JPH09221420A - ヒドロキサム酸類の徐放性製剤 - Google Patents

ヒドロキサム酸類の徐放性製剤

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JPH09221420A
JPH09221420A JP32858296A JP32858296A JPH09221420A JP H09221420 A JPH09221420 A JP H09221420A JP 32858296 A JP32858296 A JP 32858296A JP 32858296 A JP32858296 A JP 32858296A JP H09221420 A JPH09221420 A JP H09221420A
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compound
acid
sustained
polymer
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JP32858296A
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English (en)
Inventor
Shigeru Kamei
茂 亀井
Akiko Kamijo
彰子 上条
Yasutaka Igari
康孝 猪狩
Kaneyoshi Katou
金芳 加藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Takeda Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Takeda Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ヒドロキサム酸類を効率良く取り込みかつ徐放
する製剤の提供。 【解決手段】ヒドロキサム酸類と末端に遊離のカルボキ
シル基を有する生体内分解性ポリマーとを含み、そのう
ち少なくとも一方が金属塩である徐放性製剤およびその
製造法。 【効果】本発明によれば、ヒドロキサム酸類を効率良く
取り込みかつ安定して徐放する製剤が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ヒドロキサム酸類
の徐放性製剤およびその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】特開平2−124814号公報には有機
塩基の添加による薬物の取り込み率が高い上に初期薬物
放出が少ない水溶性薬物の徐放型マイクロカプセルが開
示されている。特開昭52−5711号公報には X-O-
(CO-C(R)H-O)m-H〔式中Xはアルカリ金属、水素または両
方の混合物;Rはメチルまたは水素を意味し、mの平均値
は約3ないし約30、ただし、Xの少なくとも20%は
アルカリ金属で、Rの少なくとも20%はメチルであ
る〕の低分子鎖状ポリエステル塩、具体的にはナトリウ
ム、カリウム、マグネシウム塩の薬剤用基剤が開示され
ている。特開昭61−225137号公報には抗菌剤、
鎮痛剤を含有するラクチドとグリコリドの共重合体製剤
の製造時にカルシウム、マグネシウム、亜鉛あるいはア
ルミニウムの脂肪酸塩を添加する製造法が開示されてい
る。EP0633020A1には脂肪酸金属塩と乳酸ー
グリコール酸重合体から水中乾燥法で薬物を含まないマ
イクロカプセルを製造した後、このマイクロカプセルに
水溶性ポリペプチドを水中で浸透させてポリペプチド含
有マイクロカプセルを製造する方法が開示されている。
特開平1−110624号公報には、細胞増殖抑制作
用、血管新生阻害作用を有し,癌または自己免疫疾患の
治療および予防作用を有するヒドロキサム酸類が記載さ
れている。ヒドロキサム酸の定量反応として多価金属と
反応させ、発色させる定量法が知られているが(化学大
辞典)、この性質を利用してヒドロキサム酸類を徐放製
剤とした例は報告されていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ヒドロキサム酸類を効
率良く取り込みかつ徐放する製剤を得る。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記の問題点を解決する
ために鋭意研究の結果、ヒドロキサム酸類とカルボキシ
ル基を有する生体内分解性ポリマーとを含み、そのうち
少なくとも一方を金属塩とすることによってヒドロキサ
ム酸類を効率良く取り込みかつ安定して徐放できること
を見いだし、本発明を完成するに至った。
【0005】すなわち、本発明は、(1)ヒドロキサム
酸類と遊離のカルボキシル基を有する生体内分解性ポリ
マーとを含み、そのうち少なくとも一方が金属塩である
徐放性製剤、(2)金属塩が多価金属塩である前記
(1)記載の徐放性製剤、(3)金属塩の金属がカルシ
ウム,マグネシウム,アルミニウム,亜鉛,鉄の中から
選ばれる金属である前記(1)記載の徐放性製剤、
(4)生体内分解性ポリマーがα−ヒドロキシカルボン
酸重合体である前記(1)記載の徐放性製剤、(5)生
体内分解性ポリマーが乳酸−グリコール酸共重合体であ
る前記(4)記載の徐放性製剤、(6)乳酸とグリコー
ル酸の組成比(モル%)が約100/0ないし約40/
60である前記(5)記載の徐放性製剤、(7)重合体
の重量平均分子量が約3,000ないし約20,000
である前記(4)記載の徐放性製剤、(8)末端のカル
ボキシル基を金属塩にした生体内分解性ポリマー中の金
属含量が約0.01ないし約5%(w/w) である前
記(1)記載の徐放性製剤、(9)ヒドロキサム酸類の
金属塩を含む前記(1)記載の徐放性製剤、(10)生
体内分解性ポリマーの金属塩を含む前記(1)記載の徐
放性製剤、(11)マイクロカプセルである前記(1)
記載の徐放性製剤、(12)マイクロカプセルが注射用
である前記(11)記載の徐放性製剤、(13)注射用
である前記(1)記載の徐放性製剤、(14)少なくと
も一方が金属塩であるヒドロキサム酸類および遊離のカ
ルボキシル基を有する生体内分解性ポリマーを有機溶媒
に溶解または分散し、これを水相に添加し、次いで水中
乾燥に付すことを特徴とする徐放性製剤の製造法、(1
5)ヒドロキサム酸類、金属化合物および遊離のカルボ
キシル基を有する生体内分解性ポリマーを有機溶媒に溶
解または分散し、これを水相に添加し、次いで水中乾燥
に付すことを特徴とする徐放性製剤の製造法に関する。
【0006】本発明でいう遊離のカルボキシル基を有す
る生体内分解性ポリマーとは、該ポリマーの金属塩であ
る場合も含まれる。本発明でいうヒドロキサム酸類とは
分子構造内にヒドロキサム酸構造〔-CONHO-〕を有する
化合物と定義される。ヒドロキサム酸類としては、非ペ
プチド性ヒドロキサム酸類、ペプチド性ヒドロキサム酸
類のいずれでも良く、好ましくは非ペプチド性ヒドロキ
サム酸類が用いられる。本願発明の徐放性製剤で用いら
れるヒドロキサム酸類としては、例えば 1)特開昭63−264442号公報および米国特許第
4,731,382号公報に記載の、一般式
【化1】 〔式中、nは6ないし11の整数、Mは水素または薬学
的に許容できるカチオン、Xa,XbおよびXc はそれぞ
れ、水素、(低級)アルキル、(低級)アルケニル、C
1−C4アルコキシ、ハロ、ニトロ、ヒドロキシ、アミ
ノ、シアノ、チオ、場合により置換されたアリール、場
合により置換されたアリール(低級)アルキル、(低
級)アルキルチオ、アシル、アシルオキシ、アシルアミ
ノ、3ないし6個の炭素原子を有するシクロアルキル、
シクロアルキル基が3ないし6個の炭素原子を有するシ
クロアルキルオキシ、(低級)アルキルアミノ、または
ジ(低級)アルキルアミノを表し、しかしXa,Xb お
よびXcのすべてが水素であることはない〕で表される
化合物、
【0007】2)特開昭59−46244号公報に記載
の、一般式 AB(CH2)nCONHOH 〔式中、AはRXm を示し(ここでRはフェニル基、ピ
ロリル基、チエニル基、イミダゾリル基およびチアゾリ
ル基を示し、Xはハロゲン原子、低級アルキル基、低級
アシルオキシ基、およびニトロ基を示し、mは0,1ま
たは2を示し、m個のXは同一または異なることができ
る。)、Bは −CH(OH)−,−CH2−,−O−およ
び−CO−を示し、nは2−10の整数を示す。〕で表
される化合物、 3)米国特許第4,564,476号公報に記載の、一
般式
【化2】 〔式中、R1、R2およびR3は水素等、XはCH=CH
等、Yは−CONHR4(R4はアルキルまたは水酸基を
示す〕で表される化合物、 4)特開昭53−84938号公報および米国特許第
4,188,338号公報に記載の、一般式
【化3】 〔式中、RはC1-6アルコキシ等、R1およびR2は水
素、C1-6アルコキシ等、R3およびR4は水素またはC
1-6アルキル、R5は水素またはR3もしくはR4と共にメ
チレンを示し、nは0または1である〕で表される化合
物、
【0008】5)特開昭61−251640号公報およ
び米国特許第4,608,390号公報に記載の、一般
【化4】 〔式中、Xは水素、C1-22アルキル、アルケニルまたは
電子吸引基、nは0または1、mは0、1、2または3
であるが、ただしnおよびmは同時には0ではなく、R
1およびR2はそれぞれ水素、C1-6アルキル、電子吸引
基またはR4、R3は水素C1-6アルキル、シクロアルキ
ルまたはR4、R4は式
【化5】 (式中、Yは水素または電子吸引基を示す)、Mは薬学
的に許容できるカチオンを示す〕で表される化合物、 6)EP−199,151A2号公報に記載の、一般式
【化6】 〔式中、R1は三環性芳香族またはビアリール基、R2
水素、C1-6アルキルまたはシクロアルキル、nは0ま
たは1、Mは薬学的に許容できるカチオンを示す〕で表
される化合物、
【0009】7)特開平1−110624号に記載の、
一般式
【化7】 〔式中、R1、R2は同一または異なってメチル基または
メトキシ基を示すか、R1とR2が互いに結合してR1
2で−CH=CH−CH=CH−を示す。R3は置換さ
れていてもよい芳香族基または異項環基を示し、nは2
ないし8の整数を示す。〕で表される化合物(以下、化
合物(I)と略記)、 8)特開昭61−44840号公報に記載の、一般式
【化8】 〔式中、R1、R2、R3は水素原子、メチル基等を、R4
は置換されていてもよい脂肪族基、芳香族基または異項
環基を、R5はエステル化またはアミド化されていても
よいカルボキシル基等を、Zは−CH=CH−等を、n
は0ないし10の整数を、mは0ないし3の整数を、k
は0ないし5の整数を示す。〕で表される化合物、 9)特開昭58−92677号公報に記載の1−(7−
ヒドロキシカルバモイル−ヘプチル)−3−メチル−2
−(3−ピリジル)インドール塩酸塩、 10)特開昭59−118784号公報に記載の、5−
〔5−(ヒドロキシカルバモイル)ペンチル〕−イミダ
ゾ〔1,5−a〕ピリジン、
【0010】11)EPO737671号公報(特願平
7−215932号に基づくヨーロッパ出願)に記載
の、一般式
【化9】 〔式中、Ar は置換基を有していてもよい芳香族基を、
Qは2価の脂肪族炭化水素基を、R1は水素原子、シア
ノ基、置換基を有していてもよい炭化水素基、式
【化10】 で表される化合物(以下、化合物(II)と略記)、また
は一般式
【化11】 〔式中、R2'は水素原子またはアシル基を、その他の記
号は一般式(I)と同意義を示す〕で表される化合物
(以下、化合物(III)と略記)及び 12)特願平8−159302号に記載の、一般式
【化12】 〔式中、Ar1 およびAr2 はそれぞれ置換基を有して
いてもよい芳香族基、Qは酸素原子または硫黄原子を含
有していてもよく、かつ置換基を有していてもよい2価
の脂肪族炭化水素基、R1は水素原子、アシル基または
置換基を有していてもよい炭化水素基、Xは i)電子吸
引基、ii)置換基を有していてもよい芳香族基、iii)
【化13】 (式中、R2 およびR3 はそれぞれ水素原子、アシル基
または置換基を有していてもよい炭化水素基、あるいは
2 とR3 は隣接する窒素原子と共に置換基を有してい
てもよい含窒素複素環を形成していてもよい)で表され
る基、iv)置換基を有していてもよい水酸基または v)
置換基を有していてもよいメルカプト基を示す〕で表さ
れる化合物(以下、化合物(IV)と略記)、
【0011】13)特表平7−509459号公報に記
載の、一般式
【化14】 〔式中、R2は基R6−A−(式中、Aは、O又はS原子
を介していてもよい6までの炭素原子の2価の直鎖又は
分枝、飽和又は不飽和の炭化水素鎖、及びR6は水素又
は任意に置換されたフェニル、シクロアルキル又はシク
ロアルケニル基)、R3はいずれかの極性置換基が任意
に保護された、プロリン以外の天然α−アミノ酸の特徴
的な側鎖であり、R4は水素又はメチルであり、R5は水
素、C1-6アルキル、又は基D−(C1−C6アルキル)
(ここで、Dは水素、(C1−C6)アルコキシ、(C1
−C6)アルキルチオ、アシルアミノ、任意に置換され
たフェニル、又は複素環基、NH2、又はモノ−又はジ
−(C1−C6アルキル)アミン又は複素環基)、又は、
3及びR5はいっしょになって、O、S又はNの異原子
を介していてもよい2価の8ないし14の炭素原子の飽
和又は不飽和の炭化水素鎖で表される〕で表される化合
物等のマトリックス・メタロプロテアーゼ(matrix met
alloprotease)阻害、リポキシゲナーゼ阻害、血小板凝
集抑制、脳内の免疫担当細胞(例、ミクログリア、アス
トロサイト等)の活性化を抑制することによる神経変性
抑制、抗腫瘍、抗炎症、解熱、鎮痛、消炎、鎮咳去痰、
鎮静、筋弛緩、抗てんかん、抗潰瘍、抗うつ、抗アレル
ギー、強心、抗不整脈、血管拡張、降圧利尿、抗糖尿
病、抗凝血、止血、抗結核、麻薬拮抗、骨吸収抑制、血
管新生阻害などの作用を有するヒドロキサム酸類が用い
られる。
【0012】本願発明で用いられるヒドロキサム酸類と
しては好ましくは、特開平1−110624号公報に記
載の化合物(I)、EPO737671号公報に記載の
化合物(II)、(III)及び特願平8−159302号
に記載の化合物(IV)等が用いられる。ヒドロキサム酸
類として好ましくは、特開平1−110624号公報に
記載の6−(4−メトキシフェニル)−6−(3−メチ
ル−1,4−ナフトキノン−2−イル)ヘキサノヒドロ
キサム酸(化合物A)、EPO737671号公報に記
載の7−(4−メトキシフェニル)−7−(3−メチル
−1,4−ナフトキノン−2−イル)ヘプタノヒドロキ
サム酸または7−(3−メチル−1,4−ナフトキノン
−2−イル)−7−フェニルヘプタノヒドロキサム酸
(化合物B)等、特願平8−159302号に記載の7
−シアノ−7,7−ジフェニルヘプタノヒドロキサム酸
または7,7−ビス(4−メトキシフェニル)−7−シ
アノヘプタノヒドロキサム酸(化合物C)等が用いられ
る。上記式(II)および(III)中、Arで示される
「置換基を有していてもよい芳香族基」の「芳香族基」
としては、例えば芳香族炭化水素基、芳香族複素環基な
どがあげられ、さらにキノン環基なども用いられる。該
「芳香族炭化水素基」としては、例えば炭素数6ないし
14個の単環式あるいは縮合多環式芳香族炭化水素基な
どが挙げられる。その具体例としてはフェニル、1−ナ
フチル、2−ナフチル、インデニル、アンスリルなどの
6-14アリール基などが挙げられる。このうちフェニ
ル、1−ナフチル、2−ナフチルなどが好ましい。特に
好ましくは、1−ナフチル、2−ナフチルなどである。
【0013】該「芳香族複素環基」としては、例えば炭
素原子以外に窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選
ばれるヘテロ原子を1個以上(例えば1ないし4個)を
含む5ないし11員の単環またはその縮合芳香族複素環
基などが挙げられる。具体的には、チオフェン、ベンゾ
〔b〕チオフェン、ベンゾ〔b〕フラン、ベンズイミダ
ゾール、ベンズオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベン
ズイソチアゾール、ナフト〔2,3−b〕チオフェン、
チアントレン、フラン、イソインドリジン、キサントレ
ン、フェノキサチイン、ピロール、イミダゾール、ピラ
ゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジ
ン、インドール、イソインドール、1H−インダゾー
ル、プリン、4H−キノリジン、イソキノリン、キノリ
ン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾ
リン、シンノリン、カルバゾール、β−カルボリン、フ
ェナントリジン、アクリジン、フェナジン、イソチアゾ
ール、フェノチアジン、イソオキサゾール、フラザン、
フェノキサジン、イソクロマンなどの芳香族複素環、あ
るいはこれらの環が1個あるいは複数個(好ましくは1
または2個)の芳香環(例、ベンゼン環、ピリジン環
等)と縮合して形成された環から任意の水素原子を除い
てできる1価基などが挙げられる。「芳香族複素環基」
の好ましい例としては、2−ピリジル、3−ピリジル、
4−ピリジル、2−キノリル、3−キノリル、4−キノ
リル、5−キノリル、8−キノリル、1−イソキノリ
ル、3−イソキノリル、4−イソキノリル、5−イソキ
ノリル、1−インドリル、2−インドリル、3−インド
リル、2−ベンゾチアゾリル、2−ベンゾ〔b〕チエニ
ル、ベンゾ〔b〕フラニル、2−チエニル、3−チエニ
ル、2−ベンゾオキサゾリル、2−ベンゾイミダゾリ
ル、2−ピリドチアゾリルなどが挙げられる。さらに好
ましくは、2−キノリル、3−キノリル、4−キノリ
ル、1−イソキノリル、4−イソキノリル、2−ベンゾ
チアゾリル、2−ベンゾオキサゾリル、2−ベンゾイミ
ダゾリル、2−ピリドチアオゾリルなどである。特に2
−キノリル、4−キノリル、1−イソキノリルなどが好
ましい。該「キノン環基」はキノン環から1個の水素を
除いた基であり、例えばp−ベンゾキノン、1,4−ナ
フトキノン、アントラキノン、5,6−クリセンキノ
ン、5,8−ジオキソ−5,8−ジヒドロキノリンなどか
ら得られるキノン環基が挙げられる。好ましいキノンの
例としては、p−ベンゾキノン、1,4−ナフトキノン
などが挙げられる。
【0014】Arで示される「置換基を有していてもよ
い芳香族基」の置換基としては、例えばハロゲン原子
(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素など)、C1-3アル
キレンジオキシ基(例、メチレンジオキシ、エチレンジ
オキシなど)、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン化されて
いてもよいC1-6アルキル基、ハロゲン化されていても
よいC3-6シクロアルキル基(例、シクロプロピル、シ
クロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなど)、
ハロゲン化されていてもよいC1-6アルコキシ基、ハロ
ゲン化されていてもよいC1-6アルキルチオ基、ヒドロ
キシル基、アミノ基、モノ−C1-6アルキルアミノ基
(例、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、
イソプロピルアミノ、ブチルアミノなど)、ジ−C1-6
アルキルアミノ基(例、ジメチルアミノ、ジエチルアミ
ノ、ジプロピルアミノ、ジブチルアミノなど)、C1-6
アルキル−カルボニル基(例、アセチル、プロピオニル
など)、カルボキシル基、C1-6アルコキシ−カルボニ
ル基(例、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、
プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニルなど)、カ
ルバモイル基、モノ−C1-6アルキルカルバモイル基
(例、メチルカルバモイル、エチルカルバモイルな
ど)、ジ−C1-6アルキルカルバモイル基(例、ジメチ
ルカルバモイル、ジエチルカルバモイルなど)、C6-10
アリール−カルバモイル基(例、フェニルカルバモイ
ル、ナフチルカルバモイルなど)、スルホ基、C1-6
ルキルスルホニル基(例、メチルスルホニル、エチルス
ルホニルなど)、C6-10アリール基(例、フェニル、ナ
フチルなど)、C6-10アリールオキシ基(例、フェニル
オキシ、ナフチルオキシなど)、ハロゲン化されていて
もよいC1-6アルキルスルホニルアミノ基、置換基を有
していてもよいC6-10アリールスルホニルアミノ基など
が挙げられる。
【0015】上記「ハロゲン化されていてもよいC1-6
アルキル基」としては、例えば1ないし3個のハロゲン
原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素など)を有して
いてもよいC1-6アルキル基(例、メチル、エチル、プ
ロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチ
ル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシルなど)などが挙
げられ、具体例としては、メチル、クロロメチル、ジフ
ルオロメチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチ
ル、エチル、2−ブロモエチル、2,2,2−トリフルオ
ロエチル、ペンタフルオロエチル、プロピル、3,3,3
−トリフルオロプロピル、イソプロピル、ブチル、4,
4,4−トリフルオロブチル、イソブチル、sec−ブチ
ル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペン
チル、5,5,5−トリフルオロペンチル、ヘキシル、
6,6,6−トリフルオロヘキシルなどが挙げられる。上
記「ハロゲン化されていてもよいC3-6シクロアルキル
基」としては、例えば1ないし3個のハロゲン原子(例
えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素など)を有していて
もよいC3-6シクロアルキル基(例えば、シクロプロピ
ル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、
2,2,3,3−テトラフルオロシクロペンチル、4−ク
ロロシクロヘキシルなど)などがあげられる。上記「ハ
ロゲン化されていてもよいC1-6アルコキシ基」として
は、例えば1ないし3個のハロゲン原子(例、フッ素、
塩素、臭素、ヨウ素など)を有していてもよいC1-6
ルコキシ基などが挙げられ、具体例としては、例えばメ
トキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、
エトキシ、2,2,2−トリフルオロエトキシ、プロポキ
シ、イソプロポキシ、ブトキシ、4,4,4−トリフルオ
ロブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、ペンチル
