JP4530626B2 - 徐放性組成物の製造方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、生理活性物質と生体内分解性ポリマーからなる徐放性組成物の製造法とその方法で製造された徐放性組成物などに関する。
【0002】
【従来の技術】
生体内分解性ポリマーを用い、W/O型乳化物から徐放性マイクロカプセルを製造する方法は、例えば特許文献1、特許文献2および特許文献3などに記載されている。
また、徐放性を有する生体内分解性ポリマーは、例えば生理活性物質を内包させるためのマイクロカプセル等の基材として有用である。この様な生体内分解性ポリマーとして、ポリ乳酸、乳酸とグリコール酸との共重合体を含むもの等(特許文献4等)が有用であることが知られている。
特許文献5には、生理活性ペプチドまたはその塩と末端カルボキシル基を有する生体内分解性ポリマーとからなる徐放性製剤およびその製造法が開示されている。
【0003】
【特許文献1】
特開昭57−118512号公報
【特許文献2】
特開昭57−150609号公報
【特許文献3】
特開平6−145046号公報
【特許文献4】
特開平11−269094号公報
【特許文献5】
特開平7−97334号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、W/Oエマルションを安定に形成させる徐放性組成物の製造方法と、この方法により製造された徐放性組成物などを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
このような事情に鑑み、本発明者らは、W/Oエマルションを安定に形成させる徐放性組成物の製造方法を開発する目的で、鋭意研究を行った結果、生理活性物質に対し過剰量の酸または塩基を含む水溶液を使用することによりW/Oエマルションを安定化させることができることを見出した。これに基づいてさらに研究した結果、本発明を完成した。
すなわち本発明は、
(1)生理活性物質および当該生理活性物質の約1.5倍モル以上の酸または塩基を含む水溶液と生体内分解性ポリマーの溶解液とを混合し、次いで当該混合液を乾燥する徐放性組成物の製造方法;
(2)水溶液が、生理活性物質と酸または塩基との塩を用いて得られる水溶液である前記(1)記載の方法;
(3)徐放性組成物における生理活性物質の重量比が約0.001〜約50重量%である前記(1)記載の方法;
(4)生理活性物質の約1.5倍モル以上の酸または塩基を含有せしめることを特徴とする、生理活性物質を含む水溶液と生体内分解性ポリマーの溶解液との混合液の安定化方法;
(5)生理活性物質の約1.5倍モル以上の酸または塩基を含有せしめることを特徴とする、生理活性物質を含む水溶液と生体内分解性ポリマーの溶解液との混合液の粘度を約3000cp以下にする方法;
(6)生理活性物質が生理活性ペプチドである前記(1)、(4)または(5)記載の方法;
(7)生理活性ペプチドがLH-RH誘導体である前記(6)記載の方法;
(8)LH-RH誘導体が一般式
5-oxo-Pro-His-Trp-Ser-Tyr-Y-Leu-Arg-Pro-Z
〔式中、YはDLeu、DAla、DTrp、DSer(tBu)、D2NalまたはDHis(ImBzl)を示し、ZはNH-C2H5またはGly-NH2を示す。〕で表される化合物である前記(7)記載の方法;
(9)生理活性物質に対する酸または塩基の量が約1.5〜約5倍モルである前記(1)、(4)または(5)記載の方法;
(10)生理活性物質に対する酸または塩基の量が約1.65〜約3倍モルである前記(1)、(4)または(5)記載の方法;
(11)酸が有機酸である前記(1)、(4)または(5)記載の方法;
(12)有機酸が脂肪酸である前記(11)記載の方法;
(13)脂肪酸が酢酸である前記(12)記載の方法;
(14)生体内分解性ポリマーがα−ヒドロキシカルボン酸重合体である前記(1)、(4)または(5)記載の方法;
(15)α−ヒドロキシカルボン酸重合体が乳酸−グリコール酸重合体である前記(14)記載の方法;
(16)乳酸−グリコール酸重合体の乳酸とグリコール酸の組成モル比が100対0〜50対50である前記(15)記載の方法;
(17)乳酸−グリコール酸重合体の乳酸とグリコール酸の組成モル比が100対0である前記(16)記載の方法;
(18)乳酸−グリコール酸重合体の重量平均分子量が5000〜50000である前記(15)記載の方法;
(19)乳酸−グリコール酸重合体の重量平均分子量が17000〜30000である前記(15)記載の方法;
(20)生体内分解性ポリマーが重量平均分子量5000以下の重合体含有量が約5重量%以下である、重量平均分子量15000〜50000の乳酸重合体である前記(1)記載の方法;
(21)生体内分解性ポリマーの末端カルボキシル基量が重合体の単位質量(グラム)あたり約20〜約1000μmol(マイクロモル)の乳酸-グリコール酸重合体である前記(1)記載の方法;
(22)生体内分解性ポリマーの末端カルボキシル基量が生理活性物質に対して約0.1〜約5倍モルである前記(1)記載の方法;
(23)生体内分解性ポリマーの溶解液が、水難溶性の有機溶媒を用いた溶解液である前記(1)、(4)または(5)記載の方法;
(24)水難溶性の有機溶媒がジクロロメタンである前記(23)記載の方法;
(25)混合液が均一に混合されている前記(1)、(4)または(5)記載の方法;
(26)均一に混合された液がエマルションである前記(25)記載の方法;
(27)エマルションがW/O型である前記(26)記載の方法;
(28)W/Oエマルションのサイズが微細である前記(27)記載の方法;
(29)混合液の乾燥が水中乾燥である前記(1)記載の方法;
(30)水中乾燥の外水相に浸透圧調節剤の水溶液を用いる前記(29)記載の方法;
(31)浸透圧調節剤がマンニトールである前記(30)記載の方法;
(32)徐放性組成物の形態が微粒子である前記(1)記載の方法;
(33)微粒子がマイクロスフェアあるいはマイクロカプセルである前記(32)記載の方法;
(34)1)生理活性物質および2)水溶液に対して約0.1〜約20重量%の酸または塩基を含む水溶液と、生体内分解性ポリマーの溶解液とを混合し、次いで当該混合液を乾燥する徐放性組成物の製造方法;
(35)水溶液が、生理活性物質と酸または塩基との塩を用いて得られる水溶液である前記(34)記載の方法;
(36)前記(1)記載の方法を用いて製造された徐放性組成物;および
(37)生理活性物質を含有する徐放性製剤の製造のための、当該生理活性物質および当該生理活性物質の約1.5倍モル以上の酸または塩基を含む水溶液の使用などを提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられる生理活性物質は、薬理学的に有用なものであれば特に限定されず、非ペプチド化合物でもペプチド化合物でもよい。非ペプチド化合物としては、アゴニスト、アンタゴニスト、酵素阻害作用を有する化合物などが用いられる。また、ペプチド化合物としては、アゴニストでもアンタゴニストでもよく、例えば、生理活性ペプチドが好ましく、分子量約300〜約40,000、好ましくは約400〜約30,000、さらに好ましくは約500〜約20,000の生理活性ペプチドなどが好適である
本発明の組成物における生理活性物質の重量比は、生理活性物質の種類、所望の薬理効果および効果の持続期間などによって異なり特に限定されないが、組成物全体に対して、約0.001〜約50重量%、好ましくは約0.02〜約40重量%、より好ましくは約0.1〜約30重量%、さらに好ましくは約0.1〜約24重量%、最も好ましくは約5〜約24重量%である。
【0007】
該生理活性物質としては、特に限定されず、生理活性ペプチド、抗腫瘍剤、抗生物質、解熱,鎮痛,消炎剤、鎮咳去痰剤、鎮静剤、筋弛緩剤、抗てんかん剤、抗潰瘍剤、抗うつ剤、抗アレルギー剤、強心剤、不整脈治療剤、血管拡張剤、降圧利尿剤、糖尿病治療剤、抗凝血剤、止血剤、抗結核剤、ホルモン剤、麻薬拮抗剤、骨吸収抑制剤、血管新生抑制剤などが用いられる。
該生理活性ペプチドとしては、例えば、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LH−RH)、インスリン、ソマトスタチン、成長ホルモン、成長ホルモン放出ホルモン(GH−RH)、プロラクチン、エリスロポイエチン、副腎皮質ホルモン、メラノサイト刺激ホルモン、甲状腺ホルモン放出ホルモン(TRH)、甲状腺刺激ホルモン、黄体形成ホルモン、卵胞刺激ホルモン、バソプレシン、オキシトシン、カルシトニン、ガストリン、セクレチン、パンクレオザイミン、コレシストキニン、アンジオテンシン、ヒト胎盤ラクトーゲン、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、エンケファリン、エンドルフィン、キョウトルフィン、タフトシン、サイモポイエチン、サイモシン、サイモチムリン、胸腺液性因子、血中胸腺因子、腫瘍壊死因子、コロニー誘導因子、モチリン、デイノルフィン、ボンベシン、ニューロテンシン、セルレイン、ブラジキニン、心房性ナトリウム***増加因子、神経成長因子、細胞増殖因子、神経栄養因子、エンドセリン拮抗作用を有するペプチド類などおよびその誘導体、さらにはこれらのフラグメントまたはフラグメントの誘導体などが用いられる。
【0008】
また、生理活性を有するペプチドとしては、LH−RH拮抗物質(米国特許第4,086,219号,同第4,124,577号,同第4,253,997号,同第4,317,815号参照)が用いられる。
また、さらに生理活性を有するペプチドとしては、たとえばインスリン,ソマトスタチン,ソマトスタチン誘導体(米国特許第4,087,390号,同第4, 093,574号,同第4,100,117号,同第4,253,998号参照),成長ホルモン,プロラクチン,副腎皮質刺激ホルモン(ACTH),メラノサイト刺激ホルモン(MSH),甲状腺ホルモン放出ホルモン〔(Pyr)Glu-His-ProNH2 の構造式で表わされ、以下TRHと略記することもある〕その塩およびその誘導体(特開昭50−121273号,特開昭52−116465号公報参照),甲状腺刺激ホルモン(TSH),黄体形成ホルモン(LH),卵胞刺激ホルモン(FSH),バソプレシン,バソプレシン誘導体{デスモプレシン〔日本内分泌学会雑誌,第54巻第5号第676〜691頁(1978)〕参照},オキシトシン,カルシトニン,副甲状腺ホルモン,グルカゴン,ガストリン,セクレチン,パンクレオザイミン,コレシストキニン,アンジオテンシン,ヒト胎盤ラクトーゲン,ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG),エンケファリン,エンケファリン誘導体〔米国特許第4,277,394号,ヨーロッパ特許出願公開第31567号公報参照〕,エンドルフィン,キョウトルフィン,インターフェロン類(例、α型,β型,γ型等),インターロイキン類(例、I,II,III等),タフトシ ン,サイモポイエチン,サイモシン,サイモスチムリン,胸腺液性因子(THF),血中胸腺因子(FTS)およびその誘導体(米国特許第4,229,438号参照),およびその他の胸腺因子〔医学のあゆみ,第125巻,第10号,835−843頁(1983年)〕,腫瘍壊死因子(TNF),コロニー誘発因子(CSF),モチリン,ダイノルフイン,ボムベシン,ニューロテンシン,セルレイン,ブラジキニン,ウロキナーゼ,アスパラギナーゼ,カリクレイン,サブスタンスP,神経成長因子,細胞増殖因子,神経栄養因子,血液凝固因子の第VIII因子,第IX因子,塩化リゾチーム,ポリミキシンB,コリスチン,グラミシジン,バシトラシンおよびエリスロポエチン(EPO),エンドセリン拮抗作用を有するペプチド類(ヨーロッパ特許公開第436189号,同第457195号,同第496452号,特開平3−94692号,同3−130299号公報参照)などが用いられる。
