタノール、
イソプロピルアルコールまたはこれらの混合物である上
記(47)記載のマイクロスフェア; (50)糖類が単糖類、二糖類、オリゴ糖もしくはその
誘導体またはこれらの混合物である上記(46)記載の
マイクロスフェア; (51)単糖類がアラビノース、キシロース、リボー
ス、2ーデオキシリボース、ブドウ糖、果糖、ガラクト
ース、マンノース、ソルボース、ラムノースまたはフコ
ースである上記(50)記載のマイクロスフェア; (52)二糖類が麦芽糖、セロビオース、α,α−トレ
ハロース、乳糖またはショ糖である上記(50)記載の
マイクロスフェア; (53)オリゴ糖がマルトトリオース、ラフィノース糖
またはスタキオースである上記(50)記載のマイクロ
スフェア; (54)単糖類、二糖類またはオリゴ糖の誘導体がグル
コサミン、ガラクトサミン、グルクロン酸またはガラク
ツロン酸である上記(50)記載のマイクロスフェア; (55)アミノ酸類がグリシン、アラニン、バリン、ロ
イシン、イソロイシン、フェニルアラニン、チロシン、
トリプトファン、セリン、トレオニン、プロリン、ヒド
ロキシプロリン、システイン、メチオニン、アスパラギ
ン酸、グルタミン酸、リジン、アルギニンまたはヒスチ
ジンである上記(46)記載のマイクロスフェア; (56)水溶性アミノ酸の塩がグリシン、アラニン、バ
リン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、チ
ロシン、トリプトファン、セリン、トレオニン、プロリ
ン、ヒドロキシプロリン、システイン、メチオニン、ア
スパラギン酸、グルタミン酸、リジン、アルギニンまた
はヒスチジンの酸またはアルカリ金属との塩である上記
(46)記載のマイクロスフェア; (57)浸透圧調節剤がマンニトールである上記(3
2)〜(36)記載のマイクロスフェア; (58)さらに薬物保持物質を含有する上記(30)記
載のマイクロスフェア; (59)薬物保持物質がアルブミン、ゼラチン、サリチ
ル酸、クエン酸またはエチレンジアミン四酢酸ナトリウ
ムである上記(58)記載のマイクロスフェア; (60)分散媒が分散剤、保存剤、等張化剤または植物
油である上記(31)記載のマイクロスフェア; (61)マイクロスフェアの分散性を改善させるため
に、水中乾燥法によるマイクロスフェアの製造時に外水
相に浸透圧調節剤を存在させることを特徴とする分散性
が改善されたマイクロスフェアの製造法; (62)水中乾燥法による生理活性物質またはその塩と
重量平均分子量5000以下の重合体含有量が約5重量
%以下である、重量平均分子量15000〜50000
の乳酸重合体またはその塩とを含有するマイクロスフェ
アの製造時に外水相に浸透圧調節剤を存在させることを
特徴とする当該マイクロカプセルの製造法; (63)水中乾燥法がW/O/W型である上記(62)
記載の製造法; (64)水中乾燥法がO/W型である上記(62)記載
の製造法; (65)水中乾燥がS/O/W型である上記(62)記
載の製造法; (66)生理活性物質またはその塩を含む液を内水相と
し、重量平均分子量5000以下の重合体含有量が約5
重量%以下である、重量平均分子量15000〜500
00の乳酸重合体またはその塩を含む溶液を油相とする
W/O型乳化物を浸透圧調節剤を含有した水相に分散さ
せて水中乾燥法に付することを特徴とする、生理活性物
質またはその塩と重量平均分子量5000以下の重合体
含有量が約5重量%以下である、重量平均分子量150
00〜50000の乳酸重合体またはその塩とを含有す
るマイクロスフェアの製造法; (67)浸透圧調節剤の外相中の濃度が、外水相の浸透
圧が生理食塩水の浸透圧の約1/50〜約5倍となる程
度である上記(66)記載の製造法; (68)内水相にさらに薬物保持物質を含ませる上記
(66)記載の製造法; (69)上記(30)記載のマイクロスフェアを含有し
てなる徐放性組成物; (70)上記(43)記載のマイクロスフェアを含有し
てなる前立腺癌、前立腺肥大症、子宮内膜症、子宮筋
腫、子宮線維腫、思春期早発症、月経困難症もしくは乳
癌の予防、治療用徐放性組成物または避妊用徐放性組成
物; (71)注射用である上記(69)または(70)記載
の徐放性組成物; (72)さらにマンニトールを含有する上記(69)〜
(71)記載の徐放性組成物; (73)組成物全体に対してマイクロスフェアを約70
重量%以上含有する上記(69)〜(72)記載の徐放
性組成物; (74)哺乳動物に対して、上記(43)記載のマイク
ロスフェアまたはそれを含有してなる徐放性組成物の有
効量を投与することを特徴とする前立腺癌、前立腺肥大
症、子宮内膜症、子宮筋腫、子宮線維腫、思春期早発
症、月経困難症もしくは乳癌の予防・治療方法または避
妊方法; (75)生理活性物質またはその塩と高分子重合物また
はその塩とを含有するマイクロスフェアであって、該マ
イクロスフェアを含有する約400から約700mgの
徐放性組成物を1.5mLの分散媒で2分未満で分散す
る長期徐放型マイクロスフェア; (76)高分子重合物またはその塩が重量平均分子量1
0000〜50000の乳酸重合体またはその塩である
上記(75)記載のマイクロスフェア; (77)上記(75)または(76)記載のマイクロス
フェアを含有する徐放性組成物; (78)水中乾燥法による生理活性物質またはその塩と
高分子重合物とを含有するマイクロスフェアの製造法に
おいて、外水相に浸透圧調節剤を存在させることを特徴
とする当該マイクロスフェアの分散性を改善させる方
法; (79)生理活性物質またはその塩と高分子重合物とを
含有するマイクロスフェアを含有する注射用組成物にお
ける当該マイクロカプセルの分散性を改善させる目的
で、水中乾燥法による当該マイクロカプセルの製造法に
おいて、外水相に浸透圧調節剤を存在させることを特徴
とする当該注射用組成物におけるマイクロスフェアの分
散性を改善させる方法; (80)生理活性物質またはその塩と高分子重合物とを
含有するマイクロスフェアを含有する注射用組成物にお
ける分散性が改善した当該マイクロスフェアの製造のた
めに、水中乾燥法による当該マイクロカプセルの製造法
における外水相に浸透圧調節剤を使用する方法; (81)生理活性物質またはその塩と高分子重合物とを
含有するマイクロスフェアを含有する注射用組成物にお
ける分散性が改善した当該マイクロスフェアの製造のた
めの、水中乾燥法による当該マイクロカプセルの製造法
における外水相での浸透圧調節剤の使用および (82)浸透圧調節剤を含有することを特徴とする、水
中乾燥法における外水相で使用するためのマイクロカプ
セルの分散性改善剤などを提供する。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明で用いられる生理活性物質
としては、親水性が強く、水とn−オクタノールとの油
水分配率の小さいものが用いられる。油水分配率の小さ
いものとしては、例えば、n−オクタノール/水溶解度
の比が1以下のものが好ましく、なかでも0.1以下の
ものがより好ましい。油水分配率の測定は、「物理化学
実験法」鮫島実三郎著,裳華房刊,昭和36年に記載さ
れた方法に従えばよい。すなわち、まず試験管中にn−
オクタノールおよびpH5.5の緩衝液(1対1の等量
混合物)を入れる。該緩衝液としてはたとえばゼーレン
ゼン(Sφerensen)緩衝液〔Ergeb. Physiol. 12,3
93(1912)〕,クラークルブス(Clark-Lubs)緩
衝液〔J. Bact. 2,(1),109,191(191
7)〕,マクルベイン(Macllvaine)緩衝液〔J. Biol.