オキシ、ヘキシルオキシなどが挙げられる。
【0016】上記「ハロゲン化されていてもよいC1-6
アルキルチオ基」としては、例えば1ないし3個のハロ
ゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素など)を有
していてもよいC1-6アルキルチオ基(例、メチルチ
オ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、n-
ブチルチオ、sec-ブチルチオ、tert-ブチルチオなど)
などがあげられ、具体例としては、メチルチオ、ジフル
オロメチルチオ、トリフルオロメチルチオ、エチルチ
オ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、
4,4,4−トリフルオロブチルチオ、ペンチルチオ、ヘ
キシルチオなどが挙げられる。上記「ハロゲン化されて
いてもよいC1-6アルキルスルホニルアミノ基」として
は、例えば1ないし3個のハロゲン原子(例、フッ素、
塩素、臭素、ヨウ素など)を有していてもよいC1-6
ルキルスルホニルアミノ基などがあげられ、具体例とし
ては、メタンスルホニルアミノ、トリフルオロメタンス
ルホニルアミノ、エタンスルホニルアミノなどが挙げら
れる。
【0017】上記「置換基を有していてもよいC6-10
リールスルホニルアミノ基」の置換基としては、例えば
1ないし3個のハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭
素、ヨウ素など)またはハロゲン化されていてもよいC
1-6アルキル基などが挙げられる。該「ハロゲン化され
ていてもよいC1-6アルキル基」としては前記と同様の
ものが挙げられる。「置換基を有していてもよいC6-10
アリールスルホニルアミノ基」の具体例としては、フェ
ニルスルホニルアミノ、トシルアミノ、p−フルオロフ
ェニルスルホニルアミノ、1−ナフチルスルホニルアミ
ノ、2−ナフチルスルホニルアミノなどが挙げられる。
【0018】該「置換基を有していてもよい芳香族基」
の「芳香族基」は、例えば上記の置換基をその環上の置
換可能な位置に、1ないし5個、好ましくは1ないし3
個有していてもよく、置換基数が2個以上の場合は同一
または異なっていてもよい。Arで示される「置換基を
有していてもよい芳香族基」の置換基として、好ましく
は、ハロゲン原子、ニトロ基、ハロゲン化されていても
よいC1-6アルキル基、ハロゲン化されていてもよいC
1-6アルコキシ基、シアノ基、ヒドロキシル基、アミノ
基、C6-10アリール基、ハロゲン化されていてもよいC
1-6アルキルスルホニルアミノ基、置換基を有していて
もよいC6-10アリールスルホニルアミノ基などが挙げら
れる。さらに好ましくは、ハロゲン原子、ハロゲン化さ
れていてもよいC1-6アルコキシ基などである。
【0019】Arで示される「置換基を有していてもよ
い芳香族基」の「芳香族基」がキノン環基の場合、該キ
ノン環基が有していてもよい置換基としては、低級アル
キル(例えばメチル、エチルなどのC1-6アルキル)、
低級アルコキシ(例えばメトキシ、エトキシなどのC
1-6アルコキシ)などが好ましい。「置換基を有してい
てもよいキノン環基」の中でも、3−メチル−1,4−
ナフトキノン−2−イル、3,5,6−トリメチル−1,
4−ベンゾキノン−2−イル、5,6−ジメトキシ−3
−メチル−1,4−ベンゾキノン−2−イル、2−ナフ
トキノニルなどが特に好ましい。Qで示される「2価の
脂肪族炭化水素基」は、例えば飽和または不飽和の脂肪
族炭化水素の異なった2個の炭素原子に結合する水素原
子を1個ずつ取り除いてできる2価の基を示す。このう
ち炭素数が2ないし8個のものが好ましい。
【0020】具体的な例としては、
【化15】
【化16】 さらに好ましくは、C2-8アルキレン基(例、エチレ
ン、プロピレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペン
タメチレン、ヘキサメチレンなど)、C2-6アルケニレ
ン基(例、ビニレン、プロペニレン、ブテニレン、ペン
タニレン、ヘキサニレンなど)、C2-6アルキニレン基
(例、プロピニレン、ブタニレン、ペンタニレンなど)
などが挙げられる。中でもC2-8アルキレン基、特にC
3-6アルキレン基が好ましい。
【0021】R1、R3またはR4で示される「置換基を
有していてもよい炭化水素基」の「炭化水素基」は、炭
化水素化合物から水素原子を1個取り除いた基を示し、
その例としては、例えばアルキル基、アルケニル基、ア
ルキニル基、シクロアルキル基、アリール基などの鎖状
または環状炭化水素基が挙げられる。このうち、以下の
ような炭素数1ないし16の鎖状または環状炭化水素基
などが好ましい。 a)C1-6アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピ
ル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチ
ル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシルなど)、 b)C2-6アルケニル基(例えば、ビニル、アリル、イソ
プロペニル、ブテニル、イソブテニル、sec−ブテニル
など)、 c)C2-6アルキニル基(例えば、プロパルギル、エチニ
ル、ブチニル、1−ヘキシニルなど)、 d)C3-6シクロアルキル基(例えば、シクロプロピル、
シクロブチル、シクロペンチル、1ないし3個のC1-6
アルコキシ基(例、メトキシなど)を有していてもよい
ベンゼン環と縮合していてもよいシクロヘキシルな
ど)、 e)C6-14アリール基(例えば、フェニル、1−ナフチ
ル、2−ナフチル、ビフェニル、2−インデニル、2−
アンスリルなど)、好ましくはフェニル基。 このうち、C1-6アルキル基、C3-6シクロアルキル基、
6-14アリール基などが好ましい。
【0022】R1、R3またはR4で示される「置換基を
有していてもよい炭化水素基」の「置換基」としては、
例えばハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素
など)、C1-3アルキレンジオキシ基(例、メチレンジ
オキシ、エチレンジオキシなど)、ニトロ基、シアノ
基、ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキル基、ハ
ロゲン化されていてもよいC3-6シクロアルキル基
(例、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチ
ル、シクロヘキシルなど)、ハロゲン化されていてもよ
いC1-6アルコキシ基、ハロゲン化されていてもよいC
1-6アルキルチオ基、アミノ基、モノ−C1-6アルキルア
ミノ基(例、メチルアミノ、エチルアミノなど)、ジ−
1-6アルキルアミノ基(例、ジメチルアミノ、ジエチ
ルアミノなど)、ヒドロキシル基、C1-6アルキル−カ
ルボニル基(例、アセチル、エチルカルボニルなど)、
カルボキシル基、C1-6アルコキシ−カルボニル基
(例、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロ
ポキシカルボニル、ブトキシカルボニルなど)、C1-6
アルキル−カルボニルオキシ基(例、アセトキシ、プロ
ピオニルオキシなど)、カルバモイル基、モノ−C1-6
アルキルカルバモイル基(例、メチルカルバモイル、エ
チルカルバモイルなど)、ジ−C1-6アルキルカルバモ
イル基(例、ジメチルカルバモイル、ジエチルカルバモ
イルなど)、スルホ基、C1-6アルキルスルホニル基
(例、メチルスルホニル、エチルスルホニルなど)、C
6-10アリール基(例、フェニル、ナフチルなど)、C
6-10アリールオキシ基(例、フェニルオキシ、ナフチル
オキシなど)、5または6員の複素環基などが挙げられ
る。
【0023】上記の「ハロゲン化されていてもよいC
1-6アルキル基」、「ハロゲン化されていてもよいC3-6
シクロアルキル」、「ハロゲン化されていてもよいC
1-6アルコキシ基」、「ハロゲン化されていてもよいC
1-6アルキルチオ基」としては、例えば前記のAr1、A
2で示される芳香族基の置換基で詳述したものと同様
のものなどが挙げられる。上記の「5または6員の複素
環基」としては、例えば炭素原子以外に窒素、酸素およ
び硫黄から選ばれた1ないし3個のヘテロ原子を含む5
または6員の複素環基等が挙げられる。具体的には、例
えば1−,2−または3−ピロリジニル、2−または4
−イミダゾリニル、2−、3−または4−ピラゾリジニ
ル、ピペリジノ、2−、3−または4−ピペリジル、1
−または2−ピペラジニル、モルホリノ、2−または3
−チエニル、2−、3−または4−ピリジル、2−フリ
ルまたは3−フリル、ピラジニル、2−ピリミジニル、
3−ピロリル、3−ピリダジニル、3−イソチアゾリ
ル、3−イソオキサゾリルなどが挙げられる。
【0024】上記の「C6-10アリール基」、「C6-10
リールオキシ基」はさらにハロゲン原子、C1-6アルキ
ル基またはC1-6アルコキシ基等で1ないし3個置換さ
れていてもよい。該「置換基を有していてもよい炭化水
素基」の「炭化水素基」は、例えば前記の置換基を、炭
化水素基の置換可能な位置に1ないし5個、好ましくは
1ないし3個有していてもよく、置換基数が2個以上の
場合は各置換基は同一または異なっていてもよい。
1、R2、R2′、R3またはR4で示される「アシル
基」としては、例えば−CO−R、−SO2−R、−S
O−R、−CONH−R、−CO−O−R、−CS−N
H−R、−CS−O−R(式中、Rは水素原子、置換基
を有していてもよい炭化水素基または置換基を有してい
てもよい複素環基を示す。)などで示されるアシル基が
挙げられる。このうち好ましくは、−CO−R、−SO
2−R、−CONH−R、−CO−O−Rなどで示され
るアシル基である。Rで示される「置換基を有していて
もよい炭化水素基」としては、例えば前記R1、R3また
はR4で示される「置換基を有していてもよい炭化水素
基」などが挙げられる。
【0025】Rで示される「置換基を有していてもよい
複素環基」の「複素環基」としては、例えば炭素原子以
外に窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれた1
種または2種、好ましくは、1個ないし3個のヘテロ原
子を含む5ないし10員の(単環式または2環式)複素
環基などがあげられ、例えば1−、2−または3−ピロ
リジニル、2−または4−イミダゾリニル、2−,3−
または4−ピラゾリジニル、ピペリジノ、2−、3−ま
たは4−ピペリジル、1−または2−ピペラジニル、モ
ルホリニルなどの非芳香性複素環基、または、例えば2
−チエニル、3−チエニル、2−ピリジル、3−ピリジ
ル、4−ピリジル、2−フリル、3−フリル、4−キノ
リル、8−キノリル、4−イソキノリル、ピラジニル、
2−ピリミジニル、3−ピロリル、2−イミダゾリル、
3−ピリダジニル、3−イソチアゾリル、3−イソオキ
サゾリル、1−インドリル、2−イソインドリルなどの
芳香族複素環基などが挙げられる。このうち、芳香族複
素環基が好ましい。さらに好ましくは、例えば炭素原子
以外に窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれた
1ないし3個のヘテロ原子を含む5または6員の芳香族
複素環基(例えば、2−チエニル、3−チエニル、2−
ピリジル、4−ピリジルなど)などが挙げられる。
【0026】該「置換基を有していてもよい複素環基」
の「複素環基」が有していてもよい置換基としては、例
えば前記R1、R3またはR4の「置換基を有していても
よい炭化水素基」が有していてもよい置換基と同様のも
のなどが同様の個数用いられる。R3とR4が隣接する窒
素原子と共に形成する「環」としては、例えば炭素原子
以外に少なくとも1個の窒素原子を含み、窒素原子、酸
素原子または硫黄原子から選ばれる1ないし3個のヘテ
ロ原子を含んでいてもよい5ないし7員含窒素複素環な
どが挙げられる。具体的には、例えばピペリジン、モル
ホリン、チオモルホリン、ピペラジン、N−メチルピペ
ラジン、アゼチジン、2−オキソアゼチジン、2−オキ
ソピロリジン、2−オキソピペリジンなどが挙げられ
る。
【0027】上記式(II)および(III)中、Arは、
それぞれ置換基を有していてもよい(i)C6-14アリー
ル基、(ii)炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子および
酸素原子から選ばれるヘテロ原子を1個以上を含む5な
いし11員の単環または縮合芳香族複素環基または(ii
i)キノン環基が好ましい。さらに好ましくは、i)ニ
トロ基、ii)ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキ
ル基、iii)ハロゲン化されていてもよいC1-6アルコキ
シ基、iv)ヒドロキシル基、v)アミノ基、vi)モノ−
1-6アルキルアミノ基、vii)ジ−C1-6アルキルアミ
ノ基、viii)ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキ
ルスルホニルアミノ基、ix)1ないし3個のハロゲン原
子または x)ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキ
ル基で置換されていてもよいC6-10アリールスルホニル
アミノ基で1ないし4個置換されていてもよいフェニ
ル、1−ナフチル、2−ナフチル、2−キノリル、3−
キノリル、4−キノリル、1−イソキノリル、4−イソ
キノリル、2−ベンゾチアゾリル、2−ベンゾオキサゾ
リル、2−ベンゾイミダゾリル、2−ピリドチアオゾリ
ル、p−ベンゾキノン−2−イル、1,4−ナフトキノ
ン−2−イル、アントラキノリル、5,6−クリセンキ
ノリルまたは5,8−ジオキソ−5,8−ジヒドロキノン
−6−イルである。特に、i)2−キノリル、ii)4−
キノニル、iii)1−イソキノニルまたは iv)ハロゲン
化されていてもよいC1-6アルキル基でそれぞれ置換さ
れていてもよい a)p−ベンゾキノン−2−イルまたは
b)1,4−ナフトキノン−2−イルなどである。
【0028】QはC2-8アルキレン基などが好ましい。
特にC3-6アルキレン基などが好ましい。特に、トリメ
チレン基[−(CH2)3−]、テトラメチレン基[−(C
2)4−]などが好ましい。R1は水素原子、シアノ基、
置換基を有していてもよいC6-14アリール基、式
【化17】 (式中、各記号は前記と同意義を示す)で示される基ま
たは −CO−O−R(Rは前記と同意義を示す。好ま
しくはC1-6アルキル基を示す。)で示されるアシル基
などが好ましい。さらに好ましくは、シアノ基、置換基
を有していてもよいC6-14アリール基である。中でも、
シアノ基または i)ハロゲン原子、ii)ハロゲン化され
ていてもよいC1-6アルキル基または iii)ハロゲン化
されていてもよいC1-6アルコキシ基を1ないし3個、
好ましくは1個有していてもよい(a)フェニル基また
は(b)ナフチル基が好ましい。特に好ましくは、シア
ノ基または i)ハロゲン原子または ii)C1-6アルコキ
シ基を1個有していてもよいフェニル基である。
【0029】R3は水素原子が好ましい。R4はアシル基
が好ましい。該アシル基としては −CO−Rまたは −
SO2−R(Rは前記と同意義を示す)で示されるアシ
ル基などが好ましい。中でも、Rがハロゲン原子または
1-6アルキル基でそれぞれ置換されていてもよいC1-6
アルキル基またはC6-14アリール基などが好ましい。R
2およびR2′は −CO−Rまたは −CO−NH−R
(Rは前記と同意義を示す)で示されるアシル基などが
好ましい。中でも、Rが水素原子またはi)ハロゲン原
子、ii)ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキル
基、iii)ハロゲン化されていてもよいC1-6アルコキシ
基、iv)C1-6アルキル−カルボニルオキシ基またはV)
1-6アルキル基またはC1-6アルコキシ基で置換されて
いてもよいC6-14アリール基で1ないし3個置換されて
いてもよい(a)C1-6アルキル基、(b)C3-6シクロア
ルキル基または(c)C6-14アリール基などが好まし
い。
【化18】 mは2が好ましい。
【0030】上記式(II)中、Arが、i)ニトロ基、
ii)ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキル基、ii
i)ハロゲン化されていてもよいC1-6アルコキシ基、i
v)ヒドロキシル基、v)アミノ基、vi)モノ−C1-6
ルキルアミノ基、vii)ジ−C1-6アルキルアミノ基、vi
ii)ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキルスルホ
ニルアミノ基、ix)1ないし3個のハロゲン原子または
ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキル基で置換さ
れていてもよいC6-10アリールスルホニルアミノ基また
は x)ハロゲン原子で1ないし4個置換されていてもよ
いフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、2−キノリ
ル、3−キノリル、4−キノリル、1−イソキノリル、
4−イソキノリル、2−ベンゾチアゾリル、2−ベンゾ
オキサゾリル、2−ベンゾイミダゾリル、2−ピリドチ
アオゾリル、p−ベンゾキノン−2−イル、1,4−ナ
フトキノン−2−イル、アントラキノニル、5,6−ク
リセンキノニルまたは5,8−ジオキソ−5,8−ジヒド
ロキノリン−6−イル、QがC2-8アルキレン基、R1
シアノ基またはi)ハロゲン原子、ii)ハロゲン化され
ていてもよいC1-6アルキル基またはiii)ハロゲン化さ
れていてもよいC1-6アルコキシ基を1ないし3個有し
ていてもよい(a)フェニル基または(b)ナフチル基、
【0031】R3が水素原子、R4が −CO−Rまたは
−SO2−R(Rは前記と同意義を示す)で示されるア
シル基(好ましくは、Rがハロゲン原子またはC1-6
ルキル基でそれぞれ置換されていてもよいC1-6アルキ
ル基またはC6-14アリール基) R2が −CO−Rまたは −CO−NH−R(Rは前記
と同意義を示す)で示されるアシル基(好ましくは、R
が水素原子またはi)ハロゲン原子、ii)ハロゲン化さ
れていてもよいC1-6アルキル基、iii)ハロゲン化され
ていてもよいC1-6アルコキシ基、iv)C1-6アルキル−
カルボニルオキシ基またはV)C1-6アルキル基またはC
1-6アルコキシ基で置換されていてもよいC6-14アリー
ル基で1ないし3個置換されていてもよい(a)C1-6
ルキル基、(b)C3-6シクロアルキル基または(c)C
6-14アリール基)、
【化19】 である化合物が好ましい。
【0032】上記式(III)中、R1がシアノ基、置換基
を有していてもよいC6-14アリール基、式
【化20】 (式中、各記号は前記と同意義を示す)で示される基ま
たはアシル基、およびR2′がアシル基である化合物が
好ましい。
【0033】さらに好ましくは、Arが、i)ニトロ
基、ii)ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキル
基、iii)ハロゲン化されていてもよいC1-6アルコキシ
基、iv)ヒドロキシル基、v)アミノ基、vi)モノ−C
1-6アルキルアミノ基、vii)ジ−C1-6アルキルアミノ
基、viii)ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキル
スルホニルアミノ基、ix)1〜3個のハロゲン原子また
はハロゲン化されていてもよいC1-6アルキル基で置換
されていてもよいC6-10アリールスルホニルアミノ基ま
たは x)ハロゲン原子で1ないし4個置換されていても
よいフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、2−キノ
リル、3−キノリル、4−キノリル、1−イソキノリ
ル、4−イソキノリル、2−ベンゾチアゾリル、2−ベ
ンゾオキサゾリル、2−ベンゾイミダゾリル、2−ピリ
ドチアオゾリル、p−ベンゾキノン−2−イル、1,4
−ナフトキノン−2−イル、アントラキノニル、5,6
−クリセンキノニルまたは5,8−ジオキソ−5,8−ジ
ヒドロキノリン−6−イル、QがC2-8アルキレン基、
1がシアノ基またはi)ハロゲン原子、ii)ハロゲン化
されていてもよいC1-6アルキル基またはiii)ハロゲン
化されていてもよいC1-6アルコキシ基を1〜3個有し
ていてもよい(a)フェニル基または(b)ナフチル基、
【0034】R3が水素原子、R4が −CO−Rまたは
−SO2−R(Rは前記と同意義を示す)で示されるア
シル基(好ましくは、Rがハロゲン原子またはC1-6
ルキル基でそれぞれ置換されていてもよいC1-6アルキ
ル基またはC6-14アリール基) R2′が −CO−Rまたは −CO−NH−R(Rは前
記と同意義を示す)で示されるアシル基(好ましくは、
Rが水素原子またはi)ハロゲン原子、ii)ハロゲン化
されていてもよいC1-6アルキル基、iii)ハロゲン化さ
れていてもよいC1-6アルコキシ基、iv)C1-6アルキル
−カルボニルオキシ基またはV)C1-6アルキル基または
1-6アルコキシ基で置換されていてもよいC6-14アリ
ール基で1〜3個置換されていてもよい(a)C1-6アル
キル基、(b)C3-6シクロアルキル基または(c)C
6-14アリール基)、
【化21】 である化合物である。
【0035】前記化合物中、Arが、i)ニトロ基、i
i)ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキル基、ii
i)ハロゲン化されていてもよいC1-6アルコキシ基、i
v)ヒドロキシル基、v)アミノ基、vi)モノ−C1-6
ルキルアミノ基、vii)ジ−C1-6アルキルアミノ基、vi
ii)ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキルスルホ
ニルアミノ基、ix)1〜3個のハロゲン原子またはハロ
ゲン化されていてもよいC1-6アルキル基で置換されて
いてもよいC6-10アリールスルホニルアミノ基または
x)ハロゲン原子で1ないし4個置換されていてもよい
p−ベンゾキノン−2−イル、1,4−ナフトキノン−
2−イル、アントラキノニル、5,6−クリセンキノニ
ルまたは5,8−ジオキソ−5,8−ジヒドロキノリン−
6−イル、R1がi)ハロゲン原子、ii)ハロゲン化され
ていてもよいC1-6アルキル基またはiii)ハロゲン化さ
れていてもよいC1-6アルコキシ基を1〜3個有してい
てもよい(a)フェニル基または(b)ナフチル基、およ
びR2またはR2′が −CO−Rまたは −CO−NH−
R(Rは前記と同意義を示す)で示されるアシル基であ