【0009】
前記抗腫瘍剤としては、ブレオマイシン,メソトレキセート,アクチノマイシンD,マイトマイシンC,硫酸ビンブラスチン,硫酸ビンクリスチン,ダウノルビシン,アドリアマイシン,ネオカルチノスタチン,シトシンアラビノシド,フルオロウラシル,テトラヒドロフリル−5−フルオロウラシル,クレスチン,ピシバニール,レンチナン,レバミゾール,ベスタチン,アジメキソン,グリチルリチン,ポリI:C,ポリA:U,ポリICLCなどが用いられる。
前記抗生物質としては、例えばゲンタマイシン,ジベカシン,カネンドマイシン,リビドマイシン,トブラマイシン,アミカシン,フラジオマイシン,シソマイシン,塩酸テトラサイクリン,塩酸オキシテトラサイクリン,ロリテトラサイクリン,塩酸ドキシサイクリン,アンピシリン,ピペラシリン,チカルシリン,セファロチン,セファロリジン,セフォチアム,セフスロジン,セフメノキシム,セフメタゾール,セファゾリン,セフォタキシム,セフォペラゾン,セフチゾキシム,モキサラクタム,チエナマイシン,スルファゼシン,アズスレオナムなどが用いられる。
前記の解熱,鎮痛,消炎剤としては、サリチル酸,スルピリン,フルフェナム酸,ジクロフェナック,インドメタシン,モルヒネ,塩酸ペチジン,酒石酸レボルファノール,オキシモルフォンなどが用いられる。
鎮咳去痰剤としては、塩酸エフェドリン,塩酸メチルエフェドリン,塩酸ノスカピン,リン酸コデイン,リン酸ジヒドロコデイン,塩酸アロクラマイド,塩酸クロフェダノール,塩酸ピコペリダミン,クロペラスチン,塩酸プロトキロール,塩酸イソプロテレノール,硫酸サルブタモール,硫酸テルブタリンなどが用いられる。
鎮静剤としては、クロルプロマジン,プロクロルペラジン,トリフロペラジン,硫酸アトロピン,臭化メチルスコポラミンなどが用いられる。
筋弛緩剤としては、メタンスルホン酸プリジノール,塩化ツボクラリン,臭化パンクロニウムなどが用いられる。
抗てんかん剤としては、フェニトイン,エトサクシミド,アセタゾラミドナトリウム,クロルジアゼポキシドなどが用いられる。
抗漬瘍剤としては、メトクロプロミド,塩酸ヒスチジンなどが用いられる。
抗うつ剤としては、イミプラミン,クロミプラミン,ノキシプチリン,硫酸フェネルジンなどが用いられる。
抗アレルギー剤としては、塩酸ジフェンヒドラミン,マレイン酸クロルフェニラミン,塩酸トリペレナミン,塩酸メトジラジン,塩酸クレミゾール,塩酸ジフェニルピラリン,塩酸メトキシフェナミンなどが用いられる。
【0010】
強心剤としては、トランスパイオキソカンファー,テオフィロール,アミノフィリン,塩酸エチレフリンなどが用いられる。
不整脈治療剤としては、プロプラノール,アルプレノロール,ブフェトロール,オキシプレノロールなどが用いられる。
血管拡張剤としては、塩酸オキシフェドリン,ジルチアゼム,塩酸トラゾリン,ヘキソベンジン,硫酸バメタンなどが用いられる。
降圧利尿剤としては、ヘキサメトニウムブロミド,ペントリニウム,塩酸メカミルアミン,塩酸エカラジン,クロニジンなどが用いられる。
糖尿病治療剤としては、グリミジンナトリウム,グリピザイド,塩酸フェンフォルミン,塩酸ブフォルミン,メトフォルミンなどが用いられる。
抗凝血剤としては、ヘパリンナトリウム,クエン酸ナトリウムなどが用いられる。
止血剤としては、トロンボプラスチン,トロンビン,メナジオン亜硫酸水素ナトリウム,アセトメナフトン,ε−アミノカプロン酸,トラネキサム酸,カルバゾクロムスルホン酸ナトリウム,アドレノクロムモノアミノグアニジンメタンスルホン酸塩などが用いられる。
抗結核剤としては、イソニアジド,エタンブトール,パラアミノサリチル酸などが用いられる。
ホルモン剤としては、プレドニゾロン,リン酸ナトリウムプレドニゾロン,デキサメタゾン硫酸ナトリウム,ベタメタゾンリン酸ナトリウム,リン酸ヘキセストロール,酢酸ヘキセストロール,メチマゾールなどが用いられる。
麻薬拮抗剤としては、酒石酸レバロルファン,塩酸ナロルフィン,塩酸ナロキソンなどが用いられる。
骨吸収抑制剤としては、(硫黄含有アルキル)アミノメチレンビスフォスフォン酸などが用いられる。
血管新生抑制剤としては、血管新生抑制ステロイド〔サイエンス(Science)第221巻719頁(1983年)参照〕,フマギリン(ヨーロッパ特許公開第325199号公報参照),フマギロール誘導体(ヨーロッパ特許公開第357061号,同第359036号,同第386667号,同第415294号公報参照)などが用いられる。
【0011】
該生理活性ペプチドの好ましい例としては、LH−RH誘導体であって、ホルモン依存性疾患、特に性ホルモン依存性癌(例、前立腺癌、子宮癌、乳癌、下垂体腫瘍など)、前立腺肥大症、子宮内膜症、子宮筋腫、思春期早発症、月経困難症、無月経症、月経前症候群、多房性卵巣症候群等の性ホルモン依存性の疾患および避妊(もしくは、その休薬後のリバウンド効果を利用した場合には、不妊症)、閉経前乳癌術後再発予防またはアルツハイマー病や免疫不全等の疾患に有効なLH−RH誘導体またはその塩が用いられる。さらに性ホルモン非依存性であるがLH−RH感受性である良性または悪性腫瘍などに有効なLH−RH誘導体も用いられる。
LH−RH誘導体の具体例としては、例えば、トリートメント ウイズ GnRH アナログ:コントラバーシス アンド パースペクテイブ(Treatment with GnRH analogs: Controversies and perspectives)[パルテノン バブリッシング グループ(株)(The Parthenon Publishing Group Ltd.)発行1996年]、特表平3−503165号公報、特開平3−101695号、同7−97334号および同8−259460号公報などに記載されているペプチド類が用いられる。
【0012】
LH−RH誘導体としては、LH−RHアゴニストまたはLH−RHアンタゴニストが用いられるが、LH-RHアンタゴニストとしては、例えば、一般式〔I〕
X-D2Nal-D4ClPhe-D3Pal-Ser-A-B-Leu-C-Pro-DAlaNH2
〔式中、XはN(4H2-furoyl)GlyまたはNAcを、AはNMeTyr、Tyr、Aph(Atz)、NMeAph(Atz)から選ばれる残基を、BはDLys(Nic)、DCit、DLys(AzaglyNic)、DLys(AzaglyFur)、DhArg(Et2)、DAph(Atz)およびDhCi から選ばれる残基を、CはLys(Nisp)、ArgまたはhArg(Et2)をそれぞれ示す〕で表わされるペプチド、アバレリックス、デガレリックス、アンタレリックス、イツレリックス、オルンタイド、セトロレリックスもしくはガニレリックスまたはその塩などが用いられる。
また、非ペプチド性のLH-RHアンタゴニストとしては、WO 95/28405号公報(特開平8-295693号)、WO 97/14697号公報(特開平9-169767号)、WO 97/14682号公報(特開平9-169735号)、WO 96/24597号公報(特開平9-169768号)、チエノピリジン系化合物『例、3-(N-Benzyl-N-methylaminomethyl)4,7-dihydro-5-isobutyryl-7-(2,6-difluorobenzyl)-2-[4-[(1-hydroxycyclopropyl)carbonylamino]phenyl]-4-oxothieno[2,3-b]pyridine等』を記載したWO 00/00493号公報、チエノピリミジン系化合物『例、5-(N-benzyl-N-methylaminomethyl)-1-(2,6-difluorobenzyl)-6-[4-(3-methoxyureido)phenyl]-3-phenylthieno[2,3-d]pyrimidine-2,4(1H,3H)-dione等』を記載したWO 00/56739号、5-[(3,5,5,8,8-pentamethyl-5,6,7,8-tetrahydro-2-naphthalenyl)methyl]-N-(2,4,6-trimethoxyphenyl)-2-furamide(アメリカ癌学会(AACR)、2002.4.6-10)などが用いられる。
【0013】
LH-RHアゴニストとしては、例えば、一般式〔II〕
5-oxo-Pro-His-Trp-Ser-Tyr-Y-Leu-Arg-Pro-Z
〔式中、YはDLeu、DAla、DTrp、DSer(tBu)、D2NalおよびDHis(ImBzl)から選ばれる残基を、ZはNH-C2H5またはGly-NH2をそれぞれ示す〕で表わされる生理活性ペプチドなどが用いられる。特に、YがDLeuで、ZがNH-C2H5であるペプチドまたはその塩(即ち、5-oxo-Pro-His-Trp-Ser-Tyr-DLeu-Leu-Arg-Pro-NH-C2H5で表されるペプチド[以下「ペプチドA」ともいう]またはその塩、特にその酢酸塩(酢酸リュープロレリン))などが好適である。
【0014】
LH-RHアゴニストとして、前記のリュープロレリンの他に好ましい具体例としては、例えば、
(1)ブセレリン(Buserelin)
【化1】
Figure 0004530626
(米国特許No.4,024,248、ドイツ特許第2438352号,特開昭和51−41359号)、
(2)トリプトレリン(Triptorelin)
【化2】
Figure 0004530626
(米国特開第4010125号,特開昭52−31073号)、
(3)ナファレリン(Nafarelin)
【化3】
Figure 0004530626
(米国特開第4234571号,特開昭55−164663号,同昭63−264498号,同昭64−25794号)、
(4)ヒストレリン(Histrelin)
【化4】
Figure 0004530626
(5)デスロレリン(Deslorelin)
【化5】
Figure 0004530626
(米国特開第4569967号,同4218439号)、
(6)メテレリン(Meterelin)
【化6】
Figure 0004530626
(PCT WO 91/18016)、
(7)ゴナドレリン(Gonadrelin)
【化7】
Figure 0004530626
(ドイツ特許第2213737号)、
(8)ゴセレリン(Goserelin)
【化8】
Figure 0004530626
(米国特開第4100274号,特開昭52−136172号)、
(9)レシレリン(Lecirelin)