Chem. 49,183(1921)〕,ミカエリス(Mic
haelis)緩衝液〔Die Wasser-stoffionenkonzentratio
n, p.186(1914)〕,コルソフ(Kolthoff)緩
衝液〔Biochem. Z, 179,410(1926)〕など
が挙げられる。これに薬物を適宜量投入し、さらに栓を
して恒温槽(25℃)に浸し、しばしば強く振盪する。
そして薬物が両液層間に溶け、平衡に達したと思われる
頃、液を静置あるいは遠心分離し、上下各層より別々に
ピペットにて一定量の液をとり出し、これを分析して各
層の中における薬物の濃度を決定し、n−オクタノール
層中の薬物の濃度/水層中の薬物の濃度の比をとれば、
油水分配率となる。
【0007】該生理活性物質としては、特に限定されな
いが、生理活性物質、抗腫瘍剤、抗生物質、解熱,鎮
痛,消炎剤、鎮咳去痰剤、鎮静剤、筋弛緩剤、抗てんか
ん剤、抗潰瘍剤、抗うつ剤、抗アレルギー剤、強心剤、
不整脈治療剤、血管拡張剤、降圧利尿剤、糖尿病治療
剤、抗凝血剤、止血剤、抗結核剤、ホルモン剤、麻薬拮
抗剤、骨吸収抑制剤、血管新生抑制剤などが挙げられ
る。本発明で用いられる生理活性物質は、薬理学的に有
用なものであれば特に限定を受けないが、非ペプチド化
合物でもペプチド化合物でもよい。非ペプチド化合物と
しては、アゴニスト、アンタゴニスト、酵素阻害作用を
有する化合物などがあげられる。また、ペプチド化合物
としては、例えば、生理活性ペプチドが好ましく、分子
量約300〜約40,000、好ましくは約400〜約
30,000、さらに好ましくは約500〜約20,0
00の生理活性ペプチドなどが好適である該生理活性ペ
プチドとしては、例えば、黄体形成ホルモン放出ホルモ
ン(LH−RH)、インスリン、ソマトスタチン、成長
ホルモン、成長ホルモン放出ホルモン(GH−RH)、プ
ロラクチン、エリスロポイエチン、副腎皮質ホルモン、
メラノサイト刺激ホルモン、甲状腺ホルモン放出ホルモ
ン(TRH)、甲状腺刺激ホルモン、黄体形成ホルモ
ン、卵胞刺激ホルモン、バソプレシン、オキシトシン、
カルシトニン、ガストリン、セクレチン、パンクレオザ
イミン、コレシストキニン、アンジオテンシン、ヒト胎
盤ラクトーゲン、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、エンケフ
ァリン、エンドルフィン、キョウトルフィン、タフトシ
ン、サイモポイエチン、サイモシン、サイモチムリン、
胸腺液性因子、血中胸腺因子、腫瘍壊死因子、コロニー
誘導因子、モチリン、デイノルフィン、ボンベシン、ニ
ューロテンシン、セルレイン、ブラジキニン、心房性ナ
トリウム***増加因子、神経成長因子、細胞増殖因子、
神経栄養因子、エンドセリン拮抗作用を有するペプチド
類などおよびその誘導体、さらにはこれらのフラグメン
トまたはフラグメントの誘導体などが挙げられる。
【0008】該生理活性ペプチドの好ましい例として
は、LH−RH誘導体であって、ホルモン依存性疾患、
特に性ホルモン依存性癌(例、前立腺癌、子宮癌、乳
癌、下垂体腫瘍など)、前立腺肥大症、子宮内膜症、子
宮筋腫、思春期早発症、月経困難症、無月経症、月経前
症候群、多房性卵巣症候群等の性ホルモン依存性の疾患
および避妊(もしくは、その休薬後のリバウンド効果を
利用した場合には、不妊症)に有効なLH−RH誘導体
またはその塩が挙げられる。さらに性ホルモン非依存性
であるがLH−RH感受性である良性または悪性腫瘍な
どに有効なLH−RH誘導体またはその塩も挙げられ
る。LH−RH誘導体またはその塩の具体例としては、
例えば、トリートメントウイズ GnRH アナログ:
コントラバーシス アンド パースペクテイブ(Treatm
ent with GnRH analogs: Controversies and perspecti
ves)[パルテノン バブリッシング グループ(株)
(The Parthenon Publishing Group Ltd.)発行1996
年]、特表平3−503165号公報、特開平3−10
1695号、同7−97334号および同8−2594
60号公報などに記載されているペプチド類が挙げられ
る。
【0009】LH−RH誘導体としては、LH−RHア
ゴニストまたはLH−RHアンタゴニストが挙げられる
が、LH−RHアンタゴニストとしては、例えば、一般
式〔I〕 X-D2Nal-D4ClPhe-D3Pal-Ser-A-B-Leu-C-Pro-DAlaNH2 〔式中、XはN(4H2-furoyl)GlyまたはNAcを、AはNMeTy
r、Tyr、Aph(Atz)、NMeAph(Atz)から選ばれる残基を、
BはDLys(Nic)、DCit、DLys(AzaglyNic)、DLys(AzaglyF
ur)、DhArg(Et2)、DAph(Atz)およびDhCi から選ばれる
残基を、CはLys(Nisp)、ArgまたはhArg(Et2)をそれぞ
れ示す〕で表わされる生理活性ペプチドまたはその塩な
どが用いられる。 LH−RHアゴニストとしては、例えば、一般式〔II〕 5-oxo-Pro-His-Trp-Ser-Tyr-Y-Leu-Arg-Pro-Z 〔式中、YはDLeu、DAla、DTrp、DSer(tBu)、D2Nalおよ
びDHis(ImBzl)から選ばれる残基を、ZはNH-C2H5または
Gly-NH2をそれぞれ示す〕で表わされる生理活性ペプチ
ドまたはその塩などが用いられる。特に、YがDLeuで、
ZがNH-C2H5であるペプチド(即ち、5-oxo-Pro-His-Trp
-Ser-Tyr-DLeu-Leu-Arg-Pro-NH-C2H5で表されるペプチ
ドA;リュープロレリン)またはその塩(例、酢酸塩)
が好適である。これらのペプチドは、前記文献あるいは
公報記載の方法あるいはこれに準じる方法で製造するこ
とができる。
【0010】本明細書中で使用される略号の意味は次の
とおりである。 略号 名称 N(4H2-furoyl)Gly: N-テトラヒドロフロイルグリシン残基 NAc : N-アセチル基 D2Nal : D-3-(2-ナフチル)アラニン残基 D4ClPhe : D-3-(4-クロロ)フェニルアラニン残基 D3Pal : D-3-(3-ピリジル)アラニン残基 NMeTyr : N-メチルチロシン残基 Aph(Atz) : N-[5'-(3'-アミノ-1'H-1',2',4'-トリアゾリル)]フェニル アラニン残基 NMeAph(Atz) : N-メチル-[5'-(3'-アミノ-1'H-1',2',4'-トリアゾリル)] フェニルアラニン残基 DLys(Nic) : D-(e-N-ニコチノイル)リシン残基 Dcit : D-シトルリン残基 DLys(AzaglyNic) : D-(アザグリシルニコチノイル)リシン残基 DLys(AzaglyFur) : D-(アザグリシルフラニル)リシン残基 DhArg(Et2) : D-(N,N'-ジエチル)ホモアルギニン残基 DAph(Atz) : D-N-[5'-(3'-アミノ-1'H-1',2',4'-トリアゾリル)] フェニルアラニン残基 DhCi : D-ホモシトルリン残基 Lys(Nisp) : (e-N-イソプロピル)リシン残基 hArg(Et2) : (N,N'-ジエチル)ホモアルギニン残基 その他アミノ酸に関し、略号で表示する場合、IUPAC-IU
Bコミッション・オブ・バイオケミカル・ノーメンクレ
ーチュアー(Commission on Biochemical Nomenclature)
(ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・バイオケミスト
リー(European Journal of Biochemistry)第138巻、9
〜37頁(1984年))による略号または該当分野におけ
る慣用略号に基づくものとし、また、アミノ酸に関して
光学異性体がありうる場合は、特に明示しなければL体
を示すものとする。
【0011】また、生理活性を有するペプチドとして
は、LH−RH拮抗物質(米国特許第4,086,219
号,同第4,124,577号,同第4,253,997
号,同第4,317,815号参照)が挙げられる。ま
た、さらに生理活性を有するペプチドとしては、たとえ
ばインスリン,ソマトスタチン,ソマトスタチン誘導体
(米国特許第4,087,390号,同第4,093,57
4号,同第4,100,117号,同第4,253,998
号参照),成長ホルモン,プロラクチン,副腎皮質刺激
ホルモン(ACTH),メラノサイト刺激ホルモン(M
SH),甲状腺ホルモン放出ホルモン〔(Pyr)Glu-His-P
roNH 2 の構造式で表わされ、以下TRHと略記すること
もある〕その塩およびその誘導体(特開昭50−121
273号,特開昭52−116465号公報参照),甲
状腺刺激ホルモン(TSH),黄体形成ホルモン(L
H),卵胞刺激ホルモン(FSH),バソプレシン,バ
ソプレシン誘導体{デスモプレシン〔日本内分泌学会雑
誌,第54巻第5号第676〜691頁(1978)〕参
照},オキシトシン,カルシトニン,副甲状腺ホルモ
ン,グルカゴン,ガストリン,セクレチン,パンクレオ
ザイミン,コレシストキニン,アンジオテンシン,ヒト
胎盤ラクトーゲン,ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HC
G),エンケファリン,エンケファリン誘導体〔米国特
許第4,277,394号,ヨーロッパ特許出願公開第3
1567号公報参照〕,エンドルフイン,キョウトルフ
イン,インターフェロン類(例、α型,β型,γ型
等),インターロイキン類(例、I,II,III等),タ
フトシン,サイモポイエチン,サイモシン,サイモスチ
ムリン,胸腺液性因子(THF),血中胸腺因子(FT
S)およびその誘導体(米国特許第4,229,438号
参照),およびその他の胸腺因子〔医学のあゆみ,第1
25巻,第10号,835−843頁(1983年)〕,
腫瘍壊死因子(TNF),コロニー誘発因子(CS
F),モチリン,ダイノルフイン,ボムベシン,ニュー
ロテンシン,セルレイン,ブラディキニン,ウロキナー
ゼ,アスパラギナーゼ,カリクレイン,サブスタンス
P,神経成長因子,細胞増殖因子,神経栄養因子,血液
凝固因子の第VIII因子,第IX因子,塩化リゾチーム,ポ
リミキシンB,コリスチン,グラミシジン,バシトラシ
ンおよびエリスロポエチン(EPO),エンドセリン拮抗
作用を有するペプチド類(ヨーロッパ特許公開第436