るものも好ましい。R1がシアノ基、およびR2またはR
2′が −CO−Rまたは −CO−NH−R(Rは前記
と同意義を示す)で示されるアシル基であるものも好ま
しい。
【0036】Arが、i)ニトロ基、ii)ハロゲン化さ
れていてもよいC1-6アルキル基、iii)ハロゲン化され
ていてもよいC1-6アルコキシ基、iv)ヒドロキシル
基、v)アミノ基、vi)モノ−C1-6アルキルアミノ基、
vii)ジ−C1-6アルキルアミノ基、viii)ハロゲン化さ
れていてもよいC1-6アルキルスルホニルアミノ基、i
x)1〜3個のハロゲン原子またはハロゲン化されてい
てもよいC1-6アルキル基で置換されていてもよいC
6-10アリールスルホニルアミノ基または x)ハロゲン原
子で1ないし4個置換されていてもよい2−キノリル、
3−キノリル、4−キノリル、1−イソキノリルまたは
4−イソキノリル、およびR1が水素原子であるものも
好ましい。また、Arがi)ハロゲン原子、ii)ハロゲ
ン化されていてもよいC1-6アルキル基およびiii)ハロ
ゲン化されていてもよいC1-6アルコキシ基から選ばれ
る置換基を1ないし4個有していてもよいa)p−ベン
ゾキノン−2−イル基またはb)1,4−ナフトキノン
−2−イル基、R1がi)ハロゲン原子、ii)ハロゲン
化されていてもよいC1-6アルキル基およびiii)ハロゲ
ン化されていてもよいC1-6アルコキシ基から選ばれる
置換基を1ないし3個有していてもよいフェニル基、お
よびR2が式 −CO−R(式中、Rが1ないし3個のハ
ロゲン原子でそれぞれ置換されていてもよいC1-6アル
キル基、C3-6シクロアルキル基またはフェニル基を示
す。)で示されるアシル基であるものがさらに好まし
い。
【0037】化合物(II)および化合物(III)の塩と
しては、それぞれ例えば無機塩基との塩,有機塩基との
塩,無機酸との塩,有機酸との塩,塩基性または酸性ア
ミノ酸との塩などが挙げられる。無機塩基との塩の好適
な例としては、例えばナトリウム塩,カリウム塩などの
アルカリ金属塩;カルシウム塩,マグネシウム塩,バリ
ウム塩などのアルカリ土類金属塩;亜鉛,鉄,銅などの
遷移金属との塩;並びにアルミニウム塩,アンモニウム
塩などが挙げられる。有機塩基との塩の好適な例として
は、例えばトリメチルアミン,トリエチルアミン,ピリ
ジン,ピコリン,エタノールアミン,ジエタノールアミ
ン,トリエタノールアミン,ジシクロヘキシルアミン,
N,N'−ジベンジルエチレンジアミンなどとの塩が挙げ
られる。無機酸との塩の好適な例としては、例えば塩
酸、臭化水素酸,硝酸,硫酸,リン酸などとの塩が挙げ
られる。有機酸との塩の好適な例としては、例えばギ
酸、酢酸,トリフルオロ酢酸,フマール酸,シュウ酸,
酒石酸,マレイン酸,クエン酸,コハク酸,リンゴ酸,
メタンスルホン酸,ベンゼンスルホン酸,p−トルエン
スルホン酸などとの塩が挙げられる。塩基性アミノ酸と
の塩の好適な例としては、例えばアルギニン、リジン,
オルニチンなどとの塩が挙げられ、酸性アミノ酸との塩
の好適な例としては例えばアスパラギン酸、グルタミン
酸などとの塩が挙げられる。中でも薬学的に許容される
塩が好ましい。例えば、アルカリ金属塩(例、ナトリウ
ム塩、カリウム塩など),アルカリ土類金属塩(例、カ
ルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩など),また
は遷移金属塩(例、亜鉛、鉄、銅など)との塩などの無
機塩,アンモニウム塩など、また、化合物内に塩基性官
能基を有する場合には塩酸塩、硫酸塩,リン酸塩,臭化
水素酸塩などの無機塩または、酢酸塩,マレイン酸塩,
フマル酸塩,コハク酸塩,メタンスルホン酸塩,p-ト
ルエンスルホン酸塩,クエン酸塩,酒石酸塩などの有機
酸塩が挙げられる。
【0038】化合物(II)および化合物(III)の製造
法について述べる。化合物(II)および化合物(III)
は、例えば以下の反応式で示される方法またはこれに準
じた方法等により得られる。反応式中の化合物の各記号
は前記と同意義を示す。
【化22】 化合物(II)は、化合物(IIIa)またはその塩を、自体
公知の方法に従ってアシル化反応に付すことにより得ら
れる。例えば化合物(IIIa)またはその塩と式 Y−R
2〔式中、Yは脱離基を、R2は前記と同意義を示す〕で
表わされる化合物またはその塩とを反応させ、化合物
(II)を得る。
【0039】ここで、Yで示される「脱離基」として
は、例えばハロゲン原子(例、塩素、臭素、ヨウ素
等)、ハロゲン原子で1ないし3個置換されていてもよ
いC1-4アルキルスルホニルオキシ基(例、メタンスル
ホニルオキシ、トリフルオロメタンスルホニルオキシ
等)、ハロゲン原子で1ないし4個置換されていてもよ
いC6-10アリールスルホニルオキシ基(例、p−トルエ
ンスルホニルオキシ、ベンゼンスルホニルオキシ、p−
ブロモベンゼンスルホニルオキシ、メシチレンスルホニ
ルオキシ等)、C1-6アルコキシ基(例、メトキシ、エ
トキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシな
ど)、ハロゲン原子及びニトロ等から選ばれた1ないし
3個の置換基を有していてもよいC6-10アリールオキシ
基(例、フェノキシ、p−クロロフェノキシ、p−ニト
ロフェノキシ等)等が用いられる。
【0040】アシル化反応としては、自体公知の方法、
例えばジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー
(J.Org.Chem.)26巻,782頁,1961年に記載の方
法等に従って行えばよい。例えば、化合物(IIIa)また
はその塩あるいはその反応性誘導体と式 Y−R2(各
記号は前記と同意義を示す)で表される化合物またはそ
の塩とを塩基の存在下反応させる。該反応性誘導体とし
ては酸無水物、酸ハライド、活性化エステル、低級アル
キルエステルなどが挙げられる。該塩基としては、例え
ばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の
アルキルアミン類、ピリジンなどの含窒素芳香族複素環
類等が挙げられる。
【0041】式 Y−R2 で表される化合物またはその
塩の使用量は、化合物(IIIa)に対して、約1ないし
1.2当量である。該塩基の使用量は、式 Y−R2
表される化合物に対して、約1ないし3当量である。こ
の反応に用いられる溶媒としては、該反応を阻害しない
ものであればいずれでもよく、例えばニトリル類(例、
アセトニトリル等)、ハロゲン化炭化水素類(例、ジク
ロロメタン、クロロホルム等)、エーテル類(例、ジエ
チルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、イソ
プロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン等)がな
どが挙げられる。反応温度は、約−20℃ないし室温、
好ましくは室温である。反応時間は、用いる試薬類によ
り適宜選択すればよく、例えば約0.2ないし5時間で
ある。
【0042】また、化合物(IIIa)および当量前後の対
応する有機酸(式 R2−OH で表される化合物)を不
活性溶媒(例、ハロゲン化炭化水素類、アセトニトリル
等)に溶かし、ジシクロヘキシルカルボジイミドなどの
脱水縮合剤を約1ないし1.5量加えて反応させてもよ
い。反応時間は約−20℃ないし室温、反応時間は約6
ないし12時間である。カルバモイル化反応を行う場合
は、前記アシル化反応とほぼ同様の反応条件により行え
ばよく、必ずしも塩基を共存させる必要はない。化合物
(IIIa)は、その対応するカルボン酸化合物(V)また
はその塩から自体公知の方法、例えば特開平1−104
033号公報、パタイ(S.Patai)編のザ・ケミストリ
ー・オブ・アシド・デリバティブ・サプルメントB(Su
pplementB. The chemistry of acid derivatives)2巻
(John Wiley & Sons)849-873頁(1992)に記載の方
法に準じた方法等により得られる。
【0043】例えば、化合物(V)はそのカルボキシル
基の反応性誘導体を経て、ヒドロキシルアミンと塩基の
存在下、0ないし50℃、好ましくは室温(0ないし3
0℃)で、10分ないし2時間程度反応させ、化合物
(IIIa)を得る。該反応性誘導体としては、酸無水物、
酸ハライド、活性化エステルなどが挙げられる。該塩基
としては、例えば炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウ
ム等の炭酸水素酸のアルカリ金属またはアルカリ土類金
属塩、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸の
アルカリ金属またはアルカリ土類金属塩、例えば水酸化
ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等のア
ルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物等の無機
塩基、例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチル
アミン等のアルキルアミン類等の有機塩基などが挙げら
れる。
【0044】ヒドロキシルアミンの使用量は、化合物
(V)に対して当量以上、好ましくは約2ないし5当量
である。塩基の使用量は、用いるヒドロキシルアミンの
2倍当量以上、好ましくは約4ないし10当量である。
この反応で用いる溶媒としては、該反応を阻害しないも
のであればいずれでもよく、例えば水、アルコール類
(例、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イ
ソプロパノール等)、ニトリル類(例、アセトニトリル
等)、ハロゲン化炭化水素類(例、ジクロロメタン、ク
ロロフォルム等)、エーテル類(例、ジエチルエーテ
ル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等)が挙げられ
る。これらの溶媒は単独あるいは二種以上を混合して用
いてもよい。反応温度は、約0ないし50℃、好ましく
は室温である。反応時間は、約10分ないし2時間であ
る。また、化合物(V)の低級アルキルエステル体とヒ
ドロキシルアミンとを、塩基の存在下で反応させて化合
物(IIIa)を得てもよい。この反応は、自体公知の方
法、例えば、新実験化学講座14巻、1227頁、日本
化学会編記載の方法等に従って行えばよい。
【0045】該塩基としては、例えばアルカリ金属また
はアルカリ土類金属の水素化物(例、水素化リチウム、
水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化カルシウム
など)、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のアミド
類(例、リチウムアミド、ナトリウムアミド、リチウム
ジイソプロピルアミド、リチウムジシクロヘキシルアミ
ド、リチウムヘキサメチルシラジド、ナトリウムヘキサ
メチルシラジド、カリウムヘキサメチルシラジドな
ど)、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の低級アル
コキシド(例、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエト
キシド、カリウムt−ブトキシドなど)などの強塩基;
例えばアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物
(例、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチ
ウム、水酸化バリウムなど)、アルカリ金属またはアル
カリ土類金属の炭酸塩(例、炭酸ナトリウム、炭酸カリ
ウム、炭酸セシウムなど)、アルカリ金属またはアルカ
リ土類金属の炭酸水素塩(例、炭酸水素ナトリウム、炭
酸水素カリウムなど)などの無機塩基;例えばトリエチ
ルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモ
ルホリン、ジメチルアミノピリジン、DBU(1,8−ジ
アザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセン)、DBN(1,
5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノン−5−エン)などのア
ミン類あるいはピリジン、イミダゾール、2,6−ルチ
ジンなどの塩基性芳香族複素環化合物などの有機塩基等
が挙げられる。このうち、アルカリ金属またはアルカリ
土類金属の低級アルコキシド(例、ナトリウムメトキシ
ド、ナトリウムエトキシド、カリウム t−ブトキシド
など)などの強塩基が好ましい。
【0046】ヒドロキシルアミンの使用量は、該低級ア
ルキルエステル体に対して当量以上、好ましくは約3な
いし20当量である。塩基の使用量は、ヒドロキシルア
ミンより過剰であればよく、例えばヒドロキシルアミン
に対して約1.2ないし2当量である。この反応に用い
られる溶媒としては、該反応を阻害しないものであれば
いずれでもよく、例えばアルコール類(例、メタノー
ル、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノー
ル、tert−ブタノール、エチレングリコール、sec−ブ
タノール等)、エーテル類(例、ジエチルエーテル、テ
トラヒドロフラン、ジオキサン等)等が挙げられる。こ
れらの溶媒は単独あるいは二種以上を適当割合で混合し
て用いてもよい。
【0047】反応温度は、約−20℃ないし50℃、好
ましくは室温である。反応時間は、約1ないし18時間
である。化合物(V)は自体公知の方法により合成され
る。化合物(V)中、R1がキノン環の場合、特開昭61
−44840号に記載の方法またはこれに準じた方法に
より得られる。化合物(V)中、R1がキノン環を除く芳
香族基の場合、例えば特開昭63−47707号、特開
昭59−101465号に記載の方法またはこれらに準
じた方法により得られる。化合物(V)中、R1がシアノ
基またはアリール基で、mが1の場合、例えば特開昭5
9−101465号に記載の方法またはこれに準じた方
法により得られる。
【0048】化合物(V)中、R1がシアノ基またはアリ
ール基で、mが2の場合、例えば以下の反応式で示され
る方法またはこれに準じた方法等により得られる。
【化23】 上記式中、R5は低級アルキル基、Y’は脱離基、その
他の記号は前記と同意義を示す。ここで、R5で示され
る「低級アルキル基」としては、例えばC1-6アルキル
基(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブ
チルなど)等が用いられる。Y’で示される「脱離基」
としては、前記Yで示される「脱離基」と同様のものが
挙げられる。化合物(Va)は、化合物(VI)またはその
塩と化合物(VII)またはその塩との置換反応後、得ら
れた化合物(VIII)またはその塩を加水分解反応に付す
ことにより得られる。
【0049】該置換反応は、塩基の存在下に行えばよ
い。該塩基としては、例えば前記の強塩基、無機塩基、
有機塩基などが挙げられる。塩基の使用量は、化合物
(VI)に対して約1ないし5当量、好ましくは約1ない
し3当量である。化合物(VII)の使用量は化合物(V
I)に対して約1ないし3当量である。この反応に用い
られる溶媒としては、該反応を阻害しないものであれば
よく、例えばアルコール類(例、メタノール、エタノー
ル等)、エーテル類(例、ジエチルエーテル、テトラヒ
ドロフラン(THF)、ジオキサン等)、ハロゲン化炭
化水素類(例、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタ
ン、クロロホルム、四塩化炭素等)、芳香族炭化水素類
(例、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、ニトリル類
(例、アセトニトリル等)、酸アミド類(例、N,N−
ジメチルホルムアミド等)、ケトン類(例、アセトン、
メチルエチルケトン等)、スルホキシド類(例、ジメチ
ルスルホキシド等)などの単独あるいはこれらの二種以
上の混合系が挙げられる。中でも、エーテル類(例、T
HF、ジエチルエーテル等)、ニトリル類(例、アセト
ニトリル等)、酸アミド類(例、N,N−ジメチルホル
ムアミド等)、ケトン類(例、アセトン等)などが好ま
しい。
【0050】反応温度は約0℃ないし100℃、好まし
くは約10℃ないし50℃である。反応時間は約5分な
いし100時間、約1ないし5時間である。化合物(VI
II)の加水分解反応は、自体公知の酸加水分解またはア
ルカリ加水分解により行うことができる。また、この加
水分解工程は脱保護の工程を伴ってもよい。アルカリ加
水分解の場合、化合物(VIII)を溶媒(例、水、アルコ
ール類、エーテル類の単独あるいはこれら二種以上の混
合系)中、アルカリ(例えば、水酸化リチウム、水酸化
ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム等の無機
塩基の水酸化物等)とを反応させる。該溶媒としては、
水−メタノールの混合溶媒が好ましい。アルカリとして
は、水酸化ナトリウムが好ましい。
【0051】アルカリの使用量は、化合物(VIII)に対
して約2ないし100当量、好ましくは約5ないし10
当量である。反応温度は約10℃ないし120℃、好ま
しくは約50℃ないし120℃である。反応時間は約5
分ないし100時間、好ましくは約10ないし50時間
である。好ましい反応系としては、溶媒が水−メタノー
ルの混合溶媒、反応温度が約50℃ないし120℃、反
応時間が約10ないし50時間である。酸加水分解は、
化合物(VIII)を、過剰量の希塩酸単独あるいは希塩酸
と酢酸との共存下、室温ないし120℃で、0.5ない
し18時間加熱撹拌すればよい。化合物(VI)の多くは
市販品として容易に入手可能である。
【0052】化合物(V)中、R1が式
【化24】 (式中、各記号は前記と同意義を示す)で示される基の
場合、例えば以下の反応式で示される方法またはこれに
準じた方法等により得られる。
【化25】 上記式中、R6は低級アルキル基、その他の記号は前記
と同意義を示す。ここで、R6で示される「低級アルキ
ル基」としては、例えば前記R5で示される「C1-6アル
キル基」と同様のものが挙げられる。
【0053】化合物(Vb)中、mが1の場合は、化合物
(IX)またはその塩と化合物(X)またはその塩とを脱
水反応に付し、得られた化合物(XI)またはその塩を加
水分解反応に付すことにより得られる。化合物(Vb)
中、mが2の場合は、前記脱水反応と同時に還元反応を
行えばよい。該脱水反応は、自体公知の方法、例えば不
活性溶媒中、酸触媒(例、p−トルエンスルホン酸等を
約1ないし1.5当量)の共存下、約1ないし10時
間、加熱(約40ないし100℃)する方法等に従えば
よい。該還元反応は、自体公知の方法、例えば不活性溶
媒中、金属触媒(例、パラジウム−炭素等)存在下、約
1ないし10気圧の水素圧下、約1ないし10時間反応
する方法等に従えばよい。また、金属水素化物(例、水
素化シアノボロハイドライド等)をによる還元反応を行
ってもよい。この場合、アルコール溶媒(例、メタノー
ル、エタノール等)中、約1ないし5当量の金属水素化
物を室温ないし50℃で、1ないし24時間反応させれ
ばよい。
【0054】該加水分解反応は、前記化合物(VIII)の
加水分解反応と同様の条件で行えばよい。前記本発明の
各反応および原料化合物合成の各反応において、原料化
合物が置換基としてアミノ基、カルボキシル基、ヒドロ
キシル基を有する場合、これらの基にペプチド化学など
で一般的に用いられるような保護基が導入されていても
よく、反応後に必要に応じて保護基を除去することによ
り目的化合物を得ることができる。アミノ基の保護基と
しては、例えばホルミル、C1-6アルキル−カルボニル
基(例、アセチル、エチルカルボニルなど)、C1-6
ルキルオキシカルボニル基(例、メトキシカルボニル、
エトキシカルボニルなど)、ベンゾイル基、C7-10アラ
ルキル−カルボニル基(例、ベンジルカルボニルな
ど)、トリチル基、フタロイル基、N,N−ジメチルア
ミノメチレン基などが用いられる。これらの基は、1な
いし3個のハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨ
ウ素など)、ニトロ基などで置換されていてもよい。
【0055】カルボキシル基の保護基としては、例えば
1-6アルキル基(例、メチル、エチル、n−プロピ
ル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチルなど)、フェ
ニル基、トリチル基、シリル基などが用いられる。これ
らの基は、1ないし3個のハロゲン原子(例、フッ素、
塩素、臭素、ヨウ素など)、ホルミル、C1-6アルキル
−カルボニル基(例、アセチル、プロピオニル、ブチル
カルボニルなど)、ニトロ基などで置換されていてもよ
い。ヒドロキシル基の保護基としては、例えばC1-6
ルキル基(例、メチル、エチル、n−プロピル、イソプ
ロピル、ブチル、tert−ブチルなど)、フェニル基、C
7-10アラルキル基(例、ベンジルなど)、C1-6アルキ
ル−カルボニル基(例、アセチル、プロピオニルな
ど)、ホルミル、ベンゾイル基、C7-10アラルキル−カ
ルボニル基(例、ベンジルカルボニルなど)、テトラヒ
ドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、シリル基な
どが用いられる。これらの基は、1ないし3個のハロゲ
ン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素など)、C
1-6アルキル基(例、メチル、エチル、n−プロピルな
ど)、フェニル基、C7-10アラルキル基(例、ベンジル
など)、ニトロ基などで置換されていてもよい。
【0056】また、これらの保護基の除去方法として
は、自体公知またはそれに準じる方法が用いられるが、
例えば酸、塩基、還元、紫外光、ヒドラジン、フェニル
ヒドラジン、N−メチルジチオカルバミン酸ナトリウ
ム、テトラブチルアンモニウムフルオリド、酢酸パラジ
ウムなどを使用する方法などが用いられる。化合物(I
I)または化合物(III)は、公知の手段、例えば溶媒抽
出、液性変換、転溶、晶出、再結晶、クロマトグラフィ
ーなどによって単離精製することができる。また、化合
物(II)または化合物(III)の原料化合物またはその
塩は、前記と同様の公知の手段などによって単離精製す
ることができるが、単離することなくそのまま反応混合
物として次の工程の原料として供されてもよい。
【0057】化合物(II)が、光学異性体、立体異性
体、位置異性体、回転異性体を含有する場合には、これ
らも化合物(II)として含有される。化合物(II)また