【化9】
Figure 0004530626
〔ベルギー特許第897455号、特開昭59-59654号〕など、またはそれらの塩などが用いられる。
【0015】
本明細書中で使用される略号の意味は次のとおりである。
略号 名称
N(4H2-furoyl)Gly: N-テトラヒドロフロイルグリシン残基
NAc : N-アセチル基
D2Nal : D-3-(2-ナフチル)アラニン残基
D4ClPhe : D-3-(4-クロロ)フェニルアラニン残基
D3Pal : D-3-(3-ピリジル)アラニン残基
NMeTyr : N-メチルチロシン残基
Aph(Atz) : N-[5'-(3'-アミノ-1'H-1',2',4'-トリアゾリル)]フェニルアラニン残基
NMeAph(Atz) : N-メチル-[5'-(3'-アミノ-1'H-1',2',4'-トリアゾリル)]フェニルアラニン残基
DLys(Nic) : D-(e-N-ニコチノイル)リシン残基
Dcit : D-シトルリン残基
DLys(AzaglyNic) : D-(アザグリシルニコチノイル)リシン残基
DLys(AzaglyFur) : D-(アザグリシルフラニル)リシン残基
DhArg(Et2) : D-(N,N'-ジエチル)ホモアルギニン残基
DAph(Atz) : D-N-[5'-(3'-アミノ-1'H-1',2',4'-トリアゾリル)]フェニルアラニン残基
DhCi : D-ホモシトルリン残基
Lys(Nisp) : (e-N-イソプロピル)リシン残基
hArg(Et2) : (N,N'-ジエチル)ホモアルギニン残基
その他アミノ酸に関し、略号で表示する場合、IUPAC-IUBコミッション・オブ・バイオケミカル・ノーメンクレーチュアー(Commission on Biochemical Nomenclature) (ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・バイオケミストリー(European Journal of Biochemistry)第138巻、9〜37頁(1984年)による略号または該当分野における慣用略号に基づくものとし、また、アミノ酸に関して光学異性体がありうる場合は、特に明示しなければL体を示すものとする。
【0016】
本発明において、「生理活性物質および当該生理活性物質の約1.5倍モル以上の酸または塩基を含む水溶液」および「水溶液に対して約0.1〜約20重量%の酸または塩基」の「酸または塩基」としては一般に製造上用いられているものであれば特に限定されないが、無機酸、有機酸、無機塩基、有機塩基、酸性または塩基性アミノ酸等を用いることができる。好ましくは酸であり、より好ましくは有機酸である。
無機酸の好適な例としては、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸等が用いられる。有機酸の好適な例としては、例えばメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等のスルホン酸類;ギ酸、酢酸、プロピオン酸等の脂肪酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸などの脂肪族ジカルボン酸;アクリル酸、フマル酸、マレイン酸などの不飽和脂肪酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などの炭素環カルボン酸;その他、トリフルオロ酢酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、グリコール酸等の置換カルボン酸が用いられ、より好適には脂肪酸、乳酸、グリコール酸が用いられ、特に好適には酢酸が用いられる。酸性アミノ酸の好適な例としては、例えばアスパラギン酸、グルタミン酸等が用いられ、塩基性アミノ酸の好適な例としては、例えばアルギニン、リジン、オルニチン等が用いられる。無機塩基の好適な例としては、例えばナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属;水素化リチウム、水素化カリウム、水素化ナトリウム等の水素化アルカリ金属類;酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム等の無機水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等の炭酸の塩等、並びにアルミニウム、アンモニウム等が用いられる。有機塩基の好適な例としては、例えばリチウムエトキシド、リチウム−tert−ブトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム−tert−ブトキシド等の炭素数1ないし6の金属アルコキシド類;カリウムフェノキシド、ナトリウムフェノキシド等の金属フェノキシド類;酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等の酢酸の塩;n-ブチルリチウム、t-ブチルリチウム、ジエチルアミノリチウム等の有機リチウム塩;フェニルヒドラジン、p-トリルヒドラジン等のヒドラジン類;アミジン類;水酸化第四アンモニウム類;スルホニウム塩基類;トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、2,6−ルチジン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン等のアミン類等を用いることができる。
酸が「有機酸」である場合、そのpKaは特に限定されないが、例えば、好ましくは約0.1〜約6.0であり、より好ましくは約1.0〜約6.0であり、さらに好ましくは約3.5〜約6.0である。
【0017】
本発明において、当該「酸と塩基」は、生理活性物質と独立して酸または塩基を水溶液に含有せしめてもよいし、または生理活性物質の酸または塩基との塩の形で水溶液に含有せしめてもよく、さらに生理活性物質の酸または塩基との塩および、それとは独立した酸または塩基を水溶液に含有せしめてもよい。
【0018】
このように本発明で用いられる生理活性物質はそれ自身であっても、薬理学的に許容される塩であってもよい。
このような塩としては、該生理活性物質がアミノ基等の塩基性基を有する場合、無機酸(無機の遊離酸とも称する)(例、炭酸、重炭酸、塩酸、硫酸、硝酸、ホウ酸等)、有機酸(有機の遊離酸とも称する)(例、コハク酸、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸等)など酸との塩が用いられる。該生理活性物質がLHRH誘導体の場合、特に酢酸を添加することが好ましく、たとえば酢酸リュープロレリンなどが好ましい。
生理活性物質がカルボキシル基等の酸性基を有する場合、無機塩基(無機の遊離塩基とも称する)(例、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属など)や有機塩基(有機の遊離塩基とも称する)(例、トリエチルアミン等の有機アミン類、アルギニン等の塩基性アミノ酸類等)など塩基との塩が用いられる。また、生理活性ペプチドは金属錯体化合物(例、銅錯体、亜鉛錯体等)を形成していてもよい。
これらの化合物またはその塩は、前記文献あるいは公報記載の方法あるいはこれに準じる方法で製造することができる。
【0019】
ここで「生理活性物質」に対する「酸または塩基」の使用量としては、生理活性物質1モルに対して、約1.5モル倍以上使用することができ、好ましくは約1.5倍モル以上約5倍モル以下であり、より好ましくは約1.65倍モル以上約3倍モル以下である。
また、本発明において「水溶液」に対する「酸または塩基」の使用量(重量%)としては、本願発明の効果を発揮すればよく特に限定されないが、水溶液に対して約0.1〜約20%が好ましく、より好ましくは約1〜約15%、さらに好ましくは約3〜約10%である。
前記で述べたように、この「酸または塩基」は、水溶液に外部から独立して含有せしめてもよいし、生理活性物質の塩の形で水溶液に含有せしめてもよく、さらに外部から独立して含有せしめる方法と生理活性物質の塩の形で水溶液に含有せしめる方法を組み合わせてもよい。
【0020】
本発明における生体内分解性ポリマーとしては、例えば、生体内分解性の高分子重合物が好ましく、例えば脂肪族ポリエステル〔例えばα−ヒドロキシ酸類(例、グリコール酸、乳酸、2−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ吉草酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸、2−ヒドロキシカプリル酸等)、α−ヒドロキシ酸の環状二量体類(例、グリコリド、ラクチド等)、ヒドロキシジカルボン酸類(例、リンゴ酸)、ヒドロキシトリカルボン酸(例、クエン酸)等の単独重合体(例、乳酸重合体等)または2種以上の共重合体(例えば、乳酸/グリコール酸共重合体,2−ヒドロキシ酪酸/グリコール酸共重合体等)、あるいはこれら単独重合体および/または共重合体の混合物(例、乳酸重合体と2−ヒドロキシ酪酸/グリコール酸共重合体との混合物等)〕、ポリ−α−シアノアクリル酸エステル、ポリアミノ酸(例、ポリ−γ−ベンジル−L−グルタミン酸,ポリ−L−アラニン,ポリ−γ−メチル−L−グルタミン酸等)、無水マレイン酸系共重合体(例、スチレン/マレイン酸共重合体等)等が用いられる。これらの中で脂肪族ポリエステル、ポリ−α−シアノアクリル酸エステルが好ましい。さらに、脂肪族ポリエステルが特に好ましい。脂肪族ポリエステルの中でα−ヒドロキシモノカルボン酸類(例、グリコール酸、乳酸等)、α−ヒドロキシジカルボン酸類(例、リンゴ酸)、α−ヒドロキシトリカルボン酸(例、クエン酸)等のα−ヒドロキシカルボン酸類の1種以上から合成され、遊離の末端カルボキシル基を有する重合体、共重合体、またはこれらの混合物;ポリ(α−シアノアクリル酸エステル);ポリアミノ酸(例、ポリ(γ−ベンジル−L−グルタミン酸)等);無水マレイン酸系共重合体(例、スチレン−マレイン酸共重合体等)などが用いられる。
モノマーの結合様式としては、ランダム、ブロック、グラフトのいずれでもよい。また、前記α−ヒドロキシモノカルボン酸類、α−ヒドロキシジカルボン酸類、α−ヒドロキシトリカルボン酸類が分子内に光学活性中心を有する場合、D−、L−、DL−体のいずれを用いてもよい。これらの中でも、乳酸−グリコール酸重合体(以下、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)あるいは乳酸−グリコール酸共重合体と称することもあり、特に明示しない限り、乳酸、グリコール酸のホモポリマー(重合体)及びコポリマー(共重合体)を総称する。また乳酸ホモポリマーは乳酸重合体、ポリ乳酸、ポリラクチドなどと、またグリコール酸ホモポリマーはグリコール酸重合体、ポリグリコール酸、ポリグリコリドなどと称される場合がある)、ポリ(α−シアノアクリル酸エステル)などが好ましい。さらに好ましくは、乳酸−グリコール酸重合体であり、より好ましくは、遊離の末端カルボキシル基を有する乳酸−グリコール酸重合体である。