189号,同第457195号,同第496452号,
特開平3−94692号,同3−130299号公報参
照)などが挙げられる。
【0012】上記抗腫瘍剤としては、ブレオマイシン,
メソトレキセート,アクチノマイシンD,マイトマイシ
ンC,硫酸ビンブラスチン,硫酸ビンクリスチン,ダウ
ノルビシン,アドリアマイシン,ネオカルチノスタチ
ン,シトシンアラビノシド,フルオロウラシル,テトラ
ヒドロフリル−5−フルオロウラシル,クレスチン,ピ
シバニール,レンチナン,レバミゾール,ベスタチン,
アジメキソン,グリチルリチン,ポリI:C,ポリA:
U,ポリICLCなどが挙げられる。上記抗生物質とし
ては、例えばゲンタマイシン,ジベカシン,カネンドマ
イシン,リビドマイシン,トブラマイシン,アミカシ
ン,フラジオマイシン,シソマイシン,塩酸テトラサイ
クリン,塩酸オキシテトラサイクリン,ロリテトラサイ
クリン,塩酸ドキシサイクリン,アンピシリン,ピペラ
シリン,チカルシリン,セファロチン,セファロリジ
ン,セフォチアム,セフスロジン,セフメノキシム,セ
フメタゾール,セファゾリン,セフォタキシム,セフォ
ペラゾン,セフチゾキシム,モキサラクタム,チエナマ
イシン,スルファゼシン,アズスレオナムなどが挙げら
れる。上記の解熱,鎮痛,消炎剤としては、サリチル
酸,スルピリン,フルフェナム酸,ジクロフェナック,
インドメタシン,モルヒネ,塩酸ペチジン,酒石酸レボ
ルファノール,オキシモルフォンなどが挙げられる。鎮
咳去痰剤としては、塩酸エフェドリン,塩酸メチルエフ
ェドリン,塩酸ノスカピン,リン酸コデイン,リン酸ジ
ヒドロコデイン,塩酸アロクラマイド,塩酸クロフェダ
ノール,塩酸ピコペリダミン,クロペラスチン,塩酸プ
ロトキロール,塩酸イソプロテレノール,硫酸サルブタ
モール,硫酸テルブタリンなどが挙げられる。鎮静剤と
しては、クロルプロマジン,プロクロルペラジン,トリ
フロペラジン,硫酸アトロピン,臭化メチルスコポラミ
ンなどが挙げられる。筋弛緩剤としては、メタンスルホ
ン酸プリジノール,塩化ツボクラリン,臭化パンクロニ
ウムなどが挙げられる。抗てんかん剤としては、フェニ
トイン,エトサクシミド,アセタゾラミドナトリウム,
クロルジアゼポキシドなどが挙げられる。抗漬瘍剤とし
ては、メトクロプロミド,塩酸ヒスチジンなどが挙げら
れる。抗うつ剤としては、イミプラミン,クロミプラミ
ン,ノキシプチリン,硫酸フェネルジンなどが挙げられ
る。抗アレルギー剤としては、塩酸ジフェンヒドラミ
ン,マレイン酸クロルフェニラミン,塩酸トリペレナミ
ン,塩酸メトジラジン,塩酸クレミゾール,塩酸ジフェ
ニルピラリン,塩酸メトキシフェナミンなどが挙げられ
る。
【0013】強心剤としては、トランスパイオキソカン
ファー,テオフィロール,アミノフィリン,塩酸エチレ
フリンなどが挙げられる。不整脈治療剤としては、プロ
プラノール,アルプレノロール,ブフェトロール,オキ
シプレノロールなどが挙げられる。血管拡張剤として
は、塩酸オキシフェドリン,ジルチアゼム,塩酸トラゾ
リン,ヘキソベンジン,硫酸バメタンなどが挙げられ
る。降圧利尿剤としては、ヘキサメトニウムブロミド,
ペントリニウム,塩酸メカミルアミン,塩酸エカラジ
ン,クロニジンなどが挙げられる。糖尿病治療剤として
は、グリミジンナトリウム,グリピザイド,塩酸フェン
フォルミン,塩酸ブフォルミン,メトフォルミンなどが
挙げられる。抗凝血剤としては、ヘパリンナトリウム,
クエン酸ナトリウムなどが挙げられる。止血剤として
は、トロンボプラスチン,トロンビン,メナジオン亜硫
酸水素ナトリウム,アセトメナフトン,ε−アミノカプ
ロン酸,トラネキサム酸,カルバゾクロムスルホン酸ナ
トリウム,アドレノクロムモノアミノグアニジンメタン
スルホン酸塩などが挙げられる。抗結核剤としては、イ
ソニアジド,エタンブトール,パラアミノサリチル酸な
どが挙げられる。ホルモン剤としては、プレドニゾロ
ン,リン酸ナトリウムプレドニゾロン,デキサメタゾン
硫酸ナトリウム,ベタメタゾンリン酸ナトリウム,リン
酸ヘキセストロール,酢酸ヘキセストロール,メチマゾ
ールなどが挙げられる。麻薬拮抗剤としては、酒石酸レ
バロルファン,塩酸ナロルフィン,塩酸ナロキソンなど
が挙げられる。骨吸収抑制剤としては、(硫黄含有アル
キル)アミノメチレンビスフォスフォン酸などが挙げら
れる。血管新生抑制剤としては、血管新生抑制ステロイ
ド〔サイエンス(Science)第221巻719頁(19
83年)参照〕,フマギリン(ヨーロッパ特許公開第3
25199号公報参照),フマギロール誘導体(ヨーロ
ッパ特許公開第357061号,同第359036号,
同第386667号,同第415294号公報参照)な
どが挙げられる。
【0014】本発明で用いられる生理活性物質それ自身
であっても、薬理学的に許容される塩であってもよい。
このような塩としては、該生理活性物質がアミノ基等の
塩基性基を有する場合、無機酸(無機の遊離酸とも称す
る)(例、炭酸、重炭酸、塩酸、硫酸、硝酸、ホウ酸
等)、有機酸(有機の遊離酸とも称する)(例、コハク
酸、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸等)などと
の塩が挙げられる。生理活性物質がカルボキシル基等の
酸性基を有する場合、無機塩基(無機の遊離塩基とも称
する)(例、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、
カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属など)
や有機塩基(有機の遊離塩基とも称する)(例、トリエ
チルアミン等の有機アミン類、アルギニン等の塩基性ア
ミノ酸類等)などとの塩が挙げられる。また、生理活性
ペプチドは金属錯体化合物(例、銅錯体、亜鉛錯体等)
を形成していてもよい。
【0015】本発明に用いられる高分子重合物として
は、水に難溶または不溶で、生体内適合性(生体内分解
性)である高分子重合物を示す。水に難溶とは、該高分
子重合物の水に対する溶解度が0より大きく約3%以
下、より好ましくは水に対する溶解度が0より大きく約
1%(W/W)以下であることを意味する。これら生体
内分解性ポリマーは、重量平均分子量が約10000か
ら50000、好ましくは約15000から5000
0、さらに好ましくは約15000から40000、特
に好ましくは約17000から26000のものが用い
られる。また、生体内分解性ポリマーの分散度は約1.
2から4.0が、特に約1.5から3.5が好ましい。
なお、本明細書で用いられる重量平均分子量および分散
度は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC:Gel Perm
eation Chromatography)で測定した値を意味する。こ
れら高分子重合物の使用量は、生理活性物質またはその
塩の薬理活性の強さと、生理活性物質またはその塩放出
の速度および期間などによって決まり、例えば、生理活
性物質またはその塩に対して約0.5〜10,000倍
(重量比)の量で調製されるが、好ましくは約1〜10
0倍(重量比)の量の重合物をマイクロスフェア基剤と
して用いるのがよい。かかる高分子重合物としては、例
えば、生体内分解性の高分子重合物が好ましく、例えば
脂肪族ポリエステル〔例えばα−ヒドロキシ酸類(例、
グリコール酸、乳酸、2−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロ
キシ吉草酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ヒ
ドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸、
2−ヒドロキシカプリル酸等)、α−ヒドロキシ酸の環
状二量体類(例、グリコリド、ラクチド等)、ヒドロキ
シジカルボン酸類(例、リンゴ酸)、ヒドロキシトリカ
ルボン酸(例、クエン酸)等の単独重合体(例、乳酸重
合体等)または2種以上の共重合体(例えば、乳酸/グ
リコール酸共重合体,2−ヒドロキシ酪酸/グリコール
酸共重合体等)、あるいはこれら単独重合体および/ま
たは共重合体の混合物(例、乳酸重合体と2−ヒドロキ
シ酪酸/グリコール酸共重合体との混合物等)〕、ポリ
−α−シアノアクリル酸エステル、ポリアミノ酸(例、
ポリ−γ−ベンジル−L−グルタミン酸,ポリ−L−ア
ラニン,ポリ−γ−メチル−L−グルタミン酸等)、無
水マレイン酸系共重合体(例、スチレン/マレイン酸共
重合体等)等が挙げられる。これらの中で脂肪族ポリエ
ステル、ポリ−α−シアノアクリル酸エステルが好まし
い。さらに、脂肪族ポリエステルが特に好ましい。
【0016】脂肪族ポリエステルの中でα−ヒドロキシ
酸類、α−ヒドロキシ酸の環状二量体類の単独重合体、
または2種以上の共重合体、あるいはこれら単独重合体
および/または共重合体の混合物が好ましい。さらに、
α−ヒドロキシ酸類の単独もしくは共重合体、またはこ
れら単独重合体および/または共重合体の混合物が特に
好ましい。上記α−ヒドロキシ酸類、α−ヒドロキシ酸
の環状二量体類、ヒドロキシジカルボン酸類、ヒドロキ
シトリカルボン酸類が分子内に光学活性中心を有する場
合、D−、L−、DL−体のいずれも用いることができ
る。上記脂肪族ポリエステルは、公知の製造法(例え
ば、特開昭61−28521号公報参照)で問題なく製
造できる。また、重合の形式は、ランダム、ブロック、
グラフトのいずれでもよい。脂肪族ポリエステルの重量
平均分子量は約10000から50000、好ましくは
約15000から50000、さらに好ましくは約15
000から40000、特に好ましくは約17000か
ら26000である。また、脂肪族ポリエステルの分散
度は、好ましくは約1.2から4.0、特に好ましくは
約1.5から3.5である。
【0017】上記脂肪族ポリエステルとして、乳酸/グ
リコール酸共重合体を用いる場合、その組成比は約10
0/0〜約50/50(重量比)が好ましく、2−ヒド
ロキシ酪酸/グリコール酸共重合体を用いる場合、その
組成比は約100/0〜約25/75(重量比)が好ま
しい。乳酸重合体、乳酸/グリコール酸共重合体、2−
ヒドロキシ酪酸/グリコール酸共重合体の重量平均分子
量は約15000から50000のものが好ましく、さ
らに約15000から40000のものが特に好まし
い。上記脂肪族ポリエステルとして例えば乳酸重合体