は(III)が、光学異性体、立体異性体、位置異性体、
回転異性体を含有する場合、自体公知の合成手法、分離
手法によりそれぞれを単品として得ることができる。例
えば、化合物(II)または(III)に光学異性体が存在
する場合には、該化合物から分割された光学異性体も本
発明に包含される。光学異性体は自体公知の方法により
製造することができる。具体的には、光学活性な合成中
間体を用いる、または、最終物のラセミ体の混合物を常
法に従って光学分割することにより光学異性体を得る。
【0058】光学分割法としては、自体公知の方法、例
えば分別再結晶法、キラルカラム法、ジアステレオマー
法等が用いられる。 1)分別再結晶法 ラセミ体と光学活性な化合物とで塩を形成させ、これを
分別再結晶法によって分離し、所望により、中和工程を
経てフリーの光学異性体を得る方法。 2)キラルカラム法 ラセミ体またはその塩を光学異性体分離用カラム(キラ
ルカラム)にかけて分離する方法。例えば液体クロマト
グラフィの場合、ENANTIO−OVM(トーソー社
製)などのキラルカラムに光学異性体の混合物を添加
し、水、種々の緩衝液(例、リン酸緩衝液)、有機溶媒
(例、エタノール、メタノール、アセトニトリル)を単
独あるいは混合した溶液として展開させることにより、
光学異性体を分離する。また、例えばガスクロマトグラ
フィーの場合、CP−Chirasil−DeX CB
(ジーエルサイエンス社製)などのキラルカラムを使用
して分離する。 3)ジアステレオマー法 ラセミ体の混合物を光学活性な試薬と化学反応によって
ジアステレオマーの混合物とし、これを通常の分離手段
(例えば、分別再結晶、クロマトグラフィ法等)などを
経て単一物質とした後、加水分解反応などの化学的な処
理により光学活性な試薬部位を切り離すことにより光学
異性体を得る方法。例えば、本発明の化合物が分子内に
水酸基または1,2級アミノ基を有する場合、該化合物
と光学活性な有機酸(例えば、MPTA〔α−メトキシ
−α−(トリフルオロメチル)フェニル酢酸〕、(−)
−メントキシ酢酸等)などとを縮合反応に付すことによ
り、それぞれエステル体またはアミド体のジアステレオ
マーが得られる。一方、本発明の化合物がカルボン酸基
を有する場合、該化合物と光学活性アミンまたはアルコ
ール試薬とを縮合反応に付すことにより、それぞれアミ
ド体またはエステル体のジアステレオマーが得られる。
分離されたジアステレオマーは、酸加水分解あるいは塩
基性加水分解反応に付すことにより、元の化合物の光学
異性体に変換される。
【0059】上記式(IV)中、Ar1またはAr2で示さ
れる「置換基を有していてもよい芳香族基」の「芳香族
基」としては、例えば芳香族炭化水素基、芳香族複素環
基などがあげられ、さらにキノン環基なども用いられ
る。好ましくは、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基で
ある。該「芳香族炭化水素基」としては、例えば炭素数
6ないし14個の単環式あるいは縮合多環式芳香族炭化
水素基などが挙げられる。その具体例としてはフェニ
ル、1−ナフチル、2−ナフチル、インデニル、アンス
リルなどのC6-14アリール基などが挙げられる。このう
ちフェニル、1−ナフチル、2−ナフチルが好ましい。
【0060】該「芳香族複素環基」としては、例えば炭
素原子以外に窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選
ばれるヘテロ原子を1個以上(例えば1ないし4個)を
含む5ないし11員の単環またはその縮合芳香族複素環
基などが挙げられる。具体的には、チオフェン、ベンゾ
〔b〕チオフェン、ベンゾ〔b〕フラン、ベンズイミダ
ゾール、ベンズオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベン
ズイソチアゾール、ナフト〔2,3−b〕チオフェン、
チアントレン、フラン、イソインドリジン、キサントレ
ン、フェノキサチイン、ピロール、イミダゾール、ピラ
ゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジ
ン、インドール、イソインドール、1H−インダゾー
ル、プリン、4H−キノリジン、イソキノリン、キノリ
ン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾ
リン、シンノリン、カルバゾール、β−カルボリン、フ
ェナントリジン、アクリジン、フェナジン、チアゾー
ル、イソチアゾール、フェノチアジン、イソオキサゾー
ル、フラザン、フェノキサジン、イソクロマンなどの芳
香族複素環、あるいはこれらの環が1個あるいは複数個
(好ましくは1または2個)の芳香環(例、ベンゼン環
等)と縮合して形成された環から任意の水素原子を除い
てできる1価基などが挙げられる。「芳香族複素環基」
の好ましい例としては、2−ピリジル、3−ピリジル、
4−ピリジル、2−キノリル、3−キノリル、4−キノ
リル、5−キノリル、8−キノリル、1−イソキノリ
ル、3−イソキノリル、4−イソキノリル、5−イソキ
ノリル、1−インドリル、2−インドリル、3−インド
リル、2−ベンゾチアゾリル、2−ベンゾ〔b〕チエニ
ル、ベンゾ〔b〕フラニル、2−チエニル、3−チエニ
ル、2−チアゾリルなどが挙げられる。さらに好ましく
は、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−
キノリル、3−キノリル、4−キノリル、5−キノリ
ル、8−キノリル、2−ベンゾチアゾリル、1−イソキ
ノリル、2−チエニル、2−チアゾリルなどである。該
「キノン環基」はキノン環から1個の水素を除いた基で
あり、例えばp−ベンゾキノン、1,4−ナフトキノ
ン、アントラキノン、5,6−クリセンキノン、5,8−
ジオキソ−5,8−ジヒドロキノリンなどが挙げられ
る。
【0061】Ar1またはAr2で示される「置換基を有
していてもよい芳香族基」の置換基としては、例えばハ
ロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素など)、
1-3アルキレンジオキシ基(例、メチレンジオキシ、
エチレンジオキシなど)、ニトロ基、シアノ基、ハロゲ
ン化されていてもよいC1-6アルキル基、ハロゲン化さ
れていてもよいC3-6シクロアルキル基(例、シクロプ
ロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシ
ルなど)、ハロゲン化されていてもよいC1-6アルコキ
シ基、ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキルチオ
基、ヒドロキシル基、アミノ基、モノ−C1-6アルキル
アミノ基(例、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピル
アミノ、イソプロピルアミノ、ブチルアミノなど)、ジ
−C1-6アルキルアミノ基(例、ジメチルアミノ、ジエ
チルアミノ、ジプロピルアミノ、ジブチルアミノな
ど)、C1-6アルキル−カルボニル基(例、アセチル、
プロピオニルなど)、カルボキシル基、C1-6アルコキ
シ−カルボニル基(例、メトキシカルボニル、エトキシ
カルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニ
ルなど)、カルバモイル基、モノ−C1-6アルキルカル
バモイル基(例、メチルカルバモイル、エチルカルバモ
イルなど)、ジ−C1-6アルキルカルバモイル基(例、
ジメチルカルバモイル、ジエチルカルバモイルなど)、
6-10アリール−カルバモイル(例、フェニルカルバモ
イル、ナフチルカルバモイルなど)、スルホ基、C1-6
アルキルスルホニル基(例、メチルスルホニル、エチル
スルホニルなど)、C6-10アリール基(例、フェニル、
ナフチルなど)、C6-10アリールオキシ基(例、フェニ
ルオキシ、ナフチルオキシなど)、モノ−C1-6アルキ
ルカルバモイルオキシ(例、メチルカルバモイルオキ
シ、エチルカルバモイルオキシなど)、モノ−C1-6
ルキルカルボキサミド基(例、メチルカルボキサミド、
エチルカルボキサミドなど)などが挙げられる。
【0062】上記「ハロゲン化されていてもよいC1-6
アルキル基」としては、例えば1ないし3個のハロゲン
原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素など)を有して
いてもよいC1-6アルキル基(例、メチル、エチル、プ
ロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチ
ル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシルなど)などが挙
げられ、具体例としては、メチル、クロロメチル、ジフ
ルオロメチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチ
ル、エチル、2−ブロモエチル、2,2,2−トリフルオ
ロエチル、ペンタフルオロエチル、プロピル、3,3,3
−トリフルオロプロピル、イソプロピル、ブチル、4,
4,4−トリフルオロブチル、イソブチル、sec−ブチ
ル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペン
チル、5,5,5−トリフルオロペンチル、ヘキシル、
6,6,6−トリフルオロヘキシルなどが挙げられる。上
記「ハロゲン化されていてもよいC3-6シクロアルキル
基」としては、例えば1ないし3個のハロゲン原子
(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素など)を有していて
もよいC3-6シクロアルキル基(例、シクロプロピル、
シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなど)
などがあげられ、具体例としては、例えばシクロプロピ
ル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、
2,2,3,3−テトラフルオロシクロペンチル、4−ク
ロロシクロヘキシルなど)などがあげられる。
【0063】上記「ハロゲン化されていてもよいC1-6
アルコキシ基」としては、例えば1ないし3個のハロゲ
ン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素など)を有し
ていてもよいC1-6アルコキシ基(例、メトキシ、エト
キシ、プロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブ
トキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシなど)などが
挙げられ、具体例としては、例えばメトキシ、ジフルオ
ロメトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、2,2,
2−トリフルオロエトキシ、プロポキシ、イソプロポキ
シ、ブトキシ、4,4,4−トリフルオロブトキシ、イソ
ブトキシ、sec−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシル
オキシなどが挙げられる。上記「ハロゲン化されていて
もよいC1-6アルキルチオ基」としては、例えば1ない
し3個のハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ
素など)を有していてもよいC1-6アルキルチオ基
(例、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプ
ロピルチオ、n-ブチルチオ、sec-ブチルチオ、tert-ブ
チルチオなど)などがあげられ、具体例としては、メチ
ルチオ、ジフルオロメチルチオ、トリフルオロメチルチ
オ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブ
チルチオ、4,4,4−トリフルオロブチルチオ、ペンチ
ルチオ、ヘキシルチオなどが挙げられる。
【0064】該「置換基を有していてもよい芳香族基」
の「芳香族基」は、例えば上記の置換基をその環上の置
換可能な位置に、1ないし5個、好ましくは1ないし3
個有していてもよく、置換基数が2個以上の場合は同一
または異なっていてもよい。Ar1またはAr2で示され
る「置換基を有していてもよい芳香族基」の置換基とし
て、好ましくは、ハロゲン原子、ハロゲン化されていて
もよいC1-6アルキル基、ハロゲン化されていてもよい
1-6アルコキシ基、シアノ基、ヒドロキシル基および
モノ−C1-6アルキルカルバモイルオキシ基から選ばれ
る置換基1〜3個などが挙げられる。Qで示される「酸
素原子または硫黄原子を含有していてもよく、かつ置換
基を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基」の「酸
素原子または硫黄原子を含有していてもよい2価の脂肪
族炭化水素」は、例えば飽和または不飽和の脂肪族炭化
水素の異なった2個の炭素原子に結合する水素原子を1
個ずつ取り除いてでき、酸素原子または硫黄原子を炭素
原子間あるいは末端のいずれの位置に1ないし2個、好
ましくは1個含有していてもよい2価の基を示す。この
うち炭素数が2ないし8個のものが好ましい。
【0065】具体的な例としては、 (i)C2-8アルキレン基(例、
【化26】 (ii)C2-8アルケニレン基(例、−CH2−CH=CH−,−
CH2−CH=CH−CH2−,−CH2−CH2−CH=CH−,−CH=CH
−CH2−CH2−CH2−,−CH2−CH2−CH2−CH2−CH=CH−
等) (iii)アルキニレン基(例、
【化27】 (iv)式 −(CH2)n−M−(CH2)m− 〔式中、Mは、O、S、SOまたはSO2を、nおよび
mは、それぞれ0ないし8(好ましくは1ないし4)の
整数を示し、かつ、n+mは2ないし8の整数を示す〕
で表される基などがあげられる。
【0066】さらに好ましくは、C3-7アルキレン基
(例、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレ
ン、ヘキサメチレンなど)、C2-6アルケニレン基
(例、ビニレン、プロペニレン、ブテニレン、ペンタニ
レン、ヘキサニレンなど)、C3-7アルキニレン基
(例、プロピニレン、ブタニレン、ペンタニレンなど)
などが挙げられる。炭素数が4ないし6個の直鎖状のも
のが特に好ましい。1個の硫黄原子を含有していてもよ
い直鎖状C4-6アルキレン基も好ましい。該「酸素原子
または硫黄原子を含有していてもよい2価の脂肪族炭化
水素」が有していてもよい置換基としては、例えばC
1-6アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、イソ
プロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−
ブチル、ペンチル、ヘキシルなど)などが挙げられる。
該置換基は置換可能な位置に1〜5個置換されていても
よく、置換基数が2個以上の場合は各置換基は同一また
は異っていてもよい。
【0067】R1、R2またはR3で示される「アシル
基」としては、例えば、式 −CO−R4、−CONH
−R4、−CO−O−R4、−CS−NH−R4、−CS
−O−R4(式中、R4は水素原子、置換基を有していて
もよい炭化水素基または置換基を有していてもよい複素
環基を示す)で表わされるアシル基または式 −SO2
−R4a、−SO−R4a(式中、R4aは置換基を有してい
てもよい炭化水素基または置換基を有していてもよい複
素環基を示す)で表わされるアシル基などがあげられ
る。このうち好ましくは、−CO−R4、−CONH−
4、−CO−O−R4、−CS−O−R4(式中、R4
前記と同意義)である。R1、R2、R3、R4またはR4a
で示される「置換基を有していてもよい炭化水素基」の
「炭化水素基」は、炭化水素化合物から水素原子を1個
取り除いた基を示し、その例としては、例えばアルキル
基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、ア
ラルキル基などの鎖状または環状炭化水素基があげられ
る。このうち、以下のような炭素数1ないし16個の鎖
状または環状炭化水素基などが好ましい。R1、R2、R
3、R4またはR4aで示される「置換基を有していてもよ
い炭化水素基」の「炭化水素基」は、炭化水素化合物か
ら水素原子を1個取り除いた基を示し、その例として
は、例えばアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル
基、アリール基、アラルキル基などの鎖状または環状炭
化水素基が挙げられる。このうち、以下のような炭素数
1ないし16個の鎖状または環状炭化水素基などが好ま
しい。
【0068】a)C1-6アルキル基(例えば、メチル、エ
チル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、
sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシ
ルなど)、 b)C2-6アルケニル基(例えば、ビニル、アリル、イソ
プロペニル、ブテニル、イソブテニル、sec−ブテニル
など)、 c)C2-6アルキニル基(例えば、プロパルギル、エチニ
ル、ブチニル、1−ヘキシニルなど)、 d)C3-6シクロアルキル基(例えば、シクロプロピル、
シクロブチル、シクロペンチル、1ないし3個のC1-6
アルコキシ基(例、メトキシなど)を有していてもよい
ベンゼン環と縮合していてもよいシクロヘキシルな
ど)、 e)C6-14アリール基(例えば、フェニル、1−ナフチ
ル、2−ナフチル、ビフェニル、2−インデニル、2−
アンスリルなど)、好ましくはフェニル基、 f)C7-16アラルキル基(例えば、ベンジル、フェネチ
ル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、1−ナフ
チルメチル、2−ナフチルメチル、2−ジフェニルエチ
ル、3−フェニルプロピル、4−フェニルブチル、5−
フェニルペンチルなど)、好ましくはベンジル基。 このうち、C1-6アルキル基、C6-14アリール基などが
好ましい。
【0069】R1、R2、R3、R4またはR4aで示される
「置換基を有していてもよい炭化水素基」の「置換基」
としては、例えばハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭
素、ヨウ素など)、C1-3アルキレンジオキシ基(例、
メチレンジオキシ、エチレンジオキシなど)、ニトロ
基、シアノ基、ハロゲン化されていてもよいC1-6アル
キル基、ハロゲン化されていてもよいC3-6シクロアル
キル基、ハロゲン化されていてもよいC1-6アルコキシ
基、ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキルチオ
基、ヒドロキシル基、アミノ基、モノ−C1-6アルキル
アミノ基(例、メチルアミノ、エチルアミノなど)、ジ
−C1-6アルキルアミノ基(例、ジメチルアミノ、ジエ
チルアミノなど)、C1-6アルキル−カルボニル基
(例、アセチル、エチルカルボニルなど)、カルボキシ
ル基、C1-6アルコキシ−カルボニル基(例、メトキシ
カルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニ
ル、ブトキシカルボニルなど)、カルバモイル基、モノ
−C1-6アルキルカルバモイル基(例、メチルカルバモ
イル、エチルカルバモイルなど)、ジ−C1-6アルキル
カルバモイル基(例、ジメチルカルバモイル、ジエチル
カルバモイルなど)、スルホ基、C1-6アルキルスルホ
ニル基(例、メチルスルホニル、エチルスルホニルな
ど)、C6-10アリール(例、フェニル基など)、C6-10
アリールオキシ基(例、フェニルオキシ基など)、5ま
たは6員の複素環基などが挙げられる。
【0070】上記の「ハロゲン化されていてもよいC
1-6アルキル基」、「ハロゲン化されていてもよいC3-6
シクロアルキル基」、「ハロゲン化されていてもよいC
1-6アルコキシ基」、「ハロゲン化されていてもよいC
1-6アルキルチオ基」としては、例えば前記のAr1、A
2で示される芳香族基の置換基で詳述したものと同様
のものなどが挙げられる。上記の「5または6員の複素
環基」としては、例えば炭素原子以外に窒素、酸素およ
び硫黄から選ばれた1ないし3個のヘテロ原子を含む5
または6員の複素環基等が挙げられる。具体的には、例
えば1−,2−または3−ピロリジニル、2−または4
−イミダゾリニル、2−,3−または4−ピラゾリジニ
ル、ピペリジノ、2−,3−または4−ピペリジル、1
−または2−ピペラジニル、モルホリノ、2−チエニ
ル、3−チエニル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−
ピリジル、2−フリル、3−フリル、ピラジニル、2−
ピリミジニル、3−ピロリル、3−ピリダジニル、3−
イソチアゾリル、3−イソオキサゾリルなどが挙げられ
る。該「置換基を有していてもよい炭化水素基」の「炭
化水素基」は、例えば前記の置換基を、炭化水素基の置
換可能な位置に1ないし5個、好ましくは1ないし3個
有していてもよく、置換基数が2個以上の場合は各置換
基は同一または異なっていてもよい。
【0071】R4またはR4aで示される「置換基を有し
ていてもよい複素環基」の「複素環基」としては、例え
ば炭素原子以外に窒素原子、酸素原子および硫黄原子か
ら選ばれた1種または2種、好ましくは、1個ないし3
個のヘテロ原子を含む5ないし10員の(単環式または
2環式)複素環基などがあげられ、例えば1−,2−ま
たは3−ピロリジニル、2−または4−イミダゾリニ
ル、2−,3−または4−ピラゾリジニル、ピペリジ
ノ、2−,3−または4−ピペリジル、1−または2−
ピペラジニル、モルホリニルなどの非芳香性複素環基、
または、例えば2−チエニル、3−チエニル、2−ピリ
ジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−フリル、3−
フリル、2−、3−、4−、5−または8−キノリル、
4−イソキノリル、ピラジニル、2−または4−ピリミ
ジニル、3−ピロリル、2−イミダゾリル、3−ピリダ
ジニル、3−イソチアゾリル、3−イソオキサゾリル、
1−インドリル、2−イソインドリルなどの芳香族複素
環基などが挙げられる。このうち、芳香族複素環基が好
ましい。さらに好ましくは、例えば炭素原子以外に窒素
原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれた1ないし3
個のヘテロ原子を含む5または6員の芳香族複素環基
(例えば、2−チエニル、3−チエニル、2−ピリジ
ル、3−ピリジル、4−ピリジルなど)などが挙げられ
る。特に好ましくは、単環性(5ないし6員)窒素含有
芳香族基(例えば、2−ピリジル、3−ピリジル、4−