生体内分解性ポリマーは塩であってもよい。塩としては、例えば、無機塩基(例、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属など)や有機塩基(例、トリエチルアミン等の有機アミン類、アルギニン等の塩基性アミノ酸類等)などとの塩、または遷移金属(例,亜鉛,鉄,銅など)との塩および錯塩などが用いられる。
生体内分解性ポリマーとして乳酸−グリコール酸重合体を用いる場合、その組成比(モル%)は100/0〜約40/60が好ましく、100/0〜約50/50がより好ましい。また、2カ月以上にわたって生理活性物質を放出する長期徐放型マイクロカプセルの場合、組成比が100/0である乳酸重合体も好ましく用いられる。
該「乳酸−グリコール酸重合体」の最小繰り返し単位の一つである乳酸の光学異性体比は、D−体/L−体(モル/モル%)が約75/25〜約25/75の範囲のものが好ましい。このD−体/L−体(モル/モル%)は、特に約60/40〜約30/70の範囲のものが汎用される。
該「乳酸−グリコール酸重合体」の重量平均分子量は、通常、約3000〜約100000、好ましくは約5000〜約50000、より好ましくは約8000〜約30000、さらに好ましくは約17000〜約30000のものが用いられる。
また、分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は、通常約1.1〜約4.0が好ましく、さらには約1.2〜約3.5が好ましい。なお、本明細書で用いられる重量平均分子量および分散度は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定した値を意味する。重量平均分子量及び各重合体含有量は、単分散ポリスチレンを基準物質としてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量及びそれらから算出した各重合体含有量である。また、測定は全て高速GPC装置(東ソー(株)製;HLC−8120GPC)で行い、カラムはSuperH4000×2及びSuperH2000(何れも東ソー(株)製)を使用し、移動相としてテトラヒドロフランを流速0.6mL/minで使用した。尚、検出方法は示差屈折率によるものである。
該「乳酸−グリコール酸重合体」の遊離の末端カルボキシル基量は、重合体の単位質量(グラム)あたり通常約20〜約1000μmol(マイクロモル)が好ましく、さらには約40〜約300μmol(マイクロモル)が特に好ましい。
本発明において、「生理活性物質」に対する生体内分解性ポリマーの遊離の末端カルボキシル基量は約0.1〜約5倍モルが好ましく、より好ましくは約0.2〜約4倍モル、さらに好ましくは約0.3〜約3.5倍モルである。
【0021】
前記の遊離の末端カルボキシル基量とはラベル化法により求めたもの(以下、「ラベル化法によるカルボキシル基量」と称する)をいう。具体的にポリ乳酸の場合について述べると、ポリ乳酸 Wmgを5N塩酸/アセトニトリル(v/v=4/96)混液2mlに溶解し、0.01M o−ニトロフェニルヒドラジン塩酸塩(ONPH)溶液(5N塩酸/アセトニトリル/エタノール=1.02/35/15)2mlと0.15M 1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩溶液(ピリジン/エタノール=4v/96v)2mlを加えて40℃で30分反応させた後溶媒を留去する。残滓を水洗(4回)した後、アセトニトリル2mlで溶解し、0.5mol/lのエタノール性水酸化カリウム溶液1mlを加えて60℃で30分反応させる。反応液を1.5N水酸化ナトリウム水溶液で希釈してYmlとし、1.5N水酸化ナトリウム水溶液を対象として544nm吸光度A(/cm)を測定する。一方、DL−乳酸水溶液を基準物質として、その遊離カルボキシル基量 Cmol/Lをアルカリ滴定で求め、またONPHラベル化法でDL−乳酸ヒドラジドとしたときの544nm吸光度を B(/cm)とするとき、重合体の単位質量(グラム)あたりの遊離の末端カルボキシル基のモル量は以下の数式で求められる。
[COOH](mol/g)=(AYC)/(WB)
また、該「カルボキシル基量」は生体内分解性ポリマーをトルエン−アセトン−メタノール混合溶媒に溶解し、フェノールフタレインを指示薬としてこの溶液をアルコール性水酸化カリウム溶液でカルボキシル基を滴定して求めることもできる(以下、この方法によって求めた値を「アルカリ滴定法によるカルボキシル基量」と称する)が、滴定中にポリエステル主鎖の加水分解反応を競合する結果、滴定終点が不明確になる可能性があり前記ラベル化法で定量するのが望ましい。
該「乳酸−グリコール酸重合体」は、例えば、乳酸とグリコール酸からの無触媒脱水重縮合(特開昭61−28521号)あるいはラクチドとグリコリド等の環状ジエステル化合物からの触媒を用いた開環重合(Encyclopedic Handbook of Biomaterials and Bioengineering Part A: Materials, Volume 2, Marcel Dekker, Inc. 1995年)で製造できる。前記の公知の開環重合方法によって得られる重合体は、末端に遊離のカルボキシル基を有しているとは限らないが、例えば、EP−A−0839525号に記載の加水分解反応に付すことにより、単位質量当たりにある程度のカルボキシル基量を有する重合体に改変することができ、これを用いることもできる。
前記の「遊離の末端カルボキシル基を有する乳酸−グリコール酸重合体」は公知の製造法(例えば無触媒脱水重縮合法、特開昭61−28521号公報参照)と同様の方法またはそれに準じた方法により製造できる。
なかでも、本発明に用いられる高分子重合物としては乳酸重合体(以下、本発明の乳酸重合体と略記する場合がある)が好ましく、例えば、乳酸のみから成る重合体、或いは乳酸とその他のモノマー(例えばグリコール酸等)との共重合体を含み、特に限定されないが、通常重量平均分子量5000以下の重合体含有量が約10重量%以下、好ましくは重量平均分子量5000以下の重合体含有量が約5重量%以下のものが用いられる。
また、本発明の乳酸重合体の重量平均分子量は通常15000〜50000、好ましくは15000〜40000、より好ましくは17000〜30000である。
【0022】
本発明の乳酸重合体の原料となる高分子量の乳酸重合体は、市販品でも公知の方法で重合したものでもよく、その重量平均分子量は通常15000〜500000、好ましくは20000〜100000である。公知の重合方法としては、例えば、乳酸及び要すればグリコール酸とを縮合重合させる方法、例えばラクチドを、要すればグリコリドと共に、例えばジエチル亜鉛、トリエチルアルミニウム、オクチル酸スズ等のルイス酸又は金属塩等の触媒を用いて開環重合させる方法、前記方法に更にカルボキシル基が保護されたヒドロキシカルボン酸誘導体を存在させてラクチドを開環重合させる方法(例えば特許国際公開WO00/35990等)、その他ラクチドに加熱下で触媒を添加して開環重合させる方法(例えばJ. Med. Chem, 16, 897(1973)等)、例えばラクチドとグリコリドとを共重合させる方法等が用いられる。
重合形態としては、ラクチド等を溶融させて重合反応に付すバルク重合、ラクチド等を適当な溶媒に溶解して重合反応に付す溶液重合が用いられるが、中でも溶液重合によって得られる重合体を本発明の乳酸重合体の原料として使用することが工業生産上好ましい。
溶液重合においてラクチドを溶解する溶媒としては、例えばベンゼン,トルエン,キシレン等の芳香族炭化水素類、デカリン、ジメチルホルムアミド等が用いられる。
【0023】
前記の如くして得られた高分子量の乳酸重合体を加水分解するには、自体公知の加水分解方法が用いられ、例えば該高分子量の乳酸重合体を適当な溶媒に溶解した後、水及び要すれば酸を加えて反応させればよい。
高分子量の乳酸重合体を溶解する溶媒としては、具体的には、例えばクロロホルム,ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素、例えばトルエン,o−キシレン,m−キシレン,p−キシレン等の芳香族炭化水素、例えばテトラヒドロフラン等の環状エーテル、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミド等が用いられる。尚、高分子量の乳酸重合体の重合時に、高分子量の乳酸重合体の加水分解で使用できる溶媒を用いた場合には、重合した高分子量の乳酸重合体を単離せず、重合及び加水分解の操作を連続して行うことができる。
高分子量乳酸重合体を溶解する溶媒の使用量は、溶質である乳酸重合体に対して通常約0.1〜約100倍、好ましくは約1〜約10倍である。
添加する水の量は、高分子量乳酸重合体に対して通常約0.001〜約1倍重量、好ましくは約0.01〜約0.1倍重量である。
必要に応じて添加する酸としては、例えば塩酸,硫酸,硝酸等の無機酸、例えば乳酸,酢酸,トリフルオロ酢酸等の有機酸等が挙げられ、好ましくはトリフルオロ酢酸が用いられる。
添加する酸の量は、高分子量乳酸重合体に対して通常0〜約10倍重量、好ましくは約0.1〜約1倍重量である
加水分解反応温度は、通常約0〜約150℃、好ましくは約20〜約80℃である。
加水分解反応時間は、高分子量の乳酸重合体の重量平均分子量及び反応温度によっても異なり、通常約10分〜約100時間、好ましくは約1〜約20時間である。
加水分解処理の終了時期は、加水分解生成物の重量平均分子量に基づいて判断する。即ち、加水分解処理中に適宜サンプリングを行い、サンプル中の加水分解生成物の重量平均分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定し、当該分子量が約15000〜約50000、好ましくは約15000〜約40000、より好ましくは約17000〜約30000となっていることが確認できたら加水分解処理を停止させる。
【0024】
前記の如く高分子量の乳酸重合体を加水分解する操作に付すことにより得られる、加水分解生成物を含有する溶液から、そこに含有される目的の乳酸重合体を析出させる方法としては、該加水分解生成物含有溶液を、そこに含有される目的の乳酸重合体を析出させ得る溶媒と接触させる方法等が用いられる。
加水分解生成物含有溶液の好ましい態様としては、例えばクロロホルム,ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素、例えばトルエン,o−キシレン,m−キシレン,p−キシレン等の芳香族炭化水素、例えばテトラヒドロフラン等の環状エーテル、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミド等ジクロロメタンやキシレン等の高分子量乳酸重合体を溶解する溶媒に、重量平均分子量15000〜50000、好ましくは15000〜40000、より好ましくは17000〜30000の乳酸重合体が約10〜約50wt%溶解しているもの等が用いられる。