(A)とグリコール酸/2−ヒドロキシ酪酸共重合体
(B)との混合物を用いる場合、(A)/(B)で表さ
れる混合比が約10/90から約90/10(重量比)
の範囲で使用される。好ましくは約25/75から約7
5/25(重量比)の範囲である。乳酸重合体の重量平
均分子量は約15000から50000のものが好まし
く、さらに約15000から40000のものが特に好
ましい。グリコール酸/2−ヒドロキシ酪酸共重合体
は、その組成が、グリコール酸が約40から70モル、
残りが2−ヒドロキシ酪酸であるものが好ましい。グリ
コール酸/2−ヒドロキシ酪酸共重合体の重量平均分子
量は約15000から50000のものが好ましく、さ
らに約15000から40000のものが特に好まし
い。
【0018】なかでも、本発明に用いられる高分子重合
物としては乳酸重合体(以下、本発明の乳酸重合体と略
記する場合がある)が好ましく、例えば、乳酸のみから
成る重合体、或いは乳酸とその他のモノマー(例えばグ
リコール酸等)との共重合体を含み、通常重量平均分子
量5000以下の重合体含有量が約10重量%以下、好
ましくは通常重量平均分子量5000以下の重合体含有
量が約5重量%以下、より好ましくは重量平均分子量3
000以下の重合体含有量が約1.5重量%以下、さら
に好ましくは重量平均分子量1000以下の重合体含有
量が約0.1重量%以下、さらにより好ましくは重量平
均分子量5000以下の重合体含有量が約5重量%以下
であり且つ重量平均分子量3000以下の重合体含有量
が約1.5重量%以下、最も好ましくは重量平均分子量
5000以下の重合体含有量が約5重量%以下、重量平
均分子量3000以下の重合体含有量が約1.5重量%
以下であり且つ重量平均分子量1000以下の重合体含
有量が約0.1重量%以下のものが用いられる。また、
本発明の乳酸重合体の重量平均分子量は通常15000
〜50000、好ましくは15000〜40000、よ
り好ましくは17000〜26000、特に好ましくは
17500〜25500である。
【0019】本発明の乳酸重合体の原料となる高分子量
の乳酸重合体は、市販品でも公知の方法で重合したもの
でもよく、その重量平均分子量は通常15000〜50
0000、好ましくは20000〜100000であ
る。公知の重合方法としては、例えば、乳酸及び要すれ
ばグリコール酸とを縮合重合させる方法、例えばラクチ
ドを、要すればグリコリドと共に、例えばジエチル亜
鉛、トリエチルアルミニウム、オクチル酸スズ等のルイ
ス酸又は金属塩等の触媒を用いて開環重合させる方法、
前記方法に更にカルボキシル基が保護されたヒドロキシ
カルボン酸誘導体を存在させてラクチドを開環重合させ
る方法(例えば特許国際公開WO00/35990等)、その他ラ
クチドに加熱下で触媒を添加して開環重合させる方法
(例えばJ. Med. Chem, 16, 897(1973)等)、例えばラ
クチドとグリコリドとを共重合させる方法等が挙げられ
る。重合形態としては、ラクチド等を溶融させて重合反
応に付すバルク重合、ラクチド等を適当な溶媒に溶解し
て重合反応に付す溶液重合が挙げられるが、中でも溶液
重合によって得られる重合体を本発明の乳酸重合体の原
料として使用することが工業生産上好ましい。溶液重合
においてラクチドを溶解する溶媒としては、例えばベン
ゼン,トルエン,キシレン等の芳香族炭化水素類、デカ
リン、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
【0020】上記の如くして得られた高分子量の乳酸重
合体を加水分解するには、自体公知の加水分解方法が用
いられ、例えば該高分子量の乳酸重合体を適当な溶媒に
溶解した後、水及び要すれば酸を加えて反応させればよ
い。高分子量の乳酸重合体を溶解する溶媒としては、乳
酸重合体の10重量倍以下の量で該重合体を溶解し得る
ものであればよく、具体的には、例えばクロロホルム,
ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素、例えばトルエ
ン,o−キシレン,m−キシレン,p−キシレン等の芳
香族炭化水素、例えばテトラヒドロフラン等の環状エー
テル、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミド等が挙
げられる。尚、高分子量の乳酸重合体の重合時に、高分
子量の乳酸重合体の加水分解で使用できる溶媒を用いた
場合には、重合した高分子量の乳酸重合体を単離せず、
重合及び加水分解の操作を連続して行うことができる。
高分子量乳酸重合体を溶解する溶媒の使用量は、溶質で
ある乳酸重合体に対して通常0.1〜100倍、好まし
くは1〜10倍である。添加する水の量は、高分子量乳
酸重合体に対して通常0.001〜1倍重量、好ましく
は0.01〜0.1倍重量である。必要に応じて添加す
る酸としては、例えば塩酸,硫酸,硝酸等の無機酸、例
えば乳酸,酢酸,トリフルオロ酢酸等の有機酸等が挙げ
られ、好ましくは乳酸が挙げられる。添加する酸の量
は、高分子量乳酸重合体に対して通常0〜10倍重量、
好ましくは0.1〜1倍重量である加水分解反応温度
は、通常0〜150℃、好ましくは20〜80℃であ
る。加水分解反応時間は、高分子量の乳酸重合体の重量
平均分子量及び反応温度によっても異なり、通常10分
〜100時間、好ましくは1〜20時間である。加水分
解処理の終了時期は、加水分解生成物の重量平均分子量
に基づいて判断する。即ち、加水分解処理中に適宜サン
プリングを行い、サンプル中の加水分解生成物の重量平
均分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー
(GPC)により測定し、当該分子量が約15000〜
50000、好ましくは約15000〜30000、よ
り好ましくは約17000〜26000、特に好ましく
は17500〜25500となっていることが確認でき
たら加水分解処理を停止させる。
【0021】上記の如く高分子量の乳酸重合体を加水分
解する操作に付すことにより得られる、加水分解生成物
を含有する溶液から、そこに含有される目的の乳酸重合
体を析出させる方法としては、該加水分解生成物含有溶
液を、そこに含有される目的の乳酸重合体を析出させ得
る溶媒と接触させる方法等が挙げられる。加水分解生成
物含有溶液の好ましい態様としては、例えばクロロホル
ム,ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素、例えばト
ルエン,o−キシレン,m−キシレン,p−キシレン等
の芳香族炭化水素、例えばテトラヒドロフラン等の環状
エーテル、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミド等
ジクロロメタンやキシレン等の高分子量乳酸重合体を溶
解する溶媒に、重量平均分子量15000〜5000
0、好ましくは15000〜30000、より好ましく
は17000〜26000、特に好ましくは17500
〜25500の乳酸重合体が約10〜50wt%溶解し
ているもの等が挙げられる。加水分解生成物含有溶液中
に含有される目的の乳酸重合体を析出させ得る溶媒とし
ては、例えばメタノール,エタノール等のアルコール
類、例えばイソプロピルエーテル等の鎖状エーテル類、
例えばヘキサン等の脂肪族炭化水素、水等が挙げられ
る。
【0022】目的とする乳酸重合体を析出させ得る溶媒
の使用量は、加水分解生成物含有溶液の溶媒に対して通
常0.1〜100倍重量、好ましくは1〜10倍重量で
ある。この様な各溶媒の種類と使用量の組み合わせの好
ましい具体例としては、例えば溶質の1〜5倍重量のジ
クロロメタンを溶媒として用いられている加水分解生成
物含有溶液に、溶解度を低下させる溶媒としてイソプロ
ピルエーテルを、該ジクロロメタンに対して2〜10倍
重量使用する態様等が挙げられる。目的の乳酸重合体溶
質を析出させ得る溶媒を加水分解生成物含有溶液に接触
させる際の、溶媒の温度は、通常−20〜60℃、好ま
しくは0〜40℃であり、加水分解生成物含有溶液の温
度は通常0〜40℃、好ましくは10〜30℃である。
溶媒と加水分解生成物含有溶液とを接触させる方法とし
ては、加水分解生成物含有溶液を溶媒中に一度に加える
方法、加水分解生成物含有溶液を溶媒中に滴下する方
法、溶媒を加水分解生成物含有溶液中に一度に加える方
法、或いは溶媒を加水分解生成物含有溶液中に滴下する
方法等が挙げられる。上記のようにして得られた本発明
の乳酸重合体は、末端カルボキシル基量が徐放性製剤用
基材として好ましい範囲にあるため、徐放性製剤用基材
として好ましいものである。さらに、生体適合性の高分
子重合物としては、例えば、ポリスチレン、ポリメタア
クリル酸、アクリル酸とメタアクリル酸との共重合体、
ポリアミノ酸、デキストランステアレート、エチルセル
ロース、アセチルセルロース、ニトロセルロース、無水
マレイン酸系共重合物、エチレンビニルアセテート系共
重合物、ポリビニルアセテート、ポリアクリルアミドな
どが用いられる。これらの高分子重合物は一種でもよ
く、また2種以上の共重合物あるいは単なる混合物でも
よく、またその塩でもよい。油相中の高分子重合物の濃
度は、約0.5〜約90%(W/W)、さらに好ましく
は約2〜約60%(W/W)である。
【0023】本発明で用いられる薬物保持物質として
は、例えば、アルブミン、ゼラチン、クエン酸、サリチ
ル酸、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、デキストリ
ン、亜硫酸水素ナトリウム、ポリエチレングリコールな
どのポリオール化合物、寒天、アルギン酸、ポリビニル
アルコール、塩基性アミノ酸などが用いられる。
【0024】本発明のマイクロスフェアは、水中乾燥
法、好ましくは(W/O)/W型水中乾燥法、O/W型
水中乾燥法またはS/O/W型水中乾燥法を用いて製造
することができる。(W/O)/W型水中乾燥法の場
合、生理活性物質またはその塩を含む液を内水相とし、
高分子重合物を含む溶液を油相としてW/O型乳化物を
つくり、該乳化物を浸透圧調節剤を含有した水相に分散
させて(W/O)/W型乳化物をつくり水中乾燥法に付
し、油相中の溶媒を除去することにより生理活性物質ま
たはその塩および高分子重合物を含有するマイクロスフ
ェアを製造することがでできる。O/W型水中乾燥法の
場合、生理活性物質またはその塩と高分子重合物とから
なる油相を浸透圧調節剤を含有した水相に分散させてO