ピリジル、2−ピロリル、2−イミダゾリル、2−ピラ
ジニル、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル等)、特
に2−ピリジルである。
【0072】該「置換基を有していてもよい複素環基」
の「複素環基」が有していてもよい置換基としては、例
えば前記R4またはR4aの「置換基を有していてもよい
炭化水素基」が有していてもよい置換基と同様のものな
どが同様の個数用いられる。Xで示される電子吸引基と
しては、例えばシアノ基、アシル基、ニトロ基、ハロゲ
ン原子などが挙げられる。上記「アシル基」としては、
例えば前記のR1、R2またはR3で示される「アシル
基」と同様のものなどが挙げられる。Xで示される「置
換基を有していてもよい芳香族基」としては、例えば前
記Ar1またはAr2で示される「置換基を有していても
よい芳香族基」と同様のものなどが挙げられる。
【0073】R2とR3が隣接する窒素原子と共に形成す
る「置換基を有していてもよい含窒素複素環」の「含窒
素複素環」としては、例えば炭素原子以外に少なくとも
1個の窒素原子を含み酸素原子、窒素原子または硫黄原
子から選ばれる1ないし3個のヘテロ原子を含んでいて
もよい5ないし7員含窒素複素環などが挙げられる。具
体的には、例えばピペリジン、モルホリン、チオモルホ
リン、ピペラジン、N−メチルピペラジン、2−オキソ
アゼチジン、2−オキソピロリジン、2−オキソピペリ
ジンなどが挙げられる。該「置換基を有していてもよい
含窒素複素環」の「置換基」としては、例えば前記Ar
1またはAr2で示される「置換基を有していてもよい芳
香族基」が有していてもよい置換基などが同様の個数用
いられてもよい。Xで示される「置換基を有していても
よい水酸基」としては、例えば、式−OR5(式中、R5
は水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基、置
換基を有していてもよい複素環基またはアシル基を示
す)で表わされる基などがあげられる。R5で示される
「置換基を有していてもよい炭化水素基」および「置換
基を有していてもよい複素環基」としては、例えば前記
4で示される「置換基を有していてもよい炭化水素
基」および「置換基を有していてもよい複素環基」と同
様のものなどがそれぞれあげられる。R5で示される
「アシル基」としては、例えば前記R1で示される「ア
シル基」と同様のものなどがあげられる。Xで示される
「置換基を有していてもよいメルカプト基」としては、
例えば、式 −SR6(式中、R6は前記R5と同意義)
で表わされる基などがあげられる。
【0074】化合物(IV)中、Ar1またはAr2は、そ
れぞれ置換基を有していてもよい(i)C6-14アリール
基または(ii)炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子およ
び酸素原子から選ばれるヘテロ原子を1個以上を含む5
ないし11員の単環または縮合芳香族複素環基が好まし
い。さらに好ましくは、ハロゲン原子、C1-3アルキレ
ンジオキシ基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン化されて
いてもよいC1-6アルキル基、ハロゲン化されていても
よいC3-6シクロアルキル基、ハロゲン化されていても
よいC1-6アルコキシ基、ハロゲン化されていてもよい
1-6アルキルチオ基、ヒドロキシル基、アミノ基、モ
ノ−C1-6アルキルアミノ基、ジ−C1-6アルキルアミノ
基、C1-6アルキル−カルボニル基、カルボキシル基、
1-6アルコキシ−カルボニル基、カルバモイル基、モ
ノ−C1-6アルキル−カルバモイル基、ジ−C1-6アルキ
ル−カルバモイル基、スルホ基、C1-6アルキルスルホ
ニル基、フェニル基またはフェニルオキシ基で1ないし
4個置換されていてもよいフェニル、1−ナフチル、2
−ナフチル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジ
ル、2−キノリル、3−キノリル、4−キノリル、5−
キノリル、8−キノリル、2−ベンゾチアゾリル、1−
イソキノリル、2−チエニルまたは2−チアゾリルなど
である。QはC2-8アルキレン基などが好ましい。
【0075】R1は水素原子またはアシル基が好まし
い。さらに好ましくは、アシル基である。該アシル基と
しては、式 −CO−R4、−CONH−R4、−CO−
O−R4、−CS−NH−R4または−CS−OR4(R4
は置換基を有していてもよい炭化水素基または置換基を
有していてもよい複素環基を示す)で表わされるアシル
基などが好ましい。このうち、−CO−R4、−CON
H−R4(R4は前記と同意義)が特に好ましい。R
4は、それぞれ置換基を有していてもよい(i)C1-6
ルキル基または(ii)C6-14アリール基が好ましい。X
は電子吸引基が好ましい。さらに好ましくは、シアノ基
またはアシル基である。該アシル基としては −CO−
O−R4で示されるアシル基が好ましい。Xは特にシア
ノ基が好ましい。
【0076】化合物(IV)としては、Ar1およびAr2
が、それぞれ、ハロゲン原子、C1-3アルキレンジオキ
シ基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン化されていてもよ
いC1-6アルキル基、ハロゲン化されていてもよいC3-6
シクロアルキル基、ハロゲン化されていてもよいC1-6
アルコキシ基、ハロゲン化されていてもよいC1-6アル
キルチオ基、ヒドロキシル基、アミノ基、モノ−C1-6
アルキルアミノ基、ジ−C1-6アルキルアミノ基、C1-6
アルキル−カルボニル基、カルボキシル基、C1-6アル
コキシ−カルボニル基、カルバモイル基、モノ−C1-6
アルキル−カルバモイル基、ジ−C1-6アルキル−カル
バモイル基、スルホ基、C1-6アルキルスルホニル基、
6-10アリール基またはC6-10アリールオキシ基で1な
いし3個それぞれ置換されていてもよいフェニル、1−
ナフチル、2−ナフチル、2−ピリジル、3−ピリジ
ル、4−ピリジル、2−キノリル、3−キノリル、4−
キノリル、5−キノリル、8−キノリルまたは2−ベン
ゾチアゾリル、2−チエニル、2−チアゾリルまたはイ
ソキノリル、QがC2-8アルキレン基、
【0077】R1が水素原子またはアシル基、およびX
が電子吸引基である化合物が好ましい。さらに、Ar1
およびAr2が、それぞれハロゲン原子またはハロゲン
化されていてもよいC1-6アルコキシ基でそれぞれ置換
されていてもよいフェニル、1−ナフチル、2−ナフチ
ル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−
キノリル、3−キノリル、4−キノリル、5−キノリ
ル、8−キノリルまたは2−ベンゾチアゾリル、2−チ
エニル、2−チアゾリルまたは1−イソキノリル、Qが
直鎖状C4-6アルキレン基、R1が水素原子または式 −
CO−R4または−CONH−R4で示されるアシル基、
4がそれぞれ置換基(例、ハロゲン原子、ハロゲン化
されていてもよいC1-6アルキル、ハロゲン化されてい
てもよいC1-6アルコキシ)を有していてもよい(i)C
1-6アルキル基、(ii)C6-14アリール基または(iii)
単環性窒素含有芳香族基およびXがシアノ基である化合
物が好ましい。
【0078】化合物(IV)の塩としては、前記化合物
(II)または(III)と同様なものが挙げられる。化合
物(IV)またはその塩(以下、単に「化合物(IV)」と
略称する)の製造法について以下に述べる。化合物(I
V)は、その対応するカルボン酸化合物(XII)から自体
公知の方法、例えば特開平1−104033号公報、パ
タイ(S.Patai)編の ザ ケミストリー オブ アシ
ド デリバティブ サプルメントB(Supplement B. Th
e chemistry of acid derivatives)2巻(John Wiley
& Sons)849-873頁(1992)に記載の方法に準じた方法
等により得られる。
【化28】 例えば、化合物(XII)はそのカルボキシル基の反応性
誘導体を経て、ヒドロキシルアミン類と塩基の存在下、
0ないし50℃、好ましくは室温(0ないし30℃)
で、10分ないし2時間程度反応させ、化合物(IVb
を得る。該反応性誘導体としては、酸無水物、酸ハライ
ド、活性化エステルなどが挙げられる。
【0079】ヒドロキシルアミン類としては、式 NH
2−OR1b(式中、R1bは水素原子または置換基を有し
ていてもよい炭化水素基を示す)で表される化合物また
はその塩(例、塩酸塩等)等が用いられる。ここで、R
1bで示される「置換基を有していてもよい炭化水素基」
は、R1で定義したものと同様のものである。該塩基と
しては、例えば炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム
等の炭酸水素酸のアルカリ金属またはアルカリ土類金属
塩、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸のア
ルカリ金属またはアルカリ土類金属塩、例えば水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等のアル
カリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物等の無機塩
基、例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルア
ミン等のアルキルアミン類等の有機塩基などが挙げられ
る。
【0080】ヒドロキシルアミン類の使用量は、化合物
(XII)に対して当量以上、好ましくは約2ないし5当
量である。塩基の使用量は、用いるヒドロキシルアミン
の2倍当量以上、好ましくは約4ないし10当量であ
る。この反応で用いる溶媒としては、該反応を阻害しな
いものであればいずれでもよく、例えば水、アルコール
類(例、メタノール、エタノール、n−プロパノール、
イソプロパノール等)、ニトリル類(例、アセトニトリ
ル等)、ハロゲン化炭化水素類(例、ジクロロメタン、
クロロフォルム等)、エーテル類(例、ジエチルエーテ
ル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等)が挙げられ
る。これらの溶媒は単独あるいは二種以上を混合して用
いてもよい。
【0081】反応温度は、約0ないし50℃、好ましく
は室温である。反応時間は、約10分ないし2時間であ
る。また、化合物(IV)の低級アルキルエステル体とヒ
ドロキシルアミン類とを、塩基の存在下で反応させて化
合物(XIII)を得てもよい。この反応は、自体公知の方
法、例えば、新実験化学講座14巻、1227頁、日本
化学会編記載の方法等に従って行えばよい。該ヒドロキ
シルアミン類としては、上記の式 NH2−OR1bで表
される化合物またはその塩などが挙げられる。
【0082】該塩基としては、例えばアルカリ金属また
はアルカリ土類金属の水素化物(例、水素化リチウム、
水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化カルシウム
など)、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のアミド
類(例、リチウムアミド、ナトリウムアミド、リチウム
ジイソプロピルアミド、リチウムジシクロヘキシルアミ
ド、リチウムヘキサメチルシラジド、ナトリウムヘキサ
メチルシラジド、カリウムヘキサメチルシラジドな
ど)、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の低級アル
コキシド(例、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエト
キシド、カリウムt−ブトキシドなど)などの強塩基;
例えばアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物
(例、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチ
ウム、水酸化バリウムなど)、アルカリ金属またはアル
カリ土類金属の炭酸塩(例、炭酸ナトリウム、炭酸カリ
ウム、炭酸セシウムなど)、アルカリ金属またはアルカ
リ土類金属の炭酸水素塩(例、炭酸水素ナトリウム、炭
酸水素カリウムなど)などの無機塩基;例えばトリエチ
ルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモ
ルホリン、ジメチルアミノピリジン、DBU(1,8−ジ
アザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセン)、DBN(1,
5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノン−5−エン)などのア
ミン類あるいはピリジン、イミダゾール、2,6−ルチ
ジンなどの塩基性複素環化合物などの有機塩基等が挙げ
られる。このうち、アルカリ金属またはアルカリ土類金
属の低級アルコキシド(例、ナトリウムメトキシド、ナ
トリウムエトキシド、カリウム t−ブトキシドなど)
などの強塩基が好ましい。
【0083】ヒドロキシルアミン類の使用量は、該低級
アルキルエステル体に対して当量以上、好ましくは約3
ないし20当量である。塩基の使用量は、ヒドロキシル
アミン類より過剰であればよく、例えばヒドロキシルア
ミン類に対して約1.2ないし2当量である。この反応
に用いられる溶媒としては、該反応を阻害しないもので
あればいずれでもよく、例えばアルコール類(例、メタ
ノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノ
ール、tert−ブタノール、エチレングリコール、sec−
ブタノール等)、エーテル類(例、ジエチルエーテル、
テトラヒドロフラン、ジオキサン等)等が挙げられる。
これらの溶媒は単独あるいは二種以上を適当割合で混合
して用いてもよい。
【0084】反応温度は、約−20℃ないし50℃、好
ましくは室温である。反応時間は、約1ないし18時間
である。R1bが水素の場合、化合物(IVb')を、自体公
知の方法に従ってアシル化反応またはアルキル化反応に
付して化合物(IVa)を得る。
【化29】 例えば化合物(IVb')と式 Y−R1a〔式中、Yは脱離
基を、R1aはアシル基または置換基を有していてもよい
炭化水素基を示す〕で表わされる化合物またはその塩と
を反応させ、化合物(IVa)を得る。ここで、Yで示さ
れる「脱離基」としては、例えばハロゲン原子(例、塩
素、臭素、ヨウ素等)、ハロゲン原子で1ないし3個置
換されていてもよいC1-4アルキルスルホニルオキシ基
(例、メタンスルホニルオキシ、トリフルオロメタンス
ルホニルオキシ等)、ハロゲン原子で1ないし4個置換
されていてもよいC6-10アリールスルホニルオキシ基
(例、p−トルエンスルホニルオキシ、ベンゼンスルホ
ニルオキシ、p−ブロモベンゼンスルホニルオキシ、メ
シチレンスルホニルオキシ等)、C1-6アルコキシ基
(例、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキ
シ、ブトキシなど)、ハロゲン原子及びニトロ等から選
ばれた1ないし3個の置換基を有していてもよいC6-10
アリールオキシ基(例、フェノキシ、p−クロロフェノ
キシ、p−ニトロフェノキシ等)等が用いられる。
【0085】R1aで示される「アシル基」、「置換基を
有していてもよい炭化水素基」としては、R1で定義し
たものと同様のものが挙げられる。アシル化反応として
は、自体公知の方法、例えばジャーナル・オブ・オーガ
ニック・ケミストリー(J.Org.Chem.)26巻,782頁,
1961年に記載の方法等に従って行えばよい。例え
ば、化合物(IVb')またはその塩あるいはその反応性誘
導体と式 Y−R1a'(R1a’はアシル基を示す)で表
される化合物またはその塩とを塩基の存在下反応させ
る。該反応性誘導体としては酸無水物、酸ハライド、活
性化エステル、低級アルキルエステルなどが挙げられ
る。該塩基としては、例えばトリエチルアミン、ジイソ
プロピルエチルアミン等のアルキルアミン類、ピリジン
などの含窒素芳香族複素環類等が挙げられる。式 Y−
1a'で表される化合物またはその塩の使用量は、化合
物(IVb')に対して、約1ないし1.2当量である。該
塩基の使用量は、式 Y−R1a'で表される化合物に対
して、約1ないし3当量である。
【0086】この反応に用いられる溶媒としては、該反
応を阻害しないものであればいずれでもよく、例えばニ
トリル類(例、アセトニトリル等)、ハロゲン化炭化水
素類(例、ジクロロメタン、クロロホルム等)、エーテ
ル類(例、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジ
オキサン、イソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシ
エタン等)がなどが挙げられる。反応温度は、約−20
℃ないし室温、好ましくは室温である。反応時間は、用
いる試薬類により適宜選択すればよく、例えば約0.2
ないし5時間である。また、化合物(IVb')および当量
前後の対応する有機酸(式 R1a−OH で表される化
合物)を不活性溶媒(例、ハロゲン化炭化水素類、アセ
トニトリル等)に溶かし、ジシクロヘキシルカルボジイ
ミドなどの脱水縮合剤を約1ないし1.5量加えて反応
させてもよい。反応時間は約−20℃ないし室温、反応
時間は約6ないし12時間である。カルバモイル化反応
を行う場合は、前記アシル化反応とほぼ同様の反応条件
により行えばよく、必ずしも塩基を共存させる必要はな
い。
【0087】アルキル化反応としては、自体公知の方
法、例えばリチャード・ラロック(Richard C. Laroc
k)著 コンプリヘンシブ・オーガニック・トランスフ
ォーメーション(Comprehensive Organic Transformati
on)ブイシーエイチ・パブリッシャーズ・インク社出版
(VCH Publishers lnc.)などに記載の方法あるい
はそれに準じた方法を用いて、化合物(IVb')から化合
物(IVa)を得ればよい。化合物(XII)は、自体公知の
方法、例えば、前記の Bulletin de la SocieteChimiqu
e France, 1345-1350頁、(1956)または同1314-1317
頁、(1964)等に記載の方法またはそれに準じた方法に
より得られる。
【0088】その具体例のひとつとして下記製造法が挙
げられるが、この方法に限定されるわけではない。
【化30】 〔式中、R5は低級アルキルを、他の各記号は前記と同
意義を示す〕 例えば、化合物(XIII)と化合物(XIV)との置換反応
を行い化合物(XV)を得、次いで加水分解反応に付すこ
とにより化合物(II)を得ることができる。該置換反応
は、化合物(XIII)と化合物(XIV)とを塩基の存在下
おこなえばよい。塩基としては、前記の強塩基、無機塩
基、有機塩基等が用いられる。このうち好ましくは、強
塩基である。無機塩基としては、炭酸カリウム、炭酸ナ
トリウムが好ましい。有機塩基としてはDBUが好まし
い。
【0089】塩基の使用量は、化合物(XIII)に対して
約1ないし5当量、好ましくは約1ないし3当量であ
る。化合物(XIV)の使用量は、化合物(XIII)に対し
て約1ないし3当量である。この反応に用いられる溶媒
としては、該反応を阻害しないものであればよく、例え
ばアルコール類(例、メタノール、エタノール等)、エ
ーテル類(例、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン
(THF)、ジオキサン等)、ハロゲン化炭化水素類
(例、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロ
ロホルム、四塩化炭素等)、芳香族炭化水素類(例、ベ
ンゼン、トルエン、キシレン等)、ニトリル類(例、ア
セトニトリル等)、酸アミド類(例、N,N−ジメチル
ホルムアミド等)、ケトン類(例、アセトン、メチルエ
チルケトン等)、スルホキシド類(例、ジメチルスルホ
キシド等)などの単独あるいはこれらの二種以上の混合
系が挙げられる。中でも、エーテル類(例、THF、ジ
エチルエーテル等)、ニトリル類(例、アセトニトリル
等)、酸アミド類(例、N,N−ジメチルホルムアミド
等)、ケトン類(例、アセトン等)などが好ましい。
【0090】反応温度は約0℃ないし100℃、好まし
くは約10℃ないし50℃である。反応時間は約5分な
いし100時間、約1ないし5時間である。化合物(X
V)の加水分解反応は、自体公知の酸加水分解またはア
ルカリ加水分解により行うことができる。また、この加
水分解工程は脱保護の工程を伴ってもよい。アルカリ加
水分解の場合、化合物(XV)を溶媒(例、水、アルコー
ル類、エーテル類の単独あるいはこれら二種以上の混合
系)中、アルカリ(例えば、水酸化リチウム、水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム等の無機塩
基の水酸化物等)とを反応させる。該溶媒としては、水
−メタノールの混合溶媒が好ましい。アルカリとして
は、水酸化ナトリウムが好ましい。アルカリの使用量
は、化合物(XV)に対して約2ないし100当量、好ま
しくは約5ないし10当量である。
【0091】反応温度は約10℃ないし120℃、好ま
しくは約50℃ないし120℃である。反応時間は約5
分ないし100時間、好ましくは約10ないし50時間
である。好ましい反応系としては、溶媒が水−メタノー
ルの混合溶媒、反応温度が約50℃ないし120℃、反
応時間が約10ないし50時間である。酸加水分解は、
化合物(XV)を、過剰量の希塩酸単独あるいは希塩酸と
酢酸との共存下、室温ないし120℃で、0.5ないし
18時間加熱撹拌すればよい。化合物(XIII)の多くは
市販品として容易に入手可能であり、また、自体公知の
方法、例えばケミカル・アブストラクト、64巻、2026
頁、1966年 記載の方法等により容易に合成できる。さ
らに、Ar1 およびAr2 のどちらかが2−ピリジル、2
−ベンゾチアゾリル、2−キノリルまたは2−チアゾリ
ルの場合、それぞれ対応する、2−ブロモピリジン、2
−クロロベンゾチアゾール、2−クロロキノリルまたは
2−ブロモチアゾールなどと式 Ar3−CH2−X 〔式中、Ar3 は置換基を有していてもよい芳香族基、
Xは前記と同意義を示す〕で表される化合物とを塩基の
共存下に反応させることにより、化合物(XIII)とする
ことができる。
【0092】Ar3 で示される「置換基を有していても
よい芳香族基」としては、Ar1またはAr2で示される
「置換基を有していてもよい芳香族基」と同様のものが
等が挙げられる。塩基としては、例えば前記の強塩基な
どが挙げられる。塩基の使用量は、化合物(XV)に対し
て約1ないし5当量、好ましくは約1ないし3当量であ
る。反応に用いる溶媒としては、例えば前記のアルコー