加水分解生成物含有溶液中に含有される目的の乳酸重合体を析出させ得る溶媒としては、例えばメタノール,エタノール等のアルコール類、例えばイソプロピルエーテル等の鎖状エーテル類、例えばヘキサン等の脂肪族炭化水素、水等が用いられる。
【0025】
目的とする乳酸重合体を析出させ得る溶媒の使用量は、加水分解生成物含有溶液の溶媒に対して通常約0.1〜約100倍重量、好ましくは約1〜約10倍重量である。
この様な各溶媒の種類と使用量の組み合わせの好ましい具体例としては、例えば溶質の約1〜約5倍重量のジクロロメタンを溶媒として用いられている加水分解生成物含有溶液に、溶解度を低下させる溶媒としてイソプロピルエーテルを、該ジクロロメタンに対して約2〜約10倍重量使用する態様等が用いられる。
目的の乳酸重合体溶質を析出させ得る溶媒を加水分解生成物含有溶液に接触させる際の、溶媒の温度は、通常約−20〜約60℃、好ましくは約0〜約40℃であり、加水分解生成物含有溶液の温度は通常約0〜約40℃、好ましくは約10〜約30℃である。
溶媒と加水分解生成物含有溶液とを接触させる方法としては、加水分解生成物含有溶液を溶媒中に一度に加える方法、加水分解生成物含有溶液を溶媒中に滴下する方法、溶媒を加水分解生成物含有溶液中に一度に加える方法、或いは溶媒を加水分解生成物含有溶液中に滴下する方法等が用いられる。
前記のようにして得られた本発明の乳酸重合体は、末端カルボキシル基量が徐放性製剤用基材として好ましい範囲にあるため、徐放性製剤用基材として好ましいものである。さらに、生体適合性の高分子重合物としては、例えば、ポリスチレン、ポリメタアクリル酸、アクリル酸とメタアクリル酸との共重合体、ポリアミノ酸、デキストランステアレート、エチルセルロース、アセチルセルロース、ニトロセルロース、無水マレイン酸系共重合物、エチレンビニルアセテート系共重合物、ポリビニルアセテート、ポリアクリルアミドなどが用いられる。
これらの高分子重合物は1種でもよく、また2種以上の共重合物あるいは単なる混合物でもよく、またその塩でもよい。
【0026】
以下に、本発明の生理活性物質またはその塩および本発明の乳酸重合体またはその塩を含有する徐放性組成物(例えば、マイクロカプセル)の製造法を例示する。
以下の製造工程中、必要に応じて、以下のものを自体公知の方法により添加してもよい。
(1)薬物保持剤
アルブミン、ゼラチン、クエン酸、サリチル酸、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、デキストリン、亜硫酸水素ナトリウム、ポリエチレングリコールなどのポリオール化合物、寒天、アルギン酸、ポリビニルアルコール、塩基性アミノ酸など。
(2)生理活性物質またはその塩の安定性、溶解性を保つためのpH調整剤
炭酸、酢酸、シュウ酸、クエン酸、リン酸、塩酸、水酸化ナトリウム、アルギニン、リジンおよびそれらの塩など。
(3)生理活性物質またはその塩の安定化剤
アルブミン、ゼラチン、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、デキストリン、亜硫酸水素ナトリウム、ポリエチレングリコールなどのポリオール化合物など。
(4)保存剤
パラオキシ安息香酸エステル類(メチルパラベン、プロピルパラベンなど)、ベンジルアルコール、クロロブタノール、チメロサールなど
【0027】
(I)W/O/W法
本方法においては、まず高分子重合物である生体内分解性ポリマーの溶解液(好ましくは有機溶媒溶液であり、より好ましくは水難溶性の有機溶媒である)を作製する。本発明の徐放性組成物(微粒子(マイクロパーティクル)の形態であることが好ましく、より好ましくはマイクロスフェアあるいはマイクロカプセルである)の製造の際に使用する溶解液は水難溶性の有機溶媒であり、沸点が約120℃以下であることが好ましい。
該有機溶媒としては、例えば、ハロゲン化炭化水素(例、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、トリクロロエタン、四塩化炭素等)、エーテル類(例、エチルエーテル、イソプロピルエーテル等)、脂肪酸エステル(例、酢酸エチル、酢酸ブチル等)、芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、アルコール類(例えば、エタノール、メタノール等)、アセトニトリルなどが用いられる。なかでもハロゲン化炭化水素が好ましく、特にジクロロメタンが好適である。また、これらは適宜の割合で混合して用いてもよい。その場合は、ハロゲン化炭化水素とアルコール類との混液が好ましく、特にジクロロメタンとエタノールとの混液が好適である。
生体内分解性ポリマーの溶解液中の濃度は、生体内分解性ポリマーの分子量、溶解液の種類によって異なるが、例えば、ジクロロメタンを溶解液として用いた場合、一般的には約0.5〜約70重量%、より好ましくは約1〜約60重量%、特に好ましくは約2〜約50重量%から選ばれる。
また、ジクロロメタンとの混有機溶媒としてエタノールを用いた場合の両者の比率は,一般的には約0.01〜約50%(v/v)、より好ましくは約0.05〜約40%(v/v)、特に好ましくは約0.1〜約30%(v/v)から選ばれる。
次に生理活性物質は、既に記載したように当該生理活性物質の約1.5倍モル以上の酸または塩基を含む水溶液あるいは約0.1〜約20重量%の濃度の酸または塩基の水溶液に溶解する。生理活性物質は適当な酸あるいは塩基との塩として溶解する場合もあり、さらにはその水溶液が水、水とアルコール類(例、メタノール、エタノール等)などとの混液を溶媒として用いることもある。
生理活性物質またはその塩の添加濃度は一般的には約0.001mg/ml〜約10g/ml、より好ましくは約0.1mg/ml〜約5g/mlで更に好ましくは約10mg/ml〜約3g/mlである。
溶解補助剤、安定化剤として公知のものを用いてもよい。生理活性物質や添加剤の溶解あるいは分散には活性が失われない程度に加熱、振とう、撹拌などを行ってもよく、そうして得られた水溶液を内水相と称する。
前記により得られた内水相と油相とをホモジナイザーまたは超音波等の公知の方法で乳化し、W/Oエマルションを形成させる。
ここで混合する生体内分解性ポリマーと生理活性物質の混合比率として、生体内分解性ポリマーの単位質量(グラム)あたりの末端カルボキシル基量が生理活性物質に対して通常約0.01〜約10倍モル、好ましくは約0.1〜約5倍モルである。
混合する油相の重量は内水相の重量に対し、約1〜約1000倍、好ましくは約2〜約100倍、より好ましくは約3〜約30倍である。
得られたW/Oエマルションの粘度範囲は一般的には約12〜約25℃で、約10〜約10,000cpで、好ましくは約100〜約5,000cpであり、より好ましくは約200〜約3,000cpであり、さらに好ましくは約300〜約2,000cpである。
本発明方法を工業的に実施する場合、W/Oエマルションの粘度範囲は一般的には約12〜約25℃で、約3,000cp以下が好ましく、より好ましくは約2,000cp以下であり、さらに好ましくは、約300〜約2,000cpである。
次いで、得られたW/Oエマルションを水相中に加え、W(内水相)/O(油相)/ W(外水相)エマルションを形成させた後、油相中の溶媒を揮散ないしは外水相中に拡散させ、マイクロカプセルを調製する。この際の外水相重量は一般的には油相重量の約1倍〜約10,000倍、より好ましくは約5倍〜約5,000倍、さらに好ましくは約10倍〜約2,000倍、特に好ましくは約20倍〜約500倍から選ばれる。
【0028】
前記の外水相中には乳化剤を加えてもよい。該乳化剤は、一般に安定なW/O/Wエマルションを形成できるものであればいずれでもよい。具体的には、例えば、アニオン性界面活性剤(オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウムなど)、非イオン性界面活性剤(ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル〔ツイーン(Tween)80、ツイーン(Tween)60、アトラスパウダー社〕、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体〔HCO−60、HCO−50、日光ケミカルズ〕など)、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、レシチン、ゼラチン、ヒアルロン酸などが用いられる。これらの中の1種類か、いくつかを組み合わせて使用してもよい。使用の際の濃度は、好ましくは約0.01〜約10重量%の範囲で、さらに好ましくは約0.05〜約5重量%の範囲で用いられる。
前記の外水相中には浸透圧調節剤を加えてもよい。該浸透圧調節剤としては、水溶液とした場合に浸透圧を示すものであればよい。
該浸透圧調節剤としては、例えば、多価アルコール類、一価アルコール類、単糖類、二糖類、オリゴ糖およびアミノ酸類またはそれらの誘導体などが用いられる。
前記の多価アルコール類としては、例えば、グリセリン等の三価アルコール類、アラビトール,キシリトール,アドニトール等の五価アルコール類、マンニトール,ソルビトール,ズルシトール等の六価アルコール類などが用いられる。なかでも、六価アルコール類が好ましく、特にマンニトールが好適である。
前記の一価アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどが挙げられ、このうちエタノールが好ましい。
前記の単糖類としては、例えば、アラビノース,キシロース,リボース,2−デオキシリボース等の五炭糖類、ブドウ糖,果糖,ガラクトース,マンオース,ソルボース,ラムノース,フコース等の六炭糖類が用いられ、このうち六炭糖類が好ましい。
前記のオリゴ糖としては、例えば、マルトトリオース,ラフィノース糖等の三糖類、スタキオース等の四糖類などが用いられ、このうち三糖類が好ましい。
前記の単糖類、二糖類およびオリゴ糖の誘導体としては、例えば、グルコサミン、ガラクトサミン、グルクロン酸、ガラクツロン酸などが用いられる。
前記のアミノ酸類としては、L−体のものであればいずれも用いることができ、例えば、グリシン、ロイシン、アルギニンなどが用いられる。このうちL−アルギニンが好ましい。
これらの浸透圧調節剤は単独で使用しても、混合して使用してもよい。これらの浸透圧調節剤は、外水相の浸透圧が生理食塩水の浸透圧の約1/50〜約5倍、好ましくは約1/25〜約3倍となる濃度で用いられる。浸透圧調節剤としてマンニトールを用いた場合、約0.5%〜約1.5%の濃度が好ましい。
有機溶媒を除去する方法としては、自体公知の方法あるいはそれに準じる方法が用いられる。例えば、プロペラ型撹拌機またはマグネチックスターラーなどで撹拌しながら常圧もしくは徐々に減圧にして有機溶媒を蒸発させる方法、ロータリーエヴァポレーターなどを用いて真空度を調節しながら有機溶媒を蒸発させる方法などが用いられる。
【0029】
このようにして得られたマイクロカプセルは遠心分離または濾過して分取した後、マイクロカプセルの表面に付着している遊離の生理活性物質、乳化剤、浸透圧調節剤などを蒸留水で数回繰り返し洗浄し、再び蒸留水などに分散して凍結乾燥する。