/W型乳化物をつくり水中乾燥法に付し、油相中の溶媒
を除去することにより生理活性物質またはその塩および
高分子重合物を含有するマイクロスフェアを製造する。
S/O/W型水中乾燥法の場合、生理活性物質またはそ
の塩を高分子重合物を含む溶液である油相に分散し、こ
れを浸透圧調節剤を含有した水相に分散させてS/O/
W型乳化物をつくり水中乾燥法に付し、油相中の溶媒を
除去することにより生理活性物質またはその塩および高
分子重合物を含有するマイクロスフェアを製造する。
【0025】本発明に用いられる浸透圧調節剤として
は、水溶液とした場合、浸透圧を示すものであればいか
なる物質であってもよい。該浸透圧調節剤としては、例
えば、多価アルコール類、一価アルコール類などのアル
コール類;単糖類、二糖類、オリゴ糖などの糖類;水溶
性のアミノ酸、ペプチド、タンパク質類;水溶性アミノ
酸の塩;またはそれらの誘導体などが用いられる。上記
の多価アルコール類としては、例えば、グリセリン等の
三価アルコール類、アラビトール,キシリトール,アド
ニトール等の五価アルコール類、マンニトール,ソルビ
トール,ズルシトール等の六価アルコール類などが用い
られる。なかでも、六価アルコール類が好ましく、特に
マンニトールが好適である。上記の一価アルコール類と
しては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピ
ルアルコールなどがあげられ、このうちエタノールが好
ましい。上記の単糖類としては、例えば、アラビノー
ス,キシロース,リボース,2ーデオキシリボース等の
五炭糖類、ブドウ糖,果糖,ガラクトース,マンノー
ス,ソルボース,ラムノース,フコース等の六炭糖類が
用いられ、このうち六炭糖類が好ましい。上記の二糖類
としては、麦芽糖、セロビオース、α,α−トレハロー
ス、乳糖、ショ糖などが用いられる。これらのうち乳
糖、ショ糖が好ましい。上記のオリゴ糖としては、例え
ば、マルトトリオース,ラフィノース糖等の三糖類、ス
タキオース等の四糖類などが用いられ、このうち三糖類
が好ましい。上記の単糖類、二糖類およびオリゴ糖の誘
導体としては、例えば、グルコサミン、ガラクトサミ
ン、グルクロン酸、ガラクツロン酸などが用いられる。
【0026】上記のアミノ酸類としては、L−体のもの
であればいずれも用いることができ、例えば、グリシ
ン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェ
ニルアラニン、チロシン、トリプトファン、セリン、ト
レオニン、プロリン、ヒドロキシプロリン、システイ
ン、メチオニン等の中性アミノ酸;アスパラギン酸、グ
ルタミン酸等の酸性アミノ酸;リジン、アルギニン、ヒ
スチジン等の塩基性アミノ酸などが用いられる。なかで
も、グリシン、ロイシン、アルギニンなどが好ましく用
いられ、特にL−アルギニンが好ましい。また、これら
の水溶性アミノ酸の塩、例えば水溶性アミノ酸の酸
(例、塩酸、硫酸、リン酸等)またはアルカリ(例、ナ
トリウム、カリウム等のアルカリ金属等)との塩を用い
てもよい。水溶性のペプチド類、タンパク質類またはそ
れらの誘導体としては、例えば、カゼイン、グロブリ
ン、プロラミン、アルブミン、ゼラチンなどが用いられ
る。これらの浸透圧調節剤は単独で使用しても、混合し
て使用してもよい。
【0027】生理活性物質またはその塩の使用量は、薬
物の種類、所望の薬理効果および効果の持続時間などに
より異なるが、内水相中の濃度としては、約0.001
%〜約90%(W/W)、より好ましくは約0.01%
〜約80%(W/W)であり、特に好ましくは約0.0
1%〜約70%(W/W)である。浸透圧調節剤は、外
水相の浸透圧が生理食塩水の浸透圧の約1/50〜約5
倍、好ましくは約1/25〜約3倍、さらに好ましくは
約1/12〜約2倍となる濃度で用いられる。具体的に
は、浸透圧調節剤の外水相での濃度は、浸透圧調節剤が
非イオン性物質の場合、約0.01%〜約60%(W/
W)、好ましくは約0.01〜約40%(W/W)、よ
り好ましくは約0.05〜約30%(W/W)、特に好
ましくは約0.5〜約1.5%(W/W)である。ま
た、浸透圧調節剤がイオン性物質の場合、上記の濃度を
全体のイオン価で除した濃度が用いられる。浸透圧調節
剤の添加濃度は、溶解度以下である必要はなく、一部が
分散状態であってもよい。本願発明において、外水相に
浸透圧調節剤を添加することにより、製造されたマイク
ロスフェアの分散性を改善させることができ、その程度
は特に限定されないが、例えば、約400から700mgのマイ
クロスフェアを1.5mLの注射用分散媒に2分未満で分散
できることが好ましい。
【0028】以下に、本発明の(W/O)/W型水中乾
燥法によるマイクロスフェアの製造法を説明する。以下
の製造工程中、必要に応じて、内水相に以下のものを添
加してもよい。 (1)薬物保持剤 アルブミン、ゼラチン、クエン酸、サリチル酸、エチレ
ンジアミン四酢酸ナトリウム、デキストリン、亜硫酸水
素ナトリウム、ポリエチレングリコールなどのポリオー
ル化合物、寒天、アルギン酸、ポリビニルアルコール、
塩基性アミノ酸など。 (2)生理活性物質またはその塩の安定性、溶解性を保
つためのpH調整剤 炭酸、酢酸、シュウ酸、クエン酸、リン酸、塩酸、水酸
化ナトリウム、アルギニン、リジンおよびそれらの塩な
ど。 (3)生理活性物質またはその塩の安定化剤 アルブミン、ゼラチン、クエン酸、エチレンジアミン四
酢酸ナトリウム、デキストリン、亜硫酸水素ナトリウ
ム、ポリエチレングリコールなどのポリオール化合物な
ど。 (4)保存剤 パラオキシ安息香酸エステル類(メチルパラベン、プロ
ピルパラベンなど)、ベンジルアルコール、クロロブタ
ノール、チメロサールなど。
【0029】(I)O/W法 本方法においては、まず高分子重合物の有機溶媒溶液を
作製する。本発明のマイクロスフェアの製造の際に使用
する有機溶媒は、沸点が120℃以下であることが好ま
しい。該有機溶媒としては、例えば、ハロゲン化炭化水
素(例、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタ
ン、トリクロロエタン、四塩化炭素等)、エーテル類
(例、エチルエーテル、イソプロピルエーテル等)、脂
肪酸エステル(例、酢酸エチル、酢酸ブチル等)、芳香
族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、
アルコール類(例えば、エタノール、メタノール等)、
アセトニトリルなどが用いられる。なかでもハロゲン化
炭化水素が好ましく、特にジクロロメタンが好適であ
る。また、これらは適宜の割合で混合して用いてもよ
い。その場合は、ハロゲン化炭化水素とアルコール類と
の混液が好ましく、特にジクロロメタンとエタノールと
の混液が好適である。高分子重合物の有機溶媒溶液中の
濃度は、高分子重合物の分子量、有機溶媒の種類によっ
て異なるが、例えば、ジクロロメタンを有機溶媒として
用いた場合、一般的には約0.5〜約70重量%、より
好ましくは約1〜約60重量%、特に好ましくは約2〜
約50重量%から選ばれる。また、ジクロロメタンとの
混有機溶媒としてエタノールを用いた場合の両者の比率
は,一般的には約0.01〜約50%(v/v)、より好まし
くは約0.05〜約40%(v/v)、特に好ましくは約0.
1〜約30%(v/v)から選ばれる。このようにして得ら
れた高分子重合物の有機溶媒溶液中に、生理活性物質ま
たはその塩を添加し、溶解あるいは分散させる。この
際、生理活性物質またはその塩の添加量は、生理活性物
質またはその塩:高分子重合物の重量比の上限が約1:
1まで、好ましくは約1:2までとなるようにする。
【0030】次いで,得られた生理活性物質またはその
塩および高分子重合物から成る組成物を含む有機溶媒溶
液を水相中に加え、O(油相)/W(水相)エマルショ
ンを形成させた後、油相中の溶媒を蒸発させ、マイクロ
スフェアを調製する。この際の水相体積は、一般的には
油相体積の約1倍〜約10,000倍、より好ましくは
約5倍〜約50,000倍、特に好ましくは約10倍〜
約2,000倍から選ばれる。上記の外水相中には、前
記した浸透圧調節剤の他に、乳化剤を加えてもよい。該
乳化剤は、一般に安定なO/Wエマルションを形成でき
るものであればいずれでもよい。具体的には、例えば、
アニオン性界面活性剤(オレイン酸ナトリウム、ステア
リン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウムなど)、非
イオン性界面活性剤(ポリオキシエチレンソルビタン脂
肪酸エステル〔ツイーン(Tween)80、ツイーン(Tween)6
0、アトラスパウダー社〕、ポリオキシエチレンヒマシ
油誘導体〔HCO-60、HCO-50、日光ケミカルズ〕など)、
ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、カルボ
キシメチルセルロース、レシチン、ゼラチン、ヒアルロ
ン酸などが用いられる。これらの中の1種類か、いくつ
かを組み合わせて使用してもよい。使用の際の濃度は、
好ましくは約0.01〜10重量%の範囲で、さらに好
ましくは約0.05〜約5重量%の範囲で用いられる。
【0031】有機溶媒を除去する方法としては、自体公
知の方法あるいはそれに準じる方法が用いられる。例え
ば、プロペラ型撹拌機またはマグネチックスターラーな
どで撹拌しながら常圧もしくは徐々に減圧にして有機溶
媒を蒸発させる方法、ロータリーエヴァポレーターなど
を用いて真空度を調節しながら有機溶媒を蒸発させる方
法などがあげられる。このようにして得られたマイクロ
スフェアは遠心分離または濾過して分取した後、マイク
ロスフェアの表面に付着している遊離の生理活性物質、
乳化剤などを蒸留水で数回繰り返し洗浄し、再び蒸留水
などに分散して凍結乾燥する。製造工程中、粒子同士の
凝集を防ぐために凝集防止剤を加えてもよい。該凝集防
止剤としては、例えば、マンニトール,ラクトース,ブ
ドウ糖,デンプン類(例、コーンスターチ等)などの水
溶性多糖、グリシンなどのアミノ酸、フィブリン,コラ
ーゲンなどのタンパク質などが用いられる。なかでも、
マンニトールが好適である。マンニトール等の凝集防止
剤の添加量は、マイクロスフェア全体に対して、通常0
〜約24重量%である。
【0032】また、凍結乾燥後、必要であれば、減圧下
マイクロスフェア同士が融着しない条件下で加温してマ