ル類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素類、芳香族炭化
水素類、ニトリル類、酸アミド類、ケトン類、スルホキ
シド類などの単独あるいはこれらの二種以上の混合系が
挙げられる。中でもTHF、エチルエーテル、アセトニ
トリル、N,N−ジメチルホルムアミドなどが好まし
い。反応温度は約0℃ないし100℃、好ましくは約1
0℃ないし50℃である。反応時間は約5分ないし10
0時間、好ましくは約1ないし5時間である。
【0093】化合物(XIV)は、自体公知の方法、例え
ば前記の Bulletin de la Societe Chimique France, 1
345-1350頁(1956)等に記載の方法またはそれに準じた
方法により得られる。前記の各反応および原料化合物合
成の各反応において、原料化合物が置換基としてアミノ
基、カルボキシル基、ヒドロキシル基を有する場合、こ
れらの基にペプチド化学などで一般的に用いられるよう
な保護基が導入されていてもよく、反応後に必要に応じ
て保護基を除去することにより目的化合物を得ることが
できる。アミノ基の保護基としては、例えばホルミル
基、C1-6アルキル−カルボニル基(例、アセチル、プ
ロピオニル、ペンテニルなど)、C1-6アルコキシカル
ボニル基(例、メトキシカルボニル、エトキシカルボニ
ルなど)、ベンゾイル基、C7-10アラルキル−カルボニ
ル基(例、ベンジルカルボニルなど)、トリチル基、フ
タロイル基、N,N−ジメチルアミノメチレン基などが
用いられる。これらの基は、1ないし3個のハロゲン原
子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素など)、ニトロ基
などで置換されていてもよい。
【0094】カルボキシル基の保護基としては、例えば
1-6アルキル基(例、メチル、エチル、n−プロピ
ル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチルなど)、フェ
ニル基、トリチル基、シリル基などが用いられる。これ
らの基は、1ないし3個のハロゲン原子(例、フッ素、
塩素、臭素、ヨウ素など)、ホルミル基、C1-6アルキ
ル−カルボニル基(例、アセチル、プロピオニル、ブチ
ルカルボニルなど)、ニトロ基などで置換されていても
よい。ヒドロキシル基の保護基としては、例えばC1-6
アルキル基(例、メチル、エチル、n−プロピル、イソ
プロピル、ブチル、tert−ブチルなど)、フェニル基、
7-10アラルキル基(例、ベンジルなど)、ホルミル
基、C1-6アルキル−カルボニル基(例、アセチル、プ
ロピオニル、ペンテニルなど)、ベンゾイル基、C7-10
アラルキル−カルボニル基(例、ベンジルカルボニルな
ど)、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル
基、シリル基などが用いられる。これらの基は、1ない
し3個のハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ
素など)、C1-6アルキル基(例、メチル、エチル、n
−プロピルなど)、フェニル基、C7-10アラルキル基
(例、ベンジルなど)、ニトロ基などで置換されていて
もよい。
【0095】また、これらの保護基の除去方法として
は、自体公知またはそれに準じる方法が用いられるが、
例えば酸、塩基、還元、紫外光、ヒドラジン、フェニル
ヒドラジン、N−メチルジチオカルバミン酸ナトリウ
ム、テトラブチルアンモニウムフルオリド、酢酸パラジ
ウムなどを使用する方法などが用いられる。化合物(I
V)またはその塩は、公知の手段、例えば溶媒抽出、液
性変換、転溶、晶出、再結晶、クロマトグラフィーなど
によって単離精製することができる。また、化合物(I
V)の原料化合物またはその塩は、前記と同様の公知の
手段などによって単離精製することができるが、単離す
ることなくそのまま反応混合物として次の工程の原料と
して供されてもよい。化合物(IV)またはその塩が、光
学異性体、立体異性体、位置異性体、回転異性体を含有
する場合には、これらも化合物(IV)に含有されるとと
もに、自体公知の合成手法、分離手法によりそれぞれを
単品として得ることができる。例えば、化合物(IV)に
光学異性体が存在する場合には、該化合物から分割され
た光学異性体も化合物(IV)に包含される。光学異性体
は自体公知の方法により製造することができる。具体的
には、光学活性な合成中間体を用いる、または、最終物
のラセミ体の混合物を常法に従って光学分割することに
より光学異性体を得る。光学分割法としては、自体公知
の方法、例えば前記化合物(II)または(III)で述べ
たと同様の方法が用いられる。
【0096】本発明で用いる化合物の金属塩は公知の手
法によって容易に製造される。用いる化合物ならびに金
属あるいはその当量関係によって異なるものの、通常は
ヒドロキサム酸誘導体と金属の比は1:1あるいは2:
1となる。また、場合により、水,酢酸,アルコールな
どが各1ないし2当量配位する場合もある。製造法とし
ては、ヒドロキサム酸誘導体(1当量)を任意の溶媒
(好ましくは、エタノール、メタノールなどのアルコー
ル性溶媒あるいは酢酸、ジメチルホルムアミドなどが挙
げられ、中でもアルコール性溶媒が好ましい)に溶解
し、室温ないし80℃で、0.5ないし4倍当量の金属
塩の溶液(通常は水あるいはアルコール性溶液)と混合
し、必要に応じて溶媒を除くか他の溶媒に置換すること
によって目的とした塩を固体として得ることができる。
【0097】本発明に用いられる好ましい生体内分解性
ポリマーの具体例としては、例えばα-ヒドロキシ酸類
(例、グリコール酸、乳酸等)、ヒドロキシジカルボン
酸類(例、リンゴ酸等)、ヒドロキシトリカルボン酸
(例、クエン酸等)等の1種以上から無触媒脱水重縮合
で合成され、遊離のカルボキシル基を有する重合体ある
いはこれらの混合物、ポリ-α-シアノアクリル酸エステ
ル、ポリアミノ酸(例、ポリ-γ-ベンジル-L-グルタミ
ン酸等)、無水マレイン酸系重合体(例、スチレン-マ
レイン酸重合体等)等が挙げられる。重合の形式は、ラ
ンダム、ブロック、グラフトのいずれでもよい。また、
上記α-ヒドロキシ酸類、ヒドロキシジカルボン酸類、
ヒドロキシトリカルボン酸類が分子内に光学活性中心を
有する場合、D−,L−,DL−体のいずれも用いるこ
とができる。これらの中で、末端に遊離のカルボキシル
基を有する生体内分解性ポリマー、例えばα-ヒドロキ
シ酸類(例、グリコール酸、乳酸等)から合成された重
合体(例、乳酸−グリコール酸共重合体等)、ポリ-α-
シアノアクリル酸エステル等が好ましい。さらに好まし
くはα-ヒドロキシ酸類から合成された重合体、特に好
ましくは乳酸-グリコール酸共重合体である。
【0098】生体内分解性ポリマーとして乳酸-グリコ
ール酸共重合体又は重合体を用いる場合、その組成比
(モル%)は約100/0ないし約40/60が好まし
く、約90/10約ないし50/50が更に好ましい。
本明細書においては、ポリ乳酸、ポリグリコール酸など
単重合体も含めて、単に乳酸-グリコール酸共重合体と
称することがある。前記乳酸-グリコール酸共重合体の
重量平均分子量は、約3,000ないし約20,000
が好ましく、さらに約5,000から約20,000が
特に好ましい。また、乳酸-グリコール酸重合体の分散
度(重量平均分子量/数平均分子量)は約1.2ないし
約4.0が好ましく、約1.5ないし約3.5が更に好
ましい。
【0099】乳酸-グリコール酸共重合体の分解・消失
速度は、組成比あるいは重量平均分子量によって大きく
変化するが、一般的にはグリコール酸分率が低いほど分
解・消失が遅いため、グリコール酸分率を低くするかあ
るいは分子量を大きくすることによって放出期間を長く
することができる。逆に、グリコール酸分率を高くする
あるいは分子量を小さくすることによって放出期間を短
くすることもできる。長期間(例えば、1ないし4カ
月)型徐放性製剤とするには、前記組成比および重量平
均分子量の範囲の乳酸-グリコール酸重合体が好まし
い。
【0100】なお、本明細書での重量平均分子量、数平
均分子量および分散度とは、重量平均分子量が120,
000、52,000、22,000、9,200、
5,050、2,950、1,050、580、162
の9種類のポリスチレンを基準物質としてゲルパーミエ
ーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリ
スチレン換算の分子量および算出した分散度をいう。測
定は、GPCカラムKF804L x 2(昭和電工
製)、RIモニター L-3300(日立製作所製)を使
用し、移動相としてクロロホルムを用いて行った。ま
た、末端に遊離のカルボキシル基を有する生体内分解性
ポリマーとは、末端基定量による数平均分子量と上記の
GPC測定による数平均分子量がほぼ一致するポリマー
であり、末端基定量による数平均分子量は以下のように
して算出される。
【0101】約1gないし約3gの生体内分解性ポリマ
ーをアセトン(25 ml)とメタノール(5 ml)との混合溶媒
に溶解し、フェノールフタレインを指示薬としてこの溶
液中のカルボキシル基を0.05 N アルコール性水酸化カ
リウム溶液で、室温で撹拌下、速やかに滴定して末端基
定量による数平均分子量を次式で算出した。 末端基定量による数平均分子量=20000A/B A:生体内分解性ポリマーの質量(g) B:滴定終点までに添加した 0.05 N アルコール性水酸
化カリウム溶液 (ml) 末端基定量による数平均分子量が絶対値であるのに対し
て、GPC測定による数平均分子量は、各種分析・解析
条件(例えば、移動相の種類、カラムの種類、基準物
質、スライス幅の選択、ベースラインの選択等)によっ
て変動する相対値であるため、一義的な数値化は困難で
あるが、両測定による数平均分子量がほぼ一致すると
は、例えば、α−ヒドロキシ酸類から合成された重合体
において、末端基定量による数平均分子量がGPC測定
による数平均分子量の約0.5倍から約2倍の範囲内で
あることをいう。好ましくは、約0.7倍から約1.5
倍の範囲内であることをいう。
【0102】例えば、1種類以上のα-ヒドロキシ酸類
から無触媒脱水重縮合法で合成され、末端に遊離のカル
ボキシル基を有する重合体では、GPC測定による数平
均分子量と末端基定量による数平均分子量とがほぼ一致
する。これに対し、環状二量体から触媒を用いて開環重
合法で合成され、末端に遊離のカルボキシル基を本質的
には有しない重合体では、末端基定量による数平均分子
量がGPC測定による数平均分子量の約2倍以上に大き
く上回る。この相違によって末端に遊離のカルボキシル
基を有する重合体は、末端に遊離のカルボキシル基を有
しない重合体と明確に区別することができる。末端に遊
離のカルボキシル基を有する乳酸-グリコール酸共重合
体は、公知の製造法(例えば、特開昭61−28521
号公報参照)で問題なく製造できる。
【0103】本発明で用いられる金属は、生体に悪影響
を及ぼさない金属であれば特に限定されず、例えば2価
(例、鉄、亜鉛、銅、カルシウム、マグネシウム、アル
ミニウム、スズ、マンガン等)、3価(例、鉄、アルミ
ニウム、マンガン等)、4価(例、スズ等)などの多価
金属が用いられる。これらの金属は、無機物あるいは有
機物等との化合物または金属酸化物(以下、金属化合物
と称する)などとして用いられる。多価金属の好ましい
具体例としては、例えば鉄、アルミニウム、亜鉛、カル
シウム、マグネシウム等が挙げられる。多価金属の特に
好ましい具体例としては、鉄、亜鉛、カルシウム、マグ
ネシウムが挙げられる。無機物としては、例えばハロゲ
ン化水素(例、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、フッ
化水素酸等)、硫酸、硝酸、チオシアン酸等の無機酸等
が用いられる。有機物としては、例えば脂肪族カルボン
酸、芳香族酸などの有機酸、及びアセチルアセトン等が
用いられる。脂肪族カルボン酸は、好ましくは炭素数1
ないし9の脂肪族カルボン酸(例、脂肪族モノカルボン
酸、脂肪族ジカルボン酸、脂肪族トリカルボン酸など)
等が用いられる。脂肪族カルボン酸は、飽和あるいは不
飽和のいずれであってもよい。
【0104】脂肪族モノカルボン酸としては、例えば炭
素数1ないし9の飽和脂肪族モノカルボン酸(例、炭
酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、
エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸
等)および炭素数2ないし9の不飽和脂肪族モノカルボ
ン酸(例、アクリル酸、プロピオール酸、メタクリル
酸、クロトン酸、イソクロトン酸等)などが用いられ
る。脂肪族ジカルボン酸としては,例えば炭素数2ない
し9の飽和脂肪族ジカルボン酸(例、マロン酸、コハク
酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸等)および炭
素数2ないし9の不飽和脂肪族ジカルボン酸(例、マレ
イン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸等)など
が用いられる。
【0105】脂肪族トリカルボン酸としては、例えば炭
素数2ないし9の飽和脂肪族トリカルボン酸(例、トリ
カルバリル酸、1,2,3-ブタントリカルボン酸等)などが
用いられる。前記の脂肪族カルボン酸は、水酸基を1な
いし2個有していてもよく、このような例としては、例
えばグリコール酸、乳酸、グリセリン酸、タルトロン
酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等が挙げられる。脂肪
族カルボン酸は、好ましくは脂肪族モノカルボン酸であ
る。さらに好ましくは炭素数2ないし9の脂肪族モノカ
ルボン酸である。脂肪族カルボン酸の特に好ましい具体
例としては酢酸が挙げられる。芳香族酸としては、例え
ば安息香酸、サリチル酸、フェノールスルホン酸などが
用いられる。
【0106】金属化合物の具体例としては、鉄と無機酸
との塩〔例、ハロゲン化鉄(例、塩化鉄、臭化鉄、ヨウ
化鉄、フッ化鉄等)、硫酸鉄、硝酸鉄、チオシアン酸鉄
等〕、鉄と有機酸との塩〔例、脂肪族カルボン酸鉄塩
(例、炭酸鉄、酢酸鉄、グリコール酸鉄、乳酸鉄、酒石
酸鉄等)、芳香族鉄塩(例、安息香酸鉄、サリチル酸
鉄、フェノールスルホン酸鉄等)〕、鉄アセチルアセト
ナートなど、亜鉛と無機酸との塩〔例、ハロゲン化亜鉛
(例、塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛、フッ化亜鉛
等)、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、チオシアン酸亜鉛等〕、亜
鉛と有機酸との塩〔例、脂肪族カルボン酸亜鉛塩(例、
炭酸亜鉛、酢酸亜鉛、グリコール酸亜鉛、乳酸亜鉛、酒
石酸亜鉛等)、芳香族亜鉛塩(例、安息香酸亜鉛、サリ
チル酸亜鉛、フェノールスルホン酸亜鉛等)〕、亜鉛ア
セチルアセトナートなど、カルシウムと無機酸との塩
〔例、ハロゲン化カルシウム(例、塩化カルシウム、臭
化カルシウム、ヨウ化カルシウム、フッ化カルシウム
等)、硫酸カルシウム、硝酸カルシウム、チオシアン酸
カルシウム等〕、カルシウムと有機酸との塩〔例、脂肪
族カルボン酸カルシウム塩(例、炭酸カルシウム、酢酸
カルシウム、プロピオン酸カルシウム、シュウ酸カルシ
ウム、酒石酸カルシウム、乳酸カルシウム、クエン酸カ
ルシウム、グルコン酸カルシウム等)、芳香族カルシウ
ム塩(例、安息香酸カルシウム、サリチル酸カルシウム
等)〕、カルシウムアセチルアセトナートなど、
【0107】マグネシウムと無機酸との塩〔例、ハロゲ
ン化マグネシウム(例、塩化マグネシウム、臭化マグネ
シウム、ヨウ化マグネシウム、フッ化マグネシウム
等)、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、チオシア
ン酸マグネシウム等〕、マグネシウムと有機酸との塩
〔例、脂肪族カルボン酸マグネシウム塩(例、炭酸マグ
ネシウム、酢酸マグネシウム、プロピオン酸マグネシウ
ム、シュウ酸マグネシウム、酒石酸マグネシウム、乳酸
マグネシウム、クエン酸マグネシウム、グルコン酸マグ
ネシウム等)、芳香族マグネシウム塩(例、安息香酸マ
グネシウム、サリチル酸マグネシウム等)〕、マグネシ
ウムアセチルアセトナートなど、及び金属酸化物(例、
酸化鉄、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化マグネシウ
ム、酸化アルミニウム、酸化銅、酸化マンガン等)が挙
げられる。金属化合物は、好ましくは塩化鉄、鉄アセチ
ルアセトナート、酢酸亜鉛、亜鉛アセチルアセトナー
ト、酢酸カルシウム、カルシウムアセチルアセトナー
ト、酢酸マグネシウム、マグネシウムアセチルアセトナ
ート、酸化亜鉛等が用いられる。本発明のヒドロキサム
酸類と塩を形成させる場合の好ましい金属塩としては、
金属イオンの無機酸(例えば、塩酸塩,硫酸塩)あるい
は有機酸塩(酢酸,ギ酸,トリフルオロ酢酸あるいはメ
タンスルホン酸などが挙げられる)が挙げられ、その具
体例としては、酢酸マグネシウム,酢酸亜鉛,酢酸鉄な
どが挙げられる。
【0108】本願発明においては、末端の遊離のカルボ
キシル基を多価金属塩にした生体内分解性ポリマー(以
下、生体内分解性ポリマーの金属塩と称する)は、例え
ば生体内分解性ポリマーの有機溶媒溶液と金属化合物の
水溶液とによるW/O型あるいはO/W型エマルショ
ン、生体内分解性ポリマーの有機溶媒溶液に固体の金属
化合物を分散させたS/O型エマルション、金属化合物
と生体内分解性ポリマーとの有機溶媒溶液などを水中乾
燥法、相分離法、噴霧乾燥法あるいはこれらに準ずる方
法によって脱溶媒することにより得られる。この工程に
おいて生体内分解性ポリマーと塩を形成しなかった有機
物あるいは無機物を除去することが望ましい。前記有機
溶媒は,沸点が約120℃以下であることが望ましい。
該有機溶媒としてはハロゲン化炭化水素(例、ジクロロ
メタン、クロロホルム、四塩化炭素等)、アルコール類
(例、エタノール、メタノール等)、アセトニトリル、
アセトン等が挙げられる。これらは適宜の割合で混合し
て用いてもよい。有機溶媒は,好ましくはジクロロメタ
ン、アセトニトリル、アセトン等である。特に好ましく
はジクロロメタン、アセトンである。
【0109】生体内分解性ポリマーの金属塩中の金属含
量は、好ましくは約0.01ないし約5%(w/w)、
さらに好ましくは約0.02ないし約4%(w/w)、
特に好ましくは約0.05ないし約2%(w/w)であ
る。なお、生体内分解性ポリマーの金属塩中の金属含量
は、例えば原子吸光法等の方法により定量できる。生体
内分解性ポリマーの金属塩は以下に詳述する方法、例え
ば水中乾燥法,相分離法,噴霧乾燥法等で製造できる。 (I)水中乾燥法 本方法においては、生体内分解性ポリマーの有機溶媒溶
液と金属化合物の水溶液とから調製されるW/O型エマ
ルション、生体内分解性ポリマーの有機溶媒溶液に固体
の金属化合物を分散させたS/O型エマルション、金属
化合物と生体内分解性ポリマーとの有機溶媒溶液(以
下、油相と称することもある)をまず調製する。この際
の有機溶媒溶液中の生体内分解性ポリマーの濃度は、そ
の分子量あるいは有機溶媒の種類によって異なるが、例
えば約0.01ないし約90%(w/w)、さらに好ま
しくは約0.1ないし80%(w/w)、特に好ましく
は約1ないし70%(w/w)である。
【0110】金属化合物の水溶液と生体内分解性ポリマ
ーの有機溶媒溶液とからエマルションを調製する場合、
金属化合物の水溶液中濃度および水溶液体積は各金属化
合物の水への溶解度によってそれぞれ異なるが、末端基
定量で算出される生体内分解性ポリマーの末端カルボキ
シル基のモル数に対する添加金属のモル数の比として約
1/50ないし約100、さらに好ましくは約1/25
ないし約50、特に好ましくは約1/10ないし25で
ある。金属化合物を固体で生体内分解性ポリマーの有機
溶媒溶液に分散しS/Oエマルションを調製する場合、
添加金属化合物中の金属のモル数の末端基定量で算出さ
れる生体内分解性ポリマーの末端カルボキシルのモル数
に対する比は約1/50ないし約100、さらに好まし
くは約1/25ないし約50、特に好ましくは約1/1
0ないし約25である。
【0111】これらの乳化・分散は、例えばタービン型
撹拌機、ホモジナイザー等を用いて公知操作で行える。
金属化合物を生体内分解性ポリマーの有機溶媒溶液に溶
解する場合、金属化合物量はその有機溶媒への溶解度に
よって異なるが、添加金属のモル数の末端基定量で算出
される生体内分解性ポリマーの末端カルボキシルのモル
数に対する比として約1/50ないし約50、さらに好
ましくは約1/25ないし約25、特に好ましくは約1
/10ないし約10である。次いで調製した金属化合物
と生体内分解性ポリマーの有機溶媒溶液とのエマルショ
ン、あるいは金属化合物と生体内分解性ポリマーとの有
機溶媒溶液を新たに添加した水と接触させて脱溶媒及び
同時に生体内分解性ポリマーと塩を形成しなかった金属
化合物の除去を行う。
【0112】その際に使用する水の体積は、例えば油相
体積の約1/10ないし約5,000倍から選ばれる。
さらに好ましくは約1/5ないし約2,000倍から選
ばれる。特に好ましくは約1/2ないし約1,000倍
から選ばれる。水中乾燥の後、遠心分離などの方法によ
り生体内分解性ポリマーの金属塩を含む有機溶媒相を集
め、次いで減圧乾燥により有機溶媒を揮発させて生体内
分解性ポリマーの金属塩を得る。あるいは、前記の新た
に添加する水相(W2)中にアニオン性界面活性剤、ノ
ニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導
体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、カ
ルボキシメチルセルロース、レシチン、ゼラチン、ヒア
ルロン酸などの乳化剤を加えて形成させたO/W2エマ
ルションから公知の脱溶媒の方法(例えばプロペラ型撹
拌機あるいはマグネチィックスターラーなどで撹拌しな
がら常圧もしくは徐々に減圧して溶媒を蒸発させる方
法、ロータリーエバポレーターなどを用いて真空度を調
節しながら溶媒を蒸発させる方法など)に従って脱溶媒
し、生体内分解性ポリマーの金属塩を得ることもでき
る。
【0113】該乳化剤は、1種類または2種類以上を組
み合わせて用いてもよく、その水相中の濃度は約0.0
01ないし約20%(w/w)の範囲から適宜選択でき
る。さらに好ましくは約0.01ないし約10%(w/
w)、特に好ましくは約0.05ないし約5%(w/
w)の範囲である。また、このW2水相中に、油相中に
水溶液または固体で分散あるいは溶解させた金属化合物
と同一または異なった金属化合物を溶解させてもよい。
この際の金属化合物濃度は約0.01ないし約20%
(w/w)、さらに好ましくは約0.1ないし約10%
(w/w)である。前記のようにして得られる生体内分