製造工程中、粒子同士の凝集を防ぐために凝集防止剤を加えてもよい。該凝集防止剤としては、例えば、マンニトール,ラクトース,ブドウ糖,デンプン類(例、コーンスターチ等)などの水溶性多糖、グリシンなどのアミノ酸、フィブリン,コラーゲンなどのタンパク質などが用いられる。なかでも、マンニトールが好適である。
マンニトール等の凝集防止剤の添加量は、マイクロカプセル全体に対して、通常0〜約24重量%である。
また、凍結乾燥後、必要であれば、減圧下マイクロカプセル同士が融着しない条件下で加温してマイクロカプセル中の水分および有機溶媒の除去を行ってもよい。好ましくは、毎分約10〜約20℃の昇温速度の条件下、示差走査熱量計で求めたマイクロカプセルの中間点ガラス転移温度付近あるいは若干高い温度で加温する。より好ましくはマイクロカプセルの中間点ガラス転移温度付近あるいはこれより約30℃高い温度範囲内で加温する。とりわけ,生体内分解性ポリマーとして乳酸-グリコール酸重合体を用いる場合には好ましくはマイクロカプセルの中間点ガラス転移温度付近から中間点ガラス転移温度より約10℃高い温度範囲,さらに好ましくは、中間点ガラス転移温度付近から中間点ガラス転移温度より約5℃高い温度範囲で加温する。
加温時間はマイクロカプセルの量などによって異なるものの、一般的にはマイクロカプセル自体が所定の温度に達した後、約12時間〜約168時間、好ましくは約24時間〜約120時間、特に好ましくは約48時間〜約96時間である。
加温方法は、マイクロカプセルの集合が均一に加温できる方法であれば特に限定されない。
該加温乾燥方法としては、例えば、恒温槽、流動槽、移動槽またはキルン中で加温乾燥する方法、マイクロ波で加温乾燥する方法などが用いられる。なかでも恒温槽中で加温乾燥する方法が好ましい。
(II)相分離法
本法によってマイクロカプセルを製造する場合には,前記(I)の水中乾燥法に記載した生理活性物質及び本発明の生体内分解性ポリマーから成る組成物を含むW/O乳化液にコアセルベーション剤を撹拌下徐々に加えてマイクロカプセルを析出,固化させる。該コアセルベーション剤は油相体積の約0.01〜約1,000倍、好ましくは約0.05〜約500倍、特に好ましくは約0.1〜約200倍から選ばれる。
コアセルベーション剤としては、有機溶媒と混和する高分子系,鉱物油系または植物油系の化合物等で本発明の生体内分解性ポリマーを溶解しないものであれば特に限定はされない。具体的には、例えば、シリコン油,ゴマ油,大豆油,コーン油,綿実油,ココナッツ油,アマニ油,鉱物油,n-ヘキサン,n-ヘプタンなどが用いられる。これらは2種類以上混合して使用してもよい。
このようにして得られたマイクロカプセルを分取した後、ヘプタン等で繰り返し洗浄して生理活性物質及び本発明の生体内分解性ポリマーからなる組成物以外のコアセルベーション剤等を除去し、減圧乾燥する。もしくは、前記(I)(i)の水中乾燥法で記載と同様の方法で洗浄を行った後に凍結乾燥、さらには加温乾燥する。
【0030】
(III)噴霧乾燥法
本法によってマイクロカプセルを製造する場合には,前記(I)の水中乾燥法に記載した生理活性物質及び本発明の生体内分解性ポリマーから成る組成物を含有するW/O乳化液をノズルを用いてスプレードライヤー(噴霧乾燥器)の乾燥室内に噴霧し、極めて短時間内に微粒化液滴内の有機溶媒を揮発させ、マイクロカプセルを調製する。該ノズルとしては、例えば、二流体ノズル型,圧力ノズル型,回転ディスク型等がある。この後、必要であれば、前記(I)の水中乾燥法で記載と同様の方法で洗浄を行った後に凍結乾燥、さらには加温乾燥してもよい。
上述のマイクロカプセル以外の剤形としてマイクロカプセルの製造法(I)の水中乾燥法に記載した生理活性物質及び本発明の生体内分解性ポリマーから成る組成物を含む有機溶媒溶液または分散液を、例えば、ロータリーエヴァポレーターなどを用いて真空度を調節しながら有機溶媒および水を蒸発させて乾固した後、ジェットミルなどで粉砕して微粒子(マイクロパーティクル)としてもよい。
さらには、粉砕した微粒子をマイクロカプセルの製造法(I)の水中乾燥法で記載と同様の方法で洗浄を行った後に凍結乾燥、さらには加温乾燥してもよい。
【0031】
本発明において、生理活性物質に対して約1.5〜約5倍モルの酸または塩基を使用することが好ましい。
生理活性物質が一般式
5-oxo-Pro-His-Trp-Ser-Tyr-Y-Leu-Arg-Pro-Z
〔式中、各記号は前記と同意義を示す。〕で表される化合物である場合、当該物質に対して約1.5〜約5倍モルの酸を使用することが好ましい。当該酸としては有機酸が好ましく、特に酢酸などが用いられる。
生体内分解性ポリマーとしては乳酸−グリコール酸重合体が好ましく、その組成モル比は100対0〜約50対50のものが好ましく、特に100対0の重合体も好適に用いられ、重量平均分子量5000以下の重合体含有量が約5重量%以下である、重量平均分子量15000〜50000の乳酸重合体が好ましい。
生体内分解性ポリマーの溶解液としては、水難溶性の有機溶媒が好ましく、特にジクロロメタンが好ましい。
本発明において、1)生理活性物質と酸または塩基を含む水溶液と、2)生体内分解性ポリマーの溶解液とを混合した混合液は均一に混合されていることが好ましく、この混合液はエマルションであることが好ましい。
さらに好ましくはエマルションがW/O型であり、そのエマルションサイズが微細なものである。
混合液の乾燥は水中乾燥法で行うことが好ましく、特に水中乾燥の外水相に浸透圧調節剤を用いることが好ましい。
浸透圧調節剤としてはマンニトールが好ましい。
【0032】
本発明の徐放性組成物は、そのまままたはこれらを原料物質として種々の剤形に製剤化し、筋肉内、皮下、臓器などへの注射剤または埋め込み剤、鼻腔、直腸、子宮などへの経粘膜剤、経口剤(例、カプセル剤(例、硬カプセル剤、軟カプセル剤等)、顆粒剤、散剤等の固形製剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤等の液剤等)などとして投与することができる。
例えば、本発明の徐放性組成物を注射剤とするには、これらを分散剤(例、ツイーン(Tween)80,HCO−60等の界面活性剤、ヒアルロン酸ナトリウム,カルボキシメチルセルロース,アルギン酸ナトリウム等の多糖類など)、保存剤(例、メチルパラベン、プロピルパラベンなど)、等張化剤(例、塩化ナトリウム,マンニトール,ソルビトール,ブドウ糖,プロリンなど)等の分散媒と共に水性懸濁剤とするか、ゴマ油、コーン油などの植物油等の分散媒と共に分散して油性懸濁剤として実際に使用できる徐放性注射剤とすることができる。
本発明の徐放性組成物の粒子径は、懸濁注射剤として使用する場合には、その分散度、通針性を満足する範囲であればよく、例えば、平均粒子径として約0.1〜約300μm、好ましくは約0.5〜約150μmの範囲、さらに好ましくは約1から約100μmの範囲である。
本発明の徐放性組成物を無菌製剤にするには、製造全工程を無菌にする方法、ガンマ線で滅菌する方法、防腐剤を添加する方法等が用いられるが、特に限定されない。
さらに、前記の徐放性組成物の徐放性注射剤は、懸濁剤として、前記の組成以外に、賦形剤(たとえば、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、ブドウ糖など)を加えて、再分散した後、凍結乾燥もしくは噴霧乾燥して固型化し、用時に、注射用蒸留水あるいは適当な分散媒を加えると、より安定した徐放性注射剤が得られる。
徐放性組成物の徐放性注射剤にマンニトール等の賦形剤を添加する場合、賦形剤の含有量は注射剤全体に対して、0〜約50重量%、好ましくは約1〜約20重量%である。
徐放性組成物の徐放性注射剤を用時、注射用蒸留水あるいは適当な分散媒に分散させる場合、徐放性組成物の含有量は分散媒と徐放性組成物の総量に対して、約1〜約80重量%、好ましくは約10〜約60重量%である。
【0033】
本発明の徐放性組成物を経口投与製剤にするには、自体公知の方法に従い、本発明の徐放性組成物を例えば賦形剤(例、乳糖、白糖、デンプンなど)、崩壊剤(例、デンプン、炭酸カルシウムなど)、結合剤(例、デンプン、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロースなど)または滑沢剤(例、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール6000など)などを添加して圧縮成形し、次いで必要により、味のマスキング,腸溶性あるいは持続性の目的のため自体公知の方法でコーティングすることにより経口投与製剤とすることができる。そのコーティング剤としては、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース,エチルセルロース,ヒドロキシメチルセルロース,ヒドロキシプロピルセルロース,ポリオキシエチレングリコール,ツイーン80,ブルロニックF68,セルロースアセテートフタレート,ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート,ヒドロキシメチルセルロースアセテートサクシネート,オイドラギット(ローム社製,西ドイツ,メタアクリル酸・アクリル酸共重合)および酸化チタン,ベンガラ等の色素が用いられる。
【0034】
本発明の徐放性組成物を経鼻投与製剤とするには、自体公知の方法に従い、本発明方法により製造された徐放性組成物を固状、半固状または液状の経鼻投与剤とすることができる。たとえば、前記固状のものとしては、該徐放性組成物をそのまま、あるいは賦形剤(例、グルコース、マンニトール、デンプン、微結晶セルロースなど)、増粘剤(例、天然ガム類、セルロース誘導体、アクリル酸重合体など)などを添加、混合して粉状の組成物とする。前記液状のものとしては、注射剤の場合とほとんど同様で、油性あるいは水性懸濁剤とする。半固状の場合は、水性または油性のゲル剤、あるいは軟膏状のものがよい。また、これらはいずれも、pH調整剤(例、炭酸、リン酸、クエン酸、塩酸、水酸化ナトリウムなど)、防腐剤(例、パラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、塩化ベンザルコニウムなど)などを加えてもよい。
【0035】
本発明の徐放性組成物を坐剤とするには、自体公知の方法に従い、本発明方法により製造された徐放性組成物を油性または水性の固状、半固状あるいは液状の座剤とすることができる。前記組成物に用いる油性基剤としては、マイクロカプセルを溶解しないものであればよく、たとえば高級脂肪酸のグリセリド〔例、カカオ脂、ウイテプゾル類(ダイナマイトノーベル社)など〕、中級脂肪酸〔例、ミグリオール類(ダイナマイトノーベル社)など〕、あるいは植物油(例、ゴマ油、大豆油、綿実油など)などが用いられる。また、水性基剤としては、たとえばポリエチレングリコール類、プロピレングリコール、水性ゲル基剤としては、たとえば天然ガム類、セルロース誘導体、ビニール重合体、アクリル酸重合体などが用いられる。
本発明の徐放性組成物は、注射剤として用いることが好ましい。
【0036】
本発明の徐放性組成物は、低毒性であるので、哺乳動物(例、ヒト、牛、豚、犬、ネコ、マウス、ラット、ウサギ等)に対して安全な医薬などとして用いることができる。