イクロスフェア中の水分および有機溶媒の除去を行って
もよい。好ましくは、毎分10〜20℃の昇温速度の条
件下で示差走査熱量計で求めた高分子重合物の中間点ガ
ラス転移温度付近あるいはそれよりも若干高い温度で加
温する。より好ましくは高分子重合物の中間点ガラス転
移温度付近あるいはそれよりも約30℃高い温度範囲内
で加温する。とりわけ,高分子重合物として乳酸-グリ
コール酸重合体を用いる場合には好ましくはその中間点
ガラス転移温度付近あるいはそれよりも10℃高い温度
範囲,さらに好ましくは、中間点ガラス転移温度付近あ
るいはそれよりも5℃高い温度範囲で加温する。加温時
間はマイクロスフェアの量などによって異なるものの、
一般的にはマイクロスフェア自体が所定の温度に達した
後、約12時間〜約168時間、好ましくは約24時間
〜約120時間、特に好ましくは約48時間〜約96時
間である。加温方法は、マイクロスフェアの集合が均一
に加温できる方法であれば特に限定されない。該加温乾
燥方法としては、例えば、恒温槽、流動槽、移動槽また
はキルン中で加温乾燥する方法、マイクロ波で加温乾燥
する方法などが用いられる。なかでも恒温槽中で加温乾
燥する方法が好ましい。
【0033】(II)W/O/W法 まず、高分子重合物の有機溶媒溶液を作る。該有機溶媒
としては、例えば、ハロゲン化炭化水素(例、ジクロロ
メタン、クロロホルム、ジクロロエタン、トリクロロエ
タン、四塩化炭素等)、エーテル類(例、エチルエーテ
ル、イソプロピルエーテル等)、脂肪酸エステル(例、
酢酸エチル、酢酸ブチル等)、芳香族炭化水素(例、ベ
ンゼン、トルエン、キシレン等)、アルコール類(例え
ば、エタノール、メタノール等)、アセトニトリルなど
が用いられる。なかでも、ハロゲン化炭化水素が好まし
く、特にジクロロメタンが好適である。これらは適宜の
割合で混合して用いてもよい。その場合は、ハロゲン化
炭化水素とアルコール類の混液が好ましく、特にジクロ
ロメタンとエタノールとの混液が好適である。高分子重
合物の有機溶媒溶液中の濃度はその分子量、有機溶媒の
種類によって異なるが、例えば、ジクロロメタンを有機
溶媒として用いた場合、一般的には約0.5〜約70重
量%、より好ましくは約1〜約60重量%、特に好まし
くは約2〜約50重量%から選ばれる。
【0034】次いで、高分子重合物の有機溶媒溶液(油
相)に生理活性物質またはその塩またはその塩の溶液
〔該溶媒としては、水、水とアルコール類(例、メタノ
ール、エタノール等)の混液〕を添加する。この混合物
をホモジナイザーまたは超音波等の公知の方法で乳化
し、W/Oエマルションを形成させる。次いで,得られ
た生理活性物質またはその塩および高分子重合物から成
るW/Oエマルションを水相中に加え、W(内水相)/
O(油相)/W(外水相)エマルションを形成させた
後、油相中の溶媒を蒸発させ、マイクロスフェアを調製
する。この際の外水相体積は一般的には油相体積の約1
倍〜約10,000倍、より好ましくは約5倍〜約5
0,000倍、特に好ましくは約10倍〜約2,000
倍から選ばれる。上記の外水相中に加えてもよい乳化剤
や浸透圧調節剤、およびその後の調製法は前記(I)項
に記載と同様である。上記の外水相中には乳化剤を加え
てもよい。該乳化剤は、一般に安定なO/Wエマルショ
ンを形成できるものであればいずれでもよい。具体的に
は、例えば、アニオン性界面活性剤(オレイン酸ナトリ
ウム、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウ
ムなど)、非イオン性界面活性剤(ポリオキシエチレン
ソルビタン脂肪酸エステル〔ツイーン(Tween)80、ツイ
ーン(Tween)60、アトラスパウダー社〕、ポリオキシエ
チレンヒマシ油誘導体〔HCO-60、HCO-50、日光ケミカル
ズ〕など)、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコ
ール、カルボキシメチルセルロース、レシチン、ゼラチ
ン、ヒアルロン酸などが用いられる。これらの中の1種
類か、いくつかを組み合わせて使用してもよい。使用の
際の濃度は、好ましくは約0.01〜10重量%の範囲
で、さらに好ましくは約0.05〜約5重量%の範囲で
用いられる。
【0035】有機溶媒を除去する方法としては、自体公
知の方法あるいはそれに準じる方法が用いられる。例え
ば、プロペラ型撹拌機またはマグネチックスターラーや
超音波発生装置などで撹拌しながら常圧もしくは徐々に
減圧にして有機溶媒を蒸発させる方法、ロータリーエヴ
ァポレーターなどを用いて真空度を調節しながら有機溶
媒を蒸発させる方法、透析膜を用いて徐々に有機溶媒を
除去する方法などが挙げられる。このようにして得られ
たマイクロスフェアは遠心分離または濾過して分取した
後、マイクロスフェアの表面に付着している遊離の生理
活性物質またはその塩またはその塩、薬物保持物質、乳
化剤などを蒸留水で数回繰り返し洗浄し、再び蒸留水な
どに分散して凍結乾燥する。製造工程中、粒子同士の凝
集を防ぐために凝集防止剤を加えてもよい。該凝集防止
剤としては、例えば、マンニトール,ラクトース,ブド
ウ糖,デンプン類(例、コーンスターチ等)などの水溶
性多糖、グリシンなどのアミノ酸、フィブリン,コラー
ゲンなどのタンパク質などが用いられる。なかでも、マ
ンニトールが好適である。マンニトール等の凝集防止剤
の添加量は、マイクロスフェア全体に対して、通常0〜
約24重量%である。
【0036】また、凍結乾燥後、必要であれば、減圧下
マイクロスフェア同士が融着しない条件内で加温してマ
イクロスフェア中の水分および有機溶媒の除去を行って
もよい。好ましくは、毎分10〜20℃の昇温速度の条
件下で示差走査熱量計で求めた高分子重合体の中間点ガ
ラス転移温度よりも若干高い温度で加温する。より好ま
しくは高分子重合物の中間点ガラス転移温度からこれよ
り約30℃高い温度範囲内で加温する。とりわけ,乳酸
重合体として乳酸−グリコール酸重合体を用いる場合に
は好ましくはその中間点ガラス転移温度以上中間点ガラ
ス転移温度より10℃高い温度範囲,さらに好ましく
は、中間点ガラス転移温度以上中間点ガラス転移温度よ
り5℃高い温度範囲で加温する。加温時間はマイクロス
フェアの量などによって異なるものの、一般的にはマイ
クロスフェア自体が所定の温度に達した後、約12時間
〜約168時間、好ましくは約24時間〜約120時
間、特に好ましくは約48時間〜約96時間である。加
温方法は、マイクロスフェアの集合が均一に加温できる
方法であれば特に限定されない。該加温乾燥方法として
は、例えば、恒温槽、流動槽、移動槽またはキルン中で
加温乾燥する方法、マイクロ波で加温乾燥する方法など
が用いられる。このなかで恒温槽中で加温乾燥する方法
が好ましい。
【0037】本発明の製造法で得られる本発明のマイク
ロスフェアは、溶液に分散させることができる注射可能
な球状の微粒子のことをいう。その形態の確認は、例え
ば、走査型電子顕微鏡による観察で行うことができる。
マイクロスフェアとしては、マイクロカプセルやマイク
ロパーティクルなどが用いられるが、マイクロカプセル
が好ましい。本発明のマイクロスフェアにおける生理活
性物質またはその塩の重量比は、生理活性物質またはそ
の塩の種類、所望の薬理効果および効果の持続期間など
によって異なるが、マイクロスフェア全体に対して、生
理活性ペプチドまたはその塩の場合、約0.001〜約
50重量%、好ましくは約0.02〜約40重量%、よ
り好ましくは約0.1〜約30重量%、さらに好ましく
は約0.1〜約24重量%、最も好ましくは約3〜約2
4重量%であり、非ペプチド性生理活性物質またはその
塩の場合、約0.01〜約80重量%、好ましくは約
0.1〜約50重量%である。本発明のマイクロスフェ
アにおける高分子重合物の重量比は、マイクロスフェア
全体に対して、約50〜約100重量%、好ましくは約
70〜約100重量%、より好ましくは約85〜約95
重量%である。本発明のマイクロスフェアにおける薬物
保持物質の重量比は、マイクロスフェア全体に対して、
約0.01〜約50重量%、好ましくは約0.1〜約3
0重量%、より好ましくは約5〜約15重量%である。
本発明のマイクロスフェアは表面の小孔が少ない、注射
剤用懸濁液などへの分散性が優れている。このように本
発明のマイクロスフェアは分散性に優れているため、注
射剤用懸濁液などに多量のマイクロスフェアを懸濁する
ことができる。したがって、マイクロスフェア中にヒロ
ドキシナフトエ酸などの薬物保持物質を含有していなく
ても、結果的に、注射剤用懸濁液に多量の生理活性物質
またはその塩を含有せしめることができる。
【0038】本発明のマイクロスフェアは、そのままま
たはこれらを原料物質として種々の剤形に製剤化し、筋
肉内、皮下、臓器などへの注射剤または埋め込み剤、鼻
腔、直腸、子宮などへの経粘膜剤、経口剤(例、カプセ
ル剤(例、硬カプセル剤、軟カプセル剤等)、顆粒剤、
散剤等の固形製剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤等の液剤
等)などとして投与することができる。例えば、本発明
のマイクロスフェアを注射剤とするには、これらを分散
剤(例、ツイーン(Tween)80,HCO−60等の界面活性
剤、ヒアルロン酸ナトリウム,カルボキシメチルセルロ
ース,アルギン酸ナトリウム等の多糖類など)、保存剤
(例、メチルパラベン、プロピルパラベンなど)、等張
化剤(例、塩化ナトリウム,マンニトール,ソルビトー
ル,ブドウ糖,プロリンなど)等の分散媒と共に水性懸
濁剤とするか、ゴマ油、コーン油などの植物油等の分散
媒と共に分散して油性懸濁剤として実際に使用できる徐
放性注射剤とすることができる。本発明のマイクロスフ
ェアの粒子径は、懸濁注射剤として使用する場合には、
その分散度、通針性を満足する範囲であればよく、例え
ば、平均粒子径として約0.1〜300μm、好ましく
は約0.5〜150μmの範囲、さらに好ましくは約1
から100μmの範囲である。本発明のマイクロスフェ
アを無菌製剤にするには、製造全工程を無菌にする方
法、ガンマ線で滅菌する方法、防腐剤を添加する方法等
が挙げられるが、特に限定されない。さらに、上記のマ
イクロスフェアの徐放性注射剤は、懸濁剤として、上記
の組成以外に、賦形剤(たとえば、マンニトール、ソル
ビトール、ラクトース、ブドウ糖など)を加えて、再分
散した後、凍結乾燥もしくは噴霧乾燥して固型化し、用
時に、注射用蒸留水あるいは適当な分散媒を加えると、