解性ポリマーの金属塩に付着している乳化剤等の不純物
を水で除去した後、凍結乾燥する。
【0114】(II)相分離法 本法によって生体内分解性ポリマーの金属塩を製造する
場合には、前記(I)の水中乾燥法に記載した油相に、
コアセルベーション剤を撹拌下徐々に加えて生体内分解
性ポリマーの金属塩を析出、固化させる。該コアセルベ
ーション剤は油相体積の約0.01ないし約1,000
倍から選ばれる。さらに好ましくは約0.05ないし約
500倍から選ばれる。特に好ましくは約0.1ないし
約200倍から選ばれる。コアセルベーション剤として
は、生体内分解性ポリマーの金属塩を溶解する有機溶媒
と混和する、高分子系、鉱物油系または植物油系の化合
物等で生体内分解性ポリマーの金属塩を溶解しないもの
であれば特に限定はされない。具体的には、例えばシリ
コン油、ゴマ油、大豆油、コーン油、綿実油、ココナッ
ツ油、アマニ油、鉱物油、n-ヘキサン、n-ヘプタンなど
が用いられる。これらは2種類以上混合して使用しても
よい。このようにして得られた生体内分解性ポリマーの
金属塩を遠心分離などで分取した後、ヘプタン等で繰り
返し洗浄してコアセルベーション剤等を除去し、減圧乾
燥する。または前記(I)の水中乾燥法で記載と同様の
方法で洗浄を行った後、凍結乾燥する。
【0115】(III)噴霧乾燥法 本法によって生体内分解性ポリマーの金属塩を製造する
場合には、前記(I)の水中乾燥法で記載した油相、あ
るいは金属化合物を溶解した生体内分解性ポリマーの有
機溶媒溶液を新たに添加する水と接触させて脱溶媒およ
び生体内分解性ポリマーと塩を形成しなかった金属化合
物を除去した油相をノズルを用いてスプレードライヤー
(噴霧乾燥器)の乾燥室内に噴霧し、極めて短時間内に
微粒化液滴内の有機溶媒を揮発させ、微粒状の生体内分
解性ポリマーの金属塩を調製する。該ノズルとしては、
例えば二流体ノズル型、圧力ノズル型、回転ディスク型
等が用いられる。この後、必要であれば前記(I)の水
中乾燥法で記載したと同様の方法で洗浄を行った後、凍
結乾燥してもよい。
【0116】生体内分解性ポリマーの金属塩は、例えば
金属化合物溶液中に生体内分解性ポリマーを分散した
後、濾過、遠心分離などの公知の方法で生体内分解性ポ
リマーの金属塩を形成しなかったものを除去して減圧乾
燥あるいは凍結乾燥しても製造できる。ヒドロキサム酸
類の多価金属塩は公知の方法で製造され,例えばヒドロ
キサム酸類の溶液中と金属化合物あるいはその溶液とを
接触させることにより製造される。ヒドロキサム酸類と
金属化合物とのモル比は、例えば約1/5ないし約10
0、さらに好ましくは約1/3ないし約50、特に好ま
しくは約1ないし約10である。接触時のpH、温度等
の条件は、ヒドロキサム酸類が分解しないかぎり特に限
定されない。このようにして得られたヒドロキサム酸類
の金属塩は、必要に応じて抽出等の洗浄操作を行った
後、凍結乾燥あるいは減圧乾燥に付す。
【0117】以下に、徐放性製剤として例えばマイクロ
カプセルを製造する場合の製造方法について記述する。 (A)水中乾燥法 本方法では、前記(I)の記載に準じた条件あるいは方
法でマイクロカプセルを製造する。即ち、(i)生体内
分解性ポリマーの金属塩の有機溶媒溶液とヒドロキサム
酸類の水溶液とから調製されるW/O型エマルション、
生体内分解性ポリマーの金属塩の有機溶媒溶液にヒドロ
キサム酸類を分散したS/O型エマルション、ヒドロキ
サム酸類と生体内分解性ポリマーの金属塩との有機溶媒
溶液、(ii)生体内分解性ポリマーの有機溶媒溶液とヒ
ドロキサム酸類の金属塩の水溶液とから調製されるW/
O型エマルション、生体内分解性ポリマーの有機溶媒溶
液にヒドロキサム酸類の金属塩を分散したS/O型エマ
ルション、ヒドロキサム酸類の金属塩と生体内分解性ポ
リマーとの有機溶媒溶液、(iii)生体内分解性ポリマ
ーの金属塩の有機溶媒溶液とヒドロキサム酸類の金属塩
の水溶液とから調製されるW/O型エマルション、生体
内分解性ポリマーの金属塩の有機溶媒溶液にヒドロキサ
ム酸類の金属塩を分散したS/O型エマルション、ヒド
ロキサム酸類の金属塩と生体内分解性ポリマーの金属塩
との有機溶媒溶液、または(iv)ヒドロキサム酸、生体
内分解性ポリマー及び金属化合物を分散または溶解させ
た有機溶媒溶液(以下,(i)〜(iv)の有機溶媒溶液
を薬物を含んだ油相と称することもある)をまず調製す
る。
【0118】この際の有機溶媒溶液中の生体内分解性ポ
リマーまたはその金属塩の濃度は金属、生体内分解性ポ
リマーの種類、分子量あるいは有機溶媒の種類によって
異なるが、例えば約0.01ないし約90%(w/
w)、さらに好ましくは約0.1ないし約80%(w/
w)、特に好ましくは約1ないし約70%(w/w)で
ある。生体内分解性ポリマーの金属塩の有機溶媒溶液と
ヒドロキサム酸類の水溶液とから、生体内分解性ポリマ
ーの有機溶媒溶液とヒドロキサム酸類の金属塩の水溶液
とから、または生体内分解性ポリマーの金属塩の有機溶
媒溶液とヒドロキサム酸類の金属塩の水溶液とからW/
O型エマルションを調製する場合、ヒドロキサム酸類ま
たはヒドロキサム酸類の金属塩の水溶液中での濃度は、
各々の水への溶解度によってそれぞれ異なるが、例えば
約0.001ないし約100%(w/v)、さらに好ま
しくは約0.005ないし約80%(w/v)、特に好
ましくは約0.01ないし約70%(w/v)である。
この際、該水溶液中にpH調節剤、安定化剤、保存剤等
を加えてもよい。
【0119】ヒドロキサム酸類の水溶液と生体内分解性
ポリマーの金属塩の有機溶媒溶液、ヒドロキサム酸類の
金属塩の水溶液と生体内分解性ポリマーの有機溶媒溶
液、またはヒドロキサム酸類の金属塩の水溶液と生体内
分解性ポリマーの金属塩の有機溶媒溶液との容積比は約
1/1,000ないし約1、さらに好ましくは約1/1
00ないし約1/2、特に好ましくは約1/50ないし
約1/3である。ヒドロキサム酸類を生体内分解性ポリ
マーの金属塩の有機溶媒溶液に溶解あるいは分散する場
合、ヒドロキサム酸類の金属塩を生体内分解性ポリマー
の有機溶媒溶液に溶解あるいは分散する場合、またはヒ
ドロキサム酸類の金属塩を生体内分解性ポリマーの金属
塩の有機溶媒溶液に溶解あるいは分散する場合における
生体内分解性ポリマーまたはその金属塩の有機溶媒溶液
中での濃度は、前記と同様の濃度であり、ヒドロキサム
酸類と生体内分解性ポリマーの金属塩との重量比、ヒド
ロキサム酸類の金属塩と生体内分解性ポリマーとの重量
比、またはヒドロキサム酸類の金属塩と生体内分解性ポ
リマーの金属塩との重量比は約1/1,000ないし約
1、さらに好ましくは約1/200ないし約1/2、特
に好ましくは約1/100ないし約1/5である。
【0120】ついで、調製された薬物を含んだ油相(W
/O型エマルション、S/O型エマルションあるいは溶
液、以下これらを総括的にOdと称することがある)を
さらに水相中に加えてOd/W型エマルションを形成さ
せた後、油相中の溶媒を除去してマイクロカプセルを調
製する。調製されたマイクロカプセルは、遠心分離ある
いは濾過して分取した後,マイクロカプセルの表面に付
着している乳化剤などを水で繰り返し除去し、再び水な
どに分散して凍結乾燥する。その後、必要であれば、減
圧下加温してマイクロカプセル中の水分および有機溶媒
の除去をさらに行う。その際の条件としては、好ましく
は毎分10ないし20℃の昇温速度の条件下で、示差走
査熱量計で求めた生体内分解性ポリマーの中間点ガラス
転移温度あるいはこれよりも5℃以上高い温度で、一般
的にはマイクロカプセル自体が所定の温度に達した後、
1 週間以内あるいは2ないし3日以内、より好ましくは
12時間以上、24時間以内行う。
【0121】(B)相分離法 本法によってマイクロカプセルを製造する場合には,前
記(A)の薬物を含んだ油相(Od)に前記(II)と同
様な条件あるいは方法でコアセルベーション剤を撹拌下
徐々に加えてマイクロカプセルを析出、固化させる。得
られたマイクロカプセルは、前記(II)と同様にして分
取、洗浄してコアセルベーション剤および遊離のヒドロ
キサム酸類等を除去する。その後、必要であれば前記
(A)と同様にして減圧下加温してマイクロカプセル中
の水分および有機溶媒の除去をさらに行う。水中乾燥法
および相分離法での製造工程中でのマイクロカプセル同
士の凝集を防ぐために凝集防止剤を加えてもよい。該凝
集防止剤としては、例えばマンニトール、ラクトース、
ブドウ糖、デンプン類(例、コーンスターチ等)などの
水溶性多糖、グリシン等のアミノ酸、フィブリン、コラ
ーゲン等のタンパク質、塩化ナトリウム、リン酸水素ナ
トリウム等の無機塩類などが挙げられる。
【0122】(C)噴霧乾燥法 本法によってマイクロカプセルを製造する場合には,前
記(A)の薬物を含んだ油相(Od)を前記(III)と
同様に噴霧乾燥に付してマイクロカプセルを製造する。
得られたマイクロカプセルは、必要であれば前記(A)
と同様にして減圧下加温してマイクロカプセル中の水分
および有機溶媒の除去をさらに行う。
【0123】徐放性製剤は、例えば前記で得られたマイ
クロカプセルをそのままあるいはマイクロカプセルを原
料物質として種々の剤形に製剤化し、筋肉内、皮下、臓
器などへの注射剤または埋め込み剤、鼻腔、直腸、子宮
などへの経粘膜剤、経口剤〔例、カプセル剤(例、硬カ
プセル剤、軟カプセル剤等)、顆粒剤、散剤等の固形製
剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤等の液剤等〕などとして
投与することができる。徐放性製剤は、特に注射剤であ
ることが好ましい。前記方法で得られたマイクロカプセ
ルを注射剤とするには、マイクロカプセルを分散剤
(例、Tween 80、HCO-60等の界面活性剤、カルボキシメ
チルセルロースナトリウム、アルギン酸ナトリウム等の
多糖類等)、保存剤(例、メチルパラベン、プロピルパ
ラベン等)、等張化剤(例、塩化ナトリウム、マンニト
ール、ソルビトール、ブドウ糖等)、局所麻酔剤(例、
塩酸キシロカイン、クロロブタノール等)などと共に水
性懸濁剤とするか、ゴマ油、コーン油などの植物油また
はレシチンなどのリン脂質を混合したもの、あるいは中
鎖脂肪酸トリグリセリド(例、ミグリオール 812等)と
共に分散して油性懸濁剤として徐放性注射剤とする。
【0124】徐放性製剤がマイクロカプセルである場
合,微粒子であることが特に好ましい。マイクロカプセ
ルの粒子径は,懸濁注射剤として使用する場合にはその
分散度、通針性を満足する範囲であればよく、例えば平
均粒子径として約0.1ないし約300μmの範囲が挙
げられる。好ましくは、約1ないし約150μmの範囲
の平均粒子径である。さらに好ましくは、約2ないし約
100μm の範囲の平均粒子径である。マイクロカプ
セルは、マイクロスフィアと称することもある。前記の
マイクロカプセルを無菌製剤にするには、製造全工程を
無菌にする方法、ガンマ線で滅菌する方法、防腐剤を添
加する方法等が挙げられるが特に限定されない。
【0125】本発明の徐放性製剤は,低毒性で哺乳動物
(例、ヒト、牛、豚、犬、ネコ、マウス、ラット、ウサ
ギ等)に対して安全に用いることができる。本願発明の
ヒドロキサム酸類の徐放性製剤は、ヒドロキサム酸類が
例えば大脳における神経細胞変性抑制作用、脳組織破壊
抑制作用、マクロファージ系細胞および大脳細胞におけ
るサイトカインの産生抑制作用等を有している場合、哺
乳動物(例、人、馬、牛、犬、猫、ラット、マウス、猿
等)における神経変性抑制剤として有用であり、神経変
性による機能障害、例えば神経変性疾患(例、アルツハ
イマー病、パーキンソン病、ダウン症、ピック病、クロ
イツフェルト−ヤコブ病等)、感染性神経疾患(例、多
発性硬化症、Borna病などの細菌性あるいはウイルス性
髄膜炎、ワクチン接種後脳炎、AIDS脳症など)、脳機能
障害(例、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、外傷等)な
どの治療・予防あるいは予後の改善に使用できる。ま
た、上記哺乳動物のサイトカイン由来の全身倦怠、発
熱、睡眠、頭痛、関節痛、食欲低下などの症状、鬱病な
どの精神症状に対しても有効である。また、一酸化窒素
の異常な遊離を阻止するため、例えば敗血症ショック、
腎炎、動脈硬化症、喘息、糖尿病、骨疾患改善などにも
有効である。
【0126】徐放性製剤の投与量は、主薬であるヒドロ
キサム酸類の種類と含量、剤形、ヒドロキサム酸類放出
の持続時間、対象疾病、対象動物などによって種々異な
るが、ヒドロキサム酸類の有効量であればよい。主薬で
あるヒドロキサム酸類の1回当たりの投与量としては,
例えば徐放性製剤が1カ月製剤である場合、好ましく
は、成人1人当たり約0.01mgないし約250mg
/kg体重の範囲から適宜選ぶことができる。さらに好
ましくは約0.05mgないし約50mg/kg体重と
りわけ約0.5ないし約10mg/kg体重の範囲から
適宜選ぶことができる。1回当たりの徐放性製剤の投与
量は、例えば1カ月製剤では成人1人当たり好ましくは
約0.1mgないし約500mg/kg体重の範囲から
適宜選ぶことができる。さらに好ましくは約0.5mg
ないし約250mg/kg体重とりわけ約1ないし約1
00mg/kg体重の範囲から適宜選ぶことができる。
投与回数は,1週間に1回、数週間に1回、1か月に1
回、あるいは数か月に1回等、主薬であるヒドロキサム
酸類の種類と含量、剤形、ヒドロキサム酸類放出の持続
時間、対象疾病、対象動物などによって適宜選ぶことが
できる。
【0127】
【発明の実施の形態】本発明は、さらに下記の参考例、
実施例、比較例、実験例によって詳しく説明されるが、
これらの例は単なる実施であって本発明を限定するもの
ではなく、また本発明の範囲を逸脱しない範囲で変化さ
せてもよい。
【0128】
【実施例】
参考例1 乳酸−グリコール酸重合体(乳酸/グリコール酸=65
/35(モル%)、GPC測定による重量平均分子量、
数平均分子量および末端基定量による数平均分子量はそ
れぞれ19,100、 7,000、 6,180)15gと鉄(III)アセ
チルアセトナート(同仁化学研究所, lot. ZR104)0.
86gをジクロロメタン25mlに溶解した。この溶液
を蒸留水溶液400ml中に注入し、タービン型ホモミ
キサーを用いて乳化し、プロペラ撹拌機で1時間撹拌し
た後、静置して分離した上層の水相を同体積の蒸留水と
置換し、20分間撹拌する洗浄操作を3回繰り返した。
ついで、乳酸−グリコール酸重合体の鉄塩を含む下層の
ジクロロメタン相を分取し、30℃の減圧乾燥機中3日
間乾燥させたのち粉砕して粉末状の乳酸−グリコール酸
重合体の鉄塩を得た。原子吸光法で測定した乳酸−グリ
コール酸共重合体の鉄塩中の鉄含量は1.16%(w/w)
であった。
【0129】参考例2 参考例1中の鉄(III)アセチルアセトナート0.86
gをアルミニウム(III)アセチルアセトナート(同仁
化学研究所, lot. ZC138) 0.79gに変更した以外
参考例1と同様にして粉末状の乳酸−グリコール酸重合
体のアルミニウム塩を得た。原子吸光法で測定した乳酸
−グリコール酸重合体のアルミニウム塩中のアルミニウ
ム含量は0.52%(w/w)であった。 参考例3 参考例1中の鉄(III)アセチルアセトナート0.86
gを亜鉛(II)アセチルアセトナート1水和物(同仁化
学研究所, lot. ZC119) 0.64gに変更した以外参
考例1と同様にして粉末状の乳酸−グリコール酸重合体
の亜鉛塩を得た。原子吸光法で測定した乳酸−グリコー
ル酸重合体の亜鉛塩中の亜鉛含量は0.71%(w/w)で
あった。
【0130】参考例4 参考例1中の鉄(III)アセチルアセトナート 0.86
gをカルシウム(II)アセチルアセトナート1水和物
(Aldrich Chemical, lot. EN02919BZ) 0.58gに
変更した以外参考例1と同様にして粉末状の乳酸−グリ
コール酸重合体のカルシウム塩を得た。原子吸光法で測
定した乳酸−グリコール酸重合体のカルシウム塩中のカ
ルシウム含量は0.38%(w/w)であった。 参考例5 参考例1中の鉄(III)アセチルアセトナート 0.86
gをマグネシウム(II)アセチルアセトナート2水和物
(Aldrich Chemical, lot. DZ06413BZ) 0.54gに
変更した以外参考例1と同様にして粉末状の乳酸−グリ
コール酸重合体のマグネシウム塩を得た。原子吸光法で
測定した乳酸−グリコール酸重合体のマグネシウム塩中
のマグネシウム含量は0.14%(w/w)であった。
【0131】参考例6 乳酸−グリコール酸重合体(乳酸/グリコール酸=50
/50(モル%)、GPC測定による重量平均分子量、
数平均分子量および末端基定量による数平均分子量はそ
れぞれ 14,700、 5,200、 4,000)8gをジクロロメタン
10mlに溶解した。この溶液に438mg/mlの酢
酸亜鉛2水和物(和光純薬工業, lot. CAG3180)水溶液
1.5ml添加し、小型ホモジナイザーでW/Oエマル
ションとした。このエマルションをあらかじめ18℃に
調節しておいた0.1%(w/v) ポリビニルアルコール水
溶液1800mlに注入し、タービン型ホモミキサーを
用いてW/O/Wエマルションを得た。この後、プロペ
ラ撹拌機でW/O/Wエマルションを撹拌してジクロロ
メタンを揮散させて乳酸−グリコール酸重合体の亜鉛塩
を得た。得られた乳酸−グリコール酸重合体の亜鉛塩マ
イクロカプセルを遠心分離操作(約1,000rpm)に
よって分取すると共に上澄液を捨てた。次いで、蒸留水
600mlで洗浄を2回繰り返した後、凍結乾燥して粉
末状の乳酸−グリコール酸重合体の亜鉛塩を得た。原子
吸光法で測定した乳酸−グリコール酸重合体の亜鉛塩中
の亜鉛含量は0.99%(w/w)であった。
【0132】参考例7 乳酸−グリコール酸重合体(乳酸/グリコール酸=75
/25(モル%)、GPC測定による重量平均分子量、
数平均分子量および末端基定量による数平均分子量はそ
れぞれ14,000、 4,900、 4,090)15gと鉄(III)アセ
チルアセトナート(同仁化学研究所, lot. ZR104)1.
3gをジクロロメタン20mlに溶解した。この溶液を
蒸留水溶液400ml中に注入し、タービン型ホモミキ
サーを用いて乳化し、プロペラ撹拌機で1時間撹拌した
後、静置して分離した上層の水相を同体積の蒸留水と置
換し、20分間撹拌する洗浄操作を3回繰り返した。つ
いで、乳酸−グリコール酸重合体の鉄塩を含む下層のジ
クロロメタン相を分取してこれを30℃の減圧乾燥機中
3日間乾燥させたのち粉砕して粉末状の乳酸−グリコー
ル酸重合体の鉄塩を得た。原子吸光法で測定した乳酸−
グリコール酸重合体の鉄塩中の鉄含量は1.43%(w/
w) であった。
【0133】参考例8 参考例7中の鉄(III)アセチルアセトナート 1.3g
を亜鉛(II)アセチルアセトナート1水和物(同仁化学
研究所, lot. ZC119) 7.75gに変更した以外参考
例7と同様にして粉末状の乳酸−グリコール酸重合体の
亜鉛塩を得た。原子吸光法で測定した乳酸−グリコール
酸重合体の亜鉛塩中の亜鉛含量は1.43%(w/w) であ
った。 参考例9 乳酸−グリコール酸重合体(乳酸/グリコール酸=75
/25(モル%)、GPC測定による重量平均分子量、
数平均分子量および末端基定量による数平均分子量はそ
れぞれ8,700、 3,200、 3,300)30gと鉄(III)アセチ
ルアセトナート(同仁化学研究所, lot. ZR104)3.3
gをジクロロメタン60mlに溶解した。この溶液を蒸
留水溶液1,000ml中に注入し、タービン型ホモミ
キサーを用いて乳化し、プロペラ撹拌機で2時間撹拌し
た後、静置して分離した上層の水相を同体積の蒸留水と
置換し、20分間撹拌する洗浄操作を3回繰り返した。
ついで、乳酸−グリコール酸重合体の鉄塩を含む下層の
ジクロロメタン相を分取し、これを30℃の減圧乾燥機
中3日間乾燥させたのち粉砕して粉末状の乳酸−グリコ
ール酸重合体の鉄塩を得た。原子吸光法で測定した乳酸
−グリコール酸重合体の鉄塩中の鉄含量は1.54%(w
/w) であった。
【0134】参考例10 乳酸−グリコール酸重合体(乳酸/グリコール酸=50
/50(モル%)、GPC測定による重量平均分子量、
数平均分子量および末端基定量による数平均分子量はそ
れぞれ9,100、 4,000、 3,430)30gと亜鉛(II)アセ
チルアセトナート1水和物(同仁化学研究所, lot. ZC1
19)18.5gをジクロロメタン100mlに溶解し
た。この溶液を蒸留水溶液900ml中に注入し、ター
ビン型ホモミキサーを用いて乳化し、プロペラ撹拌機で
2時間撹拌した後、静置して分離した上層の水相を同体
積の蒸留水と置換し、30分間撹拌する洗浄操作を3回
繰り返した。ついで、乳酸−グリコール酸重合体の亜鉛
塩を含む下層のジクロロメタン相を分取し、これを30
℃の減圧乾燥機中3日間乾燥させたのち粉砕して粉末状
の乳酸−グリコール酸重合体の亜鉛塩を得た。原子吸光
法で測定した乳酸−グリコール酸重合体の鉄塩中の鉄含
量は1.68%(w/w)であった。
【0135】参考例11 7−(4−メトキシフェニル)−7−(3−メチル−
1,4−ナフトキノン−2−イル)ヘプタノヒドロキサ
ム酸 7−(4−メトキシフェニル)−7−(3−メチル−
1,4−ナフトキノン−2−イル)ヘプタン酸(2 g)
(5.3 mmol)をトルエン(50 ml)中、オキサリル
クロリド(3 ml)(35 mmol)にて対応する酸クロリ
ドに変換し、これをテトラヒドロフラン(30 ml)溶
液として塩酸ヒドロキシルアミン(1.14 g)(16
mmol)−飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(30 ml)へ
滴下した。反応終了後、酢酸エチルで抽出し濃縮残渣を
シリカゲルクロマトグラフィーにて精製し、表題化合物
を得た。
【0136】参考例12 7−(3−メチル−1,4−ナフトキノン−2−イル)
−7−フェニルヘプタノヒドロキサム酸(化合物B) 7−(3−メチル−1,4−ナフトキノン−2−イル)
−7−フェニルヘプタン酸(8.1 g)(22 mmol)
をトルエン(200 ml)中、オキサリルクロリド(1
2 ml)(0.14 mmol)にて対応する酸クロリドに変
換し、これをテトラヒドロフラン(120 ml)溶液と
して塩酸ヒドロキシルアミン(4.6 g)(65 mmo
l)−飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(120 ml)へ滴
下した。反応終了後、酢酸エチルで抽出し濃縮残渣をシ
リカゲルクロマトグラフィーにて精製し、表題化合物
(7.0 g)を得た。
【0137】参考例13 7−シアノ−7,7−ジフェニルヘプタノヒドロキサム
酸 塩酸ヒドロキシルアミン(38.5 g,0.55 mol)の
メタノール(300 ml)溶液に、28%ナトリウムメ
チラートのメタノール溶液(165 ml,0.83 mol)
を加えて調製した液に、氷冷撹拌下7−シアノ−7,7
−ジフェニルヘプタン酸エチル(18.7 g,0.055
mol)のメタノール(50 ml)溶液を加えそのまま1.