本発明の徐放性組成物またはその徐放性組成物の投与量は、主薬である生理活性物質またはその塩の種類と含量、剤形、生理活性物質またはその塩放出の持続時間、対象疾病、対象動物などによって種々異なるが、生理活性物質またはその塩の有効量であればよい。主薬である生理活性物質またはその塩の1回当たりの投与量としては、例えば、徐放性組成物が6カ月製剤である場合、好ましくは、成人1人当たり約0.01mg〜約10mg/kg体重の範囲,さらに好ましくは約0.05mg〜約5mg/kg体重の範囲から適宜選ぶことができる。
1回当たりの徐放性組成物の投与量は、成人1人当たり好ましくは、約0.05mg〜約50mg/kg体重の範囲、さらに好ましくは約0.1mg〜約30mg/kg体重の範囲から適宜選ぶことができる。
投与回数は、数週間に1回、1か月に1回、または数か月(例、3ヵ月、4ヵ月、6ヵ月など)に1回等、主薬である生理活性物質またはその塩の種類と含量、剤形、生理活性物質またはその塩放出の持続時間、対象疾病、対象動物などによって適宜選ぶことができる。
【0037】
本発明の徐放性組成物またはその徐放性組成物は、含有する生理活性物質またはその塩の種類に応じて、種々の疾患などの予防・治療剤として用いることができるが、例えば、生理活性物質またはその塩がLH−RH誘導体である場合には、ホルモン依存性疾患、特に性ホルモン依存性癌(例、前立腺癌、子宮癌、乳癌、下垂体腫瘍など)、前立腺肥大症、子宮内膜症、子宮筋腫、思春期早発症、月経困難症、無月経症、月経前症候群、多房性卵巣症候群等の性ホルモン依存性の疾患の予防・治療剤および避妊(もしくは、その休薬後のリバウンド効果を利用した場合には、不妊症の予防・治療)剤、アルツハイマー病や免疫不全等の疾患の予防・治療剤などとして用いることができる。さらに、性ホルモン非依存性であるがLH−RH感受性である良性または悪性腫瘍などの予防・治療剤としても用いることができる。
乳癌細胞にはホルモン感受性があり、エストロゲンにより増殖する乳癌細胞があるため、酢酸リュープロレリンをはじめとするホルモン療法薬剤を閉経前の術後再発予防剤として用いることは困難であると考えられていたが、前記の公知の方法またはそれに準じた方法により製造されたLH-RHアゴニストまたはアンタゴニスト(好ましくは、リュープロレリンまたはその塩、より好ましくは酢酸リュープロレリン)を含有してなる剤(好ましくは、リュープロレリンまたはその塩(好ましくは酢酸リュープロレリン)を含有してなる徐放型マイクロカプセルを含有してなる剤)は、予想外にも、閉経前乳癌の術後再発予防剤または再発抑制剤として用いることができる。
前記のLH-RHアゴニストまたはアンタゴニスト(好ましくは、リュープロレリンまたはその塩、より好ましくは酢酸リュープロレリン)を含有してなる剤(好ましくは、リュープロレリンまたはその塩(好ましくは酢酸リュープロレリン)を含有してなる徐放型マイクロカプセルを含有してなる剤)を含有する徐放性組成物は、そのまま皮下、筋肉内、血管など(好ましくは皮下など)に容易に注射剤および埋め込み剤など(好ましくは注射剤など)として投与することができる。また、その他前記の種々の製剤に成形して投与することもでき、そのような製剤を製造する際の原料物質としても使用され得る。
また、前記LH-RHアゴニストまたはアンタゴニストを含有する徐放性組成物の投与量は、対象疾患、LH-RHアゴニストまたはアンタゴニスト(好ましくは、リュープロレリンまたはその塩、より好ましくは酢酸リュープロレリン)の含量、剤形、LH-RHアゴニストまたはアンタゴニスト(好ましくは、リュープロレリンまたはその塩、より好ましくは酢酸リュープロレリン)の持続時間、投与対象動物[例、温血哺乳動物(例、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマなど)]により種々異なるが、該LH-RHアゴニストまたはアンタゴニスト(好ましくは、リュープロレリンまたはその塩、より好ましくは酢酸リュープロレリン)の有効量であればよい。たとえば、前記温血哺乳動物に1回あたり投与量として、約0.01mgないし約100mg/kg体重、好ましくは約0.02mgないし約50mg/kg体重、さらに好ましくは約0.05mgないし約20mg/kg体重の範囲から適宜選ぶことができる。
【0038】
また、前記LH-RHアゴニストまたはアンタゴニストを含有する徐放性組成物を注射剤として投与する場合、成人患者(体重60kgに対し)においては、一月あたりLH-RHアゴニストまたはアンタゴニスト(好ましくは、リュープロレリンまたはその塩、より好ましくは酢酸リュープロレリン)を通常約0.01から約50mg程度、好ましくは約0.1から約20mg程度、より好ましくは約0.1から約15mg程度を皮下あるいは筋肉内に投与すればよい。
LH-RHアゴニストまたはアンタゴニスト(好ましくは、リュープロレリンまたはその塩、より好ましくは酢酸リュープロレリン)を含有してなる剤(好ましくは、リュープロレリンまたはその塩(好ましくは酢酸リュープロレリン)を含有してなる徐放型マイクロカプセルを含有してなる剤)の投与期間は、特に限定されないが、通常約1〜約5年、好ましくは約2年である。
他の動物の場合も、体重60kg当たりに換算した量を投与することができる。また、前記のLH-RHアゴニストまたはアンタゴニスト(好ましくは、式 5-oxo-Pro-His-Trp-Ser-Tyr-DLeu-Leu-Arg-Pro-NH-C2H5で表されるぺプチドまたはその塩(以下、単に「リュープロレリンまたはその塩」と称する場合がある))、より好ましくは酢酸リュープロレリンは、必要に応じて糖衣を施した錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、徐放性製剤などとして経口的に、あるいは水もしくはそれ以外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶液、または懸濁液剤、徐放性製剤(特に徐放型マイクロカプセル)などの注射剤、埋め込み剤(生体内分解性ポリマーを基材として成型されたもの、チタンなどの生体内適合性金属の筒に封入され、一定速度で活性成分を放出するもの)、生体に投与可能な有機溶媒に生体内分解性ポリマーおよび薬物を溶解あるいは分散した注射剤、または溶液、懸濁液剤などの経鼻投与製剤の形で非経口的に投与できるが、好ましくは徐放性製剤として、特に好ましくは徐放性注射剤として投与される。また、徐放性製剤が徐放型マイクロカプセルである場合、約2カ月以上にわたってLH-RHアゴニストあるいはアンタゴニストを放出する長期徐放型マイクロカプセルであることが好ましい。
リュープロレリンまたはその塩、より好ましくは酢酸リュープロレリンを生理学的に認められる公知の担体、香味剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、安定剤、結合剤などとともに一般に認められた製剤実施に要求される単位用量形態で混和することによって前記製剤を製造することができる。
【0039】
錠剤、カプセル剤などに混和することができる添加剤としては、例えばゼラチン、コーンスターチ、トラガント、アラビアゴムのような結合剤、結晶性セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチン、アルギン酸などのような膨化剤、ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖またはサッカリンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ油またはチェリーのような香味剤などが用いられる。調剤単位形態がカプセルである場合には、前記タイプの材料にさらに油脂のような液状担体を含有することができる。注射のための無菌組成物は注射用水のようなベヒクル中の活性物質、胡麻油、椰子油などのような天然産出植物油などを溶解または懸濁させるなどの通常の製剤実施に従って処方することができる。注射用の水性液としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液(例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール、塩化ナトリウムなど)などが用いられ、適当な溶解補助剤、例えば、アルコール(例、エタノール)、ポリアルコール(例、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤(例、ポリソルベート80(TM)、HCO−50)などと併用してもよい。油性液としては、例えば、ゴマ油、大豆油などが用いられ、溶解補助剤である安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどと併用してもよい。
また、前記製剤は、例えば、緩衝剤(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液など)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミン、ポリエチレングリコールなど)、保存剤(例えば、ベンジルアルコール、フェノールなど)、酸化防止剤などと配合してもよい。調製された注射液は通常、適当なアンプル、バイアルなどの密封容器に充填される。
【0040】
【実施例】
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。
実施例1
DL−乳酸重合体(重量平均分子量21,900)206.6gをジクロロメタン354.8gで溶解した溶液を約30℃に温調した。この溶液381.5gを量り取り、酢酸リュープロレリン15.8gを16.6gの酢酸水溶液(氷酢酸0.6gを蒸留水31.75gに溶解)に溶解して約55℃に加温した水溶液と混合し、ミニミキサー(特殊機化製)を用いて乳化しW/O乳化物を形成した(回転数約10,000rpm)。次いでこのW/O乳化物を約18℃に冷却後、予め約18℃に温調しておいた0.1%(w/w)ポリビニルアルコール(EG−40、日本合成化学製)+1%マンニトール水溶液25リットル中に注入し、 HOMOMIC LINE FLOW(特殊機化製)を用いて二次乳化しW/O/W乳化物とした(タービン回転数約7,000rpm、循環ポンプ回転数約2000rpm)。このW/O/W乳化物を約3時間水中乾燥し、75μmの標準篩を用いて篩過し、次いで遠心機(H−600S, 国産遠心器製)を用いて連続的にマイクロスフェアを沈降させて捕集した(回転数約2,000rpm、流量約600ml/min)。捕集されたマイクロスフェアは少量の蒸留水に再分散し、90μmの標準篩を用いて篩過した後、マンニトール18.9gを添加し、凍結乾燥機(TRIOMASTER,共和真空製)で凍結乾燥して粉末(マイクロマイクロスフェア末)を得た。得られたマイクロスフェアの酢酸リュープロレリン含量は8.2%であり、回収率も約75%であった。
酢酸の添加により良好にW/Oエマルションを得ることができ、外水相にマンニトールを添加することにより、得られたマイクロスフェアの分散性を改善することができる。