より安定した徐放性注射剤が得られる。マイクロスフェ
アの徐放性注射剤にマンニトール等の賦形剤を添加する
場合、賦形剤の含有量は注射剤全体に対して、約0〜5
0重量%、好ましくは約1〜20重量%である。マイク
ロスフェアの徐放性注射剤を用時、注射用蒸留水あるい
は適当な分散媒に分散させる場合、マイクロスフェアの
含有量は分散媒とマイクロスフェアの総量に対して、約
1〜80重量%、好ましくは約10〜60重量%であ
る。
【0039】本発明のマイクロスフェアを経口投与製剤
にするには、自体公知の方法に従い、本発明のマイクロ
スフェアを例えば賦形剤(例、乳糖、白糖、デンプンな
ど)、崩壊剤(例、デンプン、炭酸カルシウムなど)、
結合剤(例、デンプン、アラビアゴム、カルボキシメチ
ルセルロース、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロ
ピルセルロースなど)または滑沢剤(例、タルク、ステ
アリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール600
0など)などを添加して圧縮成形し、次いで必要によ
り、味のマスキング,腸溶性あるいは持続性の目的のた
め自体公知の方法でコーティングすることにより経口投
与製剤とすることができる。そのコーティング剤として
は、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース,エチ
ルセルロース,ヒドロキシメチルセルロース,ヒドロキ
シプロピルセルロース,ポリオキシエチレングリコー
ル,ツイーン80,ブルロニックF68,セルロースア
セテートフタレート,ヒドロキシプロピルメチルセルロ
ースフタレート,ヒドロキシメチルセルロースアセテー
トサクシネート,オイドラギット(ローム社製,西ドイ
ツ,メタアクリル酸・アクリル酸共重合)および酸化チ
タン,ベンガラ等の色素が用いられる。
【0040】本発明のマイクロスフェアを経鼻投与製剤
とするには、自体公知の方法に従い、本発明方法により
製造されたマイクロスフェアを固状、半固状または液状
の経鼻投与剤とすることができる。たとえば、上記固状
のものとしては、該マイクロスフェアをそのまま、ある
いは賦形剤(例、グルコース、マンニトール、デンプ
ン、微結晶セルロースなど)、増粘剤(例、天然ガム
類、セルロース誘導体、アクリル酸重合体など)などを
添加、混合して粉状の組成物とする。上記液状のものと
しては、注射剤の場合とほとんど同様で、油性あるいは
水性懸濁剤とする。半固状の場合は、水性または油性の
ゲル剤、あるいは軟膏状のものがよい。また、これらは
いずれも、pH調節剤(例、炭酸、リン酸、クエン酸、
塩酸、水酸化ナトリウムなど)、防腐剤(例、パラオキ
シ安息香酸エステル類、クロロブタノール、塩化ベンザ
ルコニウムなど)などを加えてもよい。
【0041】本発明のマイクロスフェアを坐剤とするに
は、自体公知の方法に従い、本発明方法により製造され
たマイクロスフェアを油性または水性の固状、半固状あ
るいは液状の座剤とすることができる。上記組成物に用
いる油性基剤としては、マイクロスフェアを溶解しない
ものであればよく、たとえば高級脂肪酸のグリセリド
〔例、カカオ脂、ウイテプゾル類(ダイナマイトノーベ
ル社)など〕、中級脂肪酸〔例、ミグリオール類(ダイ
ナマイトノーベル社)など〕、あるいは植物油(例、ゴ
マ油、大豆油、綿実油など)などが挙げられる。また、
水性基剤としては、たとえばポリエチレングリコール
類、プロピレングリコール、水性ゲル基剤としては、た
とえば天然ガム類、セルロース誘導体、ビニール重合
体、アクリル酸重合体などが挙げられる。本発明のマイ
クロスフェアは、注射剤として用いることが好ましい。
本発明の徐放性組成物中の本発明のマイクロスフェアの
含量は特に限定されないが、徐放性組成物の約70重量%
以上含有することが好ましい。
【0042】本発明のマイクロスフェアは、低毒性であ
るので、哺乳動物(例、ヒト、牛、豚、犬、ネコ、マウ
ス、ラット、ウサギ等)に対して安全な医薬などとして
用いることができる。本発明のマイクロスフェアまたは
その徐放性組成物の投与量は、主薬である生理活性物質
またはその塩の種類と含量、剤形、生理活性物質または
その塩放出の持続時間、対象疾病、対象動物などによっ
て種々異なるが、生理活性物質またはその塩の有効量で
あればよい。主薬である生理活性物質またはその塩の1
回当たりの投与量としては、例えば、徐放性組成物が6
カ月製剤である場合、好ましくは、成人1人当たり約
0.01mg〜10mg/kg体重の範囲,さらに好ま
しくは約0.05mg〜5mg/kg体重の範囲から適
宜選ぶことができる。1回当たりのマイクロスフェアの
投与量は、成人1人当たり好ましくは、約0.05mg
〜50mg/kg体重の範囲、さらに好ましくは約0.
1mg〜30mg/kg体重の範囲から適宜選ぶことが
できる。投与回数は、数週間に1回、1か月に1回、また
は数か月(例、3ヵ月、4ヵ月、6ヵ月など)に1回
等、主薬である生理活性物質またはその塩の種類と含
量、剤形、生理活性物質またはその塩放出の持続時間、
対象疾病、対象動物などによって適宜選ぶことができ
る。
【0043】本発明のマイクロスフェアまたはその徐放
性組成物は、含有する生理活性物質またはその塩の種類
に応じて、種々の疾患などの予防・治療剤として用いる
ことができるが、例えば、生理活性物質またはその塩が
LH−RH誘導体である場合には、ホルモン依存性疾
患、特に性ホルモン依存性癌(例、前立腺癌、子宮癌、
乳癌、下垂体腫瘍など)、前立腺肥大症、子宮内膜症、
子宮筋腫、思春期早発症、月経困難症、無月経症、月経
前症候群、多房性卵巣症候群等の性ホルモン依存性の疾
患の予防・治療剤、アルツハイマー病や免疫不全等の疾
患の予防・治療剤、および避妊(もしくは、その休薬後
のリバウンド効果を利用した場合には、不妊症の予防・
治療)剤などとして用いることができる。さらに、性ホ
ルモン非依存性であるがLH−RH感受性である良性ま
たは悪性腫瘍などの予防・治療剤としても用いることが
できる。また本発明の分散性が改善されたマイクロスフ
ェアの製造するために、生理活性物質またはその塩と高
分子重合物を含む乳化物を水中乾燥する際に外水相にお
いて、浸透圧調節剤を使用することができる。
【0044】以下、参考例および実施例を挙げて本発明
を詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定さ
れるものではない。
【0045】
【実施例】以下の参考例および実施例における重量平均
分子量及び各重合体含有量は、単分散ポリスチレンを基
準物質としてゲルパーミエーションクロマトグラフィー
(GPC)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子
量及びそれらから算出した各重合体含有量である。ま
た、測定は全て高速GPC装置(東ソー(株)製;HLC
−8120GPC)で行い、カラムはSuperH4000×2及
びSuperH2000(何れも東ソー(株)製)を使用し、移動相と
してテトラヒドロフランを流速0.6mL/minで使用した。
尚、検出方法は示差屈折率によるものである。
【0046】参考例1 高分子量乳酸重合体の合成 脱水キシレン230mLに1.0mol/Lジエチル亜鉛ヘ
キサン溶液4.1mL、乳酸tert−ブチル1.35
g及びDL−ラクチド230gを加え、120〜130
℃で約2時間重合反応させた。反応終了後、反応液にジ
クロロメタン120mLを注入し、トリフルオロ酢酸2
30mLを加え脱保護反応させた。反応終了後、反応液
にジクロロメタン300mLを加えた後、該反応液をイ
ソプロピルエーテル2800mL中に注ぎ、目的物を沈
殿させ、次いでジクロロメタン/イソプロピルエーテル
で再沈殿操作を繰り返し、重量平均分子量約40000
の乳酸重合体を得た。
【0047】参考例2 参考例1で得られた重合体をジクロロメタン600mL
に溶解し、該溶液の液性が中性となるまで水洗した後、
90%乳酸水溶液70gを添加し、40℃で反応させ
た。反応液中に溶解している重合体の重量平均分子量が
約20,000となったところで室温まで冷却し、ジク
ロロメタン600mLを注入して反応を停止させ、反応
液の液性が中性となるまで水洗した。水洗後、反応液を
濃縮、乾燥させて乳酸重合体を得た。得られた乳酸重合
体の末端カルボキシル基は重合体1g当たり約80μm
olであり、重量平均分子量5000以下の重合体含有
量は7.29重量%であった。
【0048】参考例3(1) 参考例1で得られた重合体をジクロロメタン600mL
に溶解し、該溶液の液性が中性となるまで水洗した後、
90%乳酸水溶液70gを添加し、40℃で反応させ
た。反応液中に溶解している重合体の重量平均分子量が
約20,000となったところで室温まで冷却し、ジク
ロロメタン600mLを注入して反応を停止させ、反応
液の液性が中性となるまで水洗した後、反応液をイソプ
ロピルエーテル2800mL中に滴下し、目的とする乳
酸重合体を沈殿させた。デカンテーションにより得られ
た沈殿物をジクロロメタン600mLに溶解した後、溶
液を濃縮、乾燥して乳酸重合体160gを得た。得られ
た乳酸重合体の末端カルボキシル基量は重合体1g当た
り約70μmolであった。また、使用した高分子量乳
酸重合体の重量平均分子量、加水分解処理後の乳酸重合
体の重量平均分子量、得られた目的の乳酸重合体の重量
平均分子量及びその分子量分画を表1に示す。
【0049】参考例3(2)〜(6) 参考例3(1)と同様な操作を行い、本発明の乳酸重合
体を得た。使用した高分子量乳酸重合体の重量平均分子
量、加水分解処理後の乳酸重合体の重量平均分子量、得
られた目的の乳酸重合体の重量平均分子量及びその分子
量分画を表1に併せて示す。
【0050】
【表1】 表1から明らかな如く、本発明の方法によって得られた
本発明の乳酸重合体は、重量平均分子量5000以下の
重合体含有量が約5重量%以下であり、重量平均分子量
3000以下の重合体含有量が約1.5重量%以下であ
り、また重量平均分子量1000以下の重合体含有量が
約0.1重量%以下であることが分かる。
【0051】比較例1 参考例3(1)と同様の方法で得られたDL−乳酸重合
体(重量平均分子量21,400、ラベル化定量法によ
るカルボキシル基量76.1μmol/g)205.5
gをジクロロメタン354.3gで溶解した溶液を0.