5時間撹拌した。反応終了後、1規定塩酸を加え酸性に
した後、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩
水で洗浄し無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下溶
媒を留去し得られた残渣を、酢酸エチル−ヘキサンから
結晶化させ表題化合物を15.2g得た。 参考例14 7,7−ビス(4−メトキシフェニル)−7−シアノヘ
プタノヒドロキサム酸(化合物C) 参考例13と同様にして表題化合物を得た。
【0138】参考例15 6−(4−メトキシフェニル)−6−(3−メチル−
1,4−ナフトキノン−2−イル)ヘキサノヒドロキサ
ム酸(化合物A)の亜鉛塩 6−(4−メトキシフェニル)−6−(3−メチル−
1,4−ナフトキノン−2−イル)ヘキサノヒドロキサ
ム酸(407mg)のメタノール(5ml)溶液に酢酸亜鉛
(220mg)のメタノール(3ml)溶液を加え、析出し
た沈殿をろ取し、メタノールで洗浄して標題化合物を3
00mg得た。 分解点:132〜137℃ 元素分析: C24H23NO5Zn として C H N 計算値 61.12 4.92 2.97 測定値 61.08 5.02 2.98 (%)
【0139】参考例16 7−(4−メトキシフェニル)−7−(3−メチル−
1,4−ナフトキノン−2−イル)ヘプタノヒドロキサ
ム酸亜鉛塩 7−(4−メトキシフェニル)−7−(3−メチル−
1,4−ナフトキノン−2−イル)ヘプタノヒドロキサ
ム酸から参考例15と同様にして標題化合物を得た。 分解点:113〜118℃ 元素分析: C25H25NO5Zn として C H N 計算値 61.93 5.20 2.89 測定値 62.06 5.44 2.96 (%)
【0140】参考例17 6−(4−メトキシフェニル)−6−(3−メチル−
1,4−ナフトキノン−2−イル)ヘキサノヒドロキサ
ム酸マグネシウム塩 6−(4−メトキシフェニル)−6−(3−メチル−
1,4−ナフトキノン−2−イル)ヘキサノヒドロキサ
ム酸(407mg)のメタノール(5ml)溶液に酢酸マグ
ネシウム(214mg)のメタノール(3ml)溶液を加え
て撹拌した後、減圧下濃縮した。残さにエタノールを加
えて沈殿をろ取し、エタノールで洗浄して標題化合物を
300mg得た。 分解点:187〜192℃ 原子吸光分析による Mg 定量: 計算値 4.79 測定値 4.40 (%)
【0141】参考例18 7−(4−メトキシフェニル)−7−(3−メチル−
1,4−ナフトキノン−2−イル)ヘプタノヒドロキサ
ム酸マグネシウム塩 7−(4−メトキシフェニル)−7−(3−メチル−
1,4−ナフトキノン−2−イル)ヘプタノヒドロキサ
ム酸から参考例17と同様にして標題化合物を得た。 分解点:168〜174℃ 元素分析: C25H26NO5・Mg・CH3COO・3/4H2O として C H N 計算値 62.68 5.94 2.71 測定値 62.52 6.19 2.69 (%)
【0142】実施例1 参考例1の乳酸−グリコール酸重合体の鉄塩1.9gと
化合物A 0.1gとをジクロロメタン4.2mlに溶
解した。この溶液を18℃に冷却した後、予め18℃に
調節しておいた0.1% (w/w) ポリビニルアルコール
(EG-40、日本合成化学製)水溶液400ml中に注入
し、タービン型ホモミキサーを用い、6,000rpm
でO/Wエマルションとした。このO/Wエマルション
を室温で3時間撹拌してジクロロメタンを揮散させ、油
相を固化させた後、遠心分離機(05PR-22、日立製作
所)を用いて2,000rpmで捕集した。これを再び
蒸留水に分散後、さらに遠心分離を行い遊離薬物等を洗
浄した。捕集されたマイクロカプセルは少量の蒸留水を
加えて再分散した後、D-マンニトール 0.1gを加え
分散した後、凍結乾燥して粉末状のマイクロカプセルを
得た。マイクロカプセル中への化合物Aの封入率は9
8.7%であった。
【0143】実施例2 実施例1の乳酸−グリコール酸重合体の鉄塩を参考例2
のアルミニウム塩に変更し、溶媒としてのジクロロメタ
ン量を4.0mlに変更した以外、実施例1と同様にし
てマイクロカプセルを得た。マイクロカプセル中への化
合物Aの封入率は92.8%であった。 実施例3 実施例1の乳酸−グリコール酸重合体の鉄塩を参考例3
の亜鉛塩に変更し、溶媒としてのジクロロメタン量を
4.7mlに変更した以外、実施例1と同様にしてマイ
クロカプセルを得た。マイクロカプセル中への化合物A
の封入率は90.9%であった。
【0144】実施例4 実施例1の乳酸−グリコール酸重合体の鉄塩を参考例4
のカルシウム塩に変更し、溶媒としてのジクロロメタン
量を4.0mlに変更した以外、実施例1と同様にして
マイクロカプセルを得た。マイクロカプセル中への化合
物Aの封入率は81.2%であった。 実施例5 実施例1の乳酸−グリコール酸重合体の鉄塩を参考例5
のマグネシウム塩に変更し、溶媒としてのジクロロメタ
ン量を4.5mlに変更した以外、実施例1と同様にし
てマイクロカプセルを得た。マイクロカプセル中への化
合物Aの封入率は85.7%であった。
【0145】実施例6 実施例1の乳酸−グリコール酸重合体の鉄塩を参考例6
の亜鉛塩に変更し、溶媒としてのジクロロメタン量を
4.5mlに変更した以外、実施例1と同様にしてマイ
クロカプセルを得た。マイクロカプセル中への化合物A
の封入率は92.2%であった。 実施例7 実施例1の乳酸−グリコール酸重合体の鉄塩を参考例7
の乳酸−グリコール酸重合体の鉄塩に変更し、溶媒とし
てのジクロロメタン量を2.5mlに変更した以外、実
施例1と同様にしてマイクロカプセルを得た。マイクロ
カプセル中への化合物Aの封入率は100.2%であっ
た。
【0146】実施例8 参考例8の乳酸−グリコール酸重合体の亜鉛塩3.8g
と化合物B 0.2gをジクロロメタン6.0mlに溶
解した。この溶液を18℃に冷却した後、予め18℃に
調節しておいた0.1% (w/w) ポリビニルアルコール
(EG-40、日本合成化学製)水溶液800ml中に注入
し、タービン型ホモミキサーを用い6,000rpmで
O/Wエマルションとした。このO/Wエマルションを
室温で3時間撹拌してジクロロメタンを揮散させ、油相
を固化させた後、遠心分離機(05PR-22、日立製作所)
を用いて2,000rpmで捕集した。これを再び蒸留
水に分散後、さらに遠心分離を行い遊離薬物等を洗浄し
た。捕集されたマイクロカプセルは少量の蒸留水を加え
て再分散した後、D-マンニトール 0.3gを加えよく
溶かした後、凍結乾燥して粉末状のマイクロカプセルを
得た。マイクロカプセル中への化合物Bの封入率は10
2.2%であった。
【0147】実施例9 実施例1の乳酸−グリコール酸重合体の鉄塩と化合物A
をそれぞれ参考例9の乳酸−グリコール酸重合体の鉄塩
と化合物Bに変更し、溶媒としてのジクロロメタン量を
2.0mlに変更した以外、実施例1と同様にしてマイ
クロカプセルを得た。マイクロカプセル中への化合物B
の封入率は101.8%であった。 実施例10 実施例1の乳酸−グリコール酸重合体の鉄塩と化合物A
を、それぞれ参考例8の乳酸−グリコール酸重合体の鉄
塩と化合物Cに変更し、溶媒としてのジクロロメタン量
を2.5mlに変更した以外、実施例1と同様にしてマ
イクロカプセルを得た。マイクロカプセル中への化合物
Cの封入率は102.6%であった。
【0148】実施例11 参考例10の乳酸−グリコール酸重合体の亜鉛塩4.5
gと化合物C 0.5gをジクロロメタン7.5mlに
溶解した。この溶液を18℃に冷却した後,予め18℃
に調節しておいた5%(w/w) D-マンニトール含有 0.
1% (w/w) ポリビニルアルコール(EG-40、日本合成化
学製)水溶液900ml中に注入し,タービン型ホモミ
キサーを用い、7,000rpmでO/Wエマルション
とした。このO/Wエマルションを室温で3時間撹拌し
てジクロロメタンを揮散させ,油相を固化させた後,遠
心分離機(05PR-22、日立製作所)を用いて2,000
rpmで捕集した。これを再び蒸留水に分散後,さらに
遠心分離を行い,遊離薬物等を洗浄した。捕集されたマ
イクロカプセルは少量の蒸留水を加えて再分散した後,
D-マンニトール 0.2gを加え、この分散液を凍結乾
燥して粉末として得られた。マイクロカプセル中への化
合物Cの封入率は101.7%であった。
【0149】実施例12 参考例10に記載の乳酸−グリコール酸重合体1.8g
と化合物C 0.2gと粒子径0.02μmの酸化亜鉛
(和光純薬、lot. No. TWP4254)0.043gとをジク
ロロメタン4.0mlに溶解した。この溶液を18℃に
冷却した後,予め18℃に調節しておいた5% (w/w)
D−マンニトール含有0.1%(w/w)ポリビニルアルコ
ール(EG-40、日本合成化学製)水溶液400ml中に
注入し,タービン型ホモミキサーを用い、7,000r
pmでO/Wエマルションとした。このO/Wエマルシ
ョンを室温で3時間撹拌してジクロロメタンを揮散さ
せ,油相を固化させた後,遠心分離機(05PR-22、日立
製作所)を用いて2,000rpmで捕集した。これを
再び蒸留水に分散後,さらに遠心分離を行い,遊離薬物
等を洗浄した。捕集されたマイクロカプセルは少量の蒸
留水を加えて再分散した後,D-マンニトール 0.1g
を加え、この分散液を凍結乾燥して粉末として得られ
た。マイクロカプセル中への化合物Cの封入率は98.
2%であった。
【0150】実施例13 乳酸−グリコール酸重合体(乳酸/グリコール酸= 50
/50(モル%),GPC測定による重量平均分子量、数
平均分子量および末端基定量による数平均分子量はそれ
ぞれ10,100,3,800,3,720)1.8gと化
合物A0.2gと粒子径0.02mmの酸化亜鉛(和光純
薬, lot. No. TWP4254)0.02gと鉄アセチルアセト
ナート(同仁化学研究所, lot ZR104)0.085gとを
ジクロロメタン6.0mlに溶解した。この溶液を18℃
に冷却した後、予め18℃に調節しておいた0.1%(w
/w) ポリビニルアルコール(EG-40、日本合成化学製)
水溶液400ml中に注入し、タービン型ホモミキサーを
用い、7,000rpm でO/Wエマルションとした。このO
/Wエマルションを室温で3時間撹拌してジクロロメタ
ンを揮散させ、油相を固化させた後、遠心分離機(05
PR−22、日立製作所)を用いて2,000rpm で捕
集した。これを再び蒸留水に分散後、さらに遠心分離を
行い、遊離薬物等を洗浄した。捕集されたマイクロカプ
セルは少量の蒸留水を加えて再分散した後、D−マンニ
トール0.1gを加え、この分散液を凍結乾燥して粉末
として得られた。マイクロカプセル中への化合物Aの封
入率は98.0%であった。 実施例14 化合物A0.2gを参考例17で得られた化合物Aのマ
グネシウム塩0.25gに変更した以外、実施例13と
同様にしてマイクロカプセルを得た。マイクロカプセル
中への化合物Aとしての封入率は99.5% であった。
【0151】比較例1 実施例1の乳酸−グリコール酸重合体の鉄塩を 参考例
1中に記載の乳酸−グリコール酸重合体に変更し、溶媒
としてのジクロロメタン量を3.2mlに変更した以
外、実施例1と同様にしてマイクロカプセルを得た。マ
イクロカプセル中への化合物Aの封入率は76.6%で
あった。 比較例2 実施例7の乳酸−グリコール酸重合体の鉄塩を参考例7
に記載の乳酸−グリコール酸重合体に変更し、溶媒とし
てのジクロロメタン量を2.0mlに変更した以外、実
施例1と同様にしてマイクロカプセルを得た。マイクロ
カプセル中への化合物Aの封入率は71.8%であっ
た。
【0152】比較例3 実施例9の乳酸−グリコール酸重合体の鉄塩を参考例9
に記載の乳酸−グリコール酸重合体に変更し、溶媒とし
てのジクロロメタン量を1.6mlに変更した以外、実
施例9と同様にしてマイクロカプセルを得た。マイクロ
カプセル中への化合物Bの封入率は97.7%であっ
た。 比較例4 実施例10の乳酸−グリコール酸重合体の鉄塩を参考例
8に記載の乳酸−グリコール酸重合体に変更し、溶媒と
してのジクロロメタン量を2.0mlに変更した以外、
実施例10と同様にしてマイクロカプセルを得た。マイ
クロカプセル中への化合物Cの封入率は96.8%であ
った。
【0153】比較例5 参考例10に記載の乳酸−グリコール酸重合体1.8g
と化合物C 0.2gとをジクロロメタン2.5mlに
溶解した。この溶液を用い、実施例12と同様にしてマ
イクロカプセルを製造した。マイクロカプセル中への化
合物Cの封入率は90.3%であった。 比較例6 実施例13に記載の乳酸−グリコール酸重合体1.8g
と化合物A 0.2gとをジクロロメタン2.5mlに溶
解した。この溶液を用い、以下実施例13と同様にして
マイクロカプセルを得た。マイクロカプセル中への化合
物Aの封入率は86.2%であった。
【0154】実験例1 実施例1で得られたマイクロカプセル約30mgを0.
5mlの分散媒(0.25mg のカルボキシメチルセルロー
ス、0.5 mg のポリソルベート 80、25 mg のマンニトー
ルを溶解した蒸留水)に分散して8週齢雄性SDラット
の背部皮下に22G注射針で投与した(マイクロカプセ
ルとしての投与量約100mg/kg)。投与1週後にラッ
トを屠殺して投与部位に残存するマイクロカプセルを取
り出し、マイクロカプセル中の化合物Aを定量した結
果、化合物Aの残存率は77%であった。これに対し、
比較例1で得られたマイクロカプセルの場合、投与(投
与量:約130mg/kg)1週後の化合物Aの残存率は2
8%であった。 実験例2 実施例7で得られたマイクロカプセル約30mgを実験
例1と同様にして10週齢雄性SDラットの背部皮下に
22G注射針で投与した(マイクロカプセルとしての投
与量約60 mg/kg)。投与1日後にラットを屠殺して投
与部位に残存するマイクロカプセルを取り出し、マイク
ロカプセル中の化合物Aを定量した結果、化合物Aの残
存率は76%であった。これに対し,比較例2で得られ
たマイクロカプセルの場合、 投与(投与量:約80 mg
/kg)1日後の化合物Aの残存率は60%であった。
【0155】実験例3 実施例9で得られたマイクロカプセル約30mgを実験
例1と同様にして8週齢雄性SDラットの背部皮下に2
2G注射針で投与した(マイクロカプセルとしての投与
量約70 mg/kg)。投与1週後にラットを屠殺して投与
部位に残存するマイクロカプセルを取り出し、マイクロ
カプセル中の化合物Bを定量した結果、化合物Bの残存
率は74%であった。これに対し、比較例3で得られた
マイクロカプセルの場合、投与(投与量:約70 mg/k
g)1週後の化合物Bの残存率は8%であった。 実験例4 実施例8で得られたマイクロカプセル約30mgを実験
例1と同様にして8週齢雄性SDラットの背部皮下に2
2G注射針で投与した(マイクロカプセルとしての投与
量約70mg/kg)。投与1日、1週、2週後にラットを
屠殺して投与部位に残存するマイクロカプセルを取り出
し、マイクロカプセル中の化合物Bを定量した結果、残
存率はそれぞれ86%、70%、55%であった。
【0156】実験例5 実施例10で得られたマイクロカプセル約30mgを実
験例1と同様にして7週齢雄性SDラットの背部皮下に
20G注射針で投与した(マイクロカプセルとしての投
与量約75 mg/kg)。投与1週後にラットを屠殺して投
与部位に残存するマイクロカプセルを取り出し、マイク
ロカプセル中の化合物Cを定量した結果、化合物Cの残
存率は83%であった。これに対し、比較例4で得られ
たマイクロカプセルの場合、投与(投与量:約75 mg/
kg)1週後の化合物Cの残存率は12%であった。 実験例6 実施例11、12及び比較例5で得られたマイクロカプ
セル約15mgを実験例1と同様にして、それぞれ7週
齢雄性SDラットの背部皮下に20G注射針で投与した
(マイクロカプセルとしての投与量約40mg/kg)。投
与1日、1週および2週後にラットを屠殺して投与部位
に残存するマイクロカプセルを取り出し、この取り出し
たマイクロカプセル中の化合物Cを定量した。結果を
〔表1〕に示す。
【0157】
【表1】
【0158】実験例7 実施例13および14で得られたマイクロカプセル約1
5mgを実験例1と同様にして6週齢雄性SDラットの背
部皮下に20G注射針で投与した(マイクロカプセルと
しての投与量約40mg/kg)。投与1日および1、2、
3週後にラットを屠殺して投与部位に残存するマイクロ
カプセルを取り出し、この取り出したマイクロカプセル
中の化合物Aを定量した結果を〔表2〕に示す。〔表
2〕には比較例6で得られたマイクロカプセルを投与
(投与量:約40mg/kg)後の化合物Aの残存率を併記
した。
【表2】 投与部位での化合物 A の残存率 投与1日後 投与1週後 投与2週後 投与3週後 実施例13 99% 83% 61% 41% 実施例14 97% 73% 53% 32% 比較例6 38% 2%
【0159】
【発明の効果】本発明によれば、ヒドロキサム酸類を効
率良く取り込みかつ安定して徐放する製剤が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 47/34 A61K 47/34 B C C08G 63/06 NLK C08G 63/06 NLK // C07C 259/06 9451−4H C07C 259/06

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ヒドロキサム酸類と遊離のカルボキシル基
    を有する生体内分解性ポリマーとを含み、そのうち少な
    くとも一方が金属塩である徐放性製剤。
  2. 【請求項2】金属塩が多価金属塩である請求項1記載の
    徐放性製剤。
  3. 【請求項3】金属塩の金属がカルシウム,マグネシウ
    ム,アルミニウム,亜鉛,鉄の中から選ばれる金属であ
    る請求項1記載の徐放性製剤。
  4. 【請求項4】生体内分解性ポリマーがα−ヒドロキシカ
    ルボン酸重合体である請求項1記載の徐放性製剤。
  5. 【請求項5】生体内分解性ポリマーが乳酸−グリコール
    酸共重合体である請求項4記載の徐放性製剤。
  6. 【請求項6】乳酸とグリコール酸の組成比(モル%)が
    約100/0ないし約40/60である請求項5記載の
    徐放性製剤。
  7. 【請求項7】重合体の重量平均分子量が約3,000な
    いし約20,000である請求項4記載の徐放性製剤。
  8. 【請求項8】末端のカルボキシル基を金属塩にした生体
    内分解性ポリマー中の金属含量が約0.01ないし約5
    %(w/w) である請求項1記載の徐放性製剤。
  9. 【請求項9】ヒドロキサム酸類の金属塩を含む請求項1
    記載の徐放性製剤。
  10. 【請求項10】生体内分解性ポリマーの金属塩を含む請
    求項1記載の徐放性製剤。
  11. 【請求項11】マイクロカプセルである請求項1記載の
    徐放性製剤。
  12. 【請求項12】マイクロカプセルが注射用である請求項
    11記載の徐放性製剤。
  13. 【請求項13】注射用である請求項1記載の徐放性製
    剤。
  14. 【請求項14】少なくとも一方が金属塩であるヒドロキ
    サム酸類および遊離のカルボキシル基を有する生体内分
    解性ポリマーを有機溶媒に溶解または分散し、これを水
    相に添加し、次いで水中乾燥に付すことを特徴とする徐
    放性製剤の製造法。
  15. 【請求項15】ヒドロキサム酸類、金属化合物および遊
    離のカルボキシル基を有する生体内分解性ポリマーを有
    機溶媒に溶解または分散し、これを水相に添加し、次い
    で水中乾燥に付すことを特徴とする徐放性製剤の製造
    法。
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