【0041】
実験例1
DL−乳酸重合体(重量平均分子量21,900)151.3gをジクロロメタン259.9gで溶解した溶液を約30℃に温調した。この溶液373.7gを量り取り、酢酸リュープロレリン15.5gを16.2gの酢酸水溶液(氷酢酸0.6gを蒸留水31.7gに溶解)に溶解して約55℃に加温した水溶液と混合し、ミニミキサー(特殊機化製)を用いて乳化しW/O乳化物を形成した(回転数約10,000rpm)。乳化開始2,5,8分後にW/Oエマルションを一部回収し、粘度測定(振動粘度測定計)し、その結果を表1に示した。
【表1】
Figure 0004530626
安定なW/Oエマルションが得られ、乳化時間8分ではやや粘度が高いものの、5分乳化でも製造上問題となるような粘度の上昇はなかった。
【0042】
比較例1
DL−乳酸重合体(重量平均分子量21,900)151.1gをジクロロメタン259.8gで溶解した溶液を約30℃に温調した。この溶液374.6gを量り取り、酢酸リュープロレリン15.5gを15.9gの蒸留水に溶解して約55℃に加温した水溶液と混合し、ミニミキサー(特殊機化製)を用いて乳化しW/O乳化物を形成した(回転数約10,000rpm)。乳化開始2,4分後にW/Oエマルションを一部回収し、粘度測定(振動粘度測定計)し、その結果を表2に示した。
【表2】
Figure 0004530626
4分でW/Oエマルションの粘度が上昇した。酢酸添加系で行った実験例1と比較して、W/Oエマルションの粘度上昇が顕著であった。
【0043】
実験例2
酢酸リュープロレリン(薬物含量97.4%、酢酸含量6.0%)0.2061gを酢酸濃度の異なる酢酸水溶液0.2116gに溶解し、DL−乳酸重合体(重量平均分子量21,900)1.82gをジクロロメタン3.15gで溶解した溶液を添加後、ボルテックスミキサーで約30秒間攪拌することによりW/Oエマルションを作製した。W/Oエマルションの様子を比較した。その結果を図1に示す。酢酸量が薬物に対して約1.8倍モルの場合小さなエマルション粒子が形成されているようであった。1.4倍モルでは薬物がゲル化、1.6倍モルではややゲル化傾向が認められた。1.8、2.3、2.8倍モルでは均一なエマルションが得られたが、1.8倍モルのエマルションは青みがかったほぼ透明色であるのに対し、2.3倍モル以上はやや白っぽいエマルション色であった。また約1.7倍モルにおいても青みのある透明色を呈したことを確認した。このことから青みのある透明色を呈した1.7〜1.8倍モルが最も微細なエマルション粒子を形成したと考えられた。
【0044】
実験例3
酢酸リュープロレリン(薬物含量97.4%、酢酸含量6.0%)0.2gを酢酸濃度の異なる酢酸水溶液0.2116gに溶解し、乳酸グリコール酸共重合体(重量平均分子量10500)1.82gをジクロロメタン3.15gで溶解した溶液を添加後、ボルテックスミキサーで約30秒間攪拌することによりW/Oエマルションを作製した。W/Oエマルションの様子を比較したところ、酢酸量が薬物に対して約1.8倍モルの場合均一なエマルション粒子が形成されているようであった。1.3、1.4倍モルでは油相と内水相の分離が認められた。
【0045】
実験例4
酢酸リュープロレリン(薬物含量97.4%、酢酸含量6.0%)0.2gを酢酸濃度の異なる酢酸水溶液0.2116gに溶解し、DL−乳酸重合体(重量平均分子量14500)1.82gをジクロロメタン3.15gで溶解した溶液を添加後、ボルテックスミキサーで約30秒間攪拌することによりW/Oエマルションを作製した。W/Oエマルションの様子を比較したところ、酢酸量が薬物に対して約1.8倍モルの場合均一なエマルション粒子が形成されているようであった。1.3、1.4倍モルでは油相と内水相の分離が認められた。
【0046】
実験例5
実施例1で得られたマイクロスフェア約110mgを0.3mlの分散媒(0.15mgのカルボキシメチルセルロース,0.3mgのポリソルベート80,15mgのマンニトールを溶解した蒸留水)に分散して7週齢雄性SDラットの背部皮下に22G注射針で投与した。投与から所定時間後にラットを屠殺して投与部位に残存するマイクロスフェアを取り出し、この中のペプチドAを定量してその初期含量で除して求めた残存率を表3に示す。
Figure 0004530626
表3から明らかなように、ペプチドAのみを処方して製造した実施例1のマイクロスフェアは、生理活性物質を高いトラップ効率で含むことができ、分散性も良好であり、生理活性物質の初期の過剰放出も抑止した。また、このマイクロスフェアは非常に長期にわたって生理活性物質を一定速度で放出している。
【0047】
実験例6
ペプチドA酢酸塩0.6gを2wt%酢酸水溶液0.65gに溶解した(ペプチドAに対して1.5倍モル以上)。これにポリ乳酸(重量平均分子量21,000)5.4gをジクロロメタン9.45gで溶解した溶液を添加し、手で軽く分散させた後ポリトロン(キネマティカ社製)で所定時間乳化しW/Oエマルションを作製した。乳化時間を変え、W/Oエマルションの粘度を測定した。その結果を図2に示す。
同様にして、ペプチドA0.6gを2wt%酢酸水溶液0.635gに溶解した(ペプチドAに対して1.5倍モル未満)。これにポリ乳酸(重量平均分子量21,000)5.4gをジクロロメタン9.45gで溶解した溶液を添加し、手で軽く分散させた後ポリトロン(キネマティカ社製)で所定時間乳化しW/Oエマルションを作製した。
ペプチドAに対して1.5倍モル未満の酢酸を使用したものは比較的短い乳化時間でW/Oエマルションの粘度が上昇することがあったが、ペプチドAに対して1.5倍モル以上の酢酸を使用したものはW/Oエマルションが安定で、図2に示されるように短時間で粘度が上昇したりすることもなく容易にW/Oエマルションを製造することができた。
【0048】
以上の実験結果から、薬物に対して約1.5倍モル以上の酢酸共存によりW/Oエマルションが安定化し、約1.65倍モル以上では比較的微細なエマルションが得られることがわかった。O相のポリマーとしては乳酸重合体や乳酸グリコール酸重合体で確認できており、最終製剤の製造性も改善できた。
【0049】
【発明の効果】
本発明の徐放性組成物の製造方法により、W/Oエマルションを安定に形成させ、製造中の薬物リークを抑制することができ、徐放性組成物の製造性が向上し、また薬物を高含量で取り込め、安定した薬物放出をする徐放性組成物を得ることが可能となる。さらに本発明方法を用いて製造された徐放性組成物は薬物を高含量で保持し、安定した薬物の放出特性を示し、医薬品として有用である。
本発明方法により、生理活性物質を含む水溶液と生体内分解性ポリマーの溶解液の混合液を安定化することができ、通常条件においてその混合液の粘度を3000cp以下にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実験例2で作成したW/Oエマルションの様子を表す写真である。下記の数字は酢酸と薬物のモル比を表す数値である。
【図2】実験例6における、ペプチドAに対して1.5倍モル以上の酢酸を使用した場合の、乳化時間とW/Oエマルション粘度の関係を示す図である。左から順に、酢酸/薬物モル比が1.4、1.6、1.8、2.3および2.8の例を示す。

Claims (28)

  1. 式:5-oxo-Pro-His-Trp-Ser-Tyr-DLeu-Leu-Arg-Pro-NH-C2H5で表される生理活性物質および当該生理活性物質の1.5〜5倍モルの酢酸を含む水溶液と生体内分解性ポリマーの溶解液とを混合し、次いで当該混合液を乾燥する徐放性組成物の製造方法。
  2. 水溶液が、生理活性物質と酢酸との塩を含有する水溶液である請求項1記載の方法。
  3. 徐放性組成物における生理活性物質の重量比が0.001〜50重量%である請求項1記載の方法。
  4. 式:5-oxo-Pro-His-Trp-Ser-Tyr-DLeu-Leu-Arg-Pro-NH-C2H5で表される生理活性物質の1.5〜5倍モルの酢酸を含有せしめることを特徴とする、当該生理活性物質を含む水溶液と生体内分解性ポリマーの溶解液との混合液の安定化方法。
  5. 式:5-oxo-Pro-His-Trp-Ser-Tyr-DLeu-Leu-Arg-Pro-NH-C2H5で表される生理活性物質の1.5〜5倍モルの酢酸を含有せしめることを特徴とする、当該生理活性物質を含む水溶液と生体内分解性ポリマーの溶解液との混合液の粘度を3000cp以下にする方法。
  6. 生理活性物質に対する酢酸の量が1.65〜3倍モルである請求項1、4または5項記載の方法。
  7. 生理活性物質に対する酢酸の量が1.7〜1.8倍モルである請求項1、4または5項記載の方法。
  8. 生体内分解性ポリマーがα−ヒドロキシカルボン酸重合体である請求項1、4または5項記載の方法。
  9. α−ヒドロキシカルボン酸重合体が乳酸−グリコール酸重合体である請求項8記載の方法。
  10. 乳酸−グリコール酸重合体の乳酸とグリコール酸の組成モル比が100対0〜50対50である請求項9記載の方法。
  11. 乳酸−グリコール酸重合体の乳酸とグリコール酸の組成モル比が100対0である請求項10記載の方法。
  12. 乳酸−グリコール酸重合体の重量平均分子量が5000〜50000である請求項9記載の方法。
  13. 乳酸−グリコール酸重合体の重量平均分子量が17000〜30000である請求項9記載の方法。
  14. 生体内分解性ポリマーが重量平均分子量5000以下の重合体含有量が5重量%以下である、重量平均分子量15000〜50000の乳酸重合体である請求項1記載の方法。
  15. 生体内分解性ポリマーの末端カルボキシル基量が重合体の単位質量(グラム)あたり20〜1000μmol(マイクロモル)の乳酸-グリコール酸重合体である請求項1記載の方法。
  16. 生体内分解性ポリマーの末端カルボキシル基量が生理活性物質に対して0.1〜5倍モルである請求項1記載の方法。
  17. 生体内分解性ポリマーの溶解液が、水難溶性の有機溶媒を用いた溶解液である請求項1、4または5項記載の方法。
  18. 水難溶性の有機溶媒がジクロロメタンである請求項17記載の方法。
  19. 混合液が均一に混合されている請求項1、4または5項記載の方法。
  20. 均一に混合されている混合液がエマルションである請求項19記載の方法。
  21. エマルションがW/O型である請求項20記載の方法。
  22. エマルションのサイズが微細である請求項21記載の方法。
  23. 混合液の乾燥が水中乾燥である請求項1記載の方法。
  24. 水中乾燥の外水相に浸透圧調節剤の水溶液を用いる請求項23記載の方法。
  25. 浸透圧調節剤がマンニトールである請求項24記載の方法。
  26. 徐放性組成物の形態が微粒子である請求項1記載の方法。
  27. 微粒子がマイクロスフェアあるいはマイクロカプセルである請求項26記載の方法。
  28. 請求項1記載の方法を用いて製造された徐放性組成物。
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