2μmのフィルター(EMFLOW,DFA4201F
RP)で加圧ろ過し、28.8℃に調節した。この有機
溶媒溶液380.4gを量り取り、ペプチドAの酢酸塩
16.11gを16.22gの蒸留水に溶解して55.
4℃に加温した水溶液と混合して1分間撹拌して粗乳化
した後ミニミキサーを用い、10,150rpm、2分
間の条件にて乳化しW/Oエマルションを形成した。次
いでこのW/Oエマルションを18℃に冷却後に、予め
18.7℃に調節しておいた0.1%(w/w)ポリビ
ニルアルコール(EG−40、日本合成化学製)水溶液
25リットル中に3分10秒で注入し、 HOMOMI
C LINE FLOW(特殊機化製)を用いて7,0
01rpmで攪拌しW/O/Wエマルションとした。こ
のW/O/Wエマルションを約18.5℃で30分間温
度調整し、その後2時間30分温度調整しないで撹拌し
てジクロロメタンおよびエタノールを揮散ないしは外水
相中に拡散させ、油相を固化させた後、75μmの目開
きの篩いを用いて篩過し、次いで遠心機(H−600
S, 国産遠心器製)を用いて2,000rpmで連続
的にマイクロスフェアを沈降させて捕集した。捕集され
たマイクロスフェアは少量の蒸留水に再分散し、90μ
mの目開きの篩いを用いて篩過した後マンニトール1
8.85gを添加して溶解した後凍結乾燥して粉末とし
て得られた。マイクロスフェア粉末の質量回収量は11
7.6gで回収率としては68.54%であり、ペプチ
ドA含量は7.76%であった。得られたマイクロスフ
ェアの電顕写真図を図1に示す。
【0052】実施例1 参考例3(1)と同様の方法で得られたDL−乳酸重合
体(重量平均分子量21,400、ラベル化定量法によ
るカルボキシル基量76.1μmol/g)205.4
gをジクロロメタン354.4gで溶解した溶液を約3
0℃に温調した。この溶液380.5gを量り取り、酢
酸リュープロレリン16.1gを16.2gの蒸留水に
溶解して約55℃に加温した水溶液と混合し、ミニミキ
サー(特殊機化製)を用いて乳化しW/O乳化物を形成
した(回転数約10,000rpm)。次いでこのW/
O乳化物を約18℃に冷却後、予め約18℃に温調して
おいた0.1%(w/w)ポリビニルアルコール(EG
−40、日本合成化学製)+1%マンニトール水溶液2
5リットル中に注入し、 HOMOMIC LINE
FLOW(特殊機化製)を用いて二次乳化しW/O/W
乳化物とした(タービン回転数約7,000rpm、循
環ポンプ回転数約2000rpm)。このW/O/W乳
化物を約3時間水中乾燥し、75μmの標準篩を用いて
篩過し、次いで遠心機(H−600S, 国産遠心器
製)を用いて連続的にマイクロスフィアを沈降させて捕
集した(回転数約2,000rpm、流量約600ml
/min)。捕集されたマイクロスフェアは少量の蒸留
水に再分散し、90μmの標準篩を用いて篩過した後、
マンニトール18.9gを添加し、凍結乾燥機(TRI
OMASTER,共和真空製)で凍結乾燥して粉末(マ
イクロスフェア末)を得た。得られたマイクロスフェア
の電顕写真図を図2に示す。
【0053】実験例1 比較例1及び実施例1で製造したマイクロスフェア末約
660mgをコート9Pバイアルに秤量し、ゴム栓で施
栓し、キャップでまき締めした。これに酢酸リュープロ
レリン用分散媒(5%マンニトール+1%カルメロース
ナトリウム+0.1%ポリソルベート80)1.5mL
を加え、均一に分散される時間を計測した。分散操作は
酢酸リュープロレリンのバイアル製剤の使用説明書に記
載の方法に準じ、振幅約7cm、振幅速度約30回/1
0秒で行った。結果を表2に示す。
【0054】実験例2 比較例1及び実施例1で製造したマイクロスフェアC末
約660mgを酢酸リュープロレリン用分散媒(分散液
量:1.5mL)を充填した14φ型DPS(デュアル
チャンバー プレフィルド シリンジ)に充填し、懸濁
させ、均一に分散される時間を計測した。分散操作は酢
酸リュープロレリンのDPS製剤の使用説明書に記載の
方法に準じ、手のひらにタッピングして振幅約3cm、
振幅速度約50回/10秒で行った。結果を表3に示
す。
【0055】
【発明の効果】本発明のマイクロスフェアは分散性に優
れているので、注射用蒸留水などの分散媒に高濃度に分
散することができる。
【0056】
【図面の簡単な説明】
【図1】比較例1のマイクロスフェアの電顕写真図を示
す。
【図2】実施例1のマイクロスフェアの電顕写真図を示
す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 47/34 A61K 47/42 47/42 A61P 13/08 A61P 13/08 15/00 15/00 15/18 15/18 35/00 35/00 A61K 37/24 (72)発明者 荒井 次一 兵庫県神戸市東灘区本山南町9丁目8−45 −210号 Fターム(参考) 4C076 AA67 AA94 BB11 CC30 DD37 DD51 DD67 EE24 EE41 FF31 GG28 GG29 4C084 AA01 AA03 BA01 BA09 BA17 CA59 DB09 DB71 MA05 NA14 ZA812 ZA862 ZB262

Claims (29)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水中乾燥法によるマイクロスフェアの製造
    時に、外水相に浸透圧調節剤を添加することを特徴とす
    る、分散性が改善されたマイクロスフェアの製造法。
  2. 【請求項2】改善された分散性が、約400から約700mgの
    マイクロスフェアを1.5mLの注射用分散媒に2分未満で分
    散できる程度である、請求項1記載の製造法。
  3. 【請求項3】水中乾燥法にW/O/W型乳化物を用いる請求
    項1記載の製造法。
  4. 【請求項4】内水相にさらに薬物保持物質を含ませる請
    求項3記載の製造法。
  5. 【請求項5】水中乾燥法にO/W型乳化物を用いる請求項
    1記載の製造法。
  6. 【請求項6】水中乾燥法にS/O/W型乳化物を用いる請求
    項1記載の製造法。
  7. 【請求項7】生理活性物質またはその塩を含む液を内水
    相とし、重量平均分子量15000〜50000の乳酸重合体また
    はその塩を含む溶液を油相とするW/O型乳化物を、浸透
    圧調節剤を含有した外水相に分散させて水中乾燥法に付
    することを特徴とするマイクロスフェアの製造法。
  8. 【請求項8】乳酸重合体またはその塩における重量平均
    分子量5000以下の重合体含有量が約10重量%以下であ
    る、請求項7記載の製造法。
  9. 【請求項9】乳酸重合体またはその塩における重量平均
    分子量5000以下の重合体含有量が約5重量%以下である、
    請求項7記載の製造法。
  10. 【請求項10】乳酸重合体またはその塩における重量平
    均分子量3000以下の重合体含有量が約1.5重量%以下であ
    る、請求項7記載の製造法。
  11. 【請求項11】乳酸重合体またはその塩における重量平
    均分子量1000以下の重合体含有量が約0.1重量%以下であ
    る、請求項7記載の製造法。
  12. 【請求項12】乳酸重合体またはその塩の重量平均分子
    量が15000〜40000のものである、請求項7記載の製造
    法。
  13. 【請求項13】乳酸重合体またはその塩の重量平均分子
    量が17000〜26000のものである、請求項7記載の製造
    法。
  14. 【請求項14】浸透圧調節剤が、アルコール類、糖類、
    アミノ酸類、ペプチド類、タンパク質類、水溶性アミノ
    酸の塩、もしくはその誘導体またはこれらの混合物であ
    る、請求項1または7記載の製造法。
  15. 【請求項15】浸透圧調節剤がマンニトールである、請
    求項1または7記載の製造法。
  16. 【請求項16】浸透圧調節剤の外水相中の濃度が、外水
    相の浸透圧が生理食塩水の浸透圧の約1/50〜約5倍とな
    る濃度である請求項1または7記載の製造法。
  17. 【請求項17】生理活性物質が水溶性の生理活性物質で
    ある請求項7記載の製造法。
  18. 【請求項18】生理活性物質が生理活性ペプチドである
    請求項7記載の製造法。
  19. 【請求項19】生理活性物質がLH-RH誘導体である請求
    項7記載の製造法。
  20. 【請求項20】LH-RH誘導体が式 5-oxo-Pro-His-Trp-Ser-Tyr-Y-Leu-Arg-Pro-Z [式中、YはDLeu、DAla、DTrp、DSer(tBu)、D2Nalまたは
    DHis(ImBzl)を示し、ZはNH-C2H5またはGly-NH2を示
    す。]で表されるペプチドまたはその塩である請求項7
    記載の製造法。
  21. 【請求項21】請求項1または7記載の製造法によって
    得られるマイクロスフェア。
  22. 【請求項22】請求項21記載のマイクロスフェアを含
    有してなる徐放性組成物。
  23. 【請求項23】前立腺癌、前立腺肥大症、子宮内膜症、
    子宮筋腫、子宮線維腫、思春期早発症、月経困難症もし
    くは乳癌の予防、治療用または避妊用である請求項22
    の徐放性組成物。
  24. 【請求項24】注射用である請求項22記載の徐放性組
    成物。
  25. 【請求項25】さらにマンニトールを含有する請求項2
    2記載の徐放性組成物。
  26. 【請求項26】組成物全体に対してマイクロスフェアを
    約70重量%以上含有する請求項22記載の徐放性組成
    物。
  27. 【請求項27】哺乳動物に対して、請求項22記載の徐
    放性組成物の有効量を投与することを特徴とする前立腺
    癌、前立腺肥大症、子宮内膜症、子宮筋腫、子宮線維
    腫、思春期早発症、月経困難症もしくは乳癌の予防・治
    療方法または避妊方法。
  28. 【請求項28】分散性が改善されたマイクロスフェアを
    製造するために、生理活性物質またはその塩と高分子重
    合物を含む乳化物を水中乾燥する際に、外水相に浸透圧
    調節剤を存在させることを特徴とする方法。
  29. 【請求項29】分散性が改善されたマイクロスフェアの
    製造するための、生理活性物質またはその塩と高分子重
    合物を含む乳化物を水中乾燥する際の外水相における、
    浸透圧調節剤の使用。
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